JP2017228598A - 電磁波シールド用フィルム、および電子部品搭載基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】軽量化・薄型化を図るとともに、高周波帯域の電磁波まで吸収により遮断することができる電磁波シールド用フィルム、および、かかる電磁波シールド用フィルムを用いて、基板上に搭載された電子部品がノイズ抑制層で被覆された電子部品搭載基板を提供すること。
【解決手段】本発明の電磁波シールド用フィルム10は、軟磁性材料を含有する扁平状をなす軟磁性材料粒子と、この軟磁性材料粒子を保持するバインダー樹脂とを含むノイズ抑制層3を備えており、このノイズ抑制層3は、前記軟磁性材料粒子の含有量が40体積%以上60体積%未満であり、かつ、層中に空隙を有しており、前記ノイズ抑制層における空隙率が1.0体積%以上25.0体積%以下であることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の電磁波シールド用フィルム10は、軟磁性材料を含有する扁平状をなす軟磁性材料粒子と、この軟磁性材料粒子を保持するバインダー樹脂とを含むノイズ抑制層3を備えており、このノイズ抑制層3は、前記軟磁性材料粒子の含有量が40体積%以上60体積%未満であり、かつ、層中に空隙を有しており、前記ノイズ抑制層における空隙率が1.0体積%以上25.0体積%以下であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、電磁波シールド用フィルム、および電子部品搭載基板に関するものである。
従来、携帯電話、医療機器のように電磁波の影響を受けやすい電子部品や、半導体素子等の発熱性電子部品、さらにはコンデンサ、コイル等の各種電子部品、またはこれらの電子部品を回路基板に実装された電子機器は、電磁波によるノイズの影響を軽減するため、その表面に電磁波シールド用フィルムが貼付されてきた。
このような電磁波シールド用フィルムとしては、例えば、絶縁性材料からなる保護層(基材層)と、保護層の一方または双方の面に積層した金属層とを有するものが開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、特許文献1に記載のように、電磁波シールド用フィルムを、金属層を有する構成とした場合、近年要望が高まりつつある軽量化・薄型化に対応できないという問題があった。
また、上述の通り、電磁波シールド用フィルムを貼付する電子機器が多様化し、これに応じて、遮断すべきノイズである電磁波の周波数も多様化しているが、このような電磁波を遮断する機能を発揮するノイズ抑制層としては、例えば、反射層と、吸収層とがある。
ここで、反射層では、ノイズ抑制層に入射した電磁波を反射することにより遮断(遮蔽)し、吸収層では、ノイズ抑制層に入射した電磁波を吸収し、熱エネルギーに変換することで、電磁波を消滅させて遮断する。これらのうち反射層では、反射した電磁波がノイズ抑制層で被覆されていない他の部材等に対して誤作動等の悪影響をおよぼすという欠点を有する。そのため、近年、吸収層で構成されたノイズ抑制層について研究がなされ、特に、高周波帯域のものまで効果的に吸収により遮断し得るノイズ抑制層(吸収層)を備える電磁波シールド用フィルムの開発がなされている。
本発明の目的は、軽量化・薄型化を図るとともに、高周波帯域の電磁波まで吸収により遮断することができる電磁波シールド用フィルム、および、かかる電磁波シールド用フィルムを用いて、基板上に搭載された電子部品がノイズ抑制層で被覆された電子部品搭載基板を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(11)に記載の本発明により達成される。
(1) 軟磁性材料を含有する扁平状をなす軟磁性材料粒子と、該軟磁性材料粒子を保持するバインダー樹脂とを含むノイズ抑制層を備え、
前記ノイズ抑制層は、前記軟磁性材料粒子の含有量が40体積%以上60体積%未満であり、かつ、層中に空隙を有しており、前記ノイズ抑制層における空隙率が1.0体積%以上25.0体積%以下であることを特徴とする電磁波シールド用フィルム。
(1) 軟磁性材料を含有する扁平状をなす軟磁性材料粒子と、該軟磁性材料粒子を保持するバインダー樹脂とを含むノイズ抑制層を備え、
前記ノイズ抑制層は、前記軟磁性材料粒子の含有量が40体積%以上60体積%未満であり、かつ、層中に空隙を有しており、前記ノイズ抑制層における空隙率が1.0体積%以上25.0体積%以下であることを特徴とする電磁波シールド用フィルム。
(2) 前記軟磁性材料粒子は、そのアスペクト比が10以上80以下である上記(1)に記載の電磁波シールド用フィルム。
(3) 前記ノイズ抑制層は、周波数0.1GHz以上1GHz以下の電磁波における、マイクロストリップライン法を用いて測定した際の不整合損が0.2dB以下である上記(1)または(2)に記載の電磁波シールド用フィルム。
(4) 前記ノイズ抑制層は、周波数1GHz以下の電磁波における、KEC法(電界)を用いて測定した際の電磁波シールド効果の最小値をA[dB]とし、前記ノイズ抑制層の厚さをT[μm]としたとき、A/T[dB/μm]が0.080dB/μm以上なる関係を満足する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の電磁波シールド用フィルム。
(5) 前記ノイズ抑制層は、周波数1GHz以下の電磁波における、KEC法(磁界)を用いて測定した際の電磁波シールド効果の最大値をB[dB]とし、前記ノイズ抑制層の厚さをT[μm]としたとき、B/T[dB/μm]が0.050dB/μm以上なる関係を満足する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の電磁波シールド用フィルム。
(6) 前記ノイズ抑制層は、周波数5MHzの比透磁率(μ’)が120以上200以下である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の電磁波シールド用フィルム。
(7) 前記軟磁性材料は、センダスト、パーマロイ、マグネタイト、フェライト、ニッケルのうちの少なくとも1種を含有する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の電磁波シールド用フィルム。
(8) 前記バインダー樹脂は、ポリエステル樹脂、スチレン−オレフィン系樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂およびウレタン樹脂のうちの少なくとも1種を含有する上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の電磁波シールド用フィルム。
(9) 前記ノイズ抑制層は、その平均層厚みが5μm以上200μm以下である上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の電磁波シールド用フィルム。
(10) 当該電磁波シールド用フィルムは、さらに、前記ノイズ抑制層の一方の面側に積層された保護シートを含む上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の電磁波シールド用フィルム。
(11) 基板と、該基板上に搭載された電子部品と、前記基板の前記電子部品が搭載されている面側から前記基板および電子部品を被覆するノイズ抑制層とを有する電子部品搭載基板であって、
前記ノイズ抑制層は、軟磁性材料を含有する扁平状をなす軟磁性材料粒子と、該軟磁性材料粒子を保持するバインダー樹脂とを含み、
前記ノイズ抑制層は、前記軟磁性材料粒子の含有量が40体積%以上60体積%未満であり、かつ、層中に空隙を有しており、前記ノイズ抑制層における空隙率が1.0体積%以上25.0体積%以下であることを特徴とする電子部品搭載基板。
前記ノイズ抑制層は、軟磁性材料を含有する扁平状をなす軟磁性材料粒子と、該軟磁性材料粒子を保持するバインダー樹脂とを含み、
前記ノイズ抑制層は、前記軟磁性材料粒子の含有量が40体積%以上60体積%未満であり、かつ、層中に空隙を有しており、前記ノイズ抑制層における空隙率が1.0体積%以上25.0体積%以下であることを特徴とする電子部品搭載基板。
本発明では、電磁波シールド用フィルムが、軟磁性材料を含有する扁平状をなす軟磁性材料粒子と、該軟磁性材料粒子を保持するバインダー樹脂とを含むノイズ抑制層を備え、このノイズ抑制層は、軟磁性材料粒子の含有量が40体積%以上60体積%未満であり、かつ、層中に空隙を有しており、ノイズ抑制層における空隙率が1.0体積%以上25.0体積%以下となっている。
ノイズ抑制層をかかる構成のものとすることにより、ノイズ抑制層における比透磁率(μ’)が高くなり、その結果、周波数0.1GHz以上1GHz以下の電磁波における、マイクロストリップライン法を用いて測定した際の不整合損を0.2dB以下とすることができ、ノイズ抑制層の軽量化・薄型化を図ることができるとともに、電磁波を吸収により効果的に遮断して、電磁波によるノイズを抑制することができる。また、ノイズ抑制層を、周波数1GHz以下の電磁波における、KEC法(電界)を用いて測定した際の電磁波シールド効果の最小値をA[dB]とし、前記ノイズ抑制層の厚さをT[μm]としたとき、A/T[dB/μm]が0.080dB/μm以上なる関係を満足し、さらに、周波数1GHz以下の電磁波における、KEC法(磁界)を用いて測定した際の電磁波シールド効果の最大値をB[dB]としたとき、B/T[dB/μm]が0.050dB/μm以上なる関係を満足するものとすることができることから、高周波帯域の電磁波まで効果的に遮断して、電磁波によるノイズを抑制し得るものとすることができる。
以下、本発明の電磁波シールド用フィルム、および電子部品搭載基板を、添付図面に示す好適実施形態に基づいて、詳細に説明する。
本発明の電磁波シールド用フィルム10は、軟磁性材料を含有する扁平状をなす軟磁性材料粒子と、該軟磁性材料粒子を保持するバインダー樹脂とを含むノイズ抑制層3を備え、このノイズ抑制層3は、軟磁性材料粒子の含有量が40体積%以上60体積%未満であり、かつ、層中に空隙を有しており、ノイズ抑制層3における空隙率が1.0体積%以上25.0体積%以下であることを特徴とする。
これにより、ノイズ抑制層3を、周波数1GHz以下の電磁波における、KEC法(電界)を用いて測定した際の電磁波シールド効果の最小値をA[dB]とし、前記ノイズ抑制層の厚さをT[μm]としたとき、A/T[dB/μm]を0.080dB/μm以上なる関係を満足し、また、周波数1GHz以下の電磁波における、KEC法(磁界)を用いて測定した際の電磁波シールド効果の最大値をB[dB]としたとき、B/T[dB/μm]を0.050dB/μm以上なる関係を満足し、さらに、周波数0.1GHz以上1GHz以下の電磁波における、マイクロストリップライン法を用いて測定した際の不整合損を0.2dB以下であるものとすることができる。
したがって、このような電磁波シールド用フィルム10を、ノイズ抑制層3の軽量化・薄型化が図られ、かつ、高周波帯域の電磁波まで吸収により遮断して、電磁波によるノイズを抑制し得るものであると言うことができる。
以下、この電磁波シールド用フィルムについて説明する。
<電磁波シールド用フィルム>
図1は、本発明の電磁波シールド用フィルムの実施形態を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
<電磁波シールド用フィルム>
図1は、本発明の電磁波シールド用フィルムの実施形態を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
電磁波シールド用フィルムは、基板5上の凹凸6を被覆するために用いられる電磁波シールド用フィルムである。
図1に示すように、電磁波シールド用フィルム10は、保護層(保護シート)1と、ノイズ抑制層(電磁波遮断層)3と、絶縁層2とを含んで構成され、ノイズ抑制層3および絶縁層2は、保護層1の下面(一方の面)側から、ノイズ抑制層3が保護層1に接触して、この順で積層されている。
なお、以下では、基板5上に電子部品4が搭載(載置)され、この電子部品4の搭載により基板5上に凸部65と凹部66とからなる凹凸6が形成されており、この凹凸6を電磁波シールド用フィルム10で被覆する場合について説明する。すなわち、基板5上に搭載された電子部品4を電磁波シールド用フィルム10で被覆する場合について説明する。なお、基板5上に搭載する電子部品4としては、例えば、フレキシブル回路基板(FPC)上に搭載されているLCDドライバーIC、タッチパネル周辺のIC+コンデンサまたは電子回路基板(マザーボード)が挙げられる。
以下、電磁波シールド用フィルム10が備える各層1、2、3について説明する。
<保護層1>
まず、保護層1について説明する。
<保護層1>
まず、保護層1について説明する。
保護層(保護シート)1は、ノイズ抑制層3の酸化による劣化を防止する機能を有する。さらに、保護層1は、可撓性を備え、後述する電子部品の被覆方法の貼付工程において、電磁波シールド用フィルム10を用いて、基板5上の凹凸6に絶縁層2およびノイズ抑制層3を押し込むことで、この凹凸6を被覆する場合に、押し込まれた絶縁層2およびノイズ抑制層3が破断するのを防止する保護(緩衝)材として機能するものである。
この保護層1の構成材料としては、特に限定されず、例えば、シンジオタクチックポリスチレン、ポリメチルペンテン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、無軸延伸ポリプロピレンおよび二軸延伸ポリプロピレン等のポリプロピレン、環状オレフィンポリマー、シリコーン、スチレンエラストマー樹脂、スチレンブタジエンゴムのような樹脂材料が挙げられる。これらの中でも、無軸延伸ポリプロピレンを用いることが好ましい。これにより、保護層1の絶縁層2およびノイズ抑制層3に対する保護性、さらには耐熱性を向上させることができる。
また、保護層1の常温(25℃)における貯蔵弾性率は、2.0E+02〜5.0E+10Paであるのが好ましく、2.0E+03〜5.0E+09Paであるのがより好ましく、2.0E+04〜3.0E+09Paであるのがさらに好ましい。このように、保護層1の常温(25℃)における貯蔵弾性率を、前記範囲内に設定することにより、保護層1は可撓性を有するものであると言うことができ、電磁波シールド用フィルム10を用いて、基板5上の凹凸6を被覆する際に、絶縁層2およびノイズ抑制層3に破断を生じさせることなく絶縁層2およびノイズ抑制層3を凹凸6の形状に対応した状態で押し込むことができる。その結果、この凹凸6が設けられた基板5が、破断の発生が防止されたノイズ抑制層3をもって、凹凸6の形状に追従した状態で被覆されるようになるため、このノイズ抑制層3による凹凸6が設けられた基板5に対する電磁波シールド(遮断)性が向上することとなる。
保護層1の厚みは、特に限定されないが、3μm以上20μm以下であることが好ましく、5μm以上15μm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは7μm以上12μm以下である。保護層1の厚みが前記下限値未満である場合、保護層1ひいては絶縁層2およびノイズ抑制層3が破断し、その電磁波シールド性が低下するおそれがある。また、保護層1の厚みが前記上限値を超える場合、電磁波シールド用フィルム10を用いて被覆する基板5の設計によっては、基板5を電磁波シールド用フィルム10で被覆した積層体の軽量化・薄型化が実現されないおそれがある。
さらに、保護層1は、そのノイズ抑制層3側の面に、粘着剤層を備えるものであってもよい。すなわち、ノイズ抑制層3は、粘着剤層を介して保護層1に接合されたものであってもよい。これにより、保護層1とノイズ抑制層3との粘着性(密着性)の向上が図られる。
この粘着剤層は、例えば、主として、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤およびゴム系粘着剤等のうちの少なくとも1種からなる粘着剤で構成される。
アクリル系粘着剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸およびそれらのエステルで構成される樹脂、(メタ)アクリル酸およびそれらのエステルと、それらと共重合可能な不飽和単量体(例えば酢酸ビニル、スチレン、アクリルニトリル等)との共重合体等が挙げられる。また、これらの樹脂を2種類以上混合したものが挙げられる。
また、これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシルおよび(メタ)アクリル酸ブチルからなる群から選ばれる1種以上と、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルおよび酢酸ビニルの中から選ばれる1種以上との共重合体が好ましい。これにより、粘着層が粘着するノイズ抑制層3との密着性や粘着性の制御が容易になる。
この場合、粘着剤層には、粘着性(接着性)を制御するためにウレタンアクリレート、アクリレートモノマー、多価イソシアネート化合物(例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート)等のイソシアネート化合物等のモノマーおよびオリゴマーが含まれていてもよい。
また、ゴム系粘着剤としては、例えば、天然ゴム系、イソプレンゴム系、スチレン−ブタジエン系、再生ゴム系、ポリイソブチレン系のものや、スチレン−イソプレン−スチレン、スチレン−ブタジエン−スチレン等のゴムを含むブロック共重合体を主とするもの等が挙げられる。
さらに、シリコーン系粘着剤としては、例えば、ジメチルシロキサン系、ジフェニルシロキサン系のもの等が挙げられる。
なお、粘着剤層に含まれる粘着剤は、硬化型および非硬化型のいずれであってもよいが、硬化型の場合、粘着剤層には、架橋剤が添加されていてもよい。この架橋剤としては、例えば、エポキシ系化合物、イソシアナート系化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩、アミン化合物、ヒドラジン化合物、アルデヒド系化合物等が挙げられる。
また、硬化型の場合、粘着剤層には、粘着剤層を紫外線等の光の照射により硬化させる光重合開始剤が添加されていてもよい。この光重合開始剤としては、例えば、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフエノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等のアセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾイン系化合物、ベンゾインイソブチルエーテル系化合物、ベンゾイン安息香酸メチル系化合物、ベンゾイン安息香酸系化合物、ベンゾインメチルエーテル系化合物、ベンジルフィニルサルファイド系化合物、ベンジル系化合物、ジベンジル系化合物、ジアセチル系化合物等が挙げられる。
さらに、粘着剤層には、その接着強度およびシェア強度を高める目的で、ロジン樹脂、テルペン樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族芳香族系石油樹脂等の粘着付与材等が添加されていてもよい。
また、粘着剤層には、例えば、可塑剤、粘着付与剤、増粘剤、充填剤、老化防止剤、防腐剤、防カビ剤、染料、顔料等の各種添加剤が必要に応じ添加されていてもよい。
なお、本実施形態では、電磁波シールド用フィルム10を、保護層1を備えるものとし、これにより、ノイズ抑制層3の劣化、さらには、後述する貼付工程における絶縁層2およびノイズ抑制層3の破断を防止する保護材として機能させることとしたが、この保護層1による保護材としての機能を必要としない場合には、この保護層1を省略することもできる。
<ノイズ抑制層3>
次に、ノイズ抑制層(電磁波遮断層)3について説明する。
次に、ノイズ抑制層(電磁波遮断層)3について説明する。
ノイズ抑制層3は、基板5上に設けられた電子部品4と、このノイズ抑制層3を介して、基板5(電子部品4)と反対側に位置する他の電子部品等とを、これらのうちの少なくとも一方から生じる電磁波を遮断(シールド)して、電磁波によるノイズを抑制する機能を有する。
ここで、一般的に、電磁波を遮断する機能を発揮するには、前述のとおり、ノイズ抑制層に入射した電磁波を反射することにより遮断(遮蔽)する反射層(電磁波反射層)と、ノイズ抑制層に入射した電磁波を吸収することにより遮断(遮蔽)する吸収層(電磁波吸収層)とが知られている。
このような反射層と吸収層とでは、これらが、ほぼ同一の電磁波シールド性を有していると仮定した場合、吸収層では、吸収層に入射した電磁波を吸収し、熱エネルギーに変換することで遮断して、この吸収により電磁波を消滅させる。そのため、反射層のように反射した電磁波がノイズ抑制層で被覆されていない他の部材等に対して誤作動等の悪影響をおよぼしてしまうのを確実に防止することができるという観点から、ノイズ抑制層を吸収層で構成するのが好ましい。
ところで、ノイズ抑制層に入射した電磁波を反射することにより遮断しているのか、または、電磁波を吸収することにより遮断しているのかを評価する方法として、マイクロストリップライン法(MSL法)が知られている。
このMSL法を用いた測定は、例えば、IEC規格62333−2に準拠して、50Ωのインピーダンスを有するマイクロストリップラインと、ネットワークアナライザーとを用いて、反射成分S11と透過成分S21を測定することにより行われる。
これらのうち反射成分S11は、入射波に対する反射波の電圧(振幅)強度をdBで表したものとして測定される。そして、この反射成分S11を用いて、下記式(1)から、入射波に対する反射成分以外の電力強度をdBで表した不整合損を求めることができる。
不整合損 = −10・log{1−10^(2S11/10)}[dB](1)
不整合損 = −10・log{1−10^(2S11/10)}[dB](1)
不整合損における、反射成分以外の成分としては、吸収成分および透過成分が挙げられる。そのため、不整合損の値が大きくなると反射成分が大きく、不整合損の値が小さくなると吸収成分および透過成分が大きくなっていると言うことができる。
したがって、透過成分が小さいと仮定した場合、不整合損の値が小さくなっていれば、吸収成分が大きくなっていると言うことができる。なお、反射成分が小さくなるのは、ノイズ抑制層により回路上のインピーダンス変化が小さくなり、これにより、回路内での反射を抑制しているものと推察される。
よって、周波数0.1GHz以上1GHz以下の電磁波における、マイクロストリップライン法を用いて測定した際の不整合損が0.2dB以下であるノイズ抑制層であれば、高周波帯域の電磁波における不整合損の値が小さくなっていると言うことができ、透過成分が小さくなっていれば、吸収成分が大きくなっており、このノイズ抑制層が主として吸収層で構成されているものであると言える。
なお、軟磁性材料を含有するノイズ抑制層3において、周波数0.1GHz以上1GHz以下の電磁波における、マイクロストリップライン法を用いて測定した際の不整合損が0.2dB以下であればよいが、0.15dB以下であるのが好ましく、0.1dB以下あるのがより好ましく、0.08dB以下であるのがさらに好ましい。前記関係を満足することにより、より高周波帯域の電磁波であっても、より効果的に吸収成分により電磁波を遮断していると言える。
また、ノイズ抑制層に入射した電磁波の遮断を評価する方法として、さらに、関西電子工業振興センターで開発されたKEC法が知られている。
ここで、KEC法では、電磁波を遮断する電磁波シールド性は、以下で説明する測定方法の特性から、電磁波を吸収することにより遮断する吸収性(吸収成分)と電磁波を反射することにより遮断する反射性(反射成分)とが加算された値として測定される。
すなわち、このKEC法は、近傍界で発生する電磁波のシールド効果を電界と磁界に分けて評価する方法であり、この方法を用いた測定は、送信アンテナ(送信用の治具)から送信された電磁波を、シート状をなすノイズ抑制層3(測定試料)を介して、受信アンテナ(受信用の治具)で受信することで実施することができ、かかるKEC法では、受信アンテナにおいて、ノイズ抑制層3を通過(透過)した電磁波が測定される。すなわち、送信された電磁波(信号)がノイズ抑制層3により受信アンテナ側でどれだけ減衰したかが測定されることから、電磁波を遮断(シールド)する電磁波シールド性は、電磁波を反射する反射成分と電磁波を吸収する吸収成分との双方を合算した状態で求められる。なお、このKEC法では、ノイズ抑制層3を通過(透過)した電磁波が測定されることから、電磁波を遮断する電磁波シールド性は、ノイズ抑制層3の厚さT(μm)に依存する。
そこで、ノイズ抑制層3を、周波数1GHz以下の電磁波における、KEC法(電界)を用いて測定した際の電磁波シールド効果の最小値をA[dB]としたとき、A/T[dB/μm]が0.080dB/μm以上なる関係を満足し、さらに、周波数1GHz以下の電磁波における、KEC法(磁界)を用いて測定した際の電磁波シールド効果の最大値をB[dB]としたとき、B/T[dB/μm]が0.050dB/μm以上なる関係を満足するものとする。これらの関係を満足するノイズ抑制層3であれば、高周波帯域の電磁波を高精度に遮断していると言うことができ、このノイズ抑制層を、吸収成分および反射成分を遮断する遮断層であると言える。
よって、ノイズ抑制層3が、周波数0.1GHz以上1GHz以下の電磁波における、マイクロストリップライン法を用いて測定した際の不整合損が0.2dB以下となっており、さらに、周波数1GHz以下の電磁波における、KEC法(電界)を用いて算出されるA/T[dB/μm]が0.080dB/μm以上であり、かつ、KEC法(磁界)を用いて算出されるB/T[dB/μm]が0.050dB/μm以上であれば、ノイズ抑制層3を、反射成分および透過成分を小さくした状態で、吸収成分により電磁波を遮断している吸収層であるとより確実に言うことができる。換言すれば、ノイズ抑制層3において、MSL法を用いて測定された不整合損の値が小さく、さらに、KEC法(電界)およびKEC法(磁界)を用いて測定された電磁波シールド性(吸収成分+反射成分)が大きくなっていれば、ノイズ抑制層3を、反射成分および透過成分を小さくした状態で、吸収成分により電磁波を遮断している吸収層であるとより確実に言うことができる。そのため、このノイズ抑制層3により、高周波帯域の電磁波まで吸収により遮断して、電磁波によるノイズを抑制することができる。
このようなノイズ抑制層3として、例えば、軟磁性材料を含有する軟磁性材料粒子と、この軟磁性材料粒子を保持するバインダー樹脂とを含む構成のものが考えられる。しかしながら、軟磁性材料粒子として、その形状として扁平状をなすものを用いると、MSL法を用いて測定された不整合損の値を小さく、さらに、KEC法(電界)およびKEC法(磁界)を用いて測定された電磁波シールド性(吸収成分+反射成分)を大きくすることが、期待するほど実現することができなかった。
かかる問題点について、本発明者が検討を行った結果、ノイズ抑制層3を、扁平状をなす軟磁性材料粒子とバインダー樹脂とを含む構成のものとすると、ノイズ抑制層3中において、軟磁性材料粒子の含有量が一定量を超えると、軟磁性材料粒子とバインダー樹脂との間に空隙が形成され、さらに、この空隙のノイズ抑制層3中における空孔率が高くなるほど、MSL法を用いて測定された不整合損の値が大きく、さらに、KEC法(電界)およびKEC法(磁界)を用いて測定された電磁波シールド性(吸収成分+反射成分)が小さくなることが判ってきた。
そして、本発明者のさらなる検討により、ノイズ抑制層3中において軟磁性材料粒子が40体積%以上60体積%未満の含有量で含まれる際に、ノイズ抑制層3における空隙率を1.0体積%以上25.0体積%以下の範囲内のように低く設定することで、MSL法を用いて測定された不整合損の値を小さく、さらに、KEC法(電界)およびKEC法(磁界)を用いて測定された電磁波シールド性(吸収成分+反射成分)を大きくし得ること、すなわち、ノイズ抑制層3を、周波数0.1GHz以上1GHz以下の電磁波における、マイクロストリップライン法を用いて測定した際の不整合損が0.2dB以下となっており、さらに、周波数1GHz以下の電磁波における、KEC法(電界)を用いて算出されるA/T[dB/μm]が0.080dB/μm以上となり、かつ、KEC法(磁界)を用いて算出されるB/T[dB/μm]が0.050dB/μm以上となるものとすることができ、本発明を完成するに至った。
なお、ノイズ抑制層3における空隙率を1.0体積%以上25.0体積%以下とするには、電磁波シールド用フィルム10にプレス処理を施すことで確実に行い得るが、その方法については、後に詳述する。
また、ノイズ抑制層3における空隙率は、例えば、ノイズ抑制層3の断面の画像を、走査電子顕微鏡(日本電子社製、「JSM−7500FA」で取得し、画像処理が施された画像を用いて求めることができる。
このようなノイズ抑制層3に含まれる軟磁性材料粒子の構成材料(軟磁性材料)は、例えば、センダスト(Fe−Si−Al合金)、パーマロイ(Fe−Ni合金)、マグネタイト、フェライト(ソフトフェライト)、ニッケル、鉄、ケイ素鋼、磁性ステンレス(Fe−Cr−Al−Si合金)およびパーメンジュール等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、センダスト、パーマロイ、マグネタイト、フェライトおよびニッケルのうちの少なくとも1種であることが好ましく、センダストであることがより好ましい。かかる構成材料でノイズ抑制層3に含まれる軟磁性材料粒子を構成することにより、その膜厚(厚み)を比較的薄く設定したとしても、特に優れた吸収性を発揮するため、マイクロストリップライン法を用いて測定した際の不整合損ならびにKEC法(電界および磁界)を用いて測定した際の電磁波シールド効果の値を前記範囲内に設定することができる。また、その層中に含まれる材料の添加量も少なくできることから、その膜厚を比較的容易に薄く設定することができ、また軽量化も可能である。
また、扁平状をなす軟磁性材料粒子は、そのアスペクト比が10以上80以下であるのが好ましく、25以上40以下であるのがより好ましい。さらに、長径のメジアン径(d50)は、10μm以上100μm以下であるのが好ましく、30μm以上50μm以下であるのがより好ましい。これにより、ノイズ抑制層3中に空隙が形成されたものとし、その空隙率を比較的容易に1.0体積%以上25.0体積%以下に設定することができる。また、扁平状をなす軟磁性材料をノイズ抑制層3中に均一に分散させることができる。そのため、ノイズ抑制層3は、前述した特性を均質に発揮するものとなる。
また、ノイズ抑制層3は、バインダー樹脂を含有する。これにより、扁平状をなす軟磁性材料粒子を保持することで、軟磁性材料粒子をノイズ抑制層3中に均一に分散させる。その結果、ノイズ抑制層3を、周波数0.1GHz以上1GHz以下の電磁波における、マイクロストリップライン法を用いて測定した際の不整合損が0.2dB以下となっており、さらに、周波数1GHz以下の電磁波における、KEC法(電界)を用いて算出されるA/T[dB/μm]が0.080dB/μm以上となり、かつ、KEC法(磁界)を用いて算出されるB/T[dB/μm]が0.050dB/μm以上となるものに、ノイズ抑制層3の全体に亘って均一にすることができる。
また、バインダー樹脂としては、各種樹脂材料を用いることができ、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−オレフィン系樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂およびウレタン樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ポリエステル樹脂、スチレン−オレフィン系樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂およびウレタン樹脂のうちの少なくとも1種であることが好ましく、ポリエステルウレタン樹脂およびウレタン樹脂のうちの少なくとも1種であることがより好ましい。これにより、ノイズ抑制層3中に空隙が形成されたものとし、その空隙率を比較的容易に1.0体積%以上25.0体積%以下に設定することができる。また、ノイズ抑制層3における空隙率の1.0体積%以上25.0体積%以下への設定には、電磁波シールド用フィルム10にプレス処理を施すことで確実に行い得るが、この場合、プレス処理の後に厚さが変化するスプリングバックにより、空隙率が25.0体積%超に変化するのを的確に抑制または防止することができる。
さらに、ノイズ抑制層3の厚みTは、特に限定されないが、5μm以上200μm以下であることが好ましく、30μm以上100μm以下であることがより好ましい。ノイズ抑制層3の厚みが前記下限値未満である場合、ノイズ抑制層3の構成材料等によっては、基板搭載部品の端部で破断するおそれがある。また、ノイズ抑制層3の厚みが前記上限値を超える場合、ノイズ抑制層3の構成材料等によっては形状追従性が不足するおそれがある。また、かかる範囲内の厚みTとしても、優れた電磁波シールド性を発揮させることができるため、ノイズ抑制層3の厚みTの薄膜化を実現すること、ひいては、基板5上において絶縁層2およびノイズ抑制層3で被覆された電子部品4が搭載された電子部品搭載基板の軽量化を実現することができる。
なお、ノイズ抑制層3における軟磁性材料の含有量は、40体積%以上60体積%未満であれば良いが、40体積%以上55体積%以下であることが好ましく、50体積%以上55体積%以下であることがより好ましい。軟磁性材料の含有量がかかる範囲内である際にノイズ抑制層3に空隙が形成され、この空隙の空隙率を前記範囲内に設置することにより、マイクロストリップライン法を用いて測定した際の不整合損ならびにKEC法(電界および磁界)を用いて測定した際の電磁波シールド効果の値を、上記範囲内に確実に設定することができる。
なお、本明細書中において、ノイズ抑制層3における軟磁性材料の含有量は、体積%で表されるが、これは、ノイズ抑制層3に形成された空隙を除く領域(実体部)に対して、軟磁性材料が占める体積の割合を表す。
また、軟磁性材料の含有量が前記範囲内に設定されているノイズ抑制層3において、ノイズ抑制層3における空隙率は、1.0体積%以上25.0体積%以下であれば良いが、1.0体積%以上20.0体積%以下であるのが好ましく、1.0体積%以上15.0体積%以下であるのがより好ましい。これにより、マイクロストリップライン法を用いて測定した際の不整合損ならびにKEC法(電界および磁界)を用いて測定した際の電磁波シールド効果の値を、上記範囲内により確実に設定することができる。
なお、本明細書中において、ノイズ抑制層3における空隙率は、体積%で表されるが、これは、多孔体で構成されるノイズ抑制層3の全体に対して、空隙が占める体積の割合を表す。
また、ノイズ抑制層3は、周波数5MHzの比透磁率(μ’)が120以上200以下であるのが好ましく、120以上180以下であるのがより好ましい。ノイズ抑制層3をかかる範囲内のように高い比透磁率(μ’)を有するものに設定することができれば、マイクロストリップライン法を用いて測定した際の不整合損ならびにKEC法(電界および磁界)を用いて測定した際の電磁波シールド効果の値を、上記範囲内により確実に設定することができる。
また、ノイズ抑制層3の周波数5MHzの比透磁率(μ’)は、インピーダンスアナライザ(ヒューレットパッカード社製、「4291A」)と磁性材料・テストフィクスチャ(ヒューレットパッカード社製、「16454A」)を用いて、算出することにより求めることができる。
さらに、ノイズ抑制層3は、その150℃における貯蔵弾性率が1.0E+05〜1.0E+09Paであるのが好ましく、5.0E+05〜5.0E+08Paであるのがより好ましい。前記貯蔵弾性率をかかる範囲内に設定することにより、貼付工程において、電磁波シールド用フィルム10の加熱の後、保護層1からの押圧力により、基板5上の凹凸6に絶縁層2およびノイズ抑制層3を押し込むことで、この凹凸6を被覆する際に、前記保護層1からの押圧力に応じて、ノイズ抑制層3を凹凸6の形状に対応して変形させることができる。すなわち、ノイズ抑制層3の凹凸6に対する形状追従性を向上させることができる。
<絶縁層2>
次に、絶縁層2について説明する。
次に、絶縁層2について説明する。
絶縁層2は、ノイズ抑制層3に接触して設けられ、保護層1側からノイズ抑制層3、絶縁層2の順で積層されている。このように積層された絶縁層2およびノイズ抑制層3を備える電磁波シールド用フィルム10を用いて基板5上の凹凸6を被覆することで、基板5および電子部品4に絶縁層2が接触し、基板5側から絶縁層2、ノイズ抑制層3の順で被覆することとなる。
このように、本実施形態では、絶縁層2は、基板5および電子部品4を被覆し、これにより、基板5上で隣接する電子部品4同士を絶縁するとともに、基板5および電子部品4を、絶縁層2を介して基板5と反対側に位置するノイズ抑制層3および他の部材(電子部品等)から絶縁する。
この絶縁層2としては、例えば、熱硬化性を有する絶縁樹脂または熱可塑性を有する絶縁樹脂(絶縁フィルム)が挙げられる。これらの中でも、熱可塑性を有する絶縁樹脂を用いることが好ましい。熱可塑性を有する絶縁樹脂は、屈曲性に優れたフィルムであることから、後述する貼付工程において、基板5上の凹凸6に対して絶縁層2およびノイズ抑制層3を押し込む場合に、絶縁層2を、凹凸6の形状に対応して容易に追従させることができる。また、熱可塑性を有する絶縁樹脂は、その軟化点温度に加熱すると、接着対象の基板から再剥離することができるので、基板の修理の際には、特に有用である。
熱可塑性を有する絶縁樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートのような熱可塑性ポリエステル、α−オレフィン、酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、エチレン酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル、ポリアミド、セルロースが挙げられる。これらの中でも基板との密着性、屈曲性、耐薬品性に優れるという理由から熱可塑性ポリエステル、α−オレフィンを用いることが好ましい。
さらに、熱可塑性を有する絶縁樹脂には、耐熱性や耐屈曲性等の性能を損なわない範囲で、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、ユリア系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂等を含有させることができる。また、熱可塑性を有する絶縁樹脂には、後述する導電性接着剤層の場合と同様に、接着性、耐ハンダリフロー性を劣化させない範囲で、シランカップリング剤、酸化防止剤、顔料、染料、粘着付与樹脂、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング調整剤、充填剤、難燃剤等を添加してもよい。
絶縁層2の厚みT(D)は、特に限定されないが、3μm以上50μm以下であることが好ましく、4μm以上30μm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは5μm以上20μm以下である。絶縁層2の厚みが前記下限値未満である場合、耐ハゼ折り性が不足し、凹凸6への熱圧着後に折り曲げ部にてクラックが発生したり、フィルム強度が低下し、ノイズ抑制層3の絶縁性支持体としての役割を担うことが難しい。前記上限値を超える場合、形状追従性が不足するおそれがある。すなわち、絶縁層2の厚みT(D)を前記範囲内に設定することにより、絶縁層2に屈曲性を確実に付与することができ、貼付工程において、基板5上の凹凸6に対して絶縁層2およびノイズ抑制層3を押し込む際に、絶縁層2を、凹凸6の形状に対応して容易に追従させることができる。また、絶縁層2の厚みT(D)の薄膜化を実現すること、ひいては、絶縁層2およびノイズ抑制層3で被覆された電子部品4が搭載された基板5の軽量化および薄型化を実現することができる。
また、絶縁層2の25〜150℃における平均線膨張係数は、50〜1000[ppm/℃]であるのが好ましく、100〜700[ppm/℃]であるのがより好ましい。絶縁層2の平均線膨張係数をかかる範囲内に設定することにより、電磁波シールド用フィルム10の加熱時において、絶縁層2は、優れた伸縮性を有するものとなるため、絶縁層2、さらにはノイズ抑制層3の凹凸6に対する形状追従性が向上することとなる。
なお、この絶縁層2は、図1で示したように、1層で構成されるものの他、上述した絶縁フィルムのうち異なるものを積層させた2層以上の積層体であってもよい。
さらに、絶縁層2は、そのノイズ抑制層3側の面、および、ノイズ抑制層3と反対側の面の双方または何れか一方に、粘着剤層を備えるものであってもよい。これにより、ノイズ抑制層3と絶縁層2との粘着性(密着性)および/または電磁波シールド用フィルム10で被覆する基板5と絶縁層2との粘着性(密着性)の向上が図られる。
この粘着剤層としては、前述した保護層1の説明で記載した粘着剤層と同様のものが挙げられる。
なお、本実施形態では、電磁波シールド用フィルム10を、絶縁層2を備えるものとすることで、基板5および電子部品4を被覆し、これにより、基板5上で隣接する電子部品4同士を絶縁することとしたが、この絶縁層2による電子部品4同士の絶縁を必要としない場合には、この絶縁層2を省略することもできる。
電磁波シールド用フィルム10を、上記のような構成の保護層1、ノイズ抑制層3および絶縁層2を備えるものとすることにより、電磁波シールド用フィルム10の軽量化・薄型化を図ることができる。
また、電磁波シールド用フィルム10は、波長300nm以上800nm以下における光線透過率が0.01%以上30%以下であることが好ましく、0.01%以上10%以下であることがより好ましい。これにより、光を吸収、遮断しノイズ抑制層3で被覆している内部すなわち電子部品4を見えなくすることができるため、例えば、ノイズ抑制層3で被覆された電子部品搭載基板の流通時における電子部品4の秘匿性を担保することができるという利点が得られる。
なお、前記光線透過率は、例えば、紫外可視分光光度計により求めることができる。
なお、前記光線透過率は、例えば、紫外可視分光光度計により求めることができる。
<電子部品の被覆方法>
(第1の被覆方法)
以上のような構成の電磁波シールド用フィルム10を用いて、例えば、以下のようにして、基板5上に搭載された電子部品4が被覆される。
(第1の被覆方法)
以上のような構成の電磁波シールド用フィルム10を用いて、例えば、以下のようにして、基板5上に搭載された電子部品4が被覆される。
図2は、図1に示す電磁波シールド用フィルムを用いた電子部品の被覆方法の第1の被覆方法を説明するための縦断面図である。
以下の電子部品の第1の被覆方法は、基板5上に、電磁波シールド用フィルム10を絶縁層2と電子部品4が接着するように貼付する貼付工程を有する。
(貼付工程)
前記貼付工程とは、図2(a)に示すように、本実施形態では、基板5上に電子部品4を搭載することで設けられた凹凸6に、電磁波シールド用フィルム10を追従するように貼付する工程である。
前記貼付工程とは、図2(a)に示すように、本実施形態では、基板5上に電子部品4を搭載することで設けられた凹凸6に、電磁波シールド用フィルム10を追従するように貼付する工程である。
凹凸6に追従して貼付する方法としては、特に限定されないが、例えば、以下のような方法が挙げられる。
すなわち、まず、基板5の凹凸6が形成されている側の面と、電磁波シールド用フィルム10の絶縁層2側の面とが対向するように、基板5と電磁波シールド用フィルム10とを重ね合わせた状態でセットし、その後、これらを常温下において、電磁波シールド用フィルム10側から均一に電磁波シールド用フィルム10と基板5とが互いに接近するように、加圧することにより実施される。
このように電磁波シールド用フィルム10側から均一に加圧することで、保護層1が凹凸6の形状に追従し、さらに、これに併せて、保護層1よりも基板5側に位置する、絶縁層2およびノイズ抑制層3も凹凸6の形状に追従する。これにより、凹凸6の形状に保護層1、絶縁層2およびノイズ抑制層3が追従した状態で、保護層1、絶縁層2およびノイズ抑制層3により凹凸6が被覆される。
このような貼付工程において、貼付する温度は、常温であり、具体的には、5℃以上35℃以下であることが好ましく、20℃以上30℃以下であることがより好ましく、25℃であることがさらに好ましい。
また、貼付する圧力は、特に限定されないが、0.05MPa以上0.5MPa以下であることが好ましく、より好ましくは0.1MPa以上0.3MPa以下である。
さらに、貼付する時間は、特に限定されないが、1秒以上60秒以下であることが好ましく、より好ましくは5秒以上30秒以下である。
貼付工程における条件を上記範囲内に設定することにより、電磁波シールド用フィルム10側からの加圧による電子部品4の破損を招くことなく、基板5上の凹凸6に対して絶縁層2およびノイズ抑制層3が追従した状態で、これら絶縁層2およびノイズ抑制層3により凹凸6を確実に被覆することができる。
以上のような工程を経ることにより、保護層1、絶縁層2およびノイズ抑制層3により凹凸6を追従するように被覆することができる。なお、本実施形態のように、被覆した凹凸6に保護層1が残存する被覆方法では、基板5の反対側に位置する他の部材(電子部品等)とノイズ抑制層3とを絶縁する絶縁層としての機能を保護層1が発揮する。
(第2の被覆方法)
また、電子部品4の被覆は、電磁波シールド用フィルム10で凹凸6に追従して被覆する上述した方法の他、凹凸6に追従することなく、電子部品4を被覆するように行ってもよい。
また、電子部品4の被覆は、電磁波シールド用フィルム10で凹凸6に追従して被覆する上述した方法の他、凹凸6に追従することなく、電子部品4を被覆するように行ってもよい。
図3は、図1に示す電磁波シールド用フィルムを用いた電子部品の被覆方法の第2の被覆方法を説明するための縦断面図である。
以下の電子部品の第2の被覆方法は、第1の被覆方法と同様に、基板5上に、電磁波シールド用フィルム10を絶縁層2と電子部品4が接着するように貼付する貼付工程を有する。
(貼付工程)
この貼付工程では、図3(a)に示すように、本実施形態では、基板5上に電子部品4を搭載することで設けられた凹凸6に、電磁波シールド用フィルム10を追従することなく貼付する。
この貼付工程では、図3(a)に示すように、本実施形態では、基板5上に電子部品4を搭載することで設けられた凹凸6に、電磁波シールド用フィルム10を追従することなく貼付する。
凹凸6に追従することなく貼付するには、例えば、前記第1の被覆方法で説明した貼付工程において、電磁波シールド用フィルム10と基板5とが互いに接近するように、電磁波シールド用フィルム10側から均一に加圧する際に、この加圧条件を設定することにより実現できる。すなわち、前記加圧条件を、凹凸6に追従させる際の圧力よりも低く設定すること、および、凹凸6に追従させる際の時間よりも短く設定することにより、凹凸6に追従することなく電磁波シールド用フィルム10を貼付することができる。
このような被覆方法により、凹凸6の形状に保護層1、絶縁層2およびノイズ抑制層3が追従していない状態で、保護層1、絶縁層2およびノイズ抑制層3により凹凸6が被覆される。
なお、このように、電磁波シールド用フィルム10を凹凸6の形状に追従させない場合、絶縁層2およびノイズ抑制層3が破断するのを防止する保護(緩衝)材として機能する保護層1の形成を省略することもできる。
(第3の被覆方法)
さらに、電子部品4の被覆は、電磁波シールド用フィルム10で被覆する方法、すなわち、保護層1、絶縁層2およびノイズ抑制層3で被覆する上述した方法(第1の被覆方法および第2の被覆方法)の他、電磁波シールド用フィルム10から保護層1を剥離して、絶縁層2およびノイズ抑制層3により、電子部品4を被覆するようにしてもよい。
さらに、電子部品4の被覆は、電磁波シールド用フィルム10で被覆する方法、すなわち、保護層1、絶縁層2およびノイズ抑制層3で被覆する上述した方法(第1の被覆方法および第2の被覆方法)の他、電磁波シールド用フィルム10から保護層1を剥離して、絶縁層2およびノイズ抑制層3により、電子部品4を被覆するようにしてもよい。
図4は、図1に示す電磁波シールド用フィルムを用いた電子部品の被覆方法の第3の被覆方法を説明するための縦断面図である。
以下の電子部品の第3の被覆方法は、基板5上に、電磁波シールド用フィルム10を絶縁層2と電子部品4が接着するように貼付する貼付工程と、前記貼付工程の後、保護層1を剥離する剥離工程とを有する。
(貼付工程)
貼付工程では、図2で説明した電子部品の被覆方法(第1の被覆方法)と同様に、図4(a)に示すように、基板5上に電子部品4を搭載することで設けられた凹凸6に、電磁波シールド用フィルム10を追従するように貼付する。
貼付工程では、図2で説明した電子部品の被覆方法(第1の被覆方法)と同様に、図4(a)に示すように、基板5上に電子部品4を搭載することで設けられた凹凸6に、電磁波シールド用フィルム10を追従するように貼付する。
(剥離工程)
剥離工程では、例えば、図4(b)に示すように、前記貼付工程の後、保護層1を電磁波シールド用フィルム10から剥離する。
剥離工程では、例えば、図4(b)に示すように、前記貼付工程の後、保護層1を電磁波シールド用フィルム10から剥離する。
この剥離工程により、本実施形態では、電磁波シールド用フィルム10における保護層1とノイズ抑制層3との界面において、剥離が生じ、その結果、ノイズ抑制層3から保護層1が剥離される。これにより、ノイズ抑制層3から保護層1を剥離した状態で、絶縁層2およびノイズ抑制層3により凹凸6が被覆される。
なお、保護層1を剥離する方法としては、特に限定されないが、例えば、手作業による剥離が挙げられる。
この手作業による剥離では、まず、保護層1の一方の端部を把持し、この把持した端部から保護層1をノイズ抑制層3から引き剥がし、次いで、この端部から中央部へさらには他方の端部へと順次保護層1を引き剥がすことにより、ノイズ抑制層3から保護層1が剥離される。
以上のような工程を経ることにより、ノイズ抑制層3から保護層1を剥離した状態で、絶縁層2およびノイズ抑制層3により凹凸6を被覆することができる。かかる被覆方法によれば、ノイズ抑制層3で電磁波を遮断する際のさらなる軽量化・薄型化を図ることができる。
また、第2の被覆方法と第3の被覆方法とを組み合わせるようにしてもよい。すなわち、凹凸6に、電磁波シールド用フィルム10を追従させることなく貼付した後に、電磁波シールド用フィルム10から保護層1を剥離して、凹凸6に追従していない絶縁層2およびノイズ抑制層3により、電子部品4を被覆するようにしてもよい。
<電磁波シールド用フィルム製造装置>
以上のような電磁波シールド用フィルム10は、以下に説明する電磁波シールド用フィルム製造装置(以下、単に「フィルム製造装置」と言うこともある。)100を用いて、例えば、次のようにして製造される。
以上のような電磁波シールド用フィルム10は、以下に説明する電磁波シールド用フィルム製造装置(以下、単に「フィルム製造装置」と言うこともある。)100を用いて、例えば、次のようにして製造される。
なお、フィルム製造装置100は、巻出しローラ46、47に巻回するフィルムの種類に応じて、第1のモードと第2のモードとを取り得るように構成されるものである。
図5は、図1に示す電磁波シールド用フィルムの製造に用いられる電磁波シールド用フィルム製造装置の第1のモードを示す斜視図、図6は、図1に示す電磁波シールド用フィルムの製造に用いられる電磁波シールド用フィルム製造装置の第2のモードを示す斜視図である。なお、以下では、説明の都合上、図5、5中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言い、左側を「左」、右側を「右」と言う。
なお、以下では、フィルム製造装置100を、第1のモードとして使用する場合について主として説明し、第2のモードについては、第1のモードとの相違点を中心に説明する。
(第1のモード)
フィルム製造装置100は、第1の離型シート71および保護層(保護シート)1を搬送する搬送手段40と、第1の離型シート71に液状をなすノイズ抑制層形成材料を供給する液状材料供給手段50と、液状をなすノイズ抑制層形成材料を乾燥させてノイズ抑制層3を形成する乾燥手段60とを備えている。
フィルム製造装置100は、第1の離型シート71および保護層(保護シート)1を搬送する搬送手段40と、第1の離型シート71に液状をなすノイズ抑制層形成材料を供給する液状材料供給手段50と、液状をなすノイズ抑制層形成材料を乾燥させてノイズ抑制層3を形成する乾燥手段60とを備えている。
図5に示すように、搬送手段40は、巻出しローラ46に巻回された第1の離型シート71および巻出しローラ47に巻回された保護層1をこれらの長手方向に沿って搬送するとともに、これらから得られる積層シート73を、巻取りローラ48に巻回するものである。
搬送手段40は、第1の離型シート71を巻回する巻出しローラ46と、保護層1を巻回する巻出しローラ47と、積層シート73を巻取る(巻回する)巻取りローラ48と、巻出しローラ46、47と巻取りローラ48との間に配置されたテンショナ(テンションローラ)41、42、43、44、45とを有している。
なお、各ローラは、それぞれ、例えば、ステンレス鋼等のような金属材料で構成されている。また、これらのローラは、回動軸(中心軸)同士が同じ方向を向いており、互いに離間して配置されている。さらに、各ローラは、例えばフィルム製造装置100全体を支持するフレーム(図示せず)に回動可能に支持されている。
巻出しローラ46は、外形形状が円柱状をなし、第1の離型シート71の搬送方向最上流側に位置して、第1の離型シート71がロール状に巻回されており、この第1の離型シート71を搬送方向に送出すローラである。また、巻出しローラ47は、外形形状が円柱状をなし、第1の離型シート71の搬送方向の途中に位置して、保護層1がロール状に巻回されており、この保護層1を搬送方向に送出すローラである。
テンショナ41〜45は、それぞれ、外形形状が円柱状をなしている。また、これらのうち、テンショナ41〜43は、第1の離型シート71の長手方向の途中が接触して、掛け回されつつ回転するローラである。これにより、第1の離型シート71に張力を掛けつつ、搬送方向を変更して搬送することができる。さらに、テンショナ45は、保護層1の長手方向の途中が接触して、掛け回されつつ回転するローラである。これにより、保護層1に張力を掛けつつ、搬送方向を変更して搬送することができる。なお、テンショナ43、45は、それぞれ、ノイズ抑制層3が形成された第1の離型シート71と保護層1とを挾持し得る程度に離間しており、これら同士を圧縮することでノイズ抑制層3に保護層1を貼付する圧縮ローラとしての機能も発揮する。さらに、テンショナ44は、ノイズ抑制層3に保護層1が貼付された積層シート73の長手方向の途中が接触して、掛け回されつつ回転するローラである。これにより、積層シート73に張力を掛けつつ、搬送方向を変更して搬送することができる。
さらに、巻取りローラ48は、外形形状が円柱状をなし、第1の離型シート71の搬送方向最下流側に位置して、搬送方向上流側から送り出されてきた積層シート73を巻取るローラである。この巻取りローラ48にモータ(図示せず)が接続されており、このモータの作動により、第1の離型シート71および保護層1が搬送される。また、モータに印加する電圧の大きさを変更することにより、第1の離型シート71および保護層1の搬送速度を変更することができる。
液状材料供給手段50は、図5に示すように、ディスペンサー51を有している。このディスペンサー51は、テンショナ42とテンショナ43との間の、第1の離型シート71の搬送方向の最上流側の位置に、第1の離型シート71に対向して、その上側に配置されており、フィルム製造装置100全体を支持する前記フレームに支持、固定されている。そして、このディスペンサー51から、液状をなすノイズ抑制層形成材料が液滴32として、第1の離型シート71に滴下(供給)され、これにより、第1の離型シート71上に液状被膜31が形成される。
ノイズ抑制層形成材料としては、例えば、上述したノイズ抑制層3の構成材料を、溶媒または分散媒に溶解または分解したものが挙げられる。また、溶媒または分散媒としては、特に限定されないが、例えば、メシチレン、デカリン、ミネラルスピリット、トルエン、キシレン類等の炭化水素類、アニソール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジグライム等のアルコール/エーテル類、炭酸エチレン、酢酸エチル、酢酸N−ブチル、乳酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、炭酸プロピレン、γ−ブチロラクトン等のエステル/ラクトン類、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン等のケトン類、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド/ラクタム類が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、ノイズ抑制層形成材料(樹脂組成物)において、バインダー樹脂が、ポリエステルウレタン樹脂およびウレタン樹脂のうちの少なくとも1種を含む場合、バインダー樹脂には、さらに、イソシアネート硬化剤が含まれることが好ましい。
これにより、ノイズ抑制層形成材料中において、イソシアネート硬化剤は、ポリエステルウレタン樹脂および/またはウレタン樹脂を分子間で結合(架橋)させることで硬化させる硬化剤として機能する。すなわち、硬化剤としてのイソシアネートが含まれることで、ポリエステルウレタン樹脂および/またはウレタン樹脂に残存する水酸基と、イソシアネートが有するイソシアネート基とが反応してウレタン結合で構成された架橋構造が形成され、これにより、ノイズ抑制層3は、ノイズ抑制層形成材料の硬化物で構成されることとなる。なお、この水酸基とイソシアネート基とが結合することによるノイズ抑制層形成材料の硬化は、ノイズ抑制層形成材料が加熱されることにより硬化する熱硬化により行われる。
イソシアネート硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、イソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート等が挙げられ、特に、イソシアネート基を3個以上有する多官能イソシアネートも含むことがより好ましい。
また、液状材料を第1の離型シート71上に供給する方法としては、特に限定されず、上述したディスペンサー51を用いて液滴32を供給する方法の他、各種塗布法を用いることができる。この塗布法としては、例えば、キャスティング法、コンマコート法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スロットダイ法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法等が挙げられる。
乾燥手段60は、図5に示すように、一対の熱風供給部61を有している。これら熱風供給部61は、テンショナ42とテンショナ43との間の、第1の離型シート71の搬送方向の液状材料供給手段50よりも下流側の位置に、第1の離型シート71に対向して、その上方および下方に1つずつ配置されており、フィルム製造装置100全体を支持する前記フレームに支持、固定されている。そして、各熱風供給部61は、電熱線で構成されたヒータ62が内蔵されており、このヒータ62で加熱された熱風が、図示しない複数の熱風供給孔を介して、第1の離型シート71上に形成された液状被膜31に対して吹き付けられる。これにより、液状被膜(ノイズ抑制層形成材料)31が乾燥して、第1の離型シート71上にノイズ抑制層3が形成される。
なお、ヒータ62は、図5に記載の構成とは異なり、各熱風供給部61において、第1の離型シート71の搬送方向に沿って、複数個(例えば、3つ)のものが並んで配設されるものであってもよい。この場合、複数個のヒータ62で加熱される熱風を、それぞれ、異なる温度に設定(例えば、前記搬送方向に沿って段階的に高温となるように設定)することができるため、液状被膜31の乾燥を、より効率よく円滑に行うことができる。
(第2のモード)
第2のモードのフィルム製造装置100において、搬送手段40は、図6に示すように、さらに、巻出しローラ47に対して積層シート73を挿通可能な程度離間して配置された剥離ローラ49を有している。そして、第1のモードにおいて巻取りローラ48に巻き取られた積層シート73が巻出しローラ47には巻回されており、この積層シート73が、巻出しローラ47と剥離ローラ49との間に搬送された際に、剥離ローラ49により第1の離型シート71が積層シート73から剥離され、保護層1とノイズ抑制層3との積層体が搬送方向の上流側に搬送される。
第2のモードのフィルム製造装置100において、搬送手段40は、図6に示すように、さらに、巻出しローラ47に対して積層シート73を挿通可能な程度離間して配置された剥離ローラ49を有している。そして、第1のモードにおいて巻取りローラ48に巻き取られた積層シート73が巻出しローラ47には巻回されており、この積層シート73が、巻出しローラ47と剥離ローラ49との間に搬送された際に、剥離ローラ49により第1の離型シート71が積層シート73から剥離され、保護層1とノイズ抑制層3との積層体が搬送方向の上流側に搬送される。
また、巻出しローラ46は、第2の離型シート72が巻回されており、この第2の離型シート72がその長手方向に沿って搬送される。さらに、巻取りローラ48は、第2の離型シート72と、この第2の離型シート72に積層された電磁波シールド用フィルム10とを備える積層シート74を巻回する。
さらに、液状材料供給手段50では、ディスペンサー51は、液状をなす絶縁層形成材料を液滴22として、第2の離型シート72に滴下(供給)するものであり、これにより、第2の離型シート72上に液状被膜21を形成する。なお、絶縁層形成材料としては、例えば、絶縁層2の構成材料を、溶媒または分散媒に溶解または分解したものが挙げられる。また、溶媒または分散媒としては、ノイズ抑制層形成材料で説明したのと同様のものを用いることができる。
また、乾燥手段60は、第2の離型シート72上の液状被膜(絶縁層形成材料)21を乾燥させて、これにより、第2の離型シート72上に絶縁層2を形成させる。
以上のような電磁波シールド用フィルムの製造装置を用いた電磁波シールド用フィルムの製造方法により、電磁波シールド用フィルム10が製造される。
この電磁波シールド用フィルムの製造方法は、本実施形態では、シート状をなす第1の離型シート71の上面に、液状をなすノイズ抑制層形成材料を供給した後、乾燥させることで、ノイズ抑制層3を形成し、その後、ノイズ抑制層3に保護層(保護シート)1を貼付することで積層シート73を得る第1の工程と、シート状をなす第2の離型シート72の上面に、液状をなす絶縁層形成材料を供給した後、乾燥させることで、絶縁層を形成するとともに、積層シート73から第1の離型シート71を剥離させ、その後、第2の離型シート72上の絶縁層2に、保護層1上のノイズ抑制層3を貼付することで、第2の離型シート72と、この第2の離型シート72に積層された電磁波シールド用フィルム10とを備える積層シート74を得る第2の工程とを有する。
以下、これらの各工程について、順次説明する。
(第1の工程)
まず、シート状をなす第1の離型シート71の上面に、液状をなすノイズ抑制層形成材料を供給した後、乾燥させることで、ノイズ抑制層3を形成し、その後、ノイズ抑制層3に保護層(保護シート)1を貼付することで積層シート73を得る(図5参照。)。
(第1の工程)
まず、シート状をなす第1の離型シート71の上面に、液状をなすノイズ抑制層形成材料を供給した後、乾燥させることで、ノイズ抑制層3を形成し、その後、ノイズ抑制層3に保護層(保護シート)1を貼付することで積層シート73を得る(図5参照。)。
(1−1)まず、第1の離型シート71が予め巻回された巻出しローラ46から、第1の離型シート71を、搬送方向に沿ってテンショナ41〜44にその途中が接触するように巻出し、その先端を巻取りローラ48に装着する。また、保護層1が予め巻回された巻出しローラ47から、保護層1を、搬送方向に沿ってテンショナ44、45にその途中が接触するように巻出し、その先端を巻取りローラ48に装着する。
そして、巻取りローラ48に接続されたモータの作動により、第1の離型シート71および保護層1を搬送方向に搬送させる。
この第1の離型シート71は、その平均厚さが5μm以上60μm以下であることが好ましく、20μm以上40μm以下であることがより好ましい。
また、第1の離型シート71は、その常温(25℃)における貯蔵弾性率は、5.5E+09Pa〜9.0E+11Paであるのが好ましく、6.0E+09P〜7.0E+10Paであるのがより好ましい。
第1の離型シート71の平均厚さおよび貯蔵弾性率を前記範囲内に設定することにより、第1の離型シート71に液状被膜31さらにはノイズ抑制層3を形成する際に、第1の離型シート71にシワが生じるのを的確に抑制または防止することができる。したがって、かかる第1の離型シート71に積層されるノイズ抑制層3および保護層1にもシワが生じるのをより的確に抑制または防止することができる。
第1の離型シート71の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンおよびポリエチレン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ポリプロピレンまたはポリエチレンを主材料として含有することが好ましい。これにより、第1の離型シート71の常温(25℃)における貯蔵弾性率を、容易に前記範囲内に設定することができる。
このように、液状被膜31さらにはノイズ抑制層3の形成に適した第1の離型シート71が選択されることから、液状被膜31およびノイズ抑制層3の形成の際に、これらにシワが生じるのを的確に抑制または防止することができる。
(1−2)次いで、テンショナ42とテンショナ43との間の、第1の離型シート71の搬送方向の最上流側の位置で、ディスペンサー51から、液状をなすノイズ抑制層形成材料を液滴32として、巻出しローラ46から巻出された第1の離型シート71に滴下(供給)することで、第1の離型シート71上に液状被膜31を形成する。
なお、本工程において、第1の離型シート71上に形成される液状被膜31は、その幅が、図5に示すように、第1の離型シート71の幅よりも狭く設定されている。これにより、次工程(1−3)で形成されるノイズ抑制層3の幅も第1の離型シート71の幅よりも狭く形成することができる。そのため、後工程(1−4)において、第1の離型シート71と保護層1との間から、ノイズ抑制層3をはみ出させることなく、ノイズ抑制層3に、保護層1を確実に貼付することができる。
(1−3)次いで、テンショナ42とテンショナ43との間の、第1の離型シート71の搬送方向の液状材料供給手段50よりも下流側の位置で、乾燥手段60により、液状被膜(ノイズ抑制層形成材料)31を乾燥させることにより、第1の離型シート71上にノイズ抑制層3を形成する。
液状被膜31を乾燥させる際の液状被膜31の温度は、40℃以上150℃以下であることが好ましく、50℃以上120℃以下であることがより好ましい。これにより、液状被膜31を乾燥させてノイズ抑制層3を成膜することができるとともに、ノイズ抑制層3に保護層1に対する接着性を発現させて、次工程(1−4)において、ノイズ抑制層3に保護層1をより強固に接合することができる。また、ノイズ抑制層3中に溶媒または分散媒が残存するのを的確に抑制または防止することができるため、溶媒または分散媒が残存することに起因してノイズ抑制層3に不具合が生じるのを確実に低減させることができる。
(1−4)次いで、第1の離型シート71上に形成されたノイズ抑制層3に、巻出しローラ47から巻出された保護層1を、テンショナ43、45との間で、ノイズ抑制層3が形成された第1の離型シート71と保護層1とを圧縮することで、貼付する。
これにより、ノイズ抑制層3に保護層1が接合され、第1の離型シート71上に、ノイズ抑制層3と保護層1とが、この順で積層された積層シート73が得られる。
このようなテンショナ43、45による第1の離型シート71と保護層1との圧縮により、電磁波シールド用フィルム10に対するプレス処理が施され、この圧縮により、ノイズ抑制層3における空隙率が1.0体積%以上25.0体積%以下の範囲内に設定される。
なお、テンショナ43、45によりノイズ抑制層3を圧縮する際の圧縮力は、特に限定されないが、0.01MPa以上10MPa以下程度であるのが好ましく、0.1MPa以上1MPa以下程度であるのがより好ましい。
また、ノイズ抑制層3を圧縮する際の温度は、50℃以上200℃以下程度であるのが好ましく、100℃以上170℃以下程度であるのがより好ましい。
ノイズ抑制層3を圧縮する際の条件を、上記のように設定することにより、ノイズ抑制層3における空隙率を確実に前記範囲内に設定することができる。
また、ノイズ抑制層形成材料において、バインダー樹脂が、ポリエステルウレタン樹脂およびウレタン樹脂のうちの少なくとも1種と、硬化剤としてのイソシアネート硬化剤とを含む場合、テンショナ43、45による圧縮の際に、ノイズ抑制層3(ノイズ抑制層形成材料)が加熱されることで、ノイズ抑制層形成材料が硬化する。これにより、ノイズ抑制層3がノイズ抑制層形成材料の硬化物で構成されることとなるため、プレス処理の後に厚さが変化するスプリングバックにより、空隙率が25.0体積%超に変化するのをより的確に抑制または防止することができる。
(1−5)次いで、得られた積層シート73を、テンショナ44を介した後、巻取りローラ48で巻き取る(巻回する)。
これにより、巻取りローラ48で巻き取られた状態で、ノイズ抑制層3と保護層1とが、この順で積層された積層シート73を連続的に得ることができる。
上記の工程によれば、液状被膜31ひいてはノイズ抑制層3の形成に適した第1の離型シート71に、液状被膜31ひいてはノイズ抑制層3を形成することができる。そのため、シワの発生が的確に抑制または防止された状態でこのノイズ抑制層3上に保護層1を貼付することができる。その結果、ノイズ抑制層3および保護層1においてシワを的確に生じさせることなく、巻取りローラ48で巻き取られた状態で積層シート73が得られる。
なお、第1の工程では、得られた積層シート73において、保護層1とノイズ抑制層3との間の接合強度をA[N/mm]とし、ノイズ抑制層3と第1の離型シート71との間の接合強度をC[N/mm]としたとき、A>Cなる関係を満足するように設定されている。これにより、第2の工程において、保護層1とノイズ抑制層3との間で剥離を生じさせることなく、ノイズ抑制層3から第1の離型シート71を確実に剥離させることができる。
また、第1の工程では、図5に示すように、巻出しローラ46から巻出される第1の離型シート71の巻き方向と、巻取りローラ48に巻き取られる第1の離型シート71の巻き方向とが同一の方向となっており、巻出しローラ47から巻出される保護層1の巻き方向と、巻取りローラ48に巻き取られる保護層1の巻き方向とが逆の方向となっている。これにより、巻取りローラ48に巻き取られる積層シート73に巻グセが生じるのを的確に抑制することができる。
(第2の工程)
次に、シート状をなす第2の離型シート72の上面に、液状をなす絶縁層形成材料を供給した後、乾燥させることで、絶縁層を形成するとともに、積層シート73から第1の離型シート71を剥離させ、その後、第2の離型シート72上の絶縁層2に、保護層1上のノイズ抑制層3を貼付することで、第2の離型シート72と、この第2の離型シート72に積層された電磁波シールド用フィルム10とを備える積層シート74を得る(図6参照。)。
次に、シート状をなす第2の離型シート72の上面に、液状をなす絶縁層形成材料を供給した後、乾燥させることで、絶縁層を形成するとともに、積層シート73から第1の離型シート71を剥離させ、その後、第2の離型シート72上の絶縁層2に、保護層1上のノイズ抑制層3を貼付することで、第2の離型シート72と、この第2の離型シート72に積層された電磁波シールド用フィルム10とを備える積層シート74を得る(図6参照。)。
(2−1)まず、第2の離型シート72が予め巻回された巻出しローラ46から、第2の離型シート72を、搬送方向に沿ってテンショナ41〜44にその途中が接触するように巻出し、その先端を巻取りローラ48に装着する。また、前記第1の工程で得られた積層シート73が予め巻回された巻出しローラ47から、第1の離型シート71を剥離させた状態で、保護層1とノイズ抑制層3との積層体を、ノイズ抑制層3が上側になるように、搬送方向に沿ってテンショナ44、45にその途中が接触するように巻出し、その先端を巻取りローラ48に装着する。
そして、巻取りローラ48に接続されたモータの作動により、第2の離型シート72および保護層1とノイズ抑制層3との積層体を搬送方向に搬送させる。
なお、第2の離型シート72としては、前述した第1の離型シート71と同様のものを用いることができる。
(2−2)次いで、テンショナ42とテンショナ43との間の、第2の離型シート72の搬送方向の最上流側の位置で、ディスペンサー51から、液状をなす絶縁層形成材料を液滴22として、第2の離型シート72に滴下(供給)することで、第2の離型シート72上に液状被膜21を形成する。
なお、本工程において、第2の離型シート72上に形成される液状被膜21は、その幅が、図6に示すように、第2の離型シート72の幅よりも狭く設定されている。これにより、次工程(2−3)で形成される絶縁層2の幅も第2の離型シート72の幅よりも狭く形成することができる。そのため、後工程(2−4)において、第2の離型シート72と保護層1との間から、絶縁層2をはみ出させることなく、絶縁層2に、ノイズ抑制層3を確実に貼付することができる。
(2−3)次いで、テンショナ42とテンショナ43との間の、第2の離型シート72の搬送方向の液状材料供給手段50よりも下流側の位置で、乾燥手段60により、液状被膜(絶縁層形成材料)21を乾燥させることにより、第2の離型シート72上に絶縁層2を形成する。
液状被膜21を乾燥させる際の液状被膜21の温度は、40℃以上150℃以下であることが好ましく、50℃以上120℃以下であることがより好ましい。これにより、液状被膜21を乾燥させて絶縁層2を成膜することができるとともに、絶縁層2にノイズ抑制層3に対する接着性を発現させて、次工程(2−4)において、絶縁層2にノイズ抑制層3をより強固に接合することができる。また、絶縁層2中に溶媒または分散媒が残存するのを的確に抑制または防止することができるため、溶媒または分散媒が残存することに起因して絶縁層2に不具合が生じるのを確実に低減させることができる。
(2−4)次いで、巻出しローラ47から巻出された積層シート73から剥離ローラ49を用いて第1の離型シート71を剥離することで、保護層1とノイズ抑制層3との積層体を搬送方向に搬送する(巻出す)。その後、この積層体のノイズ抑制層3を、第2の離型シート72上に形成された絶縁層2に、テンショナ43、45との間で、絶縁層2が形成された第2の離型シート72と前記積層体とを圧縮することで、貼付する。
これにより、絶縁層2にノイズ抑制層3が接合され、その結果、第2の離型シート72上に、絶縁層2とノイズ抑制層3と保護層1とが、この順で積層された電磁波シールド用フィルム10を備える積層シート74が得られる。
このようなテンショナ43、45による、絶縁層2が形成された第2の離型シート72と前記積層体との圧縮によっても、ノイズ抑制層3に対するプレス処理が施され、この圧縮により、ノイズ抑制層3における空隙率が確実に1.0体積%以上25.0体積%以下の範囲内に設定される。
(2−5)次いで、得られた積層シート74を、テンショナ44を介した後、巻取りローラ48で巻き取る。
これにより、巻取りローラ48で巻き取られた状態で、第2の離型シート72と電磁波シールド用フィルム10とを備える積層シート74を連続的に得ることができる。
上記の工程によれば、液状被膜21ひいては絶縁層2の形成に適した第2の離型シート72に、液状被膜21ひいては絶縁層2を形成することができる。そのため、シワの発生が的確に抑制または防止された状態でこの絶縁層2上にノイズ抑制層3および保護層1を貼付することができる。その結果、絶縁層2、ノイズ抑制層3および保護層1においてシワを的確に生じさせることなく、巻取りローラ48で巻き取られた状態で積層シート74が得られる。そのため、かかる電磁波シールド用フィルム10を用いて覆われる基板5の設計自由度を高め、かつ軽量化・薄型化を図ることが可能である。さらに、基板5に電子部品4を搭載することで形成される凹凸6に対して、形状追従性を電磁波シールド用フィルム10に発揮させて被覆することができる。
なお、第2の工程では、得られた積層シート74において、保護層1とノイズ抑制層3との間の接合強度をA[N/mm]とし、絶縁層2と第2の離型シート72との間の接合強度をB[N/mm]としたとき、A>Bなる関係を満足するように設定されている。これにより、積層シート74から第2の離型シート72を剥離して、電磁波シールド用フィルム10とする際に、保護層1とノイズ抑制層3との間で剥離が生じるのを的確に抑制または防止することができる。
また、第2の工程では、図6に示すように、巻出しローラ46から巻出される第2の離型シート72の巻き方向と、巻取りローラ48に巻き取られる第2の離型シート72の巻き方向とが同一の方向となっており、巻出しローラ47から巻出される積層シート73の巻き方向と、巻取りローラ48に巻き取られる保護層1とノイズ抑制層3との積層体の巻き方向とが逆の方向となっている。これにより、巻取りローラ48に巻き取られる積層シート74に巻グセが生じるのを的確に抑制することができる。
以上のような工程を経ることで、電磁波シールド用フィルム10が製造される。
以上のような工程を経ることで、電磁波シールド用フィルム10が製造される。
なお、上記の方法によれば、電磁波シールド用フィルム10は、第2の離型シート72と電磁波シールド用フィルム10とを備える積層シート74として巻取りローラ48に巻回された状態で得られる。このような電磁波シールド用フィルム10を、電子部品の被覆方法に適用する際には、積層シート74から第2の離型シート72を剥離させるともに、電磁波シールド用フィルム10を適切な大きさに切断して、電子部品の被覆方法に用いるようにすればよい。
さらに、前記実施形態では、図1に示したように、電磁波シールド用フィルム10が備える保護層1が1層で構成される場合について説明したが、かかる構成のものに限定されず、例えば、保護層1は、第1の層、第2の層がこの順で積層された2層の積層体であってもよいし、第1の層、第2の層、第3の層がこの順で積層された3層の積層体であってもよい。
2層の積層体の構成とする場合、第1の層としては、前記実施形態で説明した、保護層1と同様の構成のものを用いることができる。
第2の層は、第1の層とノイズ抑制層3との間に位置して、電磁波シールド用フィルムの製造方法の第1の工程において、ノイズ抑制層3に保護層(保護シート)1を貼付する際に、第1の層をノイズ抑制層3に粘着(貼付)させる粘着層として機能するものである。
この第2の層は、特に限定されないが、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ポリイミド系接着剤およびシアネート系接着剤等の各種接着剤を用いて形成される。
第2の層の厚みT(C)は、特に限定されないが、1μm以上10μm以下であることが好ましく、3μm以上8μm以下であることがより好ましい。第2の層の厚みが前記下限値未満である場合、第2の層の構成材料の種類によっては、第2の層による粘着性が十分に発揮されないおそれがある。また、第2の層の厚みが前記上限値を超える場合、電磁波シールド用フィルム10を用いて被覆する基板5の設計によっては、基板5を電磁波シールド用フィルム10で被覆した積層体の軽量化・薄型化が実現されないおそれがある。
さらに、3層の積層体の構成とする場合、第1の層および第3の層としては、前記実施形態で説明した、保護層1と同様の構成のものを用いることができる。
第2の層は、電子部品の被覆方法の貼付工程において、保護層1を押し込み用の保護として用いて基板5上の凹凸6に対して絶縁層2およびノイズ抑制層3を押し込む際に、第3の層を、凹凸6に対して押し込む(埋め込む)ためのクッション機能を有するものである。また、第2の層は、この押し込む力を、第3の層、さらには、この第3の層を介して絶縁層2およびノイズ抑制層3に、均一に作用させる機能を有しており、これにより、ノイズ抑制層3と凹凸6との間にボイドを発生させることなく、絶縁層2およびノイズ抑制層3を凹凸6に対して優れた密閉性をもって押し込むことができる。
この第2の層(クッション層)の構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロプレン等のαオレフィン系重合体、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、メチルペンテン等を共重合体成分として有するαオレフィン系共重合体、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド等のエンジニアリングプラスチックス系樹脂が挙げられ、これらを単独あるいは複数併用してもよい。これらの中でも、αオレフィン系共重合体を用いることが好ましい。具体的には、エチレン等のαオレフィンと、(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体、エチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体(EMMA)、およびそれらの部分イオン架橋物等が挙げられる。αオレフィン系共重合体は、形状追従性に優れ、さらに、第3の層の構成材料と比較して柔軟性に優れることから、かかる構成材料で構成される第2の層に、第3の層を凹凸6に対して押し込む(埋め込む)ためのクッション機能を確実に付与することができる。
第2の層の厚みT(C)は、特に限定されないが、10μm以上100μm以下であることが好ましく、20μm以上80μm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは30μm以上60μm以下である。第2の層の厚みが前記下限値未満である場合、第2の層の形状追従性が不足し、熱圧着工程で凹凸6への追従性が不足するというおそれがある。また、第2の層の厚みが前記上限値を超える場合、熱圧着工程において、第2の層からの樹脂のシミ出しが多くなり、圧着装置の熱盤に付着し、作業性が低下するというおそれがある。
また、第2の層の25〜150℃における平均線膨張係数は、500以上[ppm/℃]であるのが好ましく、1000以上[ppm/℃]であるのがより好ましい。第2の層の平均線膨張係数をかかる範囲内に設定することにより、電磁波シールド用フィルム10の加熱時において、第2の層を、第3の層と比較してより優れた伸縮性を有するものと容易にすることができる。そのため、第2の層、さらにはノイズ抑制層3および絶縁層2の凹凸6に対する形状追従性をより確実に向上させることができる。
また、前記実施形態では、基板への電子部品の搭載により、基板上に凹凸が形成されており、この凹凸を電磁波シールド用フィルムで被覆する場合について説明したが、電磁波シールド用フィルムによる被覆は、このような凹凸に対する被覆に限定されず、例えば、筐体等が備える平坦(フラット)な領域に対して施すようにしてもよい。
以上、本発明の電磁波シールド用フィルム、および電子部品搭載基板について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の電磁波シールド用フィルム、および電子部品搭載基板には、同様の機能を発揮し得る、任意の層が追加されていてもよい。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
<電磁波シールド性評価用フィルムの製造>
まず、ノイズ抑制層を形成するための樹脂系材料(ノイズ抑制層形成材料)として、磁性材粒子としてのセンダストからなる扁平粒子(山陽特殊製鋼社製、商品名:FME3DH)と、バインダーとしてのポリウレタン樹脂(東ソー株式会社製、商品名:ニッポラン2304)とポリイソシアネート(東ソー株式会社製、商品名:コロネートL)との混合品とを、体積比で40体積%:60体積%含むものを準備した。
<電磁波シールド性評価用フィルムの製造>
まず、ノイズ抑制層を形成するための樹脂系材料(ノイズ抑制層形成材料)として、磁性材粒子としてのセンダストからなる扁平粒子(山陽特殊製鋼社製、商品名:FME3DH)と、バインダーとしてのポリウレタン樹脂(東ソー株式会社製、商品名:ニッポラン2304)とポリイソシアネート(東ソー株式会社製、商品名:コロネートL)との混合品とを、体積比で40体積%:60体積%含むものを準備した。
次いで、ポリエチレンテレフタラートフィルム(絶縁層:帝人デュポン製、A−314、厚み38μm)上に、ノイズ抑制層を構成する樹脂をコーティングした後、加熱・乾燥させて、絶縁層上に第1の層を形成した。
さらに、別途用意した、ポリエチレンテレフタラートフィルム(絶縁層:帝人デュポン製、A−314、厚み38μm)上に、前記と同様にして、ノイズ抑制層を構成する樹脂をコーティングした後、加熱・乾燥させて、絶縁層上に第2の層を形成した。
次いで、前記第1の層と前記第2の層とをラミネートした後、両側の絶縁層(ポリエチレンテレフタラートフィルム)を剥離し、その後、さらに圧縮力20MPa×温度150℃の条件で加熱プレスを行うことで、ノイズ抑制層で構成される実施例1の電磁波シールド性評価用フィルムを作製した。
なお、実施例1の電磁波シールド性評価用フィルムにおいて、第1の層上に第2の層が積層された構成をなすノイズ抑制層の総厚みTは90μmであった。
また、走査電子顕微鏡(日本電子社製、「JSM−7500FA」で取得したノイズ抑制層の断面の画像を画像処理した後に求めた空隙率は、2体積%であり、インピーダンスアナライザ(ヒューレットパッカード社製、「4291A」)と磁性材料・テストフィクスチャ(ヒューレットパッカード社製、「16454A」)とを用いて、算出することで求めた、周波数5MHzの比透磁率(μ’)は、120であった。
(実施例1’)
ノイズ抑制層を形成するための樹脂系材料(ノイズ抑制層形成材料)として、磁性材粒子としてのセンダストからなる扁平粒子(山陽特殊製鋼社製、商品名:FME3DH)と、バインダーとしてのポリウレタン樹脂(東ソー株式会社製、商品名:ニッポラン2304)とを、体積比で40体積%:60体積%含むものを準備したこと以外は、前記実施例1と同様にして、第1の層上に第2の層が積層された構成をなすノイズ抑制層を備える電磁波シールド性評価用フィルムを作製した。
ノイズ抑制層を形成するための樹脂系材料(ノイズ抑制層形成材料)として、磁性材粒子としてのセンダストからなる扁平粒子(山陽特殊製鋼社製、商品名:FME3DH)と、バインダーとしてのポリウレタン樹脂(東ソー株式会社製、商品名:ニッポラン2304)とを、体積比で40体積%:60体積%含むものを準備したこと以外は、前記実施例1と同様にして、第1の層上に第2の層が積層された構成をなすノイズ抑制層を備える電磁波シールド性評価用フィルムを作製した。
なお、実施例1’の電磁波シールド性評価用フィルムにおいて、第1の層上に第2の層が積層された構成をなすノイズ抑制層の総厚みTは40μmであった。
また、走査電子顕微鏡(日本電子社製、「JSM−7500FA」で取得したノイズ抑制層の断面の画像を画像処理した後に求めた空隙率は、8体積%であり、インピーダンスアナライザ(ヒューレットパッカード社製、「4291A」)と磁性材料・テストフィクスチャ(ヒューレットパッカード社製、「16454A」)とを用いて、算出することで求めた、周波数5MHzの比透磁率(μ’)は、127であった。
(実施例2)
ノイズ抑制層を形成するための樹脂系材料(ノイズ抑制層形成材料)として、磁性材粒子としてのセンダストからなる扁平粒子(山陽特殊製鋼社製、商品名:FME3DH)と、バインダーとしてのポリウレタン樹脂(東ソー株式会社製、商品名:ニッポラン2304)とポリイソシアネート(東ソー株式会社製、商品名:コロネートL)との混合品とを、体積比で50体積%:50体積%含むものを準備したこと以外は、前記実施例1と同様にして、第1の層上に第2の層が積層された構成をなすノイズ抑制層を備える電磁波シールド性評価用フィルムを作製した。
ノイズ抑制層を形成するための樹脂系材料(ノイズ抑制層形成材料)として、磁性材粒子としてのセンダストからなる扁平粒子(山陽特殊製鋼社製、商品名:FME3DH)と、バインダーとしてのポリウレタン樹脂(東ソー株式会社製、商品名:ニッポラン2304)とポリイソシアネート(東ソー株式会社製、商品名:コロネートL)との混合品とを、体積比で50体積%:50体積%含むものを準備したこと以外は、前記実施例1と同様にして、第1の層上に第2の層が積層された構成をなすノイズ抑制層を備える電磁波シールド性評価用フィルムを作製した。
なお、実施例2の電磁波シールド性評価用フィルムにおいて、第1の層上に第2の層が積層された構成をなすノイズ抑制層の総厚みTは95μmであった。
また、走査電子顕微鏡(日本電子社製、「JSM−7500FA」で取得したノイズ抑制層の断面の画像を画像処理した後に求めた空隙率は、7体積%であり、インピーダンスアナライザ(ヒューレットパッカード社製、「4291A」)と磁性材料・テストフィクスチャ(ヒューレットパッカード社製、「16454A」)とを用いて、算出することで求めた、周波数5MHzの比透磁率(μ’)は、133であった。
(実施例3)
前記第1の層と前記第2の層とをラミネートすることによる、絶縁層上に形成された第1の層に対する第2の層の積層を、合計4回繰り返して実施することにより、第1の層上に4つ(4層)の第2の層が積層された構成をなすノイズ抑制層を形成したこと以外は、前記実施例2と同様にして電磁波シールド性評価用フィルムを作製した。
前記第1の層と前記第2の層とをラミネートすることによる、絶縁層上に形成された第1の層に対する第2の層の積層を、合計4回繰り返して実施することにより、第1の層上に4つ(4層)の第2の層が積層された構成をなすノイズ抑制層を形成したこと以外は、前記実施例2と同様にして電磁波シールド性評価用フィルムを作製した。
なお、実施例3の電磁波シールド性評価用フィルムにおいて、第1の層上に4つの第2の層が積層された構成をなすノイズ抑制層の総厚みTは170μmであった。
また、走査電子顕微鏡(日本電子社製、「JSM−7500FA」で取得したノイズ抑制層の断面の画像を画像処理した後に求めた空隙率は、7体積%であり、インピーダンスアナライザ(ヒューレットパッカード社製、「4291A」)と磁性材料・テストフィクスチャ(ヒューレットパッカード社製、「16454A」)とを用いて、算出することで求めた、周波数5MHzの比透磁率(μ’)は、148であった。
(実施例4)
前記第1の層と前記第2の層とをラミネートすることによる、絶縁層上に形成された第1の層に対する第2の層の積層を、合計5回繰り返して実施することにより、第1の層上に5つ(5層)の第2の層が積層された構成をなすノイズ抑制層を形成したこと以外は、前記実施例2と同様にして電磁波シールド性評価用フィルムを作製した。
前記第1の層と前記第2の層とをラミネートすることによる、絶縁層上に形成された第1の層に対する第2の層の積層を、合計5回繰り返して実施することにより、第1の層上に5つ(5層)の第2の層が積層された構成をなすノイズ抑制層を形成したこと以外は、前記実施例2と同様にして電磁波シールド性評価用フィルムを作製した。
なお、実施例4の電磁波シールド性評価用フィルムにおいて、第1の層上に5つの第2の層が積層された構成をなすノイズ抑制層の総厚みTは90μmであった。
また、走査電子顕微鏡(日本電子社製、「JSM−7500FA」で取得したノイズ抑制層の断面の画像を画像処理した後に求めた空隙率は、4体積%であり、インピーダンスアナライザ(ヒューレットパッカード社製、「4291A」)と磁性材料・テストフィクスチャ(ヒューレットパッカード社製、「16454A」)とを用いて、算出することで求めた、周波数5MHzの比透磁率(μ’)は、173であった。
(実施例5)
ノイズ抑制層を形成するための樹脂系材料(ノイズ抑制層形成材料)として、磁性材粒子としてのセンダストからなる扁平粒子(山陽特殊製鋼社製、商品名:FME3DH)と、バインダーとしてのポリウレタン樹脂(東ソー株式会社製、商品名:ニッポラン2304)とポリイソシアネート(東ソー株式会社製、商品名:コロネートL)との混合品とを、体積比で55体積%:45体積%含むものを準備したこと以外は、前記実施例1と同様にして、第1の層上に第2の層が積層された構成をなすノイズ抑制層を備える電磁波シールド性評価用フィルムを作製した。
ノイズ抑制層を形成するための樹脂系材料(ノイズ抑制層形成材料)として、磁性材粒子としてのセンダストからなる扁平粒子(山陽特殊製鋼社製、商品名:FME3DH)と、バインダーとしてのポリウレタン樹脂(東ソー株式会社製、商品名:ニッポラン2304)とポリイソシアネート(東ソー株式会社製、商品名:コロネートL)との混合品とを、体積比で55体積%:45体積%含むものを準備したこと以外は、前記実施例1と同様にして、第1の層上に第2の層が積層された構成をなすノイズ抑制層を備える電磁波シールド性評価用フィルムを作製した。
なお、実施例5の電磁波シールド性評価用フィルムにおいて、第1の層上に第2の層が積層された構成をなすノイズ抑制層の総厚みTは90μmであった。
また、走査電子顕微鏡(日本電子社製、「JSM−7500FA」で取得したノイズ抑制層の断面の画像を画像処理した後に求めた空隙率は、13体積%であり、インピーダンスアナライザ(ヒューレットパッカード社製、「4291A」)と磁性材料・テストフィクスチャ(ヒューレットパッカード社製、「16454A」)とを用いて、算出することで求めた、周波数5MHzの比透磁率(μ’)は、158であった。
(比較例1)
ノイズ抑制層を形成するための樹脂系材料(ノイズ抑制層形成材料)として、磁性材粒子としてのセンダストからなる扁平粒子(山陽特殊製鋼社製、商品名:FME3DH)と、バインダーとしてのポリウレタン樹脂(東ソー株式会社製、商品名:ニッポラン2304)とポリイソシアネート(東ソー株式会社製、商品名:コロネートL)との混合品とを、体積比で30体積%:70体積%含むものを準備したこと以外は、前記実施例1と同様にして、第1の層上に第2の層が積層された構成をなすノイズ抑制層を備える電磁波シールド性評価用フィルムを作製した。
ノイズ抑制層を形成するための樹脂系材料(ノイズ抑制層形成材料)として、磁性材粒子としてのセンダストからなる扁平粒子(山陽特殊製鋼社製、商品名:FME3DH)と、バインダーとしてのポリウレタン樹脂(東ソー株式会社製、商品名:ニッポラン2304)とポリイソシアネート(東ソー株式会社製、商品名:コロネートL)との混合品とを、体積比で30体積%:70体積%含むものを準備したこと以外は、前記実施例1と同様にして、第1の層上に第2の層が積層された構成をなすノイズ抑制層を備える電磁波シールド性評価用フィルムを作製した。
なお、比較例1の電磁波シールド性評価用フィルムにおいて、第1の層上に第2の層が積層された構成をなすノイズ抑制層の総厚みTは47μmであった。
また、走査電子顕微鏡(日本電子社製、「JSM−7500FA」で取得したノイズ抑制層の断面の画像を画像処理した後に求めた空隙率は、2体積%であり、インピーダンスアナライザ(ヒューレットパッカード社製、「4291A」)と磁性材料・テストフィクスチャ(ヒューレットパッカード社製、「16454A」)とを用いて、算出することで求めた、周波数5MHzの比透磁率(μ’)は、73であった。
(比較例2)
ノイズ抑制層を形成するための樹脂系材料(ノイズ抑制層形成材料)として、磁性材粒子としてのセンダストからなる扁平粒子(山陽特殊製鋼社製、商品名:FME3DH)と、バインダーとしてのポリウレタン樹脂(東ソー株式会社製、商品名:ニッポラン2304)とポリイソシアネート(東ソー株式会社製、商品名:コロネートL)との混合品とを、体積比で60体積%:40体積%含むものを準備したこと以外は、前記実施例1と同様にして、第1の層上に第2の層が積層された構成をなすノイズ抑制層を備える電磁波シールド性評価用フィルムを作製した。
ノイズ抑制層を形成するための樹脂系材料(ノイズ抑制層形成材料)として、磁性材粒子としてのセンダストからなる扁平粒子(山陽特殊製鋼社製、商品名:FME3DH)と、バインダーとしてのポリウレタン樹脂(東ソー株式会社製、商品名:ニッポラン2304)とポリイソシアネート(東ソー株式会社製、商品名:コロネートL)との混合品とを、体積比で60体積%:40体積%含むものを準備したこと以外は、前記実施例1と同様にして、第1の層上に第2の層が積層された構成をなすノイズ抑制層を備える電磁波シールド性評価用フィルムを作製した。
なお、比較例2の電磁波シールド性評価用フィルムにおいて、第1の層上に第2の層が積層された構成をなすノイズ抑制層の総厚みTは55μmであった。
また、走査電子顕微鏡(日本電子社製、「JSM−7500FA」で取得したノイズ抑制層の断面の画像を画像処理した後に求めた空隙率は、39体積%であり、インピーダンスアナライザ(ヒューレットパッカード社製、「4291A」)と磁性材料・テストフィクスチャ(ヒューレットパッカード社製、「16454A」)とを用いて、算出することで求めた、周波数5MHzの比透磁率(μ’)は、40であった。
<評価試験>
<<電磁波シールド性>>
各実施例および各比較例で作製した電磁波シールド性評価用フィルムについて、前述したKEC法(電界)を用いて、周波数0.001〜1GHzの範囲内における電磁波シールド効果の値を測定し、周波数1GHz以下の範囲における電磁波シールド効果の最小値A[dB]を求めた。そして、この最小値A[dB]とノイズ抑制層の厚さT[μm]との関係A/T[dB/μm]を算出した。
<<電磁波シールド性>>
各実施例および各比較例で作製した電磁波シールド性評価用フィルムについて、前述したKEC法(電界)を用いて、周波数0.001〜1GHzの範囲内における電磁波シールド効果の値を測定し、周波数1GHz以下の範囲における電磁波シールド効果の最小値A[dB]を求めた。そして、この最小値A[dB]とノイズ抑制層の厚さT[μm]との関係A/T[dB/μm]を算出した。
また、各実施例および各比較例で作製した電磁波シールド性評価用フィルムについて、前述したKEC法(磁界)を用いて、周波数0.001〜1GHzの範囲内における電磁波シールド効果の値を測定し、周波数1GHz以下の範囲における電磁波シールド効果の最大値B[dB]を求めた。そして、この最大値B[dB]とノイズ抑制層の厚さT[μm]との関係B/T[dB/μm]を算出した。
<<不整合損>>
各実施例および各比較例で作製した電磁波シールド性評価用フィルムについて、前述したマイクロストリップライン法を用いて、周波数0.1GHz以上1GHz以下の範囲内における不整合損の値を測定し、周波数0.1GHz以上1GHz以下の範囲内における不整合損の最大値を求めた。
以上の各実施例、各比較例の評価試験の結果を表1に示す。
各実施例および各比較例で作製した電磁波シールド性評価用フィルムについて、前述したマイクロストリップライン法を用いて、周波数0.1GHz以上1GHz以下の範囲内における不整合損の値を測定し、周波数0.1GHz以上1GHz以下の範囲内における不整合損の最大値を求めた。
以上の各実施例、各比較例の評価試験の結果を表1に示す。
表1に示した通り、扁平状をなす軟磁性材料を含有するノイズ抑制層において、その含有量を適宜設定し、さらに軟磁性材料を含有することで形成される空隙率の大きさを適宜設定することにより、各実施例のように、周波数0.1GHz以上1GHz以下の電磁波における、マイクロストリップライン法を用いて測定した際の不整合損を0.2dB以下に設定することができ、さらに、周波数1GHz以下の電磁波における、KEC法(電界)を用いて測定した際の電磁波シールド効果の最小値A[dB]と、ノイズ抑制層の厚さT[μm]との関係A/T[dB/μm]を0.080dB/μm以上とし、かつ、周波数1GHz以下の電磁波における、KEC法(磁界)を用いて測定した際の電磁波シールド効果の最大値B[dB]と厚さT[μm]との関係B/T[dB/μm]を0.050dB/μm以上とすることができる。すなわち、ノイズ抑制層を、反射成分および透過成分を小さくした状態で、吸収成分により電磁波を遮断しているものとすることができる。
なお、ノイズ抑制層を形成するための樹脂系材料(ノイズ抑制層形成材料)として、磁性材粒子としてのセンダストからなる扁平粒子(山陽特殊製鋼社製、商品名:FME3DH)と、バインダーとしてのポリウレタン樹脂(東ソー株式会社製、商品名:ニッポラン2304)とポリイソシアネート(東ソー株式会社製、商品名:コロネートL)との混合品とを、体積比で70体積%:30体積%含むものを用いた場合には、ポリエチレンテレフタラートフィルム(絶縁層:帝人デュポン製、A−314、厚み38μm)上に、ノイズ抑制層を形成することができなかった。
10 電磁波シールド用フィルム
100 電磁波シールド用フィルム製造装置
1 保護層
2 絶縁層
21 液状被膜
22 液滴
3 ノイズ抑制層
31 液状被膜
32 液滴
4 電子部品
40 搬送手段
41、42、43、44、45 テンショナ
46、47 巻出しローラ
48 巻取りローラ
49 剥離ローラ
5 基板
50 液状材料供給手段
51 ディスペンサー
6 凹凸
60 乾燥手段
61 熱風供給部
62 ヒータ
65 凸部
66 凹部
71 第1の剥離シート
72 第2の剥離シート
73、74 積層シート
100 電磁波シールド用フィルム製造装置
1 保護層
2 絶縁層
21 液状被膜
22 液滴
3 ノイズ抑制層
31 液状被膜
32 液滴
4 電子部品
40 搬送手段
41、42、43、44、45 テンショナ
46、47 巻出しローラ
48 巻取りローラ
49 剥離ローラ
5 基板
50 液状材料供給手段
51 ディスペンサー
6 凹凸
60 乾燥手段
61 熱風供給部
62 ヒータ
65 凸部
66 凹部
71 第1の剥離シート
72 第2の剥離シート
73、74 積層シート
Claims (11)
- 軟磁性材料を含有する扁平状をなす軟磁性材料粒子と、該軟磁性材料粒子を保持するバインダー樹脂とを含むノイズ抑制層を備え、
前記ノイズ抑制層は、前記軟磁性材料粒子の含有量が40体積%以上60体積%未満であり、かつ、層中に空隙を有しており、前記ノイズ抑制層における空隙率が1.0体積%以上25.0体積%以下であることを特徴とする電磁波シールド用フィルム。 - 前記軟磁性材料粒子は、そのアスペクト比が10以上80以下である請求項1に記載の電磁波シールド用フィルム。
- 前記ノイズ抑制層は、周波数0.1GHz以上1GHz以下の電磁波における、マイクロストリップライン法を用いて測定した際の不整合損が0.2dB以下である請求項1または2に記載の電磁波シールド用フィルム。
- 前記ノイズ抑制層は、周波数1GHz以下の電磁波における、KEC法(電界)を用いて測定した際の電磁波シールド効果の最小値をA[dB]とし、前記ノイズ抑制層の厚さをT[μm]としたとき、A/T[dB/μm]が0.080dB/μm以上なる関係を満足する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電磁波シールド用フィルム。
- 前記ノイズ抑制層は、周波数1GHz以下の電磁波における、KEC法(磁界)を用いて測定した際の電磁波シールド効果の最大値をB[dB]とし、前記ノイズ抑制層の厚さをT[μm]としたとき、B/T[dB/μm]が0.050dB/μm以上なる関係を満足する請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電磁波シールド用フィルム。
- 前記ノイズ抑制層は、周波数5MHzの比透磁率(μ’)が120以上200以下である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電磁波シールド用フィルム。
- 前記軟磁性材料は、センダスト、パーマロイ、マグネタイト、フェライト、ニッケルのうちの少なくとも1種を含有する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電磁波シールド用フィルム。
- 前記バインダー樹脂は、ポリエステル樹脂、スチレン−オレフィン系樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂およびウレタン樹脂のうちの少なくとも1種を含有する請求項1ないし7のいずれか1項に記載の電磁波シールド用フィルム。
- 前記ノイズ抑制層は、その平均層厚みが5μm以上200μm以下である請求項1ないし8のいずれか1項に記載の電磁波シールド用フィルム。
- 当該電磁波シールド用フィルムは、さらに、前記ノイズ抑制層の一方の面側に積層された保護シートを含む請求項1ないし9のいずれか1項に記載の電磁波シールド用フィルム。
- 基板と、該基板上に搭載された電子部品と、前記基板の前記電子部品が搭載されている面側から前記基板および電子部品を被覆するノイズ抑制層とを有する電子部品搭載基板であって、
前記ノイズ抑制層は、軟磁性材料を含有する扁平状をなす軟磁性材料粒子と、該軟磁性材料粒子を保持するバインダー樹脂とを含み、
前記ノイズ抑制層は、前記軟磁性材料粒子の含有量が40体積%以上60体積%未満であり、かつ、層中に空隙を有しており、前記ノイズ抑制層における空隙率が1.0体積%以上25.0体積%以下であることを特徴する電子部品搭載基板。
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JP2019134095A (ja) * | 2018-01-31 | 2019-08-08 | 住友ベークライト株式会社 | 封止用フィルム被覆電子部品搭載基板 |
CN112772011A (zh) * | 2018-10-03 | 2021-05-07 | 东洋油墨Sc控股株式会社 | 电磁波遮蔽片以及电子零件搭载基板 |
WO2024004698A1 (ja) * | 2022-06-29 | 2024-01-04 | 富士フイルム株式会社 | 電磁波シールド材、電子部品および電子機器 |
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2016
- 2016-06-20 JP JP2016122073A patent/JP2017228598A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019134095A (ja) * | 2018-01-31 | 2019-08-08 | 住友ベークライト株式会社 | 封止用フィルム被覆電子部品搭載基板 |
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