JP2017206994A - 圧縮機 - Google Patents

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裕一 赤津
Yuichi Akatsu
裕一 赤津
小川 博史
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博史 小川
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Yuichi Ono
雄一 大野
善則 村瀬
Yoshinori Murase
善則 村瀬
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Abstract

【課題】振動および騒音を抑制すると共に、流体の圧縮効率を高めることの可能な圧縮機を提供する。
【解決手段】圧縮機1が備える第1ハウジング11は、底部111及びその底部111の外縁から筒状に延びる筒部112を有する。第2ハウジング12は、筒部112の底部111とは反対側の端部に固定される。シャフト20は、一端が第1ハウジング11の底部111が有する第1嵌合穴113に嵌合し、他端が第2ハウジング12が有する第2嵌合穴121に固定される。シリンダ30は、第1ハウジング11および第2ハウジング12の内側でシャフト20に対し回転可能に設けられる。摺接部材40は、環状に形成され、第1ハウジング11の底部111とシリンダ30との間でシャフト20の外壁に固定され、シリンダ30の底部111側の端面313に摺接する。
【選択図】図1

Description

本発明は、冷媒ガスなどの流体を圧縮する圧縮機に関するものである。
従来、冷凍サイクルに用いられる冷媒ガスなどの流体を圧縮する圧縮機が知られている。
特許文献1に記載の圧縮機は、ハウジングの内側に固定されたシャフトの周りを、シリンダとその内側に設けられたロータとが互いの回転軸が偏心した状態で回転するように構成されたものである。この圧縮機は、そのシリンダとロータとの回転により、シリンダの内壁とロータの外壁との間に形成された作動室に冷媒ガスを吸入し圧縮することが可能である。
特開2009−123734号公報
ところで、特許文献1に記載の圧縮機は、シリンダの軸方向の端部とハウジングとが摺接している構成である。この種の圧縮機では、そのシリンダとハウジングとの隙間を適切に設定することが流体の圧縮効率の向上、機械損失の低減、並びに振動および騒音の抑制等に重要な課題となる。
例えば仮に、シリンダとハウジングとの隙間を大きく設定した場合、シリンダとハウジングとの隙間を経由してハウジングの内側の空間と作動室との間を冷媒が流れるので、冷媒の圧縮効率が低下することが懸念される。また、シリンダの軸方向のがたつきが大きくなり、振動が悪化し騒音が増大するおそれがある。
一方、シリンダとハウジングとの隙間を小さく設定した場合、摺動状態の悪化により機械損失が大きくなり、さらには焼き付きが生じるおそれがある。
しかしながら、圧縮機を構成するハウジング、シリンダおよびシャフト等の線膨張率がそれぞれ異なるものである場合、温度変化に伴ってシリンダとハウジングとの隙間が変化するため、その隙間を適切に設定することは困難である。
本発明は上記点に鑑みて、機械損失を悪化させることなく流体の圧縮効率を高めると共に、振動および騒音を抑制することの可能な圧縮機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、圧縮機は、第1ハウジング(11)、第2ハウジング(12)、シャフト(20)、シリンダ(30)、ロータ(50)および摺接部材(40)を備える。第1ハウジングは、底部(111)及びその底部の外縁から筒状に延びる筒部(112)を有する。第2ハウジングは、筒部の底部とは反対側の端部に固定される。シャフトは、一端が第1ハウジングの底部が有する第1嵌合穴(113)に嵌合し、他端が第2ハウジングが有する第2嵌合穴(121)に固定される。シリンダは、第1ハウジングおよび第2ハウジングの内側でシャフトに対し回転可能に設けられる。ロータは、シリンダの内側でシリンダの回転軸に対して偏心して回転するものであり、シリンダの内壁とロータの外壁との間に流体が吸入および圧縮される作動室(60)を形成する。摺接部材は、環状に形成され、第1ハウジングの底部とシリンダとの間でシャフトの外壁に固定され、シリンダの底部側の端面(313)に摺接する。
これによれば、シャフトとシリンダとの線膨張率が同一または近似したものである場合、圧縮機が備える各構成部材が温度変化などにより膨張または収縮しても、シリンダと摺接部材との隙間の変化を抑えることが可能である。そのため、圧縮機は、機械損失を悪化させることなく、シリンダと摺接部材とを良好に摺動させることができる。これにより、その摺接箇所が流体のシール部として機能するため、ハウジングの内側の空間と作動室との間を流体が流れることが抑制される。したがって、圧縮機1は、流体の圧縮効率を高めることができる。
さらに、圧縮機1は、シリンダのがたつきを防ぎ、振動および騒音を低減できる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
本発明の第1実施形態にかかる圧縮機の断面構成を示す図である。 図1のII―II断面図である。 圧縮機の動作を説明する説明図である。 圧縮機の温度変化による寸法変化を説明するための模式図である。 本発明の第2実施形態にかかる圧縮機の一部断面構成を示す図である。 本発明の第3実施形態にかかる圧縮機の一部断面構成を示す図である。 本発明の第4実施形態にかかる圧縮機の一部断面構成を示す図である。 本発明の第5実施形態にかかる圧縮機の一部断面構成を示す図である。 図8のIX―IX線の断面図である。
以下、本発明の複数の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下に説明する複数の実施形態において、互いに同一もしくは均等である構成には、同一符号を付してその説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について、図1〜図4を参照して説明する。本実施形態の圧縮機1は、車両の車室内へ送風される空気を冷却するための蒸気圧縮式の冷凍サイクルに適用したものを例に説明する。
圧縮機1は、冷凍サイクルの冷媒ガスを圧縮して吐出する機能を担っている。本実施形態では、冷凍サイクルの冷媒ガスが圧縮対象となる流体に相当している。なお、本実施形態の冷凍サイクルでは、冷媒としてHFC系冷媒(例えば、R134a)が採用されている。また、冷媒には、圧縮機1の摺動部位を潤滑する潤滑油である冷凍機油が混入されている。潤滑油の一部は冷媒と共に冷凍サイクルを循環する。
<圧縮機1の構成>
図1〜図3に示すように、圧縮機1は、その外殻を形成するハウジング10の内部に、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機構と、その圧縮機構を駆動する電動モータとが収容された電動圧縮機として構成されている。
圧縮機1が備えるハウジング10は、複数の金属製部材を組み合わせることによって構成されている。ハウジング10は、第1ハウジング11および第2ハウジング12が組み合わされることによって、内部に略円柱状の空間を形成する密閉容器構造となっている。
第1ハウジング11は、有底円筒状(すなわち、カップ状)に形成されており、底部111と、その底部111の外縁から筒状に延びる筒部112とを有している。第1ハウジング11は、例えばアルミニウムなどの金属から構成されている。
第2ハウジング12は、第1ハウジング11の筒部112の底部111とは反対側の端部に固定され、筒部112の開口を閉塞する。第2ハウジング12は、例えば鉄などの金属から構成されている。
なお、第1ハウジング11の筒部112と第2ハウジング12とが当接する箇所には、その当接箇所からの冷媒漏れを防止するために、図示していないOリング等のシール部材が設けられている。
第2ハウジング12の側面には、ハウジング10の外部から圧縮機構にて圧縮する冷媒を吸入する吸入ポート13が形成されている。この吸入ポート13は、冷凍サイクルの蒸発器の冷媒流れ下流側に接続されている。また、第2ハウジング12には、吸入ポート13から吸入された冷媒をシャフト20へ導くためのハウジング側吸入通路14が形成されている。
第1ハウジング11の側面には、圧縮機構にて圧縮された冷媒をハウジング10の外部へ吐出する吐出ポート15が形成されている。この吐出ポート15は、図示していない冷凍サイクルの凝縮器の冷媒流れ上流側に接続されている。
また、第1ハウジング11には、潤滑油を貯留するための貯留室16が設けられている。なお、貯留室16は、車両に圧縮機1を搭載したときに、重力方向下側となる位置に設けることが好ましい。第1ハウジング11には、第1ハウジング側オイル通路171が形成されており、吐出後の高圧なハウジング10の内側の圧力と吸入前の低圧なシャフト側吸入通路26内圧力の差圧を用いて、潤滑油を貯留室16からシャフト20の端部へ導く。第1ハウジング側オイル通路171は、一端が貯留室16に開口し、他端が第1ハウジング11が有する第1嵌合穴113の内壁に開口している。
第2ハウジング12にも、潤滑油を貯留室16からシャフト20の端部へ導くための第2ハウジング側オイル通路172が形成されている。第2ハウジング側オイル通路172は、一端が貯留室16に開口し、他端が第2ハウジング12が有する第2嵌合穴121の内壁に開口している。
圧縮機構は、シャフト20、シリンダ30およびロータ50等によって構成されている。シャフト20、シリンダ30、摺接部材40およびロータ50は、いずれも例えば鉄などの金属から構成されている。
シャフト20は、軸方向の一端が第1ハウジング11が有する第1嵌合穴113に嵌合され、軸方向の他端が第2ハウジング12が有する第2嵌合穴121に圧入固定(締まり嵌め)されている。そのため、シャフト20は、ハウジング10に対して回転することはない。
以下の説明では、シャフト20のうち、第1ハウジング11が有する第1嵌合穴113に固定される側の部位を第1固定軸21といい、第2ハウジング12が有する第2嵌合穴121に固定される側の部位を第2固定軸22ということとする。
なお、第1固定軸21は、第1ハウジング11が有する第1嵌合穴113に圧入固定(締まり嵌め)されるものであってもよい。
本実施形態では、シャフト20と第2ハウジング12とは同一の材料(例えば鉄)から構成されている。なお、シャフト20と第2ハウジング12とは同一の材料から構成されたものに限らず、線膨張率が近似した同種の材料から構成されたものであってもよい。その場合、シャフト20と第2ハウジング12との線膨張率の差は、シャフト20と第1ハウジング11との線膨張率の差よりも小さいものとなる。これにより、圧縮機1の各構成が温度変化などにより膨張または収縮した場合でも、第2ハウジング12が有する第2嵌合穴121にシャフト20が確実に固定された状態が維持される。
第1固定軸21と第2固定軸22とは、いずれも円柱状に形成されている。第1固定軸21の外径は、第2固定軸22の外径より小さい。また、第1固定軸21と第2固定軸22とは、同軸に形成されている。第1固定軸21と第2固定軸22の軸心を第1軸心O1ということとする。
シャフト20は、第1固定軸21と第2固定軸22との間に偏心軸23を有する。図1では説明のために、第1固定軸21と偏心軸23との境界を破線Mで示し、第2固定軸22と偏心軸23との境界を破線Nで示しているが、実際には第1固定軸21、第2固定軸22および偏心軸23は、同一の連続した材料から一体に構成されている。そのため、第1固定軸21および第2固定軸22と同様に、偏心軸23もハウジング10に対して回転することはない。偏心軸23の外径は、第1固定軸21の外径の外径より大きく、第2固定軸22の外径より小さい。偏心軸23の軸心を第2軸心O2ということとする。第2軸心O2は、第1軸心O1に対し、径方向にずれている。
シリンダ30は、シャフト20の第1軸心O1の周りに回転するとともに、内部に圧縮機構の作動室60を形成する円筒状の部材である。
シリンダ30は、円筒状の筒部33、その筒部33の軸方向の一端側を閉塞する第1サイドプレート31、および、筒部33の軸方向の他端側を閉塞する第2サイドプレート32を有している。第1サイドプレート31と第2サイドプレート32と筒部33とは、図示していないボルト等により固定されている。
第1サイドプレート31は、第1軸心O1に対して直交する方向へ延びる第1円盤部311、およびその第1円盤部311の中央部に配置されて軸方向に突出する第1ボス部312を有している。第1ボス部312の内側にはシャフト20の第1固定軸21が挿入されている。また、第2サイドプレート32は、第1軸心O1に対して直交する方向へ延びる第2円盤部321、およびその第2円盤部321の中央部に配置されて軸方向に突出する第2ボス部322を有している。第2ボス部322の内側にはシャフト20の第2固定軸22が挿入されている。これにより、第1サイドプレート31は第1固定軸21に回転可能に支持され、第2サイドプレート32は第2固定軸22に回転可能に支持される。そのため、シリンダ30は、シャフト20の第1軸心O1の周りに回転可能である。
本実施形態では、シャフト20とシリンダ30とは同一の材料(例えば鉄)から構成されている。なお、シャフト20とシリンダ30とは同一の材料から構成されたものに限らず、線膨張率が近似した同種の材料から構成されたものであってもよい。その場合、シャフト20とシリンダ30との線膨張率の差は、シャフト20と第1ハウジング11との線膨張率の差よりも小さいものとなる。これにより、圧縮機1の各構成が温度変化などにより膨張または収縮した場合でも、シャフト20とシリンダ30との軸方向の長さの変位が小さく抑えられる。
シリンダ30の第1サイドプレート31が有する第1ボス部312と、第1ハウジング11の底部111との間には、環状に形成された摺接部材40が設けられている。摺接部材40は、シャフト20の第1固定軸21の外壁に固定されている。なお、シャフト20と摺接部材40とは、連続した材料により一体に形成してもよい。またはシャフト20と摺接部材40とは、それぞれ別部材で構成し、圧入または溶接などの方法により接合してもよい。
本実施形態では、摺接部材40とシリンダ30とは同一の材料(例えば鉄)から構成されている。なお、摺接部材40とシリンダ30とは同一の材料から構成されたものに限らず、線膨張率が近似した同種の材料から構成されたものであってもよい。その場合、摺接部材40とシリンダ30との線膨張率の差は、シャフト20と第1ハウジング11との線膨張率の差よりも小さいものとなる。これにより、圧縮機1の各構成が温度変化などにより膨張または収縮した場合でも、摺接部材40とシリンダと30の隙間の変化を抑えることができる。
摺接部材40は、シリンダ30側の面が、シャフト20の第1軸心O1に対して垂直に形成されている。また、第1ボス部312の底部111側の面も、シャフト20の第1軸心O1に対して垂直に形成されている。摺接部材40が設けられる位置は、第2ボス部322と第2ハウジング12とが当接した状態で、摺接部材40のシリンダ30側の面と第1ボス部312の底部111側の面とが僅かに離れた位置となるように設定されている。そのため、摺接部材40のシリンダ30側の面と、第1ボス部312の底部111側の面とは、密接した金属シールとして機能する。
上述したように第1ハウジング11には、潤滑油を貯留室16から、シャフト20の第2固定軸22および第1固定軸21に導くための第1ハウジング側オイル通路171が形成されている。第1ハウジング側オイル通路171は、一端が貯留室16に開口し、他端が第1ハウジング11が有する第1嵌合穴113の内壁に開口している。
また、シャフト20の第1固定軸21には、潤滑油を第1ハウジング側オイル通路171から、第1ボス部312と第1固定軸21との摺動箇所391へ導くための第1シャフト側オイル通路251が形成されている。第1シャフト側オイル通路251は、一端が第1ハウジング11が有する第1嵌合穴113に開口し、他端が第1ボス部312と第1固定軸21との摺動箇所391に開口している。これにより、第1ボス部312と第1固定軸21との摺動箇所391に潤滑油が供給される。
第1ハウジング11が有する第1嵌合穴113の内壁とシャフト20の第1固定軸21との間には、例えばOリングなどから構成された環状の弾性シール部材41が設けられている。弾性シール部材41は、第1ハウジング側オイル通路171および第1シャフト側オイル通路251が第1嵌合穴113に開口している位置よりもシリンダ30側に設けられている。弾性シール部材41は、第1ハウジング側オイル通路171または第1シャフト側オイル通路251とハウジング10の内側の空間との間を冷媒が流通することを抑制する機能を有するものである。
また、上述したように、第2ハウジング12にも、潤滑油を貯留室16からシャフト20の端部へ導くための第2ハウジング側オイル通路172が形成されている。第2ハウジング側オイル通路172は、一端が貯留室16に開口し、他端が第2ハウジング12が有する第2嵌合穴121の内壁に開口している。シャフト20の第2固定軸22には、潤滑油を第2ハウジング側オイル通路172から、第2ボス部322と第2固定軸22との摺動箇所392へ導くための第2シャフト側オイル通路252が形成されている。第2シャフト側オイル通路252は、一端が第2ハウジング12が有する第2嵌合穴121に開口し、他端が第2ボス部322と第2固定軸22との摺動箇所392に開口している。これにより、第2ボス部322と第2固定軸22との摺動箇所392に潤滑油が供給される。なお、第1ボス部312と第1固定軸21との摺動箇所391、および第2ボス部322と第2固定軸22との摺動箇所392に供給された潤滑油は、そこからロータ50とシャフト20の偏心軸23との間の隙間にも流れ、潤滑する。
ロータ50は、シリンダ30の筒部33の内側に配置され、第2軸心O2の方向に円筒状に延びる部材である。ロータ50は、シャフト20の偏心軸23に回転可能に支持されている。そのため、ロータ50は、第2軸心O2の周りに回転可能である。
ロータ50の軸方向長さは、シリンダ30の第1円盤部311と第2円盤部321との間の距離よりも僅かに小さい。また、ロータ50の外径は、シリンダ30の筒部33の内径より十分に小さい。図2に示すように、ロータ50の外周面とシリンダ30の内周面とは、径方向の一箇所に設けられたシール部61にて摺接または近接する。シール部61は、第1軸心O1と第2軸心O2とを含む平面上に位置する。第1軸心O1と第2軸心O2との位置ずれ量は、ロータ50の外周面とシリンダ30の内周面とがシール部61にて摺接または近接するように設定されている。なお、本実施形態では、シャフト20がハウジング10に固定されているので、このシール部61の位置はハウジング10に対して常に固定された位置である。
シール部61を除く周方向において、ロータ50の外周面とシリンダ30の内周面との間には、所定の距離があけられている。そのため、ロータ50の外壁とシリンダ30の内壁との間には、冷媒を吸入および圧縮するための作動室60が形成される。
ロータ50と第1サイドプレート31との間、およびロータ50と第2サイドプレート32との間には、動力伝達機構が設けられている。動力伝達機構は、ロータ50がシリンダ30と同期して連動回転するように、シリンダ30からロータ50へ回転駆動力を伝達するものである。
動力伝達機構は、いわゆるピン−ホール式の自転防止機構と同等の機構で構成されている。すなわち、図1に示すように、動力伝達機構は、ロータ50の第1サイドプレート31側の面に形成された複数の円形状の穴部70と、第1サイドプレート31からロータ50側に向かって突出する複数のピン71とで構成されている。各ピン71は、穴部70よりも小径に形成されており、それぞれ対応する穴部70に嵌め込まれている。このことは、ロータ50と第2サイドプレート32との間に設けられる動力伝達機構についても同様である。
動力伝達機構では、シリンダ30が第1軸心O1の周りに回転すると、各ピン71と第2軸心O2との位置および距離が変化する。この位置および距離の変化と共に、ピン71は、ロータ50の穴部70の内壁に沿って移動しつつ、ロータ50の穴部70の内壁に対して回転方向の力を与える。これにより、ロータ50は、シリンダ30の回転に連動して第2軸心O2の周りに回転する。
図2に示すように、ロータ50の径方向外壁の1箇所には、径方向内側に凹む嵌合溝51が設けられている。嵌合溝51は、ロータ50の軸方向の全域に亘って設けられている。その嵌合溝51には、板状の仕切部材53が嵌め込まれている。仕切部材53の軸方向長さは、ロータ50の軸方向長さと略同等の寸法である。仕切部材53は、嵌合溝51をロータ50の径方向に往復移動可能である。また、仕切部材53の先端部は、シリンダ30の筒部33の内周面に対して摺動可能である。
仕切部材53は、ロータ50の外周面とシリンダ30の内周面との間に形成される作動室60を、冷媒を吸入する吸入空間62と、冷媒を圧縮する圧縮空間63とに仕切っている。吸入空間62は、仕切部材53の回転方向後方からシール部61までの範囲に形成される。一方、圧縮空間63は、仕切部材53の回転方向前方からシール部61までの範囲に形成される。
図1に示すように、上述したシャフト20には、シャフト側吸入通路26が形成されている。シャフト側吸入通路26は、ハウジング側吸入通路14に連通し、外部から流入した冷媒を作動室60側へ導く通路である。シャフト20の外周面には、径方向内側に凹む凹部27が設けられている。シャフト側吸入通路26は、その凹部27に開口している。
ロータ50には、その外周面と内周面とを連通するロータ側吸入通路52が設けられている。ロータ側吸入通路52は、ロータ50の内周面側の開口が、シャフト20の凹部27に連通している。一方、図1および図2に示すように、ロータ側吸入通路52は、ロータ50の外周面の開口が、嵌合溝51の回転方向直後に位置にしている。これにより、外部からハウジング側吸入通路14に流入した冷媒は、シャフト側吸入通路26とロータ側吸入通路52とを経由して作動室60に導かれる。
また、第1サイドプレート31および第2サイドプレート32には、作動室60で圧縮された冷媒をハウジング10の内部空間へ吐出させる吐出穴34が形成されている。また、吐出穴34には、吐出弁35が設けられている。吐出弁35は、例えばリード弁で構成されている。吐出弁35は、作動室60の圧縮空間63の冷媒圧力が所定の吐出圧力を超えた際に、吐出穴34を開放する。また、吐出弁35は、ハウジング10の内部空間の冷媒が吐出穴34を介して作動室60へ逆流することを抑制する。
電動モータは、固定子としてのステータ80、および回転子としてのシリンダ30等によって構成されている。
ステータ80は、磁性材料で形成された円筒状のステータコア81、およびそのステータコア81のティースに巻き付けられたステータコイル82を有する。ステータ80は、第1ハウジング11の内周面に圧入、焼嵌め又はボルト止め等の手段によって固定されている。ステータ80は、シリンダ30の外周側に配置されている。
シリンダ30は、磁性材料で形成されている。シリンダ30の筒部33には、周方向に複数の永久磁石37が固定されている。これにより、シリンダ30は、電動モータの回転子としての機能を兼ね備える。
ステータ80は、ステータコイル82に電力が供給されると、ステータ80の内周側に配置されたシリンダ30を回転させる回転磁界を発生させる。これにより、シリンダ30は、その回転磁界によって第1軸心O1の周りに回転する。シリンダ30の回転に連動して、ロータ50は第2軸心O2の周りに回転する。
このように、本実施形態の圧縮機1では、電動モータの回転子と圧縮機構のシリンダ30が一体成形物として構成されている。なお、電動モータの回転子と圧縮機構のシリンダ30とは、別部材で構成し、圧入等の手段によって一体化させてもよい。
<圧縮機1の作動>
次に、本実施形態の圧縮機1の作動について図3を参照して説明する。図3は、圧縮機1の作動状態を説明するために、シリンダ30の回転に伴う作動室60の変化を連続的に示した説明図である。図3では、仕切部材53の先端部がシール部61に位置している状態におけるロータ50およびシリンダ30の回転角度θ(以下、単にθという)を0°としている。なお、図3では、各構成を見やすくするため、θ=0°に対応する断面図に各構成の符号を主に付し、他の回転角度における各構成の符号を省略している。
θ=0°の状態では、仕切部材53の回転方向前方側に最大容積の圧縮空間63が形成される。θ=0°の状態で、吸入空間62は形成されていない。以下、吸入空間62、圧縮空間63の順に説明する。
θ=0°からθ=45°に向けてシリンダ30の回転角度θが増加すると、仕切部材53の回転方向後方側に最小容積の吸入空間62が形成される。吸入空間62は、作動室60における容積を拡大する行程を行うための空間である。θ=45°からθ=315°に示すように、シリンダ30の回転角度θが増加すると、シリンダ30、ロータ50および仕切部材53が変位し、吸入空間62の容積が増加する。これにより、吸入ポート13から吸入された冷媒は、ハウジング側吸入通路14→シャフト側吸入通路26→ロータ側吸入通路52を経由して吸入空間62へ流入する。
シリンダ30とロータ50が回転する際、仕切部材53には、ロータ50の回転に伴う遠心力が作用する。そのため、仕切部材53は、その端部がシリンダ30の内周面に押しつけられて当接する。これにより、作動室60は、仕切部材53により、吸入空間62と圧縮空間63とに区画された状態が維持される。
そして再びθ=360°に達すると(すなわち、θ=0°に戻ると)、吸入空間62が最大容積となる。さらに、θ=360°から回転角度が増加すると、吸入空間62とロータ側吸入通路52との連通が遮断される。これにより、仕切部材53の回転方向前方側に、圧縮空間63が形成される。圧縮空間63は、作動室60における容積を縮小する行程を行うための空間である。
さらに、θ=360°から回転角度が増加すると、θ=45°(405°)からθ=315°(675°)に点ハッチングで示すように、仕切部材53の回転方向前方側に形成された圧縮空間63の容積が縮小する。これにより、圧縮空間63の冷媒圧力が上昇する。そして、圧縮空間63の冷媒圧力が、ハウジング10の内部空間の冷媒圧力と吐出弁35の閉弁力とを合わせた力より大きい圧力に達すると、吐出弁35が開弁する。これにより、圧縮空間63の冷媒が吐出穴34を経由してハウジング10の内部空間へ吐出される。
なお、上記の作動説明では、圧縮機構部の作動態様の明確化のため、回転角度θが0°から720°まで変化する間の作動室60の変化を説明した。実際には、回転角度θが0°から360°まで変化する際に説明した冷媒の吸入行程と、回転角度θが360°から720°まで変化する際に説明した冷媒の圧縮行程とが、シリンダ30が1回転する際に同時に行われる。
<圧縮機の温度変化による寸法変化>
続いて、圧縮機1の温度変化に伴う寸法変化について、図4を参照して説明する。
図4(A)は、圧縮機1の通常時の状態を示したものである。これに対し、図4(B)は、圧縮機1の温度が上昇した状態を模式的に示したものである。
上述したように、圧縮機1は、第1ハウジング11が例えばアルミニウムなどの金属から構成されており、第2ハウジング12、シャフト20、シリンダ30および摺接部材40等が例えば鉄などの金属から構成されている。一般に、アルミニウムの線膨張係数は、鉄の線膨張係数よりも大きい。そのため、図4(A)に示した圧縮機1の通常時の状態と比べて、図4(B)に示した圧縮機1の温度が上昇した状態では、第1ハウジング11の筒部112の軸方向の長さが長くなっている。なお、図4(B)では、説明の便宜上、筒部112の軸方向の長さの変化を実際のものよりも大きく記載している。
図4(B)に示すように、圧縮機1の温度が上昇した状態においても、シャフト20の第2固定軸22は第2嵌合穴121に圧入固定された状態を維持している。一方、シャフト20の第1固定軸21は、第1嵌合穴113から僅かに第2ハウジング12側に移動している。
この状態においても、シャフト20の外壁に固定された摺接部材40は、シリンダ30が有する第1ボス部312の底部111側の端面313に摺接している。そのため、第2ボス部322と第2ハウジング12との隙間の小さい状態が維持されており、且つ、摺接部材40と第1ボス部312との隙間の小さい状態が維持されている。
なお、この状態においても、第1ハウジング11が有する第1嵌合穴113の内壁とシャフト20の第1固定軸21との間は、弾性シール部材41がシールしている。そのため、弾性シール部材41により、第1ハウジング側オイル通路171または第1シャフト側オイル通路251とハウジング10の内側の空間との間の冷媒の流通が抑制される。
以上説明した第1実施形態の圧縮機は、次の作用効果を奏する。
(1)第1実施形態では、環状に形成された摺接部材40は、第1ハウジング11の底部111とシリンダ30との間でシャフト20の外壁に固定され、シリンダ30が有する第1ボス部312の底部111側の端面313に摺接する。
これによれば、圧縮機1が備える各構成部材が温度変化などにより膨張または収縮した場合でも、シリンダ30と摺接部材40との隙間の変化を抑えることが可能である。そのため、圧縮機1は、機械損失を悪化させることなく、シリンダ30と摺接部材40とを良好に摺動させることができる。シリンダ30と摺接部材40とが摺接することで、その摺接箇所が冷媒のシール部として機能する。そのため、ハウジング10の内側の空間の高圧冷媒が作動室60へ不必要に流入することが抑制される。したがって、圧縮機1は、冷媒の圧縮効率を高めることができる。
さらに、圧縮機1は、シリンダ30のがたつきを防ぎ、振動および騒音を低減できる。
(2)第1実施形態では、シャフト20とシリンダ30との線膨張率の差は、シャフト20と第1ハウジング11との線膨張率の差よりも小さい。
これによれば、圧縮機1が備える各構成部材が温度変化などにより膨張または収縮した場合でも、シャフト20とシリンダ30との軸方向の長さの変位が小さく抑えられる。したがって、圧縮機1は、シャフト20に固定された摺接部材40とシリンダ30との隙間の変化を抑えることができる。
(3)第1実施形態では、摺接部材40とシリンダ30との線膨張率の差は、シャフト20と第1ハウジング11との線膨張率の差よりも小さい。
これによれば、圧縮機1が備える各構成部材が温度変化などにより膨張または収縮した場合でも、シリンダ30と摺接部材40との隙間の変化を抑えることができる。
(4)第1実施形態では、シャフト20と第2ハウジング12との線膨張率の差は、シャフト20と第1ハウジング11との線膨張率の差よりも小さい。
これによれば、圧縮機1が備える各構成部材が温度変化などにより膨張または収縮した場合でも、第2ハウジング12が有する第2嵌合穴121にシャフト20が確実に固定された状態を維持できる。
(5)第1実施形態では、シャフト20とシリンダ30とは同一の材料または線膨張係数が近似した同種の材料から構成されたものである。
これによれば、シャフト20とシリンダ30との線膨張率を同一または近似させることができる。
(6)第1実施形態では、第1ハウジング側オイル通路171および第1シャフト側オイル通路251が第1嵌合穴113に開口する位置よりもシリンダ30側で、第1嵌合穴113の内壁とシャフト20の外壁との間に、弾性シール部材41が設けられる。
これによれば、圧縮機1が備える各構成部材が温度変化などにより膨張または収縮した場合でも、弾性シール部材41により、第1ハウジング側オイル通路171または第1シャフト側オイル通路251とハウジング10の内側の空間との間を冷媒が流通することが抑制される。したがって、圧縮機1は、ハウジング10の内側の空間の高圧冷媒が不必要に作動室60に流入することを防ぎ、冷媒の圧縮効率を高めることができる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。以下に説明する複数の実施形態は、第1実施形態に対して摺接部材40およびその周囲の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
なお、後述する複数の実施形態の説明で参照する図5〜図9は、いずれも圧縮機1の一部分の断面図である。
図5に示すように、第2実施形態では、摺接部材40は、円筒状のブッシュ部42と、そのブッシュ部42の径方向の外壁に固定されたフランジ部43とを有する。ブッシュ部42とフランジ部43とは連続した材料により一体に構成されている。この場合、ブッシュ部42とフランジ部43とは、例えば切削加工などにより一体に形成される。
なお、ブッシュ部42とフランジ部43とは、別部材により構成し、それらを圧入または溶接などの方法により固定してもよい。
ブッシュ部42は、シャフト20の外壁に対し、例えば圧入、溶接またはボルト止めなどの方法により固定される。ブッシュ部42の径方向外側には、シリンダ30の第1ボス部312が設けられる。第1ボス部312は、ブッシュ部42の周りに回転可能に設けられている。
フランジ部43は、環状に形成され、シリンダ30が有する第1ボス部312の底部111側の端面313に摺接している。
なお、ブッシュ部42には、ブッシュ側オイル通路44が設けられている。ブッシュ側オイル通路44は、一端が第1シャフト側オイル通路251に開口し、他端がブッシュ部42と第1ボス部312との摺動箇所391に開口している。これにより、ブッシュ部42と第1ボス部312との摺動箇所391に潤滑油が供給される。
第2実施形態では、摺接部材40がブッシュ部42とフランジ部43とを有することにより、シャフト20の外壁とブッシュ部42の内壁とが接する面積を大きくすることが可能である。そのため、摺接部材40とシャフト20との嵌合力を高めることができる。
また、第2実施形態では、ブッシュ部42とフランジ部43とを、連続した材料により一体に構成することで、シャフト20に対してフランジ部43を垂直に形成し、シリンダ30の端面313とフランジ部43との隙間の管理を正確に行うことができる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について、図6を参照して説明する。
第3実施形態では、シャフト20は、第1固定軸21において、偏心軸23側から第1ハウジング11の底部111側に向けて外径を次第に小さくしたシャフト側テーパ面28を有する。
シャフト20が有するシャフト側テーパ面28に対応して、摺接部材40のブッシュ部42は、その内壁に、偏心軸23側から第1ハウジング11の底部111側に向けて内径を次第に小さくしたブッシュ側テーパ面45を有する。ブッシュ部42は、その内壁であるブッシュ側テーパ面45が、圧入または溶接などの方法によりシャフト側テーパ面28に固定される。
フランジ部43は、ブッシュ部42と連続した材料により一体に構成され、ブッシュ部42の径方向外側に固定されている。この場合、ブッシュ部42とフランジ部43とは、例えば切削加工などにより一体に形成される。フランジ部43は、シリンダ30が有する第1ボス部312の底部111側の端面313に摺接している。
第3実施形態では、ブッシュ部42の偏心軸23側の開口部内径が第1固定軸21の軸方向の端面より大きいものとなるので、シャフト20に摺接部材40を組み付ける際、シャフト20に対して摺接部材40を容易に着脱できる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について、図7を参照して説明する。
第4実施形態では、摺接部材40が有するブッシュ部42とフランジ部43とが、別部材により構成されている。フランジ部43は、ブッシュ部42の径方向の外壁に対し、圧入、溶接またはボルト止めなどの方法により固定されている。
第4実施形態では、ブッシュ部42に対するフランジ部43の位置調整を容易に行うことが可能である。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について、図8および図9を参照して説明する。
第5実施形態では、摺接部材40は、円筒状のブッシュ部42と、そのブッシュ部42の径方向の外壁に固定されたフランジ部43と、ブッシュ部42の第2ハウジング12とは反対側の端部に設けられた底壁部46とを有する。ブッシュ部42とフランジ部43と底壁部46とは、連続した材料により一体に構成されている。この場合、ブッシュ部42とフランジ部43と底壁部46とは、例えば切削加工などにより一体に形成される。
なお、ブッシュ部42とフランジ部43と底壁部46とは、別部材により構成し、それらを圧入、溶接またはボルト止めなどの方法により固定してもよい。
底壁部46には、軸方向に通じるボルト穴47が設けられている。このボルト穴47は、ボルト90の頭部91を埋め込むことの可能な座繰り部471を有する。また、シャフト20は、ボルト穴47に対応する位置に、シャフト側ボルト穴29を有する。シャフト側ボルト穴29の内壁には、雌ねじが形成される。底壁部46のボルト穴47からボルト90を挿し込み、シャフト側ボルト穴29の雌ねじに螺合することにより、シャフト20と摺接部材40とが接続される。このとき、ボルト90の頭部91は、底壁部46に設けられたボルト穴47が有する座繰り部471に埋め込まれる。そのボルト90の軸力により、シャフト20の軸方向の端面24と、摺接部材40の底壁部46とが確実に当接する。この状態で、フランジ部43は、シリンダ30が有する第1ボス部312の底部111側の端面313に摺接する。したがって、ボルト90の軸力および各部の寸法管理により、シリンダ30が有する第1ボス部312の端面313とフランジ部43との隙間の管理を正確に行うことが可能である。
また、ボルト90の頭部91が座繰り部471に埋め込まれることで、摺接部材40をシャフト20に取り付けた状態のシャフト20および摺接部材40の軸方向の長さを小さくし、圧縮機1の体格を小型化できる。
シャフト20と摺接部材40との相対回転は、回転止め部材92によって防がれている。回転止め部材92は、その一端がシャフト20の径方向の外壁に設けられた第1位置決め穴93に嵌合し、他端が摺接部材40のブッシュ部42の径方向の内壁に設けられた第2位置決め穴94に嵌合している。なお、第2位置決め穴94は、ブッシュ部42の底壁部46とは反対側に開口している。そのため、回転止め部材92をシャフト20の第1位置決め穴93に嵌合させた後、摺接部材40をシャフト20に嵌め入れると共に、回転止め部材92をブッシュ部42の第2位置決め穴94に嵌合させることが可能である。回転止め部材92によりシャフト20と摺接部材40との相対回転が防がれることで、ボルト90の軸力が維持される。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
例えば、上記各実施形態では、車両の冷凍サイクルに適用した圧縮機1について説明した。これに対し、他の実施形態では、圧縮機1は、車両の冷凍サイクルに適用されるものに限らず、種々の流体を吸入し、圧縮するものとしてもよい。
例えば、上記各実施形態では、シリンダの第1ボス部と第1ハウジングとの間に位置するシャフトの外壁に摺接部材を固定した。これに対し、他の実施形態では、摺接部材は、上記の位置に加え、シリンダの第2ボス部と第2ハウジングとの間に位置するシャフトの外壁にも固定してもよい。
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、圧縮機は、第1ハウジング、第2ハウジング、シャフト、シリンダ、ロータおよび摺接部材を備える。第1ハウジングは、底部及びその底部の外縁から筒状に延びる筒部を有する。第2ハウジングは、筒部の底部とは反対側の端部に固定される。シャフトは、一端が第1ハウジングの底部が有する第1嵌合穴に嵌合し、他端が第2ハウジングが有する第2嵌合穴に固定される。シリンダは、第1ハウジングおよび第2ハウジングの内側でシャフトに対し回転可能に設けられる。ロータは、シリンダの内側でシリンダの回転軸に対して偏心して回転するものであり、シリンダの内壁とロータの外壁との間に流体が吸入および圧縮される作動室を形成する。摺接部材は、環状に形成され、第1ハウジングの底部とシリンダとの間でシャフトの外壁に固定され、シリンダの底部側の端面に摺接する。
第2の観点によれば、シャフトとシリンダとの線膨張率の差は、シャフトと第1ハウジングとの線膨張率の差よりも小さい。
これによれば、シャフト、シリンダおよび第1ハウジングが温度変化などにより膨張または収縮した場合でも、シャフトとシリンダとの軸方向の長さの変化が小さく抑えられる。したがって、圧縮機は、シャフトに固定された摺接部材とシリンダとの隙間の変化を抑えることができる。
第3の観点によれば、摺接部材とシリンダとの線膨張率の差は、シャフトと第1ハウジングとの線膨張率の差よりも小さい。
これによれば、摺接部材、シリンダ、シャフトおよび第1ハウジングが温度変化などにより膨張または収縮した場合でも、シリンダと摺接部材との隙間の変化を抑えることができる。
第4の観点によれば、シャフトと第2ハウジングとの線膨張率の差は、シャフトと第1ハウジングとの線膨張率の差よりも小さい。
これによれば、シャフト、第1ハウジングおよび第2ハウジングが温度変化などにより膨張または収縮した場合でも、第2ハウジングが有する第2嵌合穴にシャフトが確実に固定された状態を維持できる。
第5の観点によれば、シャフトとシリンダとは同一の材料、または線膨張率が近似した同種の材料から構成されたものである。
これによれば、シャフトとシリンダとの線膨張率を同一または近似したものにできる。
第6の観点によれば、圧縮機は、貯留室、第1ハウジング側オイル通路、シャフト側オイル通路および環状の弾性シール部材をさらに備える。貯留室は、潤滑油を貯留する。第1ハウジング側オイル通路は、第1ハウジングに設けられ、一端が貯留室に開口し、他端が第1ハウジングが有する第1嵌合穴に開口する。シャフト側オイル通路は、シャフトに設けられ、一端が第1ハウジングが有する第1嵌合穴に開口し、他端がシリンダとシャフトとの摺接箇所に開口する。環状の弾性シール部材は、第1ハウジング側オイル通路およびシャフト側オイル通路が第1嵌合穴に開口する位置よりもシリンダ側で、第1嵌合穴の内壁とシャフトの外壁との間に設けられる。
これによれば、第1ハウジングとシャフトが温度変化などにより膨張または収縮した場合でも、弾性シール部材により、第1ハウジング側オイル通路またはシャフト側オイル通路とハウジングの内側の空間との間を流体が流通することが抑制される。したがって、圧縮機は、流体の圧縮効率を高めることができる。
第7の観点によれば、摺接部材は、シャフトの外壁に固定される筒状のブッシュ部と、ブッシュ部の径方向の外壁に固定されたフランジ部とを有する。
これによれば、シャフトの外壁とブッシュ部の内壁との当接面積を大きくすることが可能である。そのため、摺接部材とシャフトとの嵌合力を高めることができる。
第8の観点によれば、ブッシュ部とフランジ部とは、連続した材料により一体に構成されている。
これによれば、ブッシュ部とフランジ部とを例えば切削加工などにより一体に形成することで、シャフトに対してフランジ部を垂直に形成し、シリンダの端面とフランジ部との隙間の管理を正確に行うことができる。
第9の観点によれば、ブッシュ部とフランジ部とは、別部材により構成されている。
これによれば、ブッシュ部に対するフランジ部の位置調整を容易に行うことが可能である。
第10の観点によれば、シャフトは、軸方向の中央側から第1ハウジングの底部側に向けて外径を次第に小さくしたシャフト側テーパ面を有し、
摺接部材のブッシュ部は、シャフト側テーパ面に対応して、第1ハウジングの底部側に向けて内径を次第に小さくしたブッシュ側テーパ面を有する。
これによれば、ブッシュ部の偏心軸側の開口部内径が第1固定軸の軸方向の端面より大きいものとなるので、シャフトに摺接部材を組み付ける際、シャフトに対し摺接部材を容易に着脱できる。
第11の観点によれば、摺接部材は、ブッシュ部の第2ハウジングとは反対側の端部に設けられた底壁部を有する。
これによれば、シャフトの第1ハウジング側の端面と摺接部材の底壁部とを当接させることで、シリンダの端面とフランジ部との隙間の管理を正確に行うことができる。
第12の観点によれば、摺接部材の底壁部とシャフトとを固定するボルトをさらに備える。
これによれば、ボルトの軸力および各部の寸法管理により、シャフトの第1ハウジング側の端面と摺接部材の底壁部とを確実に当接させることができる。
第13の観点によれば、ボルトは、シャフトに形成された雌ねじに螺合すると共に、底壁部に設けられたボルト穴に埋め込まれる。
これによれば、ボルトにより摺接部材をシャフトに取り付けた状態のシャフトの軸方向の長さを小さくし、圧縮機の体格を小型化できる。
第14の観点によれば、一端がシャフトの径方向の外壁に設けられた第1位置決め穴に嵌合し、他端が摺接部材のブッシュ部の径方向の内壁に設けられた第2位置決め穴に嵌合し、シャフトと摺接部材との相対回転を防ぐ回転止め部材をさらに備える。
これによれば、シャフトと摺接部材との相対回転を防ぐことで、ボルトの軸力を維持できる。
1 圧縮機
11 第1ハウジング
12 第2ハウジング
20 シャフト
30 シリンダ
40 摺接部材
50 ロータ
113 第1嵌合穴
121 第2嵌合穴

Claims (14)

  1. 有底筒状に形成され、底部(111)および前記底部の外縁から筒状に延びる筒部(112)を有する第1ハウジング(11)と、
    前記筒部の前記底部とは反対側の端部に固定される第2ハウジング(12)と、
    一端が前記第1ハウジングの前記底部が有する第1嵌合穴(113)に嵌合し、他端が前記第2ハウジングが有する第2嵌合穴(121)に固定されるシャフト(20)と、
    前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングの内側で前記シャフトに対し回転可能に設けられたシリンダ(30)と、
    前記シリンダの内側で前記シリンダの回転軸(O1)に対して偏心して回転するロータ(50)であって、前記シリンダの内壁と前記ロータの外壁との間に流体が吸入および圧縮される作動室(60)を形成するロータと、
    環状に形成され、前記第1ハウジングの前記底部と前記シリンダとの間で前記シャフトの外壁に固定され、前記シリンダの前記底部側の端面(313)に摺接する摺接部材(40)と、を備える圧縮機。
  2. 前記シャフトと前記シリンダとの線膨張率との差は、前記シャフトと前記第1ハウジングとの線膨張率との差よりも小さい請求項1に記載の圧縮機。
  3. 前記摺接部材と前記シリンダとの線膨張率との差は、前記シャフトと前記第1ハウジングとの線膨張率との差よりも小さい請求項1または2に記載の圧縮機。
  4. 前記シャフトと前記第2ハウジングとの線膨張率の差は、前記シャフトと前記第1ハウジングとの線膨張率の差よりも小さい請求項1ないし3のいずれか1つに記載の圧縮機。
  5. 前記シャフトと前記シリンダとは同一の材料、または線膨張率が近似した同種の材料から構成されたものである請求項1ないし4のいずれか1つに記載の圧縮機。
  6. 潤滑油を貯留する貯留室(16)と、
    前記第1ハウジングに設けられ、一端が前記貯留室に開口し、他端が前記第1ハウジングが有する前記第1嵌合穴に開口する第1ハウジング側オイル通路(171)と、
    前記シャフトに設けられ、一端が前記第1ハウジングが有する前記第1嵌合穴に開口し、他端が前記シリンダと前記シャフトとの摺接箇所(391)に開口するシャフト側オイル通路(251)と、
    前記第1ハウジング側オイル通路および前記シャフト側オイル通路が前記第1嵌合穴に開口する位置よりも前記シリンダ側で、前記第1嵌合穴の内壁と前記シャフトの外壁との間に設けられた環状の弾性シール部材(41)と、をさらに備える請求項1ないし5のいずれか1つに記載の圧縮機。
  7. 前記摺接部材は、
    前記シャフトの外壁に固定される筒状のブッシュ部(42)と、
    前記ブッシュ部の径方向の外壁に固定されるフランジ部(43)とを有する請求項1ないし6のいずれか1つに記載の圧縮機。
  8. 前記ブッシュ部と前記フランジ部とは、連続した材料により一体に構成されている請求項7に記載の圧縮機。
  9. 前記ブッシュ部と前記フランジ部とは、別部材により構成されている請求項7に記載の圧縮機。
  10. 前記シャフトは、軸方向の中央側から前記第1ハウジングの前記底部側に向けて外径を次第に小さくしたシャフト側テーパ面(28)を有し、
    前記摺接部材の前記ブッシュ部は、前記シャフト側テーパ面に対応して、前記第1ハウジングの前記底部側に向けて内径を次第に小さくしたブッシュ側テーパ面(45)を有する請求項7ないし9のいずれか1つに記載の圧縮機。
  11. 前記摺接部材は、前記ブッシュ部の前記第2ハウジングとは反対側の端部に設けられた底壁部(46)を有する請求項7ないし10のいずれか1つに記載の圧縮機。
  12. 前記摺接部材の前記底壁部と前記シャフトとを固定するボルト(90)をさらに備える請求項11に記載の圧縮機。
  13. 前記ボルトは、前記シャフトに形成された雌ねじ(29)に螺合すると共に、前記底壁部に設けられたボルト穴(47)の座繰り部(471)に埋め込まれる請求項12に記載の圧縮機。
  14. 一端が前記シャフトの径方向の外壁に設けられた第1位置決め穴(93)に嵌合し、他端が前記摺接部材の前記ブッシュ部の径方向の内壁に設けられた第2位置決め穴(94)に嵌合し、前記シャフトと前記摺接部材との相対回転を防ぐ回転止め部材(92)をさらに備える請求項7ないし13のいずれか1つに記載の圧縮機。
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