JP2017214964A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】軌道輪案内方式の保持器のリング部に形成された案内面を厳しく管理することを不要にする。【解決手段】保持器4は、二つのリング部15、16と、複数の柱部17と、リング部15、16に嵌合された金属製の輪環部品13、14とを有する。リング部15、16の径方向一端側に形成された案内面18、19と、外輪2との間で保持器4の案内すきまCが設定されている。輪環部品13、14とリング部15、16の嵌め合い面20、21,22、23が、案内面18、19と反対の径方向他端側で周方向全周に亘って連続している。リング部15、16の嵌め合い面21、23と案内面18、19間の肉厚が、案内面18、19を輪環部品13、14の嵌め合い面20、22の形状に倣わせる厚さに設定されている。【選択図】図1
Description
この発明は、遊星減速機に備わる遊星回転体のような公転部位に好適な転がり軸受に関し、特に、保持器を案内することに関する。
ダンプトラック等では、大きな減速比が得られる遊星減速機がホイールリムの内側に配置されている。遊星減速機に備わる遊星回転体は、リングギア及びサンギア間で自転しながら公転する遊星歯車又は遊星ローラからなり、転がり軸受を介してキャリヤのピンに支持されている(例えば、特許文献1、2)。
遊星回転体の支持用途のような公転部位に使用される転がり軸受の場合、保持器や軸受内部の潤滑油には、保持器の軸受中心軸周りの回転による遠心力のほかに、転がり軸受が遊星回転体と一体に公転運動することによる遠心力も作用する。その公転運動による遠心力は、転がり軸受に負荷域を生じさせると共に、保持器の変形や偏心、軸受内部の潤滑油の偏りを生じさせる原因となる。保持器案内方式として転動体案内方式を採用すると、その潤滑条件の悪い負荷域において、保持器の偏心によって一部の柱部が転動体に強く当接され、柱部が異常摩耗する恐れがある。これを避けるため、軌道輪案内方式の保持器(例えば、特許文献1)を採用することが好ましい。
しかしながら、保持器を軌道輪案内方式にする場合、軌道輪の保持器案内面と、保持器の案内面との間で保持器の案内すきまを設定することになる。確実に軌道輪案内を維持するには、保持器の案内面の寸法精度を厳しく管理する必要がある。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、軌道輪案内方式の保持器のリング部に形成された案内面を厳しく管理することを不要にすることにある。
上記の課題を達成するため、この発明は、軌道輪案内方式の保持器を備え、前記保持器が、二つのリング部と、当該二つのリング部間をポケットに区切る複数の柱部と、を有し、前記リング部の径方向一端側に形成された案内面と、前記軌道輪との間で前記保持器の案内すきまが設定されている転がり軸受において、前記保持器が、前記案内面をもった前記リング部に嵌合された金属製の輪環部品をさらに有し、前記輪環部品と前記リング部の嵌め合い面が、前記案内面と反対の径方向他端側で周方向全周に亘って連続しており、前記リング部の嵌め合い面と前記案内面間の肉厚が、当該案内面を前記輪環部品の嵌め合い面の形状に倣わせる厚さに設定されている、という構成を採用したものである。
上記構成によれば、リング部と金属製の輪環部品との嵌合により、そのリング部に形成された案内面が輪環部品の嵌め合い面に倣うように変形させられ、案内面の精度が輪環部品の寸法精度で向上させられる。その輪環部品は、金属製なので、嵌め合い面を高精度に仕上げることが容易である。したがって、比較的加工精度の悪い保持器の案内面を厳しく管理することが不要になる。
上述のように、この発明は、上記構成の採用により、軌道輪案内方式の保持器のリング部に形成された案内面を厳しく管理することを不要にすることができる。
この発明の一例としての実施形態を説明する。
第一実施形態に係る転がり軸受では、前記保持器の外径をDcとしたとき、前記輪環部品の嵌め合い面と前記リング部の嵌め合い面との間の径方向の締め代が、0〜0.0025Dcの範囲に設定されている。
第一実施形態によれば、リング部の案内面を輪環部品の嵌め合い面に倣って変形させるためにリング部の案内面と嵌め合い面との間の肉厚を薄く設定しつつ、その嵌め合いの締め代を適切に設定して、保持器の引っ張り応力によるリング部の破断を防止することができる。
第一実施形態に係る転がり軸受では、前記保持器の外径をDcとしたとき、前記輪環部品の嵌め合い面と前記リング部の嵌め合い面との間の径方向の締め代が、0〜0.0025Dcの範囲に設定されている。
第一実施形態によれば、リング部の案内面を輪環部品の嵌め合い面に倣って変形させるためにリング部の案内面と嵌め合い面との間の肉厚を薄く設定しつつ、その嵌め合いの締め代を適切に設定して、保持器の引っ張り応力によるリング部の破断を防止することができる。
第二実施形態に係る転がり軸受では、前記輪環部品の嵌め合い面の真円度が、前記案内すきまの50%以下に設定されている。
第二実施形態のように、輪環部品の嵌め合い面の真円度を案内すきまの50%以下、好ましくは25%以下にすれば、保持器の案内面の真円度を向上させるのに好適である。
第二実施形態のように、輪環部品の嵌め合い面の真円度を案内すきまの50%以下、好ましくは25%以下にすれば、保持器の案内面の真円度を向上させるのに好適である。
第三実施形態に係る転がり軸受では、前記輪環部品と前記リング部の嵌め合い面が、軸方向に前記柱部側へ向かって前記案内面側に傾いた斜面になっている。
第三実施形態によれば、輪環部品とリング部の嵌め合い面同士の傾きをもった接触によって、輪環部品の脱落を防止することができる。
第三実施形態によれば、輪環部品とリング部の嵌め合い面同士の傾きをもった接触によって、輪環部品の脱落を防止することができる。
第四実施形態に係る転がり軸受では、前記輪環部品と前記リング部の嵌め合い面が、円筒面部と、当該輪環部品を当該リング部に対して軸方向に係止する段部とを有する。
第四実施形態によれば、円筒面部同士の嵌め合いによって、案内面の真円度を向上させることが容易でありながら、段部同士の係止によって、輪環部品の脱落を防止することができる。
第四実施形態によれば、円筒面部同士の嵌め合いによって、案内面の真円度を向上させることが容易でありながら、段部同士の係止によって、輪環部品の脱落を防止することができる。
第五実施形態に係る転がり軸受では、前記輪環部品と前記リング部の嵌め合い面が、円筒面状になっており、前記輪環部品が、当該輪環部品の嵌め合い面よりも径方向に突き出た突起を有し、前記リング部が、周方向に延びる溝と、当該溝に軸方向に交差する入れ溝とを有し、前記輪環部品の突起が、前記入れ溝から前記溝に配置可能になっている。
第五実施形態によれば、円筒面同士の嵌め合いによって、案内面の真円度を向上させることが容易でありながら、輪環部品の突起とリング部の溝との軸方向の係止によって輪環部品とリング部を嵌合状態に維持することができる。
第五実施形態によれば、円筒面同士の嵌め合いによって、案内面の真円度を向上させることが容易でありながら、輪環部品の突起とリング部の溝との軸方向の係止によって輪環部品とリング部を嵌合状態に維持することができる。
第六実施形態に係る転がり軸受では、前記二つのリング部及び前記複数の柱部が、樹脂によって一体に形成されている。
第六実施形態によれば、前記二つのリング部及び前記複数の柱部を樹脂成形で一体に形成することが容易でありながら、成形収縮で狂うリング部の案内面の精度を金属製の輪環部品との嵌合で向上させることができる。
第六実施形態によれば、前記二つのリング部及び前記複数の柱部を樹脂成形で一体に形成することが容易でありながら、成形収縮で狂うリング部の案内面の精度を金属製の輪環部品との嵌合で向上させることができる。
第七実施形態に係る転がり軸受では、前記保持器が、外輪案内方式のものとなっている。
外輪で保持器を案内する場合、内輪案内の場合に比して、案内接触の周長が長くなってその案内接触部における周速差及び接触面圧が小さくなる。また、潤滑油が遠心力によって外輪側へ移動するため、その案内接触部で潤滑油が不足しにくく、案内接触部の摩耗や焼付きを防止することが可能である。
外輪で保持器を案内する場合、内輪案内の場合に比して、案内接触の周長が長くなってその案内接触部における周速差及び接触面圧が小さくなる。また、潤滑油が遠心力によって外輪側へ移動するため、その案内接触部で潤滑油が不足しにくく、案内接触部の摩耗や焼付きを防止することが可能である。
第八実施形態に係る転がり軸受では、前記ポケットに収容された円すいころを備える。
第九実施形態に係る転がり軸受は、遊星減速機に備わる遊星回転体とキャリヤとの間に配置される。
以下、この発明の第一実施例に係るころ軸受を図1〜図6に基づいて説明する。
図1、図2に示すように、実施例に係るころ軸受は、内輪1と、外輪2と、これら内輪1及び外輪2間に介在する複数の転動体3と、これら転動体3を保持する保持器4とを備える。内輪1,外輪2及び保持器4は、同じ中心軸(図1中に一点鎖線で示す軸受中心軸)に設定されている。以下、その中心軸に沿った方向のことを単に「軸方向」といい、その中心軸に直角な方向のことを単に「径方向」といい、その中心軸周りの円周方向のことを単に「周方向」という。
図1、図2に示すように、実施例に係るころ軸受は、内輪1と、外輪2と、これら内輪1及び外輪2間に介在する複数の転動体3と、これら転動体3を保持する保持器4とを備える。内輪1,外輪2及び保持器4は、同じ中心軸(図1中に一点鎖線で示す軸受中心軸)に設定されている。以下、その中心軸に沿った方向のことを単に「軸方向」といい、その中心軸に直角な方向のことを単に「径方向」といい、その中心軸周りの円周方向のことを単に「周方向」という。
内輪1は、外周に円すい面状の軌道面5と、小つば部6と、大つば部7とを有する軌道輪になっている。
外輪2は、内周に円すい面状の軌道面8と、円筒面状の保持器案内面9、10をもった軌道輪になっている。
転動体3は、円すいころになっている。なお、第一実施形態では、単列円すいころ軸受を例示したが、円筒ころ軸受、複列ころ軸受、玉軸受等、適宜の形式のころ軸受であってもよい。
保持器4は、一列のポケット11を規定する保持器本体12と、保持器本体12に取り付けられた二つの輪環部品13、14とからなる。
保持器本体12は、二つのリング部15、16と、これら二つのリング部15、16間を一列のポケット11に区切る複数の柱部17とを有する。保持器本体12は、一体に形成されている。
保持器4の軸方向一方側(図1中右側)のリング部15は、保持器本体12のうち、ポケット11の軸方向幅を規定する二端p1、p2の一端p1から軸方向一方側に位置する部分からなり、周方向全周に亘って連続する部分をもっている。保持器4の軸方向一方側と反対側の軸方向他方側(図1中左側)のリング部16は、ポケット11の軸方向幅を規定する他端p2から軸方向他方側に位置する部分からなり、周方向全周に亘って連続する部分をもっている。
図中右側のリング部15は、円すいころ用に対応の形状とするため、保持器4の外径Dcを規定する大径側の環状部になっている。一方、図中左側のリング部16は、図中右側のリング部15よりも小径な外周をもち、保持器4の内径を規定する小径側の環状部になっている。
柱部17は、保持器4のうち、二つのリング部15、16間に亘る部分からなり、周方向に隣接するポケット11、11間を分離している。図示の柱部17は、円すいころ用に対応の形状とするため、概ね転動体3の転動面に沿うように傾いている。
ポケット11は、保持器4に形成された、転動体3を収容するための空間のことをいう。ポケット11は、円すいころからなる転動体3を収めるため、概ね台形状になっている。内輪1、各ポケット11に収容された転動体3及び保持器4により、内輪アセンブリが構成されている。
保持器4は、外輪2の内周によって径方向に案内される軌道輪案内方式のものとなっている。図中右側のリング部15の径方向一端側に形成された案内面18は、当該リング部15の外径を規定する円筒面状になっている。図中左側のリング部16の径方向一端側に形成された案内面19は、当該リング部16の外径を規定する円筒面状になっている。径方向に対向する案内面18と保持器案内面9との間で保持器4の案内すきまCが設定されている。これと同じ大きさの案内すきまCは、径方向に対向する案内面19と保持器案内面10との間でも設定されている。このため、軸受運転中、保持器4の両側が外輪2によって案内されるので、保持器4が軸方向に対して傾きを起こしにくい利点がある。
図中右側の輪環部品13は、案内面18をもった図中右側のリング部15に嵌合された環状体からなる。これら輪環部品13とリング部15の嵌め合い面20、21が、案内面18と反対の径方向他端側で周方向全周に亘って連続している。一方、図中左側の輪環部品14は、案内面19をもった図中左側のリング部16に嵌合された環状体からなる。これら輪環部品14とリング部16の嵌め合い面22、23が、案内面19と反対の径方向他端側で周方向全周に亘って連続している。図3に、図1の図中右側の輪環部品13とリング部15の右側面視を示す。なお、図1の図中左側の輪環部品14とリング部16の左側面視は、図示省略するが、図3と径が異なって視える点で相違するだけである。
輪環部品13、14とリング部15、16の各嵌め合い面20〜23は、それぞれ軸方向に柱部17側へ向かって対応の案内面18、19側に傾いた斜面になっている。この傾きは、周方向全周に亘って与えられている。
輪環部品13、14の各嵌め合い面20、22の真円度は、それぞれ案内すきまCの50%以下に設定されている。好ましくは、25%以下にするとよい。
輪環部品13、14は、それぞれ金属によって一体に形成されている。輪環部品13、14の各嵌め合い面20、22は、それぞれ旋削、研削等によって高精度に加工されている。
一方、保持器本体12は、樹脂によって形成されている。成形収縮によって柱部17が内径側へ傾き、その傾きが柱部17間で一定しない。このため、保持器本体12に形成された案内面18、19、嵌め合い面21、23の寸法精度や真円度は、輪環部品13、14の嵌め合い面20、22の加工精度に劣る。
図中右側のリング部15の嵌め合い面21と案内面18間の径方向の肉厚は、当該案内面18を輪環部品13の嵌め合い面20の形状に倣わせる厚さに設定されている。一方、図中左側のリング部16の嵌め合い面23と案内面19間の径方向の肉厚は、当該案内面19を輪環部品14の嵌め合い面22の形状に倣わせる厚さに設定されている。
図4(a)に、図1の図中右側の輪環部品13を嵌合する直前の状態を示し、図4(b)に、その嵌合を終えた状態を示す。図4(b)に一点鎖線で案内面18の変形の様子を例示するように、リング部15と輪環部品13との嵌合により、そのリング部15に形成された案内面18は、対応の輪環部品13の嵌め合い面20に倣うように変形させられる。なお、図4(a)では、締め代δを誇張して描き、図4(b)では、案内面18の変形を誇張して描いた。
リング部15の嵌め合い面21と案内面18間の最小肉厚tは、0.1Dcに設定されている。図1に示す図中左側のリング部16の嵌め合い面23と案内面19間の最小肉厚も0.1Dcに設定されている。
また、図4(a)に示すように、輪環部品13の嵌め合い面20とリング部15の嵌め合い面21との間の径方向の締め代δは、0〜0.0025Dcの範囲に設定されている。締め代δは、全面的に密着する嵌め合い面20、21の全域で当該範囲を満足している。図1に示す図中左側の輪環部品14の嵌め合い面22とリング部16の嵌め合い面23との間の径方向の締め代も、締め代δと同じ範囲に設定されている。
第一実施例に係るころ軸受を備える遊星減速機の一例を図5、図6に示す。図示のように、この遊星減速機は、入力軸101に取り付けた太陽歯車102と、ハウジング103に固定された内歯車104との間に両歯車102、104に噛み合う遊星歯車としての遊星回転体105が複数個配置され、出力軸106に連結されたキャリヤ107に対して各遊星回転体105が回転自在に支持され、太陽歯車102と内歯車104との間で自転しながら公転する遊星回転体105の公転運動が、キャリヤ107を介して出力軸106に出力されるものである。実施例に係る転がり軸受100は、この遊星減速機に備わる遊星回転体105とキャリヤ107との間に一対で配置されている。各転がり軸受100の外輪2は、遊星回転体105に取り付けられ、遊星回転体105と一体に回転する。各転がり軸受100の内輪1は、キャリヤ107に設けられた支持軸108に取り付けられ、外輪2に対して静止する。
図示の遊星減速機は、超大型ダンプトラックのホイールリムの内側に設けられた終減速装置の第一段目の減速を行うものとなっている。その超大型ダンプトラックは、鉱山用であって積載量300t以上のものを想定している。本願発明者らが現行の超大型ダンプトラックの終減速装置における使用環境を調べたところ、太陽歯車102周りに公転する転がり軸受100の公転直径は500mm程度、その公転速度は500rpm程度、このときの軸受回転速度は1300rpm程度、最大の遠心加速度は75G程度になっていた。このような強い遠心加速度が作用すると、軸受内部の潤滑油が転がり軸受100の負荷域で希薄になり、負荷域と周方向反対側へ偏る傾向が顕著であった。
第一実施例に係るころ軸受は、上述のようなものであり、リング部15、16と金属製の輪環部品13、14との嵌合により、そのリング部15、16に形成された案内面18、19は、対応の輪環部品13、14の嵌め合い面20、22に倣うように変形させられる。輪環部品13、14の嵌め合い面20、22の真円度、外径の寸法精度は、対応の案内面18、19の精度よりも高い。このため、案内面18、19の精度は、対応のリング部15、16の嵌め合い面21、22との間に径方向の締め代をもって嵌合された輪環部品13、14の嵌め合い面20、22によって向上させられる。その輪環部品13、14は、金属製なので、嵌め合い面20、22を高精度に仕上げることが容易である。したがって、第一実施例に係る転がり軸受は、比較的加工精度の悪い保持器4の案内面18、19を厳しく管理することを不要にすることができる。
また、第一実施例に係るころ軸受は、輪環部品13、14の嵌め合い面20、22と対応のリング部15、16の嵌め合い面21、23との間の径方向の締め代δが0〜0.0025Dcの範囲に設定されているので、リング部15、16の案内面18、19を対応の輪環部品13、14の嵌め合い面20、22に倣って変形させるために対応のリング部15、16の案内面18、19と嵌め合い面21、23との間の肉厚を薄く設定しつつ、その嵌め合いの締め代δを適切に設定して、保持器4の引っ張り応力によるリング部15、16の破断を防止することができる。
また、第一実施例に係るころ軸受は、輪環部品13、14の嵌め合い面20、22の真円度が案内すきまCの50%以下、好ましくは25%以下に設定されているので、保持器4の対応の案内面18、19の真円度を向上させるのに好適である。
また、第一実施例に係るころ軸受は、輪環部品13、14とリング部15、16の各嵌め合い面20〜23が、それぞれ軸方向に柱部17側へ向かって対応の案内面18、19側に傾いた斜面になっているので、輪環部品13、14と対応のリング部15、16の嵌め合い面20、21,22、23同士の傾きをもった接触によって、輪環部品13、14の脱落を防止することができる。
また、第一実施例に係るころ軸受は、二つのリング部15、16及び複数の柱部17が樹脂によって一体に形成されているので、これらを保持器本体12として樹脂成形で一体に形成することが容易でありながら、成形収縮で狂うリング部15、16の案内面18、19の精度を金属製の輪環部品13、14との嵌合で向上させることができる。
また、第一実施例に係るころ軸受は、保持器4が外輪案内方式のものとなっているので、内輪1で案内する場合に比して、案内接触の周長が長くなってその案内接触部における周速差及び接触面圧が小さくなり、また、その案内接触部で潤滑油が不足しにくく、案内接触部の摩耗や焼付きを防止することができる。
なお、第一実施例では、保持器を外輪案内方式とするため、リング部15、16の外周に案内面18、19を形成し、金属製の輪環部品13、14をリング部15、16の内周に嵌合したが、内輪案内方式に変更する場合、リング部の内周に案内面を形成し、輪環部品をリング部の外周に嵌合するように、リング部と輪環部品の径方向に関する位置関係を第一実施例と逆転すればよいだけのことなので、その図示説明を省略する。
この発明の第二実施例に係る転がり軸受を図7、図8に基づいて説明する。なお、以下では、第一実施例との相違点を述べるに留める。
図7、図8に示すように、第二実施例では、輪環部品31とリング部32の嵌め合い面33、34が、円筒面部35、36と、当該輪環部品31を当該リング部32に対して軸方向に係止する段部37、38とで構成されている。円筒面部35、36の軸方向の幅は、案内面18の軸方向の全幅と同じ又は略同じになっている。段部37、38は、円筒面部35、36の柱部17側の辺から径方向に段差を付けたステップ状になっている。リング部32側の段部38は、周溝状に形成されている。輪環部品31側の段部37は、輪環部品31の外径を規定する突条になっている。
第二実施例に係る転がり軸受は、円筒面部35、36同士の嵌め合いによって、案内面18の真円度を向上させることが容易でありながら、段部37、38同士の軸方向の係止によって、リング部32からの輪環部品31の脱落を防止することができる。なお、図1中左側の輪環部品についても、第二実施例と同様の脱落防止構造に変更することが可能である。
この発明の第三実施例に係る転がり軸受を図9〜図11に基づいて説明する。
図9に示すように、第三実施例では、輪環部品41とリング部42の嵌め合い面43、44が、円筒面状になっている。嵌め合い面43、44の軸方向の幅は、案内面18の半分程度になっている。輪環部品41は、当該輪環部品41の嵌め合い面43よりも径方向に突き出た突起45を有する。突起45は、嵌め合い面43の柱部17側の端に連続しており、図10、図11に示すように、周方向等配の複数箇所に形成されている。
図9に示すように、第三実施例では、輪環部品41とリング部42の嵌め合い面43、44が、円筒面状になっている。嵌め合い面43、44の軸方向の幅は、案内面18の半分程度になっている。輪環部品41は、当該輪環部品41の嵌め合い面43よりも径方向に突き出た突起45を有する。突起45は、嵌め合い面43の柱部17側の端に連続しており、図10、図11に示すように、周方向等配の複数箇所に形成されている。
リング部42は、周方向に延びる溝46と、当該溝46に軸方向に交差する入れ溝47とを有する。入れ溝47は、輪環部品41の突起45に対応の周方向等配に形成されている。溝46は、その周方向両端のそれぞれで入れ溝47と交差している。輪環部品41の突起45は、入れ溝47から溝46に配置可能になっている。輪環部品41の突起45、45を入れ溝47、47から溝46、46の周方向延長上に入れて輪環部品41をリング部42に対して周方向に相対的に回転させると、突起45と溝46との軸方向の係止によって輪環部品41とリング部42を嵌合状態に維持する係止構造が設けられる。
このように、第三実施例に係る転がり軸受は、円筒面(嵌め合い面43、44)同士の嵌め合いによって、案内面18の真円度を向上させることが容易でありながら、輪環部品41の突起45、45とリング部42の溝46、46との軸方向の係止によって、輪環部品41とリング部42を嵌合状態に維持することができる。なお、図1中左側の輪環部品についても、第三実施例と同様の嵌合維持構造に変更することが可能である。
今回開示された実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 内輪
2 外輪
3 転動体
4 保持器
9、10 保持器案内面
11 ポケット
12 保持器本体
13、14、31、41 輪環部品
15、16、32、42 リング部
17 柱部
18、19 案内面
20〜23、33、34、43、44 嵌め合い面
35、36 円筒面部
37、38 段部
45 突起
46 溝
47 入れ溝
100 転がり軸受
105 遊星回転体
107 キャリヤ
C 案内すきま
Dc 保持器の外径
t 最小肉厚
δ 締め代
2 外輪
3 転動体
4 保持器
9、10 保持器案内面
11 ポケット
12 保持器本体
13、14、31、41 輪環部品
15、16、32、42 リング部
17 柱部
18、19 案内面
20〜23、33、34、43、44 嵌め合い面
35、36 円筒面部
37、38 段部
45 突起
46 溝
47 入れ溝
100 転がり軸受
105 遊星回転体
107 キャリヤ
C 案内すきま
Dc 保持器の外径
t 最小肉厚
δ 締め代
Claims (10)
- 軌道輪案内方式の保持器を備え、
前記保持器が、二つのリング部と、当該二つのリング部間をポケットに区切る複数の柱部と、を有し、
前記リング部の径方向一端側に形成された案内面と、前記軌道輪との間で前記保持器の案内すきまが設定されている転がり軸受において、
前記保持器が、前記案内面をもった前記リング部に嵌合された金属製の輪環部品をさらに有し、
前記輪環部品と前記リング部の嵌め合い面が、前記案内面と反対の径方向他端側で周方向全周に亘って連続しており、
前記リング部の嵌め合い面と前記案内面間の肉厚が、当該案内面を前記輪環部品の嵌め合い面の形状に倣わせる厚さに設定されていることを特徴とする転がり軸受。 - 前記保持器の外径をDcとしたとき、前記輪環部品の嵌め合い面と前記リング部の嵌め合い面との間の径方向の締め代が、0〜0.0025Dcの範囲に設定されている請求項1又は2に記載の転がり軸受。
- 前記輪環部品の嵌め合い面の真円度が、前記案内すきまの50%以下に設定されている請求項1又は2に記載の転がり軸受。
- 前記輪環部品と前記リング部の嵌め合い面が、軸方向に前記柱部側へ向かって前記案内面側に傾いた斜面になっている請求項1から3のいずれか1項に記載の転がり軸受。
- 前記輪環部品と前記リング部の嵌め合い面が、円筒面部と、当該輪環部品を当該リング部に対して軸方向に係止する段部とを有する請求項1から3のいずれか1項に記載の転がり軸受。
- 前記輪環部品と前記リング部の嵌め合い面が、円筒面状になっており、
前記輪環部品が、当該輪環部品の嵌め合い面よりも径方向に突き出た突起を有し、
前記リング部が、周方向に延びる溝と、当該溝に軸方向に交差する入れ溝とを有し、
前記輪環部品の突起が、前記入れ溝から前記溝に配置可能になっている請求項1から3のいずれか1項に記載の転がり軸受。 - 前記二つのリング部及び前記複数の柱部が、樹脂によって一体に形成されている請求項1から6のいずれか1項に記載の転がり軸受。
- 前記保持器が、外輪案内方式のものとなっている請求項1から7のいずれか1項に記載の転がり軸受。
- 前記ポケットに収容された円すいころを備える請求項1から8のいずれか1項に記載の転がり軸受。
- 遊星減速機に備わる遊星回転体とキャリヤとの間に配置される請求項1から9のいずれか1項に記載の転がり軸受。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016108213A JP2017214964A (ja) | 2016-05-31 | 2016-05-31 | 転がり軸受 |
PCT/JP2017/019013 WO2017208886A1 (ja) | 2016-05-31 | 2017-05-22 | 転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016108213A JP2017214964A (ja) | 2016-05-31 | 2016-05-31 | 転がり軸受 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017214964A true JP2017214964A (ja) | 2017-12-07 |
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ID=60478566
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016108213A Pending JP2017214964A (ja) | 2016-05-31 | 2016-05-31 | 転がり軸受 |
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WO (1) | WO2017208886A1 (ja) |
Family Cites Families (5)
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---|---|---|---|---|
JP2553423Y2 (ja) * | 1991-12-26 | 1997-11-05 | 光洋精工株式会社 | 転がり軸受用保持器 |
DE10119889B4 (de) * | 2001-04-24 | 2004-02-19 | Aktiebolaget Skf | Wälzlager |
JP2007127199A (ja) * | 2005-11-04 | 2007-05-24 | Nsk Ltd | 転がり軸受用保持器及び転がり軸受 |
WO2007058351A1 (ja) * | 2005-11-18 | 2007-05-24 | Nsk Ltd. | 樹脂製保持器及び転がり軸受 |
JP2013177920A (ja) * | 2012-02-28 | 2013-09-09 | Jtekt Corp | ころがり軸受 |
-
2016
- 2016-05-31 JP JP2016108213A patent/JP2017214964A/ja active Pending
-
2017
- 2017-05-22 WO PCT/JP2017/019013 patent/WO2017208886A1/ja active Application Filing
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2017208886A1 (ja) | 2017-12-07 |
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