JP2017500422A - スカベンジャー注入 - Google Patents

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Abstract

本発明は、重合反応器システム内でのオレフィンの重合プロセスに関し、特に、この重合反応器システムが、(i)ガス出口と、ポリマー含有ストリームの回収のための1つ以上の回収ラインとを有する気相反応器、(ii)ガス出口から反応器を出るガスを再循環させて反応器に戻すための再循環ループ、(iii)回収されたポリマー含有ストリーム中のポリマー生成物から反応物質を分離するためのポリマー分離システム、及び(iv)回収されたポリマー含有ストリーム中の、反応器から除去された反応物質を再循環させて反応器に戻すための再循環システムを含む、重合反応器システム内でのオレフィンの重合プロセスにおいて、再循環ループ、ポリマー分離システム及び再循環システムの1つ以上に直接スカベンジャーを導入することを特徴とするプロセスを提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、重合反応器システム内でのオレフィンの重合プロセス、特に触媒毒(例えば水)と反応する化合物の添加プロセスに関する。
気相反応器を含む反応器システム内でオレフィンを触媒系と接触させることによるオレフィンの重合は知られている。流動床気相重合プロセスにおいては、例えば、ポリマー床は、オレフィンを含む流動化ガスの上昇ストリーム(流れ)によって流動状態で維持され、このガスが反応器を出てから再循環される。
気相内での重合反応の始動は一般的に、苗床として知られるポリマーの予形成床を反応器に導入し、この苗床を流動化し、反応器内に反応ガス混合物を形成してから触媒を導入して反応を開始させることによって行なわれる。
それから重合が連続的に行なわれ;必要に応じて触媒系及び補給反応物質及び他の反応ガス混合物成分が連続的又は非連続的に導入される。生成ポリマーは反応器から連続的又は非連続的に回収され得る。予形成苗床は最初の流動床を形成するが、反応が起こってポリマー固体が回収されるにつれて最初の流動床は形成ポリマー床に置き換えられる。
反応器を去るガスは一般的に冷却された後、再循環されて反応器に戻る。好ましいプロセスでは、ガスは液体成分がガスストリームから凝縮される温度より低く冷却され、液相も気相も再循環され、反応器内の凝縮液体成分の気化が反応に重要な冷却をもたらす。反応器を出るガスからの凝縮液体の形成及びこの凝縮液体の反応器への導入は一般的に「凝縮モード」操作として知らている。
ポリオレフィンの工業生産においては、重合反応の停止が必要となる場合がある。これにはいくつかの理由がある。例えば、反応システムの反応器又は他の部分の計画的又は計画外のメンテナンスのため又は清掃のために反応器をシャットダウンすることがある。いくつかの遷移プロセス等の特定操作も重合を停止させる必要がある。
これらの種々の操作中に重合反応器に水及び/又は酸素等の不純物(「触媒毒」)が導入されることがある。例えば、シャットダウン中に反応器を開放すると、水及び/又は酸素等の不純物が反応器に入り得る。別の例として、遷移中に新しい苗床を導入する場合、該苗床の貯蔵中に蓄積した水、酸素又は他の不純物を苗床が含むことがある。これらの不純物は重合の再開を阻害する恐れがあり、著しい困難を引き起こし得る。
このため、反応器及び苗床をパージして水及び他の不純物を除去することが知られている。不純物と反応することによって不純物を除去できる「スカベンジャー」として知られる化合物を導入することも知られている。
パージ方法は、高温にて窒素等の不活性ガスで加圧パージする工程、或いは減圧下で窒素又は他の適切な不活性ガスで反応器をフローパージする工程を含む。好ましくは高温で、反応器上にバキュームを置いて水のレベルを減らすことができる。
スカベンジャーに関しては、アルキルアルミニウム及び他のアルキル金属化合物、例えばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム及びジエチル亜鉛等が、重合開始前に触媒毒のスカベンジャーとして機能するために、反応器に導入されている。
エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン、イソブタン、1-ブテン、n-ペンタン、イソペンタン、n-ヘキサン及び1-ヘキセン等の炭化水素もガス状態で導入し、循環させて循環媒体の熱容量を増やし、ひいては乾燥を速めることができる。例えば、WO2004007571は、オレフィンの気相内の重合又は共重合プロセスであって、ポリマー又はコポリマーが流動床内で維持され、及び/又は機械的撹拌によって撹拌される反応器内において重合又は共重合条件下で前記オレフィンを触媒系と接触させることによるプロセスを開示している。このプロセスは、反応器に触媒系を導入する前に、4〜8個の炭素原子を有するアルカンを反応器に導入する工程、前記アルカンを加圧及び高温下で反応器全体に循環させる工程、反応器を圧抜き及びパージする工程を含む清掃処理を反応器に施すことを特徴とする始動前操作を含む。
上記の組み合わせを使用してもよい。例えば、反応器をパージして水を減らしてから、スカベンジャーを添加して、さらに水を減らすことができる。
空の反応器のパージ及び清掃(新しい苗床の導入前)を含むプロセスの例はWO 00/58377で見つけられる。
苗床を反応器に添加してから処理するプロセスの例はEP 180420で見つけられる。この文書は、重合条件下で流動床内及び/又は機械的に撹拌しながらチーグラー・ナッタ型の触媒系の存在下でオレフィンを装薬(charge powder)(すなわち苗床)と接触させることによる気相内における重合の始動プロセスを開示している。使用装薬は脱水され、前記装薬を有機アルミニウム化合物と少なくとも5分間接触させることによる処理を受ける。
我々は今や、スカベンジャーを反応器自体以外の反応器システムの部分に直接導入する場合、水及び他の不純物が反応器以外の領域に蓄積することができ、改善された信頼性の高い始動を得ることができることを見い出した。
従って、第一実施形態において、本発明は、重合反応器システム内でのオレフィンの重合プロセスであって、この重合反応器システムが、
(i)ガス出口と、ポリマー含有ストリームの回収のための1つ以上の回収ラインとを有する気相反応器、
(ii)ガス出口から反応器を出るガスを再循環させて反応器に戻すための再循環ループ、
(iii)回収されたポリマー含有ストリーム中のポリマー生成物から反応物質を分離するためのポリマー分離システム、及び
(iv)回収されたポリマー含有ストリーム中の、反応器から除去された反応物質を再循環させて反応器に戻すための再循環システム
を含むプロセスにおいて、
再循環ループ、ポリマー分離システム及び再循環システムの1つ以上に直接スカベンジャーを導入することを特徴とするプロセスを提供する。
誤解を避けるため、重合反応器システムは循環システムであり、従って、ある場所に成分を添加すると、該成分が他の場所を通ることになり得ることに留意すべきである。本明細書で使用する用語「直接導入する」は、スカベンジャーを反応器システムに特定の場所で導入することを意味し、スカベンジャーをどこか別の場所に導入してから循環システム内の前記他の場所を通すことを意味しない。本出願では、スカベンジャーに関しては、あらゆる場合に、用語「直接」を用いない場合でさえ、特定の場所におけるスカベンジャーの導入又は添加への言及は、前記場所に直接導入されるスカベンジャーに言及するものと解釈することができる。
本明細書で「反応システム」と称することもある本発明の「重合反応システム」は、
(i)ガス出口と、ポリマー含有ストリームの回収のための1つ以上の回収ラインとを有する気相反応器、
(ii)ガス出口から反応器を出るガスを再循環させて反応器に戻すための再循環ループ、
(iii)回収されたポリマー含有ストリーム中のポリマー生成物から反応物質を分離するためのポリマー分離システム、及び
(iv)回収されたポリマー含有ストリーム中の、反応器から除去された反応物質を再循環させて反応器に戻すための再循環システム
を含む。
用語「再循環ループ」は、ガス出口から反応器を出るガスを再循環させて反応器に戻すシステム全体を指す。誤解を避けるため、これには一部のガスが冷却及び凝縮されて液体を形成した後にそれが反応器に再循環される可能性が含まれ、実際にはこれが好ましい。用語「再循環ループ」は、再循環ループ上のいずれのベントをも包含する。再循環ループは、再循環ループの一部である再循環ストリームと混合することによって新鮮な供給原料を反応器に通す場合には新鮮供給原料ラインを含み得る。
用語「ポリマー分離システム」は、回収されたポリマー含有ストリーム中のポリマー生成物から反応物質を分離するステムを指す。これらは、生成物回収用のロックホッパー並びにその後のポリマー処理のための脱気及び/又はパージ工程として技術上周知のものを含むことができる。
用語「再循環システム」は、回収されたポリマー含有ストリーム中の、反応器から除去され、引き続きそこから分離された反応物質を再循環させて反応器に戻すシステム全体を指す。再循環システムは、ストリームを再循環させて反応器に直接戻すのではなく、再循環ループに戻すことができる。本明細書で使用する場合、再循環させて「反応器に戻す」再循環システムへの言及には、再循環が再循環ループ経由で起こり得ることが含まれ、この場合、本発明の目的では、再循環システムは再循環ループで終了すると見なされる。(反応器に再循環させるいずれのその後の工程及び管も再循環ループの一部である。)再循環システムは、ポリマー分離システム内の異なる処理工程からの異なる再循環ストリームを再循環させることができ、そうするのが普通である。ストリームは、処理工程、特にストリームの圧力、温度及び組成に応じて気体と液体の両再循環ストリームを含んでよい。用語「再循環システム」は、再循環システム上のいずれのベントをも包含する。再循環システムは、新鮮供給原料を、再循環システムの一部である再循環ストリームと混合することによって反応器又は再循環ループに通す場合には新鮮供給原料ラインを含むことができる。
上記用語の一部を説明するために与えた本発明の一実施形態の模式図である。
これについては、上記用語の一部を説明するために与えた本発明の一実施形態の模式図である図1を参照して説明することができる。
そこで、図1を参照すると、気相反応器(1)が示してあり、これはガス出口(2)及びポリマー含有ストリームの回収のための回収ライン(3)を有する。反応器システムは、凝縮器(4)と、凝縮液体を非凝縮気体から分離するための分離器(5)とを含んでなる再循環ループを含む。再循環ループは、凝縮液体を反応器(1)に戻すための液体再循環ライン(6)と、非凝縮気体を反応器(1)に戻すための気体再循環ライン(7)とを含む。
ライン3経由で回収されたポリマー含有ストリームは、容器(8a)及び(8b)によって模式的に表した処理工程を有するポリマー分離システムを通る。特に、容器(8a)は、最少のガス状反応物質を有する反応器(1)内の高圧からのポリマーの回収を助けるために一般的に用いられる容器である1つ以上のロックホッパーを模式的に表し、容器(8b)は、1つ以上の脱気工程を模式的に表す。容器(8b)に関しては、回収されたポリマーが、再循環された窒素含有パージガスと接触する。このパージガスは図1のライン(9)経由で導入される。脱気ポリマーはライン(10)経由で回収され、押出等のさらなる処理(図示せず)に通される。
パージガスと、未反応オレフィンを含む分離された反応物質との混合物は、1つ以上の脱気工程(8b)からライン(11)経由で回収され、容器(12)で模式的に表したオレフィン回収システムに通される。
オレフィンを含む回収された反応物質はライン13を通って直接反応器(1)に戻ることができるが、図1には、再循環ループ、特に分離器(5)のちょうど上流にラインへの連結が示してあり、そこから反応物質が反応器(1)に再循環される。
回収されたオレフィンから分離された窒素を含む成分は、ライン(14)経由で除去される。このストリームの少なくとも一部をライン(9)に再循環させてパージガスとして使用することができる(図示せず)。
図1には、反応システム、特に再循環ループにスカベンジャーを導入するたの3つの可能な供給原料ラインをも示してある。例えば、ライン(15)は、凝縮器(4)と分離器(5)との間の再循環ループに成分を導入することができ;ライン(16)は、凝縮器(4)の上流で再循環システムに成分を導入することができ、ライン(17)は、分離器(5)の中に直接成分を導入することができる。
図1に示すように、かつ本明細書で定義するように、1〜14はそれぞれ反応システムの一部であるが、ライン15〜17はそうでない。特に、2及び4〜7は再循環ループを表し、8a及び8bはポリマー分離システムを表し、11〜13は再循環システムを表す。本明細書で定義するように、図1中の再循環システムは、ライン13が分離器(5)の上流で再循環ループと交わる点で終了する。
本発明によれば、再循環ループ、ポリマー分離システム及び再循環システムの1つ以上に直接スカベンジャーを導入する。
本発明の目的は、特にこれらの場所にスカベンジャーを導入することであるが、それらは反応器の外側にあるので、該場所経由で導入されたスカベンジャーは結局、間接的ではあるが、特に再循環ライン経由(再循環ループ又は再循環システム経由のどちらか)でのみ反応器を通ることにもなり得ることは注目に値する。
従って、再循環ループ、ポリマー分離システム及び再循環システムの1つ以上に直接導入されたスカベンジャーは、直接的にも或いはそれら自体は反応器に直接送り込まれるいずれの新鮮供給原料ライン、例えば新鮮コモノマー供給原料ライン経由でも反応器を通らない。
好ましくは、再循環ループ、ポリマー分離システム及び再循環システムの1つ以上に直接導入されたスカベンジャーは、ライン自体は反応器に直接送り込まれるいかなるライン、再循環ループ又は再循環システムにも導入されない。ラインと反応器との間に中間機器(流れ方向に)が無い場合には、ラインが反応器に直接送り込まれると見なされる。
本明細書で使用する用語「機器」は、排他的に、容器(ドラム、分離器等)、ポンプ、圧縮器及び凝縮器を意味する。従って本明細書で使用する場合、この用語は配管を除外し、かつ該配管内に液体が存在し、該配管に沿って液体が流れることがあるが、配管は、液体が蓄積し得る機器とは見なされない。
従って、好ましくは、再循環ループ内、ポリマー分離システム内又は再循環システム内にある機器の中に、或いは該機器の上流のラインに、スカベンジャーが前記機器を通過した後にスカベンジャーが反応器を通ることができるように、スカベンジャーを導入する。
好ましくは、再循環ループ内、ポリマー分離システム内又は再循環システム内にある容器の中に、或いは該容器の上流のライン又は機器に、スカベンジャーが該容器を通過した後にスカベンジャーが反応器を通ることができるように、スカベンジャーを導入する。
誤解を避けるため、複数の場所にスカベンジャーを導入してよく、複数の場所に導入するのが好ましいことに留意すべきである。該実施形態では、スカベンジャーを反応器に直接導入するか又は新鮮供給原料ライン経由で反応器に導入してよいが、再循環ループ、ポリマー分離システム及び再循環システムの1つ以上にも直接スカベンジャーを導入しなければならない。
最も好ましくは、再循環ループ、ポリマー分離システム及び再循環システムの1つ以上の複数の場所にスカベンジャーを直接導入する。特に水及び他の不純物は、重合反応器システム内で重合中に液体が蓄積する領域に蓄積し得ることが分かった。例えば、再循環ループは、重合中に、反応器を出たガスが十分に冷却されて凝縮液体を形成する少なくとも1つの工程を含むことができ、好ましくは該工程を含む。
反応器システムのこれらの部分に直接スカベンジャーを導入する場合に、改善された信頼性の高い始動が得られることが分かった。従って、反応器システム内の、重合中に液体が存在する少なくとも1つの領域に直接スカベンジャーを導入することができる。
一実施形態では、重合中に液体が蓄積し得る任意の容器又は他の機器の中又は上流、特に再循環ループの一部である任意の該容器又は他の機器にスカベンジャーを導入するすることができる。
例えば、本発明の反応システム内の再循環ループは、反応器を出た気体を十分に冷却して気体と凝縮液体の混合物を形成するための凝縮器と、該混合物から凝縮液体の少なくとも一部を分離する後続の分離器とを含むことができる。このようなシステムは、例えば、WO 94/28032から知られており、液体及び気体のストリームを別々に重合反応器に戻すことができるようにする。
この実施形態では、スカベンジャーが分離器を通過した後にスカベンジャーが反応器を通ることができるように、分離器の上流のラインにスカベンジャーを導入することができる。
一例では、スカベンジャーが凝縮器及び分離器を通過した後にスカベンジャーが反応器を通ることができるように、凝縮器の中又は上流にスカベンジャーを導入することができる。例えば、分離器からの液体を反応器に戻すライン(図1中の液体再循環ライン(6))に、液体の一部を代わりに凝縮器の上流に再循環させる再循環ラインを連結してよく、この再循環ラインにスカベンジャーを添加し、それによってスカベンジャーを凝縮器中に通すことができる。
重合中に液体が存在するラインにスカベンジャーを導入することができ、このラインは直接又は間接的に反応器に送り込まれる。例えば、凝縮器と分離器との間のラインにスカベンジャーを導入することができる。
別の例では、分離器からの液体を反応器に戻すライン(図1中の液体再循環ライン(6))に、液体の一部を代わりに分離器に再循環させる再循環ラインを連結してよく、この再循環ラインにスカベンジャーを添加し、それによってスカベンジャーを分離器中に通すことができる。
さらに別の例として、新鮮な供給原料、例えば新鮮なコモノマーがプロセスに通され供給原料ラインを介して分離器に通され、かつスカベンジャーが同一ラインで分離器に導入されることができる。(いずれの誤解をも避けるため、新鮮供給原料ライン自体は反応システムの一部と見なされないが、反応システムに送り込まれる。この実施形態における新鮮供給原料及びスカベンジャーの反応システムへの導入は、新鮮供給原料ラインが分離器に入る所で起こる。)
さらなる選択肢として、ポリマー分離システム内に回収されたポリマーから分離された反応物質を再循環させて反応器に戻すための再循環システムは、分離器への供給原料ライン経由でこの再循環を行なってよく、かつスカベンジャーをこのラインに導入することができる。
好ましくは、分離器に直接スカベンジャーを導入する。分離器内では、冷却された再循環ガスを分離器中に通す入口の下にスカベンジャーを導入するのが好ましく、分離器内の液相の中に直接導入するのが最も好ましい。
これとは別に、或いはこれに加えて、反応システムの、液体が存在し得る/液体が蓄積し得る他の部分に直接スカベンジャーを導入することができる。
該場所の例としては、再循環システム内の、オレフィンを凝縮するオレフィン回収工程、並びに再循環システム内の、凝縮オレフィンを反応器に再循環させるライン又は機器がある。
例えば、反応器から除去されるポリマーは、それと共に大量の反応ガス混合物量を同伴する。これらはポリマー分離システム内で、一般的にポリマー分離システム内で1つ以上の処理工程で、最も通常は一般的に脱気と呼ばれるプロセスでポリマー粒子から分離される。これは通常、好ましくは不活性ガス、最も好ましくは窒素を用いたポリマー粒子のパージを伴う。このパージガスから未反応オレフィンを回収することが望ましく、パージガスからの未反応オレフィンの分離を必要とする。これは通常、オレフィンの低温凝縮を必然的に伴って、分離かつ再循環可能な液体を形成する。従って、この回収システムの、回収された凝縮液体が重合中に存在するであろう/蓄積するであろう任意の部分に直接スカベンジャーを導入することができる。
該プロセスの例はUS 7696289で見つけられる。特に図4及び関連説明は、少なくとも一部はパージ容器(18)を出るパージガスから導かれる凝縮液体ストリームの回収及び再循環について記載している。
オレフィンの回収及び再循環のさらなる例は、プロセスベント処理において生じる。重合プロセスには該プロセスの不活性物質の蓄積を防止するためにプロセスベントが一般的に存在する。(プロセスの不活性物質の蓄積を防止るための気体ストリーム及び液体ストリームの除去は、「パージ」と呼ばれることも多い。しかしながら、反応器及び苗床内の水及び他の不純物を除去するための反応器及び苗床パージ、並びに生成物処理中のパージをも含めた他のタイプの「パージ」との混同を避けるため、本明細書では不活性物質又は重質化合物/炭化水素の蓄積を防止するためにプロセスからの気体及び液体の両ストリームの除去については用語「ベント」を使用する。)
上述したように、気体ストリームのためにも液体ストリームのためにもプロセスベントがあり得る。気体ストリーム用のプロセスベントは一般的に窒素等の不活性気体成分を除去するためであり、液体ストリーム用のプロセスベントは2-ヘキセン等の不活性液体成分を除去することができる。本発明では、プロセスベントは再循環ループ又は再循環システムのどちらかに存在し、任意に両方に存在してもよい。これらのベントにおける所望オレフィン(例えばエチレン、1-ヘキセン)を回収し、再循環させることが望ましいことがあり、気体用ベントでは、ストリームが必然的に該ストリームの低温処理を伴ってオレフィンを凝縮して液体を形成し得る。
この例はUS 7696289にも示されており、図4は、パージガスと同じ工程に通される反応器ベント(17)をも示している。
US 7696289には一般的な回収システムと共に示されているが、プロセスベントのため及びパージガス処理のために別々の回収工程を使用できることは明らかであろう。
該システムにおけるスカベンジャー添加の好ましい場所は、US 7696289に示されている液体回収ドラム(23)のような任意の液体回収ドラムであろう。
さらなる例として、反応器への触媒注入は、触媒注入ノズルを介して行なうことができる。再循環システムを用いて、触媒注入ノズルを介した反応器への触媒注入を助けることもある。従って、一実施形態では、スカベンジャーを、触媒注入ノズルに導入して再循環ストリーム内に導入することができる。これは、液体触媒を使用し、及び/又は液体を用いて触媒注入を助けるときに特に好ましい。
序論で述べたように、水及び他の不純物と反応することによって重合反応器からそれらを除去するスカベンジャーの使用は知られている。
本発明の好ましいスカベンジャーは金属アルキル化合物である。使用可能な非アルミニウムアルキルとしては、ジエチル亜鉛等のアルキル亜鉛化合物、及びトリエチルボラン等のアルキルホウ素化合物がある。しかしながら、アルミニウムアルキル化合物が好ましい。
利用できるアルキルアルミニウム化合物の特定例は、トリエチルアルミニウム(TEA)及びトリイソブチルアルミニウム(TiBA)等のトリアルキルアルミニウム化合物、並びにトリイソブチルアルミノキサン(aluminoxane)(TiBAO)及びメチルアルミノキサン(MAO)等のアルミノキサン化合物である。
スカベンジャーの混合物を使用することもできる。スカベンジャーを純粋化合物として導入するか或いは、好ましくは、有機溶媒(例えばアルカン、特に反応に縮合剤として使用できる(使用する)アルカン)で希釈することができる。
スカベンジャーは、重合プロセスへの触媒注入の開始前(本明細書では始動前と称する)に所望の場所(又は複数の場所)に導入するのが好ましいが、始動段階中に反応システムの特定部分に添加してもよい。本明細書では「始動段階」を、触媒注入後に生産率が目標定常状態生産率の50%を超えるまでの時間と定義する。
例えば、重合プロセスの初期始動段階中は反応速度が相対的に小さいことがある。生産率は時間と共に上昇するが、最初は再循環ガスの凝縮が必要とされないことがある。従って、気液分離器内の水又は他の不純物を除去するためのスカベンジャーの添加は、反応器内で重合が開始したとしても、まだ行なわれることがある。
同様に、始動中は、プロセスベントを有する必要がないこともあり、従って反応器内で重合が開始したとしても、まだスカベンジャーをベント回収システムに添加して水及び他の不純物を除去することができる。
スカベンジャー注入の可能性がある多くの場所には、操作中、ひいては触媒注入前又は始動段階中でさえに液体が存在するだけであり、重合中に液体が存在するであろう領域の全てに液体が存在するわけではないことに留意すべきである。例えば、始動前でさえ再循環ループの分離器に液体が存在することが一般的に望ましいが、ポリマー生産が開始するまでは、回収されたポリマー含有ストリームから分離された反応物質の再循環は行なわれないので、重合中に液体が存在する領域が最初は液体を有しないことがあり得る。
それにもかかわらず、該場所は、前の操作から汚染を受ける恐れがあり、始動前又は始動段階中の該場所へのスカベンジャーの添加はやはり本発明の範囲内である。従って、「重合中に」液体が存在する領域への言及は、目標定常状態生産率で作動しているときに液体が該場所に存在することを意味し、スカベンジャー導入時に液体が存在する必要があることを意味しない。
誤解を避けるため、重合プロセスへの触媒注入の開始前(本明細書では「始動前」と称する)に所望の場所(又は複数の場所)にスカベンジャーを導入する場合には、重合の開始後、例えば始動段階中又は定常状態時に所望の場所にまたスカベンジャーを添加する必要はない。
実施例
一般的プロセス
重合プロセスは、図1に模式的に示すタイプの流動床重合反応器システムで行なった。反応器(1)にポリマーの苗床を充填し、これを、反応器中を循環するエチレン、1-ブテン、水素、窒素及びイソペンタンを含んでなる熱い反応性ガス混合物で流動化させることによって反応器を調製した。次に反応器温度を所望の反応温度に調整する。これを数時間にわたって行なう。
この間に、重合中に使える状態の液体イソペンタンで分離器(5)を部分的に満たす。
引き続き重合触媒を反応器に注入することによって重合を開始させる。
ガス出口(2)経由で反応器から回収された流動化ガスを再循環ループ経由で反応器に再循環させる。触媒注入前に回収されたガスを冷却せずにライン7経由で再循環させるが、ライン6は使用しない。一旦重合が開始すると、回収されたガスが冷却されるが最初は凝縮されない。反応速度が増すにつれて(ひいては重合熱が高まるので熱を除去する必要がある)、再循環ガス中の凝縮性成分が凝縮器(4)内で凝縮されて分離器(5)を通るように冷却を増強する。凝縮成分は分離器の底部を通り、既に存在するイソペンテンに取って代わり、ライン6経由の分離器から反応器への液体の再循環が開始する。非凝縮成分はライン7経由で再循環し続ける。
ポリマー回収はライン3、ロックホッパー容器(8a)及び2段階脱気システム(8b)経由で行なわれる。未反応オレフィンを含め、パージガスと、分離された反応物質との混合物は、オレフィン回収システム(12)を含む再循環システム経由で回収される。
オレフィン回収プロセスはパージガス中のオレフィンの低温凝縮を成して液体を形成し、この液体は再循環システムの分離器内で分離され、ライン13経由で分離器(5)の上流で再循環ループに通される。
比較例
比較例では、スカベンジャーとしてトリエチルアルミニウムを反応器に直接添加するが、反応器の外側、すなわち再循環ループ、ポリマー分離システム又は再循環システムには何も添加しない。
反応前に4時間2kg/時間でトリエチルアルミニウムを反応器に供給し、その時間後に水分計は、不純物レベルが始動に適していることを示すので(<1ppm・vol)、反応が開始したら同速度で継続する。
予想どおりに反応が開始する。冷却を増強するにつれて再循環ガスの凝縮及び凝縮液体の再循環の開始につながり、触媒活性は低下するようであり、反応器壁にホットスポット(一般的に凝集体形成の兆候)が現れる。
この前に数時間にわたって反応器にスカベンジャーを供給したという事実にもかかわらず、反応器の気相組成の分析は水の存在を明らかにし、この水が作用して触媒を毒する。
反応を終わらせ、さらに反応器を清掃してからパージして水を除去する。
この比較例は、反応器を出るガスが再循環ループを介して循環されるシステム内でさえ、反応器へのスカベンジャーの添加は再循環ループからの全ての水を除去するわけでないこと示す。
実施例1
反応器への触媒注入前の始動段階中に2kgの純粋トリエチルアルミニウムを分離器(5)の底部に、分離器内のイソペンタンの中に供給し、1時間循環させる。次にこれをパージし、分離器を新鮮なイソペンタンで再び満たす。
その他の点では上述したように反応を普通に開始させる。
予想どおりに反応が始動する。反応器の気相内には過剰な水の兆候は観察されない。
この例は、再循環システムの中、特に再循環システムの分離器内の液相中に直接スカベンジャーを導入することによって、改善された始動が得られることを示す。
実施例2
オレフィン回収システム(12)内のパージガスからのオレフィン及び他の反応物質の回収及び再循環の開始前に再循環システムの分離器にTEALを添加してからそこからパージすること以外は実施例1を繰り返す。
この場合もやはり予想どおりに反応が始動する。反応器の気相内には過剰な水の兆候は観察されない。

Claims (14)

  1. 重合反応器システム内でのオレフィンの重合プロセスであって、この重合反応器システムが、
    (i)ガス出口と、ポリマー含有ストリームの回収のための1つ以上の回収ラインとを有する気相反応器、
    (ii)前記ガス出口から前記反応器を出るガスを再循環させて前記反応器に戻すための再循環ループ、
    (iii)前記回収されたポリマー含有ストリーム中のポリマー生成物から反応物質を分離するためのポリマー分離システム、及び
    (iv)前記回収されたポリマー含有ストリーム中の、前記反応器から除去された反応物質を再循環させて前記反応器に戻すための再循環システム
    を含むプロセスにおいて、
    前記再循環ループ、ポリマー分離システム及び再循環システムの1つ以上にスカベンジャーを直接導入することを特徴とするプロセス。
  2. 前記再循環ループ、ポリマー分離システム及び再循環システムの1つ以上に直接導入されるスカベンジャーは、ライン自体が前記反応器に直接送り込まれるいずれのラインにも導入されない、請求項1に記載のプロセス。
  3. 前記再循環ループ内、ポリマー分離システム内又は再循環システム内にある機器のどれかの中に、或いは該機器の上流のラインにスカベンジャーを導入する、請求項1又は2に記載のプロセス。
  4. 重合中に液体が蓄積し得る容器又は他の機器の中又はその上流にスカベンジャーを導入する、請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロセス。
  5. 前記再循環ループが、重合中に、前記反応器を出たガスを十分に冷却して凝縮液体を形成する少なくとも1つの工程を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロセス。
  6. 前記反応システム内の前記再循環ループが、重合中に、前記反応器を出たガスを十分に冷却して、ガスと凝縮液体の混合物を形成する少なくとも1つの工程と、前記凝縮液体の少なくとも一部を前記混合物から分離する後続の分離器とを含む、請求項5に記載のプロセス。
  7. 前記分離器の上流のラインにスカベンジャーを導入する、請求項6に記載のプロセス。
  8. 前記凝縮器と前記分離器との間のラインにスカベンジャーを導入する、請求項7に記載のプロセス。
  9. 新鮮なコモノマー等の新鮮な供給原料を、供給原料ラインを介して前記分離器に通して前記プロセスに通し、かつスカベンジャーを同じラインに導入して前記分離器に導入する、請求項6に記載のプロセス。
  10. 前記分離器に直接、好ましくは前記分離器内の液相中に直接スカベンジャーを導入する、請求項6に記載のプロセス。
  11. オレフィンを凝縮する再循環システム内の1つ以上のオレフィン回収工程に、及び/又は前記凝縮オレフィンを前記反応器に再循環させる前記再循環システム内のライン若しくは機器に、スカベンジャーを直接導入する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のプロセス。
  12. プロセスベントからの凝縮によってオレフィンを回収するさらなる工程の1つにスカベンジャーを直接導入する、請求項1〜11のいずれか1項に記載のプロセス。
  13. スカベンジャーを、触媒注入ノズルに導入して再循環ストリーム内に導入する、請求項1〜12のいずれか1項に記載のプロセス。
  14. 触媒注入の開始前に、前記再循環ループ、ポリマー分離システム及び再循環システムの1つ以上にスカベンジャーを導入する、請求項1〜13のいずれか1項に記載のプロセス。
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