JP2017210687A - 蒸着マスク、蒸着マスクの製造方法、及び有機半導体素子の製造方法 - Google Patents

蒸着マスク、蒸着マスクの製造方法、及び有機半導体素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】大型化した場合でも高精細化と軽量化の双方を満たすことができ、かつ、強度を保ちつつも、高精細な蒸着パターンの形成が可能な蒸着マスク、及びこの蒸着マスクを簡便に製造することができる蒸着マスクの製造方法、及び高精細な有機半導体素子を製造することができる有機半導体素子の製造方法を提供すること。【解決手段】複数画面分の蒸着パターンを同時に形成するための蒸着マスク100であって、複数のスリット15が設けられた金属マスク10と、樹脂マスク20とが積層され、樹脂マスク20には、複数画面を構成するために必要な開口部25が設けられ、開口部25は、蒸着作製するパターンに対応しており、各スリット15は、少なくとも1画面全体と重なる位置に設けられ、スリット15と重なる位置に対応する樹脂マスク20上に金属凸部40が設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、蒸着マスク、蒸着マスクの製造方法、及び有機半導体素子の製造方法に関する。
従来、有機EL素子の製造において、有機EL素子の有機層或いはカソード電極の形成には、例えば、蒸着すべき領域に多数の微細なスリットを微小間隔で平行に配列してなる金属から構成される蒸着マスクが使用されていた。この蒸着マスクを用いる場合、蒸着すべき基板表面に蒸着マスクを載置し、裏面から磁石を用いて保持させているが、スリットの剛性は極めて小さいことから、蒸着マスクを基板表面に保持する際にスリットにゆがみが生じやすく、高精細化或いはスリット長さが大となる製品の大型化の障害となっていた。
スリットのゆがみを防止するための蒸着マスクについては、種々の検討がなされており、例えば、特許文献1には、複数の開口部を備えた第一金属マスクを兼ねるベースプレートと、前記開口部を覆う領域に多数の微細なスリットを備えた第二金属マスクと、第二金属マスクをスリットの長手方向に引っ張った状態でベースプレート上に位置させるマスク引張保持手段を備えた蒸着マスクが提案されている。すなわち、2種の金属マスクを組合せた蒸着マスクが提案されている。この蒸着マスクによれば、スリットにゆがみを生じさせることなくスリット精度を確保できるとされている。
ところで近時、有機EL素子を用いた製品の大型化或いは基板サイズの大型化にともない、蒸着マスクに対しても大型化の要請が高まりつつあり、金属から構成される蒸着マスクの製造に用いられる金属板も大型化している。しかしながら、現在の金属加工技術では、大型の金属板にスリットを精度よく形成することは困難であり、たとえ上記特許文献1に提案されている方法などによってスリット部のゆがみを防止できたとしても、スリットの高精細化への対応はできない。また、金属のみからなる蒸着マスクとした場合には、大型化に伴いその質量も増大し、フレームを含めた総質量も増大することから取り扱いに支障をきたすこととなる。
上記で提案がされている蒸着マスクにおいて、蒸着マスクの軽量化を図るためには、金属から構成される蒸着マスクの厚みを薄くすることが必要となる。しかしながら、金属から構成される蒸着マスクの厚みを薄くしていった場合には、そのぶん蒸着マスクの強度が低下していき、蒸着マスクに変形が生じる場合や、ハンドリングが困難になるといった新たな問題が生ずることとなる。
特開2003−332057号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、大型化した場合でも高精細化と軽量化の双方を満たすことができ、かつ、高精細な蒸着パターンの形成が可能な蒸着マスクを提供すること、及び、この蒸着マスクの製造方法を提供すること、さらには、有機半導体素子を精度よく製造することができる有機半導体素子の製造方法を提供することを主たる課題とする。
上記課題を解決するための本発明は、複数画面分の蒸着パターンを同時に形成するための蒸着マスクであって、複数のスリットが設けられた金属マスクと、樹脂マスクとが積層され、前記樹脂マスクには、複数画面を構成するために必要な開口部が設けられ、前記開口部は、蒸着作製するパターンに対応しており、各前記スリットは、少なくとも1画面全体と重なる位置に設けられ、前記スリットと重なる位置に対応する前記樹脂マスク上には、複数の金属凸部が設けられており、前記複数の金属凸部は、それぞれ、前記金属マスクから独立して設けられていることを特徴とする。
また、一実施形態の蒸着マスクは、複数画面分の蒸着パターンを同時に形成するための蒸着マスクであって、複数のスリットが設けられた金属マスクと、樹脂マスクとが積層され、前記樹脂マスクには、複数画面を構成するために必要な開口部が設けられ、前記開口部は、蒸着作製するパターンに対応しており、各前記スリットは、少なくとも1画面全体と重なる位置に設けられ、前記スリットと重なる位置に対応する前記樹脂マスク上には、複数の金属凸部が設けられていることを特徴とする。れ、前記樹脂マスクには、複数画面を構成するために必要な開口部が設けられ、前記開口部は、蒸着作製するパターンに対応しており、各前記スリットは、少なくとも1画面全体と重なる位置に設けられ、前記スリットと重なる位置に対応する前記樹脂マスク上には、複数の金属凸部が設けられていることを特徴とする。
また、一実施形態の蒸着マスクは、1つの貫通孔が設けられた金属マスクと、蒸着作製するパターンに対応した開口部が複数設けられた樹脂マスクとが積層され、前記複数の開口部の全てが、前記1つの貫通孔と重なる位置に設けられ、前記1つの貫通孔と重なる位置に対応する前記樹脂マスク上には、複数の金属凸部が設けられていることを特徴とする。
また、上記課題を解決するための本発明は、蒸着マスクの製造方法であって、表面に複数の金属凸部が設けられた樹脂板に、複数のスリットが設けられた金属マスクが、当該金属凸部と当該スリットとが重なるように積層された樹脂板付き金属マスクを準備する準備工程と、前記金属マスク側から前記スリットを通して前記樹脂板にレーザーを照射して、複数画面を構成するために必要な開口部を前記樹脂板に形成する樹脂マスク形成工程と、を備え、前記金属マスクとして、前記複数画面のうちの少なくとも1画面全体と重なる位置にスリットが設けられた金属マスクが用いられ、前記準備工程で準備される前記樹脂板付き金属マスクにおいて、前記複数の金属凸部は、それぞれ、前記金属マスクから独立して設けられていることを特徴とする。
また、一実施形態の蒸着マスクの製造方法は、表面に複数の金属凸部が設けられた樹脂板に、複数のスリットが設けられた金属マスクが、当該金属凸部と当該スリットとが重なるように積層された樹脂板付き金属マスクを準備する準備工程と、前記金属マスク側から前記スリットを通して前記樹脂板にレーザーを照射して、複数画面を構成するために必要な開口部を前記樹脂板に形成する樹脂マスク形成工程と、を備え、前記金属マスクとして、前記複数画面のうちの少なくとも1画面全体と重なる位置にスリットが設けられた金属マスクが用いられることを特徴とする。
また、上記蒸着マスクの製造方法において、前記準備工程で準備されるスリットが設けられた金属マスクは、樹脂板と金属板とを積層した後に、当該金属板をエッチング加工することで得られたものであり、前記金属板のエッチング加工において、前記スリットと前記金属凸部とが同時に形成されていてもよい。
また、一実施形態の蒸着マスクの製造方法は、表面に複数の金属凸部が設けられた樹脂板に、1つの貫通孔が設けられた金属マスクが、当該金属凸部と当該1つの貫通孔とが重なるように積層された樹脂板付き金属マスクを準備する準備工程と、前記金属マスク側から前記1つの貫通孔を通して前記樹脂板にレーザーを照射し、前記1つの貫通孔と重なる位置の樹脂板に複数の開口部を形成する樹脂マスク形成工程と、を備えることを特徴とする。
また、上記蒸着マスクの製造方法において、前記準備工程で準備される1つの貫通孔が設けられた金属マスクは、樹脂板と金属板とを積層した後に、当該金属板をエッチング加工することで得られたものであり、前記金属板のエッチング加工において、前記1つの貫通孔と前記金属凸部とが同時に形成されていてもよい。
また、上記の製造方法において、金属フレーム上に、前記樹脂板付き金属マスクを固定した後に、前記樹脂マスク形成工程が行われてもよい。
また、上記課題を解決するための本発明は、有機半導体素子の製造方法であって、前記有機半導体素子の製造には、金属フレームに蒸着マスクが溶接固定された金属フレーム付き蒸着マスクが用いられ、前記金属フレームに溶接固定される前記蒸着マスクが、複数のスリットが設けられた金属マスクと、樹脂マスクとが積層され、前記樹脂マスクには、複数画面を構成するために必要な開口部が設けられ、前記開口部は、蒸着作製するパターンに対応しており、各前記スリットは、少なくとも1画面全体と重なる位置に設けられ、前記スリットと重なる位置に対応する前記樹脂マスク上に、複数の金属凸部が設けられ、且つ前記複数の金属凸部が、それぞれ、前記金属マスクから独立して設けられている蒸着マスクであることを特徴とする。
また、一実施形態の有機半導体素子の製造方法は、金属フレームに蒸着マスクが溶接固定された金属フレーム付き蒸着マスクを用いた有機半導体素子の製造方法であって、前記金属フレームに溶接固定される前記蒸着マスクが、1つの貫通孔が設けられた金属マスクと、蒸着作製するパターンに対応した開口部が複数設けられた樹脂マスクとが積層され、前記複数の開口部の全てが、前記1つの貫通孔と重なる位置に設けられており、前記1つの貫通孔と重なる位置に対応する前記樹脂マスク上に複数の金属凸部が設けられた蒸着マスクであることを特徴とする。
本発明の蒸着マスクによれば、大型化した場合でも高精細化と軽量化の双方を満たすことができ、かつ、高精細な蒸着パターンの形成が可能となる。また、本発明の蒸着マスクの製造方法によれば、上記特徴の蒸着マスクを簡便に製造することができる。また、本発明の有機半導体素子の製造方法によれば、有機半導体素子を精度よく製造することができる。
第1実施形態の蒸着マスクの金属マスク側から見た正面図である。 図1に示す蒸着マスクの部分拡大断面図であり、(a)はA−A断面図、(b)はB−B断面図、(c)は矢印X側から見た断面図である。 第1実施形態の蒸着マスクを金属マスク側から見た正面図である。 第1実施形態の蒸着マスクを金属マスク側から見た正面図である。 第1実施形態の蒸着マスクを金属マスク側から見た正面図である。 第1実施形態の蒸着マスクの概略断面図である。 第1実施形態の蒸着マスクを樹脂マスク側から見た正面図である。 シャドウと、金属マスクの厚みとの関係を示す概略断面図である。 第1実施形態の蒸着マスクを金属マスク側から見た正面図である。 金属マスク側から見たときの金属凸部の頂面形状である 第2実施形態の蒸着マスクを金属マスク側から見た正面図である。 図11に示す蒸着マスクを矢印X側から見た部分拡大断面図である。 第2実施形態の蒸着マスクを金属マスク側から見た正面図である。 図13に示す蒸着マスクを矢印X側から見た部分拡大断面図である。 第2実施形態の蒸着マスクを金属マスク側から見た正面図である。 第2実施形態の蒸着マスクの概略断面図である。 第2実施形態の蒸着マスクを樹脂マスク側から見た正面図である。 シャドウと、金属マスクの厚みとの関係を示す概略断面図である。 第2実施形態の蒸着マスクを金属マスク側から見た正面図である。 第1実施形態の蒸着マスクの製造方法の一例を示す概略断面図である。 金属凸部を形成する方法の一例を示す図である。 第2実施形態の蒸着マスクの製造方法の一例を示す概略断面図である。
以下に、本発明の蒸着マスク100について第1実施形態、第2実施形態にわけ図面を用いて具体的に説明する。なお、第1実施形態、第2実施形態の蒸着マスク100は、後述するように、スリット15、或いは1つの貫通孔16と重なる位置に対応する樹脂マスク20上に、複数の金属凸部40が設けられている点を共通する特徴としている。
<第1実施形態の蒸着マスク>
図1〜図6、図9に示すように、本発明の第1実施形態の蒸着マスク100は、複数画面分の蒸着パターンを同時に形成するための蒸着マスクであって、複数のスリット15が設けられた金属マスク10と、樹脂マスク20とが積層され、樹脂マスク20には、複数画面を構成するために必要な開口部25が設けられ、各スリット15が、少なくとも1画面全体と重なる位置に設けられており、スリット15と重なる位置に対応する樹脂マスク上20に複数の金属凸部40が設けられていることを特徴とする。なお、図1、図3〜図5、図9(a)は、第1実施形態の蒸着マスクの一例を示す蒸着マスクを金属マスク側から見た正面図であり、(b)、(c)は金属凸部40が配置された蒸着マスクの1画面に対応する箇所の部分拡大正面図であり、金属マスク側からみた図である。図2(a)は図1に示す第1実施形態の蒸着マスクのA−A断面図であり、(b)はB−B断面図であり、(c)は矢印X側からみた概略断面図である。また、図6は、図1に示す第1実施形態の蒸着マスクの変形例の部分拡大概略断面図である。
第1実施形態の蒸着マスク100は、複数画面分の蒸着パターンを同時に形成するために用いられる蒸着マスクであり、1つの蒸着マスク100で、複数の製品に対応する蒸着パターンを同時に形成することができる。本願明細書で言う「開口部」とは、第1実施形態の蒸着マスク100を用いて作製しようとするパターンを意味し、例えば、当該蒸着マスクを有機ELディスプレイにおける有機層の形成に用いる場合には、開口部25の形状は当該有機層の形状となる。第1実施形態の蒸着マスク100では、蒸着源から放出された蒸着材が開口部25を通過することで、蒸着対象物に開口部25に対応する蒸着パターンが形成される。また、「1画面」とは、1つの製品に対応する開口部25の集合体からなり、当該1つの製品が有機ELディスプレイである場合には、1つの有機ELディスプレイを形成するのに必要な有機層の集合体、つまり、有機層となる開口部25の集合体が「1画面」となる。そして、第1実施形態の蒸着マスク100は、複数画面分の蒸着パターンを同時に形成すべく、樹脂マスク20には、上記「1画面」が、所定の間隔をあけて複数画面分配置されている。すなわち、樹脂マスク20には、複数画面を構成するために必要な開口部25が設けられている。
本発明では、金属マスク10には、複数のスリット15が設けられており、各スリットは、それぞれ少なくとも1画面全体と重なる位置に設けられている点を特徴とする。換言すれば、1画面を構成するのに必要な開口部25間において、横方向に隣接する開口部25間にスリット15の縦方向の長さと同じ長さの金属線部分や、縦方向に隣接する開口部間25にスリット15の横方向の長さと同じ長さの金属線部分が存在していないことを特徴とする。以下、横方向に隣接する開口部25間にスリット15の縦方向の長さと同じ長さの金属線部分や、縦方向に隣接する開口部間25にスリット15の横方向の長さと同じ長さの金属線部分のことを総称して、単に金属線部分と言う場合がある。
第1実施形態の蒸着マスク100によれば、1画面を構成するのに必要な開口部25の大きさや、1画面を構成する開口部25間のピッチを狭くした場合、例えば、400ppiを超える画面の形成を行うべく、開口部25の大きさや、開口部25間のピッチを極めて微小とした場合であっても、金属線部分による干渉を防止することができ、高精細な画像の形成が可能となる。なお、1画面が、複数のスリットによって分割されている場合、換言すれば、1画面を構成する開口部25間に金属線部分が存在している場合には、図8(a)、(b)に示すように1画面を構成する開口部25間のピッチが狭くなっていくことにともない、開口部25間に存在する金属線部分が蒸着対象物へ蒸着パターンを形成する際の支障となり高精細な蒸着パターンの形成が困難となる。換言すれば、1画面を構成する開口部25間に金属線部分が存在している場合は、当該金属線部分が、シャドウの発生を引き起こし高精細な画面の形成が困難となる。なお、シャドウとは、蒸着源から放出された蒸着材の一部が、金属マスク10のスリット15の内壁面や、上記金属線部分の内壁面に衝突して蒸着対象物へ到達しないことにより、目的とする蒸着膜厚よりも薄い膜厚となる未蒸着部分が生ずる現象のことをいう。特に、開口部25の形状が微細化していくことにともない、1画面内の開口部25間に存在する金属線部分によるシャドウによる影響は大きくなる。
蒸着マスクを用いた蒸着対象物上への蒸着パターンの形成、例えば、ガラス基板や、シリコン基板上への蒸着パターンの形成は、当該蒸着対象物と、開口部が設けられた樹脂マスクとが対向するように、蒸着対象物と蒸着マスクとを重ね、次いで、蒸着対象物の後方に配置された磁石により、蒸着対象物と、蒸着対象物の前方に位置する蒸着マスク100とを引きつけた状態で行われる。ところで、1画面内の開口部25間に金属線部分を存在させない上記蒸着マスクの構成では、磁石による蒸着対象物と蒸着マスクとの引き付けは、スリット15の内壁面を構成する金属部分においてのみ行われる。換言すれば、1画面、或いは複数画面の外周近傍においてのみ磁石による引きつけが行われる。
上記の磁石による引きつけの形態において、1つのスリット15と重なる1画面の大きさを大きくしていった場合、或いは、1つのスリット15が複数画面と重なる場合には、蒸着対象物と蒸着マスクとを1画面、或いは複数画面の外周近傍のみで引きつけることのみでは、各画面を構成する各開口部25と、蒸着対象物とを十分に密着させることができず、各開口部25と蒸着対象物との間に隙間が生ずることとなる。この隙間は、磁石による引きつけの影響が小さくなるスリット15の中心位置近傍において特に顕著に生じ得る。
蒸着対象物と蒸着マスクとの間に隙間が生じている場合、換言すれば、樹脂マスクの1画面を構成する各開口部25と、蒸着対象物との間に隙間が生じている場合には、蒸着対象物に蒸着パターンを形成する際に、蒸着対象物方向に向かって進行する蒸着材が、蒸着対象物と蒸着マスクとの間に生じた隙間から進行方向と直交する方向に回り込む。そして、本来であれば、所定の間隔をあけて形成されるべき各蒸着パターン同士が、隙間から進行方向と直交する方向に回り込んだ蒸着材によって繋がってしまう、或いは、蒸着パターン寸法太り等の問題を引き起こし、高精細な蒸着パターンの形成の支障となる。なお、蒸着パターン太りとは、目的とする蒸着パターンよりも大きな形状の蒸着パターンが形成される現象を言う。
そこで、第1実施形態の蒸着マスクでは、図1〜図6、図9に示すように、スリット15と重なる位置に対応する樹脂マスク20上に複数の金属凸部40が設けられている点を特徴とする。この特徴を有する第1実施形態の蒸着マスク100によれば、図示するように、1画面の外周近傍のみならず、スリット15内に存在している各開口部25の周辺においても、金属凸部40によって蒸着対象物と蒸着マスク100とを、磁石によって引きつけることができる。これにより、樹脂マスク20に設けられた各開口部25と、蒸着対象物とを十分に密着させることができ、隙間の発生を効果的に防止することができる。以下、金属凸部40について説明する。なお、以下で説明する金属凸部40は、後述する第2実施形態の蒸着マスクについても同様である。
金属凸部40の材料について特に限定はないが、磁石によって引きつけることができる磁性材料を含んでいればよい。磁性材料としては、純鉄、ニッケル、炭素鋼、W鋼、Cr鋼、Co鋼、KS鋼、MK鋼、NKS鋼、Cunico鋼、Al−Fe合金、鉄ニッケル合金、鉄ニッケル合金であるインバー材等を挙げることができる。また、本発明でいう金属凸部40とは、磁性体のみからなるものであってもよく、磁性を有しない材料に磁性材料が含有されたものであってもよい。磁性を有しない材料としては、樹脂材料等を挙げることができる。つまり、金属凸部40は、結果として磁性を有するものであればよい。また、後述するように、1つの金属板を用いて、金属マスク10のスリット15を形成すると同時に、当該1つの金属板を利用して金属凸部40を形成することもできる。この場合には、金属マスクの材料と、金属凸部40の材料は同一材料となる。金属マスク10の材料と、金属凸部40の材料が同一の材料であることを限定するものではなく、金属マスク10の材料とは別の材料を用いて、別途、樹脂マスク20上に、金属凸部40を形成することもできる。
金属凸部40の形状について特に限定はなく、例えば、図10(a)に示される円、図10(b)に示される楕円、図10(c)、(d)に示される正方形や長方形、図10(e)、(f)に示されるひし形や、星型の柱形状、錐台形状等を挙げることができる。図10は、金属凸部40を、金属マスク側から見たときの金属凸部40の頂面形状である。
金属凸部40の大きさについて特に限定はないが、少なくとも、スリット15の縦方向、及び横方向の長さよりも、短い寸法であることが必要である。スリット15の縦方向、及び横方向の長さと同じ寸法を有する金属凸部とした場合には、当該金属凸部が、金属線部分として機能してしまい、シャドウの発生を防止できないためである。なお、ここで言う金属凸部40の大きさとは、金属凸部の底面形状、及び頂面形状において、図10の符号(S)に示すように、当該底面形状、或いは頂面形状の中心点を通る線のうち、最も長い線となる線の寸法を意味する。つまり、本発明では、金属凸部40の寸法が、スリット15の縦方向の長さ、横方向の長さよりも小さい寸法となっていればよい。
特には、金属凸部40の寸法は、1画面を構成する開口部25において、隣接する開口部25の縦方向、及び横方向のピッチ寸法よりも短い寸法であることが好ましい。また、各開口部25の縦方向、及び横方向の開口幅よりも短い寸法であることが好ましい。
また、図示する形態では、金属凸部40は、樹脂マスク20の表面上に設けられているが、金属凸部40は、その一部分が樹脂マスク20に埋没し、その表面の一部分が、樹脂マスク20の表面から突出している形態をとることもできる(図示しない)。
樹脂マスク20上に設けられる金属凸部40の配置位置についても特に限定はなく、図1、図3〜5、図9に示すように、1画面を構成する各開口部25の近傍に適宜配置することができる。なお、さらなる高精細な蒸着パターンの作成を目的とする場合には、図1に示すように、縦横に規則的に配列され、それぞれ2つの開口部と隣接する4つの開口部25の中心点から等距離となる位置に金属凸部40が配置されていることが好ましい。この位置に、金属凸部40を配置することで、図2(b)に示すように開口部25を通るいかなる断面においても金属凸部40は存在しないこととなり、シャドウの発生をより効果的に防止でき、さらなる高精細な蒸着パターンの形成が可能な蒸着マスクとすることができる。つまり、シャドウ発生の防止のさらなる向上を目的とする場合には、開口部を通る全ての縦方向断面、横方向断面において、金属凸部40が存在する領域を少なくすることが好ましい。図1、図5に示す形態では、開口部を通る全ての縦方向断面、及び横方向断面に金属凸部40が存在しておらず、図3に示す形態では、開口部を通る全ての縦方向断面に金属凸部40は存在しておらず、開口部を通る横方向断面の一部において、金属凸部40が存在している形態をとる。また、図4に示す形態では、開口部を通る縦方向断面の一部において金属凸部40が存在しており、開口部を通る横方向断面に金属凸部40が存在していない形態をとる。この点で、図1、図5は、第1実施形態の蒸着マスクにおける好ましい形態であるといえる。なお、各図に示す形態では、金属凸部40は規則的に配置されているが、規則性を持たずにランダムに配置されていてもよい。また、各図に示される金属凸部40の個数を適宜減らしてもよい。また、必要に応じて適宜増やしてもよい。
また、図5(a)、(b)に示すように、1つのスリット15が複数画面全体と重なる場合には、樹脂マスク20の1画面に対応する領域内のみならず、樹脂マスク20の各画面間に対応する領域に金属凸部40を配置することもできる。各画面間の縦方向、及び横方向のピッチにもよるが、1画面を構成する開口部間のピッチよりも、画面間のピッチが広い場合には、各画面間に配置される金属凸部40は、シャドウの発生に殆ど影響を及ぼさないことから、この形態によれば、シャドウの発生の防止性能を維持しつつも、蒸着対象物と蒸着マスクとの密着性を高めることができる。
金属凸部40の厚みについても特に限定はないが、後述する金属マスク10の厚みと同じ厚み、或いは金属マスク10の厚み以下であることが好ましい。金属凸部40の厚みが金属マスク10の厚みよりも厚い場合には、蒸着対象物への蒸着パターンの形成時に、金属凸部40の内壁面に蒸着材が衝突しやすく、シャドウが発生してしまう虞がある。特に、本発明において、金属凸部40は、磁石によって蒸着対象物と、蒸着マスクとを引きつけて、蒸着対象物と樹脂マスクの開口部25との間に生じ得る隙間の発生を防止することを目的とするものであり、磁石によって引きつけることができる機能を損なわない範囲の厚みまで、金属凸部40の厚みを薄くすることができる。金属凸部40の材料等による磁性に応じて適宜設定することができるが、好ましくは、0.1μm以上40μm以下の範囲であり、より好ましくは、0.5μm以上30μm以下の範囲である。なお、金属凸部40の厚みを上記好ましい厚みとした場合には、当該金属凸部40の大きさが、開口部25の縦方向、及び横方向の幅よりも大きい場合や、その配置位置にかかわらず、シャドウの影響を殆ど受けることなく、高精細な蒸着パターンの形成が可能となる。なお、各図に示す形態では、金属凸部40の厚みは、金属マスク10の厚みと略同等の厚みとなっている。
上記で説明した第1実施形態の蒸着マスク100によれば、従来の蒸着マスクと比較して軽量化を図ることができる。具体的には、第1実施形態の蒸着マスク100の質量と、従来公知の金属のみから構成される蒸着マスクの質量とを、蒸着マスク全体の厚みが同一であると仮定して比較すると、従来公知の蒸着マスクの金属材料の一部を樹脂材料に置き換えた分だけ、第1実施形態の蒸着マスク100の質量は軽くなる。また、金属のみから構成される蒸着マスクを用いて、軽量化を図るためには、当該蒸着マスクの厚みを薄くする必要などがあるが、蒸着マスクの厚みを薄くした場合には、蒸着マスクを大型化した際に、蒸着マスクに歪みが発生する場合や、耐久性が低下する場合が起こる。一方、第1実施形態の蒸着マスクによれば、大型化したときの歪みや、耐久性を満足させるべく、蒸着マスク全体の厚みを厚くしていった場合であっても、樹脂マスク20の存在によって、金属のみから形成される蒸着マスクよりも軽量化を図ることができる。このことは、後述する第2実施形態の蒸着マスクについても同様である。以下、それぞれについて具体的に説明する。
(樹脂マスク)
樹脂マスク20は、従来公知の樹脂材料を適宜選択して用いることができ、その材料について特に限定されないが、レーザー加工等によって高精細な開口部25の形成が可能であり、熱や経時での寸法変化率や吸湿率が小さく、軽量な材料を用いることが好ましい。このような材料としては、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、セロファン、アイオノマー樹脂等を挙げることができる。上記に例示した材料の中でも、その熱膨張係数が16ppm/℃以下である樹脂材料が好ましく、吸湿率が1.0%以下である樹脂材料が好ましく、この双方の条件を備える樹脂材料が特に好ましい。第1実施形態の蒸着マスクでは、樹脂マスク20が、上述したように金属材料と比較して高精細な開口部25の形成が可能な樹脂材料から構成される。したがって、高精細な開口部25を有する蒸着マスク100とすることができる。このことは、後述する第2実施形態の蒸着マスクについても同様である。
樹脂マスク20の厚みについても特に限定はないが、第1実施形態の蒸着マスク100を用いて蒸着を行ったときに、目的とする蒸着膜厚よりも薄い膜厚となる蒸着部分、所謂シャドウが生じることを防止するためには、樹脂マスク20は可能な限り薄いことが好ましい。しかしながら、樹脂マスク20の厚みが3μm未満である場合には、ピンホール等の欠陥が生じやすく、また変形等のリスクが高まる。一方で、25μmを超えるとシャドウの発生が生じ得る。この点を考慮すると樹脂マスク20の厚みは3μm以上25μm以下であることが好ましい。樹脂マスク20の厚みをこの範囲内とすることで、ピンホール等の欠陥や変形等のリスクを低減でき、かつシャドウの発生を効果的に防止することができる。特に、樹脂マスク20の厚みを、3μm以上10μm以下、より好ましくは4μm以上8μm以下とすることで、400ppiを超える高精細パターンを形成する際のシャドウの影響をより効果的に防止することができる。なお、第1実施形態の蒸着マスク100において、金属マスク10と樹脂マスク20とは、直接的に接合されていてもよく、粘着剤層を介して接合されていてもよいが、粘着剤層を介して金属マスク10と樹脂マスク20とが接合される場合には、上記シャドウの点を考慮して、樹脂マスク20と粘着剤層との合計の厚みが3μm以上25μm以下、好ましくは3μm以上10μm、特に好ましくは、4μm以上8μm以下の範囲内となるように設定することが好ましい。このことは、後述する第2実施形態の蒸着マスクの樹脂マスクについても同様である。
また、第1実施形態の蒸着マスク100は、上記樹脂マスク20と、金属マスク10が積層された構成をとることから、金属マスク10の存在によって蒸着マスク全体の耐久性の向上が図られ、これにより、ハンドリング性能や、破断、変形の防止が図られている。
次に、図1、図3〜図6を参照して、1画面を構成する開口部25の一例について説明する。なお、図示する形態において破線で閉じられた領域が1画面となっている。図示する形態では、説明の便宜上少数の開口部25の集合体を1画面としているが、この形態に限定されるものではなく、例えば、1つの開口部25を1画素としたときに、1画面に数百万画素の開口部25が存在していてもよい。
図1に示す形態では、縦方向、横方向に複数の開口部25が設けられてなる開口部25の集合体によって1画面が構成されている。図3に示す形態では、横方向に複数の開口部25が設けられてなる開口部25の集合体によって1画面が構成されている。また、図4に示す形態では、縦方向に複数の開口部25が設けられてなる開口部25の集合体によって1画面が構成されている。そして、図1、図3、図4では、1画面全体と重なる位置にスリット15が設けられている。また、各金属スリット15と重なる樹脂マスク20上には、金属凸部40が設けられている。
上記で説明したように、スリット15は、1画面のみと重なる位置に設けられていてもよく、図5(a)、図5(b)に示すように、2以上の画面全体と重なる位置に設けられていてもよい。図5(a)では、図1に示す樹脂マスク10において、横方向に連続する2画面全体と重なる位置にスリット15が設けられている。図5(b)では、縦方向に連続する3画面全体と重なる位置にスリット15が設けられている。
次に、図1に示す形態を例に挙げて、1画面を構成する開口部25間のピッチ、画面間のピッチについて説明する。1画面を構成する開口部25間のピッチや、開口部25の大きさについて特に限定はなく、蒸着作製するパターンに応じて適宜設定することができる。例えば、400ppiの高精細な蒸着パターンの形成を行う場合には、1画面を構成する開口部25において隣接する開口部25の横方向のピッチ(P1)、縦方向のピッチ(P2)は60μm程度となる。また、開口部の大きさは、500μm2〜1000μm2程度となる。また、1つの開口部25は、1画素に対応していることに限定されることはなく、例えば、画素配列によっては、複数画素を纏めて1つの開口部25とすることもできる。
画面間の横方向ピッチ(P3)、縦方向ピッチ(P4)についても特に限定はないが、図1に示すように、1つのスリット15が、1画面全体と重なる位置に設けられる場合には、各画面間に金属線部分が存在することとなる。したがって、各画面間の縦方向ピッチ(P4)、横方向のピッチ(P3)が、1画面内に設けられている開口部25の縦方向ピッチ(P2)、横方向ピッチ(P1)よりも小さい場合、或いは略同等である場合には、各画面間に存在している金属線部分が断線しやすくなる。したがって、この点を考慮すると、画面間のピッチ(P3、P4)は、1画面を構成する開口部25間のピッチ(P1、P2)よりも広いことが好ましい。画面間のピッチ(P3、P4)の一例としては、1mm〜100mm程度である。なお、画面間のピッチとは、1の画面と、当該1の画面と隣接する他の画面とにおいて、隣接している開口部間のピッチを意味する。このことは、後述する第2実施形態の蒸着マスクにおける開口部25のピッチ、画面間のピッチについても同様である。
なお、図5に示すように、1つのスリット15が、2つ以上の画面全体と重なる位置に設けられる場合には、1つのスリット15内に設けられている複数の画面間には、スリットの内壁面を構成する金属線部分が存在しないこととなる。したがって、この場合、1つのスリット15と重なる位置に設けられている2つ以上の画面間のピッチは、1画面を構成する開口部25間のピッチと略同等であってもよい。
開口部25の断面形状についても特に限定はなく、開口部25を形成する樹脂マスクの向かいあう端面同士が略平行であってもよいが、図2、図6に示すように、開口部25はその断面形状が、蒸着源に向かって広がりをもつような形状であることが好ましい。換言すれば、金属マスク10側に向かって広がりをもつテーパー面を有していることが好ましい。開口部25の断面形状を当該構成とすることにより、第1実施形態の蒸着マスクを用いて蒸着を行ったときに、蒸着作成するパターンにシャドウが生じることを防止することができる。テーパー角θについては、樹脂マスク20の厚み等を考慮して適宜設定することができるが、樹脂マスクの開口部における下底先端と、同じく樹脂マスクの開口部における上底先端を結んだ角度が5°〜85°の範囲内であることが好ましく、15°〜80°の範囲内であることがより好ましく、25°〜65°の範囲内であることがさらに好ましい。特には、この範囲内の中でも、使用する蒸着機の蒸着角度よりも小さい角度であることが好ましい。さらに、図2、図6にあっては、開口部25を形成する端面は直線形状を呈しているが、これに限定されることはなく、外に凸の湾曲形状となっている、つまり開口部25の全体の形状がお椀形状となっていてもよい。このような断面形状を有する開口部25は、例えば、開口部25の形成時における、レーザーの照射位置や、レーザーの照射エネルギーを適宜調整する、或いは照射位置を段階的に変化させる多段階のレーザー照射を行うことで形成可能である。このことは、後述する第2実施形態の蒸着マスクについても同様である。なお、図2、図6は、図1に示す形態の蒸着マスク100の部分拡大断面図である。
樹脂マスク20は、樹脂材料が用いられることから、従来の金属加工に用いられる加工法、例えば、エッチング加工法や切削等の加工方法によらず、開口部25の形成が可能である。つまり、開口部25の形成方法について特に限定されることなく、各種の加工方法、例えば、高精細な開口部25の形成が可能なレーザー加工法や、精密プレス加工、フォトリソ加工等を用いて開口部25を形成することができる。このことは、後述する第2実施形態の蒸着マスクについても同様である。レーザー加工法等によって開口部25を形成する方法については後述する。
エッチング加工法としては、例えば、エッチング材を噴射ノズルから所定の噴霧圧力で噴霧するスプレーエッチング法、エッチング材が充填されたエッチング液中に浸漬エッチング法、エッチング材を滴下するスピンエッチング法等のウェットエッチング法や、ガス、プラズマ等を利用したドライエッチング法を用いることができる。
また、本発明では、蒸着マスク100の構成として樹脂マスク20が用いられることから、この蒸着マスク100を用いて蒸着を行ったときに、樹脂マスク20の開口部25には非常に高い熱が加わり、樹脂マスク20の開口部25を形成する端面(図6参照)から、ガスが発生し、蒸着装置内の真空度を低下させる等のおそれが生じ得る。したがって、この点を考慮すると、図6に示すように、樹脂マスク20の開口部25を形成する端面には、バリア層26が設けられていることが好ましい。バリア層26を形成することで、樹脂マスク20の開口部25を形成する端面からガスが発生することを防止できる。
バリア層26は、無機酸化物や無機窒化物、金属の薄膜層または蒸着層を用いることができる。無機酸化物としては、アルミニウムやケイ素、インジウム、スズ、マグネシウムの酸化物を用いることができ、金属としてはアルミニウム等を用いることができる。バリア層26の厚みは、0.05μm〜1μm程度であることが好ましい。
さらに、バリア層26は、樹脂マスク20の蒸着源側表面を覆っていることが好ましい(図示しない)。樹脂マスク20の蒸着源側表面をバリア層26で覆うことによりバリア性が更に向上する。バリア層は、無機酸化物、および無機窒化物の場合は各種PVD法、CVD法によって形成することが好ましい。金属の場合は、真空蒸着法によって形成することが好ましい。なお、ここでいうところの樹脂マスク20の蒸着源側表面とは、樹脂マスク20の蒸着源側の表面の全体であってもよく、樹脂マスク20の蒸着源側の表面において金属マスクから露出している部分のみであってもよい。バリア層26については、図16で示される第2実施形態の蒸着マスクについても同様に適用可能である。
また、樹脂マスク20の金属マスク10と接しない側の面に、磁性材料から構成される磁性層を設けてもよい(図示しない)。当該磁性層を設けることで、上記金属凸部40と相俟って、樹脂マスクと、蒸着対象物を隙間なく十分に密着させることができ、樹脂マスク20と蒸着対象物との間に生じ得る隙間の発生をより効果的に防止することができる。
磁性層の材料としては、例えば、ニッケルや、コバルト、鉄ニッケル合金などを挙げることができる。磁性層の厚みについて特に限定はないが、0.05μm以上1μm以下であることが好ましい。磁性層は、後述する第2実施形態の蒸着マスクにおいても同様に適用可能である。
図7は樹脂マスクの別の態様の正面図である。図7に示すように、樹脂マスク20上には、樹脂マスク20の縦方向、或いは横方向(図7の場合は縦方向)にのびる溝28が形成されていることが好ましい。蒸着時に熱が加わった場合、樹脂マスク20が熱膨張し、これにより開口部25の寸法や位置に変化が生じる可能性があるが、当該溝28を形成することで樹脂マスクの膨張を吸収することができ、樹脂マスクの各所で生じる熱膨張が累積することにより樹脂マスク20が全体として所定の方向に膨張して開口部25の寸法や位置が変化することを防止することができる。溝28の形成位置について限定はなく、1画面を構成する開口部25間や、開口部25と重なる位置に設けられていてもよいが、縦画面間に設けられていることが好ましい。
図7では、隣接する画面間に縦方向に延びる溝28が形成されているが、これに限定されることはなく、隣接する画面間に横方向に延びる溝を形成してもよい。さらには、これらを組み合わせた態様で溝を形成することも可能である。
溝28の深さやその幅については特に限定はないが、溝28の深さが深すぎる場合や、幅が広すぎる場合には、樹脂マスク20の剛性が低下する傾向にあることから、この点を考慮して設定することが必要である。また、溝の断面形状についても特に限定されることはなくU字形状やV字形状など、加工方法などを考慮して任意に選択すればよい。溝28については、図17で示される第2実施形態の蒸着マスクについても同様に適用可能である。
(金属マスク)
金属マスク10は、金属から構成され、複数のスリット15が設けられている。第1実施形態の蒸着マスクでは上記で説明したように、各スリット15は、少なくとも1つの画面全体と重なる位置に設けられている。換言すれば、1画面を構成する開口部25は、1つのスリット15と重なる位置に設けられている。スリット15は開口と同義である。
次に、図8(a)〜図8(c)を用いてシャドウの発生と、金属マスク10の厚みによって生じ得るシャドウの発生や、少なくとも1画面全体と重なる位置にスリットが設けられている第1実施形態の蒸着マスク100の優位性について説明する。なお、図8(a)は、1画面内を構成する開口部25aが、複数のスリット15aで分割されている蒸着マスクの部分拡大断面図であり、図8(b)は、図8(a)に示す蒸着マスクにおいて、金属マスクの厚みを厚くした状態を示す部分拡大断面図である。図8(c)は、1つのスリット15が、1画面全体と重なる位置に設けられている第1実施形態の蒸着マスク100の一例を示す部分拡大断面図であり、図示する形態では開口部25を通る断面に金属凸部40が存在していない。すなわち、図2のB−B断面に相当する部分拡大断面図である。図8(d)は、図8(c)における蒸着マスク100において金属マスク10の厚みを厚くした状態を示す部分拡大断面図である。また、図示する形態では、横方向に5つの開口部(縦方向は任意とする)が設けられている開口部25の集合体を1画面としている。
図8(a)に示すように、1画面を構成する開口部25aが、複数のスリット15aで分割されている場合には、隣接する開口部25aの一部にスリット15aの壁面をなす金属線部分が存在することとなる。高精細な蒸着パターンの形成を行うべく、開口部25aのピッチや、開口部25aの形状を微細化していった場合において、1画面を構成する開口部25a間に金属線部分が存在している場合には、当該金属線部分が、蒸着源から放出された蒸着材の開口部25a内への通過を妨げ、高精細な蒸着パターンの作製を行うことが困難となる。また、金属マスク10aの厚みを薄くしていった場合には、蒸着マスク全体の耐久性も低下していくこととなる。蒸着マスク全体の耐久性を向上させるべく、図8(b)に示すように金属マスク10aの厚みを厚くしていった場合には、蒸着源から放出された蒸着材がより当該金属線の内壁面に衝突しやすくなる。内壁面に衝突する蒸着材の量が多くなるほど、蒸着対象物へ到達することができなくなる蒸着材の量は多くなり、シャドウの発生がより顕著に発生する。
一方、第1実施形態の蒸着マスクでは、図8(c)に示すように、1画面全体、すなわち、1画面内に設けられている全ての開口部25は、1つのスリット15と重なる位置に設けられている。したがって、図8(c)に示すように、開口部25内に蒸着材を無駄なく通過させることができ、シャドウの発生を防止することができる。また、図8(d)に示すように、ある程度、金属マスク10の厚みを厚くしていった場合であっても、シャドウの影響が小さく、高精細な蒸着パターンの形成が可能となる。特に、本発明では、金属マスク10の厚みを、100μm程度としていった場合であっても、シャドウの発生を防止することができる。金属マスク10の厚みを厚くすることで、蒸着マスク100全体の耐久性は向上することから、第1実施形態の蒸着マスクでは、高精細な蒸着パターンの形成を可能としつつも、その厚みを適宜設定することで耐久性を向上させることができる。なお、金属線部分が存在している場合には、開口部を通るいずれの断面においても、当該金属線部分が存在することとなるが、図2(b)に示すように、金属凸部40が設けられた第1実施形態の蒸着マスクによれば、開口部を通る断面の少なくとも一部分において、金属凸部40が存在していない形態とすることができ、開口部を通るいずれの断面においても金属線部分が存在している図8(a)、(b)に示す形態と比較して、蒸着材の衝突による影響が少なく、或いは影響を無くしてシャドウの発生を抑えることができている。
金属マスク10の厚みについて特に限定はないが、シャドウの発生をより効果的に防止するためには、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましく、35μm以下であることが特に好ましい。第2実施形態の金属マスクについても同様である。
また、第1実施形態の蒸着マスク100において、さらに、シャドウ発生を十分に防止するには、図2、図6に示すように、スリット15の断面形状を、蒸着源に向かって広がりをもつような形状とすることが好ましい。このような断面形状とすることで、蒸着マスク100に生じうる歪みの防止、或いは耐久性の向上を目的として、蒸着マスク全体の厚みを厚くしていった場合であっても、蒸着源から放出された蒸着材が、スリット15の当該表面や、スリット15の内壁面に衝突等することなく、蒸着材を蒸着対象物へ到達させることができる。より具体的には、金属マスク10のスリット15における下底先端と、同じく金属マスク10のスリット15における上底先端を結んだ直線と金属マスク10の底面とのなす角度が5°〜85°の範囲内であることが好ましく、15°〜80°の範囲内であることがより好ましく、25°〜65°の範囲内であることがさらに好ましい。特には、この範囲内の中でも、使用する蒸着機の蒸着角度よりも小さい角度であることが好ましい。このような断面形状とすることで、蒸着マスク100に生じうる歪みの防止、或いは耐久性の向上を目的として金属マスク10の厚みを比較的厚くした場合であっても、蒸着源から放出された蒸着材が、スリット15の内壁面に衝突等することなく、蒸着材を蒸着対象物へ到達させることができる。これにより、シャドウ発生をより効果的に防止することができる。なお、樹脂マスク20の開口部25の向かいあう端面は略平行となっていてもよいが、上記で説明したように。金属マスク10のスリット15、及び樹脂マスク20の開口部25は、ともにその断面形状が、蒸着源側に向かって広がりを持つ形状となっていることが好ましい。第2実施形態の金属マスクについても同様である。
また、図示する形態では、スリット15の開口形状は、矩形状を呈しているが、開口形状について特に限定はなく、スリット15の開口形状は、台形状、円形状等いかなる形状であってもよい。第2実施形態の金属マスクのスリット15の開口形状についても同様である。
金属マスク10の材料について特に限定はなく、蒸着マスクの分野で従来公知のものを適宜選択して用いることができ、例えば、ステンレス鋼、鉄ニッケル合金、アルミニウム合金などの金属材料を挙げることができる。中でも、鉄ニッケル合金であるインバー材は熱による変形が少ないので好適に用いることができる。第2実施形態の金属マスクについても同様である。
また、第1実施形態の蒸着マスク100を用いて、基板上へ蒸着を行うにあたり、基板後方に磁石等を配置して基板前方の蒸着マスク100を磁力によって引きつけることが必要な場合には、金属マスク10を磁性体で形成することが好ましい。磁性体の金属マスク10としては、純鉄、ニッケル、炭素鋼、W鋼、Cr鋼、Co鋼、KS鋼、MK鋼、NKS鋼、Cunico鋼、Al−Fe合金、鉄ニッケル合金、鉄ニッケル合金であるインバー材等を挙げることができる。また、金属マスク10を形成する材料そのものが磁性体でない場合には、当該材料に上記磁性体の粉末を分散させることにより金属マスク10に磁性を付与してもよい。
図9(a)は、第1実施形態の蒸着マスク100の別の態様を示す正面図である。図9に示すように、蒸着マスク100の金属マスク10側から見た正面図において、1画面を構成する開口部25を横方向に互い違いに配置してもよい。つまり、横方向に隣り合う開口部25を縦方向にずらして配置してもよい。このように配置することにより、樹脂マスク20が熱膨張した場合にあっても、各所において生じる膨張を開口部25によって吸収することができ、膨張が累積して大きな変形が生じることを防止することができる。なお、この場合には、金属凸部40を、シャドウの影響が発生しにくい箇所、具体的には、金属凸部40を配置可能な樹脂マスク20上の領域において、広いスペースを有する領域上に適宜配置すればよい。例えば、図9(a)に示すように、縦方向に隣り合う2つの開口部と、当該2つの開口部25と横方向において重なる1つの開口部との間に金属凸部40を配置してもよい。また、図9(b)、(c)に示すように、縦方向、横方向に開口部25が互い違いに配置されている場合において、縦方向において隣り合う開口部間にのみ金属凸部40を配置してもよい。なお、図9(b)、(c)は、1画面を構成する複数の開口部25が互い違いに配置された一実施形態の蒸着マスクを、金属マスク側からみたときの1画面に対応する箇所の部分拡大正面図であり、スリットを省略して記載している。図9(b)では、開口部25の横方向の幅と、金属凸部40の頂面の横方向の幅が略同一の大きさとなっており、図9(c)では、開口部25の横方向の幅よりも、金属凸部40頂面の横方向の幅は小さくなっている。開口部25が互い違いに配置された蒸着マスクにおける金属凸部40の配置例については、図19で示される第2実施形態の蒸着マスクについても同様に適用可能である。
<第2実施形態の蒸着マスク>
次に第2実施形態の蒸着マスクについて説明する。図11、図12に示すように、本発明の第2実施形態の蒸着マスクは、1つの貫通孔16が設けられた金属マスク10と、蒸着作製するパターンに対応した開口部25が複数設けられた樹脂マスク20とが積層され、当該複数の開口部25の全てが、金属マスク10に設けられた1つの貫通孔と重なる位置に設けられており、1つの貫通孔と重なる位置に対応する樹脂マスク20上に複数の金属凸部40が設けられている点を特徴とする。なお、図11は、第2実施形態の蒸着マスクの一例を示す蒸着マスクを金属マスク側から見た正面図であり、図12は、図11に示す蒸着マスクを矢印X側から見たときの部分拡大概略断面図である。
第2実施形態の蒸着マスク100によれば、樹脂マスク20上に、金属マスク10が設けられていることから、蒸着マスク100の耐久性や、ハンドリング性を高めることができる。なお、樹脂マスク20上に金属マスク10を設けることなく、樹脂マスクのみからなる蒸着マスクとした場合には、蒸着マスクの耐久性や、ハンドリング性は低下していくこととなる。特に、高精細な蒸着パターンの形成を行うためには、樹脂マスクの厚みは薄いことが好ましく、樹脂マスクの厚みを薄くしていった場合には、樹脂マスクのみからなる蒸着マスクの耐久性や、ハンドリング性能はさらに低下していく。
具体的には、図18(a)、(b)に示すように、開口部25間に貫通孔16の壁面をなす金属線部分が存在していないことから、シャドウの影響を受けることなく、高精細な蒸着パターンの形成が可能となる。換言すれば、貫通孔16の壁面をなす金属線部分は、蒸着マスク100の端部近傍に位置することから、蒸着パターンの形成に影響を与えることなく、高精細な蒸着パターンの形成を行うことが可能となる。さらには、図18(b)に示すように、金属マスク10の厚みを厚くしていった場合であっても、シャドウの影響を殆ど受けることがないことから、金属マスク10の厚みを、耐久性や、ハンドリング性を十分に満足させることができるまで厚くすることができ、高精細な蒸着パターンの形成を可能としつつも、耐久性や、ハンドリング性を向上させることができる。なお、金属線部分が存在している場合には、開口部を通るいずれの断面においても、当該金属線部分が存在することとなるが、図11に示すように、金属凸部40が設けられた第2実施形態の蒸着マスクによれば、開口部を通る断面の少なくとも一部分においては、金属凸部40が存在していない形態とすることができ、開口部を通るいずれの断面においても金属線部分が存在している形態と比較して、蒸着材の衝突による影響が少なく、或いは影響がなくシャドウの発生を抑えることができる。
第2実施形態の蒸着マスクにおいても、上記第1実施形態の蒸着マスクと同様、樹脂マスク20の厚みを薄くしていった場合であっても、金属マスク10の存在によって、蒸着マスク100に十分な耐久性と、ハンドリング性を付与することができる。また、第2実施形態の蒸着マスク100によれば、蒸着マスクの軽量化を図ることができる。これらの理由は、上記第1実施形態の蒸着マスクで説明した理由と同じである。
第2実施形態の蒸着マスク100は、複数の開口部25を有する樹脂マスク20上に、1つの貫通孔16を有する金属マスク10が設けられており、かつ、複数の開口部25の全ては、当該1つの貫通孔16と重なる位置に設けられている。この構成を有する第2実施形態の蒸着マスク100では、開口部25間に金属線部分が存在していないことから、上記第1実施形態の蒸着マスクで説明したように、金属線部分による干渉を受けることなく樹脂マスク20に設けられている開口部25の寸法通りに高精細な蒸着パターンを形成することが可能となる。
また、第1実施形態の蒸着マスクにおいて説明した理由と同様の理由により、第2実施形態の蒸着マスク100においても、樹脂マスク20の1つの貫通孔16と重なる側の面上には、上記で説明した金属凸部40が複数設けられている。したがって、第2実施形態の蒸着マスクにおいても、蒸着対象物と、蒸着マスク100との間に生じ得る隙間の発生を防止できる。換言すれば、蒸着対象物と、開口部25とを十分に密着させることができる。これにより、第2実施形態の蒸着マスク100においても、高精細な蒸着パターンの形成が可能となる。金属凸部40については、特に断りがない限り、上記第1実施形態の蒸着マスクで説明したものをそのまま用いることができ、ここでの詳細な説明は省略する。
(樹脂マスク)
第2実施形態の蒸着マスクにおける樹脂マスク20は、樹脂から構成され、図12に示すように、1つの貫通孔16と重なる位置に蒸着作製するパターンに対応した開口部25が複数設けられている。開口部25は、蒸着作製するパターンに対応しており、蒸着源から放出された蒸着材が開口部25を通過することで、蒸着対象物には、開口部25に対応する蒸着パターンが形成される。なお、図示する形態では、開口部が縦横に複数列配置された例を挙げて説明をしているが、縦方向、或いは横方向にのみ配置されていてもよい。
開口部25の形状、大きさについて特に限定はなく、蒸着作製するパターンに対応する形状、大きさであればよい。
第2実施形態の蒸着マスク100は、1画面に対応する蒸着パターンの形成に用いられるものであってもよく、2以上の画面に対応する蒸着パターンの同時形成に用いられるものであってもよい。第2実施形態の蒸着マスクにおける「1画面」とは、1つの製品に対応する開口部25の集合体を意味し、当該1つの製品が有機ELディスプレイである場合には、1つの有機ELディスプレイを形成するのに必要な有機層の集合体、つまり、有機層となる開口部25の集合体が「1画面」となる。この場合には、図15に示すように、画面単位毎に所定の間隔をあけて開口部25が設けられていることが好ましい。なお、図15では、破線で閉じられた領域を「1画面」としている。図15では、12個の開口部25によって1画面が構成されているが、この形態に限定されるものではなく、例えば、1つの開口部25を1画素としたときに、数百万個の開口部25によって1画面を構成することもできる。画面間のピッチの一例としては、縦方向のピッチ、横方向のピッチともに1mm〜100mm程度である。なお、画面間のピッチとは、1の画面と、当該1の画面と隣接する他の画面とにおいて、隣接している開口部間のピッチを意味する。また、図15に示すように、各画面間に金属凸部40を適宜配置してもよい。
(金属マスク)
第2実施形態の蒸着マスク100における金属マスク10は、金属から構成され1つの貫通孔16を有している。そして、本発明では、当該1つの貫通孔16は、金属マスク10の正面からみたときに、全ての開口部25と重なる位置、換言すれば、樹脂マスク20に配置された全ての開口部25がみえる位置に配置されている。
金属マスク10を構成する金属部分、すなわち貫通孔16以外の部分は、図11に示すように蒸着マスク100の外縁に沿って設けられていてもよく、図13に示すように金属マスク10の大きさを樹脂マスク20よりも小さくし、樹脂マスク20の外周部分を露出させてもよい。なお、図14は、図13に示す蒸着マスクを矢印X側から見たときの部分拡大概略断面図である。また、金属マスク10の大きさを樹脂マスク20よりも大きくして、金属部分の一部を、樹脂マスクの横方向外方、或いは縦方向外方に突出させてもよい。なお、いずれの場合であっても、貫通孔16の大きさは、樹脂マスク20の大きさよりも小さく構成されている。
図11に示される金属マスク10の貫通孔の壁面をなす金属部分の横方向の幅(W1)や、縦方向の幅(W2)について特に限定はないが、W1、W2の幅が狭くなっていくに従い、耐久性や、ハンドリング性が低下していく傾向にある。したがって、W1、W2は、耐久性や、ハンドリング性を十分に満足させることができる幅とすることが好ましい。金属マスク10の厚みに応じて適切な幅を適宜設定することができるが、好ましい幅の一例としては、第1実施形態の金属マスクと同様、W1、W2ともに1mm〜100mm程度である。
(第1実施形態の蒸着マスクの製造方法)
次に、第1実施形態の蒸着マスクの製造方法について説明する。第1実施形態の蒸着マスク100の製造方法は、図20(a)に示すように、表面に複数の金属凸部40が設けられた樹脂板30に、複数のスリット15が設けられた金属マスク10が、当該金属凸部40と当該スリット15とが重なるように積層された樹脂板付き金属マスクを準備する準備工程と、図20(b)に示すように金属マスク側からスリット15を通して樹脂板30の一方の面側にレーザーを照射して、図20(c)に示すように複数画面を構成するために必要な開口部25を樹脂板30形成する樹脂マスク形成工程とを有し、樹脂板付金属マスクを構成する金属マスク10として、複数画面のうちの少なくとも1画面全体と重なるスリット15が設けられた金属マスクが用いられることを特徴とする。以下、第1実施形態の蒸着マスクの製造方法について具体的に説明する。
(準備工程)
図20(a)に示される表面に複数の金属凸部40が設けられた樹脂板30に、複数のスリット15が設けられた金属マスク10が、当該金属凸部40と当該スリット15とが重なるように積層された樹脂板付き金属マスクを準備するにあたり、当該樹脂板付き金属マスクを得るための製造方法の一例を説明する。
(樹脂板付き金属マスクの第1の製造例)
一例としての樹脂板付き金属マスクの製造方法は、まず、複数のスリット15が設けられた金属マスクを準備する。本発明では、ここで準備される金属マスク10が、上記第1実施形態の蒸着マスク100で説明した、少なくとも1画面全体に設けられている開口部25全体と重なるスリット15が設けられている金属マスク10が用いられる。
また、表面に複数の金属凸部40が設けられた樹脂板30を準備する。樹脂板30上に複数の金属凸部40を設ける方法について特に限定はなく、例えば、樹脂板30と、金属凸部40に対応する開口が設けられたマスクとを貼り合せ、蒸着法を用いて樹脂板30上に金属凸部40を形成することができる。次いで、表面に複数の金属凸部40が設けられた樹脂板30と、少なくとも1画面全体に設けられている開口部25全体と重なるスリット15が設けられている金属マスク10とが、当該金属凸部40と当該スリット15とが重なるように積層することで、樹脂板付き金属マスクが得られる。上記蒸着法にかえて、メッキ法を用いて樹脂板30上に金属凸部40を設けることもできる。
上記の方法において、樹脂板付金属マスクを構成する樹脂板30には、板状の樹脂のみならず、上記のようにコーティングによって形成された樹脂層や樹脂膜も含まれる。つまり、樹脂板は、予め準備されたものであってもよく、従来公知のコーティング法等によって形成されたものであってもよい。また、樹脂板は、樹脂フィルムや樹脂シートを含む概念である。また、樹脂板の硬度についても限定はなく、硬質板であってもよく、軟質板であってもよい。また、樹脂板付き金属マスクとするための金属マスクと表面に複数の金属凸部40が設けられた樹脂板30との貼り合せ方法について特に限定はなく、金属マスク10と、表面に複数の金属凸部40が設けられた樹脂板30とは各種粘着剤を用いて貼り合わせてもよく、自己粘着性を有する樹脂板を用いてもよい。なお、金属マスク10と表面に複数の金属凸部40が設けられた樹脂板30の大きさは同一であってよい。この後に任意で行われるフレームへの固定を考慮して、樹脂板30の大きさを金属板10よりも小さくし、金属マスク10の外周部分が露出された状態としておくと、金属マスク10とフレームとの溶接が容易となり好ましい。
スリット15が設けられた金属マスク10の形成方法としては、金属板の表面にマスキング部材、例えば、レジスト材を塗工し、所定の箇所を露光し、現像することで、最終的にスリット15が形成される位置を残したレジストパターンを形成する。マスキング部材として用いるレジスト材としては処理性が良く、所望の解像性があるものが好ましい。次いで、このレジストパターンを耐エッチングマスクとして用いてエッチング法によりエッチング加工する。エッチングが終了後、レジストパターンを洗浄除去する。これにより、複数のスリット15が設けられた金属マスク10が得られる。スリット15を形成するためのエッチングは、金属板の片面側から行ってもよく、両面から行ってもよい。また、金属板に樹脂板が設けられた積層体を用いて、金属板にスリット15を形成する場合には、金属板の樹脂板と接しない側の表面にマスキング部材を塗工して、片面側からのエッチングによってスリット15が形成される。なお、樹脂板が、金属板のエッチング材に対し耐エッチング性を有する場合には、樹脂板の表面をマスキングする必要はないが、樹脂板が、金属板のエッチング材に対する耐性を有しない場合には、樹脂板の表面にマスキング部材を塗工しておく必要がある。また、上記では、マスキング部材としてレジスト材を中心に説明を行ったが、レジスト材を塗工する代わりにドライフィルムレジストをラミネートし、同様のパターニングを行ってもよい。
(樹脂板付き金属マスクの第2の製造例)
樹脂板付き金属マスクを得るための第2の方法は、予め金属マスクとなる金属板に対して樹脂層をコーティングにより形成した積層体を準備し、金属板の表面にマスキング部材、例えば、レジスト材を塗工し、所定の箇所を露光し、現像することで、最終的にスリット15が形成される位置、及び金属凸部40が形成される位置を残したレジストパターンを形成する。次いで、このレジストパターンを耐エッチングマスクとして用いてエッチング法によりエッチング加工する。エッチングが終了後、レジストパターンを洗浄除去する。この方法では1つの金属板を用いて、樹脂板30上に、複数のスリット15が設けられた金属マスク10と、複数の金属凸部40が同時に形成される。ここで形成される金属凸部40の厚みは、金属マスク10の厚みと略同一の厚みとなる、或いは、形成時において金属凸部40の頂部がエッチングにより浸食され、金属マスク10の厚みよりも薄い厚みとなる。
上記最終的にスリット15が形成される位置、及び金属凸部40が形成される位置を残したレジストパターンを形成する第2の方法にかえて、図21に示すように、最終的にスリット15が形成される位置にスリット形成用のレジストパターンを形成するとともに、当該スリット形成用のレジストパターン内に格子状のレジストパターンを形成する。当該格子状のレジストパターンの形成時において、格子状のレジストパターンを細線化した状態で形成しておくことで、図21(b)に示すように、エッチング加工により格子状のレジストパターンの交点以外の部分は、エッチング加工の特性であるサイドエッチングにより除去され、エッチング後には、格子状のレジストパターンにおいて交点部分のみが残存する。そして、レジストパターンを除去することで、レジストパターンとして残存している交点部分が金属凸部40となる。この方法では、樹脂板30上に、スリット15が設けられた金属マスク10と、複数の金属凸部40が同時に形成される。また、この方法では、金属凸部40の頂面形状は略星型の形状となる。なお、図21は、樹脂板上に金属板が積層され、当該金属板上にレジストパターンが形成された状態を示す、金属板側から見た正面図である。図21(a)はエッチング加工前、図21(b)はエッチング加工後のレジストパターンを示している。
(金属フレームに樹脂板付き金属マスクを固定する工程)
当該工程は、第1実施形態の蒸着マスクの製造方法における任意の工程であるが、完成した蒸着マスクをフレームに固定するのではなく、フレームに固定された状態の樹脂板付き金属マスクに対し、後から開口部を設けているので、位置精度を格段に向上せしめることができる。なお、完成した蒸着マスク100をフレームに固定する場合には、開口が決定された金属マスクをフレームに対して引っ張りながら固定するために、本工程を有する場合と比較して、開口位置座標精度は低下することとなる。
金属フレームに、樹脂板付き金属マスクを固定する方法について特に限定はなく、例えば、スポット溶接など従来公知の工程方法を適宜採用すればよい。
ここで用いられる金属フレームは、略矩形形状の枠部材であり、最終的に固定される蒸着マスク100の樹脂マスクに設けられた開口部25を蒸着源側に露出させるための開口を有する。金属フレームの材料について特に限定はないが、剛性が大きい金属材料、例えば、SUSや、インバー材などが好適である。
金属フレームの厚みについても特に限定はないが、剛性等の点から10mm〜30mm程度であることが好ましい。金属フレームの開口の内周端面と、金属フレームの外周端面間の幅は、当該金属フレームと、蒸着マスクの金属マスクとを固定することができる幅であれば特に限定はなく、例えば、10mm〜50mm程度の幅を例示することができる。
金属フレームの開口の内周面間の幅、及び当該金属フレームの外周端面間の幅についても特に限定はないが、金属フレームにおける開口の内周面横方向間の幅は、蒸着マスクや、樹脂板付き金属マスクの横方向の幅よりも小さい幅となっている。同様に、金属フレームにおける開口の内周面縦方向間の幅は蒸着マスクや樹脂板付き金属マスクの縦方向の幅よりも小さい幅となっている。金属フレームの横方向端面間の幅について特に限定はない。
また、樹脂マスク20の開口部25の露出を妨げない範囲で、金属フレームの開口に補強フレーム等が存在していてもよい。換言すれば、開口が、補強フレーム等によって分割された構成を有していてもよい。
(金属マスク側からレーザーを照射し、樹脂板付き金属マスクの樹脂板に蒸着作製するパターンに対応した開口部を形成する工程)
次に、図20(b)に示すように、樹脂板付き金属マスクの金属マスク10側からスリット15を通してレーザーを照射し、前記樹脂板30に蒸着作製するパターンに対応した開口部25を形成し、樹脂マスク20とする。ここで用いるレーザー装置については特に限定されることはなく、従来公知のレーザー装置を用いればよい。これにより、図20(c)に示すような、第1実施形態の蒸着マスク100を得る。
レーザーの照射位置について特に限定はなく、金属凸部40の形成位置に応じて、適宜設定することができる。例えば、金属凸部40の配置が、上記第1実施形態の蒸着マスクで説明した好ましい配置例となるように、レーザーを照射して開口部25を形成すればよい。なお、樹脂板付き金属マスクの樹脂板上には、複数の金属凸部40が設けられているが、複数の金属凸部40の一部分はレーザーの照射によって除去されてもよい。
本発明の第1実施形態の蒸着マスクの製造方法では、予め1画面全体、或いは2以上の画面全体と重なる位置にスリット15が設けられた金属マスク10が用いられることから、本工程では、1つのスリット15内には、1画面を構成するのに必要な開口部25、或いは2以上の画面を構成するのに必要な開口部25が形成される。つまり、1つのスリット15は、1画面全体を構成する開口部、或いは2以上の画面全体を構成する開口部25と重なるように設けられることとなる。
また、金属フレームに固定された樹脂板付き金属マスクの樹脂板に開口部25を設けるに際し、蒸着作製するパターン、すなわち形成すべき開口部25に対応するパターンが予め設けられた基準板(図示しない)を準備し、この基準板を、樹脂板の金属マスク10が設けられていない側の面に貼り合せた状態で、金属マスク10側から、基準板のパターンに対応するレーザー照射を行ってもよい。この方法によれば、樹脂板付き金属板に貼り合わされた基準板のパターンを見ながらレーザー照射を行う、いわゆる向こう合わせの状態で、開口部25を形成することができ、開口の寸法精度が極めて高い高精細な開口部25を形成することができる。また、この方法は、フレームに固定された状態で開口部25の形成が行われることから、寸法精度のみならず、位置精度にも優れた蒸着マスクとすることができる。
なお、上記方法を用いる場合には、金属マスク10側から、樹脂板30を介して基準板のパターンをレーザー照射装置等で認識することができることが必要である。樹脂板としては、ある程度の厚みを有する場合には透明性を有するものを用いることが必要となるが、上記で説明したように、シャドウの影響を考慮した好ましい厚み、例えば、3μm〜25μm程度の厚みとする場合には、着色された樹脂板であっても、基準板のパターンを認識させることができる。
樹脂板付き金属マスクと基準板との貼り合せ方法についても特に限定はなく、例えば、金属マスク10が磁性体である場合には、基準板の後方に磁石等を配置して、樹脂板付き金属マスクの樹脂板30と基準板とを引きつけることで貼り合せることができる。これ以外に、静電吸着法等を用いて貼り合せることもできる。基準板としては、例えば、所定の開口パターンを有するTFT基板や、フォトマスク等を挙げることができる。
また、上記で説明した工程間、或いは工程後にスリミング工程を行ってもよい。たとえば、最終的に樹脂マスク20となる樹脂板30や、金属マスク10として、上記で説明した好ましい厚みよりも厚いものを用いた場合には、製造工程中において、金属マスク10や樹脂板30を単独で搬送する際等に、優れた耐久性や搬送性を付与することができる。一方で、シャドウの発生等を防止するためには、本発明の製造方法で得られる蒸着マスク100の厚みは最適な厚みであることが好ましい。スリミング工程は、製造工程間、或いは工程後において耐久性や搬送性を満足させつつ、蒸着マスク100の厚みを最適化する場合に有用な工程である。
金属マスク10のスリミングは、上記で説明した工程間、或いは工程後に、金属マスク10の樹脂板30と接しない側の面、或いは金属マスク10の樹脂板30又は樹脂マスク20と接しない側の面を、金属マスク10をエッチング可能なエッチング材を用いてエッチングすることで実現可能である。
樹脂マスク20となる樹脂板30や、樹脂マスク20のスリミング、すなわち、樹脂板30、樹脂マスク20の厚みの最適化についても同様であり、上記で説明した何れかの工程間、或いは工程後に、樹脂板30の金属マスク10と接しない側の面、或いは樹脂マスク20の金属マスク10と接しない側の面を、樹脂板30や樹脂マスク20の材料をエッチング可能なエッチング材を用いてエッチングすることで実現可能である。また、蒸着マスク100を形成した後に、金属マスク10、樹脂マスク20の双方をエッチング加工することで、双方の厚みを最適化することもできる。
(第2実施形態の蒸着マスクの製造方法)
次に、第2実施形態の蒸着マスクの製造方法について説明する。第2実施形態の蒸着マスク100の製造方法は、図22(a)に示すように、表面に複数の金属凸部40が設けられた樹脂板30に、1つの貫通孔が設けられた金属マスク10が、当該金属凸部40と当該1つの貫通孔16とが重なるように積層された樹脂板付き金属マスクを準備する準備工程と、図22(b)に示すように金属マスク10側から1つの貫通孔16を通してレーザーを照射して、樹脂板30の1つの貫通孔16と重なる位置に複数の開口部25を形成する工程とを備えることを特徴とする。
第2実施形態の製造方法は、上記第1実施形態の製造方法で用いられる金属マスクが相違する点以外は、全て第1実施形態の製造方法と同じであり、相違点以外のここでの記載は省略する。
1つの貫通孔16が設けられた金属マスク10としては、上記第2実施形態の蒸着マスクで説明した金属マスクをそのまま用いることができる。金属マスクの製造方法については、上記第1実施形態の製造方法で説明したものをそのまま用いることができる。
(有機半導体素子の製造方法)
次に、本発明の有機半導体素子の製造方法について説明する。本発明の有機半導体素子の製造方法は、金属フレーム付き蒸着マスクを用いた蒸着法により蒸着パターンを形成する工程を有し、当該有機半導体素子を形成する工程において以下の金属フレーム付き蒸着マスクが用いられる点に特徴を有する。
金属フレーム付き蒸着マスクを用いた蒸着法により蒸着パターンを形成する工程を有する一実施形態の有機半導体素子の製造方法は、基板上に電極を形成する電極形成工程、有機層形成工程、対向電極形成工程、封止層形成工程等を有し、各任意の工程において金属フレーム付き蒸着マスクを用いた蒸着法により基板上に蒸着パターンが形成される。例えば、有機ELデバイスのR,G,B各色の発光層形成工程に、金属フレーム付き蒸着マスクを用いた蒸着法をそれぞれ適用する場合には、基板上に各色発光層の蒸着パターンが形成される。なお、本発明の有機半導体素子の製造方法は、これらの工程に限定されるものではなく、蒸着法を用いる従来公知の有機半導体素子の任意の工程に適用可能である。
上記有機半導体素子の製造方法に用いられる一実施形態の金属フレーム付き蒸着マスクは、複数のスリットが設けられた金属マスクと、樹脂マスクとが積層され、樹脂マスクには、複数画面を構成するために必要な開口部が設けられ、開口部は、蒸着作製するパターンに対応しており、各スリットが、少なくとも1画面全体と重なる位置に設けられており、樹脂マスクのスリットと重なる側の面上に、金属凸部が設けられている蒸着マスクであることを特徴とする。
また、上記有機半導体素子の製造方法に用いられる他の実施形態の金属フレーム付き蒸着マスクは、1つの貫通孔が設けられた金属マスクと、蒸着作製するパターンに対応した開口部が複数設けられた樹脂マスクとが積層され、複数の開口部の全てが、1つの貫通孔と重なる位置に設けられており、樹脂マスクの1つの貫通孔と重なる側の面上に金属凸部が設けられている蒸着マスクであることを特徴とする。
金属フレーム付き蒸着マスクを構成する蒸着マスクについては、上記で説明した本発明の製造方法で製造された蒸着マスク100をそのまま用いることができ、ここでの詳細な説明は省略する。上記で説明した本発明の蒸着マスクによれば、高精細なパターンを有する有機半導体素子を形成することができる。本発明の製造方法で製造される有機半導体素子としては、例えば、有機EL素子の有機層、発光層や、カソード電極等を挙げることができる。特に、本発明の有機半導体素子の製造方法は、高精細なパターン精度が要求される有機EL素子のR、G、B発光層の製造に好適に用いることができる。
100…蒸着マスク
10…金属マスク
15…スリット
16…貫通孔
20…樹脂マスク
25…開口部
28…溝
40…金属凸部

Claims (9)

  1. 複数画面分の蒸着パターンを同時に形成するための蒸着マスクであって、
    複数のスリットが設けられた金属マスクと、樹脂マスクとが積層され、
    前記樹脂マスクには、複数画面を構成するために必要な開口部が設けられ、
    前記開口部は、蒸着作製するパターンに対応しており、
    各前記スリットは、少なくとも1画面全体と重なる位置に設けられ、
    前記スリットと重なる位置に対応する前記樹脂マスク上には、複数の金属凸部が設けられていることを特徴とする蒸着マスク。
  2. 1つの貫通孔が設けられた金属マスクと、蒸着作製するパターンに対応した開口部が複数設けられた樹脂マスクとが積層され、
    前記複数の開口部の全ては、前記1つの貫通孔と重なる位置に設けられ、
    前記1つの貫通孔と重なる位置に対応する前記樹脂マスク上には、複数の金属凸部が設けられていることを特徴とする蒸着マスク。
  3. 蒸着マスクの製造方法であって、
    表面に複数の金属凸部が設けられた樹脂板に、複数のスリットが設けられた金属マスクが、当該金属凸部と当該スリットとが重なるように積層された樹脂板付き金属マスクを準備する準備工程と、
    前記金属マスク側から前記スリットを通して前記樹脂板にレーザーを照射して、複数画面を構成するために必要な開口部を前記樹脂板に形成する樹脂マスク形成工程と、
    を備え、
    前記金属マスクとして、前記複数画面のうちの少なくとも1画面全体と重なる位置にスリットが設けられた金属マスクが用いられることを特徴とする蒸着マスクの製造方法。
  4. 前記準備工程で準備されるスリットが設けられた金属マスクは、樹脂板と金属板とを積層した後に、当該金属板をエッチング加工することで得られたものであり、
    前記金属板のエッチング加工において、前記スリットと前記金属凸部とが同時に形成されることを特徴とする請求項3に記載の蒸着マスクの製造方法。
  5. 蒸着マスクの製造方法であって、
    表面に複数の金属凸部が設けられた樹脂板に、1つの貫通孔が設けられた金属マスクが、当該金属凸部と当該1つの貫通孔とが重なるように積層された樹脂板付き金属マスクを準備する準備工程と、
    前記金属マスク側から前記1つの貫通孔を通して前記樹脂板にレーザーを照射し、前記1つの貫通孔と重なる位置の樹脂板に複数の開口部を形成する樹脂マスク形成工程と、
    を備えることを特徴とする蒸着マスクの製造方法。
  6. 前記準備工程で準備される1つの貫通孔が設けられた金属マスクは、樹脂板と金属板とを積層した後に、当該金属板をエッチング加工することで得られたものであり、
    前記金属板のエッチング加工において、前記1つの貫通孔と前記金属凸部とが同時に形成されることを特徴とする請求項5に記載の蒸着マスクの製造方法。
  7. 金属フレーム上に、前記樹脂板付き金属マスクを固定した後に、前記樹脂マスク形成工程が行われることを特徴とする請求項3乃至6の何れか1項に記載の蒸着マスクの製造方法。
  8. 有機半導体素子の製造方法であって、
    前記有機半導体素子の製造には、金属フレームに蒸着マスクが溶接固定された金属フレーム付き蒸着マスクが用いられ、
    前記金属フレームに溶接固定される前記蒸着マスクが、
    複数のスリットが設けられた金属マスクと、樹脂マスクとが積層され、
    前記樹脂マスクには、複数画面を構成するために必要な開口部が設けられ、
    前記開口部は、蒸着作製するパターンに対応しており、
    各前記スリットは、少なくとも1画面全体と重なる位置に設けられ、
    前記スリットと重なる位置に対応する前記樹脂マスク上に、複数の金属凸部が設けられた蒸着マスクであることを特徴とする有機半導体素子の製造方法。
  9. 有機半導体素子の製造方法であって、
    前記有機半導体素子の製造には、金属フレームに蒸着マスクが溶接固定された金属フレーム付き蒸着マスクが用いられ、
    前記金属フレームに溶接固定される前記蒸着マスクが、
    1つの貫通孔が設けられた金属マスクと、蒸着作製するパターンに対応した開口部が複数設けられた樹脂マスクとが積層され、
    前記複数の開口部の全ては、前記1つの貫通孔と重なる位置に設けられ、
    前記1つの貫通孔と重なる位置に対応する前記樹脂マスク上に、複数の金属凸部が設けられた蒸着マスクであることを特徴とする有機半導体素子の製造方法。
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