JP2017207386A - 金属板の粗さ推定方法及び粗さ推定装置 - Google Patents

金属板の粗さ推定方法及び粗さ推定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 金属板の表面におけるRaやRrmsなどの規格粗さを簡易かつ短時間に求める。【解決手段】本発明に係る金属板Wの粗さ推定方法は、表面に凹凸を有する金属板Wに対して測定光を照射し、入射された測定光のうち、少なくとも凹凸の凸部8で正反射した反射光を撮像し、撮像された凸部8の反射光を明点9とし、明点9の個数と面積とを算出し、算出された明点9の個数と面積とに基づいて凹凸の粗さを表す周期モデルを作成し、作成された周期モデルから金属板表面の規格粗さを推定することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、表面に凹凸を有する金属板の粗さを簡易かつ高速に推定する粗さ推定方法及び粗さ推定装置に関するものである。
従来より、圧延、研削、放電加工などの金属加工を行った金属板の表面には、筋状や山状の突起を有する凹凸が繰り返し現れるような微視的構造が形成される。このような微視的構造を表現する粗さのパラメータには、Ra(算術平均粗さ)やRrms(二乗平均平方根粗さ)などが用いられている。このような粗さのパラメータは、日本工業規格(JIS)、ドイツ工業規格(DIN)、アメリカ機械工学会規格(ASME)などに定義されている。
これらのRaやRrmsなどの規格粗さ(以降、JISなどに規格が存在する粗さのパラメータを規格粗さと表現する)は、従来より触針(プローブ)を用いた接触式、または光散乱を用いた非接触方式などの粗さ計測装置を用いて測定されている。
規格粗さを測定する技術としては、例えば、特許文献1には、円周方向に形成されたテクスチャを有する磁気ディスク基板の表面にレーザ光を照射して、該磁気ディスク基板の表面の粗さを測定する方法が開示されている。
また、特許文献2には、微小な凹凸に加えて周期と変動量の大きな凹凸が存在する測定対象物の表面粗さも検出できる光学式表面粗さ測定装置が開示されている。
特開2006−64496号公報 特開2011−196736号公報
ところで、特許文献1や特許文献2の粗さ測定装置は、測定対象物である金属板の表面で反射したレーザの反射光の散乱状態に基づいてRaやRrmsなどの規格粗さを算出する構成となっており、比較的精度良く規格粗さを求めることができる構成とされている。
しかし、その反面で、これらの粗さ測定装置には、レーザの散乱状態を計測する計測機器や計測機器で計測された散乱状態に基づいて綿密に複雑な計算を行うため、どうしても規格粗さの計算に時間や手間が必要となる。
ところが、実際の製造現場では、得られた規格粗さに関する情報に基づいてできる限り短時間で製造条件などを修正したいという要望があり、複雑な計算を時間をかけるよりは、多少精度が落ちても短時間で粗さの結果が得られる方が有効な場合も多い。このような点で、規格粗さの算出に時間がかかる特許文献1や特許文献2の粗さ測定装置は、製造現場での製造条件などの管理に用いるには不向きなものとなっていた。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、金属板の表面の規格粗さを簡易かつ短時間に求めることができる金属板の粗さ推定方法及び粗さ推定装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の金属板の粗さ推定方法は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明の金属板の粗さ推定方法は、表面に凹凸を有する金属板に対して測定光を照射し、入射された測定光のうち、少なくとも凹凸の凸部で正反射した反射光を撮像し、撮像された凸部の反射光を明点とし、前記明点の個数と面積とを算出し、算出された明点の個数と面積とに基づいて前記凹凸の粗さを表す周期モデルを作成し、作成された周期モデルから金属板表面の規格粗さを推定することを特徴とするものである。
なお、好ましくは、前記周期モデルに、三角関数を含むものを用いるとよい。
なお、好ましくは、前記粗さを推定する金属板表面の領域を、前記金属板表面のうねりの波長より小さい範囲に設定するとよい。
また、本発明の金属板の粗さ推定装置は、表面に凹凸を有する金属板に対して測定光を照射する光源と、前記光源から入射された測定光のうち、少なくとも前記凹凸の凸部で正反射した反射光を撮像する撮像部と、前記撮像部で撮像された前記凸部の反射光を明点とすると共に、前記明点の個数を計測する明点個数計数部と、前記撮像部で撮像された前記凸部の反射光を明点とすると共に、前記明点の面積を算出する明点面積算出部と、前記明点個数計数部で算出された明点個数と、前記明点面積算出部で算出された明点面積とに基づいて、前記金属板表面の周期モデルを作成し、作成された周期モデルから前記金属板表面の規格粗さを推定する粗さ推定部と、を備えていることを特徴とするものである。
本発明の金属板の粗さ推定方法及び粗さ推定装置によれば、金属板の表面の規格粗さを簡易かつ短時間に求めることができる。
本発明の金属板の粗さ推定装置を模式的に示した斜視図である。 金属板の表面の凹凸と周期モデルとの関係を示す模式図である。 金属板の表面の凸部で正反射する反射光を示した模式図である。 凸部の範囲と明点のサイズとの関係を示した模式図である。 実施例において撮像された1ライン分の輝度分布を示したグラフである。
[第1実施形態]
以下、本発明の金属板の粗さ推定方法及び装置の第1実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。
図1は、第1実施形態における推定方法が実施される粗さ推定装置1を模式的に示したものである。
図1に示すように、本実施形態の粗さ推定装置1は、表面に凹凸を有する金属板Wに対して測定光を照射する光源2と、光源2から入射された測定光のうち、少なくとも金属板表面の凹凸の凸部8で正反射した反射光を撮像する撮像部3と、を備えている。また、この粗さ推定装置1は、撮像部3で撮像された凸部8の反射光に基づいて金属板表面の規格粗さを推定する演算部4を有している。
この演算部4は、凸部8の反射光を明点9とすると共に、明点9の個数を計測する明点個数計数部5と、撮像部3で撮像された凸部8の反射光を明点9とすると共に、明点9の面積を算出する明点面積算出部6とを有している。そして、この粗さ推定装置1は、上述した演算部4に、明点個数計数部5で算出された明点個数と、明点面積算出部6で算出された明点面積とに基づいて、金属板表面の周期モデルを作成し、作成された周期モデルから金属板表面の規格粗さを推定する粗さ推定部7が設けられることを特徴としている。
具体的には、上述した粗さ推定装置1は、金属板Wの表面の粗さを細密に計測するものではなく、広範に亘る粗さを推定するものとなっており、JISなどに規定されたRa(算術平均粗さ JIS B 0601(1994年))やRrms(二乗平均粗さ JIS B 0601(1994年))などの規格粗さの値を推定可能なように構成されている。
次に、本実施形態の粗さ推定装置1で粗さを推定する対象物、及び本実施形態の粗さ推定装置1を構成する光源2、撮像部3、演算部4、明点個数計数部5、明点面積算出部6及び粗さ推定部7について説明する。
本実施形態の粗さ推定装置1で粗さを推定する対象物は、表面にサブミクロンオーダ以上の凹凸が形成された金属板Wである。このような金属板Wとしては、圧延、鍛造、押出、研削、研磨、放電加工などの金属加工が行われた、あるいは金属加工中の鋼板やアルミ板が挙げられる。このような金属板Wとしては、例えばRaが0.05μm〜5μm、好ましくは0.1μm〜3μm程度の表面粗さを備えたもの、あるいは1mm当たりのピークカウント値が1〜100、より好ましくは5〜20となるようなものを用いることができる。ピークカウント値の詳細は後述する。
なお、正反射が可能な表面を有するものであって、表面に微小な凹凸などが多数形成された板材であれば、鋼やアルミ以外の金属板Wの粗さを推定する場合であっても上述した粗さ推定装置1は適用可能である。
本実施形態の粗さ推定装置1を構成する光源2は、金属板Wの表面に対して測定光を照射するものであり、蛍光灯、LED、レーザなどの各種照明を用いることができる。
このような光源2には、スポット状の照明を用いることもできるが、好ましくはライン状の照明が用いられる。光源2にスポット光でなくライン光を用いれば、測定光の入射角や入射方向によっては反射光が得られないような表面に対しても、粗さの推定を行うことが可能となる。
この光源2は、粗さを推定しようとする金属板Wの表面上の計測エリアに対して、この計測エリアの斜め上方(ほぼ上方)から測定光を入射できるようになっており、計測エリアから水平方向及び垂直方向に所定の距離をあけて離れた位置に配備されている。具体的には、計測エリアから光源2までの距離は、測定光を照射する計測エリアの面積が、代表的な凹凸の10倍から20倍程度にとなるような位置に設定されるのが好ましい。
撮像部3は、金属板Wの表面で反射した測定光の反射光を撮像可能なものであって、金属板Wの表面で反射した反射光を少なくとも1ライン分以上の範囲に亘って連続して撮像可能なカメラが用いられる。このようなカメラには、反射光の反射位置が多少ずれた場合にも受光が可能なような2次元(面状)のCCDカメラが好適に用いられる。
なお、この撮像部3で撮像される金属板表面の領域、言い換えれば後述する計測エリアの測定長さLは、金属板Wの表面のうねりが粗さの推定値に影響しないようなカットオフ値を設定することで、金属板Wの表面のうねりの波長より小さい範囲に設定されているのが好ましい。
また、撮像部3は、計測エリアを挟んで光源2と対称となる位置に配備されており、金属板Wの表面で反射した測定光の反射光を撮像可能となっている。具体的には、計測エリアの表面に直交する線(図3の1点鎖線のように凸部8の頂部を通る鉛直な線)を基準として、撮像部3は光源2と線対称となる位置に配備されている。このように計測エリアを挟んで光源2と対称となる位置に撮像部3を設ければ、光源2から放射された測定光が金属板Wの表面の計測エリアに正反射した際にも、撮像部3で反射光を確実に撮像することが可能となる。
例えば、図3の「A」点での反射を考える。この「A」点は金属板表面の凸部8の頂点付近に位置しており、表面の傾きは0°となっている。そのため、光源2から入射する測定光の入射角が鉛直方向を規準としてθ°となる場合は、「A」点で正反射した測定光の反射光は反射角−θ°で撮像部3に向かう。
次に、図3の「B」点での反射を考える。この「B」点は、凸部8の頂点から水平方向にやや離れた場所に位置しており、表面の傾きは0°よりも大きなθ°となっている。そのため、この「B」点では、光源2から照射された測定光は、上述した「A」点よりαだけ大きな(θ+α)°の入射角で「B」点に入射する。そして、「B」点で正反射した反射光は、反射角−(θ+α)°で撮像部3に向かう。
また、図3の「C」点に示すように凸部8の頂点から「B」点とは反対方向に向かって水平にやや離れた位置での反射を考える。この「C」点では、面の傾きは0°よりも小さな−θ°となっている。この「C」点では、光源2からの測定光は、上述した「A」点よりαだけ小さな(θ−α)°の角度で入射する。そして、計測エリアで正反射した反射光は、反射角−(θ−α)°で撮像部3に向かう。
つまり、上述した凸部8の場合であれば、「B」点からの反射と「C」点からの反射光とはやがて交差し焦点の1点に収束するので、この焦点に撮像部3(カメラ)を設置すれば、金属板Wの表面の凹凸で反射する反射光のうち、凸部8の頂点の付近で反射するものだけ、言い換えれば表面の傾きが−θ°〜+θ°となるような部分で反射する反射光だけを選択的に撮像することが可能となる。例えば、図2に示すように、金属板Wの表面に多数の凸部8が存在すれば、それぞれの凸部8の頂点付近(言い換えれば、表面の傾きが−θ°〜+θ°となるような部分)で反射した反射光が、撮像された画面上に多数の明点9として分布するようになる。つまり、この明点9の寸法や分布は金属板表面の粗さ曲線に対応したものとなっているので、これらを計測することができれば粗さ曲線を推定することが可能となり、規格粗さを算出することも可能となる。
なお、上述した明点9の寸法や分布を明らかにするだけであれば、金属板表面のうち少なくとも1ライン分以上の範囲を連続して撮像できればよいので、本実施形態の撮像部3では図2に示すように金属板表面を1ライン分撮像し、撮像された画像のデータを演算部4に送る構成とされている。
演算部4は、具体的にはパソコンなどの演算装置で構成されており、明点個数計数部5、明点面積算出部6、粗さ推定部7を有している。
明点個数計数部5は、撮像部3で撮像された1ライン分の画像のデータに表示される明点9の個数、言い換えれば1ライン分の画像のデータからピークカウント値を算出するものである。この明点個数計数部5で計数される明点9の個数(ピークカウント値)は、上述した凹凸の凸部8の数に相当していると考えることができる。
なお、画像上の明点9の個数から算出したピークカウントの値にあらかじめばらつきを考慮し、閾値以下のピーク分を削減するフィルタリング処理を追加することもできる。このようなフィルタリング処理としては、計測されたピークの中から、ピーク強度が低いものを全データ数の10%程度除くといった操作を採用することができる。このようにして明点個数計数部5で計数された明点9の個数は、粗さ推定部7に送られる。
明点面積算出部6は、撮像部3で撮像された画像のデータに表示される明点9の面積を算出するものである。具体的には、明点9の面積は明点9の長さ(言い換えれば、幅)の2乗として表現できるため、明点個数計数部5で計数された明点9のすべてに対して、1ライン上で正反射した光が確認される範囲の長さを計測し、この計測された長さから後述する粗さを推定している。つまり、この明点9の面積は、上述した凸部8におけるA点(表面の傾きが+θ°の点)〜B点(表面の傾きが−θ°の点)までの幅を二乗したものとなっている。明点面積算出部6で算出された明点9の面積(長さ)は、粗さ推定部7に送られる。
粗さ推定部7は、上述した明点個数計数部5で計数された明点9の個数、及び明点面積算出部6で算出された明点9の面積(長さ)に基づいて、算術平均粗さRaや二乗平均粗さRrmsなどの粗さを推定している。
具体的には、上述した明点個数計数部5で計数された明点9の個数pは計測エリア内に凹凸が何波長分含まれているかを示すものであるため、計測エリアの測定長さLを明点9の個数pの2倍で除したものが、表面の凹凸1周期分の長さωとなる。つまり、明点9の個数p(フィルタリング処理後の個数)は、計測エリアの測定長さLと凹凸の1周期分の波長ωとを用いて、式(1)のように示される。
ここで、金属板Wの表面に形成される凹凸が、ある周期的な規則性に従って変動していると考えると、金属板Wの表面の粗さ曲線は三角関数やガウシアン関数などの周期関数(周期モデル)で表現することができる。例えば、表面の粗さ曲線が三角関数に従うと仮定すれば、金属板Wの表面の粗さ曲線は次のような式で表すことができる。
式(2)のように表面の粗さ曲線が表現できれば、上述した「B」点や「C」点での表面の傾きθ(傾き−θ)は、式(3)のように表現することができる。
一方、算術平均粗さRaは、粗さ曲線の平均線からの偏差平均であり、JIS規格の定義に従えば、式(4)のように定義される。
この式(4)に、式(1)〜式(3)で求めた各変数を代入することで、式(5)のような算術平均粗さ(Ra)が求められる。
つまり、式(5)から、凹凸の平均的な振幅aが分かれば、算術平均粗さ(Ra)を求めることができると判断できる。
一方、凹凸の振幅aは、明点面積算出部6で算出された明点9の面積(平均面積)を用いて求めることができる。
つまり、表面の傾きがθ°となる点(図3のB点)から、表面の傾きが−θ°となる点(図3のC点)までの範囲で正反射した反射光が撮像部3で撮像されるような光学系では、光源2の幅をWl、光源2から観測点までの距離をWdとした場合に、表面の傾きtanθは次式(6)で示される。
また、明点面積算出部6で、画像上の明点9の幅はそれぞれに求めてもよいが、周期的であることを前提とすれば、明点9の面積総和Lbを算出し、算出された明点9の面積総和Lbを用いて、上記した表面の傾きがθ°となる点から−θ°となる点までの範囲の幅WTは式(7)のように示される。
ここで、図4に示すように、凸部8の頂点Xpを中心に、2Δの範囲が明点9として撮像されると考えると、表面の傾きtanθは式(8)で示される。
以上の式(6)〜式(8)に基づけば、凹凸の振幅aを求めることができ、ひいては算術平均粗さ(Ra)を推定することが可能となる。
[第2実施形態]
次に、本発明にかかる金属板の粗さ推定方法及び装置の第2実施形態の説明を行う。
第2実施形態における推定方法が実施される粗さ推定装置1は、図1に示すものであり、第1実施形態の粗さ推定装置と略同様の構成を有する。
さて、第1実施形態で説明した粗さ推定方法は、画像上での1ライン分の光点のデータから、金属板Wの算術平均粗さ(Ra)を推定するものであった。
一方、金属板Wの表面の粗さを示す指標として面算術平均粗さ(Sa)があり、この面算術平均粗さ(Sa)は二次元的な平均粗さを表すものである。本実施形態では、金属板Wの表面に二次元的に広がる光点のデータを1ライン分のデータに代表させるようにした上で、第1実施形態の考え方を用いて算術平均粗さ(Ra)を算出し、算出した算術平均粗さ(Ra)を用いて面算術平均粗さ(Sa)を推定するようにしている。
具体的には、撮像部3で撮像された画像(2次元画像)において、横方向をx、縦方向をyとし、面粗さSaを算出する場合を考える。
まず、面粗さSaは、定義に従えば、以下の式(9)のように与えられる。
ここで、f(x,y)が、横方向における周期関数f(x)と、縦方向における周期関数f(y)との積で示される場合、式(9)は式(10)で示すことができる。
例えば、f(x)とf(y)とをそれぞれ独立な関数(例えば、独立な三角関数)であると考えた場合、式(10)中の「S」(画像領域の面積S)は横幅Xと縦幅Yとの積であり、多重積分の部分は単積分同士の積となる。
一方、画像の横方向に沿った算術平均粗さRa(x)及び画像の縦方向に沿った算術平均粗さRa(y)は、次の式(11)及び式(12)で与えられる。
そこで、上述した式(11)及び式(12)を用いて、式(10)を整理すれば、式(13)のように表現することが可能となる。
つまり、上述した式(13)からわかるように、f(x)とf(y)とがそれぞれ独立の関数で示される場合は、算出されたRa(x)やRa(y)からSaを簡単に導出することができる。
なお、上述したRa(x)やRa(y)を計算するためには、横方向に沿った基準長さLb(x)や縦方向に沿った基準長さLb(y)を予め求めておく必要がある。この基準長さLb(x)やLb(y)は、ある座標における代表値を用いるようにしても良いし、画像全体における基準長さの平均値を用いてもよい。また、2値化した後の有効ラベル面積の平均値を円の面積として半径を計算し、計算された値をLbとすることによって、Lb(x)やLb(y)を求めるようにしてもよい。
また、個数pについては、上述した有効ラベルが均等に配置されているという近似のもと、矩形の画像内に含まれる有効ラベルの個数M、画像の横幅X、画像の縦幅Yを用いて、縦横方向に沿った有効ラベルの個数p、pを求めると、式(14)及び式(15)に示すようになる。
上述のようにして、基準長さLb(x)やLb(y)、及び個数p、pを算出し、算出した値を用いて、Ra(x)やRa(y)を算出することが可能となる。算出されたRa(x)やRa(y)を用いれば、Saを導出することが可能となる。
なお、横方向に沿った粗さの変化傾向と縦方向に沿った粗さ変化傾向とが略同じ場合には、式(11)及び式(12)は式(18)に示すように簡略化して示すこともできる。
つまり、横方向及び縦方向にほぼ同一の周期構造がある場合には、XとYとの積で示される実際の測定エリアに縛られずに、次の式(16)で定義されるようなX’を1辺とする正方形の領域に置き換えて計算を行うことができる。
この場合、面粗さSaや算術平均粗さRaは、以下の通りとなる。
上述した手順に従えば、面粗さSaを確実に推定することが可能となる。
[実施例1]
次に、本発明の効果を、実施例を用いてさらに詳しく説明する。
実施例1は、本実施形態の粗さ推定装置1を用いて放電加工を施した金属板表面の粗さを実際に推定(計測)した例である。光源2に用いた照明は、3mm幅のライン状の光源2を計測エリアからWD=60mm離した位置に設置されており、入射角θ=0.71度で測定光を入射できるようになっている。撮像部3に用いたカメラは、1μm/pixelの分解能で、絞りがF=16のものである。また、この撮像部3では、100μsecの間隔で、縦1000pixel×横2000pixelの画像が撮像されている。
撮像部3で撮像された画像のうち、画像中央に位置する1ライン分の輝度分布を示したものが図5である。
図5に示すプロファイルで、輝度の高さが輝度ばらつきの標準偏差の2倍以上となるような部分を輝度ピークと考え、輝度ピークの個数pを計数すると、p=13 (ピークカウント値=13)となった。
図5の輝度ピークが得られる13個の明点9に対して、各明点9の間隔及び面積を求め、求められた明点9の間隔及び面積から表面の算術平均粗さ(Ra)を推定すると、Ra=0.747μmとなった。このRa=0.747μmという算術平均粗さの推定値は、位置誤差1mm以内の箇所を触針式の粗さ計で実際に測定した場合にRa=0.8μmという数値が算術平均粗さの実測値として得られることから、比較的良好な精度で粗さを推定できていることがわかる。
なお、実施例1のように入射角が0.71°では、サンプルの傾きなどによりばらつきが多くなる可能性がある。そのため、実際に規格粗さを推定する際には測定光の入射角を1°〜3°程度で測定することが好ましい。
また、実施例1では触針式の粗さ計との比較がとりやすいように1ライン分の輝度を用いて算出したが、画像全体の面積と、画像全体に存在する明点9の総面積とを利用しても同様の結果を得ることが可能である。
[実施例2]
実施例2は、本実施形態の粗さ推定装置1を用いて放電加工を施した金属板表面の粗さを実際に推定(計測)した例である。
光源2に用いた照明は、撮像部3におけるCマウントレンズ結像面に光が結像するように配置する。
また、撮像部3は、NA=0.025、WD=40mmのテレセントリックレンズを備え、計測エリアからWD=40mm位置に離した位置に設置されており、入射角θ=0.71度で測定光を入射できるようになっている。撮像部6に用いたカメラは、1μm/pixelの分解能で、NA=0.025、WD=40mmのものである。また、この撮像部3では、40μsecの露光時間で、縦1024pixel×横1280pixelの画像が撮像されている。
撮像部3で撮像された画像のうち、輝度の高さが輝度最大値の50%以上となるような部分を輝度ピークと考え、輝度ピークの個数pを計数すると、p=13 (ピークカウント値=13)となった。
図5の輝度ピークが得られる13個の明点9に対して、各明点9の間隔及び面積を求め、求められた明点9の間隔及び面積から表面の面算術平均粗さ(Sa)を推定すると、Sa=0.762μmとなった。このSa=0.762μmという算術平均粗さの推定値は、位置誤差1mm以内の箇所を触針式の粗さ計で実際に測定した場合にSa=0.78μmという数値が算術平均粗さの実測値として得られることから、比較的良好な精度で粗さを推定できていることがわかる。同一サンプルを40箇所計測して得られたSaの平均値は0.79μm、標準偏差0.06μmであったことからも概ね良好な精度でSaを推定できているといえる。
このことから、上述した手順で得られたSaに基づいて正確な面粗さを推定可能であることがわかる。
上述した金属板Wの粗さ推定方法及び推定装置では、金属板Wの表面で正反射した反射光の明点個数と明点面積とが分かれば、金属板Wの規格粗さを簡易に推定することができる。そのため、金属板Wの反射光に基づいて精確に粗さ曲線を求め、求められた粗さ曲線からRaやRrmsなどの規格粗さを算出するのに比べれば、簡便且つ短時間で粗さを求めることが可能となり、製造現場などのように迅速に規格粗さを得たい場合などに有利となる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 粗さ推定装置
2 光源
3 撮像部
4 演算部
5 明点個数計数部
6 明点面積算出部
7 粗さ推定部
8 凸部
9 明点
W 金属板

Claims (4)

  1. 表面に凹凸を有する金属板に対して測定光を照射し、
    入射された測定光のうち、少なくとも凹凸の凸部で正反射した反射光を撮像し、
    撮像された凸部の反射光を明点とし、
    前記明点の個数と面積とを算出し、
    算出された明点の個数と面積とに基づいて前記凹凸の粗さを表す周期モデルを作成し、
    作成された周期モデルから金属板表面の規格粗さを推定することを特徴とする金属板の粗さ推定方法。
  2. 前記周期モデルに、三角関数を含むものを用いることを特徴とする請求項1に記載の金属板の粗さ推定方法。
  3. 前記粗さを推定する金属板表面の領域を、前記金属板表面のうねりの波長より小さい範囲に設定することを特徴とする請求項1または2に記載の金属板の粗さ推定方法。
  4. 表面に凹凸を有する金属板に対して測定光を照射する光源と、
    前記光源から入射された測定光のうち、少なくとも前記凹凸の凸部で正反射した反射光を撮像する撮像部と、
    前記撮像部で撮像された前記凸部の反射光を明点とすると共に、前記明点の個数を計測する明点個数計数部と、
    前記撮像部で撮像された前記凸部の反射光を明点とすると共に、前記明点の面積を算出する明点面積算出部と、
    前記明点個数計数部で算出された明点個数と、前記明点面積算出部で算出された明点面積とに基づいて、前記金属板表面の周期モデルを作成し、作成された周期モデルから前記金属板表面の規格粗さを推定する粗さ推定部と、
    を備えていることを特徴とする金属板の粗さ推定装置。
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