JP2017206754A - 金属シート材の加工方法 - Google Patents

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Tatsuhiko Aizawa
龍彦 相澤
憲治 和佐
Kenji Wasa
憲治 和佐
早紀 橋本
Saki Hashimoto
早紀 橋本
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Abstract

【課題】プラズマ窒化処理によってマスク配置箇所に形成された硬化層を、サンドブラスト以外の方法で除去する加工技術を提供する。【解決手段】金属シート材30の表面に、所望形状のマスク32を形成する工程と、金属シート材30の表面にプラズマ窒化処理を施し、マスク形成部以外の部分に硬化層34を形成する工程と、マスク32を除去する工程と、金属シート材30の表面にエッチング処理を施すことにより、硬化層34以外の部分に、マスク32に対応した形状のノズル孔36を形成する工程からなる加工方法。【選択図】図10

Description

この発明は、金属シート材の表面に窒素を部分的に固溶させ、その表面及び内部を選択的に硬化させた後、非硬化部分を除去することで、金属材の表面に微細加工を施す技術の応用技術に関する。
スマートフォーンに代表されるように、多くの情報機器のトレンドは、微小化・微細化・軽量化・高機能化にある。
特に、IoT(Internet of Things)機器が本格化する中で、微小機能部品の接着・微細回路描画・大面積接合などを実現するには、従来のマイクロミリング・マイクロ放電加工に代わる新しい加工方法が必要となる。
この点に関し、特許文献1に示すように、新たなマイクロ加工法として、低温プラズマ窒化処理を用いた微細加工技術がすでに提案されている。
これは、ステンレス鋼の表面にカーボン等よりなるマスクを所定パターンで配置し、ステンレス鋼の表面全体に低温プラズマ窒化処理を施すことにより、マスク配置箇所以外を硬化させた後、比較的硬度の低いマスク配置箇所を機械的に除去することにより、マスクパターンに応じた凹部を形成するものである。
特開2015−161011号公報
この特許文献1の加工技術の場合、微細なマスクパターンの形成が、2次元CADデータに基づき、カーボンインクをインクジェットプリンター等でステンレス鋼の表面に印刷することにより、比較的容易に実現できる利点を有している。
しかし一方で、ステンレス鋼におけるマスク配置箇所(比較的硬度の低い部分)の除去が、サンドブラスト法によって実現されるため、最終的な形状精度や空間分解能がブラストメディアのサイズや形状等に拘束されるという問題があった。
この発明は、従来の上記問題を解決するために案出されたものであり、サンドブラスト以外の方法によってマスク配置箇所を除去する加工技術を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するため、請求項1に記載した金属シート材の加工方法は、金属シート材の表面に、所望形状のマスクを形成する工程と、上記金属シート材の表面にプラズマ窒化処理を施し、マスク形成部以外の部分に硬化層を形成する工程と、上記マスクを除去する工程と、上記金属シート材の表面にエッチング処理を施すことにより、上記硬化層以外の部分に、上記マスクに対応した形状の凹部を形成する工程とからなることを特徴としている。
請求項2に記載した金属シート材の加工方法は、金属シート材の表面に、所望形状の複数のマスクを形成する工程と、上記金属シート材の表面にプラズマ窒化処理を施し、マスク形成部以外の部分に硬化層を形成する工程と、上記マスクの中の一部を除去する工程と、上記金属シート材の表面にエッチング処理を施すことにより、上記硬化層及びマスク形成部以外の部分に、除去したマスクに対応した形状の凹部を形成する工程と、残りのマスクの少なくとも一部を除去する工程と、当該凹部上に再度マスクを形成する工程と、上記金属シート材の表面にエッチング処理を施すことにより、上記硬化層及び凹部以外の部分に、除去したマスクに対応した形状の凹部を形成する工程とからなることを特徴としている。
請求項3に記載した金属シート材の加工方法は、請求項1または2の加工方法であって、さらに、上記マスクが印刷技術によって形成されることを特徴としている。
請求項4に記載した金属シート材の加工方法は、請求項1または2の加工方法であって、さらに、上記マスクがリソグラフィー技術によって形成されることを特徴としている。
この発明に係る金属シート材の加工方法の場合、金属シート材における硬化層以外の部分(マスク配置箇所)が、サンドブラスト等の機械的手法によって除去される代わりに、エッチング処理という化学的手法を用いて除去されるため、従来のように最終的な形状精度や空間分解能がブラストメディアのサイズや形状等に拘束されることなく、極めて微細かつ良好な仕上がりを実現できる。
しかも、硬化層が金属シート材の表面から内部にかけて形成されているため、エッチング処理が異方的となり、シート面に直方向のストレート孔加工が可能となる。
この発明の技術項目を、以下に説明する。
(1) 選択的な耐腐食パターンの形成
厚さが10mm以下、好ましくは5mm以下、より好ましければ1mm以下の金属シート材の表面に、種々の2次元形状のノズル孔を複数プリントする。
ノズル孔のサイズ、孔形状、孔間ピッチは、インクジェットプリンターやリソグラフィーにより制御する。
プリント部以外の金属シート表面を窒化相とすることで、プリント部以外の表面及び表面直下の耐腐食性を向上させる。
上記の金属シート材としては、例えば以下のようなものが該当する。
・ステンレス鋼シート、鉄クロム合金シート
・チタンおよびチタン合金シート
・アルミおよびアルミ合金シート
・マグネシウムおよびマグネシウム合金シート
・高融点金属シート
(2) 選択的な異方性ケミカルエッチング
プリント部を除去した後、金属シート全体をケミカルエッチングする。
旧プリント部以外の金属シート部では、選択的に窒素が高濃度で固溶しているために硬化層となされており、この高濃度窒素固溶状態が貴化を生じさせ、耐腐食性を増加させている。
この結果、旧プリント部のみがエッチングされる。
(3) 自在なノズルアセンブリーの作成
プリント部のみをケミカルエッチングすることで、プリント部と非プリント部の境界を直角なエッジ部となるノズルを形成する。
ノズル孔サイズ・形状およびアセンブリーのノズル間ピッチは、プリンターの空間分解能で制御でき、自在なノズルアセンブリーを金属シート上に形成する。
この技術により ノズル形成に限らず、任意の2次元パターン金属部品形成も可能となる。
[技術的背景]
ステンレス鋼、アルミ合金、チタン合金のシート材への微細複雑形状の孔加工は、ドリル加工・ミリングに代表される機械切削加工あるいはケミカルエッチング加工が主である。
前者では、微細化する孔径以下の直径を有する工具が不可欠であり、6μm以下の直径の孔加工は事実上不可能である。後者は、基本的には等方的エッチングであり、シート面に直方向のストレート孔加工は不可能である。
また、形状テンプレートがあれば微細加工も可能ではあるが、腐食加工に十分耐えられる微細かつ複雑形状のマスキングが困難である。
[市場背景]
現在、接着剤溶液・鉛フリー半田の吐出用ノズルは、微細化の追求ゆえに、先端をルビーに変えたノズルが広く利用されている。特に20μm以下のドット描画・ライン描画では、より安価で耐久性のあるステンレス鋼製ノズルへの期待も大きい。ノズルの力学的特性上、ルビーノズルもステンレスノズルも、その吐出孔の加工が不可欠であり、10μm径のノズルまでは量産可能でも、6μm以下のノズルでは、種々の問題が生じる。
[潜在市場要件]
ノズルへの微細化の要求に加え、より安定した吐出特性への要請、より高い耐久性への需要が、今後の携帯電話機能の拡充・IoT用情報機器の微細複雑化にともなって拡大しつつある。
それらの課題に、機械切削加工法および従来のケミカルエッチング法は、応えられない。
本技術は、金属シート材への微細かつ複雑形状の孔加工を実現する。
具体的には、以下の特徴を備える。
1)金属シート材上に、インクジェットプリンターあるいはリソグラフィーで、目的の加工形状を2次元描画する。
2)描画されていない表面および界面部位は、金属基材表面が露出しており、この部位のみを選択的に低温プラズマ窒化処理する。
この場合、プラズマからの窒素原子は金属内部へと侵入型原子として拡散し、その部位が硬化する。
3)描画した部位を機械的に削除したのちに、ケミカルエッチングを行う。
すでに1)、2)のプロセスにより、2次元描画部位以外には窒素原子が侵入し、電気化学的に貴化しており、金属基材表面が露出している2次元描画部に比較してエッチング速度が大きく鈍化する。
これにより、2次元描画部位のみがエッチングされ、2次元描画部位以外は、硬化した窒素原子含む金属部位として、エッチング前と同等の表面を保つ。
4)エッチングは、プリント部の板厚方向に異方的に進展するため、非プリント部をエッチングすることなく、金属シート材を貫通し、ノズル孔を形成する。
5)形成されたノズル孔のサイズ・形状およびノズル間ピッチは、1)における2次元描画で自在に、かつ低温プラズマ窒化処理と独立に制御できる。
[本技術の展開]
金属製ノズルにおいては、市販のインクジェットプリンターによる2次元描画でも、直径が100μm以下の微細なドットあるいはライン印刷が実施できる。
ドット描画に限定したインクジェットプリンターでは、直径が20μm以下の微細な穴加工が実施できる。
さらにリソグラフィーを用いることで、直径が6μm以下で、機械切削加工でも難しい微細かつ複雑形状孔加工が実施できる。
この2次元パターン印刷した金属シート材を、低温プラズマ窒化・ケミカルエッチングを行うことで、微細かつ複雑形状のノズルアセンブリーが生産できる。
[低温プラズマ窒化処理]
つぎに、この発明の重要な要素技術である低温プラズマ窒化処理の概要について説明する。
図1は、この発明に係るRF−DC低温プラズマ窒化装置10の構造を示す模式図であり、真空チャンバ12と、その内部に配置されたDCバイアス14と、このDCバイアス14上に載置された加工対象物16と、DCバイアス14内に装着されたヒータ18と、一対のRF電極20と、真空チャンバ12の外部に配置された出力2MHzのRF発振器22とを備えている。
図示は省略したが、真空チャンバ12の外部には、RF発振器22の制御装置と、DCバイアスの制御装置と、冷却装置が設置されている。
この真空チャンバ12の給気口(図示省略)から原料となるNとHの混合ガスを内部に導入し、RF電極20, 20間に高周波を印加すると同時にDCバイアス用電圧を印加し、さらにヒータ18に給電して真空チャンバ12内を摂氏450度以下に加熱すると、混合ガスがプラズマ化し、図2に示すように、高密度の窒素イオン及びNHラディカルが発生し、窒素原子が加工対象物16の表面に浸透する。
この装置10の場合、RFプラズマとDCプラズマとを独立に制御できるため、20Pa〜1kPaの広い高圧力範囲(メゾ圧力領域)で窒化を行うことができる。
このメゾ圧力範囲での窒素イオン、NHラディカルの密度は、1017-3以上(好ましくは5×1017-3以上、より好ましくは1018-3)であり、その高窒素イオン・高NHラディカル状態で窒化を行うため、低い保持温度でも加工対象物16中に窒素原子を溶質原子として投入できる。
また、従来のプラズマ装置と異なり、入出力パワーのマッチングを周波数領域で行うため、投入エネルギーは無駄なく、迅速にプラズマに投入される。この結果、加工対象物16の表面にムラなく安定的に窒素を固溶させることができる。
以上の処理を所定時間継続すると、加工対象物16の表面に窒素が高濃度で固溶される。
[インクジェットプリンターによるステンレス鋼への2次元描画]
ステンレス鋼上へ、カーボンブラック―有機プライマーを混合したインクを用いて、幅100μm・ピッチ200μmのインクジェット・プリンティングした試料を図3に示す。
絶対温度800K以下、8時間までのプラズマ窒化条件でも、インクの剥離などがないことが確認されている。
[リソグラフィーによるステンレス鋼への2次元描画]
図4に示すように、より微細なマイクロパターンとして、プラチナを用いたリソグラフィーにより、ステンレス鋼シート上に、直径50〜5μmのノズルの2次元描画が実現できた。
[低温プラズマ窒化による選択的硬化]
図3の試料を用いて、絶対温度693K、4時間で低温プラズマ窒化を行った場合の硬度分布を、図5に示す。
インクジェットプリンターで印刷した部位は、窒素原子が侵入しないため、ステンレス鋼基材の硬度250HVのままである。
一方、基材表面が露出している部分は、低温プラズマ窒化されるため、900HV以上の高硬度となっている。
これにより線幅100μmのライン全体が高硬度化され、この硬度化されたラインと、同じ幅の未窒化のステンレス鋼ラインが、交互に現れる、硬度分布ならびに窒素分布が形成された。
[ケミカルエッチングによる選択的エッチング]
ライン幅を3mm幅に拡大してインクジェットプリントし、低温プラズマ窒化した試料を用い、インクジェットプリントしたインク部を機械的に除去した後に、ケミカルエッチング試験を行った。
図6に示すように、低温プラズマ窒化され、高硬度化したラインに関しては、全く腐食を受けない。
一方、未窒化でステンレス鋼基材が露出しているラインのみが選択的にエッチングされている。
両ラインの境界は、インクジェットプリント時の厚さむらで蛇行しているが、プラズマ窒化されたステンレス鋼基材ラインの厚さが急峻に減少している。
これは、低温プラズマ窒化時において、窒素原子がステンレス鋼基材中を異方的に拡散し、プリント部がマスクとして窒素原子の侵入を抑制している部分には窒素拡散していないことによる。
[低温プラズマ窒化による選択窒素原子分布]
窒素以外に描画部と非描画部でステンレス構成元素濃度分布に差異がないことから、マスク部のみが選択にエッチングされたことは、固溶窒素の存在で、エッチング物質が化学的にステンレス鋼の主構成元素であるFeとCrと反応できないことを示している。
上記のことを実証するために元素分析を行った。図7に示すように、境界近傍での急峻な固溶窒素原子濃度分布変化が選択的エッチングを可能としている。
すなわち、基材の主要元素であるクロム(Cr)に関しては、未窒化部ラインと窒化部ラインとに、元素濃度の差異は観察されなかった。
一方、窒素に関しては、未窒化部ラインではノイズレベルの窒素濃度しか観測されてなかったのに対して、窒化部ラインでは高濃度の窒素原子が検出された。 以上より、上記実験結果で見られた、プリントしたラインのみの異方的なケミカルエッチングは、低温プラズマプロセス時の異方的な窒素原子拡散にあると考えられる。
[低温プラズマ窒化による電気化学特性制御]
Ag/AgCl/KCl飽和セルを用い、電気化学的特性として、電位と電流密度との関係(いわゆる分極曲線)を用い、低温プラズマ窒化によるステンレス鋼の特性変化を調査した。
一般に、測定した電位―電流密度線図上には、低電位サイドではカソード曲線が、高電位サイドではアノード曲線が律速となり、両者が交差する点が腐食電位となる。
特にアノード曲線では、腐食電位より電位を増加させると急速に電流密度が上昇し、一定値となる。
この一定電流密度が腐食速度を決定する。したがって、低温プラズマ窒化したステンレス鋼で、腐食電位が上昇し、アノード反応の定電流密度が減少する方向、すなわち電位―電流密度線図において、アノード曲線が高電位・低電流密度方向にシフトすると、低温プラズマ窒化によりステンレス鋼は貴化すると判断される。
当該プラズマ装置のバイアス電圧(DC)をパラメータとして、貴化の可能性を調査した。
測定した結果をまとめて図8に示す。
基材の腐食電位は−0.25Vであるの対して、バイアス電圧を増加させると、腐食電位は増加し、−500Vバイアスでは、−0.1Vまで貴化することがわかった。
以下、図面に沿ってノズル孔の加工方法を具体的に説明する。
まず、図9(a)に示すように、厚さ1mm以下の金属シート材30の表面に、インクジェットプリンター等により、インク(黒色インク成分と有機プライマーとの混合物)を必要な形状パターンで印刷することで、マスク32を形成する。
ここでは、図9(a)の平面図である図9(b)に示すように、円形の金属シート材30の中央に、円形のマスク32を描画した例を示したが、金属シート材の形状やマスクの形状に限定はない。
つぎに、図9(c)に示すように、金属シート材30の表面に対し、低温プラズマ窒化処理を施す。
この結果、図9(d)に示すように、金属シート材30のマスク32で覆われていない部分のみが選択的に高濃度窒素固溶化され、硬化層34が形成される。
これに対し、金属シート材30のマスクに覆われた部分は、当初からの比較的低い硬度を維持している。
つぎに、図10(a)に示すように、金属シート材30のマスク32をサンドブラスト等によって機械的に除去した後、図10(b)に示すように、金属シート材30をエッチング液に浸漬させ、その表面にケミカルエッチングを施す。
上記の低温プラズマ窒化処理により、マスクで32覆われていた部位以外には窒素原子が侵入し、電気化学的に貴化しており、マスク32で覆われていた部位に比較してエッチング速度が大きく鈍化する。
これにより、マスク32で覆われていた部位のみがエッチングされ、それ以外の部位は、硬化した窒素原子含む金属部位として、エッチング前と同等の表面を保持している。
以上の結果、図10(c)及び図10(d)に示すように、マスク32の形状に対応した円形のノズル孔(貫通孔)36が金属シート材30の中央に形成される。
エッチングは、マスク被覆部の板厚方向に異方的に進展するため、非マスク被覆部をエッチングすることなく、金属シート材30を垂直に貫通している。
つぎに、金属製ノズルにおいて、吐出口を絞った形状とする場合の加工例を説明する。
まず、図11(a)及び(b)に示すように、金属シート材30の表面中央に円形の第1のマスク32を印刷すると共に、金属シート材30の円周に沿って円形の第2のマスク40を印刷する。
つぎに、図12(a)に示すように、金属シート材30の表面に対し、低温プラズマ窒化処理を施す。
この結果、図12(b)及び(c)に示すように、金属シート材30のマスク32で覆われていない部分のみが選択的に高濃度窒素固溶化され、硬化層34が形成される。
これに対し、金属シート材のマスクに覆われた部分は、当初からの比較的低い硬度を維持している。
つぎに、図13(a)に示すように、金属シート材30の第2のマスク40のみを機械的に除去した後、図13(b)に示すように、金属シート材30の表面にケミカルエッチングを施す。
この結果、第2のマスク40で覆われていた金属シート材30の外周部分のみがエッチングされ、第1のマスク32で覆われた部位及び硬化層34はエッチングされない。
ここでは、第2のマスク40で覆われていた金属シート材30の外周部分が完全になくなるまでエッチングを続けるのではなく、所定の高さを残している段階でエッチング処理を停止する。
つぎに、図13(c)に示すように、エッチングされた外周部分の表面に再度第2のマスク40を印刷すると共に、第1のマスク32を機械的に除去する。
つぎに、図14(a)に示すように、金属シート材30の表面にケミカルエッチングを施す。
この結果、第1のマスク32で覆われていた金属シート材30の中央部分のみがエッチングされ、第2のマスク40で覆われた部位及び硬化層34はエッチングされない。
ここでは、図14(b)に示すように、第1のマスク32で覆われていた金属シート材30の中央部分が完全に貫通するまでエッチングが続けられる。
最後に、第2のマスク40を除去することにより、図14(c)に示すように、ノズル孔42及び円周状段部44を備えたノズル46が完成する。
このように、金属シート材30の円周に沿って段部を形成することにより、ノズル先端の吐出口を絞った形状にすることができる。
金属シート材30の中央に向けて徐々に高さが増加する複数の段部を形成することにより、ノズル先端の吐出口をよりなめらかに絞ることが可能となる。
図15に従い、リソグラフィー技術を用いたマスクの形成方法を説明する。
まず、同図(a)に示すように、金属シート材30の表面にスパッタリングによりプラチナ層52を形成する。
つぎに、同図(b)に示すように、プラチナ層52の表面にポジ型のフォトレジスト54を塗布する。
つぎに、同図(c)に示すように、フォトレジスト54の表面にパターンマスク56を被せ、紫外線を照射して露光する。
この結果、フォトレジスト54にパターンマスク56の透光部に対応した感光部58が形成される。
つぎに、金属シート材30を現像液に浸して感光部58を除去すると、同図(d)に示すように、パターンマスク56の遮光部に対応した形状の非感光部60が残される。
つぎに、同図(e)に示すように、金属シート材30の表面にイオンミリングを施すことにより、同図(f)に示すように、非感光部60に覆われていない部分のプラチナ層52が除去される。
最後に、フォトレジスト54の非感光部60を除去することにより、同図(g)に示すように、非感光部60に対応した形状のプラチナ層52よりなるマスク62が金属シート材30の表面に形成される。
図16に従い、リソグラフィー技術を用いた他のマスクの形成方法を説明する。
まず、同図(a)に示すように、金属シート材30の表面全域に、インクジェット・プリンティング、印刷、ディスペンスノズル等を用いてカーボンコート材を被着させ、カーボン層64を形成し、さらに、その表面にプラチナ層52をスパッタリングにより積層させる。
つぎに、同図(b)に示すように、プラチナ層52の表面にポジ型のフォトレジスト54を塗布する。
つぎに、同図(c)に示すように、フォトレジスト54の表面にパターンマスク56を被せ、紫外線を照射して露光する。
この結果、フォトレジスト54にパターンマスク56の透光部に対応した感光部58が形成される。
つぎに、金属シート材30を現像液に浸して感光部58を除去すると、同図(d)に示すように、パターンマスク56の遮光部に対応した形状の非感光部60が残される。
つぎに、同図(e)に示すように、非感光部60に覆われていない部分のプラチナ層52及びカーボン層64が除去される。
プラチナ層52は、上記と同様、金属シート材30の表面にイオンミリングを施すことにより、除去される。
また、カーボン層64は、酸素プラズマ照射によって除去される。
最後に、フォトレジスト54の非感光部60を除去することにより、同図(f)に示すように、非感光部60に対応した形状のカーボン層64及びプラチナ層52よりなる2層状のマスク66が金属シート材30の表面に形成される。
RF−DC低温プラズマ窒化装置の構造を示す模式図である。 窒素原子が加工対象物の表面に浸透する様子を示す概念図である。 インクジェットプリンターによるステンレス鋼への2次元描画例を示す全体写真及び拡大写真である。 リソグラフィーによるステンレス鋼への2次元描画例を示す拡大写真である。 低温プラズマ窒化による選択的硬化を実証する拡大写真及びグラフである。 ケミカルエッチング後の金属シート材の表面性状を示す拡大写真である。 プラズマ窒化した試料面における描画部と非描画部の境界近傍の溶質窒素原子分布を示すグラフである。 低温プラズマ窒化したステンレス鋼の電位−電流密度線図である。 金属シート材にノズル孔を形成する工程を示す概念図である。 金属シート材にノズル孔を形成する工程を示す概念図である。 金属シート材に段部を備えたノズル孔を形成する工程を示す概念図である。 金属シート材に段部を備えたノズル孔を形成する工程を示す概念図である。 金属シート材に段部を備えたノズル孔を形成する工程を示す概念図である。 金属シート材に段部を備えたノズル孔を形成する工程を示す概念図である。 金属シート材の表面にリソグラフィー技術を用いてマスクを形成する工程を示す概念図である。 金属シート材の表面にリソグラフィー技術を用いてマスクを形成する他の工程を示す概念図である。
30 金属シート材
32 マスク(第1のマスク)
34 硬化層
36 ノズル孔
40 第2のマスク
42 ノズル孔
44 円周状段部
46 ノズル
52 プラチナ層
54 フォトレジスト
56 パターンマスク
58 感光部
60 非感光部
62 マスク
64 カーボン層
66 マスク

Claims (4)

  1. 金属シート材の表面に、所望形状のマスクを形成する工程と、
    上記金属シート材の表面にプラズマ窒化処理を施し、マスク形成部以外の部分に硬化層を形成する工程と、
    上記マスクを除去する工程と、
    上記金属シート材の表面にエッチング処理を施すことにより、上記硬化層以外の部分に、上記マスクに対応した形状の凹部を形成する工程と、
    からなることを特徴とする金属シート材の加工方法。
  2. 金属シート材の表面に、所望形状の複数のマスクを形成する工程と、
    上記金属シート材の表面にプラズマ窒化処理を施し、マスク形成部以外の部分に硬化層を形成する工程と、
    上記マスクの中の一部を除去する工程と、
    上記金属シート材の表面にエッチング処理を施すことにより、上記硬化層及びマスク形成部以外の部分に、除去したマスクに対応した形状の凹部を形成する工程と、
    残りのマスクの少なくとも一部を除去する工程と、
    当該凹部上に再度マスクを形成する工程と、
    上記金属シート材の表面にエッチング処理を施すことにより、上記硬化層及び凹部以外の部分に、除去したマスクに対応した形状の凹部を形成する工程と、
    からなることを特徴とする金属シート材の加工方法。
  3. 上記マスクが、印刷技術によって形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の金属シート材の加工方法。
  4. 上記マスクが、リソグラフィー技術によって形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の金属シート材の加工方法。
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