JP2017503528A - コリスチンシンセターゼ及び対応する遺伝子のクラスター - Google Patents

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Abstract

4つのアデニル化部位を含む、ポリミキシンE合成に関与するPmxAシンセターゼであって、その第2のアデニル化部位は、配列番号1:VTEAEKADLLGRFNDTTTEFPRGKTLIQLFEEQVERIPDAAAITLNEQELTYRELNERVNRLARTLRSHGISKGRLVAILAERSIEMVVGMLAAHKAGAAYVPIDPEYPEERIRFLIEDSGGQVMLTQSRLRERLAGSDPVILLDDESFYHEDGTNLNTGIEATDLACVIYTSGTTGKPKGNPVSHRNIVRVVQNTNYIDITERDHVLQLSSYSFDGATFDIFGALTNGARLVLVPYETLLEIGRLADLIQRERISVMFITTAFFNILVDVNVDCLRDVRAILFGGERVSVGHVRKALAHIGPGRLNHVYGPTESTVYTTYLPVDFVDELAVTVPIGRPISNTTVYIVDSRNKLLPIGVAGELCVGGEGLVRGYNNRPELTAEKFVDNPFVPGERMYRTGDLAKWLPDGTIEYVGRTDDQVKIRGFRIELGEIEAQLQKVEGIRKTTVFARENASGEKQLCAYYEADCELPAAELKSVLSKELPAYMIPAYLIQLERLPLTTNGKVDRRSLPAPEESLQPGGGのペプチド配列と少なくとも90%の同一性を有することを特徴とし、下線が施されたアミノ酸DGFFLGVVYKは保存され、かつロイシン、イソロイシン又はバリン残基に特異的な結合ポケットを形成している、PmxAシンセターゼ。

Description

本発明は、ポリミキシンEの合成に関与する細菌の遺伝子及び酵素、グラム陰性菌による感染症に対する療法に使用される抗生物質分子に関する。
先行技術
ポリミキシン類は、バチルス属(Bacillus)種又はパエニバチルス属(Paenibacillus)種から単離された抗生物質分子である。これらの分子は、
・環状ヘプタペプチドと3個のアミノ酸の側鎖で構成された、10個のアミノ酸を含むペプチド鎖と、
・そのペプチドのN末端に結合した脂肪酸と
からなるリポペプチドである。
1947年のポリミキシンBの発見以来、少なくとも16種類のポリミキシン類が同定されている。中でも、ポリミキシンB及びEは、大腸菌(Escherichia coli)及び緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の菌株の大部分に対してだけでなく、サルモネラ属(Salmonellae)及びシゲラ属(Shigellae)、並びに数多くのグラム陰性菌の全ての菌株に対しても抗微生物活性を有する。そのため、これらの抗生物質は、多くの場合、治療薬として使用されている。残念ながら、それらの毒性作用のため、それらは徐々に忍容性がより高い抗生物質に置き換えられている。
図3は、ポリミキシン類の一般的な構造を示し、2個の特異的アミノ酸の存在がX及びYで示される。示されるように、ポリミキシンB及びEは単一個のアミノ酸によって異なり、「X」残基は、ポリミキシンBではフェニルアラニン、ポリミキシンEではロイシンであり、「Y」残基は、ロイシン、イソロイシン又はバリンであり得る。
集団において耐性がまだない新しい抗生物質の需要の高まりから、新しい抗生物質製剤が求められており、多耐性グラム陰性菌との戦いにポリミキシン類が再び臨床的に使用されている。
CAS番号1264−72−8で識別される、国際特許出願第WO1998/020836号に記載されている、コリスチン又はポリミキシンEは、ポリミキシン群の抗生物質であり、多耐性グラム陰性菌に起因する感染症の治療が可能である。そのペプチド構造を図1に示している。注射により投与される場合、コリスチンは、神経髄膜感染症、尿路感染症、泌尿生殖器感染症、敗血症並びに創傷、火傷及び潰瘍の二次感染の治療に使用される。吸入により投与される場合、コリスチンは、肺感染症、特に、嚢胞性繊維症に関連するものの治療に使用される。最後に、ヒドロコルチゾン及びバシトラシンと組み合わせて、コリスチンは、眼の細菌感染症及び炎症性感染症、並びに眼科手術における感染症を治療するために使用される。
コリスチンは、数多くの望ましくない作用、特に、腎毒性作用及び神経毒性作用の原因となる。これらの毒性作用は、5個の正電荷を含むこの分子の陽イオン性だけでなく、それを合成する原細菌株を培養することにより発酵槽中で生産され、その発酵培地から精製されたその分子の低純度にも起因する。
実際、ポリミキシン類は現在、これらの分子を生産する細菌株、特に、パエニバチルス・ポリミキサ(Paenibacillus polymyxa)の菌株の培養培地からの単離及び精製により得られる。発酵培地からのその分子の精製は不十分であり、これが新しい生産技術を企図する理由である。具体的には、ポリミキシンシンセターゼをコードする遺伝子を同定し、クローニングするために研究が行われている。
ポリミキシンシンセターゼは、「非リボソームペプチドシンセターゼ」(NRPS:Non−Ribosomal Peptide Synthetase)ファミリーの一部である。これらのシンセターゼをコードする遺伝子は、いくつかのモジュールを含むクラスターで構成され、それらの順序及び特異性がペプチド産物の構造を決定する。NRPSは、これらのペプチドがリボソームによってメッセンジャーRNAから翻訳された場合に得られ得るものよりも幅広い構造的多様性を示すペプチドの合成を可能にする。更に、そのように生産されるペプチドは、特に、ヒドロキシ酸との結合形成、及び環状構造を得ることが可能になるペプチド鎖中での酸化だけでなく、それらの残基のアシル化、グリコシル化、及びN−メチル化によっても修飾を受ける可能性がある。
そのようなNRPS複合体は多くの微生物で記載されており、チロシジン、グラミシジン、バンコマイシン、ペニシリン、及びフサリシジン類の生産に関与している。
NRPSシンセターゼは様々なモジュールからなる。各モジュールは、アミノ酸を活性化すること、必要に応じて、それを修飾すること、及びペプチドを構成するために、続いてそれを隣接するモジュール中の活性化されたアミノ酸上に転写することが可能である。各モジュールは、いくつかのドメインで構成され、伸長を受けているペプチド中への特定のアミノ酸の組込みを可能にする。各モジュールは、少なくとも3つのドメインを含む:
・アデニル化ドメイン(A):ペプチドシンセターゼの作用において中心的なドメイン。このドメインは、特異的アミノ酸の結合及びそのアミノ酸のアデニル化反応(そのアミノ酸のアデニル化アミノアシルへの変換)によるその活性化を可能にする;
・チオール化ドメイン(T又はペプチジル担体タンパク質についてはPCP:Peptidyl Carrier Protein):このドメインは、チオエステル結合による伸長過程を通じてシンセターゼに結合したままペプチドが合成されることを可能にする;
・縮合ドメイン(C):このドメインは、隣接するモジュールの2個のアミノ酸間のペプチド結合の形成を可能にする。
ペプチドの放出は、特異的ドメイン、Te(チオエステラーゼ)ドメインによって誘導される。このドメインは、合成されたペプチドを最後のTドメインと連結するチオエステル結合を切断する。このドメインはまた、特定のペプチドの環化も可能にする。
また、アミノ酸への修飾、例えば、エピマー化(L型アミノ酸のD型異性体への変換)、メチル化(メチル基の付加)、そうでなければホルミル化(ホルミル基の付加)などの実行を可能にする副次ドメインも必要に応じて存在する。
ポリミキシン類の場合、図2に示されるように、ペプチド鎖の合成には3つのシンセターゼが必須である:
・PmxAモジュールは、各々がポリミキシン分子中へ特異的アミノ酸を組み込む「結合ポケット」として三次元的に構成された、4つのアデニル化ドメインを有する;
・PmxBモジュールは、1つのアデニル化ドメインを有し、単一個のアミノ酸の組込みを担う;
・PmxEモジュールは、ポリミキシンのペプチド鎖を構成する5個の他のアミノ酸を組み込む5つのアデニル化ドメインを有する。
Choi et al.による論文(Journal of Bacteriology, 2009)、並びに米国特許第8329430号明細書には、ポリミキシンAを分泌するグラム陽性菌株パエニバチルス・ポリミキサE681の遺伝子クラスター(群)の単離が記載されている。5個の遺伝子がこのクラスターを構成する:pmxA、pmxB、pmxC、pmxD及びpmxE。pmxC及びpmxD遺伝子は輸送タンパク質をコードし、一方、それ以外の3個の遺伝子、pmxA、pmxB及びpmxEはシンセターゼをコードする。これは、特に、pmxE遺伝子への挿入により突然変異を受けた突然変異株によって実証される:この菌株はもはやポリミキシンを生産しない。逆に、この遺伝子クラスターの導入により形質転換された枯草菌(Bacillus subtilis)の菌株は、L−2,4−ジアミノ酪酸(Dab、ポリミキシンペプチド鎖の主要な残基)の存在下でのみ、ポリミキシンAを生産することが可能になる。
文献に記載されたポリミキシン類では、ポリミキシンA、C及びPを除き、D−Dab残基の存在を観察することは非常に稀である。
Shaheen et al.(Chemistry and Biology,2011)には、パエニバチルス・ポリミキサPKB1株由来の遺伝子クラスターの同定及び配列決定が記載された。ポリミキシンB生合成へのこの遺伝子の関与は、pmxE遺伝子への挿入突然変異によって実証される:突然変異を受けた菌株はもはやポリミキシンを生産しない。遺伝子クラスターの特性評価中に、Shaheen et al.は、pmxクラスターの第3のモジュールでエピマー化ドメインを同定した。これは3位におけるD−Dabの組込みを示唆する。従って、これらの遺伝子は、3位において、D−2,4−ジアミノ酪酸残基ではなく、その鏡像異性体であるL−2,4−ジアミノ酪酸を含むポリミキシンB変異体の生合成に関与する。
パエニバチルス・ポリミキサ株由来の他の遺伝子クラスターは単離されたが、それらの機能及び特異性は予測にすぎず、機能的には全く実証されていない。
更に、既知ポリミキシン類とのわずかな構造差と、より少ない毒性作用を示す「変異体」分子は報告されている。従って、国際特許出願第WO2009/098357号並びにVaara and Vaaraによる論文(Peptides, 2010)には、3個の正電荷だけを含む、毒性作用が低減したポリミキシンB変異体が記載されている。ポリミキシンB変異体はまた、Shaheen et al.による論文(2011)にも記載されている。
富栄養培地での生産細菌株の発酵に基づいた、コリスチンを生産するために現在使用される技術は、特に、その分子の純度の点で満足できるものではなく、その分子は発酵培地から精製しなければならない。
コリスチン合成に関与する遺伝子の同定により、遺伝子工学的な処理を用いて、より純粋なポリミキシンE分子を生産し、更に、有害な副作用がより少なくかつ/又は活性がより良好な誘導合成分子を作製することが可能になるであろう。
本発明は、ポリミキシンEを生産する、自然環境から単離されたパエニバチルス・アルベイの菌株由来の遺伝子クラスターの単離、及びその使用を記載する。
本発明は、4つのアデニル化ドメインを含む、ポリミキシンE合成に関与するPmxAシンセターゼであって、その第2のアデニル化ドメインは配列番号1で表される特定のペプチド配列を含む又は有することを特徴とし、この配列は、ロイシン、イソロイシン又はバリン残基に特異的な結合ポケットを形成している、PmxAシンセターゼに関する。
本発明はまた、5つのアデニル化ドメイン及び1つのエピマー化ドメインを含む、ポリミキシンE合成に関与するPmxEシンセターゼに関する。
本出願はまた、PmxAシンセターゼをコードする遺伝子と、PmxB及びPmxEのシンセターゼをコードする遺伝子と、PmxC及びPmxDの輸送タンパク質をコードする遺伝子とを含む、ポリミキシンE合成に関与する酵素をコードする遺伝子群に関する。
本発明はまた、ポリミキシンE又はこのポリミキシンの変異体分子を生産する、少なくとも修飾又は非修飾のpmxA、pmxB及びpmxE遺伝子を発現する形質転換された微生物に関する。
ポリミキシンEのペプチド構造。 ポリミキシンE合成に関与するNRPSクラスターの構造。 Govaerts及び共同研究者らによる様々なポリミキシンB及びEの化学構造(Govaerts et al.、2002a;Govaerts et al.、2002b)。 B−LR菌及び突然変異体5の培養上清20μlの、緑膿菌の細菌層に対する抗微生物効果。 PmxAペプチド配列;太字:アデニル化ドメイン配列;太字及び下線付き:結合ポケットの特異的モチーフ。 (A)2価プリカーサーイオンのフラグメンテーションに対応するMS/MSスペクトル(m/z 585.39)。(B)対応するペプチド:コリスチンE1について提案された構造。FA:脂肪酸(C917O);L−Dab:L−2,4−ジアミノ酪酸;Thr:トレオニン;Leu:ロイシン。四角囲みの数字は、第1の系で生成されたイオンに相当し、丸囲みの数字は、第2の系で生成されたイオンに相当する。 (A)2価プリカーサーイオンのフラグメンテーションに対応するMS/MSスペクトル(m/z 578.38)。(B)対応するペプチド:コリスチンE2について提案された構造。FA:脂肪酸(C815O);L−Dab:L−2,4−ジアミノ酪酸;Thr:トレオニン;Leu:ロイシン。四角囲みの数字は、第1の系で生成されたイオンに相当する。 (A)2価プリカーサーイオンのフラグメンテーションに対応するMS/MSスペクトル(m/z 571.38)。(B)対応するペプチド:Val−E2について提案された構造。FA:脂肪酸(C815O);L−Dab:L−2,4−ジアミノ酪酸;Thr:トレオニン;Ile:イソロイシン;Leu:ロイシン;Val:バリン。四角囲みの数字は、第1の系で生成されたイオンに相当し、丸囲みの数字は、第2の系で生成されたイオンに相当する。
詳細な説明
ポリペプチド及びポリヌクレオチド
本発明は、ポリミキシンEシンセターゼをコードする新規遺伝子、特に、ロイシン又はイソロイシン残基の、ポリミキシン分子中への組込みを可能にする特異的な結合ポケットを形成する特定のアデニル化部位を有する「PmxA」シンセターゼをコードする遺伝子の単離及び同定に関する。
本出願において使用される全ての技術用語は、当業者に周知であり、Sambrook et al.による参考書籍「Molecular Cloning: a Laboratory Manual」に定義されている。
用語「ポリヌクレオチド」とは、共有結合したヌクレオチドの鎖を意味する。本発明の目的では、この用語は、リボ核酸(RNA)及びデオキシリボ核酸(DNA)などの核酸を意味する。
本発明の目的では、2つの核酸配列間の「同一性パーセンテージ」は、比較ウインドウを通じて、最適にアラインメントされた2つの配列を比較することにより決定される。
比較ウインドウ内のヌクレオチド配列の一部は、2つの配列間で最適なアラインメントを得るために、参照配列(これらの付加又はこれらの欠失含まない)と比較して、付加又は欠失(例えば、ギャップ)を含み得る。
同一性パーセンテージは、比較される2つの配列について同一の核酸塩基が観察される位置の数を決定し、その後、2つの核酸塩基間で同一性が存在する位置の数を比較ウインドウ内の位置の総数で割り、次いで、その結果に100を掛けて、2つの配列相互のヌクレオチド同一性パーセンテージを得ることにより計算される。
比較のための配列の最適なアラインメントは、既知のアルゴリズムを使用してコンピュータによって行い得る。
もっぱら好ましくは、配列同一性パーセンテージは、CLUSTAL Wソフトウェア(バージョン1.82)を使用して決定され、パラメーターは以下のとおり設定される:(1)CPU MODE=ClustalW mp;(2)ALIGNMENT=「full」;(3)OUTPUT FORMAT=「aln w/numbers」;(4)OUTPUT ORDER=「aligned」;(5)COLOR ALIGNMENT=「no」;(6)KTUP(ワードサイズ)=「default」;(7)WINDOW LENGTH=「default」;(8)SCORE TYPE=「percent」;(9)TOPDIAG=「default」;(10)PAIRGAP=「default」;(11)PHYLOGENETIC TREE/TREE TYPE=「none」;(12)MATRIX=「default」;(13)GAP OPEN=「default」;(14)END GAPS=「default」;(15)GAP EXTENSION=「default」;(16)GAP DISTANCES=「default」;(17)TREE TYPE=「cladogram」及び(18)TREE GAP DISTANCES=「hide」。
用語「ポリペプチド」とは、共有結合したアミノ酸の鎖を意味する。
用語「ポリミキシンEシンセターゼ」とは、ポリミキシンEを形成するアミノ酸の鎖中へ特異的アミノ酸を組み込み、必要に応じて、環状構造を形成するためにそのアミノ酸を変換することが可能な酵素を意味する。
用語「アデニル化部位」又は「アデニル化ドメイン」とは、ポリミキシンシンセターゼ分子において、アミノ酸の選択及び活性化において役割を果たすドメインを意味し、一方、「縮合ドメイン」はペプチド結合の形成を触媒し、「チオール化ドメイン」はモジュール間で形成された化合物の輸送を担う。
用語「エピマー化部位」とは、シンセターゼにおいて、左旋性「L」を有する残基を右旋性「D」のその鏡像異性体へ、特に、L−α,γ−ジアミノ酪酸(L−Dab)をD−α,γ−ジアミノ酪酸(D−Dab)へ変換することを可能にするドメインを意味する。
用語「結合ポケット」とは、「ポケット」の形態で三次元構造を有するタンパク質のゾーンを意味し、このポケットでは、基質又は、この場合では、アミノ酸、との高特異性の相互作用により、このアミノ酸を選択しかつ活性化することが可能になる。
表現「下線が施されたアミノ酸は保存される」とは、同じ触媒活性を有する2つのタンパク質の間でわずかな配列変化が観察され得る場合でも、示されたアミノ酸は、このタンパク質の特異性及び活性に不可欠であり、従って、このタンパク質の特異性及び/又は活性の喪失又は低減の危険なしに変更することができないということを意味する。
本発明は、4つのアデニル化部位を含む、ポリミキシンE合成に関与するPmxAシンセターゼであって、その第2のアデニル化部位は、次のペプチド配列:
VTEAEKADLLGRFNDTTTEFPRGKTLIQLFEEQVERIPDAAAITLNEQELTYRELNERVNRLARTLRSHGISKGRLVAILAERSIEMVVGMLAAHKAGAAYVPIDPEYPEERIRFLIEDSGGQVMLTQSRLRERLAGSDPVILLDDESFYHEDGTNLNTGIEATDLACVIYTSGTTGKPKGNPVSHRNIVRVVQNTNYIDITERDHVLQLSSYSFDGATDIFGALTNGARLVLVPYETLLEIGRLADLIQRERISVMITTAFFNILVDVNVDCLRDVRAIGERVSVGHVRKALAHIGPGRLNHYGPTESTVYTTYLPVDFVDELAVTVPIGRPISNTTVYIVDSRNKLLPIGVAGELCVGGEGLVRGYNNRPELTAEKFVDNPFVPGERMYRTGDLAKWLPDGTIEYVGRTDDQVKIRGFRIELGEIEAQLQKVEGIRKTTVFARENASGEKQLCAYYEADCELPAAELKSVLSKELPAYMIPAYLIQLERLPLTTNGVDRRSLPAPEESLQPGGG(配列番号1)
と少なくとも90%の同一性を有することを特徴とし、
下線が施されたアミノ酸DGFFLGVVYKは保存され、かつロイシン、イソロイシン又はバリン残基に特異的な結合ポケットを形成している、PmxAシンセターゼに関する。
本発明の1つの特定の態様によれば、PmxAの第2のアデニル化部位は、配列番号1のペプチド配列と、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有し、下線が施されたアミノ酸DGFFLGVVYKは、保存され、かつロイシン、イソロイシン又はバリン残基に特異的な結合ポケットを形成している。
本発明の1つの特定の態様によれば、PmxAの第2のアデニル化部位は、配列番号27のペプチド配列を含む又はからなるペプチド配列を有し、下線が施されたアミノ酸DGFFLGVVYKは、保存され、かつロイシン、イソロイシン又はバリン残基に特異的な結合ポケットを形成している。
本発明の1つの特定の態様によれば、PmxAシンセターゼは、次のアミノ酸:
・ロイシン残基に特異的な、DAWIVGAIVK(配列番号2)、
・ロイシン、イソロイシン又はバリン残基に特異的な、DGFFLGVVYK(配列番号3)、
・ジアミノ酪酸残基に特異的な、DVGEISAIDK(配列番号4)、
・ジアミノ酪酸残基に特異的な、DVGEISAIDK(配列番号5)、
を含む4つの特異的な結合ポケットを含む。
配列番号2、3、4及び5のこれらの配列は、ペプチド配列中の連続したアミノ酸ではなく、必須アミノ酸をグループ化して三次元構造で機能的な結合ポケットを形成することがはっきりと理解される。
本発明の1つの特定の態様によれば、PmxAシンセターゼは、図5で示される、配列番号6に示されるポリペプチド配列を含み、アデニル化ドメインは太字で示され、結合ポケットを形成するアミノ酸は下線が施されている。具体的には、この配列は、配列番号6に示される配列に加えて、N末端及びC末端に追加のアミノ酸を含み得る。
1つの特定の態様によれば、PmxAシンセターゼのポリペプチド配列は配列番号6に示されるポリペプチド配列からなる。
本発明の別の態様によれば、PmxAシンセターゼは、配列番号25に示されるペプチド配列を含む又はからなる配列を有する。
PmxAシンセターゼは次の位置:
・残基234Lから残基751Yまで;
・残基1741Vから残基2263Gまで;
・残基2815Pから残基3345Tまで;
・残基3900Eから残基4428Gまで。
に4つのアデニル化部位を有する。
これらの位置は、特定のペプチド配列に従って、この場合、4967個のアミノ酸を含む配列番号6に従って特定され、より大きなサイズの配列については再定義され得ることは理解される。
具体的には、PmxAシンセターゼが配列番号25の配列からなる配列を有する場合には、4つのアデニル化部位は次の位置:
・残基265Lから残基782Yまで;
・残基1772Vから残基2294Gまで;
・残基2846Pから残基3376Tまで;
・残基3931Eから残基4459Gまで。
に存在する。
本発明はまた、5つのアデニル化部位及び1つのエピマー化部位を含む、ポリミキシンE合成に関与するPmxEシンセターゼであって、そのエピマー化部位は配列番号30に示されるペプチド配列と少なくとも90%の同一性を有することを特徴とする、PmxEシンセターゼに関する。
本発明の1つの特定の態様によれば、PmxEシンセターゼのペプチド配列は、配列番号14の配列で表される配列を含む又はからなる。
このシンセターゼは、ポリミキシンE分子のペプチド鎖中への残基1〜5(付番については図1を参照)の組込みを担う。このシンセターゼは、L−Dab残基をその立体異性体D−Dabへ変換することが可能であり、かつ上記立体異性体をポリミキシンEペプチド鎖の3位に組み込むという機能特性を有する。このような変異体ポリミキシン分子は、文献(Hong SY et al.、1999;Lee DL et al.、2004)で提示されているように、改善された抗微生物特性を有し得た。
本発明はまた、配列番号1の配列の下線が施されたアミノ酸DGFFLGVVYKをコードするヌクレオチドは保存されるという条件で、配列番号7のヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有する、ポリミキシンE合成に関与するシンセターゼをコードする、オープンリーディングフレームを含む核酸に関する。
本発明の1つの特定の態様によれば、ポリミキシンE合成に関与するシンセターゼをコードする核酸は、配列番号1の配列の下線が施されたアミノ酸DGFFLGVVYKをコードするヌクレオチドは保存されるという条件で、配列番号7のヌクレオチド配列と、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の同一性を有する。
表現「ヌクレオチド[…]は保存される」は、これらのヌクレオチドによって形成されるコドンが、配列番号1の配列において下線が施されたアミノ酸DGFFLGVVYKをコードするという条件でのみ、配列番号1の配列のアミノ酸DGFFLGVVYKをコードするこれらのヌクレオチドは、配列番号7の配列の同じ位置で観察されるものと同一であるか、又は異なっていなければならないことを示す。
これは、上に示したように、これらのアミノ酸はこのシンセターゼの特異性及び活性に不可欠であり、従って、この結合ポケットの特異性の喪失又は低減の危険なしに変更することができないことが理由である。
本発明の別の特定の態様によれば、ポリミキシンE合成に関与するPmxAシンセターゼをコードする核酸は、配列番号28の配列に示されるヌクレオチド配列からなる、このPmxAシンセターゼの第2のアデニル化部位をコードするヌクレオチド配列を含む。この配列は、配列番号27で表されるペプチド配列をコードし、また、そのドメインのC末端で配列番号27よりも2個アミノ酸が少ない、配列番号1で表されるペプチド配列もコードする。
本発明はまた、特に、
・上に定義されるPmxAシンセターゼをコードする遺伝子、及び
・PmxB及びPmxEのシンセターゼそれぞれをコードする遺伝子
を含む、ポリミキシンE合成に関与する酵素をコードする遺伝子群に関する。
本発明の1つの好ましい態様によれば、この遺伝子群は、そのペプチド配列が配列番号30で表される配列を含む又はからなるエピマー化ドメインを含むPmxEシンセターゼをコードするpmxE遺伝子を含む。
本発明の1つの好ましい態様によれば、この遺伝子群はまた、PmxC及びPmxDの輸送タンパク質それぞれをコードする遺伝子を含む。パエニバチルス・アルベイ株から単離されたPmxC及びPmxDのタンパク質の配列は、それぞれ、配列番号12及び13の配列で示される。
本発明の別の特定の態様によれば、ポリミキシンE合成に関与するこの遺伝子群は、
・配列番号1の配列の下線が施されたアミノ酸DGFFLGVVYKをコードするヌクレオチドは保存されるという条件で、配列番号7の配列と少なくとも90%の同一性を有するpmxA遺伝子と、
・配列番号8の配列と少なくとも90%の同一性を有するpmxB遺伝子と、
・配列番号9の配列と少なくとも90%の同一性を有するpmxE遺伝子と
を含む。
本発明の別の態様によれば、ポリミキシンE合成に関与するこの遺伝子群は、
・下線が施されたアミノ酸DGFFLGVVYKをコードする核酸の部分は保存されるという条件で、配列番号7の配列と少なくとも95%の同一性を有するpmxA遺伝子と、
・配列番号8の配列と少なくとも95%の同一性を有するpmxB遺伝子と、
・配列番号9の配列と少なくとも95%の同一性を有するpmxE遺伝子と
を含む。
本発明の別の態様によれば、ポリミキシンE合成に関与するこの遺伝子群は、
・配列番号7の配列と100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、特に、配列番号26に示されるヌクレオチド配列を含む、pmxA遺伝子と、
・配列番号8の配列と100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むpmxB遺伝子と、
・配列番号9の配列と100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むpmxE遺伝子と
を含む。
本発明はまた、ポリミキシンE合成に関与するpmxA、pmxB、pmxC、pmxD及びpmxE遺伝子を含む、パエニバチルス・アルベイ株由来のクラスターの完全配列を表す、配列番号10の配列、又は配列番号29の配列を含む又はからなる核酸に関する。
下の表1は、本出願で参照される様々な核酸及びタンパク質の配列を示している:

発現ベクター
本発明はまた、上に定義されるPmxAシンセターゼをコードする遺伝子、又は上に定義されるPmxAシンセターゼをコードする核酸、及び/又は上に定義されるPmxEシンセターゼをコードする遺伝子を含む発現ベクターに関する。
本発明の文脈において、用語「ベクター」、「発現ベクター」及び「プラスミド」は等価であり、分子生物学、遺伝子工学及び微生物学の分野における通常の受け入れに従って使用される。非常に簡単には、宿主細胞に収容された、上記宿主細胞の自然の染色体DNAとは異なる自己複製可能な非ウイルス性DNA分子である。「ベクター」は、分子生物学及び遺伝子工学の従来技術によって得られ、1つ以上の外来ヌクレオチド配列が挿入された(又はクローニングされた)分子である。本発明は、外来ヌクレオチド配列の、宿主細胞による発現のためのベクターであって、
・複製起点、
・導入された遺伝子の発現を可能にする、例えば、適当なプロモーター、エンハンサー等のようなエレメント、
・その発現が望まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列
を含むベクターに関する。
ベクター、より詳細には、ベクターが有する複製起点の選択は、それを収容する宿主細胞に依存する。宿主細胞の種類に応じて、ベクターの複数のコピー及び/又は複数の異なるベクターが同じ宿主細胞内に、同時に又は逐次に導入され得る。
ベクターの選択はまた、発現される核酸配列のサイズに依存する。具体的には、20キロ塩基対より大きい配列では、大きな核酸配列(最大40キロ塩基対)を含有することが可能なベクターであるフォスミドが好ましいであろう。また、各々が遺伝子セットの一部を含む複数のベクターを使用し、複数のベクターを同じ宿主細胞へ移入することも可能であり、これにより同じ菌株において遺伝子セット全体を発現させることが可能になる。
大きなサイズの配列を含有し得る他のベクターはコスミド及び細菌人工染色体(BAC:bacterial artificial chromosomes)である。
本発明の1つの好ましい態様によれば、発現ベクターは上に定義される遺伝子群の全体又は一部を含む。
本発明の別の好ましい態様によれば、発現ベクターは、特に、配列番号10又は配列番号29に示される配列を含む、上に定義される核酸の全体又は一部を含む。好ましくは、発現ベクターは、配列番号10の配列を有する、パエニバチルス・アルベイ由来のpmxA、pmxB、pmxC、pmxD及びpmxE遺伝子を含む完全クラスターをコードするDNA配列の全てを含むフォスミドである。
ポリミキシン合成に関与する他の酵素
他の酵素は、ポリミキシン合成、特に、ポリミキシンE合成に関与する。これらは、ポリミキシンEのペプチド鎖に主に組み込まれるDab残基の生合成を可能にする酵素と、そのペプチド部分への脂肪酸の結合を可能にする酵素である。
α,γ−ジアミノ酪酸(Dab)残基の生合成のための酵素は、同定され、実施例に記載するパエニバチルス・アルベイの細菌株から単離された。具体的には、この酵素のペプチド配列は、配列番号31の配列に示されるペプチド配列を含む又はからなる。この酵素をコードする核酸は、配列番号32の配列に示されるヌクレオチド配列を含む又はからなる。
好ましくは、トランスアミナーゼ活性を有するこの酵素は、PmxA、PmxB及びPmxEのシンセターゼと、好ましくは、更にPmxC及びPmxDの輸送分子と組み合わせて、ポリミキシンEを生産するように意図された微生物において発現され得る。
431個の残基を含むこのトランスアミナーゼは、下の表2で示されるように、他の微生物由来の類似の機能を示す酵素と配列相同性を有する:
また、ポリミキシンEのペプチド鎖への脂肪酸の結合を可能にする酵素であり、それゆえにアシルトランスフェラーゼ活性を有する酵素も同定され、上記のパエニバチルス・アルベイの細菌株から単離された。
好ましくは、少なくとも1つのアシルトランスフェラーゼは、PmxA、PmxB及びPmxEのシンセターゼと、好ましくは、更にPmxC及びPmxDの輸送分子と、より好ましくは、更にα,γ−ジアミノ酪酸(Dab)残基の生合成のための酵素と組み合わせて、ポリミキシンEを生産するように意図された微生物において発現される。
あるいは、ポリミキシンEのペプチド鎖への脂肪酸の結合はまた、当業者に周知の技術の1つに従って、化学的結合によって行い得る。
宿主細胞
用語「宿主細胞」又は「宿主微生物」は、形質転換された、すなわち、特に、対象となる配列を含む発現ベクターの形態の外来DNAが導入された細胞を表すために本発明の文脈において使用され、上記配列は、外来DNAから、このDNAに対応するメッセンジャーRNA及びタンパク質を合成することが可能な、宿主細胞の細胞機構によって発現される。
本出願は、特に、上に定義される遺伝子もしくは遺伝子群、又は上に示される1つ以上の発現ベクターを導入することにより形質転換された微生物に関する。
本発明は、特に、
・上に定義されるPmxAシンセターゼをコードする遺伝子、又は
・上に定義されるPmxEシンセターゼをコードする遺伝子、又は
・上に定義されるPmxAシンセターゼをコードするDNA配列、特に、配列番号7又は配列番号26に示される配列を含む発現ベクター
を導入することにより移入された微生物に関する。
本発明はまた、上に定義される遺伝子群、又は上に定義される、pmxA、pmxB及びpmxE遺伝子の全てもしくは一部をコードする核酸、又は上に定義される、pmxA、pmxB及びpmxE遺伝子の全てもしくは一部をコードする遺伝子を含む少なくとも1つの発現ベクターを導入することにより形質転換された微生物に関する。
本発明の1つの特定の態様によれば、微生物は、加えて、Dab残基の生合成に関与する酵素をコードする少なくとも1つの核酸、特に、配列番号32の配列を含む又はからなる配列を含む核酸を含むように形質転換される。
本発明の別の態様によれば、微生物は、加えて、ポリミキシンEのペプチド鎖への脂肪酸の結合を触媒する、アシルトランスフェラーゼ活性を有する酵素をコードする少なくとも1つの核酸を含むように形質転換される。
微生物の形質転換は、分子生物学実験室で一般的に使用される技術であり、この技術により、外来DNAを微生物へ導入することが可能である。様々な技術によって、微生物、特に、コンピテント細菌の形質転換が可能であり、それらの技術は全て当業者に周知である。特に、エレクトロポレーション、及び塩化カルシウム使用後の熱ショックを挙げることができる。
本発明の1つの好ましい態様では、形質転換された微生物において、導入された遺伝子又は遺伝子群が過剰発現される。
遺伝子の過剰発現は、この遺伝子の発現の増加、すなわち、細胞中での、この遺伝子によってコードされるメッセンジャーRNA及びタンパク質のより多くの生産によって定義され得る。そのタンパク質の発現は、特に、形質転換前の、この遺伝子を自然発現する細菌で観察される内因性発現のレベルと比べて、50%、100%、150%、200%、又は更に、300%増加するであろう。
遺伝子の過剰発現は、いくつかの方法で得ることができ、それらの方法は全て当業者に周知である。特に、遺伝子発現レベルを制御し、細胞中での遺伝子のコピー数を増加させるための強力なプロモーターの使用が挙げられる。好ましくは、使用されるベクターは、強力なプロモーターを含み、このプロモーターの制御下で遺伝子が挿入され、上記ベクターは宿主細胞中で高コピー数、特に、10コピー、20コピー、50コピー又は100コピーで存在するであろう。
当業者は、本発明による遺伝子(単数又は複数)を含むベクターの発現に最も好適な宿主微生物を選択する方法がわかるであろう。具体的には、グラム陽性菌が好ましい。特に好適な微生物は、バチルス属又はパエニバチルス属に属する細菌である。枯草菌及びパエニバチルス・ポリミキサの種がポリミキシンシンセターゼの発現及びポリミキシンEの生産に特に好適である。パエニバチルス属、特に、パエニバチルス・アルベイの菌株、より詳細には、本発明者らによって自然環境から単離されたパエニバチルス・アルベイ株もまた、上に定義されるベクター又は核酸で形質転換される宿主微生物として使用され得る。最後に、合成細菌もまた、宿主細胞として、本発明の文脈において使用され得る。
ポリミキシンEを生産するための方法
本出願はまた、ポリミキシンEを生産するための方法であって、
・上に定義される形質転換された微生物を適当な無機培地中で培養する工程、及び
・その培養培地から、生産されたポリミキシンEを精製する工程
を含む方法に関する。
用語「適当な無機培地」とは、微生物の増殖を可能にし、かつ特に、無機塩及び栄養素を含む培養培地を意味する。好ましい培地は次の特定の組成を有する:0.45%(w/v)無水KH2PO4、1.13%(w/v)K2HPO4.3H2O、0.6%(w/v)(NH42SO4、0.6%(w/v)グルコース、0.001%(w/v)チアミン、0.02%(w/v)MgSO4.7H2O。この培地はまた、必要に応じて、ポリミキシン合成に必要な前駆体、特に、ジアミノ酪酸を含み得る。
本発明の1つの好ましい態様によれば、培養は、30℃の温度で行われ、少なくとも25時間継続する。
好ましくは、培養は、1Lフラスコ内の無機培地200ml中で、振盪しながら、30℃で30時間行われる。
本発明はまた、ポリミキシンE変異体を生産するための方法であって、上に定義される微生物を適当な無機培地中で培養する工程、及びその培養培地から、ポリミキシンE変異体(単数又は複数)を精製する工程を含む方法に関する。
本発明はまた、上記の生産方法によって得られるポリミキシンE変異体に関する。
「ポリミキシンE変異体」は、ポリミキシンEの構造(図1参照)から誘導された、例えば、1個以上の異なるアミノ酸を有し得るが、別の種類のポリミキシンに属するものとして分類されない分子を意味する。
具体的には、パエニバチルス・アルベイ株BL−Rの培養培地中で検出される分子の種類は、次の構造差を有するポリミキシンE変異体である:3位の残基が、ポリミキシンEの従来の構造で観察されるL−Dab残基の代わりにD−Dab残基であり得る。
変異体形態は自然又は合成であり得る。用語「自然変異体」は、非形質転換微生物によって合成された変異体を意味することが意図され、用語「合成変異体」は、形質転換微生物によって合成された変異体形態を意味することが意図され、この形質転換微生物は自然状態では同定されていない。
具体的には、pmxA、pmxB及びpmxE遺伝子によってコードされるポリミキシンシンセターゼは、陽イオン性電荷がより低くかつそれゆえに人体への毒性がより低いポリミキシンE変異体を合成するために、ポリミキシンEの組成の一部である特定のアミノ酸の結合に特異的となるように修飾され得る。
これらのポリミキシンE変異体は、利点を有し、特に、ポリミキシンEと比べて毒性が低い。
更に、様々なポリミキシンE変異体の臨床使用により抗生物質耐性の発生を低減することが可能になる。
L−Dab残基の代わりにD−Dab残基を含む変異体では、これらの分子の抗微生物活性が、従来のポリミキシン類で観察される抗微生物特性と比べて増加されることはほぼ確実である。
本発明は、これらの変異体、更に、グラム陰性菌による細菌感染症の治療におけるこれらの使用に関する。
以下の実施例により、特許請求する発明を例示するが、限定するものではない。
実施例1.コリスチンの生産に関する遺伝子系の単離及び配列決定。
パエニバチルス・アルベイ種に属する、コリスチン(ポリミキシンE1及びE2)を生産する微生物(B−LR)を、自然環境から単離し、培養した。ゲノムDNAライブラリーを、フォスミドベクター(900クローン)を使用して大腸菌で構築した。コリスチンを合成する酵素をコードする遺伝子の探索は、縮重PCRによって行った。使用したプライマーは、コリスチンの構造を最も表しているアミノ酸(6個のアミノ酸/12個)であるジアミノ酪酸(Dab)の組込みにおいて特定されるドメインの増幅を目的として定義した。配列から対象となる3つのクローンを選択した(Roche GS FLX)。得られた配列は50kbより大きくアセンブルすることができた。オープンリーディングフレームを求めた。A、B、C、D及びEと称するそれらのうちの5つは、A(14.9kb)、B(3.3kb)、C(1.8kb)、D(1.7kb)及びE(18.9kb)を有する約41kbのクラスターを表し、これは図2に表している。
A、B及びE遺伝子は、配列相同性により、シンセターゼをコードすると確認された。in silico研究により、これらのシンセターゼがコリスチンのアセンブリに関与することを予測することができた(http://nrps.informatik.uni−tuebingen.de/及びhttp://nrps.igs.umaryland.edu/nrps/)。C及びD遺伝子は、それらとしては、コリスチンに関する輸出及び生産微生物の耐性に関与し得た。
実施例2:ポリミキシン群に属する分子を生産する様々なパエニバチルス属菌株のアデニル化ドメインの比較。
ポリミキシン生産に関与する酵素は、非リボソームペプチドシンセターゼ(NRPS)ファミリーに属する。これらのシンセターゼは、mRNA鋳型の翻訳に依存せずに特定のペプチドを生産することが可能である。生産されたペプチド鎖の特異性は、アデニル化ドメインを構成するシンセターゼのアミノ酸の正確な配列に依存する。B−LRのシンセターゼAについては4つのアデニル化ドメインがin silicoで確認され、Bについては1つ、Eについては5つが確認された。各アデニル化ドメインは、伸長中に非リボソームペプチド中へ正確なアミノ酸を組み込む特異性に与える10個のアミノ酸の署名を含有する。これらの署名はin silicoで確認され、次のウェブアドレスで利用可能なプログラムを使用して文献に記載されているものと比較した(表4):http://nrps.informatik.uni−tuebingen.de/。
E681株及びATCC21830株は米国特許第8329430号明細書に記載されている。
PKB1株は、Shaheen et al.による論文(2011)に記載されている。
M−1株は、Niu et al.による論文(2013)に記載されている。


B−LRのシンセターゼは、PmxAシンセターゼの第2のアデニル化ドメイン及びPmxEシンセターゼの第3のドメインのレベルで異なる。
既知タンパク質配列を有するBL−R株由来のタンパク質配列との比較を下の表5に示している:
実施例3:pmxE突然変異体の構築及びそのコリスチン生産の解析。
pmxDの終了部から始まり、pmxEの開始部で終わる1650bpの配列を選択し、増幅した。この配列は、特有のSacII酵素制限部位を保有するという特殊性を有する。増幅した配列をpGEM(登録商標)7Zプラスミドにクローニングした。アプラマイシン耐性をコードする遺伝子をSacII制限部位に組み込んだ。この構築物をエレクトロポレーションによりB−LRに導入した。二重組換えイベントを受けた突然変異体の選択を、アプラマイシンを補給した寒天培地上で培養することにより行った。突然変異体の上清の抗微生物活性(antiomicrobial activity)をB−LRのものと比較した。突然変異体5の培養上清は、野生型B−LR菌のものよりも緑膿菌に対して活性が低い(図4)。
実施例4.パエニバチルス属由来のPmxEシンセターゼの特徴
PmxEシンセターゼのペプチド配列は、配列番号14の配列に示される。エピマー化ドメインの配列は配列番号30に示され、それは、配列番号14の配列の残基Val3205〜Leu3665の間に含まれかつそれらを含む少なくとも461個の残基を含む。非リボソームペプチドの特徴の1つは、(L)立体異性を有するアミノ酸が存在することである。通常、(L)アミノ酸は、Aドメインによって活性化され、その後、それにAドメインが直接組み込まれる。しかしながら、この(L)型アミノ酸は、ペプチド結合形成前に任意のエピマー化ドメインによってその(D)型へと変換されることがある。in silico予測によれば、2つのエピマー化ドメインがpmxクラスターのモジュール3及び6において確認された。これは、これらの部位に存在するアミノ酸での立体化学的変化が可能であることを示唆する。従って、3位(Dab−3)及び6位(Leu−6)に存在するアミノ酸はそれらの(D)型でペプチド鎖中に組み込まれることになる。これは、全てのポリミキシンE類にその(D)型で組み込まれるLeu−6については知られているが、Dab−3残基では珍しい。
従って、本発明によるPmxEシンセターゼは、L−Dab残基をその立体異性体(D)へ変換し、それを、合成されたポリミキシンE分子の3位(図1参照)に組み込むという特性を有する。
3位にD−Dab残基を含む上記ポリミキシンE分子はポリミキシンE変異体である。
実施例5:前の実施例で特性評価したPmxA、PmxB及びPmxEの組合せを発現する微生物によるポリミキシンEの生産
微生物(B−LR)は、7位にロイシン、イソロイシン又はバリン残基を含むいくつかの種類のポリミキシンE分子を生産する。
これらの様々な種類の分子は、以下に詳述するプロトコールに従って、質量分析により培養培地中で検出することができた。
0.0002%の硫酸コリスチン対照溶液は微生物培養培地(M63T培地)で調製した。4つの画分を回収し、超高速液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析法(UPLC−MS:Ultra Performance Liquid Chromatography−tandem mass spectrometry)により分析した。陽性対照中に存在するポリミキシンE1及びE2に対応する2つのピークが4番目の抽出画分で見出された。
B−LR株は、培養30時間で抗微生物活性の最大レベルを示す。この時点で、培養上清を回収し、濾過した(0.22μm)後、固体相抽出工程に供した。4番目の抽出画分のペプチドをUPLC−MSにより分析した。この4番目の抽出画分では17の溶出ピークが観察された。これらの中で、保持時間1.61分及び1.52分を示す主ピークはそれぞれ、[M+H]+での分子量1169.7727及び1155.7555を有する。これらは、それぞれ、既知ポリミキシンE1及びE2に対応し、これらのポリミキシンは、同じペプチド構造を有するが式C917O及びC815Oそれぞれのそれらの脂肪酸によって異なる。
Govaerts et al. (2002)及びDeCrescenzo et al. (2007)による論文で既に提示されているこれらの構造を確認するためにMS/MS分析を行った。タンデム質量分析法(MS/MS)を用いて、ペプチド結合のフラグメンテーションを通じて一連のアミノ酸を決定する。この技術は、衝突セルによって分離された2つの分析部を組み合わせることにある。第1の工程は、四重極のイオン化源から得られるイオンを選択することにあり、これは親イオン又はプリカーサーイオンである。このイオンは、衝突セル内でアルゴン原子による衝撃の影響下でフラグメンテーションを受け、「娘」イオン又は「プロダクト」イオンを生じ、このイオンが飛行時間型(TOF:time−of−flight)分析部で分析され、保護される。TOF分析部は、イオンが所定の距離を進むのにかかる時間を測定することに基づき、これによって、m/z比を検出し、それに従って対応するイオンの質量を決定することが可能になる。
これらの実験の間、ロイシン残基とイソロイシン残基は分子量が同一であることから区別することはできない。
B−LR上清から、7個のアミノ酸を含有する環を有する3つのデカペプチドを精製した。それらの分子量は1140.74Da〜1168.77Daの範囲である。これらの分子の比較により、残基1〜6及び8〜10のレベルでの相同性と、残基7のレベル及び脂肪酸のレベルでの違いが示される。これらの3つの分子は、ポリミキシン(コリスチン)E1、E2及びVal−コリスチンE2に相当する。これらの推定化学式を下の表6に示す。
コリスチンE1、コリスチンE2及びval−コリスチンE2で得られた質量スペクトルは、それぞれ、[M+2H]2+値585.39、578.38及び571.38である。コリスチンE1及びE2の親イオンのフラグメンテーションにより、アミノ酸断片の喪失によって生成されるm/z 829、728、628、427、327及び227の娘イオンが生じている(図6及び図7)。val−コリスチンE2の親イオンのフラグメンテーションにより、この場合もアミノ酸断片の喪失によって生成されるm/z 815、714、614、514、413、313及び213の娘イオンが生じている(図8)。
得られたこれらの娘イオンは、コリスチンE1、E2及びVal−E2のフラグメンテーション中の、文献(Govaerts et al.、2002;DeCrescenzo et al.、2007)に記載されているものと同一である。コリスチンE1及びE2は同じアミノ酸配列を有するが脂肪酸のレベルでのCH2の喪失に相当する14Daの分子量差がある。
結論として、これらの結果は、B−LR株がコリスチンE1、コリスチンE2及びバリン−コリスチンE2(Val−E2)を生産することを示している。
実施例6:枯草菌におけるパエニバチルス属由来のpmxA、B及びE遺伝子の異種発現並びにコリスチンの検出
バチルス属はB−LRに系統発生的に近い異種発現宿主である。コリスチン生産クラスターの全てを収容するように操作されたフォスミドを、エレクトロポレーションによってレシピエント株に移入する。形質転換株は、抗生物質を補給した寒天培地上で選択する。コリスチン生産は、ジアミノ酪酸(合成前駆体)を補給した液体培地中で行う。培養上清からバイオマスを分離した後、コリスチンが検出される。抽出することにより、質量分析によるその特性評価の前にコリスチンを単離することができる。
参考文献

特許文献
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非特許文献
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Claims (20)

  1. 4つのアデニル化部位を含む、ポリミキシンE合成に関与するPmxAシンセターゼであって、第2のアデニル化部位が、配列番号1:
    VTEAEKADLLGRFNDTTTEFPRGKTLIQLFEEQVERIPDAAAITLNEQELTYRELNERVNRLARTLRSHGISKGRLVAILAERSIEMVVGMLAAHKAGAAYVPIDPEYPEERIRFLIEDSGGQVMLTQSRLRERLAGSDPVILLDDESFYHEDGTNLNTGIEATDLACVIYTSGTTGKPKGNPVSHRNIVRVVQNTNYIDITERDHVLQLSSYSFDGATDIFGALTNGARLVLVPYETLLEIGRLADLIQRERISVMITTAFFNILVDVNVDCLRDVRAIGERVSVGHVRKALAHIGPGRLNHYGPTESTVYTTYLPVDFVDELAVTVPIGRPISNTTVYIVDSRNKLLPIGVAGELCVGGEGLVRGYNNRPELTAEKFVDNPFVPGERMYRTGDLAKWLPDGTIEYVGRTDDQVKIRGFRIELGEIEAQLQKVEGIRKTTVFARENASGEKQLCAYYEADCELPAAELKSVLSKELPAYMIPAYLIQLERLPLTTNGVDRRSLPAPEESLQPGGG
    のペプチド配列と少なくとも90%の同一性を有することを特徴とし、
    下線が施されたアミノ酸DGFFLGVVYKは保存され、かつロイシン、イソロイシン又はバリン残基に特異的な結合ポケットを形成している、PmxAシンセターゼ。
  2. 以下のアミノ酸:
    ロイシン残基に特異的な、DAWIVGAIVK(配列番号2)、
    ロイシン、イソロイシン又はバリン残基に特異的な、DGFFLGVVYK(配列番号3)、
    ジアミノ酪酸残基に特異的な、DVGEISAIDK(配列番号4)、
    ジアミノ酪酸残基に特異的な、DVGEISAIDK(配列番号5)、
    を含む4つの特異的な結合ポケットを含むことを特徴とする、請求項1に記載のPmxAシンセターゼ。
  3. 配列番号6のペプチド配列を含み、好ましくは、配列番号25のペプチド配列を含むことを特徴とする、請求項1に記載のPmxAシンセターゼ。
  4. 5つのアデニル化部位及び1つのエピマー化部位を含む、ポリミキシンE合成に関与するPmxEシンセターゼであって、前記エピマー化部位が、配列番号30のペプチド配列と少なくとも90%の同一性を有することを特徴とする、PmxEシンセターゼ。
  5. 配列番号7のヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリミキシンE合成に関与するシンセターゼをコードする、オープンリーディングフレームを含む核酸であって、ただし、前記配列番号1の配列の前記下線が施されたアミノ酸DGFFLGVVYKをコードするヌクレオチドが保存されている、核酸。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のPmxAシンセターゼをコードする遺伝子と、PmxB及びPmxEシンセターゼをそれぞれコードする遺伝子とを含む、ポリミキシンE合成に関与する酵素をコードする遺伝子群。
  7. PmxC及びPmxD輸送タンパク質をそれぞれコードする遺伝子も含むことを特徴とする、請求項6に記載の遺伝子群。
  8. 配列番号7の配列と少なくとも90%の同一性を有するpmxA遺伝子であって、ただし、配列番号1の配列の下線が施されたアミノ酸DGFFLGVVYKをコードするヌクレオチドが保存されている、pmxA遺伝子と、
    配列番号8の配列と少なくとも90%の同一性を有するpmxB遺伝子と、
    配列番号9の配列と少なくとも90%の同一性を有するpmxE遺伝子と
    を含む、請求項6に記載の遺伝子群。
  9. ポリミキシンE合成に関与する遺伝子群を含む、配列番号10の配列又は配列番号29の配列の核酸。
  10. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のPmxAシンセターゼをコードする遺伝子、又は請求項5に記載の核酸、及び/又は請求項4に記載のPmxEシンセターゼをコードする遺伝子を含む発現ベクター。
  11. 請求項6〜8のいずれか一項に記載の遺伝子群又は請求項9に記載の核酸の全体又は一部を含む発現ベクター。
  12. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のPmxAシンセターゼをコードする遺伝子、又は請求項4に記載のPmxEシンセターゼをコードする遺伝子、又は請求項5に記載の核酸、又は請求項10に記載のベクターを導入することにより形質転換された微生物。
  13. 請求項6〜8のいずれか一項に記載の遺伝子群、又は請求項9に記載の核酸、又は請求項11に記載の少なくとも1つのベクターを導入することにより形質転換された微生物。
  14. 前記遺伝子又は前記遺伝子群が過剰発現することを特徴とする、請求項12又は13に記載の形質転換された微生物。
  15. バチルス属又はパエニバチルス属に属することを特徴とする、請求項12〜14のいずれか一項に記載の形質転換された微生物。
  16. ポリミキシンEを生産するための方法であって、請求項12〜15のいずれか一項に記載の微生物を適当な無機培地中で培養する工程、及びその培養培地から、生産されたポリミキシンEを精製する工程を含む、方法。
  17. 前記培養が30℃の温度で行われ、少なくとも25時間継続することを特徴とする、請求項16に記載のポリミキシンE生産方法。
  18. ポリミキシンE変異体を生産するための方法であって、請求項12〜15のいずれか一項に記載の微生物を適当な無機培地中で培養する工程、及びその培養培地から、ポリミキシンE変異体(単数又は複数)を精製する工程を含む、方法。
  19. 請求項18に記載の生産方法によって得られるポリミキシンE変異体。
  20. グラム陰性菌による細菌感染症の治療におけるポリミキシンE変異体の使用のための、請求項19に記載のポリミキシンE変異体。
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