JP2017502657A - エレモテシウム属の発酵によるリボフラビンのより高い生産のための脂肪酸輸送体遺伝子およびβ酸化経路の酵素をコードする遺伝子の過剰発現 - Google Patents

エレモテシウム属の発酵によるリボフラビンのより高い生産のための脂肪酸輸送体遺伝子およびβ酸化経路の酵素をコードする遺伝子の過剰発現 Download PDF

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Abstract

本発明は、エレモテシウム属の遺伝子改変生物においてリボフラビンを生産する方法であって、前記遺伝子改変は前記生物の脂肪酸取り込みおよび/またはβ酸化経路に関連付けられ、前記生物を培養培地中で増殖させること、および前記培養培地からリボフラビンを単離することを含んでなる方法に関する。本発明はさらに、前記生物を遺伝子改変することによってエレモテシウム属に属すリボフラビン蓄積生物を提供する方法、このような方法によって得られた生物、ならびにリボフラビンの蓄積を増大させるためのこのような遺伝子改変生物の使用に関する。【選択図】図9

Description

本発明は、アシュビア(Ashbya)属、別名エレモテシウム属(Eremothecium)の遺伝子改変生物においてリボフラビンを生産する方法であって、前記遺伝子改変は前記生物の脂肪酸取り込みおよび/またはβ酸化経路に関連付けられ、前記生物を培養培地中で増殖させること、および前記培養培地からリボフラビンを単離することを含んでなる方法に関する。本発明はさらに、前記生物を遺伝子改変することによってエレモテシウム属に属すリボフラビン蓄積生物を提供する方法、このような方法によって得られた生物、ならびにリボフラビンの蓄積を増大させるためのこのような遺伝子改変生物の使用に関する。
リボフラビンは、あらゆる植物および真菌、酵母または細菌などのいくつかの微生物によって生産される。リボフラビンは、酸化還元反応における重要な電子伝達体であって光感受性、DNA保護などに関与するフラビン補酵素フラビンモノヌクレオチド(FMN)およびフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)の前駆体として働くことから、細胞代謝の必須成分である。ヒトを含む高等真核生物はリボフラビンを合成できず、従って、リボフラビンはビタミン(ビタミンB2)を採っている。ヒトにおけるビタミンB2欠乏症は、口内および咽頭粘膜の炎症、皮膚のひだのそう痒および炎症および皮膚損傷、結膜炎、視力低下および角膜混濁をもたらす。乳児および小児では、成長の阻害および体重低下が起こり得る。従って、リボフラビンは、ヒトまたは動物の食餌に供給されなければならない。よって、リボフラビンは飲料および食品に添加され、例えば、マヨネーズまたはアイスクリームなどでの食品着色料としても使用される。
リボフラビンは、化学的または微生物的に生産され得る。リボフラビンを合成するための化学的アプローチは、例えば、出発材料としてD−リボースを用いる多段階法に基づく。リボフラビンを生産するための微生物的アプローチは、数種の微生物の、特に植物油などの好適な原料の存在下でリボフラビンを天然に合成する能力に基づく。リボフラビン生産株として知られる微生物には、カンジダ・ファマタ(Candida famata)、枯草菌)( Bacillus subtilis)およびエレモテシウム属種(Stahmann, 2010, Industrial Applications, The Mycota X, 第2版, Springer, Berlin, Heidelberg, 235-247頁)が含まれる。
特に、エレモテシウム属(旧称アシュビア(Ashbya);サッカロミセス科(Saccharomycetaceae)に属す)の糸状半子嚢菌は有効なリボフラビン生産株と確認されている。近年では、リボフラビン生産種エレモテシウム・ゴッシピィ(Eremothecium gossypii)は鋭意研究および分析され、そのゲノム配列が決定されている。
E.ゴシッピィ(アシュビア・ゴシッピィ)では、リボフラビン生産相は、数種のリボフラビン生合成遺伝子(例えば、RIB遺伝子RIB 1、2、3、4、5および7)の転写の強い増強と関連があることが見出されている。よって、WO95/26406またはWO99/61623で概略が示されているように、例えば、付加的コピーの組み込みによるこれらの遺伝子の過剰発現を含むリボフラビン生産株が開発されている。
さらに、エレモテシウム属のリボフラビン生合成経路も解明できた(Fischer and Bacher, 2005, Nat Prod Rep, 22, 324-350頁)。エレモテシウム属におけるリボフラビンの生産は、生合成経路のより良い理解に基づき、セレオニン(thereonine)アルドラーゼをコードするGLY1の過剰発現およびサイトゾルセリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼをコードする遺伝子SHMの破壊により増強させることができ、これらの両遺伝子はリボフラビンの生産に必須のGTP代謝に干渉する(図1および2も参照)(Stahmann, 2010, Industrial Applications, The Mycota X, 第2版, Springer, Berlin, Heidelberg, 235-247)。ホスホ−リボシルアミン合成への干渉を介してリボフラビンの生産に影響を及ぼすことが判明したさらに重要な調節遺伝子は、フィードバック耐性型として提供され得るホスホリボシル−ピロリン酸アミドトランスフェラーゼをコードするADE4である(Jimenez et al., 2005, Appl Environ Microbol, 71, 5743-5751)。これまでに同定されているリボフラビン経路の改変された段階は、リボフラビン生合成の最終段階に本質的に限定される。
しかしながら、これらの開発にも関わらず、食品および飼料級のリボフラビンの需要がいっそう高まっている中で、特に、エレモテシウム属の真菌の遺伝的背景における合成効率およびリボフラビンの生産量はなお最適でない。
WO95/26406 WO99/61623
Stahmann, 2010, Industrial Applications, The Mycota X, 第2版, Springer, Berlin, Heidelberg, 235-247頁 Fischer and Bacher, 2005, Nat Prod Rep, 22, 324-350頁 Jimenez et al., 2005, Appl Environ Microbol, 71, 5743-5751
ゆえに、エレモテシウム属の真菌などの好適な生物中でリボフラビンの生産および蓄積(the production and accumulation or riboflavin)をさらに改善することを可能とする手段および方法の必要がある。
本発明の目的および概要
本発明はこの必要に取り組み、エレモテシウム属の遺伝子改変生物においてリボフラビンを生産する方法を提供し、前記改変は脂肪酸取り込みおよびβ酸化に関連付けられ、これにより、遺伝子改変生物と同じ条件下で培養される遺伝子改変を持たない生物に比べてリボフラビン生産の増強が可能なる。
よって、本発明は、第1の態様において、エレモテシウム属の遺伝子改変生物においてリボフラビンを生産する方法であって、前記遺伝子改変は前記生物の脂肪酸取り込みおよび/またはβ酸化経路に関連付けられ、前記生物を培養培地中で増殖させること、および前記培養培地からリボフラビンを単離することを含んでなる。本発明は、特に、前記遺伝子改変が、前記生物のAGOS_ACL174Wp(Fat1)活性の増強ならびに/またはAGOS_AER358Cp(Pox1)活性の増強ならびに/またはAGOS_AGL060Wp(Fox2)および/もしくはAGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)および/もしくはAGOS_ABL018C(Faa 1,4)活性の増強を少なくとももたらす方法を提供する。
本発明者らは驚くことに、エレモテシウム属の長鎖脂肪酸輸送装置の成分の活性を増強することにより、リボフラビンの生産または蓄積の増大が達成され得ることを見出した。特に、本発明者らは、エレモテシウム属の長鎖脂肪酸輸送装置の成分であり、異なる長鎖脂肪酸活性化に関与するとも考えられているAGOS_ACL174Wp(Fat1)の活性を増強することにより、リボフラビンの生産または蓄積の有意な増大が達成され得ることを見出した。本発明者らはさらに、エレモテシウム属のβ酸化経路に関与する酵素活性の活性を増強することにより、リボフラビンの生産または蓄積の有意な増大が達成され得ることを見出した。特に、本発明者らは、AGOS_AER358Cp(Pox1)、すなわち、エレモテシウム属のβ酸化経路に関与するペルオキシソームオキシダーゼの活性を増強することにより、リボフラビンの生産または蓄積の有意な増大が達成され得ることを見出した。さらに、本発明者らは驚くことに、AGOS_AGL060Wp(Fox2)およびAGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)、すなわち、エレモテシウム属のβ酸化経路のそれぞれヒドラターゼ/デヒドロゲナーゼおよび3−ケトアシル−CoAチオラーゼの活性を増強することにより、リボフラビンの生産または蓄積の有意な増強が可能となることを見出した。本発明者らはまた、AGOS_ABL018C(Faa 1,4)、すなわち、脂肪酸のエステル化を媒介し、それにより脂肪酸輸送を調節する長鎖アシル−CoAシンセターゼの活性を増強することにより、リボフラビンの生産または蓄積の有意な増強が達成され得ることを見出した。
これらの結果は、生産効率または生産されるリボフラビンの量に影響を有するとこれまでに考えられていた酵素活性がリボフラビン生合成の最終段階、またはグリシンに至るもしくはGTPがリボフラビン合成の中間体として使用される補充反応(図1も参照)に一般に関連する限りにおいて、β酸化段階または脂肪酸輸送活性化などの初期の生合成反応は、特にエレモテシウム属真菌に関してリボフラビンの生産に関連する段階として記載されたことはなく、予期されないことである。
エレモテシウム属の使用はさらに、他の微生物の使用に優るいくつかの利点を提供する。代表的なエレモテシウム属の種ゴシッピィは鋭意研究および分析され、そのゲノム配列が決定され、遺伝子操作および遺伝子工学を可能とする利用可能ないくつかの分子ツールがある。さらに、エレモテシウム属は種々の油源および油含有廃液(Park et al., 2004, J Amer Oil Chem Soc, 81: 57-62)、およびグリセロール(Ribeiro et al., 2012, J Basic Microbiol, 52: 582-589)中で増殖可能であり、従って、リボフラビン生産の出発材料としてのこれらの安価なエネルギー源の高効率使用を可能にすることも証明され得る。
関連の態様において本発明は、エレモテシウム属の生物においてリボフラビンを産生する方法であって、前記生物は、遺伝子改変生物と同じ条件下で培養される遺伝子改変を持たない生物に比べて脂肪酸取り込みおよび/またはβ酸化経路に関連した少なくとも1つのタンパク質の活性を増強するように遺伝子改変され、前記生物を好適な培養培地中で増殖させること、およびリボフラビンを培養培地から単離することを含んでなる方法に関する。
さらなる態様において、本発明は、生物を遺伝子改変することによりエレモテシウム属に属すリボフラビン蓄積生物を提供する方法に関し、前記遺伝子改変は、前記生物の脂肪酸取り込みおよび/またはβ酸化経路に関連付けられる。
さらに別の態様では、本発明は、遺伝子改変されたエレモテシウム属に属すリボフラビン蓄積生物に関し、前記遺伝子改変は、前記生物の脂肪酸取り込みおよび/またはβ酸化経路に関連付けられる。
関連の態様において、本発明は、生物の脂肪酸取り込みおよび/またはβ酸化経路に関連する少なくとも1つのタンパク質の活性を、遺伝子改変生物と同じ条件下で培養される遺伝子改変を持たない生物に比べて増強するように遺伝子改変されたエレモテシウム属に属すリボフラビン蓄積生物に関する。
上記に定義される方法または生物の特に好ましい実施形態では、前記遺伝子改変は、少なくとも前記生物のAGOS_ACL174Wp(Fat1)活性の増強ならびに/またはAGOS_AER358Cp(Pox1)活性の増強ならびに/またはAGOS_AGL060Wp(Fox2)および/またはAGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)および/またはAGOS_ABL018C(Faa 1,4)活性の増強をもたらす。
上記に定義される方法または生物のさらに好ましい実施形態では、前記遺伝子改変生物は、遺伝子改変のない同じ生物よりも少なくとも5〜10%多いリボフラビンを蓄積することができる。
本発明のさらに好ましい実施形態では、前記AGOS_ACL174Wp(Fat1)活性の増強はAGOS_ACL174W遺伝子(fat1)の過剰発現によるものであり;かつ/または前記AGOS_AER358Cp(Pox1)活性の増強はAGOS_AER358C遺伝子(pox1)の過剰発現によるものであり;かつ/または前記AGOS_AGL060Wp(Fox2)活性および/またはAGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)活性の増強はAGOS_AGL060W遺伝子(fox2)およびAGOS_AFR302W遺伝子(pot1/fox3)の過剰発現によるものであり、かつ/または前記AGOS_ABL018C(Faa 1,4)活性の増強はAGOS_ABL018C遺伝子(faa 1,4)の過剰発現によるものである。
本発明の別の好ましい実施形態では、前記AGOS_ACL174W遺伝子(fat1)、AGOS_AER358C遺伝子(pox1)、AGOS_AGL060W遺伝子(fox2)、AGOS_ABL018C遺伝子(faa 1,4)および/またはAGOS_AFR302W遺伝子(pot1/fox3)の過剰発現は、強力なプロモーター、好ましくはGPDプロモーターにより、または生物のゲノムにおけるAGOS_ACL174W遺伝子(fat1)、AGOS_AER358C遺伝子(pox1)、AGOS_AGL060W遺伝子(fox2)、ABL018C遺伝子(faa 1,4)および/もしくはAGOS_AFR302W遺伝子(pot1/fox3)の少なくとも第2のコピーの提供により導かれる。特に好ましい実施形態では、前記強力なプロモーターは、構成的プロモーターである。場合により、前記プロモーターはまた、強力な調節可能なプロモーターであってもよい。
本発明の別の好ましい実施形態では、前記fat1遺伝子は、
(a)配列番号2の核酸配列またはその機能的部分;
(b)配列番号1のポリペプチドをコードする核酸配列、またはその機能的部分もしくは変異体;
(c)遺伝コードの縮重の結果として配列番号2の核酸配列に由来し得る核酸配列;および
(d)配列番号2の核酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有する核酸配列
からなる群から選択される核酸配列を含んでなる。
本発明の別の好ましい実施形態では、前記pox1遺伝子は、
(a)配列番号6の核酸配列またはその機能的部分;
(b)配列番号5のポリペプチドをコードする核酸配列またはその機能的部分もしくは変異体;
(c)遺伝コードの縮重の結果として配列番号6の核酸配列に由来し得る核酸配列;および
(d)配列番号6の核酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有する核酸配列
からなる群から選択される核酸配列を含んでなる。
本発明の別の好ましい実施形態では、前記fox2遺伝子は、
(a)配列番号8の核酸配列またはその機能的部分;
(b)配列番号7のポリペプチドをコードする核酸配列、またはその機能的部分もしくは変異体;
(c)遺伝コードの縮重の結果として配列番号8の核酸配列に由来し得る核酸配列;および
(d)配列番号8の核酸配列と少なくとも70%配列同一性を有する核酸配列
からなる群から選択される核酸配列を含んでなる。
本発明の別の好ましい実施形態では、前記faa1/faa4遺伝子は、
(a)配列番号4の核酸配列またはその機能的部分;
(b)配列番号3のポリペプチドをコードする核酸配列、またはその機能的部分もしくは変異体;
(c)遺伝コードの縮重の結果として配列番号4の核酸配列に由来し得る核酸配列;および
(d)配列番号4の核酸配列と少なくとも70%配列同一性を有する核酸配列
からなる群から選択される核酸配列を含んでなる。
本発明の別の好ましい実施形態では、前記pot1/fox3遺伝子は、
(a)配列番号10の核酸配列またはその機能的部分;
(b)配列番号9のポリペプチドをコードする核酸配列またはその機能的部分もしくは変異体;
(c)遺伝コードの縮重の結果として配列番号10の核酸配列に由来し得る核酸配列;
(d)配列番号10の核酸配列と少なくとも70%配列同一性を有する核酸配列
からなる群から選択される核酸配列を含んでなる。
本発明の別の好ましい実施形態では、前記遺伝子改変生物は、本明細書の上記に定義されるように、少なくとも1つの付加的遺伝子改変を含んでなる。特に好ましい実施形態では、前記付加的遺伝子改変は、
(i)GLY1;
(ii)SHM2;
(iii)ADE4;
(iv)PRS 2、4;
(v)PRS 3;
(vi)MLS1;
(vii)BAS1;
(viii)RIB 1;
(ix)RIB 2;
(x)RIB 3;
(xi)RIB 4;
(xii)RIB 5;
(xiii)RIB 7;
(xiv)ADE12;
(xv)GUA1;および
(xvi)IMPDH
を含んでなる群から選択される少なくとも1つの活性の変更をもたらす。
さらに好ましい実施形態では、前記付加的遺伝子改変は、以下の変更:
(i)GLY1活性が増強される;および/または
(ii)SHM2活性が低減または消失される;および/または
(iii)ADE4活性が増強され、かつ/またはフィードバック阻害耐性型として;および/または
(iv)PRS 2、4活性が増強される;および/または
(v)PRS 3活性が増強される;および/または
(vi)MLS1活性が増強される;および/または
(vii)BAS1活性が低減または消失される;および/または
(viii)RIB 1活性が増強される;および/または
(ix)RIB 2活性が増強される;および/または
(x)RIB 3活性が増強される;および/または
(xi)RIB 4活性が増強される;および/または
(xii)RIB 5活性が増強される;および/または
(xiii)RIB 7活性が増強される;および/または
(xiv)ADE12活性が低減される;および/または
(xv)GUA1活性が増強される;および/または
(xvi)IMPDH活性が増強される
のうちの少なくとも1つをもたらす。
さらなる態様において、本発明は、エレモテシウム属の生物おいてリボフラビンの蓄積を増大させるための、AGOS_ACL174W遺伝子(fat1)、AGOS_AER358C遺伝子(pox1)、AGOS_AGL060W遺伝子(fox2)、AGOS_ABL018Cp遺伝子(faa 1,4)および/またはAGOS_AFR302W遺伝子(pot1/fox3)の使用に関する。
前記使用の好ましい実施形態では、AGOS_ACL174W遺伝子(fat1)、AGOS_AER358C遺伝子(pox1)、AGOS_AGL060W遺伝子(fox2)、AGOS_ABL018Cp遺伝子(faa 1,4)および/またはAGOS_AFR302W遺伝子(pot1/fox3)は、強力なプロモーター、好ましくはGPDプロモーターを介して、または生物のゲノムにおけるAGOS_ACL174W遺伝子(fat1)、AGOS_AER358C遺伝子(pox1)、AGOS_AGL060W遺伝子(fox2)、AGOS_ABL018Cp遺伝子(faa 1,4)および/またはAGOS_AFR302W遺伝子(pot1/fox3)の少なくとも第2のコピーの提供により過剰発現される。特に好ましい実施形態では、前記強力なプロモーターは、構成的プロモーターである。場合により、プロモーターは、強力な調節可能なプロモーターであってもよい。
前記使用のさらに好ましい実施形態では、前記fat1遺伝子は、
(a)配列番号2の核酸配列またはその機能的部分;
(b)配列番号1のポリペプチドをコードする核酸配列、またはその機能的部分もしくは変異体;
(c)遺伝コードの縮重の結果として配列番号2の核酸配列に由来し得る核酸配列;および
(d)配列番号2の核酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有する核酸配列
からなる群から選択される核酸配列を含んでなる。
前記使用の別の好ましい実施形態では、前記pox1遺伝子は、
(a)配列番号6の核酸配列またはその機能的部分;
(b)配列番号5のポリペプチドをコードする核酸配列またはその機能的部分もしくは変異体;
(c)遺伝コードの縮重の結果として配列番号6の核酸配列に由来し得る核酸配列;および
(d)配列番号6の核酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有する核酸配列
からなる群から選択される核酸配列を含んでなる。
前記使用の別の好ましい実施形態では、前記fox2遺伝子は、
(a)配列番号8の核酸配列またはその機能的部分;
(b)配列番号7のポリペプチドをコードする核酸配列、またはその機能的部分もしくは変異体;および
(c)遺伝コードの縮重の結果として配列番号8の核酸配列に由来し得る核酸配列;
(d)配列番号8の核酸配列と少なくとも70%配列同一性を有する核酸配列
からなる群から選択される核酸配列を含んでなる。
前記使用の別の好ましい実施形態では、前記faa1/faa4遺伝子は、
前記faa1/faa4遺伝子は、
(a)配列番号4の核酸配列またはその機能的部分;
(b)配列番号3のポリペプチドをコードする核酸配列、またはその機能的部分もしくは変異体;
(c)遺伝コードの縮重の結果として配列番号4の核酸配列に由来し得る核酸配列;および
(d)配列番号4の核酸配列と少なくとも70%配列同一性を有する核酸配列
からなる群から選択される核酸配列を含んでなる。
前記使用の別の好ましい実施形態では、前記pot1/fox3遺伝子は、
(a)配列番号10の核酸配列またはその機能的部分;
(b)配列番号9のポリペプチドをコードする核酸配列またはその機能的部分もしくは変異体;
(c)遺伝コードの縮重の結果として配列番号10の核酸配列に由来し得る核酸配列;
(d)配列番号10の核酸配列と少なくとも70%配列同一性を有する核酸配列
からなる群から選択される核酸配列を含んでなる。
別の態様では、本発明は、リボフラビンの生産のための本明細書の上記に定義される生物の使用に関する。
本明細書の上記に定義される方法、使用または生物の特に好ましい実施形態では、エレモテシウム属に属す前記生物は、エレモテシウム・アシュビイ(Eremothecium ashbyi)、エレモテシウム・コリリ(Eremothecium coryli)、エレモテシウム・シムバラリエ(Eremothecium cymbalariae)、エレモテシウム・ゴッシピィ(Eremothecium gossypii)、エレモテシウム・シネコウダム(Eremothecium sinecaudum)の種またはエレモテシウムCID1339種のものである。
最後の態様では、本発明は、本明細書の上記に定義される少なくとも1つの生物からのリボフラビン製品に関する。
図1は、リボフラビン(ビタミンB2)に対する代謝フラックスを示す。リボフラビンは、脂肪酸からグリオキシル酸回路、糖新生、ペントースリン酸経路ならびにプリンおよびリボフラビン合成経路を介して生産される。 図2は、リボフラビン(ビタミンB2)生合成の最終段階を示す。リボフラビンは、GTPおよび前駆体としてのリブロース−5−リン酸から6つの酵素活性を含んで合成される。対応する酵素はRIB遺伝子(RIB1、2、3、4、5および7)によりコードされる。 図3は、β酸化経路の一部を含むE.ゴシッピィにおける脂肪酸生合成および分解の簡略図を示す。破線の矢印は多段階経路を示す。 図4は、脂肪酸輸送体遺伝子FAT1の過剰発現のために作出されたプラスミドpGPDp−FAT1のマップを示す。略号:G418:KanMX耐性マーカー、HomAおよびHomB:ゲノム組み込み部位、loxP:CREリコンビナーゼの組換え部位、ORI−EC:大腸菌(Escherichia coli)の複製起点、ampR:アンピシリン 耐性遺伝子、BseRI/BsgI:制限部位。 図5は、β酸化経路の酵素をコードする遺伝子POX1の過剰発現のために作出されたプラスミドpGPDp−POX1のマップを示す。略号:G418:KanMX耐性マーカー、HomAおよびHomB:ゲノム組み込み部位、loxP:CREリコンビナーゼの組換え部位、ORI−EC:大腸菌の複製起点、kanR:カナマイシン耐性遺伝子、SwaI:制限部位。 図6は、β酸化経路のさらなる酵素をコードする遺伝子POT1およびFOX2の過剰発現を作出したプラスミドpPOT1−FOX2のマップを示す。略号:G418:KanMX耐性マーカー、HomAおよびHomB:ゲノム組み込み部位。 図7は、参照株PS3と比較した場合のE.ゴシッピィ操作株のリボフラビン収率を示す。図7Aは、E.ゴシッピィGPDプロモーターの制御下でFAT1遺伝子を過剰発現する、2つの独立した作出株におけるリボフラビン生産の定量を示す。実験は総て3反復で行った。 図7は、参照株PS3と比較した場合のE.ゴシッピィ操作株のリボフラビン収率を示す。図7Bは、E.ゴシッピィGPDプロモーターの制御下でPOX1遺伝子を過剰発現する2つの独立した作出株におけるリボフラビン生産の定量を示す。実験は総て3反復で行った。 図7は、参照株PS3と比較した場合のE.ゴシッピィ操作株のリボフラビン収率を示す。図7Cは、POT1およびFOX2遺伝子の第2のコピーを含有する、2つの独立した作出株におけるリボフラビン生産の定量を示す。実験は総て3反復で行った。 図8は、β酸化経路の酵素をコードする遺伝子FAA1,4の過剰発現のために作出されたプラスミドpFAA1,4のマップを示す。略語:G418:KanMX耐性マーカー、HomAおよびHomB:ゲノム組み込み部位、loxP:CREリコンビナーゼの組換え部位、ORI−EC:大腸菌の複製起点、ampR:アンピシリン耐性遺伝子、URA3:S.セレビシエ(S. cerevisiae)での選択のためのオロチジン5’−リン酸デカルボキシラーゼをコードする遺伝子、2μm ori:S.セレビシエの複製起点、SwaI:制限部位。 図9は、野生株ATCC10895と比較した場合の、FAT1、POX1、FAA1/FAA4またはPOT1またはFOX2のいずれかを過剰発現するE.ゴシッピィ操作株におけるリボフラビン収率を示す。実験は総て3反復で行った。
本発明は、遺伝子改変され、前記改変が脂肪酸取り込みおよびβ酸化経路に関連している、エレモテシウム属(旧称アシュビア)に属す生物を使用することにより、リボフラビンを生産可能とする改良された手段および方法に関する。
本発明は特定の実施形態に関して記載されるが、この記載は限定の意味で解釈されるべきでない。
本発明の詳細な例示的実施形態において記載する前に、本発明を理解するために重要な定義を与える。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用する場合、単数形「1つ(a)」および「1つ(an)」は、そうではないことが明示されない限り、各複数形も含む。本発明の文脈で、用語「約」および「およそ」は、当業者が問題の特徴の技術的効果をなお保証すると理解する精度の間隔を表す。用語は一般に、示された数値からの±20%、好ましくは±15%、より好ましくは±10%、いっそうより好ましくは±5%の偏差を示す。用語「含んでなる」は限定されないと理解されるべきである。本発明の目的では、用語「からなる」は、用語「含んでなる」の好ましい実施形態であると見なされる。以下、群が少なくとも特定の数の実施形態を含んでなるように定義されれば、これは、好ましくはこれらの実施形態のみからなる群を包含することも意味する。さらに、明細書および特許請求の範囲における用語「第1」、「第2」、「第3」または「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」などは、同等の要素間を区別するために使用され、必ずしも連番または時系列順を記載するためのものではない。このように使用される用語は、適当な状況下で互換的であり、本明細書に記載の本発明の実施形態は、本明細書に記載または例示される以外の順序で操作が可能である理解されるべきである。用語「第1」、「第2」、「第3」または「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」、「i」、「ii」などは方法または使用またはアッセイに関し、適時または工程間の時間間隔の一貫性は無く、すなわち、これらの工程は同時に行ってもよいし、または本明細書において特に断りのない限り、本明細書の上記または下記に示されるように、このような工程間の秒、分、時間、日、週、月またはさらには年の時間間隔があってもよい。本発明は本明細書に記載される特定の方法論、プロトコール、試薬などは変更可能であるので、これらに限定されないと理解されるべきである。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを記載するためのものであり、本発明の範囲を限定することは意図されず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。そうではないことが定義されない限り、本明細書で使用される総ての技術用語および科学用語は、当業者により共通に理解されているものと同じ意味を有する。
上記に示されたように、本発明は、一態様において、エレモテシウム属の遺伝子改変生物におけるリボフラビンを生産する方法であって、前記改変が前記生物の脂肪酸取り込みおよびβ酸化経路に関連しており(i)前記生物を培養培地中、好ましくは脂肪酸油の存在下、および場合により非脂質炭素源の存在下で増殖させること;および(ii)前記培養培地からリボフラビンを単離することを含んでなる方法に関する。
本明細書で使用される用語「エレモテシウム属に属す生物」または「エレモテシウム属生物」は、従来から知られ、かつ/またはアシュビア属と同義であるエレモテシウム属に属すいずれの生物も意味する。この群は、エレモテシウム・アシュビイ、エレモテシウム・コリリ、エレモテシウム・シムバラリエ、エレモテシウム・ゴッシピィ(旧称アシュビア・ゴシッピィ)、エレモテシウム・シネコウダムの種またはエレモテシウムCID1339種(Eremothecium sp. CID1339)を少なくとも含んでなる。さらに、これらの種の変異体、これらの種に基づくクローンまたは改変生物が含まれる。用語「改変生物」は、本明細書で使用される場合、突然変異誘発および選択および/または遺伝子工学によるエレモテシウム属の野生種の改変、またはすでに遺伝子改変されている生物、例えば、リボフラビンの生産を増強するように従前に操作された、他のいずれかの目的で改変もしくは操作されたエレモテシウム属株の改変を意味する。この用語は特に、化学またはUV突然変異誘発または不均等突然変異誘発などの遺伝子突然変異誘発アプローチにより得られたエレモテシウム属種を含む。好ましい実施形態では、エレモテシウム属の生物はエレモテシウム・ゴシッピィであり、より好ましい実施形態では、それはATCC 10895株のエレモテシウム・ゴシッピィである。
用語「遺伝子改変を持たない生物」は、本明細書で使用される場合、脂肪酸取り込みおよび/またはβ酸化経路に関連するタンパク質の活性、特に、AGOS_ACL174Wp(Fat1)活性および/またはAGOS_AER358Cp(Pox1)活性および/またはAGOS_AGL060Wp(Fox2)活性および/またはAGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)活性および/またはAGOS_ABL018C(Faa 1,4)活性を増強するように遺伝子改変されていない、それを除いては、本発明の遺伝子改変生物と同じ遺伝子構成を有する、すなわち、本発明の遺伝子改変生物との唯一の遺伝子の違いが本発明の遺伝子改変である、生物を意味する。従って、遺伝子改変を持たない生物は、遺伝子改変が導入されている本発明の範囲内の親株であり、好ましくは、それはATCC 10895株のエレモテシウム・ゴシッピィである。親株はいずれの遺伝子改変も含まなくてよく、または親株は本発明のもの以外の遺伝子改変を含んでなってもよい。
用語「前記生物を培養培地中で増殖させる」とは、本明細書で使用される場合、本明細書で定義される生物の増殖を可能とし、リボフラビンの合成および/または蓄積に好適な当業者に既知のいずれの好適な手段および方法も意味する。この増殖はバッチ法または連続発酵法として行ってよい。好ましくは、生物は、脂肪酸油の存在下、場合により非脂質炭素源の存在下で増殖させる。
バッチ法または連続発酵法を行うための方法は当業者に周知であり、文献に記載されている。培養は特定の温度条件下、例えば、15℃〜45℃の間、好ましくは20℃〜40℃または15℃〜30℃の間、より好ましくは20℃〜30℃の間、最も好ましくは28℃で行ってよい。別の実施形態では、培養は、広いpH域、例えば、pH6〜pH9の間、好ましくはpH6.5〜8.5の間、より好ましくは6.7〜7.5の間、最も好ましくは6.8〜7の間で行ってよい。
用語「脂肪酸油」は、本明細書で使用される場合、廃油、非食用油、または安価なシードオイルを意味する。このような油の好ましい例は、ダイズ油またはナタネ油である。脂肪酸油は、いずれの好適な量または濃度で培養培地中に存在してもよく、例えば、5%(v/v)〜40%(v/v)の濃度、例えば、5%、7.5%、10%、12.5%、15%、17.5% 20%、22.5%、25%、27.5%、30%、32.5%、35%、37.5%、または40%の濃度である。好ましくは、約10%の濃度で使用可能である。
用語「非脂質炭素源の存在下」とは、本明細書で使用される場合、培養が脂質の群に属さない栄養素の存在下で行われることを意味する。好ましくは、培養は、糖栄養素の存在下、例えば、グルコース、スクロース、フルクトースなどの存在下で行われ得る。
さらなる特定の実施形態では、培養培地は付加的物質を含んでなり得る。このような付加的物質の例はダイズ粉である。ダイズ粉は、好ましくは、1%(w/v)〜5%(w/v)、例えば、1%、2%、3%、4%、5%(w/v)の濃度で提供され得る。ダイズ粉は、一般にタンパク質、炭水化物および塩を含んでなる複合媒体である。
付加的物質のさらなる例はグリシンである。グリシンは、好ましくは、1%(w/v)〜5%(w/v)、例えば、1%、2%、3%、4%、5%(w/v)の濃度で提供され得る。
極めて特定の実施形態では、培養培地は、以下の成分:酵母抽出物、ダイズ粉、グリシン、グルタミン酸ナトリウム、KHPO、MgSO、DL−メチオニン、イノシトール、ギ酸ナトリウム、尿素およびナタネ油またはダイズ油を含んでなり得る。特に好ましい実施形態では、培養培地は、以下の実施例に記載されるような濃度および量で成分を含んでなり得る。
「リボフラビンを細胞および培養培地から単離する」という言い回しは、本明細書で使用される場合、リボフラビンを細胞から抽出し、リボフラビンを細胞残渣および培養培地の成分から単離するいずれの好適な方法も意味する。好ましい実施形態では、単離は、Stahmann, Industrial Applications, 第2版, The Mycota X, M. Hofrichter (編), Springer Verlag Berlin Heidelberg, 2010, 235-247頁に記載されているように行い得る。
用語「リボフラビンを生産する」とは、本明細書で使用される場合、エレモテシウム属生物がリボフラビンを合成および蓄積することができることを意味する。用語「リボフラビンを蓄積する」とは、合成されるリボフラビンが細胞内に蓄えら、かつ/または周囲の培地に排出されることを意味し、両場合とも、細胞培養物中のリボフラビン濃度の全体的増加に至る。蓄積は、特定の実施形態では、細胞により生産される、すなわち、細胞内に蓄えられるリボフラビンと排出されるリボフラビンを含む全リボフラビンが得られる好適な単離プロセスの後に識別可能となり得る。このようなプロセスは、本発明の上記に記載されている。
本発明の文脈で意味されるようなリボフラビンの生産は、一般に、野生種生物でのリボフラビンの合成とは異なり、すなわち、それはエレモテシウム属の野生型株と比較してリボフラビンの過剰生産を意味する。エレモテシウム属の野生型株は一般に、特に、本明細書の上記に、または実施例に定義されるような細胞培養条件下で、細胞培養1リットル当たり約50〜100mgのリボフラビンを生産する。本明細書で使用される用語「過剰生産」は、約50〜100mg/l細胞培養物を超えるリボフラビンの生産を意味する。従って、用語「リボフラビン過剰生産生物」または「リボフラビン過剰生産株」は、細胞培養物1リットル当たり約50〜100mgを超えるリボフラビンを生産するエレモテシウム属生物または株を意味する。
用語「リボフラビン」は、本明細書で使用される場合、化合物7,8−ジメチル−10−(D−1’−リビチル−)イソアロキサジンならびにその誘導体を意味する。用語「誘導体」とは、7,8−ジメチル−10−(D−1’−リビチル−)イソアロキサジンのいずれの化学修飾形態も意味する。このような誘導体は、例えば、エステル、エーテル、酸、脂質、グリコシル化形態または塩形態であり得る。これらの誘導体は、エレモテシウム属生物自体により、例えば、付加的生化学反応により提供され得るか、または培養培地中で、例えば、前記培地中有に存在する反応物によって遂行され得る。特定の実施形態では、リボフラビンは結晶形態で提供され得る。このようなリボフラビン結晶は一般に、細胞内に蓄積され得る。
エレモテシウム属細胞(または他の任意の微生物細胞、例えば、他の起源の対照細胞)のリボフラビン含量の決定ならびに培養培地中のリボフラビン含量の決定は、当業者に公知のいずれの好適な方法によって行ってもよい。
細胞培養物中のリボフラビン含量の決定(および従ってまた、本明細書の上記または下記に述べるように培養物1リットル当たりのリボフラビンの量または蓄積mgの表示(細胞中のリボフラビンの量を含む))は、好ましい決定アプローチでは、好ましい決定において、下記の工程:一般に、10mlの前培養培地(55g酵母抽出物50、0.5g MgSO、NaOHでpH7.0および950mlのHOを入れる;9.5mlのこの培地+0.5mlナタネ油)をバッフルなしの100mLエルレンマイヤーフラスコに入れることを含む培養手順および続いての試験手順に基づく。このフラスコに一般に、SP培地プレート上で3〜4日間成長させたE.ゴシッピィ菌糸(1cm)を植え込む。次に、これらのフラスコを約30℃にて200rpmで約40時間インキュベートする。その後、1mlの前培養物を用いて、フラットバッフルを備えた250mLのエルレンマイヤーフラスコに入れた約25mlの主培養培地(30g酵母抽出物50、20gダイズ粉、10gグリシン、7gグルタミン酸ナトリウム、2g KHPO、0.5g MgSO、1.1g DL−メチオニン、0.2gイノシトール、2.1gギ酸ナトリウム、NaOHでpH7.0および965mlのHOを入れる;21.2mlの主培養培地+2.8mlナタネ油+0,83ml尿素溶液)に植え込む。一般に、総てのフラスコを秤量してインキュベーション前の質量を求める。これらの培養物を一般に約30℃および200rpmで約6日間インキュベートする。インキュベーション後、これらのフラスコを一般に再び秤量してインキュベーション後の質量を求め、従って、インキュベーション中の蒸発の影響を含むことができる。アプローチは、複数の並行配列で、好ましくは5以上、より好ましくは10以上の並行培養またはクローンで行える。測定およびさらなる培養は、好ましくは2反復で、または培養の統計学的違いを説明するためには少なくとも3反復で行えばよい。
次に、全生産培養のリボフラビン含量、すなわち、細胞のリボフラビン含量を含む(またリボフラビンのいずれの結晶形態も含む)および細胞から排出される、また培養培地中に存在するリボフラビンは好適な測光アッセイにより決定され得る。好ましい決定アプローチでは、上記手順に従って(または他のいずれかの培養手順に従って)得られるような培養培地とニコチンアミド溶液との反応に基づく測光アッセイが使用され得る。好ましくは、250μLの培養物を約4.75mLの40%ニコチンアミド溶液と混合する。次に、この混合物を例えば、約30〜60分、好ましくは40分、高温で、例えば、60〜80℃前後で、好ましくは約70℃でインキュベートし得る。このインキュベーションは、好ましくは暗所で行うべきである。次に、サンプルを例えば約5分間冷却し、水と、例えば、3mlの水と混合してよい。吸光度の測光決定は、440または450nmの波長で行われ得る。本明細書の下記の実施例、例えば、実施例5に記載される方法論が特に好ましい。
さらなる実施形態では、リボフラビン決定は、例えば、Schmidt et al., Microbiology, 1996, 142, 419-426に記載されるようにHPLCによって行える。
本発明はまた、このアプローチの代替および変形、ならびに上記で開示される方法論とは異なるリボフラビン決定法も想定する。このようなさらなる代替は当業者に公知であると考えられ、好適な教本または文献から得られる。
用語「エレモテシウム属生物を遺伝子改変する」または「遺伝子改変されたエレモテシウム属(Eromethecium)の生物」とは、本明細書で使用される場合、リボフラビンを生産するために、特に、リボフラビンの生産を増強するために、エレモテシウム属生物が当業者に公知の任意の好適な遺伝的手段および方法により変更されることを意味する。同様に、用語「遺伝子改変されたエレモテシウム属生物」とは、本明細書で使用される場合、エレモテシウム属生物が、それがリボフラビンを合成および蓄積するように、特に、それがリボフラビンの合成および蓄積を増強するように、当業者に公知の任意の好適な遺伝的手段および方法により改変または変更されていることを意味する。本発明において、エレモテシウム属生物は、前記生物の脂肪酸取り込みおよび/またはβ酸化経路に関連する1以上のタンパク質の活性を増強するように遺伝子改変される。
エレモテシウム属に属す生物を遺伝子改変するための方法は当業者に公知であり、文献に記載されている。それらは、エレモテシウム属細胞に収容されるように、染色体内または染色体外に組み込まれるように(例えば、Jimenez et al., 2005, Applied and Environmental Microbiology 71, 5743-5751参照)、あるいはエレモテシウム属のゲノム中に存在する遺伝要素もしくは配列の除去もしくは破壊、または改変のために(例えば、Wendland et al., 2000, Gene 242, 381-391;およびMateos et al., 2006, Applied and Environmental Microbiology 72, 5052-5060参照)、エレモテシウム属に遺伝要素または材料を導入するための慣用法を含んでなる。
用語「遺伝要素」は、本明細書で使用される場合、遺伝情報を輸送することができる任意の分子単位を意味する。よって、それは遺伝子、好ましくは、天然遺伝子、キメラ遺伝子、外来遺伝子、導入遺伝子またはコドン最適化遺伝子に関する。用語「遺伝子」は、特定のタンパク質を発現する核酸分子または断片を意味し、好ましくは、遺伝子はコード配列に先行する調節配列(5’非コード配列)およびコード配列に続く調節配列(3’非コード配列)を含む核酸分子を意味する。用語「天然遺伝子」は、自然状態で、例えば、エレモテシウム属の野生型株にその固有の調節配列とともに見られる遺伝子を意味する。用語「キメラ遺伝子」は、自然状態で一緒には見られない調節およびコード配列を含んでなる天然遺伝子でないいずれの遺伝子も意味する。よって、キメラ遺伝子は、異なる供給源に由来する調節配列とコード配列、または同じ供給源に由来するが自然状態で見られるものとは異なる様式で構成された調節配列とコード配列を含んでなり得る。本発明によれば、「外来遺伝子」は、エレモテシウム属宿主生物には通常見られないが、遺伝子導入によりエレモテシウム属宿主生物に導入される遺伝子を意味する。外来遺伝子は、非天然生物、またはキメラ遺伝子に挿入される天然遺伝子を含んでなり得る。用語「導入遺伝子」は、形質転換法によりゲノムに導入された遺伝子を意味する。
「コドン最適化遺伝子」は、宿主細胞の好ましいコドン使用の頻度を模倣するように設計されたコドン使用の頻度を有する遺伝子であり、好ましくは、コドン使用は、エレモテシウム属に属す生物のコドン使用、より好ましくは、エレモテシウム・ゴシッピィのコドン使用に適合されている。本発明の特定の実施形態では、コドン使用はまた、二次(アミノ酸)配列を同一またはほとんど同一に維持しながら、エレモテシウム属中に存在する野生型配列から特定の遺伝子の一次(ヌクレオチド)コード配列の逸脱を確立するためにも改変され得る。これらの実施形態におけるコドン使用の改変は、遺伝子の発現を増強するために行われ得る。それに加えてまたはその代わりに、コドン使用の改変はさらに、ヌクレオチド配列レベルでの違いを最大化するため、すなわち、アミノ酸配列を同一またはほとんど同一に維持しながら、ヌクレオチドレベルに最小の類似性の配列を提供するために使用され得る。用語「ほとんど同一」とは、コードされているタンパク質の酵素機能または生物学的機能に関して限界効果が全くない、またはわずかしかないアミノ酸交換が存在してよいことを意味する。このような効果は当業者に公知の好適な方法で試験され得る。
用語「コード配列」は、特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列を意味する。用語「調節配列」は、コード配列の上流(5’非コード配列)、内部、または下流(3’非コード配列)に位置し、かつ、転写、RNAプロセシングもしくは安定性、または関連のコード配列の翻訳に影響を及ぼすヌクレオチド配列を意味する。調節配列としては、プロモーター、エンハンサー、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位およびステム−ループ構造が含まれ得る。
用語「プロモーター」は、コード配列または機能的RNAの発現を制御し得るDNA配列を意味する。一般に、コード配列は、プロモーター配列の3’側に位置する。プロモーターは、それらの全体が天然遺伝子に由来してもよいし、または天然に見られる違うプロモーターに由来する違う要素から構成されてもよいし、または合成DNAセグメントさえ含んでなる。当業者には、異なるプロモーターは異なる発達段階で、または異なる環境もしくは生理条件に応答して遺伝子の発現を指示し得ることが理解される。ほとんどの細胞種でほとんどいつでも遺伝子を発現させるプロモーターは、一般に、構成的プロモーターと呼ばれる。一般に、調節配列の正確な境界は完全に画定されていないので、異なる長さのDNA断片が同一のプロモーター活性を持ち得る。他方、特定の状況でのみ、例えば、特定の因子、成長段階、温度、pHまたは特定の代謝産物の存在などに基づいて遺伝子を発現させるプロモーターは、調節可能なプロモーターとして理解される。
用語「3’非コード配列」は、コード配列の下流に位置するDNA配列を意味する。これには、ポリアデニル化認識配列およびmRNAプロセシングまたは遺伝子発現に影響を及ぼし得る調節シグナルをコードする他の配列が含まれる。ポリアデニル化シグナルは、通常、mRNA前駆体の3’末端へのポリアデニル酸トラックの付加に影響を及ぼすことを特徴とする。3’領域は、転写、すなわち、RNA転写産物の存在、RNAプロセシングもしくは安定性、または関連のコード配列の翻訳に影響を及ぼし得る。用語「RNA転写産物」は、RNAポリメラーゼにより触媒されるDNA配列の転写から生じる産物を意味する。RNA転写産物がDNA配列の完全な相補的コピーである場合、それは一次転写産物と呼ばれ、またはそれは一次転写産物の転写後プロセシングに由来するRNA配列であり得、成熟RNAと呼ばれる。用語「mRNA」は、メッセンジャーRNA、すなわち、イントロンを持たず、細胞によりタンパク質に翻訳され得るRNAを意味する。
用語「機能的に連結される」とは、一方の機能が他方により影響を受けるような、単一の核酸断片上の核酸配列の関連を意味する。プロモーターに関して、この用語は、あるコード配列がそのコード配列の発現に影響を及ぼし得るようにされる、すなわち、コード配列がそのプロモーターの転写制御下にあることを意味する。エレモテシウム属の生物において遺伝子の発現を駆動するための調節要素は当業者に公知であり、文献に広く記載されている(例えば、Jimenez et al., 2005, Appl Environ Microbol, 71, 5743-5751 or Maeting et al., 1999, FEBS letters, 444: 15-21参照)。好ましい実施形態では、コード配列はGPDプロモーターに機能的に連結される。
本発明の中心的な実施形態の範囲内では、エレモテシウム属生物の遺伝子改変は、エレモテシウム属の脂肪酸取り込みに関連付けられる。
「脂肪酸取り込み」とは、本明細書で使用される場合、脂肪酸、特に、長鎖脂肪酸を、細胞膜を経てエレモテシウム属細胞へ導くことを可能とする輸送プロセスを意味する。このプロセスは一般に、いくつかの活性を含む多面的プロセスである。一般に、脂肪酸輸送プロセスは、膜への脂肪酸送達、脂肪酸の経膜輸送、脂肪酸の抽出および膜からの脂肪酸の取り出しを含む数段階に再分されると考えられる。酵母では、脂肪酸輸送は一般に、少なくともFat1p、Faa1pおよびFaa4pの活性を必要とする。脂肪酸輸送のプロセスは、Faa1pまたはFaa4pのいずれかの結果としての脂肪酸のエステル化により明らかに駆動される。とりわけ、Fat1pとFaa1pは機能的関連を示し、それにより、外因性の長鎖脂肪酸の調節輸送を媒介すると仮定される。
エレモテシウム属生物の脂肪酸取り込みは、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)の脂肪酸取り込みと類似性が高いと思われる。E.ゴシッピィでは、AGOS_ACL174W遺伝子(AGOS_ACL174Wp由来タンパク質)は、S.セレビシエFat1遺伝子のシンテニーホモログであると同定された。Fat1pは、長鎖脂肪酸輸送のレベルでの脂肪酸輸送および超長鎖脂肪酸の活性化に中枢的役割を果たす二機能性タンパク質である。Fat1pの構造遺伝子に欠失を含有する酵母株は、いくつかの成長および生化学的表現型に基づいて野生型細胞とは明瞭に異なる。これらの株は、1)脂肪酸合成阻害剤セルレニンおよび長鎖脂肪酸を含有する培地上で増殖する能力が損なわれ;2)放射性標識長鎖脂肪酸の取り込みの低下を示す(また、Zou et al., 2002, Journal Biological Chemistry, 277, 31062-31071も参照)。さらに、E.ゴシッピィAGOS_ABL018C(AGOS_ABL018Cp由来タンパク質)は、S.セレビシエFaa1およびFaa4遺伝子のシンテニーホモログであると同定された。
従って、用語「遺伝子改変を脂肪酸取り込みに関連付ける」は、本明細書で使用される場合、本明細書の上記に定義されるようなエレモテシウム属における脂肪酸取り込みに関与する遺伝子または遺伝子産物の機能および/または量に影響を及ぼす遺伝子改変に関する。好ましくは、この用語は、例えば、本明細書の上記に定義されるようなエレモテシウム属における脂肪酸取り込みに関与する遺伝子の過剰発現により、本明細書の上記に定義されるようなエレモテシウム属における脂肪酸取り込みに関与する遺伝子または遺伝子産物の機能が改善され得ることおよび/または遺伝子発現または発現した遺伝子産物もしくは活性(発現タンパク質)の量が増大され得ることを意味する。好ましくは、少なくともAGOS_ACL174Wp活性、および場合によりAGOS_ABL018Cp活性が増強され得る、例えば、その量が増大され得る。さらなる実施形態では、AGOS_ACL174Wp活性およびAGOS_ABL018Cp活性が増強され、例えば、それらの量が増大される。
本発明の別の中心的実施形態では、エレモテシウム属生物の遺伝子改変は、エレモテシウム属のβ酸化経路に関連付けられる。
「β酸化経路」は、本明細書で使用される場合、脂肪酸分子が分解されてアセチル−coAを生じ、これがクエン酸回路に入る生化学的プロセスを意味する。β酸化経路は生物の種類ごとに異なる。例えば、哺乳動物のβ酸化は、ペルオキシソーム活性とミトコンドリア活性に頼るが、数種の真菌系はペルオキシソームβ酸化のみを示す。
エレモテシウム属生物のβ酸化経路は、サッカロミセス・セレビシエのβ酸化と類似性が高いと思われ(Vorapreeda et al., 2012, Microbiology, 158, 217-228も参照)、それはペルオキシソームに限定される(Hiltunen et al., 2003, FEMS Microbiology Reviews, 27, 35-64も参照)。一般に、ペルオキシソーム内のβ酸化は、デヒドロゲナーゼ、ヒドラターゼ、およびデヒドロゲナーゼの順序でのコハク酸のオキサロ酢酸への変換に関与する3カルボン酸(TCA)回路の段階の変形と考えることができるコア反応を含んでなる。サッカロミセス群の真菌におけるβ酸化プロセスは、ペルオキシソーム中のアシル−CoAオキシダーゼに相当するFAD酵素による、アシル−CoA基質のトランス−2−エノイル−CoAの酸化で始まる。S.セレビシエにおけるこれらのプルオキシソームオキシダーゼPox1p/Fox1pは、直接酸素に電子を渡してHを生成する。S.セレビシエ由来のアシル−CoAオキシダーゼはまた短鎖基質を受容し、それにより、β酸化を完了させる。サッカロミセス群の真菌系では、続いてのヒドラターゼ2および(3R)−ヒドロキシ特異的デヒドロゲナーゼ反応は、ホモ二量体多機能性酵素であるMfe2p/Fox2pの活性により触媒される。この酵素は、短鎖基質を水和することも知られている。β酸化回路の次反応で、ケトアシル−CoA中間体は、3−ケトアシル−CoAチオラーゼに相当するPot1p/Fox3pによりチオール切断を受ける。この最後の段階の産物はアセチル−CoAおよびC2−短縮アシル−CoAであり、後者はPox1p/Fox1pの基質として働く。このプロセスは、脂肪酸中の総ての炭素がアセチルCoAに変わるまで続き得る。
エレモテシウム属生物に関して、生化学活性はS.セレビシエの活性に類似していると記載されている。ペルオキシソームオキシダーゼ活性は、Pox1類似体AGOS_AER358C(AGOS_AER358Cp由来タンパク質)により提供される。ホモ二量体多機能性酵素Mfe2p/Fox2pに類似するヒドラターゼおよびデヒドロゲナーゼ活性は、AGOS_AGL060W(AGOS_AGL060Wp由来タンパク質)により提供される。Pot1p/Fox3pに類似する3−ケトアシル−CoAチオラーゼ活性は、AGOS_AFR302W(AGOS_AFR302Wp由来タンパク質)により提供される。エレモテシウム属生物、特に、E.ゴシッピィのβ酸化に関与する付加的活性としては、アシル−CoA−デヒドロゲナーゼAGOS_AFL213W(AGOS_AFL213Wp由来タンパク質)およびアセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ(acteyltransferase)AGOS_ADR165C(AGOS_ADR165Cp由来タンパク質)が含まれる。
ペルオキシソーム内でのβ酸化の効率的実行のためにはさらなる酵素活性が必要とされ得る。これらの活性としては、S.セレビシエのPex5活性、すなわち、特定のタイプのペルオキシソーム標的化シグナル(PTS)の受容体に相当するAGOS_AFR453W(AGOS_AFR453Wp由来タンパク質)が含まれる。さらに、S.セレビシエPxa1、すなわち、ペルオキシソーム脂肪酸輸送タンパク質のホモログであるAGOS_ACR128C(AGOS_ACR128Cp由来タンパク質)、およびS.セレビシエ Pxa2、すなわち、さらなるペルオキシソーム脂肪酸輸送タンパク質のホモログであるAGOS_AER091W(AGOS_AER091Wp由来タンパク質)が含まれる。
従って、用語「遺伝子改変をβ酸化経路に関連付ける」とは、本明細書で使用される場合、本明細書の上記に定義されるようなエレモテシウム属におけるβ酸化経路に関与する遺伝子または遺伝子産物の機能および/または量に影響を及ぼす遺伝子改変に関する。好ましくは、この用語は、例えば、本明細書の上記に定義されるようなエレモテシウム属におけるβ酸化経路に関与する遺伝子の過剰発現により、本明細書の上記に定義されるようなエレモテシウム属におけるβ酸化経路に関与する遺伝子または遺伝子産物の機能が改善され得ることおよび/または遺伝子発現または発現した遺伝子産物もしくは活性(発現タンパク質)の量が増大され得ることを意味する。好ましくは、AGOS_AER358Cp(Pox1)、AGOS_AGL060Wp(Fox2)、およびAGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)の活性のうちの少なくとも1つが増強され得る、例えば、その量が増大され得る。
好ましい実施形態では、AGOS_ACL174Wp(Fat1)の活性は、配列番号1のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供される、あるいは配列番号2のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号2のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
好ましい実施形態では、AGOS_ABL018Cp(Faa1/Faa4)の活性は、配列番号3のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号4のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号3のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号4のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
好ましい実施形態では、AGOS_AER358Cp(Pox1)の活性は、配列番号5のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号6のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号5のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号6のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
さらに好ましい実施形態では、AGOS_AGL060Wp(Fox2)の活性は、配列番号7のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号8のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号8のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
さらに好ましい実施形態では、AGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)の活性は、配列番号9のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号10のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号9のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号10のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
本明細書に開示される総ての配列は、エレモテシウム・ゴシッピィATCC 10895株から得られたものである。
配列番号1のアミノ酸配列の機能的断片または機能的部分は、少なくとも300または350アミノ酸、好ましくは少なくとも400または450アミノ酸、より好ましくは少なくとも500または550アミノ酸、最も好ましくは少なくとも600または620アミノ酸の長さを有する。
配列番号3のアミノ酸配列の機能的断片または機能的部分は、少なくとも300または350アミノ酸、好ましくは少なくとも400または450アミノ酸、より好ましくは少なくとも500または550アミノ酸、最も好ましくは少なくとも580または600アミノの長さを有する。
配列番号5のアミノ酸配列の機能的断片または機能的部分は、少なくとも400または450アミノ酸、好ましくは少なくとも500または550アミノ酸、より好ましくは少なくとも600または650アミノ酸、最も好ましくは少なくとも700または720アミノ酸の長さを有する。
配列番号7のアミノ酸配列の機能的断片または機能的部分は、少なくとも450または500アミノ酸、好ましくは少なくとも550または600アミノ酸、より好ましくは少なくとも650または700アミノ酸、最も好ましくは少なくとも750、800または850アミノ酸の長さを有する。
配列番号9のアミノ酸配列の機能的断片または機能的部分は、少なくとも150または200アミノ酸、好ましくは少なくとも250または300アミノ酸、より好ましくは少なくとも320または340アミノ酸、最も好ましくは少なくとも360または380アミノ酸の長さを有する。
「機能的断片」または「機能的部分」は、全長タンパク質と本質的に同じ活性を有し、すなわち、それは全長タンパク質の少なくとも50%、55%、60%または65%、好ましくは少なくとも70%、75%または80%、より好ましくは少なくとも85%、90%または95%、最も好ましくは100%の活性である活性を有する。
本発明の意味の範囲内で、「配列同一性」は、ある核酸分子内の5’ − 3’配列に関して別の核酸分子と比較した場合の一致の程度を表す。配列同一性は、BLASTN、ScanProsite、laser geneソフトウエアなどの種々のアルゴリズムに基づく一連のプログラムを用いて決定され得る。別法として、the National Center for Biotechnology Information (http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)のBLASTプログラムパッケージがデフォルトパラメーターとともに使用され得る。加えて、「ダーティーデータ」、すなわち、配列比較のためのアルゴリズムを用いるプログラムSequencher(Gene Codes Corp., Ann Arbor, MI, USA)が使用され得る。
配列同一性は、配列番号1のアミノ酸配列の150、200または250アミノ酸、好ましくは300、350、400、450または500アミノ酸、より好ましくは550または600アミノ酸長、最も好ましくは全長にわたる配列同一性の程度を意味する。
配列同一性は、配列番号2の核酸配列の500、600または700ヌクレオチド、好ましくは800、900、1000、1100または1200ヌクレオチド、より好ましくは1300、1400、1500、1600、1700または1800ヌクレオチド長、最も好ましくは全長にわたる配列同一性の程度を意味する。
配列同一性は、配列番号3のアミノ酸配列の150、200または250アミノ酸、好ましくは300、350、400、450または500アミノ酸、より好ましくは550または600アミノ酸長、最も好ましくは全長にわたる配列同一性の程度を意味する。
配列同一性は、配列番号4の核酸配列の500、600または700ヌクレオチド、好ましくは800、900、1000、1100または1200ヌクレオチド、より好ましくは1300、1400、1500、1600、1700、1800または1900ヌクレオチド長、最も好ましくは全長にわたる配列同一性の程度を意味する。
配列同一性は、配列番号5のアミノ酸配列の250、300または350アミノ酸、好ましくは400、450、500、550または600アミノ酸、より好ましくは650または700アミノ酸長、最も好ましくは全長にわたる配列同一性の程度を意味する。
配列同一性は、配列番号6の核酸配列の600、700または800ヌクレオチド、好ましくは900、1000、1100、1200または1300ヌクレオチド、より好ましくは1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000または2100ヌクレオチド長、最も好ましくは全長にわたる配列同一性の程度を意味する。
配列同一性は、配列番号7のアミノ酸配列の350、400または450アミノ酸、好ましくは500、550、600、650または700アミノ酸、より好ましくは750、800または850アミノ酸長、最も好ましくは全長にわたる配列同一性の程度を意味する。
配列同一性は、配列番号8の核酸配列の800、900または1000ヌクレオチド、好ましくは1100、1200、1300、1400、1500、1600または1700ヌクレオチド、より好ましくは1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400または2500ヌクレオチド長、最も好ましくは全長にわたる配列同一性の程度を意味する。
配列同一性は、配列番号9のアミノ酸配列の150、180または200アミノ酸、好ましくは220、240、260、280または300アミノ酸、より好ましくは320、340、360または380アミノ酸長、最も好ましくは全長にわたる配列同一性の程度を意味する。
配列同一性は、配列番号10の核酸配列の400、500または550ヌクレオチド、好ましくは600、650、700または750ヌクレオチド、より好ましくは800、850、900、950、1000、1050、1100または1150ヌクレオチド長、最も好ましくは全長にわたる配列同一性の程度を意味する。
配列番号1、3、5、7、および9のいずれかの配列と少なくとも70%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するポリペプチドは、配列番号1、3、5、7、および9のいずれかのタンパク質と本質的に同じ活性を有し、すなわち、それは配列番号1、3、5、7、および9のいずれかのタンパク質の活性の少なくとも50%、55%、60%または65%、好ましくは少なくとも70%、75%または80%、より好ましくは少なくとも85%、90%または95%、最も好ましくは100%である活性を有する。
配列番号2、4、6、8、および10のいずれかの核酸配列と少なくとも70%の配列同一性を有する核酸配列は、配列番号2、4、6、8、および10のいずれかの核酸配列によりコードされるタンパク質と本質的に同じ活性を有するタンパク質をコードする、すなわち、それは配列番号2、4、6、8、および10のいずれかの核酸配列によりコードされるタンパク質の活性の少なくとも50%、55%、60%または65%、好ましくは少なくとも70%、75%または80%、より好ましくは少なくとも85%、90%または95%、最も好ましくは100%である活性を有する。
それに加えて、またはその代わりに、本発明に関して、AGOS_AFL213Wp、AGOS_ADR165Cp、AGOS_AFR453Wp(Pex5)、AGOS_ACR128Cp(Pxa1)またはAGOS_AER091Wp(Pxa2)などのエレモテシウム属におけるβ酸化経路のさらなる活性のうち少なくとも1つが改変、例えば、増強されてよい。
好ましい実施形態では、AGOS_AFL213Wpの活性は、配列番号11のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号12のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号12のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
さらに好ましい実施形態では、AGOS_ADR165Cpの活性は、配列番号13のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号14のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号13のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号14のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
さらに好ましい実施形態では、AGOS_AFR453Wp(Pex5)の活性は、配列番号15のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号16のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号15のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号16のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
さらに好ましい実施形態では、AGOS_ACR128Cp(Pxa1)の活性は、配列番号17のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号18のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号17のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号18のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
さらに好ましい実施形態では、AGOS_AER091Wp(Pxa2)の活性は、配列番号19のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号20のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号19のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号20のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
従って、用語「遺伝子改変をβ酸化経路に関連付ける」とは、本明細書で使用される場合、本明細書の上記に定義されるようなエレモテシウム属におけるβ酸化経路に関与する遺伝子または遺伝子産物の機能および/または量に影響を及ぼす遺伝子改変に関する。好ましくは、この用語は、例えば、本明細書の上記に定義されるようなエレモテシウム属におけるβ酸化経路に関与する遺伝子の過剰発現により、本明細書の上記に定義されるようなエレモテシウム属におけるβ酸化経路に関与する遺伝子または遺伝子産物の機能が改善され得ることおよび/または遺伝子発現または発現した遺伝子産物もしくは活性(発現タンパク質)の量が増大され得ることを意味する。好ましくは、少なくともAGOS_AER358Cp(Pox1)活性、またはAGOS_AGL060Wp(Fox2)、またはAGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)が増強され得る、またはその量が増大され得る。さらに好ましい実施形態では、AGOS_AGL060Wp(Fox2)およびAGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)が増強され得る、またはそれらの量が増大され得る。なおさらに好ましい実施形態では、AGOS_AER358Cp(Pox1)活性およびAGOS_AGL060Wp(Fox2)活性およびAGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)活性が増強され得る、またはそれらの量が増大され得る。
さらなる実施形態では、上記のようなβ酸化経路に対する遺伝子改変は、β酸化経路に関与するさらなる遺伝子または遺伝子産物の機能および/または量に影響を及ぼす遺伝子改変に関し得る。このような付加的遺伝子または遺伝子産物は、AGOS_AFL213Wp、AGOS_ADR165Cp、AGOS_AFR453Wp(Pex5)、AGOS_ACR128Cp(Pxa1)および/またはAGOS_AER091Wp(Pxa2)であり得る。AGOS_AER358Cp(Pox1)活性および/またはAGOS_AGL060Wp(Fox2)活性および/またはAGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)活性が増強され得る、またはそれらの量が増大され得、加えて、AGOS_AFL213Wp、AGOS_ADR165Cp、AGOS_AFR453Wp(Pex5)、AGOS_ACR128Cp(Pxa1)またはAGOS_AER091Wp(Pxa2)活性のうちの1以上が増強され、またはそれらの量が増大される遺伝子改変が特に好ましい。
さらに好ましい実施形態では、上記のように、遺伝子改変は脂肪酸取り込みに関連付けることができ、さらなる遺伝子改変はβ酸化経路に関連付けることができる。従って、それに対応して改変された生物は、脂肪酸取り込みに関連付けられた遺伝子改変および同時にβ酸化経路に関連付けられた遺伝子改変を含んでなり得る。好ましくは、本明細書の上記に定義されるようなエレモテシウム属におけるβ酸化経路に関与する遺伝子または遺伝子産物の機能および脂肪酸取り込みに関与する遺伝子の機能が改善され得、かつ/または遺伝子発現または発現される遺伝子産物または活性(発現タンパク質)の量が増大され得、これは例えば、本明細書の上記に定義されるようなエレモテシウム属のβ酸化経路に関与する遺伝子および本明細書の上記に定義されるようなエレモテシウム属における脂肪酸取り込みに関与する遺伝子の過剰発現による。例えば、AGOS_ACL174Wp(Fat1)活性および(i)AGOS_AER358Cp(Pox1)活性、または(ii) AGOS_AGL060Wp(Fox2)、または(iii)AGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)が増強され得る。
あるいは、AGOS_ACL174Wp(Fat1)活性および(i)AGOS_AER358Cp(Pox1)活性、および(ii)AGOS_AGL060Wp(Fox2)が増強され得る。さらなる別法では、AGOS_ACL174Wp(Fat1)活性および(i)AGOS_AER358Cp(Pox1)活性および(iii)AGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)が増強され得る。さらに別の別法では、AGOS_ACL174Wp(Fat1)活性および(ii)AGOS_AGL060Wp(Fox2)、および(iii)AGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)が増強され得る。さらなる実施形態では、AGOS_ACL174Wp(Fat1)活性および(ii) AGOS_AGL060Wp(Fox2)および(iii)AGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)が増強され得る。
さらに別のタイプの実施形態では、AGOS_ABL018Cp(Faa1/Faa4)活性および(i)AGOS_AER358Cp(Pox1)活性、または(ii)AGOS_AGL060Wp(Fox2)、または(iii)AGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)が増強され得る。
あるいは、AGOS_ABL018Cp(Faa1/Faa4)活性および(i)AGOS_AER358Cp(Pox1)活性、および(ii)AGOS_AGL060Wp(Fox2)が増強され得る。さらなる別法では、AGOS_ABL018Cp(Faa1/Faa4)活性および(i)AGOS_AER358Cp(Pox1)活性および(ii)AGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)が増強され得る。さらに別の別法では、AGOS_ABL018Cp(Faa1/Faa4)活性および(i)AGOS_AGL060Wp(Fox2)、および(ii)AGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)が増強され得る。さらなる実施形態では、AGOS_ABL018Cp(Faa1/Faa4)活性および(i)AGOS_AGL060Wp(Fox2)および(ii)AGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)が増強され得る。
さらに別のタイプの実施形態では、AGOS_ACL174Wp(Fat1)活性およびAGOS_ABL018Cp(Faa1/Faa4)活性および(i)AGOS_AER358Cp(Pox1)活性、または(ii)AGOS_AGL060Wp(Fox2)、または(iii)AGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)が増強され得る。
あるいは、AGOS_ACL174Wp(Fat1)活性およびAGOS_ABL018Cp(Faa1/Faa4)活性および(i)AGOS_AER358Cp(Pox1)活性、および(ii)AGOS_AGL060Wp(Fox2)が増強され得る。さらなる別法では、AGOS_ACL174Wp(Fat1)活性およびAGOS_ABL018Cp(Faa1/Faa4)活性および(i)AGOS_AER358Cp(Pox1)活性および(ii)AGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)が増強され得る。さらに別の別法では、AGOS_ACL174Wp(Fat1)活性およびAGOS_ABL018Cp(Faa1/Faa4)活性および(i)AGOS_AGL060Wp(Fox2)、および(ii)AGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)が増強され得る。さらなる実施形態では、AGOS_ACL174Wp(Fat1)活性および(i)AGOS_ABL018Cp(Faa1/Faa4)活性および(ii)AGOS_AGL060Wp(Fox2)および(iii)AGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)が増強され得る。
AGOS_ACL174Wp(Fat1)の活性の増強は、AGOS_ACL174W(fat1)遺伝子の過剰発現によるものであり得る。AGOS_ABL018Cp(Faa1/Faa4)の活性の増強は、AGOS_ABL018C(faa1/faa4)遺伝子の過剰発現によるものであり得る。AGOS_AER358Cp(Pox1)の活性の増強は、AGOS_AER358C(pox1)遺伝子の過剰発現によるものであり得る。AGOS_AGL060Wp(Fox2)の活性の増強は、AGOS_AGL060W(fox2)遺伝子の過剰発現によるものであり得る。AGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)の活性の増強は、AGOS_AFR302W(pot1/fox3)遺伝子の過剰発現によるものであり得る。さらに具体的には、AGOS_AGL060Wp(Fox2)およびAGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)の活性を増強するためのAGOS_AGL060W(fox2)遺伝子およびAGOS_AFR302W(pot1/fox3)遺伝子の共過剰発現が想定される。好ましい実施形態では、Fat1、Faa1/Faa4、Pox1、Fox2またはPot1/Fox3活性が、本明細書の上記に定義されるように、特定のポリペプチドにより提供され、かつ/または特定の核酸によりコードされる。さらに好ましい実施形態では、fat 1遺伝子、faa1/faa4遺伝子、pox1遺伝子、fox2遺伝子またはfox3遺伝子は、それぞれ配列番号2、4、6、8、または10の配列、または本明細書の上記に定義されるようなその相同配列に相当する、を含んでなる、から本質的になる、またはからなる。
さらに、上記遺伝子のいずれかの複数の過剰発現事象も想定される。例えば、AGOS_AER358C(pox1)およびAGOS_AGL060W(fox2)が過剰発現されてよく、またはAGOS_AER358C(pox1)およびAGOS_AFR302W(pot1/fox3)が過剰発現されてよく、またはAGOS_AGL060W(fox2)およびAGOS_AFR302W(pot1/fox3)が過剰発現されてよく、またはAGOS_AER358C(pox1)およびAGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)もしくはAGOS_AER091W(pxa2)のいずれかが過剰発現されてよく、またはAGOS_AGL060W(fox2)およびAGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)のいずれかが過剰発現されてよく、またはAGOS_AER091W(pxa2)もしくはAGOS_AFR302W(pot1/fox3)およびAGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)のいずれかが過剰発現されてよい。
さらなる例では、AGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_AER358C(pox1)およびAGOS_AGL060W(fox2)が過剰発現されてよく、またはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_AER358C(pox1)およびAGOS_AFR302W(pot1/fox3)が過剰発現されてよく、またはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_AGL060W(fox2)およびAGOS_AFR302W(pot1/fox3)が過剰発現されてよく、またはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_AER358C(pox1)およびAGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)もしくはAGOS_AER091W(pxa2)のいずれかが過剰発現されてよく、またはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_AGL060W(fox2)およびAGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)のいずれかが過剰発現されてよく、またはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_AER091W(pxa2),またはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_AFR302W(pot1/fox3)およびAGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)のいずれかが過剰発現されてよい。
さらなる例では、AGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_AER358C(pox1)およびAGOS_AGL060W(fox2)が過剰発現されてよく、またはAGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_AER358C(pox1)およびAGOS_AFR302W(pot1/fox3)が過剰発現されてよく、またはAGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_AGL060W(fox2)およびAGOS_AFR302W(pot1/fox3)が過剰発現されてよく、またはAGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_AER358C(pox1)およびAGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)もしくはAGOS_AER091W(pxa2)のいずれかが過剰発現されてよく、またはAGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_AGL060W(fox2)およびAGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)のいずれかが過剰発現されてよく、またはAGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_AER091W(pxa2)、またはAGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_AFR302W(pot1/fox3)およびAGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)のいずれかが過剰発現されてよい。
さらなる例では、AGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_AER358C(pox1)およびAGOS_AGL060W(fox2)が過剰発現されてよく、またはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_AER358C(pox1)およびAGOS_AFR302W(pot1/fox3)が過剰発現されてよく、またはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_AGL060W(fox2)およびAGOS_AFR302W(pot1/fox3)が過剰発現されてよく、またはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_AER358C(pox1)およびAGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)もしくはAGOS_AER091W(pxa2)のいずれかが過剰発現されてよく、またはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_AGL060W(fox2)およびAGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)のいずれかが過剰発現されてよく、またはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_AER091W(pxa2)、またはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_AFR302W(pot1/fox3)およびAGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)のいずれかが過剰発現されてよい。
好ましい実施形態では、Fat1、Faa1/Faa4、Pox1、Fox2またはPot1/Fox3またはAGOS_AFL213Wp、AGOS_ADR165Cp、AGOS_AFR453Wp(Pex5)、AGOS_ACR128Cp(Pxa1)またはAGOS_AER091Wp(Pxa2)活性が、本明細書の上記に定義されるように、特定のポリペプチドにより提供され、かつ/または特定の核酸によりコードされる。
さらに、AGOS_AFL213WおよびAGOS_ADR165Cの過剰発現、もしくはAGOS_AFL213WおよびAGOS_AFR453W(pex5)の過剰発現、もしくはAGOS_AFL213WおよびAGOS_ACR128C(pxa1)の過剰発現、もしくはAGOS_AFL213WおよびAGOS_AER091W(pxa2)の過剰発現;またはAGOS_ADR165CおよびAGOS_AFR453W(pex5)の過剰発現、もしくはAGOS_ADR165CおよびAGOS_ACR128C(pxa1)の過剰発現、もしくはAGOS_ADR165CおよびAGOS_AER091W(pxa2)の過剰発現;またはAGOS_AFR453W(pex5)およびAGOS_ACR128C(pxa1)の過剰発現、もしくはAGOS_AFR453W(pex5)およびAGOS_AER091W(pxa2)の過剰発現;またはAGOS_ACR128C(pxa1)およびAGOS_AER091W(pxa2)の過剰発現が想定される。さらに、AGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_AFL213WおよびAGOS_ADR165Cの過剰発現、もしくはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_AFL213WおよびAGOS_AFR453W(pex5)の過剰発現、もしくはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_AFL213WおよびAGOS_ACR128C(pxa1)の過剰発現、もしくはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_AFL213WおよびAGOS_AER091W(pxa2)の過剰発現;またはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_ADR165CおよびAGOS_AFR453W(pex5)の過剰発現、もしくはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_ADR165CおよびAGOS_ACR128C(pxa1)の過剰発現、もしくはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_ADR165CおよびAGOS_AER091W(pxa2)の過剰発現;またはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_AFR453W(pex5)およびAGOS_ACR128C(pxa1)の過剰発現、もしくはAGOS_ACL174W(Fat1)およびAGOS_AFR453W(pex5)およびAGOS_AER091W(pxa2)の過剰発現;またはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_ACR128C(pxa1)およびAGOS_AER091W(pxa2)の過剰発現が想定される。また、AGOS_ACL174W(Fat1)およびAGOS_ABL018C(Faa1/Faa4)およびAGOS_AFL213WおよびAGOS_ADR165Cの過剰発現、もしくはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_AFL213WおよびAGOS_AFR453W(pex5の過剰発現)、もしくはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_AFL213WおよびAGOS_ACR128C(pxa1)の過剰発現、もしくはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_AFL213WおよびAGOS_AER091W(pxa2)の過剰発現;またはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_ADR165CおよびAGOS_AFR453W(pex5)の過剰発現、もしくはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_ADR165CおよびAGOS_ACR128C(pxa1)の過剰発現、もしくはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_ADR165CおよびAGOS_AER091W(pxa2)の過剰発現;またはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_AFR453W(pex5)およびAGOS_ACR128C(pxa1)の過剰発現、もしくはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_AFR453W(pex5)およびAGOS_AER091W(pxa2)の過剰発現;またはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_ACR128C(pxa1)およびAGOS_AER091W(pxa2)の過剰発現も想定される。好ましい実施形態では、AGOS_ACL174W(fat1)、AGOS_ABL018C(faa1/faa4)、AGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)またはAGOS_AER091W(pxa2)活性が、本明細書の上記に定義されるように、特定のポリペプチドにより提供され、かつ/または特定の核酸によりコードされる。
さらに、AGOS_AER358C(pox1)、AGOS_AGL060W(fox2)およびAGOS_AFR302W(pot1/fox3)の過剰発現、またはAGOS_AER358C(pox1)およびAGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)もしくはAGOS_AER091W(pxa2)の過剰発現;またはAGOS_AGL060W(fox2)およびAGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)もしくはAGOS_AER091W(pxa2)のうちの2つの過剰発現;またはAGOS_AFR302W(pot1/fox3)およびAGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)もしくはAGOS_AER091W(pxa2)のうちの2つの活性の過剰発現;またはAGOS_ACL174W(fat1)およびAGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)またはAGOS_AER091W(pxa2)のうちの2つの過剰発現;またはAGOS_ABL018C(faa1/faa4)、およびAGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)またはAGOS_AER091W(pxa2)のうちの2つの過剰発現;またはAGOS_ACL174W(fat1)、AGOS_ABL018Cp(faa1/faa4)、およびAGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)もしくはAGOS_AER091W(pxa2)のうちの2つの過剰発現などの特定の過剰発現状態が想定される。さらに、AGOS_AER358C(pox1)およびAGOS_AGL060W(fox2)およびAGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)もしくはAGOS_AER091W(pxa2)のうちの1つが過剰発現される;またはAGOS_AER358C(pox1)およびAGOS_AFR302W(pot1/fox3)およびAGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)もしくはAGOS_AER091W(pxa2)のうちの1つが過剰発現される;またはAGOS_AGL060W(fox2)およびAGOS_AFR302W(pot1/fox3)およびAGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)もしくはAGOS_AER091W(pxa2)のうちの1つが過剰発現される、またはAGOS_AER358C(pox1)およびAGOS_AGL060W(fox2)およびAGOS_ACL174W(fat1)および/またはAGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)もしくはAGOS_AER091W(pxa2)のうちの1つが過剰発現される;またはAGOS_AER358C(pox1)およびAGOS_AFR302W(pot1/fox3)およびAGOS_ACL174W(fat1)および/またはAGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)またはAGOS_AER091W(pxa2)のうちの1つが過剰発現される;またはAGOS_AGL060W(fox2)およびAGOS_AFR302W(pot1/fox3)およびAGOS_ACL174W(fat1)および/またはAGOS_ABL018C(faa1/faa4)およびAGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)もしくはAGOS_AER091W(pxa2)のうちの1つが過剰発現される過剰発現状態が想定される。さらに、本明細書の上記に定義されるようなエレモテシウム属におけるβ酸化に関与する4、5、6、7もしくは8の遺伝子および/または脂肪酸取り込みに関与する1もしくは2の遺伝子が過剰発現される4、5、6、7または8の過剰発現状態が想定される。さらに、好ましい実施形態では、Fat1、Faa1/Faa4、Pox1、Fox2またはPot1/Fox3またはAGOS_AFL213Wp、AGOS_ADR165Cp、AGOS_AFR453Wp(Pex5)、AGOS_ACR128Cp(Pxa1)またはAGOS_AER091Wp(Pxa2)活性が、本明細書の上記に定義されるように、特定のポリペプチドにより提供される、および/または特定の核酸によりコードされる状態が想定される。
用語「活性の増強」または「量の増大」は、本明細書で使用される場合、酵素活性をコードする遺伝要素、例えば、分子ベースで、遺伝要素により発現される転写産物、または前記遺伝要素によりコードされるタンパク質もしくは酵素活性の任意の改変を意味し、これが前記酵素活性の増強、細胞内の前記酵素活性の濃度の増大および/または前記活性の機能の改善をもたらす。この活性は好適な試験またはアッセイで測定可能であり、これらは当業者に公知であるか、またはペルオキシソームアシル−CoAオキシダーゼ活性のアッセイを開示しているSmall et al., Biochem. J, 1985, 227, 205-210;アシル−CoAシンセターゼ活性の測定のための方法を開示しているWatkins et al., The Journal of Biological Chemistry, 1998, 273(29), 18210-18219;Fox2活性のアッセイを開示しているHiltunen et al., The Journal of Biological Chemistry, 1992, 267(10), 6646-6653;またはPot1活性のアッセイを開示しているLee et al., BMB reports, 2009, 42(5), 281-285などの適当な文献から導くことができる。
酵素活性をコードする遺伝要素の改変は、同じ生物に関して、対応する野生型または原活性(改変無し)と比較して、例えば、約2%、5%、8%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%もしくは1000%を超えるもの、またはこれらの値の間の任意の値の活性の増強をもたらす。好ましい実施形態では、このような活性の増強は、AGOS_ACL174Wp(Fat1)、AGOS_ABL018Cp(Faa1/Faa4)、AGOS_AER358Cp(Pox1)、AGOS_AGL060Wp(Fox2)、AGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)、AGOS_AFL213Wp、AGOS_ADR165Cp、AGOS_AFR453Wp(Pex5)、AGOS_ACR128Cp(Pxa1)およびAGOS_AER091Wp(Pxa2)の少なくとも1つまたは2以上、例えば、2、3、4、5、6、もしくはそれを超えるもの、または総てに提供され得る。好ましい実施形態では、増強される活性は、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17および/もしくは19のアミノ酸配列、または本明細書の上記に定義されるようなその相同配列の1つ、例えば、2、3、4、5、6、もしくはこれを超えるもの、または総てにより表される、を含んでなる、から本質的になる、またはからなる。
特定の実施形態では、活性の増強は発現、特に、その発現が前述のように活性をもたらす遺伝要素の過剰発現によるものである。用語「発現」は、本明細書で使用される場合、本明細書に述べられるように核酸分子または遺伝子に由来するセンス鎖(mRNA)の転写および蓄積を意味する。より好ましくは、この用語はまた、mRNAのポリペプチドまたはタンパク質への翻訳および細胞内でのこのようなポリペプチドまたはタンパク質の対応する供給を意味する。典型的な実施形態では、発現は過剰発現であり得る。用語「過剰発現」は、同じ生物に関して、発現時にそのポリペプチドまたはタンパク質を生じる遺伝要素の内因性コピーよりも多い転写産物、および特に、多いポリペプチドまたはタンパク質の蓄積に関する。さらなる別の実施形態では、この用語はまた、βアクチンまたはβチューブリンなどの典型的なあまり発現の大きくないハウスキーピング遺伝子の発現時よりも多い転写産物、および特に、多いポリペプチドまたはタンパク質の蓄積にも関し得る。
特に好ましい実施形態では、AGOS_ACL174Wp(Fat1)活性の増強は、AGOS_ACL174W遺伝子(fat1)の過剰発現によるものであり;および/またはAGOS_AER358Cp(Pox1)活性の増強は、AGOS_AER358C遺伝子(pox1)の過剰発現によるものであり;および/またはAGOS_ABL018Cp(FAA1/FAA4)活性の増強は、AGOS_ABL018C遺伝子(faa1/faa4)の過剰発現によるものであり、および/またはAGOS_AGL060Wp(Fox2)活性およびAGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)活性の増強は、AGOS_AGL060W遺伝子(fox2)およびAGOS_AFR302W遺伝子(pot1/fox3)の過剰発現によるものである。
好ましい実施形態では、前述のような過剰発現は、同じ生物に関して、対応する野生型または元の転写(改変または過剰発現無し)と比較して、約2%、5%、8%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%もしくは1000%を超えるもの、またはこれらの値の間の任意の値の遺伝子転写速度に増大をもたらし得る。好ましい実施形態では、遺伝子の転写速度におけるこのような増大は、AGOS_ACL174W(fat1)、AGOS_ABL018C(faa1/faa4)、AGOS_AER358C(pox1)、AGOS_AGL060W(fox2)、AGOS_AFR302W(pot1/fox3)、AGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)およびAGOS_AER091W(px2)の少なくとも1つまたは2以上、例えば、2、3、4、5、6、もしくはそれを超えるもの、または総てに提供され得る。好ましい実施形態では、増大される転写速度とは、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18および/もしくは20のヌクレオチド配列の転写産物、または本明細書の上記に定義されるようなその相同配列の転写産物のうちの1つ、例えば、2、3、4、5、6、もしくはそれを超えるもの、または総てを意味する。
さらに好ましい実施形態では、過剰発現は、同じ生物に関して対応する野生型または元の転写(改変または過剰発現無し)と比較して、約2%、5%、8%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%もしくは1000%を超えるもの、またはこれらの値の間の任意の値の遺伝子のmRNAの量に増強をもたらし得る。好ましい実施形態では、遺伝子のmRNAの量におけるこのような増強が、AGOS_ACL174W(fat1)、AGOS_ABL018C(faa1/faa4)、AGOS_AER358C(pox1)、AGOS_AGL060W(fox2)、AGOS_AFR302W(pot1/fox3)、AGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)およびAGOS_AER091W(pxa2)の少なくとも1つまたは2以上、例えば、2、3、4、5、6、もしくはそれを超えるもの、または総てに提供され得る。好ましい実施形態では、増大されるmRNAの量は、配列番号2、4、6、8、10、12、14、16、18および/もしくは20のヌクレオチド配列、または本明細書の上記に定義されるようなその相同配列の1つ、例えば、2、3、4、5、6、もしくはそれを超えるもの、または総てを含んでなる、から本質的になる、またはからなるmRNAを意味する。
さらに別の好ましい実施形態では、過剰発現は、同じ生物に関してポリペプチドまたはタンパク質の対応する野生型または元の量(改変または過剰発現無し)と比較して、約2%、5%、8%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%もしくは1000%を超えるもの、またはこれらの値の間の任意の値の過剰発現遺伝子によりコードされるポリペプチドまたはタンパク質の量に増大をもたらし得る。好ましい実施形態では、過剰発現遺伝子によりコードされるポリペプチドまたはタンパク質の量におけるこのような増大が、AGOS_ACL174Wp(Fat1)、AGOS_ABL018Cp(Faa1/Faa4)、AGOS_AER358Cp(Pox1)、AGOS_AGL060Wp(Fox2)、AGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)、AGOS_AFL213Wp、AGOS_ADR165Cp、AGOS_AFR453Wp(Pex5)、AGOS_ACR128Cp(Pxa1)およびAGOS_AER091Wp(Pxa2)の少なくとも1つまたは2以上、例えば、2、3、4、5、6、もしくはそれを超えるもの、または総て提供され得る。好ましい実施形態では、その量が増強されるポリペプチドは、配列番号1、3、5、7、9、11、13、15、17および/もしくは19のアミノ酸配列、または本明細書の上記に定義されるようなその相同配列の1つ、例えば、2、3、4、5、6、もしくはそれを超えるもの、または総てにより表される、を含んでなる、から本質的になる、またはからなる。
本明細書の上記に定義されるような過剰発現は、一実施形態では、本明細書の上記に定義されるようなプロモーターの使用により導かれ得る。本発明により想定され、上記のような遺伝子の過剰発現に使用され得るプロモーターは、構成的プロモーターまたは調節可能なプロモーターのいずれかであり得る。プロモーターは内因性、すなわち、エレモテシウム属プロモーターであることが好ましい。特定の実施形態では、プロモーターはまた、異種プロモーターまたは合成プロモーター、例えば、強力な異種プロモーター、または調節可能な異種プロモーターでもあり得る。プロモーターは、コード配列と機能的に連結され得る。好ましい実施形態では、用語「プロモーター」は、コード配列の発現を制御し得る、エレモテシウム属、より好ましくはエレモテシウム・ゴシッピィにおいて活性なDNA配列を意味する。
本発明の文脈において使用され得る好適なプロモーターとしては、構成的TEF1プロモーター、構成的CTS2プロモーター、構成的RIB3プロモーターおよび構成的GPDプロモーターが含まれる。さらに、好適なプロモーターのさらに想定される例としては、FBA1、PGK1、もしくはENO1プロモーターなどの解糖経路の強力な構成的プロモーター、または強い構成的RIB4プロモーターが含まれる。また、調節可能なMet3プロモーターおよびグルコース抑制ICL1pプロモーターの使用が好ましい。GPDプロモーターが特に好ましい。より好ましくは、GPDプロモーターは、配列番号68の配列または配列番号68のプロモーターと本質的に同じプロモーター活性を有するその機能的断片を含んでなる。
前述のような好ましいプロモーターの総てが内因性E.ゴシッピィプロモーターである。これらのプロモーターは、特定の実施形態において、エレモテシウム属の他の生物に関しても使用され得る。さらなる詳細は当業者に公知であるか、または例えば、Jimenez et al., 2005, Appl Environ Microbol, 71, 5743-5751などの適当な文献から導かれる。
プロモーターは、本明細書の上記に定義されるように発現される遺伝子または配列に機能的に連結され得る。
特に好ましい実施形態では、AGOS_ACL174W遺伝子(fat1)、AGOS_AER358C遺伝子(pox1)、AGOS_AGL060W遺伝子(fox2)および/またはAGOS_AFR302W遺伝子(pot1/fox3)の過剰発現は、強力なプロモーターにより導かれる。本発明の意味の範囲内で、用語「強力なプロモーター」は、その活性が野生型生物において過剰発現される核酸分子と機能的に連結されているプロモーターの活性よりも高いプロモーター、例えば、内因性のfat1、faa1/faa4,pox1、fox 2またはpot1/fox3遺伝子のプロモーターよりも高い活性を有するプロモーターを意味するものとする。好ましくは、強力なプロモーターの活性は、野生型生物で過剰発現される核酸分子と機能的に連結されているプロモーター、例えば、内因性のfat1、faa1/faa4,pox1、fox 2またはpot1/fox3遺伝子のプロモーターよりも高い活性を有するプロモーター、の活性よりも約2%、5%、8%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、150%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%または1000%を超えて高い。当業者ならばどのようにしてプロモーター活性を決定するか、および異なるプロモーターの活性を比較するかを知っている。この目的で、プロモーターは一般に、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質またはβグルクロニダーゼなどのリポータータンパク質をコードする核酸配列に機能的に連結され、リポータータンパク質の活性が決定される。
このような強力なプロモーターの好適な例は、TEF1プロモーター、CTS2プロモーター、RIB3プロモーター、GPDプロモーター、FBA1プロモーター、PGK1プロモーター、Met3プロモーター、ICL1プロモーターおよびRIB4プロモーターである。GPDプロモーターが特に好ましい。より好ましくは、GPDプロモーターは、配列番号68の配列または配列番号68のプロモーターと本質的に同じプロモーター活性を有するその機能的断片を含んでなる。
さらに特に好ましい実施形態では、AGOS_ACL174W遺伝子(fat1)、AGOS_AER358C遺伝子(pox1)、AGOS_AGL060W遺伝子(fox2)、AGOS_ABL018C遺伝子(faa1/faa4)および/またはAGOS_AFR302W遺伝子(pot1/fox3)の過剰発現は、強力な構成的プロモーターにより導かれる。このような強力な構成的プロモーターの好適な例は、CTS2プロモーター、TEF1プロモーター、RIB3プロモーター、GPDプロモーター、およびRIB4プロモーターである。GPDプロモーターが特に好ましい。より好ましくは、GPDプロモーターは、配列番号68の配列または配列番号68のプロモーターと本質的に同じプロモーター活性を有するその機能的断片を含んでなる。
特定の実施形態では、プロモーターはまた、異種プロモーターまたは合成プロモーター、例えば、強力な異種プロモーター、または調節可能な異種プロモーターであってもよい。
本明細書の上記に定義されるような過剰発現は、さらなる実施形態において、ゲノム内での過剰発現のために2以上のコピーの遺伝要素の提供により導かれ得る。このような第2、第3、第4、第5またはさらなるコピーの遺伝子は、内因性遺伝子構造の完全にまたはほとんど同一のコピーであり得るか、またはそれらはその組換え改変を構成し得る。例えば、過剰発現される遺伝子、例えば、AGOS_ACL174W(fat1)、AGOS_ABL018C(faa1/faa4)、AGOS_AER358C(pox1)、AGOS_AGL060W(fox2)、AGOS_AFR302W(pot1/fox3)、AGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)またはAGOS_AER091W(pxa2)のうちの1つは、好ましくはそのプロモーター構造を含む、場合によりさらに、標的エレモテシウム属生物のゲノムに由来するか、または近縁種に由来する、例えば、標的がE.ゴシッピィでなければE.ゴシッピィに由来する、本明細書の上記に定義されるような3’非コード配列または本明細書の上記に定義されるような付加的5’非コード配列、例えば、エンハンサー要素などをさらに含んでなる、ゲノムコンテキストとともに誘導され得る。相同フランクは約100〜500bpの範囲で使用され得る。しかしながらまた、例えば、1000bpまでまたは1000bpを超える、より小さいフランクまたはより大きいフランクも基本的に使用可能である。
前述のような遺伝子の第2のまたはさらなるコピーは、次に、生物に再導入され、染色体内に置かれ得る。組み込み部位は元のコピーの近傍か、好ましくは違う場所であり得る。挿入は、組み込みに必要な相同フランクの選択によって予め選択することができる。従って、この挿入部位は、ゲノムの既知の特徴、例えば、染色体領域の転写活性、染色体領域のメチル化状態、第1のコピー(元の遺伝子)との潜在的距離、第1のコピー(元の遺伝子)の配向、さらに挿入された遺伝子の存在などに従って決定され得る。挿入部位は遺伝子間領域であること、および/または転写活性部位が使用されることが好ましい。特定の実施形態では、既知の遺伝子、特に、または必須遺伝子のORFおよび/または調節領域を改変しないことが好ましい。
特定の実施形態では、付加的コピーは、タンデムリピート型で提供され得る。非タンデムリピートを使用することが好ましい。エレモテシウム属のゲノムにおける組換えプロセスのために、遺伝子の元のコピーおよび第2またはさらなるコピーを異なる位置におよび/またはできる限り離して維持することがさらに好ましい。このような違いは異なるプロモーター、遺伝子のゲノムフランクの改変、または、特定の実施形態では、遺伝子の第2のコピーと第1のコピー(元の型)、または遺伝子の第3のコピーと第2のコピーおよび/または第1のコピー(元の型)のヌクレオチド配列の改変の使用に基づき得る。ヌクレオチド配列のこのような改変は、例えば、本明細書の上記に定義されるように、例えば、遺伝子のコドン使用の改変により導かれ得る。特に、コドン使用は、アミノ酸配列を同一またはほとんど同一に維持しつつ、ヌクレオチド配列レベルでの違いを増大または最大化する意図で、すなわち、ヌクレオチドレベルで類似性の低いまたは類似性が最小の配列を提供するために改変され得る。2コピーを超える同じ遺伝子がゲノムに導入されるべき場合、導入される総てのコピーのコドン使用は、総てのコピーの違いが最大化されるように、例えば、元の型とコピー2およびコピー3の間の違いが最大化されるように適合され得る。3コピーを超える場合にも同じことを行うことができる。
特に好ましい実施形態では、AGOS_ACL174W遺伝子(fat1)、AGOS_AER358C遺伝子(pox1)、AGOS_AGL060W遺伝子(fox2)、AGOS_ABL018C遺伝子(faa1/faa4)および/またはAGOS_AFR302W遺伝子(pot1/fox3)の過剰発現は、エレモテシウム属のゲノムにおけるAGOS_ACL174W遺伝子(fat1)、AGOS_AER358C遺伝子(pox1)、AGOS_AGL060W遺伝子(fox2)、AGOS_ABL018C遺伝子(faa1/faa4)および/またはAGOS_AFR302W遺伝子(pot1/fox3)の少なくとも第2のコピーの提供により導かれる。
本明細書の上記に定義されるような過剰発現は、さらなる実施形態において、コドン使用の最適化により、例えば、本明細書の上記に定義されるような遺伝子のコドン使用を、その生物において最もよく転写もしくは発現されるか、または最も発現の高い(βアクチンまたはβチューブリンなどのハウスキーピング遺伝子と比較して)遺伝子のコドン使用に適合させることによって導かれ得る。このような発現の高い遺伝子のコドン使用の例は、エレモテシウム属生物、好ましくは、E.ゴシッピィの5、10、15、20、25もしくは30またはそれを超える最も発現の高い遺伝子の群のコドン使用を含んでなり得る。
過剰発現はさらに、エレモテシウム属生物、好ましくはE.ゴシッピィの転写遺伝子の総てまたはほとんど総てまたは90%または80%または75%、または70%において全体的コドン使用に関してコドン使用を最適化することによって達成され得る。このようなアプローチは、遺伝子のコドン使用の調査およびエレモテシウム属生物、好ましくはE.ゴシッピィのゲノム配列、特に、前記生物、例えば、E.ゴシッピィの注釈付きゲノム配列に由来し得るようなその全体的コドン使用との比較を含み得る。
過剰発現はさらに、2コドン使用、すなわち、ORF内の総ての連続する2つのコドンの頻度の適合によって達成され得る。従って、標的遺伝子の2コドン使用は、その生物において発現の高い遺伝子の2コドン使用(βアクチンまたはβチューブリンなどのハウスキーピング遺伝子との比較)と適合され得る。このような発現の高い遺伝子の2コドン使用の例は、エレモテシウム属生物、好ましくは、E.ゴシッピィの5、10、15、20、25もしくは30またはそれを超える最も発現の高い遺伝子の群の2コドン使用を含んでなり得る。2コドン使用の適合は、mRNAが、転写産物の安定性に影響を及ぼすシグナルまたは他の転写産物部分を分解するのを避ける助けとなり得る(このようなモチーフは一般に3ヌクレオチド長を超え、従って、2コドンで識別が可能であるが、それらはコドンとして見落とされることがあるため)。
過剰発現はさらに、3コドン使用、すなわち、ORF内の総ての連続する2つのコドンの頻度の適合によって達成され得る。従って、標的遺伝子の3コドン使用は、その生物において発現の高い遺伝子の3コドン使用(βアクチンまたはβチューブリンなどのハウスキーピング遺伝子との比較)と適合され得る。このような発現の高い遺伝子の3コドン使用の例は、エレモテシウム属生物、好ましくは、E.ゴシッピィの5、10、15、20、25もしくは30またはそれを超える最も発現の高い遺伝子の群の3コドン使用を含んでなり得る。
また、標的遺伝子の2コドン改変型の提供も想定し、すなわち、元の内因性コピーと任意のさらなるコピーは両方とも、改変アプローチ後に元の型の遺伝子がゲノム内に存在しないように改変され得る。このアプローチは、ヌクレオチド配列のさらなる識別および/または1もしくは複数の標的遺伝子の発現性もしくは転写の増大をもたらし得る。
特に好ましい実施形態では、AGOS_ACL174W遺伝子(fat1)、AGOS_AER358C遺伝子(pox1)、AGOS_AGL060W遺伝子(fox2)、AGOS_ABL018C遺伝子(faa1/faa4)および/またはAGOS_AFR302W遺伝子(pot1/fox3)の過剰発現が、エレモテシウム属のゲノム内のAGOS_ACL174W遺伝子(fat1)、AGOS_AER358C遺伝子(pox1)、AGOS_AGL060W遺伝子(fox2)、AGOS_ABL018C遺伝子(faa1/faa4)および/またはAGOS_AFR302W遺伝子(pot1/fox3)の第2のコピーのコドン使用、または2コドン使用、または3コドン使用の適合によって 導かれる。
β酸化経路または脂肪酸取り込み経路のメンバーの活性を増強するための遺伝子改変、例えば、本明細書の上記または下記で述べられるような遺伝子の過剰発現をもたらす改変は、当業者に公知の任意の好適なアプローチで実施され得る。
これに関して使用され得る典型的なアプローチは、標的相同組換えである。例えば、AGOS_ACL174W(fat1)、AGOS_ABL018C(faa1/faa4)、AGOS_AER358C(pox1)、AGOS_AGL060W(fox2)、AGOS_AFR302W(pot1/fox3)、AGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)またはAGOS_AER091W(pxa2)の改変型、例えば、元のプロモーター(prometer)の代わりに構成的プロモーターを含んでなる型または元のプロモーターもしくは異なるプロモーター、例えば、本明細書の上記に述べられるような構成的プロモーターを含んでなるAGOS_ACL174W(fat1)、AGOS_ABL018C(faa1/faa4)、AGOS_AER358C(pox1)、AGOS_AGL060W(fox2)、AGOS_AFR302W(pot1/fox3)、AGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)またはAGOS_AER091W(pxa2)のさらなるコピーは、標的内因性ポリヌクレオチド配列(例えば、遺伝子のコード領域または調節領域)と相同なDNAにより隣接され得、その場所で挿入が起こるべきである。このような構築物は、エレモテシウム属細胞に形質転換するために選択マーカーとともにもしくは伴わずに、および/または陰性選択マーカーとともにもしくは伴わずに使用され得る。標的相同組換えによるDNA構築物の挿入の結果は、元の遺伝子の遺伝子座における標的遺伝子の改変型の挿入、またはゲノム内の異なる場所における標的遺伝子のさらなるコピーの挿入をもたらし得る。後者の筋書きでは、第2のまたはさらなるコピーが組み込まれるべき場所の相同配列が形質転換構築物に使用され得る。特定の実施形態では、相同形質転換はまた、例えば、ゲノム内に元々存在するORFの代わりに耐性マーカーまたは他のノックアウトカセットを導入することにより、遺伝子の不活性化のためにも使用され得る。
用語「形質転換」は、遺伝要素、一般に、核酸分子、例えば、相同組換え用構築物を含んでなる特定のカセット、またはベクターもしくはプラスミドなどの染色体外要素のエレモテシウム属細胞、すなわち、本明細書の上記に定義されるようなエレモテシウム属の生物への移入を意味し、前記移入は、遺伝的に安定な遺伝をもたらす。エレモテシウム属細胞の形質転換のための条件および対応する技術は当業者に公知である。これらの技術には、化学的形質転換、好ましくは、例えばJimenez et al., 2005, Applied and Environmental Microbiology 71, 5743-5751から導くことができるような酢酸リチウム形質転換、プロトプラスト融合、弾道衝撃形質転換、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、または目的の遺伝子もしくは核酸分子を真菌細胞に導入する他の任意の方法が含まれる。
形質転換細胞は少なくとも1コピーの導入遺伝要素を有してよく、ゲノム中のどこにどれだけの遺伝要素が、または例えば増幅形態で、組み込まれるかによって2以上のコピーを有してもよい。過剰発現構築物に関しては、形質転換がゲノム中に単一コピーの過剰発現構築物またはカセットの挿入をもたらすことが好ましい。また、2以上のコピーの導入も想定される。このような特定の遺伝子または遺伝子発現構築物の第2または第3のコピーは、同じアミノ酸配列または本質的に同じアミノ酸配列をコードしつつ、第1のコピーとそれらのヌクレオチド配列が好ましくは異なっているべきである。
好ましくは、形質転換細胞は、導入された遺伝要素上に含まれるマーカーを選択することにより同定され得る。あるいは、多くの形質転換技術が多くのDNA分子を宿主細胞に導入するので、独立したマーカー構築物が所望の遺伝要素とともに共形質転換されてもよい。一般に、形質転換細胞は、選択培地上でのそれらの増殖能に関して選択することができる。選択培地は抗生物質を組み込むか、または栄養素もしくは増殖因子などの、非形質転換細胞の増殖に必要な因子を欠くものであり得る。導入されたマーカー遺伝子は、抗生物質耐性を付与してもよいし、または必須増殖因子または酵素をコードしてもよく、それにより、形質転換宿主で発現させた場合に選択培地上での増殖が可能となる。形質転換細胞の選択はまた、発現されたマーカータンパク質が直接または間接的に検出され得る場合にも行える。
マーカータンパク質は、単独でまたは別のタンパク質との融合物として発現させ得る。マーカータンパク質は、例えばその酵素活性により検出され得る。あるいは、例えば、目的タンパク質上のマーカータンパク質または分子タグを検出するために抗体を用いてもよい。マーカータンパク質またはタグを発現する細胞は、例えば、視覚的に、またはFACSもしくは抗体を用いるパンニングなどの技術によって選択され得る。好ましくは、当業者に公知であるように、エレモテシウム属の細胞で機能するいずれの好適なマーカーを用いてもよい。より好ましくは、カナマイシン、ハイグロマイシン、アミノグルコシドG418、またはノルセオトリシン(NTCまたはClonNATとも呼ばれる)に対して耐性を与えるマーカー、ならびにウラシル、ロイシン、ヒスチジン、メチオニン、リシンまたはトリプトファンを欠く培地での増殖能が使用可能である。前述のような選択マーカー、例えば、G418もしくはClonNat耐性マーカー、または他の任意の好適なマーカーを使用する場合、マーカーに加えてCre−lox系の配列を用い得る。この系は、遺伝要素、例えば、過剰発現カセットの挿入後にCreリコンビナーゼが発現した際に、選択マーカーの排除とそれに続く再利用を可能とする。また、当業者に公知であると思われる他の同様のリコンビナーゼ系の使用も想定される。
特定の実施形態では、マーカーはまた、in vivoにおいて特定のDNA標的配列の切断能を持つ部位特異的ヌクレアーゼ、例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFNs)またはメガヌクレアーゼの標的部位と組み合わせてもよい。このような系の特定の例が、TALEN(転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(Transcription Activator-Like Effector Nuclease))系、すなわち、TALエフェクターDNA結合ドメインとDNA切断ドメインを融合させることにより作出される人工制限酵素である。TALエフェクターは、一般にキサントモナス菌または関連種により分泌されるか、またはそれに由来し、改変されているタンパク質である。TALエフェクターのDNA結合ドメインは、変動性の高い12番目と13番目のアミノ酸(Repeat Variable DiresidueまたはRVD)以外は、例えば約33〜34アミノ酸配列の保存性の高い配列を含んでなり得、一般に特定のヌクレオチド認識と強力な相関を示す。この原理に基づき、DNA結合ドメインは、過剰発現標的遺伝子DNA配列に相当するRepeat Variable Diresidue含有リピートセグメントの組合せを選択することにより操作され得る。TALEN DNA切断ドメインは、好適なヌクレアーゼに由来し得る。例えば、FokIエンドヌクレアーゼまたはFokIエンドヌクレアーゼ変異体由来のDNA切断ドメインが、ハイブリッドヌクレアーゼを構築するために使用され得る。TALENは好ましくは、二量体として機能するFokIドメインの独自性のために独立した実体として提供され得る。
特定の実施形態では、TALEN DNA結合ドメインとFokI切断ドメインの間のアミノ酸残基の数および2つの各TALEN結合部位間の塩基の数は変更可能であり、高レベルの活性を得るためにエレモテシウム属ゲノムに挿入される構築物の配列に従って最適化され得る。TALENまたはTALEN成分は、任意の所望のDNA配列、例えば、過剰発現される遺伝子の相同末端間に選択マーカーを含んでなるDNA配列を標的とするために操作または改変され得る。組換えに必要とされる酵素活性は、それ自体提供されてもよく(例えば、エレモテシウム属で確立されているREMIアプローチに類似)、またはその酵素活性は構築物に選択カセットとともに提供されてもよく、これにより、ヌクレアーゼ活性の開始時にその除去に至る。操作は好適な方法論、例えば、Zhang et al., Nature Biotechnology, 1-6 (2011)、またはReyon et al., Nature Biotechnology, 30, 460-465 (2012)に従って実施され得る。
エレモテシウム属細胞のゲノムからマーカー配列を除去するための別の系は、RNAによりガイドされる部位特異的DNA切断を促進することが知られており、かつ、ゲノム工学に使用され得るCRISPR(clustered regularly interspaced short palindromic repeats)/Cas(CRISPR-associated)系である(例えば、Sander and Young (2014) Nature Biotechnol. 32: 347-355参照)。この系は、特定のDNA配列を切断するために、crRNAおよびtracrRNAによってガイドされるヌクレアーゼとしてCas9を使用する。成熟したcrRNA:tracrRNA複合体は、crRNA上のスペーサーとプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)に隣接する標的DNA上のプロトスペーサーとの間の塩基対合を介して標的DNAにCas9を導く。その後、Cas9は標的DNAの切断を媒介して、プロトスペーサー内で二本鎖切断を作り出す。crRNAおよびtracrRNAの代わりに、ガイドRNAは、tracrRNA−crRNA複合体を模倣するヘアピンを含むように設計され得る(Jinek et al. (2012) Science 337(6096): 816-821)。
本発明の好ましい実施形態では、相同組換えは、本明細書の下記の実施例に記載されるように行うことができる。G418またはClonNAT耐性マーカーをloxP配列と組み合わせて含んでなる過剰発現カセットの使用が特に好ましい。
一般に、遺伝要素は、形質転換カセットまたは発現カセットの助けでエレモテシウム属細胞に導入され得る。本発明では、用語「形質転換カセット」は、外来遺伝子を含有し、かつ、その外来遺伝子に加えて、エレモテシウム属細胞の形質転換を助長する要素を備えた特定のベクターを意味する。用語「発現カセット」は、外来遺伝子を含有し、かつ、その外来遺伝子に加えて、外来遺伝子および外来宿主、特に、エレモテシウム属細胞においてその遺伝子の発現の増強を可能とする要素を備えた特定のベクターを意味する。
従って、本明細書で定義されるような脂肪酸取り込み経路またはβ酸化経路の遺伝子は、本明細書の上記に定義されるような発現カセットまたは形質転換カセット、特に、相同組換えを介したゲノム組み込みのために作製された発現カセットまたは形質転換カセットの形態で、遺伝要素上に提供され得る。また、プラスミドまたはベクターに対する提供も想定される。用語「プラスミド」および「ベクター」は、多くの場合、細胞の中枢代謝の一部でない遺伝子を、通常は環状二本鎖DNA断片の形態で運ぶ染色体外要素を意味する。より好ましくは、用語プラスミドは、当業者に公知のエレモテシウム属の形質転換に好適な任意のプラスミド、および特に、エレモテシウム属におけるタンパク質の発現に好適な任意のプラスミド、例えば、他の生物、好ましくは細菌、特に大腸菌で自律的複製能を持ち、かつ、エレモテシウム属のゲノム挿入形質転換のために作製、例えば、消化が可能なプラスミドを意味する。
このような発現カセットもしくは形質転換カセット、またはベクターもしくはプラスミドは、本明細書の上記に定義されるような脂肪酸取り込み経路および/またはβ酸化経路に関与する遺伝子または遺伝要素の1、2、3、4、もしくはそれを超えるもの、または総てを含んでなり得る。例えば、それらは、AGOS_ACL174W(fat1)、AGOS_ABL018C(faa1/faa4)、AGOS_AER358C(pox1)、AGOS_AGL060W(fox2)、AGOS_AFR302W(pot1/fox3)、AGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)およびAGOS_AER091W(pxa2)の1、2、3、4、もしくはそれを超えるもの、または総てを含んでなり得る。
これらのカセットのゲノムへの組み込みは、ゲノム内にランダムに存在してもよいし、または本明細書の上記に定義されるように、宿主遺伝子座内での組換えを標的とするのに十分な宿主ゲノムと相同性の領域を含有する構築物の使用を介して標的化され得る。構築物が内因性遺伝子座に標的化される場合、転写および翻訳調節領域の総てまたは一部は、内因性遺伝子座により提供され得る。あるいは、転写および翻訳調節領域は、構築物により提供されてもよい。
別個の複製ベクターからの、脂肪酸取り込み経路および/またはβ酸化経路に関与する2以上の活性の発現の場合、各ベクターまたはプラスミドは異なる手段の選択を有することが望ましく、かつ、安定な発現を維持しおよび構築物間の要素の遺伝子再集合を防ぐために他の構築物と相同性を欠くべきである。
特定の実施形態では、遺伝要素は、微生物発現系を含んでなり得る。このような発現系および発現ベクターは、外来タンパク質の高レベル発現を指示する調節配列を含み得る。
本発明の好ましい実施形態では、本明細書の上記に定義されるような遺伝子改変生物、例えば、脂肪酸取り込みに関連する遺伝要素および/またはβ酸化経路に関連する遺伝要素の改変を含んでなる生物、例えば、遺伝子AGOS_ACL174W(fat1)、AGOS_ABL018C(faa1/faa4)、AGOS_AER358C(pox1)、AGOS_AGL060W(fox2)、AGOS_AFR302W(pot1/fox3)、AGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)およびAGOS_AER091W(pxa2)のうちの1以上が過剰発現され、かつ/またはAGOS_ACL174Wp(Fat1)、AGOS_ABL018Cp(Faa1/Faa4)、AGOS_AER358Cp(Pox1)、AGOS_AGL060Wp(Fox2)、AGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)、AGOS_AFL213Wp、AGOS_ADR165Cp、AGOS_AFR453Wp(Pex5)、AGOS_ACR128Cp(Pxa1)および/またはAGOS_AER091Wp(Pxa2)のポリペプチドのうちの1以上が増大された量で提供され、かつ/またはAGOS_ACL174Wp(Fat1)、AGOS_ABL018Cp(Faa1/Faa4)、AGOS_AER358Cp(Pox1)、AGOS_AGL060Wp(Fox2)、AGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)、AGOS_AFL213Wp、AGOS_ADR165Cp、AGOS_AFR453Wp(Pex5)、AGOS_ACR128Cp(Pxa1)および/またはAGOS_AER091Wp(Pxa2)の活性のうちの1以上が増強された生物は、遺伝子改変のない同じ生物よりも多くのリボフラビンを蓄積することができる。用語「同じ生物」とは、本明細書で使用される場合、遺伝子改変の出発生物として使用される生物と同じまたは極めて類似した遺伝的背景を有する生物を意味する。好ましくは、同じ生物は、本明細書に記載されるような遺伝子改変に使用される生物であり得る。遺伝子改変が野生型生物で行われる場合には、その野生型生物は同じ生物と見なすことができる。さらなる実施形態では、遺伝子改変が他の任意のまたは同じ野生型生物で行われる場合には、任意の野生型生物を同じ生物と見なすことができる。遺伝子改変が本明細書の上記に定義されるようなリボフラビン過剰生産生物または株で行われる場合には、遺伝子改変のない前記リボフラビン過剰生産生物を同じ生物と見なすことができる。
本明細書に記載される1または複数の遺伝子改変は、その生物により生産または蓄積されたリボフラビンの量の増大をもたらし得る。この増大は、特定の実施形態において、改変が行われる生物の遺伝的背景、および/または改変の数、および/または過剰発現技術のタイプ、および/または存在するコピー数、および/または培養条件、培養培地条件などのような他の因子、または上記のパラメーターおよび因子のいずれかの組合せに依存し得る。例えば、この増大は、本発明の遺伝子改変生物と同じ条件下で培養される遺伝子改変を持たない生物の少なくとも0.3%、0.5%、0.7%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%または100%を超えるものであり得る。
リボフラビン生産または蓄積および従ってまた同じ生物と比較した場合の改変生物におけるこの生産の増大の決定は、上記のようにすなわち、特定の培養条件および本明細書の上記に記載されるようなニコチンアミドに基づく測光アッセイの使用に基づく細胞培養リボフラビン決定プロトコールに従うことによって実施され得る。特定の実施形態では、決定は、下記に提供される実施例に記載されるように実施され得る。本発明はまた、今後開発され得るプロトコールまたはプロトコールの改良を含め、さらなる決定プロトコールまたは手順も想定する。
さらなる実施形態において、本発明は、本明細書の上記に定義されるような遺伝子改変生物または前記遺伝子改変生物を使用するリボフラビンの生産または蓄積のための方法に関し、前記生物は好ましくは、AGOS_ACL174W(fat1)、AGOS_ABL018C(faa1/faa4)、AGOS_AER358C(pox1)、AGOS_AGL060W(fox2)、AGOS_AFR302W(pot1/fox3)、AGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)またはAGOS_AER091W(pxa2)のうちの少なくとも1つの過剰発現をもたらす、および/またはAGOS_ACL174Wp(Fat1)、AGOS_ABL018Cp(Faa1/Faa4)、AGOS_AER358Cp(Pox1)、AGOS_AGL060Wp(Fox2)、AGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)、AGOS_AFL213Wp、AGOS_ADR165Cp、AGOS_AFR453Wp(Pex5)、AGOS_ACR128Cp(Pxa1)およびAGOS_AER091Wp(Pxa2)のポリペプチドのうちの少なくとも1つが増大された量で提供される、および/またはAGOS_ACL174Wp(Fat1)、AGOS_ABL018Cp(Faa1/Faa4)、AGOS_AER358Cp(Pox1)、AGOS_AGL060Wp(Fox2)、AGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)、AGOS_AFL213Wp、AGOS_ADR165Cp、AGOS_AFR453Wp(Pex5)、AGOS_ACR128Cp(Pxa1)およびAGOS_AER091Wp(Pxa2)の活性のうちの少なくとも1つが増強される、好ましくは本発明の上記に詳細に定義される遺伝子改変を含んでなり、前記生物は少なくとも1つの付加的遺伝子改変を含んでなる。
用語「付加的遺伝子改変」とは、本明細書で使用される場合、上記に定義される生物の任意のさらなる遺伝子的または生化学的改変、例えば、遺伝子またはゲノム領域の欠失、遺伝子または遺伝子断片の過剰発現などの改変を意味する。
好ましい実施形態では、上記に定義される生物の付加的遺伝子改変は、リボフラビンの生産に影響を持つ要素に関する。このような要素は既知であり得るか、または今後見出され得る。好ましくは、付加的遺伝子改変は、エレモテシウム属(Eromothecium)、より好ましくはE.ゴシッピィにおけるリボフラビンの生産に対する影響が知られている活性に関連し得る。このような影響を有することが知られている活性の例は、GLY1;SHM2;ADE4;PRS 2、4;PRS 3;MLS1;BAS1;RIB 1;RIB 2;RIB 3;RIB 4;RIB 5;GUA1;ADE12;IMPDH;およびRIB 7を含んでなる。
よって、遺伝子改変は、エレモテシウム属、好ましくはE.ゴシッピィの遺伝子gly1;shm2;ade4;prs 2、4;prs 3;mls1;bas1;rib 1;rib 2;rib 3;rib 4;rib 5;gua1;ade12;impdh;および/またはrib 7のうち1以上で行うことができる。
さらに好ましい実施形態では、付加的遺伝子改変は、下記の変更:(i)GLY1活性が増強される;および/または(ii)SHM2活性が低減または消失される;および/または(iii)ADE4活性が増強され、かつ/またはフィードバック阻害耐性型として提供される;および/または(iv)PRS 2、4活性が増強される;および/または(v)PRS 3活性が増強される;および/または(vi)MLS1活性が増強される;および/または(vii)BAS1活性が低減または消失される;および/または(viii)RIB 1活性が増強される;および/または(ix)RIB 2活性が増強される;および/または(x)RIB 3活性が増強される;および/または(xi)RIB 4活性が増強される;および/または(xii)RIB 5活性が増強される;および/または(xiii)RIB 7活性が増強される;および/または(xiv)GUA 1活性が増強される;および/または(xv)ADE12活性が低減される;および/または(xvi)IMPDH活性が増強されるうちの少なくとも1つをもたらし得る。
さらに好ましい実施形態では、AGOS_AFR366Wp(GLY1)の活性は、配列番号21のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号22のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号21のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号22のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
さらに好ましい実施形態では、AGOS_AEL188Wp(SHM2)の活性は、配列番号23のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号24のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号23のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号24のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
さらに好ましい実施形態では、AGOS_AGL334Wp(ADE4)の活性は、配列番号25のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号26のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号25のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号26のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
さらに好ましい実施形態では、AGOS_AGR371Cp(PRS 2、4)の活性は、配列番号27のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号28のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号27のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号28のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
さらに好ましい実施形態では、AGOS_AGL080Cp(PRS 3)の活性は、配列番号29のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号30のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号29のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号30のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
さらに好ましい実施形態では、AGOS_ACR268Cp(MLS1)の活性は、配列番号31のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号32のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号32のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
さらに好ましい実施形態では、AGOS_AFR297Wp(BAS1)の活性は、配列番号33のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号34のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号33のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号34のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
さらに好ましい実施形態では、AGOS_ADL296Cp(RIB1)の活性は、配列番号35のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号36のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号36のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
さらに好ましい実施形態では、AGOS_AEL091Cp(RIB2)の活性は、配列番号37のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号38のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号37のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号38のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
さらに好ましい実施形態では、AGOS_ADR118Cp(RIB3)の活性は、配列番号39のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号40のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号39のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号40のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
さらに好ましい実施形態では、AGOS_AGR396Wp(RIB4)の活性は、配列番号41のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号42のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号41のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号42のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
さらに好ましい実施形態では、AGOS_AGR241Wp(RIB5)の活性は、配列番号43のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号44のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号43のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号44のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
さらに好ましい実施形態では、AGOS_AER037Cp(RIB7)の活性は、配列番号45のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号46のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号45のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号46のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
さらに好ましい実施形態では、GUA1活性は、配列番号69のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号70のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号69のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号70のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
さらに好ましい実施形態では、ADE12活性は、配列番号71のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号72のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号71のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号72のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
さらに好ましい実施形態では、IMPDH活性は、配列番号73のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号74のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号73のアミノ酸配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号74のヌクレオチド配列と少なくとも約70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。
用語「その機能的部分または断片」は、本明細書に記載の配列に関して使用する場合、特定の酵素反応を遂行することができるポリペプチドおよびコードヌクレオチド配列の分節または一部を意味する。
特定の実施形態では、AGOS_AFR366Wp(GLY1)活性および(i)AGOS_AGL334Wp(ADE4)活性、および/または(ii)AGOS_AGR371Cp(PRS 2、4)活性、および/または(iii)AGOS_AGL080Cp(PRS 3)活性、および/または(iv)AGOS_ACR268Cp(MLS1)活性および/または(v)AGOS_AER350W(GUA1)活性および/または(vi)AGOS_ AER117W(IMPDH)活性が増強され得る。
さらなる特定の実施形態では、AGOS_AFR366Wp(GLY1)活性および(i)AGOS_ADL296Cp(RIB1)活性、または(ii)AGOS_AEL091Cp(RIB2)活性、または(iii)AGOS_ADR118Cp(RIB3)活性,または(iv)AGOS_AGR396Wp(RIB4)活性、または(v)AGOS_AGR241Wp(RIB5)活性、または(vi)AGOS_AER037Cp(RIB7)活性が増強され得る。
さらなる特定の実施形態では、AGOS_AFR366Wp(GLY1)活性が増強され得、(i)AGOS_AEL188Wp(SHM2)活性が低減または消失され得、かつ/または(ii)AGOS_AFR297Wp(BAS1)活性が低減または消失され得、かつ/または(iii)AGOS_ABL186W(ADE12)活性が低減または消失され得る。
さらに別のセットの実施形態では、AGOS_AFR366Wp(GLY1)活性および(i)AGOS_AGL334Wp(ADE4)活性、および/または(ii)AGOS_AGR371Cp(PRS 2、4)活性、および/または(iii)AGOS_AGL080Cp(PRS 3)活性、および/または(iv)AGOS_ACR268Cp(MLS1)活性が増強され得る。さらに別のセットの実施形態では、AGOS_AFR366Wp(GLY1)活性および(i)AGOS_ADL296Cp(RIB1)活性、および/または(ii)AGOS_AEL091Cp(RIB2)活性および/またはまたは(iii)AGOS_ADR118Cp(RIB3)活性、および/または(iv)AGOS_AGR396Wp(RIB4)活性、および/または(v)AGOS_AGR241Wp(RIB5)活性、および/または(vi)AGOS_AER037Cp(RIB7)活性が増強され得る。
さらに別のセットの実施形態では、AGOS_AFR366Wp(GLY1)活性および(i)AGOS_AGL334Wp(ADE4)活性、および/または(ii)AGOS_AGR371Cp(PRS 2、4)活性、および/または(iii)AGOS_AGL080Cp(PRS 3)活性、および/または(iv)AGOS_ACR268Cp(MLS1)活性および/または(v)AGOS_ADL296Cp(RIB1)活性、および/または(vi)AGOS_AEL091Cp(RIB2)活性および/またはまたは(vii)AGOS_ADR118Cp(RIB3)活性、および/または(viii)AGOS_AGR396Wp(RIB4)活性、および/または(ix)AGOS_AGR241Wp(RIB5)活性、および/または(x)AGOS_AER037Cp(RIB7)活性が増強され得る。
さらに別のセットの実施形態では、AGOS_AFR366Wp(GLY1)活性および(i)AGOS_AGL334Wp(ADE4)活性、および/または(ii)AGOS_AGR371Cp(PRS 2、4)活性、および/または(iii)AGOS_AGL080Cp(PRS 3)活性、および/または(iv)AGOS_ACR268Cp(MLS1)活性および/または(v)AGOS_ADL296Cp(RIB1)活性、および/または(vi)AGOS_AEL091Cp(RIB2)活性および/またはまたは(vii)AGOS_ADR118Cp(RIB3)活性、および/または(viii)AGOS_AGR396Wp(RIB4)活性、および/または(ix)AGOS_AGR241Wp(RIB5)活性、および/または(x)AGOS_AER037Cp(RIB7)活性が増強され得、かつ/あるいは(x)AGOS_AEL188Wp(SHM2)活性が低減または消失され得、かつ/あるいは(xi)AGOS_AFR297Wp(BAS1)活性が低減または消失され得、かつ/あるいは(xii)AGOS_ABL186W(ADE12)活性が低減または消失され得る。
さらに別のセットの実施形態では、AGOS_AFR366Wp(GLY1)活性および(i)AGOS_AGL334Wp(ADE4)活性、および(ii)AGOS_AGR371Cp(PRS 2、4)活性、および(iii)AGOS_AGL080Cp(PRS 3)活性が増強され得る。
さらに別のセットの実施形態では、AGOS_AFR366Wp(GLY1)活性および(i)AGOS_AGL334Wp(ADE4)活性、および(ii)AGOS_AGR371Cp(PRS 2、4)活性、および(iii)AGOS_AGL080Cp(PRS 3)活性が増強され得、かつ(iv)AGOS_AEL188Wp(SHM2)活性が低減または消失され得、かつ(v)AGOS_AFR297Wp(BAS1)活性が低減または消失され得る。
さらに別のセットの実施形態では、AGOS_AFR366Wp(GLY1)活性および(i)AGOS_ADL296Cp(RIB1)活性、および(ii)AGOS_AEL091Cp(RIB2)活性および(iii)AGOS_ADR118Cp(RIB3)活性、およびthe(iv)AGOS_AGR396Wp(RIB4)活性、および(v)AGOS_AGR241Wp(RIB5)活性、および(vi)AGOS_AER037Cp(RIB7)活性が増強され得る。
さらに別のセットの実施形態では、AGOS_AFR366Wp(GLY1)活性および(i)AGOS_ADL296Cp(RIB1)活性、および(ii)AGOS_AEL091Cp(RIB2)活性および(iii)AGOS_ADR118Cp(RIB3)活性、および(iv)AGOS_AGR396Wp(RIB4)活性、および(v)AGOS_AGR241Wp(RIB5)活性、および(vi)AGOS_AER037Cp(RIB7)活性が増強され得、(vii)AGOS_AEL188Wp(SHM2)活性が低減または消失され得、かつ(viii)AGOS_AFR297Wp(BAS1)活性が低減または消失され得る。
さらに別のセットの実施形態では、AGOS_AFR366Wp(GLY1)活性および(i)AGOS_AGL334Wp(ADE4)活性、および(ii)AGOS_AGR371Cp(PRS 2、4)活性、および(iii)AGOS_AGL080Cp(PRS 3)活性が増強され得、かつ(iv)AGOS_ACR268Cp(MLS1)活性および(v)AGOS_ADL296Cp(RIB1)活性、および(vi)AGOS_AEL091Cp(RIB2)活性および(vii)AGOS_ADR118Cp(RIB3)活性、および(viii)AGOS_AGR396Wp(RIB4)活性、および(ix)AGOS_AGR241Wp(RIB5)活性、および(x)AGOS_AER037Cp(RIB7)活性が増強され得る。
さらに別のセットの実施形態では、AGOS_AFR366Wp(GLY1)活性および(i)AGOS_AGL334Wp(ADE4)活性、および(ii)AGOS_AGR371Cp(PRS 2、4)活性、および(iii)AGOS_AGL080Cp(PRS 3)活性が増強され得、かつ(iv)AGOS_ACR268Cp(MLS1)活性および(v)AGOS_ADL296Cp(RIB1)活性、および(vi)AGOS_AEL091Cp(RIB2)活性および(vii)AGOS_ADR118Cp(RIB3)活性、および(viii)AGOS_AGR396Wp(RIB4)活性、および(ix)AGOS_AGR241Wp(RIB5)活性、および(x)AGOS_AER037Cp(RIB7)活性が増強され得、かつ(x)AGOS_AEL188Wp(SHM2)活性が低減または消失され得、かつ(xi)AGOS_AFR297Wp(BAS1)活性が低減または消失され得る。
AGOS_AFR366Wp(GLY1)の活性の増強は、AGOS_AFR366W(gly1)遺伝子の過剰発現によるものであり得る。AGOS_AGL334Wp(ADE4)の活性の増強は、AGOS_AGL334W(ade4)遺伝子の過剰発現によるものであり得る。AGOS_AGR371Cp(PRS 2、4)の活性の増強は、AGOS_AGR371C(prs 2、4)遺伝子の過剰発現によるものであり得る。AGOS_AGL080Cp(PRS 3)の活性の増強は、AGOS_AGL080C(prs 3)遺伝子の過剰発現によるものであり得る。AGOS_ACR268Cp(MLS1)の活性の増強は、AGOS_ACR268C(mls1)遺伝子の過剰発現によるものであり得る。AGOS_ADL296Cp(RIB1)の活性の増強は、AGOS_ADL296C(rib1)遺伝子の過剰発現によるものであり得る。AGOS_AEL091Cp(RIB2の活性の増強は、AGOS_AEL091C(rib2)遺伝子の過剰発現によるものであり得る。AGOS_ADR118Cp(RIB3)の活性の増強は、AGOS_ADR118Cp(rib3)遺伝子の過剰発現によるものであり得る。AGOS_AGR396Wp(RIB4)の活性の増強は、AGOS_AGR396W(rib4)遺伝子の過剰発現によるものであり得る。AGOS_AGR241Wp(RIB5)の活性の増強は、AGOS_AGR241W(rib5)遺伝子の過剰発現によるものであり得る。AGOS_AER037Cp(RIB7)の活性の増強は、AGOS_AER037C(rib7)遺伝子の過剰発現によるものであり得る。AGOS_AEL188Wp(SHM2)の活性の低減または消失は、AGOS_AEL188W(shm2)遺伝子の不活性化によるものであり得る。AGOS_AFR297Wp(BAS1)の活性の低減または消失は、AGOS_AFR297W(bas1)遺伝子の不活性化によるものであり得る。GUA1活性増強は、AGOS_AER350W(gua 1)遺伝子の過剰発現によるものであり得る。IMPDH活性の増強は、AGOS_AER117W(impdh)遺伝子の過剰発現によるものであり得る。ADE12活性の低減または消失は、AGOS_ABL186W(ade12)遺伝子の不活性化によるものであり得る。
AGOS_AFR366W(gly1)遺伝子、AGOS_AGL334W(ade4)遺伝子、AGOS_AGR371C(prs 2、4)遺伝子、AGOS_AGL080C(prs 3)遺伝子、AGOS_ACR268C(mls1)遺伝子、AGOS_ADL296C(rib1)遺伝子、AGOS_AEL091C(rib2)遺伝子、AGOS_ADR118Cp(rib3)遺伝子、AGOS_AGR396Wp(rib4)遺伝子、AGOS_AGR241W(rib5)遺伝子、AGOS_AER350W(gua 1)遺伝子、AGOS_AER117W(impdh)遺伝子および/またはAGOS_AER037C(rib7)遺伝子の過剰発現は、本発明の上記で概略が示されたようなアプローチ、方法およびプロセスに従って、好ましくは、強力なプロモーター、例えば、GDPプロモーターなどの構成的プロモーターを使用することによって行うことができる。特定の実施形態では、プロモーターはまた、異種プロモーターまたは合成プロモーター、例えば、強力な異種プロモーター、または調節可能な異種プロモーターであってもよい。
用語「不活性化」または本明細書で使用される場合、酵素活性をコードする遺伝要素、例えば、分子ベースで、遺伝要素により発現される転写産物または前記遺伝要素によりコードされるタンパク質もしくは酵素活性の任意の改変を意味し、これが活性の機能の完全なまたは部分的中断をもたらす。部分的不活性化または活性の機能の部分的中断は、例えば、野生型のまたは完全な酵素活性の約95%、90%、85%、80%、75%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、3%または3%未満または前述の値の間の任意の値の残存酵素活性をもたらし得る。想定される不活性化の例は、AGOS_AEL188W(SHM2)、AGOS_ABL186W(ADE12)およびAGOS_AFR297W(BAS1)のうちの少なくとも1つの、少なくとも1つのゲノムコピー、好ましくは総てのゲノムコピーの機能破壊または欠失である。好ましい実施形態では、欠失させる遺伝要素またはゲノムコピーは、配列番号24、72および/もしくは34のヌクレオチド配列、または本明細書の上記に定義されるようなその相同配列を含んでなる、を部分的含んでなる、から本質的になる、またはからなる。欠失は、遺伝要素のコード(ORF)内または非コード部分における2以上の残基、例えば、2個から全遺伝子または遺伝子座までの残基の任意の領域を包含し得る。特定の実施形態では、欠失は、ドメイン、タンパク質の下位部分、繰り返し配列または約50未満の連続する塩基対の断片などのより小さな領域にも影響を及ぼすことができるが、より大きな欠失も同様に起こり得る。例えば、タンパク質または酵素がいくつかのサブユニットから構成される場合には、欠失は、1つのタンパク質サブユニットまたは2つ以上のタンパク質サブユニットの領域を含んでなり得る。欠失または機能的破壊は好ましくは、AGOS_AEL188W(SHM2)、AGOS_ABL186W(ADE12)またはAGOS_AFR297W(BAS1)のコード配列またはORF内で起こる。また、本明細書の上記に定義されるようなAGOS_AEL188W(SHM2)、AGOS_ABL186W(ADE12)もしくはAGOS_AFR297W(BAS1)遺伝子の3’非コード配列における、本明細書の上記に定義されるようなAGOS_AEL188W(SHM2)、AGOS_ABL186W(ADE12)もしくはAGOS_AFR297W(BAS1)のプロモーター配列(5’非コード領域も)における、または本明細書の上記に定義されるようなAGOS_AEL188W(SHM2)、AGOS_ABL186W(ADE12)もしくはAGOS_AFR297W(BAS1)に関連する調節配列における機能的破壊も想定される。このような機能的破壊または改変は、例えば、発現の低下または転写産物の不安定性、転写開始の困難などをもたらし、従って、酵素活性の量の低下または完全な不在をもたらし得る。さらなる実施形態では、不活性化は、AGOS_AEL188W(SHM2)、AGOS_ABL186W(ADE12)またはAGOS_AFR297W(BAS1)の遺伝要素のコード(ORF)および/または非コード領域における、例えば、調節配列における突然変異、再配列および/または挿入によるものであってもよい。突然変異は、例えば、コードされるアミノ酸配列の改変をもたらす点突然変異または2もしくは3ヌクレオチド変化、またはORFへの1以上のフレームシフトの導入、または未熟終止コドンの導入、またはORFからの終止コドンの除去、および/または細胞装置、例えば、ポリアデニル化装置に対する認識シグナルの導入、またはタンパク質分解装置に対する破壊シグナルの導入などであり得る。このような改変配列部分は、そのタンパク質の野生型の活性をもはやもたらさないタンパク質を生じ得る。従って、タンパク質は例えば、関連の酵素コア領域内での置換を有してもよく、これにより機能の中断がもたらされ、または異なるアミノ酸から構成されてもよく(フレームシフトによる)、従って適切に機能できない。改変配列部分はさらに、分解を受けやすい不安定な転写産物を生じ得る。さらに、タンパク質の標的化が損なわれる場合もある。
遺伝要素nの機能的破壊または欠失、ならびに上記で概略をしめしたようなこれらの遺伝要素への点突然変異の導入は、例えば、本明細書の上記に記載されるような相同組換えによるなど、当業者に公知のいずれの好適なアプローチによって行ってもよい。
さらなる特定の実施形態では、不活性化は、RNA転写産物のレベルで起こる特定の不活性化プロセスによるものであり得る。このような不活性化は、AGOS_AEL188W(SHM2)、AGOS_ABL186W(ADE12)またはAGOS_AFR297W(BAS1)のRNA転写産物の配列特異的認識と続いてのこれらの転写産物の分解によるものであり得る。このアプローチには、高等真核生物から知られているようなRNA干渉またはアンチセンス法が使用され得る。エレモテシウム属などの真菌はRNAiに必要な活性を欠くと思われるが、本発明は、遺伝子工学による必要な活性の導入を想定する。エレモテシウム属に、S.セレビシエの状態に類似したRNAiがどのように確立され得るかの例は、Drinnenberg et al, 2009, Science 326 (5952), 544-550から導かれる。よって、本発明は、AGOS_AEL188W(SHM2)、AGOS_ABL186W(ADE12)またはAGOS_AFR297W(BAS1)またはそれらの組合せの転写産物のうちのいずれか1つに特異的なsiRNA種の提供を想定する。
用語「siRNA」は、特定のタイプのアンチセンス分子、すなわち、RNA干渉(RNAi)経路を誘導する小阻害RNA二重鎖を意味する。これらの分子の長さは様々であり、約18〜28ヌクレオチド長の間であり得、例えば、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27または28ヌクレオチドの長さを有する。好ましくは、この分子は21、22または23ヌクレオチドの長さを有する。本発明によるsiRNA分子は、それらの標的mRNAに対して、好ましくは、アンチセンス鎖において、様々な程度の相補性を含み得る。siRNAは、センス鎖および/またはアンチセンス鎖の5’または3’末端に不対合のオーバーハング塩基を持ち得る。用語「siRNA」は、2つの別個の鎖の二重鎖、ならびに二重鎖領域を含んでなるヘアピン構造を形成し得る一本鎖を含む。好ましくは、siRNAは二本鎖であってよく、ここで、この二本鎖siRNA分子は第一鎖と第二鎖を含んでなり、siRNA分子の各鎖は約18〜約23ヌクレオチド長であり、siRNA分子の第一鎖は、RNA干渉を介した標的RNAに対して十分な相補性を有するヌクレオチド配列を含んでなり、前記siRNA分子の第二鎖は、第一鎖を相補的なヌクレオチド配列を含んでなる。このような干渉分子の生産はさらに、調節可能なプロモーターからのsiRNAの生産を介して制御および調節され得る。
本発明のさらに別の特定の実施形態では、不活性化は、タンパク質または酵素のレベルで起こる特異的不活性化プロセスによるものであり得る。この不活性化は、AGOS_AEL188Wp(SHM2)、AGOS_ABL186W(ADE12)またはAGOS_AFR297Wp(BAS1)の酵素またはタンパク質に対する小分子などの特異的結合分子の結合によるものであり得る。
本発明に関して「小分子」は、好ましくは生物学的に活性な小有機分子、すなわち、生体分子を意味するが、好ましくは、ポリマーではない。このような有機化合物は、いずれの好適な形態または化学的適性を持っていてもよい。この化合物は、天然化合物、例えば、二次代謝産物、または新たに設計および作出された人工化合物であってもよい。本発明の一実施形態では、小分子は、基質へのAGOS_AEL188Wp(SHM2)、AGOS_ABL186W(ADE12)またはAGOS_AFR297Wp(BAS1)の結合を遮断し得るか、またはAGOS_AEL188Wp(SHM2)、AGOS_ABL186W(ADE12)またはAGOS_AFR297Wp(BAS1)の活性を遮断し得る。例えば、小分子は、AGOS_AEL188Wp(SHM2)、AGOS_ABL186W(ADE12)またはAGOS_AFR297Wp(BAS1)に結合し、それにより、分子とタンパク質の間の強固なまたは不可逆的な相互作用を誘導し、従って、例えば、酵素コアまたは結合ポケットが関与する場合には、そのタンパク質または酵素の正常な(野生型)機能の中断または障害をもたらし得る。このような小分子の同定および作製のための方法および技術、ならびに小分子の試験のためのアッセイは当業者に公知で有り、本明細書でも想定される。
さらに好ましい実施形態では、ADE4のフィードバック阻害型であるAGOS_AGL334Wp(ADE4)の活性は、配列番号47のアミノ酸配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号48のヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされ、あるいは配列番号47のアミノ酸配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するアミノ酸またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなるポリペプチドにより提供され、あるいは配列番号48のヌクレオチド配列と少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%またはそれを超える配列同一性を有するヌクレオチド配列またはその機能的部分もしくは断片を含んでなる、から本質的になる、またはからなる核酸によりコードされる。ADE4のフィードバック阻害型に関するさらなる詳細は、Jimenez et al., 2005, Applied Environmental Microbiology 71, 5743-5751から導くことができる。
本発明はさらに、エレモテシウム属の生物においてリボフラビンの蓄積を増大させるための、本明細書の上記に定義されるような脂肪酸取り込みおよび/またはβ酸化経路に関与する活性をコードする遺伝子の使用を想定する。このアプローチに使用されるこれらの遺伝子は、本明細書の上記で述べられた遺伝子、例えば、AGOS_ACL174W遺伝子(fat1)、AGOS_AER358C遺伝子(pox1)、AGOS_AGL060W遺伝子(fox2)および/またはAGOS_AFR302W遺伝子(pot1/fox3)のいずれであってもよい。さらなる実施形態では、AGOS_ABL018C(faa1/faa4)、AGOS_AFL213W、AGOS_ADR165C、AGOS_AFR453W(pex5)、AGOS_ACR128C(pxa1)またはAGOS_AER091W(pxa2)などの付加的遺伝子は、エレモテシウム属の生物におけるリボフラビンの蓄積のために使用され得る。述べられた遺伝子は、コードされるポリペプチドおよび活性が細胞内に増大された量または濃度で提供され得るように使用できる。これらの遺伝子はいずれの任意の好適な組合せまたは好ましくは、本明細書の上記に記載されるように連結して用いてよい。少なくともAGOS_ACL174W遺伝子(fat1)、AGOS_AER358C遺伝子(pox1)、AGOS_AGL060W遺伝子(fox2)および/またはAGOS_AFR302W遺伝子(pot1/fox3)が過剰発現されることが好ましい。特定の実施形態では、リボフラビンの蓄積の増大は、例えば、本明細書の上記に定義されるようにリボフラビンの生産も含む。
さらなる特定の実施形態では、エレモテシウム属の生物におけるリボフラビンの蓄積を増大させるために付加的遺伝子が使用され得る。これらの遺伝子は、本明細書の上記に定義されるようなエレモテシウム属、好ましくはE.ゴシッピィのgly1;shm2;ade4;prs 2、4;prs 3;mls1;bas1;rib 1;rib 2;rib 3;rib 4;rib 5;gua1;ade12;impdhおよび/またはrib 7を含み得る。GLY1活性が増強されるようにgly1が過剰発現されること;tSHM2活性が低減または消失されるようにshm2が不活性化されること;ADE4活性が増強され、かつ/またはフィードバック阻害耐性型として提供されるように、ade4が過剰発現されること、またはade4フィードバック耐性突然変異体が発現もしくは過剰発現されること;PRS 2、4活性が増強されるようにprs 2、4が過剰発現されること;MLS1活性が増強されるようにmls1が過剰発現されること;BAS1活性が低減または消失されるようにbas1が不活性化されること;RIB 1活性が増強されるようにrib 1が過剰発現されること;RIB 2活性が増強されるようにrib 2が過剰発現されること;RIB 3活性が増強されるようにrib 3が過剰発現されること;RIB 4活性が増強されるようにrib 4が過剰発現されること;RIB 5活性が増強されるようにrib 5が過剰発現されること;GUA1活性が増強されるようにgua1が過剰発現されること;ADE12活性が低減されるようにade12が不活性化されること;IMPDH活性が増強されるようにimpdhが過剰発現されること;および/またはRIB 7活性が増強されるようにrib 7が過剰発現されることが特に好ましい。特定の実施形態では、これらの遺伝子は過剰発現されてもよく、または本明細書の上記に定義されるような形態で、例えば、種々の組合せおよび量で提供されてもよい。
生物は、本明細書の上記で記載されるような任意のエレモテシウム属の種、好ましくは、エレモテシウム・ゴシッピィであり得る。リボフラビンの蓄積を増大させるためのエレモテシウム属の使用は、好適な発酵環境、栄養素の使用、発酵バイアルからのリボフラビンの抽出などを含んでなり得る。従って、本発明は、本明細書の上記に定義されるような、リボフラビンの生産のための対応する方法、またはその派生法を想定する。特定の実施形態では、エレモテシウム属の種は、すでに50〜100mg/l培養培地のリボフラビン、より好ましくは50〜100mg/l培養培地を超えるリボフラビンを蓄積することができる生物である。さらなる実施形態では、エレモテシウム属の種は、遺伝子改変された生物であってもよい。遺伝子改変は、本明細書に記載される改変であり得、例えば、リボフラビンの生産もしくは蓄積に直接的な影響を持つか、または異なる効果を持つ、例えば、他の経路にあってもよく、またはリボフラビンに加え、PUFA、脂肪酸、アミノ酸、糖類などの他の生化学実体の生産に関するか、特定の炭素源を使用する可能性に関するか、特定の窒素源を使用するなどの可能性に関するか、ゲノムまたはゲノム領域の安定性に関するか、相同組換えの工程を可能とするもしくは改善するか、異種遺伝子もしくはプロモーターなどの発現を可能とするか、フィラメンテーション、菌糸体の断片化、pH耐性、密度耐性、塩の使用、耐塩性などの細胞の培養挙動を改善するか、細胞の世代速度に関するか、抗生物質に対する耐性に関するか、またはリボフラビンの生産もしくはリボフラビンと別の産物の共生産に有利であり得る他の任意の形質である。
本発明はさらに、エレモテシウム属の生物においてリボフラビンの蓄積を増大させるための、本明細書の上記に定義されるような脂肪酸取り込みおよび/またはβ酸化経路に関与する活性をコードする遺伝子の使用を想定する。このアプローチに使用される遺伝子は、本明細書の上記で述べた遺伝子、例えば、AGOS_ACL174W遺伝子(fat1)、AGOS_AER358C遺伝子(pox1)、AGOS_AGL060W遺伝子(fox2)、AGOS_ABL018C遺伝子(faa1/faa4)および/またはAGOS_AFR302W遺伝子(pot1/fox3)のいずれかであり得る。
特に好ましい実施形態では、AGOS_ACL174W遺伝子(fat1)、AGOS_AER358C遺伝子(pox1)、AGOS_AGL060W遺伝子(fox2)、AGOS_ABL018C遺伝子(faa1/faa4)および/またはAGOS_AFR302W遺伝子(pot1/fox3)が、それらが強力な、好ましくは構成的、かつ、場合により調節可能なプロモーターを介して、または生物のゲノムにAGOS_ACL174W遺伝子(fat1)、AGOS_AER358C遺伝子(pox1)、AGOS_AGL060W遺伝子(fox2)、AGOS_ABL018C遺伝子(faa1/faa4)および/またはAGOS_AFR302W遺伝子(pot1/fox3)の少なくとも第2のコピーを提供することにより過剰発現されるように使用され得る。第2のコピーなどの提供のためのプロモーターおよび方法は、本明細書の上記に記載されている。
さらなる態様において、本発明は、リボフラビンの生産のための、例えば、脂肪酸取り込みおよび/またはβ酸化経路における上述の遺伝子改変、および場合により、リボフラビンの生産のための、本明細書の上記に定義されるような遺伝子gly1;shm2;ade4;prs 2、4;prs 3;mls1;bas1;rib 1;rib 2;rib 3;rib 4;rib 5;gua1;ade12;impdhおよび/またはrib 7に対する改変などのさらなる遺伝子改変を含んでなる、本明細書の上記に定義されるような生物、特に、遺伝子改変生物の使用に関する。
さらなる態様において、本発明は、本明細書の上記に定義されるような少なくとも1つの生物からのリボフラビン製品に関する。用語「本明細書の上記に定義されるような少なくとも1つの生物からのリボフラビン製品」とは、本明細書の上記に定義されるような本発明の生物からのある割合のリボフラビンまたはその誘導体を含んでなるいずれの産物も意味する。この製品はさらに、その目的に従って修飾および調整された製品であり得る。このような製品は、動物の飼料としてまたはヒトの食品として、栄養補助食品もしくは医薬製剤、真菌錠剤、乳児および幼児用食品などとして好適な食用製品を含み得る。本発明の製品はさらに工業生産用のリボフラビンを含み得る。さらに化学合成プロセス、製薬目的などに有用なリボフラビン製品も想定される。
以下の実施例および図面は例示のために示される。従って、実施例および図面は限定として解釈されるべきではないと理解される。当業者ならば、本明細書で展開された原理のさらなる改変を企図することが明らかにできるであろう。
実施例1
E.ゴシッピィにおいて使用するためのFAT1過剰発現構築物の作出
リボフラビンの工業生産のため、主要炭素源としての油中でE.ゴシッピィの発酵を行った。次に、リボフラビンが脂肪酸から、グリオキシル酸回路、糖新生、ペントースリン酸経路およびプリンおよびリボフラビン合成経路を経て生産される。従って、長鎖脂肪酸取り込みとその後の脂肪酸の活性化、ならびにβ酸化経路が、高リボフラビン生産に必要な前駆体の1つとしてのアセチル−CoAを提供するための重要な段階である。
E.ゴシッピィでは、S.セレビシエFat1遺伝子のシンテニーホモログであるFAT1(ACL174W、配列番号2)遺伝子が同定されている。S.セレビシエでは、Fat1pは、長鎖脂肪酸輸送のレベルでの脂肪酸輸送および超長鎖脂肪酸の活性化に中枢的役割を果たす二機能性タンパク質である(Zou et al., 2002, Journal of Biological Chemistry, 277, 31062-31071)。
E.ゴシッピィにおける、リボフラビン生合成の標的化された最適化に関する脂肪酸取り込みおよび活性化の影響を評価するため、脂肪酸輸送体をコードするFAT1遺伝子の過剰発現のための構築物を作出した。この目的で、天然FAT1プロモーターをE.ゴシッピィの強力な構成的GPDプロモーターに置き換えた。
プロモーター置換のための過剰発現プラスミドpGPDp−FAT1(配列番号49、図4参照)をCPECクローニング法(Quan et al., 2009, PLOS ONE 4: e6441)により、4つのオーバーラップ断片を用いて構築した。断片は総て、特異的なオーバーラッププライマーを用いてPCRにより作製した。1つの断片は、大腸菌複製起点と大腸菌での選択のためのアンピシリン耐性遺伝子を含有する3025bpのベクター骨格に相当する。断片2および3はE.ゴシッピィ由来の300bpまたは296bp長のゲノム組み込み部位、いわゆるhom部位AおよびBであり、1959bpの断片4は、loxP−KanMX−loxP耐性カセットならびにE.ゴシッピィGPD遺伝子のプロモーター配列を含む。
これらの反復逆向きloxP配列は、Guldener et al., 1996, Nucleic Acids Research, 24, 2519-2524に記載されているように、CREリコンビナーゼを発現することによって選択マーカーを除去し、その後再利用することを可能とする。
得られたプラスミドpGPDp−FAT1は、Plsasmid Maxi Kit(Qiagen、ドイツ)を用いて高い量で単離された。ゲノム組み込み部位AおよびB、KanMX耐性マーカーならびにGPDプロモーター配列を含有する断片は、プラスミドpGPD−FAT1から、BsgIおよびBseRI消化を用いて単離した。得られた2419bpの断片を、Wizard SV Gel and PCR Clean−Up System(Promega、ドイツ)を生産者の説明書に従ってゲル精製した。次に、精製断片をE.ゴシッピィ株PS3および野生型株ATCC10895の形質転換に用いた。過剰発現モジュールのゲノム組み込みは分析的PCRにより確認した(実施例4および7も参照)。
実施例2
E.ゴシッピィにおける使用のためのPOX1過剰発現構築物の作出
E.ゴシッピィは、ペルオキシソームに位置する1つのβ酸化経路を有する(Vorapreeda et al., 2012, Microbiology, 158, 217-228参照)。エレモテシウム属/アシュビアゲノムデータベース(http://agd.vital-it.ch/index.html)によれば、遺伝子AER358C(POX1)、AGL060W(FOX2)およびAFR302W(POT1/FOX3)はそれぞれS.セレビシエ遺伝子POX1、FOX2およびPOT1/FOX3のシンテニーホモログであり、β酸化経路の酵素活性をコードする。
E.ゴシッピィにおけるリボフラビン生合成の標的化された最適化に関するβ酸化経路の影響を評価するために、アシル−CoAオキシダーゼをコードするPOX1遺伝子(配列番号6)の過剰発現のための構築物を作出した。この目的で、天然POX1プロモーターをE.ゴシッピィの強力な構成的GPDプロモーターに置き換えた。
プロモーター置換のための過剰発現プラスミドpGPDp−POX1(配列番号50、図5参照)をCPECクローニング法(Quan et al. PLOS ONE 4: e6441参照)により、4つのオーバーラップ断片を用いて構築した。断片は総て、特異的なオーバーラッププライマーを用いてPCRにより作製した。1つの断片は、大腸菌複製起点と大腸菌での選択のためのアンピシリン耐性遺伝子を含有する3026bpのベクター骨格に相当する。断片2および3はE.ゴシッピィ由来の302bpまたは285bp長のゲノム組み込み部位、いわゆるhom部位AおよびBであり、1960bpの断片4は、loxP−KanMX−loxP耐性カセットならびにE.ゴシッピィGPD遺伝子のプロモーター配列を含む。
これらの反復逆向きloxP配列は、Guldener et al., 1996, Nucleic Acids Research, 24, 2519-2524に記載されているように、CREリコンビナーゼを発現することによって選択マーカーを除去し、その後再利用することを可能とする。
得られたプラスミドpGPDp−POX1は、Plsasmid Maxi Kit(Qiagen、ドイツ)を用いて高い量で単離された。ゲノム組み込み部位AおよびB、KanMX耐性マーカーならびにGPDプロモーター配列を含有する断片は、プラスミドpGPD−POX1から、BsgIおよびBseRI消化を用いて単離した。得られた2412bpの断片を、Wizard SV Gel and PCR Clean−Up System(Promega、ドイツ)を生産者の説明書に従ってゲル精製した。次に、精製断片をE.ゴシッピィ株PS3および野生型株ATCC10895の形質転換に用いた。過剰発現モジュールのゲノム組み込みは分析的PCRにより確認した(実施例4および7も参照)。
実施例3
E.シッピィにおいて使用するためのPOT1−FOX2過剰発現構築物の作出
E.ゴシッピィは、ペルオキシソームに位置する1つのβ酸化経路を有する(Vorapreeda et al., 2012, Microbiology, 158, 217-228参照)。アシュビアゲノムデータベース(http://agd.vital-it.ch/index.html)によれば、遺伝子AER358C(POX1)、AGL060W(FOX2)およびAFR302W(POT1/FOX3)はそれぞれS.セレビシエ遺伝子POX1、FOX2およびPOT1のシンテニーホモログであり、β酸化経路の酵素活性をコードする。
E.ゴシッピィにおけるβ酸化経路の活性を増強するため、POT1/FOX3(配列番号10)およびFOX2(配列番号8)遺伝子の同時過剰発現のための構築物を作出した。POT1は3−ケトアシル−CoAチオラーゼをコードし、FOX2タンパク質はヒドラターゼおよびデヒドロゲナーゼ活性を示す。過剰発現のため、これら両遺伝子の第2のコピーをE.ゴシッピィのNOP12(ACR274W)遺伝子座の上流に直列配置で組み込んだ。
過剰発現プラスミドpPOT1−FOX2(配列番号51、図6参照)をCPECクローニング法(Quan et al. PLOS ONE 4: e6441参照)により、6つのオーバーラップ断片を用いて構築した。断片は総て、特異的なオーバーラッププライマーを用いてPCRにより作製した。1つの断片は、大腸菌複製起点と大腸菌での選択のためのカナマイシン耐性遺伝子を含有する2330bpのベクター骨格に相当する。断片2および3はE.ゴシッピィ由来の296bpまたは297bp長のゲノム組み込み部位、いわゆるhom部位AおよびBであり、1620bpの断片4は、loxP−KanMX−loxP耐性カセットを含む。断片5は、POT1オープンリーディングフレームをプロモーターおよびターミネーター配列とともに包含し、2118bpのサイズを有する。対応するプロモーターおよびターミネーターを含むFOX2遺伝子のPCR増幅は、3247bpのサイズを有する断片6をもたらす。
これらの反復逆向きloxP配列は、Guldener et al., 1996, Nucleic Acids Research, 24, 2519-2524に記載されているように、CREリコンビナーゼを発現することによって選択マーカーを除去し、その後再利用することを可能とする。
得られたプラスミドpPOT1−FOX2は、Plsasmid Maxi Kit(Qiagen、ドイツ)を用いて高い量で単離された。ゲノム組み込み部位AおよびB、KanMX耐性マーカーならびにPOT1およびFOX2遺伝子を含有する断片は、プラスミドPOT1−FOX2から、SwaI消化を用いて単離した。得られた7373bpの断片を、Wizard SV Gel and PCR Clean−Up System(Promega、ドイツ)を生産者の説明書に従ってゲル精製した。次に、精製断片をE.ゴシッピィ株PS3および野生型株ATCC10895の形質転換に用いた。過剰発現モジュールのゲノム組み込みは分析的PCRにより確認した(実施例4および7も参照)。
実施例4
FAT1、POX1またはPOT1およびFOX2のいずれかを過剰発現するE.ゴシッピィ株の作出および分析
E.ゴシッピィGPDプロモーターの制御下にFAT1またはPOX1のいずれかを保持するか、またはPOT1およびFOX2遺伝子の第2のコピーを保持する過剰発現カセットを構築し、上記のように単離した(実施例1〜3も参照)。精製断片を、Jimenez et al., 2005, Applied Environmental Microbiology 71, 5743-5751に提供されるプロトコールに従い、E.ゴシッピィ株PS3の胞子を用い形質転換させた。得られた形質転換体を200mg/Lジェネティシン(G418)を含有するMA2培地(10g/Lバクトペプトン、10g/Lグルコース、1g/L酵母抽出物、0.3g/L Myoinosit、20g/L寒天)上で選択した。
ゲノムDNAの単離のための十分な菌糸を入手するために、形質転換体を、200mg/Lジェネティシン(G418)を含有するSP培地プレート(3g/Lダイズ粉、3g/L酵母抽出物、3g/L麦芽抽出物、20g/L Cornmeal、1g/L消泡剤、10g/1Lグルコース、30g/L寒天、pH6.8)に植え込んだ。
次に、各形質転換体のゲノムDNAを、DNeasy Plant Mini Kit(Qiagen、ドイツ)を生産者の推奨に従って用いて単離した。その後、ゲノムDNAを種々のPCR分析に用い、過剰発現構築物の適切な組み込みを調べた。
5’および3’組み込み部位における過剰発現構築物の適性の組み込みを調べるために、下記のPCR分析を行った。同核バックグラウンドに関して株を分析するために天然対照としてさらなるPCR反応を行った。
Figure 2017502657
同核株を得ることを保証するために単一胞子単離のために陽性形質転換体を選択した。単一胞子は次のように単離した:形質転換体の菌糸を500μL生理食塩水−Triton溶液(9g/L NaCl、600μl/L Triton X−100)に溶かした後、500μLのn−ヘキサンを加え、混合した。この混合物を1分間14000rpmで遠心分離し、上相に含まれる単一胞子を、200mg/Lジェネティシン(G418)を含有するSP培地プレート上に播種した。
単一胞子単離から得られた株を、ここでも上記のようにPCR分析を用いて試験した。陽性株をCRE組換えに用い、KanMX選択マーカーを除去した。CRE組換えの形質転換を、Guldener et al., 1996, Nucleic Acids Research, 24, 2519-2524に記載されているように行った。得られた株をPCR分析し、選択マーカーが欠失していることを確認した。PCR反応は次のように行った。
Figure 2017502657
選択マーカーの欠失および同時に過剰発現モジュールの適正な組み込みを示した株を振盪フラスコ試験のために選択し、リボフラビンの生産を調べ、参照E.ゴシッピィPS3株と比較して対応する収率を決定した(実施例5も参照)。
実施例5
FAT1、POX1またはPOT1およびFOX2のいずれかを過剰発現するE.ゴシッピィ株の作出および分析
脂肪酸の取り込みおよび活性化ならびにβ酸化経路への効率的フラックスは、FAT1、POX1、POT1およびFOX2の過剰発現が行われたリボフラビン生産のために十分な前駆体を提供するために重要な段階である。リボフラビン生産に対する遺伝子過剰発現の効果を分析するために、上記の株を主要炭素源としてナタネ油を用いる振盪フラスコ実験で試験し、リボフラビン力価を決定した。総ての振盪フラスコ実験を3反復で行って、対応する株のリボフラビン性能を評価した。
バッフルの無い100mLエルレンマイヤーフラスコに入れた10mlの前培養培地に、SP培地プレート上で3〜4日間成長させたE.ゴシッピィ菌糸(1cm)を植え込んだ。これらのフラスコを30℃、200rpmで40時間インキュベートした。1mlの前培養物を用いて、フラットバッフルを備えた250mLのエルレンマイヤーフラスコに入れた24.83mlの主培養培地に植え込んだ。総てのフラスコを秤量してインキュベーション前の質量を求め、その後、約30℃および200rpmで6日間インキュベートした。成長後、総てのフラスコを再び秤量してインキュベーション後の質量を求め、従って、インキュベーション中の蒸発の影響を含むことができる。
Figure 2017502657
上記培養物を、測光アッセイを用いてリボフラビン生産に関して分析した。この目的で、250μLの培養物を4.75mLの40%ニコチンアミド溶液と混合し、暗所、70℃で40分インキュベートした。サンプルを5分間冷却した。次に、40μLのサンプルを3mLのHOと混合し、440nmで吸光度を測定した。ブランクとして3mLのHOを用いた。総てのサンプルを2回測定した。
次に、リボフラビン力価を下式に従って計算した。
力価リボフラビン[g/L]=(吸光度[444nm]×Mリボフラビン×ニコチンアミド希釈率×((Vcuvette+Vサンプル)/Vサンプル))/モル消衰係数/1000
リボフラビン=376,37mol/L
モル消衰係数=12216L/mol/cm
培養中の蒸発を考慮する式:
((25,83 −(mインキュベーション前−mインキュベーション後))/21,93)×力価リボフラビン[g/L]
図7に示される結果は、1株当たり3本の独立した振盪フラスコの平均力価を示す。
E.ゴシッピィのGPDプロモーター下でFAT1遺伝子を過剰発現する株は、参照株PS3に比べてリボフラビン生産に6〜8%の増加を示し(図7A参照)、脂肪酸取り込みおよび活性化のより高い活性がリボフラビン生産の重要な段階であり、従って、株の最適化の好適な標的であると結論づけられる。
さらに、リボフラビン力価は、POX1ならびにPOT1およびFOX2過剰発現株で参照株バックグラウンドよりも有意に高いことが見出された。GPDプロモーター下でのPOX1の過剰発現はリボフラビン収率に4〜6%の増加をもたらし(図7B参照)、一方、第2の遺伝子コピーの導入によるPOT1およびFOX2の同時過剰発現は、10%高いリボフラビン収率をもたらす(図7C参照)。
これらの結果は、β酸化経路活性の標的化された増強が、工業的リボフラビン生産を有意に改善するために適当な戦略であることを示す。
実施例6
E.ゴシッピィで使用するためのFAA1,4過剰発現構築物の作出
E.ゴシッピィでは、S.セレビシエFaa1およびFaa4遺伝子のシンテニーホモログであるfaa1/faa4(ABL018C、配列番号4)遺伝子が同定されている。酵母では、脂肪酸輸送は一般に活性Fat1p、Faa1pおよびFaa4pを少なくとも必要とする。脂肪酸輸送のプロセスは、Faa1pまたはFaa4pのいずれかの結果としての脂肪酸のエステル化によって明らかに駆動される。とりわけ、Fat1pとFaa1pは機能的関連を示し、それにより、外因性の長鎖脂肪酸の調節輸送を媒介すると仮定される。
E.ゴシッピィにおけるリボフラビン生合成の標的化された最適化に関する脂肪酸取り込みおよび活性化の影響を評価するため、長鎖アシル−CoAシンセターゼをコードするfaa1/faa4遺伝子の過剰発現のための構築物を作出した。過剰発現のために、第2の遺伝子コピーをE.ゴシッピィのMPT5(ADL056W)遺伝子座の下流に組み込んだ。
過剰発現プラスミドpFAA1,4(配列番号75、図8参照)を、S.セレビシエにおける形質転換関連組換えクローニング(Kouprina and Larionov, 2008, Nature Protocols 3: 371-377参照)により、7つのオーバーラップ断片を用いて構築した。断片は総て、特異的なオーバーラッププライマーを用いてPCRにより作製した。1つの断片は、大腸菌複製起点と大腸菌での選択のためのアンピシリン耐性遺伝子を含有する1885bpのベクター骨格に相当する。断片2および3は、選択のためのURA3遺伝子(1107bp)およびS.セレビシエでの複製のための2μmオリジン(1551bp)である。断片4および5は、E.ゴシッピィ由来の305bpまたは350bp長のゲノム組み込み部位、いわゆるhom部位AおよびBに相当し、1581bpの断片6は、loxP−KanMX−loxP耐性カセットを含む。これらの反復逆向きloxP配列は、Guldener et al., 1996, Nucleic Acids Research, 24, 2519-2524に記載されているように、CREリコンビナーゼを発現することによって選択マーカーを除去し、その後再利用することを可能とする。断片7は、FAA1,4オープンリーディングフレームをプロモーターおよびターミネーター配列とともに包含し、2757bpのサイズを有する。
総ての断片をS.セレビシエで従前に記載されているように(Kouprina and Larionov, 2008, Nature Protocols 3: 371-377参照)形質転換し、得られた酵母コロニーをコロニーPCRにより、対応するプラスミドFAA1,4の存在に関してスクリーニングした。選択された陽性酵母コロニーからのプラスミドDNAの単離は、Wizard Plus SV Minipreps DNA精製キット(Promega、ドイツ)を用い、特殊な酵母細胞溶解バッファー(0.5g SDS、292mg NaCl、0,5ml 1M Tris/HCl pH8、1g Triton X−100、50mlのHOを添加)を用いた細胞溶解工程を除いては、生産者の指示に従って行った。次に、単離されたプラスミドを増幅のため、大腸菌に形質転換した。得られたプラスミドpFAA1,4は、Plasmid Maxi Kit(Qiagen、ドイツ)を用いて高い量で単離された。
ゲノム組み込み部位AおよびB、KanMX耐性マーカーならびにFAA1,4遺伝子を含有する断片を、プラスミドpFAA1,4から、SwaI消化を用いて単離した。得られた5001bpの断片を、Wizard SV Gel and PCR Clean−Up System(Promega、ドイツ)を生産者の指示に従って用いてゲル精製した。次に、精製断片をE.ゴシッピィ株野生型株ATCC10895の形質転換に用いた。過剰発現モジュールのゲノム組み込みは分析的PCRにより確認した(実施例7も参照)。
実施例7
野生型ATCC10895バックグラウンドでFAT1、POX1、FAA1,4,またはPOT1およびFOX2のいずれかを過剰発現するE.ゴシッピィ株の作出および分析
E.ゴシッピィGPDプロモーターの制御下にFAT1またはPOX1のいずれかを保持するか、またはPOT1/FOX2およびFAA1,4遺伝子の第2のコピーを保持する過剰発現カセットを構築し、上記のように単離した(実施例1〜3および実施例6も参照)。精製断片を、Jimenez et al., 2005, Applied Environmental Microbiology 71, 5743-5751に提供されるプロトコールに従い、E.ゴシッピィ野生型株ATCC10895の胞子を用い形質転換させた。得られた形質転換体を200mg/Lジェネティシン(G418)を含有するMA2培地(10g/Lバクトペプトン、10g/Lグルコース、1g/L酵母抽出物、0.3g/L Myoinosit、20g/L寒天)上で選択した。
ゲノムDNAの単離のための十分な菌糸を入手するために、形質転換体を、200mg/Lジェネティシン(G418)を含有するSP培地プレート(3g/Lダイズ粉、3g/L酵母抽出物、3g/L麦芽抽出物、20g/L Cornmeal、1g/L消泡剤、10g/1Lグルコース、30g/L寒天、pH6.8)に植え込んだ。
次に、各形質転換体のゲノムDNAを、DNeasy Plant Mini Kit(Qiagen、ドイツ)を生産者の推奨に従って用いて単離した。その後、ゲノムDNAを種々のPCR分析に用い、過剰発現構築物の適切な組み込みを調べた。
5’および3’組み込み部位における過剰発現構築物の適性の組み込みを調べるために、下記のPCR分析を行った。同核バックグラウンドに関して株を分析するために天然対照としてさらなるPCR反応を行った。
Figure 2017502657
同核株を得ることを保証するために単一胞子単離のために陽性形質転換体を選択した。単一胞子は次のように単離した:形質転換体の菌糸を500μL生理食塩水−Triton溶液(9g/L NaCl、600μl/L Triton X−100)に溶かした後、500μLのn−ヘキサンを加え、混合した。この混合物を1分間14000rpmで遠心分離し、上相に含まれる単一胞子を、200mg/Lジェネティシン(G418)を含有するSP培地プレート上に播種した。
単一胞子単離から得られた株を、ここでも上記のようにPCR分析を用いて試験した。陽性株をCRE組換えに用い、KanMX選択マーカーを除去した。CRE組換えの形質転換を、Guldener et al., 1996, Nucleic Acids Research, 24, 2519-2524に記載されているように行った。得られた株をPCR分析し、選択マーカーが欠失していることを確認した。PCR反応は次のように行った。
Figure 2017502657
選択マーカーの欠失および同時に過剰発現モジュールの適正な組み込みを示した株を振盪フラスコ試験のために選択し、リボフラビンの生産を調べ、参照E.ゴシッピィATCC10895株と比較して対応する収率を決定した(実施例8も参照)。
実施例8
野生型ATCC10895バックグラウンドにFAT1、POX1、FAA1/FAA4またはPOT1およびFOX2のいずれかを過剰発現するE.ゴシッピィ株におけるリボフラビン生産の分析
脂肪酸の取り込みおよび活性化ならびにβ酸化経路への効率的フラックスは、FAT1、POX1、FAA1/FAA4、POT1およびFOX2の過剰発現が行われたリボフラビン生産のために十分な前駆体を提供するために重要な段階である。リボフラビン生産に対する野生型バックグラウンドでの遺伝子過剰発現の効果を分析するために、上記の株を振盪フラスコ実験で試験し、リボフラビン力価を決定した。参照として親株ATCC10895を並行して分析した。
全(細胞内および細胞外)リボフラビン生産レベルを、分光測定アッセイを用いて測定した。リボフラビン分析のため、株を28℃で、MA2培地中、150rpmでの軌道振盪を用いて培養した。一定容量の1M HClを1mLの培養物に加え、100℃で30分間インキュベートした。サンプルを冷却した後、菌糸を0.5mmガラスビーズ(Sigma−Aldrich)と強力ボルテックスを用いて溶解させた。遠心分離後、上清中のリボフラビン濃度を、Varioskanマイクロタイタープレートリーダー(Thermo Scientific)にて、分光測定により決定した(λexc=450nm)。純粋なリボフラビン(Sigma−Aldrich)を用いて検量線を実行し、サンプルと同様に処理した。
図9に示される結果は、1株当たり3本の独立した振盪フラスコの平均力価を示す。野生型株ATCC10895は、約70mg/Lの平均リボフラビン力価を示す。E.ゴシッピィのGPDプロモーター下でFAT1遺伝子を過剰発現するATCC10895株は、リボフラビン生産に参照株の約3倍の増加を示す。さらに、FAA1/FAA4遺伝子の過剰発現は、リボフラビン力価に2倍の増加をもたらし、脂肪酸取り込みおよび活性化のより高い活性がリボフラビン生産の重要な段階であり、従って、株の最適化の好適な標的であると結論づけることができる。
加えて、リボフラビン力価は、POX1ならびにPOT1およびFOX2過剰発現株では、野生型株バックグラウンドの場合の2倍を超えることが見出された。
これらの結果は、β酸化経路活性の標的化された増強が、工業的リボフラビン生産を有意に改善するために適当な戦略であることを示す。

Claims (15)

  1. エレモテシウム属の遺伝子改変生物においてリボフラビンを生産する方法であって、前記遺伝子改変は前記生物の脂肪酸取り込みおよび/またはβ酸化経路に関連付けられ、
    (i)前記生物を培養培地中、好ましくは脂肪酸油の存在下、および場合により非脂質炭素源の存在下で増殖させること;および
    (ii)前記培養培地からリボフラビンを単離すること
    を含んでなる、方法。
  2. エレモテシウム属に属すリボフラビン蓄積生物を、前記生物を遺伝子改変することにより提供する方法であって、前記遺伝子改変が前記生物の脂肪酸取り込みおよび/またはβ酸化経路に関連付けられる、方法。
  3. 遺伝子改変された、エレモテシウム属に属すリボフラビン蓄積生物であって、前記遺伝子改変が前記生物の脂肪酸取り込みおよび/またはβ酸化経路に関連付けられる、生物。
  4. 前記遺伝子改変が、前記生物の少なくともAGOS_ACL174Wp(Fat1)活性の増強および/またはAGOS_AER358Cp(Pox1)活性の増強および/またはAGOS_AGL060Wp(Fox2)およびAGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)活性の増強をもたらす、請求項1もしくは2の方法、または請求項3の生物。
  5. 前記遺伝子改変生物が遺伝子改変のない同じ生物よりも少なくとも5〜10%多いリボフラビンを蓄積することができる、請求項2もしくは4に記載の方法、または請求項3もしくは4に記載の生物。
  6. (i)前記AGOS_ACL174Wp(Fat1)活性の増強がAGOS_ACL174W遺伝子(fat1)の過剰発現によるものであり;かつ/または
    (ii)前記AGOS_AER358Cp(Pox1)活性の増強がAGOS_AER358C遺伝子(pox1)の過剰発現によるものであり;かつ/または
    (iii)前記AGOS_AGL060Wp(Fox2)活性およびAGOS_AFR302Wp(Pot1/Fox3)活性の増強がAGOS_AGL060W遺伝子(fox2)およびAGOS_AFR302W遺伝子(pot1/fox3)の過剰発現によるものである、
    請求項4もしくは5に記載の方法、または請求項4もしくは5に記載の生物。
  7. 前記AGOS_ACL174W遺伝子(fat1)、AGOS_AER358C遺伝子(pox1)、AGOS_AGL060W遺伝子(fox2)および/またはAGOS_AFR302W遺伝子(pot1/fox3)の過剰発現が、強力な、好ましくは構成的、かつ、場合により調節可能なプロモーターにより、または前記生物のゲノムにおけるAGOS_ACL174W遺伝子(fat1)、AGOS_AER358C遺伝子(pox1)、AGOS_AGL060W遺伝子(fox2)および/またはAGOS_AFR302W遺伝子(pot1/fox3)の少なくとも第2のコピーの提供によりもたらされる、請求項6に記載の方法または生物。
  8. 前記遺伝子改変生物が少なくとも1つの付加的遺伝子改変を含んでなる、請求項1、2、もしくは4〜7のいずれか一項に記載の方法、または請求項3〜7のいずれか一項に記載の生物。
  9. 前記付加的遺伝子改変は、
    (i)GLY1;
    (ii)SHM2;
    (iii)ADE4;
    (iv)PRS 2、4;
    (v)PRS 3;
    (vi)MLS1;
    (vii)BAS1;
    (viii)RIB 1;
    (ix)RIB 2;
    (x)RIB 3;
    (xi)RIB 4;
    (xii)RIB 5;および
    (xiii)RIB 7
    を含んでなる群から選択される少なくとも1つの活性の変更をもたらす、請求項8に記載の方法または生物。
  10. 前記付加的遺伝子改変が以下の変更:
    (i)GLY1活性が増強される;および/または
    (ii)SHM2活性が低減または消失される;および/または
    (iii)ADE4活性が増強され、かつ/またはフィードバック阻害耐性型として提供される;および/または
    (iv)PRS 2、4活性が増強される;および/または
    (v)PRS 3活性が増強される;および/または
    (vi)MLS1活性が増強される;および/または
    (vii)BAS1活性が低減または消失される;および/または
    (viii)RIB 1活性が増強される;および/または
    (ix)RIB 2活性が増強される;および/または
    (x)RIB 3活性が増強される;および/または
    (xi)RIB 4活性が増強される;および/または
    (xii)RIB 5活性が増強される;および/または
    (xiii)RIB 7活性が増強される
    のうちの少なくとも1つをもたらす、請求項8または9に記載の方法または生物。
  11. エレモテシウム属の生物においてリボフラビンの蓄積を増大させるための、AGOS_ACL174W遺伝子(fat1)、AGOS_AER358C遺伝子(pox1)、AGOS_AGL060W遺伝子(fox2)および/またはAGOS_AFR302W遺伝子(pot1/fox3)の使用。
  12. AGOS_ACL174W遺伝子(fat1)、AGOS_AER358C遺伝子(pox1)、AGOS_AGL060W遺伝子(fox2)および/またはAGOS_AFR302W遺伝子(pot1/fox3)が強力な、好ましくは構成的、かつ、場合により調節可能なプロモーターを介して、または前記生物のゲノムにおけるAGOS_ACL174W遺伝子(fat1)、AGOS_AER358C遺伝子(pox1)、AGOS_AGL060W遺伝子(fox2)および/もしくはAGOS_AFR302W遺伝子(pot1/fox3)の少なくとも第2のコピーの提供により過剰発現される、請求項11に記載の使用。
  13. リボフラビンの生産のための請求項3〜10のいずれか一項で定義される生物の使用。
  14. 前記エレモテシウム属に属す生物が、エレモテシウム・アシュビイ(Eremothecium ashbyi)、エレモテシウム・コリリ(Eremothecium coryli)、エレモテシウム・シムバラリエ(Eremothecium cymbalariae)、エレモテシウム・ゴッシピィ(Eremothecium gossypii)、エレモテシウム・シネコウダム(Eremothecium sinecaudum)の種またはエレモテシウムCID1339種(Eremothecium sp. CID1339)である、請求項1、2、もしくは4〜10のいずれか一項に記載の方法、または請求項3〜10のいずれか一項に記載の生物、または請求項11〜13のいずれか一項に記載の使用。
  15. 請求項3〜10または14のいずれか一項に定義される少なくとも1つの生物からのリボフラビン製品。
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