JP2017214322A - Gapdh遺伝子発現増強剤及びgapdh遺伝子発現増強用食品組成物 - Google Patents

Gapdh遺伝子発現増強剤及びgapdh遺伝子発現増強用食品組成物 Download PDF

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政彦 齋
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政彦 齋
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Abstract

【課題】GAPDH遺伝子の発現を増強する新規なGAPDH遺伝子発現増強剤及びGAPDH遺伝子発現増強用食品組成物の提供。【解決手段】以下の構造式を有するピセアタンノール誘導体からなる化合物若しくはその多量体、又はその塩若しくは配糖体を有効成分として含有する、GAPDH遺伝子発現増強剤。Rがメチル基であることが好ましく、更に、前記化合物の内で、パッションフルーツ種子エキス、ピセアタンノール、レスベラトロール、イソラポンチゲニン又はラポンチゲニン或いはピセアンタンノールの二量体のスキルプシンBを含有することが好ましい、GAPDH発現遺伝子増強用食品組成物。(R1〜R6は夫々独立に−H、−OH又は−OR;RはC1〜C6のアルキル基)【選択図】なし

Description

本発明は、GAPDH遺伝子発現増強剤及びGAPDH遺伝子発現増強用食品組成物に関する。
ピセアタンノールは、スチルベン類の化合物であって、例えば、トケイソウ科トケイソウ属(Passiflora)の果物であるパッションフルーツの種子に含まれており、シミ、ソバカス、日焼けなどによる色素沈着の原因となるメラニンの生成を抑制する効果があることが報告されている(特許文献1を参照)。このピセアタンノールは、サーチュイン1遺伝子などの遺伝子発現を増強するという報告がある(例えば、特許文献2参照)。
一方、GAPDH(glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ)遺伝子はハウスキーピング遺伝子として知られており、GAPDH遺伝子の発現レベルは常に一定であって、多くの実験系で、目的の遺伝子発現を調べる場合の、測定値を標準化するための内部標準として使用されてきた。
GAPDHは多機能な酵素であることが知られており、解糖系の酵素としてだけでなく、ウラシル-DNAグリコシラーゼとしてDNA修復に関与したり(例えば、非特許文献1、2参照)、テロメアに結合して、その分解を抑制したり(例えば、非特許文献3参照)、テロメラーゼRNA構成要素に結合してテロメラーゼ活性を抑制したり(例えば、非特許文献4参照)、Mg2+−ATPの存在下で自己リン酸化し、NAD、NADH、あるいはG3Pの存在下で脱リン酸化するというように、リン酸基を転移したり(例えば、非特許文献1、5参照)、チューブリンやアクチンに結合して微小管の形成を調節したり(例えば、非特許文献1、6参照)、低分子量Gタンパク質のRab2と結合して小胞体からゴルジ体への物質輸送に関与したり(例えば、非特許文献3、7、8参照)、バンド3 と結合することで、局所における酸素センシング機能に関与し、ヘモグロビンから酸素分子の解離を促進したり(例えば、非特許文献9参照)、細胞膜に局在して脂質二重膜の融合促進やエンドサイトーシスに関与したり(例えば、非特許文献1参照)することが知られている。また、GAPDHは細胞外へ放出され、IgMの分泌促進(例えば、非特許文献10参照)、トランスフェリンの受容体として鉄の取り込み促進(例えば、非特許文献3、11参照)、プラスミノーゲン活性化などの作用も有する(例えば、非特許文献12参照)。
特開2009−102298号公報 特開2016−041680号公報
Sirover, M.A. (1999) Biochim. Biophys. Acta, 1432, 159-184. Meyer-Siegler, K., Mauro, D.J., Seal, G., Wurzer, J., deRiel, J.K.,& Sirover, M.A. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88, 8460-8464. Sirover, M.A. (2011) Biochim. Biophys. Acta, 1810, 741-751. Nicholls, C., Pinto, A.R., Li, H., Li, L., Wang, L., Simpson, R., & Liu, J.P. (2012) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 109, 13308-13313. Laschet, J.J., Minier, F., Kurcewicz, I., Bureau, M.H., Trottier, S., Jeanneteau, F., Griffon, N., Samyn, B., Van Beeumen, J., Louvel, J., Sokoloff, P., & Pumain, R. (2004) J. Neurosci., 24,7614-7622. Huitorel, P. & Pantaloni, D. (1985) Eur. J. Biochem., 150, 265-269. Tristan, C., Shahani, N., Sedlak, T.W., & Sawa, A. (2011) Cell. Signal., 23, 317-323. Tisdale, E.J., Kelly, C., & Artalejo, C.R. (2004) J. Biol. Chem., 279, 54046-54052. Kinoshita, A., Tsukada, K., Soga, T., Hishiki, T., Ueno, Y., Nakayama, Y., Tomita, M., & Suematsu, M. (2007) J. Biol.Chem., 282, 10731-10741. Sugahara, T., Shirahata, S., Sasaki, T., & Murakami, H. (1995) FEBS Lett., 368, 92-96. Raje, C.I., Kumar, S., Harle, A., Nanda, J.S., & Raje, M. (2007) J. Biol. Chem., 282, 3252-3261. Henderson, B. & Martin, A. (2011) Infect. Immun., 79, 3476-3491.
本発明は、GAPDH遺伝子の発現を増強する新規なGAPDH遺伝子発現増強剤及びGAPDH遺伝子発現増強用食品組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、ピセアタンノールや誘導体が、これまで一定だとされてきたGAPDH遺伝子の発現を増強することを見出し、本発明にいたった。
本発明の一実施態様は、以下の構造式を有する化合物もしくはその多量体、またはその塩もしくは配糖体を有効成分として含有する、GAPDH遺伝子発現増強剤またはGAPDH遺伝子発現増強用食品組成物である。
(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、−H、−OH及び−OR(Rはアルキル基)から選択される基であってRはC1〜C6のいずれかである。)Rがメチル基であってもよい。GAPDH遺伝子発現増強剤またはGAPDH遺伝子発現増強用食品組成物が、パッションフルーツ種子エキス、ピセアタンノール、レスベラトロール、イソラポンチゲニンまたはラポンチゲニンを含有してもよい。
本発明の他の実施態様は、以下の構造式を有する化合物もしくはその多量体、またはその塩もしくは配糖体を投与した動物個体から採取された細胞、または以下の構造式を有する化合物もしくはその多量体、またはその塩もしくは配糖体を投与した細胞、におけるGAPDH遺伝子の転写産物またはGAPDH遺伝子タンパク質の発現レベルを調べる、GAPDH遺伝子発現解析方法である。
(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、−H、−OH及び−OR(Rはアルキル基)から選択される基であってRはC1〜C6のいずれかである。)Rがメチル基であってもよい。また、パッションフルーツ種子エキス、ピセアタンノール、レスベラトロール、イソラポンチゲニンまたはラポンチゲニンが投与されてもよい。
本発明によって、GAPDH遺伝子の発現を増強する新規なGAPDH遺伝子発現増強剤及びGAPDH遺伝子発現増強用食品組成物を提供することができるようになった。
本発明の一実施例において、培地中のピセアタンノールおよびパッションフルーツ種子エキスが、培養細胞のGAPDHのmRNA発現レベルを増強することを示すグラフである。(*p<0.05(vs対照群)、#p<0.05(vsピセアタンノール群)) 本発明の一実施例において、GAPDHのmRNA発現レベルに対するパッションフルーツ種子エキスの濃度依存性を示すグラフである。(*p<0.05(vs対照群)、**p< 0.01(vs対照群))。 本発明の一実施例において、GAPDHのmRNA発現レベルに対するピセアタンノール処理の時間的効果を示すグラフである。(*p<0.05(vs対照群、0時間)、**p< 0.01(vs対照群、0時間))。
本発明の目的、特徴、利点、及びそのアイデアは、本明細書の記載により、当業者には明らかであり、本明細書の記載から、当業者であれば、容易に本発明を再現できる。以下に記載された発明の実施の形態及び具体的な実施例などは、本発明の好ましい実施態様を示すものであり、例示又は説明のために示されているのであって、本発明をそれらに限定するものではない。本明細書で開示されている本発明の意図並びに範囲内で、本明細書の記載に基づき、様々な改変並びに修飾ができることは、当業者にとって明らかである。
(1)GAPDH遺伝子発現増強剤またはGAPDH遺伝子発現増強用食品組成物
本発明の一実施形態は、GAPDH遺伝子発現増強剤またはGAPDH遺伝子発現増強用食品組成物であって、ピセアタンノールまたはその誘導体を含有することを特徴とする。
ピセアタンノールまたはその誘導体は特に限定されないが、下記構造式(I)で示される化合物のトランス体および多量体、並びにそれらの塩および配糖体が好ましい。なお、誘導体の中で、アルキル化誘導体が特に好ましく、メチル化誘導体がさらに好ましい。また、多量体は、二量体、三量体など単量体が複数個多量化したものを言うが、なかでもスキルプシンBが好ましい。
(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、-H、-OH及び-OR(Rはアルキル基)から選択される基である。)
なお、置換基Rに関して、様々な態様が考えられるが、A)〜C)が好ましい。
A)RはC1〜C12のいずれかである。
B)RはC1〜C6のいずれかである。
C)RはC1のメチル基である。
また、R〜Rに関しても、様々な組み合わせが考えられるが、1)〜6)が好ましい。
1)R〜Rのいずれも-ORである。
2)R〜Rのうち、いずれか一つは-Hであって、残りの二つは-ORである。
3)R〜Rのうち、Rは-Hであって、残りの二つは-ORである。
4)R〜Rのいずれも-ORである。
5)R〜Rのうち、いずれか一つは-Hであって、残りの二つは-ORである。
6)R〜Rのうち、Rは-Hであって、残りの二つは-ORである。
ここで、本明細書では、R、R、Rが−OHであって、Rが−Hであって、RとRのうち、一方が−Hで、もう一方が−OHである化合物をピセアタンノールと呼ぶ。また、ピセアタンノールのメチル化誘導体として、RはC1のメチル基であって、R〜Rのうち、いずれか一つは−Hであって、残りの二つは−OHまたは−ORであって、R〜Rのうち、いずれか一つは−Hであって、残りの二つは−OHまたは−ORである場合(上記選択肢において、C/2/5の組み合わせ)が好ましい。ここで、R、Rが−OHであって、Rが−Hであって、Rが−OCHであって、RとRのうち、一方が−Hで、もう一方が−OHである化合物がラポンチゲニンであり、R、R、Rが−OHであって、Rが−Hであって、RとRのうち、一方が−Hで、もう一方が−OCHである化合物がイソラポンチゲニンである。また、ピセアタンノールのアルキル化誘導体として、RはC1〜C6のアルキル基であって、R〜Rのうち、いずれか一つは−Hであって、残りの二つは−ORであって、R〜Rのうち、いずれか一つは−Hであって、残りの二つは−ORである場合(上記選択肢において、B/2/5の組み合わせ)が好ましい。
GAPDH遺伝子発現増強剤中のピセアタンノールまたはその誘導体の含有量は特に限定されないが、0.01%以上であることが好ましく、0.1%以上であることがより好ましく、1%以上、2%以上、3%以上、5%以上、10%以上、20%以上、30%以上、50%以上、70%以上、90%以上、95%以上、98%以上のいずれかであることがさらに好ましい。
本明細書では、「GAPDH遺伝子」という用語が単独で用いられた場合、GAPDH(EC1.2.1.12)をコードする、すべてのGAPDH遺伝子およびそのホモログであるGAPDH遺伝子の総称を表すものとする。GAPDH遺伝子の由来の動物は特に限定されず、ヒトであっても、ヒト以外の脊椎動物であっても、ヒト以外のほ乳類であってもよい。
本明細書で、「GAPDH遺伝子発現」とは、GAPDH遺伝子の転写産物レベルでの発現をいうものとする。また、「GAPDH遺伝子発現増強」とは、GAPDH遺伝子の転写産物が増えることであって、例えば、遺伝子の転写の活性化、転写産物の安定性の向上、転写産物分解の阻害などのメカニズムは問わないものとする。従って、「GAPDH遺伝子発現増強剤」または「GAPDH遺伝子発現増強用食品組成物」とは、そのメカニズムに関わらず、GAPDH遺伝子の転写産物レベルを亢進させることができる薬剤または食品組成物をいう。
GAPDH遺伝子発現増強剤の剤形やGAPDH遺伝子発現増強用食品組成物の形状は特に限定されないが、例えば、ピセアタンノールを含むパッションフルーツ種子エキスなどであっても、精製されたピセアタンノールがバッファーに溶解された溶液であってもよく、その中に、適量の塩やキレート剤を含有してもかまわない。
ピセアタンノールまたはその誘導体の製造方法は特に限定されず、植物から単離しても、化学合成であってもかまわない。GAPDH遺伝子発現増強剤の剤形は特に限定されないが、精製されたピセアタンノールまたはその誘導体がバッファーに溶解された溶液であってもよく、その中に、適量の塩やキレート剤を含有してもかまわない。
また、ピセアタンノールまたはその誘導体として、ピセアタンノールまたはその誘導体を含む植物のエキスを用いてもよい。ここで、植物の種類は、ピセアタンノールまたはその誘導体を含む植物であれば特に限定されず、パッションフルーツ(例えば、Passiflora edulis、Passiflora alata、Passiflora amethystine、Passiflora antioquiensis、Passiflora biflora、Passiflora buonapartea、Passiflora capsularis、Passiflora cearensis、Passiflora coccinea、Passiflora cochinchinesis、Passiflora filamentosa、Passiflora herbertiana、Passiflora laurifolia、Passiflora ligularis、Passiflora lunata、Passiflora lutea、Passiflora maliformis、Passiflora mixta、Passiflora mucronata、Passiflora mollissima、Passiflora nibiba、Passiflora organensis、Passiflora pallida、Passiflora parahypensis、Passiflora pedeta、Passiflora pinnatistipula、Passiflora popenovii、Passiflora quadrangularis、Passiflora riparia、Passiflora rubra、Passiflora serrate、Passiflora tiliaefolia、Passiflora tripartite、Passiflora villosa、Passiflora warmingiiなど)、テンニンカ(例えば、Rhodomyrtus tomentosaなど)、ブラシノキ(例えば、マキバブラシノキCallistemon speciosus、Callistemon rigidusなど)が例示できる。エキスを抽出するのは、植物全体のうち、どの部分であっても良く、例えば、果実、花、種子、葉、枝、樹皮、幹、茎、または、根であっても良いが、パッションフルーツを用いる場合は種子であることが好ましく、テンニンカである場合には果実であることが好ましく、ブラシノキである場合には茎であることが好ましい。以下、パッションフルーツ種子エキスを一例として、その製造方法を説明する。
(2)パッションフルーツ種子エキスの製造方法
パッションフルーツ種子エキスの具体的な製造方法として、公知の方法を用いることができ、例えば、パッションフルーツ種子を、乾燥した後に、破砕、粉砕、または、切断などによって種子分解物を得、溶媒を用いて抽出し、残渣を除去することによって抽出液を得、さらに、抽出液から溶媒を除去することによって、抽出物を得ることができる。この段階のいずれのものも、本発明のパッションフルーツ種子エキスとして使用することができる。
抽出に用いる溶媒の種類は、当業者であれば適切に選択することができるが、例えば、水、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸エチル、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、2-プロパノール、1,4-ジオキサン、ヘキサン、クロロホルム、ジクロロメタン、または、これらから選択される2以上の溶媒の混合溶媒であっても良く、水、エタノール、1,3-ブチレングリコール、または、これらから選択される2以上の溶媒の混合溶媒であることが好ましく、水、エタノール、または、水およびエタノールの混合溶媒であることがより好ましい。混合溶媒を用いる場合の、各溶媒の混合比は特に限定されないが、例えば水およびエタノールの混合溶媒を用いる場合には、水とエタノールとの体積比は、1:99〜99:1であっても良く、3:97〜80:20であることが好ましく、5:95〜50:50であることがより好ましく、10:90〜40:60であることが特に好ましい。
溶媒として、水、または、水との混合溶媒を用いる場合には、熱水、または、熱水との混合溶媒であることが好ましい。水、または、水との混合溶媒は塩を含んでいても良く、塩を含む溶媒の例として、バッファー(緩衝液)であっても良い。バッファーのpHは、特に限定されず、酸性、中性、または、アルカリ性のいずれであっても良いが、酸性であることが好ましく、pH6以下の酸性であることがより好ましく、pH1〜pH5の酸性であることがさらに好ましい。バッファーに用いる塩の種類は特に限定されず、例として、クエン酸塩、リンゴ酸塩、リン酸塩、酢酸塩および炭酸塩などが挙げられる。
抽出液から溶媒を除去する方法は、特に限定されず公知の方法を用いることができる。例えば、減圧留去、凍結乾燥、または、スプレードライ(噴霧乾燥)であっても良いが、凍結乾燥、または、スプレードライであることが好ましく、スプレードライであることがより好ましい。
抽出物の形状は、特に限定されず、例えば粉体などの固体状、アモルファス状、または、オイル状であっても良い。
(3)GAPDH遺伝子発現増強方法
本発明の一実施形態は、GAPDH遺伝子発現を増強する方法であって、GAPDH遺伝子、そのプロモーター、及び転写産物からなる群から選択される少なくとも一つに、ピセアタンノールまたはその誘導体を投与する工程を含む。アルキル化誘導体は、メチル化誘導体であることが好ましい。
この工程が行われるのは、in vitroであっても、in vivoであってもかまわない。また、ピセアタンノールまたはその誘導体が作用する対象であるGAPDH遺伝子、そのプロモーター、及び/又は転写産物は、細胞内にあっても細胞外にあってもよい。
in vitroで細胞外にある場合、細胞抽出液中にあってもよく、単離された後に再構成されたin vitro転写系の中にあってもよい。
細胞内にある場合、ピセアタンノールまたはその誘導体が作用する対象であるGAPDH遺伝子、そのプロモーター、及び/又は転写産物は、外来性でも内在性でもよい。in vitroで用いられる細胞は、生体外にあればよく、培養条件下にあることが好ましいが、ライン化されていても、初代培養細胞であってもよく、あるいは培養組織中の細胞であってもかまわない。in vivoで細胞内にある場合は、すなわち生体内にある。ピセアタンノールまたはその誘導体が作用する対象であるGAPDH遺伝子、そのプロモーター、及び/又は転写産物が由来する動物種と、細胞が由来する動物種は、異なっていてもかまわないが、同じであることが好ましい。細胞の種類は、特に限定されない。
これらの系の中にあるGAPDH遺伝子、そのプロモーター、及び/又は転写産物に対し、ピセアタンノール及び/又はそのアルキル化誘導体が投与される。この化合物は、用いる系にあわせて(1)で述べたように剤形化されていてもよい。この化合物の濃度は、用いる系によって、実施者が適宜、容易に決定することができる。投与方法も、用いる系によって、実施者が適宜、容易に決定することができる。例えば、培養細胞の場合、培養細胞を培養している培地に、適量を添加すればよい。生体内の細胞の場合、ピセアタンノールは個体に投与される。投与経路は、全身投与または局所投与のいずれも選択することができる。この場合、疾患、症状などに応じた適当な投与経路を選択する。本発明に係る薬剤は、経口経路、非経口経路のいずれによっても投与できる。非経口経路としては、通常の静脈内投与、動脈内投与の他、皮下、皮内、筋肉内などへの投与を挙げることができる。さらに、経粘膜投与または経皮投与を実施することができる。本発明に係る食品組成物は、経口で摂取される。
ここで述べた方法によって、ピセアタンノールまたはその誘導体を通じて、GAPDH遺伝子発現を増強することができる。
(4)GAPDH遺伝子発現測定方法
GAPDH遺伝子発現を測定する方法は、ピセアタンノールまたはその誘導体を用いてGAPDH遺伝子発現を増強する工程と、GAPDH遺伝子転写産物及び/又はGAPDHタンパク質を検出する工程と、を含む。
ピセアタンノールまたはその誘導体を用いてGAPDH遺伝子発現を増強する工程は、(3)で述べたように行う。
その後、GAPDH遺伝子転写産物及び/又はGAPDHタンパク質を検出する。転写産物は、転写後スプライシングが行われる前のhnRNAであっても、スプライシングが行われた後のmRNAであってもかまわない。検出方法は特に限定されないが、ノーザンハイブリダイゼーションやRT-PCTが好ましい。タンパク質の検出方法も特に限定されないが、ウエスタン・ブロッティング、ELISA、EIA、RIA、CF、CLIAなどが例示できる。
この方法によって、ある特定の条件で、ピセアタンノールまたはその誘導体によって、GAPDH遺伝子発現がどのくらいのレベルで増強されるかを知ることができる。
(5)ピセアタンノール誘導体
ピセアタンノールまたはその誘導体は、GAPDH遺伝子発現増強能を有する。従って、ピセアタンノールをリード化合物として作製された誘導体に対し、GAPDH遺伝子発現増強能を調べれば、GAPDH遺伝子発現増強能を有する化合物を得られる確率が高くなる。そして、複数の誘導体を調べ、GAPDH遺伝子発現増強能を有する化合物をGAPDH遺伝子発現増強物質として特定することによって、GAPDH遺伝子発現増強能を有する化合物をスクリーニングすることができる。
ここで、ピセアタンノールをリード化合物として作製された誘導体は、特に限定されないが、上記構造式(I)において、A/1〜3/4〜6、B/1/4〜5、B/1〜2/4のいずれかの組み合わせを有する化合物であることが好ましい。なお、水素やアルキル基は、ハロゲン、芳香環、などに任意に置換されてもよい。
(実施例1)
本実施例では、ピセアタンノール(Piceatannol; PIC)(東京化成工業株式会社より入手)およびパッションフルーツ種子エキスによってGAPDH遺伝子発現が増強されることを示す。
パッションフルーツ種子エキスは、以下のようにして、抽出した。すなわち、パッションフルーツ種子を焙煎して粉砕し、これに80%含水エタノール(80v/v%エタノール+20v/v%水)を加えて混合、攪拌した後、濾過することで固液分離した。得られた抽出液をエバポレータで濃縮して、スプレードライによって粉末化してパッションフルーツ種子エキスとした。
ラット由来線維芽様細胞株(Rat-1; RIKEN Cell Bank, RCB1830) 1×10個の細胞を、35mmディッシュに播種し、10%FBSを添加したDMEM(GIBCO社、11054-020)を用いて培養した。
5日目に、ピセアタンノール(Piceatannol)またはパッションフルーツ種子エキス(Passion fruit seed extract)を50μMの濃度で添加し、対照(Control)として、これらの溶媒であるDMSOだけを等量添加した。添加4時間後、細胞からRNAを回収し、RT−PCRによってGAPDH遺伝子のmRNA量およびGAPDH遺伝子のmRNA量を測定した。そして、GAPDH mRNA発現レベルを標準化するため、GAPDH/36B4比を算出し、対照を100とした場合の、各物質で刺激した場合の値を計算した。
図1に、各試薬に対し、刺激4時間後のGAPDHのmRNA発現レベルを示す。ピセアタンノールおよびパッションフルーツ種子エキスはGAPDHのmRNA発現レベルを増強した。そして、パッションフルーツ種子エキスによる増加量はピセアタンノールよりも有意に高かった。
(実施例2)
ラット由来線維芽様細胞株を実施例1と同様に培養後、含有しているピセアタンノールの濃度が10、20、50μM(20μM=51.47μg/mL)になるように、培地にパッションフルーツ種子エキスを添加した。4時間後、細胞からRNAを回収し、RT−PCRによってGAPDH遺伝子のmRNA量を測定した。そして、GAPDHmRNA発現レベルを標準化するため、GAPDH/36B4比を算出し、各時間で対照を100とした場合の値を計算した。
図2に、GAPDHのmRNA発現レベルに対するパッションフルーツ種子エキスの濃度依存性を示す。パッションフルーツ種子エキスの濃度依存的にGAPDHのmRNA発現レベルは増強した。
(実施例3)
ラット由来線維芽様細胞株を実施例1と同様に培養後、ピセアタンノール100μMで添加した。2、4、8、24時間後、細胞からRNAを回収し、RT−PCRによってGAPDH遺伝子のmRNA量を測定した。そして、GAPDHmRNA発現レベルを標準化するため、GAPDH/36B4比を算出し、刺激前の0時間の対照を100とした場合の値を計算した。
図3に、GAPDHのmRNA発現レベルに対するピセアタンノールのタイムコースを示す。ピセアタンノールによるGAPDHのmRNA発現レベルは、刺激時間依存的に増強した。
(まとめ)
以上のように、パッションフルーツ種子エキス及びピセアタンノールは、GAPDHのmRNA発現レベルを増強し、GAPDH遺伝子発現増強剤として有効である。































Claims (9)

  1. 以下の構造式を有する化合物もしくはその多量体、またはその塩もしくは配糖体を有効成分として含有する、GAPDH遺伝子発現増強剤。
    (式中、R〜Rは、それぞれ独立に、−H、−OH及び−OR(Rはアルキル基)から選択される基であってRはC1〜C6のいずれかである。)
  2. Rがメチル基である、請求項1に記載のGAPDH遺伝子発現増強剤。
  3. パッションフルーツ種子エキス、ピセアタンノール、レスベラトロール、イソラポンチゲニンまたはラポンチゲニンを含有する、請求項1または2に記載のGAPDH遺伝子発現増強剤。
  4. 以下の構造式を有する化合物もしくはその多量体、またはその塩もしくは配糖体を有効成分として含有する、GAPDH遺伝子発現増強用食品組成物。
    (式中、R〜Rは、それぞれ独立に、-H、-OH及び-OR(Rはアルキル基)から選択される基であってRはC1〜C6のいずれかである。)
  5. Rがメチル基である、請求項4に記載のGAPDH発現遺伝子増強用食品組成物。
  6. パッションフルーツ種子エキス、ピセアタンノール、レスベラトロール、イソラポンチゲニンまたはラポンチゲニンを含有する、請求項4または5に記載のGAPDH遺伝子発現増強用食品組成物。
  7. 以下の構造式を有する化合物もしくはその多量体、またはその塩もしくは配糖体を投与した動物個体から採取された細胞、または以下の構造式を有する化合物もしくはその多量体、またはその塩もしくは配糖体を投与した細胞、におけるGAPDH遺伝子の転写産物またはGAPDH遺伝子タンパク質の発現レベルを調べる、GAPDH遺伝子発現解析方法。
    (式中、R〜Rは、それぞれ独立に、−H、−OH及び−OR(Rはアルキル基)から選択される基であってRはC1〜C6のいずれかである。)
  8. Rがメチル基である、請求項7に記載のGAPDH遺伝子発現解析方法。
  9. パッションフルーツ種子エキス、ピセアタンノール、レスベラトロール、イソラポンチゲニンまたはラポンチゲニンが投与される、請求項7または8に記載のGAPDH遺伝子発現解析方法。
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