JP2017212089A - 端子付き電線 - Google Patents

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Abstract

【課題】オープンバレル型の端子の移行部において露出する芯線の防食性を従来よりも向上する。【解決手段】導電性の線材3が絶縁性の被覆材4で被覆され、先端側において所定長さの線材3が被覆材4から露出した被覆電線2と、線材3を圧着する導体圧着部11と、被覆材4を圧着する被覆圧着部12と、導体圧着部11と被覆圧着部12との間で被覆材4の一部および線材3の一部をそれぞれ外部に露出するように形成された移行部15とを有する端子5と、移行部15において露出した線材3を覆うように形成された防食材40r,40sとを備え、線材3は複数の素線3aからなり、防食材40r,40sは、移行部15において外部に露出した外周側の素線3agと、外周側の素線3agよりも内周側に存在する内周側の素線3aiとの間の領域の少なくとも一部および外周側の素線3agを覆うように形成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、端子付き電線に関し、特に、オープンバレル型の端子付き電線に関する。
従来、端子付き電線は、被覆電線を圧着する圧着端子の形態に応じて、クローズドバレル型およびオープンバレル型に大きく分けられる。
クローズドバレル型の端子付き電線は、円筒状に形成された圧着部を有し、導電性の線材(以下、これを「芯線」または「素線」ともいう。)を剥き出しにした被覆電線の先端部をその圧着部に挿入した後、圧着部を縮径方向に塑性変形して圧着している。
一方、オープンバレル型の端子付き電線は、上方が開放された横断面U字状の圧着端子を有し、線材を絶縁性の被覆材から剥き出しにした線材の先端部を圧着端子に挿入した後、圧着端子の圧着片を互いに近づけるように内側に折り曲げて、被覆電線の線材および被覆材をそれぞれ圧着している。
特に、オープンバレル型の端子付き電線の圧着端子は、その一般的な構成として、被覆電線の被覆材から剥き出された線材を圧着片により圧着する部位であるワイヤバレル部と、被覆材を圧着片により圧着する部位であるインシュレーションバレル部と、ワイヤバレル部とインシュレーションバレル部との間に移行部として設けられたトランジション部とを有している。トランジション部は、ワイヤバレル部およびインシュレーションバレル部を形成するために圧着端子の材料である板材を打ち抜いた際に設けられる圧着端子の一部である。
オープンバレル型の端子付き電線の圧着端子を用いた一例として、圧着端子付電線が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この圧着端子付電線は、ワイヤバレル部とインシュレーションバレル部との間に設けられたトランジション部に露出する複数の素線からなる芯線の部分を第1絶縁樹脂により封止した後、当該第1絶縁樹脂よりも粘度の高い第2絶縁樹脂を第1絶縁樹脂の上から滴下して硬化させたものである。
この特許文献1で開示された圧着端子付電線においては、粘度が500mPa・s以上の樹脂を第1絶縁樹脂として用いている。その理由は、粘度が500mPa・s以下の低粘度の樹脂を用いた場合、樹脂の一部が相手側端子接続部まで流れてしまい、相手側端子との接続不良を起こしたり、被覆材の剥ぎ取り際の樹脂の厚みが薄くなり防食性が低下するからである。
特開2011−238500号公報
しかしながら、特許文献1の圧着端子付電線においては、トランジション部に露出する複数の素線の束のうち、外側に存在する素線については樹脂で覆うことができるが、第1絶縁樹脂の粘度が500mPa・s以上であり濡れ性が十分ではないので、外側の素線に囲まれた内側に存在する素線についてまで樹脂で覆うことができなかった。このため、特許文献1の圧着端子付電線は、防食性が十分ではなかった。
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、オープンバレル型の端子における導体圧着部と被覆圧着部との間に設けられた移行部において露出する導電性の線材に対する防食性を従来よりも向上した端子付き電線を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、導電性の線材(3)が絶縁性の被覆材(4)で被覆され、先端側において所定長さの前記線材(3)が前記被覆材(4)から露出した被覆電線(2)と、前記線材(3)を圧着する導体圧着部(11)と、前記被覆材(4)を圧着する被覆圧着部(12)と、前記導体圧着部(11)と前記被覆圧着部(12)との間で前記被覆材(4)の一部および前記線材(3)の一部をそれぞれ外部に露出するように形成された移行部(15)とを有する端子と、前記移行部(15)において露出した前記線材(3)を覆うように形成された防食材(40r、40s)とを備え、前記線材(3)は複数の素線(3a)からなり、前記防食材(40r、40s)は、前記移行部(15)において外部に露出した外周側の素線(3ag)と、当該外周側の素線(3ag)よりも内周側に存在する内周側の素線(3ai)との間の領域の少なくとも一部および前記外周側の素線(3ag)の外側を覆うように形成されていることを特徴とする。
本発明において、前記防食材(40r、40s)は、前記内周側の素線(3ai)のうち、前記外周側の素線(3ag)が露出した外部の空間と空間的な繋がりを有する部分を覆うように形成されていることを特徴とする。
本発明において、前記防食材(40r、40s)は、前記外周側の素線(3ag)が露出した外部の空間と空間的な繋がりを有する前記複数の素線(3a)の隙間に浸透した状態で形成されていることを特徴とする。
本発明において前記防食材(40r、40s)は、前記被覆材(4)の剥離端面(4a)を上方から覆い、前記被覆材(4)の表面からの高さが0.01mm以上となるように形成されていることを特徴とする。
本発明において、前記防食材(40r、40s)は、前記被覆材(4)の表面からの高さが前記被覆圧着部(12)の表面よりも低いことを特徴とする。
本発明において、前記防食材(40r、40s)の表面は、JIS K 5600-5-4:1999により規定された引っかき硬度(鉛筆法)の試験方法に基づく鉛筆硬度6Bよりも硬いことを特徴とする。
本発明において、前記防食材(40r、40s)の表面は、pH10の水酸化ナトリウム溶液に24時間浸漬後において前期鉛筆硬度6Bよりも硬いことを特徴とする。
本発明において、前記防食材(40r、40s)は、光硬化樹脂からなることを特徴とする。
本発明において、前記防食材(40r、40s)は、外気温20℃における粘度が500[mPa・s]以下であることを特徴とする。
本発明において、前記被覆材(4)の先端側から後端側に向かって、前記複数の素線(3a)間に浸透している前記防食材(40r、40s)の距離を表す浸透距離(L)が1mm以上であることを特徴とする。
本発明の端子付き電線によれば、オープンバレル型の端子における導体圧着部と被覆圧着部との間に設けられた移行部において露出する芯線に対する防食性を従来よりも向上することができる。
実施の形態に係る端子付き電線の全体構成を示す外観斜視図である。 実施の形態においてトランジション部の芯線に対する樹脂の封止構造を示す縦断面図である。 実施の形態において内部の芯線に対する樹脂の浸透状態を示す縦断面図及び当該縦断面図のA−A‘断面に対応した横断面図である。 実施の形態における内部の芯線に対して樹脂の浸透しない部分が存在する状態を示す縦断面図及び当該縦断面図のA−A‘断面に対応した横断面図である。 実施の形態における被覆剥ぎ取り際を覆う防食材(樹脂)の被覆厚を示す縦断面図及び当該縦断面図のA−A‘断面に対応した横断面図である。 実施の形態における被覆剥ぎ取り際を覆う防食材(樹脂)の他の構成を示す縦断面図である。 実施の形態における防食材(樹脂)の被覆厚に応じた防食試験の試験結果を示す図表(T1)である。 実施の形態における防食材の硬さを鉛筆硬度により測定する鉛筆硬度試験方法の説明に供する図である。 実施の形態における鉛筆硬度試験の防食材種別に応じた試験結果を表す図表(T2)である。 実施の形態に対応した実施例と比較例の試験結果を表す図表(T3)である。
以下、本発明における実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態はあくまでも例示であり、本発明の範囲において、種々の形態をとり得る。
<端子付き電線の構成>
図1は、第1の実施の形態に係る端子付き電線1を示す概略斜視図である。図1(A)は、被覆電線2と端子5とを圧着接続する前の分解斜視図であり、図1(B)は、被覆電線2と端子5とを圧着接続した後の基端側からみた全体斜視図である。
なお、図1中、被覆電線2の軸線CLに沿った延在方向を「X方向」と定義する。また、端子5の被覆電線2に対する圧着側を「矢印X1側(後端側)」、非圧着側を「矢印X2側(先端側)」と定義する。
端子付き電線1は、被覆電線2と端子5とを備えている。被覆電線2は、複数本の素線3aが束ねられた導電性の線材(以下、これを「芯線」ともいう。)3と、この芯線3を被覆する絶縁性の被覆材4とを有している。
芯線3は、素線3aを複数本撚り合わせた撚り線である。素線3aは、例えば、アルミニウムあるいはアルミニウム合金からなる金属材料により形成されている。
被覆材4は、芯線3を外部から被覆する絶縁性物質により形成されている。被覆材4は、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)、架橋ポリエチレンを含む絶縁樹脂からなる。なお、被覆材4は、芯線3を外部から被覆する絶縁性物質であれば材料の種類は問わない。
また、被覆材4における矢印X2側の先端部は、軸線CLと直交する平面に沿った剥離端面4aをなしている。被覆電線2は、剥離端面4aから矢印X2側に向かって芯線3だけが露出した露出部2aと、その露出部2aを除いた残りの部位である被覆部2bとを備えている。この剥離端面4aは、露出部2aと被覆部2bとの境界面であり、当該被覆材4の先端側が軸線CLと直交する平面に沿って切断し剥離された結果生じる端面である。
端子5は、オープンバレル型のメス型圧着端子であり、芯線3および被覆材4を圧着する圧着部10および接続部13を備える。なお、端子5は、メス型圧着端子に限るものではなく、オス型圧着端子であってもよい。また、端子5は、圧着部10と接続部13との間に両者を機械的および電気的に接続する移行部(トランジション部)14を備える。すなわち端子5は、圧着部10、接続部13、および、トランジション部14が一体化された構成を有している。なお、端子5は、表面が錫メッキ(Snメッキ)された黄銅等の銅合金条で構成されている。
接続部13は、中空四角柱状からなり、図示しない雄型圧着端子が備える挿入タブと接触し、その挿入タブの挿入を受容する弾性接触片13aを備えている。
圧着部10は、導体圧着部11(ワイヤバレル部)および被覆圧着部12(インシュレーションバレル部)を備えている。また、圧着部10は、導体圧着部11および被覆圧着部12の間に、両者を機械的および電気的に接続している所定の長さの移行部(トランジション部)15を備えている。なお、上述したトランジション部14と、当該トランジション部15とを区別するために、以降、トランジション部14を前方トランジション部14と呼び、トランジション部15を後方トランジション部15と呼ぶ。
導体圧着部11は、被覆電線2の露出部2a(芯線3の露出部分)を圧着する部位である。導体圧着部11は、X方向とは直交する横断面において略U字状に上方が開口された形状の圧着片11aおよび11bを備えている。この圧着片11aおよび11bは、被覆電線2の露出部2aに対する圧着時、互いに向き合うように内側に折り曲げられるように形成されている。かくして、圧着片11aおよび11bにより被覆電線2の露出部2a(芯線3)が導体圧着部11において端子5に圧着される(図1(B))。
被覆圧着部12は、被覆電線2の被覆部2bを圧着する部位である。被覆圧着部12は、X方向とは直交する横断面において略U字状に上方が開口された形状の圧着片12aおよび12bを備えている。この圧着片12aおよび12bは、被覆電線2の被覆部2bに対する圧着時、互いに向き合うように内側に折り曲げられるように形成されている。かくして、圧着片12aおよび12bにより被覆電線2の被覆部2bが被覆圧着部12において端子5に圧着される(図1(B))。
導体圧着部11による被覆電線2の露出部2a(芯線3)に対する圧着後においては、当該導体圧着部11の矢印X2側(先端側)に先端面11fが形成され、矢印X1側(後端側)に後端面11rが形成される。
先端面11fは、導体圧着部11の矢印X2側(先端側)の端部(以下、これを「先端部」ともいう。)においてX方向とは直交する平面に沿った端面である。後端面11rは、導体圧着部11の矢印X1側(後端側)の端部(以下、これを「後端部」ともいう。)において、X方向とは直交する平面にほぼ沿った端面である。ただし、後端面11rは、被覆電線2の露出部2aに対する導体圧着部11の圧着力により、全体的に矢印X2側へ僅かに傾斜されている。ちなみに、導体圧着部11の後端面11rを含む後端部は、所謂「ベルマウス」と呼ばれる部分である。
後方トランジション部15(図1(a))は、導体圧着部11の後端面11rと、被覆圧着部12の先端面12fとの間において上方が開口された部位である。後方トランジション部15は、導体圧着部11の圧着片11a、11bおよび被覆圧着部12の圧着片12a、12bよりも低い凹状の段部からなる。この後方トランジション部15は、軸線CLに沿って互いに平行配置された側壁部の端縁15aおよび15bを有し、この端縁15a、15bが当該後方トランジション部15の段部を形成している。
導体圧着部11による被覆電線2の芯線3の圧着後には、前方トランジション部14において前方電線開口部14sが形成される。前方電線開口部14sは、導体圧着部11の先端面11f、接続部13の後端面13r、および、前方トランジション部14の端縁14a、14bにより囲まれた部分である。
図2に示すように、前方電線開口部14sでは、導体圧着部11の先端面11fから被覆電線2における複数の芯線3(露出部2a)の先端面3mが露出している。
この前方電線開口部14sにおいては、被覆電線2の芯線3(露出部2a)の先端面3mおよび導体圧着部11の圧着片11a、11bが防食材としての樹脂40fにより覆われた状態で形成されている。この樹脂40fの存在により、芯線3に対して外部からの電解液等の侵入が防止されている。ここで、樹脂40fとしては、例えば、シリコン系、アクリル系、ウレタン系、ポリアミド系、エポキシ系、フッ素系、ポリビニルブチラール系、フェノール系、ポリイミド系、アクリルゴム系等のいずれかの光硬化性を有する樹脂材料を主成分として用いることができる。
また、被覆圧着部12による被覆電線2の被覆部2bの圧着後には、後方トランジション部15において後方電線開口部15sが形成される。後方電線開口部15sは、導体圧着部11の後端面11r、被覆圧着部12の先端面12f、および、当該後方トランジション部15の端縁15a、15bにより囲まれた部分である。すなわち、後方電線開口部15sは、被覆材4の剥離端面4aを境にして芯線3(露出部2a)の一部および被覆部2bの一部(先端部)をそれぞれ露出するように形成された開口部分である。
後方電線開口部15sにおいては、導体圧着部11の後端面11rと被覆電線2の被覆部2bの剥離端面4aとの間から部分的に露出している芯線3(露出部2a)を防食材としての樹脂40rおよび樹脂40sで封止している。ここで、樹脂40rは、樹脂40sよりも先に芯線3を覆うように形成され、その後、樹脂40rを上から覆うように樹脂40sが形成されている。
樹脂40rは、後方電線開口部15sにおける導体圧着部11の後端面11rと被覆部2bの剥離端面4aとの間で、当該後方電線開口部15sにおいて露出している芯線3の一部を外側から覆うように形成されている。
この樹脂40rは、樹脂40fと同様の光硬化性を有する樹脂材料を主成分として構成することができる。但し、樹脂40rは、樹脂40fよりも硬化前の粘度が低く、その粘度は外気温20℃において500mPa・s以下である。実際上、樹脂40rの粘度としては、濡れ性に対応した浸透距離Lに基づいて100mPa・s程度が好ましい。ただし、これに限るものではなく、樹脂40fの特性と、樹脂40rの特性とが同じであってもよい。
なお、前方電線開口部14sに封止される樹脂40fと後方電線開口部15sに封止される樹脂40sとは同一特性を有するが、樹脂40f、40sと樹脂40rとは異なる特性を有している。ただし、これに限るものではなく、樹脂40f、40sの特性と、樹脂40rの特性とが同じであってもよい。
このように樹脂40rは、粘度100mPa・s程度であり、引用文献1で用いられている樹脂の粘度(500mPa・s以上)よりも低く濡れ性に優れている。このため、樹脂40rは、図3(A)および(B)に示すように、芯線3における複数の素線3a間の隙間へ毛細管現象により入り込み、被覆部2bの先端側の剥離端面4aから矢印X1側(後端側)へ浸透距離Lだけ素線3aの内部へ浸透した状態で形成されている。この浸透距離Lは、樹脂40rが素線3a間を矢印X1側(後端側)へ浸透していく距離である。
ここで、浸透距離Lは、毛細管の理論式(ルーカスウォッシュバーンの式)にしたがって定義することができる。この理論式によれば、樹脂40rの粘度ηを低くすれば、浸透距離Lは長くなり、粘度ηを高くすれば浸透距離Lは短くなることが一般に理解されている。
ところで、図4(A)および(B)に示すように、芯線3における複数の素線3aにおいては、後方電線開口部15sにおいて露出している外周側の複数(この場合8本)の素線(以下、これを「外周側素線」ともいう。)3agと、その素線3agの内周側に存在する複数(この場合3本)の素線(以下、これを「内周側素線」ともいう。)3aiとの間の隙間、および、当該内周側素線3ai同士の隙間が存在する。これらの隙間のうち、外周側素線3agの外周側を覆う樹脂40rが存在する空間と空間的な繋がりを有していない密閉された隙間(以下、これを「密閉隙間」と呼ぶ)DSが外周側素線3agの内側に複数存在する場合がある。
このような密閉隙間DSは、樹脂40rが存在する空間と空間的に繋がっていないため、当該密閉空間DSに粘度の低い樹脂40rであっても浸透することがなく、空隙のまま残ることになるが、これでも構わない。それは、この密閉隙間DSは、外部からの電解液等が侵入し得ない空隙だからである。
言い換えると、樹脂40rは、外部に露出した外周側素線3agと、当該外周側素線3agよりも内周側に存在する内周側素線3aiとの間の隙間(領域)に形成され、内周側素線3aiのうち外周側素線3agが露出した樹脂40rが存在する空間(外部の空間)と空間的な繋がりを有する部分を覆うように形成されている。さらに、樹脂40rは、外部の空間と空間的な繋がりを有する部分だけではなく、外周側素線3agが露出した外部の樹脂40rが存在する空間と空間的な繋がりを有する複数の外周側素線3ag、内周側素線3aiの隙間にまで浸透した状態で形成されている。
一方、樹脂40s(図2参照。)は、樹脂40r、被覆部2bの剥離端面4a、および、当該被覆部2bの表面(外周面)を上方から覆い、かつ、当該樹脂40sが圧着片12aの先端面12fまで到達するように形成されている。
また、樹脂40sは、図5に示すように、被覆部2bの表面(外周面)を上方から覆ったときの当該表面(外周面)からの高さ、即ち、被覆部2bの剥離際である剥離端面4aの近傍の厚さ(以下、これを「被覆厚」ともいう。)thが少なくとも0.01mm以上に形成されている。ただし、樹脂40sの高さ(被覆厚th)は、圧着片12aの表面よりも低く形成されている。
ところで、樹脂40sが、圧着片12aの先端面12fまで到達するように形成されているようにした場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば、図6に示すように、樹脂40sは、樹脂40r、被覆部2bの剥離端面4a、および、当該被覆部2bの外周面を上方から覆うものの、当該樹脂40sが圧着片12aの先端面12fまで到達していなくても構わない。
樹脂40sは、樹脂40rを覆うために用いられ、樹脂40fと同様に光硬化性を有する樹脂材料を主成分として構成することができる。この場合、樹脂40sの粘度は、外気温20℃において500mPa・s以下であるが、樹脂40rの粘度γ(100mPa・s)よりも高く、樹脂40sと樹脂40fとは同一粘度である。但し、樹脂40sの粘度と樹脂40fの粘度とは必ずしも同一でなくてもよい。
<樹脂のコーティング手順>
続いて、防食材として用いられる樹脂40f、40r、40sの形成手順について説明する。図2に示したように、後方電線開口部15sにおいて、導体圧着部11の後端面11rと被覆電線2の被覆部2bの剥離端面4aとの間に露出している芯線3(露出部2a)の上方から粘度γ(100mPa・s)の樹脂40rを所定量滴下する。
その後、所定の経過時間t(s)が経過するまで待つ。この間に、外周側素線3agと内周側素線3aiとの間の隙間であって、かつ、樹脂40rの存在する空間と空間的な繋がりを有している素線3a間の隙間に当該樹脂40rが浸透していく。ただし、このとき密閉空間DSに樹脂40rが浸透することはない。経過時間t(s)の経過後、紫外線硬化装置からのUV(Ultra Violet)光を樹脂40rに照射することにより当該樹脂40rを硬化させる。これは、芯線3に対する1回目の防食材コーティングである。ここで、樹脂40rの硬化処理としては、樹脂40rの滴下位置と同じ位置に露光量3000mj/cmのUV光を照射するものとする。
この場合、外周側素線3agにはUV光が直接照射されるが、内周側素線3aiにはUV光が照射されないため、内周側素線3aiに対しては、UV光の透過性を上げて硬化させることが可能である。ただし、これに限るものではなく、内周側素線3aiについては、加熱して熱硬化させてもよい。要は、外周側素線3agを覆っている樹脂40rだけでなく、内周側素線3aiの隙間に浸透している樹脂40rについても確実に硬化させることができれば、内周側素線3aiに対して湿気硬化、または、2液硬化等を併用したハイブリッド硬化方式を採用してもよい。
この段階では、被覆部2bの表面(外周面)を樹脂40rで上方から覆ったときの当該表面からの高さ、即ち、被覆部2bの剥離際である剥離端面4aの近傍の被覆厚thが0.01mm以上に形成されていない。そこで、後方電線開口部15sにおいて形成された樹脂40rの上方から、例えば、樹脂40rとは異なる粘度γ(500mPa・s)以下の樹脂40sを所定量滴下すると同時に紫外線硬化装置からのUV光を照射することにより当該樹脂40sを硬化させる。ここで、樹脂40sの粘度γを樹脂40rとは異なる粘度としたが、樹脂40rの粘度と同じものを用いてもよい。樹脂40sの粘度γや滴下量、UV光の照射タイミング等により、被覆部2bの剥離際である剥離端面4aの近傍の被覆厚thを調整できる。
この結果、被覆部2bの剥離際である剥離端面4aの近傍に形成された樹脂40sの被覆部2bの表面(外周面)からの高さ(被覆厚)thが0.01mm以上に形成されることになる。これは、芯線3に対する2回目の防食材コーティングである。
その後、前方電線開口部14sにおいて、被覆電線2の芯線3(露出部2a)の先端面3mおよび導体圧着部11の圧着片11a、11bの上方から覆うように樹脂40fを滴下すると同時に紫外線硬化装置からのUV光を照射することにより当該樹脂40fを硬化させる。これは、芯線3に対する3回目の防食材コーティングである。ただし、樹脂40fについては、2回目の防食材コーティングである樹脂40sと同時に滴下して硬化させることも可能である。
<作用および効果>
このように、端子付き電線1は、後方電線開口部15sにおいて露出している外周側素線3agだけでなく、その内部の内周側素線3aiの周囲についても樹脂40rにより覆われた状態でコーティングされることになるので、従来に比して防食性を格段に向上させることができる。
これにより、例えば、樹脂40r、40sにピンホールが形成され、そのピンホール40から電解水等が浸入するような場合、外周側素線3agに電食が生じても、内周側素線3aiについてまで電食が生じることを防止し、電線としての機能を保障することができる。
また、端子付き電線1は、濡れ広がりに優れた粘度γ(100mPa・s)の樹脂40rにより内部の内周側素線3aiの周囲にまで容易に浸透させながら、当該樹脂40rの上から粘度500mPa・s以下の樹脂40sにより0.01mm以上の被覆厚thで被覆部2bの表面を覆うことができる。
これにより、端子付き電線1は、当該樹脂40sおよび当該樹脂40rによる2重コーティング構造であるため、防食材(樹脂40sおよび樹脂40r)の破れにより防食性が低下するリスクを大幅に軽減することができる。ただし、樹脂40sの被覆厚thは、圧着片12aの表面よりも低く形成されているので、コネクタハウジングに端子を挿入する際に干渉することがなく、樹脂40sが被覆圧着部12から上方にはみ出て他の部材と引っ掛かることによる当該樹脂40sの剥がれについても未然に防止することができる。
なお、樹脂40sは、樹脂40rおよび被覆部2bの表面を覆うとともに、圧着片12aの先端面12fまで到達するように形成されている。この場合、樹脂40sとPVC等からなる被覆部2bとだけの接合よりも、樹脂40sと黄銅等の銅合金条からなる端子5の圧着片12aとの接合の方が強固となるため、樹脂40sが圧着片12aの先端面12fまで到達しない構造(図6参照。)よりも、樹脂40sが樹脂40rおよび被覆部2bの表面から剥がれる危険性を低減することができる。
<防食試験>
このような構成の端子付き電線1において、例えば芯線3の断面積を0.75sqとした電線サイズのものを用いて、樹脂40sの被覆厚thに応じた防食試験(この場合、塩水噴霧試験および湿熱試験)を行った後の試験結果を図7の表T1に示す。
塩水噴霧試験では、端子付き電線1を端子挿入先となるキャビティ(図示せず)に挿入し、被覆電線2側を天井、端子5側を地面に向くように配置し、当該キャビティが中空に浮くように試験装置にセットした状態で塩水噴霧試験を行った。塩水噴霧試験の条件は、5質量%の塩水を35℃に調整し、その塩水を霧状にして96時間連続して噴霧する場合を一例とした。
耐湿試験では、塩水噴霧試験後の試料(端子付き電線1)を耐湿試験槽にセットして耐湿試験を行った。耐湿試験の条件は、湿熱80±5℃、相対湿度90〜95%の耐湿試験槽内に、落下する水滴が付着しないように試料を吊るした状態で96時間連続して放置した場合を一例とする。
その後、いわゆる四端子法を用いて、端子付き電線1において芯線3が取り付けられていない端子5の接続部13と、被覆圧着部12よりも矢印X1側(後端側)において被覆材4を剥いで露出した芯線3の部分との間の電気抵抗を測定した。この四端子法による電気抵抗の測定は、防食試験(塩水噴霧試験および湿熱試験)の前にも予め実行しておき、防食試験前の電気抵抗の抵抗値と、防食試験後の電気抵抗の測定値との変化を評価した。
この場合、電気抵抗の抵抗変動値が3.0mΩ以下の場合に「合格(〇)」と評価し、抵抗値変動が3.0mΩを越えている場合に「不合格(×)」と評価する。ここで、合格とは、防食性を維持していることであり、不合格とは、防食性が損なわれていることである。その結果、樹脂40sの被覆厚thが0.01mm以上であれば、防食試験(塩水噴霧試験および湿熱試験)において端子付き電線1の防食性が損なわれることはないことが分かった。
<鉛筆硬度試験>
また、端子付き電線1において、JIS K 5600-5-4:1999(塗料一般試験方法:引っかき硬度(鉛筆法))で規定される鉛筆硬度試験方法に基づいて防食材(樹脂40s)の種別に応じた表面の硬度を測定する場合の鉛筆硬度試験装置50の構成を図8に示すとともに、その試験結果を図9の表T2に示す。
鉛筆硬度試験装置50は、車輪52を有する本体部51と、当該本体部51に取り付けられる鉛筆53とを備えている。本体部51は、鉛筆53を所定の角度を維持するように保持し、車輪52を介して所定の速度で走行する走行体である。鉛筆53は、芯部53sを有し、端子付き電線1の樹脂40sのコーティング面(表面)に押し当てられた状態で本体部51が走行した際、当該樹脂40sのコーティング面に傷(損傷)を付けるために用いられる。
樹脂40sのコーティング表面に損傷が存在しない芯部53sの鉛筆硬度(6B(柔らかい)、5B、4B、……、4H、5H、6H(硬い))に応じた鉛筆硬度結果を表T2に示し、当該表T2には、そのときの外傷評価および防食試験評価ついても示す。この場合、例えば、芯部53sが5Hであっても損傷が存在しない場合は「5H」と表現し、芯部53sが鉛筆硬度6Bで損傷が存在する場合は「6B×」と表している。
鉛筆硬度試験を行った樹脂40sに対する外傷評価としては、樹脂40sをコーティングした直後の初期状態で以下の操作を行ったときの樹脂40sの外傷を目視確認した結果に基づいて行う。具体的には、端子付き電線1をコネクタハウジングに3回繰り返し挿抜したときに、防食材(樹脂40s)のコーティング表面に損傷が発生するか否かを評価する。なお、確認は、マイクロスコープによる目視確認による。その結果は、外傷が存在しない場合には「○」とし、外傷が存在する場合には「×」とする。
さらに、鉛筆硬度試験を行った樹脂40sに対する防食試験評価としては、防食材(樹脂40s)のコーティング後の端子付き電線1に対して、上述したような防食試験(塩水噴霧試験および湿熱試験)を行った後の「合格(〇)」、または、「不合格(×)」を評価する。
鉛筆硬度試験装置50においては、端子付き電線1に対してそのままの初期状態で鉛筆硬度試験を実施した場合と、pH10の水酸化ナトリウム溶液に端子付き電線1を24時間浸漬した後の状態(以下、これを「溶液浸漬後状態」ともいう。)で鉛筆硬度試験を実施した場合とに分けて、防食材である樹脂40sの種別毎の試験結果を検出した。
その結果、溶剤型接着樹脂である種別Aの樹脂40s(アセック株式会社:AS-9339)が端子付き電線1に用いられていた場合、芯部53sが鉛筆硬度6Bの鉛筆で鉛筆硬度試験が行われたとき、初期状態および溶液浸漬後状態の何れであっても樹脂40sのコーティング面に損傷が存在することが分かった。また、外傷評価および防食試験評価の何れにおいても、不合格(×)であることが分かった。
また、瞬間接着型である種別Bの樹脂40s(東亜合成株式会社:911P3)が端子付き電線1に用いられていた場合、芯部53sが鉛筆硬度6Bの鉛筆で鉛筆硬度試験が行われたとき、初期状態であれば損傷が存在しないが、溶液浸漬後状態では損傷が存在することが分かった。また、外傷評価においては、合格(○)であるが、防食試験評価においては不合格(×)であることが分かった。
さらに、紫外線硬化樹脂である種別Cの樹脂40s(株式会社スリーボンド:3006D)が端子付き電線1に用いられていた場合、芯部53sが鉛筆硬度3Bの鉛筆で鉛筆硬度試験が行われたとき、初期状態において損傷が存在せず、芯部53sが鉛筆硬度2Bの鉛筆で鉛筆硬度試験が行われたとき、溶液浸漬後状態においても損傷が存在しないことが分かった。また、外傷評価および防食試験評価の双方において合格(○)であることが分かった。
さらに、撥水性樹脂である種別Dの樹脂40s(株式会社ハーベス:デュラサーフDS-3230C)が端子付き電線1に用いられていた場合、芯部53sが鉛筆硬度6Bの鉛筆で鉛筆硬度試験が行われたとき、初期状態において損傷が存在せず、芯部53sが鉛筆硬度3Hの鉛筆で鉛筆硬度試験が行われたとき、溶液浸漬後状態においても損傷が存在しないことが分かった。また、外傷評価および防食試験評価の双方において合格(○)であることが分かった。
最後に、撥水性樹脂である種別Eの樹脂40s(Ultra Tech International , Inc. :Ultra-Ever Dry)が端子付き電線1に用いられていた場合、芯部53sが鉛筆硬度3Bの鉛筆で鉛筆硬度試験が行われたとき、初期状態において損傷が存在せず、芯部53sが鉛筆硬度5Hの鉛筆で鉛筆硬度試験が行われたとき、溶液浸漬後状態においても損傷が存在しないことが分かった。また、外傷評価および防食試験評価の双方において合格(○)であることが分かった。
すなわち、種別C、D、Eの樹脂40sについては、初期状態および溶液浸漬後状態の何れにおいても、鉛筆硬度6Bの鉛筆53により樹脂40sの表面に損傷が発生することはなかった。したがって、種別C、D、Eの樹脂40sを用いた場合、鉛筆硬度6Bを必ず満たすことが分かった。したがって、樹脂40sの硬度の基準として鉛筆硬度6Bよりも硬いものを用いれば、樹脂40rおよび被覆部2bの表面から当該樹脂40sが剥がれる危険性を低減することができる。
<防食材の粘度>
防食材(樹脂40r)の粘度γを外気温20℃において500mPa・s以下とする理由を実施例および比較例にしたがって以下に説明する。具体的には、端子付き電線1における導体圧着部11の後端面11rと被覆電線2の被覆部2bの剥離端面4aとの間に露出している芯線3(露出部2a)の上方1mmの高さ位置から粘度γの樹脂40rを5mgだけ滴下する。ここで、芯線3の断面積は0.75sqとする。そして、1秒経過後にUV光による硬化処理を施した後、1日(24時間)後に被覆部2bの剥離端面4aから素線3aの内部に矢印X1側(後端側)へ浸透した浸透距離Lを測定した。
実施例1乃至3では、サンプル数n(n=10)の場合で、上述した防食試験(塩水噴霧試験および湿熱試験)の試験結果として全数合格(○)、一部不合格(△)、全数不合格(×)として評価した。
実施例1では、樹脂40rが粘度γ(100mPa・S)の場合、全てのサンプルについての浸透距離Lが2mm以上となり、防食試験(塩水噴霧試験および湿熱試験)の結果についても全サンプルにおいて合格(○)となった。ここで、浸透距離Lは少数点以下を四捨五入した結果である。
実施例2では、樹脂40rが粘度γ(200mPa・S)の場合、全てのサンプルについての浸透距離Lが1mm以上となり、防食試験(塩水噴霧試験および湿熱試験)の結果についても全サンプルにおいて合格(○)となった。
実施例3では、樹脂40rが粘度γ(500mPa・S)の場合、全てのサンプルについての浸透距離Lが1mm以上となり、防食試験(塩水噴霧試験および湿熱試験)の結果についても全サンプルにおいて合格(○)となった。
これに対して、比較例1では、粘度γ(700mPa・s)の樹脂40rを滴下したときの浸透距離Lが0mmであり、防食試験の結果はサンプル10個中8個が合格の一部不合格(△)となった。
また、比較例2では、粘度γ(1,100mPa・s)の樹脂40rを滴下したときの浸透距離Lが0mmであり、防食試験の結果はサンプル10個中6個が合格の一部不合格(△)となった。
さらに、比較例3では、粘度γ(10,000mPa・s)の樹脂40rを滴下したときの浸透距離Lが0mmであり、防食試験の結果はサンプル10個中0個が合格の全数不合格(×)となった。
このように実施例1乃至3に比べて比較例1乃至3の防食安定性は大幅に劣ることが分かった。ただし、比較例1乃至3において、樹脂40rの塗布点数の増加、硬化処理までの経過時間を1秒よりも長く設定することにより防食安定性を改善することは可能であると考えられるが、時間を要することになり生産性が低下することになる。したがって、実施例1乃至3のように、樹脂40rの粘度γが500mPa・s以下であれば、樹脂40rが芯線3の内部にまで浸透し、かつ、安定した防食性を実現することができる。
<他の実施の形態>
なお、上述した実施の形態においては、樹脂40rの上に樹脂40sを形成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、樹脂40rの粘度γおよびUV硬化させるまでの経過時間t(s)を考慮し、樹脂40rだけで内周側素線3aiの周囲に樹脂40rを浸透させるとともに、被覆厚thを実現することができれば、樹脂40sを形成しなくてもよい。
また、上述した実施の形態においては、粘度100mPa・sの樹脂40rとは異なる粘度500mPa・s以下の樹脂40sを用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、2回目、3回目に塗布する樹脂40sの粘度は、500mPa・s以上であってもよい。
1 端子付き電線
2 被覆電線
3 線材(芯線)
3a 素線
3ag 外周側素線
3ai 内周側素線
5 端子
4 被覆材
4a 剥離端面
5 端子
10 圧着部
11 導体圧着部
11f 後端面
12 被覆圧着部
12f 先端面
13 接続部
14 前方トランジション部
15 後方トランジション部
40f、40r、40s 樹脂
50 鉛筆硬度試験装置
51 本体部
52 車輪
53 鉛筆

Claims (10)

  1. 導電性の線材が絶縁性の被覆材で被覆され、先端側において所定長さの前記線材が前記被覆材から露出した被覆電線と、
    前記線材を圧着する導体圧着部と、前記被覆材を圧着する被覆圧着部と、前記導体圧着部と前記被覆圧着部との間で前記被覆材の一部および前記線材の一部をそれぞれ外部に露出するように形成された移行部とを有する端子と、
    前記移行部において露出した前記線材を覆うように形成された防食材と
    を備え、
    前記線材は複数の素線からなり、
    前記防食材は、前記移行部において外部に露出した外周側の素線と、当該外周側の素線よりも内周側に存在する内周側の素線との間の領域の少なくとも一部および前記外周側の素線の外側を覆うように形成されている
    ことを特徴とする端子付き電線。
  2. 前記防食材は、前記内周側の素線のうち、前記外周側の素線が露出した外部の空間と空間的な繋がりを有する部分を覆うように形成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の端子付き電線。
  3. 前記防食材は、前記外周側の素線が露出した外部の空間と空間的な繋がりを有する前記複数の素線の隙間に浸透した状態で形成されている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の端子付き電線。
  4. 前記防食材は、前記被覆材の剥離端面を上方から覆い、前記被覆材の表面からの高さが0.01mm以上となるように形成されている
    ことを特徴とする請求項1乃至3何れか一項に記載の端子付き電線。
  5. 前記防食材は、前記被覆材の表面からの高さが前記被覆圧着部の表面よりも低い
    ことを特徴とする請求項4に記載の端子付き電線。
  6. 前記防食材の表面は、JIS K 5600-5-4:1999により規定された引っかき硬度(鉛筆法)の試験方法に基づく鉛筆硬度6Bよりも硬い
    ことを特徴とする請求項1乃至5何れか一項に記載の端子付き電線。
  7. 前記防食材の表面は、pH10の水酸化ナトリウム溶液に24時間浸漬後において前期鉛筆硬度6Bよりも硬い
    ことを特徴とする請求項6に記載の端子付き電線。
  8. 前記防食材は、光硬化樹脂からなる
    ことを特徴とする請求項1乃至7何れか一項に記載の端子付き電線。
  9. 前記防食材は、外気温20℃における粘度が500[mPa・s]以下である
    ことを特徴とする請求項1乃至8何れか一項に記載の端子付き電線。
  10. 前記被覆材の先端側から後端側に向かって、前記複数の素線間に浸透している前記防食材の距離を表す浸透距離が1mm以上であることを特徴とする請求項1乃至9何れか一項に記載の端子付き電線。
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