JP2017512625A - 神経機能モニタリングプローブシステムおよび方法 - Google Patents

神経機能モニタリングプローブシステムおよび方法 Download PDF

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Abstract

神経機能モニタリングシステムが、複数の針電極と、接地電極と、電極チップを有し、ケーブルに結合されるように構成された単極刺激プローブと、刺激プローブスリーブとを備える。スリーブは、単極刺激プローブに脱着可能に結合されるように適合および構成される。スリーブはスロットを有し、第1の後退位置と第2の前進位置との間で単極刺激プローブに対し同軸で摺動するように構成および適合される。電極チップは、スリーブが後退位置または分離された位置にある間、使用中に無指向性信号を生成する。電極チップは、スリーブが前進位置にある間、使用中に単一指向性信号を生成する。

Description

関連出願の相互参照
本出願と共に提出される出願データシートにおいて国外または国内の優先権の主張が特定されている任意のおよび全ての出願は、米国特許法規則第1.57条の下で参照により本明細書に組み込まれる。本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2014年3月31日に出願された米国仮特許出願第61/972,740号の優先権の利益を主張する。
本出願は、脊椎を治療するためのデバイス、システムおよび方法に関する。いくつかの実施形態では、本出願は、脊椎固定等の脊椎安定化に関連して用いるための神経機能モニタリングデバイス、システムおよび方法を提供するためのデバイス、システムおよび方法に関する。特に、いくつかの実施形態は、神経機能モニタリングデバイス、システムおよび方法の使用に関連して、固定デバイスおよびインプラントを脊椎に送達するための低侵襲デバイス、システムおよび方法に関する。
側方外科的進入アプローチ(lateral surgical access approach)を参照することは、以下の外科的機器、すなわち、神経機能モニタリングプローブ、小型拡張器、大型拡張器および/または開創器のうちの1つまたは複数を用いることを含むことができる。切開部が生成された後、拡張器を用いて、外科的進入部位を生成することができ、その後、開創器または他の専用器具を用いて外科的進入ルートを生成することができる。
患者の脊椎への側方アプローチにおいて、脊椎に進入するために、特に、患者の脊柱内の椎間板腔または1つもしくは複数の椎体に進入するために、脊椎の両側に位置する腰筋が分離される場合がある。通常、外科医は、そのような処置中に腰筋内に位置する腰神経叢の神経線維を避けることを試みる。前面3番の腰筋(anterior third of the psoas muscle)は通常、筋分離に安全なゾーンであるとみなされる。
神経を避けるために、外科医は、神経機能モニタリングプローブおよび/または神経機能モニタリング拡張器等の神経機能モニタリング機器を用いて腰筋付近の神経線維の位置をマッピングすることができる。腰筋の神経要素または神経線維は、刺激プローブを用いてマッピングすることができる。このようにして、腰筋の神経または神経線維のない最も後部のエリアが位置を突き止められ、特定され得る。次に、腰筋の安全な組織分離を開始するために、この神経もしくは神経線維のない最も後部のエリアを介して腰筋を通り、または神経要素もしくは神経線維のないほぼ任意の他の領域を通り、脊椎に向けてまたは椎間板腔内に刺激プローブを挿入することができる。次に、外科的進入部位を作成し拡大するために、プローブの上に拡張器が配置される。拡張器の使用に続いて、開創器または他の専門器具を用いて、外科的進入ルートが更に拡大される。
本明細書において説明される様々な実施形態は、脊椎に対する低侵襲アプローチの一部として用いることができる神経機能モニタリング進入システムに関する。いくつかの実施形態では、脊椎を治療するための低侵襲外科的システムは、少なくとも1つの神経機能モニタリングプローブアセンブリを含むことができる。
いくつかの実施形態によれば、神経機能モニタリングシステムが、複数の針電極と、接地電極と、電極チップを有し、ケーブルに結合されるように構成された単極刺激プローブと、刺激プローブスリーブとを備える。スリーブは、単極刺激プローブに脱着可能に結合されるように適合および構成される。スリーブはスロットを有し、第1の後退位置と第2の前進位置との間で単極刺激プローブに対し同軸で摺動するように構成および適合される。電極チップは、スリーブが後退位置または分離された位置にある間、使用中に無指向性信号を生成する。電極チップは、スリーブが前進位置にある間、使用中に単一指向性信号を生成する。
いくつかの実施形態によれば、システムは、近位部から遠位部までスリーブの全体長に延在するスロットを備える。いくつかの実施形態によれば、システムは、スリーブの部分長に延在するスロットを備える。いくつかの実施形態によれば、スリーブは、結合時に刺激プローブの長軸を中心に回転可能である。いくつかの実施形態によれば、スリーブはテーパー形状を有する。いくつかの実施形態によれば、プローブは使い捨てである。いくつかの実施形態によれば、スリーブは使い捨てである。いくつかの実施形態によれば、スリーブは、刺激プローブの曲率に沿う。いくつかの実施形態によれば、刺激プローブは、開創器ブレードに対し同軸で移動し、軸を中心にチャネルを形成するように適合および構成される。いくつかの実施形態によれば、スリーブは、開創器ブレードに対し同軸で移動し、軸を中心にチャネルを形成するように適合および構成される。
いくつかの実施形態によれば、神経機能モニタリングシステムを用いる方法が、電極チップを有する単極刺激プローブと、スロットを有する刺激プローブスリーブとを設けることを含む。スリーブは、プローブに脱着可能に結合される。スリープは、プローブに対して同軸に摺動され、プローブの電極チップを選択的に遮蔽する。スリーブは、患者にプローブを挿入する前にプローブに結合されてもよい。スリーブは、患者にプローブを挿入した後にプローブに結合されてもよい。
神経機能モニタリングプローブアセンブリシステムの少なくとも一部分の実施形態の斜視図である。 神経機能モニタリングプローブアセンブリシステムの少なくとも一部分の実施形態の斜視図である。 神経機能モニタリングプローブアセンブリシステムの少なくとも一部分の実施形態の斜視図である。 神経機能モニタリングプローブアセンブリシステムの少なくとも一部分の実施形態の斜視図である。 神経機能モニタリングプローブアセンブリシステムの少なくとも一部分の実施形態の斜視図である。 神経機能モニタリングプローブアセンブリシステムの少なくとも一部分の実施形態の斜視図である。
本明細書に開示される神経機能モニタリングデバイス、システムおよび方法は、腰椎への低侵襲側方アプローチのための器具および機器を外科医に提供するために開発された。腰椎への外科的ルートを確立するために、外科医は、外腹斜筋、内腹斜筋および横筋を通って鈍的に剥離した後、腰筋の外側面を露出させる。交感神経鎖、神経根、腰神経叢または個々の神経線維に対する医原性損傷は、たいてい、腰筋を通る鈍的剥離中に生じる。この手術中の神経損傷は、圧縮、伸張、離断、腰筋内の血腫、および局所貧血によって生じ得る。
いくつかの実施形態によれば、神経機能モニタリングシステムは、1つまたは複数の、好ましくは最大で8個以上の、EO滅菌ツイストペア針電極を備える。いくつかの実施形態によれば、神経機能モニタリングシステムは、1つまたは複数の、好ましくは少なくとも2つのEO滅菌単針電極を備える。いくつかの実施形態によれば、神経機能モニタリングシステムは、1つまたは複数の非滅菌粘着パッド接地電極を備える。いくつかの実施形態によれば、神経機能モニタリングシステムは、タッチプルーフケーブルおよび/または別の適切なケーブルを有する1つまたは複数の使い捨ておよび/または再利用可能単極刺激プローブを備える。いくつかの実施形態によれば、神経機能モニタリングシステムは1つまたは複数の刺激プローブスリーブを備える。
いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の刺激プローブスリーブは、近位部および遠位部を含む。遠位部は、好ましくは遠位スリーブ開口を画定する。近位部は、好ましくは近位スリーブ開口を画定する。いくつかの実施形態によれば、1つまたは複数の刺激プローブスリーブは、1つまたは複数のスロットを備える。いくつかの実施形態では、スロットは、近位部から遠位部までスリーブの全体長に延在することができる。いくつかの実施形態では、スロットは、スリーブの部分長に延在することができる。いくつかの実施形態では、スロットに加えてまたはスロットの代わりに、孔等の別の開口が用いられ得る。
1つまたは複数の刺激プローブスリーブが、1つまたは複数の単極刺激プローブに着脱可能に結合するように構成および適合され得る。いくつかの実施形態では、スリーブは、プローブを患者にプローブ挿入する前に刺激プローブに結合されるように構成される。いくつかの実施形態では、スリーブは、患者へのプローブの挿入後に刺激プローブに結合されるように構成される。スリーブは、好ましくは、結合時に、刺激プローブと概ね同軸で位置決めされるように構成および適合される。スリーブは、好ましくは、結合時に、刺激プローブに沿って長手方向に摺動可能である。スリーブは、好ましくは、結合時に、刺激プローブの長軸を中心として回転可能である。例えば、スリーブ内のスロットは、刺激プローブシャフトに対し回転することができる。
いくつかの実施形態では、刺激プローブは、好ましくは、無指向性単極電極チップを備える。摺動し、回転し、脱着可能であり、スロット付きのスリーブを含む実施形態の少なくとも1つの利点は、使用時に、プローブが最初に前進し、スリーブが分離された状態および/または引き込まれた位置に戻して保持された状態で、無指向性に電気刺激および/または信号を提供することができることである。プローブを無指向性の形態で用いて、神経線維のとり得る位置をマッピングおよび/または特定した後、好ましくは、特定の経路を特定することができる。次に、スリーブが既に結合されていない場合、スリーブをプローブに結合することができ、スリーブが無指向性刺激プローブチップを少なくとも部分的に覆うところまで前進するまで、スリーブを手術位置に向けて遠位方向に前進させることができる。スロット付きスリーブは、好ましくは、刺激プローブによって生成される電気刺激および/または信号の分布の少なくとも一部をブロックする一方で、電気刺激および/または信号の分布の少なくとも一部はブロックされず、スリーブ内のスロットを通過する。したがって、摺動し、回転し、脱着可能であり、スロット付きのスリーブの使用は、単極電極チップの無指向性信号を単一指向性信号に効果的に変換するのに有利とすることができる。特定の経路に沿って、プローブを更にナビゲートし、かつ/または神経線維のとり得る位置を特定するためにプローブを単一指向性の形態で用いることが有利であり得る。外科医は、好ましくは、スリーブを回転させて、単一指向性信号の所望の向きを制御するようにスロットを方向付けることができる。
いくつかの実施形態では、スリーブは、患者へのプローブ挿入の前に、かつ/または患者へのプローブ挿入の後に、プローブに結合することができる。いくつかの実施形態では、患者にプローブを挿入する前に、プローブシャフトに沿ってスリーブを長手方向に近位に摺動させることによって、スリーブをプローブと結合させることができる。いくつかの実施形態では、スリーブは、スリーブのスロットを通してプローブを位置決めすることによって、プローブと結合することができる。例えば、いくつかの実施形態では、スリーブの一部は撓んで開き、次に、スリーブのスロットが強制的に開いてプローブシャフトを囲むときにプローブのシャフトの周囲にスナップ係合することができる。いくつかの他の実施形態では、スリーブは、プローブシャフトに巻き付けることができる。スロット付きスリーブをプローブシャフトに結合するための任意の適切な方式を用いることができる。
いくつかの実施形態では、スリーブは、様々な寸法および/または構成を有することができる。いくつかの実施形態では、スリーブは異なる形状および/またはサイズを有することができる。いくつかの実施形態では、スリーブは、スリーブを通る管腔および/またはチャネルを画定する壁厚を有することができる。いくつかのスリーブの管腔は、プローブシャフトのサイズを近似することができる。いくつかのスリーブの管腔は、プローブシャフトのサイズよりも大きくすることができる。いくつかの管腔は、プローブシャフトのサイズよりも小さくすることができる。いくつかの実施形態では、管腔の直径は、長軸に沿って一定とすることができる。いくつかの実施形態では、管腔の直径は、長軸に沿って変動することができる。いくつかの実施形態では、スリーブの壁厚は、長軸に沿って一定とすることができる。いくつかの実施形態では、スリーブの壁厚は、長軸に沿って変動することができる。いくつかの実施形態では、スリーブの外周は、長軸に沿って一定とすることができる。いくつかの実施形態では、スリーブの外周は、長軸に沿って変動することができる。いくつかの実施形態では、スリーブの長さは変動することができる。いくつかの実施形態では、より短いスリーブが適切である一方、他の実施形態では、より長いスリーブが好ましい。いくつかの実施形態では、スリーブは剛性とすることができる。いくつかの実施形態では、スリーブは柔軟性を有することができる。いくつかの実施形態では、スリーブは半剛性とすることができる。スリーブは、身体内で刺激プローブに対し用いるためのプラスチックおよび/または別の適切な材料を含むことができ、かつ/またはこれらから形成することができる。
いくつかの実施形態では、スリーブはテーパー形状を有することができる。例えば、スリーブは遠位方向にテーパリングすることができる。いくつかの実施形態では、テーパリングされたスリーブの少なくとも1つの利点は、スリーブが、組織の拡張に役立つように、スリーブの前進時にプローブシャフトから組織を押しのけるのに役立つことを含む。いくつかの実施形態では、複数のスリーブをプローブに結合することができる。いくつかの場合、複数のスリーブを順次に結合しおよび/または取り外すことができる。いくつかの場合、複数のスリーブを並列に結合しおよび/または取り外すことができる。いくつかの実施形態では、プローブは使い捨てである。いくつかの実施形態では、プローブは再利用可能である。いくつかの実施形態では、スリーブは使い捨てである。いくつかの実施形態では、スリーブは再利用可能である。いくつかの実施形態では、スリーブは刺激プローブの曲率に沿う。いくつかの実施形態では、刺激プローブは、好ましくは、軸を中心にチャネルを形成する開創器ブレードに対し同軸に移動するように適合および構成される。いくつかの実施形態では、スリーブは、好ましくは、軸を中心にチャネルを形成する開創器ブレードに対し同軸に移動するように適合および構成される。
図1〜図3は、本開示のいくつかの特徴、態様および利点に従って配置および構成される神経機能モニタリングシステムの少なくとも一部の一実施形態を示す。示されるシステムは、いくつかの態様において、本明細書に記載される他のシステムに類似している。示されるシステムは、無指向性単極電極チップを有する刺激プローブを備え、プローブに結合するように構成および適合された、摺動し、回転し、脱着可能であり、スロット付きのスリーブを更に備える1つの実施形態を示す。図1に示すように、スリーブは、好ましくは、別個の部品であり、プローブから分離可能であるが、所望の場合、シャフトに結合されるように構成される。図1のスリーブは、スリーブの長さに延在するスロットを備える。図1のスリーブは、均一な断面、直径および壁厚を有する。図2に示すように、スリーブは同軸でプローブのシャフトに結合され、シャフトを中心として回転可能であり、長軸に沿って摺動可能である。スリーブは、使用時に、プローブチップの無指向性信号をブロックしないように、近位の、または後退した、または引き込まれた構成で示されている。図3に示すように、スリーブは、使用時に電極プローブチップの分散信号の少なくとも一部分を実質的にブロックするように、遠位の、または前進した、または遮蔽する構成で示されている。好ましくは、示される構成において、信号の分布の大部分がブロックされる。使用中の電極プローブチップの分散信号の少なくとも一部分は、好ましくはスリーブのスロットを通過する。スリーブを回転させることによって、外科医は、分散信号の方向を制御し、単一指向性の特徴を用いて、処置中に更にナビゲートすることができる。
図4は、本開示のいくつかの特徴、態様および利点に従って配置および構成される神経機能モニタリグシステムの少なくとも一部の一実施形態を示す。示されるシステムは、いくつかの態様において、本明細書に記載する他のシステムに類似している。示されるシステムは、無指向性単極電極チップを有する刺激プローブを備え、プローブに結合するように構成および適合された、摺動し、回転し、脱着可能であり、スロット付きのスリーブを更に備える1つの実施形態を示す。図4に示すように、スリーブは、図1〜図3の実施形態よりも大きな壁厚を有する。
図5は、本開示のいくつかの特徴、態様および利点に従って配置および構成される神経機能モニタリグシステムの少なくとも一部の一実施形態を示す。示されるシステムは、いくつかの態様において、本明細書に記載する他のシステムに類似している。示されるシステムは、無指向性単極電極チップを有する刺激プローブを備え、プローブに結合するように構成および適合された、摺動し、回転し、脱着可能であり、スロット付きのスリーブを更に備える1つの実施形態を示す。図5に示すように、スリーブはテーパー形状を有する。スリーブを長軸に沿って前進させることによって、外科医は、処置中に組織を拡張させることができる。いくつかの実施形態では、管腔および/またはチャネルは均一な寸法を有する。いくつかの実施形態では、管腔および/またはチャネルはテーパリング構成を有する。
図6は、本開示のいくつかの特徴、態様および利点に従って配置および構成される神経機能モニタリグシステムの少なくとも一部の一実施形態を示す。示されるシステムは、いくつかの態様において、本明細書に記載する他のシステムに類似している。示されるシステムは、無指向性単極電極チップを有する刺激プローブを備え、プローブに結合するように構成および適合された、摺動し、回転し、脱着可能であり、スロット付きのスリーブを更に備える1つの実施形態を示す。図6に示すように、スリーブは、その長さに部分的にのみ沿って延在するスロットを有する。いくつかの実施形態では、スリーブは好ましくは、プローブシャフトが患者に挿入されるときよりも前に、プローブシャフトに結合される。いくつかの実施形態では、スリーブは、使用中に電極プローブチップの分散信号の少なくとも一部分を実質的にブロックするように、遠位の、または前進した、または遮蔽する構成まで長軸に沿って同軸で移動可能であるように構成および適合される。示される構成において、好ましくは、信号の分布の大部分がブロックされる。使用中の電極プローブチップの分散された信号の少なくとも一部分は、好ましくはスリーブ内の部分的なスロットを通過する。スリーブを回転させることによって、外科医は、分散した信号の方向を制御し、単一指向性の特徴を用いて、処置中に更にナビゲートすることができる。
使用方法
開示の1つの態様によれば、神経機能モニタリングシステムを用いる方法は、以下の原理および/またはステップのうちの1つまたは複数を実施することを含む。1つの実施形態において、術中神経機能モニタリングは、図式的および音響的表現ならびに1つまたは複数の神経線維の神経生理学的活動の文書化を指す。末梢性運動神経における電気刺激は、活動電位の形成につながり、このため、神経支配のある筋の収縮につながる。
電流刺激誘発筋電図(t−EMG)は、神経機能モニタリングの形態であり、外部刺激(神経機能モニタリングプローブ)を用いて活動電位が生成され、特定の筋の記録(記録電極)が、刺激されている神経線維を特定する。t−EMGは、外科医が関連神経構造を位置特定するのに役立つ。いくつかの場合、側方アプローチ中にt−EMGを用いることによって、動作時間、切開寸法および組織剥離を大幅に低減することができる。
本明細書において説明される神経機能モニタリングキットは、側方アプローチのために電流刺激誘発EMGをサポートするように特に設計される。単極チップは、外科的分野における刺激を可能にする。刺激プローブに沿って分離されたシャフトは、チップにおいてのみ刺激を可能にする。本明細書において説明されるスリーブは、誘導および制御の向上のために、無指向性信号および/または単一指向性信号を選択的に提供するのに用いることができる。刺激プローブは、側方アプローチのための側方偏心拡張器と互換性がある。
腰筋を通る鈍的剥離を用いた背骨に対する側方アプローチ中は、神経根、腰神経叢および/または個々の神経線維の医原性損傷が起こる可能性が最も高い。この手術中の神経損傷は、神経構造の圧縮、伸張、離断および局所貧血、ならびに、手術による腰筋内の血腫、によって生じ得る。腰部を横切る(transpsoatic)アプローチ中にt−EMGを用いることによって、運動神経構造の検出において外科医をサポートし、サポートする際に、外科医が神経損傷の発生を減らすように自身のアプローチを調整することを可能にする。
本明細書において説明される神経モニタリングキットは、患者に接続された術中神経機能モニタリングのための術中の脊柱処置において用いることが意図されている。ここでは、適切な神経機能モニタリングマシンも用いられる。神経機能モニタリングキットは、好ましくは、電流刺激誘発EMGによる刺激、および神経線維が最初に刺激された筋からの刺激の後続の記録を可能にする。神経機能モニタリングキットは、患者の末梢性運動神経構造が操作に起因して損傷する危険がある側方アプローチ手術中の、術中使用に有利である。
いくつかの実施形態では、神経機能モニタリング刺激プローブおよびスリーブシステムは、ケーブルを有する刺激プローブと、基準電極と、スリーブとを備える。神経機能モニタリングのための電極キットは、好ましくは、複数の対の電極と、少なくとも1つの接地電極とを備える。パックは、好ましくは、少なくとも4つの筋をモニタリングするのに十分である。少なくとも1つの刺激プローブおよびシールドは、腰筋内の神経線維をマッピングすることができる。拡張器の周りの神経線維を並列にチェックする必要がある場合、第2のプローブを用いることができる。処置中の機器の視覚化のために撮像装置が好ましくは利用可能である。
患者は、好ましくは、手術台の限界点(table breaking point)の上に腸骨稜が位置決めされ、好ましい側が上側を向いた側臥位姿勢で配置される。モニタリングされる筋は、手術対象の椎間板レベルおよび進入側に依拠する。いくつかの応用形態では、記録のために、1対の針電極(黒および赤のプラグ)が、モニタリングされている筋のうちの1つに配置される。対の2つの針は、同じ筋内に2cm〜4cm離して近位および遠位に配置される。この処置は、どれだけ多くの筋がモニタリングされる必要があろうと、それらの筋について繰り返される。セットアップは、臀部の近くの皮下組織内に配置された接地電極により完成する。
配置された電極は、好ましくは、術中の神経生理学モニタリングシステムの対応する入力に接続される。いくつかの実施形態によれば、刺激プローブをハンドルと組み立てるために、ケーブル(赤)をハンドル内にねじ込み、プローブが嵌まるまでプローブをハンドルに押し込む。基準電極(黒)は、術野の近くにまたは更には術野内に配置され、滅菌テープで固定される。基準電極(黒)、および滅菌刺激プローブ(赤)のケーブルは、好ましくは、IONMシステムの出力に接続される。
刺激プローブは、好ましくは、任意の周囲構造/機器を避けて手術部位内に導入される。1つの応用形態によれば、プローブはプローブが使用中に無指向性信号を生成することができるように、スリーブが分離されているかまたは後退している状態で前に進められる。1つの応用形態によれば、次に、スリーブは、プローブに結合され、かつ/またはシャフトに沿って長手方向に進められ、所望に応じた更なるナビゲーションおよび/または前進のために電極チップが単一指向性信号で効果的に動作するように、電極チップの少なくとも一部分を覆いかつ/または遮蔽する。腰筋に到達した後、電流刺激誘発EMGを用いて、筋を通ってかつ筋の周囲に延びる神経構造を位置特定することができる。
通常、5mA未満の閾値での応答は、腰筋内の神経との直接接触を意味するのに対し、5mA〜10mAは、神経線維に非常に近接していることを示す。刺激プローブを用いて腰筋を貫通する前に、好ましくは筋表面をマッピングして、最も高い閾値のエリアを見つける。このエリアは通常、関心対象の椎間板レベル上にある。
選択されたアプローチが満足のいくものであった場合、プローブは刺激中に筋を通じて低速に挿入される。いくつかの応用形態では、スリーブは、前進中に取り外されかつ/または引き込まれる。いくつかの応用形態では、スリーブは、前進し、少なくとも部分的にプローブチップを遮蔽する。これらの操作のうちの任意のものまたは全ての間、警告が、好ましくは、電流刺激誘発EMG応答が存在するか否かを示し、この警告が示された時点で適切な介入が行われるべきである。
10mAを超える刺激閾値において筋から応答がない場合、プローブは、適切な椎間板腔上のプローブ配置を確認する側方およびAP蛍光透視法の下で腰筋内に前進することができる。筋は、刺激プローブが椎間板腔に到達し、そこに留まるまで、刺激プローブにより鈍的に剥離され、この間、椎間板腔に至る途中の神経線維構造がチェックされる。
腰筋を通して鈍的に剥離した後、外科医は、第2のプローブを用いてアプローチの周囲をモニタリングし、近位の神経線維を検出することができる。プローブが椎間板内に固定して挿入されると、外科医は、偏心拡張器を用いることによる腰筋の分離を開始することができる。スリーブを、引き込みおよび/または分離することができる。ハンドルは、好ましくは刺激プローブから取り外される。好ましくは、進入路を開いたままに保持し、必要な処理を実行するためのステップがとられる。
好ましい実施形態の上記の記載が示され、説明され、本発明の基本的な新規の特徴を指摘してきたが、当業者によって、本発明の趣旨から逸脱することなく、示される装置およびその使用法の詳細の形態において、様々な省略、置換および変更を行うことができることが理解されよう。
本明細書を通じて、「1つの実施形態」または「一実施形態」への言及は、実施形態に関連付けて説明した特定の特徴、構造または特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。このため、本明細書全体の様々な場所における「1つの実施形態において」または「一実施形態において」というフレーズの登場は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているわけではない。更に、1つまたは複数の実施形態において、上記で説明した任意の実施形態の特定の特徴、構造または特性は、本開示から当業者に明らかであるように、任意の適切な方式で組み合わせることができる。
同様に、実施形態の上記の説明において、本発明の様々な特徴は、開示を合理化し、様々な発明の態様のうちの1つまたは複数の理解を促進するために、単一の実施形態、図面、またはその説明において、場合によっては共にグループ化されることを理解されたい。一方、この開示方法は、任意の請求項が、その請求項に明示的に述べられているよりも多くの特徴を要するという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、上記で開示された任意の単一の実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴の組み合わせにある。このため、「発明を実施するための形態」に続く「特許請求の範囲」は、ここでこの「発明を実施するための形態」に明示的に組み込まれ、各請求項は、別個の実施形態として自立している。

Claims (13)

  1. 神経機能モニタリングシステムであって、
    複数の針電極と、
    接地電極と、
    電極チップを有し、ケーブルに結合されるように構成された単極刺激プローブと、
    前記単極刺激プローブに脱着可能に結合されるように適合および構成された刺激プローブスリーブであって、前記刺激プローブスリーブはスロットを有し、第1の後退位置と第2の前進位置との間で前記単極刺激プローブに対し同軸で摺動するように構成および適合され、前記電極チップは、前記刺激プローブスリーブが前記第1の後退位置または分離された位置にある間、使用中に無指向性信号を生成し、前記電極チップは、前記刺激プローブスリーブが前記第2の前進位置にある間、使用中に単一指向性信号を生成する、刺激プローブスリーブと、
    を備えることを特徴とする神経機能モニタリングシステム。
  2. 近位部から遠位部まで前記刺激プローブスリーブの全体長に延在するスロットを備える、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記刺激プローブスリーブの部分長に延在するスロットを備える、請求項1に記載のシステム。
  4. 前記刺激プローブスリーブは、結合時に前記単極刺激プローブの長軸を中心に回転可能である、請求項1に記載のシステム。
  5. 前記刺激プローブスリーブはテーパー形状を有する、請求項1に記載のシステム。
  6. 前記単極刺激プローブは使い捨てである、請求項1に記載のシステム。
  7. 前記刺激プローブスリーブは使い捨てである、請求項1に記載のシステム。
  8. 前記刺激プローブスリーブは、前記単極刺激プローブの曲率に沿う、請求項1に記載のシステム。
  9. 前記単極刺激プローブは、開創器ブレードに対し同軸で移動し、軸を中心にチャネルを形成するように適合および構成される、請求項1に記載のシステム。
  10. 前記刺激プローブスリーブは、開創器ブレードに対し同軸で移動し、軸を中心にチャネルを形成するように適合および構成される、請求項1に記載のシステム。
  11. 神経機能モニタリングシステムを用いる方法であって、
    電極チップを有する単極刺激プローブと、スロットを有する刺激プローブスリーブとを設けるステップと、
    前記刺激プローブスリーブを前記単極刺激プローブに脱着可能に結合するステップと、
    前記単極刺激プローブに対して前記刺激プローブスリーブを同軸に摺動させ、前記単極刺激プローブの電極チップを選択的に遮蔽するステップと、
    を含むことを特徴とする方法。
  12. 患者に前記単極刺激プローブを挿入する前に前記刺激プローブスリーブを前記単極刺激プローブに結合するステップを含む、請求項11に記載の方法。
  13. 患者に前記単極刺激プローブを挿入した後に前記刺激プローブスリーブを前記単極刺激プローブに結合するステップを含む、請求項11に記載の方法。
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