JP2017227788A - 顕微鏡および顕微鏡画像取得方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】シート照明方式により、複雑で高価な調整機構を用いずに簡易な構成で鮮明な蛍光画像を取得する。【解決手段】標本Sから発せられる蛍光を検出して蛍光画像を取得する検出光学系17と、検出光学系17の検出光軸に沿う方向に所定間隔をあけた平行な複数の入射平面に沿って、それぞれ異なる方向から平面状の励起光を標本Sに入射可能な照明装置5と、励起光ごとに、各入射平面と検出光学系17の焦点面とを一致させた状態で、検出光学系17および照明装置5と標本Sとを検出光軸に沿う方向に相対移動させる駆動部15と、駆動部15により相対移動させて異なる時刻に同一の入射平面に沿って異なる方向から各励起光が入射されたときに取得された蛍光画像どうしを合成する画像処理部45とを備える顕微鏡1を提供する。【選択図】図1
Description
本発明は、顕微鏡および顕微鏡画像取得方法に関するものである。
従来、標本からの蛍光を検出する検出光学系の検出光軸に交差する入射平面に沿って、標本を挟んで対向する2方向から平面状の励起光を標本に入射させて、各方向からの励起光ごとに標本から発せられる蛍光に基づいて得られる蛍光画像を合成するシート照明方式の顕微鏡が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
落射照明方式あるいは透過照明方式は、1点または複数点に集光させた励起光を2次元的に走査させることにより、2次元的な画像を取得する。これに対し、シート照明方式は、励起光を検出光軸に沿う方向の厚さが検出光学系の焦点深度に略等しいかまたは焦点深度より小さくなるように平面状に集光し、かつ広い範囲にわたって励起光の厚さがほぼ一定とみなせるために、焦点深度以下の広い範囲が一度に励起され、かつそれ以外の部分は励起されないために、画像の取得に要する時間を短縮することができる。
ところで、従来のシート照明方式の顕微鏡のように、異なる方向から入射された励起光ごとに取得される蛍光画像を合成する場合、鮮明な合成画像を生成するためには各方向から同一の入射平面に沿って励起光を入射させる必要がある。しかしながら、励起光の検出光軸に沿う方向の厚さを非常に薄くするため、対向する2方向からの励起光の入射平面が互いに一致するように光学系を調整するには、複雑で高価な調整機構が必要になるという問題がある。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、シート照明方式により、複雑で高価な調整機構を用いずに簡易な構成で鮮明な蛍光画像を取得することができる顕微鏡、および、シート照明方式により、複雑で煩雑な調整を要せず簡易に鮮明な蛍光画像を取得することができる顕微鏡画像取得方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の第1態様は、標本から発せられる蛍光を検出して蛍光画像を取得する検出光学系と、該検出光学系の検出光軸に沿う方向に所定間隔をあけた平行な複数の入射平面に沿って、それぞれ異なる方向から平面状の励起光を前記標本に入射可能なシート照明光学系と、前記励起光ごとに、各前記入射平面と前記検出光学系の焦点面とを一致させた状態で、前記検出光学系および前記シート照明光学系と前記標本とを前記検出光軸に沿う方向に相対移動させる移動機構と、該移動機構により相対移動させて異なる時刻に同一の前記入射平面に沿って前記異なる方向から各前記励起光が入射されたときに取得された前記蛍光画像どうしを合成する画像合成部とを備える顕微鏡である。
本発明の第1態様は、標本から発せられる蛍光を検出して蛍光画像を取得する検出光学系と、該検出光学系の検出光軸に沿う方向に所定間隔をあけた平行な複数の入射平面に沿って、それぞれ異なる方向から平面状の励起光を前記標本に入射可能なシート照明光学系と、前記励起光ごとに、各前記入射平面と前記検出光学系の焦点面とを一致させた状態で、前記検出光学系および前記シート照明光学系と前記標本とを前記検出光軸に沿う方向に相対移動させる移動機構と、該移動機構により相対移動させて異なる時刻に同一の前記入射平面に沿って前記異なる方向から各前記励起光が入射されたときに取得された前記蛍光画像どうしを合成する画像合成部とを備える顕微鏡である。
本態様によれば、シート照明光学系により、検出光学系の検出光軸に沿う方向に所定間隔をあけた平行な複数の入射平面に沿って平面状の励起光が標本に入射させるので、その入射平面に検出光学系の焦点面を一致させることにより、焦点面に沿う広い範囲において発生した蛍光を検出光学系によって1度に検出することができる。また、それぞれ異なる方向から標本に励起光を入射させることにより、各方向からの励起光の標本への入射深度を浅くして標本における散乱の影響を抑制し、鮮明な蛍光画像を取得することができる。
この場合において、移動機構により、異なる方向から標本に入射させる励起光ごとに、入射平面と検出光学系の焦点面とを一致させた状態で、検出光学系およびシート照明光学系と標本とを検出光軸に沿う方向に相対移動させることで、検出光学系により、異なる時刻に異なる方向から標本に入射される励起光の入射平面が互いに一致する画像を含む複数の蛍光画像を取得することができる。
これにより、各入射方向の励起光の入射平面を互いに一致させるようにシート照明光学系を調整することなく、画像合成部により、異なる時刻に同一の入射平面に沿って異なる方向から各励起光が入射されたときに取得された蛍光画像どうしを合成するだけで、鮮明な合成画像を生成することができる。したがって、シート照明方式により、シート照明光学系の調整のための複雑で高価な調整機構を用いずに、簡易な構成で鮮明な合成画像を取得することができる。
上記態様においては、前記移動機構が、前記検出光学系および前記シート照明光学系の位置を固定して、前記標本を前記検出光軸に沿う方向に移動させることとしてもよい。
このように構成することで、標本を検出光学系の検出光軸に沿う方向に移動させるだけの簡易な構成で、標本の検出光軸に沿う方向の位置が異なる複数のスタック画像を取得することができる。
このように構成することで、標本を検出光学系の検出光軸に沿う方向に移動させるだけの簡易な構成で、標本の検出光軸に沿う方向の位置が異なる複数のスタック画像を取得することができる。
上記態様においては、前記移動機構が、前記標本の位置を固定して、前記検出光学系および前記シート照明光学系を一体的に前記検出光軸に沿う方向に移動させることとしてもよい。
このように構成することで、標本を動かさずに標本の検出光軸に沿う方向の位置が異なる複数のスタック画像を取得することができる。標本を動かすことができないような場合に有効である。
このように構成することで、標本を動かさずに標本の検出光軸に沿う方向の位置が異なる複数のスタック画像を取得することができる。標本を動かすことができないような場合に有効である。
本発明の第2態様は、検出光学系の検出光軸に沿う方向に所定間隔をあけた平行な複数の入射平面に沿って互いに異なる方向から標本に入射させる平面状の励起光ごとに、前記入射平面と前記検出光学系の焦点面とを一致させる焦点合わせステップと、該焦点合わせステップにより前記励起光ごとに前記入射平面と前記検出光学系の焦点面とが一致させられた状態で、前記検出光学系の焦点面および前記励起光の前記入射平面と前記標本とを前記検出光軸に沿う方向に相対移動させる移動ステップと、該移動ステップにより相対移動させながら、前記異なる方向から各前記励起光を前記標本に入射させる入射ステップと、該入射ステップにより前記励起光が入射されることによって前記標本から発せられる蛍光を前記検出光学系により検出して蛍光画像を取得する画像取得ステップと、該画像取得ステップにより取得された前記蛍光画像の内、異なる時刻に同一の前記入射平面に沿って前記異なる方向から各前記励起光が入射されたときに取得された前記蛍光画像どうしを合成する合成ステップとを含む顕微鏡画像取得方法である。
本態様によれば、焦点合わせステップにより、異なる方向から標本に入射させる励起光ごとに入射平面と検出光学系の焦点面とを一致させ、入射ステップにより、検出光学系の検出光軸に沿う方向に所定間隔をあけた平行な複数の入射平面に沿って平面状の励起光を標本に入射させることで、画像取得ステップにより、焦点面に沿う広い範囲において発生した蛍光を1度に検出することができる。また、互いに異なる方向から標本に励起光を入射させることで、各方向からの励起光の標本への入射深度を浅くして標本における散乱の影響を抑制し、鮮明な蛍光画像を取得することができる。
この場合において、移動ステップにより、励起光ごとに入射平面と検出光学系の焦点面とを一致させた状態で、検出光学系の焦点面および励起光の入射平面と標本とを光軸方向に沿う方向に相対移動させながら、入射ステップにより各入射方向から標本に励起光を入射させることで、画像取得ステップにより、異なる時刻に異なる方向から標本に入射される励起光の入射平面が互いに一致する画像を含む複数の蛍光画像を取得することができる。
これにより、各入射方向の励起光の入射平面を互いに一致させるように光学系を調整することなく、合成ステップにより、異なる時刻に同一の入射平面に沿って異なる方向から各励起光が入射されたときに取得された蛍光画像どうしを合成するだけで、鮮明な合成画像を生成することができる。したがって、シート照明方式により、複雑で煩雑な調整を要せず簡易に鮮明な蛍光画像を取得することができる。
上記態様においては、前記合成ステップが、前記所定間隔の距離と前記相対移動の移動量とに基づいて前記入射平面が一致すると特定される前記蛍光画像どうしを合成することとしてもよい。
このように構成することで、所定間隔の距離を予め測定しておくだけで、入射方向ごとの各励起光の入射平面が互いに一致する蛍光画像を容易に特定して合成することができる。
このように構成することで、所定間隔の距離を予め測定しておくだけで、入射方向ごとの各励起光の入射平面が互いに一致する蛍光画像を容易に特定して合成することができる。
上記態様においては、前記移動ステップが、前記検出光学系の焦点面および前記励起光の入射平面を固定して、前記標本を前記検出光軸に沿う方向に移動させることとしてもよい。
このように構成することで、標本を検出光学系の検出光軸に沿う方向に移動させるだけの簡易な操作で、標本の検出光軸に沿う方向の位置が異なる複数のスタック画像を取得することができる。
このように構成することで、標本を検出光学系の検出光軸に沿う方向に移動させるだけの簡易な操作で、標本の検出光軸に沿う方向の位置が異なる複数のスタック画像を取得することができる。
上記態様においては、前記移動ステップが、前記標本の位置を固定して、前記検出光学系の焦点面および前記励起光の入射平面を一体的に前記検出光軸に沿う方向に移動させることとしてもよい。
このように構成することで、標本を動かさずに標本の検出光軸に沿う方向の位置が異なる複数のスタック画像を取得することができる。
このように構成することで、標本を動かさずに標本の検出光軸に沿う方向の位置が異なる複数のスタック画像を取得することができる。
本発明に係る顕微鏡によれば、シート照明方式により、複雑で高価な調整機構を用いずに簡易な構成で鮮明な蛍光画像を取得することができるという効果を奏する。また、本発明に係る顕微鏡画像取得方法によれば、シート照明方式により、複雑で煩雑な調整を要せず簡易に鮮明な蛍光画像を取得することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る顕微鏡および顕微鏡画像取得方法について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る顕微鏡1は、図1に示されるように、顕微鏡本体3と、顕微鏡本体3に接続される照明装置(シート照明光学系)5と、顕微鏡本体3および照明装置5を制御する制御装置7とを備えている。制御装置7には、ユーザに指示を入力させるマウスやキーボード等の入力装置9と、顕微鏡本体3により取得された画像等を表示するモニタ11とが接続されている。
本実施形態に係る顕微鏡1は、図1に示されるように、顕微鏡本体3と、顕微鏡本体3に接続される照明装置(シート照明光学系)5と、顕微鏡本体3および照明装置5を制御する制御装置7とを備えている。制御装置7には、ユーザに指示を入力させるマウスやキーボード等の入力装置9と、顕微鏡本体3により取得された画像等を表示するモニタ11とが接続されている。
顕微鏡本体3は、標本Sを載置するステージ13と、ステージ13を駆動する駆動部(移動機構)15と、ステージ13に載置された標本Sから発せられる蛍光を検出する検出光学系17とを備えている。
標本Sは、ステージ13に搭載された容器19に収容されている。容器19には水などの液体Wが充填されており、液体Wに標本Sが浸漬されている。容器19は、照明装置5から入射される励起光を透過可能な材質で形成されており、検出光学系17に対向する方向が開口している。液体Wとしては、例えば、標本Sと屈折率が略同一のものが好ましい。
駆動部15は、制御装置7の制御により、検出光学系17の検出光軸Qに沿う方向およびこれに直交する2次元方向にそれぞれステージ13を移動させることができるようになっている。
検出光学系17は、ステージ13の鉛直上方に対向して配置される対物レンズ21と、対物レンズ21を保持するレボルバ23と、対物レンズ21により集光された標本Sからの蛍光を結像させる結像レンズ25と、結像レンズ25により結像された蛍光を撮影して蛍光画像を取得するCCDのような撮像素子27とを備えている。図中、符号29は、蛍光に含まれる励起光を除去するバリアフィルタを備えるフィルタホイールである。
レボルバ23は、複数の対物レンズ21を検出光軸Q上に択一的に配置可能に保持するようになっている。また、レボルバ23は、制御装置7の制御により、検出光軸Q上に配置した対物レンズ21を検出光軸Qに沿う方向に移動させることができるようになっている。
照明装置5は、図2(a),(b)に示されるように、略平行光からなる励起光を照明光軸Pに沿って射出する励起光源31と、励起光源31から射出された励起光を2つの光路に分岐するハーフミラー33と、ハーフミラー33により分岐された2つの光路を経由した励起光を標本Sを挟んで対向する2方向から標本Sに入射させる2つのシリンドリカルレンズ35A,35Bとを備えている。図中、符号37は光路を形成するミラーであり、符号39は2つの光路にそれぞれ設けられたシャッタである。
シリンドリカルレンズ35A,35Bは、照明光軸Pに直交する一方向にパワーを有し、略平行光からなる励起光をその光束径寸法と同じ所定の幅寸法を有する平面状に集光させるようになっている。また、これらシリンドリカルレンズ35A,35Bは、検出光軸Qに沿う方向に所定間隔をあけた平行な複数の入射平面に沿って、それぞれ異なる方向から平面状の励起光を容器19を介して標本Sに入射させることができるようになっている。
制御装置7は、PC(Personal Computer、図示略)と、PCと顕微鏡本体3および照明装置5の各種電動部との間で信号の入出力を行う制御基板(図示略)とを備えている。
PCは、各種プログラムが記憶されたメモリ(図示略)と、入力装置9により入力されるユーザの指示に基づき、メモリに記憶されているプログラムを読み込んで、各プログラムを実行する演算処理装置(図示略)とを備えている。
PCのメモリには、例えば、画像処理プログラム、顕微鏡制御プログラムおよび照明制御プログラムが記憶されている。また、メモリには、ユーザが事前に測定した照明装置5の2つの光路の各入射平面間に生じる検出光軸Qに沿う方向のずれ量を記憶させることができるようになっている。
PCの演算処理装置は、顕微鏡制御プログラムの実行により顕微鏡本体3を制御する顕微鏡制御部としての機能と、照明制御プログラムの実行により照明装置5を制御する照明制御部としての機能と、画像処理プログラムの実行により蛍光画像を処理する画像処理部としての機能とを有している。以下、図1に示すように、PCの演算処理装置の構成要素を顕微鏡制御部41、照明制御部43および画像処理部(画像合成部)45とする。
顕微鏡制御部41は、顕微鏡制御プログラムの実行により、レボルバ23を作動させて対物レンズ21を交換や移動したり、フィルタホイール29を作動させてフィルタを交換したりするようになっている。また、顕微鏡制御部41は、顕微鏡制御プログラムの実行により、ステージ13を検出光軸Qに直交する方向に2次元的に移動させたり、ステージ13を検出光軸Qに沿う方向に一定の速度で連続的にまたは所定のピッチで段階的に移動させたりするようになっている。また、顕微鏡制御部41は、顕微鏡制御プログラムの実行により、撮像素子27により一定の間隔で蛍光画像を取得させるようになっている。
照明制御部43は、照明制御プログラムの実行により、シャッタ39を択一的に開閉させるようになっている。具体的には、照明制御部43は、図2(a)に示されるように、シャッタ39を択一的に開閉することにより、標本Sに対して一方向(図2(a)の紙面に対して標本Sの左側)からシリンドリカルレンズ35Aを介して励起光を入射させる光路(以下、左側光路Lという。)と、図2(b)に示されるように、標本Sに対して他方向(図2(b)の紙面に対して標本Sの右側)からシリンドリカルレンズ35Bを介して励起光を入射させる光路(以下、右側光路Rという。)とを切り替えることができるようになっている。
画像処理部45は、撮像素子27から送られてくる蛍光画像を一時的に保存可能なFIFO画像バッファを有している。この画像処理部45は、撮像素子27から送られてくる蛍光画像を処理してモニタ11に表示させるようになっている。また、画像処理部45は、画像処理プログラムの実行により、FIFO画像バッファに保存している蛍光画像の内、異なる時刻に同一の入射平面に沿って左側光路Lおよび右側光路Rから各励起光が入射されたときに撮像素子27により取得された蛍光画像どうしを合成するようになっている。
例えば、画像処理部45は、標本Sに対して左側光路Lから励起光を照射した場合と右側光路Rから励起光を照射した場合とで同一の観察領域の蛍光画像を取得し、その同一範囲の蛍光画像どうしを合わせて1枚の合成画像を生成することとしてもよい。また、例えば、画像処理部45は、標本Sに対して左側光路Lから励起光を照射した場合と右側光路Rから励起光を照射した場合とで同一の観察領域の蛍光画像を取得した後に、各光路L,Rごとに照明光軸Pに沿う方向の入射側半分の領域をそれぞれ切り出して、それらを貼り合わせて1枚の合成画像を生成することとしてもよい。
次に、本実施形態に係る顕微鏡画像取得方法について説明する。
本実施形態に係る顕微鏡画像取得方法は、図3のフローチャートに示されるように、検出光学系17の検出光軸Qに沿う方向に所定間隔をあけた平行な複数の入射平面に沿って互いに異なる方向から標本Sに入射させる平面状の励起光ごとに、入射平面と検出光学系17の焦点面とを一致させる焦点合わせステップS1,S5と、焦点合わせステップS1,S5により励起光ごとに入射平面と検出光学系17の焦点面とが一致させられた状態で、検出光学系17の焦点面および励起光の入射平面と標本Sとを検出光軸Qに沿う方向に相対移動させる移動ステップS2、S6と、移動ステップS2、S6により相対移動させながら、異なる方向から各励起光を標本Sに入射させる入射ステップS3,S7と、入射ステップS3,S7により励起光が入射されることによって標本Sから発せられる蛍光を検出光学系17により検出して蛍光画像を取得する画像取得ステップS4,S8と、画像取得ステップS4,S8により取得された蛍光画像の内、異なる時刻に同一の入射平面に沿って異なる方向から各励起光が入射されたときに取得された蛍光画像どうしを合成する合成ステップS9とを含んでいる。
本実施形態に係る顕微鏡画像取得方法は、図3のフローチャートに示されるように、検出光学系17の検出光軸Qに沿う方向に所定間隔をあけた平行な複数の入射平面に沿って互いに異なる方向から標本Sに入射させる平面状の励起光ごとに、入射平面と検出光学系17の焦点面とを一致させる焦点合わせステップS1,S5と、焦点合わせステップS1,S5により励起光ごとに入射平面と検出光学系17の焦点面とが一致させられた状態で、検出光学系17の焦点面および励起光の入射平面と標本Sとを検出光軸Qに沿う方向に相対移動させる移動ステップS2、S6と、移動ステップS2、S6により相対移動させながら、異なる方向から各励起光を標本Sに入射させる入射ステップS3,S7と、入射ステップS3,S7により励起光が入射されることによって標本Sから発せられる蛍光を検出光学系17により検出して蛍光画像を取得する画像取得ステップS4,S8と、画像取得ステップS4,S8により取得された蛍光画像の内、異なる時刻に同一の入射平面に沿って異なる方向から各励起光が入射されたときに取得された蛍光画像どうしを合成する合成ステップS9とを含んでいる。
合成ステップS9は、照明装置5の2つの光路L,Rの入射平面間に生じるずれ量(所定間隔の距離)と、駆動部15による標本Sの検出光軸Qに沿う方向の移動量とに基づいて、入射平面が一致すると特定される蛍光画像どうしを合成するようになっている。
このように構成された顕微鏡1および顕微鏡画像取得方法の作用について、図3のフローチャートを参照して説明する。
本実施形態に係る顕微鏡1および顕微鏡画像取得方法により標本Sを観察するには、まず、照明装置5の左側光路Lと右側光路Rの励起光の入射平面のずれ量をユーザが事前に測定して、入力装置9により制御装置7のメモリに記憶させる。
本実施形態に係る顕微鏡1および顕微鏡画像取得方法により標本Sを観察するには、まず、照明装置5の左側光路Lと右側光路Rの励起光の入射平面のずれ量をユーザが事前に測定して、入力装置9により制御装置7のメモリに記憶させる。
次に、ユーザは、照明制御部43により、例えば、図2(a)に示すように、照明装置5のシャッタ39を択一的に開閉し、左側光路Lを開放して右側光路Rを閉鎖する。そして、励起光源31から励起光を発生させる。
次いで、顕微鏡制御部41により、レボルバ23を作動させて対物レンズ21を検出光軸Qに沿う方向に移動させ、図4に示すように、検出光学系17の焦点面を左側光路Lの入射平面に一致させる(焦点合わせステップS1)。
次いで、顕微鏡制御部41により、左側光路Lの入射平面と検出光学系17の焦点面とが一致させられた状態で、顕微鏡制御部41により駆動部15を作動させ、ステージ13を検出光軸Qに沿ってZ0位置からZ0+H位置に向かって上昇させる(移動ステップS2)。
図2(a)に示されるように、励起光源31から射出されてハーフミラー33を透過した励起光は、シリンドリカルレンズ35により平面状に集光され、ステージ13と共に検出光軸Qに沿う方向に移動する標本Sに左側光路Lから入射平面に沿って入射される(入射ステップS3)。標本Sに平面状の励起光が入射することにより、励起光の入射平面に沿って標本S内の蛍光物質が励起されて蛍光が発生する。
左側光路Lから励起光が入射されることにより標本Sにおいて発生した蛍光の内、検出光軸Qに沿う方向に放射された蛍光は、対物レンズ21により集光されてフィルタホイール29のバリアフィルタを通過した後、結像レンズ25により結像されて撮像素子27により撮影される。そして、顕微鏡制御部41により撮像素子27が制御され、一定の時間間隔で蛍光画像が取得される(画像取得ステップS4)。これにより、左側光路Lからの励起光の照射によって、ステージ13のZ0位置からZ0+Hまでの範囲で一定の間隔で複数の蛍光画像、すなわち、スタック画像が取得される。
左側光路Lからの励起光の照射により取得された標本Sの複数の蛍光画像を、例えば、Z0位置側から時系列順にLeft[0],Left[1],・・・Left[m]とする。[0],[1],・・・[m]は配列番号を示している。これらの蛍光画像は、画像処理部45のFIFO画像バッファに保存される。
次に、ユーザは、照明制御部43により、例えば、図2(b)に示すように、照明装置5のシャッタ39の開閉を切り替え、左側光路Lを閉鎖して右側光路Rを開放する。
次いで、顕微鏡制御部41により、レボルバ23を作動させて対物レンズ21を検出光軸Qに沿う方向にずれ量Aだけ移動させ、図5に示すように、検出光学系17の焦点面を右側光路Rの入射平面に一致させる(焦点合わせステップS5)。図5に示す例では、右側光路Rの入射平面の方が左側光路Lの入射平面よりも鉛直方向下方にずれ量Aだけずれているものとする。
次いで、ユーザは、右側光路Rの入射平面と検出光学系17の焦点面とが一致させられた状態で、顕微鏡制御部41により駆動部15を作動させて、図6に示すように、ステージ13を検出光軸Qに沿ってZ0−A位置からZ0−A+H位置に向かって上昇させる(移動ステップS6)。
図2(b)に示されるように、励起光源31から射出されてハーフミラー33により反射された励起光は、ミラー37を介してシリンドリカルレンズ35Bにより平面状に集光され、ステージ13と共に検出光軸Qに沿う方向に移動する標本Sに右側光路Rから入射平面に沿って入射される(入射ステップS7)。標本Sに平面状の励起光が入射することにより、励起光の入射平面に沿って標本S内の蛍光物質が励起されて蛍光が発生する。
右側光路Rからの励起光が入射されることにより標本Sにおいて検出光軸Qに沿う方向に発生した蛍光は、左側光路Lからの励起光により発生する蛍光と同様に、対物レンズ21により集光されてフィルタホイール29および結像レンズ25を介して、撮像素子27により撮影される。そして、顕微鏡制御部41により撮像素子27が制御され、一定の時間間隔で蛍光画像が取得される(画像取得ステップS8)。これにより、右側光路Rからの励起光の照射によって、ステージ13のZ0−A位置からZ0−A+Hまでの範囲で一定の間隔で複数の蛍光画像、すなわち、Zスタック画像が取得される。
右側光路Rからの励起光の照射により取得された標本Sの蛍光画像を、例えば、Z0−A位置側から時系列順にRight[0],Right[1],・・・Right[m]とする。これらの蛍光画像も、画像処理部45のFIFO画像バッファに保存される。
次いで、画像処理部45により、FIFO画像バッファに保存されている複数の蛍光画像の内、同じ配列番号の蛍光画像どうし、例えば、Left[0]とRight[0],Left[1]とRight[1],・・・Left[m]とRight[m]が合成される(合成ステップS9)。合成された標本Sの蛍光画像はモニタ11に送られて表示される。
以上説明したように、本実施形態に係る顕微鏡1および顕微鏡画像取得方法によれば、平面状の励起光の入射平面に検出光学系17の焦点面を一致させることにより、焦点面に沿う広い範囲において標本Sから発せられる蛍光を検出光学系17によって1度に検出することができる。また、それぞれ異なる方向から標本Sに励起光を入射させることにより、各方向からの励起光の標本Sへの入射深度を浅くして標本Sにおける散乱の影響を抑制し、鮮明な蛍光画像を取得することができる。
この場合において、左側光路Lおよび右側光路Rから標本Sに入射される励起光ごとに、入射平面と検出光学系17の焦点面とを一致させた状態で、標本Sを検出光軸Qに沿う方向に移動させることで、検出光学系17により、異なる時刻に左側光路Lおよび右側光路Rから標本Sに入射される励起光の入射平面が互いに一致する画像を含む複数の蛍光画像を取得することができる。
これにより、各入射方向の励起光の入射平面を互いに一致させるように照明装置5を調整することなく、異なる時刻に同一の入射平面に沿って左側光路Lおよび右側光路Rから各励起光が入射されたときに取得された蛍光画像どうしを合成するだけで、鮮明な合成画像を生成することができる。したがって、シート照明方式により、照明装置5の調整のための複雑で高価な調整機構を用いずに、また、煩雑な調整を要せず、簡易な構成で鮮明な合成画像を容易に取得することができる。
本実施形態においては、標本Sの1つの観察領域を観察する場合を例示して説明したが、例えば、標本Sの広範囲に亘る複数の観察領域を観察することしてもよい。
以下、図7を参照して、標本Sの検出光軸Qに交差する方向に隣接する3つの観察領域P1,P2,P3を観察する場合を例示して説明する。検出光軸Qに沿う方向をZ方向とし、検出光軸Qに交差する方向をXY方向とする。
以下、図7を参照して、標本Sの検出光軸Qに交差する方向に隣接する3つの観察領域P1,P2,P3を観察する場合を例示して説明する。検出光軸Qに沿う方向をZ方向とし、検出光軸Qに交差する方向をXY方向とする。
まず、標本Sの観察領域P1を観察する場合は、照明制御部43により照明装置5のシャッタ39を択一的に開閉して、左側光路Lを開放して右側光路Rを閉鎖し、左側光路Lからの励起光のみを照射する。そして、顕微鏡制御部41によりステージ13をXY方向に移動させ、顕微鏡1の観察視野内に観察領域P1を移動させる。
次いで、顕微鏡制御部41により、検出光学系17の焦点面を左側光路Lの入射平面に一致させ、駆動部15によりステージ13をZ0位置からZ0+H位置まで移動させながら、励起光源31から左側光路Lにより平面状の励起光を標本Sに入射させる。そして、撮像素子27により標本Sからの蛍光を撮影し、一定の時間間隔でm枚のスタック画像(蛍光画像)を取得する。観察領域P1のスタック画像をZ0位置側から時系列順にP1[0],P1[1]・・・P1[m]とする。これらのスタック画像は、画像処理部45のFIFO画像バッファに保存される。
次に、観察領域P2を観察する場合は、照明制御部43により照明装置5のシャッタ39を択一的に開閉し、左側光路Lからの励起光と右側光路Rからの励起光を切り替えて照射する。そして、顕微鏡制御部41により駆動部15を作動させて、ステージ13をXY方向に移動させ、顕微鏡1の観察視野内に観察領域P2を移動させる。
左側光路Lの場合は、顕微鏡制御部41により、レボルバ23を作動させて検出光学系17の焦点面を左側光路Lの入射平面に一致させ、駆動部15によりステージ13をZ0位置からZ0+Hまで移動させながら、励起光源31から左側光路Lにより平面状の励起光を標本Sに入射させる。そして、撮像素子27により標本Sからの蛍光を撮影して、一定の時間間隔でm枚のスタック画像を取得する。
右側光路Rの場合は、顕微鏡制御部41により、レボルバ23を作動させて検出光学系17の焦点面を右側光路Rの入射平面に一致させ、駆動部15によりステージ13をZ0−A位置からZ0−A+Z位置まで移動させながら、励起光源31から右側光路Rにより平面状の励起光を標本Sに入射させる。そして、撮像素子27により標本Sからの蛍光を撮影して、一定の間隔でm枚の画像を取得する。
次に、画像処理部45により、異なる時刻に同一の入射平面に沿って左側光路Lおよび右側光路Rから各励起光が入射されたときに取得されたLeft[0],Left[1],・・・Left[m]の蛍光画像と、Right[0],Right[1],・・・Right[m]の蛍光画像とをそれぞれ合成して、m枚の合成画像を生成する。観察領域P2の合成画像をZ0位置側から時系列順にP2[0],P2[1]、・・・P2[m]とする。これらの合成画像も画像処理部45のFIFO画像バッファに保存される。
次に、標本Sの観察領域P3を観察する場合は、照明制御部43により照明装置5のシャッタ39を択一的に開閉して、左側光路Lを閉鎖して右側光路Rを開放し、右側光路Rからの励起光のみを照射する。そして、顕微鏡制御部41によりステージ13をXY方向に移動させて、顕微鏡1の観察視野内に観察領域P3を移動させる。
次いで、顕微鏡制御部41により、検出光学系17の焦点面を右側光路Rの入射平面に一致させ、駆動部15によりステージ13をZ0−A位置からZ0−A+Hまで移動させながら、励起光源31から右側光路Rにより平面状の励起光を標本Sに入射させる。そして、撮像素子27により標本Sからの蛍光を撮影し、一定の時間間隔でm枚のスタック画像を取得する。観察領域P3のスタック画像をZ0−A位置側から時系列順にP3[0],P3[1]・・・P3[m]とする。これらのスタック画像も画像処理部45のFIFO画像バッファに保存される。
次に、画像処理部45により、FIFO画像バッファに保存されている3つの観察領域P1,P2,P3の複数の蛍光画像の内、異なる時刻に同一の入射平面に沿って各励起光が入射されたときに取得された配列番号が同じ蛍光画像どうし、例えば、P1[0]とP2[0]とP3[0],P1[1]とP2[1]とP3[1]・・・P1[m]とP2[m]とP3[m]とを貼り合わせる。これにより、観察領域P1,P2,P3の連続する合成画像が生成される。
以上説明したように、本実施形態に係る顕微鏡1および顕微鏡画像取得方法によれば、標本Sの広範囲に亘る複数の観察領域P1,P2,P3を観察する場合にも、シート照明方式により、照明装置5の調整のための複雑で高価な調整機構を用いずに、また、煩雑な調整を要せず、簡易な構成で鮮明な合成画像を容易に取得することができる。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本発明を上記各実施形態および変形例に適用したものに限定されることなく、これらの実施形態および変形例を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよく、特に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、対向する2方向から励起光を標本Sに入射させることとしたが、例えば、3方向以上から励起光を標本Sに入射させることとしてもよい。
また、上記実施形態においては、検出光学系17および照明装置5の位置を固定して、標本Sを移動させることとしたが、検出光学系17および照明装置5と標本Sとを相対移動させることとすればよい。例えば、標本Sの位置を固定して、励起光の入射平面と検出光学系17の焦点面とを一致させた状態で、検出光学系17および照明装置5を一体的に検出光軸Qに沿う方向に移動させることとしてもよいし、これら検出光学系17および照明装置5と標本Sの両方を移動させることとしてもよい。
1 顕微鏡
5 照明装置(シート照明光学系)
15 駆動部
17 検出光学系
45 画像処理部(画像合成部)
S1,S5 焦点合わせステップ
S2,S6 移動ステップ
S3,S7 入射ステップ
S4,S8 画像取得ステップ
S9 合成ステップ
S 標本
5 照明装置(シート照明光学系)
15 駆動部
17 検出光学系
45 画像処理部(画像合成部)
S1,S5 焦点合わせステップ
S2,S6 移動ステップ
S3,S7 入射ステップ
S4,S8 画像取得ステップ
S9 合成ステップ
S 標本
Claims (7)
- 標本から発せられる蛍光を検出して蛍光画像を取得する検出光学系と、
該検出光学系の検出光軸に沿う方向に所定間隔をあけた平行な複数の入射平面に沿って、それぞれ異なる方向から平面状の励起光を前記標本に入射可能なシート照明光学系と、
前記励起光ごとに、各前記入射平面と前記検出光学系の焦点面とを一致させた状態で、前記検出光学系および前記シート照明光学系と前記標本とを前記検出光軸に沿う方向に相対移動させる移動機構と、
該移動機構により相対移動させて異なる時刻に同一の前記入射平面に沿って前記異なる方向から各前記励起光が入射されたときに取得された前記蛍光画像どうしを合成する画像合成部とを備える顕微鏡。 - 前記移動機構が、前記検出光学系および前記シート照明光学系の位置を固定して、前記標本を前記検出光軸に沿う方向に移動させる請求項1に記載の顕微鏡。
- 前記移動機構が、前記標本の位置を固定して、前記検出光学系および前記シート照明光学系を一体的に前記検出光軸に沿う方向に移動させる請求項1に記載の顕微鏡。
- 検出光学系の検出光軸に沿う方向に所定間隔をあけた平行な複数の入射平面に沿って互いに異なる方向から標本に入射させる平面状の励起光ごとに、前記入射平面と前記検出光学系の焦点面とを一致させる焦点合わせステップと、
該焦点合わせステップにより前記励起光ごとに前記入射平面と前記検出光学系の焦点面とが一致させられた状態で、前記検出光学系の焦点面および前記励起光の前記入射平面と前記標本とを前記検出光軸に沿う方向に相対移動させる移動ステップと、
該移動ステップにより相対移動させながら、前記異なる方向から各前記励起光を前記標本に入射させる入射ステップと、
該入射ステップにより前記励起光が入射されることによって前記標本から発せられる蛍光を前記検出光学系により検出して蛍光画像を取得する画像取得ステップと、
該画像取得ステップにより取得された前記蛍光画像の内、異なる時刻に同一の前記入射平面に沿って前記異なる方向から各前記励起光が入射されたときに取得された前記蛍光画像どうしを合成する合成ステップとを含む顕微鏡画像取得方法。 - 前記合成ステップが、前記所定間隔の距離と前記相対移動の移動量とに基づいて前記入射平面が一致すると特定される前記蛍光画像どうしを合成する請求項4に記載の顕微鏡画像取得方法。
- 前記移動ステップが、前記検出光学系の焦点面および前記励起光の入射平面を固定して、前記標本を前記検出光軸に沿う方向に移動させる請求項4または請求項5に記載の顕微鏡画像取得方法。
- 前記移動ステップが、前記標本の位置を固定して、前記検出光学系の焦点面および前記励起光の入射平面を一体的に前記検出光軸に沿う方向に移動させる請求項4または請求項5に記載の顕微鏡画像取得方法。
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