JP2017507149A - 抗体精製方法 - Google Patents

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Abstract

標的抗体を精製する方法は、少なくとも1種の標的抗体を含む細胞培養採取物又はタンパク質調製物を7乃至10個の炭素原子を有する少なくとも1種の脂肪酸と接触させて混合物を形成させる工程、この混合物をアラントインと接触させる工程及び次いで、固体物を分離することにより上記標的抗体を含む溶液を得る工程を含む。固体物はろ過、沈降又は遠心分離によって除去することができ、脂肪酸はエナント、カプリル、ペラルゴン、ノネン又はカプリン酸とすることができる。また、本発明はこの抗体精製方法を容易にするために用いられるキットに関する。【選択図】なし

Description

本明細書に開示する実施態様は、IgG及びIgM抗体などの抗体を含む、タンパク質を精製するための方法に関する。
一般的に、タンパク質の精製は、普通なら細胞及びデブリの存在によって妨害される方法によって、残りの上清を処理することができるようにこれらを除去する清澄化工程から始める。これらの除去には、通常、遠心分離及びろ過などの物理的方法を必要とする。この工程は、陰イオン交換能を有するろ過物質の使用、又は抗体を含む採取物への陰イオン交換粒子もしくは可溶性ポリマーの直接添加を伴うことがある(非特許文献1乃至3)。
物理的に清澄化された細胞培養採取物のアラントイン、可溶性有機陽イオン及び混合粒子による二次処理について報告されている(非特許文献4)。このアプローチは特に死細胞により放出されるクロマチンの含量及びクロマチンと関連する凝集物のレベルを低下させたが、その後に、所望の純度を達成するために3つのクロマトグラフィー工程が必要とされた。アラントインは、市販のヘルスケア製品に広く使用されているFDA承認の抗炎症剤である。IgGの溶液を含むタンパク質溶液から、明らかに水素結合を介して内毒素を除去することは知られている(非特許文献5及び6)。
カプリル酸(オクタン酸)を用いた夾雑物同時沈殿によるIgG抗体の部分精製についてはすでに開示されている(非特許文献7及び8)。脂肪酸は全てのタンパク質に結合するが、特に酸性非IgG夾雑物を沈殿させる傾向がある(非特許文献1及び9)。細胞培養採取物への応用については、カプリル酸濃度、pH、塩濃度、温度などの基本的な変数及び可溶性IgG調製物から残存カプリル酸を除去するためのその後のクロマトグラフィー工程の必要性を含むメカニズム及びプロセス開発のガイドラインが示されている(非特許文献1)。他の手段によるその後の精製のために粗試料を調製する技術については最も報告が多い(非特許文献1及び10並びにアルナクマリ(Arunakumari)・A.ほかの特許文献1)が、プロテインA親和性クロマトグラフィーによる抗体捕捉後のポリッシング工程としても応用されている(非特許文献11)。
米国特許出願公開第20120101262A1号
ガニョン(Gagnon)・P.「モノクロナール抗体の精製ツール(Purification Tools for Monoclonal Antibodies)」、バリデイテッド・バイオシステムズ(Validated Biosystems)、トゥーソン(Tucson)、1996年 クツェウスキー(Kuczewski)・M.ほか、バイオファーム・インターナショナル(Biopharm Int.)23(3)20−25(2010年) クツェウスキー・M.ほか、バイオテクノロジー・ジャーナル(Biotechnol.J.)6:56−65(2011年) ガン(Gan)・H.ほか、ジャーナル・オブ・クロマトグラフィー(J.Chromatogr.)A、1291:33−40(2013年) ヴゲネンデ(Vagenende)ほか、ACSアプライド・マテリアル・アンド・インターフェイシズ(ACS.Appl.Mater.Interfaces)、22:4472−4478(2013年) ヴゲネンデほか、ジャーナル・オブ・クロマトグラフィー・A、1310:15−20(2013年) チャントゥイン(Chantuin)・A.ほか、アーカイブズ・オブ・バイオケミストリー・アンド・バイオフィジックス(Arch.Biochem.Biophys.)89:218−220(1960年) マッキニー(McKinney)・M.ほか、ジャーナル・オブ・イムノロジカル・メソッズ(J.Immunol.Met.)96:271−278(1987年) モライス(Morais)・V.ほか、バイオテクノロジー・アンド・アプライド・バイオケミストリ(Biotechnol.Appl.Biochem.)59:50−54(2012年) Y・イグソー(Yigsaw)ほか、2008年、上流の供給原料乃至下流の作業の改善(Improving upstream feed stock to downstream operations)、リカバリ・オブ・バイオロジックス・カンファレンス(Recovery of Biologics Conference)XIII、ケベック(Quebec) Y・ブロツキー(Brodsky)ほか、バイオテクノロジー・アンド・バイオエンジニアリング(Biotechnol.Bioeng.)109:2589−2598(2012年)
一部の態様において、本明細書に開示した実施態様は、細胞培養採取物を7乃至10個の炭素原子を有する少なくとも1種の脂肪酸及び過飽和濃度のアラントインと接触させて混合物を形成する工程及び固体物を分離して夾雑物の負荷の低下した標的タンパク質を含む溶液を得る工程を含む、標的タンパク質を精製する方法に関する。この処理した液は、任意選択的に、さらに、所望により、他の精製方法によって処理する前に、陽性電荷を含む内接表面接触面を有する装置を通すことができる。
一部の態様において、本明細書に開示した実施態様は、抗体を精製する方法であって、細胞培養採取物を7乃至10個の炭素原子を有する少なくとも1種の脂肪酸と接触させて混合物を形成する工程、この混合物をアラントインと接触させる工程、得られた混合物を非イオン又は陽イオン性界面活性剤と接触させた後、固形物を除去して抗体を含む溶液を得る工程を含む方法に関する。
化学的に互いに拮抗する物質を組み合わせると、これらの物質のいずれか1つに個別に依存する精製方法よりも高いレベルの純度及び低いレベルの濁度で抗体を含む標的タンパク質をもたらす意外な効果があることを見出した。拮抗する物質を組み合わせると、普通は、互いの個別の効果を相殺し、粗悪なタンパク質精製又は粗悪なタンパク質回収又はそれらの両方をもたらすことが予想される。そうではなく、本実施態様は、これらの物質が相乗的に作用して個々の成分のいずれかがもたらす能力を実質的に超えるタンパク質の純度及び回収のレベルを達成する確かな手段を提供する。こうした観察結果は、特に、IgG及びIgM抗体などの抗体に適用可能である。さらに、実験結果は、組合せにおける成分のそれぞれの反応性曲線が個別に用いた場合のそれらの反応性曲線と異なることを示している。このことは、本明細書に開示した実施態様の有用性は個々の成分の既知の性質又は用途から予測できなかったかもしれないことを強調するものである。組合せ対象となる成分としては、特に、7もしくは8もしくは9もしくは10個の炭素原子を含有する飽和脂肪酸又は6もしくは7もしくは8もしくは9個の炭素原子及び1つの二重結合を含有する不飽和脂肪酸並びに正電荷を有する可溶性及び/又は固体物が挙げられる。さらに、これら成分としてはアラントインを挙げることができる。本明細書に開示した方法では、これらの物質は抗体の一種などの標的タンパク質を含む液体調製物の形で組み合わせ、次いで適切な期間培養を行った後、固体を除去して抗体を含む溶液を得る。
実験データは、本明細書に開示した方法において用いられた成分間の互いに拮抗的な相互作用を示している。相互拮抗作用の一例では、結晶性アラントインは、細胞培養採取物中の99%を超える脂肪酸に結合することが実験的に示され、同じようにして添加された脂肪酸に作用する可能性が高いことが分かった。このことは、非抗体夾雑物を沈殿させるために抗体含有細胞培養採取物に添加された脂肪酸の有効性を低下させると予想されるはずである。これとは逆に、本明細書に開示した方法の本態様は、科学文献で最適と報告されているレベルの半分未満の濃度における脂肪酸の効果的使用に寄与する。理論に束縛されずに、恐らく、水素結合を介して不溶解アラントインと複合体化した脂肪酸がその自然のままの電荷、疎水性及び夾雑物結合能を保存する一方で、上記不溶解アラントインの物理的密度によりその沈降による除去が増強される。相互拮抗作用の別の例では、疎水性相互作用を弱め、それにより脂肪酸のその効果達成能を妨げると予想される非イオン性界面活性剤を極めて低濃度で添加すると、驚くべきことに遊離軽鎖夾雑物を除去する有効性が改善され、一方でより大量では酸性非抗体タンパク質の除去に支障を来す。別のさらに驚くべき例では、低レベルの陽イオン性界面活性剤は、脂肪酸の電荷及び疎水性効果を共に妨害するはずであるが、上記組合せの酸性非抗体タンパク質除去能をほぼ倍増させ、一方でより高濃度ではそれとは反対の効果がある。これらの例は、普通は拮抗する成分同士を適切にバランスのとれた比率で組み合わせると、そのような拮抗物質の非存在下では効果的に除去されない夾雑物を除去することが可能になる手段が得られることを強調するものである。
さらに、アラントインを含めることで、特に脂肪酸沈殿の粒子除去能が増強されることを見出した。理論によって束縛されずに、アラントインの効果は水素結合によって媒介され、この結合によりウイルスを含む超微粒子を含む大きな分子集団がより大きなアラントイン結晶に結合すると考えられる。1.45g/cmというその比較的高い密度のため、アラントイン結晶は結合物の迅速な重力沈降を促進し、遠心による沈降を向上させる。また、アラントイン結晶は、脂肪酸−夾雑物沈殿物の物理的構造を一般に粘着性のスラッジから、液体の通過を容易にし、ろ過効率を向上させる比較的ケーキ様の堅さに変える。水性溶液に加えたアラントインの一部は最大約36mMまで溶解し、脂肪酸とタンパク質の相互作用を弱めると考えられる。溶解アラントインは固体の除去後、抗体含有溶液中に留まると理解される。こうした特徴は、歓迎すべきではあるが、一方では、実験データが示すように、アラントインが細胞培養採取物からの脂肪酸の99.7%に結合するので逆接を表している。このことが示唆するように、アラントインの割合は、理想的には慎重に制御する。ある用途のための適切な割合は、一般には1乃至2%(w/v)から始める簡易実験によって決定する。
また、本明細書に開示した方法では、意外にも、カプリル酸に代えて炭素原子数7もしくは9もしくは10の飽和脂肪酸を用いることが可能となることを見出した。エナント(ヘプタン)酸は7個の炭素を含有している。ペラルゴン(ノナン)酸は9個の炭素を含有している。カプリン(デカン)酸は10個の炭素を含有している。さらに驚くべきことには、6もしくは7もしくは8もしくは9個の炭素原子及び1つの二重結合を有する不飽和脂肪酸が効果的である。抗体精製についての科学文献ではオクタン酸以外の種が無視されているにもかかわらず、実験データは、より疎水性の脂肪酸が、カプリン酸よりも抗体回収を低下させるリスクが高いものの、抗体凝集体及び断片をより効果的に除去することを示している。
本明細書に開示した方法の多くの態様の統合を示す一例示的実施態様では、アラントインを1%(w/v)の最終濃度をもたらす量で抗体含有細胞培養採取物に添加した後、ノナン酸を0.3%(v:v)の最終濃度をもたらす量で添加する。この混合物を2時間インキュベートし、その間にノナン酸の夾雑物との相互作用により沈殿物が形成されるが、これには不溶解のアラントイン結晶が組み込まれている。混合を終了し、ノナン酸−アラントイン−夾雑物沈殿物、残存ノナン酸及び不溶解アラントインからなる固体を任意の目的にかなった方法によって除去する。関連の実施態様では、この実質的に固体不含の抗体含有液は、電気的陽性デプスフィルタ、又は試料が電気的陽性もしくは他の官能化表面に接触し、かつ試料から残存脂肪酸もしくは他の可溶性非抗体種を除去する付加的な利益をもたらすことができる他の装置を通すことによってさらに処理する。
本明細書に開示した方法の種々の態様の統合を示す別の例示的実施態様では、アラントインを2%(w/v)の最終濃度をもたらす量で細胞培養採取物に添加した後、カプリル酸を0.2%(v:v)の最終濃度をもたらす量で添加する。この混合物を2時間インキュベートし、その間にカプリン酸の夾雑物との相互作用により沈殿物が形成されるが、これには不溶解のアラントイン結晶が組み込まれている。次いで、この混合物は、不溶解アラントインが組み込まれているカプリル酸−夾雑物沈殿物を保持するが、液体の通過を可能にする少なくとも1種の官能化固体を含む装置と接触させる。
本明細書に開示した方法の種々の態様の統合を示す別の例示的実施態様では、アラントインを1%(w/v)の最終濃度をもたらす量で細胞培養採取物に添加した後、ノネン酸を0.5%(v:v)の最終濃度をもたらす量で添加する。この混合物を2時間インキュベートし、その間にノネン酸の夾雑物との相互作用により沈殿物が形成されるが、これには不溶解のアラントイン結晶が組み込まれている。不溶解アラントインが組み込まれているノネン酸−アラントイン−夾雑物沈殿物は任意の目的にかなった方法によって除去する。
一部の実施態様では、約0.2%のカプリン酸は、約0.3%の濃度のペラルゴン酸又は約0.4%の濃度のカプリル酸又は約0.6%の濃度のエナント酸と置き換えることができる。このことから、夾雑物の除去及び抗体の回収は脂肪酸の濃度及び疎水性に依存していることが分かる。脂肪酸の疎水性が高いほど良好な結果を達成するにはより低い濃度が必要となり、また、より低い濃度ではIgG抗体の回収に支障をきたす。こうした絶対及び相対濃度は抗体ごとに異なり得、従って上記特定の脂肪酸の濃度も異なり得るが、そのような数値は新しい抗体系において純度を評価する際の便利な出発点を当業者に知らせるために設けられていることは理解されよう。
一部の実施態様では、約0.2%のカプリン酸は、より高い濃度よりもより効果的な凝集体除去に役立たせることができる。しかしながら、約0.4%では、遊離抗体軽鎖、軽鎖ダイマー及び他の断片形態並びに他の夾雑物のより効果的除去を達成することができる。従って、その効果を考えられるその後の分別方法との関連で考慮することによって、ある脂肪酸の濃度を最適化する価値は、当業者によって認められよう。本明細書に開示した方法の後に凝集体を除去するのに特に適した方法が続くとあれば、抗体断片を除去するために脂肪酸濃度を最適化することは有益であろう。また、本明細書に開示した方法の後に断片を除去するのに特に適した方法が続くとあれば、凝集体を除去するために脂肪酸濃度を最適化することは有益であろう。
一部の実施態様では、アラントインを脂肪酸の後に添加することができる。別の関連実施態様では、沈殿物が生じるまでアラントインの添加は行わない。別の実施態様では、沈殿物が除去されるまでアラントインの添加は行わない。一部の実施態様では、アラントインを除外する。
一部の実施態様では、非イオン界面活性剤又は双性イオン性界面活性剤をその臨界ミセル濃度を下回る濃度で上記混合物に添加することができる。実験データから、これによって抗体断片の除去が向上するが、臨界ミセル濃度を超える界面活性剤濃度では、抗体回収を増加させる見返りの利益はあるものの、抗体断片の除去が抑制されることが分かる。一部の実施態様では、非イオン界面活性剤又は双性イオン性界面活性剤の濃度を実質的に上げると、酸性宿主細胞タンパク質の低下に実質的に支障を来す恐れがある。
一部の実施態様では、低濃度の陽イオン性界面活性剤は宿主のタンパク質及びDNAの除去を実質的に増強することができる。一部のそのような実施態様では、上記陽イオン性界面活性剤は、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB:cetyltrimethylammonium bromide)としても知られる臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム;又は臭化ドデシルトリメチルアンモニウム;又は臭化デシルトリメチルアンモニウム;又は臭化ミリスチルトリメチルアンモニウム;又は臭化トリメチルオクタデシルアンモニウム、又は一級、二級もしくは三級アミノ基などの異なる正荷電部分を有する変異体又はより多いもしくはより少ない炭素原子を有する変異体である。一部のそのような実施態様では、0.01%CTABは宿主タンパク質の除去量を倍増させることができるのに対し、0.05%CTABは除去効率を1/5に低下させる恐れがある。
一部の実施態様では、1以上の化学的官能化固体を同じもしくは類似の部分で化学的に官能化した可溶性物質に置き換えるか、又は組み合わせることができる。
一部の実施態様では、固体は、精密ろ過、深層ろ過及び遠心分離を含む群からの1以上の処理を含む、ろ過又は沈降を含む任意の目的にかなった手段によって抗体含有溶液から分離することができ、この場合、深層ろ過は実質的に不活性のろ過媒体を用いて、又は化学的に官能化された、もしくは化学的に官能化された物質と組み合わせたろ過媒体を用いて実施することができる。
一部の実施態様では、アラントインは約0.6乃至約30%又は約1乃至約30%又は約1乃至約10%又は約1乃至約2%の重量対容量濃度で添加することができる。一部の実施態様では、アラントインは除外することができる。一部の実施態様では、アラントインは最大約0.6%までの非ゼロ量で存在させることができる。アラントインは、1%といった、添加アラントインの一部が溶解しない十分な濃度で存在させることが望まれる場合もあるが、方法はアラントインの非存在下又は実質的にアラントインの全てが可溶性である濃度でのアラントインの存在下で適切な結果をもたらすことができる。実験データから、2%、3%、4%、5%、10%又はそれ以上といったより大きな割合のアラントインは、凝集体をより効果的に減少させるのに役立つものの、抗体回収も控えめにではあるが計れる程度に低下させることが分かる。また、実験データは、アラントインがウイルス及び内毒素のレベルを独立に3log以上低下させ、通常著しく澄明な(2.0NTU)上清をもたらすことができることを示しており、これらは全てアラントインが本明細書に開示した方法に用いられた場合、好都合に寄与することを立証している。特定の理論になんら束縛されるものではないが、大きな生物学的種及び集団に対するアラントインの作用メカニズムは、主として水素結合を必要とし、これによって、その有効性がpH又は導電率の実質的な変動によってほとんど影響を受けない理由が部分的に説明できるように思われる。また、このことによって、アラントインに結合した脂肪酸がその夾雑物との相互作用を保持する原理を説明することもできよう。
一部の実施態様では、上記脂肪酸にはCH(CHCOOH(nは4以上12以下の整数)の一般構造式を有する1以上の種を含ませることができる。一部の実施態様では、nは5乃至8の整数である。一部のそのような実施態様では、上記脂肪酸はエナント酸(ヘプタン酸)とすることができる。一部のそのような実施態様では、上記脂肪酸はカプリル酸(オクタン酸)とすることができる。一部のそのような実施態様では、上記脂肪酸はペラルゴン酸(pelargonic)(ノナン酸)とすることができる。一部のそのような実施態様では、上記脂肪酸はカプリン酸(デカン酸)とすることができる。一部の実施態様では、1種を超える脂肪酸を用いることができる。一部の実施態様では、上記脂肪酸は、ナトリウム塩、例えば、カプリル酸ナトリウム、などの塩の形態で添加することができる。一部の実施態様では、上記脂肪酸の脂肪部分は炭素原子の線状「直」鎖で構成することができる。一部の実施態様では、上記脂肪酸の脂肪部分は、一級6−炭素鎖の2位に2−炭素鎖を含み、合計8個の炭素原子をもたらす2−エチルヘキサン酸などの分岐鎖で構成することができる。一部の実施態様では、上記脂肪酸は0.05乃至5%又は0.1乃至2%又は0.2乃至0.5%又はその中間値の濃度で存在させることができる。
一部の実施態様では、上記脂肪酸には二重結合を含ませることができる。一部のそのような実施態様では、その二重結合の位置はその炭素鎖の任意の位置とすることができる。一部のそのような実施態様では、上記脂肪酸鎖は6又は7又は8又は9個の炭素原子を含有することができる。そのような一実施態様では、上記脂肪酸は末端二重結合を有するノネン酸である。一部の実施態様では、上記脂肪酸は塩の形態で添加することができる。一部の実施態様では、上記脂肪酸は0.05乃至5%又は0.1乃至2%又は0.2乃至0.5%又はその中間値の濃度で存在させることができる。一部のそのような実施態様において、0.4%乃至0.6%の8−ノネン酸では0.4%カプリル酸よりも良好な結果が得られる。
1種を超える脂肪酸を用いる一部の実施態様では、これらの種は、ある範囲の疎水性を含むように選択する、例えば、ヘプタン酸及びデカン酸の組合せ又はカプリル酸及びノナン酸の組合せ又は疎水性のより高い又はより低い脂肪酸を含む可能性のある他の組合せとすることができる。一部のそのような実施態様では、それぞれの脂肪酸の割合は、10:1、5:1、2:1、1:1、1:2、1:5、1:10又はこれらの間の任意の中間範囲又はこれらの外側の他の比率とすることができる。一部のそのような実施態様では、ワーキング溶液に添加する脂肪酸種の総量は、最大0.01%までの非ゼロ量、0.01乃至0.1%、0.1乃至1%、1乃至5%、0.2乃至0.4%の範囲又はそれらの中間の範囲もしくは値とすることができる。
1種を超える脂肪酸を用いる一部の実施態様では、種の総数には、任意の割合で及び有用性を示す実験結果によって示される任意の総量で3又は4又はそれ以上を含めることができる。
一部の実施態様では、抗体調製物中に残して5乃至360分間又は15乃至240分間又は60乃至120分間又は30乃至60分間又はその中間の時間インキュベートした後、この混合物を1種以上の官能化固体に暴露する。
一部の実施態様では、上記脂肪酸をインキュベートする温度は、存在する最大種の脂肪酸の影響を受ける場合がある。何故なら、炭素鎖の長さが直接脂肪酸の溶解性に影響し、鎖の長さが短いほど溶解性が高くなり、鎖の長さが長いほど溶解性の低下は温度の低下につれて大きくなるからである。従って、全ての場合において、約37℃の初期温度は、より低い温度よりも比較的高い濃度の脂肪酸を溶媒和させることになる。このことは、細胞培養終了直後に上記脂肪酸を上記採取物に直接添加するのに都合が良い。その後、インキュベーションを引き続き上記バイオリアクター中37℃で継続する。脂肪酸の疎水性が高いほどその溶解性の温度に対する感受性は高く、従って、その機能性の温度に対する感受性が高いことは明らかであろう。一部の実施態様では、温度を上げることにより、最大C12、C13、C14、C15又はそれ以上の炭素数の脂肪酸の使用が可能となろう。より低い温度を使用する、例えば、処理を約2乃至約8℃で行う一部の実施態様では、C8、C7、C6又はそれ以下の炭素数といったより短鎖の脂肪酸の使用が有利となろう。
一部の実施態様では、本明細書に開示した方法はpH調整を不要とすることができる。上記脂肪酸を添加すると、上記採取物のpHを十分低いレベルに低下させることができ、その後に上記1種以上の固体により過剰の脂肪酸を除去すればそのpHを元の値に実質的に戻すことができる。一部の実施態様では、上記採取物は特定のpH値に滴定した後、上記脂肪酸を添加することができ、これによりこの方法に堅牢性を付加することができるが、場合によってはその後の方法によってより高い純度まで分画することになる試料を調製するために、この方法を実施した後にpHを再び調整することが必要となるかもしれない。一実施態様において、初期pHは、4乃至6もしくは4.5乃至5.5もしくは4.75乃至5.25もしくは5.1乃至5.3の範囲内の値又は5.2といった中間値又は別の中間値に調整することができる。至適pHが抗体の種ごとに、また、抗体が入っている培地の組成によって異なるであろうことは、当業者によって理解されよう。同様に、最適な結果を達成するために用いるpHが、本明細書に開示した方法の付加的な要素の寄与によって脂肪酸沈殿単独の場合に必要とされるよりも適度なものとすることができることも理解されよう。これは、従来の脂肪酸沈殿の使用に伴う低pH値への暴露が抗体への持続的な悪影響を有し得る範囲にあるので、注目すべき考慮である。このことは、開示した方法の別の予想外のメリットを強調するものである。
一実施態様において、本明細書に開示した方法は、水又はNaCl又はその他の塩を用いるなどして塩濃度を下げたり上げたりすることにより導電率を調整することを必要としない。しかしながら、塩濃度は抗体の回収及び純度に影響を与えることが知られており、どのように変動させればよいかを、この方法の本質的特徴から逸脱することなく探ることができる。実験上の証拠から、抗体の溶解性は、脂肪酸又はその他の添加物の存在とは独立して低導電率及び低pHの条件で低下することが分かる。抗体の難溶性は、脂肪酸の沈殿と連動した有意な抗体ロスの確率の上昇という形で現れる。このことは、pHを下げることにより導電率が下がり得る程度を限定することができることを意味しており、導電率を上げると抗体の過度のロスが防止されることを示唆しているのかもしれない。本明細書に開示した方法の有効性が導電率を20mS/cmまで上げても実質的には低下しないことは、際立ったことである。このことが際立っている理由は、電荷の相互作用がこのシステムの選択性の大部分を制御していると考えられ、20mS/cmは多くのそのような相互作用を一時停止させ、全てのそのような相互作用を実質的に弱めるのに十分であるからである。また一方、結果が精製対象となるまさにその抗体によって異なる場合もあり、比較的低い導電率の値において実験を行う価値があろうことは言うまでもない。導電率を下げると、脂肪酸と夾雑タンパク質との相互作用に対する陽イオン性固体の干渉が増加するようであるが、存外、陽イオン性固体の可溶性夾雑物結合能を増大させることにより全体的な結果の改善をもたらすこともできよう。
これまでの実施態様の1以上において、細胞培養採取物を少なくとも1種の脂肪酸と接触させた後に又は分離工程で存在する固体物は、沈降又は遠心に続く沈降によって除去する。
これまでの実施態様の1以上において、細胞培養採取物を少なくとも1種の脂肪酸と接触させた後に又は分離工程で存在する固体物は、ろ過によって除去する。一部のそのような実施態様では、ろ過は膜ろ過又は深層ろ過を含む。一部のそのような実施態様では、上記膜ろ過又は深層ろ過は官能化されているろ過膜を含む。一部のそのような実施態様では、少なくとも1つの官能基は電気的陽性である。一部のそのような実施態様では、少なくとも1つの官能基は金属イオンを結合する。
これまでの実施態様の1以上において、最初の接触工程にはIgG抗体の部分精製が先行する。
これまでの実施態様の1以上において、細胞培養採取物は細胞を含有する。これまでの実施態様の1以上において、細胞培養採取物は細胞を含有しない。
これまでの実施態様の1以上において、上記少なくとも1種の脂肪酸は、CH(CHCOOHの一般構造式を含む。一部のそのような実施態様では、上記少なくとも1種の脂肪酸は、エナント酸(ヘプタン酸)又はカプリル酸(オクタン酸)又はペラルゴン酸又はカプリン酸(デカン酸)を含む。一部の関連実施態様では、上記脂肪酸はこの脂肪酸鎖の任意の位置に単一の二重結合を含むことができる。一部のそのような実施態様では、上記二重結合を含む脂肪酸はノネン酸である。一部のそのような実施態様では、この脂肪酸は8−ノネン酸である。一部の実施態様では、上記一級炭素鎖は非分枝型であり、他の実施態様では、分枝型である。
これまでの実施態様の1以上において、上記少なくとも1種の脂肪酸は、(a)約0.05乃至約5%、(b)約0.1乃至約1.0%、(c)約0.2乃至約0.4%及び(d)約0.1乃至約0.2%からなる群から選ばれる範囲の濃度で存在する。
これまでの実施態様の1以上において、陽イオン性界面活性剤は、(a)約0.001乃至約0.1%、(b)約0.005乃至約0.05%、(c)約0.0125乃至約0.025%の濃度で存在させることができる。これまでの実施態様の1以上において、陽イオン性界面活性剤は臭化セチルトリメチルアンモニウムとすることができる。
これまでの実施態様の1以上において、疎水性陽イオン成分は、塩化ベンザルコニウム又はクロルヘキシジン又はアレキシジンといった芳香族性の性格のものとすることができる。そのような一実施態様において、クロルヘキシジンの濃度は、(a)約0.001%乃至約0.01%、(b)約0.005乃至約0.05%、(c)約0.0075乃至約0.0125%の範囲内とすることができる。
一部の実施態様では、IgG抗体を精製する方法であって、細胞培養採取物を炭素原子数8乃至10個の少なくとも1種の脂肪酸と接触させて混合物を形成させ、この混合物をアラントインと接触させ、得られた混合物をアラントインと接触させた後に固体物を分離してIgG抗体を含む溶液を得ることを含む方法を提供する。
これまでの実施態様の1以上において、アラントインは、(a)約0.6乃至約30%、(b)約1乃至約10%及び(c)約1乃至約2%からなる群から選ばれる範囲の濃度で存在させる。これまでの実施態様の1以上において、アラントインは、非ゼロ量から最大約0.6%までの範囲内とする。
一部の実施態様では、上記方法は血清又は血漿などの天然由来のモノクロナール又はポリクロナールIgG抗体に適用される。一部の実施態様では、この方法はFab、F(ab’)又はScFvなどの、酵素又は組換え法由来の免疫グロブリン構造物の断片に適用される。
一部の実施態様では、本明細書に開示したいずれか1つの方法の実施を容易にするキットを提供する。
以下の用語について、本明細書に開示した実施態様をより一層容易に理解できるように、定義する。その他の定義については詳細な説明全体を通じて記載されている。
「脂肪酸」とは、CH(CHCOOHの一般構造式(nは少なくとも1の整数)を有する、カルボキシル基を末端とする線状脂肪族鎖からなる有機分子のことをいう。本方法を実施するのに適した脂肪酸の場合、「n」は少なくとも4最大12の整数とすることができる。方法の実施に適した飽和脂肪酸の具体例としては、特に、エナント(ヘプタン、C7)酸、カプリル(オクタン、C8)酸、ペラルゴン(ノナン、C9)酸及びカプリン(デカン、C10)酸が挙げられる。また、脂肪酸という用語は、一級炭素鎖に沿った任意の位置に存在することができる1つの二重結合又はより多数の二重結合を含む不飽和脂肪酸のことを指すこともできる。
「アラントイン」とは、Cの構造式及び2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニル尿素のIUPAC名を有する、尿酸の酸化によって生成されるプリン代謝産物のことをいう。
「細胞培養」とは、本文脈において、IgGモノクロナール抗体を産生させるための液体培地における細胞の培養のことをいう。この目的のために使用される細胞としては、一般に、チャイニーズハムスター卵巣(CHO:Chinese hamster ovary)細胞が挙げられるが、他の哺乳動物並びに非哺乳動物細胞、植物及び微生物からの細胞型を含めることもできる。全ての場合において、上記液体培地は細胞増殖を支えるための栄養素を含有する。
「バイオリアクター」とは、制御された条件下で細胞を増殖させる容器のことをいう。この容器は、細胞増殖及び抗体産生のための理想的な条件を維持するのに必要なだけの重要なプロセスパラメータ及び調整のモニタリングを可能にするセンサ及びインプットを取り付けた目的量の所望の抗体を産生させるのに必要な数の細胞を増殖させるのに適した大きさのステンレス製タンクもしくは他の材料のタンクもしくは内張りタンク又はポリマー製バッグを含むことができる。
「採取物」又は「細胞培養採取物」とは、一般に細胞培養プロセス終了時のバイオリアクターの内容物のことをいう。産生IgGの他に、この採取物は、当初、細胞、細胞分泌物及び死細胞の放出内容物並びに細胞をもともと増殖させた栄養培地の内容物を含むことになる。これらの非抗体成分は、抗体から除去すべき夾雑物を構成する。これらのものとしては、特に宿主タンパク質及びDNAが挙げられるが、ウイルス及び内毒素を含めることもできる。また、細胞培養採取物は、誤構築又は損傷形態の抗体を断片の形で含むことも多い。
「清澄化細胞培養採取物」とは、細胞が除去された採取物のことをいう。この清澄化プロセスは、単に、固体を除去するための遠心分離又は精密ろ過又はこれらの組合せを意味することができ、或いは、これには、採取物から特定のクラスの可溶性夾雑物を抽出するための化学添加物又は化学的に相互作用する表面を有する固体物の使用を含めることができる。
「タンパク質」とは、炭素、水素、酸素、窒素及び通常は硫黄も含み、主に、ペプチド結合によって連結されたアミノ酸の1本以上の鎖からなる一群の複雑な有機高分子のいずれかのことをいう。このタンパク質は、天然又は遺伝子組換え由来のものとすることができる。タンパク質は、グリコシル化、PEG化又は他の化学部分との連結によるなど、非アミノ酸部分によって修飾することができる。タンパク質としては、例えば、抗体、凝固因子、酵素及びペプチドホルモンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「宿主夾雑物」又は「宿主細胞夾雑物」とは、対象となる産物を増やす細胞によって産生される生体分子のことをいう。この用語には、宿主タンパク質及び宿主DNAなどの種々のクラスの宿主夾雑物を含めることができる。
「宿主タンパク質」又は「宿主細胞タンパク質」又は「HCP」とは、対象となる産物を増やす細胞によって産生されるタンパク質のことをいう。そのようなタンパク質は、対象となる産物から除去するべき夾雑物の1クラスを表す。
「抗体」とは、ヒト化型、ヒト型、1本鎖、キメラ、合成、遺伝子組換え型、ハイブリッド型、突然変異型、移植及び生体外生成抗体などの天然又は遺伝子組換え型を含む、ヒト又は他の哺乳動物細胞株由来のIgG、IgM、IgA、IgD又はIgEクラスの免疫グロブリンのことをいう。これらの抗体は、単一クローンによって産生され得るモノクロナールと呼ばれる抗体又は1種を超えるクローンから産生され得るポリクロナールと呼ばれる抗体とすることができる。IgG抗体は、特に、免疫グロブリンGと呼ばれるクラスの抗体のことを言い、これはサブクラス、例えば、ヒトではIgG、IgG、IgG、もしくはIgG、マウスではIgG、IgG2A、IgG2BもしくはIgG、ラットではIgG、IgG2A、IgG2B、IgG2C、の1つ又は混合物としても存在することができる。真核宿主において天然に又は組換え技術により産生させた抗体は種々のグリコシル化型として存在することができ、一方、非真核宿主において産生させた抗体は種々のグリコシル化又は非グリコシル化型として存在することができる。また、抗体という用語は、酵素法又はタンパク質分解法のいずれに由来するものであれ、断片からなる構造物を含むものとも解釈され、このようなものとしてはFab、F(ab’)、VHH及びScFvが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
「内毒素」とは、グラム陰性細菌の外膜に存在し、この菌細胞から溶菌時に放出される毒性のある熱安定性リポ多糖物質のことをいう。内毒素は、一般に、そのリン酸及びカルボキシル基の高含量のため酸性であり得、脂質A領域の脂肪酸含量のため高度に疎水性であり得る。内毒素は水素結合の広範な好機を与えることができる。
「ポリヌクレオチド」とは、鎖状に共有結合した多数のヌクレオチドモノマーからなる生体高分子のことをいう。DNA(デオキシリボ核酸)及びRNA(リボ核酸)はポリヌクレオチドの例である。ポリヌクレオチドは水素結合を形成し易い強い傾向を有し得る。
「タンパク質調製物」とは、細胞含有細胞培養採取物、(実質的に)無細胞の細胞培養上清又は精製の段階から対象となるタンパク質を含有する溶液などの、対象となるタンパク質を含有する任意の水性又は殆ど水性の溶液のことをいう。
「ウイルス」又は「ビリオン」とは、RNAもしくはDNAコア、タンパク質膜及び、比較的複雑なタイプでは周囲膜からなる、生きている宿主、主に細菌、植物及び動物、の細胞内でのみ複製する超顕微鏡的(直径がおおよそ20乃至300nm)で代謝的に不活性な感染性病原体のことをいう。
本明細書に開示した方法を特定の細胞培養採取物に合わせてカスタマイズする際の実用的な出発点は、細胞を含有する、又は細胞が既に除去されている細胞培養採取物に乾燥アラントインを添加することであり、この場合、添加アラントインは1%(w/v)に上る。この添加の間中混合を継続する。このアラントインの一部分は溶解するが別の部分は未溶解のままである。水には約0.6%が溶解し、残りは不溶性のままであるが、アラントインが種々の成分と相互作用する複雑な生物系では、こうした割合はシフトする可能性がある。ノナン酸は0.5%(v/v)の割合となるように添加し、撹拌を継続する。脂肪酸の添加は、その他アラントイン添加の前又はアラントイン添加と同時に行うこともできるが、上記提案の順序は、処理からの抗体の回収をわずかに高めるのに役立ちそうである。ある場合には、脂肪酸自体の陰性に荷電しているカルボキシル基がpHを約5.4まで低下させるのでpHの調整は不要である。その他の場合、又は脂肪酸の塩が用いられる場合には、採取物のpHは約5.2に調整するべきである。導電率は調整する必要はない。混合は2時間維持するが、その後の実験では減らすことができる。固体は必要に応じて沈殿させ、液体は、精密ろ過又は沈降などの任意の目的にかなった方法により清澄化する。清澄化した液体は、必要に応じてさらに、正電荷によって生成される内部の液体接触面を有する装置に通すことにより処理することができる。この工程を追加するのにpH又は導電率条件の調整は必要としない。この処理された物質は、特定の精製の目標に関係する可能性がある濁度、宿主細胞タンパク質、抗体凝集体、抗体断片、DNA、ヒストン、ヌクレオソーム、ウイルス、内毒素又は他の夾雑物の減少について評価することができる。
一部の実施態様では、脂肪酸は酸性イオン型で採取物に導入することができる。酸性型で導入する場合、脂肪酸自体がワーキングpHを適切な値まで漸増させることができるので、採取物のpH調整は不要とすることができる。pHは概してpH4.0乃至6.0の範囲に調整することができるが、より理想的には4.5乃至5.5又は4.8乃至5.2の範囲又は5.2とすることができる。酸性のより強い条件は一般的に夾雑物除去の向上に役立つが、酸性のより弱い条件は一般的にIgG回収の増強に都合が良い。一般的に、開示した方法は、従来から行われている脂肪酸沈殿よりも高いpH値で良い結果が得られるのを助ける。極端なpHを避けることにより抗体にかかる化学的ストレスを緩和することができ、機能できる抗体の回収向上及び/又は抗体安定性の改善の形で二次的なメリットをもたらすことができることは認識されよう。従って、脂肪酸を用いて沈殿を行う当該分野で通常実施されている逆の方法にもかかわらず、いつものこととして4.5乃至5.5といった適度のpH値を評価することは一般的に有益である。前もってのpH滴定は、厳密には必要とされない場合でも、方法の再現性を増すことができるので手堅いこととすることができる。他の実施態様では、脂肪酸は、カプリル酸ナトリウムもしくはペラルゴン酸ナトリウムもしくはカプリン酸ナトリウム又はカプリル酸カリウムもしくはカリウム陽イオンを有するペラルゴン酸塩もしくはカプリン酸塩又はその他の塩などの塩として導入することができる。塩として導入する場合、この塩の調製が成分イオンの滴定能を効果的に一時停止させるので、適切な滴定剤を添加して所望のワーキングpHを達成することによりワーキング溶液のpHを調整することは必要である。適切な滴定剤は、目的のワーキングpHに又はその近傍に前もって滴定した酸又は濃縮緩衝液で構成することができる。
実験データから、一部の実施態様では、カプリン酸は、明らかにその10原子炭素鎖による比較的高い疎水性のため、如何に周囲温度の比較的軽微な変動による回収の低下又は一貫性のない結果をもたらすことがある抗体ロスのリスクの増大をも伴おうとも、カプリル酸よりも、特に凝集体の除去のために、有効であることが分かる。これまでの実験上の知見は、カプリン酸の有効濃度範囲が同様な状況の中でカプリル酸の濃度の約半分であることを示している。これは、実験を始める適切な一濃度として0.2%カプリン酸を推奨するものである。他の実験的知見から、ペラルゴン酸(ノナン酸、炭素数9)はカプリル酸又はカプリン酸よりも疎水性及び電荷のより良好なバランスを示し、より効果的な宿主タンパク質の低下に役立つことが分かる。他の実験結果から、脂肪酸鎖の末端に単一の二重結合を有する炭素数9個の脂肪酸である8−ノネン酸もカプリル酸又はカプリン酸よりも結果の改善に役立つことが分かる。
特定の精製のための最も効果的な形状を明らかにするために各変数の値の範囲を評価することは一般的に価値があろう。アラントイン濃度は、1%といった比較的少ない割合又は2、3、4、5%又は中間的な増分といった比較的高い割合で評価することができる。実験データから、アラントインは1%未満では効果が少なくなること、及び抗体の回収は5%を超えると低下する可能性があることが分かるが、生じ得る低下の可能性に対する認識がある限り、より広範囲を評価することができる。提案の1%未満の濃度では、特に、凝集体の減少に支障を来す可能性があるが、より高い濃度では抗体回収に支障を来す恐れがある。抗体回収の低下は、より大きな価値があると見なされる他の効果のために、場合によっては許容可能とすることができる。アラントイン単独の添加のためのインキュベーション条件を用いた実験は、経験からその効果が極めて迅速に生じることが分かっているので、一般には必要とされない。脂肪酸濃度は0.05%から5%まで変動させることができる。15分という僅かなインキュベーション時間は、凝集体及び宿主タンパク質の除去に支障を来す可能性が高いことになるが、30分又は45分又は60分又は90分又は120分又は他の最適な時間に加えて評価することができる。2時間よりも長いインキュベーション時間も評価することはできるが、これまでの実験データではそのような時間に意味のある利点が明らかにされていない。インキュベーション時間は効率の重要な決定因であるが、長いプロセス時間間隔の経済的デメリットとのバランスを保つべきである。16時間は、立ち合わずに実施できる一夜インキュベーションに相当するので出発点としては都合が良いが、1時間、2時間、4時間、及び、ことによるとユーザーの判断でより短いか長い又は中間の時間といった比較的短い時間についても評価するべきである。脂肪酸との初期インキュベーションの操作pHは4乃至6又は4.5乃至5.5又は4.8乃至5.2の範囲内とすることができる。導電率は一般に調整を必要としないが、塩化ナトリウムなどの塩の添加により正常な生理的導電率の約2倍に増加させるか、水の添加により約半分に低下させることができ、又は所望であれば、さらに広い範囲を評価することができる。
カプリル酸又はカプリン酸の代用としてノナン酸を評価することが望ましいこともある。というのは、実験結果から、ノナン酸は一部の例で抗体断片の除去により有効であり、概して全ての他の点で少なくとも同様に有効であるらしいことが分かっているからである。カプリン酸は冷凍下に保管されている細胞培養採取物に適用される場合には不利と考えられるが、脂肪酸が新鮮な細胞培養採取物に直接添加することができる場合、特に細胞培養採取物がバイオリアクター内に残留している場合にはそのような懸念はなくなる。後者の場合、任意の所望のインキュベーション時間の間、高い温度を維持することができる。このアプローチは、脂肪酸インキュベーション後に温度を下げる場合、カプリン酸の一部が不溶性になり、システム内の固体と結合する可能性が高いという二次的な利点と共に、システムからのその除去の効率を増加させる効果を有することができる。実験データから、ノナン酸はカプリル酸と同じ範囲の濃度にわたって評価することができることが分かるが、ノナン酸は一般にはより低い濃度で有効であることは分かるはずである。炭素数が8個より少ない鎖長は、特に凝集体除去に関して効果が少ないのでより多い相対量を用いるが、潜在的に有用であることに変わりはない。炭素原子数10個以上の炭素鎖長は、脂肪酸の固有の溶解度のため高濃度の可溶性試薬を得ることが困難であることにより価値が損なわれ、場合によっては抗体回収の低下の高いリスクをもたらす。一般的に、実験データは、脂肪酸の疎水性が高いほどその有効濃度は低く、そのダイナミックレンジは狭いことを示している。1個以上の陰性電荷及び1個以上の脂肪族又は芳香族疎水性部分を合わせ持つ他の有機酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸及びリン脂質が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、こうした有機酸は本明細書に示したガイドラインに従って本明細書に開示した方法を実施するのに用いることもできる。
一部の実施態様では、開示した全ての要素が存在する本明細書に開示した方法を実施することは有利であろう。何故なら、全体としてこのシステムで個々の要素によって行使される影響の程度はそれらの独立した挙動によって予測できないからである。このことは、全体としてこのシステムが、当該分野で実施されている脂肪酸沈殿とは異なる物理的及び化学的メカニズムと連係することにより従来の脂肪酸処理と異なる結果を達成するという点を強調している。本明細書に開示した方法を実施する際、この方法の単一の諸要素を連続的に実施することにより任意の特定標的IgG抗体に最新式の方法を施すことができる。一部の実施態様では、当該分野で知られている実験計画法(DoE:Design of Experiments)などの統計的手法は、特定のIgG精製に対して設計された、本明細書に開示した数少ない方法の実施態様の選択を明確にする手段をもたらす。
一実施態様では、この方法は、これまで他の手段によって処理されてきたIgG含有注入流に適用することができる。そのような一実施態様では、バイオリアクター採取物は、本明細書に開示した方法とは異なる方法で処理できたかもしれない。他の化学添加物の存在が本方法の有効性を低下させる恐れがあり、もしくはトランスペアレントになる可能性があり、又は本方法がこれまでの処理の有益な効果を悪化させる恐れがあることは、当業者には明らかであろう。別のそのような実施態様では、上記IgG含有注入流は、部分的に精製されたということができる。
一部の実施態様では、精製対象のIgGはモノクロナール又はポリクロナールとすることができ、血清もしくは血漿などの生体液又は他の天然由来の液に存在することができる。そのような実施態様では、同一の方法パラメータについては、生体外細胞培養技術により産生させたモノクロナール抗体の処理に関して記載したのと同じ範囲にわたって評価することができる。ポリクロナール抗体は所与のモノクロナール抗体よりも広範囲の分子挙動を対象として含むこと、及び種々の種由来の抗体の挙動の違いを観察することができることが期待されるが、全体として本方法の本質的な特徴から逸脱することなく、本明細書に開示した方法の要素を調整することは、当業者の裁量範囲に属することになる。
一実施態様では、上記採取物は、上記処理を適用し、固体をシステムから除去した後、1つ以上の方法によってさらに処理することができる。そのような一実施態様は、上記処理採取物を上記試料と同じ条件に平衡させた官能化フィルタ又は他の装置を通すことを含むことができる。一部のそのような実施態様では、上記試料のpH及び導電率条件は、上記官能化装置の夾雑物抽出能を高めるために変更することができる。別の実施態様では、上記IgGは濃縮して透析ろ過により緩衝液交換を行うことができ、これも一部の夾雑物を除去することになる。別の実施態様では、上記処理採取物は、高速タンジェント流ろ過によって処理することができる。別の実施態様では、上記清澄化上清は、陽イオン交換クロマトグラフィーによって処理することができる。別の実施態様では、上記IgGは、ポリエチレングリコールによって上記清澄化採取物から沈殿させることができる。別の実施態様では、IgGは、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウム又はクエン酸カリウムなどのコスモトロピック塩によって上記清澄化採取物から選択的に沈殿させることができる。別の実施態様では、上記清澄化採取物は、IgGがポリエチレングリコールの存在下に親水性粒子上で一体となることを強いられる立体排除クロマトグラフィー、又は上記IgGが1種以上のコスモトロピック塩の存在下に粒子上で一体となることを強いられる選択的排除もしくはクロマトグラフィーによって処理することができる。別の実施態様では、上記処理採取物は陽イオン交換クロマトグラフィーによって処理することができる。別の実施態様では、上記処理採取物は疎水性相互作用クロマトグラフィーによって処理することができる。別の実施態様では、上記処理採取物は、所与のクロマトグラフィー媒体が連続して適用される成分の官能性とは異なる分画結果を達成することができる多数の化学官能性を含むいわゆる混合モードクロマトグラフィーの1種によって処理することができる。
以下の実施例は、もっぱら例証のための一般的なものであると理解され、限定的なものと決して解釈されるべきではない。
実施例1
カプリル酸沈殿による夾雑物除去
種々の量のカプリル酸を遠心分離によって清澄化した細胞培養採取物にそれぞれ最終濃度0.1、0.2、0.3、0.4及び0.5%となるように添加した。各試料にはアラントインを最終濃度1%となるように添加した。pHも塩濃度も調整しなかった。0.4%カプリル酸の最終pHは5.4であった。これらの混合物を2時間撹拌した。0.22μmマイクロフィルタに試料を通して固体を除去した。宿主細胞タンパク質は、上記採取物における元の242,888ppmのIgGから0.1%カプリル酸中では233,318、0.2%中では193,400ppm、0.3%では57,519ppm、0.4%では38,602ppm及び0.5%では42,666ppmに減少した。遊離軽鎖及び軽鎖ダイマーを含むIgG断片は、上記採取物中の12.2%から0.3%カプリル酸では5.3%、0.4%中では3.4%及び0.5%カプリル酸中では3.6%に減少した。0.1及び0.2%カプリル酸では断片の減少はなかった。凝集体は、上記採取物中の1.28%から0.1%カプリル酸中では1.22%、0.2%カプリル酸中では0.87%、0.3%カプリル酸中では0.31%に減少し、0.4及び0.5%カプリル酸では検出不能(0.05%未満)であった。これらのカプリル酸濃度の全体にわたるIgG回収率は0.1%カプリル酸では99%、0.2%では99%、0.3%では95%、0.4%では99%及び0.5%では95%であった。
実施例2
宿主タンパク質減少に及ぼす操作pHの影響
IgG含有精密ろ過清澄化採取物を0.4%カプリル酸で処理し、pHを実験対照では調整せず、2つの別々の実験ではpHをpH6及び7に調整した一連の実験を実施した。宿主タンパク質含量は、未調整対照(pH5.4)では38,602ppm、pH6.0では171,232及びpH7.0では243,675ppmであった。
実施例3
ポリエチレングリコールを用いたIgG沈殿によるその後の精製
0.4%及び0.5%カプリル酸により処理した後、多孔質粒子処理した実施例1からの試料を、20.5%PEG、800mMのNaCl、50mMヘペス、pH7.0で実施した、ポリエチレングリコール(PEG−6000)による沈殿によってさらに精製した。0.4%カプリル酸で処理した採取物のPEG沈殿後、宿主タンパク質は11ppm、凝集体は0.09%に減少し、軽鎖断片は検出不能であった。0.5%カプリル酸で処理した採取物のPEG沈殿後、宿主タンパク質は13ppm、凝集体は0.1%に減少し、軽鎖断片は検出不能であった。これらの結果はいずれも宿主タンパク質の99.9995%減少に相当する。採取物を本方法によって処理しなかった並行対照実験では、PEG沈殿は宿主タンパク質を67,687ppmまで減少させた。開示した方法によりもたらされる6,000倍を超える改善は2つの確かな利益を示す。明白な利益は、本方法により宿主タンパク質汚染を減少させると、後続の方法が宿主タンパク質汚染のさらに一層の減少を達成することが可能になることである。また、それは、開示した方法が特に、上記精製方法自体のその最良の結果を達成する能力を妨害する夾雑物を除去するというほぼ間違いなくより大きな利益を強調している。
実施例4
本方法の陰イオン交換深層フィルタとの一体化
0.4%カプリル酸を細胞培養採取物に如何なる前処理も行わずに添加した。アラントインは最終濃度1%となるように添加した。この混合物を2時間連続的に撹拌した後、実施例1に記載したのと同じ多孔質粒子混合処理に向けて、実施例1乃至3におけるような膜マイクロフィルタではなく2段階陰イオン交換深層フィルタを通した。この深層ろ過工程により宿主タンパク質は176,244ppmから9,173ppmへと19分の1に、凝集体は2.03%から検出不能(0.05%未満)へ、軽鎖夾雑物は12%から1%へ減少した。
実施例5
プロテインA親和性クロマトグラフィーによる能力の向上
アラントイン、カプリル酸及び実施例4に記載した混合粒子を用いた処理により調製した試料をプロテインA親和性クロマトグラフィー(トヨパール(ToyoPearl)AF−rProtein A 650F、Tosoh Bioscience)による精製に供した。注入流が遠心分離及び/又は精密ろ過により清澄化された細胞採取物からなる場合、プロテインAは通常夾雑宿主タンパク質レベルをIgGの500乃至2,000ppmの範囲に低下させる。プロテインAの前に、実施例1に記載したカプリル酸−アラントイン及び多孔質粒子法を実施すると、プロテインA工程により1ppmを下回る宿主タンパク質レベル及び検出可能レベルを下回る凝集体を得ることが可能となった。このことは特に、開示した方法がプロテインAのその潜在力実現能を妨げる夾雑物を除去することを強調するものである。
実施例6
抗体沈殿及びその後の陰イオン交換クロマトグラフィーによる能力の向上
アラントイン、カプリル酸及び実施例4に記載した混合粒子を用いた処理により調製した試料を、最初は実施例3に記載のようにPEGを用い、次いで2.0硫酸アンモニウム、pH7.0に変える混合モード沈殿工程による更なる精製に供した。上記IgGを再可溶化して調べ、宿主細胞タンパク質は5.9ppmであることが明らかとなった。凝集体は検出レベルを下回った(0.05%未満)。50mM Tris、pH8.25におけるボイド排除モードの後続の陰イオン交換の単一ポリッシング工程では宿主タンパク質は1ppm未満に減少した。この結果は、費用のかからない低機能分画方法が全体的な精製性能の向上を達成するのを可能にする基盤を提供する本開示方法の能力を強調するものであるので重要である(全ての認識された最高性能分別法に基づいているプロセス:プロテインAアフィニティークロマトグラフィー)。
実施例7 中間精製工程としての本開示方法
遠心分離及び精密ろ過によって清澄化した細胞培養採取物を実施例7に記載した沈殿により分画する実験対照を実施した。これにより、宿主タンパク質は287,655ppmから67,687ppmへ、凝集体は2.83から1.57%へ、抗体断片は10.4から2.3%へ減少した。ボイド排除モードの後続の陰イオン交換工程では宿主タンパク質は99.6%から221ppmへ、凝集体は1.45%へ減少した。
実施例8
アラントイン使用下及び不使用下の種々のカプリル酸濃度の評価
細胞含有採取物を遠心分離及び0.22ミクロン膜による膜ろ過によって清澄化した後、上清のpHを6.0に低下させた。種々の副試料を0.01%、0.05%及び0.1%の量のカプリル酸で処理した。全ての試料は処理後、濁っており、沈殿した物質が遠心分離によって除去された後も粒子状物質が存続又は再形成することが分かる。同じシリーズの実験を2%アラントインの存在下に繰り返した。抗体回収及び夾雑物減少は基本的に同等であったが、処理された物質は処理後、スパーリングクリアであった。本実施例は、全体としての本開示方法の能力へのアラントインの寄与を例示したものである。
実施例9
アラントインの添加による哺乳動物細胞採取物の清澄化の促進
夾雑物の通常の範囲の中でIgMモノクロナール抗体を含む5Lの細胞含有細胞培養採取物にアラントインを1%の最終濃度となるように添加した。容器を穏やかにぐるぐるとかき混ぜてこれらの成分を混合した。アラントインと未知の細胞培養成分との相互作用によりこの量のアラントインは十分に溶解したので、さらに1%を添加し、総添加量を2%(w/v)とした。容器を再びぐるぐるとかき混ぜてこれらの成分を混合した。粒子状物質はアラントインの添加前には極めてゆっくりと、1%のアラントインの存在下ではほんの僅かにより速く沈降するのが認められたが、沈降速度は2%のアラントインでは明らかに促進され、約20分間以内に細胞培養上清スパークリングを光学的にクリアなままにした。1%及び2%アラントインの間の差は、1%アラントインが、試料中のいく種かの可溶化物質の存在のために、ほぼ完全に溶解したことを示すものと解釈された。次いで、この上清を静かに移した。これにより、意図せずに沈殿物の一部が再懸濁されたので、その後これを遠心分離して残る固体を沈殿させた。このことは、アラントインが脂肪酸又は他の添加物とは関係なく細胞採取物澄明化の質を改善できることを強調するものである。また、これは、少なくとも2%のアラントイン濃度を用いて初期の試験を行うことの潜在的なメリットを強調するものでもある。さらに、これは、アラントインの溶解性が試料の成分の影響を受ける可能性があるという重要な点及びアラントインの過飽和濃度を実験的に求めることができるという効果を強調するものであるが、その水への既知の溶解性は有用な予備ガイドとなり得る。
実施例10
アラントイン添加による大腸菌溶解液の澄明化
250mLの50mMヘペス(pH7.0パスト)でペースト状にした大腸菌20グラムを16,000×gでミクロフルイダイザーを用いてホモジナイズした。次いで、このホモジネートを15,000×gで1時間遠心分離して最も大きな粒子状種を除去した。これにより褐色の濁った上清が得られた。この上清に乾燥アラントインを最終濃度5%w/vとなるように直接添加した。この混合物を約1分間かき混ぜた後、沈降させた。元のホモジネートに存在したタンパク質産物の90%超を含有するスパークリングクリアな上清を残して不溶性物質が数分以内に沈降した。この上清は0.22ミクロン膜フィルタを容易に通過したが、アラントイン処理前の上清はこのフィルタに接触のほぼ直後に目詰まりを起こした。本実施例は、アラントインが処理後の試料のろ過性を劇的に改善することができることを強調すると共に、全体として本方法の能力へのアラントインの独自の寄与を強調するものである。また、本実施例は、本開示方法が哺乳動物細胞培養によって増やされた抗体に限定されないことを例示している。
実施例11
アラントインを用いたIgG−内毒素混合物からの抗体の回収及び内毒素の減少
1mg/mLヒトIgGの5mMヘペス100mM NaCl(pH7.0)溶液に内毒素を22,000EU/mlとなるように添加した。この混合物のアリコートに2%(w/v)アラントインを添加し、室温で15分間混合させた。この懸濁液を遠心分離により清澄化した。タンパク質及び内毒素濃度を測定して抗体回収率及び内毒素除去率を算出した。2%(w/v)アラントインは内毒素を2分の1に減少させた。抗体の回収はアラントインの量の影響を受けなかった。その後の一連の実験では、アラントインの量を徐々に10%まで増加させた。10%アラントインでは、抗体回収率は徐々に約93%へ減じたが、内毒素除去効率は約99%へと増大した。これらの実験は、比較的大量のアラントインを用いると、IgGのロスが生じることを例示している。大きさが約12kDaから1MDaの範囲のタンパク質を用いた別の実験は、タンパク質のロスがタンパク質の大きさの増加と共に増加する明確な傾向を示した。本実施例は、アラントインが全体として本開示方法の能力を向上させることができることを例示している。
実施例12
1010粒子/mLのマウス微小ウイルスを含有するウイルス培養液を10%の量でアラントインを添加することにより生理的条件下で共沈させた。この上清の感染試験により上記ウイルスの99.9%が除去されたことが立証された。1010粒子/mLのマウス白血病ウイルスを含有する別のウイルス培養液を10%の量でアラントインを添加することにより生理的条件下で共沈させた。この上清の感染試験により上記ウイルスの99.9%が除去されたことが立証された。本実施例は、全体として本開示方法へのアラントインの独自の寄与を例示している。
実施例13
DNA及び脂肪酸の非相互作用力
カプリル酸沈殿は、DNAを沈殿させる能力を有するものとして報告されている(ブロツキーほか、上記文献)。これは、それらの同一の陰性電荷が互いに反発し合うはずであるので、意味をなさない。このことは、1、2、5及び10マイクログラム/mLの濃度の精製DNAを0.4%カプリル酸とpH5.2及び生理的導電率で2時間結合させる実験において確認された。処理後のDNA濃度に有意な差は認められなかった。このことから、他の研究者により報告された見かけ上のDNA結合は中間体種を介した間接的な結合に起因することが分かり、この種は、ガンほか(上記文献)による研究によれば、ヌクレオソームのヒストン成分であると考えられる。
実施例14
カプリル酸沈殿による夾雑物の減少
カプリル酸による清澄化能力のベースラインを記録するために実験を行った。全ての実験は、259,777ppmの宿主タンパク質及び非凝集IgGの約30%に上る凝集体を含むIgG含有細胞培養採取物に関して行った。また、全ての実験は生理的導電率で行った。宿主タンパク質、IgG回収及び凝集体含量に対する効果は、0.5単位間隔で3.5から7.0までのpHにおいて評価した。宿主タンパク質の最大の減少はpH3.5で認められたが、IgG回収率は50%未満であった。最大の凝集体除去はpH4.5で認められた。最大のIgG回収はpH6.5及び7.0で認められたが、宿主タンパク質及び凝集体減少は満足のいくものではなかった。結果は下記の表に示した。
Figure 2017507149
実施例15
官能化粒子添加の非存在下におけるpH及び導電率の組合せ影響
12mS/cm、16mS/cm及び20mS/cmの各導電率値におけるpH4.8、5.2及び5.6の影響を評価する一連の実験を行った。出発物質は、213,821ppmの宿主タンパク質及び25.6%の凝集体に加えて同一抗体を含む細胞培養採取物とした。データから、アラントイン及びカプリル酸成分に限定した本開示方法によってカプリル酸単独の場合(実施例30)よりも実質的により優れた結果が得られることが分かる。完全な結果は以下の表に記載されている。
Figure 2017507149
実施例16
本開示方法に対する固体及び溶解カルシウム化合物の影響
652,450ppm及び34.1%の凝集体をも含むIgG含有細胞培養採取物を1%アラントイン、0.4%カプリル酸及び種々の濃度の塩化カルシウム又はヒドロキシアパタイトで処理し、pH5.2に滴定し、2時間混合した。固体を除去し、これらの試料を評価した。0.5から8.0mMの範囲のカルシウム濃度はIgG回収に有意な影響を与えなかった。HCPは約70,000乃至80,000ppmの範囲であり、軽鎖含量は辛うじて減少し、凝集体レベルは概して約2.5%へ減少した。0.5乃至4%のv:v濃度のヒドロキシアパタイトはIgG回収率を0.5%HAの79%から8%HAの38%まで減少させた。宿主タンパク質は減少したが、そうした減少はIgGのロスよりも少なかった。軽鎖含量は効果的に減じなかった。凝集体は本研究では最低値にまで減少したが、抗体ロスを補うほどには十分でなかった。以下の表にデータを示した。CA種はそれぞれ塩化カルシウム(CC)又はヒドロキシアパタイト(HA)を意味する。「ベース」と記した行はカルシウム添加剤を用いずに得られた結果を示す。
Figure 2017507149
実施例17
非イオン性界面活性剤の効果
遠心分離及び精密ろ過により清澄化した細胞培養採取物の450mLのアリコートのそれぞれに1%アラントインを添加した。1つのアリコートは対照として保持した。その他の3つのアリコートにはツイーン20をそれぞれ0.005、0.01及び0.02%の量で添加した。これらの試料を10分間インキュベートした後、カプリル酸を0.4%となるまで添加し、1M酢酸の添加によりpHを5.3に調整した後、2時間インキュベートした。試料を取り出し、ろ過して分析した。試料の残りにTREN粒子(バイオワークス(BioWorks)、ワークビーズ(Workbeads)TREN、high)を5%の量で添加し、4時間混合した後、精密ろ過により固体を除去した。TREN粒子の添加時点まで、凝集体含量は対照値から0.005%ツイーン値まで減少し、0.01%ツイーン値で再度減少したが、0.02%ツイーン値ではさらに改善することはなかった。抗体回収率及び過剰遊離軽鎖含量にはおおむね変化はなかった。TREN粒子添加後、凝集体レベルは全ての試料にわたって同じであり、軽鎖含量は殆ど影響を受けなかったが、IgG回収率は、ツイーン含量が0.01%のところまで増加したものの、0.02%ではさらに増加することはなかった。
Figure 2017507149
実施例18
非イオン、双性イオン及び陽イオン性界面活性剤の効果
遠心分離及び精密ろ過により清澄化した細胞培養採取物の50mLのアリコートのそれぞれに1%アラントインを添加した。1つのアリコートは対照として保持した。2つのアリコートの各々に以下の界面活性剤をそれぞれ0.01%及び0.05%の量で添加した:グリコール酸エトキシレート4−ノニルフェニルエーテル(グリック(Glych)、非イオン性)、エチレンジアミンプロポキシレート−ブロック−エトキシレートテトロール(TET、非イオン性)、ブリジ(Brij)58(プルロニック(Pluronic)F−127、非イオン性)、トリトン(Triton)X−100(非イオン性)、ノニデット(Nonidet)P40(非イオン性)、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンサルフェートハイドレート(CHAPS:3−[(3−cholamidopropyl)dimethylammonio]−1−propanesulfonate hydrate)、双性イオン性)、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(CTAB、陽イオン性)、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム(DDTAB、陽イオン)、臭化デシルトリメチルアンモニウム(DTAB、陽イオン性)、臭化ミリスチルトリメチルアンモニウム(MTAB、陽イオン性)、臭化オクタデシルトリメチルアンモニウム(OTAB、陽イオン性)。これらの試料を10分間インキュベートした後、カプリル酸を0.4%となるまで添加し、1M酢酸の添加によりpHを5.3に調整した後、2時間インキュベートした。
Figure 2017507149
実施例19
種々の脂肪酸の効果
遠心分離及び精密ろ過により清澄化した細胞培養採取物の50mLのアリコートのそれぞれに1%アラントインを添加した。1つのアリコートは対照として保持した。別の対照としてカプリル酸を0.4%となるまで添加し、1M酢酸の添加によりpHを5.3に調整した後、2時間混合してインキュベートした。採取物の5つのアリコートを0.1%、0.2%、0.3%、0.4%及び0.5%の2−エチルヘキサン酸(EHA)で処理した。これらの実験は、3−ヘプテン酸(3HA:3−heptenoic acid)、次いで3−オクテン酸(3OA:3−octenoic acid)及び8−ノネン酸(8NA:8−nonenoic acid)を用いて繰り返した。
Figure 2017507149
実施例20
官能化粒子使用下及び不使用下におけるオクテン酸と8−ヘプテン酸との比較
遠心分離及び精密ろ過により清澄化した細胞培養採取物の50mLのアリコートのそれぞれに1%アラントインを添加した。1つのアリコートは対照として保持した。別の対照としてカプリル酸を0.4%となるまで添加し、1M酢酸の添加によりpHを5.3に調整した。この混合物を2時間混合してインキュベートし、試料を取り出して試験した後、TREN粒子を5%(v:v)の量で添加し、さらに4時間混合してインキュベートした。固体を精密ろ過により除去した後、分析した。この実験フォーマットは、0.4%、0.5%及び0.6%の8−ヘプテン酸を用いて繰り返した。
Figure 2017507149
以上の実施例に示したように、本開示方法は他の精製方法と組み合わせることによってより高いレベルの精製を達成することができる。そのような他の精製方法の例としては、プロテインA及び他の種類の親和性クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー及び混合モードクロマトグラフィー法などのIgGの精製に一般的に用いられる他の方法、また、ポリエチレングリコールなどの非イオン性ポリマーを用いた抗体沈殿又は硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、リン酸カリウム、クエン酸ナトリウムもしくはクエン酸カリウムなどの塩を用いた抗体沈殿を含む沈殿の方法、また、結晶化及び二相水性抽出の方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。種々の方法に関して適切な条件を開発し、これらを本明細書に開示した方法と一体化して特定の抗体の必要な精製を達成することは当業者の裁量範囲に属する。
本明細書で引用した全ての参考文献は、個々の刊行物又は特許又は特許出願がそれぞれあらゆる目的で全文引用により本明細書に組み込まれていることが明確に個別に示されている場合と同程度に、あらゆる目的で全文引用により本明細書に組み込まれている。引用により本明細書に組み込まれている刊行物及び特許又は特許出願が本明細書に含まれている開示内容と矛盾する範囲で、本明細書はいかなるそのような矛盾するものにも取って代わる、及び/又は優先するものとする。
本明細書及び特許請求の範囲において用いられている成分の量、クロマトグラフィー条件などを表す全ての数字は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されると理解されるべきである。従って、そうではないと示さない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載した数値パラメータは、本実施態様によって得ようとする目的の特性に応じて変動することがある近似値である。
当業者には明らかなように、本明細書に開示した実施態様に対して多くの修正及び変更を実施態様の精神及び範囲を逸脱することなく行うことができる。本明細書に記載した特定の実施態様はほんの一例として示したものであり、何ら制限的なものを意味しない。本明細書及び実施例は例示的なものに過ぎないとみなされることが意図されており、本明細書に開示した実施態様の真の範囲及び精神は添付の特許請求の範囲に示されている。

Claims (21)

  1. (a)少なくとも1種の抗体を含む細胞培養採取物又はタンパク質調製物を7乃至10個の炭素原子を有する少なくとも1種の脂肪酸と接触させて混合物を形成する工程、
    (b)前記混合物をアラントインと接触させる工程、
    (c)IgG含有液から固体物を分離する工程
    を含む抗体を精製する方法。
  2. アラントインは(a)約0.6乃至約30%、(b)約1乃至約10%及び(c)約1乃至約2%からなる群から選ばれる範囲の濃度で存在する、請求項1に記載の方法。
  3. アラントインは非ゼロ量から約0.6%までの範囲にある、請求項1に記載の方法。
  4. 工程(a)又は(c)の後に存在する固体物は沈降、遠心分離又はこれらの組合せによって除去される、請求項1に記載の方法。
  5. 工程(a)又は(c)の後に存在する固体物はろ過によって除去される、請求項1に記載の方法。
  6. ろ過は膜ろ過又は深層ろ過を含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記膜ろ過又は深層ろ過は官能化されている接触表面を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記細胞培養採取物又はタンパク質調製物は細胞を含み、必要に応じて、細胞培養産生が行われるバイオリアクターに存在する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記細胞培養採取物又はタンパク質調製物は細胞を含まない、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記タンパク質調製物は天然起源の生体液である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記少なくとも1種の脂肪酸はCH(CHCOOHの一般構造式を含み、nは5乃至8の整数である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記少なくとも1種の脂肪酸はエナント(ヘプタン)酸、カプリル(オクタン)酸、ペラルゴン(ノナン)酸又はカプリン(デカン)酸を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記少なくとも1種の脂肪酸は少なくとも1つの二重結合を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記少なくとも1種の脂肪酸はノネン酸を含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記少なくとも1種の脂肪酸は末端の位置に二重結合を有するノネン酸を含む、請求項13に記載の方法。
  16. 前記少なくとも1種の脂肪酸はa)約0.05乃至約5%、(b)約0.1乃至約1.0%、(c)約0.2乃至約0.4%及び(d)約0.1乃至0.2%からなる群から選ばれる範囲の濃度で存在する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記混合物はさらに界面活性剤を含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 界面活性剤は非イオン性又は双性イオン性又は陽イオン性である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記陽イオン性界面活性剤は臭化セチルトリメチルアンモニウムである、請求項18に記載の方法。
  20. 臭化セチルトリメチルアンモニウムは約0.001%乃至0.05%又は約0.005%乃至0.025%又は約0.0075%乃至約0.01%の範囲の濃度で存在する、請求項19に記載の方法。
  21. 請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法の実施を容易にするためのキット。

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