JP2017209772A - 研磨システム、及び被加工物を研磨する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】被加工物を研磨する際、被研磨面を出来るだけ均一に研磨して、平坦な面を形成することができる研磨システムを提供すること。【解決手段】被加工物30の被研磨面30Aを研磨するための研磨システム100であって、研磨システム100は、被研磨面30Aを圧接させるための研磨面Sを有し、回転軸Xのまわりに回転駆動可能な研磨テーブル1と、被加工物30を被研磨面30Aが研磨面Sと対向するように保持するための研磨ヘッド20と、を備える。研磨面Sが、研磨面の外縁側から回転軸X側に向けて深くなる凹状の面を含むことを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、研磨システム、及び被加工物を研磨する方法に関する。
ウェハ等の被加工物を研磨するための種々の方法が提案されてきた。例えば、ウェハを研磨加工する方法に関して、特許文献1は、研磨時の上下定盤の変形を予め把握しておき、定盤作成過程で研磨時の変形を打ち消す形状に上下定盤を加工し、上下定盤に研磨布を貼り付けた後、上下定盤の間にウェハを挟み込み、ウェハを両面研磨する方法を開示している。
被加工物を研磨する際、研磨面を出来るだけ均一に研磨できること望ましい。研磨面を均一に研磨することで、例えば被加工物がウェハのように円盤状である場合、研磨後の被加工物の厚みのバラツキを小さくすることができる。
本発明の一側面は、被加工物の1つの被研磨面を研磨するための研磨システムを提供する。研磨システムは、被研磨面を圧接させるための研磨面を有し、該研磨面と交差する回転軸のまわりに回転駆動可能な研磨テーブルと、被加工物を被研磨面が研磨面と対向するように保持するための研磨ヘッドと、を備えることができる。研磨面が、研磨面の外縁側から前記回転軸側に向けて深くなる凹状の面を含み得る。
本発明の一側面に係る研磨システムによれば、被加工物の研磨面を高い均一性で研磨することができる。
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略することがある。
本明細書において、用語「又は」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、一般的に「及び/又は」を含む意味で用いられる。
本明細書において記述される数値範囲は、その範囲内に包含されるあらゆる数値を含む。例えば、数値範囲1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.8、4、及び5及びこれら以外のあらゆる数値を含む。
本明細書で使用される量又は成分、特性の測定等を表す全ての数は、別途記載のない限り、「約」という用語によって修飾され得る。各数値パラメータは、報告された有効数字の数を考慮して、通常の四捨五入を適用することによって解釈することができる。
図1は、研磨システム(又は研磨装置)の一実施形態を示す断面図である。図1に示す研磨システム100は、被加工物30の被研磨面30Aを機械的又は化学機械的平面化プロセスにより片面研磨するために用いることができる。被加工物の被研磨面を研磨することにより、被加工物の一部を被研磨面から除去して、研磨前と比較して平坦な面を形成することができる。
研磨システム100は、被研磨面30Aを圧接させるための研磨面Sを有し回転軸Xのまわりに回転駆動可能な研磨テーブル1と、被加工物30を被研磨面30Aが研磨面Sと対向するように保持するための研磨ヘッド20と、を備える。被研磨面30Aを研磨する間、通常、研磨面S上に研磨液35が供給される。研磨液35は、任意の供給機構(例えば、ポンプ)によって、所望の速度で供給される。
研磨ヘッドは、被加工物30を保持しながら、被研磨面30Aを研磨面Sに圧接させる。1つの研磨ヘッド20に保持される被加工物30の数は、特に制限されないが、例えば1〜50個であってもよい。なお、研磨ヘッドは被加工物を固着するための固着層、又は他の任意の保持手段を含んでもよい。
研磨システム100は、研磨テーブル1に連結された研磨テーブル用駆動アセンブリ15と、研磨ヘッド20に連結された研磨ヘッド用駆動アセンブリ25とを更に有する。研磨テーブル用駆動アセンブリ15は、研磨面Sの中心で研磨面Sと略垂直に交差する回転軸Xのまわりに矢印Aに沿って回転するように、研磨テーブル1を回転駆動することができる。研磨ヘッド用駆動アセンブリ25は、研磨面Sと対向する平面内で、回転軸Xと略平行な軸Yのまわりに矢印Bに沿って回転するように、研磨ヘッド20を回転駆動することができる。矢印Bは、通常、矢印Aと同じ回転方向である。すなわち、同じ方向から見たときに、例えば矢印Aが時計回りであれば、矢印Bも通常は時計回りである。
本明細書で用いられる「略平行」の用語は、2本の直線が厳密に平行である場合の他、2本の直線が僅かに傾斜している場合も含む。例えば、略平行な2本の直線がなす角度が、15°以内、5°以内又は3°以内であってもよい。
いくつかの形態に係る研磨テーブル1は、略円形の主表面を有する定盤10と、定盤10の主表面上に設けられた研磨パッド構成体11とを有する。研磨テーブル1の構成はこれに限られず、例えば、研磨パッド構成体11が設けられず、定盤10自体の主表面が研磨面Sであり得る。研磨パッド構成体がドーナツ状等の形状を有し、定盤10の主表面の一部を覆う場合、研磨パッド構成体によって覆われていない部分の定盤の主表面は、研磨面Sに含まれない。
図2は、研磨テーブルの例示的な一実施形態を示す断面図である。図2に示す研磨テーブル1の主表面である研磨面Sは、全体として略円形であり、その外縁1E側から中心(ここで回転軸Xと研磨面Sが交差する場合が多い)に移動するのにしたがって徐々に深くなる凹状の面を形成している。凹状の面は、外縁1Eから中心にかけて連続的に徐々に深くなっていてもよいし、深さが実質的に一定の部分を含んでいてもよい。場合により、研磨面Sは凹状の面を含まずに全体として平坦であってもよい。また、研磨面Sは外縁としての外周と、その内側の内周とを有するドーナツ状の形状をとってもよい。すなわち、凹状の面は、その中央で開口を形成する内周を有していてもよい。この場合、研磨面(凹状の面)の内側の開口と交差する回転軸が、「研磨面と交差する回転軸」とみなされる。なお、本明細書で使用される「外縁」は、所定の領域(研磨面S)の最も外側の位置を意味する。
本明細書で使用される「凹状の面」の用語は、研磨面Sの中心部分を含む面であって、研磨面Sの外縁側から中心(回転軸X)に向けて徐々に凹んでいく部分を含む形状の面を意味する。凹状の面は、中心部が凹んだボール状の曲面のみから構成される面だけでなく、平坦な部分を含む面も含む。例えば、いくつかの形態に係る凹状の面は、回転軸に対して略垂直な平面内にある平坦な中央部と、中央部の周囲に形成された、曲面部、又は中央部に対して傾斜した平面部と、から構成され得る。また、研磨面Sがドーナツ状の形状をとる場合、その内周を凹状の面の中心部分とみなす。いくつかの形態に係る凹状の面は、研磨面Sがその中心部分に向けて徐々に深くなるように、回転軸Xに垂直な平面に対して傾斜した平面を含み得る。後述するように、研磨面Sが局所的な窪みを形成していることがあるが、「凹状の面」は、この局所的な窪みも含む面全体として凹んだ形状を意味する。
本明細書で使用される「略円形」の用語は、真円、及び真円に近い楕円形等の形状を含む。例えば、略円形は、長径/短径が1〜2の範囲にある楕円形であってもよい。また、略円形の研磨面Sの外縁が円周に沿いながらある程度蛇行していてもよい。
研磨テーブル1が定盤10及び研磨パッド構成体11を有する場合、研磨パッド構成体11の主表面が凹状の面を形成することができる。定盤10の主表面が凹状の面を形成していてもよい。
研磨面S全体が凹状の面を形成していてもよいし、研磨面Sの一部が凹状の面を形成していてもよい。いくつかの形態に係る研磨面Sは、研磨面Sの外縁1Eに沿って形成された、回転軸Xに垂直な平面に略平行なリング状の平面部分と、その平面部分の内側に形成された凹状の面とを有していてもよい。研磨面S全体のうち、凹状の面を形成している部分の面積割合は、60〜100%、70〜100%、又は80〜100%であってもよい。
凹状の面の凹みの程度が適切な範囲にあることにより、研磨の均一性向上に関して、より一層顕著な効果が得られる傾向がある。係る観点から、研磨面Sの凹状の面の最大深さがdで、研磨面S(又は凹状の面)の最大幅がrであるとき、r/dが100〜50000であってもよい。研磨面Sの最大幅rは、特に制限されないが、200〜1500mmであってもよい。研磨面S(凹状の面)の最大深さdは、特に制限されないが、0.01〜10mmであってもよい。ここでの「深さ」は、回転軸Xに平行な方向における、研磨面Sの外縁1Eにおける高さとの差を意味する。研磨面Sがドーナツ状である場合、最大深さdは、通常、外周(外縁1E)における研磨面Sの高さと内周における研磨面Sの高さとの差である。
図3は、研磨パッド構成体11の一実施形態を示す断面図である。図3に示す研磨パッド構成体11は、上部主表面41a及びその裏側の下部主表面41bを有し、上部主表面41aが研磨面Sである研磨パッド層41を少なくとも有する。研磨パッド構成体11は、下部主表面41bに接着する結合層51と、結合層51の研磨パッド層41とは反対側の面上に設けられた第2の研磨パッド層42とを更に有していてもよい。第2の研磨パッド層42は、研磨面S側の上部主表面42a及びその裏側の下部主表面42bを有する。
研磨パッド構成体11が外周及び内周を有するドーナツ状であってもよい。この場合、研磨面Sもドーナツ状となる。
研磨パッド層41は、有機樹脂材料の成形体であってもよい。ここでの有機樹脂材料は、有機ポリマーを含んでいればよく、有機ポリマー以外の成分(例えば無機フィラー)も含む組成物であってもよい。有機樹脂材料又は研磨パッド層41における有機ポリマーの含有量は、有機樹脂材料又は研磨パッド層41の質量を基準として、30〜100質量%、又は50〜100質量%であってもよい。
上記有機ポリマーは、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、及びポリオキシメチレンプラスチックから選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂であってもよいし、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリイミド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、及び放射線硬化樹脂から選ばれる少なくとも1種の熱硬化性樹脂であってもよいし、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の組み合わせであってもよい。
研磨パッド層41は、単層であってもよいし、多層構造を有してもよい。研磨パッド層41の厚みは、10mm未満、5mm未満、1mm未満、0.5mm未満、0.25mm未満、0.125mm未満又は0.05mm未満であってよい。研磨パッド層41の厚みは、0.01mm以上であってもよい。
結合層51は、研磨パッド層41とともに第2の研磨パッド層42から剥離可能に第2の研磨パッド層42の上部主表面42aと接着していてもよい。結合層51の例としては、感圧性接着剤層、剥離剤コーティング層、及び支持材層を挙げることができる。結合層51の厚みは、例えば0.01〜10mmである。
第2の研磨パッド層42の構成(材料、サイズ、形状等)も、研磨パッド層41(第1の研磨パッド)と同様に選択することができる。
図4に示されるように、研磨パッド構成体11は、第2の研磨パッド層42の下部主表面42b側に設けられた第2の結合層52及び第3の研磨パッド層43を更に有していてもよい。同様に、任意の数の追加の結合層と研磨パッド層が更に設けられてもよい。
研磨パッド構成体11(研磨パッド層41)の上部主表面41aが窪みを形成していてもよい。上部主表面41a(研磨面S)が形成する窪みは、上部主表面41aの最表部に形成された開口部と、開口部から研磨パッド層41内部に延びる側壁部とを有する。窪みの最深部に、平坦な底面部がさらに形成されていてもよい。窪みは、研磨パッド層41を貫通することもあり得る。
窪みの開口部の形状は、特に制限されないが、例えば略矩形であってもよい。開口部の長さ(上部主表面41aの面内の開口部の最大寸法)は、2μm以上、25μm以上、50μm以上、又は100μm以上であってもよいし、20mm未満、10mm未満、5mm未満、又は1mm未満であってもよい。開口部の幅(上部主表面の面内の開口部の最小寸法)は、2μm以上、25μm以上、50μm以上、又は100μm以上であってもよいし、20mm未満、10mm未満、5mm未満、又は1mm未満であってもよい。
いくつかの形態に係る研磨パッド層において、複数の窪みが線状に配列されていてもよいし、ランダムに分布していてもよい。図5は、研磨パッド層又は研磨パッド構成体の上部主表面(研磨面)に形成された窪みの配列形態を模式的に示す平面図である。図5に示される各研磨パッド構成体11は、複数の窪みから構成される窪みの列60が形成された研磨面(すなわち、研磨パッド層の上部主表面)を有する。窪みの列60は、(a)同心円状、(b)スパイラル状、(c)放射線状、(d)格子状、又は(e)これらの組み合わせの形状に沿って延びていてもよい。
複数の窪みが形成される場合、それらの開口部は互いに連続して当接し溝を形成していてもよいし、略当接していてもよいし、又は一定の又は不規則な間隔をあけて配置されていてもよい。上部主表面41a内の任意の直線1cm当たりに設けられる開口部の数は、5000個以下、400個以下、200個以下、又は100個以下であってもよく、0.5個以上、1個以上、2個以上、又は10個以上であってもよい。
開口部の密度は、上部主表面41a内で均一であっても、不均一であってもよい。いくつかの形態では、開口部の密度は、上部主表面41a全体で平均して、1個/4cm2以上、1個/cm2以上、4個/cm2以上、100個/cm2以上、又は1000個/cm2であってもよい。
いくつかの形態では、上部主表面41aの面内における開口部の面積は、上部主表面41aの総面積の30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%、又は97%以上であってもよい。
いくつかの形態に係る窪みの形状は、立方形、円筒形、プリズム形、半球形、直方体、角錐形、切頂角錐形、円錐形、切頂円錐形、十字形、弓形若しくは柱状、又はこれらの組み合わせなどの多くの幾何学的形状から選択され得る。複数の窪みが形成される場合、それらの一部又は全てが、一定の形状を有していてもよいし、不規則形状であってもよい。
いくつかの形態に係る窪みを形成する側壁部は、上部主表面41aに対して垂直であってもよいし、傾斜していてもよい。側壁部が傾斜する角度は、上部主表面41aの垂線に対して、1〜75°、2〜50°、3〜35°、又は5〜15°であり得る。
窪みの深さ(又は最大深さ)は、1μm以上、10μm以上、又は800μm以上であってもよいし、10mm未満、5mm未満、又は1mm未満であってもよい。複数の窪みが形成される場合、それらの深さは一定でも異なっていてもよい。
研磨パッド層の一部又は全部に、研磨パッドの性能改善を促進する充填物質が充填されてもいてもよい。充填物質の例としては、延性のある金属、ワックス、研磨用ピッチ又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
当業者に理解されるように、研磨パッド層は、成形、押出加工、型押し加工、及びこれらの組み合わせを含む様々な方法により形成され得る。
いくつかの形態に係る研磨液35は、流体成分と、流体成分中に分散した砥粒とを含有するスラリーである。流体成分は、砥粒を分散させる分散媒として機能する。
流体成分は、非水性又は水性であってよい。非水性の流体成分は、研磨液全体の50質量%以上の非水性流体、例えば、有機溶剤を含有するものとして定義される。水性の流体成分は、研磨液全体の50質量%以上の水を含有するものとして定義される。非水性流体の例としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ポリエチレングリコール、及びトリエチレングリコールのようなアルコール;酢酸エチル、及び酢酸ブチルのようなアセテート;メチルエチルケトンのようなケトン;酢酸のような有機酸;エーテル;トリエタノールアミン又はトリエタノールアミンの錯体のようなアミン錯体;ホウ素等価物;及びこれらの組み合わせを挙げることができる。水性の流体成分は、水に加えて、上記の非水性流体のいずれかから選ぶことのできる非水性流体を含んでもよい。
水性の流体成分は、水から本質的になっていてもよいし、流体成分の質量を基準とする水の含有量が50質量%以上、70質量%以上、90質量%以上、又は95質量%以上であってもよい。非水性の流体成分は、非水性流体から本質的になっていてもよいし、流体成分の質量を基準とする非水性流体の含有量が、50質量%以上、70質量%以上、90質量%以上、又は95質量%以上であってもよい。流体成分が水性流体及び非水性流体の両方を含む場合、流体成分は、単相溶液であり得る。
いくつかの形態に係る流体成分は、例えば、分散助剤、レオロジー変性剤、腐食防止剤、pH調整剤、界面活性剤、キレート剤/錯化剤、不動態化剤、及び発泡防止剤から選ばれる1種類又は2種類以上の添加剤を更に含んでよい。
分散助剤としては、比較的高分子量の脂肪族又は脂環式ハロゲン化物とアミンとの反応生成物(例えばハロゲン化物とポリアルキレンポリアミンとの反応生成物)であるアミン分散剤、炭素原子数30以上のアルキル基を有するアルキルフェノールとアルデヒド(特にホルムアルデヒド)及びアミン(特にポリアルキレンポリアミン)との反応生成物であるマンニッヒ分散剤を挙げることができる。
Lubrizol Corporation(Wickliffe,Ohio)からSOLSPERSE、CARBOSPERSE及びIRCOSPERSEの商品名にて入手可能なもの等の立体安定化をもたらす分散助剤を用いてもよい。更なる分散剤には、BYK Additives and Instruments(Wesel,Germany)のDISPERBYK 180等のDISPERBYK添加剤、並びにEvonik Industries(Hopewell,Virginia)のTEGO DISPERS 652、TEGO DISPERS 656及びTEGO DISPERSE 670を含むDISPERS添加剤が挙げられる。分散助剤は、単独で又は2種類以上の組み合わせで使用することができる。
レオロジー変性剤としては、剪断減粘剤及び剪断増粘剤を挙げることができる。剪断減粘剤としては、DISPARLON AQH−800、DISPARLON 6100、DISPARLON BB−102を含む、King Industries,Inc(Norwalk,Connecticut)からDISPARLONの商品名にて入手可能なポリオレフィンポリマー材料上に塗布したポリアミドワックスを挙げることができる。モンモリロナイト粘土等のある種の粘土を剪断減粘剤として添加してもよい。レオロジー変性剤は、単独で又は2種類以上の組み合わせで使用することができる。
増粘剤としては、ヒュームドシリカ(例えば、Cabot Corporation(Boston,Massachusetts)からCAB−O−SILの商品名にて入手可能なもの、Evonik IndustiresからAEROSILの商品名にて入手可能なもの、Lubrizol CorporationからSOLTHIX RHEOLOGY MODIFIERS及びIRCOGELの商品名にて入手可能なもの)、水溶性ポリマー(例えばポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、セルロース誘導体(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸又はこれらの任意の組み合わせ)、非水性ポリマー(例えばポリオレフィン、スチレン/マレイン酸エステルコポリマー並びにホモポリマー、コポリマー及びグラフトコポリマー)が挙げられる。
腐食防止剤としては、トリエタノールアミン、脂肪族アミン、オクタン酸オクチルアミン等のアルカリ性物質、並びにドデセニルコハク酸又は無水物及びオレイン酸等の脂肪酸とポリアミンとの縮合生成物が挙げられる。腐食防止剤は、単独で又は2種類以上の組み合わせで使用することができる。
pH調整剤としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、塩基性塩、有機アミン、アンモニア及びアンモニウム塩が挙げられる。pH調整剤の具体例としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、塩化アンモニウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン及びエチレンジアミンが挙げられる。幾つかのpH調整剤、例えばジエタノールアミン及びトリエタノールアミンは、金属研磨中にアルミニウムイオン等の金属不純物とキレート化錯体を形成することができる。また、緩衝系を用いてもよい。緩衝剤は、酸性、中性近傍又は塩基性の範囲でpHを調整することができる。pH調整剤は、単独で又は2種類以上の組み合わせで使用することができる。他の緩衝剤としては、三塩基及び多塩基プロトライト及びこれらの塩(例えばアンモニウム塩)が挙げられる。これらの具体例としては、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、リジン、アルギニン、オルニチン、システイン、チロシン及びカルノシンのプロトライト(これらの全ては7超のpKaを少なくとも1つ有する)に基づいたアンモニウムイオン緩衝系を挙げることができる。
界面活性剤としては、イオン性及び非イオン性界面活性剤が挙げられる。非イオン性界面活性剤には、親水性部分及び疎水性部分を含むポリマー、例えばBASF Corporation(Florham Park,New Jersey)からPLURONICの商品名にて入手可能なポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)、Croda International PLC(Edison,New Jersey)からBRIJの商品名にて入手可能なポリ(エチレン)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)、Dow Chemical(Midland,Michigan)からTERGITOLの商品名にて入手可能なノニルフェノールエトキシレート、並びにCroda International PLCからTWEEN 60の商品名にて入手可能なポリエチレングリコールソルビタンモノステアレートを挙げることができる。
イオン性界面活性剤は、カチオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤であることができる。カチオン性界面活性剤としては、第四級アンモニウム塩、スルホン酸塩、カルボン酸塩、線状アルキルアミン、アルキルベンゼンスルホン酸塩(洗剤)、(脂肪酸)石鹸、ラウリル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩及びリグノスルホン酸塩が挙げられる。アニオン性界面活性剤は、水中で、両親媒性アニオンと、通常アルカリ金属(Na+、K+)又は第四級アンモニウムであるカチオンとに解離する。アニオン性界面活性剤の例としては、KAO Chemicals,Kao Specialties Americas LLC(High Point,North Carolina)のAKYPO RLM−25等のラウレス−カルボン酸が挙げられる。界面活性剤は、単独で又は2種類以上の組み合わせで使用することができる。
キレート剤及び錯化剤は、特に、被加工物が金属である場合、流体成分に含めることができる。キレート剤及び錯化剤としては、アンモニア、アミン、ハロゲン化物、擬似ハライド、カルボキシレート、及びチオレートのような単座錯化剤、並びに多座アミンのような多座錯化剤が挙げられる。多座アミンとしては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。キレート剤のその他の例としては、ポリホスフェート、1,3−ジケトン、アミノアルコール、芳香族複素環塩基、フェノール、アミノフェノール、オキシム、シッフ塩基、及びイオウ化合物が挙げられる。特に被加工物が金属酸化物である場合に用いられる錯化剤の例としては、NH4HCO3等のアンモニウム塩、タンニン酸、カテコール、Ce(OH)(NO)3、Ce(SO4)2、フタル酸、サリチル酸が挙げられる。
錯化剤は、1つのカルボキシル基を有する一官能性カルボン酸、複数のカルボン酸基を有する多官能性カルボン酸、又はこれらの塩であってもよい。多官能性カルボン酸は、二官能性カルボン酸(ジカルボン酸)又は三官能性カルボン酸(トリカルボン酸)であってもよい。一官能性カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、3−ブテン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、フェニル酢酸、安息香酸及びトルイル酸が挙げられる。多官能性カルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸が挙げられる。錯化剤は、1つ又は2つ以上のカルボキシル基に加えて、1つ又は2つ以上の置換基、例えば、ハロゲン化物、ヒドロキシル基、アミノ基、エーテル基及び/又はカルボニル基を含む置換されたカルボン酸であってもよい。1つ又は2つ以上のヒドロキシル基を含むヒドロキシカルボン酸は、置換されたカルボン酸の一種である。代表的なヒドロキシカルボン酸としては、一官能性ヒドロキシカルボン酸及び多官能性ヒドロキシカルボン酸が挙げられる。一官能性ヒドロキシカルボン酸としては、グリセリン酸(2,3−ジヒドロキシプロパン酸)、グリコール酸、乳酸(例えば、L−乳酸、D−乳酸及びDL−乳酸)、ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、グルコン酸及びメチル乳酸(2−ヒドロキシイソ酪酸)が挙げられる。多官能性ヒドロキシカルボン酸としては、リンゴ酸及び酒石酸(二官能性ヒドロキシカルボン酸)並びにクエン酸(三官能性ヒドロキシカルボン酸)が挙げられる。錯化剤は、単独で又は2種類以上の組み合わせで使用することができる。
不動態化剤は、被研磨面上に不動態化層を作製するために、流体成分に添加することができる。ベンゾトリアゾール及び対応する類似体を含む、金属基材を不動態化するための当該技術分野において既知の不動態化剤を用いてよい。アミノ酸、例えばグリシン、アスパラギン酸、グルタミン酸、ヒスチジン、リジン、プロリン、アルギニン、システイン及びチロシンを含めた、無機酸化物基材を不動態化することが知られている不動態化剤を用いてもよい。イオン性及び非イオン性界面活性剤は、不動態化剤としても機能し得る。不動態化剤は、単独で、又は2種類以上の組み合わせ(例えば、アミノ酸と界面活性剤の組み合わせ)で使用することができる。
発泡防止剤としては、シリコーン、エチルアクリレートと2−エチルヘキシルアクリレートのコポリマー(所望により酢酸ビニルを更に含んでよい)、並びにトリアルキルホスフェート、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド及び(エチレンオキシド−プロピレンオキシド)ポリマーを含む抗乳化剤が挙げられる。発泡防止剤は、単独で又は2種類以上の組み合わせで使用することができる。
添加剤のその他の例としては、酸化剤及び/又は漂白剤(例えば過酸化水素)、硝酸及び硝酸第二鉄のような遷移金属錯体、潤滑剤、殺生物剤、石鹸が挙げられる。
いくつかの形態に係る研磨液中の1種の添加剤の濃度は、研磨液の質量を基準として、約0.01質量%以上、約0.1質量%以上、約0.25質量%以上、約0.5質量%以上、又は約1.0質量%以上であってもよく、約20質量%未満、約10質量%未満、約5質量%未満又は約3質量%未満であってもよい。
いくつかの形態に係る砥粒は、セラミックスを含むことができる。砥粒中のセラミックスは、セラミックマトリクスを形成していてもよく、特に多孔質セラミックマトリクスを形成していてもよい。本明細書で使用される「セラミックマトリクス」という用語は、ガラス質と結晶質の両方のセラミックス材料を含む。ガラス質のセラミックマトリクスは、少なくとも約30%の結晶相から最大約90%の1つ又は複数の結晶相が生成されるような熱処理によりもたらされる。
例示的な形態に係るセラミックマトリクスの少なくとも一部は、ガラス質セラミックスを含む。セラミックマトリクスは、セラミックマトリクスの質量を基準として、50質量%以上、70質量%以上、75質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上のガラス質セラミックスを含んでもよい。セラミックマトリクスは、本質的にガラス質セラミックスからなっていてもよい。
いくつかの形態に係るセラミックマトリクスは、例えば、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム、酸化マンガン、酸化亜鉛又はこれらの組み合わせを含む金属酸化物であることができる。セラミックマトリクスとしては、Si2O、B2O3及びAl2O3を含むアルミナ−ホウケイ酸ガラスを挙げることができる。アルミナ−ホウケイ酸ガラスは、約18%のB2O3、8.5%のAl2O3、2.8%のBaO、1.1%のCaO、2.1%のNa2O、1.0%のLi2Oを含み、その残りはSi2Oであり得る。アルミナ−ホウケイ酸ガラスは、Specialty Glass Incorporated(Oldsmar Florida)から市販されている。
本明細書で使用される「多孔質」という用語は、全体にわたって分布する細孔又は間隙を有する材料(ここではセラミックマトリクス)の構造を記述するために用いられる。細孔は、砥粒の外表面に向かって開かれていてもよいし、塞がれていてもよい。砥粒における細孔又は間隙の割合は、砥粒の見かけの体積を基準として、4容積%以上、7容積%以上、10容積%以上又は20容積%以上であってもよく、95容積%未満、90容積%未満、80容積%未満又は70容積%未満であってもよい。
多孔質セラミックマトリクスは、当該技術分野において周知の技術によって形成することができる。例えば、セラミックマトリクス前駆体を焼成する方法、又はセラミックマトリクス前駆体に孔形成剤、例えばガラスバブルを添加する方法によって形成することができる。
いくつかの形態に係る砥粒は、セラミックマトリクス中に分散された研磨粒子を含んでよい。研磨粒子の形状は、規則的でも不規則であってもよい。
砥粒がセラミックマトリクス及び研磨粒子を含有する場合、セラミックマトリクスの含有量は、セラミックマトリクス及び研磨粒子の合計質量を基準として、5質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、又は33質量%以上であってもよく、95質量%未満、90質量%未満、80質量%未満又は70質量%未満であってもよい。
いくつかの形態に係る研磨粒子を構成する材料としては、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素、溶融酸化アルミニウム、セラミック酸化アルミニウム、熱処理した酸化アルミニウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、アルミナジルコニア、酸化鉄、セリア、ガーネット及びこれらの組み合わせを挙げることができる。研磨粒子は、ダイヤモンドを含んでいてもよいし、ダイヤモンドから本質的になっていてもよい。ダイヤモンドは、天然又は合成ダイヤモンドであってよい。ダイヤモンド粒子は、単結晶又は多結晶であることができる。多結晶ダイヤモンドは、例えばMypodiamond Inc.(Smithfield,Pennsylvania)から「Mypolex」の商品名で市販されている。単結晶ダイヤモンドは、例えばDiamond Innovations(Worthington,Ohio)から入手できる。ダイヤモンド粒子は、金属コーティング(ニッケル、アルミニウム、銅等)、無機コーティング(例えばシリカ)又は有機コーティング等の表面コーティングを有してもよい。
2種以上の研磨粒子を組み合わせてもよい。例えば、ダイヤモンド粒子と、より柔らかい第2の研磨粒子とを組み合わせてもよい。この場合の第2の研磨粒子は、ダイヤモンド粒子よりも小さい平均粒子径を有していてもよい。
いくつかの形態に係る研磨粒子は、均一に(又は実質的に均一に)セラミックマトリクス全体に分散されてよい。本明細書で使用される「均一に分布」とは、砥粒中の任意の2つの部分における単位平均密度を比較したときに、単位平均密度が両者で20%超、15%超、10%超又は5%超で変動しないことを意味する。
研磨粒子の平均粒子径は、0.5μm以上、1μm以上又は3μm以上であってもよく、300μm未満、100μm未満又は50μm未満であってもよい。研磨粒子の平均粒子径は、平均長軸径、又は粒子を貫通する最長の線分の長さの平均値を意味する。研磨粒子の平均粒子径は、例えば、所望の切削速度及び/又は被加工物の所望の表面粗さをもたらすように選択することができる。研磨粒子は、8以上、9以上又は10以上のモース硬度を有してよい。
砥粒に含まれる研磨粒子の質量は、セラミックマトリクスの質量の1/20以上、1/10以上、1/6以上、又は1/3以上であってもよく、30/1未満、20/1未満、15/1未満又は10/1未満であってもよい。
いくつかの形態に係る砥粒は、充填剤、カップリング剤、界面活性剤及び発泡抑制剤等の更なる添加剤を含んでもよい。これら添加剤の量は、所望の特性をもたらすように選択され得る。砥粒は、1種類又は2種類以上の剥離剤を含んでよい。剥離剤が砥粒の外表面に付着していてもよい。剥離剤は、砥粒の凝集を防ぐために、砥粒の製造において使用することができる。剥離剤としては、例えば、金属酸化物(例えば酸化アルミニウム)、金属窒化物(例えば窒化ケイ素)、黒鉛及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
いくつかの形態に係る砥粒の平均粒子径は、5μm以上、10μm以上、15μm以上又は20μm以上であってもよく、1000μm未満、500μm未満、200μm未満又は100μm未満であってもよい。ここでの平均粒子径は、平均長軸径又は砥粒を貫通する最長の線分の長さを意味する。いくつかの形態に係る砥粒の平均粒子径は、研磨粒子の平均粒子径の3倍以上、5倍以上又は10倍以上であってもよく、研磨粒子の平均粒子径の30倍未満、20倍未満又は10倍未満であってもよい。
砥粒は、規則的でも不規則でもよい任意の形状を有することができる。砥粒は、例えば、立方体、ブロック状、円筒形、角柱形、角錐形、角錐台、円錐形、円錐台、球形、半球形、十字形又は柱様であってもよい。砥粒は、異なる形状及び/又はサイズの粒子の混合物であってもよい。砥粒は、回転楕円体であってもよい。
研磨液における砥粒の濃度は、流体成分の質量を基準として、0.065質量%以上、0.16質量%以上、0.33質量%以上又は0.65質量%以上であってもよく、6.5質量%未満、4.6質量%未満、3.0質量%未満又は2.0質量%未満であってよい。
いくつかの形態に係る研磨液は、剥離剤を更に含むことができる。その場合、流体成分の質量を基準とする砥粒及び剥離剤の合計濃度は、0.1質量%以上、0.25質量%以上、0.5質量%以上又は1.0質量%以上であってもよく、10質量%未満、7質量%未満、5質量%未満又は3質量%未満であってもよい。
砥粒は、例えば、鋳造、複製、微細複製、成形、噴霧、噴霧乾燥、微粒化、塗布、めっき、堆積、加熱、硬化、冷却、凝固、圧縮、圧縮形成、押出し、焼結、ブレージング(braising)、微粒子化、浸入、含浸、真空化、吹付け、破壊を含めた任意の粒子形成プロセス(マトリックス材料の選択に応じて)又は他の任意の利用可能な方法により形成することができる。
一般に、セラミックマトリクス及び研磨粒子を含む砥粒を製造する方法は、有機結合剤、溶剤、研磨粒子、及びセラミックマトリクス前駆体粒子(例えばガラスフリット)を混合することと、この混合物を高温で噴霧乾燥して、研磨粒子、セラミックマトリクス前駆体粒子及び有機結合剤を含む未焼結の複合粒子を作製することと、未焼結の複合粒子を、例えば板状白色アルミナと混合することと、得られた粉末混合物を、有機結合剤を除去しながら研磨粒子を含むセラミックマトリクス前駆体粒子をガラス化するのに十分な温度で焼きなますことと、砥粒を形成することを含む。形成後の砥粒は、任意で所望の粒子サイズにふるい分けすることができる。
いくつかの形態において、研磨液に有益な特性を付与する試薬で砥粒の表面改質してもよい。例えば、ガラス表面を酸又は塩基でエッチングして適切な表面pHをもたらすことができる。共有結合による改質表面は、1種類又は2種類以上の表面処理剤からなる表面処理で粒子を反応させることによって作製することができる。好適な表面処理剤の例としては、シラン類、チタン酸塩類、ジルコン酸塩類、有機リン酸塩類、及び有機スルホン酸塩類が挙げられる。シラン表面処理剤の例としては、オクチルトリエトキシシラン、ビニルシラン(例えば、ビニルトリメトキシシラン及びビニルトリエトキシシラン)、テトラメチルクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、トリス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]イソシアヌレート、ビニル−トリス−(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス−(γ−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、アクリルオキシアルキルトリメトキシシラン、メタクリルオキシアルキルトリメトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、SILQUEST A1230専売非イオン性シラン分散剤(Momentive(Columbus,Ohio)から入手可能)及びこれらの混合物が挙げられる。市販の表面処理剤の例としては、SILQUEST A174及びSILQUEST A1230(Momentiveから入手可能)が挙げられる。表面処理剤は、改質を施す表面の疎水的性質又は親水的性質を調整するために使用することができる。ビニルシランを用いて、別の試薬とビニル基を反応させることによって、更により高度な表面改質をもたらすことができる。反応性又は不活性の金属をガラスダイヤモンド粒子と組み合わせて、表面を化学的に又は物理的に変えることができる。スパッタリング、真空蒸着、化学蒸着(CVD)又は溶融金属技術を用いることができる。
いくつかの形態に係る、被加工物を研磨する方法は、上述の研磨システムを用いて行うことができる。この方法は、例えば、被加工物30をその被研磨面30Aが研磨面Sと対向するように研磨ヘッド20に保持する工程と、研磨ヘッド20に保持された被加工物30の被研磨面30Aを研磨液35が供給された研磨面Sの凹状の面に圧接させながら、研磨テーブル1を回転駆動して、それにより被研磨面30Aを研磨する工程と、を含む。
被加工物の材料は、金属、金属合金、金属酸化物、セラミックス、又はポリマー(一般に半導体ウェハ又は光学レンズの形態)であり得る。いくつかの実施形態では、被加工物は、サファイア(A面、R面、又はC面)、ケイ素、炭化ケイ素、石英、又はケイ酸塩ガラスなどの超硬質基板であり得る。加工後のサファイア結晶、シート、又はウェハは、例えば、発光ダイオード産業において、又は携帯機器のカバー層として有用である。
被加工物は、1つ又は2つ以上の被研磨面を有し得るが、いくつかの形態に係る方法は、1つの被研磨面を研磨する片面研磨に関する。片面研磨の場合、1つの被加工物が有する2つ以上の被研磨面を1つずつ順次研磨してもよい。
研磨テーブル1が回転することにより、研磨面Sと被研磨面30Aの間に相対運動が生じる。研磨テーブル1の回転速度は、例えば、5回転/分以上、15回転/分以上、又は30回転/分以上であってもよく、300回転/分以下、200回転/分以下、又は100回転/分以下であってもよい。研磨の間、研磨ヘッドは自由回転させておいてもよいし、所定の回転速度で回転駆動されてもよい。自由回転の場合、研磨テーブル1の回転に誘導されて研磨ヘッド20が回転し得る。研磨ヘッド20を回転駆動する場合、研磨ヘッド20の回転速度の研磨テーブル1の回転速度に対する比が、0.1以上、0.3以上、又は0.5以上であってもよく、30以下、10以下、又は5以下であってもよい。これら範囲内で研磨ヘッドの回転速度を制御することにより、回転速度向上、及び研磨の均一性改善の点でより顕著な効果が得られ得る。
研磨の間、研磨テーブルにより被加工物に印加される圧力は、例えば、被研磨面の面積1cm2当たり10〜1000gfの間で調整することができる。
研磨の間、研磨液35中の砥粒が研磨面Sにはめ込まれ得る。特に、研磨面Sが上述の窪みを形成している場合、研磨液35中の砥粒の一部又は全部が窪み内に保持されることで、研磨作業面が形成され得る。
いくつかの形態に係る方法では、研磨の途中で、研磨液の供給量及び/又は組成を変化させてもよい。例えば、研磨液の供給量が、初期の供給量と比べて、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%低減されてもよい。最終段階で供給される研磨液(第2の研磨液)における砥粒の濃度が、初期の研磨液(第1の研磨液)における砥粒の濃度の30%未満、40%未満、50%未満、60%未満、70%未満、80%未満、90%未満、又は100%未満であってもよい。いくつかの形態に係る第2の研磨液における砥粒の濃度は、研磨液の質量を基準として、0.5質量%未満、0.3質量%未満、又は0.1質量%未満であり得る。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
研磨液スラリーの調製
デキストリン(Standex 230、Staley Manufacturing社製)49gを1100gのイオン交換水に投入し、10分間攪拌した。そこに、720gの粉砕したガラス粉(平均粒子径1.5μm、Specialty Glass社製)を投入した。その後、880gの単結晶ダイヤモンド粒子(粒子径1.5μm、Worldwide Superabrasives社製)を投入して攪拌した。得られた水性分散液を、遠心分離アトマイザ(スプレードライヤー)を用いて噴霧化し、形成された液滴を乾燥して、単結晶ダイヤモンド粒子、ガラス粉及びデキストリンを含む粉体を得た。噴霧化の際、アトマイザーホイールを分速20000回転に設定し、200℃のエアーを供給した。
デキストリン(Standex 230、Staley Manufacturing社製)49gを1100gのイオン交換水に投入し、10分間攪拌した。そこに、720gの粉砕したガラス粉(平均粒子径1.5μm、Specialty Glass社製)を投入した。その後、880gの単結晶ダイヤモンド粒子(粒子径1.5μm、Worldwide Superabrasives社製)を投入して攪拌した。得られた水性分散液を、遠心分離アトマイザ(スプレードライヤー)を用いて噴霧化し、形成された液滴を乾燥して、単結晶ダイヤモンド粒子、ガラス粉及びデキストリンを含む粉体を得た。噴霧化の際、アトマイザーホイールを分速20000回転に設定し、200℃のエアーを供給した。
得られた粉体とアルミナ粒子(平均粒子径3μm、フジミ社製)とを、アルミナ粒子の割合が全体の35質量%となるようなの比率で混合し、混合物を750℃で1時間の加熱により焼成した。焼成物を63μmの開口部を有する篩に通して、セラミックマトリクス中に研磨粒子としての単結晶ダイヤモンド粒子が分散している、約63μm以下の粒子径を有する砥粒を得た。
得られた砥粒、エチレングリコール、及び添加剤(Challenge 543HT、ケメットジャパン社製)を混合して、研磨液スラリーを得た。研磨液スラリーにおける各成分の配合比は以下のとおりである。
・砥粒:2質量%
・エチレングリコール:93質量%
・添加材:5質量%
(合計100質量%)
・砥粒:2質量%
・エチレングリコール:93質量%
・添加材:5質量%
(合計100質量%)
研磨試験1
外径(外周の直径)910mm、内径(内周の直径)200mmのドーナツ形状の主表面を有し、主表面に複数の窪みが配列されたポリプロピレンシート(厚み650μm)を研磨パッド層として準備した。窪みは1辺約700μmの略正方形の開口部を有しており、ポリプロピレンシートの全面にわたって、約700μmの間隔を空けながら格子状に配列していた。このポリプロピレンシートを研磨パッド層として用い、これを定盤の円形の主表面に結合層としての両面テープで貼り付けた。
外径(外周の直径)910mm、内径(内周の直径)200mmのドーナツ形状の主表面を有し、主表面に複数の窪みが配列されたポリプロピレンシート(厚み650μm)を研磨パッド層として準備した。窪みは1辺約700μmの略正方形の開口部を有しており、ポリプロピレンシートの全面にわたって、約700μmの間隔を空けながら格子状に配列していた。このポリプロピレンシートを研磨パッド層として用い、これを定盤の円形の主表面に結合層としての両面テープで貼り付けた。
その状態で、ポリプロピレンシートの主表面(研磨面)をダイヤモンドパッドコンディショナー又はフェイシング装置を用いて研磨して、研磨面の内周部分が最も深くなる凹状の面を形成させた。同様の操作により最大深さが異なる数種の研磨面を形成させた。
形成された凹状の面の深さを、研磨面の直径方向に沿って数カ所測定することで、凹状の面の深さ分布を確認した。図6は、形成された凹状の面の深さ分布の一例を示すグラフである。“1”及び“7”の位置が研磨面の外縁(外周)の位置で、“4”が研磨面の内周部分である。研磨面の内周部分の最大深さが100μm程度である凹状の面が形成されていることが確認された。
図1と本質的に同様の構成を有する研磨システムにより、定盤及び上記ポリプロピレンシートを研磨テーブルとして用いながら、被加工物のサンプルとしてのサファイアウェハを以下の条件で研磨した。1つの研磨ヘッドに6個のサンプルを保持し、それらを研磨した。研磨液として、上述の“研磨液スラリーの調製”において得た研磨液スラリーを用いた。深さが異なる凹状の面が形成された研磨テーブル、及び、凹状の面を形成する加工が施されていない研磨テーブルを用いて研磨を行った。
・ウェハ面積1cm2あたりの荷重:300gf
・定盤(研磨テーブル)の回転数:60回転/分
・研磨ヘッド:自由回転
・研磨時間:15分間
・ウェハ面積1cm2あたりの荷重:300gf
・定盤(研磨テーブル)の回転数:60回転/分
・研磨ヘッド:自由回転
・研磨時間:15分間
研磨後のサファイアウェハの厚みを、中央部とその両側の外縁近傍の3箇所で測定し、厚みの最大値と最小値の差を、厚みバラツキとして記録した。6個のサンプルの厚みバラツキの平均値を求めた。図7は、測定された厚みバラツキと、研磨面の最大深さdとの関係を示すグラフである。図中、最大深さdが約10μmのプロットは、凹状の面が形成されていない研磨テーブルによる試験例の結果を示す。この場合も、ポリプロピレンシートが元々有していた微小な凹凸のため、最大深さdが厳密に0とはならない。
図7に示されるように、研磨面が凹状であることにより、研磨後のウェハの厚みバラツキが有効に低減されることが確認された。さらに、ウェハの厚みバラツキと最大深さdととが良好に相関することも認められており、このことから、凹状の面の傾きが大きくなると、研磨の均一性が向上する傾向にあることも示唆された。
研磨試験2
研磨試験1と同様に最大深さdが約100μmの凹状の面が形成された研磨テーブルを用いて、研磨ヘッドの回転数の影響を検討した。以下の条件で、1つの研磨ヘッドにサファイアウェハの6個のサンプルを保持し、それらを研磨した。研磨液として、上述の“研磨液スラリーの調製”において得た研磨液スラリーを用いた。
・ウェハ面積1cm2あたりの荷重:400gf
・定盤(研磨テーブル)の回転数:60回転/分
・研磨ヘッド:40回転/分、55回転/分、60回転/分、又は80回転/分
・研磨時間:15分間
研磨試験1と同様に最大深さdが約100μmの凹状の面が形成された研磨テーブルを用いて、研磨ヘッドの回転数の影響を検討した。以下の条件で、1つの研磨ヘッドにサファイアウェハの6個のサンプルを保持し、それらを研磨した。研磨液として、上述の“研磨液スラリーの調製”において得た研磨液スラリーを用いた。
・ウェハ面積1cm2あたりの荷重:400gf
・定盤(研磨テーブル)の回転数:60回転/分
・研磨ヘッド:40回転/分、55回転/分、60回転/分、又は80回転/分
・研磨時間:15分間
研磨後のサンプルの厚みを測定して、研磨試験1と同様に厚みバラツキを求めた。また、研磨により減少した厚みの平均値及び研磨時間から、研磨速度を求めた。図8は、研磨速度及び研磨後の厚みバラツキと、研磨ヘッドの回転数との関係を示すグラフである。図8から、研磨ヘッドを機械的に回転駆動しながら被加工物を研磨することにより、低い厚みバラツキを維持しながら、更に高い研磨速度で研磨できることが確認された。なお、研磨ヘッドが自由回転である以外は同様の条件で研磨を行った場合、研磨速度は40回転/分の場合よりも遅く、2.30μm/分程度である。
1…研磨テーブル、1E…研磨面の外縁、10…定盤、11…研磨パッド構成体、15…研磨テーブル用駆動アセンブリ、20…研磨ヘッド、25…研磨ヘッド用駆動アセンブリ、30…被加工物、30A…被研磨面、35…研磨液、41…研磨パッド層、42…第2の研磨パッド層、43…第3の研磨パッド層、41a,42a,43a…上部主表面、41b,42b,43b…下部主表面、51…結合層、52…第2の結合層、60…研磨面の窪み、100…研磨システム、d…研磨面(凹状の面)の最大深さ、r…研磨面の最大幅、S…研磨面、A…研磨テーブルの回転方向、B…研磨ヘッドの回転方向、X…研磨テーブルの回転軸、Y…研磨ヘッドの回転軸。
Claims (10)
- 被加工物の1つの被研磨面を研磨するための研磨システムであって、
前記被研磨面を圧接させるための研磨面を有し、該研磨面と交差する回転軸のまわりに回転駆動可能な研磨テーブルと、
前記被加工物を前記被研磨面が前記研磨面と対向するように保持するための研磨ヘッドと、
を備え、
前記研磨面が、前記研磨面の外縁側から前記回転軸側に向けて深くなる凹状の面を含む、
研磨システム。 - 前記凹状の面の最大深さがdで、前記研磨面の最大幅がrであるとき、r/dが100〜50000である、請求項1に記載の研磨システム。
- 前記研磨ヘッドが、前記研磨面と対向する平面内で前記回転軸と略平行な軸のまわりに回転駆動可能である、請求項1又は2に記載の研磨システム。
- 前記研磨テーブルが、定盤と、前記定盤の主表面上に設けられた研磨パッド構成体と、
を有し、
前記研磨パッド構成体が、上部主表面及び下部主表面を有し前記上部主表面が前記研磨面である研磨パッド層を含み、
前記研磨パッド層が、有機樹脂材料の成形体である、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の研磨システム。 - 前記上部主表面が窪みを形成している、請求項4に記載の研磨システム。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の研磨システムを準備する工程と、
被加工物をその被研磨面が前記研磨面と対向するように前記研磨ヘッドに保持する工程と、
前記研磨ヘッドに保持された前記被加工物の前記被研磨面を研磨液が供給された前記研磨面の前記凹状の面に圧接させながら、前記研磨テーブルを回転駆動して、それにより前記被研磨面を研磨する工程と、
を備える、
被加工物の1つの被研磨面を研磨する方法。 - 前記研磨液が、流体成分と、該流体成分中に分散した、セラミックスを含む砥粒と、を含有する、請求項6に記載の方法。
- 研磨面を有し該研磨面と交差する回転軸のまわりに回転駆動可能な研磨テーブルと、前記研磨面と対向する平面内で前記回転軸と略平行な軸のまわりに回転駆動可能な研磨ヘッドと、を備える研磨システムを準備する工程と、
被加工物をその被研磨面が前記研磨面と対向するように前記研磨ヘッドに保持する工程と、
前記研磨ヘッドに保持された前記被加工物の前記被研磨面を研磨液が供給された前記研磨面に圧接させながら、前記研磨テーブル及び前記研磨ヘッドを回転駆動して、それにより前記被研磨面を研磨する工程と、
を備え、
前記研磨テーブルが、定盤と、前記定盤の主表面上に設けられた研磨パッド構成体と、
を有し、
前記研磨パッド構成体が、上部主表面及び下部主表面を有し前記上部主表面が前記研磨面である研磨パッド層を含み、
前記研磨パッド層が、有機樹脂材料の成形体である、
被加工物の1つの被研磨面を研磨する方法。 - 前記上部主表面が窪みを形成している、請求項8に記載の方法。
- 前記研磨液が、流体成分と、該流体成分中に分散した、セラミックスを含有する砥粒と、を含む、請求項8又は9に記載の方法。
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2016
- 2016-05-27 JP JP2016106544A patent/JP2017209772A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US11486902B2 (en) | 2018-06-08 | 2022-11-01 | 3M Innovative Properties Company | Impedance assembly |
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