JP2017509868A - 照射窓の冷却効率を向上させた電子線照射装置 - Google Patents

照射窓の冷却効率を向上させた電子線照射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】照射窓の冷却効率を向上させることができる電子線照射装置を提供する。【解決手段】電子e−を発生させ得る電子発生源2と、この電子発生源2を内部30に配置する真空チャンバー3と、この真空チャンバー3の気密を保つとともに電子発生源2からの電子e−が透過し得る照射窓5と、この照射窓5を冷却気体33により冷却する空冷手段とを備える電子線照射装置1であって、照射窓5は、電子e−を透過させる薄膜部50と、この薄膜部50よりも真空チャンバー3の外側に突出した厚膜部51とを有し、厚膜部51に、空冷手段からの冷却気体33を薄膜部51に導く通気路57が形成され、照射窓5を冷却液体32により冷却する液冷手段を備え、厚膜部51は、液冷手段に接続される。【選択図】図1

Description

本発明は、電子線照射装置に関するものである。
従来から、電子線照射装置は、電子を発生させ得る電子発生源と、この電子発生源が内部に配置される真空チャンバーとを備える。また、この真空チャンバーには、電子を透過させ得る照射窓が設けられる。この照射窓は、電子を透過させる箔と、容積発生熱のために熱流束を伝達するだけでなく箔の強度部材として作用するグリッドとからなる。すなわち、上記電子線照射装置は、上記電子発生源で発生させた電子を上記真空チャンバーの内部で加速させ、加速させた電子に上記照射窓(正確には箔)を透過させて、上記真空チャンバーの外部に電子を電子線として照射するものである。このような電子線照射装置として、下記特許文献1のFig.4に示すように、グリッド16,18を二重にするとともに、当該グリッド16,18の両方または一方を冷却機構(cooling structure)46の冷却液体(cooling fluid)により冷却する構成が開示されている。
米国特許第8339024号明細書
ところで、図8および図9に示すように、2つの共通する従来の照射窓がある。図8に示すケースでは、照射窓105が箔150およびグリッド151を有し、これらは照射窓105を介した熱流束の伝導により冷却されるとともに、その構造物の周辺の典型的な対流を介した流束の除去により冷却される。水のような液体の対流係数は、空気のような気体の対流係数よりも著しく高いので、冷却のための流体の一般的な選択は液体132である。グリッド151は十分な厚みを有するので熱伝導が高く、そのような方法により十分に冷却されるが、箔150は薄いので熱伝導が低く、この設計では冷却液体132により十分に冷却されない。他方のケースは、図9に示すように、箔150の表面からの対流によって直接的に熱を奪うために、その表面の上にあるノズルnからの流れている冷却気体により、照射窓105が冷却されるだろう。このケースでは、箔150を介してその周辺に熱流束を伝達させる必要はない。
第一のケースの従来の構成では、箔の小さな断面の表面領域は、低い熱伝導を供給するので、伝導に適した形状ではない。第二のケースの従来の構成では、気体の対流係数が相当に低く、効率的な熱の除去における課題が生ずる。さらに、第二のケースでは、構造的な構成のないグリッドではじめて可能となり、したがって、大気と真空との圧力差による窓105の崩壊を避けるために、小さな幅の窓105にしか適用できない。ゆえに、現存する照射窓の冷却効率が十分ではない。
そこで、本発明は、照射窓の冷却効率を向上させることができる電子線照射装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る電子線照射装置は、電子を発生させ得る電子発生源と、この電子発生源を内部に配置する真空室と、この真空室の気密を保つとともに上記電子発生源からの電子が透過し得る照射窓と、この照射窓を気体により冷却する空冷手段とを備える電子線照射装置であって、
上記照射窓は、上記電子を透過させる薄膜部と、この薄膜部よりも上記真空室の外側に突出した厚膜部とを有し、
上記厚膜部に、上記空冷手段からの気体を上記薄膜部に導く通気路が形成されているものである。
また、本発明の請求項2に係る電子線照射装置は、請求項1に記載の電子線照射装置において、厚膜部に、通気路に導かれた気体の流れを薄膜部に向ける気体流向手段が設けられるものである。
さらに、本発明の請求項3に係る電子線照射装置は、請求項1または2に記載の電子線照射装置において、照射窓を液体により冷却する液冷手段を備え、
厚膜部は、上記液冷手段に接続されるものである。
また、本発明の請求項4に係る電子線照射装置は、請求項1または2に記載の電子線照射装置において、照射窓よりも電子発生源側に配置される遮蔽窓と、この遮蔽窓を液体により冷却する液冷手段とを備え、
上記遮蔽窓は、薄膜部に到達しようとする電子を通過させる通過部と、厚膜部に到達しようとする電子を遮蔽する遮蔽部とを有し、
上記遮蔽窓は、上記液冷手段に接続されるものである。
また、本発明の請求項5に係る電子線照射装置は、請求項4に記載の電子線照射装置において、真空室、照射窓および遮蔽窓の材質が、ステンレスであるものである。
また、本発明の請求項6に係る電子線照射装置は、請求項1に記載の電子線照射装置において、薄膜部の底から照射窓の底までの空間である凹部を有し、
上記凹部は、外方に向けて傾斜しているものである。
上記電子線照射装置によると、照射窓の冷却効率を向上させることができる。
本発明の実施例1に係る電子線照射装置の概略断面図である。 同電子線照射装置における照射窓の底面図である。 図2のA−A断面図である。 本発明の実施例2に係る電子線照射装置の概略断面図である。 本発明の他の実施例に係る電子線照射装置における照射窓の底面図である。 本発明の実施例に係る電子線照射装置における照射窓に設けられた気体流向突起を示す図であり、同照射窓の通気路に沿った断面図である。 本発明のさらに他の実施例に係る電子線照射装置における照射窓の通気路に沿った断面図である。 従来の電子線照射装置における照射窓付近の拡大概略断面図である。 図8に示す従来の電子線照射装置に空冷を併用した拡大概略断面図である。
以下、本発明の実施例1に係る電子線照射装置について図面に基づき説明する。
図1に示すように、この電子線照射装置1は、電子eを発生させ得る電子発生源2と、この電子発生源2を内部30に配置する真空チャンバー(真空室である)3とを備える。この真空チャンバー3は、その内部30を真空にするための真空ポンプ(着脱式のものでもよい)4が接続される。また、上記真空チャンバー3には、上記電子発生源2からの電子eを透過させ得る照射窓5が設けられる。この照射窓5は、上記真空チャンバー3を構成する壁31とともに、真空チャンバー3の気密を保つものでもある。上記真空チャンバー3は、上記照射窓5と接続される部分の壁31が3重殻構造、つまり内殻31i、中間殻31mおよび外殻31oからなるようにされている。これらのうち、内殻31iおよび中間殻31mが照射窓5の上面(電子発生源2側の面)における周縁部に接続され、外殻31oが照射窓5の側面における下端に接続される。そして、内殻31iと中間殻31mとの間が、冷却液体32を循環させる空間となる。また、中間殻31mと外殻31oとの間が、冷却気体33を循環させる空間となる。これら内殻31i、中間殻31mおよび外殻31oと照射窓5とは、これに限定されないが例えばロウ付け35により接続される。なお、上記内殻31iおよび中間殻31mと冷却液体32とは液冷手段の一例であり、上記中間殻31mおよび外殻31oと冷却気体33とは空冷手段の一例である。
次に、上記照射窓5について説明する。
上記照射窓5は、図1に示すように、上記電子eを透過させる薄膜部50(所謂、箔である)と、この薄膜部50よりも厚い厚膜部51(所謂、グリッドである)とを有する。この厚膜部51は、上記薄膜部50よりも下側(真空チャンバー3の外側)に突出したものである。すなわち、上記薄膜部50は、照射窓5の下側ではなく、照射窓5の上側(電子発生源2側)に位置する。また、上記薄膜部50は、上記照射窓5の底面図である図2に示すように、上記照射窓5の周縁部以外に複数且つ規則的に(図2では一例として2行4列)配置される。上記厚膜部51は、上記照射窓5の周縁部に位置するもの(外側厚膜部52という)と、上記薄膜部50同士の間に位置するもの(内側厚膜部53という)とからなる。
続いて、照射窓5を冷却する構成、つまり本発明の要旨について説明する。
図1に示すように、上記外側厚膜部52は、上面で液冷手段に接続され、外側で空冷手段に接続されることになる。まず、上記液冷手段による厚膜部51の冷却について説明する。
上記外側厚膜部52は、液冷手段で直接冷却される構成である。上記内側厚膜部53は、図2に示すように、外側厚膜部52に連続しており、内側厚膜部53自身も連続している。すなわち、上記内側厚膜部53は、外側厚膜部52から一筆書き状に形成されるので、液冷手段で直接冷却された外側厚膜部52により効率的に冷却される構成である。
次に、上記空冷手段による薄膜部50の冷却について説明する。なお、以下では、上記薄膜部50の下面から照射窓5の下面までの空間、つまり薄膜部50が厚膜部51より薄いことで形成される空間を凹部56という。
上記厚膜部51には、図1〜図3に示すように、上記空冷手段に接続される部分から上記凹部56まで、当該空冷手段からの冷却気体33を上記薄膜部50に導くための通気路57が形成される。具体的に説明すると、上記通気路57は、上記空冷手段から冷却気体33を凹部56まで案内して薄膜部50に導くものである。言い換えれば、上記照射窓5は、薄膜部50に衝突噴流冷却を行う構成である。衝突噴流冷却は、十分でより高い対流係数のために、より好ましくは表面の上での平行な流れである。また、上記通気路57は、案内する冷却気体33に上記厚膜部51の熱を吸収させないためにも短い方が好ましいが、製作性も考慮する必要がある。これらを満たす通気路57は、例えば図2に示すように、上行の薄膜部50群と下行の薄膜部50群との間を直線状に横切る幹路58と、この幹路58から垂直に分かれて各凹部56に達する枝路59とからなるものである。なお、上記凹部56は真空チャンバー3の外側に開口しているので、薄膜部50に衝突した冷却気体33は、電子線照射装置1の外に放出される。
以下、上記電子線照射装置1の作用について説明する。
まず、真空ポンプ4により真空チャンバー3の内部30を真空にする。そして、内殻31iと中間殻31mとの間に冷却液体32を循環させるとともに、中間殻31mと外殻31oとの間に冷却気体33を送り込み、電子発生源2により電子eを発生させる。すると、電子発生源2からの電子eは、真空チャンバー3の内部30で加速されて、照射窓5に到達する。照射窓5の薄膜部50に到達した電子eは、薄膜部50を透過して照射用の電子線を構成する多数部と、吸収されて熱を発生させる少数部とを有する。一方、照射窓5の厚膜部51に到達した電子eは、厚膜部51に吸収されて、厚膜部51を高温にする。しかし、高温の外側厚膜部52は、冷却液体32により直接冷却される。また、高温の内側厚膜部53は、外側厚膜部52と連続的であり、内側厚膜部53自身も連続的なので、外側厚膜部52により効率的に冷却される。一方で、薄膜部50は、空冷手段から通気路57を介して凹部56まで案内された冷却気体33が吹き付けられて、冷却される。すなわち、薄膜部50に衝突噴流冷却が行われる。
このように、上記電子線照射装置1によると、高い熱伝導の厚膜部51が液冷手段により冷却されるとともに、厚膜部51より低い熱伝導だが面を介して対流抵抗の低い薄膜部50がその代わりに空冷手段により冷却されるので、照射窓5の冷却効率を十分に向上させることができる。
また、照射窓5の冷却効率を十分に向上させることは、照射窓5が高温にならないので、照射窓5にピンホールのような熱破損が発生しにくく、結果として照射窓5の交換頻度を低減することができる。
さらに、照射窓5の冷却効率を十分に向上させることは、多量の電子eを照射窓5に透過させることが可能となり、結果として真空チャンバー3の外部に高電流密度の電子線を照射し、滅菌や素材の硬化のような電子線を適用するプロセスのために、より大きな線量を放出することができる。
本実施例2に係る電子線照射装置1は、上記実施例1に係る電子線照射装置1に別途の遮蔽窓6を設けることで、電子eの吸収による熱の負荷を遮蔽窓6にも分担させたものである。以下、本実施例2に係る電子線照射装置1について説明するが、上記実施例1と異なる構成について説明するとともに、上記実施例1と同一の構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
本実施例2に係る電子線照射装置1は、図4に示すように、上記実施例1に係る電子線照射装置1における照射窓5の上側(電子発生源2側)に遮蔽窓6を配置し、この遮蔽窓6(照射窓5ではなく)の上面における周縁部に液冷手段を接続したものである。なお、上記照射窓5は、上記遮蔽窓6から熱が伝達されない(断熱状態を維持する)ために、上記遮蔽窓6との間に空間(断熱材でもよい)が確保される。
上記遮蔽窓6は、電子eを遮蔽する厚さを有するとともに、薄膜部50の上方位置に開口部が形成されたものである。すなわち、上記遮蔽窓6は、薄膜部50に到達しようとする電子eを通過させる上記開口部(以下では通過部60という)と、厚膜部51に到達しようとする電子eを遮蔽する部分(以下では遮蔽部61という)とを有する。
このため、上記遮蔽部61は、厚膜部51に到達しようとする電子eを吸収するので、厚膜部51による電子eの吸収を抑えられる。したがって、照射窓5は、薄膜部50でのみ電子eを吸収し、また、遮蔽窓6から熱が伝達されないので、上記実施例1のように高温とならない。
このように、本実施例2に係る電子線照射装置1によると、電子eの吸収による熱の負荷を遮蔽窓6と照射窓5とに分担させるので、照射窓5の冷却効率を一層向上させることができる。
ところで、上記実施例2では、真空チャンバー3、照射窓5および遮蔽窓6の材質について説明しなかったが、これらは高温とならないので熱伝導性の高い金属に限定されることなく、ステンレスを使用することが可能である。これらにステンレスを使用することで、耐食性を向上させることができる。さらに、これらにステンレスを使用することで、各部材の接合に同種金属用の溶接が採用可能なので、製作性も向上させることができる。
また、上記実施例1および2では、照射窓5および凹部56がそれぞれ矩形状のものを図示したが、この形状に限定されるものではなく、図5に示すように、それぞれ円形状のものなどであってもよい。
さらに、上記実施例1および2では、通気路57の詳細について説明しなかったが、図6に示すように、凹部56における通気路57の端部に、冷却気体33の流れを薄膜部50の適切な部分に導くための気体流向突起(気体流向手段の一例)7を設けてもよい。これにより、冷却気体33の流れと薄膜部50の表面との角度が大きくなることで、薄膜部50がより効率的に冷却されるので、照射窓5の冷却効率を極めて向上させることができる。
また、上記実施例1および2では、厚膜部51の下面について詳細に説明しなかったが、照射窓5の材質によっては、厚膜部51の下面に耐食用のコーティングを施してもよい。これにより、照射窓5の耐食性を向上させることができる。
また、上記実施例1および2では、厚膜部51および凹部56の形状について詳細に説明しなかったが、図7に示すように、厚膜部51は下側(真空チャンバー3の外側)ほど幅狭(つまり凹部56は下側ほど幅広)に形成されたものでもよい。言い換えれば、凹部56は外方に向けて傾斜している。これにより、大気側への電子eの散乱による窓5への電子eの損失を減少させる。

Claims (6)

  1. 電子を発生させ得る電子発生源と、この電子発生源を内部に配置する真空室と、この真空室の気密を保つとともに上記電子発生源からの電子が透過し得る照射窓と、この照射窓を気体により冷却する空冷手段とを備える電子線照射装置であって、
    上記照射窓は、上記電子を透過させる薄膜部と、この薄膜部よりも上記真空室の外側に突出した厚膜部とを有し、
    上記厚膜部に、上記空冷手段からの気体を上記薄膜部に導く通気路が形成されることを特徴とする電子線照射装置。
  2. 厚膜部に、通気路に導かれた気体の流れを薄膜部に向ける気体流向手段が設けられることを特徴とする請求項1に記載の電子線照射装置。
  3. 照射窓を液体により冷却する液冷手段を備え、
    厚膜部は、上記液冷手段に接続されることを特徴とする請求項1または2に記載の電子線照射装置。
  4. 照射窓よりも電子発生源側に配置される遮蔽窓と、この遮蔽窓を液体により冷却する液冷手段とを備え、
    上記遮蔽窓は、薄膜部に到達しようとする電子を通過させる通過部と、厚膜部に到達しようとする電子を遮蔽する遮蔽部とを有し、
    上記遮蔽窓は、上記液冷手段に接続されることを特徴とする請求項1または2に記載の電子線照射装置。
  5. 真空室、照射窓および遮蔽窓の材質が、ステンレスであることを特徴とする請求項4に記載の電子線照射装置。
  6. 薄膜部の底から照射窓の底までの空間である凹部を有し、
    上記凹部は、外方に向けて傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の電子線照射装置。
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