以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。図面において、同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面において、各部材の大きさや比率は、実施形態の理解を容易にするために誇張し、実際の大きさや比率とは異なる場合がある。
図において、X、Y、およびZによって表す矢印は、方向を示している。Xによって表す矢印は、表示フィルム112における第1の励起光EL11等の伝搬方向を示している。Yによって表す矢印は、Xによって表す方向と直交し、表示フィルム112における第2の励起光EL12等の伝搬方向を示している。Zによって表す矢印は、表示フィルム112の厚み方向を示している。
(第1実施形態)
第1実施形態に係る蛍光発光ディスプレイ100は、隣り合う導光部材(コリメータレンズ)の間隔を狭める構成を具現化させた「第1の形態」である。
図1は、第1実施形態の蛍光発光ディスプレイ100の使用方法の一例を模式的に示す図である。
図1を参照して、蛍光発光ディスプレイ100は、一例として、車両10のフロントガラス11の室内側に貼り付けて使用する。蛍光発光ディスプレイ100は、例えば、車両10の速度等に関する情報を文字によって表示することができる(図1中のG1)。蛍光発光ディスプレイ100は、車両10の現在地から目的地までの道順に関する情報を地図によって表示することができる(図1中のG2)。蛍光発光ディスプレイ100は、車両10の進行方向に存在する歩行者等の情報を人型の図形で表示することができる(図1中のG3)。
図2は、図1の蛍光発光ディスプレイ100の構成を模式的に示す斜視図である。図3Aは、図1の蛍光発光ディスプレイ100の要部を示す斜視図である。図3Bは、図3Aの蛍光発光ディスプレイ100を示す正面図である。図3Cは、図3Aの蛍光発光ディスプレイ100を平面視によって示す側面図である。
図2および図3を参照して、第1実施形態に係る蛍光発光ディスプレイ100(表示装置に相当する)は、概説すれば、表示フィルム112(表示媒体に相当する)と、第1の光源121と、複数の第1のコリメータレンズ123(第1の導光部材に相当する)と、第2の光源131と、複数の第2のコリメータレンズ133(第2の導光部材に相当する)と、制御ユニット140(制御部材に相当する)と、を有する。表示フィルム112は、第1の励起光EL11(赤外光である波長1550nmの光)と第2の励起光EL12(赤外光である波長850nmの光)とを含む複数の励起光によって励起されると複数の励起光よりも波長が短い第1の蛍光RL1(可視光である緑色)を発する蛍光体微粒子111(第1の発光体に相当する)を分散させて保持し、第1の蛍光RL1を表示させる。第1の光源121は、第1の励起光EL11を発する。第1のコリメータレンズ123は、第1の励起光EL11を表示フィルム112の第1端面112c(第1の入射面に相当する)から内部に導光する。第2の光源131は、第2の励起光EL12を発する。第2のコリメータレンズ133は、第1の励起光EL11と交差させるように第2の励起光EL12を表示フィルム112の第2端面112d(第2の入射面に相当する)から内部に導光する。制御ユニット140は、表示フィルム112の特定の位置において第1の励起光EL11と第2の励起光EL12とを交差させるように第1の光源121および第2の光源131を制御する。ここで、少なくとも、第1の励起光EL11の伝搬方向(X方向)に対する平面視(図3C)において、隣り合う第1のコリメータレンズ123の中心間のピッチP1が、第1のコリメータレンズ123におけるピッチP1の方向(D方向)に沿った幅Wよりも短い第1のコリメータレンズ123を含む。以下、第1実施形態に係る蛍光発光ディスプレイ100について詳述する。
蛍光発光ディスプレイ100は、具体的には、可視光である緑色の第1の蛍光RL1によって情報を表示する表示ユニット110、表示ユニット110に赤外光の第1の励起光EL11を供給する第1光源ユニット120、表示ユニット110に赤外光の第2の励起光EL12を供給する第2光源ユニット130、および第1光源ユニット120と第2光源ユニット130を制御する制御ユニット140から構成している。
なお、図2では、表示フィルム112について、X方向およびY方向に対してZ方向を誇張している。すなわち、表示フィルム112は、本来シート状に形作られているが、分厚く誇張して図示している。また、図2では、表示フィルム112について、一例として正方形状として図示しているが、図1に示すように車両10のフロントガラス11の全面に貼り付けて用いる場合には、横長の長方形状として形作ってもよい。
図2を参照して、表示ユニット110は、蛍光体微粒子111を均一かつ密に分散させて保持する表示フィルム112を含んでいる。
表1に、蛍光体微粒子111の光学特性を示す。
蛍光体微粒子111は、それぞれ赤外光である第1の励起光EL11および第2の励起光EL12によって励起されると、可視光である緑色の第1の蛍光RL1を発する微粒子である。蛍光体微粒子111は、第1の励起光EL11または第2の励起光EL12のみでは蛍光を発しない。
蛍光体微粒子111は、例えば、母材のハロゲン化物のフッ化ナトリウムイットリウム(NaYF4)に対して発光材のエルビウム(Er)をドープして構成している。蛍光体微粒子111は、第1の励起光EL11と第2の励起光EL12によって励起されると、Er3+イオンのエネルギー準位からの遷移に伴い、緑色の波長の光に相当する第1の蛍光RL1を発する。
蛍光体微粒子111の大きさは、表示フィルム112を伝搬する第1の励起光EL11および第2の励起光EL12のスポット径よりも十分に小さい。蛍光体微粒子111から発せられる第1の蛍光RL1の波長は、母材にドープする発光材の種類に依存する。
表示フィルム112は、互いに対向した第1表示面112aと第2表示面112bを備えている。第1表示面112aまたは第2表示面112bは、第1の蛍光RL1によって、様々な情報(図1中のG1、G2およびG3)を表示する。
表示フィルム112は、第1表示面112aと第2表示面112bの間の第1端面112c(表示フィルム112の厚み部分)から、第1の励起光EL11を入射させる。表示フィルム112は、第1表示面112aと第2表示面112bの間であって、第1端面112cと隣接する第2端面112d(表示フィルム112の厚み部分)から、第2の励起光EL12を入射させる。表示フィルム112は、第1表示面112aと比較して第1端面112cが十分に小さく、フィルム状に形成している。
表示フィルム112は、可視光(紫色〜赤色)の全域において透明な材質から構成している。したがって、表示フィルム112を車両10のフロントガラス11に貼り付けた状態において、車両10の乗員が表示フィルム112越しに車両10の前方を視認できる。
表示フィルム112中の蛍光体微粒子111から発光される第1の蛍光RL1は、可視光である緑色である。ここで、人の視感度のピークは、明所では約555nmであって、暗所では約507nmである。第1の蛍光RL1は、500nm〜560nmの波長に相当する緑色の光であることから、乗員にとって非常に視認し易い。一方、表示フィルム112を伝搬する第1の励起光EL11および第2の励起光EL12は、赤外光であることから、乗員が視認することがない。
図2及び図3を参照して、第1光源ユニット120は、第1の励起光EL11を発する第1の光源121、第1の励起光EL11を第1のコリメータレンズ123に向かって伝搬する複数の第1の光ファイバ122、対応する各々の第1の光ファイバ122から入射した第1の励起光EL11をコリメートしつつ表示フィルム112に導光する複数の第1のコリメータレンズ123、および第1の光源121と制御ユニット140を中継する電線124を含んでいる。
第1の光源121は、例えば、第1の励起光EL11の波長に相当する光を発するレーザダイオードと、第1の励起光EL11を集光する集光レンズをユニット化して構成している。具体的には、第1の光源121は、例えば、発振波長が1550nmのレーザダイオードをマウントし、窓板が集光レンズからなるCAN(窓を備えた金属筒)パッケージの赤外光源から構成している。
第1の光源121のレーザダイオードには、例えば、光通信用の赤外線レーザダイオードを用いている。光通信用の赤外線レーザは、一般的に、光の発振に対する信頼性が高く、堅牢であって、かつ廉価である。CANパッケージの窓板である集光レンズは、光源から出射した第1の励起光EL11を集光して、第1の光ファイバ122に入射させるものである。
第1の光ファイバ122は、第1の励起光EL11を第1のコリメータレンズ123に向かって伝搬するものである。第1の光ファイバ122には、例えば波長が1550nmに対応した光通信用のシングルモードファイバ(Single Mode optical Fiber:SMF)を用いている。光通信用の光ファイバは、一般的に、光の伝搬に対する信頼性が高く、堅牢であって、かつ廉価である。第1の光ファイバ122には、入射する光の最大受光角を表す開口数(Numerical Aperture:NA)が、例えば0.1以下のものを用いている。
第1のコリメータレンズ123は、対応する第1の光ファイバ122から入射した第1の励起光EL11をコリメートしつつ表示フィルム112に導光するものである。
第1のコリメータレンズ123は、図2および図3に示すように、上下(Z方向)に交互に位置をずらして千鳥状に配置している。第1のコリメータレンズ123は、上下に2列に配置している。第1のコリメータレンズ123は、表示フィルム112の第1端面112cに対向している。隣接する第1のコリメータレンズ123同士は、密接している。
同じ列(1列目または2列目)において隣接する第1のコリメータレンズ123同士は、図3Cに示すように、左右(Y方向=D方向)に沿って隙間無く配置していることから、D方向に沿ったピッチP1と幅Wが等しい。一方、異なる列(1列目と2列目)において隣接する第1のコリメータレンズ123同士は、図3Cに示すように、Y方向(D方向)に沿って互い違いに配置していることから、D方向に沿ったピッチP1が幅Wの半分である。
第1のコリメータレンズ123は、非球面レンズや球面レンズから構成する。第1のコリメータレンズ123は、第1の光ファイバ122から出射される第1の励起光EL11の発散角と波長、および表示フィルム112に導光させる第1の励起光EL11のスポット径等によって、その仕様を決定する。第1のコリメータレンズ123の仕様は、その材質や入射面および出射面の曲率、かつ、第1のコリメータレンズ123の入射面と第1の光ファイバ122との作動距離に関するものである。
第1のコリメータレンズ123は、複数のコリメータレンズを一体に形成した1個のアレイレンズによって構成してもよい。1個のアレイレンズを用いれば、複数のコリメータレンズ同士を精度良く配置する必要もなく、かつ、各々のコリメータレンズを密集させるようにして形成することが容易である。
第1のコリメータレンズ123は、デッドインデックス(Graded index:GI)によって構成してもよい。GIレンズは、光の伝搬方向に沿って円柱形状であって、径方向に沿って屈折率が連続的に変化したレンズである。GIレンズは、入射した発散光をコリメートしつつ出射する。GIレンズは、第1の光ファイバ122の出射部分に接合することによって、第1の光ファイバ122と一体的に構成することができる。
電線124は、第1の光源121に対して制御ユニット140を介して電力を供給するものである。電線124は、第1の光源121の駆動電流および駆動電圧の仕様を満たすものを選択して用いている。
図2を参照して、第2光源ユニット130は、第2の励起光EL12の波長に相当する光を発する第2の光源131、第2の励起光EL12を第1の励起光EL11と交差するように第2のコリメータレンズ133に向かって伝搬する複数の第2の光ファイバ132、対応する各々の第2の光ファイバ132から入射した第2の励起光EL12をコリメートしつつ表示フィルム112に導光する複数の第2のコリメータレンズ133、および第2の光源131と制御ユニット140を中継する電線134を含んでいる。
第2の光源131は、第2の励起光EL12に相当する発振波長が850nmの光通信用の赤外線レーザダイオードを用いていることを除いて、第1の光源121と同様の構成からなる。
第2の光ファイバ132は、第2の励起光EL12を第2のコリメータレンズ133に向かって伝搬するものである。第2の光ファイバ132は、例えば波長が850nmに対応した光通信用のSMFを用いていることを除いて、第1の光ファイバ122と同様の構成からなる。
第2のコリメータレンズ133は、第2の励起光EL12に相当する850nmの波長の励起光に対応していることを除いて、第1のコリメータレンズ123と同様の構成からなる。第2のコリメータレンズ133は、第1のコリメータレンズ123と同様の配列によって配置している。すなわち、同じ列(1列目または2列目)において隣接する第2のコリメータレンズ133同士は、左右(X方向)に沿って隙間無く配置していることから、X方向に沿ったピッチと幅が等しい。一方、異なる列(1列目と2列目)において隣接する第2のコリメータレンズ133同士は、X方向に沿って互い違いに配置していることから、X方向に沿ったピッチが幅の半分である。
電線134は、第2の光源131に対して制御ユニット140を介して電力を供給するものである。電線134は、電線124と同様の構成からなる。
図2を参照して、制御ユニット140は、第1の光源121および第2の光源131を制御する。
制御ユニット140は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)を含んでいる。CPUは、蛍光発光ディスプレイ100に関する制御プログラムを実行する。ROMは、プログラムを格納している。プログラムは、例えば外部の機器から受信した表示に関する情報に基づき、第1の光源121および第2の光源131の発光のタイミングを制御するものである。外部の機器は、例えば、車両10を制御する制御機器、車両10のカーナビゲーションシステムに備えられた無線機器、および車両10に搭載され歩行者等を認識するカメラ機器である。RAMは、CPUによって実行される演算の結果を一時的に記憶する。
図4は、図1の蛍光発光ディスプレイ100の表示方法を模式的に示す正面図である。
図4を参照して、蛍光発光ディスプレイ100は、表示フィルム112の特定の位置において、第1のコリメータレンズ123によって導光された第1の励起光EL11と、第2のコリメータレンズ133によって導光された第2の励起光EL12を交差させる。第1の励起光EL11と第2の励起光EL12が交差した部分に存在する蛍光体微粒子111は、第1の蛍光RL1を発して、所定の情報を表示する。蛍光体微粒子111は、第1の励起光EL11または第2の励起光EL12のみの照射では発光することがなく、第1の励起光EL11および第2の励起光EL12の両方の照射によって発光する。
図4では、一例として、表示フィルム112の1つの画素を第1の蛍光RL1によって表示している。実際には、制御ユニット140は、1列に並んだ第1のコリメータレンズ123と、第1のコリメータレンズ123と交差するようにして1列に並んだ第2のコリメータレンズ133を介して、様々な情報(図1中のG1、G2およびG3)を表示する。すなわち、制御ユニット140は、表示フィルム112において格子状に存在する表示画素のうち、所定の表示画素を同時に発光させることによって、文字や図形等からなる情報を表示する。
以上説明した第1実施形態の作用効果を説明する。
蛍光発光ディスプレイ100は、第1の励起光EL11の伝搬方向(X方向)に対する平面視(図3C)において、隣り合う第1のコリメータレンズ123の中心間のピッチP1が、第1のコリメータレンズ123におけるピッチP1の方向(D方向)に沿った幅Wよりも短い第1のコリメータレンズ123を含む。さらに、第2の励起光EL12の伝搬方向(Y方向)に対する平面視において、隣り合う第2のコリメータレンズ133の中心間のピッチが、第2のコリメータレンズ133におけるピッチの方向に沿った幅よりも短い第2のコリメータレンズ133を含む。
蛍光発光ディスプレイ100の制御方法では、上記の第1のコリメータレンズ123を介して、第1の励起光EL11を表示フィルム112に伝搬させて情報を表示するように制御する。さらに、蛍光発光ディスプレイ100の制御方法では、上記の第2のコリメータレンズ133を介して、第2の励起光EL12を表示フィルム112に伝搬させて情報を表示するように制御する。
かかる蛍光発光ディスプレイ100および蛍光発光ディスプレイ100の制御方法によれば、隣り合うコリメータレンズの間隔を狭めることによって、表示フィルム112の解像度を向上させることができる。
これまでの蛍光発光デバイスは、1つのレーザ光源から出射されたレーザ光を表示媒体に対して面状(X方向およびY方向)に走査しつつ蛍光を発生させて、その蛍光によって情報を表示していた。一方、第1実施形態の蛍光発光ディスプレイ100は、複数の第1のコリメータレンズ123と複数の第2のコリメータレンズ133によって、第1の励起光EL11および第2の励起光EL12を特定の位置において交差させつつ蛍光を発生させて、その蛍光によって情報を表示する。すなわち、これまでの蛍光発光デバイスには、複数組のコリメータレンズによってコリメートした励起光同士を表示媒体において格子状に交差させて、蛍光を発生させるような構成自体が皆無であった。
蛍光発光ディスプレイ100によれば、複数の第1のコリメータレンズ123を、千鳥状に配置している。さらに、複数の第2のコリメータレンズ133を、千鳥状に配置している。
かかる蛍光発光ディスプレイ100によれば、複数の第1のコリメータレンズ123を、配列が簡便な千鳥状に配置することによって、ピッチP1<幅Wの条件を満たす第1のコリメータレンズ123を設けることができる。さらに、複数の第2のコリメータレンズ133を、配列が簡便な千鳥状に配置することによって、ピッチ<幅の条件を満たす第2のコリメータレンズ133を設けることができる。すなわち、蛍光発光ディスプレイ100は、隣り合う一部の第1のコリメータレンズ123同士の間隔を狭めることができる。さらに、蛍光発光ディスプレイ100は、隣り合う一部の第2のコリメータレンズ133同士の間隔を狭めることができる。
蛍光発光ディスプレイ100によれば、第1の導光部材に、コリメータレンズ(第1のコリメータレンズ123)を用いている。さらに、第2の導光部材に、コリメータレンズ(第2のコリメータレンズ133)を用いている。
かかる蛍光発光ディスプレイ100によれば、表示フィルム112を伝搬する第1の励起光EL11のビーム形状が一定になることから、表示フィルム112における表示画素の大きさを、第1の励起光EL11の伝搬方向に沿って一定にすることができる。すなわち、第1の励起光EL11のビーム形状は、第1端面112cに近接した領域と、第1端面112cから離間した領域において、同等になる。したがって、蛍光発光ディスプレイは、表示フィルム112における表示画素の大きさを、表示フィルム112の位置に依存することなく均一にすることができる。第2のコリメータレンズ133においても、上述した第1のコリメータレンズ123と同様の作用効果を奏する。
蛍光発光ディスプレイ100によれば、第1の光源121は、複数備え、第2の光源131は、複数備え、制御ユニット140は、表示フィルム112の特定の位置に対応する特定の第1の光源121および第2の光源131を制御する。
かかる蛍光発光ディスプレイ100によれば、非常に簡便な構成によって、第1の励起光EL11および第2の励起光EL12を表示フィルム112の特定の位置において交差させつつ蛍光を発生させて情報を表示することができる。
蛍光発光ディスプレイ100によれば、一例として、表示フィルム112を車両10のフロントガラス11に貼り付けて用いることができる。
かかる蛍光発光ディスプレイ100によれば、車両10の運転者が、車両10の前方を十分に視認しながら、表示フィルム112に表示される様々な情報(図1中のG1、G2およびG3)を確認することができる。
第1実施形態では、蛍光発光ディスプレイ100を、第1のコリメータレンズ123のピッチの方向(D方向)に沿ってピッチP1<幅Wの条件を満たす第1のコリメータレンズ123を含み、かつ、第2のコリメータレンズ133のピッチの方向に沿ってピッチ<幅の条件を満たす第2のコリメータレンズ133を含む構成として説明したが、このような構成に限定されることはない。D方向に沿ってピッチP1<幅Wの条件を満たす第1のコリメータレンズ123を含む構成とすれば、少なくとも、表示フィルム112のD方向に沿った解像度を向上させることができる。同様に、蛍光発光ディスプレイ100の制御方法において、D方向に沿ってピッチP1<幅Wの条件を満たす第1のコリメータレンズ123を介して第1の励起光EL11を表示フィルム112に伝搬させて情報を表示するように制御する構成とすれば、少なくとも、表示フィルム112のD方向に沿った解像度を向上させることができる。
(第1実施形態の変形例1)
図5は、第1実施形態の変形例1に係る蛍光発光ディスプレイの要部を模式的に示す上面図である。
第1実施形態の変形例1に係る蛍光発光ディスプレイは、表示フィルム112から励起光が漏れ出さないように、表示フィルム112に透明な被覆部材211を貼り付けた点において、上述した第1実施形態に係る蛍光発光ディスプレイ100と相違する。
第1実施形態の変形例1に係る蛍光発光ディスプレイでは、上述した第1実施形態の構成とは異なる表示ユニット210の構成について説明する。
図5を参照して、表示ユニット210において、被覆部材211は、表示フィルム112よりも薄いフィルム状に形成している。被覆部材211は、可視光(紫色〜赤色)の全域において透明な材質から構成している。被覆部材211は、第1の励起光EL11および第2の励起光EL12の波長の光において表示フィルム112よりも屈折率が小さい材質から構成している。被覆部材211は、例えば一対からなり、表示フィルム112の両面に対して密着させるようにして接着している。
表示フィルム112と被覆部材211は、いわゆる光ファイバのコアとクラッド(コアよりも屈折率が小さい)の関係に対応している。すなわち、第1の励起光EL11および第2の励起光EL12は、表示フィルム112の第1表示面112aと被覆部材211との界面、および表示フィルム112の第2表示面112bと被覆部材211との界面で反射しつつ、表示フィルム112の内部を伝搬する。
以上説明した第1実施形態の変形例1の作用効果を説明する。
蛍光発光ディスプレイは、被覆部材211を有する。被覆部材211は、表示フィルム112に当接し、第1の励起光EL11および第2の励起光EL12の波長の光において表示フィルム112よりも屈折率が小さい。
かかる蛍光発光ディスプレイによれば、表示フィルム112の内部を伝搬する第1の励起光EL11および第2の励起光EL12が、表示フィルム112と被覆部材211との界面で反射することによって、表示フィルム112から外部に出射することを防止できる。したがって、蛍光発光ディスプレイは、表示フィルム112において適切に情報を表示させることができる。すなわち、被覆部材211は、表示フィルム112の任意の面に当接させることによって、その面から第1の励起光EL11および第2の励起光EL12が外部に出射してしまうことを防止する部材として用いることができる。
ここで、蛍光発光ディスプレイは、表示フィルム112の片面に被覆部材211を備えている場合、フロントガラス11の側に被覆部材211が対向するようにして、例えばフロントガラス11に貼り付けて用いる。このように構成すれば、表示フィルム112の内部を伝搬する第1の励起光EL11および第2の励起光EL12は、表示フィルム112からフロントガラス11に入射することなく、表示フィルム112と被覆部材211との界面で反射して、表示フィルム112の内部を伝搬し続ける。したがって、蛍光発光ディスプレイは、フロントガラス11に阻害されることなく、表示フィルム112において適切に情報を表示させることができる。
また、蛍光発光ディスプレイが、表示フィルム112の両面に被覆部材211を備えている場合、フロントガラス11の側に加えて、車両10の室内の側にも被覆部材211を対向させて用いることができる。このように構成すれば、表示フィルム112を伝搬する第1の励起光EL11および第2の励起光EL12が、車両10の室内の側に位置する被覆部材211に付着した水滴や油膜に入射することなく、表示フィルム112と被覆部材211との界面で反射して、表示フィルム112の内部を伝搬し続ける。したがって、蛍光発光ディスプレイは、車両10の室内の側から付着した水滴や油膜に阻害されることなく、表示フィルム112において適切に情報を表示させることができる。
(第1実施形態の変形例2)
図6は、第1実施形態の変形例2に係る蛍光発光ディスプレイの要部を模式的に示す斜視図である。
第1実施形態の変形例2に係る蛍光発光ディスプレイは、情報をフルカラー表示する点において、上述した第1実施形態およびその変形例1に係る蛍光発光ディスプレイと相違する。
第1実施形態の変形例2に係る蛍光発光ディスプレイは、情報をフルカラー表示するための構成を具現化させた「一の形態」である。
蛍光発光ディスプレイにおいて、表示フィルム112は、蛍光(緑色)とは波長が異なる他の蛍光(赤色および青色)を発する1つ以上の他の発光体(蛍光体微粒子311および蛍光体微粒子312の2つ)を、さらに分散させて保持している。
この蛍光発光ディスプレイでは、蛍光体微粒子111(緑色の蛍光を発する)と蛍光体微粒子311(赤色の蛍光を発する)および蛍光体微粒子312(青色の蛍光を発する)とによって、赤色、緑色および青色の波長の光の蛍光を発する。
第1実施形態の変形例2に係る蛍光発光ディスプレイについては、上述した第1実施形態およびその変形例1の構成とは異なる表示ユニット310、第1光源ユニット320および第2光源ユニット330の構成について説明する。
図6を参照して、表示ユニット310において、表示フィルム112は、蛍光体微粒子111に加えて、蛍光体微粒子311および蛍光体微粒子312を均一かつ密に分散させて保持している。
表2に、蛍光体微粒子111に加えて蛍光体微粒子311および蛍光体微粒子312の光学特性を示す。
蛍光体微粒子311は、母材のNaYF4に対して発光材のプラセオジウム(Pr)をドープして構成している。蛍光体微粒子311は、第3の励起光EL21(赤外光である波長1014nmの光)と第4の励起光EL22(赤外光である波長840nmの光)によって励起されると、Pr3+イオンのエネルギー準位からの遷移に伴い、可視光である赤色の第2の蛍光RL2を発する。蛍光体微粒子311は、第3の励起光EL21または第4の励起光EL22のみでは蛍光を発しない。
蛍光体微粒子312は、母材のNaYF4に対して発光材のツリウム(Tm)をドープして構成している。蛍光体微粒子312は、第5の励起光EL31(赤外光である波長800nmの光)と第6の励起光EL32(赤外光である波長1120nmの光)によって励起されると、Tm3+イオンのエネルギー準位からの遷移に伴い、可視光である青色の第3の蛍光RL3を発する。蛍光体微粒子312は、第5の励起光EL31または第6の励起光EL32のみでは蛍光を発しない。
図6を参照して、第1光源ユニット320は、上述した第1光源ユニット120の構成に加えて、第3の光源321と第5の光源323等を含んでいる。
第3の光源321は、第3の励起光EL21を発する。第3の光源321は、発振波長に係る光学素子の仕様を除き、第1の光源121と同様の構成からなる。第3の光源321は、第3の励起光EL21を、その波長に適した配光用光ファイバ322に伝搬する。
第5の光源323は、第5の励起光EL31を発する。第5の光源323は、発振波長に係る光学素子の仕様を除き、第1の光源121と同様の構成からなる。第5の光源323は、第5の励起光EL31を、その波長に適した配光用光ファイバ324に伝搬する。
第1の光源121、第3の光源321および第5の光源323の発光のタイミングは、制御ユニット140によって制御する。
合波器325は、例えば、配光用光ファイバ221、配光用光ファイバ322および配光用光ファイバ324の各々の出射部分を加熱して溶融しつつ延伸して構成している。合波器325は、配光用光ファイバ221、配光用光ファイバ322および配光用光ファイバ324から出射された各々の励起光(第1の励起光EL11、第3の励起光EL21および第5の励起光EL31)を合波する。
中継用光ファイバ326は、合波器325によって合波された各々の励起光を配光器327に伝搬する。中継用光ファイバ326は、各々の励起光に対応している。
配光器327は、中継用光ファイバ326から伝搬された各々の励起光を分岐しつつ、複数の第1の光ファイバ328に対して選択的に伝搬する。配光器327は、制御ユニット140の制御に基づき、複数の第1の光ファイバ328に対して独立して第1の励起光EL11、第3の励起光EL21および第5の励起光EL31を伝搬する。
配光器327は、例えば、いわゆるメムス(Micro Electronic Mechanical Systems:MEMS)から構成する。配光器327は、微小なミラーを備え、中継用光ファイバ326から出射された第1の励起光EL11、第3の励起光EL21および第5の励起光EL31を、複数の第1の光ファイバ328に対して選択的に伝搬する。
配光器327は、中継用光ファイバ326から出射した第1の励起光EL11、第3の励起光EL21および第5の励起光EL31を、いわゆる導波路によって複数回にわたって枝分かれさせつつ、複数の第1の光ファイバ328に対して同時に伝搬させるように構成してもよい。この場合、配光器327は、複数の第1の光ファイバ328の各々に対してそれぞれ光学的なシャッタを設けて、第1の励起光EL11、第3の励起光EL21および第5の励起光EL31を選択的に通過させる。シャッタは、例えば、光スイッチとして機能する液晶素子から構成する。
複数の第1の光ファイバ328から出射された第1の励起光EL11、第3の励起光EL21および第5の励起光EL31は、対応する各々の第1のコリメータレンズ123に入射する。
図6を参照して、第2光源ユニット330は、上述した第2光源ユニット130に加えて、第4の光源331と第6の光源333等を含んでいる。
第4の光源331は、第4の励起光EL22を発する。第4の光源331は、発振波長に係る光学素子の仕様を除き、第2の光源131と同様の構成からなる。第4の光源331は、第4の励起光EL22を配光用光ファイバ332に伝搬する。
第6の光源333は、第6の励起光EL32を発する。第6の光源333は、発振波長に係る光学素子の仕様を除き、第2の光源131と同様の構成からなる。第6の光源333は、第6の励起光EL32を配光用光ファイバ334に伝搬する。
第2の光源131、第4の光源331および第6の光源333の発光のタイミングは、制御ユニット140によって制御する。
合波器335は、例えば、配光用光ファイバ231、配光用光ファイバ332および配光用光ファイバ334の各々の出射部分を加熱して溶融しつつ延伸して構成している。合波器335は、配光用光ファイバ231、配光用光ファイバ332および配光用光ファイバ334から出射された各々の励起光(第2の励起光EL12、第4の励起光EL22および第6の励起光EL32)を合波する。
中継用光ファイバ336は、合波器335によって合波された各々の励起光を配光器337に伝搬する。中継用光ファイバ336は、各々の励起光に対応している。
配光器337は、中継用光ファイバ336から伝搬された各々の励起光を分岐しつつ、複数の第2の光ファイバ338に対して選択的に伝搬する。配光器337は、上述した配光器327と同様の仕様であるが、各々の励起光に対応した構成からなる。複数の第2の光ファイバ338は、第2の励起光EL12、第4の励起光EL22および第6の励起光EL32を、それぞれ第2のコリメータレンズ133に向かって伝搬させる。
以上説明した第1実施形態の変形例2の作用効果を説明する。
蛍光発光ディスプレイにおいて、表示フィルム112は、蛍光(緑色)とは波長が異なる他の蛍光(赤色および青色)を発する1つ以上の他の発光体(蛍光体微粒子311および蛍光体微粒子312の2つ)をさらに分散させて保持する。蛍光体微粒子111(緑色の蛍光を発する)と蛍光体微粒子311(赤色の蛍光を発する)および蛍光体微粒子312(青色の蛍光を発する)とによって、赤色、緑色および青色の波長の光の蛍光を発する。
かかる蛍光発光ディスプレイによれば、表示フィルム112に表示させる情報を、赤色、緑色および青色の3色を混色することによって、紫から赤色に至るいわゆるフルカラーによって表すことができる。
蛍光発光ディスプレイによれば、合波器325を有することが好ましい。合波器325は、第1の励起光EL11、第3の励起光EL21および第5の励起光EL31を合波して(中継用光ファイバ326、配光器327および第1の光ファイバ328を介して)第1のコリメータレンズ123に入射する。
かかる蛍光発光ディスプレイによれば、3種類の波長の励起光を独立して伝搬する場合と比較して、3種類の波長の励起光を密に伝搬させることができる。すなわち、赤色、緑色および青色を互いに独立して伝搬する場合と比較して、赤色、緑色および青色の光を合波して伝搬した方が、1画素の大きさを小さくすることができる。したがって、アップコンバージョン蛍光発光ディスプレイは、表示フィルム112の解像度をさらに向上させることができる。
ここで、蛍光発光ディスプレイは、第2の励起光EL12、第4の励起光EL22および第6の励起光EL32を合波して(中継用光ファイバ336、配光器337および第2の光ファイバ338を介して)第2のコリメータレンズ133に入射する合波器335を有している。したがって、蛍光発光ディスプレイは、合波器335においても、上述した合波器325と同様の作用効果を奏する。
(第1実施形態の変形例3)
図7は、第1実施形態の変形例3に係る蛍光発光ディスプレイの要部を模式的に示す斜視図である。
第1実施形態の変形例3に係る蛍光発光ディスプレイは、より少ない蛍光体微粒子と光源の組み合わせによって情報をフルカラー表示する点において、上述した第1実施形態の変形例2に係る蛍光発光ディスプレイと相違する。すなわち、第1実施形態の変形例3では、2種類の蛍光体微粒子と4種類の光源を用いる。上述した第1実施形態の変形例2では、3種類の蛍光体微粒子と6種類の光源を用いていた。
第1実施形態の変形例3に係る蛍光発光ディスプレイは、情報をフルカラー表示するための構成を具現化させた「他の形態」である。
蛍光発光ディスプレイにおいて、表示フィルム112は、蛍光(緑色)とは波長が異なる他の蛍光(青色)を発する1つ以上の他の発光体(蛍光体微粒子312の1つ)をさらに分散させて保持している。
この蛍光発光ディスプレイでは、蛍光体微粒子111(赤色および緑色の蛍光を発する)と蛍光体微粒子312(青色の蛍光を発する)とによって、赤色、緑色および青色の波長の光の蛍光を発する。
第1実施形態の変形例3に係る蛍光発光ディスプレイでは、上述した第1実施形態およびその変形例1と2の構成とは異なる表示ユニット410、第1光源ユニット420および第2光源ユニット430の構成について説明する。
図7を参照して、表示ユニット410において、表示フィルム112は、蛍光体微粒子111に加えて、蛍光体微粒子312を均一かつ密に分散させて保持している。
表3に、蛍光体微粒子111および蛍光体微粒子312の光学特性を示す。
上述した蛍光体微粒子111は、それぞれ第1の励起光EL11(赤外光である波長1550nmの光)と第7の励起光EL42(赤外光である波長1120nmの光)によって励起されると、Er3+イオンのエネルギー準位からの遷移に伴い、可視光である赤色の波長の光に相当する第4の蛍光RL4を発する。蛍光体微粒子111は、第1の励起光EL11または第7の励起光EL42のみでは蛍光を発しない。
上述した蛍光体微粒子312は、第8の励起光EL51(赤外光である波長800nmの光)と第7の励起光EL42によって励起されると、Tm3+イオンのエネルギー準位からの遷移に伴い、可視光である青色の第5の蛍光RL5を発する。蛍光体微粒子312は、第8の励起光EL51または第7の励起光EL42のみでは蛍光を発しない。
図7を参照して、第1光源ユニット420は、上述した第1光源ユニット120の構成に加えて、第8の光源421等を含んでいる。
第8の光源421は、上述した第8の励起光EL51を発する。第8の光源421は、発振波長に係る光学素子の仕様を除き、第1の光源121と同様の構成からなる。第8の光源421は、第8の励起光EL51を、その波長に適した配光用光ファイバ422に伝搬する。
第1の光源121および第8の光源421の発光のタイミングは、制御ユニット140によって制御する。
合波器423は、例えば、配光用光ファイバ221および配光用光ファイバ422の各々の出射部分を加熱して溶融しつつ延伸して構成している。合波器423は、配光用光ファイバ221および配光用光ファイバ422から出射された各々の励起光(第1の励起光EL11および第8の励起光EL51)を合波する。
中継用光ファイバ424は、合波器423によって合波された各々の励起光を配光器425に伝搬する。中継用光ファイバ424は、各々の励起光に対応している。
配光器425は、中継用光ファイバ424から伝搬された各々の励起光を分岐しつつ、複数の第1の光ファイバ426に対して選択的に伝搬する。配光器425は、上述した配光器327と同様の仕様であるが、各々の励起光に対応した構成からなる。複数の第1の光ファイバ426は、第1の励起光EL11および第8の励起光EL51を、それぞれ第1のコリメータレンズ123に向かって伝搬させる。
図7を参照して、第2光源ユニット430は、上述した第2光源ユニット130の構成に加えて、第7の光源431等を含んでいる。
第7の光源431は、上述した第7の励起光EL42を発する。第7の光源431は、発振波長に係る光学素子の仕様を除き、第2の光源131と同様の構成からなる。第7の光源431は、第7の励起光EL42を、その波長に適した配光用光ファイバ432に伝搬する。
第2の光源131および第7の光源431の発光のタイミングは、制御ユニット140によって制御する。
合波器433は、例えば、配光用光ファイバ231および配光用光ファイバ432の各々の出射部分を加熱して溶融しつつ延伸して構成している。合波器433は、配光用光ファイバ231および配光用光ファイバ432から出射された各々の励起光(第2の励起光EL12および第7の励起光EL42)を合波する。
中継用光ファイバ434は、合波器433によって合波された各々の励起光を配光器435に伝搬する。中継用光ファイバ434は、各々の励起光に対応している。
配光器435は、中継用光ファイバ434から伝搬された各々の励起光を分岐しつつ、複数の第2の光ファイバ436に対して選択的に伝搬する。配光器435は、上述した配光器337と同様の仕様であるが、各々の励起光に対応した構成からなる。複数の第2の光ファイバ436は、第2の励起光EL12および第7の励起光EL42を、それぞれ第2のコリメータレンズ133に向かって伝搬させる。
以上説明した第1実施形態の変形例3の作用効果を説明する。
蛍光発光ディスプレイにおいて、表示フィルム112は、蛍光(緑色)とは波長が異なる他の蛍光(青色)を発する1つ以上の他の発光体(蛍光体微粒子312の1つ)をさらに分散させて保持している。蛍光体微粒子111(赤色および緑色の蛍光を発する)と蛍光体微粒子312(青色の蛍光を発する)とによって、赤色、緑色および青色の波長の光の蛍光を発する。
かかる蛍光発光ディスプレイによれば、2種類の蛍光体微粒子と4種類の光源を用いた場合においても、表示フィルム112に表示させる情報を、赤色、緑色および青色の3色を混色することによって、紫から赤色に至るいわゆるフルカラーによって表すことができる。
(第1実施形態の変形例4)
図8Aは、第1実施形態の変形例4に係る蛍光発光ディスプレイの第1のコリメータレンズ511〜513の配置例1を模式的に示す側面図である。図8Bは、第1実施形態の変形例4に係る蛍光発光ディスプレイの第1のコリメータレンズ511〜513の配置例2を模式的に示す側面図である。
第1実施形態の変形例4に係る蛍光発光ディスプレイは、波長が異なる各々の励起光を独立してコリメートしつつ表示フィルム112に導光する点において、上述した第1実施形態の変形例2に係る蛍光発光ディスプレイと相違する。
第1実施形態の変形例4に係る蛍光発光ディスプレイでは、上述した第1実施形態の変形例2の構成とは異なるコリメータレンズ(特に第1のコリメータレンズ511〜513)の構成について説明する。
図8Aおよび図8Bに示す第1のコリメータレンズ511〜513は、互いに密に配置している。これらの構成は、第1の実施形態の変形例2において、合波器325等を使用しない場合に相当する。第1のコリメータレンズ511、512および513は、対応する第1の励起光EL11、第3の励起光EL21および第5の励起光EL31をコリメートする。
表2に示すように、第1の励起光EL11は、波長が1550nmである。第3の励起光EL21は、波長が1014nmである。第5の励起光EL31は、波長が800nmである。第1の励起光EL11、第3の励起光EL21および第5の励起光EL31は、互いに波長が大きく異なる。レンズを構成する硝材は、一般的に、波長に反比例して屈折率が小さくなる。
したがって、例えば、第3の励起光EL21をコリメートするように光学設計をした第1のコリメータレンズ512を他の励起光の伝搬に用いると、第3の励起光EL21よりも波長が長い第1の励起光EL11は発散し、かつ、第3の励起光EL21よりも波長が短い第5の励起光EL31は集光する。
そこで、第1のコリメータレンズ511は、第1の励起光EL11の波長に合わせて光学設計したものを用いることによって、出射する第1の励起光EL11をコリメートする。同様に、第1のコリメータレンズ512は、第3の励起光EL21の波長に合わせて光学設計したものを用いることによって、出射する第3の励起光EL21をコリメートする。第1のコリメータレンズ513は、第5の励起光EL31の波長に合わせて光学設計したものを用いることによって、出射する第5の励起光EL31をコリメートする。第1のコリメータレンズ511〜513は、出射する各々の励起光のスポット径が同一になるように光学設計したものを用いる。
第1のコリメータレンズ511〜513は、一例として、同一の硝材を用い、入射面が平面であって出射面が凸状の非球面の形状から形成する。第1のコリメータレンズ512の出射面の曲率半径に対して、第1のコリメータレンズ511の出射面の曲率半径を小さく形成し、第1のコリメータレンズ513の出射面の曲率半径を大きく形成する。
第1のコリメータレンズ511〜513は、同一の硝材を用い、かつ、レンズ形状を異ならせて形成する構成として説明しているが、異なる硝材から形成してもよい。任意の波長における屈折率は、硝材によって異なる。
ここで、図8Aに示す第1のコリメータレンズ511は、上下(Z方向)に交互に位置をずらして千鳥状に配置している。第1のコリメータレンズ512は、第1のコリメータレンズ511の下方(Z方向)に沿って隣接するようにして、千鳥状に配置している。第1のコリメータレンズ513は、第1のコリメータレンズ512の下方(Z方向)に沿って隣接するようにして、千鳥状に配置している。
一方、図8Bに示す第1のコリメータレンズ511は、左右(Y方向)に沿って一直線上に配置している。第1のコリメータレンズ512は、第1のコリメータレンズ511の下方(Z方向)に沿い、第1のコリメータレンズ511と左右(Y方向)に半ピッチずれた状態で配置している。第1のコリメータレンズ513は、第1のコリメータレンズ512の下方(Z方向)に沿い、第1のコリメータレンズ512と左右に半ピッチずれた状態で配置している。
以上説明した第1実施形態の変形例4の作用効果を説明する。
蛍光発光ディスプレイは、複数の第1のコリメータレンズを、複数種類の第1のコリメータレンズ511〜513を組み合わせて構成し、対応する波長の励起光を独立してコリメートする。さらに、蛍光発光ディスプレイは、複数の第2のコリメータレンズを、複数種類の第2のコリメータレンズを組み合わせて構成し、対応する波長の励起光を独立してコリメートする。
かかる蛍光発光ディスプレイによれば、対応する波長の励起光に合わせた光学仕様からなる第1のコリメータレンズ511〜513によって、励起光の波長に依存することなく、表示フィルム112を伝搬する励起光のビーム形状を一定にすることができる。したがって、蛍光発光ディスプレイは、各々の励起光の波長に依存することなく、表示フィルム112における表示画素の大きさを均一にすることができる。
蛍光発光ディスプレイによれば、特に、表示フィルム112の表示エリアが比較的大きく、励起光が入射する端面に近接した領域と、その端面の対向する反対側の端面に近接した領域との間の距離が比較的長い構成であっても、表示フィルム112における表示画素の大きさを均一にすることができる。
(第1実施形態の変形例5)
図9Aは、第1実施形態の変形例5の蛍光発光ディスプレイの要部を示す斜視図である。図9Bは、図9Aの蛍光発光ディスプレイを第1の励起光EL11の伝搬方向に沿って示す側面図である。
第1実施形態の変形例5に係る蛍光発光ディスプレイは、表示フィルム112と比較して厚みが薄い表示フィルム612に対して励起光を導光させる点において、上述した第1実施形態およびその変形例1〜4に係る蛍光発光ディスプレイと相違する。
第1実施形態の変形例5に係る蛍光発光ディスプレイでは、上述した第1実施形態およびその変形例1〜4の構成とは異なる表示ユニット610および光源ユニット(特に第1光源ユニット620)の構成について説明する。
表示ユニット610において、表示フィルム612は、厚みを除いて、表示フィルム112と同様の構成からなる。表示フィルム612は、表示フィルム112の半分の厚み(Z方向)から形成している。表示フィルム612は、表示フィルム112と同様に、蛍光体微粒子111を均一かつ密に分散させて保持している。
第1光源ユニット620は、シリンドリカルレンズ621を備えていることを除いて、第1光源ユニット120と同様の構成からなる。シリンドリカルレンズ621は、図9Aに示すように、千鳥状に配置した複数の第1のコリメータレンズ123と表示フィルム612との間に配置している。シリンドリカルレンズ621は、図9Bに示すように、凸状の入射面621aが第1のコリメータレンズ123に対向するように、その短手方向を上下(Z方向)に沿わせて位置させている。シリンドリカルレンズ621は、図9Bに示すように、平面状の出射面621bが表示フィルム612の第1端面612cに対向するように、その長手方向をY方向に沿わせて位置させている。
シリンドリカルレンズ621は、第1の励起光EL11を表示フィルム612の厚み方向である上下(Z方向)に対して集光するようにして縮小させる。シリンドリカルレンズ621は、第1の励起光EL11を表示フィルム612の横幅である左右(Y方向)に対して集光しない。
以上説明した第1実施形態の変形例5の作用効果を説明する。
蛍光発光ディスプレイは、シリンドリカルレンズ621を有する。シリンドリカルレンズ621は、第1のコリメータレンズ123と表示フィルム612との間に、第1端面112cに沿って配置している。さらに、蛍光発光ディスプレイは、第2のコリメータレンズ133と表示フィルム612との間に、第2端面112dに沿ってシリンドリカルレンズを配置している。
かかる蛍光発光ディスプレイによれば、シリンドリカルレンズ621によって、励起光の形状が表示フィルム612の厚み方向である上下(Z方向)に沿って縮小することから、励起光を相対的に厚みの薄い表示フィルム612に対して導光させることができる。
なお、第1光源ユニット620のシリンドリカルレンズ621は、励起光を表示フィルム612の横幅である左右(Y方向)に対して縮小しない。同様に、第2光源ユニットのシリンドリカルレンズは、励起光を表示フィルム612の横幅である左右(X方向)に対して縮小しない。したがって、蛍光発光ディスプレイは、励起光を表示フィルム612の厚み方向である上下(Z方向)に沿って縮小しつつ、表示フィルム612上における表示画素を均一に維持できる。
また、蛍光発光ディスプレイは、励起光の形状が表示フィルム612の厚み方向に沿って縮小することから、励起光のエネルギー密度が増加して、表示フィルム612における第1の蛍光RL1の輝度が高くなる。したがって、蛍光発光ディスプレイは、第1の蛍光RL1によって表示する情報の視認性を向上させることができる。
また、蛍光発光ディスプレイは、相対的に薄い表示フィルム612を用いることができることから、表示フィルム612の透過率が向上する。したがって、蛍光発光ディスプレイは、表示フィルム612越しに前方を視認し易くなる。
また、蛍光発光ディスプレイは、相対的に薄い表示フィルム612を用いることができることから、表示フィルム612を湾曲させて使用することが容易になる。したがって、蛍光発光ディスプレイは、汎用性を高めることができる。
(第2実施形態)
図10Aは、第2実施形態の蛍光発光ディスプレイの要部を示す斜視図である。図10Bは、図10Aの蛍光発光ディスプレイを示す正面図である。図10Cは、図10Aの蛍光発光ディスプレイを平面視によって示す側面図である。
第2実施形態に係る蛍光発光ディスプレイは、隣り合う導光部材(コリメータレンズ)の間隔を狭める構成を具現化させた「第2の形態」である。
第2実施形態に係る蛍光発光ディスプレイでは、左右に隣り合う第1のコリメータレンズ123(図10A〜図10Cに示す6つのレンズ)を、第1の励起光EL11の伝搬方向に沿った前後に互い違いに位置をずらして配置している(図10B)。
第2実施形態に係る蛍光発光ディスプレイでは、上述した第1実施形態およびその変形例1〜5の構成とは異なる光源ユニット(特に第1光源ユニット720)の構成について説明する。
第1光源ユニット720は、第1のコリメータレンズ123の配置を除いて、第1光源ユニット120と同様の構成からなる。複数の第1のコリメータレンズ123は、図10Aに示すように、表示フィルム612の第1端面612cに対向し、Y方向に沿って一直線上に配置している。ここで、第1のコリメータレンズ123は、図10Cに示すように、隣り合う第1のコリメータレンズ123の中心間のD方向に沿ったピッチP2が、第1のコリメータレンズ123のD方向に沿った幅Wよりも短い。
すなわち、隣り合う第1のコリメータレンズ123同士は、図10Cに示すように、X方向に向かって平面視した場合、端部同士が重複しているように視認される配置になっている。隣り合う第1のコリメータレンズ123同士は、図10Bに示すように、干渉を回避するために、第1の励起光EL11の伝搬方向(X方向)に沿った前後に互い違いに位置をずらしている。
第1のコリメータレンズ123は、X方向に向かって平面視した場合、第1の励起光EL11が伝搬しない外周縁の部分のみを、隣り合う第1のコリメータレンズ123の外周縁の部分と重複させるように配置している。
第2光源ユニットにおける第2のコリメータレンズ133は、第1光源ユニット720における第1のコリメータレンズ123と同様に配置している。
以上説明した第2実施形態の作用効果を説明する。
蛍光発光ディスプレイは、(Y方向に沿って一列に配置した)隣り合う第1のコリメータレンズ123を、第1の励起光EL11の伝搬方向に沿って位置をずらし(図10B)、かつ、第1の励起光EL11の伝搬方向に対する平面視(図10C)において端部同士を重複するように配置している。さらに、蛍光発光ディスプレイは、隣り合う第2のコリメータレンズ133を、隣り合う第1のコリメータレンズ123と同様の構成によって配置している。
かかる蛍光発光ディスプレイによれば、Y方向に沿って一列に配置した隣り合う第1のコリメータレンズ123を、第1の励起光EL11の伝搬方向に沿った前後に互い違いに位置をずらして干渉を回避しつつ、端部同士を重複するように配置することによって、ピッチP2<幅Wの条件を満たす第1のコリメータレンズ123(図10C)を設けることができる。さらに、Y方向に沿って一列に配置した隣り合う第2のコリメータレンズ133を、第2の励起光EL12の伝搬方向に沿った前後に互い違いに位置をずらして干渉を回避しつつ、端部同士を重複するように配置することによって、ピッチ<幅の条件を満たす第2のコリメータレンズ133を設けることができる。すなわち、蛍光発光ディスプレイ100は、隣り合う一部の第1のコリメータレンズ123同士の間隔を狭めることができる。さらに、蛍光発光ディスプレイ100は、隣り合う一部の第2のコリメータレンズ133同士の間隔を狭めることができる。したがって、蛍光発光ディスプレイおよび蛍光発光ディスプレイの制御方法によれば、隣り合うコリメータレンズの間隔を狭めることによって、表示フィルム612の解像度を向上させることができる。
ここで、蛍光発光ディスプレイにおいて、コリメータレンズ(第1のコリメータレンズ123および第2のコリメータレンズ133)は、励起光(第1の励起光EL11および第2の励起光EL12)が伝搬しない外周縁の部分のみを、隣り合うコリメータレンズの外周縁の部分と互いに重複させるように配置することが好ましい。このように構成した場合、蛍光発光ディスプレイは、隣り合うコリメータレンズの外周縁の部分が互いに重複していても、光学特性が全く劣化しない。
いずれにしても、蛍光発光ディスプレイにおいて、コリメータレンズ(第1のコリメータレンズ123および第2のコリメータレンズ133)を伝搬する励起光(第1の励起光EL11および第2の励起光EL12)の光量は、光軸方向に沿った中心の部分と比較して、光軸から離間した外周縁の部分が相当低い(例えば、外周縁の部分の光量は、中心の部分の光量の数%)。したがって、蛍光発光ディスプレイは、隣り合うコリメータレンズの重複した外周縁の部分に励起光を伝搬させる構成としても、光学特性がほとんど劣化しない。
また、蛍光発光ディスプレイは、複数の第1のコリメータレンズ123を一列に配置していることから、Z方向に沿った層厚が相対的に薄い表示フィルム612を用いることができる。すなわち、表示フィルム612の透過率は、相対的に高くなる。したがって、蛍光発光ディスプレイは、表示フィルム612越しに前方を視認し易くなる。
また、蛍光発光ディスプレイは、相対的に薄い表示フィルム612を用いることができることから、表示フィルム612を湾曲させて使用することが容易になる。したがって、蛍光発光ディスプレイは、汎用性を高めることができる。
(第3実施形態)
図11Aは、第3実施形態の蛍光発光ディスプレイの要部を示す斜視図である。図11Bは、図11Aの蛍光発光ディスプレイを示す正面図である。図11Cは、図11Aの蛍光発光ディスプレイを平面視によって示す側面図である。
第3実施形態に係る蛍光発光ディスプレイは、隣り合う導光部材(コリメータレンズ)の間隔を狭める構成を具現化させた「第3の形態」である。
第3実施形態に係る蛍光発光ディスプレイでは、1列目の第1のコリメータレンズ123(図11A〜図11Cに示す上側の6つのレンズ)と、2列目の第1のコリメータレンズ123(図11A〜図11Cに示す下側の6つのレンズ)を、第1の励起光EL11の伝搬方向(X方向)に沿った前後に位置をずらして配置している(図11B)。
第3実施形態に係る蛍光発光ディスプレイでは、上述した第1実施形態およびその変形例1〜5と第2実施形態の構成とは異なる表示ユニット810および光源ユニット(特に第1光源ユニット820)の構成について説明する。
表示ユニット810において、表示フィルム812は、厚みを除いて、表示フィルム112と同様の構成からなる。表示フィルム812は、表示フィルム112よりも若干薄く形成している。表示フィルム812は、図11Cに示すように、X方向に向かって平面視した場合、上下(Z方向)に沿って隣り合う第1のコリメータレンズ123が互いに重複するように密に配置されていることから、厚みを薄く形成することができる。表示フィルム812は、表示フィルム112と同様に、蛍光体微粒子111を均一かつ密に分散させて保持している。
第1光源ユニット820は、第1のコリメータレンズ123の配置を除いて、第1光源ユニット120と同様の構成からなる。千鳥状に配置した第1のコリメータレンズ123は、図11Aに示すように、表示フィルム812の第1端面812cに対向している。同じ列(1列目または2列目)において隣接する第1のコリメータレンズ123同士は、図11Cに示すように、左右(Y方向=D方向)に沿って隙間無く配置していることから、D方向に沿ったピッチP1と幅Wが等しい。一方、異なる列(1列目と2列目)において隣接する第1のコリメータレンズ123同士は、図11Cに示すように、左右に互い違いに配置していることから、D方向に沿ったピッチP1が幅Wの半分である。
上下方向(Z方向)に沿って隣り合う第1のコリメータレンズ123は、図11Cに示すように、中心間の上下(Z方向)に沿ったピッチP3が、第1のコリメータレンズ123の上下(Z方向)に沿った幅Wよりも短い。すなわち、上下(Z方向)に沿って隣り合う第1のコリメータレンズ123同士は、図11Cに示すように、X方向に向かって平面視した場合、上下(Z方向)に沿った端部同士が重複しているように視認される配置になっている。上下(Z方向)に沿って隣り合う第1のコリメータレンズ123同士は、図11Bに示すように、干渉を回避するために、第1の励起光EL11の伝搬方向に沿った前後に位置をずらしている。
第1のコリメータレンズ123は、第1の励起光EL11が伝搬しない外周縁の部分のみを、隣り合う第1のコリメータレンズ123の外周縁の部分と重複させるように配置している。
第2光源ユニットにおける第2のコリメータレンズ133は、第1光源ユニット820における第1のコリメータレンズ123と同様に配置している。
以上説明した第3実施形態の作用効果を説明する。
蛍光発光ディスプレイは、(千鳥状に配置した)隣り合う第1のコリメータレンズ123を、第1の励起光EL11の伝搬方向に沿って異ならせ(図11B)、かつ、第1の励起光EL11の伝搬方向に対する平面視(図11C)において端部同士を重複するように配置している。さらに、蛍光発光ディスプレイは、隣り合う第2のコリメータレンズ133を、隣り合う第1のコリメータレンズ123と同様の構成によって配置している。
かかる蛍光発光ディスプレイによれば、千鳥状に配置した隣り合う第1のコリメータレンズ123を、第1の励起光EL11の伝搬方向に沿って位置をずらして干渉を回避しつつ、端部同士を重複するように配置することによって、ピッチP1<幅Wの条件を満たす第1のコリメータレンズ123(図11C)を設けることができる。さらに、千鳥状に配置した隣り合う第2のコリメータレンズ133を、第2の励起光EL12の伝搬方向に沿って位置をずらして干渉を回避しつつ、端部同士を重複するように配置することによって、ピッチ<幅の条件を満たす第2のコリメータレンズ133を設けることができる。すなわち、蛍光発光ディスプレイ100は、隣り合う一部の第1のコリメータレンズ123同士の間隔を狭めることができる。さらに、蛍光発光ディスプレイ100は、隣り合う一部の第2のコリメータレンズ133同士の間隔を狭めることができる。したがって、蛍光発光ディスプレイおよび蛍光発光ディスプレイの制御方法によれば、隣り合うコリメータレンズの間隔を狭めることによって、表示フィルム812の解像度を向上させることができる。
ここで、蛍光発光ディスプレイにおいて、コリメータレンズ(第1のコリメータレンズ123および第2のコリメータレンズ133)は、励起光(第1の励起光EL11および第2の励起光EL12)が伝搬しない外周縁の部分のみを、隣り合うコリメータレンズの外周縁の部分と互いに重複させるように配置することが好ましい。このように構成した場合、蛍光発光ディスプレイは、隣り合うコリメータレンズの外周縁の部分が互いに重複していても、光学特性が全く劣化しない。
いずれにしても、蛍光発光ディスプレイにおいて、コリメータレンズ(第1のコリメータレンズ123および第2のコリメータレンズ133)を伝搬する励起光(第1の励起光EL11および第2の励起光EL12)の光量は、光軸方向に沿った中心の部分と比較して、光軸から離間した外周縁の部分が相当低い(例えば、外周縁の部分の光量は、中心の部分の光量の数%)。したがって、蛍光発光ディスプレイは、隣り合うコリメータレンズの重複した外周縁の部分に励起光を伝搬させる構成としても、光学特性がほとんど劣化しない。
また、蛍光発光ディスプレイは、複数の第1のコリメータレンズ123を上下(Z方向)に沿って重複するように配置したことによって、Z方向に沿った層厚が相対的に薄い表示フィルム812を用いることができることから、表示フィルム812の透過率が向上する。したがって、蛍光発光ディスプレイは、表示フィルム812越しに前方を視認し易くなる。
また、蛍光発光ディスプレイは、相対的に薄い表示フィルム812を用いることができることから、表示フィルム812を湾曲させて使用することが容易になる。したがって、蛍光発光ディスプレイは、汎用性を高めることができる。
そのほか、本発明は、特許請求の範囲に記載された構成に基づき様々な改変が可能であり、それらについても本発明の範疇である。
例えば、実施形態において、表示フィルム112を板状やフィルム状に形成し、情報を2次元で表示する構成として説明したが、このような構成に限定されることはない。例えば、表示フィルム112を長方体形状に形成し、かつ、格子状に配置した第1のコリメータレンズ123と、格子状に配置した第2のコリメータレンズ133によって、情報を立体的に表示する構成としてもよい。
また、実施形態において、第1の励起光EL11および第2の励起光EL12は、表示フィルム112の異なる面から内部に入射させる構成として説明したが、このような構成に限定されることはない。例えば、第1の励起光EL11および第2の励起光EL12は、表示フィルム112の同一の面から内部に入射させる構成としてもよい。すなわち、第1の入射面と第2の入射面は、同一の面から構成してもよい。この場合、第1の励起光EL11および第2の励起光EL12は、表示フィルム112の面に対してそれぞれ斜入射させて、表示フィルム112の内部において互いに交差させる。
また、実施形態において、蛍光発光ディスプレイは、車両10に用いる表示装置として説明したが、このような構成に限定されることはない。例えば、蛍光発光ディスプレイは、いわゆるテレビとして様々な情報を表示したり、屋外に設置して交通や広告に関する情報を表示したりする構成としてもよい。
また、実施形態において、蛍光発光ディスプレイをフロントガラス11に貼り付けて用いる構成として説明したが、このような構成に限定されることはない。例えば、蛍光発光ディスプレイを車両10のダッシュボードの運転席に対向する側面に貼り付けて用いる構成としてもよい。
また、実施形態において、第1の導光部材および第2の導光部材にコリメータレンズを用いる構成として説明したが、このような構成に限定されることはない。例えば、第1の導光部材および第2の導光部材に集光レンズを用い、励起光を僅かに集光させつつ導光する構成としてもよい。また、第1の導光部材および第2の導光部材は、凹状のミラーによって構成してもよい。