JP2017226007A - 摩擦攪拌的接合方法及び接合体 - Google Patents

摩擦攪拌的接合方法及び接合体 Download PDF

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五十嵐 信弥
Shinya Igarashi
信弥 五十嵐
雅高 五十嵐
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雅高 五十嵐
勉 林田
Tsutomu Hayashida
勉 林田
啓人 大貫
Hiroto Onuki
啓人 大貫
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Abstract

【課題】摩擦攪拌されたような接合構造が形成される摩擦攪拌的接合方法及び接合体を提供する。【解決手段】二つの被接合部材3,4の接合面とは反対側から、二つの被接合部材の一方に対して、摩擦ディスク2を回転ツール1により回転させながら押し付け、摩擦ディスクが二つの被接合部材の他方まで到達しない状態で回転ツールの回転を止め、摩擦ディスクを二つの被接合部材の一方に対して押付け、二つの被接合部材の接合部が摩擦攪拌的な接合構造となるようにする。また、摩擦ディスクを被接合部材に対して回転ツールを用いて押し付け、摩擦熱が発生するように回転させ、回転ツールを用いて摩擦熱により加熱された摩擦ディスクを被接合部材に対して押付け、回転ツールによる摩擦ディスクの押付けを、摩擦ディスクが変形するが、回転ツールが被接合部材まで到達しないようにして、変形した摩擦ディスクと被接合部材を摩擦攪拌的に接合する。【選択図】図1

Description

本発明は、被接合部材間の接合部が摩擦攪拌プロセスまたは摩擦攪拌接合に類似した接合構造を有する摩擦攪拌的接合方法及び接合体に関する。
摩擦攪拌プロセス技術(FSPT:Friction Stir Processing Technology)、または、摩擦攪拌接合技術(FSW:Friction Stir Welding)は、先端に突起(ピンまたはプローブ)を有する円筒状の接合ツールを所定の回転数で回転させながら二つの部材間の接合部に押付け、接合ツールの突起と部材との間に発生する摩擦熱により部材(材料)を軟化させて、接合ツールの突起を部材中に圧入させ、接合ツールの回転力によって接合ツールの突起周辺の部材(材料)を塑性流動させて練り混ぜることで二つの部材間の接合部を一体化させる接合技術である。
FSPT/FSWでは、接合部は金属の融点に達することなく、金属の軟化温度付近での金属原子の攪拌によって金属接合できる。接合する金属は同種でも異種金属でも接合できる。さらに、FSPT/FSWは、金属の軟化温度付近における攪拌接合であるために、接合歪が小さいほかに、高速で接合できる。すなわち、FSPT/FSWによる接合においては、接合界面は摩擦熱による金属の軟化現象と、接合ツールの回転の動的エネルギーによって瞬時に接合されるが、同時に瞬間的な攪拌接合であることから、金属の融点までの温度上昇〜凝固、冷却の過程(溶融凝固過程)を経ない。このために、接合界面は結晶の粗大化がなく、金属間化合物を生ずることなく、接合界面に微細な金属組織が得られる。
本発明者らは、先に、接合ツールの摩耗を特に考慮する必要がなく、また、摩擦攪拌接合を行う際に接合性の向上又は接合後の外観を向上させることが可能な摩擦撹拌接合方法を提案している(特許文献1)。この摩擦撹拌接合方法では、接合ツールを、被接合部材に対して摺動接触して被接合部材を摩擦攪拌する接合補助材と、回転駆動され、かつ、接合補助材と分離可能に連結され、摩擦攪拌接合工程中には接合補助材と連結して接合補助材と共に回転する摩擦攪拌接合ツール本体とから構成し、摩擦攪拌接合工程中に接合補助材と被接合部材の摺動面における接合補助材の加圧力を、接合補助材の変形を利用して発生または調整するようにし、摩擦攪拌接合工程終了後には、接合補助材を摩擦攪拌接合ツール本体から分離している。
特開2015-145013号公報
従来、特許文献1も含め、FSPT/FSWでは、接合ツールにより接合する部材(材料)を塑性流動させて練り混ぜることで二つの部材間の接合部を一体化させている。
本発明者らは、FSPT/FSWによる接合を検討したところ、接合ツールにより接合する部材(材料)を塑性流動させて練り混ぜなくても、部材間の接合部がFSPT/FSWによる接合構造に類似した接合構造を有することを見出した。すなわち、接合ツールにより部材を直接摩擦攪拌していないところに摩擦攪拌されたような接合構造が形成されることを見出した。言い換えれば、本発明者らは、これまでの接合方法とは異なる新たな概念に基づく接合方法を想到するに至った。
また、接合部の接合構造から見れば、FSPT/FSWによる接合と言えるが、接合方法は、接合ツールにより接合部の材料を直接塑性流動させて練り混ぜていない点で、FSPT/FSWによる接合とは言えない。このようなことから、本発明では、接合ツールによる摩擦攪拌部ではないところに摩擦攪拌されたような接合構造が形成される接合方法を摩擦攪拌的接合方法と称する。このような摩擦攪拌的接合方法は、接合ツールを被接合部材中に貫入させる必要がないので被接合部材に凹部を設ける必要がないなど、接合態様の多様化に効果的である。
本発明の目的は、接合ツールによる摩擦攪拌部ではないところに摩擦攪拌されたような接合構造が形成される摩擦攪拌的接合方法及び接合体を提供することにある。
本発明は、二つの被接合部材の接合面とは反対側から、二つの被接合部材の一方に対して、摩擦ディスクを回転ツールにより回転させながら押し付け、摩擦ディスクが二つの被接合部材の他方まで到達しない状態で回転ツールの回転を止め、回転を止めた回転ツールにより摩擦ディスクを二つの被接合部材の一方に対して押付け、二つの被接合部材の接合部が摩擦攪拌的な接合構造となるようにしたことを特徴とする。
また、本発明は、摩擦ディスクを被接合部材に対して回転ツールを用いて押し付け、かつ、回転ツールを摩擦ディスクとの間に摩擦熱が発生するように回転させ、回転ツールを用いて回転ツールを回転させながら、摩擦熱により加熱された摩擦ディスクを被接合部材に対して押付け、回転ツールによる摩擦ディスクの押付けを、摩擦ディスクが変形するが、回転ツールが被接合部材まで到達しないようにして、変形した摩擦ディスクと被接合部材を摩擦攪拌的に接合するようにしたことを特徴とする。この場合、摩擦ディスク自体が被接合部材でもある。
また、本発明は、二つの被接合部材を接合した接合体であって、二つの被接合部材が対向する面に二つの被接合部材を構成する材料が攪拌された摩擦攪拌的接合構造を有し、二つの被接合部材は摩擦攪拌的接合構造を挟んでそれぞれ他方の被接合部材を構成する材料と攪拌されていない材料層(未攪拌部)を有することを特徴とする。
本発明によれば、接合ツール(回転ツール)による摩擦攪拌部ではないところに摩擦攪拌されたような接合構造が形成され、接合態様の多様化に寄与する。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の実施例1における接合方法の工程説明図である。 本発明の実施例1の接合方法で接合した被接合部材を厚さ方向に切断した断面の光学顕微鏡による観察写真である。 本発明の実施例1の接合方法で接合した被接合部材の表面を研磨して露出させた接合部の光学顕微鏡による観察写真である。 本発明の実施例1の接合方法で接合した被接合部材の表面を研磨して露出させた接合部の光学顕微鏡による観察写真である。 本発明の実施例1の接合方法で接合した被接合部材の表面を研磨して露出させた接合部の光学顕微鏡による観察写真である。 本発明の実施例2における接合方法の工程説明図である。 本発明の実施例2の接合方法で接合した被接合部材を切断した断面の光学顕微鏡による観察写真である。 本発明の実施例3における接合方法の工程説明図である。 本発明の実施例4における接合方法の工程説明図である。 本発明の各実施例の接合方法に用いられる接合装置の一例を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。
図1に基づき実施例1を説明する。図1(A)〜(E)は、本発明の実施例1における接合方法の工程説明図である。本実施例は、被接合部材として薄い板厚を有する2枚の板材を用いてこれらを接合する場合に適用したものである。被接合部材3には無酸素銅(合金番号C1020)を用い、被接合部材4には純アルミニウム(合金番号A1050)を用いている。被接合部材3の板厚は0.2mm、被接合部材4の板厚は0.4mmである。被接合部材3,4の材料はこれらに限定されず、また板厚も一例である。
また、本実施例では接合ツール(回転ツール)1は被接合部材3,4に直接接触しておらず、皿型の摩擦ディスク2を介して被接合部材に接合のためのエネルギーを与えている。皿型の摩擦ディスク2にはSUS304を用いている。また、皿型の摩擦ディスク2は直径が9mm、厚さが0.5mmの大きさであり、皿型の凹部の深さが0.3mmである。被接合材3の表面に皿型の摩擦ディスク2を、図1(A)(B)のように、凹部(中央部)が被接合部材3の表面から遠い位置となるように配置する。回転ツール1にはエンドミルを用い、エンドミルの先端が皿型の摩擦ディスク2に食い込み、回転ツールと摩擦ディスクが一体になって回転する。言い換えれば、本実施例では皿型の摩擦ディスク2も回転ツールの一部と言える。また、本実施例では回転ツール1の回転数を3000rpmとしている。なお、回転数はこれに限定されるものではない。摩擦ディスク2の直径の大きさを変えることで被接合部材3,4の接合部の接合面積を調節可能である。
図1(B)(C)に示すように、回転ツール1により摩擦ディスク2を回転させながら摩擦ディスクを被接合部材3の表面に押し付ける。本実施例では、押し付け荷重は約1kNであり、押し付け時間はトータルで30秒程度としている。但し、これに限定されるものではない。重要なことは摩擦ディスクが被接合部材4まで到達しないようにすることである。それ以外は予め試験を行い、回転数、回転時間、押し付け荷重を適宜設定すれば良い。ここで、摩擦ディスク2と被接合部材3とは摩擦接触部5で摩擦接触する。摩擦ディスク2により被接合部材3と被接合部材4が直接摩擦攪拌されない状態で(摩擦ディスクが被接合部材4まで到達しない状態で)回転ツール1の回転を停止し、回転ツール1を介して摩擦ディスク2を被接合部材3に対してさらに押し付ける(図1(D))。これは摩擦圧接におけるアプセット工程と類似した工程とも言える。
本実施例では摩擦ディスク2の押し込み量を次のようにしている。すなわち、図1(B)の状態から図1(C)の状態に至る過程で、摩擦ディスク2の凹部がなくなり、摩擦ディスク2が平坦になる。本実施例では、この位置から回転ツール1の押し込み量を0.26mmとしている。なお、接合装置の制御上は、摩擦ディスク2が平坦になりさらに回転ツール1が押し込まれるときに被接合部材3,4からの反力が大きくなるので、それを検知してからの押し込み量0.26mmとしている。被接合部材3の板厚は0.2mmであり押し込み量の方が大きいが、これは摩擦ディスク2が被接合部材4まで到達することを意味しない。被接合部材3,4の双方が押し潰されて板厚が薄くなり、また、摩擦ディスク2も若干押し潰されるからである。
その後、回転ツール1を引き上げる。このとき、摩擦ディスク2も回転ツール1と一緒に引き上げられる(図1(E))。このようにして得られた被接合部材3,4の接合体は、摩擦攪拌的接合部6を挟んでそれぞれの被接合部材3,4には攪拌されていない材料層(未攪拌部7)が形成されている。また、被接合部材3の上面には若干の凹部が残るが、従来の摩擦攪拌接合と比べてバリなどの発生が極めて少ない。このことから接合後の後加工が不要または容易になる。
詳細は後述するが、本実施例による接合部では摩擦圧接には見られない接合構造が得られている。また、被接合部材3の表面から被接合部材4との接合面までの間には被接合部材3と被接合部材4とが塑性流動して混ざり合っていない被接合部材3の領域(未攪拌部)が残っている。言い換えれば摩擦接触部5と摩擦攪拌的接合部6(被接合部材3と被接合部材4とが混ざり合っている領域)との間に被接合部材3が被接合部材4と混ざり合っていない領域(未攪拌部)が存在する。
次に図2〜図5に基づき、本実施例による接合方法で得られた接合体の接合部の状況を詳細に説明する。
図2は本実施例の接合方法で二つの被接合部材を接合した接合体を厚さ方向に切断した断面の光学顕微鏡による観察写真である。図2(B)(C)はそれぞれ図2(A)における2B,2C部の拡大図である。図2から分かるように、被接合部材3と被接合部材4との接合界面には金属間化合物の生成は認められない。また、被接合部材4の一部が被接合部材3側に伸びてきている箇所がある。これは後述の図3〜図5に示す、被接合部材3と被接合部材4とが塑性流動して混ざり合った渦巻き状の攪拌部に対応する。但し、一般的な摩擦攪拌接合による攪拌部と異なり、全体的には被接合部材3の表面から摩擦攪拌的接合部6までの間は摩擦ディスク2によって直接摩擦攪拌されていない。言い換えれば、被接合部材には二つの被接合部材の材料が攪拌されていない材料層(未攪拌部)が形成されている。これは特許文献1に記載の図9A〜図9Dに記載のものと異なる。特許文献1では接合補助材により上下の板材を摩擦攪拌している、言い換えれば上の板材の表面から接合部までの材料が混ざり合っているが、本実施例では被接合部材3の表面側は摩擦ディスク2により被接合部材4と摩擦攪拌されていない。
図3〜図5は本実施例の接合方法で二つの被接合部材を接合した接合体の表面を研磨して露出させた接合部の光学顕微鏡による観察写真である。言い換えれば、本発明による摩擦攪拌的接合部(摩擦攪拌的接合構造)の一例を示すものである。図3は、被接合部材3の最上面から研磨量が0.122mmにおける研磨面の光学顕微鏡による観察写真であり、図4は同じく研磨量が最上面から0.162mmにおける光学顕微鏡による観察写真、図5は同じく研磨量が最上面から0.187mmにおける光学顕微鏡による観察写真である。また、図3(B)(C),図4(B)(C),図5(B)(C)はそれぞれ図3(A),図4(A),図5(A)における3B,3C,4B,4C,5B,5Cの各部の拡大図である。
これらの図から明らかなように、被接合部材3と被接合部材4との間には摩擦ディスク2の回転により生じたと推測される渦巻き状の被接合部材3と被接合部材4との攪拌部が存在する。また、被接合部材3の表面から離れる程、即ち、接合部の中心部に近い程、攪拌度合が大きくなっていることが伺える。本実施例の接合方法は、摩擦圧接では生じない接合構造、即ち、摩擦攪拌に近い接合構造が得られており、極めて特異的な接合方法と言える。
なお、本実施例では被接合部材3の板厚は0.2mmとしたが、本発明者らは0.5mmの板厚でも同様に摩擦攪拌的接合が得られることを確認している。
薄い板をスポット的に摩擦攪拌接合する場合、接合部周囲が浮き上がる(局所変形が大きい)という課題や、上面バリが発生するという課題や、接合部の薄肉化のため接合強度が低くなるという課題が生じるが、本実施例では、浮き上がりが発生しない(局所変形しない)、上面バリが殆ど発生しない、接合強度が大きいという効果が得られる。
すなわち、本実施例の接合方法で得られた接合物の接合強度は十分なものであった。具体的には、引張試験を行ったところ、被接合部材3が伸び、接合部ではないところで破断し、接合部は破断しなかった。また、摩擦ディスクにより摩擦した部分に対応する被接合部材の接触部の全面が接合されていた。
また、本実施例の接合方法は、摩擦ディスクを被接合部材に入り込ませないで接合でき、被接合部材3の表面を平坦にしやすい(上面バリを発生しない)という効果がある。
また、本実施例のような薄い被接合部材同士は一般的に接合しづらいが上述したように強固に接合できる。リベットなどを用いることが困難か、被接合部材にリベットを残しておきたくない場合に極めて有効な接合方法である。
また、本実施例の接合体では、被接合部材の表面に浮き上がりが発生しない(局所変形しない)、上面バリが殆ど発生しない、また、接合強度が大きいという効果が得られる。特に、薄板の接合部が薄肉化されていないので、接合体の強度向上に好適であり、まや、薄板に孔を開けないようにしたい場合にも好適である。
図6に基づき実施例2を説明する。図6(A)〜(D)は、本発明の実施例2における接合方法の工程説明図である。本実施例は、被接合部材としてパイプ(上側パイプ30、下側パイプ40)を用いてこれらを接合する場合に適用したものである。上側パイプ30及び下側パイプには析出硬化前SUS630を用いている。また、摩擦ディスク20にも析出硬化前SUS630を用いている。摩擦ディスク20の厚さは1〜2mm程度である。なお、上側パイプ30,下側パイプ及び摩擦ディスクの材料はこれに限定されるものではない。
本実施例では、実施例1と異なり、摩擦ディスク20が被接合部材と接合され、摩擦ディスク20は特許文献1における接合補助材に近い。しかし、本実施例では、回転ツール10と摩擦ディスク20との間に摩擦接触を生じさせ、摩擦ディスク20により被接合部材との間で直接摩擦攪拌を行うようにしたものではない点で特許文献1の接合補助材とは異なる。
本実施例では摩擦ディスク20として皿型の摩擦ディスクが用いられており、中央部に回転ツール1が挿入される孔が形成されている。回転ツール10は先端が6角の形状を有しており、摩擦ディスクの孔もそれに対応して6角の形状の孔を有している。回転ツール10と摩擦ディスク20は接合工程の初めは一緒に回転するが、摩擦ディスク20の孔の角部は取れて回転ツール10と摩擦ディスク20との間で摩擦接触となる。なお、回転ツール10は超硬合金で構成されている。回転ツール10と摩擦ディスク20との間で摩擦接触の状態が得られるのであれば、回転ツール10の先端は円柱でも良く、それに対応して摩擦ディスク20の孔も円孔でも良い。回転ツール10の外周面と摩擦ディスク20の内周面との間に摩擦接触を確実に生じさせるには、上記のように、回転中に角部が取れて途中から摩擦接触が生じるようにすると良い。
上側パイプ30、下側パイプ40をチャック(図示省略)にて固定して、上側パイプ30、下側パイプ40の回転を防止する。回転ツール10に摩擦ディスク20を装着し、回転ツール10を高速回転し(3000rpm程度)、上側パイプ30の内部へ挿入・降下させる。上側パイプ30と下側パイプ40は、図に示すように、上側パイプ30の内周面が摩擦ディスク20の外周面が接し、下側パイプ40の上面が摩擦ディスク20の下面と接するように形成されている。即ち、上側パイプ30の内径よりも下側パイプ40の内径を小さくし、下側パイプ40の上面で摩擦ディスク20を受けるようにしている。また、摩擦ディスク20の形状を皿型とし、皿型の摩擦ディスク20の底面側(外径が小さい側)を上方としての回転ツール10に装着することにより、摩擦ディスク20が下側パイプ40の上面に接した後には、回転ツール10が降下するに従い、摩擦ディスクの外周面と上側パイプ30の内周面との間の接触圧力が高められる。
摩擦ディスク20が上側パイプ30の内周面と下側パイプ40の上面に押し付けられて、ある程度時間が経過すると、摩擦ディスク20の孔の角部は取れて回転ツール10と摩擦ディスク20との間で摩擦接触となる。摩擦ディスク20が変形する位に強く摩擦ディスク20を押し付けると回転ツール10と摩擦ディスク20の摩擦接触による摩擦熱が大きくなり、摩擦ディスクが軟化する。回転ツール10の降下により摩擦ディスク20がさらに変形し、皿形の摩擦ディスクのテーパの形もなくなり、図6(C)に示すように、バリが回転ツール10と上側パイプ30の間に出るまで強く押し込む。また、バリは回転ツール10と下側パイプ40の間にも形成される。このとき、摩擦ディスク20の板厚は0.5mm程度である。図6(C)の状態においても回転ツールの回転を継続する。この状態(摩擦ディスクが変形するが、回転ツールがパイプまで到達した状態)で、摩擦ディスク20と上側パイプ30の内周面及び下側パイプ40の上面との間で摩擦攪拌的接合が行われているものと思われる。また、回転ツール10と上側パイプ30の間のバリ、回転ツール10と下側パイプ40の間のバリはそれぞれ上側パイプ30、下側パイプ40との間でも摩擦攪拌的な接合が行われ、図6(C)(D)に示すような広範囲な摩擦攪拌的接合部60が得られる。その後、回転ツール10を引き上げる。摩擦ディスク20は上側パイプ30の角部と下側パイプ40の上面に接合されている。
本実施例では、摩擦接触部は回転ツール10と摩擦ディスク20との間で主に生じ、主な接合部は摩擦ディスク20と、上側パイプ30の内周面及び下側パイプ40の上面である。即ち、摩擦ディスク20と、上側パイプ30の内周面及び下側パイプ40の上面との間が摩擦攪拌的接合部60となる。
図7に本実施例による接合方法で得られた接合体の接合部の状況を示す。
図7は本実施例の接合方法で二つの被接合部材(上側パイプ30、下側パイプ40)を接合した接合体を切断した断面の光学顕微鏡による観察写真である。図7(B)は図7(A)における7A部の拡大図であり、図7(C)(D)はそれぞれ図7(B)における7C,7Dの各部の拡大図である。
本実施例においても実施例1と同様な接合構造が観察される。即ち、摩擦ディスク20と、上側パイプ30及び下側パイプとの接合界面には金属間化合物の生成は認められない。また、図7(C)に示すように、下側パイプ40の一部が摩擦ディスク20側に伸びてきている箇所がある。この箇所では、実施例1と同様に、摩擦ディスク20と下側パイプ40とが塑性流動して混ざり合った渦巻き状の攪拌部が形成されている。但し、実施例1と同様に、一般的な摩擦攪拌接合による攪拌部と異なり、全体的には摩擦ディスク20の表面から摩擦攪拌的接合部60までの間は回転ツール10によって直接摩擦攪拌されていない。言い換えれば、摩擦ディスク20と下側パイプ40には双方の材料が攪拌されていない材料層(未攪拌部)が形成されている。また、摩擦ディスク20と上側パイプ30との間にも、図7(D)に示すように、摩擦ディスク20と上側パイプが攪拌されていない領域(未攪拌部)をおいて、摩擦ディスクと、上側パイプ内周面との間に摩擦攪拌的接合部が観察される。
図8に基づき実施例を説明する。図8(A)〜(D)は、本発明の実施例3における接合方法の工程説明図である。本実施例は、実施例2と基本的には同じ接合方法である。回転ツールとして先端が円柱の回転ツール11を用い、また、摩擦ディスクとして丸孔を有する平板状の摩擦ディスク21を用いた点で実施例3と異なる。その他は実施例2と同じであり、説明を省略する。
本実施例においても実施例2と同様な接合構造が得られる。即ち、摩擦ディスク20とパイプが攪拌されていない領域(未攪拌部)をおいて、摩擦ディスクと、上側パイプ内周面及び下側パイプ上面との間に摩擦攪拌的接合部が得られる。
図9に基づき実施例を説明する。図9(A)〜(D)は、本発明の実施例4における接合方法の工程説明図である。本実施例は、実施例2と基本的には同じ接合方法である。本実施例では、上側パイプ31と下側パイプ41は、図に示すように同一平面上に接合部が位置するように形成されている。即ち、上側パイプ31の下端側の内径を小さく形成して内径側に突出する突出部32を設け、下側パイプ41の上端側の外径を小さく形成し、そして、上側パイプ31の突出部32の内周面が下側パイプの上端側の外周面を覆うようにしている。これにより、上側パイプ31の突出部32の上面と下側パイプ40の上面が同一平面上に位置するようになっており、接合部(接合面の端部)8が摩擦ディスク20に接合されるように形成されている。
本実施例においても実施例2と同様な接合構造が得られる。即ち、摩擦ディスク20とパイプが攪拌されていない領域(未攪拌部)をおいて、摩擦ディスクと、上側パイプ及び下側パイプとの間に摩擦攪拌的接合部が得られる。また、本実施例では、上側パイプ20と下側パイプ30の接合部(接合面の端部)も接合される。
本実施例の摩擦撹拌的接合方法を実施する際に用いる接合装置の一例を図10に示す。図10は接合装置の概略構成を説明する図である。通常の摩擦攪拌接合方法に用いられる接合装置と同様の構成を有する。
摩擦撹拌接合装置は、接合ツール(回転ツール)回転用モータ100、接合ツール(回転ツール)押圧用モータ(またはエアシリンダ)200、接合ツール(回転ツール)支持用アーム300、被接合部材を固定する固定治具400、固定治具をx−y方向に移動させるワークテーブル500、接合ツール(回転ツール)保持部600とから概略構成される。なお、これらの装置を駆動制御する制御装置(図示省略)が設けられる。また、図10においては、接合ディスクの図示を省略している。接合ディスクは、被接合部材3に予め取り付けたり、摩擦撹拌接合ツール1の先端に取り付けたりしておく。
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加,削除,置換をすることが可能である。
1,10,11・・・接合ツール(回転ツール)、2,20,21・・・摩擦ディスク、3・・・被接合部材、4・・・被接合部材、5・・・摩擦接触部、6,60・・・摩擦攪拌的接合部(摩擦攪拌部)、7・・・未攪拌部、8・・・接合部(接合面の端部)、30,31・・・上側パイプ、40,41・・・下側パイプ。

Claims (3)

  1. 二つの被接合部材の接合面とは反対側から、前記二つの被接合部材の一方に対して、摩擦ディスクを回転ツールにより回転させながら押し付け、
    前記摩擦ディスクが前記二つの被接合部材の他方まで到達しない状態で前記回転ツールの回転を止め、
    回転を止めた前記回転ツールにより前記摩擦ディスクを前記二つの被接合部材の一方に対して押付け、
    前記二つの被接合部材の接合部が摩擦攪拌的な接合構造となるようにしたことを特徴とする摩擦攪拌的接合方法。
  2. 摩擦ディスクを被接合部材に対して回転ツールを用いて押し付け、かつ、前記回転ツールを前記摩擦ディスクとの間に摩擦熱が発生するように回転させ、
    前記回転ツールを用いて前記回転ツールを回転させながら、摩擦熱により加熱された前記摩擦ディスクを前記被接合部材に対して押付け、
    前記回転ツールによる前記摩擦ディスクの押付けを、前記摩擦ディスクが変形するが、前記回転ツールが前記被接合部材まで到達しないようにして、
    変形した前記摩擦ディスクと前記被接合部材を摩擦攪拌的に接合するようにしたことを特徴とする摩擦攪拌的接合方法。
  3. 二つの被接合部材を接合した接合体であって、前記二つの被接合部材が対向する面に前記二つの被接合部材を構成する材料が攪拌された摩擦攪拌的接合構造を有し、前記二つの被接合部材は前記摩擦攪拌的接合構造を挟んでそれぞれ他方の被接合部材を構成する材料と攪拌されていない材料層を有することを特徴とする接合体。
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