以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、「置換基を有していてもよい」は、「無置換の、または、置換基を有する」の意味である。また、一般式中に含まれるアルキル基や芳香族炭化水素環基等の有機基が置換基を有する場合、当該置換基を有する有機基の炭素数には、置換基の炭素数を含まないものとする。例えば、炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基が置換基を有する場合、炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基の炭素数には、このような置換基の炭素数を含まないものとする。
ここで、本発明の重合性化合物の製造方法は、上述した重合性化合物(I)を製造するために用いられる。また、本発明のハロゲン化体および混合物は、本発明の重合性化合物の製造方法に用いることができる。
本発明の重合性化合物の製造方法は、有機溶媒中に溶解している式(II)で示されるハロゲン化体(「ハロゲン化体(II)」)を含む組成物を、少なくとも1種の塩基性化合物を含む水層の存在下で、脱ハロゲン化水素反応に供する工程を含む、重合性化合物(I)を製造する方法である。
そして、本発明の重合性化合物の製造方法によれば、ハロゲン化体(II)を脱ハロゲン化水素反応させて、最終的に得られる生成物中に占めるハロゲン化体の割合を低下させて、重合性化合物(I)の収率を高めることができる。
従って、本発明の製造方法によれば、純度の高い重合性化合物(I)を、工業的に有利に製造することができる。
(1)重合性化合物(I)
ここで、本発明の製造方法の目的生成物である重合性化合物(I)は、光学フィルムの作製に用いられる化合物である。そして、重合性化合物(I)を用いれば、逆波長分散性等の諸特性に優れる光学フィルムを作製することができる。重合性化合物(I)は、以下の式(I)で示される化合物である。
ここで、式(I)中、aおよびdは、それぞれ独立して、1〜20の整数であり、2〜12の整数が好ましく、4〜8の整数がより好ましく、bおよびcは、それぞれ独立して、0または1であり、1が好ましい。
そして、Ar1は、D1を置換基として有する2価の芳香族炭化水素環基、または、D1を置換基として有する2価の芳香族複素環基である。また、D1は、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数1〜20の有機基である。
ここで、D1を置換基として有する2価の芳香族炭化水素環基またはD1を置換基として有する2価の芳香族複素環基とは、D1が結合している芳香族炭化水素環またはD1が結合している芳香族複素環の環部分からD1が結合している炭素以外の炭素に結合している水素原子を2個取り除いた基である。
そして、Ar1の2価の芳香族炭化水素環基としては、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、アントラセニル−9,10−ジイル基、アントラセニル−1,4−ジイル基、アントラセニル−2,6−ジイル基等が挙げられる。
これらの中でも、2価の芳香族炭化水素環基としては、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基または2,6−ナフチレン基が好ましい。
また、Ar1の2価の芳香族複素環基としては、ベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、1,2−ベンゾイソチアゾール−4,7−ジイル基、ベンゾオキサゾール−4,7−ジイル基、インドーニル−4,7−ジイル基、ベンゾイミダゾール−4,7−ジイル基、ベンゾピラゾール−4,7−ジイル基、1−ベンゾフラン−4,7−ジイル基、2−ベンゾフラン−4,7−ジイル基、ベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ジチアゾリル−4,8−ジイル基、ベンゾ[1,2−d:5,4−d’]ジチアゾリル−4,8−ジイル基、ベンゾチオフェニル−4,7−ジイル基、1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン−4,7−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェニル−4,8−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェニル−4,8−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジフラニル−4,8−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジフラニル−4,8−ジイル基、ベンゾ[2,1−b:4,5−b’]ジピロール−4,8−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジピロール−4,8−ジイル基、ベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ジイミダゾール−4,8−ジイル基等が挙げられる。
これらの中でも、2価の芳香族複素環基としては、ベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、ベンゾオキサゾール−4,7−ジイル基、1−ベンゾフラン−4,7−ジイル基、2−ベンゾフラン−4,7−ジイル基、ベンゾ[1,2−d:4,5−d’]ジチアゾリル−4,8−ジイル基、ベンゾ[1,2−d:5,4−d’]ジチアゾリル−4,8−ジイル基、ベンゾチオフェニル−4,7−ジイル基、1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン−4,7−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジチオフェニル−4,8−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジチオフェニル−4,8−ジイル基、ベンゾ[1,2−b:5,4−b’]ジフラニル−4,8−ジイル基またはベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジフラニル−4,8−ジイル基が好ましい。
Ar1の2価の芳香族炭化水素環基および2価の芳香族複素環基は、D1の他に、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、ターシャリーブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよい。置換基が複数の場合は、複数の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。2価の芳香族炭化水素環基および2価の芳香族複素環基のD1以外の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、sec−ブチル基およびターシャリーブチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基が好ましい。
また、D1の、「芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する、炭素数1〜20の有機基」において、「芳香環」とは、Huckel則に従う広義の芳香族性を有する環状構造、すなわち、π電子を(4n+2)個有する環状共役構造、および、チオフェン、フラン、ベンゾチアゾール等に代表される、硫黄、酸素、窒素等のヘテロ原子の孤立電子対がπ電子系に関与して芳香族性を示す環状構造を意味する。
そして、D1が有する芳香環は、1または複数の置換基を有していてもよい。
また、前記Ar1およびD1の中に含まれるπ電子の合計数は、通常12以上であり、好ましくは12以上22以下であり、より好ましくは12以上20以下である。
なお、D1の、芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、フルオレン環等が挙げられる。
これらの中でも、芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環が好ましい。
また、D1の、芳香族複素環としては、例えば、1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン環、1−ベンゾフラン環、2−ベンゾフラン環、アクリジン環、イソキノリン環、イミダゾール環、インドール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、オキサゾロピラジン環、オキサゾロピリジン環、オキサゾロピリダジル環、オキサゾロピリミジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、キノリン環、シンノリン環、チアジアゾール環、チアゾール環、チアゾロピラジン環、チアゾロピリジン環、チアゾロピリダジン環、チアゾロピリミジン環、チオフェン環、トリアジン環、トリアゾール環、ナフチリジン環、ピラジン環、ピラゾール環、ピラノン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピロール環、フェナントリジン環、フタラジン環、フラン環、ベンゾ[c]チオフェン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾトリアジン環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾピラゾール環、ペンゾピラノン環、ジヒドロピラン環、テトラヒドロピラン環、ジヒドロフラン環、テトラヒドロフラン環等が挙げられる。
これらの中でも、芳香族複素環としては、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、1−ベンゾフラン環、2−ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン環、チオフェン環、フラン環、ベンゾ[c]チオフェン環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、ピラン環、ベンゾイソオキサゾール環、チアジアゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、ベンゾチアジアゾール環が好ましい。
そして、D1である、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する炭素数1〜20の有機基としては、特に限定されることなく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、置換基を有していてもよい芳香族複素環基、または、式:−RfC(=N−NRgRh)で表される基が挙げられる。
なお、上記式中、Rfは、水素原子、または、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基を表す。
また、上記式中、Rgは、水素原子、または、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の有機基を表す。ここで、炭素数1〜20の有機基およびその置換基としては、後述するRaの炭素数1〜20の有機基およびその置換基の具体例として列記したものと同じものが挙げられる。
更に、上記式中、Rhは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数2〜20の有機基を表す。ここで、炭素数2〜20の有機基およびその置換基の具体例としては、後述するAxの炭素数2〜20の有機基およびその置換基の具体例として列記したものと同じものが挙げられる。
具体的には、D1となる芳香族炭化水素環基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、フルオレニル基等が挙げられる。
これらの中でも、芳香族炭化水素環基としては、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
また、D1となる芳香族複素環基としては、フタルイミド基、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、アクリジニル基、イソキノリニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、オキサゾロピラジニル基、オキサゾロピリジニル基、オキサゾロピリダジニル基、オキサゾロピリミジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、キノリル基、シンノリニル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラノンニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フェナントリジニル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾピラゾリル基、ペンゾピラノンニル基、ジヒドロピラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジヒドロフラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
これらの中でも、芳香族複素環基としては、フラニル基、チエニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、チアゾロピリジル基が好ましい。
D1となる芳香族炭化水素環基および芳香族複素環基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基等の炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基;−C(=O)−Rb’;−C(=O)−ORb’;−SRb’;−SO2Rd’;水酸基;等から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよい。ここで、Rb’は置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基または置換基を有していてもよい炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基を表し、Rd’は、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;フェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基等の、置換基を有していてもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基を表す。なお、芳香族炭化水素環基および芳香族複素環基が複数の置換基を有する場合、置換基は同一でも相異なっていてもよい。
Rb’の、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、および、置換基を有していてもよい炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;フラニル基、チオフェニル基等の炭素数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CH2CF3等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜12のフルオロアキル基等が挙げられる。Rb’の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、および、炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基は、上述した置換基から選ばれる1または複数の置換基を有していてもよく、複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
また、Rb’の、炭素数3〜12のシクロアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;および、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基等が挙げられる。Rb’の炭素数3〜12のシクロアルキル基は、上述した置換基から選ばれる1または複数の置換基を有していてもよく、複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
そして、上述したAr1としては、式:−RfC(=N−NRgRh)で表される基で置換されたフェニレン基、1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、5−(2−ブチル)−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4,6−ジメチル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、6−メチル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4,6,7−トリメチル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4,5,6−トリメチル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、5−メチル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、5−プロピル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、7−プロピル−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、5−フルオロ−1−ベンゾフラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、フェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−フルオロフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−ニトロフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−トリフルオロメチルフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−シアノフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−メタンスルホニルフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、チオフェン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、チオフェン−3−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、5−メチルチオフェン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、5−クロロチオフェン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、チエノ[3,2−b]チオフェン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、2−ベンゾチアゾリル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−ビフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−プロピルビフェニル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−チアゾリル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、1−フェニルエチレン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、4−ピリジル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、2−フリル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、ナフト[1,2−b]フラン−2−イル基で置換されたベンゾチアゾール−4,7−ジイル基、5−メトキシ−2−ベンゾチアゾリル基で置換された1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン−4,7−ジイル基、フェニル基で置換された1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン−4,7−ジイル基、4−ニトロフェニル基で置換された1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン−4,7−ジイル基、または、2−チアゾリル基で置換された1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン−4,7−ジイル基等が挙げられる。ここで、Rf、Rg、Rhは前記と同じ意味を表す。
ここで、Ar
1としては、下記式(VIII)で表される2価の基が好ましい。
〔式(VIII)中、Axは、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群より選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭素数2〜20の有機基を表し、Raは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜20の有機基を表す。〕
なお、本明細書において、下記式(i)で示される部分構造は、下記式(ia)および/または(iib)で示される部分構造を意味する。
ここで、Axの、「芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜20の有機基」において、「芳香環」とは、Huckel則に従う広義の芳香族性を有する環状構造、すなわち、π電子を(4n+2)個有する環状共役構造、および、チオフェン、フラン、ベンゾチアゾール等に代表される、硫黄、酸素、窒素等のヘテロ原子の孤立電子対がπ電子系に関与して芳香族性を示す環状構造を意味する。
Axの、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する炭素数2〜20の有機基は、芳香環を複数個有するものであってもよく、芳香族炭化水素環および芳香族複素環を有するものであってもよい。
なお、Axの、芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、フルオレン環等が挙げられる。
これらの中でも、芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環が好ましい。
また、Axの、芳香族複素環としては、例えば、1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン環、1−ベンゾフラン環、2−ベンゾフラン環、アクリジン環、イソキノリン環、イミダゾール環、インドール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、オキサゾロピラジン環、オキサゾロピリジン環、オキサゾロピリダジル環、オキサゾロピリミジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、キノリン環、シンノリン環、チアジアゾール環、チアゾール環、チアゾロピラジン環、チアゾロピリジン環、チアゾロピリダジン環、チアゾロピリミジン環、チオフェン環、トリアジン環、トリアゾール環、ナフチリジン環、ピラジン環、ピラゾール環、ピラノン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピロール環、フェナントリジン環、フタラジン環、フラン環、ベンゾ[c]チオフェン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾトリアジン環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾピラゾール環、ペンゾピラノン環、ジヒドロピラン環、テトラヒドロピラン環、ジヒドロフラン環、テトラヒドロフラン環等が挙げられる。
これらの中でも、芳香族複素環としては、フラン環、チオフェン環、オキサゾール環、チアゾール環等の単環の芳香族複素環;ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノリン環、1−ベンゾフラン環、2−ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、チアゾロピリジン環、チアゾロピラジン環等の縮合環の芳香族複素環が好ましい。
Axが有する芳香環は置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;−C(=O)−Rb;−C(=O)−ORb;−SO2Rd;等が挙げられる。ここで、Rbは置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基を表す。また、Rdは、メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;フェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基等の、置換基を有していてもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基を表す。これらの中でも、Axが有する芳香環の置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、および、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。
なお、Axは、上述した置換基から選ばれる複数の置換基を有していてもよい。Axが複数の置換基を有する場合、置換基は同一でも相異なっていてもよい。
Rbの、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、1−メチルペンチル基、1−エチルペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基等が挙げられる。なお、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基の炭素数は、1〜12であることが好ましく、4〜10であることが更に好ましい。
Rbの、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基の炭素数2〜20のアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基の炭素数は、2〜12であることが好ましい。
Rbの炭素数1〜20のアルキル基および炭素数2〜20のアルケニル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の炭素数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CH2CF3等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜12のフルオロアキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基等が挙げられる。これらの中でも、Rbの炭素数1〜20のアルキル基および炭素数2〜20のアルケニル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;フラニル基、チオフェニル基等の、炭素数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CH2CF3等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜12のフルオロアキル基が好ましい。
なお、Rbの炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基は、上述した置換基から選ばれる複数の置換基を有していてもよい。Rbの炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基が複数の置換基を有する場合、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
Rbの、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基の炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。これらの中でも、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が好ましい。
Rbの炭素数3〜12のシクロアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基等が挙げられる。中でも、Rbの炭素数3〜12のシクロアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が好ましい。
なお、Rbの炭素数3〜12のシクロアルキル基は、複数の置換基を有していてもよい。Rbの炭素数3〜12のシクロアルキル基が複数の置換基を有する場合、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
Rbの、置換基を有していてもよい炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基の炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。これらの中でも、フェニル基が好ましい。
置換基を有していてもよい炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の炭素数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CH2CF3等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜12のフルオロアキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基等が挙げられる。中でも、炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;フラニル基、チオフェニル基等の、炭素数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CH2CF3等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜12のフルオロアキル基から選ばれる少なくとも1つの置換基が好ましい。
なお、炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基は、複数の置換基を有していてもよい。炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基が複数の置換基を有する場合、置換基は同一でも相異なっていてもよい。
ここで、Axが有する芳香環は、同一の、または、相異なる置換基を複数有していてもよく、隣り合った二つの置換基が一緒になって結合して環を形成していてもよい。形成される環は単環であっても、縮合多環であってもよく、不飽和環であっても、飽和環であってもよい。
なお、Axの炭素数2〜20の有機基の「炭素数」は、置換基の炭素原子を含まない有機基全体の総炭素数を意味する。
そして、Axの、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜20の有機基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、フルオレニル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;フタルイミド基、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、アクリジニル基、イソキノリニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、オキサゾロピラジニル基、オキサゾロピリジニル基、オキサゾロピリダジニル基、オキサゾロピリミジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、キノリル基、シンノリニル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジニル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラノンニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フェナントリジニル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾピラゾリル基、ペンゾピラノンニル基、ジヒドロピラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジヒドロフラニル基、テトラヒドロフラニル基等の炭素数2〜20の芳香族複素環基;芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭化水素環基;芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する複素環基;芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数3〜20のアルキル基;芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数4〜20のアルケニル基;芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数4〜20のアルキニル基;等が挙げられる。
芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも1つの芳香環を有する炭化水素環基;芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する複素環基;芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数3〜20のアルキル基;芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数4〜20のアルケニル基;芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数4〜20のアルキニル基の、芳香族炭化水素環および芳香族複素環の具体例としては、上記D1の、芳香族炭化水素環および芳香族複素環の具体例として列記したものと同じものが挙げられる。
なお、上記の有機基は、1または複数の置換基を有していてもよい。複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
かかる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;−C(=O)−Rb;−C(=O)−ORb;−SO2Rd;等が挙げられる。ここでRb、Rdは、前記と同じ意味を表す。
これらの中でも、Axの有機基が有する置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、および、炭素数1〜6のアルコキシ基から選ばれる少なくとも1つの置換基が好ましい。
Axとしての、芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する炭素数2〜20の有機基の好ましい具体例を以下に示す。但し、本発明は以下に示すものに限定されるものではない。なお、下記式中、「−」は環の任意の位置からのびるN原子(即ち、式(VIII)においてAxと結合するN原子)との結合手を表す。
〔各式中、Eは、−NR
z−、酸素原子または硫黄原子を表し、ここで、R
zは、水素原子;または、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;を表す。〕
〔各式中、XおよびYは、それぞれ独立して、−NR
z−、酸素原子、硫黄原子、−SO−または−SO
2−を表す。ここで、R
zは、水素原子;または、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;を表す。〕
4)少なくとも1つの芳香環を有する複素環基
〔各式中、XおよびYは前記と同じ意味を表し、Zは、−NR
z−、酸素原子または硫黄原子を表し、ここで、R
zは前記と同じ意味を表す。ただし、酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO
2−が、それぞれ隣接する場合を除く。〕
5)芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、アルキル基
6)芳香族炭化水素環および芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、アルケニル基
7)芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、アルキニル基
なお、上述したAxの好ましい具体例が有する環は、1または複数の置換基を有していてもよい。そして、複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。かかる置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;−C(=O)−Rb;−C(=O)−ORb;−SO2Rd;等が挙げられる。
ここで、RbおよびRdは前記と同じ意味を表す。これらの中でも、Axが有する上記環が有する置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、および、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。
ここで、Axの更に好ましい具体例を以下に示す。但し、Axは以下に示すものに限定されるものではない。
〔各式中、Xは前記と同じ意味を表す。〕
なお、前述した通り、上記環は1または複数の置換基を有していてもよい。複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。かかる置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シアノ基;ビニル基、アリル基等の炭素数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;−C(=O)−Rb;−C(=O)−ORb;−SO2Rd;等が挙げられる。ここで、RbおよびRdは前記と同じ意味を表す。
これらの中でも、上記環が有する置換基としてはハロゲン原子、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、および、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。
そして、Axとしては、下記式(IX)で表される基が更に好ましい。
ここで、上記式(IX)中、RXは、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;シアノ基;ニトロ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の炭素数1〜6のフルオロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;または、−C(=O)−O−Rbを表し、Rbは、前記した通り、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、または、置換基を有していてもよい炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基を表す。
なお、複数のRX同士は、すべて同一であっても、相異なっていてもよく、環を構成する任意のC−RXは、窒素原子に置き換えられていてもよい。
ここで、上記式(IX)で表される基のC−R
Xが窒素原子に置き換えられた基の具体例を下記に示す。但し、C−R
Xが窒素原子に置き換えられた基はこれらに限定されるものではない。
〔各式中、R
Xは、前記と同じ意味を表す。〕
これらの中でも、Axとしては、上記式(IX)で表される基のRXがすべて水素原子であるものが好ましい。
また、上記式(VIII)で表される2価の基のRaの、置換基を有していてもよい炭素数1〜20の有機基としては、特に制限されることなく、例えば、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、−C(=O)−Rb、−SO2−Rd、−C(=S)NH−Ri、置換基を有していてもよい炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基、または、置換基を有していてもよい炭素数2〜20の芳香族複素環基が挙げられる。
ここで、RbおよびRdは、前記と同じ意味を表し、Riは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数5〜20の芳香族炭化水素環基、または、置換基を有していてもよい炭素数5〜20の芳香族複素環基を表す。
そして、Riの、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の炭素数1〜20のアルキル基およびその置換基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基の炭素数2〜20のアルケニル基およびその置換基、並びに、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基の炭素数3〜12のシクロアルキル基およびその置換基としては、Rbの炭素数1〜20のアルキル基およびその置換基、炭素数2〜20のアルケニル基およびその置換基、並びに、炭素数3〜12のシクロアルキル基およびその置換基の具体例として列記したのと同じものが挙げられる。また、Riの、置換基を有していてもよい炭素数5〜20の芳香族炭化水素環基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられ、置換基を有していてもよい炭素数5〜20の芳香族複素環基としては、ピリジニル基、キノリル基等が挙げられる。更に、これらの芳香族炭化水素環基および芳香族複素環基の置換基としては、Axの炭素数2〜20の有機基の置換基として例示したものと同じものが挙げられる。
なお、Raの、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基の炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、1−メチルペンチル基、1−エチルペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基等が挙げられる。そして、置換基を有してもよい炭素数1〜20のアルキル基の炭素数は、1〜12であることが好ましく、1〜10であることが更に好ましい。
また、Raの、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基の炭素数2〜20のアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基の炭素数は、2〜12であることが好ましい。
更に、Raの、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基の炭素数2〜20のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、2−プロピニル基(プロパルギル基)、ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、ペンチニル基、2−ペンチニル基、ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、2−オクチニル基、ノナニル基、デカニル基、7−デカニル基等が挙げられる。
また、Raの、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基の炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
そして、Raの炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、および、炭素数2〜20のアルキニル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の炭素数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の炭素数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CH2CF3等の、少なくとも1個の水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜12のフルオロアキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;−C(=O)−Rb;−C(=O)−ORb;−SO2Rd;−SRb;−SRbで置換された炭素数1〜12のアルコキシ基;水酸基;等が挙げられる。ここで、RbおよびRdは、前記と同じ意味を表す。
なお、Raの炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、および、炭素数2〜20のアルキニル基は、上述した置換基を複数有していてもよく、複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
また、Raの炭素数3〜12のシクロアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜8のシクロアルキル基;−C(=O)−Rb;−C(=O)−ORb;−SO2Rd;水酸基;等が挙げられる。ここで、RbおよびRdは、前記と同じ意味を表す。
なお、Raの炭素数3〜12のシクロアルキル基は、上述した置換基を複数有していてもよく、複数の置換基を有する場合は、複数の置換基は互いに同一でも相異なっていてもよい。
また、Raの、炭素数6〜20の芳香族炭化水素環基および炭素数2〜20の芳香族複素環基、並びに、それらの置換基としては、それぞれAxの芳香族炭化水素環基および芳香族複素環基、並びに、それらの置換基として列記したものと同じものが挙げられる。
上述した中でも、Raとしては、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数5〜20のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜18の芳香族炭化水素環基、置換基を有していてもよい炭素数5〜18の芳香族複素環基が好ましく、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜10のアルキニル基、置換基を有していてもよい炭素数5〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜12の芳香族炭化水素環基がより好ましい。
また、前述した式(I)中、Z11およびZ12は、それぞれ独立して、−CO−O−、−O−CO−、−NR11−CO−、または、−CO−NR12−であり、ここで、R11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。中でも、Z11は、−CO−O−であることが好ましい。また、Z12は、−O−CO−であることが好ましい。
更に、A11およびA12は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基である。中でも、A11およびA12は、置換基を有していてもよい環状脂肪族基であることが好ましい。
なお、置換基を有していてもよい環状脂肪族基は、無置換の2価の環状脂肪族基、または、置換基を有する2価の環状脂肪族基である。そして、2価の環状脂肪族基は、炭素数が通常は5〜20である、環状構造を有する2価の脂肪族基である。
A11およびA12の2価の環状脂肪族基の具体例としては、シクロペンタン−1,3−ジイル、シクロヘキサン−1,4−ジイル、1,4−シクロヘプタン−1,4−ジイル、シクロオクタン−1,5−ジイル等の炭素数5〜20のシクロアルカンジイル基;デカヒドロナフタレン−1,5−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル等の炭素数5〜20のビシクロアルカンジイル基等が挙げられる。
また、置換基を有していてもよい芳香族基は、無置換の2価の芳香族基、または、置換基を有する2価の芳香族基である。そして、2価の芳香族基は、炭素数が通常は2〜20である、芳香環構造を有する2価の芳香族基である。
A11およびA12の2価の芳香族基の具体例としては、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、4,4’−ビフェニレン基等の、炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素環基;フラン−2,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ピラジン−2,5−ジイル等の、炭素数2〜20の2価の芳香族複素環基;等が挙げられる。
更に、A11およびA12の2価の環状脂肪族基および2価の芳香族基の置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、イソプロポキシ基等の炭素数1〜5のアルコキシ基;ニトロ基;シアノ基;等が挙げられる。前記環状脂肪族基および芳香族基は、上述した置換基から選ばれる少なくとも1つの置換基を有していてもよい。なお、置換基を複数有する場合は、各置換基は同一でも相異なっていてもよい。
また、bおよび/またはcが1の場合、L11およびL12は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR21−CO−、−CO−NR22−、−O−CO−O−、−NR23−CO−O−、−O−CO−NR24−、または、−NR25−CO−NR26−であり、ここで、R21〜R26は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。中でも、L11およびL12は、それぞれ独立して、−O−、−CO−O−、または、−O−CO−であることが好ましい。
なお、前記R21〜R26の炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
また、bおよび/またはcが1の場合、B11およびB12は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい芳香族基である。中でも、B11およびB12は置換基を有していてもよい芳香族基であることが好ましい。
ここで、置換基を有していてもよい環状脂肪族基は、無置換の2価の環状脂肪族基、または、置換基を有する2価の環状脂肪族基である。そして、2価の環状脂肪族基は、炭素数が通常は5〜20である、環状構造を有する2価の脂肪族基である。
B11およびB12の2価の環状脂肪族基の具体例としては、前記式(I)のA11およびA12の2価の環状脂肪族基として例示したものと同じものが挙げられる。
また、置換基を有していてもよい芳香族基は、無置換の2価の芳香族基、または、置換基を有する2価の芳香族基である。そして、2価の芳香族基は、炭素数が通常は2〜20である、芳香環構造を有する2価の芳香族基である。
B11およびB12の2価の芳香族基の具体例としては、前記式(I)のA11およびA12の2価の芳香族基として例示したものと同じものが挙げられる。
更に、B11およびB12の2価の環状脂肪族基および2価の芳香族基の置換基としては、前記式(I)のA11およびA12の2価の環状脂肪族基および2価の芳香族基の置換基として例示したものと同じものが挙げられる。
また、Y11およびY12は、それぞれ独立して、単結合、−O−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−NR21−CO−、−CO−NR22−、−O−CO−O−、−NR23−CO−O−、−O−CO−NR24−、または、−NR25−CO−NR26−であり、ここで、R21〜R26は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基である。中でも、Y11およびY12は、それぞれ独立して、−O−、−CO−O−、または、−O−CO−であることが好ましい。
なお、R21〜R26の炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。
そして、R1、R2は、それぞれ独立して、水素原子またはメチル基である。なお、R1はR2と同一であることが好ましく、R1およびR2は共に水素原子でことがより好ましい。
なお、逆波長分散性に優れる光学フィルム等を得る観点からは、重合性化合物(I)は、Ar1を中心として左右が概ね対称な構造を有することが好ましい。具体的には、重合性化合物(I)では、R1、aおよびbが、それぞれ、R2、dおよびcと同じであり、−Y11−[B11−L11]h−A11−Z11−(*)と、(*)−Z12−A12−[L12−B12]i−Y12−とがAr1に結合する側(*)を対称中心とした対称構造を有することが好ましい。
なお、「(*)を対称中心とした対称構造を有する」とは、例えば、−CO−O−(*)と(*)−O−CO−や、−O−(*)と(*)−O−や、−O−CO−(*)と(*)−CO−O−などの構造を有することを意味する。
ここで、bおよびcが1である重合性化合物(I)の好ましい例としては、特に限定されることなく、下記式(Ia):
〔式(Ia)中、R
1、R
2、Rc、R
x、aおよびbは前記と同じ意味を表し、R
Xはすべて水素原子であるのが好ましい。〕に示される化合物が挙げられる。
(2)ハロゲン化体(II)
本発明の製造方法においては、上述した重合性化合物(I)を合成する何れかの段階において、ハロゲン化体(II)を含む組成物を脱ハロゲン化水素反応に供して、ハロゲン化体(II)からハロゲン化水素を脱離させる。
なお、本発明において、「ハロゲン化体(II)を含む組成物」とは、ハロゲン化体(II)そのもの、又は、ハロゲン化体(II)とハロゲン化体(II)の脱ハロゲン化水素物を含む混合物を意味する。
そして、脱ハロゲン化水素反応の対象となるハロゲン化体(II)は、下記式(II)で表される化合物である。
式(II)中、X1は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を表し、塩素原子が好ましい。
また、R1およびaは、前記式(I)と同じ意味を表す。
ここで、Gは、有機基であり、好ましくは、少なくとも1つの芳香環を有する炭素数5〜80の有機基である。なお、芳香環としては、芳香族炭化水素環、芳香族複素環が挙げられ、芳香族炭化水素環および芳香族複素環の例としては、前記式(I)のD1の芳香族炭化水素環および芳香族複素環として例示したものと同じものが挙げられる。
そして、ハロゲン化体(II)としては、重合性化合物(I)の原料化合物として使用可能であれば特に限定されないが、例えば、上述したGの構造が相異なる、後述する式(III)、(IV)および(VI)で示されるハロゲン化体(それぞれ、「ハロゲン化体(III)」、「ハロゲン化体(IV)」および「ハロゲン化体(VI)」と称する。)が挙げられる。
(2−1)ハロゲン化体(III)
ハロゲン化体(III)は、下記式(III)で示される化合物である。
式(III)中、Qは、下記式(III−1):
[式(III−1)中、R
2は、前記式(I)と同じ意味を表す。]、
または、下記式(III−2):
[式(III−2)中、X
2は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を表し、塩素原子が好ましい。また、R
2は、前記式(I)と同じ意味を表す。]で表される基を示す。
なお、Ar1、Z11、Z12、A11、A12、B11、B12、Y11、Y12、L11、L12、R1、a、b、cおよびdは、前記式(I)と同じ意味を表す。
ハロゲン化体(III)は、重合性化合物(I)と少なくとも一方の末端構造のみが異なる化合物である。そのため、ハロゲン化体(III)を脱ハロゲン化水素反応させて末端に炭素―炭素二重結合を生成させれば、ハロゲン体(III)の脱ハロゲン化水素物として、重合性化合物(I)を得ることができる。
そして、ハロゲン化体(III)として、より具体的には、下記式(IIIa)、(IIIb)、および(IIIc)で示されるハロゲン化体(それぞれ、「ハロゲン化体(IIIa)」、「ハロゲン化体(IIIb)」および「ハロゲン化体(IIIc)」と称する)、並びに、これらの混合物が挙げられる。なお、該混合物中におけるハロゲン化体(IIIa)、ハロゲン化体(IIIb)、ハロゲン化体(IIIc)の存在割合は、特に限定されない。
式(IIIa)〜(IIIc)中、a、b、Ra、Ax、R1、R2、X1、およびX2は、前記と同じ意味を表す。
ここで、ハロゲン化体(III)を得る方法は、特に制限されないが、例えば、ハロゲン化体(IIIa)〜(IIIc)は、下記に示す製造手順1〜4により得ることができる。
(製造手順1)
ハロゲン化体(IIIa)〜(IIIc)は、上述したように、国際公開第2014/010325号に記載された手順により所望の重合性化合物を調製する際に、副生成物として生成することが、本発明者らの検討により明らかとなった。具体的には、以下の手順を経て重合性化合物を調製する際に、ハロゲン化体(IIIa)〜(IIIc)の少なくとも何れかが副生成物として得られる。
上記式中、Lは水酸基、ハロゲン原子、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等の脱離基を表す。また、R1、R2、Ra、Ax、aおよびbは、前記と同じ意味を表す。
すなわち、ベンズアルデヒド化合物(1)に、カルボン酸誘導体(2a)を反応させ、次いでカルボン酸誘導体(2b)を反応させて、化合物(3)を得る工程、および、化合物(3)とヒドラジン化合物(4)を反応させる工程を経て所望の重合性化合物を調製すると、副生成物としてハロゲン化体(IIIa)〜(IIIc)の少なくとも何れかが生成する。
この副生したハロゲン化体(IIIa)〜(IIIc)を単離することなく、所望の重合性化合物と、ハロゲン化体(IIIa)〜(IIIc)とを含む混合物を、そのまま本発明の製造方法の原料として用いることができる。すなわち、この混合物の状態で、ハロゲン化体(IIIa)〜(IIIc)を脱ハロゲン化水素反応させれば、これらのハロゲン化体を重合性化合物に効率よく変換して、結果的に、重合性化合物を高い収率で得ることができる。
(製造手順2)
また、ハロゲン化体(IIIa)は、以下の手順により製造することができる。
上記式中、L、X1、R1、R2、Ra、Ax、aおよびbは、前記と同じ意味を表す。
すなわち、ベンズアルデヒド化合物(1)とカルボン酸誘導体(5a)を反応させて、ヒドロキシ化合物(6a)を得る工程、ヒドロキシ化合物(6a)とカルボン酸誘導体(7a)を反応させて、化合物(8a)を得る工程、および、化合物(8a)とヒドラジン化合物(4)を反応させる工程を経て、ハロゲン化体(IIIa)を得ることができる。
なお、カルボン酸誘導体(7a)、ヒドラジン化合物(4)は、上述した国際公開第2014/010325号に記載のものを用いることができる。
ここで、ベンズアルデヒド化合物(1)と、カルボン酸誘導体(5a)との反応においては、ベンズアルデヒド化合物(1)とカルボン酸誘導体(5a)の使用量比は、ベンズアルデヒド化合物(1):カルボン酸誘導体(5a)のmol比で、通常1:1〜10:1であり、好ましくは3:1〜6:1である。
カルボン酸誘導体(5a)が、式(5a)中、Lが水酸基の化合物(以下、この化合物を「カルボン酸化合物(5’)」という。)である場合には、メタンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド等のスルホニルハライド、および、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等の塩基の存在下で、ベンズアルデヒド化合物(1)およびカルボン酸化合物(5’)を反応させることによって、ヒドロキシ化合物(6a)を得ることができる。
スルホニルハライドの使用量は、カルボン酸化合物(5’)1molに対し、通常1〜3molである。
塩基の使用量は、カルボン酸化合物(5’)1molに対し、通常1〜3molである。
また、カルボン酸誘導体(5a)が、カルボン酸化合物(5’)である場合、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩およびジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水縮合剤の存在下で、ベンズアルデヒド化合物(1)およびカルボン酸化合物(5’)を反応させることにより、ヒドロキシ化合物(6a)を得ることもできる。
脱水縮合剤の使用量は、カルボン酸化合物(5’)1molに対し、通常1〜3molである。
そして、Lがハロゲン原子のカルボン酸誘導体(5a)は、例えば、カルボン酸化合物(5’)に、三塩化リン、五塩化リン、塩化チオニル、および塩化オキサリル等のハロゲン化剤を作用させて得ることができる。Lがハロゲン原子のカルボン酸誘導体(5a)と、ベンズアルデヒド化合物(1)を塩基の存在下で反応させることによって、ヒドロキシ化合物(6a)を得ることができる。
この反応に用いる塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基、並びに、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、および炭酸水素ナトリウム等の無機塩基が挙げられる。
塩基の使用量は、Lがハロゲン原子のカルボン酸誘導体(5a)1molに対し、通常1〜3molである。
ここで、上述のベンズアルデヒド化合物(1)とカルボン酸誘導体(5a)との反応に用いる溶媒としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶媒;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等のアミド系溶媒;1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶媒;及びこれらの溶媒の2種以上からなる混合溶媒;等が挙げられる。
溶媒の使用量は、特に限定されず、用いる化合物の種類や反応規模等を考慮して適宜定めることができるが、ベンズアルデヒド化合物(1)1gに対し、通常1〜50gである。
上述のようにして得られたヒドロキシ化合物(6a)と、カルボン酸誘導体(7a)との反応は、ベンズアルデヒド化合物(1)とカルボン酸誘導体(5a)との反応と同様にして実施することができる。
なお、ヒドロキシ化合物(6a)とカルボン酸誘導体(7a)の使用量比は、ヒドロキシ化合物(6a):カルボン酸誘導体(7a)のmol比で、通常1:1〜1:2であり、好ましくは1:1.1〜1:1.5である。
ヒドロキシ化合物(6a)とカルボン酸誘導体(7a)との反応で得られる、化合物(8a)と、ヒドラジン化合物(4)との反応は、国際公開第2014/010325号に記載された、上述した製造手順1における化合物(3)とヒドラジン化合物(4)の反応と同様にして行うことができる。
以上のようにして、ハロゲン化体(IIIa)を得ることができる。
そして、製造手順2で使用するカルボン酸化合物(5’)を得る方法としては特に制限されないが、例えば、下記に示す方法が挙げられる。
上記式中、X1、R1およびaは、前記と同じ意味を表す。
すなわち、化合物(9)と化合物(10)(3−ハロゲン化(メタ)アクリル酸)を、酸触媒の存在下で反応させて化合物(11)を得る工程、および、化合物(11)と化合物(12)(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸)を反応させる工程を経て、カルボン酸化合物(5’)を得ることができる。
化合物(9)、化合物(10)は、従来公知の方法で製造することができる。化合物(10)は、市販品をそのまま使用してもよい。
化合物(9)と化合物(10)との反応における、化合物(9)と化合物(10)の使用量比は、mol比で、化合物(9):化合物(10)が、通常1:1〜1:10、好ましくは1:2〜1:4である。
用いる酸触媒としては、特に制限されず、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等の鉱酸;リンタングステン酸等のヘテロポリ酸;メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸;等が挙げられる。
酸触媒の使用量は特に限定されないが、化合物(9)1molに対して、通常0.01〜1.0mol、好ましくは0.05〜0.4molである。
用いる溶媒としては、上述したベンズアルデヒド化合物(1)とカルボン酸化合物(5’)の反応で用いることができるとして例示した溶媒等が挙げられる。
溶媒の使用量は特に限定されないが、化合物(10)1質量部に対して、通常0.2〜50質量部、好ましくは1〜20質量部である。
化合物(9)と化合物(10)の反応中は、目的物を収率良く得る観点から、生成する水を系外に除去しながら行うことが好ましい。生成する水を系外に除去しながら反応を行う方法としては、例えば、ディーンスターク管等の水分除去装置を用いて、水を系外に除去しながら反応を行う方法;反応系にモレキュラーシーブ等の脱水剤を共存させて反応で生じた水を除去しながら反応を行う方法;ベンゼン等との共沸により水を系外に除去しながら反応を行う方法;オルトエステル、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド等を用いて系内で生じた水を化学的に補足しながら反応を行う方法;等が挙げられる。
化合物(9)と化合物(10)の脱水縮合反応は、重合を防止するために、重合禁止剤の存在下で行ってもよい。用いる重合禁止剤としては、2,6−ジ(t−ブチル)−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−p−クレゾール)、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリス(ノニルフェニル)等が挙げられる。
化合物(9)と化合物(10)の反応における反応温度は特に限定されないが、通常0〜150℃、好ましくは20〜120℃である。また、反応時間は反応温度等にもよるが、通常0.5〜24時間である。
次いで、化合物(9)と化合物(10)の反応により得られた化合物(11)と、化合物(12)と反応させる。
この反応においての化合物(11)と化合物(12)の使用量比は、mol比で、化合物(11):化合物(12)が、通常1:1〜1:10、好ましくは1:1.5〜1:4である。
化合物(11)と化合物(12)を、メタンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド等のスルホニルハライド、および、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等の塩基の存在下に反応させることによって、カルボン酸化合物(5’)を得ることができる。
スルホニルハライドの使用量は、化合物(11)1molに対し、通常1〜1.5molである。
塩基の使用量は、化合物(11)1molに対し、通常1〜3molである。
用いる溶媒としては、前記ベンズアルデヒド化合物(1)とカルボン酸化合物(5’)との反応で用いることができるとして例示した溶媒等が挙げられる。
溶媒の使用量は特に限定されないが、化合物(11)1質量部に対して、通常0.2〜20質量部、好ましくは1〜10質量部である。
いずれの反応においても、反応終了後は、有機合成化学における通常の後処理操作を行い、所望により、カラムクロマトグラフィー、再結晶法、蒸留法等の公知の分離・精製手段を施すことにより、目的物を単離することができる。
目的とする化合物の構造は、NMRスペクトル、IRスペクトル、マススペクトル等の測定、元素分析等により、同定することができる。
(製造手順3)
ハロゲン化体(IIIb)は、以下のようにして製造することができる。
上記式中、L、X2、R1、R2、Ra、Ax、aおよびbは、前記と同じ意味を表す。
すなわち、ベンズアルデヒド化合物(1)とカルボン酸誘導体(7b)を反応させて、化合物(6b)を得る工程、化合物(6b)とカルボン酸誘導体(5b)を反応させて、化合物(8b)を得る工程、および、化合物(8b)とヒドラジン化合物(4)を反応させる工程を経て、ハロゲン化体(IIIb)を得ることができる。
製造手順3は、前記製造手順2において、カルボン酸誘導体(5a)の代わりにカルボン酸誘導体(7b)を、カルボン酸誘導体(7a)の代わりにカルボン酸誘導体(5b)を用いる以外は、製造手順2と同様にして実施することができる。
(製造手順4)
ハロゲン化体(IIIc)は、以下の手順により製造することができる。
上記式中、L、X1、X2、R1、R2、Ra、Ax、aおよびbは、前記と同じ意味を表す。
すなわち、ベンズアルデヒド化合物(1)とカルボン酸誘導体(5a)およびカルボン酸誘導体(5b)を反応させて、化合物(8c)を得る工程、並びに、化合物(8c)とヒドラジン化合物(4)を反応させる工程を経て、ハロゲン化体(IIIc)を得ることができる。
反応方法および反応条件等は、前記製造手順2に準じて適宜設定することができる。
(2−2)ハロゲン化体(IV)
ハロゲン化体(IV)は、下記式(IV)で示される化合物である。
式(IV)中、FG1は、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を表し、水酸基が好ましい。なお、R1、Y11、B11およびaは、前記式(I)と同じ意味を表し、X1は、前記式(II)と同じ意味を表す。
ハロゲン化体(IV)を脱ハロゲン化水素反応させると、ハロゲン化体(IV)の脱ハロゲン化水素物として、下記式(V)で示される化合物(「化合物(V)」)を得ることができる。
式(V)中、R1、Y11、B11、FG1およびaは、前記式(IV)と同じ意味を表す。
なお、脱ハロゲン化水素反応に際し、ハロゲン化体(IV)を含む組成物として、ハロゲン化体(IV)と化合物(V)を含む混合物を使用することができる。このような混合物を脱ハロゲン化水素反応に供することで、混合物中のハロゲン化体(IV)を化合物(V)に変換して、純度の高い化合物(V)を得ることができる。なお、混合物中のハロゲン化体(IV)と化合物(V)の比率は特に限定されないが、ハロゲン化体(IV)と化合物(V)の合計中に占めるハロゲン化体(IV)の割合が、0.01質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下がより好ましく、2質量%以上5質量%以下が更に好ましい。
得られた化合物(V)を用いて、例えば、「(2−1)ハロゲン化体(II)」で上述した方法を参照して、更なる合成を行うことで、所望の重合性化合物(I)を得ることができる。
(2−3)ハロゲン化体(VI)
ハロゲン化体(VI)は、下記式(VI)で示される化合物である。
式(VI)中、FG2は、水酸基、カルボキシル基またはアミノ基を表し、カルボキシル基が好ましい。なお、R1、Y11、B11、L11、A11、aおよびbは、前記式(I)と同じ意味を表し、X1は、前記式(II)と同じ意味を表す。
ハロゲン化体(VI)を脱ハロゲン化水素反応させると、ハロゲン化体(VI)の脱ハロゲン化水素物として、下記式(VII)で示される化合物(「化合物(VII)」)を得ることができる。
式(VII)中、R1、Y11、B11、L11、A11、FG2、aおよびbは、前記式(VI)と同じ意味を表す。
なお、脱ハロゲン化水素反応に際し、ハロゲン化体(VI)を含む組成物として、ハロゲン化体(VI)と化合物(VII)を含む混合物を使用することができる。このような混合物を脱ハロゲン化水素反応に供することで、混合物中のハロゲン化体(VI)を化合物(VII)に変換して、純度の高い化合物(VI)を得ることができる。なお、混合物中のハロゲン化体(VI)と化合物(VII)の比率は特に限定されないが、ハロゲン化体(VI)と化合物(VII)の合計中に占めるハロゲン化体(VI)の割合が、0.01質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下が更に好ましく、1.5質量%以上5質量%以下が更に好ましい。
得られた化合物(VII)を用いて、例えば、「(2−1)ハロゲン化体(II)」で上述した方法を参照して、更なる合成を行うことで、所望の重合性化合物(I)を得ることができる。
(3)脱ハロゲン化水素反応
ここで、脱ハロゲン化水素反応は、有機溶媒中、少なくとも1種の塩基性化合物を含む水層の存在下で行われる。
(3−1)有機溶媒
用いる有機溶媒としては、ハロゲン化体(II)を溶解させることができると共に、反応に不活性な溶媒であれば特に制限されない。例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;シクロペンタノン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶媒;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル等の含窒素炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
これらの溶媒は1種単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、ハロゲン体(II)の溶解性、収率よく目的物が得られること等の理由により、エステル系溶媒と含窒素炭化水素系溶媒との混合溶媒、ケトン系溶媒と含窒素炭化水素系溶媒との混合溶媒が好ましく、エステル系溶媒と含窒素炭化水素系溶媒との混合溶媒がより好ましく、酢酸エチルとアセトニトリルとの混合溶媒が特に好ましい。
ここで、エステル系溶媒と含窒素炭化水素系溶媒の混合溶媒を用いる場合の両者の混合割合は、エステル系溶媒と含窒素炭化水素系溶媒との容積比は通常1:1〜4:1、好ましくは2:1〜3:1である。
(3−2)塩基性化合物を含む水層
塩基性化合物としては、無機塩基性化合物および有機塩基性化合物を用いることができる。なお、脱ハロゲン化水素反応を効率よく進行させる観点からは、塩基性化合物としては、少なくとも無機塩基性化合物を使用することが好ましく、無機塩基性化合物および有機塩基性化合物を併用することがより好ましい。
なお、水層に用いる水は、蒸留水等の不純物を含まないものが好ましい。
無機塩基性化合物としては、特に制限されない。例えば、金属炭酸塩、金属炭酸水素塩、及び金属水酸化物等が挙げられる。
金属炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム;炭酸カルシウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;等が挙げられる。
金属炭酸水素塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;炭酸水素マグネシウム;炭酸水素カルシウム等のアルカリ土類金属炭酸水素塩;等が挙げられる。
金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;水酸化マグネシウム;水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;等が挙げられる。
これらの無機塩基性化合物は、一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、入手容易性、取扱容易性の観点から、金属炭酸塩が好ましく、アルカリ金属炭酸塩がより好ましく、炭酸ナトリウムがさらに好ましい。
無機塩基性化合物の使用量は、特に限定されないが、脱ハロゲン化水素化物の収率を高めると共に、反応後の中和工程を省略可能とすべく、ハロゲン化体(II)1当量に対し、1〜3当量であることが好ましく、1.5〜2.5当量であることがより好ましい。
また、水層中の無機塩基性化合物の濃度は、特に限定されないが、脱ハロゲン化水素化物の収率を高めると共に、反応後の中和工程を省略可能とすべく、0.5〜2.5mol/Lであることが好ましく、0.5〜1.5mol/Lであることがより好ましい。
有機塩基性化合物としては、ピリジン、ピコリン、コリジン、ルチジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等の複素環式化合物;トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン等の3級アミン;等が挙げられる。
これらの中でも、脱ハロゲン化水素化物の収率を高める観点から、3級アミンが好ましく、トリエチルアミンがより好ましい。
有機塩基性化合物の使用量は特に限定されないが、ハロゲン化体(II)1当量に対し、1〜3当量であることが好ましく、1.2〜2当量であることがより好ましい。
(3−3)脱ハロゲン化水素反応の条件
反応は、アルゴン、窒素等の不活性雰囲気下で行うのが好ましい。
反応温度は、通常、−10℃〜+80℃、好ましくは10℃〜70℃、より好ましくは20℃〜60℃である。
反応時間は、反応規模等にもよるが、数分〜24時間、好ましくは0.5〜10時間である。
反応の進行状況は公知の分析手段(例えば、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー)により確認することができる。
反応終了後においては、有機合成化学における通常の後処理操作を行い、所望により、反応生成物を、蒸留法、カラムクロマトグラフィー法、再結晶化法等の公知の分離・精製手段により精製して、脱ハロゲン化水素化物(例えば、目的とする重合性化合物(I))を単離することができる。
具体的には、反応後の溶液から水層(水相)を除去した後、有機層(有機相)を水洗し、次いで、有機層にアルコール系溶媒等の貧溶媒を加えて結晶を析出させることにより、目的とする重合性化合物(I)などを効率よく単離することができる。
なお、目的物の構造は、NMRスペクトル、IRスペクトル、マススペクトル等の分析手段を用いることにより同定し、確認することができる。
以下、本発明を、実施例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。
冷却器及び温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、ハイドロキノン104.77g(0.95mol)、6−クロロヘキサノール100g(0.73mol)、蒸留水500g、オルトキシレン100gを加えた。全容を攪拌しながら、さらに、水酸化ナトリウム35.15g(0.88mol)を、内容物の温度が40℃を超えないように20分かけて少量ずつ加えた。水酸化ナトリウムの添加終了後、内容物を加熱し、還流条件下(92℃)で10時間反応を行った。
反応終了後、反応液の温度を80℃に下げ、蒸留水200gを加えた後、反応液を10℃に冷却することで、結晶が析出した。析出した結晶をろ過により固液分離し、得られた結晶を蒸留水150gで洗浄し、褐色結晶203.0gを得た。この褐色結晶の一部を用いて分析したところ、乾燥減量は、36.3質量%であった。また、高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、褐色結晶に含まれるモノエーテル化物とジエーテル化物の割合(モル比)は、(モノエーテル化物/ ジエーテル化物)で、92.0/8.0であった。ディーンスターク管付き冷却器及び温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、先に得た褐色結晶(固液分離し、蒸留水で洗浄した後のもの)157g、トルエン500g、2,6−ジ−t−ブチル− p−クレゾール1.05g(4.76mmol)を加え、全容を撹拌し、溶液を得た。得られた溶液を加熱し、還流条件下、ディーンスターク管から水を除去することで、系内を脱水した。その後、溶液を80℃に冷却し、メタンスルホン酸4.57g(47.6mmol)を加え、再度、還流条件(110℃)に加熱した。次いで、溶液に、アクリル酸47.98g(0.666mol)を2時間かけて滴下しながら、生成する水を除去し、脱水反応を行った。アクリル酸の滴下後、2時間撹拌を続けた。次いで、反応液を30℃に冷却し、蒸留水500gを加え、全容を攪拌後、静置した。有機層を分取し、得られた有機層に5%食塩水400gを加え、分液した。有機層を分取し、得られた有機層に活性炭10gを加え、全容を25℃で30分撹拌した後、ろ過することで活性炭を除去した。得られたろ液に、2,6−ジ−t−ブチル− p−クレゾール1.05g(4.76mmol)を加えた後、減圧下にてトルエン350gを留去し、溶液を濃縮した。得られた濃縮液に、n−ヘプタン300gを30分かけて滴下して結晶を析出させ、そのまま5℃に冷却した。ろ過により結晶を分取し、得られた結晶をトルエン66.7gとn−ヘプタン133.3gの混合液で洗浄した。次いで、結晶をトルエン144gに加え、40℃に加熱して結晶を溶解させた。得られた溶液に、n−ヘプタン216gを1時間かけて滴下して結晶を析出させ、そのまま5℃に冷却した。ろ過により結晶を分取し、得られた結晶をトルエン72gとn−ヘプタン144gの混合液で洗浄し、真空乾燥することで、白色固体として中間体A(4−(6−アクリロイルオキシ−ヘクス−1−イルオキシ)フェノール)を86.4g(6−クロロヘキサノール基準の収率;58% )で得た。さらに、得られた白色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=:95:5)により精製することで純度を99.5%以上まで高めた。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz、DMSO−d6、TMS、δppm):8.87(s、1H)、6.72(d、2H、J=9.0Hz)、6 .65(d、2H、J=9.0Hz)、6.32(dd、1H、J=1.5Hz、17.5Hz)、6.17(dd、1H、J=10.0Hz、17.5Hz)、5.93(dd、1H、J=1.5Hz、10.0Hz)、4.11(t、2H、J=6.5Hz)、3.83(t、2H、J=6.5Hz)、1.56−1.72(m、4H)、1.31−1.47(m、4H)。
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、trans,−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸17.98g(104.42mmol)とテトラヒドロフラン(THF)180mlを加えた。そこへ、メタンスルホニルクロリド6.58g(57.43mmol)を加え、反応器を水浴に浸して反応液内温を20℃とした。次いで、トリエチルアミン6.34g(62.65mmol)を、反応液内温を20〜30℃に保持しながら、10分間かけて滴下した。滴下終了後、全容を25℃で2時間さらに撹拌した。
得られた反応液に、4−(ジメチルアミノ)ピリジン638mg(5.22mmol)、及び、先のステップ1で合成した中間体A:13.80g(52.21mmol)を加え、再度反応器を水浴に浸して反応液内温を15℃とした。そこへ、トリエチルアミン6.34g(62.65mmol)を、反応液内温を20〜30℃に保持しながら、10分間かけて滴下し、滴下終了後、全容を25℃でさらに2時間撹拌した。反応終了後、反応液に蒸留水1000mlと飽和食塩水100mlを加え、酢酸エチル400mlで2回抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から溶媒を減圧留去した後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:THF=9:1(容積比、以下にて同じ))により精製することで、中間体Bを白色固体として14.11g得た(収率:65.0%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6,TMS,δppm):12.12(s,1H)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.92(d,2H,J=9.0Hz)、6.32(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.17(dd,1H,J=10.0Hz,17.5Hz)、5.93(dd,1H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.11(t,2H,J=6.5Hz)、3.94(t,2H,J=6.5Hz)、2.48−2.56(m,1H)、2.18−2.26(m,1H)、2.04−2.10(m,2H)、1.93−2.00(m,2H)、1.59−1.75(m,4H)、1.35−1.52(m,8H)
冷却器、及び温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、ハイドロキノン104.77g(0.9515mol)、6−クロロヘキサノール100g(0.7320mol)、蒸留水500ml、o−キシレン100mlを加えた。全容を撹拌しながら、さらに、水酸化ナトリウム35.15g(0.8784mol)を、反応液内温が40℃を超えないように20分かけて少量ずつ加えた。水酸化ナトリウムの添加終了後、内容物を加熱し、還流条件下(96℃)で12時間反応を行った。
反応終了後、反応液内温を80℃に下げ、蒸留水200mlを加えた後、反応液を10℃に冷却することで、結晶が析出した。析出した結晶をろ過により固液分離し、得られた結晶を蒸留水500mlで洗浄し、真空乾燥することで、褐色結晶123.3gを得た。
この褐色結晶を高速液体クロマトグラフィーで分析した結果、褐色結晶に含まれる化合物の含有量比(mol比)は(ハイドロキノン/中間体C/副生成物C=1.3/90.1/8.1)であった。
ディーンスターク管付き冷却器、及び温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ3で合成した褐色結晶15.3g、トルエン70ml、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール202mg(0.921mmol)を加え、全容を撹拌した。全容を80℃に加熱し、3−クロロプロピオン酸10.0g(92.15mmol)、メタンスルホン酸885mg(9.21mmol)を加え、還流条件(110℃)で、生成する水を除去しながら脱水反応を2時間行った。反応終了後、反応液内温を30℃に下げ、蒸留水70mlを加え、全容を撹拌後、静置した。有機層を分取し、得られた有機層に蒸留水35mlを加え、分液した。有機層を分取し、得られた有機層に活性炭1.4gを加え、全容を25℃で30分撹拌した後、ろ過することで活性炭を除去した。
得られたろ液に、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール202mg(0.921mmol)を加えた後、ロータリーエバポレーターにてろ液から溶媒を減圧留去した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:THF=:95:5)により精製することで、中間体Dを白色固体として11.0g得た(ステップ2〜3のトータル収率:40.0%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):6.78(d,2H,J=9.0Hz)、6.76(d,2H,J=9.0Hz)、4.91(s,1H)、4.14(t,2H,J=6.5Hz)、3.89(t,2H,J=6.5Hz)、3.76(t,2H,J=6.5Hz)、2.79(t,2H,J=6.5Hz)、1.65−1.79(m,4H)、1.41−1.50(m,4H)
ステップ5:中間体Eの合成
温度計を備えた3つ口反応器に窒素気流中、trans,−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸12.50g(72.60mmol)とTHF80mlを加えた。そこへ、メタンスルホニルクロリド4.35g(37.97mmol)を加え、反応器を氷水浴に浸して反応液内温を5℃とした。次いで、トリエチルアミン4.03g(39.83mmol)を、反応液内温を5〜10℃に保持しながら、5分間かけて滴下した。滴下終了後、全容を5〜10℃で2時間さらに撹拌した。
得られた反応液に、4−(ジメチルアミノ)ピリジン440mg(3.60mmol)、及び、前記ステップ4で合成した中間体D:10.9g(36.24mmol)を加え、再度反応器を氷水浴に浸して反応液内温を5℃とした。そこへ、トリエチルアミン4.03g(39.83mmol)を、反応液内温を5〜10℃に保持しながら、5分間かけて滴下し、滴下終了後、氷水浴を除去し、全容を25℃でさらに2時間撹拌した。反応終了後、反応液に蒸留水700mlと飽和食塩水70mlを加え、酢酸エチル250mlで2回抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から溶媒を減圧留去した後、得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:THF=97:3)により精製することで、中間体Eを白色固体として9.30g得た(収率:56.4%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6,TMS,δppm):12.12(s,1H)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.92(d,2H,J=9.0Hz)、4.07(t,2H,J=6.5Hz)、3.94(t,2H,J=6.5Hz)、3.79(t,2H,J=6.5Hz)、2.81(t,2H,J=6.5Hz)、2.47−2.56(m,1H)、2.18−2.27(m,1H)、2.01−2.11(m,2H)、1.93−2.01(m,2H)、1.65−1.74(m,2H)、1.57−1.65(m,2H)、1.34−1.52(m,8H)
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ5で合成した中間体E:4.90g(10.77mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド631mg(8.63mmol)、及びトルエン70mlを入れ、均一な溶液とし、反応器を氷水浴に浸して反応液内温を5℃とした。この溶液に、塩化チオニル1.30g(10.93mmol)を、反応液内温を5〜10℃に保持しながら5分間かけて滴下した。滴下終了後、全容を5〜10℃で2時間さらに撹拌した。反応終了後、反応液をロータリーエバポレーターで濃縮し、得られた濃縮物にTHF60mlを加え、均一な溶液とした。この溶液に、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド 7.50g(54.30mmol)を加え、反応器を氷水浴に浸して反応液内温を5℃とし、トリエチルアミン 1.20g(11.87mmol)を10分間かけて滴下した。滴下終了後、全容を5〜10℃でさらに2時間撹拌した。
反応終了後、反応液に蒸留水900mlと飽和食塩水150mlを加え、酢酸エチル300mlで2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、濃縮物にトルエン300mlを加え、不溶分の固体をろ過により除去した。ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:THF=95:5)により精製することで、白色固体として中間体Fを2.77g得た(収率:44.6%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):10.92(s,1H)、9.86(s,1H)、7.32(d,1H,J=3.0Hz)、7.22−7.28(m,1H)、7.01(d,1H,J=9.0Hz)、6.97(d,2H,J=9.0Hz)、6.88(d,2H,J=9.0Hz)、4.15(t,2H,J=6.5Hz)、3.94(t,2H,J=6.5Hz)、3.76(t,2H,J=6.5Hz)、2.79(t,2H,J=6.5Hz)、2.51−2.69(m,2H)、2.23−2.38(m,4H)、1.74−1.87(m,2H)、1.61−1.74(m,6H)、1.38−1.55(m,4H)
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ2で合成した中間体B:2.80g(6.75mmol)とTHF40mlを入れ、均一な溶液とした。この溶液に、メタンスルホニルクロリド773mg(6.75mmol)を加えた後、反応器を氷水浴に浸して反応液内温を5℃とした。次いで、トリエチルアミン780mg(7.71mmol)を、反応液内温を5〜10℃に保持しながら5分間かけて滴下した。滴下終了後、氷水浴を除去し、全容を25℃で1時間反応させた後、N,N−ジメチルアミノピリジン58.9mg(0.482mmol)、前記ステップ6で合成した中間体F:2.77g(4.82mmol)を加え、反応器を再度氷水浴に浸して反応液内温を5℃とした。そして、トリエチルアミン585mg(5.78mmol)を、反応液内温を5〜10℃に保持しながら5分間かけて滴下し、滴下終了後、氷水浴を除去し、全容を25℃でさらに2時間撹拌した。
反応終了後、反応液に蒸留水500mlと飽和食塩水50mlを加え、クロロホルム300mlで2回抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターでろ液を濃縮し、得られた固体をTHF10mlに溶解させた。その溶液にメタノール50mlを加えて結晶を析出させ、析出結晶をろ取した。得られた結晶をメタノールで洗浄後、真空乾燥させて、中間体Gを白色固体として4.27g得た(収率:90.8%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):10.08(s,1H)、7.61(d,1H,J=3.0Hz)、7.37(dd,1H,J=3.0Hz,9.0Hz)、7.20(d,1H,J=9.0Hz)、6.98(d,2H,J=9.0Hz)、6.97(d,2H,J=9.0Hz)、6.88(d,4H,J=9.0Hz)、6.40(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.12(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.82(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.17(t,2H,J=6.5Hz)、4.15(t,2H,J=6.5Hz)、3.94(t,4H,J=6.5Hz)、3.76(t,2H,J=6.5Hz)、2.79(t,2H,J=6.5Hz)、2.66−2.75(m,1H)、2.53−2.66(m,3H)、2.23−2.43(m,8H)、1.75−1.84(m,4H)、1.62−1.75(m,12H)、1.39−1.55(m,8H)
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール2.00g(12.1mmol)、及び、N,N−ジメチルホルムアミド20mlを入れ、均一な溶液とした。この溶液に、炭酸カリウム8.36g(60.5mmol)、1−ヨードヘキサン3.08g(14.5mmol)を加え、全容を50℃で7時間撹拌した。反応終了後、反応液を20℃まで冷却し、反応液を水200mlに投入し、酢酸エチル300mlで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにて、ろ液から酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=75:25)により精製し、中間体Hを白色固体として2.10g得た(収率:69.6%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.60(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.53(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.27(ddd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz,8.0Hz)、7.06(ddd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz,8.0Hz)、4.22(s,2H)、3.74(t,2H,J=7.5Hz)、1.69−1.76(m,2H)、1.29−1.42(m,6H)、0.89(t,3H,J=7.0Hz)
ステップ9:化合物1の合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ7で合成した中間体G:2.38g(2.44mmol)、前記ステップ8で合成した中間体H:731mg(2.93mmol)、(±)−10−カンファスルホン酸 56.7mg(0.244mmol)、THF35ml、及びエタノール6mlを加え、全容を40℃にて5時間撹拌した。反応終了後、反応液を水200mlに投入し、酢酸エチル330mlで抽出した。得られた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにて、ろ液から酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:THF=99:1)により精製し、淡黄色固体として化合物1を2.02g得た(収率68.7%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.75(d,1H,J=2.5Hz)、7.64−7.72(m,3H)、7.34(ddd,1H,J=1.0Hz,6.5Hz,7.5Hz)、7.17(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,8.0Hz)、7.07−7.14(m,2H)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.98(d,2H,J=9.0Hz)、6.88(d,4H,J=9.0Hz)、6.40(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.13(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.82(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.30(t,2H,J=7.5Hz)、4.17(t,2H,J=7.0Hz)、4.15(t,2H,J=6.5Hz)、3.94(t,4H,J=6.5Hz)、3.76(t,2H,J=7.0Hz)、2.79(t,2H,J=6.5Hz)、2.53−2.75(m,4H)、2.25−2.42(m,8H)、1.64−1.85(m,18H)、1.29−1.56(m,14H)、0.90(t,3H,J=7.0Hz)
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、合成例1のステップ1で合成した中間体B:1.50g(3.58mmol)をTHF30mlに溶解させた。この溶液に、メタンスルホニルクロリド431mg(3.76mmol)を加え、反応器を水浴に浸して反応液内温を15℃とした。そこへ、トリエチルアミン 399mg(3.94mmol)を5分間かけて滴下し、滴下終了後、25℃でさらに2時間撹拌した。得られた反応混合物に、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド2.48g(17.92mmol)、及び、4−(ジメチルアミノ)ピリジン40.0mg(0.36mmol)を加え、再度反応器を水浴に浸して反応液内温を15℃とし、トリエチルアミン440mg(4.30mmol)を5分間かけて滴下した。滴下終了後、全容を25℃でさらに2時間撹拌した。
反応終了後、反応液に蒸留水300mlと飽和食塩水50mlを加え、酢酸エチル100mlで2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、濃縮物にトルエン100mlを加え、不溶分の固体をろ過により除去した。ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:THF=95:5)により精製することで、白色固体として中間体Iを0.80g得た(収率:41.0%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):10.91(s,1H)、9.86(s,1H)、7.32(d,1H,J=3.0Hz)、7.25(dd,1H,J=3.0Hz,9.0Hz)、7.01(d,1H,J=9.0Hz)、6.97(d,2H,J=9.0Hz)、6.87(d,2H,J=9.0Hz)、6.40(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.12(dd,1H,J=10.0Hz,17.5Hz)、5.82(dd,1H,J=1.5Hz,10.0Hz)、4.17(t,2H,J=6.5Hz)、3.94(t,2H,J=6.5Hz)、2.53−2.65(m,2H)、2.23−2.35(m,4H)、1.75−1.84(m,2H)、1.62−1.75(m,6H)、1.41−1.55(m,4H)
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、合成例1のステップ5で合成した中間体E:2.50g(5.59mmol)とTHF30mlを入れ、均一な溶液とした。この溶液に、メタンスルホニルクロリド640mg(5.59mmol)を加えた後、反応器を氷水浴に浸して反応液内温を5℃とした。次いで、トリエチルアミン 646mg(6.38mmol)を、反応液内温を5〜10℃に保持しながら5分間かけて滴下した。滴下終了後、氷水浴を除去し、全容を25℃で1時間反応させた後、N,N−ジメチルアミノピリジン48.7mg(0.399mmol)、前記ステップ1で合成した中間体I:2.15g(3.99mmol)を加え、反応器を再度氷水浴に浸して反応液内温を5℃とした。そして、トリエチルアミン485mg(4.79mmol)を、反応液内温を5〜10℃に保持しながら5分間かけて滴下し、滴下終了後、氷水浴を除去し、全容を25℃でさらに2時間撹拌した。
反応終了後、反応液に蒸留水400mlと飽和食塩水40mlを加え、クロロホルム250mlで2回抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターでろ液を濃縮し、得られた固体をTHF10mlに溶解させた。その溶液にメタノール40mlを加えて結晶を析出させ、析出結晶をろ取した。得られた結晶をメタノールで洗浄後、真空乾燥させて、中間体Jを白色固体として3.40g得た(収率:89.0%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):10.08(s,1H)、7.61(d,1H,J=2.5Hz)、7.37(dd,1H,J=2.5Hz,9.0Hz)、7.20(d,1H,J=9.0Hz)、6.98(d,2H,J=9.0Hz)、6.97(d,2H,J=9.0Hz)、6.88(d,4H,J=9.0Hz)、6.40(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.12(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.82(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.17(t,2H,J=6.5Hz)、4.15(t,2H,J=6.5Hz)、3.94(t,4H,J=6.5Hz)、3.76(t,2H,J=6.5Hz)、2.79(t,2H,J=6.5Hz)、2.65−2.74(m,1H)、2.43−2.65(m,3H)、2.16−2.38(m,8H)、1.75−1.84(m,4H)、1.64−1.75(m,12H)、1.39−1.55(m,8H)
ステップ3:化合物2の合成
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、前記ステップ2で合成した中間体J:2.00g(2.05mmol)、合成例1のステップ8で合成した中間体H:613mg(2.46mmol)、(±)−10−カンファスルホン酸 47.6mg(0.205mmol)、THF30ml、及びエタノール4mlを加え、全容を40℃にて5時間撹拌した。反応終了後、反応液を水200mlに投入し、酢酸エチル300mlで抽出した。得られた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにて、ろ液から酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:THF=99:1)により精製し、淡黄色固体として化合物2を1.58g得た(収率63.9%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.75(d,1H,J=2.5Hz)、7.64−7.73(m,3H)、7.34(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,8.0Hz)、7.17(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,7.5Hz)、7.07−7.14(m,2H)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.98(d,2H,J=9.0Hz)、6.88(d,4H,J=9.0Hz)、6.40(dd,1H,J=1.5Hz,17.5Hz)、6.13(dd,1H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.82(dd,1H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.30(t,2H,J=8.0Hz)、4.18(t,2H,J=6.5Hz)、4.15(t,2H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、3.76(t,2H,J=6.5Hz)、2.79(t,2H,J=6.5Hz)、2.52−2.74(m,4H)、2.24−2.41(m,8H)、1.64−1.88(m,18H)、1.25−1.56(m,14H)、0.90(t,3H,J=7.0Hz)
温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、合成例1のステップ5で合成した中間体E:1.00g(2.21mmol)、N,N−ジメチルホルムアミド132mg(1.81mmol)、及びトルエン15mlを入れ、均一な溶液とし、反応器を氷水浴に浸して反応液内温を5℃とした。この溶液に、塩化チオニル274mg(2.30mmol)を、反応液内温を5〜10℃に保持しながら5分間かけて滴下した。滴下終了後、全容を5〜10℃で1時間さらに撹拌した。反応終了後、反応液をロータリーエバポレーターで濃縮し、得られた濃縮物にTHF15mlを加え、均一な溶液とした。この溶液に、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド127mg(0.919mmol)を加え、反応器を氷水浴に浸して反応液内温を5℃とし、トリエチルアミン222mg(2.20mmol)を5分間かけて滴下した。滴下終了後、全容を5〜10℃でさらに2時間撹拌した。そこへ、1N塩酸2.20ml(2.20mmol)、及び、合成例1のステップ8で合成した中間体H:302mg(1.21mmol)を加え、全容を40℃にて3時間撹拌した。
反応終了後、反応液を水20mlに投入し、酢酸エチル20mlで抽出した。得られた酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにて、ろ液から酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:THF=99:1)により精製し、淡黄色固体として化合物3を431mg得た(収率:37.7%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.75(d,1H,J=2.5Hz)、7.66−7.71(m,3H)、7.34(ddd,1H,J=1.0Hz,6.5Hz,7.5Hz)、7.17(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,7.5Hz)、7.08−7.14(m,2H)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.98(d,2H,J=9.0Hz)、6.88(d,4H,J=9.0Hz)、4.30(t,2H,J=7.5Hz)、4.15(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、3.76(t,4H,J=6.5Hz)、2.79(t,4H,J=6.5Hz)、2.56−2.72(m,4H)、2.27−2.38(m,8H)、1.65−1.84(m,18H)、1.29−1.55(m,14H)、0.90(t,3H,J=7.0Hz)
冷却器、及び温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、ハイドロキノン104.77g(0.9515mol)、6−クロロヘキサノール100g(0.7320mol)、蒸留水500ml、o−キシレン100mlを加えた。全容を撹拌しながら、さらに、水酸化ナトリウム35.15g(0.8784mol)を、反応液内温が40℃を超えないように20分かけて少量ずつ加えた。水酸化ナトリウムの添加終了後、内容物を加熱し、還流条件下(96℃)で12時間反応を行った。
反応終了後、反応液内温を80℃に下げ、蒸留水200mlを加えた後、反応液を10℃に冷却することで、結晶が析出した。析出した結晶をろ過により固液分離し、得られた結晶を蒸留水500mlで洗浄し、真空乾燥することで、褐色結晶123.3gを得た。
この褐色結晶をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=:90:10)により精製することで、中間体Kを白色固体として20g得た(収率:13%)。
冷却器、及び温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、先のステップ1で合成した中間体K:20g(95.12mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン12.3g(95.12mmol)をテトラヒドロフラン500mlに溶解させた。この溶液を氷浴にて冷却して、10℃以下になるように制御しながらアクリロイルクロライド5.16g(57.01mmol)をゆっくりと滴下した。滴下終了後、氷浴下にて、2時間反応を行った。反応終了後、反応液を0.1N−塩酸水溶液1リットルに投入し、酢酸エチル300mlで2回抽出を行った。得られた酢酸エチル層を飽和食塩水300mlで洗浄した。その後、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、硫酸ナトリウムをろ過により除去した。ロータリーエバポレーターにより酢酸エチルを留去して、淡黄色固体を得た。この淡黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=:95:5)により精製することで、中間体AAを含む白色固体(粗中間体AA)を5.6g得た(収率:37%)。
得られた固体をHPLCにて分析したところ、中間体AAのハロゲン化体である下記中間体AA’が、中間体AAと中間体AA’の合計中、が2.1質量%の割合で含まれていた。
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド10.0g(47.83mmol)とシクロペンチルメチルエーテル(CPME)84mlとTHF31mlを加えた。そこへ、前記ステップ2で合成した粗中間体AA:12.04gを加え、反応器を氷浴に浸して反応液内温を0℃とした。次いで、トリエチルアミン4.83g(47.83mmol)を、反応液内温を10℃以下に保持しながら、5分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、全容を10℃以下に保持しながら1時間さらに攪拌した。
得られた反応液に、蒸留水30mlを加えた。この反応液を50℃に昇温した後、2時間洗浄(加水分解)した後、水層を抜き出した。さらに、得られた有機層に、蒸留水30mlを加えた後、全容を50℃にて2時間洗浄(加水分解)を行い、水層を抜き出した。得られた有機層を40℃に冷却した後、さらに、濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH:5.5)50mlで5回洗浄を行った後、緩衝溶液を抜き出した。得られた有機層にさらに、蒸留水30mlで洗浄を行った後、水層を抜き出した。
得られた有機層に、n−ヘキサン220mlを加えた後、0℃まで冷却して結晶を析出させた。その後、析出した結晶をろ過によりろ取した。ろ過物をn−ヘキサンで洗浄後、真空乾燥させて、白色固体として混合物Lを16.78g得た。
得られた結晶をHPLCにて分析を行い、検量線にてモノエステルとジエステルの定量を行ったところ、目的物であるモノエステルが、11.49g(27.45mmol)、ジエステルが、5.29g(7.96mmol)含まれていることが分かった。また、得られた結晶を13C−NMR(DMF−d7)にて分析を行い、シクロヘキサンジカルボン酸の含量を算出したところ、検出限界以下であった。それぞれの組成比からmol含量を計算すると、モノエステルの含量:77.52mol%、ジエステルの含量:22.48mol%であった。
ステップ4:化合物4の合成
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、前記ステップ3で合成した混合物L:16.78g(全量)、及びクロロホルム115g、DMF4.0gを加えて、10℃以下に冷却した。そこへ、塩化チオニル3.76g(31.57mmol)を反応温度が10℃以下になるように制御して滴下した。滴下終了後、反応液を25℃に戻して1時間撹拌した。反応終了後、エバポレーターにて反応液の量が四分の1になるまで濃縮した。その後、クロロホルム28.7gを加えて、クロロホルム溶液を得た。
別途、温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、2,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド1.72g(12.48mmol)、トリエチルアミン7.58g(74.88mmol)を57gのクロロホルムに溶解させ、10℃以下まで冷却した。この溶液に、前記クロロホルム溶液を、反応液内温を10℃以下に保持しながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、反応液を10℃以下に保持しながらさらに1時間反応を行った。
反応終了後、10℃以下のまま、反応液に、先の合成例1のステップ8で合成した中間体H:4.05g(16.22mmol)を加え、さらに1.0規定の塩酸水溶液45gを加えた。その後、反応液を40℃に昇温して3時間反応を行った。反応終了後、反応液を25℃まで冷却し、分液操作を行った。
得られた有機層にロカヘルプ#479(三井金属鉱業社製)0.57gを加え、30分撹拌した後、ロカヘルプ#479をろ別した。次いで、得られた反応液から、総重量の約80%をエバポレーターにて抜き出して濃縮した。この溶液にTHF23gを加えた後、1時間攪拌した。次いで、この溶液にn−ヘキサン92gを滴下した後、0℃まで冷却して結晶を析出させた。その後、析出した結晶をろ過によりろ取した。
得られた結晶にTHF120g、ロカヘルプ#479 2.1g、及び、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール110mgを加えて30分撹拌した後、ロカヘルプ#479をろ別した。次いで、得られた反応液から、エバポレーターにてTHF40gを留去した。得られた溶液にメタノール134gを滴下した後、0℃まで冷却して結晶を析出させた。その後、析出した結晶をろ過によりろ取した。ろ過物をメタノールで洗浄後、真空乾燥させて、固体(粗化合物4)を12.02g得た。(収率:82.3%)
得られた固体をHPLCにて分析したところ、化合物4のハロゲン化体である下記化合物4’が、化合物4と化合物4’の合計中、1.5質量%の割合で含まれていた。
温度計を備えた3つ口反応器内において、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール30.0g(181.6mol)をDMF500mlに溶解させた。この溶液に、炭酸セシウム 118.3g(363.2mol)を加えて0℃に冷却し、2−ブロモプロパン33.3g(272.3mmol)を加え、全容を0℃で1時間撹拌した後、さらに、25℃で20時間攪拌した。その後、反応液に蒸留水1500mlを加え、酢酸エチル1000mlで2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(THF:トルエン=1:9)により精製することで、白色固体として中間体Mを11.1g、収率29%で得た。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6,TMS,δppm):7.65(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.35(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.20(dt,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、6.98(dt,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、5.10(s,2H)、4.61−4.72(m,1H)、1.17(d,6H,J=6.5Hz)
ステップ2:化合物5の合成
合成例4のステップ4において、中間体H:4.05g(16.22mmol)を、前記ステップ1で合成した中間体M:3.36g(16.22mmol)に変更した以外は、合成例4と同様の操作を行った。その結果、固体(粗化合物5)を11.08g得た(収率:78.7%)。
得られた固体をHPLCにて分析したところ、化合物5のハロゲン化体である下記化合物5’が、化合物5と化合物5’の合計中、1.3質量%の割合で含まれていた。
温度計を備えた3つ口反応器内において、窒素気流中、2−クロロベンゾチアゾール 15.0g(88.45mmol)とフェニルヒドラジン 38.25g(353.7mmol)をエチレングリコール150mlに溶解させた。この溶液を140℃に加熱し5時間攪拌した。反応終了後、反応液に蒸留水1000mlを加え、酢酸エチル500mlで2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、得られた濃縮物にTHF50mlを加えて溶解させた。その溶液を蒸留水1000ml中に投入し、析出した固体をろ取した。ろ過物を蒸留水で洗浄後、真空乾燥させて黄色固体を得た。黄色固体をフラスコに入れ、トルエン250mlを加えて30分攪拌した後に、ろ過を行うことでトルエンに不溶の固体成分を除去した。ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(THF:トルエン=2:50)により精製することで、黄色オイルとして中間体Nを4.70g、収率22%で得た。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6,TMS,δppm):8.01(dd,2H,J=1.0Hz,9.0Hz)、7.78(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.51(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.43(dd,2H,J=7.5Hz,8.5Hz)、7.28(dt,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、7.08−7.16(m,2H)、6.26(s,2H)
ステップ2:化合物6の合成
合成例4のステップ4において、中間体H:4.05g(16.22mmol)を、前記ステップ1で合成した中間体N:3.91g(16.22mmol)に変更した以外は、合成例4と同様の操作を行った。その結果、固体(粗化合物6)を10.65g得た(収率:73.4%)。
得られた固体をHPLCにて分析したところ、化合物6のハロゲン化体である下記化合物6’が、化合物6と化合物6’の合計中、0.6質量%の割合で含まれていた。
温度計を備えた4つ口反応器内において、窒素気流下中、シクロヘキシルヒドラジン塩酸塩12.5g(83.0mmol)をトリエチルアミン40mlに溶解させた。この溶液に、2−クロロベンゾチアゾール28.15g(166.0mmol)を加え、全容を80℃で5時間撹拌した。反応終了後、反応液を20℃まで冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液500mlに投入し、酢酸エチル1000mlで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=75:25)により精製し、白色固体として中間体Oを5.10g得た(収率:24.8%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.58(d,1H,J=7.8Hz)、7.52(d,1H,J=8.2Hz)、7.26(dd,1H,J=7.4Hz,8.2Hz)、7.05(dd,1H,J=7.4Hz,7.8Hz)、4.25−4.32(m,1H)、4.04(s,2H)、1.84−1.88(m,4H)、1.68−1.73(m,1H)、1.43−1.59(m,4H)、1.08−1.19(m,1H)
ステップ2:化合物7の合成
合成例4のステップ4において、中間体H:4.05g(16.22mmol)を、前記ステップ1で合成した中間体O:4.01g(16.22mmol)に変更した以外は、合成例4と同様の操作を行った。その結果、固体(粗化合物7)を11.11g得た(収率:76.2%)。
得られた固体をHPLCにて分析したところ、化合物7のハロゲン化体である下記化合物7’が、化合物7と化合物7’の合計中、0.4質量%の割合で含まれていた。
温度計を備えた3つ口反応器内において、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール10.0g(60.5mmol)をDMF150mlに溶解させた。この溶液に、炭酸セシウム39.4g(121.0mol)を加えて0℃に冷却し、ヨードヘプタン16.4g(72.5mmol)を5分間かけて滴下し、滴下終了後、全容を25℃で3時間攪拌した。反応終了後、反応液に水1000mlを加え、酢酸エチル500mlで2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=85:15)により精製することで、白色固体として中間体Pを9.05g得た(収率56.9%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.59(dd,1H,J=1.5Hz,8.0Hz)、7.53(dd,1H,J=1.5Hz,8.0Hz)、7.06−7.28(m,2H)、4.22(s,2H)、3.75(t,2H,J=7.0Hz)、1.29−1.38(m,10H)、0.88(t,3H,J=7.0Hz)
ステップ2:化合物8の合成
合成例4のステップ4において、中間体H:4.05g(16.22mmol)を、前記ステップ1で合成した中間体P:4.27g(16.22mmol)に変更した以外は、合成例4と同様の操作を行った。その結果、固体(粗化合物8)を11.96g得た(収率:80.9%)。
得られた固体をHPLCにて分析したところ、化合物8のハロゲン化体である下記化合物8’が、化合物8と化合物8’の合計中、0.5質量%の割合で含まれていた。
温度計を備えた3つ口反応器内において、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール10.0g(60.5mmol)をDMF150mlに溶解させた。この溶液に、炭酸セシウム39.4g(121.0mol)を加えて0℃に冷却し、ブチル2−クロロエチルエーテル9.90g(72.5mmol)を5分間かけて滴下し、滴下終了後、全容を25℃で3時間攪拌した。反応終了後、反応液に水1000mlを加え、酢酸エチル500mlで2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=75:25)により精製することで、白色固体として中間体Qを8.50g得た(収率53.0%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.61(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.50(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.27−7.29(m,1H)、7.04−7.08(m,1H)、4.70(s,2H)、4.01(t,2H,J=5.0Hz)、3.82(t,2H,J=5.0Hz)、3.44(t,2H,J=7.0Hz)、1.52−1.57(m,2H)、1.31−1.39(m,2H)、0.90(t,3H,J=7.0Hz)
ステップ2:化合物9の合成
合成例4のステップ4において、中間体H:4.05g(16.22mmol)を、前記ステップ1で合成した中間体Q:4.30g(16.22mmol)に変更した以外は、合成例4と同様の操作を行った。その結果、固体(粗化合物9)を11.77g得た(収率:79.5%)。
得られた固体をHPLCにて分析したところ、化合物9のハロゲン化体である下記化合物9’が、化合物9と化合物9’の合計中、0.3質量%の割合で含まれていた。
温度計を備えた4つ口反応器内において、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール 5.04g(30.5mmol)をDMF50mlに溶解させた。この溶液に、炭酸セシウム 14.9g(45.8mmol)、4−ブロモ−1−ブテン 4.94g(36.6mmol)を加え、全容を25℃にて7時間撹拌した。反応終了後、反応液を水200mlに投入し、酢酸エチル300mlで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=70:30)により精製し、白色固体として中間体Rを4.40g得た(収率:65.8%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.60(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.54(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.28(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,8.0Hz)、7.06(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,8.0Hz)、5.89(ddt,1H,J=7.0Hz,10.5Hz,17.0Hz)、5.17(ddt,1H,J=1.5Hz,3.0Hz,17.0Hz)、5.09(ddt,1H,J=1.0Hz,3.0Hz,10.5Hz)、4.26(s,2H)、3.85(t,2H,J=7.0Hz)、2.52(dddt,2H,J=1.0Hz,1.5Hz,7.0Hz,7.0Hz)
ステップ2:化合物10の合成
合成例4のステップ4において、中間体H:4.05g(16.22mmol)を、前記ステップ1で合成した中間体R:3.56g(16.22mmol)に変更した以外は、合成例4と同様の操作を行った。その結果、固体(粗化合物10)を9.88g得た(収率:69.4%)。
得られた固体をHPLCにて分析したところ、化合物10のハロゲン化体である下記化合物10’が、化合物10と化合物10’の合計中、1.0質量%の割合で含まれていた。
温度計を備えた4つ口反応器内で、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール10.0g(60.5mmol)をDMF150mlに溶解させた。この溶液に、炭酸セシウム39.4g(121.0mmol)、1−ブロモ−2−ブチン9.65g(72.5mmol)を加え、全容を25℃で20時間撹拌した。反応終了後、反応液を水1000mlに投入し、酢酸エチル500mlで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにて、ろ液から酢酸エチルを減圧留去して、褐色固体を得た。この褐色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=85:15)により精製し、白色固体として中間体Sを6.25g得た(収率:47.5%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.63(dd,1H,J=1.3Hz,7.8Hz)、7.58(dd,1H,J=1.3Hz,7.8Hz)、7.29(ddd,1H,J=1.3Hz,7.8Hz,7.8Hz)、7.10(ddd,1H,J=1.3Hz,7.8Hz,7.8Hz)、4.56(q,2H,J=2.5Hz)、4.36(s,2H)、1.84(t,3H,J=2.5Hz)
ステップ2:化合物11の合成
合成例4のステップ4において、中間体H:4.05g(16.22mmol)を、前記ステップ1で合成した中間体S:3.52g(16.22mmol)に変更した以外は、合成例4と同様の操作を行った。その結果、固体(粗化合物11)を9.46g得た(収率:66.6%)。
得られた固体をHPLCにて分析したところ、化合物11のハロゲン化体である下記化合物11’が、化合物11と化合物11’の合計中、化合物11’が0.9質量%の割合で含まれていた。
温度計を備えた4つ口反応器内において、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール10.0g(60.5mmol)をDMF100mlに溶解させた。この溶液に、炭酸カリウム41.8g(304mmol)、及び5−ブロモバレロニトリル10.34g(60.6mmol)を加え、全容を60℃で8時間撹拌した。反応終了後、反応液を20℃まで冷却し、水1000mlに投入し、酢酸エチル1000mlで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=60:40)により精製し、白色固体として中間体Tを6.82g得た(収率:45.7%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.60(d,1H,J=7.8Hz)、7.51(d,1H,J=8.1Hz)、7.28(dd,1H,J=7.3Hz、8.1Hz)、7.07(dd,1H,J=7.3Hz,7.8Hz)、4.23(s,2H)、3.81(t,2H,J=6.9Hz)、2.46(t,2H,J=7.1Hz)、1.88−1.95(m,2H)、1.71−1.79(m,2H)
ステップ2:化合物12の合成
合成例4のステップ4において、中間体H:4.05g(16.22mmol)を、前記ステップ1で合成した中間体T:4.00g(16.22mmol)に変更した以外は、合成例4と同様の操作を行った。その結果、固体(粗化合物12)を11.23g得た(収率:77.1%)。
得られた固体をHPLCにて分析したところ、化合物12のハロゲン化体である下記化合物12’が、化合物12と化合物12’の合計中、0.3質量%の割合で含まれていた。
温度計を備えた4つ口反応器内において、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール14.5g(87.5mmol)をDMF200mlに溶解させた。この溶液に、炭酸カリウム36.3g(263mmol)、1,1,1,−トリフルオロ−4−ヨードブタン25.0g(105mmol)を加え、全容を80℃で8時間撹拌した。反応終了後、反応液を20℃まで冷却し、水1000mlに投入して、酢酸エチル1000mlで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=85:15)により精製し、白色固体として中間体Uを9.61g得た(収率:39.9%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.61(d,1H,J=8.0Hz)、7.54(d,1H,J=7.8Hz)、7.30(dd,1H,J=7.8Hz,7.8Hz)、7.09(dd,1H,J=7.8Hz,8.0Hz)、4.24(s,2H)、3.81(t,2H,J=7.0Hz)、2.16−2.26(m,2H)、1.99−2.05(m,2H)
ステップ2:化合物13の合成
合成例4のステップ4において、中間体H:4.05g(16.22mmol)を、前記ステップ1で合成した中間体U:4.47g(16.22mmol)に変更した以外は、合成例4と同様の操作を行った。その結果、固体(粗化合物13)を11.81g得た(収率:79.1%)。
得られた固体をHPLCにて分析したところ、化合物13のハロゲン化体である下記化合物13’が、化合物13と化合物13’の合計中、1.1質量%の割合で含まれていた。
温度計を備えた4つ口反応器において、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール40.0g(241.6mmol)を、DMF300mlに溶解させた。この溶液に、炭酸セシウム118g(363mmol)、3−ブロモ−2−メチル−1−プロペン39.2g(291mmol)を加え、全容を25℃で18時間撹拌した。反応終了後、反応液を水1500mlに投入し、酢酸エチル2000mlで抽出した。酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から酢酸エチルを減圧留去して、黄色固体を得た。この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=80:20)により精製し、白色固体として中間体Vを5.88g得た(収率:11.1%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.59(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.52(dd,1H,J=1.5Hz,8.0Hz)、7.26(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,8.0Hz)、7.05(ddd,1H,J=1.5Hz,7.5Hz,8.0Hz)、4.98(s,1H)、4.86(s,1H)、4.29(s,2H)、4.12(s,2H)、1.71(s,3H)
ステップ2:化合物14の合成
合成例4のステップ4において、中間体H:4.05g(16.22mmol)を、前記ステップ1で合成した中間体V:3.56g(16.22mmol)に変更した以外は、合成例4と同様の操作を行った。その結果、固体(粗化合物14)を10.05g得た(収率:70.6%)。
得られた固体をHPLCにて分析したところ、化合物14のハロゲン化体である下記化合物14’が、化合物14と化合物14’の合計中、1.3質量%の割合で含まれていた。
温度計を備えた3つ口反応器において、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール20.0g(121.1mol)をDMF400mlに溶解させた。この溶液に、炭酸セシウム78.9g(242.1mol)とプロパルギルブロミド17.3g(145.3mmol)とを加え、全容を25℃で15時間攪拌した。反応終了後、反応液に蒸留水1500mlを加え、酢酸エチル1000mlで2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(THF:トルエン=1:19)により精製することで、淡黄色固体として中間体Wを6.90g、収率28%で得た。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6,TMS,δppm):7.73(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.44(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.26(dt,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、7.06(dt,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、5.31(s,2H)、4.52(d,2H,J=2.5Hz)、3.35(t,1H,J=2.5Hz)
ステップ2:化合物15の合成
合成例4のステップ4において、中間体H:4.05g(16.22mmol)を、前記ステップ1で合成した中間体W:3.30g(16.22mmol)に変更した以外は、合成例4と同様の操作を行った。その結果、固体(粗化合物15)を10.12g得た(収率:72.1%)。
得られた固体をHPLCにて分析したところ、化合物15のハロゲン化体である下記化合物15’が、化合物15と化合物15’の合計中、1.8質量%の割合で含まれていた。
温度計を備えた3つ口反応器において、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール20.0g(121.1mol)をDMF400mlに溶解させた。この溶液に、炭酸セシウム78.9g(242.1mol)と3−ブロモプロピオニトリル19.5g(145.3mmol)とを加え、全容を25℃で15時間攪拌した。反応終了後、反応液に蒸留水1500mlを加え、酢酸エチル1000mlで2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、濃縮物にトルエン200mlを加え0℃に冷却した。析出した結晶をろ取し、真空乾燥させることで、白色固体として中間体Xを11.2g、収率42%で得た。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6,TMS,δppm):7.70(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.42(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.24(dt,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、7.03(dt,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、5.47(s,2H)、3.99(t,2H,J=6.5Hz)、2.97(t,2H,J=6.5Hz)
ステップ2:化合物16の合成
合成例4のステップ4において、中間体H:4.05g(16.22mmol)を、前記ステップ1で合成した中間体X:3.54g(16.22mmol)に変更した以外は、合成例4と同様の操作を行った。その結果、固体(粗化合物16)を10.22g得た(収率:71.9%)。
得られた固体をHPLCにて分析したところ、化合物16のハロゲン化体である下記化合物16’が、化合物16と化合物16’の合計中、0.7質量%の割合で含まれていた。
(合成例17)化合物17の合成
温度計を備えた3つ口反応器において、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール10.0g(60.5mol)をDMF200mlに溶解させた。この溶液に、炭酸セシウム39.5g(121mol)と3−ブロモブチロニトリル 10.8g(72.7mmol)とを加え、全容を25℃で15時間攪拌した。反応終了後、反応液に蒸留水1000mlを加え、酢酸エチル500mlで2回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した後、濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(THF:トルエン=1:9)により精製することで、白色固体として中間体Yを10.2g、収率72%で得た。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz,DMSO−d6,TMS,δppm):7.70(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.42(dd,1H,J=1.0Hz,8.0Hz)、7.24(dt,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、7.03(dt,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、5.47(s,2H)、3.99(t,2H,J=6.5Hz)、2.97(t,2H,J=6.5Hz)
ステップ2:化合物17の合成
合成例4のステップ4において、中間体H:4.05g(16.22mmol)を、前記ステップ1で合成した中間体Y:3.77g(16.22mmol)に変更した以外は、合成例4と同様の操作を行った。その結果、固体(粗化合物17)を9.47g得た(収率:65.8%)。
得られた固体をHPLCにて分析したところ、化合物17のハロゲン化体である下記化合物17’が、化合物17と化合物17’の合計中、0.4質量%の割合で含まれていた。
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、2−ヒドラジノベンゾチアゾール20.0g(121mmol)をDMF300mlに溶解させた。この溶液に、炭酸セシウム78.9g(242mmol)、2−(ノナフルオロブチル)エチルヨージド50.0g(145mmol)を加え、全容を25℃で20時間撹拌した。反応終了後、反応液を水1000mlに投入し、酢酸エチル1000mlで抽出し、酢酸エチル層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、硫酸ナトリウムをろ別した。ロータリーエバポレーターにてろ液から酢酸エチルを減圧留去して、褐色固体を得た。この褐色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=9:1)により精製し、白色固体として中間体Zを11.5g得た(収率:22.9%)。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(500MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.63(dd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、7.57(dd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz)、7.32(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,7.5Hz)、7.11(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,7.5Hz)、4.35(s,2H)、4.08(t,2H,J=7.5Hz)、2.56−2.70(m,2H)
ステップ2:化合物18の合成
合成例4のステップ4において、中間体H:4.05g(16.22mmol)を、前記ステップ1で合成した中間体Z:6.67g(16.22mmol)に変更した以外は、合成例4と同様の操作を行った。その結果、固体(粗化合物18)を10.34g得た(収率:62.2%)。
得られた固体をHPLCにて分析したところ、化合物18のハロゲン化体である下記化合物18’が、化合物18と化合物18’の合計中、0.2質量%の割合で含まれていた。
冷却器、及び温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、トランスシクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド:4.15g(19.87mmol)をシクロペンチルメチルエーテル30g、テトラヒドロフラン11.5gに溶解させた。この溶液を氷浴にて冷却した後、先の合成例4のステップ2で得た粗中間体AA:5.0gを加えて溶解させた。氷浴下にてこの溶液に、トリエチルアミン2.01g(19.87mmol)を10℃以下となるように制御して、ゆっくり滴下した。滴下終了後、全容を25℃に戻して1時間さらに攪拌した。得られた反応液に、蒸留水80mlを加え、50℃にて4時間洗浄を行った後、水層を抜き出した。有機層をさらに、濃度1.0mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH:5.5)150mlで5回洗浄した後、緩衝溶液を抜き出した。有機層をさらに、蒸留水100mlで洗浄を行い、分液した。得られた有機層に、n−ヘキサン400mlを加えて結晶を析出させ、析出した結晶をろ取した。得られた結晶をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(トルエン:酢酸エチル=:70:30)により精製することで、化合物19を含む白色固体(粗化合物19)を3.56g得た(収率:45%)。
得られた固体をHPLCにて分析したところ、化合物19のハロゲン化体である下記化合物19’が、化合物19と化合物19’の合計中、1.8質量%の割合で含まれていた。
(合成例20)混合物1の合成
冷却器、及び温度計を備えた3つ口反応器に、窒素気流中、トランスシクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド4.15g(19.87mmol)をシクロペンチルメチルエーテル30g、テトラヒドロフラン11.5gに溶解させた。この溶液を氷浴にて冷却した後、先の合成例4のステップ2で得た粗中間体AA:5.0gを加えて溶解させた。氷浴下にてこの溶液に、トリエチルアミン2.01g(19.87mmol)を10℃以下となるように制御して、ゆっくり滴下した。滴下終了後、全容を25℃に戻して1時間さらに攪拌した。得られた反応液に、蒸留水15mlを加え、50℃にて4時間洗浄を行った後、水層を抜き出した。有機層をさらに、濃度1.0mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムからなる緩衝溶液(pH:5.5)25gで5回洗浄した後、緩衝溶液を抜き出した。有機層をさらに、蒸留水15mlで洗浄を行い、分液した。得られた有機層に、60%ヘキサン60gを加えて結晶を析出させた。得られた溶液を0℃まで冷却して1時間撹拌した。その後、析出した結晶をろ取して混合物1を7.25g得た。得られた固体をHPLCにて定量分析したところ、化合物19が5.5g、ジエステル化合物が1.74g含まれていた。さらに、得られた固体をHPLCにて組成分析したところ、化合物19のハロゲン化体である化合物19’が、化合物19と化合物19’の合計中、1.5質量%の割合で含まれていた。
(実施例1)化合物1の脱塩化水素反応
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、化合物1:1.0g(0.83mmol)、トリエチルアミン126mg(1.24mmol)を酢酸エチル30ml、アセトニトリル15mlの混合溶媒に溶解させた。この溶液に、1mol/Lの濃度の炭酸ナトリウム水溶液1.5mlを加えて、50℃にて4時間撹拌した。反応終了後、炭酸ナトリウム水溶液を抜き出し、得られた有機層をさらに水30mlで洗浄した。有機層にメタノール70mlを加えて固体を析出させた。得られた固体を真空乾燥機で乾燥させ、0.95gの淡黄色固体を得た。
得られた固体をHPLCにて分析したところ、ハロゲン化体である化合物1のピークが完全に消失していたことから、化合物1は化合物4に変換されたことが分かった。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.75(d,1H,J=2.5Hz)、7.67−7.70(m,3H)、7.34(ddd,1H,J=1.0Hz,7.0Hz,7.5Hz)、7.17(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,7.5Hz)、7.12(d,1H,J=9.0Hz)、7.10(dd,1H,J=2.5Hz,9.0Hz)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.98(d,2H,J=9.0Hz)、6.88(d,4H,J=9.0Hz)、6.40(dd,2H,J=1.5Hz,17.0Hz)、6.13(dd,2H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.82(dd,2H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.30(t,2H,J=8.0Hz)、4.18(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.58−2.70(m,4H)、2.31−2.35(m,8H)、1.66−1.82(m,18H)、1.31−1.54(m,14H)、0.90(t,3H,J=7.0Hz)
(実施例2)化合物2の脱塩化水素反応
実施例1において、化合物1:1.0g(0.83mmol)を、合成例2で合成した化合物2:1.0g(0.83mmol)に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、0.94gの淡黄色固体を得た。
得られた固体をHPLCにて分析したところ、ハロゲン化体である化合物2のピークが完全に消失していたことから、化合物2は化合物4に変換されたことが分かった。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.75(d,1H,J=2.5Hz)、7.67−7.70(m,3H)、7.34(ddd,1H,J=1.0Hz,7.0Hz,7.5Hz)、7.17(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,7.5Hz)、7.12(d,1H,J=9.0Hz)、7.10(dd,1H,J=2.5Hz,9.0Hz)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.98(d,2H,J=9.0Hz)、6.88(d,4H,J=9.0Hz)、6.40(dd,2H,J=1.5Hz,17.0Hz)、6.13(dd,2H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.82(dd,2H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.30(t,2H,J=8.0Hz)、4.18(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.58−2.70(m,4H)、2.31−2.35(m,8H)、1.66−1.82(m,18H)、1.31−1.54(m,14H)、0.90(t,3H,J=7.0Hz)
(実施例3)化合物3の脱塩化水素反応
実施例1において、化合物1:1.0g(0.83mmol)を、合成例3で合成した化合物3:1.0g(0.80mmol)に変更し、トリエチルアミンの使用量を126mg(1.24mmol)から250mg(2.47mmol)に変更し、1mol/Lの濃度の炭酸ナトリウム水溶液の使用量を1.5mlから3mlに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、0.92gの淡黄色固体を得た。
得られた固体をHPLCにて分析したところ、ハロゲン化体である化合物3のピークが完全に消失していたことから、化合物3は化合物4に変換されたことが分かった。
目的物の構造は1H−NMRで同定した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3,TMS,δppm):7.75(d,1H,J=2.5Hz)、7.67−7.70(m,3H)、7.34(ddd,1H,J=1.0Hz,7.0Hz,7.5Hz)、7.17(ddd,1H,J=1.0Hz,7.5Hz,7.5Hz)、7.12(d,1H,J=9.0Hz)、7.10(dd,1H,J=2.5Hz,9.0Hz)、6.99(d,2H,J=9.0Hz)、6.98(d,2H,J=9.0Hz)、6.88(d,4H,J=9.0Hz)、6.40(dd,2H,J=1.5Hz,17.0Hz)、6.13(dd,2H,J=10.5Hz,17.5Hz)、5.82(dd,2H,J=1.5Hz,10.5Hz)、4.30(t,2H,J=8.0Hz)、4.18(t,4H,J=6.5Hz)、3.95(t,4H,J=6.5Hz)、2.58−2.70(m,4H)、2.31−2.35(m,8H)、1.66−1.82(m,18H)、1.31−1.54(m,14H)、0.90(t,3H,J=7.0Hz)
(実施例4)粗化合物4の脱塩化水素反応
実施例1において、化合物1:1.0g(0.83mmol)を、合成例4で合成した粗化合物4:1.0gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、0.95gの淡黄色固体を得た。
得られた固体をHPLCにて分析したところ、ハロゲン化体である化合物4’のピークが完全に消失し、化合物4’は、化合物4に変換された。
(実施例5)粗化合物5の脱塩化水素反応
実施例1において、化合物1:1.0g(0.83mmol)を、合成例5で合成した粗化合物5:1.0gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、0.94gの淡黄色固体を得た。得られた固体をHPLCにて分析したところ、ハロゲン化体である化合物5’のピークが完全に消失し、化合物5’は、化合物5に変換された。
(実施例6)粗化合物6の脱塩化水素反応
実施例1において、化合物1:1.0g(0.83mmol)を、合成例6で合成した粗化合物6:1.0gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、0.94gの淡黄色固体を得た。得られた固体をHPLCにて分析したところ、ハロゲン化体である化合物6’は完全に消失し、全て化合物6に変換された。
(実施例7)粗化合物7の脱塩化水素反応
実施例1において、化合物1:1.0g(0.83mmol)を、合成例7で合成した粗化合物7:1.0gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、0.94gの淡黄色固体を得た。得られた固体をHPLCにて分析したところ、ハロゲン化体である化合物7’は完全に消失し、全て化合物7に変換された。
(実施例8)粗化合物8の脱塩化水素反応
実施例1において、化合物1:1.0g(0.83mmol)を、合成例8で合成した粗化合物8:1.0gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、0.94gの淡黄色固体を得た。得られた固体をHPLCにて分析したところ、ハロゲン化体である化合物8’は完全に消失し、全て化合物8に変換された。
(実施例9)粗化合物9の脱塩化水素反応
実施例1において、化合物1:1.0g(0.83mmol)を、合成例9で合成した粗化合物9:1.0gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、0.94gの淡黄色固体を得た。得られた固体をHPLCにて分析したところ、ハロゲン化体である化合物9’は完全に消失し、全て化合物9に変換された。
(実施例10)粗化合物10の脱塩化水素反応
実施例1において、化合物1:1.0g(0.83mmol)を、合成例10で合成した粗化合物10:1.0gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、0.94gの淡黄色固体を得た。得られた固体をHPLCにて分析したところ、ハロゲン化体である化合物10’は完全に消失し、全て化合物10に変換された。
(実施例11)粗化合物11の脱塩化水素反応
実施例1において、化合物1:1.0g(0.83mmol)を、合成例11で合成した粗化合物11:1.0gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、0.94gの淡黄色固体を得た。得られた固体をHPLCにて分析したところ、ハロゲン化体である化合物11’は完全に消失し、全て化合物11に変換された。
(実施例12)粗化合物12の脱塩化水素反応
実施例1において、化合物1:1.0g(0.83mmol)を、合成例12で合成した粗化合物12:1.0gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、0.94gの淡黄色固体を得た。得られた固体をHPLCにて分析したところ、ハロゲン化体である化合物12’は完全に消失し、全て化合物12に変換された。
(実施例13)粗化合物13の脱塩化水素反応
実施例1において、化合物1:1.0g(0.83mmol)を、合成例13で合成した粗化合物13:1.0gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、0.94gの淡黄色固体を得た。得られた固体をHPLCにて分析したところ、ハロゲン化体である化合物13’は完全に消失し、全て化合物13に変換された。
(実施例14)粗化合物14の脱塩化水素反応
実施例1において、化合物1:1.0g(0.83mmol)を、合成例14で合成した粗化合物14:1.0gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、0.94gの淡黄色固体を得た。得られた固体をHPLCにて分析したところ、ハロゲン化体である化合物14’は完全に消失し、全て化合物14に変換された。
(実施例15)粗化合物15の脱塩化水素反応
実施例1において、化合物1:1.0g(0.83mmol)を、合成例15で合成した粗化合物15:1.0gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、0.94gの淡黄色固体を得た。得られた固体をHPLCにて分析したところ、ハロゲン化体である化合物15’は完全に消失し、全て化合物15に変換された。
(実施例16)粗化合物16の脱塩化水素反応
実施例1において、化合物1:1.0g(0.83mmol)を、合成例16で合成した粗化合物16:1.0gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、0.94gの淡黄色固体を得た。得られた固体をHPLCにて分析したところ、ハロゲン化体である化合物16’は完全に消失し、全て化合物16に変換された。
(実施例17)粗化合物17の脱塩化水素反応
実施例1において、化合物1:1.0g(0.83mmol)を、合成例17で合成した粗化合物17:1.0gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、0.94gの淡黄色固体を得た。得られた固体をHPLCにて分析したところ、ハロゲン化体である化合物17’は完全に消失し、全て化合物17に変換された。
(実施例18)粗化合物18の脱塩化水素反応
実施例1において、化合物1:1.0g(0.83mmol)を、合成例18で合成した粗化合物18:1.0gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果、0.94gの淡黄色固体を得た。得られた固体をHPLCにて分析したところ、ハロゲン化体である化合物18’は完全に消失し、全て化合物18に変換された。
(実施例19)中間体Dの脱塩化水素反応
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、先の合成例1のステップ3で合成した中間体D:1.0g(3.32mmol)、トリエチルアミン505mg(4.99mmol)を酢酸エチル40ml、アセトニトリル20mlの混合溶媒に溶解させた。この溶液に、1mol/Lの濃度の炭酸ナトリウム水溶液9.0mlを加えて、50℃にて4時間撹拌した。反応終了後、炭酸ナトリウム水溶液を抜き出し、得られた有機層をさらに0.5N−塩酸水溶液20mlで洗浄した。次いで、蒸留水50mlで2回洗浄した。得られた酢酸エチル層にn−ヘキサン200mlを投入して固体を析出させた。ろ過により固体をろ取して、真空乾燥機で乾燥させ、0.77gの白色固体を得た。得られた固体をHPLCにて分析したところ、ハロゲン化体である中間体Dのピークが完全に消失していたことから、中間体Dは中間体AAに変換されたことが分かった。
(実施例20)中間体Eの脱塩化水素反応
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、先の合成例1のステップ4で合成した中間体E:1.0g(2.20mmol)、トリエチルアミン334mg(3.30mmol)を酢酸エチル40ml、アセトニトリル20mlの混合溶媒に溶解させた。この溶液に、1mol/Lの濃度の炭酸ナトリウム水溶液8.0mlを加えて、50℃にて4時間撹拌した。反応終了後、炭酸ナトリウム水溶液を抜き出し、得られた有機層をさらに0.5N−塩酸水溶液20mlで洗浄した。次いで、蒸留水50mlで2回洗浄した。得られた酢酸エチル層にn−ヘキサン200mlを投入して固体を析出させた。ろ過により固体をろ取して、真空乾燥機で乾燥させ、0.82gの白色固体を得た。得られた固体をHPLCにて分析したところ、ハロゲン化体である中間体Eのピークが完全に消失していたことから、中間体Eは化合物19に変換されたことが分かった。
(実施例21)粗中間体AAの脱塩化水素反応
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、先の合成例4のステップ2で合成した粗中間体AA:1.0g、トリエチルアミン505mg(4.99mmol)を酢酸エチル40ml、アセトニトリル20mlの混合溶媒に溶解させた。この溶液に、1mol/Lの濃度の炭酸ナトリウム水溶液9.0mlを加えて、50℃にて4時間撹拌した。反応終了後、炭酸ナトリウム水溶液を抜き出し、得られた有機層をさらに0.5N−塩酸水溶液20mlで洗浄した。次いで、蒸留水50mlで2回洗浄した。得られた酢酸エチル層にn−ヘキサン200mlを投入して固体を析出させた。ろ過により固体をろ取して、真空乾燥機で乾燥させ、0.92gの白色固体を得た。得られた固体をHPLCにて分析したところ、ハロゲン化体である中間体AA’のピークが完全に消失していたことから、中間体AA’は中間体AAに変換されたことが分かった。
(実施例22)粗化合物19の脱塩化水素反応
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、先の合成例19で合成した粗化合物19:1.0g(2.20mmol)、トリエチルアミン334mg(3.30mmol)を酢酸エチル40ml、アセトニトリル20mlの混合溶媒に溶解させた。この溶液に、1mol/Lの濃度の炭酸ナトリウム水溶液8.0mlを加えて、50℃にて4時間撹拌した。反応終了後、炭酸ナトリウム水溶液を抜き出し、得られた有機層をさらに0.5N−塩酸水溶液20mlで洗浄した。次いで、蒸留水50mlで2回洗浄した。得られた酢酸エチル層にn−ヘキサン200mlを投入して固体を析出させた。ろ過により固体をろ取して、真空乾燥機で乾燥させ、0.89gの白色固体を得た。得られた固体をHPLCにて分析したところ、ハロゲン化体である化合物19’のピークが完全に消失していたことから、化合物19’は化合物19に変換されたことが分かった。
(実施例23)混合物1の脱塩化水素反応
温度計を備えた4つ口反応器に、窒素気流中、先の合成例20で合成した混合物1:7.25g、トリエチルアミン2.0g(19.71mmol)を酢酸エチル200ml、アセトニトリル100mlの混合溶媒に溶解させた。この溶液に、1mol/Lの濃度の炭酸ナトリウム水溶液50mlを加えて、50℃にて4時間撹拌した。反応終了後、炭酸ナトリウム水溶液を抜き出し、得られた有機層をさらに0.5N−塩酸水溶液110mlで洗浄した。次いで、蒸留水100mlで2回洗浄した。得られた酢酸エチル層をロータリーエバポレーターにて、100mlまで濃縮した。この酢酸エチル層にn−ヘキサン500mlを投入して固体を析出させた。ろ過により固体をろ取して、真空乾燥機で乾燥させ、6.58gの白色固体を得た。得られた固体をHPLCにて分析したところ、ハロゲン化体である化合物19’のピークが完全に消失していたことから、化合物19’は化合物19に変換されたことが分かった。