JP2017510603A - 乳酸アシドーシス、又はミトコンドリアの酸化的リン酸化の複合体i関連障害に起因する薬剤誘発性副作用の治療における使用のための、サクシネートプロドラッグ - Google Patents

乳酸アシドーシス、又はミトコンドリアの酸化的リン酸化の複合体i関連障害に起因する薬剤誘発性副作用の治療における使用のための、サクシネートプロドラッグ Download PDF

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Abstract

本発明は、乳酸アシドーシスの治療又は予防における使用のための、サクシネートプロドラッグに関する。【選択図】図5

Description

(発明の分野)
本発明は、ミトコンドリア関連障害、特に、呼吸鎖の複合体Iに関連する障害の治療のための、サクシネートプロドラッグの使用に関する。特に、本発明は、乳酸アシドーシスの治療のためのサクシネートプロドラッグの使用に関する。
(発明の背景)
薬剤により誘発されたミトコンドリア毒性は、望まれる治療作用(例えば、抗がん剤により誘発されるミトコンドリア毒性)の一部である場合もあるが、大抵の場合、薬剤により誘発されたミトコンドリア毒性は、望まれない作用である。ミトコンドリア毒性は、酸化的リン酸化によるミトコンドリアのATP産生が細胞で失われたことを埋め合わせるために、解糖を顕著に増加させ得る。この結果、血漿乳酸レベルの増加をもたらし、それが過度になると、致死的となり得る乳酸アシドーシスが生じ得る。A型乳酸アシドーシスは、主に組織低酸素症に関連し、一方、B型好気性乳酸アシドーシスは、薬剤、毒素、又は肝疾患、糖尿病、がん、及び代謝の先天性異常(例えば、ミトコンドリア遺伝子の欠陥)等の全身性の障害に関連する。
多くの公知薬剤物質(例えば、抗精神病薬、局所麻酔薬、及び抗糖尿病薬)は、ミトコンドリアの呼吸に負の影響を与える。従って、このような薬剤物質を使用することにより誘発されるミトコンドリアへの負の作用の回避又は軽減のいずれかのために使用可能である手段を、特定又は開発する必要性がある。
(発明の説明)
本発明は、乳酸アシドーシス及びミトコンドリア関連薬剤誘発性副作用の予防又は治療における使用のための、サクシネートプロドラッグを提供する。特に、サクシネートプロドラッグは、複合体I又はその上流におけるミトコンドリア関連薬剤誘発性副作用の予防又は治療において用いられ、換言すれば、本発明は、複合体Iの薬剤誘発性直接阻害、又は複合体IへのNADHの供給を制限する任意の薬剤誘発性作用(これらに限定されないが、クレブス回路、解糖、ベータ酸化、ピルビン酸代謝、及び、さらには、グルコース又は他の基質の輸送又はレベルを達成する薬剤に対する作用等)の予防又は治療のためのサクシネートプロドラッグを提供する。複合体Iの欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用、及びiii)複合体Iの上流の好気性代謝における欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用、ミトコンドリアの欠陥、不調、又は機能障害は、WO2014053617に記載された方法を用いて確認することが出来る。
上述のように、上昇した血漿乳酸レベルは、ミトコンドリア関連副作用を有し得る薬剤により治療された患者に、よく見られる。本発明は、メトホルミン(2型糖尿病の第1選択治療であり、まれな副作用としての乳酸アシドーシスと関連している)が、複合体Iにおいて、メトホルミン中毒に関連する濃度で、時間及び用量依存的に、ヒト末梢血液細胞のミトコンドリアの機能を阻害することを示す実験結果に基づいている。メトホルミンは、更に、経時的に、インタクトな血小板による乳酸産生の有意な増加を引き起こす。サクシネートプロドラッグ類の使用により、メトホルミンに曝露されたインタクトな血小板での乳酸産生が、有意に減少した。外因的に与えられた、基質そのものであるサクシネートは、乳酸のメトホルミン誘発性産生を減少させなかった。
別の研究では、ロテノンにより阻害された血小板において、乳酸の産生が数時間に亘って観察された(すなわち、複合体Iの機能が損なわれた状態である)。サクシネートプロドラッグ類(ただし、サクシネートではないもの)の使用により、インタクトなヒト血小板のロテノン誘発性乳酸産生が減弱された。ヒト線維芽細胞及びヒト心筋線維で、呼吸計測実験を繰り返し、血液細胞でみられた発見を確認した。
従って、本発明は、乳酸アシドーシスの治療の予防における使用のためのサクシネートプロドラッグを提供する。しかしながら、本明細書に報告されている結果は、複合体Iの直接阻害に関連する、又は複合体I又はその上流における欠陥に関連する乳酸アシドーシスに基づいているために、サクシネートプロドラッグは、複合体I又はその上流におけるミトコンドリア関連薬剤誘発性副作用の予防又は治療における使用に適していることが想定される。サクシネートプロドラッグは、また、複合体Iの上流の代謝を乱す薬剤作用(例えば、クレブス回路、解糖、ベータ酸化、ピルビン酸代謝、及び、さらには、グルコース又は他の基質のレベルに影響を及ぼす薬剤に対する作用等の、複合体IへのNADHの供給を制限するいかなる薬剤作用をも包含するであろう、複合体Iの間接的な阻害)を和らげ得る。
サクシネートプロドラッグは、また、産業用途、例えば、インビトロで乳酸産生を減少又は阻害するために使用可能であると想定される。例としては、細胞培養、臓器保存等での使用が挙げられる。
(サクシネートプロドラッグ)
いかなるサクシネートプロドラッグであっても、細胞膜を透過し得るものであれば、又は、そうでなくても、形質膜を通過し進入し得るものであれば、本発明に従い、使用可能であると想定される。「サクシネートプロドラッグ」という用語は、「保護されたサクシネート」という用語と、同義であるものとして使用される。本文脈においては、サクシネートプロドラッグは、加水分解、酵素的分解、又は他の方法で、投与後にインビボで、又は適用後にインビトロでサクシネート(又はコハク酸)を遊離し得るコハク酸の誘導体である。プロ部分(pro-moiety)は、サクシネートの特性を、形質膜非透過性のものから、透過性のものへと変化させる目的、又は、そうでなければ、サクシネートを、ミトコンドリアが利用可能とする目的を果たす。通常、プロドラッグのプロ部分は、治療上不活性な部分であるとみなされる。しかしながら、本文脈においては、このプロ部分は、不活性であってもよく、それが、望ましい活性、又は患者に対し何ら害を引き起こさない活性である限り、何らかの活性を有していてもよい。
式Aの保護されたサクシネートが、特に興味深い:
Figure 2017510603
(式中、R1及びR2は、同一、又は異なり、かつ、式(B)から選択され:
Figure 2017510603
(式中、R3は、H、又は任意に置換された、例えば、メチル、エチル、プロピル、又はiso-プロピル等のC1-C3アルキルから選択され、R5は、-OC(=O)Raであり(式中、Raは、メチル又は式(C)である:
Figure 2017510603
)))、
前記薬剤誘発性ミトコンドリア副作用は、間接的な複合体I阻害である。
具体的な態様において、R1及びR2は、同一又は異なり、式(II)から選択される(式中、R3は、H、又はメチルであり、かつ、Raは、メチル又は式(C)である)。
前記保護されたサクシネートは、薬剤誘発性ミトコンドリア関連副作用の治療又は予防に使用される。特に、これらは、直接又は間接的な薬剤誘発性複合体Iミトコンドリア関連副作用の治療又は予防に使用される。特に、これらは、薬剤物質により誘発された乳酸アシドーシス等の乳酸アシドーシスの治療又は予防に使用される。
また、本発明は、保護されたサクシネート、及びミトコンドリア関連副作用を誘発し得る薬剤物質、特に、該薬剤物質による複合体Iの直接又は間接的な障害により引き起こされる副作用を誘発し得る薬剤物質、の組み合わせに関する。このような組み合わせは、ミトコンドリア関連副作用の、予防(prophylactic prevention)として使用可能である、又は、副作用が現れてしまった場合には、そのミトコンドリア関連副作用の軽減及び/又は治療において使用可能である。
以下に述べるサクシネートプロドラッグは、薬剤誘発性副作用、特に、複合体Iの直接又は間接的な阻害に関連する副作用の治療又は予防において効果的であると期待される。本発明にかかる使用のための化合物類の例を、以下の項目のリストに挙げる:
1.式(I)の保護されたサクシネート:
Figure 2017510603
(式中、R1は、H、医薬として許容し得る塩、任意に置換されたアルキル基、又は式(II)の基であり、かつ、
R2は、独立して、式(II)の基であり、式(II)は、以下のものである:
Figure 2017510603
(式中、R3は、H、任意に置換されたC1-C3アルキルである、又は式COO(CR’R’’)Oの基により、R5と一緒に連結され、環を形成し(式中、R’及びR’’は、独立して、H、任意に置換されたC1-C3アルキルである、又は一緒に連結されて、環を形成する);
R4は、Hであり;
R5は、OCORa、OCOORb、OCONRcRd、SO2Re、OPO(ORf)(ORg)、CONRcRdである、又は式COO(CR’R’’)Oの基によりR3に連結され、環を形成し(式中、R’及びR’’は、独立して、H、任意に置換されたC1-C3アルキルであり、又は、一緒に連結されて、環を形成する);
(式中、Raは、メチル、エチル、CH(CH3)2、又はC(CH3)3、又はシクロアルキルであり;
Rbは、メチル、エチル、CH(CH3)2、又はC(CH3)3、又はシクロアルキルであり;
Rc及びRdは、独立して、H、メチル、又はエチルあり、又は一緒に連結されて、1個以上のヘテロ原子を更に含有していてもよい環を形成しており;
Reは、任意に置換されたアルキルであり;かつ、
Rf及びRgは、独立して、H、メチル、エチルである、又は一緒に連結されて、環を形成する))。
2.R1が、C1-C3アルキル基、又は式(II)の基であり、かつ、R2が、独立して、式(II)の基であり、式(II)が、以下のものである、項目1記載の保護されたサクシネート:
Figure 2017510603
(式中、R3は、H、C1-C3アルキルである、又は式COO(CR’R’’)Oの基によりR5と一緒に連結され、環を形成し(式中、R’及びR’’は、独立して、任意に置換されたC1-C3アルキルである);
R4は、Hであり;
R5は、OCORa、OCOORb、又はCONRcRdであり、
(式中、Raは、メチル、エチル、又はtBuであり;
Rbは、メチル、エチル、又はtBuであり;
Rc及びRdは、独立して、メチル又はエチルである))。
3.R3が、メチル又はエチルである、項目1又は2記載の保護されたサクシネート。
4.R3が、Hである、項目1又は2記載の保護されたサクシネート。
5.R1が、メチルである、項目1又は2記載の保護されたサクシネート。
6.R5が、任意に置換されたメチル又はエチルエステルである、項目1又は2記載の保護されたサクシネート。
7.式IVにより表わされる、項目1又は2の保護されたサクシネート:
Figure 2017510603
(式中、各R7は、独立して、H、メチル、又はエチルであり、かつ各R6は、独立して、H又はメチルである)。
8.Rc及びRdが、メチル又はエチルである、項目1又は2の保護されたサクシネート。
9.R’及びR’’が、独立して、メチル又はエチルである、項目1又は2記載の保護されたサクシネート。
10.R3及びR5が、式COO(CR’R’’)Oの基により一緒に連結され、式(V)の環を形成する、項目1又は2記載の保護されたサクシネート:
Figure 2017510603
(式中、R4は、Hであり、かつ、R’及びR’’は、独立して、H、任意に置換されたC1-C3アルキルである、又は一緒に連結されて、環を形成する)。
11.式(Va)で表わされる、項目11の保護されたサクシネート:
Figure 2017510603
12.式(XIII)の保護されたサクシネート:
Figure 2017510603
(式中、各R7は、独立して、H、メチル、又はエチルであり、かつR6は、独立して、H又はメチルであり、かつ、R8は、H、メチル、又は式(XIV)の部位である:
Figure 2017510603
(式中、R7は、独立して、H、メチル、又はエチルであり、かつR6は、独立して、H又はメチルである))。
13.式(XV)の保護されたジサクシネート:
Figure 2017510603
(式中、各R7は、独立して、H、メチル、又はエチルであり、かつ各R6は、独立して、H又はメチルである)。
14.前記化合物が、化合物No.3、5、8、10、13、14、16、17、又は18から選択される、項目1〜13のいずれか1項記載の保護されたサクシネート。
15.前記化合物が、化合物No.3、5、13、14、17、又は18から選択される、項目1〜14のいずれか1項記載の保護されたサクシネート。
16.ミトコンドリアエネルギー産生の刺激における使用のための、項目1-15のいずれか1項に定義される、保護されたサクシネート。
サクシネート類縁体の別のクラスを、以下のリストAに挙げる:
1A.本発明に係る化合物は、式(I)で表わされるもの、又はその医薬として許容し得る塩である:
Figure 2017510603
(式中、該A-B間の点線の結合は、閉環構造を形成するような任意の結合を示し、
Zは、-CH2-CH2-又は>CH(CH3)から選択され、
Aは、-SR、-OR、及びNHRから選択され、かつ、Rは、
Figure 2017510603
であり、
Bは、-O-R’、-NHR’’、-SR’’’、又は-OHから選択され;かつ、R’は、以下の式(II)〜(IX)から選択され:
Figure 2017510603
R’、R’’、及びR’’’は、独立して、異なる又は同じであり、かつ以下の式(IV)〜(VIII)から選択され:
Figure 2017510603
R1及びR3は、独立して、異なる又は同じであり、かつ、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、O-アシル、O-アルキル、N-アシル、N-アルキル、Xアシル、CH2Xアルキル、CH2X-アシル、F、CH2COOH、又はCH2CO2アルキルから選択され、
Xは、O、NH、NR6、Sから選択され、
R2は、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、C(O)CH3、C(O)CH2C(O)CH3、C(O)CH2CH(OH)CH3から選択され、
pは、整数であり、かつ、1又は2であり、
R6は、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、アセチル、アシル、プロピオニル、ベンゾイル、又は式(II)、又は式(VIII)から選択され
X5は、-H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、-COOH、-C(=O)XR6、CONR1R3から選択される、又は以下の式であり:
Figure 2017510603
X7は、R1、-NR1R3から選択され、
R9は、H、Me、Et、又はO2CCH2CH2COXR8から選択され、
R10は、Oアシル、NHアルキル、NHアシル、又はO2CCH2CH2COX6R8から選択され、
X6は、O、NR8、NR6R8から選択され(式中、R6及びR8は、独立して、異なる又は同じであり、かつ、H、アルキル、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、アセチル、アシル、プロピオニル、ベンゾイル、又は式(II)、又は式(VIII)から選択され、
R11及びR12は、独立して、異なる又は同じであり、かつ、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、アセチル、プロピオニル、ベンゾイル、-CH2Xアルキル、-CH2Xアシルから選択され(式中、Xは、O、NR6、又はSであり)、
Rc及びRdは、独立して、異なる又は同じであり、かつ、CH2Xアルキル、CH2Xアシルから選択され(式中、X=O、NR6、又はSである)、
R13、R14、及びR15は、独立して、異なる又は同じであり、かつ、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、-COOH、O-アシル、O-アルキル、N-アシル、N-アルキル、Xアシル、又はCH2Xアルキルから選択され;
R13及びR14上、又はR13及びR15上の置換基は、架橋して、環系を形成していてもよく、
Rf、Rg、及びRhは、独立して、異なる又は同じであり、かつ、Xアシル、-CH2Xアルキル、-CH2X-アシル、及びR9から選択され、
アルキルは、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチルから選択され、
アシルは、ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソプロピオニル、ビツリル(byturyl)、tert-ブチリル、ペンタノイル、ベンゾイルから選択され、
アシル及び/又はアルキルは、任意に置換されていてもよく、かつ、
該A-B間の点線の結合が、存在する場合、該式(I)の化合物は、以下のものであり:
Figure 2017510603
(式中、X4は、-COOH、-C(=O)XR6
Figure 2017510603
から選択される))。
2A.式(IA)を有する項目1A記載の化合物、又はその医薬として許容し得る塩:
Figure 2017510603
(式中、Zは、-CH2-CH2-であり、
Aは、-SR、-OR、及びNHRから選択され、かつ、Rは、
Figure 2017510603
であり、
Bは、-O-R’、-NHR’’、-SR’’’、又は-OHから選択され;かつ、
R’、R’’、及びR’’’は、独立して、異なる又は同じであり、かつ、一又は以下の式から選択され:
Figure 2017510603
R1及びR3は、独立して、異なる又は同じであり、かつ、H、Me、Et、プロピル、O-Me、O-Et、O-プロピルから選択され、
Xは、O、NH、Sから選択され
pは、整数であり、かつ、1であり、
R6は、H、Me、Etから選択され、
X5は、-H、Me、Et、-COOH、-C(=O)XR6、CONR1R3から選択され、
X7は、R1、-NR1R3から選択され、
R13、R14、及びR15は、独立して、異なる又は同じであり、かつ、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、-COOH、O-アシル、O-アルキル、N-アシル、N-アルキル、Xアシル、CH2Xアルキルから選択され(式中、アルキル及びアシルは、本明細書において既に定義した通りである))。
3A.式(IA)を有する、項目1A又は2A記載の化合物、又はその医薬として許容し得る塩:
Figure 2017510603
(式中、Zは、-CH2-CH2-であり、
Aは、-SR、-OR、及びNHRから選択され、かつ、Rは、
Figure 2017510603
であり、
Bは、-O-R’、-NHR’’、-SR’’’、又は-OHから選択され;かつ、
R’、R’’、及びR’’’は、独立して、異なる又は同じであり、かつ、一又は以下の式から選択され:
Figure 2017510603
R1及びR3は、独立して、異なる又は同じであり、かつ、H、Me、Et、プロピル、O-Me、O-Et、O-プロピルから選択され、
Xは、O、NH、Sから選択され、
pは、整数であり、かつ、1であり、
R6は、H、Me、Etから選択され、
X5は、-H、Me、Et、-COOH、-C(=O)OR6、CONR1R3から選択され、
X7は、R1、-NR1R3から選択され、
R13、R14、及びR15は、独立して、異なる又は同じであり、かつ、H、Me、Et、-COOHから選択される)。
4A.Zが-CH2CH2-であり、かつ、Aが-SRである、項目1A〜3Aのいずれか1項記載の化合物。
5A.Zが-CH2CH2-であり、Aが-SRであり、かつ、Bが、OH又はSR’’’である、項目1A〜4Aのいずれか1項記載の化合物。
6A.Zが-CH2CH2-であり、Aが-SRであり、BがOH又はSR’’’であり(式中、R’’’が
Figure 2017510603
である)、項目1A〜5Aのいずれか1項記載の化合物。
7A.Zが-CH2CH2-であり、かつ、AがSRであり、かつ、BがOHである、項目1A〜6Aのいずれか1項記載の化合物。
8A.Zが、-CH2CH2-であり、AがSRであり、Bが、OH又はSR’’’であり(式中、R’’’が、
Figure 2017510603
である)、項目1A-6Aのいずれか1項記載の化合物。
9A.Zが、-CH2CH2-であり、AがNRであり、BがOHであり、かつ、Rが、
Figure 2017510603
であり、かつ、XがSである、項目1A-3Aのいずれか1項記載の化合物。
10A.R及び/又はR’’’が、
Figure 2017510603
であり、p=1であり、かつ、X5が-Hであり、式(VII)が、
Figure 2017510603
となる、項目1A〜9Aのいずれか1項記載の化合物。
11A.R及び/又はR’’’が、
Figure 2017510603
であり、
p=1であり、かつ、X5が、COXR6であり、式(VII)が、
Figure 2017510603
となる、項目1A-9Aのいずれか1項記載の化合物。
12A.R及び/又はR’’’が、
Figure 2017510603
であり、
p=1であり、かつ、X5が、CONR1R3であり、式(VII)が、
Figure 2017510603
となる、項目1A-9Aのいずれか1項記載の化合物。
13A.前記化合物が、以下のものから選択される、項目1A〜12Aのいずれか1項記載の化合物:
Figure 2017510603
Figure 2017510603
Figure 2017510603
他の好適な化合物は、以下のリスト(B)から理解される。
1.式(I)の化合物、又はその医薬として許容し得る塩:
Figure 2017510603
(式中、該点線の結合は、環状構造を形成する、A-B間の任意の結合を示し、
Zは、-CH2-CH2-又は>CH(CH3)から選択され、
A及びBは、独立して、異なる、又は同一であり、かつ、-OR、-O-R’、-NHR’’、-SR’’’、又は-OHから選択され、A及びB双方が、-OHであることはなく、
Rは、
Figure 2017510603
であり、
R’は、以下の式(II)、(V)、又は(IX)から選択され:
Figure 2017510603
R’、R’’、及びR’’’は、独立して、異なる又は同じであり、かつ、以下の式(VII)又は(VIII)から選択され:
Figure 2017510603
R1及びR3は、独立して、異なる又は同じであり、かつ、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、O-アシル、O-アルキル、N-アシル、N-アルキル、Xアシル、CH2Xアルキル、CH2CH2CH2OC(=O)CH2CH2COX6R8、又は
Figure 2017510603
から選択され
Xは、O、NH、NR6、Sから選択され、
R2は、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、C(O)CH3、C(O)CH2C(O)CH3、C(O)CH2CH(OH)CH3から選択され、
pは、整数であり、かつ、1又は2であり、
R6は、H、アルキル、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、アセチル、アシル、プロピオニル、ベンゾイル、又は式(II)、又は式(VIII)から選択され、
X5は、-H、-COOH、-C(=O)XR6、CONR1R3、又は以下の式のうちの1つから選択され:
Figure 2017510603
R9は、H、Me、Et、又はO2CCH2CH2COXR8から選択され、
R10は、Oアシル、NHアルキル、NHアシル、又はO2CCH2CH2COX6R8から選択され、
X6は、O又はNR8であり、かつ、R8は、H、アルキル、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、アセチル、アシル、プロピオニル、ベンゾイル、又は式(II)、又は式(VIII)から選択され、
R11及びR12は、独立して、同一又は異なり、かつ、H、アルキル、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、アセチル、アシル、プロピオニル、ベンゾイル、アシル、-CH2Xアルキル、-CH2Xアシルから選択され(式中、Xは、O、NR6、又はSから選択される)、
R13、R14、及びR15は、独立して、異なる又は同じであり、かつ、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、-COOH、O-アシル、O-アルキル、N-アシル、N-アルキル、Xアシル、CH2Xアルキルから選択され、
Rc及びRdは、独立して、CH2Xアルキル、CH2Xアシルであり(式中、X=O、NR6、又はSであり、アルキルは、例えば、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチルであり、かつ、アシルは、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソプロピオニル、ビツリル(byturyl)、tert-ブチリル、ペンタノイル、ベンゾイル等である)、
Rf、Rg、及びRhは、独立して、Xアシル、-CH2Xアルキル、-CH2X-アシル、及びR9から選択され、
アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、又はデシルから選択され、かつ、アシルは、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ペンタノイル、ベンゾイル等から選択され、
R20及びR21は、独立して、異なる又は同じであり、かつ、H、低級アルキル、すなわち、C1-C4アルキルから選択される、又は、R20及びR21は、一緒になって、双方ともハロゲン、ヒドロキシル、又は低級アルキルで任意に置換されていてもよいC4-C7シクロアルキル、又は、芳香族基を形成していてもよく、又は
R20及びR21は、
Figure 2017510603
、又はCH2X-アシル、F、CH2COOH、CH2CO2アルキルであってよく、かつ
A-B間に環状結合が存在する場合、該化合物は、以下のものであり:
Figure 2017510603
かつアシル及びアルキルは、任意に置換されていてもよい)。
2B.Zが、-CH2-CH2-又は>CH(CH3)から選択され、Aが、-O-Rから選択され(式中、Rは、
Figure 2017510603
である)、
Bが、-O-R’、-NHR’’、-SR’’’、又は-OHから選択され;(式中、R’は、上記式(II)、(V)、又は(IX)から選択され、R’、R’’、及びR’’’は、独立して、異なる又は同じであり、かつ、上記式(VII)又は(VIII)から選択される)、項目1B記載の化合物。
3B.Zが-CH2CH2-であり、かつ、Aが、-ORである、項目1B又は2B記載の化合物。
4B.Aが、-ORであり、かつ、Bが、-OR’,-NHR’’、-SR’’’、又は-OHから選択され;かつ、R’、R’、R’’、及びR’’’が、上述の通りである、項目1B〜3Bのいずれか1項記載の化合物。
5B.Aが、-O-Rから選択され(式中、Rは、
Figure 2017510603
であり、R1又はR3は、CH2CH2CH2OC(=O)CH2CH2COX6R8である)、かつ
Bが、-OR’、又は-OHである、項目1B〜4Bのいずれか1項記載の化合物。
6B.Aが、-ORであり、かつBが、-OH又は-OR’であり(式中、R’は、上で定義された式(VII)又は式(VIII)から選択される)、項目1B〜4Bいずれか1項記載の化合物。
7B.Aが、-O-Rから選択され(式中、Rは、
Figure 2017510603
であり、かつ、R1又はR3は、
Figure 2017510603
である)、かつ
Bが、-OR’、又は-OHである、項目1B〜4Bのいずれか1項記載の化合物。
8B.Zが-CH2CH2-である、項目1B〜7Bのいずれか1項記載の化合物。
9B.Zが-CH2CH2-であり、かつ、Aが、-ORであり、かつ、Bが、-OHである、項目1B〜8Bのいずれか1項記載の化合物。
10B.Aが、-ORであり、かつ、Rが、式(II)である、項目1B〜9Bのいずれか1項記載の化合物:
Figure 2017510603

11B.式(VII)が、
Figure 2017510603
である、項目1B〜10Bのいずれか1項記載の化合物。
12B.式(IX)において、Rf、Rg、及びRhの少なくとも1つが-H又はアルキルであり、アルキルが、本明細書で定義する通りである、項目1B〜11Bのいずれか1項記載の化合物。
13B.Aが、-ORであり、かつ、R1又はR3が、
Figure 2017510603
である、又はR1又はR3が、CH2CH2CH2OC(=O)CH2CH2COX6R8である、項目1B〜12Bのいずれか1項記載の化合物。
(定義)
本明細書において、「a」及び「an」という冠詞は、1つ又は複数の(すなわち少なくとも1つの)、その冠詞の文法上の目的語を指すために用いられる。一例として、「類縁体(an analogue)」は、1つの類縁体又は複数の類縁体を意味する。
本明細書において、「サクシネートプロドラッグ」という用語は、i)例えば、加水分解又は酵素的分解によりコハク酸又はサクシネートを遊離し得る物質、又はii)例えば、酵素により、サクシネートへと変換され得る物質を指すために用いられる。「保護されたサクシネート」及び「サクシネートの前駆体」という用語は、「サクシネートプロドラッグ」という用語と同義であるものとして使用される。本明細書で説明されるように、細胞透過性サクシネートプロドラッグが、好ましい。
本明細書で使用される、「バイオアベイラビリティー」という用語は、投与後に、薬剤又は他の物質が吸収される、又はそれらが生物活性部位において利用可能となる程度又は速度を指す。この性質は、該化合物の溶解性、腸での吸収速度、タンパク結合の程度、及び代謝等を含む幾つかのファクターに依存する。当業者にとって見慣れたものであろう種々のバイオアベイラビリティーのための試験を、本明細書に記載する(Trepanierら1998、Gallant-Haidnerら2000も参照されたい)。
本明細書で、呼吸鎖の複合体Iとの関連で用いられる「障害」、「阻害」、「欠陥」という用語は、例えば、クレブス回路、解糖、ベータ酸化、ピルビン酸代謝、及び、さらには、グルコース又は他の複合体I関連基質の輸送又はレベルを達成する薬剤に対する作用等の、複合体IへのNADHの供給を制限するいかなる薬剤作用をも包含し得る、複合体Iに対する又は複合体Iの上流のミトコンドリアの代謝に対する負の作用を、ある薬剤物質が有することを示すことを意図している。本明細書に記載したように、対象における過剰の乳酸は、多くの場合、複合体Iを含む好気性呼吸への負の作用の目安である。
本明細書で、呼吸鎖の複合体Iの機能との関連で用いられる「副作用」という用語は、乳酸アシドーシスに関する副作用であってもよく、又は、これらに限定されないが、例えば、眼筋麻痺、筋症、感音性難聴、発作、卒中、卒中様イベント、運動失調、眼瞼下垂、認知障害、変性意識状態、神経障害性疼痛、多発性ニューロパシー、神経障害性胃腸管障害(胃食道逆流、便秘、偽性腸閉塞症)、近位腎尿細管機能障害、心伝導障害(心ブロック)、心筋症、低血糖、糖新生異常、非アルコール性肝不全、視神経症、失明、糖尿病、及び膵外分泌不全、疲労、間欠性空気飢餓感を含む呼吸障害を含む、例えば、肝毒性、神経毒性、心毒性、腎毒性、及び筋毒性等の特異体質的薬剤臓器毒性に関する副作用であってもよい。
本明細書で、「副作用」という用語との関連で用いられる「薬剤誘発性」という用語は、広い意味で理解されるべきものである。従って、薬剤物質を含むのみならず、望まれない乳酸の存在に繋がり得る他の物質をも含む。例としては、除草剤、毒キノコ、ベリー類等が挙げられる。
サクシネートプロドラッグの医薬として許容し得る塩には、医薬として許容し得る無機若しくは有機の酸又は塩基から生成する慣用の塩、及び四級アンモニウム酸付加塩が含まれる。好適な酸の塩のより具体的な例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ギ酸、乳酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、パルモ酸(palmoic)、マロン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ヒドロキシナフトエ酸、ヨウ化水素酸、リンゴ酸、ステロイック酸(steroic)、及びタンニン酸塩等が挙げられる。シュウ酸等の他の酸は、それら自体は医薬として許容し得るものではないが、本発明の化合物類及びそれらの医薬として許容し得る塩類を得るための中間体として有用な塩の製造において有用なことがある。好適な塩基の塩のより具体的な例としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、亜鉛、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、及びプロカイン塩が挙げられる。
本明細書で使用される「アルキル」という用語は、水素原子で完全に飽和したsp3炭素原子のみからなる任意の直鎖又は分岐鎖を指し、例えば、直鎖アルキルについては、-CnH2n+1(式中、nは、1〜10の範囲であり得る)であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、又はデシル等が含まれる。本明細書で使用されるアルキルは、さらに置換されていてもよい。
本明細書で使用される「シクロアルキル」という用語は、一般式:-CnH2n-1(式中、nは3〜10の間である)を有する環状の/環構造の炭素鎖を指し、例えば、シクロプロピル、シクロビチル(cyclobytyl)、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、又はシクロオクチル、ビサイクル[3.2.1]オクチル(bicycle[3.2.1]octyl)、スピロ[4,5]デシル、ノルピニル(norpinyl)、ノルボニル(norbonyl)、ノルカプリル(norcapryl)、アダマンチル(adamantly)等が含まれる。
本明細書で使用される、「アルケン」という用語は、少なくとも2つの炭素原子が、二重結合で結ばれている、炭素原子及び水素原子から構成される直鎖又は分岐鎖を指し、例えば、2〜10個の炭素原子及び少なくとも1つの二重結合を有するC2-10アルケニル不飽和炭化水素鎖等が含まれる。C2-6アルケニル基としては、ビニル、1-プロペニル、アリル、iso-プロペニル、n-ブテニル、n-ペンテニル、n-ヘキセニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
本文脈において、「C1-10アルコキシ」という用語は、単独又は組み合わせて用いられる-O-C-1-6アルキル基を意味する(式中、C1-10アルキルは上で定義した通りである)。直鎖アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、及びヘキソキシである。分岐アルコキシの例は、iso-プロポキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、iso-ペントキシ、及びiso-ヘキソキシである。環状アルコキシの例は、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、及びシクロヘキシルオキシである。
本明細書で使用される「C3-7ヘテロシクロアルキル」という用語は、独立してその環に、窒素、酸素、及び硫黄から選択される1個以上のヘテロ原子を含む環状炭化水素のような、完全に飽和したヘテロ環の基を示す。ヘテロ環の例としては、ピロリジン(1-ピロリジン、2-ピロリジン、3-ピロリジン、4-ピロリジン、5-ピロリジン)、ピラゾリジン(1-ピラゾリジン、2-ピラゾリジン、3-ピラゾリジン、4-ピラゾリジン、5-ピラゾリジン)、イミダゾリジン(1-イミダゾリジン、2-イミダゾリジン、3-イミダゾリジン、4-イミダゾリジン、5-イミダゾリジン)、チアゾリジン(2-チアゾリジン、3-チアゾリジン、4-チアゾリジン、5-チアゾリジン)、ピペリジン(1-ピペリジン、2-ピペリジン、3-ピペリジン、4-ピペリジン、5-ピペリジン、6-ピペリジン)、ピペラジン(1-ピペラジン、2-ピペラジン、3-ピペラジン、4-ピペラジン、5-ピペラジン、6-ピペラジン)、モルホリン(2-モルホリン、3-モルホリン、4-モルホリン、5-モルホリン、6-モルホリン)、チオモルホリン(2-チオモルホリン、3-チオモルホリン、4-チオモルホリン、5-チオモルホリン、6-チオモルホリン)、1,2-オキサチオラン(3-(1,2-オキサチオラン)、4-(1,2-オキサチオラン)、5-(1,2-オキサチオラン))、1,3-ジオキソラン(2-(1,3-ジオキソラン)、3-(1,3-ジオキソラン)、4-(1,3-ジオキソラン))、テトラヒドロピラン(2-テトラヒドロピラン、3-テトラヒドロピラン、4-テトラヒドロピラン、5-テトラヒドロピラン、6-テトラヒドロピラン)、ヘキサヒドロピラジジン(hexahydropyradizine)、(1-(ヘキサヒドロピラジジン)、2-(ヘキサヒドロピラジジン)、3-(ヘキサヒドロピラジジン)、4-(ヘキサヒドロピラジジン)、5-(ヘキサヒドロピラジジン)、6-(ヘキサヒドロピラジジン))が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「C1-10アルキル-C3-10シクロアルキル」という用語は、上で定義したアルキル基のうち示された数の炭素原子を有するものを介して結合した、上で定義したシクロアルキル基を指す。
本明細書で使用される「C1-10アルキル-C3-7ヘテロシクロアルキル」という用語は、上で定義したアルキル基のうち示された数の炭素原子を有するものを介して結合した、上で定義したヘテロシクロアルキル基を指す。
本明細書で使用される「アリール」という用語は、炭素芳香環系を含むことを意図している。アリールは、また、以下に列挙する炭素環系の部分水素化誘導体をも含むことを意図している。
本明細書で使用される「ヘテロアリール」という用語は、フリル、チエニル、ピロリル等の窒素、酸素、及び硫黄から選択される1個以上のヘテロ原子を含む複素環不飽和環系を含み、以下に列挙する複素環系の部分水素化誘導体をも含むことを意図する。
本明細書で使用される「アリール」及び「ヘテロアリール」という用語は、任意に非置換体又は1、2、若しくは3置換体であり得るアリール、又は任意に非置換体又は1、2、又は3置換体であり得るヘテロアリールを指す。「アリール」及び「ヘテロアリール」の例としては、フェニル、ビフェニル、インデニル、ナフチル(1-ナフチル、2-ナフチル)、N-ヒドロキシテトラゾリル、N-ヒドロキシトリアゾリル、N-ヒドロキシイミダゾリル、アントラセニル(1-アントラセニル、2-アントラセニル、3-アントラセニル)、フェナントレニル、フルオレニル、ペンタレニル、アズレニル、ビフェニレニル、チオフェニル(1-チエニル、2-チエニル)、フリル(1-フリル、2-フリル)、フラニル、チオフェニル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、ピラニル、ピリダジニル、ピラジニル、1,2,3-トリアジニル、1,2,4-トリアジニル、1,3,5-トリアジニル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、テトラゾリル、チアジアジニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル(チアナフテニル)、インドリル、オキサジアゾリル、イソオキサゾリル、キナゾリニル、フルオレニル、キサンテニル、イソインダニル、ベンズヒドリル、アクリジニル、ベンズイソオキサゾリル、プリニル、キナゾリニル、キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、フテリジニル(phteridinyl)、アゼピニル、ジアゼピニル、ピロリル(2-ピロリル)、ピラゾリル(3-ピラゾリル)、5-チオフェン-2-イル-2H-ピラゾール-3-イル、イミダゾリル(1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、5-イミダゾリル)、トリアゾリル(1,2,3-トリアゾール-1-イル、1,2,3-トリアゾール-2-イル、1,2,3-トリアゾール-4-イル、1,2,4-トリアゾール-3-イル)、オキサゾリル(2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル)、チアゾリル(2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル)、ピリジル(2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル)、ピリミジニル(2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、6-ピリミジニル)、ピラジニル、ピリダジニル(3-ピリダジニル、4-ピリダジニル、5-ピリダジニル)、イソキノリル(1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル、6-イソキノリル、7-イソキノリル、8-イソキノリル)、キノリル(2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、6-キノリル、7-キノリル、8-キノリル)、ベンゾ[b]フラニル(2-ベンゾ[b]フラニル、3-ベンゾ[b]フラニル、4-ベンゾ[b]フラニル、5-ベンゾ[b]フラニル、6-ベンゾ[b]フラニル、7-ベンゾ[b]フラニル)、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル(2-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、3-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、4-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、5-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、6-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、7-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル))、ベンゾ[b]チオフェニル(2-ベンゾ[b]チオフェニル、3-ベンゾ[b]チオフェニル、4-ベンゾ[b]チオフェニル、5-ベンゾ[b]チオフェニル、6-ベンゾ[b]チオフェニル、7-ベンゾ[b]チオフェニル)、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル(2-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)、3-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)、4-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)、5-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)、6-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)、7-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル))、インドリル(1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル)、インダゾリル(1-インダゾリル、2-インダゾリル、3-インダゾリル、4-インダゾリル、5-インダゾリル、6-インダゾリル、7-インダゾリル)、ベンズイミダゾリル、(1-ベンズイミダゾリル、2-ベンズイミダゾリル、4-ベンズイミダゾリル、5-ベンズイミダゾリル、6-ベンズイミダゾリル、7-ベンズイミダゾリル、8-ベンズイミダゾリル)、ベンズオキサゾリル(1-ベンズオキサゾリル、2-ベンズオキサゾリル)、ベンゾチアゾリル(1-ベンゾチアゾリル、2-ベンゾチアゾリル、4-ベンゾチアゾリル、5-ベンゾチアゾリル、6-ベンゾチアゾリル、7-ベンゾチアゾリル)、カルバゾリル(1-カルバゾリル、2-カルバゾリル、3-カルバゾリル、4-カルバゾリル)が挙げられるが、これらに限定されない。部分水素化誘導体の非限定的な例は、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、1,4-ジヒドロナフチル、ピロリニル、ピラゾリニル、インドリニル、オキサゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゼピニル等である。
本明細書で使用される「アシル」という用語は、カルボニル基:-C(=O)R(式中、R基は、上で定義した基のいずれかである)を指す。具体例は、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ビツリル(byturyl)、ペンタノイル、ベンゾイル等である。
代表的な化合物類を、以下に、No.1〜18として示す。他の代表的な化合物類は、本明細書のリストに挙げられている:
Figure 2017510603
Figure 2017510603
Figure 2017510603
以下の薬剤物質が、複合体Iの欠陥、機能不全、又は障害を引き起こすものとして及び/又は乳酸アシドーシスを副作用として持つものとして知られている:
鎮痛薬:アセトアミノフェン、カプサイシンを含む
抗狭心症薬:アミオダロン、ペルヘキシリンを含む
抗生物質:リネゾリド、トロバフロキサシン、ゲンタマイシンを含む
抗がん剤:マイトマイシンC、アドリアマイシンを含むキノン類を含む
抗けいれん薬:バルプロ酸を含む
抗糖尿病薬:メトホルミン、フェンホルミン、ブチルビグアナイド、トログリタゾン、及びロシグリタゾン、ピオグリタゾンを含む
抗B型肝炎薬:フィアルリジンを含む
抗ヒスタミン薬
抗パーキンソン病薬:トルカポンを含む
抗精神病薬:リスペリドン
抗統合失調症薬:ゾテピン、クロザピン
消毒薬:四級アンモニウム化合物類(QAC)
抗結核薬:イソニアジドを含む
フィブラート類:クロフィブラート、シプロフィブラート、シンバスタチンを含む
睡眠薬:プロポフォールを含む
免疫抑制性疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD):レフルノミド
局所麻酔薬:ブピバカイン、ジクロフェナク、インドメタシン、及びリドカインを含む
筋弛緩薬:ダントロレンを含む
神経遮断薬:クロルプロマジン、フルフェナジン、及びハロペリドールのような抗精神病性神経遮断薬を含む
NRTI(ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤):エファビレンツ、テノホビル、エムトリシタビン、ジドブジン、ラミブジン、リルピビリン、アバカビル、ジダノシンを含む
NSAID類:ニメスルフィド(nimesulfide)、メフェナム酸、スリンダクを含む
バルビツール酸類。
乳酸アシドーシスを副作用として持つことが知られている他の薬剤物質としては、ベータ2-アゴニスト、エピネフリン、テオフィリンが挙げられる。アルコール類及びコカインも、乳酸アシドーシスを引き起こし得る。
更に、乳酸アシドーシスが複合体I欠陥に関連していない場合でも、サクシネートプロドラッグ類は、その乳酸アシドーシスの治療又は予防に効果的であり得ることが想定される。
(薬剤及びサクシネートプロドラッグの組み合わせ)
本発明は、また、乳酸アシドーシス、及び複合体Iの欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用から選択される薬剤誘発性副作用の治療及び/又は予防における使用のための、薬剤物質及びサクシネートプロドラッグの組み合わせであって、
i)該薬剤物質は、該薬剤物質が適応となっている疾患の治療のために用いられ、かつ
ii)該サクシネートプロドラッグは、該薬剤物質により誘発された、又は誘発され得る副作用の予防又は軽減のために用いられ、該副作用が、乳酸アシドーシス、及び複合体Iの欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用から選択される、前記組み合わせに関する。
このような薬剤物質と、任意のサクシネートプロドラッグとのいかなる組み合わせであっても、本発明の範囲内である。従って、本明細書の開示に基づき、当業者は、本発明の要旨が、本明細書に記載した副作用を回避又は低減するという、サクシネートプロドラッグ類の価値ある性質を発見することにあるということを理解するであろう。従って、細胞内に進入可能であり、サクシネート、及びことによると他の活性な部分を送達することが可能であるサクシネートプロドラッグ類を、本明細書に記載した副作用を有する又は有する可能性のある任意の薬剤物質と組み合わせて用い得ることは、本開示から明らかである。
本発明は更に、以下に関する:
i)薬剤物質及びサクシネートプロドラッグを含む組成物であって、該薬剤物質が、乳酸アシドーシス、及び複合体Iの欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用から選択される薬剤誘発性副作用を有し得る、前記組成物、
ii)上記i)以下に記載の組成物であって、前記サクシネートプロドラッグが、前記薬剤物質により誘発された、又は誘発され得る副作用の予防又は軽減のために用いられ、該副作用が、乳酸アシドーシス、及び複合体Iの欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用から選択される、前記組成物。
組成物は、以下の2つの別々のパッケージの形態であってもよい:
前記薬剤物質又は前記薬剤物質を含む組成物を含む第1のパッケージ、及び
サクシネートプロドラッグ又はサクシネートプロドラッグを含む組成物を含む第2のパッケージ。この組成物は、薬剤物質及びサクシネートプロドラッグの双方を含む単一の組成物であってもよい。
組成物が、2つの別々のパッケージを含む場合には、薬剤物質及びサクシネートプロドラッグは、異なる投与経路で投与してもよい(例えば、薬剤物質を経口投与で、サクシネートプロドラッグを非経口投与又は粘膜投与で投与)、及び/又はこれらは本質的に同時に投与してもよく、又はサクシネートプロドラッグの前に薬剤物質を投与してもよく、又はその逆でもよい。
サクシネートプロドラッグ、その組み合わせ、又はその組成物は、任意の慣用方法により投与してよく、例えば、これらに限定されないが、非経口的に、経口的に、局所(頬側、舌下、又は経皮を含む)的に、医療機器(例えば、ステント)により、吸入により、又は注射(皮下又は筋肉内)により投与してもよい。治療は、単回投与、又はある期間にわたる複数回投与からなっていてもよい。
本発明の化合物を、単独で投与することも可能ではあるが、1以上の許容し得る担体と一緒に、医薬製剤として提供することが好ましい。この/これらの担体は、本発明の化合物と共存可能であり、かつ、その受容者に対し有害ではないという意味で「許容し得る」ものである必要がある。以下に、好適な担体の例を、より詳細に説明する。
好都合には、組成物は、単位剤形で提供されてもよく、薬学分野において周知の方法のうちの任意のもので製造してもよい。このような方法は、活性原料(サクシネートプロドラッグ、及び、任意に、本明細書に記載する薬剤物質)を、1以上の副原料を構成する担体と会合させる工程を含む。一般に、これらの製剤は、活性原料を、液状担体、又は、細かく分割した固体担体、又はその両者と均一にかつ密接に会合させ、その後、必要に応じて、得られたものを成形することにより製造される。
サクシネートプロドラッグ、その組み合わせ、又はその組成物は、通常、活性原料を含む医薬製剤の形態で、任意に、無毒性の有機又は無機の酸又は塩基付加塩の形態で、医薬として許容し得る剤形で、静脈内に、経口的に、又は任意の非経口経路により、投与されるものである。治療される障害及び患者、及び投与経路に応じて、本組成物は、様々な投与量で投与されてもよい。
注射可能な用途に適した本発明の医薬組成物としては、無菌の水溶液又は水分散液が挙げられる。更に、本組成物は、無菌の注射可能な溶液又は分散液を即時調製するための、無菌の粉末の形態であり得る。いずれの場合にも、この最終的な注射可能な形態は、無菌である必要があり、注射器で扱いやすいように、実質上流体である必要がある。
本医薬組成物は、製造及び保存条件下で安定である必要がある;従って、細菌及び真菌等の微生物の汚染作用に対して保存が効くことが好ましい。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液状ポリエチレングリコール)、植物油、及びこれらの適当な混合物を含む溶媒又は分散媒であり得る。
例えば、本発明の化合物は、即放性、遅延放出性、又は徐放性の用途に、着香料又は着色剤を含んでいてもよい錠剤、カプセル剤、胚珠(ovules)、エリキシル剤、液剤、又は懸濁剤の形態で、経口、頬側、又は舌下投与することも可能である。
経口投与に適した本発明の化合物の液剤又は懸濁剤は、賦形剤、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド、分散剤、例えば、ポリソルベート80、界面活性剤、及び可溶化剤、例えば、ポリエチレングリコール、フォーサル(Phosal)50PG(ホスファチジルコリン、大豆脂肪酸、エタノール、モノ/ジグリセリド、プロピレングリコール、及びアスコルビン酸パルミテートからなる)を含んでもよい。
このような錠剤は、結晶セルロース、ラクトース(例えば、ラクトース・一水和物又は無水ラクトース)、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、及びグリシン、ブチルヒドロキシトルエン(E321)、クロスポビドン、ヒプロメロース等の賦形剤、デンプン(好ましくは、トウモロコシ、ジャガイモ、又はタピオカデンプン)、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、及びある種の複合ケイ酸塩等の崩壊剤、及びポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシ-プロピルセルロース(HPC)、マクロゴール8000、スクロース、ゼラチン、及びアラビアゴム等の顆粒結合剤を含有してもよい。更に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、及びタルク等の潤滑剤が含まれていてもよい。ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートも、賦形剤として利用可能である。しかしながら、この物質は、体温を超える温度でのみサクシネートを遊離するようであるため、本発明の範囲には含まれない。
ゼラチンカプセル剤中の充填剤として、同様のタイプの固形組成物を採用してもよい。この点において好ましい賦形剤としては、ラクトース、デンプン、セルロース、乳糖、又は高分子量ポリエチレングリコール類が挙げられる。水性懸濁剤及び/又はエリキシル剤については、本発明の化合物類は、種々の甘味又は着香料、着色剤又は色素と共に、乳化及び/又は懸濁化剤と共に、及び水、エタノール、プロピレングリコール、及びグリセリン等の希釈剤、及びそれらの組み合わせと共に組み合わせてもよい。
錠剤は、任意に、1以上の副原料と一緒に、圧縮又は成形することにより製造してもよい。圧縮錠は、任意に、結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋型ポビドン、架橋型カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤又は分散剤と混合した散剤又は顆粒剤等の自由流動性の形態の活性原料を、適当な装置内で、圧縮することにより製造してもよい。湿製錠は、不活性液状希釈剤により湿らせた、粉末化した化合物の混合物を、適当な装置内で成形することにより製造してもよい。錠剤は、任意に、被覆され又は刻み目をつけられて(scored)いてもよく、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを、望まれる放出プロファイルを提供する様々な比率で用いて、内部の活性原料の徐放又は制御された放出が提供されるように調剤されていてもよい。
経口投与に適した本発明に係る製剤は、それぞれ所定量の活性原料を含有するカプセル剤、カシェ剤、又は錠剤等の不連続な単位として提供されてもよく;散剤又は顆粒剤として;水系液体又は非水系液体を用いた液剤又は懸濁剤として;又は水中油型乳剤又は油中水型乳剤として提供されてもよい。活性原料は、巨丸剤、舐剤、又はペースト剤として提供されてもよい。
口腔での局所投与に適した製剤としては、活性原料を、通常、スクロース及びアラビアゴム又はトラガカントである味付けした基剤中に含むロゼンジ;活性原料を、ゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアラビアゴム等の不活性基剤中に含むトローチ(pastilles);及び活性原料を適当な液状担体に含む口腔洗浄剤が挙げられる。
本発明の製剤は、問題となっている製剤の種類を考慮して、上記で特に言及した材料に加えて、本技術分野において慣用の他の薬剤を含んでいてもよく、例えば、経口投与に適した本発明の製剤は、着香料を含んでいてもよいことを理解すべきである。
局所投与に適した医薬組成物は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、散剤、液剤、ペースト剤、ゲル剤、含浸包帯、スプレー剤、エアロゾル剤、又は油剤、経皮デバイス、散粉剤等として調剤されてもよい。これらの組成物は、活性な薬剤を含んで、慣用方法により製造してもよい。従って、これらの組成物は、防腐剤、薬剤の浸透を補助する溶媒、クリーム剤又は軟膏剤における軟化薬、及びローション剤におけるエタノール又はオレイルアルコール等の共存可能な慣用の担体及び添加剤をも含み得る。このような担体は、組成物のおよそ1%から最大でおよそ98%として存在していてもよい。より一般的には、このような担体は、最大で組成物のおよそ80%を形成するものである。単なる例示であるが、クリーム剤又は軟膏剤は、およそ5〜10重量%の化合物を含む十分な量の親水性材料及び水を、望ましい粘稠性(consistency)を有するクリーム剤又は軟膏剤を製造するのに十分な量で混合することで製造される。
経皮投与に適した医薬組成物は、長期間にわたり受容者の表皮と密着し続けることを意図した、不連続の貼付剤として提供されてもよい。例えば、活性な薬剤は、イオン泳動により貼付剤から送達されてもよい。
例えば、口腔及び皮膚等の外部組織への適用のためには、組成物は、好ましくは、局所用軟膏剤又はクリーム剤として塗布される。軟膏剤に調剤された場合には、活性な薬剤は、パラフィン系又は水混和性軟膏基剤のいずれかと共に採用してもよい。
また、活性な薬剤は、クリーム剤において、水中油型クリーム基剤又は油中水型基剤と共に調剤されてもよい。
非経口的投与に関しては、活性原料及び、例えば、これらに限定されないが、水、アルコール、ポリオール、グリセリン、及び植物油等の無菌のビヒクルを利用して、流動性の単位剤形が製造される。なお、ここでは水が好ましい。活性原料は、用いたビヒクル及び濃度に応じて、ビヒクル中で、懸濁している、又は溶解しているのいずれかであり得る。液剤の製造においては、活性原料は、注射用水に溶解させることが可能であり、適当なバイアル又はアンプルに充填し密封する前に、フィルターにより滅菌可能である。
組成物は、粘度調製剤、pH-調製剤、浸透圧調製剤、安定化剤、防腐剤等の添加剤を含有していてもよい。
有利なことに、局所麻酔薬、防腐剤、及び緩衝剤等の薬剤は、溶媒に溶解させることが可能である。安定性を増すために、組成物は、バイアルに充填後、凍結可能であり、真空下で水を除去可能である。このドライな凍結乾燥粉末は、その後バイアルに密封される。使用の前に液剤を再構成するために、付属の注射用水のバイアルが提供されてもよい。
非経口懸濁剤は、活性原料を、ビヒクルに溶解させる代わりに懸濁させること、及び滅菌が濾過では出来ないことを除き、液剤と実質的に同一の方法で製造される。活性原料は、無菌のビヒクルに懸濁する前に、エチレンオキシドに曝すことで滅菌可能である。有利には、活性原料が均一に分布することを容易とするために、組成物には、界面活性剤又は湿潤剤が含まれる。
当業者であれば、本発明の化合物の至適量及び各投薬間の間隔は、治療されている疾病の性質及び程度、投与の形態、経路、及び部位、並びに治療されている個々の対象の年齢及び疾病により決定されるものであること、及び、最終的には、医師が、使用すべき適切な用量を決定するものであることを認めるであろう。この投薬は、適切な頻度で繰り返されてもよい。副作用が生じた場合、投薬の量及び/又は頻度は、通常の臨床業務に従って変更又は削減可能である。
(キット)
本発明はまた、以下を含むキットを提供する:
i)乳酸アシドーシス、及び複合体Iの欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用から選択される薬剤誘発性副作用を有し得る薬剤物質を含む第1の容器、及び
ii)該薬剤物質により誘発された、又は誘発され得る副作用を予防又は軽減する可能性があるサクシネートプロドラッグを含む第2の容器であって、該副作用が、乳酸アシドーシス、及び複合体Iの欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用から選択される前記第2の容器。
(治療/予防する方法)
本発明はまた、乳酸アシドーシス、及び複合体Iの欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用から選択される薬剤誘発性副作用を被っている対象を治療する方法であって、該対象に、サクシネートプロドラッグを有効量投与することを含む前記方法、及び乳酸アシドーシス及び複合体Iの欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用から選択される副作用を誘発し得る薬剤物質により治療される疾患に罹患する対象において、乳酸アシドーシス及び複合体Iの欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用から選択される薬剤誘発性副作用を予防又は軽減する方法であって、該薬剤物質による治療前、治療中、又は治療後に、該対象に、サクシネートプロドラッグを有効量投与することを含む、前記方法に関する。
本発明の一態様について記載された詳細及び具体的な点は、本発明の他の態様の全てに準用される。
以下において、本発明を、薬剤物質であるメトホルミン、及び本明細書の実施例を用いて説明するが、何ら本発明を限定する意図はない。
(メトホルミン)
メトホルミンは、ビグアナイド類に属する抗糖尿病薬である。メトホルミンは、米国での糖尿病例の90%前後を占める2型糖尿病に対する、第1選択治療である(Golanら2012、Prottiら2012b)。抗糖尿病作用は、肝グルコース産生を減少させること、末梢組織でのグルコース取り込みの増加を介してインスリンの生物学的作用を増加させること、及び腸管でのグルコースの取り込みを減少させることに起因するとされているが、作用の正確な機構は、完全には解明されていない(Kirpichnikovら2002、Golanら2012)。他の抗糖尿病薬と比較して有利な立場にはあるが、メトホルミンは、副作用としての乳酸アシドーシス(LA)の稀な症例に関連している(Golanら2012)。LAは、増加したアニオンギャップ、5mM以上の動脈血中乳酸レベル、及びpH≦7.35と定義される(Lalau、2010)。メトホルミン関連LAの正確な病態形成は、いまだ完全には明らかにされていないが、糖新生の阻害、及びその結果生じるアラニン、ピルビン酸、及び乳酸等の糖新生前駆体の蓄積であると提案されている(Salpeterら2010)。しかしながら、他の者は、主要な治療上のグルコース低下作用(Owenら2000、El-Mir2000)、及びメトホルミン関連LAの発症(Prottiら2012b、Dykensら2008、Brunmairら2004)の双方に対しての、ミトコンドリアの機能が重要なファクターである薬剤の干渉を提案している。ミトコンドリア阻害の結果として、細胞は、部分的に、好気性代謝から嫌気性代謝へと移行し、解糖を促進し、結果として乳酸レベルが上昇し得る(Owenら2000)。メトホルミンと同じ薬種の、別の抗糖尿病剤であるフェンホルミンは、LAの高い発生率のために、大部分の国で市場から撤退している(10000治療年数あたり4例)。比較すると、メトホルミンでのLAの発生率は、フェンホルミンでの発生率のおよそ1/10であり、メトホルミンは、従って、どちらかといえば安全な治療薬であると考えられている(Sogameら2009、Salpeterら2010)。メトホルミン関連LAは、主に、心臓血管系、肝臓、又は腎臓に影響を及ぼす、さらなる素因的疾病を有する患者にみられる。このような疾病の下では、体からの薬物クリアランスが損なわれており、その時には観察されないにしても、結果として、メトホルミンの血中濃度の上昇が生ずる(Lalau2010、Kirpichnikovら2002)。2型糖尿病の有病率の増加のために、メトホルミンの使用は増加すると期待される(Prottiら2012b)ため、メトホルミン誘発性ミトコンドリア毒性及びLAの研究は、目下の緊急の課題となる。メトホルミンのミトコンドリア毒性の研究により、矛盾する結果が報告されている。Kaneら(2010)は、ラット由来の骨格筋で、インビボで、基礎呼吸及び最大呼吸能の、メトホルミンによる阻害を検出しておらず、Larsenら(2012)も、メトホルミンにより治療された2型糖尿病患者の筋生検において、それを検出していない。これに対し、他の者は、ミトコンドリアに対するメトホルミン及びフェンホルミンの毒作用、及び動物組織でのメトホルミンのLAとの関連を述べている(Owenら2000、Brunmairら2004、Carvalhoら2008、El-Mir2000、Dykensら2008、Kaneら2010)。特に、生体外又は生体内でのヒト組織に関するデータは乏しい。ヒト組織検体を入手することが困難であるために、メトホルミン及びLAに関するヒトのデータの大部分は、遡及的研究に基づいている。しかしながら、Prottiら(2010)は、ビグアナイド関連LA患者での、全身酸素消費量の減少を報告し、Prottiら(2012b)及びLarsenら(2012)の両者は、ヒト骨格筋及び血小板のそれぞれにおける、≦10mMでのメトホルミンへの曝露へ応答した、インビトロでのミトコンドリア機能障害を記述した。Prottiら(2012b)は、更に、1mMでのメトホルミンへの曝露へ応答した、ヒト血小板での乳酸放出の増加を報告した(Prottiら2012b)。治療条件では、このような濃度でメトホルミンがみられることはないが、中毒時には血液中で、これらのレベルに近づくことが示されており、消化管、腎臓、肝臓、唾液腺、肺、脾臓、及び筋肉では、血漿中と比較して7〜10倍蓄積することが知られている(Grahamら2011、Bailey1992、Schulz及びSchmoldt2003、Al-Abriら2013、Prottiら2012b、Scheen1996)。
本明細書に報告する研究においては、高分解能呼吸測定を用いて、ヒト血液細胞でのメトホルミン及びフェンホルミンのミトコンドリア毒性を評価することが目的であった。フェンホルミンを含めたのは、2つの似た構造の薬剤の活性を比較するため、及びミトコンドリア毒性と、ヒト患者で述べられているLAの発生率との関係を研究するためである。膜透過性、及びこれらビグアナイド類の毒性の具体的な標的を調査するために、インタクトな血液細胞及び透過処理した血液細胞双方を用い、呼吸複合体特異的基質及び阻害剤を順次添加する、薬物毒性を試験するためのモデルを適用した。
(図面の説明文)
透過処理したヒト末梢血単核球(PBMC)及び血小板での、ミトコンドリアの呼吸に対するメトホルミンの作用。(a)表示された呼吸複合体特異的基質及び阻害剤の順次添加を適用することにより評価された、メトホルミン(1mM、黒色の軌跡)又はビヒクル(H2O、灰色の軌跡)で処理した、透過処理したPBMCの、同時に測定されたO2消費の代表的な軌跡。軌跡の安定化段階、チャンバの再酸素負荷に起因する変動、及び複合体IV基質の投与は、省略されている(破線)。軌跡の下の箱には、与えられた基質の酸化の間に、呼吸に利用される呼吸複合体である、複合体I(CI)、複合体II(CII)、又は双方(CI+II)を記載すると共に、プロトコールの表示された部分での呼吸状態を記載している。コントロール(H2O)及び表示されたメトホルミンの濃度に対して、3種の異なる呼吸状態での呼吸レート、及び基質の組み合わせを、PBMCs(b)及び血小板(c)について例示する:複合体I基質に支持される酸化的リン酸化能(OXPHOSCI)、プロトノフォアであるFCCPの漸増後の、電子伝達系を介する複合体II依存性最大流束(ETSCII)、及び複合体IV(CIV)能。値は、平均値±SEMとして表している。Holm-Sidakの多重比較法と共に一元配置分散分析を用い、*=P<0.05、**=P<0.01、及び***=P<0.001であり、n=5である。OXPHOS=酸化的リン酸化。ETS=電子伝達系。ROX=残存酸素濃度。 透過処理したヒト血小板での、複合体I関連基質に支持された酸化的リン酸化(OXPHOSCI)の期間のミトコンドリアの呼吸能に対し、メトホルミン及びフェンホルミンにより発揮される毒性の用量応答比較。呼吸のレートは、平均値±SEMとして示し、メトホルミン及びフェンホルミンの最大半数阻害濃度(IC50)値を得るために、標準非線形曲線フィッティングを適用した。Holm-Sidakの多重比較法と共に一元配置分散分析を用い、コントロールと比較して、*=P<0.05、**=P<0.01、及び***=P<0.001であり、n=5である。 インタクトなヒト血小板での、ミトコンドリアの呼吸に対する、メトホルミンの時間及び用量依存的作用。(a)血小板のルーチンの呼吸、すなわち、内在性基質供給及びATP需要に伴う細胞の呼吸を、表示された濃度のメトホルミン又はビヒクル(H2O)の60分間のインキュベーションの間監視し、(b)インタクトな細胞の電子伝達系(ETS)を介する最大流束を測定するための、プロトノフォアであるFCCPの漸増により誘発された最大呼吸能がそれに続く。データは、平均値±SEMとして表わされ、n=5である。Holm-Sidakの事後検定を伴う一元配置分散分析(b)及び二元配置分散分析(a)を用い、*=P<0.05、**=P<0.01、及び***=P<0.001である。 インタクトなヒト血小板の懸濁液での、乳酸産生及びpHに対する、メトホルミン及びフェンホルミンの作用。血小板は、メトホルミン(10mM、1mM)、フェンホルミン(0.5mM)、複合体I阻害剤であるロテノン(2μM)、又はビヒクル(DMSO、コントロール)のいずれかと共に、グルコース(10mM)を含有するリン酸緩衝食塩水中で、8時間インキュベートした。(a)乳酸レベルは、2時間毎に測定し(n=5)、(b)pHは、4時間毎に測定した(n=4)。データは、平均値±SEMとして表わされる。Holm-Sidakの事後検定を伴う二元配置分散分析を用い、*=P<0.05、**=P<0.01、及び***=P<0.001である。 10mMのグルコースを含有するPBS中でインキュベートした、インタクトなヒト血小板(200・106/ml)。(A)10mMのメトホルミンとインキュベートした細胞を、30分毎に250μMの継続的な添加で、サクシネート又はNV118(化合物3)のいずれかにより処理した。0時間でのNV118の添加の前に、等しい初期乳酸レベルを確立するために、細胞を、メトホルミン又はビヒクルのみと1時間インキュベートしておく(データは示していない)。乳酸濃度は、30分毎にサンプリングした。(B)非線形フィット回帰により、乳酸産生を算出し、時間-乳酸曲線に対して、95%信頼区間を算出した。メトホルミンとインキュベートした細胞は、コントロールよりも有意に高い乳酸の産生を有し、サクシネートの添加は、このことを変化させなかった。メトホルミンとインキュベートした細胞に、NV118を加えた場合には、乳酸産生は有意に減少した。(C)ロテノン誘発性乳酸産生は、NV118を繰り返し添加することにより、同様に減弱できた。 10mMのグルコースを含有するPBSでインキュベートされたインタクトなヒト血小板(200・106/ml)。(A)10mMのメトホルミンとインキュベートした細胞を、30分毎に250μMの継続的な添加で、サクシネート又はNV189(化合物5)のいずれかにより処理した。0時間でのNV189の添加の前に、等しい初期乳酸レベルを確立するために、細胞を、メトホルミン又はビヒクルのみと1時間インキュベートしておく(データは示していない)。乳酸濃度は、30分毎にサンプリングした。(B)非線形フィット回帰により、乳酸産生を算出し、時間-乳酸曲線に対して、95%信頼区間を算出した。メトホルミンとインキュベートした細胞は、コントロールよりも有意に高い乳酸の産生を有し、サクシネートの添加は、このことを変化させなかった。メトホルミンとインキュベートした細胞に、NV189を加えた場合には、乳酸産生は有意に減少した。(C)ロテノン誘発性乳酸産生は、NV189を繰り返し添加することにより、同様に減弱できた。アンチマイシンも加えた場合、複合体2に対するNV189の作用は、アンチマイシンの複合体IIIへの阻害効果により無効化された。 10mMのグルコースを含有するPBSでインキュベートされた、インタクトなヒト血小板(200・106/ml)。(A)10mMのメトホルミンとインキュベートした細胞を、30分毎に250μMの継続的な添加で、サクシネート又はNV241(化合物15)のいずれかにより処理した。0時間でのNV241の添加の前に、等しい初期乳酸レベルを確立するために、細胞を、メトホルミン又はビヒクルのみと1時間インキュベートしておく(データは示していない)。乳酸濃度は、30分毎にサンプリングした。(B)非線形フィット回帰により乳酸産生を算出し、時間-乳酸曲線に対して95%信頼区間を算出した。メトホルミンとインキュベートした細胞は、コントロールよりも有意に高い乳酸の産生を有し、サクシネートの添加は、このことを変化させなかった。メトホルミンとインキュベートした細胞に、NV241をを加えた場合には、乳酸産生は有意に減少した。(C)ロテノン誘発性乳酸産生は、NV241を繰り返し添加することにより同様に減弱できた。 30分毎に乳酸濃度をサンプリングした、10mMのグルコースを含有するPBS中でインキュベートした血小板(200・106/ml)。(A)3時間のインキュベーションの間、経時的に、培地での乳酸濃度の変化に関し、ロテノン(2μM)又はそのビヒクルのいずれかにより処理した細胞を監視する。また、細胞を、NV189と一緒にしたロテノンと共にインキュベートし、ロテノン、NV189、及び複合体III阻害剤であるアンチマイシン(1μg/mL)と一緒の細胞を、監視する。0時間でのNV189の添加の前に、等しい初期乳酸レベルを確立するために、細胞を、ロテノン又はビヒクルのみと1時間インキュベートしておく(データは示していない)。ロテノンは、細胞の乳酸産生を増加させるが、これは、NV189(30分毎に250μMの継続的な添加)とのコインキュベーションにより、正常(同じ曲線の勾配)に戻される。アンチマイシンも存在する場合、NV189は、複合体IIのレベルでは機能することが出来ず、乳酸産生は、再び、ロテノンのみが存在する場合と同様なレベルまで増加する。(B)ロテノンと同様の乳酸産生速度を、10mMの濃度のメトホルミンとインキュベーションすることにより誘発可能である。 ブタでの、急性代謝異常発作モデルにおける乳酸蓄積。この動物モデルでは、ミトコンドリアの機能は、呼吸複合体I阻害剤であるロテノンの輸液により抑制される。細胞が、解糖にシフトするにつれ、乳酸が、体内に蓄積される。示された輸液速度でロテノン及びビヒクルにより処理された動物について、平均動脈乳酸濃度を示した。ロテノンで処理された動物において、薬剤候補を評価し、乳酸蓄積速度の減少は、ミトコンドリアATP産生の回復を表わす。
(実験)
(材料及び方法)
特に断らない限り、ヒトPBMC及び血小板の呼吸機能を評価するための方法は、Sjovallら(2013a,2013b)に従った。
(化学薬品及び材料)
Lymphoprep(商標)は、Axis-Shield PoC AS (Oslo, Norway)から購入した。残りの化学薬品は全て、Sigma-Aldrich (St. Louis, MO, USA)から入手した。
(サンプルの入手及び調製)
本研究は、スウェーデンのルンド大学の地方倫理審査委員会の承認を受けて行った(倫理審査委員会許可番号:2013/181)。書面でのインフォームドコンセントを得た後に、臨床標準手順に従い、18名の健康な成人(男性11名及び女性7名)から静脈血を、K2EDTAチューブ(EDTA二カリウムが入った、BD Vacutainer(登録商標) Brand Tube, BD, Plymouth, UK)に抜き出した。血小板の単離には、500g、室温(RT)で、10分間、全血を遠心分離した(Multifuge 1 S-R Heraeus, Thermo Fisher Scientifics, Waltham, USA)。血小板に富む血漿を、15mLのファルコンチューブに回収し、4600g、RTで、8分間遠心分離した。その結果得られたペレットを、1〜2mLのドナー自身の血漿に再懸濁した。PBMCを、フィコール密度勾配遠心分離を用いて単離した(Boyum1968)。血小板を単離した後に残った血液を、等体積の生理食塩水で洗浄し、3mLのLymphoprep(商標)の上に重層した。800g、RT(室温)で30分間遠心分離した後に、PBMC層を回収し、生理食塩水で洗浄した。250g、RTで、10分間遠心分離した後に、PBMCのペレットを、2部の生理食塩水及び1部のドナー自身の血漿に再懸濁した。PBMC及び血小板の双方について、自動血球計数器(Swelab Alfa, Boule Medical AB, Stockholm, Sweden)を用いて、細胞数を測定した。
(I.インタクトな細胞でのミトコンドリアのエネルギー産生機能の増強及び阻害を評価するためのアッセイ)
(高分解能呼吸測定-A 一般的方法)
ミトコンドリアの呼吸の測定を、37℃の定温で、高分解能オキシグラフ(オキシグラフ-2k, Oroboros Instruments, Innsbruck, Austria)内で行う。単離ヒト血小板、白血球細胞、線維芽細胞、ヒト心筋線維、又は生きているミトコンドリアを含有する他の細胞種を、培地中≧10pmol O2 s-1mL-1の酸素消費をもたらすのに十分な濃度で、2mLのガラス容器に懸濁する。
(高分解能呼吸測定-B(乳酸の研究に用いる))
リアルタイム呼吸計測を、高分解能オキシグラフ(オキシグラフ-2k、Oroboros Instruments, Innsbruck, Austria)を用いて行った。測定中の実験条件は、以下のようであった:37℃、2mLの有効容器容積、及び750rpmの撹拌速度。実験中に、適宜、容器に再酸素負荷することにより、O2の容器内濃度を、200〜50μMの間に保った(Sjovallら2013a)。データの記録には、DatLabソフトウエアのバージョン4及び5を用いた(Oroboros Instruments, Innsbruck, Austria)。設定、日々の較正、及び機器のバックグランド補正は、製造業者の説明書に従い行った。呼吸計測は、対応するセクションに記載されているように、0.5mMのEGTA、3mMのMgCl2、60mMのK-ラクトビオン酸、20mMのタウリン、10mMのKH2PO4、20mMのHEPES、110mMのスクロース、及び1g/Lのウシ血清アルブミン(MiR05)を含有する緩衝液中、又はグルコース(5mM)及びEGTA(5mM)を含むリン酸緩衝食塩水(PBS)中のいずれかで行った。呼吸値を、、両培地、酸素溶解性ファクターに関して補正した(0.92)(Pesta及びGnaiger2012)。10mMのグルコースを含有するPBS中で、インタクトなヒト血小板の乳酸産生を測定した。全ての測定は、200×106細胞/mLの血小板濃度、又は5×106細胞/mLのPBMC濃度で行った。
(化合物の生物学的評価(乳酸の研究には用いていない))
インタクトな細胞での4種の典型的な評価プロトコールを利用する。
(1)阻害された呼吸複合体Iを有する細胞でのミトコンドリアのエネルギー産生機能の増強のアッセイ
細胞を、110mMのスクロース、20mMのHEPES、20mMのタウリン、60mMのK-ラクトビオン酸、3mMのMgCl2、10mMのKH2PO4、0.5mMのEGTA、及び1g/lのBSAを含有する、pH7.1の緩衝液に入れる。内在性の基質でのベースライン呼吸が確立された後に、ロテノン2μMで、複合体Iを阻害する。DMSOに溶解した化合物類を、10μM〜10mMの範囲の最終濃度に、漸増する。その後、細胞膜を、ジギトニン(1mg/1*106plt)で透過処理し、細胞外で放出されたエネルギー基質、又は細胞不透過性エネルギー基質が、進入できるようにする。呼吸が安定したら、サクシネート10mMを、参照として添加し、複合体Iの下流での呼吸を可能とする。呼吸が安定したら、アンチマイシンを、1μg/mLの最終濃度で添加することにより、実験を終了させ、全ての残りの非ミトコンドリア性酸素消費を測定する。記載したプロトコールにおいて、呼吸レートの増加は、細胞が、脱共役(すなわち、ATPの産生を伴わないプロトンの漏出)されていない限り、酸化的リン酸化によるATP合成と、密接に結びついている。脱共役は、脱共役の程度が、ATP合成酵素阻害剤であるオリゴマイシン添加後の呼吸レートに対応するプロトコール3において、オリゴマイシン(1〜2μg・mL-1)を添加することにより試験される。
(2)インタクトな細胞でのミトコンドリアのエネルギー産生機能の増強及び阻害のアッセイ
第2のプロトコールでは、上記と同一の緩衝液を用いる。基礎呼吸が確立された後に、ミトコンドリアの脱共役剤であるFCCPを、2nMの濃度で添加し、代謝要求を増加させる。呼吸の増強及び/又は阻害の濃度範囲を評価するために、DMSOに溶解した化合物類を、10μM〜10mMの最終濃度で、数段階で漸増する。複合体Iを阻害し、この呼吸複合体の下流での、残りの基質利用を明らかにするために2μMのロテノンを、及び非ミトコンドリア性酸素消費を測定するために1μg/mLの複合体III阻害剤であるアンチマイシンを添加することにより、実験を終了する。
(3)インタクトな細胞での脱共役を評価するためのアッセイ
第3のプロトコールでは、上記と同一の緩衝液を用いる。基礎呼吸が確立された後に、DMSOに溶解した1mMの化合物を添加する。その後、ATP合成酵素阻害剤であるオリゴマイシンを添加する。呼吸の減少は、ATP合成と共役した酸素消費がどの程度であるかの尺度となる。減少が無い又は極僅かであることは、その化合物が、ミトコンドリア内膜を挟んだプロトンの漏出を誘発していることを示す。脱共役剤であるFCCPは、その後、最大脱共役呼吸を誘発するように漸増される。その後、複合体Iを阻害し、この呼吸複合体の下流での残りの基質利用を明らかにするために、ロテノン(2μM)を添加する。非ミトコンドリア性酸素消費を測定するために、複合体III阻害剤であるアンチマイシンを1μg/mL添加することにより、実験を終了する。
(4)ヒト血漿中の阻害された呼吸複合体Iを有する細胞でのミトコンドリアのエネルギー産生機能の増強のアッセイ
インタクトなヒト血液細胞を、同一のドナーから得た血漿中でインキュベートする。内在性基質でのベースライン呼吸が確立された後に、2μMのロテノンで、複合体Iを阻害する。DMSOに溶解した化合物類を、10μM〜10mMの範囲の最終濃度に漸増する。最終濃度が1μg/mLのアンチマイシンを添加することにより実験を終了し、全ての残りの非ミトコンドリア性酸素消費を測定する。
(呼吸アッセイにおける望ましい化合物の性質)
記載したプロトコールにおいて、理想的な化合物は、低濃度で、プロトコール1で透過処理した後のサクシネート刺激性呼吸、及びプロトコール2での内生呼吸双方への阻害効果を伴うことなく、インタクトな細胞での呼吸を刺激する。最大刺激効果及び阻害間の濃度範囲は、可能な限り広くあるべきである。複合体III又はその下流での、ミトコンドリア毒素による呼吸の阻害の後には、呼吸は、停止されるべきである。図1及び以下のリストを参照されたい。
化合物類の望ましい性質:
・低薬物濃度で、aの最大値に達する。
・aは、実質的にa´よりも大きい。
・aは、b´に近い。
・cは、c´に近い。
・dは、d´に近い。
アッセイにおいて、細胞膜不透過性の化合物は、以下のようであると確認される:
・aが、a´に近い。
以下の場合に、薬剤候補により誘発された非ミトコンドリア性酸素消費が確認される:
・dが、d´よりも大きい。
(II.ミトコンドリア複合体I阻害剤へ曝露された細胞での乳酸蓄積の予防に関するアッセイ)
インタクトなヒト血小板、白血球細胞、線維芽細胞、又は生きているミトコンドリアを含有する他の細胞種を、10mMのグルコースを含有するリン酸緩衝食塩水中で、複合体I阻害性薬剤であるメトホルミン(10mM)、フェンホルミン(0.5mM)、又はロテノン(2μM)のいずれかと共に、8時間インキュベートする。これらの化合物による酸化的リン酸化を介するミトコンドリアATP産生の阻害は、解糖による乳酸蓄積を増加する。乳酸レベルは、Lactate Pro(商標)2血中乳酸試験計(Arkray, Alere AB, Lidingo, Sweden)、又は同様のタイプの測定法を用いて、30分毎に測定する。インキュベーションは、37℃で行う。pHは、標準pH計、例えば、PHM210(Radiometer, Copenhagen, Denmark)を用いて、インキュベーションの開始時、4及び8時間後(又はより高頻度で)測定する。開始時から、又は30〜60分後に、10μM〜5mMの範囲内の濃度で、薬剤候補をアッセイに添加する。乳酸蓄積の予防を、化合物ビヒクルのみ、典型的には、DMSOを用いた並行実験と比較する。また、薬剤候補の特異性を評価するために、薬剤候補の効果を無効とし、乳酸の産生を回復するはずである、1μg/mLの複合体III阻害剤であるアンチマイシン等の、下流の呼吸阻害剤と組み合わせ、薬剤候補を試験する。従って、アンチマイシンの使用は、アッセイに用いる細胞の乳酸産生能に対する、薬剤候補の過度な効果のコントロールでもある(図5、6、及び7参照)。
(細胞乳酸蓄積アッセイでの望ましい化合物の性質)
(1)理想的な化合物は、複合体I阻害により誘発された乳酸蓄積を予防する。すなわち、乳酸蓄積が、複合体Iが阻害されていない細胞におけるものと同様な速度に近づく。(2)乳酸蓄積の予防は、アンチマイシン等の下流の呼吸阻害剤により無効とされる。
(III.ブタでの急性代謝異常発作モデルにおける乳酸蓄積及びエネルギー阻害の予防のためのアッセイ)
リード薬剤候補は、複合体Iでのミトコンドリア機能障害に起因する代謝異常発作の概念実証生体内モデルにおいて試験される。このモデルは、ミトコンドリア複合体Iでの遺伝子変異を有する小児、又は細胞及び組織に蓄積された場合に、複合体Iを阻害する、メトホルミン等の、臨床的に用いられる薬物で治療された及びその薬物を過剰投与された患者で起こり得る重篤な疾病を模倣している。
雌性在来種ブタが、本研究に使用される。ブタは、麻酔され、輸液及び活動の監視のためのカテーテルを配置する手術に処せられる。代謝異常発作は、0.25mg/kg/時の速度で3時間、ミトコンドリア複合体I阻害剤であるロテノンを輸液すること、及び、その後に、0.5mg/kg/時で1時間輸液することにより誘発される(ビヒクルは、25%のNMP/4%のポリソルベート80/71%の水からなる)。動脈血圧等の心血管パラメーターを、大腿動脈に配置したカテーテルを介して連続的に測定する。心拍出量(CO)を、熱希釈法により15分毎に測定、記録し、スワン・ガンツ(Swan-Ganz)カテーテルから、肺動脈圧(PA、収縮期及び拡張期)、中心静脈圧(CVP)、及びSvO2を、15分毎に記録し、肺動脈楔入圧(PCWP)を30分毎に記録する。間接熱量測定を、例えば、Quark RMR ICUオプション(Cosmed, Rome, Italy)装置を用いて行う。血中ガス及び電解質を、大腿動脈及びスワン・ガンツカテーテルから採取した動脈及び静脈血の双方において測定し、ABL725血液ガス分析装置(Radiometer Medical Aps, Bronshoj, Denmark)を用いて分析する。分析には、pH、BE、ヘモグロビン、HCO3、pO2、pCO2、K+、Na+、グルコース、及び乳酸が含まれる(図9)。
(データ解析)
Graph Pad PRISMソフトウエア(Graph Padソフトウエア、バージョン6.03、La Jolla, California, USA)を用いて、統計解析を行った。呼吸、乳酸、及びpHデータは全て、平均値±SEMとして表わされる。比は、個別及び平均値としてプロットする。3群以上の1要素比較(薬剤の濃度)に対し、一元配置分散分析を用い、3群以上の2要素比較(薬剤/治療の時間及び濃度)に対し、二元配置混合モデル分散分析を用いた。多重比較を埋め合わせるための事後検定を、Holm-Sidakに従い行った。相関は、r2及びP値として表した。標準非線形カーブフィッティングを適用し、最大半数阻害濃度(IC50)値を計算した。結果は、P<0.05で、統計学的に有意であると考えられた。
(代謝異常発作の概念実証生体内モデルでの望ましい化合物の性質)
理想的な化合物は、複合体I阻害により誘発された代謝異常発作を有するブタでの、乳酸蓄積及びpH低下を減少するべきである。複合体I阻害に続くエネルギー消費の減少が、減弱されるべきである。化合物は、血液及び血行動態解析により測定されるいかなる顕性の負の作用をも誘発するべきではない。
(メタボロミクス的方法)
白血球細胞又は血小板を、標準的な方法で採取し、110mMのスクロース、20mMのHEPES、20mMのタウリン、60mMのK-ラクトビオン酸、3mMのMgCl2、10mMのKH2PO4、0.5mMのEGTA、1g/lのBSAを含有し、5mMのグルコースを含有し又はしない、pH7.1の緩衝液であるMiR05に懸濁する。サンプルを、撹拌しながら、37℃の一定温度の高分解能オキシグラフ(オキシグラフ-2k, Oroboros Instruments, Innsbruck, Austria)内で、インキュベートする。
10分後、DMSO中のロテノンを添加し(2μM)、インキュベーションを続ける。更に5分後、DMSO中の試験化合物を添加し、さらなる期間インキュベーションした後に、任意にさらなる試験化合物も添加する。インキュベーションの間、O2消費を、リアルタイムで測定する。
インキュベーションの最後に、細胞を遠心分離により回収し、5%マンニトール溶液中で洗浄し、メタノールへと抽出する。内部標準を含有する水溶液を添加し、得られた溶液を、フィルターを備えた適当な微量遠心管中で遠心分離処理する。
その結果得られる濾液を、Oogaらの文献(2011)及びOhashiらの文献(2008)の方法による、種々の1次代謝産物を定量するためのCE-MS分析の前に、真空乾燥する。
特に、TCAサイクル及び解糖における代謝産物のレベルを、本発明の化合物類の影響に関して評価する。
Oogaらの文献:脂質代謝異常におけるホメオスタシスの不均衡を明らかにする動物モデルのメタボロミックな解剖学(Metabolomic anatomy of an animal model revealing homeostatic imbalances in dyslipidaemia), Molecular Biosystems, 2011, 7, 1217-1223
Ohashiらの文献:Molecular Biosystems, 2008, 4, 135-147
(メトホルミン研究)
メトホルミン研究では、以下の化合物を用いた(また、これらは、図でも言及されている)。
Figure 2017510603
これらの化合物は、WO2014/053857に記載されるように製造した。
(実施例1及び2で報告する研究の目的)
(メトホルミンは、特異的なミトコンドリア複合体I阻害を介して、末梢血単核球及び血小板での乳酸産生を誘発する)
メトホルミンは、乳酸アシドーシスのまれな副作用を伴う広く用いられている抗糖尿病薬であり、薬剤誘発性ミトコンドリア機能障害と関連していることが提唱されている。呼吸測定を用いた、実施例1及び2に報告する本研究の目的は、乳酸アシドーシスの高い発生率のために、大部分の国で撤退している、ビグアナイド類縁体であるフェンホルミンの毒性との関連で、ヒト血液細胞へのメトホルミンのミトコンドリア毒性を評価することであった。
(実施例3で報告される本研究の目的)
サクシネートプロドラッグが、メトホルミン及びフェンホルミンの望ましくない作用を軽減又は回避する能力を調査することを目的とする。
(実施例1A)
(透過処理したヒト血小板でのミトコンドリアの呼吸に対するメトホルミン及びフェンホルミンの作用)
ビグアナイド毒性の具体的な標的を調査するために、血液細胞のジギトニン透過処理、及び呼吸複合体特異的基質及び阻害剤のMiR05培地への順次添加を用いたプロトコールを適用した。ルーチンの呼吸、すなわち、内在性基質供給及びATP需要を伴う細胞の呼吸が安定化した後に、メトホルミン、フェンホルミン、又はそれらのビヒクル(2回脱イオン化した水)を添加した。広濃度範囲の薬剤を適用した。すなわち、0.1、0.5、1、及び10mMのメトホルミン、及び25、100、及び500μMのフェンホルミンである。37℃で10分間、薬剤と共にインキュベーションした後に、前もって決定しておいた、ミトコンドリアの機能を乱すことなく最大細胞膜透過を誘発するための、及び最大呼吸能の測定を可能とするための至適ジギトニン濃度(1μg10-6血小板)のジギトニンを用いて、血小板を透過処理した(Sjovallら(2013a))。複合体I依存性酸化的リン酸化能(OXPHOSCI)を評価するために、先ず、NADH関連基質である、ピルビン酸及びリンゴ酸(5mM)、その後、ADP(1mM)、及び最後に、追加の複合体I基質であるグルタミン酸(5mM)を、順次添加した。その後、収束性の複合体I及びII依存性OXPHOS能(OXPHOSCI+II)を測定するために、FADH2関連基質である、サクシネート(10mM)を与えた。酸素消費が、ミトコンドリア膜を挟んだプロトンの逆流を埋め合わせている呼吸状態であるLEAKI+II状態(Gnaiger2008)を、ATP合成酵素阻害剤であるオリゴマイシン(1μg・mL-1)を添加することにより評価した。それに続き、プロトノフォアであるカルボニルシアニドp-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン(FCCP)を漸増することにより、複合体I及びII(ETSCI+II)を介する収束的な入力により支持される、最大脱共役呼吸電子伝達系能を評価した。複合体I阻害剤であるロテノン(2μM)の添加により、複合体II依存性最大脱共役呼吸(ETSCII)を明らかとした。その後、残りの酸素消費(ROX)を明らかとするために、複合体III阻害剤であるアンチマイシン(1μgmL-1)を与えた。最後に、複合体IV活性、及び化学的バックグラウンドのそれぞれを測定するために、人工の複合体IV基質である、N,N,N',N'-テトラメチル-p-フェニレンジアミン・二塩酸塩(TMPD、0.5mM)を加え、複合体IV阻害剤である、アジ化ナトリウム(10mM)を与えた。複合体IV活性は、TMPD値からアジ化ナトリウム値を引くことで計算した。複合体IV活性を除き、呼吸状態は全て、定常状態で測定され、ROXに関して補正された。複合体IV活性は、ROX測定の後測定され、定常状態ではなかった。OXPHOSCI+IIの間に、ビヒクル、100mMのメトホルミン、又は500μMのフェンホルミンの存在下、シトクロムc(8μM)を添加することにより、ミトコンドリア外膜の完全性を調査した。
(実施例1B)
(透過処理したヒト末梢血単核球でのミトコンドリアの呼吸、及びインタクトなヒト血小板でのミトコンドリアの呼吸に対するメトホルミンの作用)
メトホルミン(0.1,1及び10mM)へ応答した、透過処理したPBMCの呼吸を分析するために、ジギトニン濃度を6μg・10-6PBMCに調整したことを除き、透過処理した血小板に対するプロトコールと同一のプロトコールを用いた(Sjovallら2013b)。
(結果)
透過処理したヒトPBMC及び血小板の双方で、複合体I基質を用いた呼吸は、メトホルミンにより、用量依存的に阻害された(図1)。コントロールと比較して、OXPHOSCI能は、メトホルミンの濃度の増加と共に減少し、10mMでほぼ完全阻害に達し(PBMCで、-81.47%、P<0.001、及び血小板で-92.04%、P<0.001)、PBMCでは、IC50が0.45mMであり、血小板では、IC50が1.2mMであった。同時に測定された、ビヒクルにより処理され及び1mMメトホルミンにより処理され、透過処理されたPBMCのO2消費の代表的な軌跡により表わされるように、複合体I及び複合体II関連基質双方を用いる呼吸能であるOXPHOSCI+II及びETSCI+IIは、メトホルミンによるOXPHOSCIと同様に減少した(図1a)。対照的に、ETSCII能及び複合体IV活性は、いずれの細胞種においても、コントロールと比較して、メトホルミンの存在下で、有意に変化せず(図1b、c)、LEAKI+II呼吸も変化しなかった(伝統的には、単離ミトコンドリアの状態4を示すものである、酸素消費がミトコンドリア膜を挟んだプロトンの逆流を埋め合わせている呼吸状態であり、データは示していない)。細胞の洗浄及び透過処理それぞれにより、細胞外及び細胞内での薬剤を除去しても、メトホルミンにより誘発された複合体Iのミトコンドリア阻害は可逆的であるようではなかった。複合体I阻害の侵襲の重症度は、除去により減弱された(恐らく、薬剤への短い曝露時間に起因する)が、コントロールと比較して、血小板は、ルーチン及び最大のミトコンドリアの機能を回復しなかった(データは示していない)。フェンホルミンも同様に、OXPHOSCI(図2)、OXPHOSCI+II、及びETSCI+IIを阻害したが、ETSCII及び複合体IVに特異的な呼吸は阻害しなかった(データは示していない)。透過処理した血小板において、フェンホルミンは、メトホルミンと比較して、20倍強力なOXPHOSCIの阻害を示した(IC50:それぞれ、0.058mM及び1.2mM)(図2)。メトホルミン及びフェンホルミンは、シトクロムcの投与後の呼吸の増加を誘発しなかったため、ミトコンドリア外膜の完全性を破壊しなかった。
MiR05培地でのルーチンの呼吸が安定化した後に、ビヒクル(2回脱イオン化した水)又は1、10、及び100mMのメトホルミンのいずれかを加えた。LEAK呼吸を評価するための、ATP合成酵素阻害剤であるオリゴマイシン(1μg・mL-1)の添加の前に、ルーチンの呼吸を、37℃で60分間引き続き行った。内在性基質(ETS)により支持される最大脱共役呼吸電子伝達系能が、FCCPを漸増することにより達成された。ROXを評価するために、複合体I阻害剤であるロテノン(2μM)、複合体III阻害剤であるアンチマイシン(1μg・mL-1)、及び複合体IV阻害剤であるアジ化ナトリウム(10mM)で、呼吸を順次ブロックし、それらについて、全ての呼吸値を補正した。追加の実験において、血小板の単離、及び呼吸の分析の前に、異なるメトホルミン濃度(0.1、0.5、及び1mM)のK2EDTAチューブで、全血を、18時間にわたりインキュベートした。
(結果)
インタクトなヒト血小板では、メトホルミンは、ルーチンの呼吸を、用量及び時間依存的に減少させた(図3a)。メトホルミン又はビヒクルのいずれかに曝露されると、血小板は、経時的に、ルーチンの呼吸において、継続的な減少を示した。60分後、ルーチンの呼吸は、添加後1回目の測定と比較して、コントロール(P<0.05)では-14.1%減少し、メトホルミン1mMでは-17.27%(P<0.01)、10mMでは-28.61%(P<0.001)、及び100mMでは-81.78%(P<0.001)減少した。コントロールと比較して、100mMのメトホルミンは、曝露15分後で既に、ルーチンの呼吸を有意に減少させた(-39.77%、P<0.01)。60分間のインキュベーション後の血小板の最大脱共役呼吸(プロトノフォア漸増ETS能)は、10mM(-23.86%、P<0.05)及び100mM(-56.86%、P<0.001)のメトホルミンで有意に阻害された(図3b)。インタクトな細胞でのLEAK呼吸は、メトホルミンインキュベーションにより有意に変化しなかった(データは示していない)。全血を、1mMのメトホルミン濃度で、18時間にわたりインキュベートした場合、インタクトなヒト血小板のルーチンの呼吸は、30.49%減少した(P<0.05)。
(実施例2)
(インタクトなヒト血小板の乳酸産生及びpHに対するメトホルミン及びフェンホルミンの作用)
血小板を、メトホルミン(1mM、10mM)、フェンホルミン(0.5mM)、ロテノン(2μM)、又はロテノンのビヒクル(DMSO)のいずれかと共に、8時間インキュベートした。Lactate Pro(商標)2血中乳酸試験計(Arkray, Alere AB, Lidingo, Sweden)(Tannerら2010)を用いて、乳酸レベルを、2時間毎に測定した(n=5)。750rpmの撹拌速度で、37℃でインキュベーションを行い、インキュベーションの開始時、4及び8時間後に、PHM210標準pH計(Radiometer, Copenhagen, Denmark)を用いて、pHを測定した(n=4)。
(結果)
ヒト血小板において、乳酸産生は、メトホルミン及びフェンホルミンとのインキュベーションに応答して、時間及び用量依存的に増加した(図4a)。コントロールと比較して、メトホルミン(1及び10mM)、フェンホルミン(0.5mM)、及びロテノン(2μM)で処理した血小板は、全て、8時間の処理の間中、有意により多い乳酸を産生した。メトホルミン1mMでは、乳酸は、8時間で0.30±0.1から3.34±0.2へと増加し、メトホルミン10mMでは、乳酸は、0.22±0.1から5.76±0.7mMへと増加した。対応するpHは、1mM及び10mMのメトホルミンでは、双方の群で7.4±0.01だったものが、それぞれ、7.16±0.03及び7.00±0.04へと低下した。フェンホルミン(0.5mM)により処理された血小板は、10mMのメトホルミンにより処理されたサンプルと同様のレベルの乳酸をを産生した。全ての処理群において、乳酸増加のレベルは、pHの減少と相関していた。メトホルミンにより処理されたインタクトな血小板での、乳酸レベルの増加は、メトホルミンにより処理された透過処理された血小板に見られる、絶対的OXPHOSCI呼吸値の減少とも相関していた(r2=0.60、P<0.001)。限られた組の実験により、インタクトなPBMCは、また、10mMのメトホルミンへの曝露時に乳酸放出の増加を示すことがさらに示された(データは示していない)。
(実施例1及び2の結果の考察)
本研究は、メトホルミン中毒の臨床状態に関連した濃度での、ヒト血小板及びPBMCでの複合体Iに特異的な、ミトコンドリアに対するメトホルミンの非可逆的毒性作用を実証する。血小板において、本発明者らは、更に、複合体Iの呼吸の減少及び乳酸の産生の増加間の相関を示している。本発明者らが、メトホルミンに対して観察したミトコンドリア毒性は、インタクトな細胞で、時間をかけて進展した。高いLAの発生率のために大部分の国で、現在撤退している、構造的に関連した化合物であるフェンホルミンは、実質的により低い濃度で、複合体Iに特異的な作用を介して、血小板における乳酸放出及びpH低下を誘発した。
本研究において、ヒト血小板の統合的なミトコンドリアの機能を評価するために、高分解能呼吸測定法を適用したモデルを用いて、本発明者らは、メトホルミン及びフェンホルミン双方のミトコンドリア毒性が、呼吸複合体Iに特異的であること、及び、PBMCにおいても、同様な特異的阻害が存在することを実証している。透過処理したPBMCの複合体Iの呼吸は、透過処理した血小板のそれよりも、メトホルミンに対する感受性が、2.6倍高かった。しかしながら、メトホルミンの時間依存的毒性(下記を参照されたい)のために、IC50は、おそらく、過小評価であり、より長い曝露時間の後に測定すればより低くなったであろう。これらの知見は、他者により既に示されているように、メトホルミンのミトコンドリア毒性が、特定の組織に限られるものではなく、むしろ、細胞内レベルで一般化された作用であるという説をさらに補強する(Kaneら2010、Larsenら2012、Owenら2000、Dykensら2008、Brunmairら2004、Prottiら2012a)。(Prottiら2012a、Prottiら2012b)により報告された、血小板でのメトホルミン誘発性複合体IV阻害は、本研究及び単離されたウシのミトコンドリアを用いたDykensら(2008)による以前の研究では、確認されていない。更に、薬剤存在下でシトクロムcを添加した後の脱共役又は刺激応答の証拠は無かったため、メトホルミン及びフェンホルミンは、ミトコンドリア内膜又は外膜の、いかなる非特異的な透過性の変化を介した呼吸阻害をも誘発しなかった。高分解能呼吸測定法は、高感度な方法であり、ピコモル範囲のO2測定を可能とする。生体外でヒト血液細胞に適用すると、高分解能呼吸測定法は、インタクトな細胞での、完全に統合された状態での呼吸の評価を可能とし、透過処理した細胞内のインタクトなミトコンドリアへの、外部からの基質の供給及び基質の制御を可能とする。このことは、例えば、Dykensら(2008)及びOwenら(2000)による、メトホルミンのミトコンドリア毒性に関する研究で主に用いられている、酵素的分光光度的アッセイと対照的である。これらのアッセイでは、個々の複合体の独立した非統合的な機能が測定されるため、より生理学的ではなく、このことは、本発明者らの研究との間の結果の違いの一因となり得る。
本研究の結果により、8〜18時間後には既に、中毒と関連する濃度のメトホルミンにより引き起こされる、インタクトな血小板懸濁液での有意な呼吸阻害、乳酸増加、及びpH低下が示された。他者(Chanら2005、Lalau2010)により提案されているように、細胞外緩衝液の交換後、及び細胞の透過処理による可溶性メトホルミンの細胞内含有量の希釈後の回復がないことと組み合わせて、ミトコンドリアの呼吸の時間依存的阻害は、薬剤誘発性ミトコンドリア機能障害関連LAの発症に重要なファクターであるミトコンドリア内の蓄積を示している。
例えば、HepG2細胞、肝臓癌細胞株、及びラット及び雌ウシの単離ミトコンドリアに対する、フェンホルミンのミトコンドリア毒性が既に示されている(Dykensら2008)。ここでは、本発明者らは、ヒト血液細胞も用いて特異的なミトコンドリア毒性を実証した。メトホルミンと比較して、フェンホルミンは、ヒト血小板に対しより強いミトコンドリア毒性強度を有していた(IC50:それぞれ、1.2mM及び0.058mM)。フェンホルミン及びメトホルミンは、10〜15倍の臨床的投薬の差を示し(Scheen1996、Davidson及びPeters1997、Kwong及びBrubacher1998、Sogameら2009)、3〜10倍の治療血漿中濃度の差を示す(Regenthalら1999、Schulz及びSchmoldt2003)。本研究では、本発明者らは、フェンホルミン及びメトホルミン間で、20倍の複合体Iを阻害する能力の差を観察した。患者に置き換えると、臨床的投薬との関連でのミトコンドリア毒性の差は、文書で報告されている、フェンホルミンのフェンホルミン関連LAのより高い発生率を説明し得る。
メトホルミンの標準治療血漿中濃度は、0.6〜6.0μMの範囲であり、毒性濃度は、60μM〜1mMの間である(Schulz及びSchmoldt2003、Prottiら2012b)。意図しないメトホルミン中毒の症例報告では、血液透析の前に、2mMを超えるメトホルミンの血清中レベルが報告された(Al-Abriら2013)。組織分布研究により、定常状態下のメトホルミン濃度が、血漿/血清において、他の器官よりも低いことがが更に示された。血漿内レベルと比較して、メトホルミンは、7〜10倍高い濃度で消化管に蓄積し、それより少ないが、それでもなお有意に多い量のメトホルミンが腎臓、肝臓、唾液腺、肺、脾臓及び筋肉で蓄積することが示されている(Grahamら2011、Bailey1992、Scheen1996)。心臓血管系、肝臓、又は腎臓に影響を及ぼす素因的疾病等の、メトホルミンのクリアランスが損なわれた状況では、最終的には、毒性レベルに達し得る。従って、本研究でみられたメトホルミンの毒性濃度(1mM)は、メトホルミン中毒患者の血液でみられるものに匹敵する。本研究に示されるように、メトホルミンは、血液細胞に有毒ではるが、血小板及びPBMCは、LAの発症に対する主要な誘因ではなさそうである。メトホルミンは、他の器官にも蓄積され、更に、これらの器官は、より代謝的に活性であるため、乳酸産生の増加は、他の組織で最初にみられそうである。従って、本研究者らの結果は、他者(Brunmairら2004、Prottiら2012b、Dykensら2008)によって示唆されたものである、全身性のミトコンドリア阻害が、メトホルミン誘発性LAの原因であるという説を強化する。
以前の研究及び今回の知見に基づけば、メトホルミンの抗糖尿病作用が、好気性呼吸の阻害に関連している可能性を考えることは興味深い。メトホルミンにより治療された糖尿病患者における、肝臓でのグルコースレベルの減少、及び小腸での血液へのグルコース取り込みの減少(Kirpichnikovら2002)は、部分的な複合体Iの阻害に起因するかもしれない。複合体Iの阻害は、ATPの産生の減少、AMP量の増加、酵素AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)の活性化、及びATP産生の減少を埋め合わせようとする解糖増加によるグルコースターンオーバーの促進を引き起こす(Brunmairら2004、Owenら2000)。
今までのところ、メトホルミン関連LAの治療手段は、毒素を除去するため、アシドーシスを矯正するため、及び腎血流を増加させるための血液透析及び血液濾過からなる(Lalau2010)。
(実施例3)
(細胞透過性サクシネートプロドラッグを用いた、メトホルミン誘発性の乳酸産生の増加に対する治療処置)
新たに開発され合成された細胞透過性サクシネートプロドラッグを用いた、インタクトなヒト血小板での、メトホルミン誘発性の乳酸産生の増加に対する治療処置を、10mMのグルコースを含有するPBS中で行った。血小板を、ロテノン(2μM)単独、ロテノン(2μM)及びアンチマイシン(1μg/mL、NV189で処理した細胞のみに対し)、又は10mMのメトホルミンのいずれかに曝露し、60分後に、ビヒクル(DMSO、コントロール)、細胞透過性サクシネートプロドラッグ(NV118、NV189、及びNV241)のうちのどれか、又はサクシネートのいずれかを、30分間毎に、250μMの濃度で添加した。乳酸レベルを、実験の開始から30分間隔で測定した。更に、ビヒクル(DMSO、コントロール)、種々の細胞透過性サクシネートプロドラッグ(NV118、NV189、NV241)、又はサクシネートの最初の添加の前、及び実験の最後に、pHを測定した。乳酸産生速度は、乳酸-時間曲線の勾配の、95%信頼区間(CI)と共に、非線形フィットにより算出した(図5、6、7及び8)。
実施例3に関する結果は、本明細書に記載したアッセイに基づいている。
(血小板での、ロテノン及びメトホルミンインキュベーションに起因する乳酸産生は、細胞透過性サクシネートプロドラッグを添加することにより減弱される)
2μMのロテノンとインキュベートした血小板における乳酸産生速度は、0.86mmol乳酸(200・106trc・h)-1(95%信頼区間[CI]:0.76-0.96)であり、これは、NV118(0.25mmol[95%CI:0.18-0.33])、NV189(0.42mmol[95%CI:0.34-0.51])、及びNV241(0.34mmol[95%CI:0.17-0.52])により減弱され、ロテノンを受けなかった細胞(0.35[95%CI:0.14-0.55])と有意差は無かった(図5、6、及び7)。ロテノン及びNV189に加え、アンチマイシンともインキュベートされた細胞は、ロテノンにより処理された細胞(0.89mmol[0.81-0.97])に匹敵する乳酸産生を有しており、細胞透過性サクシネートプロドラッグの、特異的なミトコンドリア作用を示した(図6)。
ビヒクル(水)で処理した細胞での0.22mmol(95%CI:0.14-0.30)と比較して、10mMのメトホルミンとインキュベートした細胞は、0.86mmol乳酸(200・109trc・h)-1(95%CI:0.69-1.04)の速度で乳酸を産生する(図8)。3種のサクシネートプロドラッグのいずれかと共にコインキュベーションすると、メトホルミンの作用が減弱され、NV118では0.43mmolの産生(95%CI:0.33-0.54)(図5)となり、NV189では0.55mmol(95%CI:0.44-0.65)(図6)、及びNV241では0.43mmol(95%CI:0.31-0-54)(図7)となった。
(実施例4)
(生物学的実験の結果)
以下の表に示した化合物を、見出しI:インタクトな細胞でのミトコンドリアのエネルギー産生機能の増強及び阻害を評価するためのアッセイで述べたアッセイ(1)〜(4)にかけた。以下の表に、結果を示した。これらの結果は、試験した化合物の全てが、好適な性質を有することを示している。重要なことに、化合物は全て、スクリーニングプロトコール1及び4から分かるような、CII関連呼吸に対する特異的な効果、及びアッセイ2に見られるような、CI基質が利用可能である場合の収束性効果を示す。
スクリーニングプロトコール1〜4の結果
Figure 2017510603
説明文:収束性(ルーチン)-スクリーニングアッセイ3に記載した条件下での、化合物により誘発されるミトコンドリアの酸素消費の増加;収束性(FCCP)-スクリーニングアッセイ2に記載した条件(脱共役された条件)下での、化合物により誘発されるミトコンドリアの酸素消費の増加;収束性(血漿)-スクリーニングアッセイ4に記載されるような、ヒト血漿中でインキュベートした、阻害された複合体Iを有する細胞における、化合物により誘発されるミトコンドリアの酸素消費の増加;CII-スクリーニングアッセイ1に記載したような、阻害された複合体Iを有する細胞における、化合物により誘発されるミトコンドリアの酸素消費の増加;脱共役-スクリーニングアッセイ3に記載したような、オリゴマイシン添加後の酸素消費レベル。各パラメーターの応答は、効力が増加する順に、+、++、又は+++のいずれかに段階分けした。括弧「()」は、中間的な作用を示す。すなわち、(+++)は、++及び+++の間である。毒性-スクリーニングアッセイ2に記載したような、化合物の漸増中に、酸素消費の減少が見られた最低濃度。
(サクシネートプロドラッグ/保護されたサクシネートの製造)
当業者であれば、本発明の保護されたサクシネートが、既知の手法で、種々の方法で製造し得ることが分かるであろう。以下の経路は、式(I)の化合物類の合成に採用可能ないくつかの方法の単なる例示である。
本発明は、更に、コハク酸と、式(VI):
Figure 2017510603
(式中、Halは、ハロゲン(例えば、F、Cl、Br、又はI)を表し、かつ、R3、R4、及びR5は、式(I)に定義される通りである)
の化合物を反応することを含む、式(I)の化合物の製造プロセスを提供する。
好都合には、コハク酸及び式(VI)の化合物の反応は、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、又はN,N-ジメチルホルムアミド等の溶媒中、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、又は炭酸セシウム等の適当な塩基と共に、例えば、-10℃〜80℃の範囲の温度で、特に、室温で行ってもよい。この反応は、ヨウ化ナトリウム又はテトラアルキルアンモニウムハライド(例えば、テトラブチルアンモニウムヨージド)等の任意選択の添加剤と共に行ってもよい。
R1及びR2が、異なる式(II)の基である式(I)の化合物に関しては、式(I)の化合物は、上記で概要を説明した条件下、式(VII)の基:
Figure 2017510603
(式中、PG1は、tert-ブチル、ベンジル、又は4-メトキシベンジル等の保護基である)
を、式(VI)の基と反応させ、その後、ジクロロメタン等の溶媒中、トリフルオロ酢酸又は塩酸等の適当な条件下、又は水素化(アリール基)により該保護基を脱保護し、その後、上記で概要を説明した条件下、得られた化合物を、別の式(VI)の基と反応させ、脱保護されたカルボン酸と反応させる、ことにより製造してもよい。
R1が、任意に置換されたアルキル基であり、かつ、R2が、式(II)の基である式(I)の化合物に関しては、該式(I)の化合物は、上記で概要を説明した条件下、式(VIII)の基:
Figure 2017510603
を、式(VI)の基と反応させることにより製造してもよい。
好都合には、保護されたジサクシネート化合物は、上記で概要を説明した条件下、式(IX)の基:
Figure 2017510603
を、式(VI)の基と反応させることにより製造してもよい。式(IX)の化合物類は、好都合には、ジクロロメタン等の適当な溶媒中、硫酸水素テトラブチル等の適当な添加剤と共に、式(VII)の化合物を、ジクロロメタンと反応させることにより製造してもよい。得られるビスエステルは、その後、ジクロロメタン等の溶媒中、トリフルオロ酢酸又は塩酸等の酸で処理することにより、加水分解して、式(IX)の化合物類を得てもよい。
式(VII)及び(VIII)の化合物類は、市販されているか、好都合には、Journal of Organic Chemistry, 72(19), 7253-7259; 2007に概略が示されている方法等の文献の方法により製造してもよいかのいずれかである。
式(VI)の化合物類:
Figure 2017510603
は、市販されているか、好都合には、Journal of the American Chemical Society, 43, 660-7; 1921、又はJournal of medicinal chemistry (1992), 35(4), 687-94に概略が示されている方法等の文献の方法により製造してもよいかのいずれかである。
(製造実施例)
保護されたサクシネートの製造方法を説明するために、以下の製造実施例を挙げる。特に断りのない限り、製造実施例においては、以下があてはまる:
(i)1H NMRスペクトルが記載されている場合、そのスペクトルは、Bruker Avance 300(300MHz)又はBruker Avance 400(400MHz)において記録された。クロロホルム-d(CDCl3;(δH:7.27ppm)、ジメチルスルホキシド-d6(d6-DMSO;(δH:2.50ppm)、又はメタノール-d4(CD3OD;(δH:3.31ppm)、又は内部標準であるテトラメチルシラン(TMS;(δH:0.00ppm)の中心ピークのいずれかを基準として用いた。
(ii)マススペクトルは、分析用HPLCの後で、Agilent MSD(+ve及び-veエレクトロスプレー)、又はFisons Instrument VG Platformにおいて記録された。m/zの値が示されている場合、一般に、親質量を示すイオンのみをを報告し、この示される質量イオンは、正及び負の質量イオンである:[M+H]+又は[M-H]-;
(iii)実施例及び製造の表題及び副表題の化合物類は、AutoNomを用いて命名した。
(iv)特に断りのない限り、出発原料は市販されている。溶媒及び市販の試薬は全て、実験室グレードのものであり、入手したものをそのまま使用した。操作は全て、周囲温度、すなわち、16〜28℃の範囲で行い、それが適切である場合には、窒素等の不活性ガスの雰囲気下行った;
(v)以下の略語を用いる:
Figure 2017510603
(実施例1)
(コハク酸ビス(2,2-ジメチル-プロピオニルオキシメチル)エステル)
Figure 2017510603
コハク酸(1.2g、10mmol)及びピバル酸クロロメチル(5.8mL、40mmol)を、アセトン(4mL)に加え、その混合物を、氷中で冷却した。トリエチルアミン(3.3mL、24mmol)を、分割添加し、溶液を、室温で1晩撹拌した。混合物を濃縮し、水及び酢酸エチル間に分配した。酢酸エチル溶液を、水で洗浄し、その後、炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。それを、脱色炭で処理し、炭酸カリウムで乾燥し、濃縮し、オイルとした。
MPLCクロマトグラフィー(塩基性アルミナ、10%酢酸エチル/90%シクロヘキサン)により精製することで、0.18gのコハク酸ビス(2,2-ジメチル-プロピオニルオキシメチル)エステルを、オイルとして得た。
Figure 2017510603
(実施例2)
(コハク酸2,2-ジメチル-プロピオニルオキシメチルエステルメチルエステル)
Figure 2017510603
コハク酸メチル(1.3g、10mmol)及びピバル酸クロロメチル(2.9mL、20mmol)を、アセトン(2mL)に加え、混合物を氷中で冷却した。トリエチルアミン(2.0mL、14mmol)を、分割添加し、溶液を、室温で1晩撹拌した。混合物を濃縮し、水及び酢酸エチル間に分配した。酢酸エチル溶液を、水で洗浄し、その後、炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、炭酸カリウムで乾燥し、濃縮し、2.4gのコハク酸2,2-ジメチル-プロピオニルオキシメチルエステルメチルエステルを、オイルとして得た。
Figure 2017510603
(実施例3)
(コハク酸ジアセトキシメチルエステル)
Figure 2017510603
ジクロロメタン(2L)に、コハク酸(58.6g、0.496mol)を加え、混合物を、0℃に冷却した。ジイソプロピルエチルアミン(201mL、1.154mol)を、20分間で加え、続いて、酢酸ブロモメチル(159.4g、1.042mol)を30分間で加え、溶液を、窒素雰囲気下1晩撹拌した。
溶液を、0℃に冷却し、1Lの冷1%塩酸、0.6%塩酸、及び水(×3)で順次洗浄した。溶液を、脱色炭で処理し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮し、オイルとした。このオイルを、ジエチルエーテル(200mL)/イソヘキサン(10mL)から結晶化させ、92gのコハク酸ジアセトキシメチルエステルを、白色固体として得た。
Figure 2017510603
更に、8gの純物質を、溶液の濃縮物から得た。
(実施例4)
(コハク酸アセトキシメチルエステルメチルエステル)
Figure 2017510603
コハク酸メチル(2.0g、15.1mmol)を、アセトニトリル(200mL)に溶解し、酢酸ブロモメチル(1.65mL、16.8mmol)を加えた。溶液を、冷水中で冷却し、ジイソプロピルエチルアミン(3.16mL、18.2mmol)を加えた。溶液を、昇温させ、室温で70分間撹拌した。
溶液を、氷/水(400mL)に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。この酢酸エチル溶液を、水、1%塩酸、炭酸水素ナトリウム溶液、及び食塩水で洗浄した。それを、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮し、オイルとした。
MPLC(SiO2,イソヘキサン→20%酢酸エチル/80%イソヘキサン)により精製することで、0.91gのコハク酸アセトキシメチルエステルメチルエステルを得た。
Figure 2017510603
(実施例5)
(コハク酸ビス(1-アセトキシ-エチル)エステル)
Figure 2017510603
ジクロロメタン(2L)に、コハク酸(58.6g、0.496mol)を加え、混合物を、0℃に冷却した。ジイソプロピルエチルアミン(201mL、1.154mol)を、20分間で加え、それに続き、酢酸1-ブロモエチル(159.4g、1.042mol)を、30分間で加え、溶液を、窒素雰囲気下1晩撹拌した。
溶液を、0℃に冷却し、冷却した1.5L量の水、1%塩酸(2回)、炭酸水素ナトリウム溶液、及び水で順次洗浄した。溶液を、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮し、オイルとした。そのオイルを、t-ブチルメチルエーテルから結晶化させ、41gのコハク酸ジアセトキシメチルエステルを、白色固体として得た。
Figure 2017510603
(実施例6)
(コハク酸1-アセトキシ-エチルエステルメチルエステル)
Figure 2017510603
コハク酸メチル(2.46g、18.6mmol)を、アセトニトリル(350mL)に溶解し、溶液を-5℃に冷却した。酢酸1-ブロモエチル(3.3g、19.8mmol)を加え、その後、ジイソプロピルエチルアミン(4.0mL、23.3mmol)を加えた。溶液を、昇温させ、室温で3日間撹拌した。
溶液を冷却し、冷水及び酢酸エチル間に分配した。この酢酸エチル溶液を、1%塩酸、炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、その後、水で2回洗浄した。溶液を、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮し、オイルとした。
MPLC(SiO2、イソヘキサン→10%酢酸エチル/90%イソヘキサン)により精製することで、1.9gのコハク酸1-アセトキシ-エチルエステルメチルエステルを、オイルとして得た。
Figure 2017510603
(実施例7)
(コハク酸ビス(1-アセトキシ-プロピル)エステル)
Figure 2017510603
コハク酸(2.0g、16.9mmol)を、アセトニトリル(350mL)に溶解し、溶液を、-5℃に冷却した。酢酸1-ブロモプロピル(6.7g、37.0mmol)を加え、その後、ジイソプロピルエチルアミン(7.3mL、41.9mmol)を加えた。溶液を、室温で3日間撹拌した。
溶液を冷却し、冷水及び酢酸エチル間に分配した。この酢酸エチル溶液を、冷1%塩酸、炭酸水素ナトリウム溶液、次いで、水で洗浄した。それを、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮し、オイルとした。
MPLC(SiO2、イソヘキサン→10%酢酸エチル/90%イソヘキサン)により精製することで、0.85gのコハク酸ビス(1-アセトキシ-プロピル)エステルを、オイルとして得た。
Figure 2017510603
(実施例8)
(コハク酸ビス(1-プロピオニルオキシ-エチル)エステル)
Figure 2017510603
コハク酸(2.0g、37.0mmol)を、アセトニトリル(350mL)に溶解し、溶液を、-5℃に冷却した。プロピオン酸1-ブロモエチル(6.7g、37.0mmol)を加え、その後、ジイソプロピルエチルアミン(7.3mL、41.9mmol)を加えた。溶液を、昇温させ、室温で1晩撹拌した。
溶液を冷却し、冷水及び酢酸エチル間に分配した。この酢酸エチル溶液を、冷1%塩酸、炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、その後、2回水で洗浄した。それを硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮し、オイルとした。
MPLC(SiO2、イソヘキサン→10%酢酸エチル/90%イソヘキサン)により精製することで、3.1gのコハク酸ビス(1-プロピオニルオキシ-エチル)エステルを、オイルとして得た。
Figure 2017510603
(実施例9)
(1,3,5,7-テトラオキサ-シクロウンデカン-8,11-ジオン)
Figure 2017510603
プロピオニルブロミド(8mL、89mmol)を、ジクロロメタン(20mL)に溶解し、溶液を、-5℃に冷却した。塩化亜鉛(35mg、0.26mmol)を加えた後に、トリオキサン(2.67g、29.7mmol)を30分間で分割して加えた。溶液を、0℃で1時間撹拌し、その後、室温で更に1時間撹拌した。溶液を、冷水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮し、オイルとした。
この反応の粗生成物(7.0g)を、-5℃に冷却したジクロロメタン(350mL)中のコハク酸(2.34g、19.8mmol)、及びジイソプロピルエチルアミン(8.3mL、43.7mmol)の混合物に加えた。溶液を、室温で1晩撹拌し、その後、冷1%塩酸、炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、その後、水で3回洗浄した。それを硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮し、オイルとした。ジエチルエーテルでトリチュレートし、0.24gの1,3,5,7-テトラオキサ-シクロウンデカン-8,11-ジオンを、白色固体として得た。
Figure 2017510603
(実施例10)
(コハク酸アセトキシメチルエステルジエチルカルバモイルメチルエステル)
i)2-クロロ-N,N-ジエチル-アセトアミド
Figure 2017510603
ジエチルアミン(10.0mL、97mmol)、及びトリエチルアミン(13.5mL、97mmol)を、ジクロロメタン(30mL)に希釈し、溶液を、0℃に冷却し、DCM(10mL)中のクロロアセチルクロリド(7.7mL、97mmol)を、10分間で加え、溶液を、室温まで昇温させ、窒素雰囲気下1晩撹拌した。溶液を、水で洗浄した(2×10mL)。有機層を合わせ、揮発性物質を、真空下除去した。残渣を、イソヘキサン/酢酸エチルが1:0〜1:1の連続的なグラジエントを用いて、シリカゲルクロマトグラフィーで精製し、表題化合物(12.3g)を、クリアーなオイルとして得た。
Figure 2017510603
LCMS(m/z)150.1-152.1[M+H]+
ii)コハク酸tert-ブチルエステルジエチルカルバモイルメチルエステル
Figure 2017510603
2-クロロ-N,N-ジエチル-アセトアミド(実施例10、工程(i)、1.71g、11.48mmol)、コハク酸モノ-tert-ブチルエステル(2.00g、11.48mmol)、炭酸セシウム(2.67g、13.78mmol)、及びヨウ化ナトリウム(171mg、1.14mmol)を、DMF(20mL)に懸濁させ、その懸濁液を、窒素雰囲気下、80℃で、3時間撹拌した。懸濁液を、室温まで冷却し、酢酸エチル(40mL)で希釈し、水(3×10mL)で洗浄した。有機層を合わせ、揮発性物質を、真空下除去した。残渣を、イソヘキサン/酢酸エチルが1:0〜0:1の連続的なグラジエントを用いて、シリカゲルクロマトグラフィーで精製し、表題化合物(3.29g)を、クリアーなオイルとして得た。
Figure 2017510603
LCMS(m/z)288.1[M+H]、Tr=2.07分。
iii)コハク酸モノジエチルカルバモイルメチルエステル
Figure 2017510603
コハク酸tert-ブチルエステルジエチルカルバモイルメチルエステル(実施例10、工程(ii)、3.29g、11.48mmol)を、DCM(15mL)に溶解させ、溶液を、0℃に冷却し、トリフルオロ酢酸(5mL)を加えた。溶液を、室温まで昇温させ、窒素雰囲気下1晩撹拌した。揮発性物質を、真空下除去し、残渣を、トルエン(3×20mL)と共沸させることで、表題化合物(3.19g)を、クリアーなオイルとして得た。
Figure 2017510603
LCMS(m/z)232.1[M+H]+, 230.1[M-H]-
(実施例10)
(コハク酸アセトキシメチルエステルジエチルカルバモイルメチルエステル)
Figure 2017510603
コハク酸モノジエチルカルバモイルメチルエステル(実施例10、工程(iii)、850mg、3.68mmol)、酢酸ブロモメチルエステル(671mg、4.42mmol)、炭酸セシウム(1.78g、9.20mmol)を、DMF(10mL)に懸濁させ、その懸濁液を、窒素雰囲気下、80℃で、2時間撹拌した。懸濁液を、室温まで冷却し、酢酸エチル(30mL)で希釈し、水(3×5mL)で洗浄した。有機層を合わせ、揮発性物質を、真空下除去した。残渣を、イソヘキサン/酢酸エチルが1:0〜0:1の連続的なグラジエントを用いて、シリカゲルクロマトグラフィーで精製し、表題化合物(334mg)を、白色固体として得た。
Figure 2017510603
LCMS(m/z)304.0[M+H]+
(実施例11)
(コハク酸ジエチルカルバモイルメチルエステル1-エトキシカルボニルオキシ-エチルエステル)
Figure 2017510603
コハク酸モノジエチルカルバモイルメチルエステル(500mg、2.16mmol)、炭酸1-クロロ-エチルエステルエチルエステル(395mg、2.60mmol)、炭酸セシウム(625mg、3.24mmol)、ヨウ化ナトリウム(32mg、0.21mmol)を、DMF(10mL)に懸濁させ、その懸濁液を、窒素雰囲気下、80℃で、3時間撹拌した。懸濁液を、室温まで冷却し、酢酸エチル(30mL)で希釈し、水(3×5mL)で洗浄した。有機層を合わせ、揮発性物質を、真空下除去した。残渣を、イソヘキサン/酢酸エチルが1:0〜0:1の連続的なグラジエントを用いて、シリカゲルクロマトグラフィーで精製し、表題化合物(585mg)を、クリアーなオイルとして得た。
Figure 2017510603
LCMS(m/z)348.0[M+H]+
(実施例12)
(コハク酸1-アセトキシ-エチルエステルジエチルカルバモイルメチルエステル)
Figure 2017510603
コハク酸モノジエチルカルバモイルメチルエステル(500mg、2.16mmol)、酢酸1-ブロモ-エチルエステル(434mg、2.60mmol)、炭酸セシウム(625mg、3.24mmol)を、DMF(10mL)に懸濁させ、その懸濁液を、70℃で、窒素雰囲気下、2時間撹拌した。懸濁液を、室温まで冷却し、酢酸エチル(30mL)で希釈し、水(3×5mL)で洗浄した。有機層を合わせ、揮発性物質を、真空下除去した。残渣を、イソヘキサン/酢酸エチルが1:0〜0:1の連続的なグラジエントを用いてシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、表題化合物(352mg)を、クリアーなオイルとして得た。
Figure 2017510603
LCMS(m/z)318.1[M+H]+
(実施例13)
(コハク酸1-アセトキシ-エチルエステルアセトキシメチルエステル)
i)コハク酸1-アセトキシ-エチルエステルtert-ブチルエステル
Figure 2017510603
コハク酸モノ-tert-ブチルエステル(2.0g、11.48mmol)、酢酸1-ブロモ-エチルエステル(1.9g、11.48mmol)、炭酸セシウム(2.6g、13.41mmol)を、DMF(20mL)に懸濁させ、その懸濁液を、窒素雰囲気下、60℃で、2時間撹拌した。懸濁液を、室温まで冷却し、酢酸エチル(50mL)で希釈し、水(3×10mL)で洗浄した。有機層を合わせ、揮発性物質を、真空下除去した。残渣を、イソヘキサン/酢酸エチルが1:0〜0:1の連続的なグラジエントを用いてシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、表題化合物(2.21g)を、クリアーなオイルとして得た。
Figure 2017510603
ii)コハク酸モノ-(1-アセトキシ-エチル)エステル
Figure 2017510603
コハク酸1-アセトキシ-エチルエステルtert-ブチルエステル(実施例13、工程(i)、2.21g、8.49mmol)を、DCM(10mL)に溶解させ、溶液を、0℃に冷却し、トリフルオロ酢酸(2mL)を加えた。溶液を、室温まで昇温させ、窒素雰囲気下、3時間撹拌した。揮発性物質を、真空下除去した。残渣を、トルエン(3×20mL)と共沸させることで、表題化合物(1.52g)を、クリアーなオイルとして得た。
Figure 2017510603
(実施例13)
(コハク酸1-アセトキシ-エチルエステルアセトキシメチルエステル)
Figure 2017510603
コハク酸モノ-(1-アセトキシ-エチル)エステル(実施例13、工程(ii)、 500mg、2.45mmol)、酢酸ブロモメチルエステル(450mg、2.93mmol)、炭酸セシウム(712mg、3.67mmol)を、DMF(10mL)に懸濁させ、その懸濁液を、窒素雰囲気下、60℃で、3時間撹拌した。懸濁液を、室温まで冷却し、酢酸エチル(30mL)で希釈し、水(3×5mL)で洗浄した。有機層を合わせ、揮発性物質を、真空下除去した。残渣を、イソヘキサン/酢酸エチルが1:0〜0:1の連続的なグラジエントを用いてシリカゲルクロマトグラフィーで精製し、表題化合物(267mg)を、クリアーなオイルとして得た。
Figure 2017510603
LCMS(m/z)377.0[M+H]+
(実施例14)
(コハク酸ビス(2,2-ジメチル-5-オキソ-[1,3]ジオキソラン-4-イル)エステル)
Figure 2017510603
窒素雰囲気下、氷浴で冷却された、アセトニトリル中のコハク酸(2.36g、20mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(8.1mL、46.5mmol)に、5-ブロモ-2,2-ジメチル-[1,3]ジオキソラン-4-オン(8.27g、42.4mmol)を加えた。混合物を、18時間かけて室温まで昇温させた。溶液を、再度氷浴で冷却し、酢酸エチルで希釈し、1MのHCl、水、炭酸水素ナトリウム水溶液、及び水で洗浄した。有機相を、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮し、表題化合物(3.4g)を、白色固体として得た。
Figure 2017510603
(実施例15)
(コハク酸ビス(メトキシ-メトキシカルボニル-メチル)エステル)
Figure 2017510603
表題化合物を、実施例14記載の方法により製造した。
Figure 2017510603
(実施例16)
(コハク酸1-アセトキシ-エチルエステル1-エトキシカルボニルオキシ-エチルエステル)
Figure 2017510603
コハク酸モノ-(1-アセトキシ-エチル)エステル(実施例13、工程(ii)、1g、4.90mmol)、1-クロロエチル=エチル=カーボネート(895mg、5.88mmol)、炭酸セシウム(1.4g、7.35mmol)、及びヨウ化ナトリウム(73mg、0.49mmol)を、DMF(15mL)に溶解し、混合物を、80℃に3時間加熱した。混合物を、室温まで放冷し、その後、水及び酢酸エチル間に分配した。有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮し、粗体残渣を得て、イソヘキサン/酢酸エチルが1:0〜0:1の連続的なグラジエントを用いてシリカゲルクロマトグラフィーにより、クロマト精製し、表題化合物(118mg)を得た。
Figure 2017510603
(実施例17)
(コハク酸3-(1-アセトキシ-エトキシカルボニル)-プロピオニルオキシメチルエステル1-アセトキシ-エチルエステル)
i)コハク酸3-tert-ブトキシカルボニル-プロピオニルオキシメチルエステルtert-ブチルエステル
Figure 2017510603
コハク酸t-ブチル(8.7g、50mmol)に、水酸化ナトリウム水溶液(50mL、2M)を加え、混合物を10分間撹拌した。硫酸水素テトラブチアンモニウム(Tetrabutyammonium)(17g)を加え、混合物を、さらに30分間撹拌した。溶液を、ジクロロメタン(4×100mL)で抽出し、合わせた抽出液を、硫酸マグネシウムで乾燥した。このジクロロメタン溶液を、その後、40℃で、5日間加熱した。溶液を、室温まで放冷し、硫酸(1M)、水、及び炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、その後、水で洗浄した。有機相を、その後乾燥し、濃縮し、表題化合物を、粗生成物(5.7g)として得た。
Figure 2017510603
ii)コハク酸モノ-(3-カルボキシ-プロピオニルオキシメチル)エステル
Figure 2017510603
コハク酸3-tert-ブトキシカルボニル-プロピオニルオキシメチルエステルtert-ブチルエステル(1.8g、5mmol)を、ジクロロメタン(27mL)に溶解し、混合物を、窒素下、-78℃に冷却した。トリフルオロ酢酸(0.77mL、10mmol)を加え、混合物を4℃まで昇温させ、その後、4℃に18時間保った。混合物を、エバポレートし、トルエンと共沸した。分析により、反応が不完全であることが分かったため、粗体の混合物を、同一の反応条件下、更に4日間おいた。混合物を、エバポレートし、トルエンと共沸し、粗生成物(1.3g)として、次の工程に用いた。
Figure 2017510603
(実施例17)
(コハク酸3-(1-アセトキシ-エトキシカルボニル)-プロピオニルオキシメチルエステル1-アセトキシ-エチルエステル)
Figure 2017510603
コハク酸モノ-(3-カルボキシ-プロピオニルオキシメチル)エステル(実施例17ii、1.3g)、及び酢酸1-ブロモエチル(1.8g)を用いて、表題化合物を、実施例6の方法により製造し、精製後、240mgの生成物を得た。
Figure 2017510603
(実施例18)
(コハク酸3-アセトキシメトキシカルボニル-プロピオニルオキシメチルエステルアセトキシメチルエステル
Figure 2017510603
コハク酸モノ-(3-カルボキシ-プロピオニルオキシメチル)エステル(実施例17ii、1.0g、4.0mmol)及び酢酸1-ブロモメチル(1.3g、8.5mmol)を用いて、表題化合物を、実施例6の方法により製造し、精製後1.4gの生成物を得た。
Figure 2017510603
(実施例19)
Figure 2017510603
コハク酸クロリド(0.1mol)、及びトリエチルアミン(0.4mol)を、DCMに溶解させ、システインを添加する。この反応を、室温で撹拌する。反応を、希塩酸水溶液に加え、その後、水及び食塩水で洗浄する。有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下濃縮する。目的化合物を、シリカゲルクロマトグラフィーで精製する。
(実施例20)
(S,S-ビス(2-プロピオンアミドエチル)ブタンビス(チオエート)(NV038、01-038)の合成)
Figure 2017510603
システアミン塩酸塩(5.0g、44mmol)のCH3OH(50mL)溶液に、Et3N(4.4g、44mmol)を加え、その後(Boc)2O(10.5g、48.4mmol)を加えた。該混合物を、室温で1時間撹拌した。反応混合物を、真空下濃縮した。得られた残渣を、CH2Cl2に溶解し、2M HCl水溶液、及び食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、ろ過、及びエバポレートし、2-メルカプトエチルカルバミン酸tert-ブチルを、無色オイルとして得て、それ以上精製すること無く、次工程に用いた。
Figure 2017510603
2-メルカプトエチルカルバミン酸tert-ブチル(9.8g、55.0mmol)、及びEt3N(5.6g、55.0mmol)を、CH2Cl2(100mL)に溶解し、該混合物を0℃に冷却し、コハク酸クロリド(2.1g、13.8mmol)を滴加した。その後、該混合物を、室温で2時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、残渣を、カラムクロマトグラフィーにより精製した(石油エーテル/EtOAc=1/10〜1/1)。S,S-ビス(2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)エチル)ブタンビス(チオエート)を、白色固体として得た。
Figure 2017510603
CH2Cl2(10mL)中、S,S-ビス(2-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)エチル)ブタンビス(チオエート)(2.0g、4.58mmol)と、TFA(10mL)との混合物を、室温で4時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、S,S-ビス(2-アミノエチル)ブタンビス(チオエート)を、黄色オイルとし得て、それ以上精製すること無く、次工程に用いた。
Figure 2017510603
S,S-ビス(2-アミノエチル)ブタンビス(チオエート)(1.1g、4.58mmol)、及びEt3N(1.4g、13.74mmol)を、CH2Cl2(15mL)に溶解し、該混合物を0℃に冷却し、プロピオニルクロリド(0.9g、10.07mmol)を滴加した。その後、該混合物を、室温で3時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、残渣を分取TLCにより精製した(CH2Cl2/MeOH=15/1)。S,S-ビス(2-プロピオンアミドエチル)ブタンビス(チオエート)を、白色固体として得た。
(実施例21)
((R)-4-(2-カルボキシ-2-プロピオンアミドエチルチオ)-4-オキソブタン酸(NV-041、01-041)の合成)
Figure 2017510603
L-システイン(2.00g、16.5mmol)とTHF/H2O(8mL/2mL)の混合物に、NaOAc(2.70g、33.0mmol)を加えた。混合物を、室温で20分撹拌した。反応を、5℃に冷却してから、無水プロピオン酸(2.30g、17.6mmol)を滴加した。反応混合物を、室温で1晩撹拌し、その後4時間加熱還流した。反応混合物を冷却し、4N HClを添加することにより、pH5の酸性とした。得られた溶液を、減圧下エバポレートし、THFを除去した。残渣を、分取HPLCにより精製し(H2O(0.05%TFA)及びCH3CNで溶出)、1.00gの(R)-3-メルカプト-2-プロピオンアミドプロパン酸を、無色オイルとして得た。
Figure 2017510603
(R)-3-メルカプト-2-プロピオンアミドプロパン酸(1.00g、5.65mmol)、無水コハク酸(565mg、5.65mmol)、及びEt3N(572mg、5.65mmol)のTHF(10mL)溶液を、還流下、1晩加熱した。反応混合物を濃縮し、残渣を、分取HPLC(H2O(0.05%TFA)及びCH3CNで溶出)により精製し、(R)-4-(2-カルボキシ-2-プロピオンアミドエチルチオ)-4-オキソブタン酸を、無色オイルとして得た。
(実施例22)
Figure 2017510603
(工程1)
トリエチルアミン(0.24mol)を、N-アセチルシステアミン(0.2mol)のDCM溶液に添加する。4-クロロ-4-オキソブタン酸(0.1mol)を滴加し、反応混合物を、室温で撹拌する。混合物を、希塩酸水溶液に加え、酢酸エチルで抽出し、その後、水及び食塩水で洗浄する。有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下濃縮する。
(工程2)
工程3の生成物(0.1mol)、酢酸1-ブロモエチルエステル(0.1mol)、及び炭酸セシウム(0.12mol)を、DMFに懸濁させ、不活性雰囲気下、60℃で撹拌する。懸濁液を、室温まで放冷し、酢酸エチルを加え、希塩酸水溶液及び水で順次洗浄する。有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下濃縮する。残渣を、カラムクロマトグラフィーで精製する。
(実施例23)
Figure 2017510603
(工程1)
トリエチルアミン(0.24mol)を、N-アセチルシステアミン(0.2mol)のDCM溶液に添加する。4-クロロ-4-オキソブタン酸(0.1mol)を滴加し、反応混合物を、室温で撹拌する。混合物を、希塩酸水溶液に加え、酢酸エチルで抽出し、その後、水及び食塩水で洗浄する。有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下濃縮する。
(工程2)
ジメチルアミン(0.1mol)、及びトリエチルアミン(0.1mol)を、ジクロロメタンに希釈し、その溶液を、0℃に冷却し、2-クロロプロピオニルクロリド(0.1mol)のDCM溶液を添加し、溶液を、室温まで昇温させ、不活性雰囲気下で撹拌しておく。溶液を、水で洗浄する。有機層を合わせ、揮発性物質を、真空下除去する。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーで精製する。
(工程3)
2-クロロ-N,N-ジメチル-プロピオンアミド(0.1mol)、工程1の生成物(0.1mol)、炭酸セシウム(0.1mol)、及びヨウ化ナトリウム(0.01mol)を、DMFに懸濁させ、その懸濁液を、不活性雰囲気下、80℃で撹拌する。懸濁液を、室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈し、水で洗浄する。有機層を、真空下濃縮する。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィーで精製して、目的化合物を得る。
(実施例24)
(4-オキソ-4-(2-プロピオンアミドエチルチオ)ブタン酸(NV114、01-114)の合成)
Figure 2017510603
無水プロピオン酸(11.7g、89.7mmol)、及びKOH水(8M、pH=8を維持するため)を、システアミン塩酸塩(3.40g、30.0mmol)の水(24mL)撹拌溶液に滴加した。混合物を、2N HClを加えることにより中和し、室温で1時間撹拌した。溶液を、氷浴で冷却し、固体のKOH(6.00g、105mmol)をゆっくり加えた。混合物を、室温で50分間撹拌した。NaClで飽和させ、6N HClで中和した後に、混合物を、CH2Cl2(4×30mL)で抽出した。合わせたCH2Cl2抽出物を乾燥(Na2SO4)し、真空下濃縮し、N-(2-メルカプトエチル)プロピオンアミドを、無色オイルとして得て、それ以上精製すること無く次工程に用いた。
Figure 2017510603
N-(2-メルカプトエチル)プロピオンアミド(2.00g、15.0mmol)、無水コハク酸(1.50g、15.0mmol)、及びEt3N(1.50g、15.0mmol)のTHF(20mL)溶液を、還流下、1晩加熱した。反応混合物を濃縮し、残渣を、分取HPLC(H2O(0.05%TFA)及びCH3CNで溶出)により精製し、4-オキソ-4-(2-プロピオンアミドエチルチオ)ブタン酸を、無色オイルとして得た。
(実施例25)
(4-(2-アセトアミドエチルチオ)-4-オキソブタン酸(NV108、01-108)の合成)
Figure 2017510603
無水酢酸(8.48mL、90.0mmol)、及びKOH水(8M、pH=8を維持するため)を、システアミン塩酸塩(3.40g、30.0mmol)の水(24mL)撹拌溶液に滴加した。その後、2N HClを加えることでpHを、7に調整した。混合物を、室温で1時間撹拌し、その後、溶液を、氷浴で冷却した。上記溶液に、固体のKOH(6.0g、105mmol)をゆっくり加え、得られた混合物を、室温で50分間撹拌した。NaClで飽和させ、6N HClで中和した後に、混合物を、CH2Cl2(4×30mL)で抽出した。合わせたCH2Cl2抽出物を乾燥(Na2SO4)し、真空下濃縮し、N-(2-メルカプトエチル)アセトアミドを、無色オイルとして得て、それ以上精製すること無く次工程に用いた。
Figure 2017510603
N-(2-メルカプトエチル)アセトアミド(1.50g、12.7mmol)、無水コハク酸(1.3g、12.7mmol)、及びEt3N(1.3g、12.7mmol)のTHF(20mL)溶液を、還流下、1晩加熱した。反応混合物を濃縮し、残渣を、分取HPLCにより精製し(H2O(0.05%TFA)及びCH3CNで溶出)、4-(2-アセトアミドエチルチオ)-4-オキソブタン酸を、無色オイルとして得た。
(実施例26)
((R)-3-(4-((R)-2-カルボキシ-2-プロピオンアミドエチルチオ)-4-オキソブタノイルチオ)-2-プロピオンアミドプロパン酸(NV099、01-099)の合成))
Figure 2017510603
CH2Cl2(60mL)中、N-ヒドロキシコハク酸イミド(3.00g、26.1mmol)及びEt3N(3.20g、31.3mmol)の混合物に、コハク酸クロリド(2.00g、13.0mmol)を滴加した。混合物を、室温で3時間撹拌してから、水(60mL)で希釈した。得られた懸濁液をろ過し、水及びCH2Cl2で洗浄した。ケーキを回収し、乾燥することで、ビス(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)サクシネートを、灰色固体として得た。
Figure 2017510603
CH3CN(3.0mL)中、N-(2-メルカプトエチル)プロピオンアミド(400mg、2.26mmol)、ビス(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)サクシネート(353mg、1.13mmol)、及びTEA(286mg、2.83mmol)の混合物を、室温で2時間撹拌した。クリアな反応溶液を、直接分取HPLCで精製し(H2O(0.05%TFA)及びCH3CNで溶出)、(R)-3-(4-((R)-2-カルボキシ-2-プロピオンアミドエチルチオ)-4-オキソブタノイルチオ)-2-プロピオンアミドプロパン酸を、無色オイルとして得た。
(実施例27)
((R)-4-(1-カルボキシ-2-(プロピオニルチオ)エチルアミノ)-4-オキソブタン酸(NV122、01-122)の合成)
Figure 2017510603
CHCl3(10mL)中、(R)-3-メルカプト-2-プロピオンアミドプロパン酸(1.00g、8.25mmol)、及びプロピオン酸(1.0mL)の混合物に、無水プロピオン酸(1.13g、8.67mmol)を滴加した。反応混合物を、1晩加熱還流した。反応混合物を冷却し、無水コハク酸(1.00g、9.99mmol)を加えた。混合物を、1晩還流してから、減圧下濃縮した。残渣を、分取HPLCにより精製し(H2O(0.05%TFA)及びCH3CNで溶出)、(R)-4-(1-カルボキシ-2-(プロピオニルチオ)エチルアミノ)-4-オキソブタン酸を、オフホワイトの固体として得た。
(実施例28)
(4-(1-アセトアミド-2-メチルプロパン-2-イルチオ)-4-オキソブタン酸(NV188、01-188)の合成)
Figure 2017510603
システアミン塩酸塩(2.00g、14.1mmol)の水(15mL)撹拌溶液に、無水酢酸(4.30g、42.4mmol)、及びKOH水(8M、pH=8を維持するため)を滴加した。その後、混合物を、2N HClを加えることにより中和し、室温で1時間撹拌した。氷浴により冷却したこの溶液に、固体のKOH(2.80g、49.4mmol)をゆっくり加え、混合物を、室温で50分間撹拌した。NaClで飽和させ、6N HClで中和した後に、混合物を、CH2Cl2で2回抽出した。合わせたCH2Cl2抽出物を乾燥(Na2SO4)し、真空下濃縮することで、N-(2-メルカプト-2-メチルプロピル)アセトアミドを、白色固体として得て、それ以上精製すること無く次工程に用いた。
Figure 2017510603
N-(2-メルカプト-2-メチルプロピル)アセトアミド(400mg、2.72mmol)、無水コハク酸(326mg、3.26mmol)、及びEt3N(330mg、3.26mmol)の、THF(6mL)溶液を、1晩加熱した。反応混合物を濃縮し、残渣を、分取HPLCにより精製し(H2O(0.05%TFA)及びCH3CNで溶出)、4-(1-アセトアミド-2-メチルプロパン-2-イルチオ)-4-オキソブタン酸を、黄色オイルとして得た。
(実施例29)
(S,S-ビス((R)-3-(ジエチルアミノ)-3-オキソ-2-プロピオンアミドプロピル)ブタンビス(チオエート)(NV185、01-185)の合成)
Figure 2017510603
(R)-3-メルカプト-2-プロピオンアミドプロパン酸(5.00g、28.0mmol)のDMF(50mL)溶液に、トリフェニルメチルクロリド(8.70g、31.0mmol)を、0℃で加えた。混合物を、0℃で、30分撹拌し、その後、室温まで1晩で昇温した。混合物を、水で処理し、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機層を、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧下濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2/MeOH=80/1〜50/1)により精製し、(R)-2-プロピオンアミド-3-(トリチルチオ)プロパン酸を、白色固体として得た。
Figure 2017510603
(R)-2-プロピオンアミド-3-(トリチルチオ)プロパン酸(1.7g、4.0mmol)のCH2Cl2(50mL)撹拌溶液に、DCC(1.7g、8.0mmol)、及びHOBT(0.50g.4.0mmol)を、室温で加えた。混合物を、室温で1時間撹拌し、その後、ジエチルアミン(0.80g、8.0mmol)を加えた。混合物を、室温で1晩撹拌した。混合物を、水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧下濃縮し、粗生成物を得て、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/石油エーテル=1/6〜1/1)により精製し、(R)-N,N-ジエチル-3-メルカプト-2-プロピオンアミドプロパンアミドを、黄色オイルとして得た。
Figure 2017510603
(R)-N,N-ジエチル-3-メルカプト-2-プロピオンアミドプロパンアミド(400mg、0.800mmol)のCH2Cl2(10mL)溶液に、TFA(1mL)、及びi-Pr3SiH(253mg、1.60mmol)を0℃で加えた。混合物を、室温まで昇温し、2時間撹拌した。溶液を、減圧下エバポレートした。残渣を、分取HPLCにより精製し(H2O(0.5%TFA)及びCH3CNで溶出)、(R)-N,N-ジエチル-3-メルカプト-2-プロピオンアミドプロパンアミドを、黄色オイルとして得た。
Figure 2017510603
CH3CN(100mL)中、(R)-N,N-ジエチル-3-メルカプト-2-プロピオンアミドプロパンアミド(150mg、0.600mmol)、Et3N(242mg、2.40mmol)、及びビス(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)サクシネート(94mg、0.30mmol)の混合物を、室温で1晩撹拌した。混合物を、減圧下エバポレートした。残渣を、分取HPLCにより精製し(H2O(0.5%TFA)及びCH3CNで溶出)、S,S-ビス((R)-3-(ジエチルアミノ)-3-オキソ-2-プロピオンアミドプロピル)ブタンビス(チオエート)を、黄色固体として得た(収率:36%)。
(実施例30)
(4-(2-(2-(ジエチルアミノ)-2-オキソエトキシ)エチルチオ)-4-オキソブタン酸(NV193、01-193)の合成)
Figure 2017510603
2-ブロモアセチルブロミド(4.00g、20.0mmol)、及びDIPEA(2.60g、20mmol)のCH2Cl2(50mL)溶液に、ジエチルアミン(1.60g、20.0mmol)を0℃で滴加した。混合物を、0℃で、30分撹拌した。溶液を、減圧下エバポレートし、CH2Cl2を除去した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/石油エーテル=1/5〜1/2)により精製し、2-ブロモ-N,N-ジエチルアセトアミドを、黄色オイルとして得た。
Figure 2017510603
2-メルカプトエタノール(2.50g、32.0mmol)及びトリフェニルメチルクロリド(10.7g、38.4mmol)のTHF(100mL)溶液を、還流下、1晩加熱した。反応混合物を濃縮し、残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/石油エーテル=1/5〜1/1)により精製し、2-(2,2,2-トリフェニルエチルチオ)エタノールを、白色固体として得た。
Figure 2017510603
2-(2,2,2-トリフェニルエチルチオ)エタノール(3.50g、10.9mmol)のTHF(30mL)溶液に、NaH(0.500g、13.0mmol、オイル中60%)を、0℃で、分割して加えた。反応混合物を、0℃で、1時間撹拌した。その後、2-ブロモ-N,N-ジエチルアセトアミド(2.1g、10.9mmol)のTHF (5mL)溶液を滴加した。得られた混合物を、2時間かけて室温まで昇温した。混合物を、水でクエンチし、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機層を、食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧下濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/石油エーテル=1/5〜1/2)により精製し、N,N-ジエチル-2-(2-(トリチルチオ)エトキシ)アセトアミドを、白色固体として得た。
Figure 2017510603
N,N-ジエチル-2-(2-(トリチルチオ)エトキシ)アセトアミド(2.70g、6.30mmol)のCH2Cl2(20mL)溶液に、TFA(2mL)、及びi-Pr3SiH(2.00g、12.6mmol)を、0℃で加えた。混合物を、室温まで昇温し、2時間撹拌した。溶液を、減圧下エバポレートし、CH2Cl2を除去した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/石油エーテル=1/5〜1/1)により精製し、N,N-ジエチル-2-(2-メルカプトエトキシ)アセトアミドを、無色オイルとして得た。
Figure 2017510603
N,N-ジエチル-2-(2-メルカプトエトキシ)アセトアミド(356mg、1.90mmol)、無水コハク酸(200mg、2.10mmol)、及びEt3N(300mg、2.90mmol)のTHF(10mL)溶液を、1晩還流撹拌した。反応混合物を、真空下濃縮し、残渣を、分取HPLC(H2O(0.5%TFA)及びCH3CNで溶出)により精製し、4-(2-(2-(ジエチルアミノ)-2-オキソエトキシ)エチルチオ)-4-オキソブタン酸を、無色オイルとして得た。
(実施例31)
((R)-メチル3-(4-((R)-3-メトキシ-3-オキソ-2-プロピオンアミドプロピルチオ)-4-オキソブタノイルチオ)-2-プロピオンアミドプロパノエート(NV205、01-205)の合成)
Figure 2017510603
DMF(4.0mL)中、(R)-3-(4-((R)-2-カルボキシ-2-プロピオンアミドエチルチオ)-4-オキソブタノイルチオ)-2-プロピオンアミドプロパン酸(300mg、0.69mmol)、CH3I(293mg、2.06mmol)、及びK2CO3(475mg、3.44mmol)の混合物を、室温で1晩撹拌した。反応混合物をろ過し、ろ液を、分取HPLC(H2O(0.05%TFA)及びCH3CNで溶出)で直接精製し、(R)-メチル=3-(4-((R)-3-メトキシ-3-オキソ-2-プロピオンアミドプロピルチオ)-4-オキソブタノイルチオ)-2-プロピオンアミドプロパノエートを、オフホワイトの固体として得た。
(実施例32)
(NV189の合成)
Figure 2017510603
CH3CN(6mL)中の、N-(2-メルカプト-2-メチルプロピル)アセトアミド(400mg、2.72mmol)、ビス(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)サクシネート(339mg、1.09mmol)、及びEt3N(550mg、5.44mmol)の混合物を、室温で1晩撹拌した。反応混合物を濃縮し、残渣を、分取HPLC(H2O(0.05%TFA)及びCH3CNで溶出)により精製し、NV189を、オフホワイトの固体として得た。
(実施例33)
(S,S-ビス(2-(2-(ジエチルアミノ)-2-オキソエトキシ)エチル)ブタンビス(チオエート)(NV195、01-195)の合成)
Figure 2017510603
N,N-ジエチル-2-(2-メルカプトエトキシ)アセトアミド(438mg、2.3mmol)のCH3CN(10mL)溶液に、ビス(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)サクシネート(374mg、1.2mmol)、及びEt3N(232mg、2.3mmol)を加えた。混合物を、室温で1晩撹拌した。反応混合物を、真空下濃縮し、残渣を、分取HPLC(H2O(0.5%TFA)及びCH3CNで溶出)により精製し、S,S-ビス(2-(2-(ジエチルアミノ)-2-オキソエトキシ)エチル)ブタンビス(チオエート)を、無色オイルとして得た。
(実施例34)
(NV206の合成)
Figure 2017510603
DMF(4mL)中、(R)-3-(4-((R)-2-カルボキシ-2-プロピオンアミドエチルチオ)-4-オキソブタノイルチオ)-2-プロピオンアミドプロパン酸(400mg、0.916mmol)、CH3I(156mg、1.1mmol)、及びK2CO3(190mg、1.37mmol)の混合物を、室温で6時間撹拌した。反応混合物をろ過し、ろ液を、分取HPLC(H2O(0.05%TFA)及びCH3CNで溶出)で直接精製し、NV206を無色ゴム質として得た。
(実施例35)
(NV134(01-134)の合成)
Figure 2017510603
4-クロロブタン-1-オール(8.00g、73.7mmol)、及びPCC(23.8g、110.5mmol)のCH2Cl2(200mL)溶液を、室温で3時間撹拌した。その後、混合物を、エーテルで希釈し、セライト及び中性アルミナのパッドで濾過した。黒色ゴム質を、エーテル中でトリチュレートした。濾液を濃縮し、5.70gの4-クロロブタナールを、淡黄色の液体として得て、それ以上精製すること無く次工程に用いた。
Figure 2017510603
窒素下、-5℃のZnCl2(120mg、0.9mmol)及び塩化アセチル(3.50g、44.1mmol)の混合物に、4-クロロブタナール(4.70g、44.1mmol)のCH2Cl2(7mL)溶液を滴加した。その混合物を、-5℃で、1時間撹拌し、その後室温で1時間撹拌した。混合物を、水で希釈し、CH2Cl2で2回抽出した。合わせたCH2Cl2抽出液を、水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、濃縮することで、酢酸1,4-ジクロロブチルを、黄色オイルとして得て、それ以上精製すること無く次工程に用いた。
Figure 2017510603
酢酸1,4-ジクロロブチル(1.2g、6.48mmol)及びコハク酸モノベンジルエステル(1.35g、6.48mmol)のCH3CN(15mL)溶液に、K2CO3(0.98g、7.08mmol)及びNaI(0.09g、0.59mmol)を加えた。その結果得られた混合物を、75℃で、1晩撹拌した。混合物を水で希釈し、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機抽出液を乾燥(Na2SO4)し、濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/石油エーテル=1/10〜1/5)により精製し、NV-133を無色オイルとして得た。
Figure 2017510603
EtOH(20mL)中、NV-133(450mg、0.85mmol)及びPd/C(10%、200mg)の混合物を、室温で、水素雰囲気(風船)下、3時間撹拌した。反応混合物を濾過し、減圧下濃縮することで、NV-134を、無色オイルとして得た。
(実施例36)
(4-(1-アセトキシ-4-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)ブトキシ)-4-オキソブタン酸(NV150、01-150)の合成)
Figure 2017510603
窒素下、-5℃のZnCl2(26.0mg、0.190mmol)及びアセチルブロミド(1.15g、9.40mmol)の混合物に、4-クロロブタナール(1.0g、9.4mmol)のCH2Cl2(1.5mL)溶液を滴加した。混合物を、-5℃で、1時間撹拌し、その後、室温で1時間撹拌した。混合物を水で希釈し、CH2Cl2で2回抽出した。合わせたCH2Cl2抽出液を水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、減圧下濃縮することで、酢酸1-ブロモ-4-クロロブチルを黄色オイルとして得て、それ以上精製すること無く次工程に用いた。
Figure 2017510603
酢酸1-ブロモ-4-クロロブチル(1.3g、5.6mmol)及びコハク酸モノベンジルエステル(1.1g、5.1mmol)のCH3CN(15mL)溶液に、K2CO3(0.85g、6.1mmol)を加えた。その混合物を、室温で1晩撹拌した。混合物を、水で希釈し、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機抽出液を乾燥(Na2SO4)し、濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/石油エーテル=1/10〜1/5)により精製し、コハク酸=1-アセトキシ-4-クロロブチル=ベンジルを、無色オイルとして得た。
Figure 2017510603
化合物コハク酸=1-アセトキシ-4-クロロブチル=ベンジル(900mg、2.50mmol)及びO-フタルイミド(371mg、2.50mmol)のDMF(20mL)溶液に、K2CO3(522mg、3.80mmol)を加えた。その混合物を、80℃で1晩撹拌した。混合物を水で希釈し、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機抽出液を乾燥(Na2SO4)し、濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/石油エーテル=1/10〜1/3)により精製することで、コハク酸=1-アセトキシ-4-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)ブチル=ベンジル(550mg、46%収率)を微黄色固体として得た。
Figure 2017510603
EtOH(20mL)中、コハク酸=1-アセトキシ-4-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)ブチル=ベンジル(400mg、0.86mmol)及びPd/C(10%、100mg)の混合物を、室温で、水素雰囲気(風船)下、4時間撹拌した。反応混合物を濾過し、減圧下濃縮した。残渣を、分取HPLC(H2O(0.05%TFA)及びCH3CNで溶出した)により精製し、4-(1-アセトキシ-4-(1,3-ジオキソイソインドリン-2-イル)ブトキシ)-4-オキソブタン酸を、白色固体として得た。
(参考文献)
Figure 2017510603
Figure 2017510603
Figure 2017510603
Figure 2017510603

Claims (29)

  1. 乳酸アシドーシスの治療又は予防における使用のための、サクシネートプロドラッグ。
  2. 乳酸アシドーシス、及び複合体Iの欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用から選択される薬剤誘発性副作用の治療又は予防における使用のための、サクシネートプロドラッグ。
  3. 乳酸アシドーシス、及び複合体Iの上流の好気性代謝における欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用から選択される薬剤誘発性副作用の治療又は予防における使用のための、サクシネートプロドラッグ。
  4. 前記化合物が、式(A)又は(A1)を有し、前記薬剤誘発性ミトコンドリア副作用が、複合体I阻害である、請求項1〜3のいずれか1項記載の使用のためのサクシネートプロドラッグ:
    Figure 2017510603
    (式中、R1及びR2は、同一、又は異なり、かつ、式(B)から選択される:
    Figure 2017510603
    (式中、R3は、H、又は任意に置換された、例えば、メチル、エチル、プロピル、若しくはiso-プロピル等のC1-C3アルキルから選択され、かつ、R5は、-OC(=O)Raであり(式中、Raは、メチル又は式(C)である:
    Figure 2017510603
    )))。
  5. R1及びR2が、同一、又は異なり、かつ、式(B)から選択される(式中、R3は、H、又は メチルであり、かつ、Raは、メチル又は式(C)である)、請求項4記載の使用のためのサクシネートプロドラッグ。
  6. 前記化合物が、式(I)で表わされるもの、又はその医薬として許容し得る塩である、請求項1〜4のいずれか1項記載の使用のための、保護されたサクシネートプロドラッグ:
    Figure 2017510603
    (式中、該A-B間の点線の結合は、閉環構造を形成するような任意の結合を示し、
    Zは、-CH2-CH2-又は>CH(CH3)から選択され、
    Aは、-SR、-OR、及びNHRから選択され、かつ、Rは、
    Figure 2017510603
    であり、
    Bは、-O-R’、-NHR’’、-SR’’’、又は-OHから選択され;かつ、R’は、以下の式(II)〜(IX)から選択され:
    Figure 2017510603
    R’、R’’、及びR’’’は、独立して、異なる又は同じであり、かつ以下の式(IV)〜(VIII)から選択され:
    Figure 2017510603
    R1及びR3は、独立して、異なる又は同じであり、かつ、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、O-アシル、O-アルキル、N-アシル、N-アルキル、Xアシル、CH2Xアルキル、CH2X-アシル、F、CH2COOH、CH2CO2アルキルから選択され、
    Xは、O、NH、NR6、Sから選択され、
    R2は、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、C(O)CH3、C(O)CH2C(O)CH3、C(O)CH2CH(OH)CH3から選択され、
    pは、整数であり、かつ、1又は2であり、
    R6は、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、アセチル、アシル、プロピオニル、ベンゾイル、又は式(II)、又は式(VIII)から選択され、
    X5は、-H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、-COOH、-C(=O)XR6、CONR1R3から選択されるか、又は以下の式であり:
    Figure 2017510603
    X7は、R1、-NR1R3から選択され、
    R9は、H、Me、Et、又はO2CCH2CH2COXR8から選択され、
    R10は、Oアシル、NHアルキル、NHアシル、又はO2CCH2CH2COX6R8から選択され、
    X6は、O、NR8、又はNR6R8から選択され(式中、R6及びR8は、独立して、異なる又は同じであり、かつ、H、アルキル、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、アセチル、アシル、プロピオニル、ベンゾイル、又は式(II)、又は式(VIII)から選択される)、
    R11及びR12は、独立して、異なる又は同じであり、かつ、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、アセチル、プロピオニル、ベンゾイル、-CH2Xアルキル、-CH2Xアシルから選択され(式中、Xは、O、NR6、又はSであり)、
    Rc及びRdは、独立して、異なる又は同じであり、かつ、CH2Xアルキル、CH2Xアシルから選択され(式中、X=O、NR6、又はSである)、
    R13、R14、及びR15は、独立して、異なる又は同じであり、かつ、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、-COOH、O-アシル、O-アルキル、N-アシル、N-アルキル、Xアシル、CH2Xアルキルから選択され;
    R13及びR14上、又はR13及びR15上の置換基は、架橋して、環系を形成していてもよく、
    Rf、Rg、及びRhは、独立して、異なる又は同じであり、かつ、Xアシル、-CH2Xアルキル、-CH2X-アシル、及びR9から選択され、
    アルキルは、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、又はt-ブチルから選択され、
    アシルは、ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソプロピオニル、ビツリル、tert-ブチリル、ペンタノイル、又はベンゾイルから選択され、
    アシル及び/又はアルキルは、任意に置換されていてもよく、
    該A-B間の点線の結合が、存在する場合、前記式(I)の化合物は、
    Figure 2017510603
    (式中、X4は、-COOH、-C(=O)XR6
    Figure 2017510603
    から選択される)である)。
  7. 式(I)を有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の使用のための化合物、又はその医薬として許容し得る塩:
    Figure 2017510603
    (式中、該点線の結合は、環状構造を形成する、A-B間の任意の結合を示し、
    Zは、-CH2-CH2-又は>CH(CH3)から選択され、
    A及びBは、独立して、異なる、又は同一であり、かつ、-OR、-O-R’、-NHR’’、-SR’’’、又は-OHから選択されるが、A及びB双方が、-OHであることはなく、
    Rは、
    Figure 2017510603
    であり、
    R’は、以下の式(II)、(V)、又は(IX)から選択され:
    Figure 2017510603
    R’、R’’、及びR’’’は、独立して、異なる又は同じであり、かつ、以下の式(VII)又は(VIII)から選択され:
    Figure 2017510603
    R1及びR3は、独立して、異なる又は同じであり、かつ、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、O-アシル、O-アルキル、N-アシル、N-アルキル、Xアシル、CH2Xアルキル、CH2CH2CH2OC(=O)CH2CH2COX6R8、又は
    Figure 2017510603
    から選択され、
    Xは、O、NH、NR6、Sから選択され、
    R2は、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、C(O)CH3、C(O)CH2C(O)CH3、C(O)CH2CH(OH)CH3から選択され、
    pは、整数であり、かつ、1又は2であり、
    R6は、H、アルキル、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、アセチル、アシル、プロピオニル、ベンゾイル、又は式(II)、又は式(VIII)から選択され、
    X5は、-H、-COOH、-C(=O)XR6、CONR1R3、又は式のうちの1つから選択され:
    Figure 2017510603
    R9は、H、Me、Et、又はO2CCH2CH2COXR8から選択され、
    R10は、Oアシル、NHアルキル、NHアシル、又はO2CCH2CH2COX6R8から選択され、
    X6は、O又はNR8であり、かつ、R8は、H、アルキル、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、アセチル、アシル、プロピオニル、ベンゾイル、又は式(II)、又は式(VIII)から選択され、
    R11及びR12は、独立して、同一又は異なり、かつ、H、アルキル、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、アセチル、アシル、プロピオニル、ベンゾイル、アシル、-CH2Xアルキル、-CH2Xアシルから選択され(式中、Xは、O、NR6、又はSから選択される)、
    R13、R14、及びR15は、独立して、異なる又は同じであり、かつ、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、t-ブチル、-COOH、O-アシル、O-アルキル、N-アシル、N-アルキル、Xアシル、CH2Xアルキルから選択され、
    Rc及びRdは、独立して、CH2Xアルキル、CH2Xアシルであり(式中、X=O、NR6、又はSであり、アルキルは、例えば、H、Me、Et、プロピル、i-プロピル、ブチル、iso-ブチル、又はt-ブチルであり、アシルは、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソプロピオニル、ビツリル、tert-ブチリル、ペンタノイル、ベンゾイル等である)、
    Rf、Rg、及びRhは、独立して、Xアシル、-CH2Xアルキル、-CH2X-アシル、及びR9から選択され、
    アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、又はデシルから選択され、アシルは、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、ペンタノイル、ベンゾイル等から選択され、
    R20及びR21は、独立して、異なる又は同じであり、かつ、H、低級アルキル、すなわち、C1-C4アルキルから選択され、又は、R20及びR21は、一緒になって、双方ともハロゲン、ヒドロキシル、又は低級アルキルで任意に置換されていてもよいC4-C7シクロアルキル、又は、芳香族基を形成していてもよく、又は、
    R20及びR21は、
    Figure 2017510603
    又はCH2X-アシル、F、CH2COOH、CH2CO2アルキルであってよく、かつ、
    A-B間に環状結合が存在する場合、該化合物は、
    Figure 2017510603
    であり、
    アシル及びアルキルは、任意に置換されていてもよい)。
  8. i)乳酸アシドーシス、ii)複合体Iの欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用、及びiii)複合体Iの上流の好気性代謝における欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用から選択される薬剤誘発性副作用の治療及び/又は予防における使用のための、薬剤物質及びサクシネートプロドラッグの組み合わせであって、
    i)該薬剤物質は、該薬剤物質が適応となっている疾患の治療のために用いられ、かつ
    ii)該サクシネートプロドラッグは、該薬剤物質により誘発された、又は誘発され得る副作用の予防又は軽減のために用いられ、該副作用が、乳酸アシドーシス、及び複合体Iの欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用から選択される、前記組み合わせ。
  9. 前記サクシネートプロドラッグが、請求項4〜7いずれか1項に定義される式を有する、請求項8記載の組み合わせ。
  10. 前記薬剤物質が、明細書で定義する通りである、請求項8又は9記載の組み合わせ。
  11. 前記薬剤物質が、抗糖尿病物質である、請求項8〜10のいずれか1項記載の組み合わせ。
  12. 前記抗糖尿病物質が、メトホルミンである、請求項8〜11のいずれか1項記載の組み合わせ。
  13. 薬剤物質及びサクシネートプロドラッグを含む組成物であって、該薬剤物質が、i)乳酸アシドーシス、ii)複合体Iの欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用、及びiii)複合体Iの上流の好気性代謝における欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用から選択される薬剤誘発性副作用を有し得る、前記組成物。
  14. 前記サクシネートプロドラッグが、前記薬剤物質により誘発された、又は誘発され得る副作用の予防又は軽減のために用いられ、該副作用が、i)乳酸アシドーシス、ii)複合体Iの欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用、及びiii)複合体Iの上流の好気性代謝における欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用から選択される、請求項13記載の組成物。
  15. 前記サクシネートプロドラッグが、請求項4又は5に定義される式を有する、請求項13又は14記載の組成物。
  16. 前記薬剤物質が、明細書で定義する通りである、請求項13〜15のいずれか1項記載の組成物。
  17. 前記薬剤物質が、抗糖尿病物質である、請求項13〜16のいずれか1項記載の組成物。
  18. 前記抗糖尿病物質が、メトホルミンである、請求項13〜17のいずれか1項記載の組成物。
  19. i) i)乳酸アシドーシス、及びii)複合体Iの欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用、及びiii)複合体Iの上流の好気性代謝における欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用から選択される薬剤誘発性副作用を有し得る薬剤物質を含む第1の容器、及び
    ii)該薬剤物質により誘発された、又は誘発され得る副作用を予防又は軽減する可能性があるサクシネートプロドラッグを含む第2の容器であって、該副作用が、i)乳酸アシドーシス、ii)複合体Iの欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用、及びiii)複合体Iの上流の好気性代謝における欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用から選択される、前記第2の容器、
    を含むキット。
  20. 前記サクシネートプロドラッグが、請求項4〜7のいずれか1項に定義される式を有する、請求項19記載のキット。
  21. 前記薬剤物質が、明細書で定義する通りである、請求項19又は20記載のキット。
  22. 前記薬剤物質が、抗糖尿病物質である、請求項19〜21のいずれか1項記載のキット。
  23. 前記抗糖尿病物質が、メトホルミンである、請求項19〜22のいずれか1項記載のキット。
  24. i)乳酸アシドーシス、ii)複合体Iの欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用、及びiii)複合体Iの上流の好気性代謝における欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用から選択される薬剤誘発性副作用を被っている対象を治療する方法であって、該対象に、サクシネートプロドラッグを有効量投与することを含む、前記方法。
  25. i)乳酸アシドーシス、ii)複合体Iの欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用、及びiii)クレブス回路の脱水素酵素、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、及び脂肪酸代謝におけるような複合体Iの上流の好気性代謝における欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用から選択される副作用を誘発し得る薬剤物質により治療される疾患に罹患する対象において、i)乳酸アシドーシス、ii)複合体Iの欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用、及びiii)複合体Iの上流の好気性代謝における欠陥、阻害、又は不調に関連する副作用から選択される薬剤誘発性副作用を予防又は軽減する方法であって、該薬剤物質による治療前、治療中、又は治療後に、該対象に、サクシネートプロドラッグを有効量投与することを含む、前記方法。
  26. 前記サクシネートプロドラッグが、請求項4〜7のいずれか1項に定義される式を有する、請求項24又は25記載の方法。
  27. 前記薬剤物質が、明細書で定義する通りである、請求項24〜26のいずれか1項記載の方法。
  28. 前記薬剤物質が、抗糖尿病物質である、請求項24〜27のいずれか1項記載の方法。
  29. 前記抗糖尿病物質が、メトホルミンである、請求項24〜28のいずれか1項記載の方法。
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