JP2017207358A - 流動体打設高さ計測方法及び流動体打設方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水より比重の大きいセメント類のような流動体を水中に打設する時に、流動体の打設面高さを精度良く計測することができる流動体打設高さ計測方法及び打設方法を提供する。
【解決手段】水より比重の大きい流動体を水中に打設する際に、打設中の前記流動体の打設面の高さを計測するために、前記打設面の計測範囲の下限位置から上限位置の範囲に少なくとも2つの圧力センサを配置し、前記各圧力センサの指示値と水及び/又は流動体の密度から、前記流動体の打設面の高さを算出することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】水より比重の大きい流動体を水中に打設する際に、打設中の前記流動体の打設面の高さを計測するために、前記打設面の計測範囲の下限位置から上限位置の範囲に少なくとも2つの圧力センサを配置し、前記各圧力センサの指示値と水及び/又は流動体の密度から、前記流動体の打設面の高さを算出することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は流動体打設高さ計測方法及び流動体打設方法に係り、特に、海洋、湖沼、河川における基礎工事の時に、水中に水より比重の大きい流動体水である例えば、セメント類(セメントペースト、モルタル、コンクリート、グラウト等)を打設する際のセメント類の打設面高さを計測するものに好適な流動体打設高さ計測方法及び流動体打設方法に関する。
水中にセメント類を打設するときに固化前のセメントの液面を計測するする手段としては、目視あるいは錘を用いたレッド測定が一般的であるが、安全性や精度の面で問題が生じる場合がある。
このような問題に対応する従来技術としては、例えば、特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1には、可撓性チューブ内に正負の電極を近接状態とした電極を長さ方向に配置し、水と同程度の比重の非導電性液体と、この非導電性液体より比重の大きい少量の導電性液体とを可撓性チューブ内に充填しておき、セメント類(コンクリート)を打設した時に、コンクリートの液面より低い部分の可撓性チューブが潰れて導電性液体を上側に押し上げることになるので、この際の電極間の導通位置の上昇を電気抵抗の変化として把握することが記載されている。
上述した特許文献1には、セメント類の打設面を計測するセンサ(内部に電極を有する可撓性チューブ)は、斜めの状態でも測定が可能という記載がある。
しかしながら、斜めでも電極と導電性液体を経由する回路の抵抗を計測して液面高さ換算することはできるが、この特許文献1に記載の方法は、電極方向の長さを計測するため、斜めの状態の測定長さと鉛直方向の高さに誤差が生じてしまうという課題がある。
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、水より比重の大きいセメント類のような流動体を水中に打設する時に、水面から鉛直には計測手段を配置できない状況であっても、流動体の打設面高さを精度良く計測することができる流動体打設高さ計測方法及び流動体打設方法を提供することにある。
本発明の流動体打設高さ計測方法は、上記目的を達成するために、水より比重の大きい流動体を水中に打設する際に、打設中の前記流動体の打設面の高さを計測するために、前記打設面の計測範囲の下限位置から上限位置の範囲に少なくとも2つの圧力センサを配置し、前記各圧力センサの指示値と水及び/又は流動体の密度から、前記流動体の打設面の高さを算出することを特徴とする。
また、本発明の流動体打設方法は、上記目的を達成するために、水中に流動体を打設する際に、上記の流動体打設面高さ計測方法で計測した打設中の流動体打設面の計測結果が、予め定めておいた打設面しきい値に達したら、前記流動体の打設を停止することを特徴とする。
本発明によれば、水より比重の大きいセメント類のような流動体を水中に打設する時に、水面から鉛直には計測手段を配置できない状況であっても、流動体の打設面高さを精度良く計測することができる。
以下、図示した実施例に基づいて本発明の流動体打設高さ計測方法及び流動体打設方法を説明する。なお、各実施例において同一構成部品には同符号を使用する。
本発明による流動体打設高さ計測方法について、図1を参照しながら説明する。
図1に示す如く、海水2の水中において、打設管14から打設枠5内に流動体であるセメント15を打設する。打設枠5内の底部から上端が打設面の計測範囲であり、打設面計測範囲の下限位置に指示値P1の第1の圧力センサ21を配置し、打設面計測範囲の上限位置に指示値P3の第3の圧力センサ23を配置する。また、水とセメントの中間比重のフロート25に指示値P2の第2の圧力センサ22を搭載し、この第2の圧力センサ22は、セメント15の打設面と常に同じ高さに位置するようにしておく。更に、海面に、海面の高さ(Ls)おける大気圧を計測する指示値P4の第4の圧力センサ24も配置しておく。
これら4つの第1、第2、第3及び第4の圧力センサ21、22、23及び24の指示値P1、P2、P3及びP4と、海面、上限位置、打設面、下限位置の高さ(Ls、Lu、Lc、Ld)と、水とセメント15の密度(ρw、ρc)には、以下の関係式が成り立つ。
P4=大気圧 …(式1)
P3=P4+ρw×(Ls−Lu) …(式2)
P2=P3+ρw×(Lu−Lc) …(式3)
P1=P2+ρc×(Lc−Ld) …(式4)
ここで、(式4)を変形すると、
Lc=(P1−P2)/ρc+Ld …(式5)となり、
第1及び第2の圧力センサ21及、22の指示値P1、P2、セメント15の密度(ρc)、下限位置の高さ(Ld)が分かれば、セメント15の打設面の高さ(Lc)を算出することができる。
P3=P4+ρw×(Ls−Lu) …(式2)
P2=P3+ρw×(Lu−Lc) …(式3)
P1=P2+ρc×(Lc−Ld) …(式4)
ここで、(式4)を変形すると、
Lc=(P1−P2)/ρc+Ld …(式5)となり、
第1及び第2の圧力センサ21及、22の指示値P1、P2、セメント15の密度(ρc)、下限位置の高さ(Ld)が分かれば、セメント15の打設面の高さ(Lc)を算出することができる。
また、(式3)を変形すると、
Lc=−(P2−P3)/ρw+Lu …(式6)となり、
第2及び第3の圧力センサ22及び23の指示値P2、P3、水の密度(ρw)、上限位置の高さ(Lu)が分かれば、セメント15の打設面の高さ(Lc)を算出することができる。
Lc=−(P2−P3)/ρw+Lu …(式6)となり、
第2及び第3の圧力センサ22及び23の指示値P2、P3、水の密度(ρw)、上限位置の高さ(Lu)が分かれば、セメント15の打設面の高さ(Lc)を算出することができる。
更に、(式3)、(式4)より、
Lc=(P1−P3+ρc×Ld−ρw×Lu)/(ρc−ρw) …(式7)
なる式を導出でき、第1及び第3の圧力センサ21及び23の指示値P1、P3、水の密度(ρw)とセメントの密度(ρc)、上限位置の高さ(Lu)、下限位置の高さ(Ld)が分かっている場合にも、セメント15の打設面の高さ(Lc)を算出することができる。
Lc=(P1−P3+ρc×Ld−ρw×Lu)/(ρc−ρw) …(式7)
なる式を導出でき、第1及び第3の圧力センサ21及び23の指示値P1、P3、水の密度(ρw)とセメントの密度(ρc)、上限位置の高さ(Lu)、下限位置の高さ(Ld)が分かっている場合にも、セメント15の打設面の高さ(Lc)を算出することができる。
このように、3つの第1、第2、及び第3の圧力センサ21、22及び23の指示値P1、P2及びP3のうち、どれか2つ以上の指示値が分かれば、(式5)、(式6)、(式7)のいずれかを用いてセメント15の打設面の高さ(Lc)を算出することができる。
なお、誤差がないと仮定すれば、3つの式はどれも同じ打設面の高さ(Lc)を算出するはずであるが、指示値等が誤差を含んでいる場合には、打設面の高さ(Lc)が下限位置の高さ(Ld)に近いときは(式5)の誤差が小さく、打設面の高さ(Lc)が上限位置の高さ(Lu)に近いときは(式6)の誤差が小さくなると予想できる。
指示値P1、P2、P3の第1、第2、第3の圧力センサ21、22、23を配置する場合には、打設面の高さ(Lc)が下限位置の高さ(Ld)に近いときは(式5)を用い、打設面の高さ(Lc)が上限位置の高さ(Lu)に近いときは(式6)のを用いると、打設面の高さ(Lc)のそれぞれの時点での誤差を小さくできる。
ただし、この方法では、算出式を(式5)から(式6)に切り替えたときに不連続点が存在してしまう。上限位置から下限位置まで一貫性のある計測記録を残したい場合には、(式7)で打設面の高さ(Lc)を算出するのが適切と予想できる。
なお、セメント15の密度(ρc)は、セメント練り混ぜ機12で練り混ぜたセメント15の一部をサンプリングして品質(各種物性値)を確認する際に、密度も計測しておく。また、水の密度(ρw)を計測したい場合には、海水2をサンプリングして密度を計測しておく方法、セメント15の打設前に、圧力センサの指示値から以下(式7)、(式8)、(式9)のどれかの式を用いて算出しておく方法が考えられ、水の密度が予め分かっていない体系にも適用できる。
ρw=(P3−P4)/(Ls−Lu) …(式7)
ρw=(P1−P4)/(Ls−Ld) …(式8)
ρw=(P1−P2)/(Lu−Ld) …(式9)
以下、本発明による流動体打設高さ計測方法の実施例1について、図1〜図6を参照しながら説明する。
ρw=(P1−P4)/(Ls−Ld) …(式8)
ρw=(P1−P2)/(Lu−Ld) …(式9)
以下、本発明による流動体打設高さ計測方法の実施例1について、図1〜図6を参照しながら説明する。
図1は、本発明の流動体打設高さ計測方法の実施例1を説明するための図である。
該図において、海水2中の底面1に敷設した橋脚3の補強のため、作業船11の倉庫13に積載しているセメント原料をセメント練り混ぜ機12で順次練り混ぜ、打設管14から打設枠5の内部にセメント15を打設する。
橋脚3には橋等の構造物4が付いているため、水面から鉛直に打設管14や計測治具を設置することはできない。海水2中の底面1に敷設した橋脚3の補強のためには、セメント15の最終打設高さを高くしたいが、セメント15を過剰に打設すると、打設枠5の外にセメント15が流れ出てしまい無駄が発生してしまう。セメント15の最終打設高さを、打設枠5の打設面計測範囲の上限位置の高さ(Lu)を超えない範囲で、できるだけ高くしたいという要求がある。
図2は、本発明の流動体打設高さ計測方法の実施例1でセメント15の打設面の高さ(Lc)を計測する際の手順を示すものである。
先ず、セメント15の打設面の高さ(Lc)を計測するために、打設面計測範囲の下限位置の高さ(Ld)(=打設枠5内の最低底面)に指示値P1の第1の圧力センサ21と打設面計測範囲の上限位置の高さ(Lu)(=打設枠5の上端)に指示値P3の第3の圧力センサ23を配置する。また、水とセメントの中間比重のフロート25に指示値P2の第2の圧力センサ22を搭載し、この第2の圧力センサ22は、打設面の高さ(Lc)と常に同じ高さに位置するようにしておく。更に、海面の高さ(Ls)における大気圧を計測する指示値P4の第4の圧力センサ24を計測船20に配置しておく。
上記の第1、第2、第3及び第4の圧力センサ21、22、23及び24は、ケーブル27、28、29を介して計測船20上の信号処理・結果表示部26に接続されている(F11)。第1の圧力センサ21の高さ(Ld)と第3の圧力センサ23の高さ(Lu)、海面の高さ(Ls)を確認しておく(F12)。第1及び第3の圧力センサ21及び23の指示値P1及びP3とそれぞれの下限及び上限位置の高さ(Ld)及び(Lu)から、(式9)を用いて水の密度(ρw)を算出する(F13)。
次に、図1に示す作業船11上のセメント練り混ぜ機12でセメント15の練り混ぜを開始し(F14)、練り混ぜたセメント15をサンプリングして品質(各種物性値)を確認する際に、密度も計測する(F15)。打設管14から打設枠5の内部へ、セメント15の打設を開始する(F21)。
打設枠5の内部へのセメント15の打設を開始してからの打設面の計測結果の信号処理・結果表示部26へ表示する表示画面例を図3に示す。
該図に示す信号処理・結果表示部26への表示画面は、横軸が時間、縦軸が打設面の高さ(Lc)を取ったグラフになっており、(式5)により算出した打設面の高さ(Lc)A(一点鎖線31b)、(式6)により算出した打設面の高さ(Lc)B(二点鎖線32)、(式7)により算出した打設面の高さ(Lc)C(実線33)が表示されている。
図3に示す如く、3本の一点鎖線31b、二点鎖線32、実線33は多少の違いはあるものの、全て同じ傾向で推移しているので、この表示結果は妥当と判断できる(F22)。
なお、打設面の高さ(Lc)が打設面計測範囲の下限位置(Ld)に近い場合には、3つの式のうち、(式5)の誤差が最小と予想されるので、一点鎖線31bを他の二点鎖線32、実線33より太く表示している。また、作業船11から無線で送信した打設開始のタイミングを、信号処理・結果表示部26の画面上にSTATという文字36と縦破線で表示している。
打設枠5の内部へのセメント15の打設を開始してからの打設面の計測結果の信号処理・結果表示部26へ表示する表示画面の別の例を図4に示す。
図4の場合には、(式7)による実線33は上昇を始めているものの、(式5)による一点鎖線31bと(式6)による二点鎖線32は、初期値のまま変化していない。打設面の高さ(Lc)に追従して上昇するはずのフロート25が何かに引っ掛かって動かなくなってしまうと、このような算出結果が表示される。
この場合には、(式7)による実線33は妥当だが、(式5)による一点鎖線31bと(式6)による二点鎖線32は妥当ではないと判断し(F22)、妥当でないと判断した一点鎖線31bと二点鎖線32は不表示とする指令を入力する(F23)。
打設枠5の内部へのセメント15の打設停止のしきい値を予め設定している場合(F31)の、打設開始から終了までの打設面の計測結果を信号処理・結果表示部26へ表示する画面表示例を図5に示す。
図5に示す表示例では、(式5)による一点鎖線31、(式6)による二点鎖線32、(式7)による実線33は全て妥当と判断したので、3本の一点鎖線31b、二点鎖線32、実線33が信号処理・結果表示部26へ表示されている。
また、打設面の高さ(Lc)が打設面計の測範囲の下限位置の高さ(Ld)に近い場合には(式5)による一点鎖線を太線31bで、打設面の高さ(Lc)が打設面計の測範囲の上限位置の高さ(Lu)に近い場合には(式6)による二点鎖線を太線32bで表示している。打設停止のしきい値(Lt)は上限位置の高さ(Lu)に近いので、(式6)による二点鎖線32bとしきい値である(Lt)を比較し、セメント15の打設面の高さ(Lc)がしきい値(Lt)以上になったら(F41)、信号処理・結果表示部26上にSTOPの文字37と縦波線を表示すると共に、無線で作業船11に打設停止指示を自動送信し(F42)、セメント15の打設を停止する。セメント15の打設を停止した後でも、打設管14内の残留セメントが打設枠5内に供給されるので、打設面の高さ(Lc)の計測結果が安定してから、最終打設高さを確認し(F43)、打設作業を終了する。
打設停止のしきい値を予め設定していない場合(F31)の、打設面の計測結果の信号処理・結果表示部26への画面表示例を図6に示す。
図6に示す表示例では、(式5)による一点鎖線31と(式6)による二点鎖線32は妥当でないと判断し、(式7)による実線33は妥当と判断したので、実線33だけが計測結果の信号処理・結果表示部26へ表示されている。
打設枠5の上半分の水平断面積は高さによらず一定なので、まず、打設停止指示発令から打設面上昇停止までの時間での打設面上昇高さ(dL)を求める。作業船11のセメント打設を、一旦、手動で停止する(F32)。停止指示の発令は、無線で作業船11から計測船20に送信され、計測結果の信号処理・結果表示部26の画面上にSTOPの文字38と縦破線で、タイミングが表示される。
セメント15の打設面の高さ(Lc)の上昇が停止してから、打設停止指示発令から打設面上昇停止までの時間での打設面上昇高さ(dL)を求める(F33)。上限位置の高さ(Lu)から打設停止指示発令から打設面上昇停止までの時間での打設面上昇高さ(dL)を減じた値を打設停止のしきい値(Lt)に設定し(F34)、セメント15の打設を再開する。セメント15の打設の再開のタイミングは無線で送受信し、STATの文字39と縦破線で信号処理・結果表示部26の画面上に表示される。妥当と判断した(式7)による実線33としきい値(Lt)を比較し、セメント15の打設面の高さ(Lc)がしきい値(Lt)以上になったら(F41)、信号処理・結果表示部26の画面上にSTOPの文字37と縦破線を表示すると共に、無線で作業船11に打設停止指示を自動送信し(F42)、セメント15の打設を停止する。セメント15の打設を停止した後でも、打設管14内の残留セメントが打設枠5内に供給されるので、打設面の高さ(Lc)の計測結果が安定してから、最終打設高さを確認し(F43)、セメントの打設作業を終了する。
このような本実施例とすることにより、水より比重の大きいセメント15を海中に打設するときに、海面から鉛直には計測手段を配置できない状況においても、セメント15の打設面の高さ(Lc)を精度よく計測することができる。また、セメント15の打設面の高さ(Lc)を計測しながらセメントを打設することにより、最終打ち上がり高さを目的通りの高さに打設することが可能となる。
図7に、本発明の流動体打設高さ計測方法の実施例2を示す。図7は、本発明の流動体打設高さ計測方法の実施例2を説明するための図である。
該図において、海水51中に底面52及び横壁53が存在しており、そこに、かつての構造物を撤去した後の穴56が残っている。この穴56を埋設するため、岸壁55の倉庫62に保管しているセメント原料をセメント練り混ぜ機61で順次練り混ぜ、打設管63から打設枠57の内部にセメント64を打設し、斜め下に伸びている穴56の内部を全て封止することが望まれている。
しかし、穴56は斜め下に伸びているため、海面から鉛直に打設管や計測治具を設置することはできないので、セメント64の打設面の高さ(Lc)を計測するのが難しいものとなっている。
そこで、本実施例では、セメント64の打設面の高さ(Lc)を計測するために、セメント64の打設面の計測範囲の下限位置の高さ(Ld)である穴56内の最低底面に指示値P1の第1の圧力センサ71とセメント64の打設面の計測範囲の上限位置の高さ(Lu)である打設枠57の上端に指示値P3の第3の圧力センサ73を配置する。また、水とセメント64の中間比重のフロート75に指示値P2の第2の圧力センサ72を搭載し、この第2の圧力センサ72は、セメント64の打設面の高さ(Lc)と常に同じ高さに位置するようにしておく。更に、海面の高さ(Ls)における大気圧を計測する指示値P4の第4の圧力センサ74を計測船70に配置しておく。
上記の第1、第2、第3及び第4の圧力センサ71、72、73及び74は、ケーブル77、78、79を介して計測船70上の信号処理・結果表示部76に接続されている。
第3の圧力センサ73が打設枠57の上端(セメント64の打設面の計測範囲の上限位置の高さ(Lu))に配置されていることは確認し易いが、第1の圧力センサ71及びフロート75上に搭載されている第2の圧力センサ72は、セメント打設前には、セメント64の打設面の計測範囲の下限位置の高さ(Ld)である穴56内の最低底面に配置されていることを確認することは難しい怖れがある。
そこで、まず、第3及び第4の圧力センサ73及び74の指示値P3、P4とそれぞれの高さセメント64の打設面の計測範囲の上限位置の高さ(Lu)及び海面の高さ(Ls)を(式7)に代入して水の密度(ρw)を求め、第1及び第2の圧力センサ71及び72の指示値P1、P2と以下の式で示す算出値とを比較することで、第1及び第2の圧力センサ71及び72が想定通りの高さに配置されているかどうかを確認することができる。
P1=P2=P3+(Lu−Ld)/(Ls−Lu)×(P3−P4) …(式10)
第1及び第2の圧力センサ71及び72の配置高さが想定通りであることを確認できれば、後は、上述の実施例1に記載したのと同じ方法で、セメント64の打設高さを計測しながら、打設作業を進めることが可能となる。
P1=P2=P3+(Lu−Ld)/(Ls−Lu)×(P3−P4) …(式10)
第1及び第2の圧力センサ71及び72の配置高さが想定通りであることを確認できれば、後は、上述の実施例1に記載したのと同じ方法で、セメント64の打設高さを計測しながら、打設作業を進めることが可能となる。
このような本実施例の流動体打設面高さ計測方法であっても、海水51中に底面52及び横壁53が存在し、そこに、かつての構造物を撤去した後の穴56が斜め下に残っていて、斜め下に伸びている穴56の内部を全てセメント64で封止するような場合であっても、実施例1と同様に、セメント64の打設面の高さ(Lc)を精度よく計測することができる。
なお、上述した各実施例では、水より比重の大きい流動体の例としてセメントについて説明したが、他の水より比重の大きい流動体として、セメントペースト、セメントに細骨材を混ぜたモルタル、セメントに骨材を混ぜたコンクリート、セメントペースト又はモルタルを空隙充填材として用いるグラウトを挙げることができる。
また、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成を置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
本発明の実施例として、海中にセメントのような流動体を打設するときに、流動体の打設面高さを計測する場合を例に挙げて説明したが、本発明は計測で求めた水の密度から打設面高さを算出できるため、海水とは水の密度が異なる淡水の湖沼、汽水湖、河口付近での流動体打設作業においても汎用的に適用することができる。
1、52…底面、2…海水、3…橋脚、4…構造体、5、57…打設枠、11…作業船、1261…セメント練り混ぜ機、13、62…倉庫、14、63…打設管、15、64…セメント、20、70…計測船、21、71…第1の圧力センサ、22、72…第2の圧力センサ、23、73…第3の圧力センサ、24、74…第4の圧力センサ、25、75…フロート、26、76…信号処理・結果表示部、27、28、29、77、78、79…ケーブル、31、31b…打設面の高さ(Lc)Aを示す一点鎖線、32、32b…打設面の高さ(Lc)Bを示す二点鎖線、33…打設面の高さ(Lc)Cを示す実線、51…海水、53…横壁、55…岸壁、56…穴。
Claims (8)
- 水より比重の大きい流動体を水中に打設する際に、打設中の前記流動体の打設面の高さを計測するために、前記打設面の計測範囲の下限位置から上限位置の範囲に少なくとも2つの圧力センサを配置し、前記各圧力センサの指示値と水及び/又は流動体の密度から、前記流動体の打設面の高さを算出することを特徴とする流動体打設面高さ計測方法。
- 請求項1に記載の流動体打設面高さ計測方法において、
前記打設面の計測範囲の下限位置に指示値P1の第1の圧力センサを配置すると共に、前記打設面の計測範囲の上限位置に指示値P3の第3の圧力センサを配置し、前記水と前記流動体の中間比重のフロートに指示値P2の第2のセンサを前記流動体の打設面と常に同じ高さに位置するように搭載した際に、
前記第1、第2及び第3の圧力センサの指示値P1、P2及びP3と、上限位置の高さ(Lu)、下限位置の高さ(Ld)と、前記水の密度(ρw)と前記流動体の密度(ρc)の値から、
Lc=(P1−P2)/ρc+Ld …(式5)、
Lc=−(P2−P3)/ρw+Lu …(式6)、
Lc=(P1−P3+ρc×Ld−ρw×Lu)/(ρc−ρw) …(式7)のいずれかの式を用いて前記流動体の打設面の高さ(Lc)を算出することを特徴とする流動体打設面高さ計測方法。 - 請求項2に記載の流動体打設面高さ計測方法において、
前記流動体の打設面の高さ(Lc)が前記打設面の計測範囲の下限位置の高さ(Ld)に近い場合には、前記下限位置の高さ(Ld)及び前記第2の圧力センサの指示値P2と、前記流動体の密度(ρc)から前記流動体の打設面の高さ(Lc)を算出し、
前記流動体の打設面の高さ(Lc)が前記打設面の計測範囲の上限位置の高さ(Lu)に近い場合には、前記上限位置の高さ(Lu)及び前記第2の圧力センサの指示値P2と、前記水の密度(ρw)から前記流動体の打設面の高さ(Lc)を算出することを特徴とする流動体打設面高さ計測方法。 - 請求項2又は3に記載の流動体打設面高さ計測方法において、
前記水の密度(ρw)は、以下の(式7)、(式8)、(式9)のいずれかを用いて算出することを特徴とする流動体打設面高さ計測方法。
ρw=(P3−P4)/(Ls−Lu) …(式7)
ρw=(P1−P4)/(Ls−Ld) …(式8)
ρw=(P1−P2)/(Lu−Ld) …(式9) - 請求項1に記載の流動体打設面高さ計測方法において、
第4の圧力センサを水面の高さ(Ls)に設置し、前記第1及び第2の圧力センサの指示値P1及びP2と以下の(式10)で示す算出値とを比較することで、前記第1及び第2の圧力センサが想定通りの高さに配置されているかどうかを確認し、想定通りであれば前記流動体の打設面の高さ(Lc)を計測することを特徴とする流動体打設面高さ計測方法。
P1=P2=P3+(Lu−Ld)/(Ls−Lu)×(P3−P4) …(式10) - 水中に流動体を打設する際に、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の流動体打設面高さ計測方法で計測した打設中の流動体打設面の計測結果が、予め定めておいた打設面しきい値に達したら、前記流動体の打設を停止することを特徴とする流動体打設方法。
- 請求項6に記載の流動体打設方法において、
前記流動体の打設面の計測範囲の下限位置の高さ(Ld)に近い場合には前記(式5)により算出した打設面の高さ(Lc)をA´、前記流動体の打設面の計測範囲の上限位置の高さ(Lu)に近い場合には(式6)により算出した打設面の高さ(Lc)をB´で表示し、前記(式6)により算出した打設面の高さ(Lc)B´と打設停止のしきい値(Lt)を比較し、前記流動体の打設面の高さ(Lc)B´が前記打設停止のしきい値(Lt)以上になったら、前記流動体の打設を停止することを特徴とする流動体打設方法。 - 請求項7に記載の流動体打設方法において、
流動体打設作業中に停止指示を発令して打設を一旦停止し、前記流動体の打設面の高さ(Lc)の上昇が停止してから打設停止指示発令から前記打設面の上昇停止までの時間での前記打設面の上昇高さ(dL)を求め、前記流動体の打設面の計測範囲の上限位置の高さ(Lu)から前記打設停止指示発令から前記打設面の上昇停止までの時間での前記打設面の上昇高さ(dL)を減じた値を前記打設停止のしきい値(Lt)に設定し、前記流動体の打設を再開することを特徴とする流動体打設面方法。
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