JP2017207386A - 金属板の粗さ推定方法及び粗さ推定装置 - Google Patents
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Abstract
Description
規格粗さを測定する技術としては、例えば、特許文献1には、円周方向に形成されたテクスチャを有する磁気ディスク基板の表面にレーザ光を照射して、該磁気ディスク基板の表面の粗さを測定する方法が開示されている。
しかし、その反面で、これらの粗さ測定装置には、レーザの散乱状態を計測する計測機器や計測機器で計測された散乱状態に基づいて綿密に複雑な計算を行うため、どうしても規格粗さの計算に時間や手間が必要となる。
即ち、本発明の金属板の粗さ推定方法は、表面に凹凸を有する金属板に対して測定光を照射し、入射された測定光のうち、少なくとも凹凸の凸部で正反射した反射光を撮像し、撮像された凸部の反射光を明点とし、前記明点の個数と面積とを算出し、算出された明点の個数と面積とに基づいて前記凹凸の粗さを表す周期モデルを作成し、作成された周期モデルから金属板表面の規格粗さを推定することを特徴とするものである。
なお、好ましくは、前記粗さを推定する金属板表面の領域を、前記金属板表面のうねりの波長より小さい範囲に設定するとよい。
また、本発明の金属板の粗さ推定装置は、表面に凹凸を有する金属板に対して測定光を照射する光源と、前記光源から入射された測定光のうち、少なくとも前記凹凸の凸部で正反射した反射光を撮像する撮像部と、前記撮像部で撮像された前記凸部の反射光を明点とすると共に、前記明点の個数を計測する明点個数計数部と、前記撮像部で撮像された前記凸部の反射光を明点とすると共に、前記明点の面積を算出する明点面積算出部と、前記明点個数計数部で算出された明点個数と、前記明点面積算出部で算出された明点面積とに基づいて、前記金属板表面の周期モデルを作成し、作成された周期モデルから前記金属板表面の規格粗さを推定する粗さ推定部と、を備えていることを特徴とするものである。
以下、本発明の金属板の粗さ推定方法及び装置の第1実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。
図1は、第1実施形態における推定方法が実施される粗さ推定装置1を模式的に示したものである。
本実施形態の粗さ推定装置1で粗さを推定する対象物は、表面にサブミクロンオーダ以上の凹凸が形成された金属板Wである。このような金属板Wとしては、圧延、鍛造、押出、研削、研磨、放電加工などの金属加工が行われた、あるいは金属加工中の鋼板やアルミ板が挙げられる。このような金属板Wとしては、例えばRaが0.05μm〜5μm、好ましくは0.1μm〜3μm程度の表面粗さを備えたもの、あるいは1mm当たりのピークカウント値が1〜100、より好ましくは5〜20となるようなものを用いることができる。ピークカウント値の詳細は後述する。
本実施形態の粗さ推定装置1を構成する光源2は、金属板Wの表面に対して測定光を照射するものであり、蛍光灯、LED、レーザなどの各種照明を用いることができる。
この光源2は、粗さを推定しようとする金属板Wの表面上の計測エリアに対して、この計測エリアの斜め上方(ほぼ上方)から測定光を入射できるようになっており、計測エリアから水平方向及び垂直方向に所定の距離をあけて離れた位置に配備されている。具体的には、計測エリアから光源2までの距離は、測定光を照射する計測エリアの面積が、代表的な凹凸の10倍から20倍程度にとなるような位置に設定されるのが好ましい。
なお、この撮像部3で撮像される金属板表面の領域、言い換えれば後述する計測エリアの測定長さLは、金属板Wの表面のうねりが粗さの推定値に影響しないようなカットオフ値を設定することで、金属板Wの表面のうねりの波長より小さい範囲に設定されているのが好ましい。
次に、図3の「B」点での反射を考える。この「B」点は、凸部8の頂点から水平方向にやや離れた場所に位置しており、表面の傾きは0°よりも大きなθ°となっている。そのため、この「B」点では、光源2から照射された測定光は、上述した「A」点よりαだけ大きな(θ+α)°の入射角で「B」点に入射する。そして、「B」点で正反射した反射光は、反射角−(θ+α)°で撮像部3に向かう。
演算部4は、具体的にはパソコンなどの演算装置で構成されており、明点個数計数部5、明点面積算出部6、粗さ推定部7を有している。
なお、画像上の明点9の個数から算出したピークカウントの値にあらかじめばらつきを考慮し、閾値以下のピーク分を削減するフィルタリング処理を追加することもできる。このようなフィルタリング処理としては、計測されたピークの中から、ピーク強度が低いものを全データ数の10%程度除くといった操作を採用することができる。このようにして明点個数計数部5で計数された明点9の個数は、粗さ推定部7に送られる。
具体的には、上述した明点個数計数部5で計数された明点9の個数pは計測エリア内に凹凸が何波長分含まれているかを示すものであるため、計測エリアの測定長さLを明点9の個数pの2倍で除したものが、表面の凹凸1周期分の長さωとなる。つまり、明点9の個数p(フィルタリング処理後の個数)は、計測エリアの測定長さLと凹凸の1周期分の波長ωとを用いて、式(1)のように示される。
一方、凹凸の振幅aは、明点面積算出部6で算出された明点9の面積(平均面積)を用いて求めることができる。
つまり、表面の傾きがθ°となる点(図3のB点)から、表面の傾きが−θ°となる点(図3のC点)までの範囲で正反射した反射光が撮像部3で撮像されるような光学系では、光源2の幅をWl、光源2から観測点までの距離をWdとした場合に、表面の傾きtanθは次式(6)で示される。
[第2実施形態]
次に、本発明にかかる金属板の粗さ推定方法及び装置の第2実施形態の説明を行う。
第2実施形態における推定方法が実施される粗さ推定装置1は、図1に示すものであり、第1実施形態の粗さ推定装置と略同様の構成を有する。
一方、金属板Wの表面の粗さを示す指標として面算術平均粗さ(Sa)があり、この面算術平均粗さ(Sa)は二次元的な平均粗さを表すものである。本実施形態では、金属板Wの表面に二次元的に広がる光点のデータを1ライン分のデータに代表させるようにした上で、第1実施形態の考え方を用いて算術平均粗さ(Ra)を算出し、算出した算術平均粗さ(Ra)を用いて面算術平均粗さ(Sa)を推定するようにしている。
まず、面粗さSaは、定義に従えば、以下の式(9)のように与えられる。
一方、画像の横方向に沿った算術平均粗さRa(x)及び画像の縦方向に沿った算術平均粗さRa(y)は、次の式(11)及び式(12)で与えられる。
なお、上述したRa(x)やRa(y)を計算するためには、横方向に沿った基準長さLb(x)や縦方向に沿った基準長さLb(y)を予め求めておく必要がある。この基準長さLb(x)やLb(y)は、ある座標における代表値を用いるようにしても良いし、画像全体における基準長さの平均値を用いてもよい。また、2値化した後の有効ラベル面積の平均値を円の面積として半径を計算し、計算された値をLbとすることによって、Lb(x)やLb(y)を求めるようにしてもよい。
なお、横方向に沿った粗さの変化傾向と縦方向に沿った粗さ変化傾向とが略同じ場合には、式(11)及び式(12)は式(18)に示すように簡略化して示すこともできる。
次に、本発明の効果を、実施例を用いてさらに詳しく説明する。
実施例1は、本実施形態の粗さ推定装置1を用いて放電加工を施した金属板表面の粗さを実際に推定(計測)した例である。光源2に用いた照明は、3mm幅のライン状の光源2を計測エリアからWD=60mm離した位置に設置されており、入射角θ=0.71度で測定光を入射できるようになっている。撮像部3に用いたカメラは、1μm/pixelの分解能で、絞りがF=16のものである。また、この撮像部3では、100μsecの間隔で、縦1000pixel×横2000pixelの画像が撮像されている。
図5に示すプロファイルで、輝度の高さが輝度ばらつきの標準偏差の2倍以上となるような部分を輝度ピークと考え、輝度ピークの個数pを計数すると、p=13 (ピークカウント値=13)となった。
また、実施例1では触針式の粗さ計との比較がとりやすいように1ライン分の輝度を用いて算出したが、画像全体の面積と、画像全体に存在する明点9の総面積とを利用しても同様の結果を得ることが可能である。
[実施例2]
実施例2は、本実施形態の粗さ推定装置1を用いて放電加工を施した金属板表面の粗さを実際に推定(計測)した例である。
また、撮像部3は、NA=0.025、WD=40mmのテレセントリックレンズを備え、計測エリアからWD=40mm位置に離した位置に設置されており、入射角θ=0.71度で測定光を入射できるようになっている。撮像部6に用いたカメラは、1μm/pixelの分解能で、NA=0.025、WD=40mmのものである。また、この撮像部3では、40μsecの露光時間で、縦1024pixel×横1280pixelの画像が撮像されている。
図5の輝度ピークが得られる13個の明点9に対して、各明点9の間隔及び面積を求め、求められた明点9の間隔及び面積から表面の面算術平均粗さ(Sa)を推定すると、Sa=0.762μmとなった。このSa=0.762μmという算術平均粗さの推定値は、位置誤差1mm以内の箇所を触針式の粗さ計で実際に測定した場合にSa=0.78μmという数値が算術平均粗さの実測値として得られることから、比較的良好な精度で粗さを推定できていることがわかる。同一サンプルを40箇所計測して得られたSaの平均値は0.79μm、標準偏差0.06μmであったことからも概ね良好な精度でSaを推定できているといえる。
上述した金属板Wの粗さ推定方法及び推定装置では、金属板Wの表面で正反射した反射光の明点個数と明点面積とが分かれば、金属板Wの規格粗さを簡易に推定することができる。そのため、金属板Wの反射光に基づいて精確に粗さ曲線を求め、求められた粗さ曲線からRaやRrmsなどの規格粗さを算出するのに比べれば、簡便且つ短時間で粗さを求めることが可能となり、製造現場などのように迅速に規格粗さを得たい場合などに有利となる。
2 光源
3 撮像部
4 演算部
5 明点個数計数部
6 明点面積算出部
7 粗さ推定部
8 凸部
9 明点
W 金属板
Claims (4)
- 表面に凹凸を有する金属板に対して測定光を照射し、
入射された測定光のうち、少なくとも凹凸の凸部で正反射した反射光を撮像し、
撮像された凸部の反射光を明点とし、
前記明点の個数と面積とを算出し、
算出された明点の個数と面積とに基づいて前記凹凸の粗さを表す周期モデルを作成し、
作成された周期モデルから金属板表面の規格粗さを推定することを特徴とする金属板の粗さ推定方法。 - 前記周期モデルに、三角関数を含むものを用いることを特徴とする請求項1に記載の金属板の粗さ推定方法。
- 前記粗さを推定する金属板表面の領域を、前記金属板表面のうねりの波長より小さい範囲に設定することを特徴とする請求項1または2に記載の金属板の粗さ推定方法。
- 表面に凹凸を有する金属板に対して測定光を照射する光源と、
前記光源から入射された測定光のうち、少なくとも前記凹凸の凸部で正反射した反射光を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された前記凸部の反射光を明点とすると共に、前記明点の個数を計測する明点個数計数部と、
前記撮像部で撮像された前記凸部の反射光を明点とすると共に、前記明点の面積を算出する明点面積算出部と、
前記明点個数計数部で算出された明点個数と、前記明点面積算出部で算出された明点面積とに基づいて、前記金属板表面の周期モデルを作成し、作成された周期モデルから前記金属板表面の規格粗さを推定する粗さ推定部と、
を備えていることを特徴とする金属板の粗さ推定装置。
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