JP2017223167A - 内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関の重量の増加を抑制し、アクチュエータの負荷を抑制する。【解決手段】クランクケース1に対して相対移動可能なシリンダブロック2を備える内燃機関100が、内燃機関100の左右の片側にだけ配置されるブロック移動機構と、クランクケース1の左右に設けられたガイド壁40と、ガイド壁40に取り付けられたスライダ41と、を備える。ブロック移動機構は、主軸部と偏心部とを有する1本の制御軸30と、制御軸30とシリンダブロック2とを連結するための連結部材と、制御軸30を回転させるためのアクチュエータと、を備える。スライダ41は、第1スライダ41aと第2スライダ41bとを備えており、制御軸30は、相対移動方向において主軸部の軸心P3が第1スライダ41aと第2スライダ41bとの間の中央位置に配置される。【選択図】図12
Description
本発明は内燃機関に関する。
特許文献1には、クランクケースに対して相対移動可能なシリンダブロックを備える従来の内燃機関として、当該内燃機関の左右両側にそれぞれ配置された2本の偏心軸(カム軸)と、偏心軸を互いに逆方向に回転させてシリンダブロックを相対移動させるための1本の駆動軸と、駆動軸を回転させるためのアクチュエータと、を備えたものが開示されている。この従来の内燃機関はさらに、シリンダブロックの左右両側の側面にガイド部材の当接面を当接させて、シリンダブロックが相対移動方向とは異なる方向に傾くのを抑制するように構成されていた。
このように従来の内燃機関は、偏心軸を内燃機関の両側にそれぞれ配置し、さらにこの偏心軸を互いに逆方向に回転させることができるように駆動軸を配置する必要がある。そのため、内燃機関が全体的に大型化し、内燃機関の重量が増加するという問題点がある。
また、シリンダブロックの左右両側の側面にガイド部材の当接面を当接させて、シリンダブロックの傾きを抑制する場合には、シリンダブロックを動かす際に、シリンダブロックの側面と、ガイド部材の当接面と、の間に抵抗(摺動抵抗)が生じる。このとき、内燃機関の運転中にシリンダブロック側からガイド部材に対して荷重が入力されると、その入力荷重の反力がシリンダブロックに作用することになる。そのため、ガイド部材からシリンダブロックに作用する反力が大きくなると、シリンダブロックを動かす際の摺動抵抗が大きくなって、シリンダブロックを動かす際の負荷、すなわちアクチュエータにかかる負荷が増大するという問題点がある。
本発明はこのような問題点に着目してなされたものであり、クランクケースに対して相対移動可能なシリンダブロックを備える内燃機関の大型化を抑制して重量の増加を抑制すると共に、シリンダブロックが相対移動方向とは異なる方向に傾くのを抑制しつつシリンダブロックを動かす際の負荷を抑制することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のある態様によれば、クランクケースに対して相対移動可能なシリンダブロックを備える内燃機関が、クランクケースに回転自在に支持されたクランクシャフトの軸線方向から内燃機関を見た場合に、当該内燃機関の左右の片側にだけ配置されて、クランクケースに対してシリンダブロックを相対移動させるためのブロック移動機構と、シリンダブロックの左右の側面と対向するように、クランクケースの左右に設けられたガイド壁と、ガイド壁に取り付けられると共に、当該ガイド壁と対向するシリンダブロックの側面と当接してシリンダブロックが相対移動方向とは異なる方向に傾くのを抑制するためのスライダと、を備える。ブロック移動機構は、クランクケースによって支持されると共に、主軸部と、当該主軸部の軸心から所定量偏心した位置に軸心がある偏心部と、を有する1本の制御軸と、一端部が偏心部に取り付けられると共に、他端部が前記シリンダブロックに取り付けられて、制御軸とシリンダブロックとを連結するための連結部材と、制御軸を所定の回転範囲内で両方向に回転させて、偏心部の軸心を、主軸部の軸心を中心としてシリンダブロックの相対移動方向に揺動させるためのアクチュエータと、を備える。そしてスライダは、第1スライダと、第1スライダからシリンダブロックの相対移動方向に所定の間隔を空けて取り付けられた第2スライダとを備えており、制御軸は、相対移動方向において主軸部の軸心が第1スライダと第2スライダとの間の中央位置に配置される。
本発明のこの態様による内燃機関によれば、クランクケースに対して相対移動可能なシリンダブロックを備える内燃機関の大型化を抑制して重量の増加を抑制すると共に、シリンダブロックが相対移動方向とは異なる方向に傾くのを抑制しつつシリンダブロックを動かす際の負荷を抑制することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様な構成要素には同一の参照番号を付す。
図1は、本発明の一実施形態による内燃機関100の概略斜視図である。図2及び図3は、それぞれ図1に示した内燃機関100の概略分解斜視図である。
図1から図3に示すように、内燃機関100は、クランクケース1と、シリンダブロック2と、ブロック移動機構3と、ガイド機構4と、を備える。
クランクケース1は、クランクシャフト10を回転自在に支持すると共に、その内部にシリンダブロック2を収容するためのブロック収容部11を備える。
シリンダブロック2は、クランクケース1に対して相対移動可能なようにクランクケース1と別体とされ、クランクケース1のブロック収容部11内にその一部が収容される。シリンダブロック2には、シリンダ20が形成される。本実施形態では、4つのシリンダ20がシリンダブロック2の長手方向(以下「ブロック長手方向」という。)に沿って直列に形成されている。
以下、図1から図3に加えて図4を参照し、内燃機関100の内部構成や、ブロック移動機構3及びガイド機構4の詳細について説明する。
図4は、内燃機関100の概略断面図である。なお図1から図3では、図面の煩雑を防止するために、図4に示した内燃機関100に対して一部の構成部品を省略している。
図4に示すように、シリンダブロック2の上部にはシリンダヘッド5が取り付けられ、クランクケース1の下部にはオイルパン6が取り付けられる。
シリンダ20の内部には、燃焼圧力を受けてシリンダ20の内部を往復運動するピストン21が収められる。ピストン21は、コンロッド22を介してクランクシャフト10と連結されており、クランクシャフト10によってピストン21の往復運動が回転運動に変換される。シリンダヘッド5、シリンダ20及びピストン21によって区画された空間が燃焼室7となる。
クランクシャフト10は、クランクジャーナル10aと、クランクピン10bと、クランクアーム10cと、を備える。
クランクジャーナル10aは、クランクケース1によって回転自在に支持される部分である。クランクジャーナル10aの軸心P1がクランクシャフト10の回転中心となる。
クランクピン10bは、コンロッド22の大端部が取り付けられる部分である。クランクピン10bの軸心P2は、クランクジャーナル10aの軸心P1から所定量だけ偏心している。したがって、クランクシャフト10が回転すると、クランクピン10bの軸心P2が軸心P1の周りを回転することになる。
クランクアーム10cは、クランクジャーナル10aとクランクピン10bとを連結する部分である。本実施形態では、クランクシャフト10を円滑に回転させるために、クランクアーム10cにバランスウェイト10dを設けている。
ブロック移動機構3は、クランクケース1に対してシリンダブロック2を相対的に移動させるための機構であって、図2から図4に示すように、1本の制御軸30と、連結部材31と、アクチュエータ32と、を備える。
本実施形態によるブロック移動機構3は、シリンダブロック2をシリンダ軸方向に動かして、クランクケース1に対するシリンダブロック2のシリンダ軸方向の相対位置を変化させることができるように構成される。クランクケース1に対してシリンダブロック2をシリンダ軸方向に相対移動させることで、ピストン21の上死点位置を変更せずに、燃焼室7の容積のみを変更することができる。このように、ピストン21の上死点位置を変更せずに、燃焼室7の容積のみを変更することで、内燃機関100の機械圧縮比を変更することができる。したがって本実施形態によるブロック移動機構3は、内燃機関100の可変圧縮比機構として機能する。なお機械圧縮比とは、圧縮行程時のピストン21の行程容積と燃焼室7の容積とから機械的に定まる圧縮比であって、(燃焼室容積+行程容積)/燃焼室容積で表される。
制御軸30は、クランクシャフト10と平行に延びて、クランクケース1に設けられた2組の制御軸受け12(図2参照)によって回転自在に支持される主軸部30aと、主軸部30aの軸心P3(図4参照)から所定量だけ偏心した位置に軸心P4(図4参照)がある偏心部30b(図4参照)と、を備える。したがって、仮に制御軸30を1回転させると、偏心部30bの軸心P4が主軸部30aの軸心P3の周りを1回転することになる。本実施形態では偏心部30bは、ブロック長手方向の一端側と他端側とにそれぞれ1つずつ設けられている。
連結部材31は、制御軸30の偏心部30bとシリンダブロック2とを連結するための部材である。連結部材31は、シリンダ軸方向の下側(オイルパン6側)の一端部が制御軸30の偏心部30bに取り付けられ、シリンダ軸方向の上側(シリンダヘッド5側)の他端部がシリンダブロック2に支持された連結ピン33に取り付けられる。図2及び図3に示すように、本実施形態では、2本の連結部材31によって、ブロック長手方向の一端側の偏心部30bとシリンダブロック2、及びブロック長手方向の他端側の偏心部30bとシリンダブロック2を連結している。
なお本実施形態では、制御軸30をいわゆるクランク形状としているが、主軸部30aの外周に、軸心が主軸部30aの軸心P3から偏心した偏心カムを固定し、この偏心カムの外周に連結部材31の一端部を取り付けるようにしても良い。
連結ピン33は、シリンダブロック2の短手方向(ブロック長手方向及びシリンダ軸方向のそれぞれと直角に交わる方向。以下「ブロック短手方向」という。)の一端側の側面に設けられた支持部23によって支持される。図2に示すように、本実施形態では支持部23は、偏心部30bと対応するように、ブロック長手方向の一端側と他端側とにそれぞれ1つずつ設けられている。
アクチュエータ32は、制御軸30に駆動トルクを与えて、制御軸30を所定の回転角度範囲内で両方向に回転させるための駆動機器である。本実施形態では、アクチュエータ32として電動機を用いている。
このようにブロック移動機構3は、ブロック長手方向と略一致するクランクシャフト10の軸線方向から内燃機関100を見た場合に、当該内燃機関100の左右の片側(本実施形態ではブロック短手方向の一端側)にだけ配置されて、クランクケース1に対してシリンダブロック2を相対的に移動させるように構成されている。
ガイド機構4は、シリンダブロック2が移動方向とは異なる方向に傾くのを抑制するための機構であって、ガイド壁40と、スライダ41と、を備える。
ガイド壁40は、シリンダブロック2の側面と対向するようにクランクケース1に設けられた壁であり、シリンダブロック2の側面に対して所定の間隙を空けてシリンダブロック2の周りに配置される。なお、以下の説明では、特に区別する必要があるときは、内燃機関100のブロック短手方向の一端側のガイド壁40のことを「ガイド壁40a」といい、ブロック短手方向の他端側のガイド壁40のことを「ガイド壁40b」という。
スライダ41は、ブロック短手方向の一端側及び他端側のシリンダブロック2の側面と当接し、シリンダブロック2をシリンダ軸方向に動かすときに、シリンダブロック2がシリンダ軸方向とは異なる方向に傾くのを抑制するための部材である。図4に示すように、本実施形態によるスライダ41は、その一端に形成された当接面411が、シリンダブロック2の側面と接するようにガイド壁40に固定されており、ブロック短手方向の一端側及び他端側のシリンダブロック2の側面を支持する支持部材として機能する。
また図2及び図3に示すように、本実施形態によるスライダ41は、各ガイド壁40a,40bにそれぞれ4つずつ取り付けられている。より詳細にはスライダ41は、各ガイド壁40a,40bのブロック長手方向の一端側と他端側にそれぞれ2つずつ、シリンダ軸方向の上側(シリンダヘッド5側)と下側(オイルパン6側)とに取り付けられている。なお、以下の説明では、特に区別する必要があるときは、各ガイド壁40a,40bのシリンダ軸方向の上側に取り付けられたスライダ41のことを「上側スライダ41a」といい、シリンダ軸方向の下側に取り付けられたスライダ41のことを「下側スライダ41b」という。各ガイド壁40a,40bにおいて、下側スライダ41bは、上側スライダ41aからシリンダブロック2の移動方向に所定の間隔を空けて取り付けられている。
このように本実施形態では、各ガイド壁40a,40bに取り付けられたスライダ41によってシリンダブロック2を両側面から支持することで、シリンダブロック2をシリンダ軸方向に動かすときに、シリンダブロック2がシリンダ軸方向とは異なる方向に傾くのを抑制している。また、内燃機関100の運転中に生じる振動によってシリンダブロック2がシリンダ軸方向とは異なる方向に傾くのを抑制している。
次に、図5及び図6を参照して、ブロック移動機構3の動作について説明する。
図5は、ブロック移動機構3によって、ピストン21が圧縮上死点に位置するときの燃焼室7の容積を最小にした状態、すなわち機械圧縮比を最大にした状態の内燃機関100と、その状態から制御軸30を時計周りに所定の回転角度だけ回転させて、ピストン21が圧縮上死点に位置するときの燃焼室7の容積を最大にした状態、すなわち機械圧縮比を最小にした状態の内燃機関100と、を比較して示した図である。
図6は、図5と同様に、機械圧縮比を最大にした状態の内燃機関100と、機械圧縮比を最小にした状態の内燃機関100と、を比較して示した図であるが、発明の理解を容易にするために、ブロック移動機構3を模式的に示した図である。なお図6の破線Aは、制御軸30を1回転させたときの偏心部30bの軸心P4の軌跡である。またP5は、連結ピン33の軸心である。
図6に示すように本実施形態では、偏心部30bの軸心P4の軌跡Aを、主軸部30aの軸心P3を通ると共にシリンダ軸方向と平行な平行線Qによって2つの半円領域に区画したときに、いずれか一方の半円領域(本実施形態では図中左側の半円領域)の範囲内で軸心P4が両回転方向に移動するように、アクチュエータ32によって制御軸30を両回転方向に回転させている。
そしてブロック移動機構3は、図中右側の機械圧縮比を最小にした状態と比較して、図中左側の機械圧縮比を最大にした状態のときには、偏心部30bの軸心P4がシリンダ軸方向の下側(オイルパン6側)に位置するように構成されている。
そのため、例えば図中左側の機械圧縮比を最大にした状態から、アクチュエータ32によって制御軸30を時計周りに回転させると、偏心部30bの軸心P4が、軌跡A上をシリンダ軸方向の上側(シリンダヘッド5側)に向かって移動する。これにより、偏心部30bに連結されている連結部材31を介して、連結ピン33がシリンダ軸方向の上側に向かって直線的に押し上げられるので、シリンダブロック2がクランクケース1に対して相対的にシリンダ軸方向の上側に押し上げられる。その結果、ピストン21が圧縮上死点に位置するときの燃焼室7の容積が徐々に増大し、機械圧縮比が徐々に小さくなる。
一方で、例えば図中右側の機械圧縮比を最小にした状態から、アクチュエータ32によって制御軸30を反時計周りに回転させると、偏心部30bの軸心P4が、軌跡A上をシリンダ軸方向の下側に向かって移動する。これにより、偏心部30bに連結されている連結部材31を介して、連結ピン33がシリンダ軸方向の下側に向かって直線的に引き下げられるので、シリンダブロック2がクランクケース1に対して相対的にシリンダ軸方向の下側に引き下げられる。その結果、ピストン21が圧縮上死点に位置するときの燃焼室7の容積が徐々に減少し、機械圧縮比が徐々に大きくなる。
このように本実施形態によるブロック移動機構3は、主軸部30aと偏心部30bとを備える制御軸30を回転させて、主軸部30aの軸心P3を中心として偏心部30bの軸心P4をシリンダ軸方向に上下に揺動させることで、偏心部30bに連結された連結部材31によってシリンダブロック2をシリンダ軸方向に上下動させている。
ところで本実施形態では、このようなブロック移動機構3を内燃機関100の片側にだけ設けることで、内燃機関100の大型化を抑制すると共に、重量の増加を抑制している。しかしながら、ブロック移動機構3を内燃機関100の片側にだけ設けた場合は、当該ブロック移動機構3を仮に内燃機関100の両側に設けた場合と比較して、内燃機関100の運転中にシリンダブロック2を一定回転方向に回転させようとするブロック回転力が加わるという問題点がある。以下、この問題点について、図7を参照して説明する。
図7は、ブロック移動機構3を内燃機関100の片側(この例ではブロック短手方向の一端側)にだけ設けた場合の問題点について説明する図である。なお図7では、発明の理解を容易にするために、ブロック移動機構3を模式的に示している。
内燃機関100の運転中は、各シリンダ20の燃焼室7内で燃焼が生じるため、図7に示すように、シリンダヘッド5には図中上向きの燃焼荷重Fが加わる。このとき本実施形態のように、内燃機関100の片側にだけ制御軸30を配置し、かつ制御軸30とシリンダブロック2とを連結部材31によって連結している場合には、シリンダヘッド5に加わる燃焼荷重Fによって、制御軸30を支点としてシリンダブロック2を図中時計周りに回転させようとするブロック回転力が生じる。すなわち、制御軸30周りに図中時計周りのモーメントMが生じる。
ここで、仮にブロック移動機構3を内燃機関100の両側、例えばブロック短手方向の一端側と他端側とに設けた場合は、内燃機関100のブロック短手方向の一端側のシリンダブロック2の側面に沿って配置された制御軸30を支点として、シリンダブロック2を時計周りに回転させようとするブロック回転力が生じる。また、これとは反対に、内燃機関100のブロック短手方向の他端側のシリンダブロック2の側面に沿って配置された制御軸30を支点として、シリンダブロック2を反時計周りに回転させようとするブロック回転力が生じる。そのため、シリンダブロック2を時計周りに回転させようとするブロック回転力と、反時計周りに回転させようとするブロック回転力とが釣り合って相殺され、見かけ上はシリンダブロック2にはブロック回転力が生じないことになる。
しかしながら、ブロック移動機構3を内燃機関100の片側にだけ設けた場合は、両側に設けた場合のようにブロック回転力が相殺されることがない。そのため、ブロック移動機構3を内燃機関100の片側にだけ設けた場合は、内燃機関100の運転中にシリンダブロック2に対して、シリンダブロック2を一定回転方向に回転させようとするブロック回転力が加わることになり、このブロック回転力がスライダ41に作用することになる。
図8は、ブロック回転力によってスライダ41に作用する力を矢印で示した図である。
図8に示す例では、シリンダブロック2に対して、シリンダブロック2を時計周りに回転させようとするブロック回転力が加わる。すなわち、シリンダブロック2に対して、シリンダブロック2を図中右側に傾けようとする力が作用する。そのため図8に示すように、ブロック移動機構3が設けられたブロック短手方向の一端側のスライダ41、すなわちガイド壁40aに固定されたスライダ41に関しては、主に上側スライダ41aに対して、燃焼荷重Fに起因するブロック回転力F1が作用する。また、ブロック短手方向の他端側のスライダ41、すなわちガイド壁40bに固定されたスライダ41に関しては、主に下側スライダ41bに対して、燃焼荷重Fに起因するブロック回転力F2が作用する。
その結果、図9に示すように、ブロック短手方向の一端側のシリンダブロック2の側面には、ブロック回転力F1に相当する上側スライダ41aからの反力F1’が作用する。また、ブロック短手方向の他端側のシリンダブロック2の側面には、ブロック回転力F2に相当する下側スライダ41bからの反力F2’が作用する。以下の説明では、このシリンダブロック2の側面に作用するスライダ41からの反力のことを、便宜上「スライダ反力」という。そして、このスライダ反力F1’とスライダ反力F2’との合力F3が大きくなるほど、シリンダブロック2を動かす際に、シリンダブロック2との側面と、スライダ41の当接面411と、の間に生じる抵抗(以下「摺動抵抗」という。)が増加する。
摺動抵抗が増加すると、シリンダブロック2をシリンダ軸方向に移動させる際の負荷、すなわち制御軸30を回転させるための駆動トルクが増加する。そのため、例えばアクチュエータ32を電動機とした場合は、電力消費量が増加し、結果として燃費が悪化するという問題が生じる。また、アクチュエータ32の最大駆動トルクを高くする必要もあるので、アクチュエータ32の大型化、大容量化を招き、結果として内燃機関100が大型化すると共に、内燃機関100の重量が増加するという問題が生じる。
したがって、ブロック移動機構3を内燃機関100の片側にだけ設ける場合には、スライダ反力F1’とスライダ反力F2’との合力F3をできるだけ小さくして、摺動抵抗を低減することが重要である。
そして発明者らの鋭意研究の結果、上側スライダ41aと下側スライダ41bとの間の高さ位置に制御軸30を配置する場合には、制御軸30を配置する高さ位置に応じて合力F3が変化することが分かった。
図10は、上側スライダ41aと下側スライダ41bとの間に制御軸30を配置した場合における、スライダ反力F1’、スライダ反力F2’、及び合力F3の大きさを、制御軸30を配置するシリンダ軸方向の高さ位置に応じて示した図である。
図10に示すように、発明者らの鋭意研究の結果、合力F3は、制御軸30を配置するシリンダ軸方向の高さ位置(より詳しくは、制御軸30の回転中心となる主軸部30aの軸心P3の高さ位置)を、下側スライダ41bの高さ位置から高くしていくにつれて低下していき、上側スライダ41aと下側スライダ41bとの間の中央位置近傍で最も小さくなることが分かった。すなわち、上側スライダ41aと下側スライダ41bとの間に制御軸30を配置する場合には、制御軸30を上側スライダ41aと下側スライダ41bとの間の中央位置近傍に配置したときに、摺動抵抗を最も小さくできることが分かった。
そのため、図11に示すように、シリンダブロック2をシリンダ軸方向に所定量だけ移動させるために必要な負荷、すなわち制御軸30を所定の回転角度だけ回転させるために必要な駆動トルクも、制御軸30を上側スライダ41aと下側スライダ41bとの間の中央位置近傍に配置したときに、最も小さくなることが分かった。
そこで本実施形態では、図12に示すように、制御軸30の回転中心となる主軸部30aの軸心P3の高さ位置が、上側スライダ41aと下側スライダ41bとの間の中央位置となるように、制御軸30を配置するようにしたのである。すなわち、制御軸30の主軸部30aの軸心P3から上側スライダ41aまでのシリンダ軸方向に沿った距離L1と、制御軸30の主軸部30aの軸心P3から下側スライダ41bまでのシリンダ軸方向に沿った距離L2と、が同じ距離となるように、制御軸30を配置するようにしたのである。これにより、上側スライダ41aと下側スライダ41bとの間に制御軸30を配置する場合において、スライダ反力F1’とスライダ反力F2’との合力F3を最も小さくすることができるので、シリンダブロック2をシリンダ軸方向に動かす際の摺動抵抗を最も小さくすることができる。したがって、燃費の悪化やアクチュエータ32の大型化、大容量化を抑制することができ、内燃機関100の大型化、重量増加をさらに抑制することができる。
以上説明した本実施形態によれば、クランクケース1に対して相対移動可能なシリンダブロック2を備える内燃機関100が、クランクケース1に回転自在に支持されたクランクシャフト10の軸線方向から内燃機関100を見た場合に、内燃機関100の左右の片側にだけ配置されて、クランクケース1に対してシリンダブロック2を相対移動させるためのブロック移動機構3と、シリンダブロック2の左右の側面と対向するように、クランクケース1の左右に設けられたガイド壁40と、ガイド壁40に取り付けられると共に、ガイド壁40と対向するシリンダブロック2の側面と当接してシリンダブロック2が相対移動方向とは異なる方向に傾くのを抑制するためのスライダ41と、を備える。
ブロック移動機構3は、クランクケース1によって支持されると共に、主軸部30aと、主軸部30aの軸心P3から所定量偏心した位置に軸心P4がある偏心部30bと、を有する1本の制御軸30と、一端部が偏心部30bに取り付けられると共に、他端部がシリンダブロック2に取り付けられて、制御軸30とシリンダブロック2とを連結するための連結部材31と、制御軸30を所定の回転範囲内で両方向に回転させて、偏心部30bの軸心P4を、主軸部30aの軸心P3を中心としてシリンダブロック2の相対移動方向に揺動させるためのアクチュエータ32と、をさらに備える。
そしてスライダ41は、上側スライダ41a(第1スライダ)と、上側スライダ41aからシリンダブロック2の相対移動方向に所定の間隔を空けて取り付けられた下側スライダ41b(第2スライダ)とを備えており、制御軸30は、シリンダブロック2の相対移動方向において主軸部30aの軸心P3が上側スライダ41aと下側スライダ41bとの間の中央位置に配置されている。
本実施形態による内燃機関100はこのように構成されているため、1本の制御軸30を回転させるだけで、連結部材31を介してシリンダブロック2をクランクケース1に対して相対移動させることができる。そのため1本の制御軸30を、例えばクランクシャフト10と平行に内燃機関100の左右の片側にだけ配置すればよく、結果としてブロック移動機構3を内燃機関の左右の片側にだけ配置することができる。したがって、前述した従来の内燃機関のように偏心軸を内燃機関100の両側にする必要もなく、また、2本の偏心軸を回転させるための駆動軸を配置する必要もないので、クランクケース1に対して相対移動可能なシリンダブロック2を備える内燃機関100の大型化を抑制して重量の増加を抑制することができる。
また、主軸部30aの軸心P3が上側スライダ41aと下側スライダ41bとの中間位置となるように制御軸30が配置されているため、上側スライダ41aと下側スライダ41bとの間に制御軸30を配置する場合において、中央位置から離れた位置に制御軸30を配置した場合と比べて、スライダ41からシリンダブロック2に入力されるスライダ反力の合力F3を小さくすることができる。そのため、シリンダブロック2をシリンダ軸方向に動かす際の摺動抵抗を小さくすることができるので、燃費の悪化やアクチュエータ32の大型化、大容量化を抑制することができ、内燃機関100の大型化、重量増加をさらに抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記の各実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
例えば上記の実施形態では、スライダ41の例として、シリンダブロック2の側面と当接してシリンダブロック2を支持する支持部材を挙げたが、シリンダブロック2の傾きを抑制できるものであれば特にこのようなものに限られるものではない。例えば、スライダ41の一部又は全部を支持部材に替えて、シリンダブロック2の側面をスプリングのバネ力や油圧などによって押圧する押圧部材としても良い。
また上記の実施形態では、シリンダ軸方向に2つのスライダ41、すなわち上側スライダ41aと下側スライダ41bとを設けていたが、上側スライダ41aと下側スライダ41bと間に、別途にスライダを設けるようにしても良い。
また上記の実施形態では、2本の連結部材31で制御軸30の偏心部30bとシリンダブロック2とを連結していたが、連結部材31の本数は2本に限らず、必要に応じて増減させても良い。
1 クランクケース
2 シリンダブロック
3 ブロック移動機構
10 クランクシャフト
30 制御軸
30a 主軸部
30b 偏心部
31 連結部材
32 アクチュエータ
40 ガイド壁
41 スライダ
41a 上側スライダ(第1スライダ)
41b 下側スライダ(第2スライダ)
100 内燃機関
2 シリンダブロック
3 ブロック移動機構
10 クランクシャフト
30 制御軸
30a 主軸部
30b 偏心部
31 連結部材
32 アクチュエータ
40 ガイド壁
41 スライダ
41a 上側スライダ(第1スライダ)
41b 下側スライダ(第2スライダ)
100 内燃機関
Claims (1)
- クランクケースに対して相対移動可能なシリンダブロックを備える内燃機関であって、
前記クランクケースに回転自在に支持されたクランクシャフトの軸線方向から内燃機関を見た場合に、当該内燃機関の左右の片側にだけ配置されて、前記クランクケースに対して前記シリンダブロックを相対移動させるためのブロック移動機構と、
前記シリンダブロックの左右の側面と対向するように、前記クランクケースの左右に設けられたガイド壁と、
前記ガイド壁に取り付けられると共に、当該ガイド壁と対向する前記シリンダブロックの側面と当接して前記シリンダブロックが相対移動方向とは異なる方向に傾くのを抑制するためのスライダと、
を備え、
前記ブロック移動機構は、
前記クランクケースによって支持されると共に、主軸部と、当該主軸部の軸心から所定量偏心した位置に軸心がある偏心部と、を有する1本の制御軸と、
一端部が前記偏心部に取り付けられると共に、他端部が前記シリンダブロックに取り付けられて、前記制御軸と、前記シリンダブロックと、を連結するための連結部材と、
前記制御軸を所定の回転範囲内で両方向に回転させて、前記偏心部の軸心を、前記主軸部の軸心を中心として前記シリンダブロックの相対移動方向に揺動させるためのアクチュエータと、
を備え、
前記スライダは、第1スライダと、第1スライダから前記シリンダブロックの相対移動方向に所定の間隔を空けて取り付けられた第2スライダとを備えており、前記制御軸は、前記相対移動方向において前記主軸部の軸心が前記第1スライダと前記第2スライダとの間の中央位置に配置される、
内燃機関。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016119350A JP2017223167A (ja) | 2016-06-15 | 2016-06-15 | 内燃機関 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016119350A JP2017223167A (ja) | 2016-06-15 | 2016-06-15 | 内燃機関 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017223167A true JP2017223167A (ja) | 2017-12-21 |
Family
ID=60685959
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016119350A Pending JP2017223167A (ja) | 2016-06-15 | 2016-06-15 | 内燃機関 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2017223167A (ja) |
-
2016
- 2016-06-15 JP JP2016119350A patent/JP2017223167A/ja active Pending
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