JP2017517256A - 遺伝子配列を編集する方法 - Google Patents

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Abstract

遺伝子配列を編集する方法本開示は、ゲノムヌクレオチド配列の変更を含む方法、ポリヌクレオチド、細胞、組成物、および処置法を記載する。一般的に、当該方法は、編集が必要なゲノム配列を有する細胞にドナーポリヌクレオチドとDNAの少なくとも一方の鎖を切断する酵素をコードするヌクレオチドとを導入することと、この酵素によりゲノム配列の少なくとも一方の鎖を切断することと、ドナー配列により編集が必要なゲノム配列を置換することとを含む。【選択図】図1

Description

本願は、2014年5月20日出願の米国特許仮出願第62/000,590号に対する優先権を主張する。同出願の内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
本開示は、一側面では、ゲノムヌクレオチド配列を変更する方法を記載する。この方法は一般に、編集が必要なゲノム配列を有する細胞にドナーポリヌクレオチドとDNAの少なくとも一方の鎖を切断する酵素をコードするヌクレオチドとを導入することと、この酵素によりゲノム配列の少なくとも一方の鎖を切断することと、ドナー配列により編集が必要なゲノム配列を置換することとを含む。
一部の態様では、前記ゲノム配列はc.456+4A>T変異を有するFANCC座位またはその等価物を含むことができる。これらの態様では、前記ドナーポリヌクレオチドは、編集が必要な配列の編集後の型が野生型のc.456+4Aを有するFANCC座位またはその等価物を含むよう、野生型のc.456+4Aを有するFANCC座位またはその等価物を含むことができる。
一部の態様では、前記酵素はヌクレアーゼまたはニッカーゼであってもよい。
一部の態様では、前記ドナーポリヌクレオチドは選択可能なマーカーをさらに含むことができる。
一部の態様では、前記ドナーポリヌクレオチドは少なくとも1つの非表現DNA多型をさらに含むことができる。
一部の態様では、ドナー配列は編集が必要なゲノム配列を相同組換え修復(homology-directed repair)によって置換する。別の態様では、ドナー配列は編集が必要なゲノム配列を非相同末端結合によって置換する。
一部の態様では、前記細胞は多能性(pluripotent)細胞、複能性(multipotent)細胞、分化細胞、または幹細胞である。これらの態様の一部では、細胞はc.456+4A>T変異についてホモ接合性である。別の態様では、細胞はCD34陽性ヒト造血幹細胞であってもよい。
別の側面では、本開示は以上に要約した方法のいずれかの態様によって作製した単離細胞を記載する。
別の側面では、本開示は以上に要約した方法のいずれかの態様によって作製した細胞の集団を記載する。
別の側面では、本開示は以上に要約した方法のいずれかの態様によって作製した細胞の子孫細胞を増加させた集団を記載する。
別の側面では、本開示は、プロモーター配列と、プロモーター配列と作動可能に連結されCas9ヌクレアーゼの機能部分をコードするポリヌクレオチドと、Cas9ヌクレアーゼの機能部分をコードするポリヌクレオチドと作動可能に連結されたポリアデニル化シグナルとを含むポリヌクレオチドを記載する。
別の側面では、本開示は、プロモーター配列と、プロモーター配列と作動可能に連結されCas9ニッカーゼの機能部分をコードするポリヌクレオチドと、Cas9ニッカーゼの機能部分をコードするポリヌクレオチドと作動可能に連結されたポリアデニル化シグナルとを含むポリヌクレオチドを記載する。
別の側面では、本開示は、対象の遺伝子変異に起因する状態を処置する方法を記載する。この方法は一般に、対象から複数の多能性細胞を入手することと;少なくとも1個の細胞に、DNAの少なくとも一方の鎖を切断する酵素をコードするポリヌクレオチドと遺伝子変異を編集した型のゲノム配列をコードするドナーポリヌクレオチドとを導入することと;酵素によりゲノム配列の少なくとも一方の鎖を切断することと;ドナー配列により遺伝子変異を含むゲノム配列を編集後の型で置換することと;編集後のゲノム配列を有する細胞を増加させることと;編集後のゲノム配列を含む増加させた複数の細胞を対象に導入することとを含む方法を包含する。
一部の態様では、前記状態はファンコニー貧血であってもよい。これらの態様の一部では、遺伝子変異を有するゲノム配列は野生型のc.456+4A>T変異を有するFANCC座位であってもよい。これらの態様の一部では、ドナーポリヌクレオチドは野生型のc.456+4Aを有するFANCC座位をコードできる。
一部の態様では、増加させた複数の細胞を対象に導入することによってFANCC座位を修正する。
一部の態様では、増加させた複数の細胞を対象に導入することによってFANCCのmRNAの適切なスプライシングを回復する。
一部の態様では、増加させた複数の細胞を対象に導入することによって対象の表現型を回復する。
上記の本発明の要旨は、開示した各態様または本発明のすべての実施内容について説明することを意図するものではなく、以下の説明によって例示の態様をより具体的に示す。本願の一部の箇所には例を列挙することによって手引きを示し、それらの例は様々な組み合わせで使用できる。各例に列挙した内容は代表的な群としてのみ機能するものであり、排他的な列挙として解釈すべきではない。
図1は、FANCC c.456+4A>T遺伝子標的化を示す。(A)c.456+4A>T変異を有するFANCC座位を右端に示す。TALENの左右の配列結合部位に下線を施し、CRISPRガイドRNA認識部位を斜字体で示す。(B)TALENの反復可変性二残基(repeat variable diresidue; RVD)の塩基認識と標的部位結合を示す。RVDであるNN、NI、HD、およびNGはそれぞれG、A、C、およびTに結合し、その下に図示されている完全な配列に反映される。左右のTALEN配列はFokIエンドヌクレアーゼのヌクレアーゼドメインに連結している。ヌクレアーゼドメインは標的上で二量体化し、各配列を分離するスペーサー領域でのDNAの切断を媒介する。(C)CRISPRの構造とFANCC遺伝子標的の認識を示す。ガイドRNAであるキメラRNA種は、FANCC遺伝子の23bpの配列(強調表示した配列)(その3’末端側に、赤い文字で示すNGGプロトスペーサー隣接モチーフを有する)を認識する遺伝子特異的成分(上段)を有する。ガイドRNAの残りの部分(下段)は定常領域であり、ストレプトコックス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)のCas9ヌクレアーゼタンパク質と相互作用する二次構造を含む。Cas9のRuvC様ドメインは非相補的DNA鎖の切断、HNH様ドメインは相補的DNA鎖の切断を媒介する。RuvCドメインのD10A変異によって複合体はニッカーゼに変換される。(D)はDNA発現基盤を示す。プラスミドにコードされるTALENであり、ミニCAGGsプロモーターの制御下、キサントモナス属(Xanthomonas)のTALENのN末端の152残基が欠失し、続いて反復ドメインと、C末端の+63小領域とそれに融合したFokIヌクレアーゼ触媒領域とを含み、ウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル(polyadenylation signal; pA)を含む。CMVプロモーターおよびウシ成長ホルモンpAを含むプラスミドから、Cas9のヌクレアーゼまたはRuvC D10Aニッカーゼを発現させた。ガイドRNAの遺伝子発現をU6ポリメラーゼIIIプロモーターおよび転写終結因子(transcriptional terminator; pT)に媒介させた。(E)SURVEYOR(登録商標)試験法(Transgenomic, Inc., Omaha, NE)によるヌクレアーゼ活性評価を示す。TALEN(ヌクレアーゼ標的部位を左側の四角で示す)、Cas9ヌクレアーゼまたはCas9ニッカーゼ(標的部位を右側の四角で示す)と対応するガイドRNA、あるいは緑色蛍光タンパク質(GFP)で処理した対照群(「C」と示す)を導入した細胞のFANCC座位をプライマー(矢印)で増幅し、417bpの産物を得た。ヌクレアーゼまたはニッカーゼによって非相同末端結合(NHEJ)による挿入または欠失が起こると、未修飾の増幅産物とのヘテロ二本鎖が形成される。このヘテロ二本鎖を、塩基の不一致に依存するSURVEYOR(登録商標)ヌクレアーゼで切断する。TALENの場合、これらの切断産物は277bpおよび140bpであり、CRISPR/Cas9の場合の切断産物は228bpおよび189bpである。(F)は293T細胞、(G)はファンコニー貧血相補群C(FA−C)線維芽細胞をSURVEYOR(登録商標)で分析した結果である。同量のDNAを図1(E)のプライマーを用いて増幅し、TALENまたはCRISPR/Cas9活性と一致するSURVEYOR(登録商標)処理後の断片化パターンが示された。矢印は切断バンドを示す。図示したデータは、それぞれ4つの実験を代表するゲルである。Mwは分子量標準、Cは対照としたGFP処理細胞である。293T細胞のSURVEYOR(登録商標)処理群のゲル露光時間は750ミリ秒であり、FA−C細胞では1.5秒であった。 図2は、DNA修復結果をトラフィックライトレポーター(traffic light reporter:以下、TLRともいう。染色体に組み込まれた二本鎖切断蛍光レポーター)で評価した結果を示す。(A)はTLRの概略図である。FANCCのCRISPR/Cas9の標的配列を破線部分に示す。これを構築物のGFP部分に挿入し、アウトフレームのGFPを得た。+3ピコルナウイルス2A配列によって、下流の非機能性+3mCherryは非機能性GFPの分解を回避できる。外来性GFPドナー(「dsGFPドナー」と表示した枠)の存在下での標的部位の切断後、GFP遺伝子は相同組換え修復(HDR)によって修復され、GFP(+1GFP)を発現するが、非活性mCherry(+3mCherry)は発現しない。NHEJによるDNA修復によってフレームシフトが起こり、mCherryのオープンリーディングフレーム(ORF:翻訳領域)(+1mCherry)が復元し、結果として赤色蛍光と不活性GFP(+3GFP)を得ることができる。(B〜I)はCRISPR/Cas9ヌクレアーゼおよびニッカーゼによる293T−TLR細胞株の処理を示す。FANCC−TLR構築物の組込みコピーを有する安定な293T細胞株を生成した。この細胞株は、基礎レベルではGFP陰性であり、0.5%未満のmCherryを発現した(B)。(C)ドナーのみで処理した細胞は、ドナー濃度250ng(Cのi)、500ng(Cのii)、または1000ng(Cのiii)で内因性のHDRを示さなかった。(D、E)は、標的ガイドRNAとCas9ヌクレアーゼ(D)またはニッカーゼ(E)を形質移入したFANCC−TLR−293T細胞株の形質移入の72時間後のGFP(x軸)およびmCherry(y軸)の測定値の代表的なFACSプロットである。パネルi、ii、iiiは、GFPドナーをそれぞれ250ng、500ng、1000ngとした場合の結果を示す。(F〜H)はヌクレアーゼおよびニッカーゼに関して3つの異なるドナー濃度を用いて4つの独立した実験から得た、図示したデータを定量し、グラフ形式で示したものである。図2(B)のmCherryの基礎レベルを全処理群から差し引いた。ヌクレアーゼの場合、mCherry(NHEJ)対GFP(HDR)のp値は0.05未満である。ニッカーゼの場合、GFP(HDR)対mCherry(NHEJ)のp値は0.05未満である。(I)はヌクレアーゼとニッカーゼに関するHDRの比である。HDRの比を決定するため、各ドナー濃度でGFPを発現する細胞の割合を、mCherryを発現する細胞の割合で割った。平均値±標準偏差をグラフ化した。ニッカーゼ対ヌクレアーゼのp値はドナーが250ngのとき0.7、ドナーが500ngのとき0.04、ドナーが1000ngのとき0.001であった。 図3は非特異的配列の解析結果を示す。(A)コンピュータで非特異的部位を得た。CRISPR設計ツールは5個の遺伝子内の非特異的部位を確認した。染色体位置と遺伝子名を示す。一番上がFANCC標的座位である。下線部はFANCC標的と非特異的部位の間で一致しない塩基である。(B)は非特異的部位をSURVEYOR(登録商標)ヌクレアーゼで評価した結果である。ヌクレアーゼ(「Nu」)、ニッカーゼ(「Ni」)またはGFP(「G」)で処理した293T細胞の非特異的アレルを増幅し、SURVEYOR(登録商標)法で試験した。矢印は3つの処理群すべてに存在する切断産物を示し、これにより天然の多型が存在することがわかる。図3(A)の右欄は、SURVEYOR(登録商標)によって決定したCRISPRヌクレアーゼ(「nuc」)またはニッカーゼ(「nick」)を用いた場合の各標的部位での修飾率(「%Mod」)である。 図4(A)はインテグラーゼ(組込み酵素)欠損レンチウイルス遺伝子によるタグ付けを示す。(C)はCMVプロモーター(sin.pll.CMV.GFP)に発現を制御される自己不活性化型のインテグラーゼ欠損GFPレンチウイルスカセットの図である。DNAの二本鎖切断(DSB)またはニックを発生させるTALENまたはCRISPR/Cas9の存在下では、ウイルスカセットの完全なコピーは標的切断部位で捕捉される場合も非特異的切断部位で捕捉される場合もあり、その部位に永久に残る。(B)はインテグラーゼ欠損レンチウイルス(IDLV)処理群のFACS分析結果である。IDLV処理、またはIDLV処理とヌクレアーゼまたはニッカーゼの送達を行った7日後、細胞をGFPについて評価した(「7日後」と表示)。選別した細胞(「選別後」)の集団を、最初の選別の5日後に分析した。(C)FANCC部位と非特異的部位でのIDLVのPCRスクリーニング結果を示す。3’LTRプライマー(右向きの矢印)とFANCC座位または非特異的(OT)座位に特異的なプライマー(左向き矢印)とを用いてPCR試験を行った。(D)FANCC座位に特異的なIDLVの組込みを確認した。白い矢印は配列決定された増幅産物を示す。(E)非特異的IDLVスクリーニング結果を示す。LTR順方向プライマーとHERC2(OT1)、RLF(OT2)、HNF4G(OT3)、ERC2(OT4)、またはLOC399715(OT5)逆方向プライマーを用いて、CRISPR/Cas9ヌクレアーゼまたはニッカーゼ処理群の細胞をスクリーニングした。 図5は非特異的座位に関するゲノム全体の無作為スクリーニング結果を示す。(A)は実験手順の流れである。IDLVを組み込んだ293T細胞の重複試料を、制限酵素を用いない線形増幅によるPCR(nrLAM−PCR)とMseIまたはMluCI酵素を用いた線形増幅によるPCR(LAM−PCR)に供し、Illumina(登録商標)のMiSeqディープシーケンシングによる次世代配列決定を行った。データセットを部位高処理解析パイプライン(High-Throughput Site Analysis Pipeline(HISAP))で精密化した。宿主のゲノム断片増幅産物のみを保持するため、HISAPで配列リードをトリミングしてベクターとリンカーのヌクレオチドを除去する。BLAT(UCSC Genome Informatics)データベースを使用し、重複/同一配列を整理し、マッピングし注釈を付ける。次に、座位に近接した組込みの集中(CLIS)の発生について評価する。(B)IDLV組込み体のCLISの確認結果を示す。それぞれについて試料名と分析した配列リード数を左側に示す。各試料の組込み部位(IS)の総数を示し、CLISの数(×は、IDLVのみで処理した群についてCLISが確認されなかったことを示す)を観察した。すべての試薬について、CLISはFANCC座位のみに局在し、80bpの領域内に位置していた。 図6はFANCCドナー設計と相同組換え修復を示す。(A)はc.456+4A>Tイントロン変異を有するFANCC座位を下向きの矢印と星印で示す。左右の矢印はHDRのスクリーニングに用いた内在性ゲノムプライマーを示す。(B)は遺伝子修正ドナーである。内在性座位と一直線上にドナーを示す。プラスミドドナーは、FANCCゲノム配列と、ドナーのヌクレアーゼ切断を予防する非表現変異と、c.456+4A>T変異を正常化した塩基(色の薄い領域)とを含む1.3kbの相同な左アームを含む。これに続き、PGKプロモーターで制御される、両側にloxPを有するピューロマイシン−T2A−FANCC発現カセットと、0.8kbの長さの右ドナーアームを含んでいた。矢印は、CRISPRで処理し、選択して増加させたクローンのPCR分析に用いた、ドナー特異的なPCRプライマーを示す。(C)は(A)および(B)のドナー特異的なプライマーと座位特異的なプライマーを用いた左側(「Lt」)と右側(「Rt」)のHDRのPCRスクリーニング手法の代表的なゲル画像である。(D)は得られた遺伝子修正後のクローンの数である。数字は、HDRについて陽性のPCR産物を示した、クローン的に増加した細胞の数を示す。2つの独立な実験を行い、データを集め、HDRについて陽性であるクローンの総数を得た。(E)は、HDRを介したc.456+4A>T変異修正である。未処理の細胞(上)と遺伝子修正後のクローン(下)のc.456+4A>T座位の代表的なサンガー配列決定データを示す。網掛けを施した列は、変異によるチミン塩基または修正後のアデニン塩基を示す。下の配列ファイルにある矢印は、修正後のクローンに存在する、ドナー由来の非表現変異を示す。 図7はCRISPRを介したFANCCの修復を示す。(A)は赤色の星印で示す変異を有するFANCC座位である。変異により、エキソン4(星印)の読み飛ばしを起こす異常なスプライシング(上の破線)が発生する。正常なスプライシングを下の破線で示す。3個目の枠はエキソン3、4個目の枠はエキソン4、5個目の枠はエキソン5、8個目の枠はエキソン8を表す。(B)はFANCC転写産物である。c.456+4A>T変異によるエキソンの読み飛ばしの結果、エキソン4が欠失する。遺伝子修正の結果、転写産物ではエキソン4は回復する。右向きの矢印は、ドナーが誘導したHDRによって導入された非表現の塩基変化に関するアレル特異的プライマーを示す。左向きの矢印はエキソン8に特異的なプライマーを表す。(C)ニッカーゼまたはヌクレアーゼで修正した細胞クローンのアレル特異的PCRの結果である。アレル特異的PCRの代表的なゲルであり、ヌクレアーゼを用いた場合のクローンとニッカーゼを用いた場合のクローンでは転写産物が正常化したことを示す。FA−C(FC)細胞または野生型(WT)細胞では増幅がないため、プライマーセットの特異性は明らかである。cDNAが増幅グレードであることを保証するため、GAPDHプライマー(下)を用いたPCRに試料を供した。Mwは分子量標準である。(D)遺伝子改変アレルのサンガー配列決定結果である。左はエキソン4の開始点であり、矢印はゲノム標的化ドナーに組み込まれた非表現多型を示す。右側には、回復したエキソン4と隣接するエキソン5との結合部(網掛けを施した列)がある。(E〜F)はFANCCタンパク質の活性を示す。グラフは、未処理または2mMヒドロキシ尿素で処理したFA細胞におけるリン酸化により生成されたγ−H2AXの流動細胞計測分析を利用した4つの実験の結果を示す。ヌクレアーゼまたはニッカーゼを用いた場合のクローンを同時に評価し、リン酸化により生成されたγ−H2AXに対する抗体のシグナルの平均蛍光強度(mean fluorescence intensity;MFI)としてデータを示す。 図8は造血幹細胞でのCRISPR活性の評価結果を示す。(A)純度と遺伝子導入を示す。ヒトCD34陽性造血幹細胞(HSC)を全骨髄から精製し、染色せずに置くか、抗CD34抗体で染色した。精製した細胞にGFPプラスミド(pmax−GFP)を形質移入し、48時間後に蛍光を評価した。(B)はCRISPR/Cas9活性を示す。(A)の遺伝子導入条件を用いて、Cas9ニッカーゼまたはヌクレアーゼのプラスミドDNAを、ガイドRNAをコードするプラスミドと共にHSCに導入した。遺伝子導入72時間後のゲノムDNAに対してSURVEYOR(登録商標)ヌクレアーゼ試験を行った。ゲルおよびFACSプロットは、2つの独立な実験の代表である。陰性対照(negC)はGFPで処理したHSCとし、陽性対照(posC)はCas9ヌクレアーゼで処理した293T細胞とした。 図9はCRISPRを用いた場合のNHEJの定量結果を示す。(A)はmCherryプラスミドとCas9ニッカーゼまたはヌクレアーゼとFANCCガイドRNAとを同時形質移入した4つの群の細胞を基に決定した、293T細胞またはFA−C線維芽細胞の平均蛍光強度である。ニッカーゼ処理細胞とヌクレアーゼ処理細胞との間の差は統計学的に有意ではなかった。(B)はSURVEYOR(登録商標)による試験結果を示す。図1(F)の293T細胞に関するゲルと図1(G)のFA−C細胞に関するゲルを3秒間過剰露光し、SURVEYOR(登録商標)ヌクレアーゼ処理後の濃度測定によってニッカーゼのNHEJ率を測定した。矢印は、予測されるサイズのDNA断片を示す。(C)はCas9切断率を示す。露光時間を750msとした図1(F)の293T細胞に関するゲルと、露光時間を1500msとした図1(G)のFA−C繊維芽細胞に関するゲルの濃度測定によって、ヌクレアーゼの切断率を決定した。ニッカーゼの切断効率を(B)のゲルから定量した。ニッカーゼによって生成された断片はFA−C細胞では可視化されなかった。値は4つの個別の実験から得たものであり、平均値±標準偏差としてプロットされている。 図10はIDLV−LTRとFANCCとの結合部のPCR配列を示す。最上部にLTR順方向プライマー(破線による下線)およびFANCCゲノム逆方向プライマー(二重下線)の配列を示す。(A)はプロトスペーサー隣接モチーフ(破線による下線)を有するCRISPRのFANCC標的部位を示す。(B)はIDLVとCRISPRヌクレアーゼで処理した細胞から得たPCR産物の配列である。LTR配列を太字で示す。FANCC配列を斜字体で示す。(C)IDLVを導入したニッカーゼ処理細胞のサンガー配列決定の結果を示す。「i」は図2(D)の上部のバンドを、「ii」は図2(D)の下部のバンドを示す。LTRとFANCCの配列は上記のとおりである。 図11はHDRのPCR試験の一次配列データを示す。上:座位特異的なプライマーとドナープライマーのセットに由来する連続したPCR増幅産物を配列決定した結果であり、内在性遺伝子とドナーアーム(矢印で示す)が途切れずに結合されていることを示す。ドナーアーム(枠)の遠位の非表現多型は組み込まれておらず、切断部位の近位にあるドナー配列の交差を示す。下:網掛けを施した塩基はドナー由来の非表現多型である。枠はc.456+4A>T座位の修正後の塩基を示す。「問い合わせ配列(Query)」は、CRISPRで修正した場合のクローンに由来する配列である。「対象配列(Sbjct)」は基準ドナー配列である。陰影をつけた線は、わかりやすくするために削除した、介在するドナー/PCR配列である。 図12はFANCCのc.456+4A>TのcDNA配列決定結果を示す。FANCCのc.456+4A>Tについてホモ接合性の患者(上段の「問い合わせ配列(Query)」)の一次配列と野生型FANCC遺伝子(下段の「対象配列(Sbjct)」)との配列比較である。エキソンの境界と、エキソン4の欠失を示す。最下部には、エキソン3とエキソン5との境界を示す、配列決定反応で得たトレースファイルを示す。 図13は、遺伝子修正後のc.456+4A>TのcDNA配列決定結果を示す。図7(C)のアレル特異的なPCR産物の一次配列(上段、「問い合わせ配列(Query)」)と、ドナーにより誘導される遺伝子修正配列の予測基準配列(下段、「対象配列(Sbjct)」)との配列比較である。網掛けを施した塩基はドナー固有の非表現多型である。 図14は、ニッカーゼで修正した場合のクローンからcreリコンビナーゼによって外来性ドナー配列が除去されたことを示す。HDRを経たクローンでcreリコンビナーゼを発現させた。切除を確認するため、FANCC座位のPCRを実施し、2つのバンドを得てこれらを配列決定し、ドナーが標的化したアレルを表す組換えloxp部位(上のバンド/網掛け部分)と、CRISPR/Cas9によって修飾されなかった下のバンド(下のバンド/非標的アレル;網掛け部分は設計したドナーの結合部を示す)を明らかにした。ヌクレアーゼ処理した場合のクローンに見られた下のバンドの配列決定により、標的部位での挿入欠失が明らかになった(データの図示はなし)。
デザイナーヌクレアーゼを用いたゲノム工学は急速に進歩する分野であり、ヒト遺伝子変異を原位置で修正する能力が非常に望ましい。ファンコニー貧血(Fanconi anemia;FA)患者由来の線維芽細胞をモデルとして用いて、規則的な間隔でクラスター化した短鎖反復回文配列(clustered regularly interspaced short palindromic repeat;CRISPR)Cas9ヌクレアーゼが遺伝子修正を媒介する能力と効率を試験した。CRISPR/Cas9ヌクレアーゼおよびニッカーゼはそれぞれ遺伝子修正をもたらし、さらに、相同組換え修復(homology-directed repair;HDR)ではニッカーゼはヌクレアーゼを上回った。相同組換え修復は、細胞が用いる、ゲノム中の相同DNA配列を用いてDNA二本鎖切断を修復する機構である。遺伝子内の相同配列を確認する予測ソフトウェア基盤と、線形増幅を介するPCR(linear amplification mediated PCR;LAM-PCR)を使用したゲノム全体のスクリーニングにより非特異的効果を評価した。非特異的Cas9活性は観測されず、十分な配列複雑性を有するCRISPR/Cas9候補部位が非常に特異的に機能することが示された。これらのデータはDNA修復不全によるヒトの障害であるFAでのゲノム編集を示す。Cas9を介したヒト疾患遺伝子修正について記載するのはこれらのデータが最初である。
9番染色体にあるFANCC遺伝子は、ファンコニー貧血経路の一部として機能しゲノム監視およびDNA損傷の修復を担う、8個のタンパク質からなるファンコニー貧血コア複合体を構成するタンパク質をコードする。ファンコニー貧血相補群C(Fanconi anemia complementation group C;FA-C)の一因はc.456+4A>T(旧称c.711+4A>T;IVS4+4A>T)点変異であり、この変異により、異常なスプライシングを起こす潜在スプライス部位と、FANCCエキソン4のインフレーム欠失とが発生する。エキソン4の欠失により、FANCCはコア複合体の形成に関与できなくなり、DNA修復能力が低下する。一般的には、FA−C患者は、先天性骨格異常および進行性血球減少症を示し、骨髄不全に至る。さらに、FA−C患者は、血液腫瘍や固形腫瘍の発生率が高い。現在、骨髄不全を経験し適切なドナーが存在するファンコニー貧血患者は同種造血細胞移植(hematopoietic cell transplantation;HCT)で治療されているが、HCTにはリスクが伴うことが遺伝子付加またはゲノム編集によって自己細胞を遺伝子修正する動機となっている。ファンコニー貧血患者は前悪性の表現型を有するため、いずれの遺伝子治療でも配慮すべき1つの事項は安全性である。ウイルスベクターまたは非ウイルスベクターの組み込みを介してFANCC遺伝子の機能性コピーを送達すると、挿入変異のリスクの増加を伴う。これに対し、本開示はゲノムを改変するタンパク質を用いて達成される正確な遺伝子標的化について記載する。
効率的なゲノム編集は、迅速に合成でき特定のゲノム座位を標的化できる遺伝子操作タンパク質に依存する。ゲノム改変を媒介できる候補としては、たとえば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(zinc finger nuclease;ZFN)、転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(transcription activator-like effector nucleases;TALEN)、およびCRISPR/Cas9ヌクレアーゼが挙げられる。ZFNおよびTALENは、非特異的なFokIヌクレアーゼドメインに連結され特異性を提供するDNA結合要素を含む。ゲノム標的部位での複合体の二量体形成の結果、二本鎖DNA切断(double-stranded DNA break;DSB)が起こる。ZFNの生成は困難な場合があり、一般的には特殊な出発物質や方法論を得ることが必要である。このことは、ZFNをより広く応用するうえで幾分の制限となっている。
これに対し、複数の反復配列を有するTALEN複合体を生成するための出発材料は公的に入手可能であり、この方法によるこのタンパク質の構築はZFNに必要なものよりもはるかに単純である。
また、ストレプトコックス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)のCRISPR/Cas9基盤は使いやすく、Cas9ヌクレアーゼとガイドRNA(gRNA)の2種類の成分を含む。ガイドRNAは、GN20GG配列モチーフを有する独特のゲノム座位に対して設計でき、Cas9が二本鎖DNA切断を誘導する標的部位にCas9タンパク質を補充する短い転写産物である。ガイドRNAは、5’末端の20個のヌクレオチドと標的部位との相補性を利用してCas9を指揮し、標的部位はNGGの形のプロトスペーサー隣接モチーフ(protospacer adjacent motif;PAM)配列を有さなければならない。
以下の説明で、説明的な例として、相同組換え修復によるFANCC遺伝子標的化にTALENおよびCRISPR/Cas9を用いた。本開示は、TALENおよびCRISPR/Cas9ヌクレアーゼを用いたモデル点変異であるFANCCのc.456+4A>Tのゲノム編集とその治療的用途を提供する。CRISPR/Cas9ヌクレアーゼ基盤はより高い活性率を示し、正確にc.456+4A>T変異を修正することによってFANCCのcDNAに正常なスプライシングとドナー由来のエキソン4の存在を回復させることができた。
遺伝子編集基盤の構造と活性
TAL Effector-Nucleotide Targeter(Doyle et al., 2012, Nucleic acids research 40:W117-W122)、Zinc Finger Targeter(Sander et al., 2007, Nucleic acids research 35:W599-W605;およびSander et al., 2010, Nucleic acids research 38:W462-W468)、およびCRISPR Design Tool(Hsu et al., 2013, Nature biotechnology 31:827-832)を用いて、9番染色体上のFANCC遺伝子配列のc.456+4A>T座位の付近の利用可能なヌクレアーゼ標的部位を評価した。変異から500bp以内には適切なZFN部位が存在しなかったため、互いに隣接しc.456+4A>T部位に隣接するTALENおよびCRISPRを生成した(図1(A))。TALENは、2個の超可変残基がDNA認識と結合能を媒介する反復単位を含み、単純なコードに支配され、標的部位で二量体化するFokIヌクレアーゼドメインとの融合体として発現される(図1(B))。CRISPRガイドRNAは標的座位に接触でき、RuvCおよびHNHドメイン(それぞれ、DNAらせんの対向する鎖の一本鎖DNA切断(「ニック」という)の発生に関与する)を含むCas9タンパク質によって認識できる((図1(C))。これらのドメインのうちの一方を不活性化すると、Cas9は一方の鎖のみを切断できるDNAニッカーゼに変換される。
FANCCのc.456+4A>Tに特異的なTALEN、FANCCのc.456+4A>Tに特異的なCRISPRヌクレアーゼまたはFANCCのc.456+4A>Tに特異的なCRISPRニッカーゼを含むDNA発現構築物(図1(D))を293T細胞に送達し、ヌクレアーゼにより発生したDNA損傷の非相同末端結合(non-homologous end-joining;NHEJ)を介した修復に依存するSURVEYOR(登録商標)アッセイ(Transgenomic, Inc., Omaha, NE)を用いて、ヒト細胞でのDNA切断率を評価した(Guschin et al., 2010, Methods in Molecular Biology(分子生物学の方法)649:247-256)。
濃度測定分析では、CRISPR/Cas9ヌクレアーゼを用いた場合に約2倍高い活性を示し、TALENの場合は約7%であり、CRISPR/Cas9ヌクレアーゼの場合は約15%であった(図1(F)および図9)。CRISPR/Cas9システムはより高い活性化率を示すため、CRISPR/Cas9システムを用いてFA−C線維芽細胞の活性率を決定した。患者由来の細胞は約5%の編集率を示した(図1(G)および図9)。SURVEYOR(登録商標)試験(Transgenomic., Inc, NE, Omaha)を用いた場合、293T細胞およびFA−C線維芽細胞のいずれにおいても、Cas9のヌクレアーゼ型は、ニッカーゼの場合と比較して活性率が高かった(図1(F)、図1(G)、および図9)。
このように活性特性が異なることが遺伝子導入率の不均衡によるものでないことを保証するため、形質移入時にmCherryレポーターを含ませた。各処理群の平均蛍光強度はほぼ同一であった(図9)。したがって、ニッカーゼの使用により、NHEJを介した挿入/欠失よりも、エラーのないHDRのレベルをより高くすることができる。Cas9 D10Aニッカーゼに誘導されたDNAニッキングではDNA修復のHDRアームが優先的に利用されるかどうかを決定的かつ定量的に決定するため、発明者らはNHEJとHDRを同時に定量できるトラフィックライトレポーター(TLR)システムを使用した(Certo et al., 2011, Nat. Methods 8:671-676)。この基盤により、ユーザが定義したヌクレアーゼ標的配列を、アウトフレームのmCherryのcDNAの上流にある不活性GFPコード領域の一部に挿入できる(図2(A))。基礎状態ではTLR構築物は機能性蛍光タンパク質を発現しないが、標的配列の切断後、外来性GFPドナー修復鋳型との関連で、HDRによる修復によってGFP発現を回復できる(図2(A))。反対に、エラーを起こしやすいNHEJによる標的部位切断および修復によってインフレームのmCherryが得られる(図2(A))。続いて、CRISPR/Cas9のFANCC標的部位を含むTLRの組込みコピーを有する293T細胞株を生成し、これを用い、3つの異なるドナー濃度を用いて、Cas9のヌクレアーゼ型とニッカーゼ型のHDRとNHEJの比率を評価した。形質移入を行わなかった細胞またはドナー鋳型のみを導入した細胞では緑色または赤色の蛍光の基礎比率は非常に低かった(図2(B)および図2(C))。ヌクレアーゼの送達によってmCherryおよびGFPの蛍光の実質的な比率が得られ、変異原性のNHEJもエラーのないHDRもDSBに応答して起こり得ることが示された(図2(D))。対照的に、D10A Cas9ニッカーゼが媒介する一本鎖ニックの結果、NHEJが誘導する赤色蛍光は最低レベルであり、HDRが優先的であった(図2(E))。全体として、3つのドナー濃度の用量を通じて、ヌクレアーゼはHDRによるGFPの最高レベルを媒介したが、NHEJによるmCherryの増加を伴った(図2(F)〜(H))。ニッカーゼは、ヌクレアーゼと比較してHDRの全体の比率が低かったが、最小限のNHEJがみられた(図2(F)〜(H))。これらのデータをHDRのNHEJに対する比として表すと、DNAニックの修復は明らかにHDRを優先することがわかる(図2(I))。これらのデータから、Cas9のニッカーゼ型がHDRを促進し、NHEJを最小限に抑えることがわかる。
CRISPRの標的と非標的の分析
遺伝子編集に基づく修正手段の1つの因子は、標的部位と非標的ゲノム座位の配列が相同であることによる非特異的効果の可能性である。そこで、CRISPR/Cas9試薬の安全特性を評価した。CRISPR Design Tool(DNA2.0, Inc., Menlo Park, CA)解析ソフトウェアは、非特異的部位を予測し、FANCC CRISPR構築物に関する非標的位置に含まれるこのような部位5箇所を明らかにした(図3(A))。FANCC CRISPR/Cas9ヌクレアーゼおよびニッカーゼが遺伝子内の非特異的活性を示すかどうかを厳密に評価するため、SURVEYOR(登録商標)試験とインテグラーゼ欠損レンチウイルス(integrase-deficient lentiviral; IDLV)レポーター遺伝子による捕捉技術(Gabriel et al., 2011, Nature biotechnology 29:816-823)を利用した。SURVEYOR(登録商標)分析(Transgenomic, Inc., Omaha, NE)は、予測した遺伝子内非特異的部位でヌクレアーゼまたはニッカーゼについては明らかな活性を示さなかった(図3(B))。SURVEYOR(登録商標)法による検出限界は約1%であると報告されているため、CRISPR/Cas9ヌクレアーゼまたはニッカーゼと緑色蛍光タンパク質(GFP)−IDLVを直列に連結して送達することにより、非特異的効果をさらに評価した。感度を最大にするため、PCRに基づく遺伝子捕捉法を利用した(図4(A))。293T細胞にIDLVを形質導入した結果、48時間で約80%のGFP発現が得られたが、細胞分裂時にエピソームベクターゲノムが失われるため急速に減少した結果、GFP発現細胞のレベルは低かった。このGFP発現細胞を次いで純度によって選別し、増加させた(図4(B))。
3’末端反復配列(long terminal repeat;LTR)順方向プライマーとFANCC逆方向プライマーを用いたPCR分析(図4(C))により、ヌクレアーゼ処理細胞およびニッカーゼ処理細胞ではPCR産物が得られたが、IDLVのみを導入した対照細胞ではPCR産物は得られなかった(図4(D))。これらの産物の配列決定により、それぞれCRISPRプロスペーサー隣接モチーフまたはTALENスペーサーのすぐ上流のLTR:FANCCゲノム連結部が示された(図10)。これらの結果は、細胞にGFP−IDLVを送達すると送達対象ウイルスが二本鎖DNA切断部位で捕捉されたことを示し、ヌクレアーゼが活性な座位を検出する手段としてこの方法が有効であることを示す。LTRプライマーと非特異的座位に特異的なプライマーを用いた場合、CRISPRヌクレアーゼ処理細胞またはニッカーゼ処理細胞では5箇所の非特異的部位のいずれについても産物は生成されなかった(図4(E))。全体として、これらのデータは、内因性の非特異的遺伝子破壊を制限し正確な遺伝子編集を提供できるような好ましい安全特性を発明者らのFANCC Cas9ヌクレアーゼおよびニッカーゼが有することを示唆する。
上記の分析はコンピュータで予測した特定の座位に偏っていた。これらの試薬の安全特性を完全に評価するため、ゲノム全体の無作為なスクリーニングを実施した。IDLVの組込み部位を特定するため、LAM−PCRと付近の制限エンドヌクレアーゼ部位を使わない非制限的な(nonrestrictive; nr)LAM−PCRとで試料を試験した。手順の流れと分析結果の概要を図5(A)に示す。ディープシーケンシングにより、約390万個の個別の配列決定リード対が得られ、約900,000個を挿入部位高処理解析パイプラインでヒトゲノムにマッピングすることができた。この中で、ウイルスLTRとゲノム配列との結合部として分類される組込み部位(IS)を特定した。各処理群には130個〜200個のISが含まれ(図5(B))、組込みの集中(cluster of integrations; CLIS)の形成についてこれらをさらに分析することができた。約500bpの範囲のゲノムDNAに最低2回の組込み事象があることをCLISと定義する。これに関して、このような限定された範囲での集中は、遺伝子編集試薬による標的DNA配列(標的または非標的)の認識とその後のDNA切断およびIDLV捕捉に起因すると考えられる。さらに、CRISPRおよびTALENそれぞれについて、OT座位とFANCC標的との間で一致しない塩基が最大5個または15個である推定OT結合部位でのCLISについてヒトゲノムをスクリーニングした。結果は、意図した標的部位でCLIS頻度を5〜31と記録したが、部分的に標的部位との相同性を有する座位ではCLISは得られなかった(図5(B))。データを累積すると、非常に特異的なCRISPR/Cas9およびTALEN試薬であることがわかり、これらを正確な遺伝子編集方法に応用できることが裏付けられる。
相同組換え修復
FANCC遺伝子の相同組換え修復(HDR)を媒介するCRISPR/Cas9の能力を試験するため、c.456+4A>T変異についてホモ接合性であるFA−C患者から形質転換皮膚線維芽細胞の培養物を得て、線維芽細胞をTALENまたはCRISPR/Cas9ゲノム編集試薬とドナープラスミドで処理した。ドナープラスミドは二本鎖DNA切断の発生後の修復鋳型として機能し、FANCC遺伝子の第3エキソンから第5イントロンまでの領域にわたる(図6(A)および図6(B))。また、ドナープラスミドは、HDR事象を追跡できるよう設計された選択可能なマーカーと、FANCCドナー配列がFANCCに特異的なヌクレアーゼに切断されるのを防止するように設計された非表現DNA多型を含む(図6(A)、図6(B)、および配列番号1)。全体の細胞集団では、ドナー特異的プライマーと座位特異的プライマーをドナーアームの外側で用いたPCRによって確認したところ、CRISPR/Cas9ヌクレアーゼおよびニッカーゼの場合は相同組換え修復が明らかであった(図6(A)〜(C))。次いで、単一細胞由来のクローンを単離し増加させるため、この全体の集団を低密度で平板培養した。CRISPR/Cas9ヌクレアーゼとニッカーゼのどちらの場合も、相同組換え修復の証拠を示す多数の細胞クローンが得られ、ニッカーゼ処理の場合、ドナーに誘導された修復を大部分のクローンが示した(図6(D))。FANCC座位のサンガー配列決定により、ドナー由来の多型の存在とc.456+4A>T変異修正が示された(図6(E)および図11)。これらのデータにより、CRISPR/Cas9試薬がFANCCのc.456+4A>T変異のHDRによる正確な修正を媒介する能力を有することが実証される。
FANCC遺伝子発現の回復
c.456+4A>T変異の結果、エキソン4の読み飛ばしが起こる(図7(A)および図7(B)、図12)。CRISPR/Cas9でゲノム編集することによってエキソン4の発現が回復したかどうか確認するため、固有のドナー由来の塩基を認識する順方向プライマーを用い、ドナーアームの末端から数キロベース下流にあるエキソン8内で逆方向プライマーを用いて、修正後の転写産物に特異的な逆転写PCR(RT−PCR)を実施した(図7(B)および図7(C))。CRISPR/Cas9ヌクレアーゼ処理した細胞とニッカーゼ処理した細胞はそれぞれ修飾された転写産物の存在を示したが、未処理のFA−C細胞および野生型細胞は産物を示さず、試験の特異性が確認された(図7(C))。エキソン4が下流のエキソンと途切れずに連続していることを決定的に実証するため、発明者らは増幅産物を配列決定し、相同組換え修復によって起こる多型が存在することと、エキソンとエキソンの結合部が損傷していないことを示した(図7(D)および図13)。これらのデータにより、CRISPR/Cas9を介した相同組換えによるc.456+4A>T変異の修復はFA−Cを有する個体由来の細胞でFANCCのエキソン4の適切な発現を回復させる能力を有すると確認できる。
ドナー構築物内に本発明の外来性配列(すなわちピューロマイシンとFANCCのcDNA)を配置したところ、エキソンから約400bp離れたイントロン配列に相同組換え修復によって挿入されたため、スプライシングが乱れることはなかった。しかし、DNAレベルおよびmRNAレベルで観察した遺伝子修正が機能的な回復に及ぶかどうかを評価するため、2個のloxP部位で挟まれた(floxed)配列をcre−レコンビナーゼで除去した(図14)。未処理のFA−C細胞ではリン酸化によるγ−H2AX生成は見られない(図7(E))。ニッカーゼまたはヌクレアーゼで修正した場合のクローンでは、リン酸化によるγ−H2AX生成能力が回復した(図7(E))。このデータは全体として、DNAレベル、mRNAレベル、およびタンパク質レベルで線維芽細胞のc.456+4A>T変異が修正されたことを示す。
これらの研究内容を治療用途に拡張するため、CD34陽性ヒト造血幹細胞でCRISPR/Cas9試薬の遺伝子編集率を調べた。高純度の造血幹細胞(HSC)集団を用いて、GFPプラスミドDNA種を電気穿孔によって約50%の比率で送達した(図8(A))。これらの条件でCas9ニッカーゼプラスミドまたはヌクレアーゼプラスミドとFANCCガイドRNAプラスミドとを導入し、SURVEYOR(登録商標)法(Transgenomic, Inc., Omaha, NE)で活性を評価した。これらのデータからは、HSCではFANCC座位での明らかな活性は見られなかった(図8(B))。
したがって、本開示は、例示的なモデル座位であるFANCC座位に対するTALENとCRISPR/Cas9のゲノム編集システム(CRISPR/Cas9システムを用いた方が高い活性率が観測された(図1))について記載し、FANCCのc.456+4A>T変異の修復という同システムの用途を追求した。CRISPR/Cas9ヌクレアーゼおよびニッカーゼの態様は、ピューロマイシンとFANCCのcDNAとを2個のloxP部位で挟んだ配列をFANCC座位に相同なアーム間に挟んだドナーを用いて、患者由来の形質転換線維芽細胞で相同組換えによる変異修復を媒介するCas9多様体の異なる能力を示した(図6(B))。D10Aニッカーゼを用いて高頻度の遺伝子修正が得られた(図6(D))。この結果、適切なスプライシングの回復とFA表現型の機能的回復が得られた(図6および図7)。
トラフィックライトレポーターシステム(Certo et al., 2011, Nat. Methods 8:671-676)を用いてCRISPR/Cas9システムについてDNA修復の好ましい経路を評価した。Cas9の2種類の型を直接比較したところ、ヌクレアーゼのHDR率はニッカーゼの場合よりも高かった(図2(B)〜(H))が、ヌクレアーゼが誘導するNHEJ率が高いため相殺された。ニッカーゼ処理細胞ではNHEJは実質的に見られなかった(図2)。このように、HDRのNHEJに対する比としてDNA切断の結果を表現すると、ニッカーゼがHDRによる忠実な遺伝子修復に大きく偏っていることがわかった(図2(I))。FAの表現型ではニッカーゼが特に有益になり得る、というのも、BRCA2またはRAD51が下方制御された場合に進行する代替的なHDR(alternative HDR; altHDR)経路によってDNAニックを解消できるためである。FANCCおよびその他のFAタンパク質はDSB後にHDRを媒介するためのBRCA2およびRAD51と密接に関連することから、FA細胞は優先的にaltHDRを用いることができる。また、本明細書に記載するように、鋳型でない鎖を標的化することにより、HDRのレベルをより高くすることができる。結果はさらに、FAではニッカーゼがHDRを促進しNHEJを最小限に抑えることを示す(図2、図6、および図7)。このことにより、ゲノム座位での修正、適切なmRNAスプライシングの回復、および患者由来の線維芽細胞での表現型の回復が得られた(図6および図7)。
本明細書に記載の研究での線維芽細胞の1つの有用性は、FAの類の障害に対する処置の選択肢として遺伝子編集を利用する可能性を証明することであった。多くの障害について、造血幹細胞(HSC)は正確な遺伝子標的化のためのモデル細胞型となり得る。骨髄細胞はマイトマイシンC(MMC)に感受性を有するが線維芽細胞は有さないため、FAは特にこの方法に適しているといえる。このように、FAでの遺伝子修正後のHSCには選択的な利点が存在すると思われる。したがって、本開示により、FAで遺伝子修正事象を媒介するCRISPR/Cas9の能力は、たとえば次世代治療法の構成の一環である最適化したHSC培養・増加および遺伝子導入によって増強できると証明された。
遺伝子編集試薬の臨床使用について配慮すべき第二の点は、非特異的効果の詳細な分析である。コンピュータ解析により、FANCC標的部位と有意な配列相同性を共有する5個の非特異的部位をコード領域内で特定した(図3(A)):HERC2はユビキチンリガーゼとして機能すると考えられている大きなタンパク質をコードし、RLFおよびHNF4Gは転写制御因子と予想され、ERC2は神経伝達物質の放出に関与し、LOC399715は性質不明のRNA遺伝子である。これらの部位を、CRISPRの非特異的活性の証拠についてSURVEYOR(登録商標)法(Transgenomic, Inc., Omaha, NE)および遺伝子捕捉法で評価した。SURVEYOR(登録商標)試験でも、送達したIDLVを高感度なPCRに基づく試験法で捕捉・検出した場合も、どの非特異的部位も活性を示さなかった(図3および図4)。二本鎖切断でも一本鎖切断でも捕捉されるIDLVの能力を、非特異的効果をさらに評価するために用いたゲノム全体の超高感度かつ無作為なLAM−PCR方法の基盤とした。試薬と対照試料のそれぞれについて、100,000個を超える配列リードを評価した(図5(B))。対照およびTALEN処理細胞またはCRISPR/Cas9処理細胞で観察された多数のISは、ヌクレアーゼ活性とは無関係に内因的に起こる、ゲノムの脆弱スポットでのIDLVの捕捉を示す。TALEN処理細胞またはCas9処理細胞のみが、部位特異的ヌクレアーゼ活性を示すIDLVのCLISを含んでいた。CLISはFANCC座位にのみ局在しており、発明者らの研究で使用した試薬が非常に特異的であることを示す。CRISPR/Cas9特異性は、従来、ゲノム編集にCRISPR/Cas9システムを使用する際の懸念事項であった。非特異的効果を最小限にするのに十分な配列複雑性を有するようにCRISPR/Cas9候補を厳密に設計することによってこの問題を克服した。こうすることにより、本明細書に記載のゲノム全体のスクリーニングが証明するように、非常に特異的な遺伝子編集試薬を得ることができる。
非特異的効果に使用する細胞型については慎重に検討した。293T細胞は急速に増殖することでエピソームとして存在するIDLVの希釈を促進し、それによってバックグラウンドが低減し、ゲノムの脆弱部位での異所性のIDLV組込み事象の数が最小になるため、293T細胞を使用した。293T細胞により、組み込まれていないIDLVは急速に希釈された(図4(B))。293T細胞のクロマチンの形状は開いているため、非特異的事象が可能な限り高い程度で現れ、最も徹底的で厳密なスクリーニング法となる。さらに、IDLV遺伝子マッピングに使用する実験用細胞株は、初代細胞で遺伝子編集の非特異的部位を分析するのに有用な予測因子であることがわかる。このため、293T細胞で非特異的部位が存在しないことから、非常に特異的な試薬であることが示唆される。
要約すると、本開示は、CRISPR/Cas9ヌクレアーゼを介してもニッカーゼを介しても、直接的なc.456+4A>T変異修復によってFANCC転写産物が正常化することを示す。特に、ニッカーゼを介した変異修復はより効率的であった。さらに、これらの合成分子をヒト細胞で遺伝性疾患の修正に用いて好ましい安全特性を裏付ける。ファンコニー貧血でCRISPR/Cas9が相同組換え修復を媒介するという所見により、ヒトの遺伝性障害(DNA修復経路の欠陥を伴うものを含む)にゲノム編集を応用するための原理の証明が確立される。
以上、ファンコニー貧血に関連するc.456+4A>T変異の修復について説明したが、本明細書に記載の方法は任意の適切な形式でゲノム配列の編集に利用できる。たとえば、ファンコニー貧血以外の状態に関連するその他の点変異、付加変異、欠失変異、または置換変異を修復するようドナー配列を設計してもよい。別の例として、本方法を用いて所望の表現型に関連するヌクレオチド配列を導入したり、後成的構造を変更するかプロモーター/エンハンサー制御領域に活性化因子または抑制因子を結合することで遺伝子の発現を制御したり、かつ/またはこれらの機能を多重化してコード核酸と制御核酸(DNAまたはRNA)をオンまたはオフにしたりしてもよい。要するに、本方法を用いて任意の所望のドナーポリヌクレオチドをゲノム配列に送達し、配列に特異的な形式で遺伝子発現を制御できるようにしてもよい。
定義
本明細書で使用する場合、「動物」という用語は、生きている多細胞脊椎生物(たとえば哺乳類や鳥類を含む分類)を意味する。「哺乳動物」という用語は、ヒトおよびヒト以外の哺乳動物の両方を含む。これらの例としてはヒト、ヒト以外の霊長類、イヌ、ネコ、ヒツジ、マウス、ウマ、およびウシなどが挙げられるが、これらに限定するものではない。一部の態様では、哺乳動物はヒトである。
「対象」、「宿主」、「個体」および「患者」という用語は、本明細書で互換的に使用され、ヒトおよび動物の対象(たとえば、ヒト、動物、ヒト以外の霊長類、イヌ、ネコ、ヒツジ、マウス、ウマ、ウシなど)を指す。一部の態様では、対象はヒトである。
「組成物」は、一般的には活性剤(たとえば化合物または組成物)と天然に存在する担体または天然に存在しない担体(不活性物質(たとえば検出可能な薬剤または標識)または活性物質(たとえば補助剤、希釈剤、結合剤、安定剤、緩衝剤、塩、親油性溶媒、防腐剤、補助剤)などが挙げられる)との組み合わせを指し、医薬的に許容される担体を含む。また、担体は薬学的賦形剤および添加剤であるタンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質、糖質(たとえば、単糖類、二糖、三糖、四糖などのオリゴ糖類;アルジトール、アルドン酸、エステル化した糖などの誘導体化糖類;および多糖類または糖重合体)を包含し、単独で存在してもよいし組み合わせて存在してもよい(単独または組み合わせで1〜99.99重量%または容量%が挙げられる)。タンパク質賦形剤の例としては、ヒト血清アルブミン(human serum albumin;HSA)、組換えヒトアルブミン(recombinant human albumin;rHA)などの血清アルブミン、ゼラチン、カゼインなどが挙げられる。緩衝機能を持つ代表的なアミノ酸/抗体成分としては、アラニン、アルギニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテーム(登録商標)などが挙げられる。炭水化物賦形剤も本技術の範囲に含まれるが、その例としては、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D−マンノース、ソルボースなどの単糖類;ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオースなどの二糖類;ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプンなどの多糖類;マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルシトール)およびミオイノシトールなどのアルジトールが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書で使用する場合、「核酸配列」、「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」という用語は互換的に使用され、ヌクレオチド(リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチド)の任意の長さの重合体形態を指す。したがって、これらの用語は、一本鎖、二本鎖または多重鎖のDNAまたはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA−RNA複合体、あるいは、プリン塩基およびピリミジン塩基、その他の天然ヌクレオチド塩基、化学的もしくは生化学的に修飾されたヌクレオチド塩基、非天然ヌクレオチド塩基、あるいは誘導体化ヌクレオチド塩基を含む重合体を包含するが、これらに限定するものではない。ポリヌクレオチドは、任意の三次元構造を有することができ、既知または未知の任意の機能を果たし得る。以下がポリヌクレオチドの例であるが、これらに限定するものではない:遺伝子または遺伝子断片(たとえば、プローブ、プライマー、ESTまたはSAGEタグ)、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、転移RNA、リボソームRNA、RNAi、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意配列の単離DNA、任意配列の単離RNA、核酸プローブおよびプライマー。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドなどの修飾されたヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体を含むことができる。ヌクレオチド構造への修飾を行う場合、ポリヌクレオチドの構成の前後に修飾を付与してもよい。ヌクレオチドの配列にヌクレオチド以外の成分を挟むことができる。ポリヌクレオチドを重合後にたとえば標識成分と結合することでさらに修飾することができる。この用語はまた、二本鎖分子および一本鎖分子の両方を指す。特に明記ないし要求しない限り、ポリヌクレオチドである本技術のいずれかの側面は、二本鎖形態も二本鎖形態を構成すると知られているないしは予測される2本の相補的な一本鎖形態の各々も包含する。
核酸配列に用いる「コードする」という用語は、天然の状態で、または当業者に周知の方法で操作したときに、転写かつ/または翻訳されてポリペプチドおよび/またはその断片に対するmRNAを生成できる場合、そのポリペプチドを「コードする」と言われるポリヌクレオチドを指す。アンチセンス鎖はそのような核酸の相補鎖であり、そこからコード配列を推定できる。
本明細書中で使用する場合、「ベクター」という用語は異なる宿主間の移動のため設計された核酸構築物を指し、プラスミド、ウイルス、コスミド、ファージ、BAC (bacterial artificial chromosome=細菌人工染色体)、YAC(yeast artificial chromosome=酵母人工染色体)などを含むがこれらに限定するものではない。一部の態様では、市販のベクターからプラスミドベクターを調製してもよい。他の態様では、当技術分野で公知の技術に従い、バキュロウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、AAV(adeno-associated virus=アデノ随伴ウイルス)などからウイルスベクターを作製してもよい。
「有効量」は、哺乳動物または他の対象の処置のために投与したときに、その疾患に対する処置を達成するのに十分である、薬剤の量または2種以上の薬剤の総量を指す。「有効量」は、薬剤、疾患およびその重症度、処置の対象の年齢、体重などに依存して変化する。
特に指示がなければ、本開示がポリペプチド、タンパク質、ポリヌクレオチドまたは抗体に関する場合、それらの等価物または生物学的等価物は本開示の範囲に含まれるものとする。本明細書で使用する場合、「その生物学的等価物」という用語は、基準のタンパク質、抗体、ポリペプチドまたは核酸に関する場合、「その等価物」と同義であるものとし、所望の構造または機能性を維持したまま最低限の相同性を有するものを意図する。本明細書に記載しない限り、本明細書に記載の任意のポリヌクレオチド、ポリペプチドまたはタンパク質はそれらの等価物も含むと考えられる。たとえば、等価物は、基準のタンパク質、ポリペプチドまたは核酸と少なくとも約70%の相同性または同一性、もしくは少なくとも80%の相同性または同一性、あるいは、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、もしくは98%の相同性または同一性を有し、実質的に同等の生物学的活性を示す。あるいは、ポリヌクレオチドに関する場合、その等価物は、ストリンジェントな条件下で基準ポリヌクレオチドまたはその相補体にハイブリダイズするポリヌクレオチドである。
あるポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド領域(あるいはポリペプチドまたはポリペプチド領域)が別の配列に対して所定のパーセンテージ(たとえば、80%、85%、90%または95%)の「配列同一性」を有するとは、整列させたときに2つの配列を比較するとそのパーセンテージの塩基(またはアミノ酸)が同一であることを意味する。配列比較およびパーセント相同性または配列同一性は、たとえばCurrent Protocols in Molecular Biology(分子生物学の最新プロトコル)(Ausubel et al., 1987)Supplement 30の7.7.18項、表7.7.1に記載のソフトウェアプログラムなどの当技術分野で公知のソフトウェアプログラムで決定できる。配列比較に初期設定パラメータを用いることが好ましい。好ましい配列比較プログラムはBLASTであり、初期設定パラメータを用いる。特に好ましいプログラムはBLASTNおよびBLASTPであり、以下の初期設定パラメータを用いる:遺伝子コード=標準;フィルタ=なし;鎖=両方;閾値=60;期待値=10;行列=BLOSUM62;表示=50位の配列まで;並べ替え=スコアが高い順;データベース=重複のないデータベース、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS translations+SwissProtein+SPupdate+PIR。これらのプログラムの詳細は以下のインターネットアドレスで見ることができる:ncbi.nlm.nih.gov/cgi-bin/BLAST。
「ハイブリダイゼーション」は、1つ以上のポリヌクレオチドが反応してヌクレオチド残基の塩基間の水素結合によって安定化した複合体を形成する反応を指す。水素結合は、ワトソン・クリック塩基対形成、フーグスティーン結合、または他の任意の配列特異的様式で起こり得る。複合体は、二重鎖構造を形成する2本の鎖、多重鎖複合体を形成する3本以上の鎖、自己ハイブリダイズする1本の鎖、またはこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。ハイブリダイゼーション反応は、PCR反応の開始、またはリボザイムによるポリヌクレオチドの酵素的切断など、より広範な方法における工程を構成し得る。
ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例としては、以下が挙げられる:すなわち、インキュベーション温度は約25℃〜約37℃;ハイブリダイゼーション緩衝液濃度は約6×SSC(標準食塩−クエン酸緩衝液)〜約10×SSC;ホルムアミド濃度は約0%〜約25%;洗浄溶液は約4×SSC〜約8×SSCである。中程度のハイブリダイゼーション条件の例としては、以下が挙げられる:すなわち、インキュベーション温度は約40℃〜約50℃;緩衝液濃度は約9×SSC〜約2×SSC;ホルムアミド濃度は約30%〜約50%;洗浄溶液は約5×SSC〜約2×SSCである。高度にストリンジェントな条件の例としては、以下が挙げられる:すなわち、インキュベーション温度は約55℃〜約68℃;緩衝液濃度は約1×SSC〜約0.1×SSC;ホルムアミド濃度は約55%〜約75%;洗浄溶液は約1×SSC〜約0.1×SSCまたは脱イオン水である。一般に、ハイブリダイゼーションのインキュベーション時間は5分〜24時間であり、洗浄工程数は1回、2回、またはそれ以上であり、洗浄のインキュベーション時間は約1分、2分、または15分である。SSCは、0.15MのNaClを含む15mMクエン酸緩衝液である。当然ながら、他の緩衝系によるSSCの等価物を用いることができる。
本明細書で使用する「単離された」という用語は、他の物質を実質的に含まない分子あるいは生物製剤または細胞物質を指す。一側面では、「単離された」という用語は、天然源に存在する、他のDNAまたはRNAから分離されたDNAまたはRNAなどの核酸、他のタンパク質またはポリペプチドから分離されたタンパク質またはポリペプチド(たとえば抗体またはその誘導体)、他の細胞または細胞小器官から分離された細胞または細胞小器官、他の組織または器官から分離された組織または器官を指す。一態様では、「単離された」という用語はさらに、組換えDNA技術で作製した場合には細胞物質、ウイルス性物質、または培地を、化学合成した場合には化学的前駆体または他の化学物質を、実質的に含まない核酸またはペプチドを指す。さらに、「単離核酸」は、断片としては天然に存在せず天然の状態では見られない核酸断片を包含するものとする。本明細書では、他の細胞タンパク質から単離されたポリペプチドを指すのにも「単離された」という用語を使用し、精製ポリペプチドおよび組換えポリペプチドの両方を包含するものとする。本明細書では、他の細胞または組織から単離された細胞または組織を指すのにも「単離された」という用語を使用し、培養された細胞または組織と改変された細胞または組織の両方を包含するものとする。
本明細書で使用する「多能性細胞」(「幹細胞」ともいう)は、少なくとも2種類の(遺伝型および/または表現型が)異なる分化した子孫細胞を発生させることができ、子孫細胞ほど分化していない細胞を定義する。別の側面では、「多能性細胞」は人工多能性幹細胞(Induced Pluripotent Stem Cell;iPSC)を含む。これは非多能性細胞(一般には成体の体細胞)から人工的に誘導した幹細胞であり、1個以上の幹細胞特異的遺伝子の発現を誘導することによって作製される。このような幹細胞特異的遺伝子としては、八量体転写因子(すなわちOct−3/4)ファミリー;Sox遺伝子ファミリー(すなわちSox1、Sox2、Sox3、Sox15およびSox18);Klf遺伝子ファミリー(すなわちKlf1、Klf2、Klf4、およびKlf5);Myc遺伝子(すなわちc−mycおよびL−myc);Nanog遺伝子ファミリー(すなわち、OCT4、NANOG、およびREX1);ならびにLIN28が挙げられるが、これらに限定するものではない。iPSCの例は以下の文献に記載されている: Takahashi et al. (2007) Cell(2007年11月20日のオンライン先行発表);Takahashi & Yamanaka (2006) Cell 126:663-76;Okita et al. (2007) Nature 448:260-262;Yu et al. (2007) Science(2007年11月20日のオンライン先行発表);およびNakagawa et al. (2007) Nat. Biotechnol.(2007年11月30日のオンライン先行発表)。「分化複能性(multi−lineage)幹細胞」または「複能性幹細胞」は、自己複製し、かつ発生系譜の異なる少なくとも2種類のさらに分化した子孫細胞を生み出す幹細胞を指す。系譜は、同じ胚葉(すなわち中胚葉、外肺葉、または内胚葉)あるいは異なる胚葉に由来してもよい。分化複能性幹細胞の分化による発生系譜の異なる2種の子孫細胞の例は、筋形成性細胞と脂質生成性細胞(いずれも中胚葉由来であるが、異なる組織を生じる)である。別の例は、神経性細胞(外胚葉由来)と脂質生成性細胞(中胚葉由来)である。「幹細胞」は体性細胞(成体)または胚性細胞に分類できる。体性幹細胞は自己再生できる(すなわちクローン性の)分化組織に見られる未分化細胞であり、一定の制限によって分化し、由来する組織の特殊化した各細胞型を生み出す。胚性幹細胞は、多様な特殊化した細胞型になる可能性のある胚由来の原始(未分化)細胞である。胚性幹細胞は、分化せずに増殖できる生体外条件で数ヶ月から数年かけて培養したものである。クローンは起源細胞と遺伝的に同一の細胞の系列であり、この場合、幹細胞である。特定の幹細胞はCD34陽性幹細胞であってもよい。CD34は細胞表面マーカーである。CD34のアミノ酸配列およびCD34をコードするポリヌクレオチドはGenBank番号M81104(X60172)で報告されている。
「分化」は、特殊化していない細胞が心臓細胞、肝臓細胞、または筋肉細胞などの特殊化した細胞の特徴を得る過程をいう。「分化誘導」は、特定の細胞型への分化を誘導するための幹細胞培養条件で操作することを指す。「脱分化型」は細胞系譜のうち特異性がより低い(less committed)位置に戻る細胞を定義する。本明細書で使用する場合、「分化する」または「分化した」という用語は、細胞系譜のうち特異性がより高い(「分化した」)位置にある細胞を定義する。本明細書で使用する場合、「中胚葉(あるいは外胚葉または内胚葉)系譜に分化する細胞」は、それぞれ特定の中胚葉系譜、外胚葉系譜、または内胚葉系譜に特異化される細胞を定義する。中胚葉系譜に分化する、あるいは特定の中胚葉細胞を生じる細胞の例としては、脂質生成性、平滑筋形成性(leiomyogenic)、軟骨形成性、心臓形成性、皮膚形成性、造血性、血管形成性(hemangiogenic)、筋形成性、腎形成性、泌尿生殖器形成性(urogenitogenic)、骨形成性、心膜形成性(pericardiogenic)または間質性の細胞が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「タンパク質」、「ペプチド」、および「ポリペプチド」という用語はこれらの用語の最も広い意味で互換的に用いられ、構成亜単位(subunit)である2個以上のアミノ酸、アミノ酸類似体またはペプチド模倣物の化合物を指す。構成亜単位はペプチド結合で結合されていてもよい。別の側面では、亜単位は他の結合(たとえばエステル、エーテルなど)で結合されていてもよい。タンパク質またはペプチドは少なくとも2個のアミノ酸を含有しなければならないが、含有するアミノ酸の最大数に制限はない。本明細書で使用する場合、「アミノ酸」という用語は天然アミノ酸、非天然アミノ酸、または合成アミノ酸を指し、グリシンとD型光学異性体およびL型光学異性体、アミノ酸類似体、ならびにペプチド模倣物が挙げられる。
「増加した(expanded)」という用語は、細胞の任意の増殖または分裂を指す。「培養」細胞は、その細胞の本来の環境から分離され、特定の所定条件で増殖した細胞である。「培養する」という用語は、様々な種類の培地で細胞または生物を生体外増殖させることを指す。培養で育てた細胞の子孫は親細胞と完全に同一(すなわち、形態学的、遺伝的、または表現型的に)ではなくてもよい。「増殖させる(propagate)」という用語は、細胞または細胞集団を生育する(grow)こと、あるいは表現型を変えることを指す。「生育する」という用語は、所望の細胞数または細胞型を得るのに必要な任意の支持培地、栄養素、増殖因子、支持細胞、あるいは化学的または生物学的化合物の存在下で細胞を増殖させることを指す。
本明細書で使用する場合、対象の状態に対する「処置」は、状態に関連する症状または兆候を任意の程度まで軽減すること、進行を制限すること、改善すること、または回復させることを指す。「症状」は疾患または患者の状態の任意の自覚的事実を指す。「兆候」または「臨床兆候」は、患者以外の者が見つけることができる特定の状態に関する客観的な身体所見を指す。「処置」は、治療的であっても予防的であってもよい。「治療的」およびその変化形は、状態に関連する1つ以上の既存の症状または臨床徴候を改善する処置を指す。「予防的」およびその変化形は、ある状態の症状または臨床徴候の進行および/または出現を任意の程度まで制限する処置を指す。一般に、「治療」処置は対象に状態が現れた後に開始され、「予防」処置は対象(たとえば状態に罹患する「リスクのある」対象)に状態が現れる前に開始される。特定の状態に罹患する「リスクのある」対象は、いずれかの症状または臨床的症状を示しているかどうかに拘らず、1つ以上の兆候(それを有していない個体に比べて特定の状態に罹患しているリスクまたは罹患するリスクが高いことを示す)を有する対象である。
本明細書で使用する「および/または」という用語は、列挙した要素の1つまたはすべて、あるいは列挙した要素の任意の2つ以上の組み合わせを意味する。「含む(comprise)」という用語とその変化形は、これらの用語が明細書および特許請求の範囲に見られた場合、限定的な意味ではない。別段に指定しない限り、「a」、「an」、「the」、および「少なくとも1つ」は、互換的に使用され、単数または複数を意味する。数値範囲を限度によって列挙した場合、その範囲内に含まれるすべての数が含まれる(たとえば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
以上の説明では、明確にするために特定の態様について単独で説明している場合がある。ある特定の態様の特徴が別の態様の特徴とは不適合だと特に明記しない限り、特定の態様は、1つ以上の態様に関して本明細書に記載した互換的な特徴の組み合わせを包含することができる。
本明細書に開示した、別個の工程を含む任意の方法について、工程を実行可能な任意の順序で実行してよい。また、必要に応じて2つ以上の工程の任意の組み合わせを同時に行ってもよい。
下記の実施例により本発明を説明する。当然ながら、特定の例、材料、量、および手順は、本明細書に記載した本発明の範囲および精神に従って広く解釈されるものとする。
別段に定義しない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および科学用語は、本技術が属する技術分野の当業者が一般に理解するのと同じ意味を有する。例示の方法、装置、および材料を本明細書に記載したが、本明細書に明記したものと類似または同等の任意の方法および材料を本技術の実施または試験に使用できる。たとえば、本明細書に記載の試薬は単なる例示であり、それらの等価物が当技術分野で公知である。
特に指定しない限り、本技術の実施には、当技術の範囲に含まれる組織培養、免疫学、分子生物学、微生物学、細胞生物学、および組換えDNAの従来技術を採用できる。たとえば以下の文献を参照のこと:Sambrook and Russell eds. (2001) Molecular Cloning:A Laboratory Manual, 3rd edition(分子クローニング:実験マニュアル(第3版));Ausubel et al. eds. (2007) Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学の最新プロトコル)の一連の文献;Methods in Enzymology (酵素学の方法)の一連の文献(Academic Press, Inc., N.Y.);MacPherson et al. (1991) PCR 1: A Practical Approach(PCR1:実践方法)(IRL Press at Oxford University Press);MacPherson et al. (1995) PCR 2: A Practical Approach(PCR2:実践方法);Harlow and Lane eds. (1999) Antibodies, A Laboratory Manual(抗体:実験マニュアル);Freshney (2005) Culture of Animal Cells: A Manual of Basic Technique, 5th edition(動物細胞の培養:基本技術マニュアル(第5版));Gait ed. (1984) Oligonucleotide Synthesis(オリゴヌクレオチド合成);米国特許第4,683,195号明細書;Hames and Higgins eds. (1984) Nucleic Acid Hybridization(核酸ハイブリダイゼーション);Anderson (1999) Nucleic Acid Hybridization(核酸ハイブリダイゼーション);Hames and Higgins eds. (1984) Transcription and Translation; Immobilized Cells and Enzymes (転写と翻訳;固定化細胞と固定化酵素)(IRL Press (1986));Perbal (1984) A Practical Guide to Molecular Cloning(分子クローニングの実践ガイド);Miller and Calos eds. (1987) Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(哺乳動物細胞用の遺伝子導入ベクター)(Cold Spring Harbor Laboratory);Makrides ed. (2003) Gene Transfer and Expression in Mammalian Cells(哺乳動物細胞での遺伝子導入と発現);Mayer and Walker eds. (1987) Immunochemical Methods in Cell and Molecular Biology(細胞での免疫化学的方法と分子生物学)(Academic Press, London);およびHerzenberg et al. eds (1996) Weir’s Handbook of Experimental Immunology(Weirの実験免疫学ハンドブック)。
研究対象細胞株の生成と培養
c.456+4A>T変異を有する小児の親からインフォームドコンセントを得て、ミネソタ大学の治験審査委員会(University of Minnesota Institutional Review Board)によるヒト対象の研究に関する要件に従って皮膚パンチ生検を実施した。皮膚組織を賽の目状に切断して顕微鏡スライドで覆い、完全DMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)(20%FBS(ウシ胎仔血清)、非必須アミノ酸100U/mL、ペニシリンおよびストレプトマイシン各0.1mg/mL、EGF(上皮細胞増殖因子)およびFGF(線維芽細胞増殖因子)(濃度10ng/mL))を添加し、低酸素条件で培養して線維芽細胞株を誘導した。次いでTERT−GFPレンチウイルス構築物を細胞に添加した。
TALEN、CRISPR、およびドナー構築物
ゴールデンゲートアセンブリ(Golden Gate Assembly)法でTALENを構築し、CAGGsプロモーターで作動するホモ二量体であるFokIエンドヌクレアーゼ発現カセットにクローニングした(Cermak et al., 2011, Nucleic acids research 39(12):e82; Christian et al., 2010, Genetics 186(2):757-761)。Cas9プラスミドとCas9 D10AプラスミドをAddgene(Cambridge, MA)から入手し、U6プロモーターとFANCC特異的ガイドRNAとをG-Block(Integrated DNA Technologies, Inc., Coralville, IA)として合成し、TAをpCR4 TOPOベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA)にクローニングした。右のドナーアームはヒトゲノムからクローニングしたものであり、849bpの配列からなっていた。左のアームは、TALENおよびCRISPRで切断した部位に修正塩基と非表現変異を導入するために、重複するG−Block断片から合成した。PGK−ピューロマイシン−T2A−FANCCを2個のloxP部位で挟んだcDNA選択カセットをドナーアームの間に挟んだ。全ドナー配列を配列番号1として示す。
遺伝子導入
293細胞への形質移入について、TALENあるいはCRISPR/Cas9ヌクレアーゼまたはニッカーゼとガイドRNAを、それぞれ1μgの濃度でLIPOFECTAMINE 2000(Invitrogen, Carlsbad, CA)と共に送達した。線維芽細胞遺伝子の導入は、Neon(登録商標)Transfection System(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いて、1500V、20msパルス幅、単一パルスで行った。遺伝子修正のためのDNAの濃度は、Cas9ヌクレアーゼ/ニッカーゼを1μg、ガイドRNAを200ng、ドナーを5μgとした。遺伝子導入の48時間後、すべての細胞を31℃でインキュベートした。
SURVEYOR(登録商標)ヌクレアーゼ
TALENまたはCRISPR遺伝子導入の72時間後に293細胞からゲノムDNAを単離し、FANCC順方向プライマー(5'-AGACCACCCCCATGTACAAA-3';配列番号2)とFANCC逆方向プライマー(5'-GGAAAACCCTTCCTGGTTTC-3';配列番号3)を用いて30サイクルかけて増幅した。次にこれを上記のとおりSURVEYOR(登録商標)ヌクレアーゼ(Transgenomic, Inc., Omaha, NE)処理した(Guschin et al., 2010, Methods in molecular biology(分子生物学の方法)649:247-256)。切断産物を10%TBE−PAGEゲル(Invitrogen, Carlsbad, CA)で分離させ、ImageJ(MD Research Service Branch, National Institute of Mental Health, Bethesda, MD)を用いて濃度測定を行った。
ゲルの画像を用いて、以下の式で切断の割合を決定した:遺伝子改変率(%)=100×(1−(1−切断された割合)1/2)(Guschin et al., 2010, Methods in Molecular Biology(分子生物学の方法)649:247-256)。切断された割合をImageJで決定し、切断産物の濃度測定値をすべてのピークの濃度測定値の合計で割ったものである。ゲルの露光時間はそれぞれ、図1(F)では750ミリ秒、図1(G)では1.5秒、図9では3秒とした。
トラフィックライトレポーター細胞株の生成と試験
親プラスミドPGE-200 pRRL TLR2.1 sEF1a Puro WPREをSbfIとSpeIで消化し、FANCC CRISPR標的部位を挿入する以下のオリゴヌクレオチドをプラスミドの途切れたGFP部分にライゲートした:5’-GGCACCTATAGATTACTATCCTGGA-3’(配列番号21)および5’-CTAGTCCAGGATAGTAATCTATAGGTGCCTGCA-3’(配列番号22)。LIPOFECTAMINE 2000(Invitrogen, Carlsbad, CA)を形質移入した293T細胞にAddgeneのプラスミド12259(pMD2.G)、12251(pMDLg/pRRE)、12253(pRSV−Rev)(Addgene, Cambridge, MA)でパッケージングを行うことにより、レンチウイルス粒子を調製した。ウイルス産生のための細胞培養液の容量は20mLとし、ウイルス粒子を48時間回収し、上清20μLを293T細胞に添加した後、0.3μg/mLでピューロマイシン選択を行った。このレポーター株に、Cas9ヌクレアーゼまたはニッカーゼ(各1μg)と、1μgのガイドRNAと、指定の濃度のpCVL SFFV d14GFPドナー(Addgene 31475, Addgene, Cambridge, MA)とを形質移入した。形質移入の72時間後、BD LSRFortessa(商標)Cell Analyzer(BD Biosciences, San Jose, CA)で緑色または赤色の蛍光を分析した。
選択と導入遺伝子除去
遺伝子導入の7日後、0.2mg/mLピューロマイシン中で細胞を一括して選択した。次に耐性細胞を低密度(10cm2の培養皿に細胞約500個)で3日間平板培養した後、シリコーングリースを塗布したクローニング用ディスクを置いた(Corning, Inc., Corning, NY)。単離したコロニーを、細胞培養密度を50%〜70%に維持するよう徐々に培養容器をより大きなものに変えながら低酸素培養条件で培養した。
HDRが起こったことを確認した細胞を24ウェルプレートに播種し、順次、CAGGsプロモーターで作動するCre−リコンビナーゼ(Addgene:13775, Addgene, Cambridge, MA)の形質移入、またはアデノウイルスのcre(Vector Biolabs, Malvern, PA)の形質導入をMOIが10のときに行った。FC CRP 491 F(5’-GAAACCAGGAAGGGTTTTCC-3’(配列番号23)とFC CRP1163R(5’-CAACCCCCATCTTCTCATGT-3’(配列番号24)を用いて、除去できたことを確認した。
細胞修正の分子スクリーニング
プライマー対を設計し、ドナー特異的な順方向プライマー(5’-GCCACTCCCACTGTCCTTTCCT-3’;配列番号4)とFANCC逆方向プライマー(5’-ccaagtccctcagtcccaga-3’;配列番号5)を用いてドナー右アームと内在性座位との結合部を増幅した。修正鋳型の左部分での相同組換え修復を確認するため、FANCCゲノム順方向プライマー(5’-CAGACACACCCCTGGAAGTC-3’;配列番号6)とドナー逆方向プライマー(5’-CTTTTGAAGCGTGCAGAATGCC-3’;配列番号7)を用いて増幅した。RT−PCRについては、全細胞RNAを単離し、SuperScript(登録商標)Vilo(商標)(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いて逆転写した後、FANCCアレル特異的なRT順方向プライマー(5’-GGTGTATTAAGCCATATTCTGAGC-3’;配列番号8)と逆方向プライマー(5’-ACAACCCGGAATATGGCAGG-3’;配列番号9)を用いて増幅した。PCR産物をpCR(登録商標)4 TOPO(登録商標)ベクター(Invitrogen, Carlsbad, CA)にクローニングし、M13順方向プライマーおよび逆方向プライマーを用いて増幅産物全体をサンガー配列決定で確認した。
T25フラスコ内に細胞全体で120,000個の濃度となるよう播種した細胞で、2mMヒドロキシ尿素(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO)の存在下、H2AXリン酸化試験キットを製造者の指示(EMD Millipore, Billerica, Massachusetts)に従って使用し、48時間かけてH2AX染色を実施した。BD LSRFortessa(商標)Cell Analyzer(BD Biosciences, San Jose, CA)で流動細胞計測を実施した。
非標的の分析
TALENまたはCRISPR/Cas9ヌクレアーゼ/ニッカーゼとガイドRNAプラスミド(各1μg)をリポフェクションにより293細胞に送達した。これらの細胞を、SURVEYOR(登録商標)分析またはインテグラーゼ欠損レンチウイルス(IDLV)による遺伝子のタグ付けに用いた。pllCMV−GFP発現ベクターと、D64Vインテグラーゼ変異(Lombardo et al., 2007, Nature biotechnology 25:1298-1306)を有するpCMV−ΔR8.2パッケージングプラスミドと、VSV(水疱性口内炎ウイルス)の外被タンパク質GをコードするpMD2.VSV−Gプラスミド(Addgene 12259, Addgene, Cambridge, MA)とを、LIPOFECTAMINE 2000(Invitrogen, Carlsbad, CA)を用いて293Tウイルス産生株に送達した。ヌクレアーゼ送達の24時間後、感染効率(MOI)が5のときにGFP−IDLVを添加した。
IDLV添加の7日後、細胞をGFPについて選別し、次いで増加させた。SURVEYOR(登録商標)分析は、上記のFANCCプライマーと以下を用いて実施した:OT1(F(順方向):5’-TGGGTGGAGGTAGTTTCCTG-3’(配列番号10)、R(逆方向):3’-AGTGGGAAGAGGGCTGATTT-3’(配列番号11));OT2(F:5’-TCTGGGCATAAAGAAGGTGTG-3’(配列番号12)、R:5’-ATTGACTCATCTCGGGCATT-3’(配列番号13));OT3(F:5’-GACCTGGGCTTGAATGTGTT-3’(配列番号14)、R:5’-GCAGTTGCTGTAGAATAGGCTGT-3’(配列番号15));OT4(F:5’-CCCAGAGCAAAACCATTCAT-3’(配列番号16)、R:5’-CACCTGTTGCAGACTCCTCA-3’(配列番号17));およびOT5(F:5’-AGGAGCTGGGACACTGCTAA-3’(配列番号18)、R:5’-ACACATGCCTGTCCTTCTCC-3’(配列番号19))。これらの増幅産物を上記のとおりSURVEYOR(登録商標)分析した。
LTR順方向プライマー(5’-GTGTGACTCTGGTAACTAGAG-3’(配列番号20))と、上記のうち対応するFANCCまたは非標的の逆方向プライマーを用いて、IDLV:FANCCまたはIDLV:非標的を検出するPCRを実施した。IDLV:FANCC結合部の増幅産物をクローニングし、サンガー配列決定した。
ゲノム全体のスクリーニング
ディープシーケンシングデータをIllumina(登録商標)MiSeqプラットフォーム(San Diego, CA)で作成した点以外は既に記載されている方法と同様に、重複した試料をMseIまたはMluCIを用いたnrLAM−PCRまたはLAM−PCRに供した(Ramirez et al., 2012, Nucleic Acids Res. 40(12):5560-5568; Ran et al., 2013, Cell 154(6):1380-1389)。挿入部位高処理解析パイプラインでデータセットの解析、ベクターのトリミング、ゲノム配列比較、およびIS/CLISの確認を行った(Arens et al., 2012, Hum Gene Ther Methods 23(2):111-118)。
ヒトCD34の培養、単離、および遺伝子導入
ミネソタ大学の治験審査委員会(University of Minnesota Institutional Review Board)によるヒト対象の研究に関する要件に従い、臍帯血(umbilical cord blood;UCB)を採取した。100ng/mLのIL−3、Il−6、GM−SCF、Flt−3l、および幹細胞因子と、1×ペニシリン/ストレプトマイシンと、10%ヒト血漿と、1μMのSR1芳香族炭化水素受容体アンタゴニストとを添加した増殖用IMDM(イスコフ改変ダルベッコ培地)に総UCBを移した。EASYSEP(商標)Human CD34 Positive Selection Kitを製造者の指示(Stemcell Technologies, Inc., Vancouver, BC)に従って使用し、CD34細胞を単離し、増殖培地に戻して一晩置いた。Neon(登録商標)Electroporator(Invitrogen, Carlsbad, CA)を以下の設定で用いて遺伝子導入を行った:1400V、10msのパルス、3パルス。DNAの用量は、GFPを1μg、Cas9(ヌクレアーゼまたはニッカーゼ)とガイドRNAを各1μgとした。形質移入の72時間後、上記のようにゲノムDNAを回収し、FANCC座位のSURVEYOR(登録商標)分析を行った。
本明細書で引用したすべての特許、特許出願、特許公報、および電子的に入手可能な資料(たとえば、GenBankやRefSeqのヌクレオチド配列の投稿や、たとえばSwissProt、PIR、PRF、PDBのアミノ酸配列の投稿、GenBankやRefSeqにある注釈のついたコード領域からの翻訳を含む)の完全な開示の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。本願の開示と、参照によって本明細書に組み込まれるいずれかの文献の開示との間に矛盾がある場合には、本願の開示に準拠する。以上の詳細な説明および実施例は、理解を明確にするためにのみ記載したものであり、そこから不要な限定を解釈すべきではない。本発明は、図示かつ説明した厳密な詳細に限定されるものではなく、特許請求の範囲が定義する本発明には当業者に自明の変形が含まれる。
別段に示さない限り、本明細書および特許請求の範囲で使用する成分の量、分子量などを表すすべての数字は、すべての場合に「約」という用語で修飾したものとして理解されるべきである。したがって、そうではないと別段に指定しない限り、本明細書および特許請求の範囲に記載した数値パラメータは近似値であり、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変化してもよい。特許請求の範囲の均等物の原則を限定しようとするものではないが、最低限、各数値パラメータは少なくとも報告した有効桁数を考慮し、通常の四捨五入法を適用して解釈すべきである。
本発明の広範な範囲を示す数値範囲とパラメータは近似値であるが、特定の実施例に示した数値については可能な限り正確に報告する。しかし、すべての数値は、それぞれの試験測定値に見られる標準偏差から必然的に生じる範囲を本質的に含む。
見出しはすべて読者の便宜のためのものであり、特に指定しない限り、それに続く本文の意味を限定するためのものではない。
以上の開示は、記載した特定の側面または態様に限定されず、当然ながら変更可能である。また、本開示の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用する用語は特定の側面を説明するためのものに過ぎず、限定を意図するものではない。

Claims (31)

  1. 編集が必要なゲノム配列を含む細胞に、
    編集が必要な該ゲノム配列の編集後の型をコードするドナーポリヌクレオチドと、DNAの少なくとも一方の鎖を切断する酵素をコードするポリヌクレオチドとを導入し;
    該酵素により該ゲノム配列の少なくとも一方の鎖を切断させ;
    編集が必要な該ゲノム配列を該ドナー配列に置換する
    を含む、ゲノム配列を変更する方法。
  2. 前記ゲノム配列がc.456+4A>T変異を有するFANCC座位またはその等価物を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ドナーポリヌクレオチドが野生型のc.456+4Aを有するFANCC座位またはその等価物を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 編集が必要な前記ゲノム配列の編集後の型が野生型のc.456+4Aを有するFANCC座位またはその等価物を含む、請求項3に記載の方法。
  5. 前記酵素がヌクレアーゼを含む、請求項1に記載の方法。
  6. 前記ヌクレアーゼがFokIヌクレアーゼまたはCas9ヌクレアーゼである、請求項5に記載の方法。
  7. 前記酵素がニッカーゼを含む、請求項5に記載の方法。
  8. 前記ニッカーゼがCas9のRuvCを含む、請求項7に記載の方法。
  9. 前記ドナーポリヌクレオチドが選択可能なマーカーをさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記ドナーポリヌクレオチドが少なくとも1つの非表現DNA多型をさらに含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記ドナー配列が、編集が必要な前記ゲノム配列を相同組換え修復によって置換する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記ドナー配列が、編集が必要な前記ゲノム配列を非相同末端結合によって置換する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記細胞が多能性細胞、複能性細胞、分化細胞、または幹細胞である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記細胞がc.456+4A>T変異についてホモ接合性である、請求項13に記載の方法。
  15. 前記幹細胞がCD34陽性ヒト造血幹細胞である、請求項13に記載の方法。
  16. 前記幹細胞が哺乳動物幹細胞である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記哺乳動物幹細胞がヒト幹細胞またはマウス幹細胞を含む、請求項16に記載の方法。
  18. 請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法によって作製した単離細胞。
  19. 請求項18の細胞の集団。
  20. 請求項19の細胞を増加させた集団。
  21. 請求項18に記載の細胞あるいは請求項19または20に記載の集団と担体とを含む組成物。
  22. 前記担体が医薬的に許容される担体である、請求項21に記載の組成物。
  23. プロモーター配列と;
    該プロモーター配列と作動可能に連結されCas9ヌクレアーゼの機能部分をコードするポリヌクレオチドと;
    Cas9ヌクレアーゼの機能部分をコードする該ポリヌクレオチドと作動可能に連結されたポリアデニル化シグナルと
    を含む、ポリヌクレオチド。
  24. プロモーター配列と;
    前記プロモーター配列と作動可能に連結されCas9ニッカーゼの機能部分をコードするポリヌクレオチドと;
    Cas9ニッカーゼの機能部分をコードする該ポリヌクレオチドと作動可能に連結されたポリアデニル化シグナルと
    を含む、ポリヌクレオチド。
  25. 対象の遺伝子変異に起因する状態を処置する方法であって、該方法は、
    該対象から該遺伝子変異を有するゲノム配列を含む複数の多能性細胞を入手することと;
    少なくとも1個の細胞に、該遺伝子変異を編集した型のゲノム配列をコードするドナーポリヌクレオチドとDNAの少なくとも一方の鎖を切断する酵素をコードするポリヌクレオチドとを導入することと;
    該酵素により該ゲノム配列の少なくとも一方の鎖を切断することと;
    該ドナー配列により該遺伝子変異を含む該ゲノム配列を該編集後の型で置換することによって編集後のゲノム配列を得ることと;該編集後のゲノム配列を有する細胞を増加させることと;
    該編集後のゲノム配列を含む増加させた複数の該細胞を該対象に導入することと
    を含む、方法。
  26. 前記状態がファンコニー貧血を含む、請求項25に記載の方法。
  27. 遺伝子変異を有する前記ゲノム配列が野生型のc.456+4A>T変異を有するFANCC座位を含む、請求項26に記載の方法。
  28. 前記ドナーポリヌクレオチドが野生型のc.456+4Aを有するFANCC座位をコードする、請求項27に記載の方法。
  29. 増加させた複数の前記細胞を前記対象に導入することによって前記FANCC座位を修正する、請求項26〜28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 増加させた複数の前記細胞を前記対象に導入することによってFANCCのmRNAの適切なスプライシングを回復する、請求項26〜28のいずれか一項に記載の方法。
  31. 増加させた複数の前記細胞を前記対象に導入することによって該対象の表現型を回復する、請求項26〜28のいずれか一項に記載の方法。
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