JP2017212301A - 発光装置、照明装置、車両用照明装置、および、発光装置の製造方法 - Google Patents

発光装置、照明装置、車両用照明装置、および、発光装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】発光素子とサブマウント基板とを接続するボンディングワイヤーの周囲のみに保護樹脂を配置する構成であって、保護樹脂の表面による光の反射を抑制し、かつ、発光素子にダメージを与えない構造を提供する。
【解決手段】サブマウント基板1と、1以上の発光素子と、サブマウント基板上の回路パターンと発光素子の電極とを接続するボンディングワイヤーと、ボンディングワイヤーを包含するようにボンディングワイヤーの周囲に配置された表面が凸の曲面の保護樹脂とを有する。保護樹脂は、バインダー樹脂と、バインダー樹脂に分散された粒子とを含み、バインダー樹脂および粒子は、前記発光素子が発する光に対して透明である。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体発光装置に係り、特に、車両用灯具の光源として好適な半導体発光装置に係る。
LEDチップ等の発光素子の電極は、サブマウント基板上の回路パターンにワイヤーボンディング等によって接続される。サブマウント基板は、さらに配線基板に搭載され、サブマウント基板上の配線パターンと、配線基板とは、ワイヤーボンディング等によって接続される。
ボンディングワイヤーは、水分等が付着した場合のワイヤー同士の電気的ショートを防止し、かつ、ワイヤーを物理的に保護するために、樹脂等の絶縁材料で保護されることが望ましい。
従来、発光素子の電極とサブマウント基板とを接続するボンディングワイヤーは、発光素子の少なくとも側面と、発光素子の周囲に配置された枠との間を充填する樹脂内に埋め込まれた構造が広く用いられている。
また、サブマウント基板と配線基板とを接続するボンディングワイヤーは、例えば特許文献1に記載されているように、周囲に未硬化の樹脂を滴下して、その表面張力によりワイヤーを内包して盛り上がった形状になるようにし、その形状を保ったまま硬化させて保護樹脂を形成する方法が広く用いられている。そのため、保護樹脂の表面は、球面に近い曲面形状であり、発光素子からの光が、保護樹脂に到達すると、その表面により反射されて、上方に向かって進み、意図しない漏れ光や迷光を生じさせることがある。この問題を解決するために、特許文献1に開示されている技術では、保護樹脂の一部の領域に、発光素子からの光の反射を抑制する構造とすることが開示されている。具体的には、保護樹脂としてカーボンフィラー入り黒樹脂を用いて表面の反射率を低下させる構成や、保護樹脂の一部領域を切削により除去して基板の主平面に対して垂直な形状に加工して、上方への反射を抑制する構成や、保護樹脂の一部領域に複数の穴をあけたり、粗面に加工することにより、表面の反射を抑制することが開示されている。
一方、車両用灯具の光源として、複数の発光素子を2次元に配列したものを用い、この光源の発光パターンを照明したい方向にレンズによって投影する構造の車両用前照灯装置が特許文献2に開示されている。
特開2011−181754号公報 特許第5823211号公報
特許文献2のように、複数の発光素子を2次元に配列した光源の発光パターンを投影する車両用灯具は、発光素子と発光素子との間の非発光領域が投影光上で暗部となるのを防ぐために、発光素子の間隔をできるだけ狭くすることが望まれる。このような光源において、発光素子とサブマウント基板とを接続するボンディングワイヤーを、2次元に配列した発光素子の外周部にまとめて配置することは可能である。しかし、これらワイヤーを保護するために、2次元配列された発光素子の外周領域を、上述したように樹脂で充填し、充填樹脂内にボンディングワイヤーを埋め込む構成を採用しようとすると、近接して配列された発光素子間にも樹脂が毛細管現象等により入り込む。発光素子間に入り込んだ樹脂は、発光素子を点灯すると膨張し、発光素子の間隔を押し広げてしまうという問題が生じる。
そのため、車両用灯具の発光素子とサブマウント基板とを接続するボンディングワイヤーの保護に、特許文献1に記載のサブマウント基板と回路基板とを接続するボンディングワイヤーの保護に用いられる技術を採用することが考えられる。その場合、ボンディングワイヤーの周囲のみに、表面張力を利用して、表面が曲面の保護樹脂を形成する。そして、保護樹脂による発光素子から光の反射を抑制するために、カーボンフィラー入り黒樹脂を保護樹脂として用いたり、表面を加工したりする必要がある。しかしながら、カーボンフィラー入り黒樹脂を保護樹脂として用いた場合、発光素子からの光を吸収するため、車両用灯具のように光量の大きな光源では、保護樹脂が劣化する。また、保護樹脂の表面反射を抑制するために、表面を加工する場合、特許文献1に開示されているようにレーザー加工を用いると、ボンディングワイヤーが発光素子に極めて近接して配置されているため、レーザー光が発光素子へダメージを与える。
本発明の目的は、発光素子とサブマウント基板とを接続するボンディングワイヤーの周囲のみに保護樹脂を配置する構成であって、保護樹脂の表面による光の反射を抑制し、かつ、発光素子にダメージを与えない構造を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために、サブマウント基板と、サブマウント基板に搭載された1以上の発光素子と、サブマウント基板上の回路パターンと発光素子の電極とを接続するボンディングワイヤーと、ボンディングワイヤーを包含するようにボンディングワイヤーの周囲に配置された表面が凸の曲面の保護樹脂とを有する。保護樹脂は、バインダー樹脂と、バインダー樹脂に分散された粒子とを含み、バインダー樹脂および粒子は、発光素子が発する光に対して透明である。
本発明によれば、発光素子とサブマウント基板とを接続するボンディングワイヤーの周囲のみに保護樹脂を配置する構成であって、保護樹脂の表面による光の反射を抑制し、かつ、発光素子にダメージを与えない構造が提供される。
第1実施形態の発光装置の(a)断面図、(b)上面図。 (a)〜(d)図1の発光装置の製造工程を示す説明図。 図1の発光装置を回路基板に搭載した照明装置の断面図。 第2実施形態の発光装置の(a)断面図、(b)上面図。 第3実施形態の発光装置の(a)断面図、(b)上面図。
本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。
<第1実施形態>
第一実施形態の発光装置は、図1に示すように、サブマウント基板1と、サブマウント基板1に搭載された1以上の発光素子2と、ボンディングワイヤー3と、ボンディングワイヤー3の保護樹脂6とを備えている。ボンディングワイヤー3は、サブマウント基板1上の回路パターン5と発光素子2の電極4とを接続する。保護樹脂6は、ボンディングワイヤー3を包含するようにボンディングワイヤー3の周囲に配置されている。保護樹脂6の表面は、凸の曲面である。
保護樹脂6は、バインダー樹脂と、バインダー樹脂に分散された粒子とを含み、バインダー樹脂および粒子は、発光素子2が発する光に対して透明である。
このように、保護樹脂6のバインダー樹脂および粒子は、発光素子2の発する光に対して透明であるため、表面が凸の曲面であっても、発光素子2の発する光を透過することができる。よって、発光素子2の発する光が保護樹脂6の表面により上方に反射されるのを抑制できるため、漏れ光や迷光を抑制できる。
また、保護樹脂6として、バインダー樹脂に粒子が分散されたものを用いることができる。この場合、粒径を設計することで、チクソトロピー性を生じさせることが可能になる。よって、未硬化の保護樹脂6の流動性を制御することが可能になり、ボンディングワイヤー3の周囲の領域のみに未硬化の保護樹脂6をとどまらせることができる。また、複数の発光素子2が図1のように小さな間隙7で並べられている場合であっても、間隙7に未硬化の保護樹脂6が、毛細管現象等によって侵入するのを防ぐことができる。そのため、発光素子2を点灯して温度が上昇した場合であっても、間隙7内には樹脂はないため、間隙7が膨張した樹脂で押し広げられる恐れがなく、発光装置の精度を高めることができるとともに、耐久性を高めることができる。
保護樹脂6の粒子の粒径は、未硬化の状態の保護樹脂6にチクソトロピー性を生じさせる粒径に設定されていることが望ましい。具体的には、バインダー樹脂および粒子の材質を考慮し、所望のチクソトロピー性を生じさせるように、計算または実験によって粒径を定められていることが望ましい。
また、バインダー樹脂と粒子は、屈折率が同等もしくは、屈折率差が、所定値以下(例えば、0.3以下、より好ましくは0.1以下)であることが望ましい。バインダー樹脂と粒子の屈折率差を小さくすることにより、保護樹脂6内に進入した光は、バインダー樹脂および粒子の境界で反射や屈折されず、直進することができる。よって、保護樹脂6による漏れ光や迷光をさらに低減できる。
図1(a),(b)の発光装置についてさらに説明する。発光素子2の構造としては、例えば、素子基板21と、素子基板上に搭載された半導体発光層22とを有するものを用いる。素子基板21は、一方向に長く、一つの素子基板21に搭載された半導体発光層22は、複数であって、素子基板21の長辺方向に沿って列状に配置されている。サブマウント基板1上には、複数の発光素子2が搭載されている。複数の発光素子2は、素子基板21の長辺が所定の間隙7をあけて平行に並び、かつ、複数の素子基板21の短辺が直線に沿って並ぶように配列されている。
このような発光装置では、ボンディングワイヤー3は、素子基板22の短辺に沿った縁部に配置された電極4と、サブマウント基板1上の回路パターン5を接続するように発光素子2ごとに複数本配置されている。保護樹脂6は、サブマウント基板1上の複数の素子基板21の一方の短辺のボンディングワイヤー3を一括して覆っている。
このように、発光装置2において、複数の半導体発光層22が列状に配列されていることにより、複数の半導体発光層22を個別に点灯させる構成に回路パターンを設計することができる。このような、半導体発光層22が列状に配置された発光素子2を、図1(a)、(b)のように、複数個配置することにより、2次元(マトリクス状)に半導体発光層22が配列された発光装置を提供できる。これにより、電極4へ給電するサブマウント1の回路パターン5および電流を供給する駆動回路を適切に設定することにより、2次元に配列された半導体発光層22を個別に点消灯することが可能になる。図1(a),(b)の構成では、ボンディングワイヤー3を素子基板21の短辺に集めて配置しているため、発光素子2の間隙7を狭くすることができ、非発光領域を狭くすることができる。
また、ボンディングワイヤー3を短辺に集めることにより、保護樹脂6により、複数の素子基板21のボンディングワイヤー3を一括して覆うことができ、1本ずつ覆う場合よりも保護樹脂6を形成する工程を簡略化することができる。また、本実施形態では、未硬化の保護樹脂6にチクソトロピー性を生じさせることにより、流動性を制御できるため、図1(b)のように、高い密度で配置されたボンディングワイヤー3の間隙にも未硬化の保護樹脂6を侵入させることができ、複数のボンディングワイヤー3を一括して覆った場合でも、各ボンディングワイヤー3の周囲をそれぞれ保護樹脂6で覆うことができる。しかも、発光素子2同士の間隙7には、保護樹脂6を侵入させないように制御できる。
なお、素子基板21上に配置された複数の半導体発光層22を、一層の蛍光体層で覆うことも可能である。半導体発光層22が発した光の一部を蛍光体層8が蛍光に変換することにより、波長変換された光を蛍光体層8の上面から発することができる。
このとき、蛍光体層8の端部と、保護樹脂6とは、接していてもよいし、両者の間に間隙が設けられていてもよい。接している場合、蛍光体層8を伝搬した光が、保護樹脂6内に入射する。両者の間に間隙が設けられている場合には蛍光体層8を伝搬した光が、保護樹脂6内に入射する光量を低減することができる。
ここで、図1(a)、(b)の発光装置の製造方法について、図2(a)〜(d)を用いて説明する。
サブマウント基板2上に、1以上の発光素子2を搭載する(図2(a))。つぎに、サブマウント基板1上の回路パターン5と発光素子2の電極4とをボンディングワイヤーで接続する(図2(b))。そして、必要に応じて、蛍光体層8を発光素子2の上に配置する(図2(c))。
つぎに、ボンディングワイヤー3を包含するように、ボンディングワイヤー3の周囲に未硬化の保護樹脂6を滴下した後、硬化させて、表面が凸の曲面の保護樹脂6を形成する(図2(d))。このとき、未硬化の保護樹脂6として、バインダー樹脂に粒子が分散された、チクソトロピー性を有するものを用いることが望ましい。チクソトロピー性を持たせることにより、滴下時の未硬化の保護樹脂6の流動性を制御することができ、保護樹脂6が周囲に流れ出すことを抑制し、ボンディングワイヤー3の周囲にとどまらせることができる。これにより、発光素子2が複数個サブマウント基板1上に配列して搭載されている場合でも、発光素子2の間隙に未硬化の保護樹脂6が侵入するのを防止できる。
なお、バインダー樹脂および粒子は、発光素子2が発する光に対して透明なものを用いる。これにより、発光素子2を点灯させた場合に保護樹脂6に到達する光があった場合でも、保護樹脂6を透過させることができるため、保護樹脂6の表面における反射光を低減でき、反射光が漏れ光や迷光等になるのを抑制できる。
上述してきたように、本実施形態では、図1(a),(b)のように発光素子2を配列することにより、半導体発光層22が縦横に配列された発光装置でありながら、発光素子2とサブマウント1とを接続するボンディングワイヤー3を発光素子2の光に対して透明な保護樹脂6で保護し、かつ、保護樹脂6による光の反射を防止して迷光等を抑制できる。また、未硬化の状態で保護樹脂6にチクソトロピー性を生じさせることが可能であるため、発光素子2の間隙7に保護樹脂6を侵入させないようにできる。
なお、本実施形態の発光装置は、一般照明や車両用照明装置等に好適に使用することができる。例えば、図3のように、サブマウント基板1を、発光素子1の駆動回路等が搭載された回路基板9に搭載する。サブマウント基板1の回路パターン12と回路基板9の回路パターン11とは、ボンディングワイヤー10によって接続する。このとき、ボンディングワイヤー10は、ボンディングワイヤー3と同様の透明な保護樹脂13で被覆してもよいし、黒色のフィラーが分散された樹脂で保護樹脂13を形成することも可能である。また、保護樹脂13の表面の一部を除去して光の反射方向を除去したり、樹脂の表面に穴を設けたり粗面にすることにより、光の反射を防止してもよい。保護樹脂13は、保護樹脂6と比較して、発光素子2から離れた位置にあるため、上記のような構造を採用することができる。
<第2実施形態>
第2実施形態の発光装置を図4(a),(b)を用いて説明する。第2の実施形態の発光装置は、図4(a)のように、ボンディングワイヤー3の最上部のサブマウント基板1からの高さが、発光素子2の表面のサブマウント基板1からの高さよりも大きい。よって、保護樹脂6の最上部は、発光素子2の表面よりも高く盛り上げられている。それ以外の構造は、図4(a),(b)から明らかなように第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
保護樹脂6は、第1実施形態と同様の構成であるため、未硬化の保護樹脂6にチクソトロピー性を持たせることが可能であり、チクソトロピー性により流動性を制御することで図4(a)のように、発光素子2の表面よりも高く盛り上げることができる。よって、ボンディングワイヤー3の湾曲形状を、耐久性や設計上で必要とされる所望の形状にすることができる。
<第3実施形態>
第3実施形態の発光装置を図5(a)、(b)を用いて説明する。本実施形態の保護樹脂6は、半導体発光層22に最も近い縁部領域6aの粒子の含有率が、縁部領域6aよりも半導体発光層22から離れた領域6bの粒子の含有率よりも大きい。他の構成は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
このように、保護樹脂6を縁部領域6aと領域6bとに分け、縁部領域6aの粒子の含有率を領域6bよりも高くすることにより、チクソトロピー性の高い縁部領域6aの保護樹脂6を、ディスペンス等によりまず形成し、その後領域6bの保護樹脂6を滴下することができる。これにより、縁部領域6aを高いチクソトロピー性を利用して、比較的容易に所望の位置に形成できる。よって、縁部領域6aと蛍光体層8との間に、微細な空隙14を形成できる。領域6bの保護樹脂6は、チクソトロピー性が縁部領域6aよりも低い材料であっても、縁部領域6aを超えて、蛍光体層8側に広がることはできない。よって、領域6bの保護樹脂6の設計の自由度が高まる。
<実施例1>
第1実施形態の発光装置の実施例について図1等を用いて説明する。
発光素子2としては、素子基板21上に薄膜状の半導体発光層22が複数形成されたLED(以下LED2と称す)を用いる。サブマウント基板1は、AlN製のものを用いる。LED2は、AlNサブマウント基板1上に複数実装されており、それらの半導体発光層22は、各々を独立点灯できるように、LED2の内部配線(図示せず)が設計されている。給電のためのボンディングワイヤー3が、半導体発光層22の数に対して1対(2本)配置され、LED2の電極4とサブマウント基板1の回路パターン5とを接続している。
実施例1の発光装置の製造工程を図2を用いて説明する。AlNサブマウント基板1上に接合材(例えば半田ペースト、半田めっき)を用いてLED2を実装する(図2(a))。LED2上の給電電極4とAlNサブマウント基板1の回路パターン5の所定箇所とを、Auワイヤー3によってボンディングして接続する(図2(b))。この時、1stボンディング位置を、AlNサブマウント基板1の回路パターン5側、2ndボンディング位置をLED2上部の電極4にすることで、ワイヤー3のループ高さを低くすることができ、後の工程で示すワイヤー3全体を覆う保護樹脂6の高さと量を抑えることができる。これにより、信頼性の高い構造にすることができる。
次に、半導体発光層22を覆うように蛍光体層を形成する(図2(c))。形成方法は、例えば、シリコーン樹脂と蛍光体を混ぜたものをディスペンスする方法や、ステンシル印刷する方法の他に、半硬化の蛍光体含有樹脂シートを加熱溶着する方法等を採用することができ、これらの中から適宜選択した方法を用いる。例えば、本実施例では、半硬化の蛍光体含有樹脂シートを複数の半導体発光層22のエリアに貼り合せて加熱溶着し、硬化させることで蛍光体層8を形成することができる。蛍光体が均一に分散された蛍光体含有樹脂シートは、蛍光体濃度と厚みを制御することで、色ばらつきが少ない蛍光体層8を形成できる。半硬化の蛍光体含有樹脂シートは、複数の半導体発光層22の全面に対して1枚搭載することも可能であるし、半導体発光層22ごとに個別に搭載することも可能である。複数の半導体発光層22の全体を1枚の半硬化の蛍光体含有樹脂シートで覆う場合、半導体発光層22同士が近接している場合には特に有効である。複数の半導体発光層22の間で高さのばらつきがある場合は、個別にシートを搭載する方法が有効である。
最後に、光透過性で未硬化のチクソトロピー樹脂を用いてワイヤー3全体を覆うように封止し、保護樹脂6を形成する(図2(d))。チクソトロピー樹脂は、例えば、シリコーン樹脂にナノシリカを分散したものを用いることができる。ナノシリカが樹脂内部で三次元に分散することで流動性を制御することができ(チクソトロピー性)を樹脂に持たせることができる。これにより、ワイヤー3の周囲に樹脂を滴下した際に、樹脂が流れて、ワイヤー3を包含する形状が維持できなくなることを防止できる。
本実施例では、チクソトロピー樹脂として、透明シリコーン樹脂に、シリカのナノ粒子(トクヤマ製レオロシールDM−30S)を濃度5(wt%)混合したものを用いる。これを、ディスペンス装置にてワイヤー3全体を覆うように塗布し、図1のような形状の未硬化の樹脂を形成した後、硬化させ、保護樹脂6を形成した。なお、シリコーン樹脂とシリカの屈折率差は小さいため、ナノシリカを分散させたシリコーン樹脂は、光透過性(透明性)が保たれる。
保護樹脂6の高さは、ワイヤー3の最上部が覆われ、かつ、蛍光体層8の上面と同等以下が好ましい。これにより、半導体発光層22を発光光が、保護樹脂6の表面に干渉しない高さとなる。
以上により、実施例1の発光装置を製造できる。
なお、本実施例では、蛍光体層8の側面と、保護樹脂6が接触している構成を示したが、これに限定されるわけではない。例えば、LED2上の給電電極4の位置を半導体発光層22から更に離して配置することで、蛍光体層8の側面と保護樹脂6との間に、間隙を設けることができる。これにより、半導体発光層22の発光時に、蛍光体層8の側面の光が保護樹脂6に入射するのを抑制することができる。
<比較例>
保護樹脂6を、カーボンを混ぜた黒色樹脂、酸化チタンを混ぜた白色樹脂でそれぞれ形成し、他の構成は実施例1と同様にして、発光装置を製造した。その結果、黒色樹脂で保護樹脂6を形成した場合、光吸収による発熱と劣化が激しく、信頼性に問題があった。一方、白色樹脂で保護樹脂6を形成した場合、酸化チタンの光触媒作用によって樹脂の分解が発生し、液状のオイルブリードが蛍光体層上面に染み出す、との問題があった。よって、比較例の有色樹脂は、保護樹脂6としては、は好ましくないとの結論に至った。
<実施例2>
第2実施形態の図4の発光装置の実施例について説明する。
蛍光体層8を半硬化の蛍光体含有樹脂シートを加熱溶着することにより形成する点では、実施例1と同様であるが、実施例1と異なるのは、半硬化の蛍光体含有樹脂シートとして、所定の厚さの剥離可能なベースフィルム41に搭載されているものを用い、加熱溶着後にベースフィルム41をはがさないまま、保護樹脂6を塗布、硬化させる。その後、ベースフィルム41を除去(剥離)する。
これにより、図4(a)のように、蛍光体層8よりも高い位置まで保護樹脂6を盛り上げることができる。よって、蛍光体層8の厚さを薄くする(20μm以下)にすることができ、蛍光体層8の波長変換の効率を高めることができる。
蛍光体層の厚さが薄く、かつ、複数の半導体発光層22を覆うように1枚の薄膜状の蛍光体含有樹脂シートを用いることにより、発光装置の高輝度化、半導体発光層22の個別点灯時のクロストーク(蛍光体層内の光伝搬により、消灯している半導体発光層22の周辺が光っているように見えるにじみ現象)の防止に効果的である。
なお、実施例2は、実施例1に比べて、保護樹脂6の表面の高さが蛍光体層8の表面の高さよりも高い位置に位置しているが、保護樹脂6が光透過性樹脂であるため、保護樹脂6が光を妨げることはなく、光学的な差異は見られない。
一方、実施例2の構造においては、蛍光体層8側面からの光が保護樹脂6に入射するが、側面発光成分は蛍光体層8全体の発光割合の1%以下であり、レンズ系を用いた投射型光学系では光利用角度からは影響のない成分である。よって、光利用効率の点では、蛍光体層8側面からの光が保護樹脂6に入射しても問題ない。
また、図4(a),(b)の構造を、車両用照明装置の光源として用いる場合、保護樹脂6内を導光した光の反射成分が、光源から発生られた光を投影するレンズ光学系に現れるグレア問題が生じるが、LED2上面の給電電極付近の組成を反射率の低い材料にすることで反射成分を抑制することができる。具体的には、素子基板としてSi基板を用い、給電電極をAuパターン、それ以外の領域を酸化膜で保護することで可視光反射率を抑えることができる。
<実施例3>
図5を用いて、第3実施形態の発光装置の実施例を説明する。
実施例1との違いは、保護樹脂6として、粒子の濃度が高いものと低いものの2種類を用意し、濃度が高いもので縁部領域6aを形成した後、濃度が低いもので他の領域6bを形成する。これ以外の構成は、実施例1と同様であるので説明を省略する。
粒子濃度が高いチクソトロピー樹脂によって、LED上の給電電極部4付近に領域6aを予め形成し、その後、流動性のある粒子濃度が低いチクソトロピー樹脂を滴下する。これにより、保護樹脂6が蛍光体層側に流れるのを防止できる。
粒子濃度が高いチクソトロピー樹脂としては、例えば実施例1にて示したナノシリカ濃度を10(wt%)にしたものを用いて、LED2上の給電電極部4付近に塗布し、縁部領域6aを形成する。粒子の濃度が高いため、粒子濃度が低い(5(wt%))のチクソトロピー樹脂を安定して、縁部領域6aの外側に塗布し、保護樹脂6を形成することができる。
なお、粒子濃度が高いチクソトロピー樹脂と粒子濃度が低いチクソトロピー樹脂は、両者のベースとなる樹脂は同一種類であることが好ましい。また、粒子濃度が高いチクソトロピー樹脂で形成した縁部領域6aは、未硬化または半硬化状態が好ましく、粒子濃度が低い光透過性チクソトロピー樹脂を、縁部領域6aの外側に塗布し、形成後に同時に加熱硬化する。これにより、縁部領域6aと、その外側領域6bが化学結合して一体化するので、熱衝撃等が加わっても界面剥離などの問題が起こらない。
本実施形態および各実施例の車両用前照灯(アダプティブドライビングビーム:ADB)や、一般照明や、屋外特殊照明に用いるのに好適である。
1・・・サブマウント基板、2・・・発光素子、3・・・ボンディングワイヤー、4・・・電極、5・・・回路パターン、6・・・保護樹脂、8・・・蛍光体層、21・・・素子基板、22・・・半導体発光層

Claims (13)

  1. サブマウント基板と、前記サブマウント基板に搭載された1以上の発光素子と、前記サブマウント基板上の回路パターンと前記発光素子の電極とを接続するボンディングワイヤーと、前記ボンディングワイヤーを包含するように前記ボンディングワイヤーの周囲に配置された保護樹脂とを有し、
    前記保護樹脂は、バインダー樹脂と、前記バインダー樹脂に分散された粒子とを含み、前記バインダー樹脂および前記粒子は、前記発光素子が発する光に対して透明であることを特徴とする発光装置。
  2. 請求項1に記載の発光装置であって、前記粒子の粒径は、未硬化の状態の前記保護樹脂にチクソトロピー性を生じさせる粒径に設定されていることを特徴とする発光装置。
  3. 請求項1に記載の発光装置であって、前記バインダー樹脂と前記粒子は、屈折率差が0.3以下であることを特徴とする発光装置。
  4. 請求項1に記載の発光装置であって、前記ボンディングワイヤーの最上部の前記サブマウント基板からの高さは、前記発光素子の表面の前記サブマウント基板からの高さよりも大きく、
    前記保護樹脂の最上部は、前記発光素子の表面よりも高く盛り上げられていることを特徴とする発光装置。
  5. 請求項1に記載の発光装置であって、前記発光素子は、素子基板と前記素子基板上に搭載された半導体発光層とを有し、
    前記保護樹脂は、前記半導体発光層に最も近い縁部領域の前記粒子の含有率が、前記縁部領域よりも前記半導体発光層から離れた領域の前記粒子の含有率よりも大きいことを特徴とする発光装置。
  6. 請求項1に記載の発光装置であって、前記発光素子は、素子基板と前記素子基板上に搭載された半導体発光層とを有し、前記素子基板は、一方向に長く、一つの前記素子基板に搭載された前記半導体発光層は、複数であって、前記素子基板の長辺方向に沿って列状に配置され、
    前記サブマウント基板上には、複数の前記発光素子が搭載され、前記複数の発光素子は、前記素子基板の長辺が所定の間隙をあけて平行に並び、かつ、複数の前記素子基板の短辺が直線に沿って並ぶように配列され、
    前記ボンディングワイヤーは、前記素子基板の短辺に沿った縁部に配置された電極と、前記サブマウント基板上の回路パターンを接続するように前記発光素子ごとに複数本配置されていることを特徴とする発光装置。
  7. 請求項6に記載の発光装置であって、
    前記保護樹脂は、前記サブマウント基板上の複数の前記素子基板の一方の短辺の前記ボンディングワイヤーを一括して覆っていることを特徴とする発光装置。
  8. 請求項6に記載の発光装置であって、
    前記保護樹脂は、配列された複数の前記素子基板の長辺の間の間隙には、配置されていないことを特徴とする発光装置。
  9. 請求項6に記載の発光装置であって、前記素子基板上に配置された複数の前記半導体発光層は、一層の蛍光体層で覆われていることを特徴とする発光装置。
  10. 請求項9に記載の発光装置であって、前記蛍光体層の端部と、前記保護樹脂との間には、間隙が設けられていることを特徴とする発光装置。
  11. 請求項1ないし10の何れか1項に記載の発光装置を光源として用いる照明装置。
  12. 請求項1ないし10の何れか1項に記載の発光装置を光源として用いる車両用照明装置。
  13. サブマウント基板上に、1以上の発光素子を搭載した後、前記サブマウント基板上の回路パターンと前記発光素子の電極とをボンディングワイヤーで接続し、
    前記ボンディングワイヤーを包含するように、前記ボンディングワイヤーの周囲に未硬化の保護樹脂を滴下した後、硬化させ、
    未硬化の前記保護樹脂として、バインダー樹脂に粒子が分散された、チクソトロピー性を有するものを用い、前記バインダー樹脂および前記粒子は、前記発光素子が発する光に対して透明であることを特徴とする発光装置の製造方法。
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