JP2017214232A - 窒化物化合物半導体基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】クラックの発生を抑制し、大面積で厚膜の窒化物半導体結晶を得ることが出来る単結晶基板の製造方法の提供。
【解決手段】第1温度で、+c面と−c面とを有する窒化物化合物半導体の単結晶基板13を好ましくは液相法により生成する第1工程と、第2温度で、単結晶基板13の両面の+c面と−c面とに単結晶基板よりも線膨張係数の大きい保護膜11,12を形成する第2工程と、第3温度で、+c面から保護膜11を除去する第3工程と、第4温度で、+c面上に好ましくは気相法により、更に窒化物化合物半導体を成長させる第4工程と、を含み、第1温度は700〜1000℃で、第4温度1000〜1600℃よりも低く、第2温度は、第1温度、第3温度、第4温度のいずれよりも高くする窒化物化合物半導体基板の製造方法。
【選択図】図3

Description

本開示は、窒化物化合物半導体基板の製造方法に関する。
現在市販されている青色、緑色の発光素子(LED)は、窒化ガリウム(GaN)等、ワイドバンドギャップ半導体により構成されている。従来、シリコン、サファイア等からなる基板上に、例えば、六方晶のGaNエピタキシャル結晶を形成することで、これらのLEDを実現していた。
しかし、シリコン、サファイア基板上に形成されるGaNエピタキシャル結晶品質は、基板とGaNエピタキシャル結晶との格子定数の違いから発生する歪により、その緩和施策を施したとしても結晶品質は非常に劣悪なものであった。これは、LEDの大電流化・高出力化を阻むものであった。GaNエピタキシャル結晶品質を代表する指標として貫通螺旋転位密度があるが、その指標によれば、〜10cm−2程度の転位密度であった。そこで、結晶品質の高いGaN基板上にGaNホモエピタキシャル結晶を適用することで発光素子(LED)の活性層品質を高めLEDの大電流化・高出力化を図る取り組みが続いている。
市販されているGaN基板は、HVPE(hydride vapor phase epitaxy)法等のホットウォール(hot wall)法によって、サファイア基板上に形成され、これを剥離して自立化することで得られている。技術革新により貫通螺旋転位密度で10cm−2程度が実現されている。また、更なるLEDの高出力化を実現する為にさらなる転位密度の低減が要求されるなかで、様々なGaN結晶の製造方法が提案されており、実際に低転位化が実現できることが確認されている。
しかし、概して低転位化を実現できる製造方法によれば、結晶成長速度を犠牲にしている場合が多く工業的には不向きである。従って、これらの低速結晶成長により得られた高品質基板を種基板として用い、より高速結晶成長を実現できる気相エピタキシャル結晶成長によるホモエピタキシャル結晶成長法との組み合わせにより、短時間で高品質な厚膜結晶を得ることで、低コスト化、高品質化を両立させる技術が工業的には重要視されており精力的に研究されている。
例えば、窒化ガリウム半導体基板を製造する場合、サファイア等の下地基板を気相成長装置の成長室内に置き、成長室内に、ガリウム化合物を含有するガスを供給することにより、窒化ガリウム半導体を数μm〜数cmの厚さまで成長させ、下地基板を剥離して取り除いた後、加工研磨を行うことにより1枚の窒化ガリウム単結晶基板を得ていた。しかし、この方法では、非常に製造効率が悪く、安価な単結晶窒化ガリウム基板を大量に供給することは困難である。そこで、下地基板上に数mm〜数cmの厚さの単結晶を成長し、その単結晶バルクをスライシングすることによって、1枚の下地基板から複数枚の窒化ガリウム単結晶基板を得る手法が注目されている。
しかしながら、窒化物化合物半導体の基板上に窒化物化合物半導体の厚膜をホモエピタキシャル結晶成長させるのには課題があり、厚さ数10μm〜数100μm以上の厚膜を成長させる段階で問題が発生する。つまり、厚さ数10μm〜数100μm以上の厚膜成長を行うと成長中にクラックが発生するために大面積の結晶が得られずに未だ実用化にはいたっていない。このような結晶のクラックを抑制するために、下地基板の形状を制御する技術が提案されている。具体的には、特許文献1では、より高品質な窒化物半導体結晶を成膜することができる単結晶基板として、主面が凸面であり鏡面に研磨されており、単結晶基板の物理的形状の反り量をZ1(μm)とし、結晶学的面形状の曲率半径から算出した反り量をZ2(μm)とした場合に、下記式を満たす単結晶基板が記載されている。
Z1>0、Z2<0 ・・・式(1)
特許第57327189号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたやり方では、窒化物化合物半導体基板の物理的形状、結晶学的形状の反りだけを規定しており、結晶格子の状態を規定するまでには至っていない。そのために、これらの基板上に成長する結晶のクラックの発生を抑制する効果は十分ではなく、特に厚膜を成長させた場合にクラックの発生を抑制しきれないといった課題がある。また、このように物理的形状、結晶学的形状の反り方向が逆の場合には、オフ角度分布が大きくなりデバイスの製造の過程でデバイス特性に大きなバラツキを発生させる要因となり歩留まりが悪化するという課題を有している。
窒化物化合物半導体の基板上に窒化物化合物半導体の厚膜をホモエピタキシャル結晶成長させる場合に、厚膜化した時にクラックが発生する機構に関して以下に簡単に説明する。窒化物化合物半導体は、その結晶が含む不純物濃度の影響により結晶格子定数が変化する。窒化物化合物半導体上に別のプロセスで窒化物化合物半導体を形成する場合、新たに形成される結晶中に含まれる不純物が約1桁程度少なくなる場合、c軸方向、a軸方向、m軸方向のいずれの方向でも0.01%の程度で結晶格子定数は小さくなる。その結果、膜内には引っ張り応力が加わり、下地基板を含めて上に凹の反りが発生し、a軸方向の格子定数は下地基板を含めて小さくなる。このように大きな引張り応力が加わった状態で成膜を続ければクラックが発生し厚膜の結晶を得ることはできない。
本開示は、このような従来技術の課題を解決し、クラックの発生を抑制し、大面積で厚膜の窒化物化合物半導体結晶を得ることが出来る窒化物化合物半導体単結晶基板の製造方法を提供することを目的とするものである。
上述した課題を解決するために、本開示に係る窒化物化合物半導体基板の製造方法は、第1温度で、+c面と−c面とを有する窒化物化合物半導体の単結晶基板を生成する第1工程と、
第2温度で、前記単結晶基板の両面の+c面と−c面とに前記単結晶基板よりも線膨張係数の大きい保護膜を形成する第2工程と、
第3温度で、前記+c面から前記保護膜を除去する第3工程と、
第4温度で、前記+c面上に更に前記窒化物化合物半導体を成長させる第4工程と、
を含み、
前記第1温度は、前記第4温度よりも低く、
前記第2温度は、前記第1温度、前記第3温度、前記第4温度のいずれよりも高いことを特徴とする。
本開示に係る単結晶基板の製造方法によれば、クラックの発生を抑制し、大面積で厚膜の窒化物化合物半導体結晶を得ることが出来る。
実施の形態1に係る裏面保護膜付窒化物化合物半導体基板の断面構造図である。 エピタキシャル結晶成長を実施するための成膜設備の構成を示す概略図である。 (a)は、窒化物化合物半導体種結晶の両面の+c面上及び−c面上に保護膜をそれぞれ形成した状態を示す概略断面図であり、(b)は、(a)の状態から表面の+c面上の保護膜を除去した状態を示す概略断面図であり、(c)は、(b)の裏面の−c面上に形成された保護膜を有する窒化物化合物半導体種結晶を成膜装置に基板として配置した場合の断面構造を示す概略断面図である。 窒化物化合物半導体種結晶上に厚い窒化物化合物半導体結晶を成長させた断面構造を示す断面図である。
第1の態様に係る窒化物化合物半導体基板の製造方法は、第1温度で、+c面と−c面とを有する窒化物化合物半導体の単結晶基板を生成する第1工程と、
第2温度で、前記単結晶基板の両面の+c面と−c面とに前記単結晶基板よりも線膨張係数の大きい保護膜を形成する第2工程と、
第3温度で、前記+c面から前記保護膜を除去する第3工程と、
第4温度で、前記+c面上に更に前記窒化物化合物半導体を成長させる第4工程と、
を含み、
前記第1温度は、前記第4温度よりも低く、
前記第2温度は、前記第1温度、前記第3温度、前記第4温度のいずれよりも高いことを特徴とする。
第2の態様に係る窒化物化合物半導体基板の製造方法は、上記第1の態様において、前記第1温度は、700℃〜1000℃であってもよい。
上記構成によれば、第1温度をこのように設定することで成長速度は遅いが、転位密度が低い高品質な窒化物半導体種結晶を得ることができる。
第3の態様に係る窒化物化合物半導体基板の製造方法は、上記第1の態様において、前記第4温度は、1000℃〜1600℃であってもよい。
上記構成によれば、第4温度をこのように設定することで第1工程により形成された高品質な窒化物半導体種結晶上に、上記種結晶から引き継がれた高品質な窒化物半導体結晶を高成長速度で得ることができる。
第4の態様に係る窒化物化合物半導体基板の製造方法は、上記第1から第3のいずれかの態様において、前記第1工程は、液相法で実施してもよい。
第5の態様に係る窒化物化合物半導体基板の製造方法は、上記第1から第4のいずれかの態様において、前記第4工程は、気相法で実施してもよい。
第6の態様に係る窒化物化合物半導体基板の製造方法は、上記第1から第5のいずれかの態様において、前記第2工程は、前記保護膜を、前記+c面と前記−c面とをつなぐ側面も覆うように形成してもよい。
第7の態様に係る窒化物化合物半導体基板の製造方法は、上記第1から第6のいずれかの態様において、前記保護膜は、前記単結晶基板を前記第2温度の酸化雰囲気に暴露することにより形成された酸化膜であってもよい。
第8の態様に係る窒化物化合物半導体基板の製造方法は、上記第1から第6のいずれかの態様において、前記保護膜は、前記窒化物化合物半導体よりも線膨張係数の大きな異種膜であり、該異種膜は前記第2温度の不活性ガス雰囲気での蒸着により形成してもよい。
第9の態様に係る窒化物化合物半導体基板の製造方法は、上記第1から第8のいずれかの態様において、前記第1工程において、ノンドープNaフラックス法を用いて前記窒化物化合物半導体の単結晶基板を生成し、
前記第4工程において、HVPE法を用いて前記窒化物化合物半導体を成長させてもよい。
上記構成によれば、第1工程において生成する窒化物化合物半導体の単結晶基板の不純物濃度を、第4工程で成長させる窒化物化合物半導体の不純物濃度よりも低く抑えることができる。これによって、第1工程において生成する窒化物化合物半導体の格子定数よりも第4工程で成長させる窒化物化合物半導体の格子定数を大きくすることができ、エピタキシャル膜中の応力を圧縮応力とすることができる。そこで、結晶品質を大幅に改善できる。
以下、実施の形態に係る窒化物化合物半導体基板の製造方法について、添付図面を参照しながら説明する。なお、図面において実質的に同一の部材については同一の符号を付している。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る裏面保護膜付窒化物化合物半導体基板(3)の断面構造図である。実施の形態1に係る裏面保護膜付窒化物化合物半導体基板(3)は、窒化物化合物半導体種結晶(1)の片面にのみ裏面保護膜(2)を配置して構成される。ここで、窒化物化合物半導体は、GaN、AlN、InN、及びこれらの化合物間の固溶体で構成される構造体を意味する。
窒化物化合物半導体種結晶(1)としてナトリウムフラックス法といった液相育成法を用いて形成された窒化ガリウムを用いることで、裏面保護膜付窒化物化合物半導体基板(3)上に高品質(低転位)な窒化ガリウム結晶を高速で育成することができる。
窒化物化合物半導体種結晶(1)の−c面の片面にのみ裏面保護膜(2)を配置することで基板の反り状態、及び、結晶格子定数を制御することが可能である。
(i)窒化物化合物がGaNの場合の熱膨張係数は、5.59ppm/℃程度であり、これよりも熱膨張係数が大きな薄膜の保護膜を窒化物化合物半導体種結晶(1)の+c面と−c面との両面に配置し、高温で焼きしめる。なお、ここで+c面と−c面とは、窒化物化合物半導体種結晶(1)の両面(主面)のc面の一方を+c面とし、他方を−c面として区別している。また、c軸に平行な一方向を+方向とし、反対の方向を−方向としている。
(ii)その後、低温で+c面の保護膜を除去することで、−c面から+c面に向かって凸の形状を実現することができる。例えば、熱膨張係数が大きな保護膜としては、Ga、Alを用いればよい。Gaの熱膨張係数は、10ppm/℃であり、Alの熱膨張係数は、7.5ppm/℃である。高温で焼き締めて常温に戻す際にこれら熱膨張係数の大きな裏面保護膜(2)内には引っ張り応力が、窒化物化合物半導体種結晶(1)内には圧縮応力が働くことになる。その結果、a軸、m軸方向のGaNの結晶格子定数を小さく設定することができる。
(iii)常温に戻した後、+c面上の保護膜を除去する。このように、+c面上の保護膜を除去した後に、−c面から+c面に向かって凸状の表面形状を有する裏面保護膜付窒化物化合物半導体基板(3)を実現することができる。
次に、このようにして形成した裏面保護膜付窒化物化合物半導体基板(3)上にホモエピタキシャル結晶成長を実施する。図2は、エピタキシャル結晶成長を実施するための成膜設備の構成を示す概略図である。この場合、通常、図2に示すような構成の成膜設備にてエピタキシャル結晶成長を実施する。例えば、回転するサセプター(5)上に裏面保護膜付窒化物化合物半導体基板(3)を基板(4)として配置する。通常、基板下側に配置されたヒーター(6)により加熱される為に基板裏面が高温となり、基板表面は低温となる。さらに、結晶成長の原材料がV族原料供給ライン(7)、III族供給ライン(8)から、高速で上から吹きつれられる為に、特に、基板(4)表面の冷却は大きく、基板の表面が低温、裏面が高温になり大きな温度分布が発生する。ここで、V族原料供給ライン(7)とは、例えば、GaNであれば窒素(N)の材料となるアンモニア(NH)を供給する配管である。又、III族供給ライン(8)は、GaNであればガリウム(Ga)の材料を供給する配管である。HVPE法であれば、GaClである。必要に応じてキャリアガス、水素等も添加されて材料を基板に送り込むがここでは、その詳細は省略する。チャンバー(10)に設置された排気ライン(9)により原材料は排気され安定した層流が形成される。
このような状況で、そのまま窒化物化合物半導体等からなる基板(4)を乗せると、裏面が表面よりも相対的に大きく膨張した状態で結晶成長が進む為に結晶中に歪を保有した状態で結晶が成長する。特に、表面が凹形状となるので圧縮応力となり転位の発生を免れない。これが顕著になると結晶は欠陥を多く含むことになり、それ故に室温に戻した場合には育成膜には引っ張り応力が発生した状態で、表面が凹状態の不可逆な大きな反りを発生させることになる。このような反りは、基板の面内の温度分布、材料分布を大きく狂わせることとなり、結晶成長に異常を発生させる。最悪の場合、多結晶領域が発生し、成膜としては破綻してしまう。
上で説明したことをより詳細に説明する。結晶成長面が+c面とすれば、+c軸が平行な状態で結晶成長すれば歪フリーな状態で結晶成長が進む。しかし、裏面保護膜付窒化物化合物半導体基板(3)において基板表裏の温度分布等に起因する歪のある状態では、結晶成長領域に近接した領域内での+c軸が平行でなくなり、この状態で結晶成長すれば異常成長が起こる。より具体的には、結晶面の反りで+c面が凹状の場合には結晶成長領域の近接点の+c軸向きが内側に向き転位が発生しやすくなる。逆に、結晶面の反りで+c面が凸状の場合には、結晶成長領域の近接点の+c軸の向きが外側に向きピットが発生しやすい状況になる。成長時の結晶軸の配向性を所定の範囲に収めないと安定した結晶成長を実現することはできないのでこれを制御する必要がある。
このような課題を回避する為に、上記説明した−c面に保護膜を配置した窒化物化合物半導体基板を配置する。室温では、自立基板自体をその保護膜を下にした時に上に凸になるような反りを有しているが、高温になれば熱膨張係数の関係で反りは緩和する。このような構成で反りを調整することで、この自立基板上にホモエピタキシャル成長させる際に裏面を高温にした場合に、より裏面側が高温で膨張率が大きくなる成膜状況でも基板の平坦性を維持し温度分布をなくすことが可能になり膜の均一性を上げることが可能になる。又、保護膜により下地基板のa軸、m軸方向の格子定数をこれから気相成長して得られる膜に比べて小さく制御できるので安定した気相成長を実現することが可能となる。
保護膜成膜後の焼き締め温度を窒化物化合物半導体の成膜温度よりも高く設定することにより、窒化ガリウム結晶に圧縮応力を与えることができる。そのしくみを以下に説明する。まず、窒化物化合物半導体結晶(1)の両面を保護膜で覆った状態で高温で焼き締めを実施する。その時、焼き締め温度が高いほど室温での膜中応力は大きくなる。窒化物化合物半導体結晶(1)のc+面の保護膜を除去した状態では大きな反りを発生するが、再び、焼き締め温度に戻せば、応力のバランスからほぼ反り量は0となる。成長温度が焼き締め温度よりも低く設定されれば−c面から+c面に向かって凸の形状に制御することができる。このような応力状況であれば、裏面からのヒーターによる加熱で裏面が表面よりも温度が高いといった温度分布を有していても裏面の方が膨張が大きいので基板は平坦になるのである。具体的な温度帯は、液相法による結晶成長が、700℃〜1000℃であり、気相法による結晶成長が、最高温度で1000℃〜1600℃で育成される。より好ましくは、液相法による結晶成長が、850℃〜900℃であり、気相法による結晶成長は、1150℃〜1200℃で育成される。従って、この場合、上記焼き締め温度は、1300℃〜1350℃程度で行うのがこのましい。
又、窒化ガリウムよりも熱膨張係数の小さな膜を室温にて片面に蒸着するだけでも同じような効果を実現することができる。但し、この場合は、膜の応力制御が材料物性にのみ大きく依存する為に格子定数、反り量をうまく制御することが困難になる。また、より高温での育成となれば、圧縮応力が大き過ぎることになり転位密度の増大に導かれてしまう。この場合の保護膜としては、AlN、SiC、炭素膜等を用いればよい。AlNの熱膨張係数は、4.2ppm/℃であり、SiCの熱膨張係数は、4.2ppm/℃であり、炭素膜の熱膨張係数は、4.8ppm/℃である。
これらの構成を実現する為の保護膜(2)の製造方法を図3に記す。
図3(a)は、窒化物化合物半導体種結晶(13)の両面(主面)の+c面上及び−c面上に保護膜(11、12)をそれぞれ形成した状態を示す概略断面図である。図3(a)に示すように、まず、窒化物化合物半導体種結晶(13)の両面の+c面上及び−c面上に保護膜(11、12)をそれぞれ形成する。+c面上に形成された保護膜(11)、及び、−c面上に形成された保護膜(12)は、窒化物化合物半導体種結晶(13)を熱酸化にて形成される熱酸化膜でそれぞれ構成すればよい。GaNの場合、熱酸化膜はGaとなる。Gaの熱膨張係数は10ppm/℃であり、GaNの場合の熱膨張係数5.59ppm/℃よりも大きい。窒化物半導体材料が、GaNである場合、900℃以上の酸素雰囲気で熱酸化することで良質の熱酸化膜を得ることが可能である。高温で酸素を供給し成膜し室温に戻すことで引っ張り応力となる。但し、熱酸化膜は基板の表面、裏面の両方に形成される為に、+c面上に形成された保護膜(11)、−c面上に形成された保護膜(12)が配置される。この状態では、ほとんど反り量の増減はない。この様子を図3(a)に示す。
図3(b)は、図3(a)の状態から表面の+c面上の保護膜(11)を除去した状態を示す概略断面図である。図3(b)に示すように、次に、表面の+c面上に形成された保護膜(11)を除去する。これにより、図3(b)に示すように、表面の+c面での引っ張り応力が開放され、一方、裏面の−c面上に形成されていた保護膜(12)の引っ張り応力により、室温にて−c面から+c面に向かって凸の反りが発生する。この反り量は、熱酸化膜の厚さ、成膜温度により調整することができる。熱酸化膜の大きさが大きければ反り量は大きく、成膜温度が高ければ高いほど反り量が大きくなる。ここで、表面の酸化膜除去は、裏面がエッチングされないように裏面を保護した上での、ウェットエッチング、ドライエッチング、CMP等による機械的除去のいずれの手段を用いてもよい。
図3(c)は、図3(b)の裏面の−c面上に形成された保護膜(12)を有する窒化物化合物半導体種結晶(13)を成膜装置のサセプター上に基板(4)として配置した場合の断面構造を示す概略断面図である。図3(b)に示す状態の裏面の−c面上に形成された保護膜(12)を有する窒化物化合物半導体種結晶(13)を基板(4)として配置する。これによって、基板(4)の反り量を低減させることができる。裏面を下にして上に凸の状態で成膜設備にて成膜処理を実施することで、図3(c)に示すように基板(4)の温度分布等を改善することができ、より高品質の結晶を得ることが可能となる。
また、この自立基板の構成によれば、窒化物化合物半導体の成膜温度を上げることができ、駆動力向上による結晶成長速度を上げることが可能となる。GaNの場合、HVPE法等で成膜速度を上げる為には1200℃以上の高温での成膜が望ましい。但し、GaN基板の−c面は、化学的に不安定であり1200℃以上の高温雰囲気における原材料の供給されない−c面では分解が促進されて、Gaの析出等の不具合がおこる。これに対して、上記のように−c面をGaNの酸化膜であるGaで覆っておくことでより安定になり上記不具合はおこらなくなる。従って、1200℃程度での成膜も実施できるので成長速度を上げることが可能になる。
また、裏面が化学的に安定化するので成膜前にRCA洗浄における酸性度、アルカリ性度を上げることが可能になるのでより強力に汚染物を除去することが可能になる。
(実施の形態2)
ホモエピタキシャル結晶成長における成長温度を、1200℃を超えるさらに高い温度に設定する場合、実施の形態1にて説明した熱酸化膜では耐えられなくなる。その場合は、異種膜としてより融点の高い膜をスパッタ等の手法にて成膜すればよい。例えば、GaNの場合は、Al、AlN、SiC、サファイア、DLC等の炭素膜等が候補となる。これらをGaN基板の両面に成膜した後、実際の成膜温度以上の高い温度の不活性雰囲気にて熱処理を実施する。その後、表面の異種膜を除去すれば実施の形態1で説明した膜構成とすることが可能である。ここで、両面に成膜することにより高温にした状態での反り発生を抑制することが可能になる。それは、高温の熱処理時に表面・裏面ともに引っ張り応力を発生し中和しているが、片面を開放した時に片側の応力が開放されるからである。このように形成したAlNといった膜を用いれば1500℃といった高温でも成膜が可能となる。
これらの構成の窒化物化合物半導体基板を種基板として用いることで均一で反りを低減した高品質な窒化物化合半導体結晶を1mmを超える厚いインゴットとして短時間で結晶成長することが可能となる。例えば、種基板にNaフラックス法等の液相成長で得られた低転位基板を用いれば、その種基板と同等の転位密度を実現することができる。例えば、サファイア基板上にHVPE法で500μm程度の膜を形成した場合に5×10cm−2程度の転位密度であるのに対して、上記方法を用いれば2×10cm−2程度まで転位を低減することが可能であり、1mmを超えるような膜厚も短時間で得られる。
(実施の形態3)
実施の形態1、実施の形態2で説明した、裏面保護膜付窒化物化合物半導体基板(1)は、−c面側から+c面側に向かって凸形状をしており、窒化物化合物半導体種結晶(13)に保護膜(12)を配置して構成される。この種基板上に第4工程で気相成長により400μmを超える厚い結晶が育成される。図4は、窒化物化合物半導体種結晶(13)上に厚い窒化物化合物半導体結晶(14)を成長させた断面構造を示す断面図である。図4に示すように、窒化物化合物半導体種結晶(13)上に厚い窒化物化合物半導体結晶(14)が配置される。
<本開示のさらなる改良にいたる経緯について>
実施の形態3では、実施の形態1及び2に対して、さらに、窒化物化合物半導体の種基板上に窒化物化合物半導体の厚膜をホモエピタキシャル結晶成長させる際に、後で堆積するエピタキシャル結晶の結晶格子定数が、種結晶基板の結晶格子定数よりも大きくなるように設定することを特徴とする。種結晶基板の格子定数がエピタキシャル結晶の格子定数より大きい場合には、エピタキシャル膜中の応力が引っ張り応力になる。これに対して、本発明者は、上記の場合にはエピタキシャル膜中の応力が圧縮応力になり結晶品質を大幅に改善できることを実験の結果により明らかにし、本開示のさらなる改良に到達した。
具体的には、窒化物化合物半導体の種基板上に別のプロセスで窒化物化合物半導体を形成する場合、新たに形成される結晶中に含まれる不純物が約1桁程度多くなる場合、0.01%の程度で結晶格子定数は大きくなる。このため、エピタキシャル膜中にかかる圧縮応力が調整された状態で結晶成長が進む為に安定して高品質な成膜を実現することができる。従来、窒化物化合物半導体上に別のプロセスで窒化物化合物半導体を形成する場合、このわずかな格子定数の違いにより厚膜の品質が劇的に変化することがわからなかった。そのために高品質な結晶を得ることが困難であった。
本発明者は、窒化物半導体のホモエピタキシャル結晶成長の場合、僅かな格子定数の変化が生み出す応力の違いでクラックが発生する機構を解明し、格子定数を精密に制御することでクラックを抑制した大面積で厚膜の窒化物化合物半導体を得ることができることを見出した。これによって、本発明者は、本開示のさらなる改良に到達したものである。
実施の形態3に係る窒化物半導体基板の製造方法によれば、第1工程で作成した窒化物化合物半導体種結晶(13)のa軸(m軸)の格子定数に比べて、第4工程で成長させる窒化物半導体結晶(14)のa軸(m軸)の格子定数をより大きく制御している。このような構成にすることで、窒化物化合物半導体結晶(14)の膜中応力が圧縮応力となって結晶品質が格段によくなり、低転位で高品質な窒化物化合物半導体の自立基板を実現することが可能になる。また、この窒化物半導体基板の製造方法によれば、大面積で厚膜のクラックフリーな窒化物化合物半導体を得ることができる。
なお、実施の形態1及び2に示すように保護膜(12)を導入することで結晶の格子定数を制御することは可能であるが、それだけでは上記要件を満たす条件としては十分ではない場合がある。
具体的には、SiO濃度が1×1015cm−3以上5×1017cm−3未満であるノンドープNaフラックス法による窒化ガリウムのa軸(m軸)の結晶格子定数は、平均3.1877Åであるのに対して、気相成長法であるHVPE法による窒化ガリウムでシリコン又は酸素からなる不純物の濃度が1×1017cm−17以上5×1019cm−3以下の濃度となるようにドーピングすれば、3.1883Å程度になる。この不純物の条件を加味すれば、より安定した結晶成長を実現することが可能になる。つまり、実施の形態3では、例えば、第1工程ではノンドープNaフラックス法を用いて窒化物化合物半導体種結晶(13)を作成し、第4工程ではHVPE法を用いて窒化物化合物半導体結晶(14)を成長させてもよい。このように異なる製法を用いて窒化物化合物半導体種結晶(13)の膜中の不純物濃度を、窒化物化合物半導体結晶(14)の膜中の不純物濃度よりも低く設定していることも結晶品質を上げるには重要である。
なお、不純物濃度の制御は、上記のように第1工程と第4工程とで異なる製法を用いる場合に限られない。例えば、第1工程と第4工程とで同一の製法を用いて、相対的に第1の工程より第4工程での不純物濃度が高くなるように制御してもよい。
また、ここでは第1工程でa軸(m軸)方向の格子定数を小さく矯正された窒化物半導体種結晶を作成しているが、これに限られず、第4工程でより大きなa軸(m軸)方向の格子定数の窒化物半導体結晶を成長させてもよい。
本開示に係る窒化物化合物半導体の自立基板によれば、高温で窒化物化合物半導体をホモエピタキシャル成長を安定的に、反りの影響を軽減した状態で高速に成膜を実施できるので自立基板の低コスト化を図ることが可能になる。
1 窒化物化合物半導体種結晶
2 保護膜
3 裏面保護膜付窒化物化合物半導体基板
4 基板
5 サセプター
6 ヒーター
7 V族原料供給ライン1
8 III属原料供給ライン2
9 排気ライン
10 チャンバー
11 +c面上に形成された保護膜
12 −c面上に形成された保護膜
13 窒化物化合物半導体種結晶
14 種結晶基板上に追加育成された窒化物化合物半導体結晶

Claims (9)

  1. 第1温度で、+c面と−c面とを有する窒化物化合物半導体の単結晶基板を生成する第1工程と、
    第2温度で、前記単結晶基板の両面の+c面と−c面とに前記単結晶基板よりも線膨張係数の大きい保護膜を形成する第2工程と、
    第3温度で、前記+c面から前記保護膜を除去する第3工程と、
    第4温度で、前記+c面上に更に前記窒化物化合物半導体を成長させる第4工程と、
    を含み、
    前記第1温度は、前記第4温度よりも低く、
    前記第2温度は、前記第1温度、前記第3温度、前記第4温度のいずれよりも高いことを特徴とする窒化物化合物半導体基板の製造方法。
  2. 前記第1温度は、700℃〜1000℃である、請求項1に記載の窒化物化合物半導体基板の製造方法。
  3. 前記第4温度は、1000℃〜1600℃である、請求項1に記載の窒化物化合物半導体基板の製造方法。
  4. 前記第1工程は、液相法で実施される、請求項1から3のいずれか一項に記載の窒化物化合物半導体基板の製造方法。
  5. 前記第4工程は、気相法で実施される、請求項1から4のいずれか一項に記載の窒化物化合物半導体基板の製造方法。
  6. 前記第2工程は、前記保護膜を、前記+c面と前記−c面とをつなぐ側面も覆うように形成することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の窒化物化合物半導体基板の製造方法。
  7. 前記保護膜は、前記単結晶基板を前記第2温度の酸化雰囲気に暴露することにより形成された酸化膜であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の窒化物化合物半導体基板の製造方法。
  8. 前記保護膜は、前記窒化物化合物半導体よりも線膨張係数の大きな異種膜であり、該異種膜は前記第2温度の不活性ガス雰囲気での蒸着により形成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の窒化物化合物半導体基板の製造方法。
  9. 前記第1工程において、SiO濃度が1×1015cm−3以上5×1017cm−3未満のノンドープNaフラックス法を用いて前記窒化物化合物半導体の単結晶基板を生成し、
    前記第4工程において、気相成長法を用いて酸素又はシリコンを不純物としてドーピングすると共に当該不純物の濃度が1×1015cm−17以上5×1019cm−3以下となるように前記窒化物化合物半導体を成長させる、請求項1から8のいずれか一項に記載の窒化物化合物半導体基板の製造方法。
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