JP2017206484A - 高純度アスコルビン酸誘導体及びその用途 - Google Patents

高純度アスコルビン酸誘導体及びその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】高純度2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体及びその用途【解決手段】高純度2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体及びその用途を提供する。高純度2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体を製造することにより、安全性と浸透性が高く炎症抑制効果の高いアスコルビン酸導体を提供。本発明の高純度2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体を含有する製品は経時変化を抑制し耐久性を高めることができ幅広い製品に応用できる。【選択図】 なし

Description

本発明は、高純度の2-o-グルコピラノシル3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体とその用途に関する。
(アスコルビン酸)
L-アスコルビン酸(L-アスコルビン酸:以下「ASA」と略す)はヒトにとり重要なビタミンの一つである。ヒトをはじめ、霊長類、モルモットはASAを体内合成することができないため、必須の栄養素の一つである。そのため、ASA源の補給原料として医薬、医薬部外品、未承認医薬、飼料、化粧品、食品分野に多くのASA又は、その誘導体が使用されている。さらに、ASAは、その強い還元作用から抗酸化剤として、化成品、工業品、雑貨品、衣料品などに幅広く使用されている。
一方、ASAなどの複数の抗酸化物質は、相手を還元すると自分は酸化され、ASAは、酸化を促進する物質(プロオキシダント)に変化することが知られていて、その多くがフリーラジカルである。ASAは、酸化されると、ASAラジカルというフリーラジカルに変化することがある。即ち、ASAラジカルは、ASAのプロオキシダントである。 ASAがプロオキシダント化されてASAラジカルに変化すると、相手を強力に酸化させる能力を持ち、生体中では細胞膜を破壊し細胞を死滅させるなど様々な副作用を生じることが知られている。ASAは、ASA分子の炭素の2、3、5、6位に4つの水酸基を有し、水中では、2、3位の水酸基の水素原子が最も遊離しやすく、水酸基から水素が水中に遊離すると酸素原子が露出しマイナスイオンとなる。この2つの酸素原子は、強い酸化還元反応の活性中心となる。
炎症とは、生体が何らかの有害な刺激を受けた時に免疫応答が働き、それによって生体に出現した症候である。外傷や熱傷などの物理的要因や、感染、アレルギー反応によって引き起こされる、紅斑、発赤 、熱感 、腫脹 、疼痛などを特徴とする症候である。紅斑、発赤 や熱感は当該部位の血管が拡張することにより生じる血流の増加が原因である。腫脹・疼痛は血管透過性が亢進して浮腫ができたり、内因性発痛物質が出現することによる。
この炎症の多くの過程には活性酸素の産生が関与しており、活性酸素を効率的に排除することにより、炎症をコントロールできること事が知られている。
紅斑に動脈の拡張などの合併があれば皮膚温度は上がりさらに皮膚の活性酸素量が増加する。紅斑が、圧迫すると消えるのに対して、紫斑や色素沈着は圧迫しても消失しないのが特徴であり明らかに異なる。紅斑の原因は、赤外線や紫外線等の電磁波照射障害、感染症(菌類、マイコプラズマ、ウィルス、寄生虫など)、熱傷、アレルギー反応、免疫疾患、接触性皮膚炎、電気的刺激、過剰運動、物理的損傷や界面活性剤や薬剤等による化学物質と生体との化学反応、好中球浸潤、活性酸素障害などがある。紅斑は、結節性紅斑、伝染性紅斑、多型滲出性紅斑など多くの種類がある。結節性紅斑の場合、細菌やウイルス、真菌などの感染症や基礎疾患(ベーチェット病、結核、サルコイドーシス、クローン病など)、内臓悪性腫瘍、薬剤によるもの、サルファ系抗菌薬や経口避妊薬などの薬剤によるものなどがある。
例えば、皮膚組織に一定量以上高エネルギーのレーザー光や紫外線が照射されると皮膚表面に炎症の一形態である紅斑が発生する。紅斑は、毛細血管の拡張などを原因とし、皮膚などの組織表面が発赤する状態をいい、組織障害の一つである。
血管拡張は、好中球の浸潤などによりNOラジカル、スーパーオキシド、ASAラジカルなどの活性酸素の発生が関与する。炎症反応の発生した殆どの組織でASAのプロオキシダントであるASAラジカルが上昇しているので、ASAラジカルは炎症のマーカーともなり得る。さらに、炎症時には炎症性サイトカインとしてしられる、プロスタグランジンE2(PGE2)活性、シクロオキシゲナーゼ2(COX2)活性、インターロイキン(IL)−6活性、IL−1β活性、ストレスMAPキナーゼ活性などの活性化や物質濃度の上昇が知られており、これらも生体における重要な炎症マーカーである。
これらの、炎症を治療するために多くの抗炎症剤が開発され実用的に使用されている。抗炎症剤には、主にステロイド系抗炎症薬と非ステロイド系抗炎症薬の2種類の抗炎症剤があるが副作用が大きいという問題がある。活性酸素の消去が炎症を抑制することから、抗酸化剤を利用した新規の副作用の少ない抗炎症剤の開発が望まれていた。
ステロイド系抗炎症薬は副腎皮質ホルモンの糖質コルチコイド、合成糖質コルチコイドであるが、優れた抗炎症作用を持つ一方、免疫抑制作用や副腎萎縮、胃腸障害、白内障、緑内障、ムーンフェイス、副腎萎縮、副腎不全、皮膚炎など多くの副作用も持つため社会問題となっているばかりか、これらの副作用のために炎症治療後も副作用障害が残ることもある。
非ステロイド系抗炎症薬は、ステロイドに比較し効果は低いが、抗炎症作用のほか、鎮痛作用、解熱作用を持つ。酸性抗炎症薬は一般に広く使用されておりアスピリン、イブプロフェン、インドメタシンなどがこれに分類され、酸性抗炎症薬はアラキドン酸からプロスタグランジンE2(PGE2)を合成する酵素であるシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することによってケミカルメディエーターの一種であるロイコトリエンやプロスタグランジンの合成を阻害し、炎症が起きるのを抑える。しかし、これらの非ステロイド系の抗炎症薬も胃腸障害、肝障害、腎障害、造血障害、SJ症候群、アスピリン喘息、皮膚炎などが副作用として知られており大きな問題となっている。
さらに、 炎症反応を抑制する有効な方法の一つは、炎症性サイトカインの産生を抑制、またはこれを不活性化することである。この例としては、メルク(カルビオケム)社から発売されているp38MAPキナーゼの阻害剤SB203580およびSB220025が挙げられる。これらの阻害剤は、角化細胞の細胞内情報伝達経路において、炎症性サイトカインの上流に位置するp38MAPキナーゼの活性を抑制するため、炎症性患者の治療薬として有用である。炎症性のケミカルメディエーターや炎症性サイトカインとして知られるPGE2、COX2、IL−6、IL−1β、ストレス性MAPキナーゼ、TNF−αを抑制したり、これらの拮抗体を含む組成物を適用することにより炎症を抑制する方法が開発されている。
本発明社ら者らは、本発明のASA誘導体が炎症の原因となる活性酸素を消去するだけでなく、これらの炎症性メディエーターや炎症性サイトカインも抑制し炎症そのものを改善する効果があることを見出した。
炎症の発生時には様々な炎症性サイトカインが発現する。主な炎症性サイトカインとして、TNF-α、IL-1、IL-6、IFNγ、IL-8、IL-12、IL-18がある。IFNγは、細菌抗原やIL-12、 IL-18などによって活性化されたヘルパーT細胞から産生され、抗ウイルス作用を高め、マクロファージを活性化する。IL-12は、単球、マクロファージ、好中球、樹状細胞などから産生され、炎症性・抗炎症性サイトカインの産生を高める。細胞性免疫を高め、Th1リンパ球への分化を促進する。IL-18は、活性化されたマクロファージから産生され、IFNγの産生を高める。細胞性免疫に加え液性免疫の増強効果を有する。プロスタグランジンE2(PGE2)は、生理活性物質であるプロスタグランジンの一種であり、PGE受容体を介して発熱などの炎症反応に深く関与しているため、炎症マーカーとして扱われることが多い。PGE2をはじめとしたエイコサノイドは炭素数20の不飽和脂肪酸を原料に生合成される事が知られており、食物由来物質の中ではアラキドン酸の含量が多い。このことからエイコサノイドの合成系をアラキドン酸カスケードと呼んでおり、PGE2もアラキドン酸から生成される。アラキドン酸カスケードでのPGE2合成反応は以下の段階に分けられる。1) 生体膜のリン脂質のsn2位にエステル結合しているアラキドン酸がホスホリパーゼA2 (PLA2) と呼ばれる酵素により切り出される。2) 遊離したアラキドン酸はシクロオキシゲナーゼ (COX) により代謝されPGG2になる。この際、アラキドン酸がリポキシゲナーゼ (LOX) による代謝を受けるとロイコトリエンの合成系に入っていくが、本題から外れるため詳述しない。3) さらにPGG2はPGH2に変換され、この反応もはCOXが担う。このため、COXも炎症マーカーとして扱われることが多い。COXには3つのアイソザイムがあり、それぞれCOX-1、COX-2、及びCOX-3と呼ばれるが、炎症マーカーとしては、通常COX2が調査される。
生体内活性酸素やフリーラジカルに起因する炎症による病態をラジカル疾患、活性酸素疾患などと言う。ラジカル疾患とは、例えば心筋梗塞、虚血性心疾患、心不全、狭心症、不整脈、動脈硬化症、肝臓脂質代謝障害、高脂血症、本態性高血圧、高血圧症、動脈硬化症、冠動脈硬化症、血栓症、閉塞性動脈硬化症、血管障害、抹消血管障害、胆汁うつ滞症、高コレステロール血症、膵障害、臓器不全、急慢性肝炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、消化器官障害、胆嚢症、糖尿病、関節炎治療剤、リュウマチ、肝不全、肝障害、虚血性肝障害、肝臓脂質代謝障害、胆嚢障害、臓器移植障害、糖尿病、中毒症、臓器移植障害、虚血性再灌流障害などである。これらの疾患がラジカル疾患であることは、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、の書籍に記載されている。これらの疾患にASAが効果があることも上記の文献に記載があり。さらに、これらの疾患にASAリン酸誘導体が一定の効果があることも、本発明者の先の発明により特許文献5などで公知である。
さらに、薬物による脳内の酸化障害に対してASA-2-リン酸Naやトコフェリルリン酸Na等が一定の効果を有することが、非特許文献4の本発明者らの研究でお明らかとなっている。かし、これらの既存のASA誘導体の抗炎症効果やラジカル疾患に対する効果は製剤中の安定性が悪いことなどから十分な効果を発揮することはできずASAラジカルが原因と見られる副作用の発生問題などもあった。紫外線照射障害などに対して高濃度のASAが存在するとASAラジカルが増大し、紅斑や炎症が返って拡大し治療効果が失われるという問題があった。叉は、炎症組織の好中球の発生させる活性酸素などがより副作用を促進するという問題もあった。
現在の抗炎症剤の副作用の深刻な問題を解決する為に、ASA系の抗炎症剤の開発が望まれていたが、ASAは安定性が悪く、さらに効果を発揮させようとして大量投与するとプロオキシダント化し、かえって炎症を惹起してしまう問題があった。これを解決する為には、安定性が良好で、プロオキシダント化率が低く、即ちASAラジカルを発生しにくい抗炎症効果の高いASA誘導体が望まれていた。
しかし従来のASA誘導体は、安定性が不十分か、効果が不十分か、ASAラジカルに変化しやすく副作用が大きいのいづれかか、その組み合わせの問題を有していた。
例えば、特許文献1−9、等で公知のASA誘導体はASAの2位叉は3位のどちらか一方が、修飾されていない状態のためにヘモグロビンなどの鉄タンパク共存下のではフェントン反応を誘導し、多量のASAラジカルを発生させ細胞や組織に酸化障害を誘導する。これが、ASAの副作用として、細胞を死滅させたり、近年報告が急増しているASA由来のアレルギーやアレルギー性接触性皮膚炎、非特許文献5、6、7を発生させる原因の一つになると考えられる。
(従来のASA誘導体の問題)
既に公知にされているASA-2-リン酸エステルの塩類、特許文献1、及び2-o-グルコピラノシルASA、特許文献2、ASAリン酸ヒドロキシプロピル、特許文献3、サツカロASA誘導体 、特許文献4、ASAテトラ脂肪酸エステル誘導体 、特許文献5、アミノASA誘導体、特許文献6、ASA−2−リン酸エステルの高級脂肪酸エステル、特許文献7、L−ASA−2−O−マレイン酸−α−トコフェロールジエステル、特許文献8、L−ASA−2−O−リン酸−α−トコフェロールジエステル 、特許文献9は、いずれもASAの2位叉は3位に存在する2つの酸素のうち一方のみが修飾されているため、修飾されていない酸素原子が存在する。
したがって、ASA誘導体になっても、修飾されていない酸素原子による電子供与力が残存している。このため、ヘモグロビンなどの鉄や銅を含む酵素などが過酸化水素と反応して酸化反応を起こす時に2位叉は3位が修飾されていないASA誘導体を共存させると、その酸化反応が増強される。この時発生するASAラジカルは、電子スピン共鳴などのフリーラジカル検出装置により検出できる。
組織中のASAラジカルを測定する最も精度の高い方法は,電子スピン共鳴(以下、ESRという。)叉は電子常磁性共鳴(EPR)という装置による検出法である。ESRスペクトルのピークの高さや幅などからフリーラジカルの発生量を相対的に定量比較することが可能である。本発明者らの発表したESRの研究により、組織中から活性酸素を感度よく検出できる方法が開示されている、非特許文献4。
水溶性のASAの誘導体としては2-o-リン酸ASAや2-o-グルコピラノシルASAが既に公知であるが、非酵素的環境においては、2-o-グルコピラノシルASAに比較し、2-o-リン酸ASAの安定性は極めて低い。これは、エステルを構成する酸素の電子密度が、2-o-リン酸ASAに比較し2-o-グルコピラノシルASAの方が低い為で、加水分解する水の攻撃を受けにくい為と考えられる。従って、医薬品や化粧品等の非酵素的な単純水系環境においては、2-o-グルコピラノシルASAの方が安定性がリン酸エステル比較し有意に高いという結果が得られている。
従来の、2-o-グルコピラノシルASA、特許文献2、などのASA誘導体は、プロオキシダントになりにくいとされていた。しかし、完全に安定なわけではなく、特に、紫外線や好中球浸潤の炎症組織などのスーパーオキシドが大量発生する組織や出血や溶血によりタンパク中の鉄が放出され生体内フェントン反応などの酸化反応が誘導され、大量のフリーラジカルが局所的に発生する。
そして、両親媒性のASA誘導体やイオン導入等で組織内ASA濃度が高濃度になった場合などは、2位叉は3位が保護された2-o-グルコピラノシルASAなどのASA誘導体であってもASAラジカルが発生することが本発明者らの研究で判明した。 これは2位叉は3位が保護されたASA誘導体のほとんどが、酵素的に加水分解されない状態でも一方の保護されていない酸素原子が存在する為に還元作用を保持し水中で還元剤として働くことによる。
すなわち、還元作用を発揮した後は保護された修飾部分も加水分解されやすくなり非酵素的に酸化分解されてASAとなり強力な還元作用を持つに至り、このため、速やかに酸化されてASAラジカルとなりプロオキシダントとして作用すると考えられる。
この問題を回避するため、ASAの2位及び3位の両者を保護した、脂肪酸エステル2-o-グルコピラノシルASAや脂肪酸エステルリン酸ASA等が合成された。これにより、還元作用を示すASAの2位と3位が同時に保護された事になり、ASAの安定性の問題が一見解決されたように考えられた。
しかし、期待されたほど十分な効果は無かった。即ち、3位の脂肪酸エステルは、極めて結合力が弱く、非酵素的な条件においても、容易に切断分解される事が判明した為である。脂肪酸エステルは比較的電子密度が高いエステル結合を作るために加水分解反応を受け易いと考えられた。
一度、脂肪酸が切断されると、水中で還元作用を発揮し、後は非酵素的にASAエステルが加水分解されやすくなり非酵素的に酸化分解されてASAとなり更に速やかに酸化されてASAラジカルとなりプロオキシダントとして作用する。
さらに、遊離した脂肪酸が、ASAのプロオキシダント効果により脂肪酸が酸化され、結果的に脂質過酸化物が生成し、これが原因で細胞死を誘導したり、炎症反応を促進してしまう原因になることが判明した。
即ち、2位、3位が同時に修飾されているだけでは、安定性が保てないということが判明した。これは、修飾される側鎖の性質により、ASA誘導体の安定性が大きく異なるという事であり、特に2位が安定な場合、3位にどのような側鎖が修飾されるかにより安定性が大きく異なる事を意味する。
さらに、細胞への吸収性においても、この3位の側鎖の性質が大きく関与することが判明した。例えば、2位のみの修飾では、例えばそれが、リン酸エステルやグルコシドエステルの場合は、ASA自体が水溶性なので分子が全体として水溶性になる為に、細胞浸透性や皮膚等の組織浸透性が極めて悪くなる。
一方、2位置が水溶性で3位がアルキル基などの炭化水素の場合は、その炭素数が5以下の場合は、浸透性にはあまり変化が無いが、8以上になると細胞や皮膚への浸透性が格段に向上する。
エチルヘキシルグリセリン等の、水溶性のOHと脂溶性のアルキルが混在する側鎖の場合は、OHや酸素原子と直接結合していない炭化水素の炭素の数が7個以上になると細胞や皮膚への浸透性が格段に向上することが判明した。さらに、アルキルの炭素数が増加すると、例えば炭素数が16を超えた場合は今度は水に不溶になり、医薬品や化粧品等への配合が極端に悪化する。
以上のような事実から、本発明者らは、1)ASAの水溶性の修飾基は、リン酸よりもグルコースが安定性の点から良好である事。2)ASAの2位がグルコースの場合は3位の修飾基質が脂肪酸であると安定性が悪くなるので、それ以外のアルキル基などの側鎖を選択すべき事。3)炭素の側鎖は、8以上16以下が良好であること。
ところで、ASAは、複雑な経路を経て非酸化及び酸化的分解物の相乗作用によりフラン化合物を中心に10種以上の分解物が生成し、主に暗褐色に強く変色し、品質問題となる:非特許文献8。 さらに、本発明の分子を構成するグルコースも加熱や酸化分解等により、カラメル化反応という褐変現象を発生させる。グルコース等の糖類の酸化反応では、アノマー化や異性化が起こると同時に、イソマルトースやゲンチオビオースなど1,6-グルコシド結合を持つ二糖類、1-6-アンヒドロ糖、オリゴ糖などが生成し、さらに脱水縮合反応によって3DG、5-ヒドロキシメチルフルフラール、2-ヒドロキシアセチルフランが生成します。また同時にコハク酸、酒石酸、ピルビン酸、レブリン酸、フランカルボン酸などの不揮発酸も生成しこれらの混合物により褐変現象が強化されるとされている:非特許文献9。
従って、本発明のグルコース構造を持つASAは、2つの着色物質の存在により変色が増強され、通常のASAやその誘導体に比較し、より褐変問題が深刻化し商品価値を目覚ましく減少させるという特殊事情が存在する。
このため、本発明に使用される、ASA誘導体は、例えば化粧料、食品組成物、および医薬品などに使用する場合、製品の色に影響を及ぼさないという点から、本発明のASA誘導体は、色の明度が高く、かつ、黄味が弱いほうが好ましい。
これらの、条件を満たす側鎖をもつASA誘導体を、検討したところ、以下の化1の2−o−グルコピラノシル−3−o−オクチルASA (以下2-G-3-O-ASAと略す)または化2の2−o−グルコピラノシル-3-o-エチルヘキシルグリセリルASA以下、2-G-3-EHG-ASAと略す。)から選択される、単体叉は複数化合物から選択される、2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のASA誘導体が、前記の全ての条件を満たすことがわかり、さらに、ASAラジカルの発生源となる不純物を取り除いた高純度品は、ASAラジカル発生を極端に抑制し、高い安全性と高い生理活性、特に高い抗炎症作用、炎症性サイトカイン抑制活性などを持つことが証明され本発明を完成させた。

高純度の2-G-3-O-ASA、 高純度の2-G-3-EHG-ASAの生理活性を精密に調べたところ、これらの物質がPGE2抑制活性、COX2抑制活性、IL−6抑制活性、IL−1β抑制活性、ストレスMAPキナーゼ活性化抑制活性において高い活性を有することをつきとめ、これらの2物質が高い抗炎症作用を発揮することが判明した。
ASAは、ラジカルを補足しASAラジカルと呼ばれるプロオキシダントに変化するが、このプロオキシダントが大量に産生されると、逆に炎症を促進し、抗炎症効果が低下する。しかしながら、本発明のASAラジカルの誘導因子となる不純物を取り除いた高純度の誘導体は、高純度でないものに比較し、ASAラジカルの発生が低く、抗炎症剤として優れた特性を兼ね備えることが確認された。
従来の、高純度ではない2-G-3-O-ASA、 2-G-3-EHG-ASAの不純物を詳細に調べたところ、以下の4種のカテゴリーに分類できる不純物が含有している事が判明した。即ち、カテゴリー1)側鎖が目的とする位置に結合していない誘導体、カテゴリー2)側鎖が目的の場所には結合しているがそれ以外の場所にも結合している誘導体、カテゴリー3)分解反応による、2−o−グルコピラノシル基が脱落したフリーのASAの存在が確認された。

カテゴリー1)の不純物として側鎖が目的とする位置に結合していない誘導体の存在としては、2−o−グルコピラノシル−5−o−オクチルASA、2−o−グルコピラノシル−6−o−オクチルASA、2−o−グルコピラノシル−5、6−o−ジオクチルASAなどが含まれる。
これらの誘導体はASAの3位に修飾されていない酸素原子が存在するため、細胞中の酸化条件下でASAラジカル発生源となる。同時に本発明の2-G-3-O-ASA、2-G-3-EHG-ASAに比較して酸化分解され易い。
カテゴリー2)の不純物として側鎖が目的の場所には結合しているがそれ以外の場所にも結合している誘導体としては、2−o−グルコピラノシル−3−o−オクチル−5−o−オクチルASA、2−o−グルコピラノシル−3−o−オクチル−6−o−オクチルASA、2−o−グルコピラノシル−3、5、6−o−トリオクチルASAなどが含まれる。これらのASAは、酸化安定性は高いが、分子量全体の疎水基の占める割合が多いため、不溶性であったり、水溶性でも沈殿を発生し易い為に極めて取り扱いにくい点が問題である。このために、本カテゴリーの不純物は細胞膜透過性が悪く、さらに皮膚等のバリア機能を有する組織に置ける浸透性が悪く、誘導体のASAへの変換率も低く、特に本発明の誘導体の外用剤や経口投与剤、注射剤の場合に効能効果を発揮しにくいばかりか、製品や体内で沈殿し商品価値を低下させたり、毛細血管を閉塞して組織壊死を発生させる問題がある。
さらに、カテゴリー3)の不純物として分解反応により2位と3位がフリーとなった、2位3位に未修飾の酸素原子が存在するASAが存在するが、これはいうまでもなく極めて酸化され易く、着色や沈殿、異臭等を発生させ、酸化物はプロオキシダント化して細胞毒性や炎症反応などを誘導する点が問題であり、特に本発明の抗炎症作用を発揮させる製品では大きな問題となる。1)3)の不純物としてのASA誘導体或いは未修飾の酸素原子が残存すると、毒性が問題となるプロオキシダントであるASAラジカルが発生し易くなり、最終製品中で副作用等の問題の原因の一つとなる。
高速液体クロマトグラフィー(以下「HPLC」という)を使用した分析の結果、上記カテゴリー1、2、4の不純物、即ち従来の低純度の2-G-3-O-ASA、2-G-3-EHG-ASAにおいては酸化され易いASAの2位、叉は3位のどちらか又はその両方が側鎖により修飾されていない不純物がHPLC面積率で5%以上残存していることが確認された。
これらの不純物は、ASAの2位叉は3位及か、もしくはその両方が修飾されていないフリー体である為に、電子供与性の高い酸素原子がマイナスにチャージした形で存在しており鉄やヘモグロビンなどが関与するフェントン反応の際に鉄をリサイクルしてフェントン反応を持続させ、酸化を促進しASAラジカルを発生させることが判明した。特に、炎症下の好中球浸潤組織や紫外線照射された皮膚等の過酸化水素レベルが高い組織においては、細胞損傷を増強することがESRの測定結果と炎症の進行状況から解った。
これらの、問題を解決する為には、晶析回数を増やすなどして、精製度をあげて、この不純物を取り除く事が重要であることが判明した。
さらに、高温ストレスなど環境温度の上昇時には、生体内の活性酸素量が急上昇することが知られており肝臓の酸化や体内脂質の過酸化物の増加等の現象が認められ、さらにASAラジカルの増加が報告されている。このような、ケースにおいてはASAや従来のASA誘導体の過剰投与は返って逆効果であり、本発明のようなASAラジカルを発生させないASA誘導体が求められる。
ところで、ASAの両親媒性誘導体を利用して、乳化組成物を作る試みが、本発明者らの先の発明により既に公知となっている。これらの乳化組成物のうち特にラメラ液晶を形成できるASAの両親媒性誘導体が経皮吸収性や経時安定性の点から有用である事が本発明者らの上記の発明から明らかにされている。しかし、従来の両親媒性ASA誘導体を利用した場合に、以下のような問題点が明らかとなった。
即ち、1)水中安定性が悪いために、経時変化で着色や悪臭等の問題を発生し易いこと。2)水に対する溶解性が低いために、低温や多価アルコール存在下で沈殿を生じ易いこと。3)ラメラ液晶を形成させた後に経時変化で乳化が壊れて分離し易いこと。
これらの、問題を解決するために、本発明者らが検討した結果、界面活性剤のHLBをある一定以上のものを選択すれば、これらの問題が解決できることを見いだした。HLB(Hydrophile-Lipophile Balance)値とは界面活性剤の水と油への親和性の程度を表す値である。この測定法としてグリフィン法、アトラス法など種々の方法があるが、本発明では、分子量から比較的容易に算出できる、グリフィン法を採用した。グリフィン法とはHLB値(以下単に「HLB値」と記載する。)は、以下の式で定義される。HLB値=20×親水部の式量の総和/全体の分子量
複数の既存の両親媒性ASA誘導体を検討した結果、本発明者らは、親水性側鎖として、グルコースが最も適しており、さらにHLB値が12以上15以下の範囲のものを使用することにより、上記1)2)3)の問題を解決できることを見いだした。
ASA誘導体は様々な形態をとるが、中でも常温で白色結晶であるものが比較的多い。しかし、中にはASA-2-グリセリル-3-オクチルのような、粘稠な液体のもの、ASA-2,3,5,6-テトラへキシルデカン酸のように、常温で粘度の低い液状のものがある。医薬品、化粧品、食品、飼料等の製造現場においては精密に計量して製品を作る事から、計量しやすい形状のものがこのまれ、特に固体結晶や粘度の低い液状が好まれる。万一、水飴の様な粘度の高い液状のものであると、水飴のように糸を引くために細かな単位で速やかに切断することができないために、特に1g以下の単位で計量することが困難となり、取り扱いが難しく効率的な生産に支障を来すという問題がある。本発明の、2-G-3-O-ASAと2-G-3-EHG-ASAは、通常の合成で作られたものは、常温で高粘度の水飴状態であり、製造作業特に計量作業においては糸を引くために極めて取り扱いが困難であった。
また、医薬、飼料、化粧品、食品、動物薬、培養薬、分野に多くのASAとその誘導体が使用されているが、これらの分野においても前記のようにASAラジカルの発生の少ないASA誘導体配合の製剤の利用が望まれている。
医薬品、医薬部外品、医療用培養薬品、医療機器、医療用具、未承認医薬品、化粧品、特別保健用食品、食品、動物用薬品、飼料から選ばれる何れかで抗炎症作用を持つ従来の製品においては、日光や酸素、水、体液等に長期間暴露されると、製品中に活性酸素が発生し、製品中の分子を切断し、経時的な劣化、剥離、溶解、ひび割れ、切断、穴あき、主成分の分解などを起こす。これら製品の中にはASAやその誘導体が、活性酸を消去する抗酸化剤として添加されてきたが、従来のASAやその誘導体ではプロオキシダントであるASAラジカルの発生があり、このラジカルの攻撃を受けて、分子が破壊され、その効果が十分発揮できないという問題があった。そこで従来ではこれらの製品に、トコフェロールやその誘導体、BHTなどの抗酸化剤が添加されてきたが、いずれもプロオキシダントを発生し、十分な効果を得ることができなかった。本発明は、本発明のASA誘導体を提供することによりこの問題を解決した。即ち、プロオキシダントであるASAラジカル発生を抑制し、ASA源として本発明の本発明のASA誘導体の作用により、劇的にASAラジカル発生が抑制され、これらの製品の経時的な劣化、剥離、溶解、ひび割れ、切断、穴あき、主成分の分解の問題を解決することができ、商品寿命を延長させることができた。さらに、本発明の誘導体は、従来のASA誘導体の効果を遥かに凌駕するPGE2抑制活性、COX2抑制活性、IL−6抑制活性、IL−1β抑制活性、ストレスMAPキナーゼ活性化抑制活性、プロオキシダント抑制活性を示すことが判明した。
これらの効果により、炎症の原因が、グラム陰性菌感染症、グラム陽性菌感染、マイコプラズ感染症、ウィルス感染症、寄生虫感染症、真菌感染症、好中球、腫瘍、紫外線、放射線、赤外線、遠赤外線、高エネルギー可視光、ラジオ波、超音波、音波、炭酸ガス、レーザー光、ケミカルピーリング、アトピー性皮膚炎、毛細血管拡張、接触性皮膚炎、免疫症、皮膚バリア機能低下症、活性酸素種から選択される一種叉は2種以上の複合要因からなる炎症に対して高い抗炎症効が得られる医薬品、医薬部外品、医療用培養薬品、医療機器、医療用具、未承認医薬品、化粧品、特別保健用食品、食品、動物用薬品、飼料などの組成物を提供することができる。さらに、ASA誘導体は抗酸化剤としての効果も期待できる事から、安全性が高く、安定で、且つ高活性の抗酸化機能を発揮するASA誘導体が望まれていた。
一方、樹脂製品、築材料、感光材、塗料、工業品、土木緑化用品、肥料、塗料、洗浄料、農林業用品、園芸用資材用品、粉末品、雑貨品、衣料品、飼料、食品、培養組成物、動物薬、雑貨品、絆創膏、スポーツ用テープ、包帯、衣料品、靴下、手袋、マスク、感光剤、水処理剤、空気浄化剤などの分野においても、抗酸化剤としてASAが使用されてきたが、これらの製品は太陽由来の紫外線照射環境で長時間使用される場合が多く、さらに水処理剤、空気浄化剤、洗浄剤などの分野においては、水中や空気中の硫黄酸化物、窒素酸化物、金属化合物微粒子などの強力なラジカル発生粒子を含むため過酷な酸化環境になることが多く、長期の活性酸素暴露が製品の劣化や破壊に繋がることがある。これらの分野にける製品についても、ヒドロキシラジカル、スーパーオキシド、ASAが大量に発生するため、ASAの投与によりASAラジカルが発生しさらに酸化が促進される状況に陥る可能性があり、ASAの添加効果が失われてしまう可能性が高くASAラジカルを発生させないASA誘導体の抗酸化剤としての利用が強く望まれていた。
これらの製品は、日光等に長期間照射されると、製品中に活性酸素が発生する。また、日光に当たらなくても空気中の酸素の影響で、一部が活性酸素に変化し、これらの活性酸素の影響により製品を構成する分子が自然酸化され、製品中の分子を切断し、剥離、劣化、ひび割れ、切断、穴あき、成分の分解などの原因となる。これら製品の中にはASAやその誘導体が、活性酸を消去する抗酸化剤として添加されてきたが、従来のASAやその誘導体ではASAラジカルの発生があり、その効果が十分発揮できなかった、製品の中には、トコフェロールやその誘導体、BHTなども添加されてきたが、いずれもプロオキシダントを発生し、安全性が低く、かつ十分な生理活性や抗酸化効果を得ることができなかった。
特願2001-544643 特許2832848 特願平3-250458 特願平3-178342 特願平5-61364 特願平6-13667 特願2004-352913 特許4179809 特願2000-580631
「活性酸素と病態」井上編、学会出版センター、1992 「抗酸化物質」二木他編、学会出版センター、1994 「現代医療」vol.25,No.10,1993 S.Ito, et al.,Toxicology. 30;240(1-2):96-110. 2007 Assier H, et. al.,Contact Dermatitis. 2014 Jul;71(1):60-1. Yagami A, et. al.,Contact Dermatitis. 2014 Jun;70(6):376-7. Belhadjali H, et. al.,Contact Dermatitis. 2001 Nov;45(5):317. 倉田、L-アスコルビン酸の分解および着色反応機構、農化,第50巻,第10号, p.R209-R 216,1976. 木村 進ら(編), 食品変色の化学, 415pp, 光琳, 1995.
本発明が解決しようとする課題は、従来の2-o-グルコピラノシル-3-o-オクチル-ASA (以下、「2-G-3-O-ASA」と記す)、2-o-グルコピラノシル-3-o-エチルへキシルグリセリル-ASA (以下、「2-G-3-EHG-ASA」と記す)に不純物として存在する以下のカテゴリー1から3の不純物をできる限り取り除くことにあり、これにより、高い安定性、高い効果、高い安全性をもつ2-G-3-O-ASA、2-G-3-EHG-ASAを得ることにある。
カテゴリー1)2−o−グルコピラノシル−5−o−オクチルASA、2−o−グルコピラノシル−6−o−オクチルASA、2−o−グルコピラノシル−5、6−o−ジオクチルASA
カテゴリー2)2−o−グルコピラノシル−3−o−オクチル−5−o−オクチルASA、2−o−グルコピラノシル−3−o−オクチル−6−o−オクチルASA、2−o−グルコピラノシル−35、6−o−トリオクチルASA
カテゴリー3)ASA
さらに、これらの高純度ASA誘導体の効果を利用した、組成物を提供することである。
前記課題を解決するための手段、即ち本発明は、以下の通りである。
(1)
以下の液体クロマトグラフィーの自動積分法により測定するとき、ピーク面積比が、全体のピーク面積比の95%以上となる、化1の2−o−グルコピラノシル−3−o−オクチルアスコルビン酸または化2の2−o−グルコピラノシル-3-o-エチルヘキシルグリセリルアスコルビン酸から選択される、単体叉は複数化合物から選択される、高純度の2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体。
(液体クロマトグラフィーの自動積分法)
精密にはかり取った検体を含む溶液をオクタデシル修飾シリカカラムを使用し、検出波長:265nm、溶離液:0.03MのH2KPO4水溶液:アセトニトリル=4:6(体積比)により2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体のピーク面積を自動積分法により測定した。
(化1)
(化2)

(2)
色の明度を表すL値が88以上であり、かつ色の色相を表すb値が6以下である、請求項1の高純度の2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体。
(3)
20℃、一気圧で固体である、請求項1の高純度の2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体。
(4)
以下の液体クロマトグラムの自動積分法により測定するとき、化3の2−o−グルコピラノシルアスコルビン酸誘導体とアスコルビン酸の合計のピーク面積比が、全体のピーク面積比の5%以下となる、2−o−グルコピラノシル−3−o−オクチルアスコルビン酸である請求項1の高純度の2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体。
(化3)
X1,X2,X3の一つ以上がC8H17で示されるオクチル基であり、X3がオクチル基の場合は、X1,X2の一つ以上がオクチル基であり、オクチル基以外の残のXnはHである。式中X1,X2,X3の全てがHであるものを除く。
(5)
以下の液体クロマトグラムの自動積分法により測定するとき、化4の2−o−グルコピラノシルアスコルビン酸誘導体とアスコルビン酸の合計のピーク面積比が、全体のピーク面積比の5%以下となる、2−o−グルコピラノシル−3−o−エチルヘキシルグリセリルアスコルビン酸である請求項1の高純度の2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体
(化4)
式中、Y1,Y2,Y3の一つ以上がC11H23O2で示されるエチルヘキシルグリセリル基であり、Y3がエチルヘキシルグリセリル基の場合は、Y1,Y2の一つ以上がエチルヘキシルグリセリル基であり、エチルヘキシルグリセリル基以外の残のYnはHである。式中Y1,Y2,Y3の全てがHであるものを除く。
(6)
以下の計算式で計算されるグリフィン法でHLB値を求めたときに12以上15以下となる、請求項1の高純度の2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体。
(HLB:HLBはHydrophile-Lipophile Balance)
HLB値=20×親水部の分子式量の総和/全体の分子量
(7)
以下の測定法と計算式でアスコルビン酸ラジカル抑制活性比を求めたときに1以上となる、請求項1のアスコルビン酸誘導体。
(アスコルビン酸ラジカル抑制活性の測定法)
ヒト由来表皮角化細胞に被験物質を添加して紫外線B波照射後、細胞培養上清に過酸化水素を添加し、スピントラップ剤を使用して電子スピン共鳴分光計(ESR)でアスコルビン酸ラジカル相対強度を測定し、以下の計算式でアスコルビン酸ラジカル抑制活性比を求めた。
アスコルビン酸ラジカル抑制活性比= a/b
a = 1/(本発明のアスコルビン酸誘導体のアスコルビン酸ラジカル相対強度)
b = 1/(比較品のアスコルビン酸誘導体のアスコルビン酸ラジカル相対強度)
但し、請求項1の液体クロマトグラフィーの自動積分法により測定するとき、ピーク面積比が、全体のピーク面積比の95%未満となる、請求項1の2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体を比較品とする。
(8)
以下の測定法と計算式でプロスタグランジンE2抑制活性比を求めたときに1以上となる、請求項1のアスコルビン酸誘導体。
(プロスタグランジンE2抑制活性比の測定法)
ヒト由来表皮角化細胞に紫外線B波照射後、被験物質を添加し24時間後に、細胞培養上清中のプロスタグランジンE2(PGE2)の濃度をELISA法によりPGE2濃度をもとめ、以下の計算式でプロスタグランジンE2抑制活性比を求めた。
生理活性比 = a/b
a = 1/(本発明のアスコルビン酸誘導体のPGE2濃度)
b = 1/(比較品のアスコルビン酸誘導体のPGE2濃度)
但し、請求項1の液体クロマトグラフィーの自動積分法により測定するとき、ピーク面積比が、全体のピーク面積比の95%未満となる、請求項1の2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体を比較品とする。
(9)
以下の測定法と計算式で抗シクロオキシゲナーゼ2(COX2)抑制活性比を求めたときに1以上となる、請求項1のアスコルビン酸誘導体。
(COX2抑制活性比の測定法)
ヒト由来表皮角化細胞に紫外線B波を照射後、被験物質を添加し、24時間後に、細胞を可溶化し、電気泳動法によりタンパク分離し、抗シクロオキシゲナーゼ2(COX2)モノクローナル抗体で反応処理した後、ウェスタンブロッティング法により、COX2発現相対値を求め、以下の計算式でCOX2抑制活性比を求めた。
COX2抑制活性比= a/b
a = 1/(本発明のCOX2発現相対値)
b = 1/(比較品のCOX2発現相対値)
但し、請求項1の液体クロマトグラフィーの自動積分法により測定するとき、ピーク面積比が、全体のピーク面積比の95%未満となる、請求項1の2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体を比較品とする。
(10)
以下の測定法と計算式でインターロイキン−6(IL-6)抑制活性比を求めたときに1以上となる、請求項1のアスコルビン酸誘導体。
(IL-6抑制活性比の測定法)
ヒト由来表皮角化細胞に被験物質を添加し、紫外線B波照射後、IL−6濃度を、ELISA法で測定し、以下の計算式でIL-6抑制活性比を求めた。
IL-6抑制活性比 = a/b
a = 1/(本発明のアスコルビン酸誘導体のIL-6濃度)
b = 1/(比較品のアスコルビン酸誘導体のIL-6濃度)
但し、請求項1の液体クロマトグラフィーの自動積分法により測定するとき、ピーク面積比が、全体のピーク面積比の95%未満となる、請求項1の2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体を比較品とする。
(11)
以下の測定法と計算式でインターロイキン−1β(IL−1β)抑制活性比を求めたときに1以上となる、請求項1のアスコルビン酸誘導体。
(IL-1β抑制活性比の測定法)
ヒト由来表皮角化細胞に紫外線B波照射後、被験物質を添加し、IL−1β濃度をELISA法を用いて測定し、以下の計算式でIL−1β抑制活性比を求めた。
IL-1β抑制活性比 = a/b
a = 1/(本発明のアスコルビン酸誘導体のIL-6濃度)
b = 1/(比較品のアスコルビン酸誘導体のIL-6濃度)
但し、請求項1の液体クロマトグラフィーの自動積分法により測定するとき、ピーク面積比が、全体のピーク面積比の95%未満となる、請求項1の2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体を比較品とする。
(12)
用途が、外用組成物、経口用組成物、注射用組成物から選択される、いずれかである、請求項1のアスコルビン酸誘導体を含有する組成物。
(13)
p38ストレス応答性MAPキナーゼのリン酸化抑制作用、ラットクロトン油耳浮腫抑制作用、ラットカラゲニン足浮腫抑制、ラット肉芽増殖抑制作用、から選択される一種以上の抗炎症作用を有する、請求項1のアスコルビン酸誘導体を含有する組成物。
(14)
用途が医薬品、医薬部外品、医療用培養薬品、医療機器、医療用具、未承認医薬品、化粧品、特別保健用食品、食品、動物用薬品、飼料、樹脂製品、建築材料、感光材、塗料、肥料、雑貨品、衣料品、培養組成物、水処理剤、空気浄化剤から選択される、いずれかである、請求項1のアスコルビン酸誘導体を含有する組成物。
(15)
ラメラ液晶をもつ乳化組成物である、請求項1のアスコルビン酸誘導体を含有する組成物。
本発明のASA誘導体は、従来のASA誘導体の副作用であるプロオキシダント化を抑制し、毒性のあるASAラジカルの産生を減少させ、従来のASAやASA誘導体に比較し、より高い抗酸化効果とそれに関連する効果を発揮できるASA誘導体を提供する。
さらに、可溶化性能が向上した皮膚等のバリア機能が高い組織においても浸透性の高い両親媒性の誘導体であり、優れた抗炎症効果と様々な関連効果を有し、安全性と安定性が高い様々な組成物、耐久性に優れた製品類を提供することができる。
本発明の化1の2-o-グルコピラノシル-3-o-オクチル-ASA (2-G-3-O-ASA)は、特開2010−189343の実施例9で既に公知となっている。この方法で得られた、2-G-3-O-ASAをさらに、カラムクロマトグラフィーを通過させた後に晶析を繰り返すことにより本発明の、高純度の2-G-3-O-ASAを得る事ができる。
本発明の化2の2-o-グルコピラノシル-3-o-エチルへキシルグリセリル-ASA(2-G-3-EHG-ASA)については、従来の特許叉は文献には本発明の様な、純度の誘導体で性能の向上したものは、既知の文献には存在しない。
本発明の化2の2-G-3-EHG-ASAは、以下の方法で製造することが好ましい。 即ち、2−o−グルコピラノシルASAと、エチルヘキシルグリシジルエーテルとを、ASA部の3位に対して選択的に付加反応する為に、ASA部の5位及び6位の水酸基、グルコース部の4つの水酸基を保護基で保護しない場合でも、効率的にASA部の3位付加体が得られる。
この特定構造のエポキシ化合物を用いる方法によれば、前記の効果がより優れ、保護基形成反応等を必要とせずに、1回の反応のみで、ASA部の3位水酸基を位置特異的にエーテル化することができ、高い生産効率で、前記本発明のASA誘導体又はその塩を製造することができる。
本発明のASA誘導体又はその塩の製造方法で用いられる2−o−グルコピラノシルASAは、ASA部の4位、5位の炭素の立体がS配置、R配置のいずれでもよい。又、エチルヘキシルグリシジルエーテルも同様にS体、R体又はその混合物でもよい。
本発明の誘導体を合成する反応は、溶媒中で行うことができる。溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、又はそれらの混合溶媒等を挙げることができ、特に制限はない。

但し、環境への負荷を低減し、かつコスト、安全性の点から水系溶媒が好ましく。水系溶媒としては、水の他、水を主体とし水と相溶する溶媒との混合溶媒を挙げることができる。
反応温度は特に制限ないが、より好ましくは30〜100℃、更に好ましくは40〜90℃である。反応溶媒のpHは特に制限はないが、エポキシ化合物をASA部のの3位水酸基に反応させる場合は、酸性条件下、特にpH2〜6が好ましい。
この反応は、反応系内をアルゴン、窒素、ヘリウムなどの不活性ガスで置換して行うことが好ましく、不活性ガス下で反応を行うことにより、着色、着臭などを低減することができる。触媒としては、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ触媒、硫酸等の酸触媒を使用することが可能である。臭化テトラブチルアンモニウム等の相間移動触媒を使用することも可能である。反応を行うときは、十分に混ざるように、触媒を少量の水に溶解させて添加してもよい。又、2-o-グルコピラノシルASAとエポキシ化合物等の原料の混合方法は特に限定されないが、エポキシ化合物を反応系中に滴下することもできる。
2-o-グルコピラノシルASAに対するエポキシ化合物の使用量は、特に制限はないが、2-o-グルコピラノシルASAの1モルに対して0.5〜5モルが好ましい。一つの水酸基にのみ付加させる場合は、0.5〜1.5モル程度の範囲が好ましい。2-o-グルコピラノシルASAに対するエポキシ化合物の使用量が少ない程、付加反応の位置特異性、即ち、ASA部の3位への選択的付加が明白になる。
本発明の請求項1の液体クロマトグラフィーとは、高速液体クロマトグラフィー(以下「HPLC」という)のことであり、本発明の高濃度のASA誘導体はシリカゲルを用いた液体カラムクロマトグラフィー、イオン交換樹脂等の樹脂を用いた液体カラムクロマトグラフィー、活性炭処理、抽出、蒸留、結晶化等の手段により精製して製造される。
本発明の、2-G-3-O-ASAと2-G-3-EHG-ASAは、通常の合成で作られたものは、常温で粘度が高い水飴状態であり、医薬、化粧品、食品、飼料などの製造やその計量作業においては、糸を引くために極めて取り扱いが困難であり、製造時の問題になっていた。しかし、特定のカラムを用いたHPLC法により純度が95%以上の高純度の物質は固体となり、製造時の計量が極めて効率的にできるようになった。
従来、本発明者らは、分析を極性ポリマーも分析可能なポリマー系充てん剤を用いた水系カラムにより測定していたが、たまたま、このカラムでは、2-G-3-O-ASAと2-G-3-EHG-ASAについては、同分子量の異性体の分離が困難であり、このHPLC法による純度が95%以上のものであっても、固体結晶を得ることができなかった。 本発明者らは、このカラムで分離できない同分子量の異性体の混入が、固体結晶にならない原因であることをつきとめ、2-G-3-O-ASAと2-G-3-EHG-ASAの同分子量異性体を分離できる分析法を検討した。その結果、オクタデシル修飾シリカカラムを使用し、溶離液としてH2KPO4水様液とアセトニトリルの混合溶媒で使用したところ、2-G-3-O-ASAと2-G-3-EHG-ASAの同分子量の異性体の分離に成功した。このHPLC分析法を用いて、純度が95%以上になるまで、精製を繰り返して高純度の2-G-3-O-ASAと2-G-3-EHG-ASAを製造したところ、得られた物質は固体針状結晶となり本発明を完成することができた。
本発明のASA誘導体は、ASAとグルコースという2つの着色物質の存在により変色が増強され、通常のASAやその誘導体に比較し、より褐変問題が深刻化し商品価値を目覚ましく減少させるため、本発明に使用される、ASA誘導体は、色の明度が高く、かつ、黄味が弱いほうが好ましい。
より具体的には、本発明のASA誘導体は、色の明度を表すL値(以下、単に「L値」ともいう)が90以上であり、かつ色の色相を表すb値(以下、単に「b値」ともいう)が5以下であることができ、L値が92以上であり、かつb値が4以下であることがより好ましく、L値が93以上であり、かつb値が3.5以下であることがさらに好ましい。L値は、物質が有する色の明度(lightness)を規定する値であり、0〜100の間の数値で表される。L値が100である場合最も明るい状態(完全な白色)を示し、一方、L値が0である場合最も暗い状態(完全な黒色)を示す。b値は、物質が有する色の色相(hue)を規定する値であり、b値が大きいほど黄味が強いことを示し、一方、b値が小さいほど青味が強いことを示す。なお、本発明のASAについては、L値およびb値を測定するものとする。L値およびb値は、JIS Z 8730によって規定される色差表示方法によって、Lab系色度座標で表示されることができる。 本発明のASAのL値およびb値は、例えば、色差計(商品名「COLOR AND COLOR DIFFERENCE METER MODEL 1001 DP」,日本電色工業株式会社製)に10Φレンズを装着し、ガラスセルに測定試料1g以上を敷き詰めて測定することができる。また、L値およびb値は、市販の色差計により測定することができる。
本発明のASA誘導体によれば、色差計により測定されたL値が90以上であり、かつb値が5以下であることにより、さらなる精製工程を必要とせずに、化粧料、食品、および医薬品の原料として使用することができる。
本発明の化粧料の剤系は任意であり、溶液系、可溶化系、乳化系、ゲル系、粉末分散系、水−油二層系等いずれも可能であり、目的とする製品に応じて上記一般式で表されるASA誘導体又はその塩と上記任意配合成分とを配合して製造することができる。
本発明の請求項の外用組成物、経口組成物、注射剤の例としては、医薬品、医薬部外品、医療用培養薬品、医療機器、医療用具、未承認医薬品、化粧品、食品、飼料、培養薬品、肥料、動物用品、動物用化粧品などが含まれ、例えば、皮膚に接触させて使用するスポーツ用の人体用テープ、スポーツ用の冷却剤、皮膚用接着剤、ネックレス、腕輪、人体用接着フィルム、人体用ペイント、人体用等の装飾品、ストッキング、下着、マスクなど直接肌に接触する衣類もこれに含まれる。
また、経口投与する製品全てを含み、例えば、食品、食品添加物、飼料、飼料添加物、ペットフード、医薬品、医薬部外品、医療用培養薬品、医療機器、医療用具、未承認医薬品、サプリメント、ドリンク飲料、機能性食品、美容食品、動物用医療機器、動物用医療用具のうち、経口投与する製品も含む。例えば、経口型カプセル状胃カメラなどの生分解性カプセル素材なども含む。
さらに、手術等を行って体内臓器に直接外用接触させたり注射器などで注入して使用する製品全てを含み、例えば、医薬品、医薬部外品、医療用培養薬品、医療機器、医療用具、未承認医薬品のうち体内で使用する製品を含み、インプラント、ステント、人工血管、体内用生分解性ガーゼ、体内用縫合糸などを含む。本請求項の化成品は、個体、液体、粉体、ガラス状、ゲル、泡、蒸気、顆粒、噴霧等の形態をとることができる。
請求項の外用組成物とはヒトや動物の皮膚の表面に接触して使用される組成物であり、医薬品、医薬部外品、医療用培養薬品、医療機器、医療用具、未承認医薬品、化粧品、動物用化粧品などの外用組成物に限定される。個体、液体、粉体、ゲル、泡、蒸気、顆粒、噴霧等の形態をとる組成物であり、医薬品、医薬部外品、医療用培養薬品、医療機器、医療用具、未承認医薬品、化粧品、動物用化粧品である。未承認医薬品とは、薬事法14条に基づく製造販売の承認を得ていない医薬品をいい、医師の責任のもとで使用される組成物をいう。
本発明の外用組成物には、本発明のASA誘導体を、製剤の場合0.001質量%以上(100%まで添加可能)を添加する。より好ましくは、0.005%から10%の間で添加する。0.001%以下であるとASAラジカル消去活性が極端に低下することがある。本発明の外用組成物の効果を有効に使うには、皮膚1平方cm当たり0.001gから10gを塗布するが用途や個人差により濃度が上下する場合がありこれに限定されない。
請求項の外用組成物について、薬事法及びその関連法規、及び通達により規定された医薬品、医薬部外品、化粧品の一般的な安定性試験の試験条件は、温度を40℃±2℃、湿度を75%RH±5%RHとして6ヵ月間保存する長期高温状態での加速試験において、製品の色調、臭気叉は粘度などの問題となる変化が無いことが求められている。しかし、従来のASAやその誘導体では、この問題が解決さていない場合が多く、大きな問題とされていた。本発明のASA源として本発明の高純度ASA誘導体を含む、ASAラジカル発生の抑制された、外用組成物においては、この問題が解決される。
炎症の一例として皮膚に発生する紅斑がある。紅斑は圧迫すると消えるのに対して、紫斑や色素沈着は圧迫しても消失しないのが特徴であり明らかに異なる。紅斑の原因は、紫外線照射障害、感染症(菌類、マイコプラズマ、ウィルスなど)、やけど、ニキビ、アレルギー、マッサージ、電気的処理、過剰運動、放射線障害、毛の引き抜きなどの物理的損傷や界面活性剤や薬剤等による化学反応などがある。
レーザー光線、放射線、紫外線照射による紅斑発生には、最初に組織中のスパーオキシド、過酸化水素濃度が上昇し、その結果皮膚中の鉄タンパク等と反応しリサイクルフェントン反応が促進されることによる。この紅斑の治療には、リサイクルフェントン反応が関与することからASAラジカルを発生させないASA誘導体による、活性酸素の消去が必要であり、本発明のASA誘導体の対象疾患の一つである。従来品のASAやその誘導体では紫外線照射によりASAラジカルが発生し接触性皮膚炎が増強されていたので、ASAラジカルを発生させない、本発明のASA誘導体は特に有効である。
接触性皮膚炎とは、金属や薬物等の外的刺激が肌に接触することで、接触した部分に紅斑、丘疹、水疱といった湿疹を生じる疾患である。接触性皮膚炎は、刺激性皮膚炎とアレルギー性皮膚炎に分類され、前者は、原因物質に触れることで湿疹を起こし、後者はアレルゲン物質による感さよる免疫反応により発生する皮膚炎である。接触性皮膚炎は原因刺激物質を排除することで治癒する。接触性皮膚炎の組織では好中球の浸潤が多く見られるため、好中球が関与するスーパーオキシド等の活性酸素がその炎症部位で上昇している。好中球はスパーオキシド産生能をもち過酸化水素濃度を上昇させる。その結果好中球浸潤が認められる炎症組織においては鉄タンパク等と反応しリサイクル酸化反応が促進し更に炎症が深刻化する。従来品のASAやその誘導体では、炎症部位をより悪化させることがあったので、プロオキシダント効果を抑制した、本発明のASA誘導体はこの分野に特に有効である。
(炎症の原因)
本発明における炎症の原因が病原性微生物、ウィルス感染、寄生虫感染とは、インフルエンザウィルス、スタフィロコッカス・アウレウス、マラセチア、カンジダ、トリコフィトンルブルム、プロピオニバクテリウムアクネス、マイコプラズマなど、病原性微生物、ウィルス感染、寄生虫感染による病原性発現に伴う炎症であり、これらの病原体に限定されない。
本発明における炎症の原因が好中球浸潤とは、病原性微生物が増殖しと組織における好中球浸潤に伴う、スーパーオキシド等の活性酸素産生と、この活性酸素による細胞ダメージにより誘導される炎症である。好中球の産生したスパーオキシドは、過酸化水素濃度を上昇させる。その結果好中球浸潤が認められる炎症組織においては鉄タンパク等と反応しリサイクル酸化反応が促進し更に炎症が深刻化する。従来品のASAやその誘導体では、プロオキシダント化が容易なため、このような炎症部位をより悪化させることがあり、プロオキシダント化が抑制された本発明の本発明のASA誘導体特に有効である。
また、一部の病原菌の生産する脂質過酸化物やポルフィリンや不飽和脂肪酸などのプロオキシダントは、スーパーオキシドなどの活性酸素を発生し、細胞膜の損傷を通じて、組織を損傷させることから、従来のASAやその誘導体塗布によるASAラジカルなどのプロオキシダントの発生は極力抑制すべきである。 そういう意味でプロオキシダント化が抑制された本発明の本発明のASA誘導体の有用性は極めて高いと言える。
(プロオキシダントとASAラジカル)
一方、ASAなどの殆どの抗酸化物質は、相手を還元すると、逆に酸化を促進する物質に変化することが知られている。酸化物質を作る物質をプロオキシダントという。ASAは、酸化されると、相手を酸化する作用の強いASAラジカルというフリーラジカルに変化することがある。ASAラジカルは、プロオキシダントの一種である。
プロオキシダントの有害性については、プロオキシダントが、神経退化性障害、ペルオキシソーム障害、ツェルベーガー症候群、新生児の副腎白質ジストロフィー、乳幼児のレフスム病、ハイパーペペコリック酸血症、点状骨端形成異常、ツェルベーガー様症候群、副腎白質ジストロフィー、副腎脊髄神経障害、アシルCoAオキシダーゼ欠乏症、二官能タンパク質欠乏症、チオラーゼ欠乏症、タイプIの高シュウ酸尿症、無カタラーゼ血症、成人レフスム症、アルツハイマー病、ハンティントン病、精神分裂症、糖尿病性神経障害などの様々な障害を人体に及ぼすこと、プロオキシダントを有するビタミンE誘導体が癌細胞を死滅させる毒性を発揮すること。さらに、ASAは、ASAラジカルなどのフリーラジカルを発生するプロオキシダントになること非特許文献1や、ASAラジカルは活性酸素の一種でありESR(電子スピン共鳴装置)を用いて分析が可能であること特許文献5も知られている。
鉄に過酸化水素を反応させるとヒドロキシラジカルが発生する。これをフェントン反応という。フェントン反応は最も強力な酸化反応の一つである。この反応は、水溶液中や空気中、プラスチック樹脂やゴムの中でも発生する。紫外線や放射線がわずかな水分と反応し過酸化水素を発生させ、同時にそこに鉄化合物などが存在すればフェントン反応が起こり水が分解されて活性酸素が発生するのである。生体内でも鉄等の遷移金属を含むタンパク(以下、単に金属タンパクという)と反応すると発生する。これにASAが関与すると酸化された鉄がリサイクルされ強力な酸化反応を誘導する非特許文献2。
この時、大量のASAラジカル、ヒドロキシラジカル、スーパーオキシド、水素ラジカル、過酸化水素などを発生させる。生体中の過酸化水素は、細胞内ミトコンドリア、好中球や紫外線暴露、薬物反応、食品などにより頻繁に提供される。鉄や銅等の遷移金属は、生体内ではヘモグロビンやシトクロームなどの金属タンパクにより大量にもたらされる。これらの物質により誘導されるフェントン反応はASAにより増強され、その結果大量のASAラジカルが発生し、このプロオキシダントはさらに大量の活性酸素を生み出し、最終的に細胞を死滅させ、組織障害をもたらす。これが長期にわたれば、老化を促進しラジカルカル疾患を発生させる。
これらのASAラジカル濃度が高い場合には、これが含まれる製剤中、製品中で以下のような問題を発生させる。即ち、製剤中、製品中での経時変化や加速試験における、主成分や副成分のフリーラジカルによる分解の結果生ずる着色や沈殿の発生、異臭の発生が低下し製剤の安定性が高まり製剤の比較例の同物質に比較し、試験終了時の残存率が109%高かった。
又、本発明の2-G-3-O-ASAのラメラ液晶乳化組成物は、同物質のラメラ液晶構造をもたない乳化組成物に比較し、ヒト皮膚紫外線B波照射実験による紅斑のLabインデックスのa値の測定による赤み炎症率が85%に抑制された。
ラットを使用した経口投与の試験では、ラメラ液晶乳化組成物は、血中濃度が同物質のラメラ液晶構造をもたない乳化組成物に比較し、127%高まり、血中抗酸化力が平均で115%程度高まった。さらに上記本発明のラメラ液晶乳化組成物の2-G-3-O-ASAと同物質のラメラ液晶構造をもたない乳化組成物をそれぞれ1%配合した生理食塩水を、0.45μmのメンブランフィルターとエンドトキシン除去フィルターを通過させた注射液を使用した、静脈注射投与試験では、本発明のラメラ液晶乳化組成物である2-G-3-O-ASAは、同物質のラメラ液晶構造をもたない乳化組成物に比較し、投与後3時間経過後の血中濃度が1.8倍高まり、それに比例し血中抗酸化力も平均で2.1倍高まった。これにより、本発明品の徐放性能が確認された。
これらの結果より、本発明の製剤は経口用組成物、食品、培養組成物、動物薬、飲料用水処理剤、空気浄化剤、医薬品、医薬部外品、未承認医薬品、化粧品として極めて有効であることが確認された。
(ラメラ液晶)
ところで、ラメラ液晶構造(ベシクル構造)とは、皮膚細胞間脂質にみられるように、乳化物を構成する外膜が水-脂質-水-脂質-水…と規則正しく交互にサンドイッチのような多層液晶構造を成している。この薄い結晶の構造がラメラ液晶(ラメラ構造、ベシクル液晶)といわれる。このラメラ液晶構造を持つ乳化粒子を偏光顕微鏡クロスニコル下で観察すると、典型的な負の球晶(屈折率楕円体の遅相軸[分子鎖方向]が球晶半径方向に垂直)の画像が得られこれをマルテーゼクロス(十字状の影。マルタ十字のこと)像という。
このラメラ液晶構造を持つ乳化粒子の存在を確認するには、1)偏光顕微鏡観察による、マルテーゼクロスの確認、叉は2)電子顕微鏡による多層構造の直接確認などの方法がある。1)は、粒子径が1μm以下になるとマルテーゼクロスが小さすぎて検出しにくくなる。2)は、電子顕微鏡で観察するまでの煩雑な処理が必要であるが、100nmほどの微細粒子の多層構造が観察できる。
このラメラ液晶構造は、皮膚細胞間脂質と類似している為に、この構造体を持つ乳化微粒子は容易に皮膚吸収されることが多数報告されている。本発明者らは、このような多層構造を持つ両親媒性ASA誘導体の乳化組成物が安定性や皮膚吸収性が向上することを見いだし特許文献11及び特許文献12により既に公知にしている。
本発明の本発明のASA誘導体のラメラ液晶は、ラメラ液晶を取らない単純な本発明のASA誘導体を配合した処方に比較し着色や沈殿の発生、異臭の発生が低下し製剤の安定性が高まり、安定期間が延長した。製剤の安定期間が延長されると、流通機関が長くなり大幅なコストダウンにつながった。
本発明の本発明のASA誘導体のラメラ液晶は、皮膚に対する吸収性が極端に高まり、様々な炎症抑制作用が高まった。このラメラ液晶を利用した乳化製剤は、製剤中の本発明のASA誘導体の濃度が、0.01%重量以上であればよく低濃度で効果を発揮する。これは、皮膚吸収率が高まったためであると考えられる。
本発明の本発明のASA誘導体のラメラ液晶は、エマルションタイプ、特に水中油(O/W)型エマルションであり、ラメラ液晶被覆を持つ油性小滴を含有する乳化組成物である。
本発明の本発明のASA誘導体のラメラ液晶は、各々の油性小滴が、少なくとも1つの本発明のASA誘導体及び少なくとも1つの脂肪酸から得られるモノラメラ又はオリゴラメラで個々に被覆されており、これに加えて少なくとも1つの両親媒性界面活性剤叉は親水性界面活性剤が加えられていても良い。
両親媒性界面活性剤叉は親水性界面活性剤は、リン脂質、水添大豆リン脂質、水添卵黄リン脂質、レシチン、水添レシチン、フィトステロール、ダイズステロール、セラミド、セレブロシド、PEG−フィトステロール、PEG−20フィトステロール、イソテアリン酸フィトステリル、N-ステアロイルジヒドロスフィンゴシン、N-ステアロイルフィトスフィンゴシン、ヒドロキシステアリルフィトスフィンゴシン、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、分岐脂肪酸コレステリル、分岐脂肪酸(C12-31)コレステリル、長鎖分岐脂肪酸コレステリル、長鎖分岐脂肪酸(12〜31)コレステリル、サーファクチン、ココイルグルタミン酸Na、ココイルグルタミン酸K、ココイルグルタミン酸TEA,ココイルグルタミン酸、ココイルグルタミン酸Na、ココイルグルタミン酸TEA、ココイルグルタミン酸TEA、ラウロイルアスパラギン酸Na、ラウロイルグルタミン酸Na、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa,ミリストイルグルタミン酸Na、パーム脂肪酸グルタミン酸Na、アシル(C12,14)アスパラギン酸TEA,ポリクオタニウム―51,ポリクオタニウム―61,ポリクオタニウム―64,ポリクオタニウム―65,ラウリルジアミノエチル グリシンナトリウム 、2-アルキル-N-カルボキシ メチル-N-ヒドロキシエチル イミダゾリニウムベタイン 、ラウリルジメチルアミノ酢酸 ベタイン 、ヤシ油アルキルベタイン液 、ラウリン酸アミドプロピル ベタイン液 、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液 、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン液 、ラウリルアミノジ酢酸ナトリウム液 、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム液、水添環状リゾフォスファチジン酸Na ,フォスファチジルコリン、フォスファチジルセリン、フォスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン、リン脂質フォスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート(ポリソルベート61)、ポリオキシエチレンソルビタントリステアラート、ポリオキシエチレンモノステアラート、ヘキサグリセリルモノステアラート、ポリオキシエチレンモノステアラート、ポリオキシエチレンジステアラート、ポリオキシエチレンメチルグルコースジステアラート、ASA-2-リン酸-6-パルミテート3Na、トコフェリルリン酸ナトリウム、(アスコルビル/トコフェリル)リン酸K、イソステアリルASAリン酸2Na、6-ステアリン酸ASA、6-パルミチン酸ASA、2,6-ジパルミチン酸ASA及びこれらのアルカリ金属塩。
本発明に使用される両親媒性界面活性剤叉は親水性界面活性剤は、炭素数12より長い、好ましくは炭素数16から22の、少なくとも1つの飽和脂肪鎖を有する。
本発明に使用される脂肪酸は、炭素数12より長い、好ましくは炭素数16から22の、少なくとも1つの脂肪鎖を有する。好ましくは、脂肪酸は、ホホバ種子油、スクワラン油、スクワレン油、オリーブ油、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、及びベヘン酸を含んでなる群から選択される。
本発明の乳化組成物の被覆は、両親媒性界面活性剤叉は親水性界面活性剤及び本発明の本発明のASA誘導体の合計量が脂質を含む組成物の全重量に対して、好ましくは、約0.01から50重量%となるように用られる。
脂肪相、特に被覆された油性小滴の脂肪相は、好ましくは、組成物全重量に対して5から50重量%である。より好ましくは、この割合は、10から40重量%の間である。好ましくは、油/水比率は1以下である。
被覆を構成する成分に対する油性小滴の重量比は、好ましくは3から13、より好ましくは5から8であり、さらに好ましくは、この比率は約7である。
脂肪相で用いられる油は、化粧品または皮膚科用の組成物で従来から用いられている油であり、例えば、動物油、植物油(ヒマワリ油)、鉱油、合成油、シリコーン油(シクロメチコーン)、フルオロ油及びペルフルオロ油等である。また、脂肪相は、脂肪アルコール、脂肪酸エステル及びワックス(水素添加ミルクワックス(milk wax))を含むこともできる。
また、本発明の分散物は、油性小滴中に、酸化防止剤、抗フリーラジカル剤、色素調節剤(melanoregulator)、日焼け促進剤、脱色剤、皮膚着色剤、脂質調節剤(loporegulator)、痩身剤、抗挫瘡剤、抗脂漏剤、抗老化剤、抗皺剤、抗UV剤、角質溶解剤、抗炎症剤、更新(refreshing)剤、瘢痕化剤、血管保護剤、抗細菌剤、抗真菌剤、制汗剤、脱臭剤、ヘアコンディショナー、免疫調整剤、滋養剤、精油、及び、香料から選択される脂肪又は親油性物質を含むこともできる。
本発明で用いられる、皮膚及び/または毛髪の処理のための親油性活性剤の例として、以下の化合物を挙げることができる。D-α-トコフェロール、DL-α-トコフェロール、D-α-酢酸トコフェリル、DL-α-酢酸トコフェリル、パルミチン酸ASA、ビタミンFグリセリド、Dビタミン、特にビタミンD2及びビタミンD3、レチノール、レチノールエステル(パルミチン酸レチニル、プロピオン酸レチニル)、β-カロチン、D-パンテノール、ファルネソール、酢酸ファルネシル、必須脂肪酸に富む油、特にホホバ油及びクロフサスグリ油、5-オクタノイルサリチル酸、サリチル酸、クエン酸、乳酸及びグリコール酸などのα-ヒドロキシ酸のアルキルエステル、アジア酸(asiatic acid)、アジアチコシド(asiaticoside)、センテラ・アジアチカ(Centella asiatica)の全抽出物、β-グリシルレチン酸、α-ビサボロール(bisabolol)、セラミド、特に2-オレオイルアミノ-1,3-オクタデカン、フィタントリオール、乳スフィンゴミエリン、多不飽和必須脂肪酸に富む海洋起源のリン脂質、エトキシクイン(ethoxyquin)、ローズマリーの抽出物、バルサム抽出物、ケルセチン、乾燥微小藻類の抽出物(Algatec社から市販のAlgoxan red)、ベルガモットの抽出物オクチルメトキシシンナマート(Givaudan-Roure社から市販のParsolMCX)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(Givaudan-Roure社から市販のParsol 1789)、オクチルトリアゾン(BASF社から市販のUvinul T150)、黄色、茶色、黒色及び赤色酸化鉄、酸化チタン、但し、マイクロメーターまたはナノメーターの大きさ、あるいは被覆された形態(例えば、ペルフルオロアルキルで被覆)でもよい、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-ベンジリデンショウノウ、2-ベンゾトリアゾール-2-イル-4-メチル-6-[3-[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]-ジシロキサニル]-2-メチルプロピル]フェノール、ペルフルオロ油(ペルフルオロデカリン、ペルフルオロオクチルブロミド)、過酸化トウモロコシ油(Carilene社から市販のEpaline 100)。
また、本発明の組成物は、化粧品又は皮膚科の分野で従来から用いられているアジュバントを含んでもよく、それらは特に、有機溶媒、イオン性または非イオン性濃化剤、軟化剤、抗酸化剤、不透明化剤、安定化剤、皮膚軟化剤、抗発泡剤、香料、保存剤、界面活性剤、充填剤、金属イオン封鎖剤(EDTA)、ポリマー、推進剤、塩基性化又は酸性化剤、染料、親水性又は親油性活性剤、あるいは、化粧品又は皮膚科の分野で通常用いられる他の成分から選択される。これら種々のアジュバントの量は、考慮している分野で従来から用いられている量であり、例えば、組成物全重量に対して0.01から20%である。言うまでもなく、これらのアジュバントは、本発明の分散物を破壊しないような性質を持ち、そのような量で用いられる。
有機溶媒の中では、低級ポリオール及びアルコールを挙げることができる。濃化剤は、特に、カルボキシビニルポリマー、変性又は非変性グアールガム及びセルロース、例えば、ヒドロキシプロピルグアールガム、キサンタンガム、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロースから選択することができる。
特に、これらの組成物は、1つ又はそれ以上の、親水性または親油性の、化粧品的または皮膚科的に活性な化合物であって、フリーな形態または小胞にカプセル化されたもの、例えば、加湿剤(グリセロール、プロピレングリコール、ヒドロキシプロリン)、ビタミン及び角質溶解剤(ヒドロキシ酸)を含むことができる。
本発明の請求項1の分析で使用されるクロマトグラフィー法は、高速液体カラムクロマトグラフィー(以下「HPLC」という)法であり、これは化合物の精製法のひとつである。筒状の容器に充填剤をつめ、そこに展開溶媒とともに反応混合物を流し、化合物によって充填剤との親和性や分子の大きさが異なることを利用して分離を行う方法である。
本発明の分析に使用される充填剤は基本的にシリカゲルを用いるが、中性シリカゲルやアルミナを用いたり、展開溶媒に塩基を加えたりすることもできる。一般的には、微細な(数μm)真球状の多孔質シリカゲルをステンレス製の管に充填したものを使用する。本名の分析に使用できるカラムとしてはODSカラムが適している。ODSとは、オクタデシルシリル(Octa Decyl Silyl) 基 (C18H37Si) のことであり、この物質で表面が修飾された化学結合型多孔性球状シリカゲルが固定相として充填されているタイプのものを使用することができる。逆相クロマトグラフィーを利用することもできる。
逆相クロマトグラフィーは、固定相に低極性のもの(例えばシリカゲルにアルキル基を共有結合させたもの)を、移動相に高極性のもの(例えば水や塩類の水溶液、アルコール、アセトニトリルなどの有機溶媒)を用いるHPLC法である。この場合、分析物はより極性の低いほどより強く固定相と相互作用して溶出が遅くなる。また極性の低い物質の割合が多い移動相ほど溶出が早くなる。
本発明の分析法に使用できる充填剤の例としては、平均粒子径1.5μm から5μm、平均細孔径6〜10nmの球状で多孔性のシリカゲルに、ジメチルオクタデシルクロロシラン (C18H37(CH3)2SiCl) のようなシランカップリング剤を反応させて調製する。本発明で使用できる化学結合型シリカゲル系充填剤には、用いるシリル化剤の種類によって、ODSの他に、オクチル、フェニル、シアノプロピル、アミノプロピルなどの基で修飾されたさまざまなタイプのものも使用できるが、本発明のHPLC分析に最も適しているカラムはシリカゲルに炭素鎖数18のオクタデシル基を結合させた「オクタデシル修飾シリカ(ODS)」カラムである。 一方、ポリマー系充填剤は、同一分子量の異性体を分離しにくいために、精密分析には使用することが困難である。
充填剤の使用可能なpHの範囲は特に限定されないがpH2〜8が適している。pH8以上ではアルカリ側ではシリカの溶解が起こり、またpH2以下ではSi-C結合の切断が生じてしまう。耐アルカリ性を改善したカラムであるシリカゲルをポリマーでコーティングしたものや、合成ポリマー表面にオクタデシル基を導入したカラムを使用することもできる。
展開溶媒は同一分子量の異性体が十分に分離できる条件のものを用いる。 一種類の溶媒のみを使うこともできるが、一般にはいくつかの溶媒を混合して極性を調整すればよく、溶媒としては、精製水、アセトニトリル、ヘキサン-酢酸エチル、ヘキサン-ジクロロメタン、クロロホルム-メタノールなどを使用することができる。
本発明の分析法で最も適当なHPLC条件は次の通りである。本発明では、ASA誘導体を定量するにあたり、高速液体クロマトグラフ用カラムを用いており、このようなカラムを用いることにより効果的に分析できる。本発明の分析方法で使用する分析カラムとしては、シリカ系カラム、例えば、昭和電工(株)製 ShodexC18P4Eが好適である。シリカ系カラムでのHPLC法の分析条件の一例は次のとおりである。
以下、実施例でHPLC分析をした場合は、特別に記載がない限り、この方法で分析を行った。
検体O.01gを100mlの水に溶解し、試験溶液とする。試験溶液20μlを、Shodex C18P 4Eを使用し、を使用し、検出:265nm、溶離液:0.03MのH2KPO4溶液:アセトニトリル=4:6(体積比)、カラム温度:40℃、流速: 0.7ml / min により検体のピーク面積を自動積分法により測定した。
定量を、ポリマー系カラムによるHPLC分析で行なう場合は、本カラムが同一分子量の物質を分離しにくいために、本発明の真の純度を精密に定量する事ができない。ポリマー系カラムの分析法の一例を以下に示す。
検体O.01gを100mlの水に溶解し、試験溶液とする。試験溶液20μlを、Shodex SB802を使用し、を使用し、検出:265nm、溶離液:0.03MのH2KPO4溶液、カラム温度:65℃、流速: 1.2ml / min により検体のピーク面積を自動積分法により測定した。
(不純物の同定)
前記、HPLC法により、精製前の2-G-3-O-ASAには、不純物として10%以上の複数の副生成物が含まれていた。
2-G-3-O-ASAのその他の複数の副生成物としては、分子量で物質を分離できるHPLCカラムにより、目的物以外に2つの面積計測可能なピークと1つの痕跡ピークが確認され、元素分析とC-NMRの結果から面積可能なピークは2−o−グルコピラノシル−3,6−o−ジオクチルASAと2−o−グルコピラノシル−3,5,6−o−トリオクチルASAであることが判明した。
前記、HPLC法により、精製前の2-G-3-EHG-ASAには、不純物として10%以上の副生成物が含まれていた。
2-G-3-EHG-ASAのその他の複数の副生成物としては、分子量で物質を分離できるHPLCカラムにより、目的物以外に1つの面積可能なピークと1つの痕跡ピークが確認され、元素分析とC-NMRの結果から2−o−グルコピラノシル3,6-o-ジエチルヘキシルグリセリルASAであることが判明した。痕跡ピークは、定性が不可能であったが、2-G-3-O-ASAの不純物の結果より、2−o−グルコピラノシル−3,5,6−o−トリエチルヘキシルグリセリルASAである可能性が高いと考えられた。
不純物として含まれるこれらの不純物は、本発明のASA誘導体に比較し、水に対する溶解性が悪く、これらの含有率が高い場合には、水に溶けないか、溶けても経時的に沈殿の発生が見られ、安定性に問題があることが判明した。これは、アルキル残基が増加することによりHLBが変化し、親水性が低下して疎水性が高まった結果であると考えられた。
また、ASAを含む3位が修飾されていない副生成物の存在は、その存在量のバラツキによりpHをめざましく低下させるなど、pH安定性が悪く、また、プロオキシダントであるASAラジカル産生活性が高く、副作用の発生原因となる問題がある事がわかった。
これらの、問題を解決する為には、本発明の2-o-グルコピラノシル3-o-エーテル結合型のASA誘導体のシリカ系カラムでのHPLCでのピーク面積比が、全体のピーク面積比の95%以上としなければならないことが判明した。
本発明が 2-G-3-O-ASAの場合は、HPLCピークは副生成物の2−o−グルコピラノシル−3,6−o−ジオクチルASAと2−o−グルコピラノシル−3,5,6−o−トリオクチルASAのピーク面積の合計が5%以下ある。
叉は、本発明が2-G-3-EHG-ASAの場合は、副生成物の2−o−グルコピラノシル−3,6−o−ジエチルヘキシルグリセリルASAと2−o−グルコピラノシル−3,5,6−o−トリエチルヘキシルグリセリルASAのピーク面積の合計が5%以下ある。
次に本発明の高純度の製品を得るための精製方法について記載する。2-o-グルコピラノシル3-o-エーテル結合型のASA誘導体を、本発明の高純度化するには、膜分離、イオン交換カラムクロマトグラフィー、活性炭カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、シリカゲルカラムクロマトグラフィー等、通常の分離手段で分離することができる。
例えば、強酸性カチオン交換樹脂はスルホン酸基を結合したスチレン−ジビニルベンゼン架橋共重合体樹脂のアルカリ金属塩型、アルカリ土類金属塩型、またはH+型などが適宜使用できる。市販品としては、ダウケミカル社製造の商品名ダウエックスTM 50W×8、ダウェックス50W×4、Ca2+型、ダウケミカル社製造、カチオン交換 樹脂:東京有機化学工業製造、XT−1016、H+型。さらに、ローム&ハース社製造の商品名アンバーライトTMCG−120、三菱化学社製造の商品名ダイヤイオンTM SK104,ポーラス型 ダイヤイオンPKシリーズ、強酸性樹脂PK216、ポーラス型 ダイヤイオン PAシリーズ(1型)強塩基性樹脂PA308、ダイヤイオン混床樹脂PK216/PA308などがある。
イオン交換樹脂による精製方法の例としては、本発明のASA誘導体を含む未精製反応液を陽イオン交換樹脂、三菱化学製のダイヤイオンPK216で脱塩する。この陽イオン交換樹脂は官能基がナトリウム型であるため、塩酸を通液して、官能基を水素型に変換してからイオン交換を行う必要がある。次に、この液を三菱化学製のダイヤイオンPA316の陰イオン交換樹脂に通液して、低級有機脂肪酸の分離除去を行う。
さらに、高純度品を得るために、シリカゲル充填カラムやビニルアルコール・コポリマーなどを充填したカラムを使用した高速液体クロマトグラフィーなどによって精製することができる。すなわち、ODSカラムと、リン酸2水素カリウムとアセトニトリルなどの適当な有機溶媒との組み合わせ、酸性物質分析用の揮発性イオンペアー試薬の組み合わせ、Di−n−butylamine Acetateなどとの組み合わせによって純粋な該物質を得ることができる。
本発明において用いるシリカゲルとしては、カラムクロマトグラフィー用のものであればいかなるシリカゲルでもよいが、好ましくは粒径80〜500 メッシュのものであり、たとえば富士デビィソン社製のシリカゲル[商品名; Micro beadsilica gel 4B (200-350 メッシュ)]を挙げることができる。またビニルアルコール・コポリマーも、カラムクロマトグラフィー用のものであればいかなるものでもよいが、好ましくは粒径が20〜100 μのものであり、たとえば旭化成社製のビニルアルコール・コポリマー[商品名; ASAhipak Gel ARB-400 (40 μ) ]を挙げることができる。担体(シリカゲルまたはビニルアルコール・コポリマー)の使用量は、粗製物に対する重量比で通常1〜100 倍であり、好ましくは2〜50倍であり、さらに好ましくは3〜10倍である。
本発明を実施するにあたりシリカゲルカラムを作製するが、その際の充填法としては、溶媒にシリカゲルを懸濁して充填する湿式法を用いても、乾燥シリカゲルをカラムに充填後に溶媒を加える乾式法を用いても、いずれでもよい。またポリマー・カラムを作製するにあたっても同様である。粗製物を担体に吸着させる際の温度、また溶媒を流下させて各成分を分離する際の温度は特に限定されないが、通常は -20℃〜40℃の範囲において行われる。さらに本発明において、溶媒の流速は限定されないが、通常は SV=0.01〜20であり、好ましくは SV=0.05〜15であり、さらに好ましくは SV=0.1 〜10である。なお目的物が流出終了した後には、メタノールを担体の容量に対して1〜10容を流し、続いてn-ヘキサンを 1〜10容を流して担体を再生することができる。なお本方法により、担体は何回でも再生可能である。
具体的には、本発明の分析法に用いた条件をそのままカラムクロマトグラフィーを用いた精製方法に使用することもできる。
即ち、溶離液に溶かされた検体を、シリカゲルを充填したカラムを使用し、溶離液:0.03MのH2KPO4溶液:アセトニトリル=4:6(体積比)によりカラムを通過させ、目的のピークを取得する。
ポリマー系カラムによる精製を行なう場合は、本検体が溶かされた溶離液を、ビニルアルコール・コポリマー樹脂ビーズを充填したカラムを溶離液:0.03MのH2KPO4溶液と使用して通過させて、目的のピークを取得する。
次にこれらに、種晶を加えて、20℃で3時間撹拌し、その後72時間かけて徐々に4℃まで下げ、本発明の2-o-グルコピラノシル3-o-エーテル結合型のASA誘導体を分取し、4℃の精製水で洗浄し、さらに溶解し、再結晶化を繰り返す。
精製に用いるクロマトグラフィー条件(温度、流速、添加液組成,濃度,液量など)はカラムクロマトグラフィーにおける一般的事項(カラムの規模、樹脂の物理的特性、交換容量、分離能、添加液の粘度,溶解度等)を考慮して設定すれば特に限定されない。得られた本発明の2-o-グルコピラノシル3-o-エーテル結合型のASA誘導体を含む溶液より、そのままあるいは有機溶媒沈殿等を経て、噴霧乾燥,減圧乾燥,凍結乾燥等で溶媒を除去することにより2-o-グルコピラノシル3-o-エーテル結合型のASA誘導体の粉末が得られる。有機溶媒沈殿を用い2-o-グルコピラノシル3-o-エーテル結合型のASA誘導体の粉末を得る場合、陰イオン交換法でカラムに添加するときは溶媒への溶解性の高いものを用いると純度的により有利となる。
本発明において用いるシリカゲルとしては、カラムクロマトグラフィー用のものであればいかなるシリカゲルでもよいが、好ましくは粒径80〜500 メッシュのものであり、たとえば富士デビィソン社製のシリカゲル[商品名; Micro beadsilica gel 4B (200-350 メッシュ)]を挙げることができる。またビニルアルコール・コポリマーも、カラムクロマトグラフィー用のものであればいかなるものでもよいが、好ましくは粒径が20〜100 μのものであり、たとえば旭化成社製のビニルアルコール・コポリマー[商品名; Asahipak Gel ARB-400 (40 μ) ]を挙げることができる。担体(シリカゲルまたはビニルアルコール・コポリマー)の使用量は、粗製物に対する重量比で通常1〜100 倍であり、好ましくは2〜50倍であり、さらに好ましくは3〜10倍である。また本発明においてメタノ−ルとn-ヘキサンの混合物などの有機溶媒を使用する場合は、室温において両者を十分に混合攪拌した後分離したメタノ−ル層とn-ヘキサン層であり、それぞれのn-ヘキサン含有率およびメタノ−ル含有率は限定されないが、通常室温においては、n-ヘキサン含有メタノ−ル中のn-ヘキサン含有率は15〜35重量%であり、メタノ−ル含有n-ヘキサン中のメタノ−ル含有率は3〜10重量%である。溶媒の使用量は、担体1容に対してメタノ−ル含有n-ヘキサンは2〜200 容を、好ましくは10〜150 容を、さらに好ましくは20〜100 容を使用する。またメタノ−ル含有n-ヘキサンは、同じく担体に対して 1〜50容を、好ましくは 5〜40容を、さらに好ましくは10〜30容を使用する。
本発明を実施するにあたりシリカゲルカラムを作製してもよいが、その際の充填法としては、溶媒にシリカゲルを懸濁して充填する湿式法を用いても、乾燥シリカゲルをカラムに充填後に溶媒を加える乾式法を用いても、いずれでもよい。またポリマー・カラムを作製するにあたっても同様である。粗製物を担体に吸着させる際の温度、また溶媒を流下させて各成分を分離する際の温度は特に限定されないが、通常は -20℃〜40℃の範囲において行われる。さらに本発明において、溶媒の流速は限定されないが、通常は SV=0.01〜20であり、好ましくは SV=0.05〜15であり、さらに好ましくは SV=0.1 〜10である。なお目的物が流出終了した後には、メタノールを担体の容量に対して1〜10容を流し、続いてn-ヘキサンを 1〜10容を流して担体を再生することができる。なお本方法により、担体は何回でも再生可能である。
前記のように、本発明の高純度の2-G-3-O-ASA、高純度の2-G-3-EHG-ASAは、その性能から、抗炎症剤として使用することに適するが、ASAが元来有する美白作用、コラーゲン産生促進作用などの優れた作用を有するとともに、保湿作用を有し、かつ長期間の保存でも安定で、変色、変臭、活性低下等が少なく、優れた美白作用、コラーゲン産生促進作用、保湿作用、皮膚光老化防止作用、メイラード反応阻害作用、乾燥肌改善作用、皮膚弾力性改善作用、くすみ防止作用、グルタチオンの細胞内合成増強作用等を有するとともに、経時安定性にも優れた外用組成物、経口用組成物、注射用組成物などの製品に配合することが可能であり、医薬品、医薬部外品、医療用培養薬品、医療機器、医療用具、未承認医薬品、化粧品、特別保健用食品、食品、動物用薬品、飼料などの各種製品を得ることができる。
本発明の高純度の2-G-3-O-ASA、高純度の2-G-3-EHG-ASAは、医薬品、医薬部外品、医療用培養薬品、医療機器、医療用具、未承認医薬品、化粧品、特別保健用食品、食品、動物用薬品、飼料への配合量は、その抗炎症作用を発揮する為には、0.01から5重量%が好ましい。他の作用を付与するために配合する場合、その配合量の範囲は、用途により異なり、特に限定できないが、通常、0.01%〜5重量%の範囲である。0.01%重量未満の場合は、抗炎症効果等、本発明のASA誘導体又はその塩が有する効果を十分示せない場合が多い。一方、5重量%を超える場合は、配合量に見合ったコストパフォーマンスが望めない場合が多い、又剤系を壊す恐れや不溶化やプロオキシダントが原因と考えられる副作用を発現する場合がある。
本発明の医薬品、医薬部外品、医療用培養薬品、医療機器、医療用具、未承認医薬品、化粧品、特別保健用食品、食品、動物用薬品、飼料の製品には以下に示す成分、例えば、増粘性高分子、油剤、界面活性剤、抗酸化物、紫外線吸収遮蔽剤、菌増殖抑制物質、pH調整物質などを配合することができる。
本発明のASA誘導体は、従来のASA誘導体の副作用であるプロオキシダント化を抑制し、毒性のあるASAラジカルの産生を減少させ、従来のASAやASA誘導体に比較し、より高い抗酸化効果とそれに関連する効果を発揮できるASA誘導体を提供する。さらに、可溶化性能が向上した皮膚等のバリア機能が高い組織においても浸透性の高い両親媒性の誘導体であり、優れた抗炎症効果と様々な関連効果を有し、安全性と安定性が高い様々な組成物、耐久性に優れた製品類を提供することができる。
本発明の、ASA誘導体が、高いプロオキシダント抑制活性、PGE2抑制活性、COX2抑制活性、IL−6抑制活性、IL−1β抑制活性、ストレスMAPキナーゼ活性化抑制活性、抗炎症効果を有する外用組成物、経口用組成物、注射用組成物として有効である。
以下、本発明を実施例にて詳細に説明するが、本発明はそれらに何ら限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、含有量を示す数値は「質量%」である。
以下、本発明の高純度2-G-3-O-ASAを「本発明の2-G-3-O-ASA」と、本発明の高純度2-G-3-EHG-ASAを「本発明の2-G-3-EHG-ASA」と略す。また、本発明に対する、比較品の同物質をそれぞれ、「比較品の2-G-3-O-ASA」「比較品の2-G-3-EHG-ASA」と略す。
(比較例1: 比較品の2-G-3-O-ASAの製造)
化1の2-G-3-O-ASAの製造方法は、本発明者らの先の特許第5512148号(P5512148)の実施例9に記載の製造方法を利用し、さらに本発明の高濃度の本発明の2-G-3-O-ASAを得るために、特別な精製工程を追加した。すなわち、 アルゴン雰囲気下、2-o-グルコピラノシルASA(5.00g)に、炭酸水素ナトリウム(1.24g)及びDMSO10mLを加え、さらにオクチルブロマイド(2.86g)を加えた。100℃に加温し5時間攪拌した後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮して得られた残渣6.54gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。その後、クロロホルム/メタノール/水=20/3/0.3混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行い、2-G-3-O-ASAの高粘度液状物質(20℃、一気圧)を得た。これを実施例3のシリカ系カラムによるHPLC分析によるピーク面積比を測定したところ、2-G-3-O-ASAのリテンションタイムにピークが認められ、本物質が2-G-3-O-ASAであることを確認し、そのピーク面積比が全体のピーク面積比の92.6%であった。又、色差計に10Φレンズを装着し、ガラスセルに測定試料1g以上をいれて白色スクリーンをバックに測定したところ測定したところL値が87.5であり、b値が7.1であった。
従って、これは請求項1記載の95%未満に該当し、本発明ではない、比較品の2-G-3-O-ASAであることを確認した。本物質を、以下「比較品の2-G-3-O-ASA」と称する。以下の実施例では、この方法で製造したものを「比較品の2-G-3-O-ASA」として使用した。
(本発明の2-G-3-O-ASAの製造)
比較品の2-G-3-O-ASA、3gを超純水100mlに溶解後、撹拌しながら、シリカゲルを充填したカラムを使用し、溶離液:0.03MのH2KPO4溶液:アセトニトリル=4:6(体積比)によりカラムを通過させ、2-G-3-O-ASA分画を採取し、更にこれを強酸性カチオン交換樹脂(商品名「ダウェックス50WX4」、Ca2+型、ダウケミカル社製造)を用いて2-G-3-O-ASAのカラム画分を採取し,これをカチオン交換 樹脂(東京有機化学工業製造、XT−1016、H+型)で金属を取り除き、さらに減圧濃縮する。その後4℃の冷蔵庫で72時間かけて徐々に水分を蒸発させ、固体を分取後、シャーレに広げ、凍結乾燥機にて乾燥させ本発明の高純度2-G-3-O-ASAのガラス状固体(20℃、一気圧)を1.15gを採取した。これを液体クロマトグラムの自動積分法により測定したところ、2-G-3-O-ASAのリテンションタイムにピークが認められ、実施例3のシリカ系カラムによるHPLC分析によるピーク面積比は、98.5%であった。従って、これは本発明の請求項1の95%以上の物質に該当し、本発明の高純度2-G-3-O-ASAであることを確認した。又、色差計に10Φレンズを装着し、ガラスセルに測定試料を粉砕して粉末化したものを敷き詰めて白色スクリーンをバックに測定したところL値が94.5であり、b値が1.1であった。

得られた本発明の生成物について、HPLC、1H-NMR、13C-NMR測定、IR測定を行い、この測定結果より、この生成物は、(化1)で表される高純度2-G-3-O-ASAであることが確認された。
1H−NMR (400MHz, CD3OD): δ ppm 0.90(3H,t),1.32(8H,m),1.46(2H,m),1.75(2H,m),3.42(1H,dd),3.50(1H,dd),3.64(2H,d−like),3.70(2H,m),3.77(1H,dd),3.89(1H,dt−like),3.93(1H,ddd)4.59(2H,m),4.87(1H,m),5.57(1H,d)
13C−NMR (100MHz, CD3OD): δ ppm 14.43,23.72,26.71,30.35,30.45,30.74,32.96,62.13,63.29,70.64,70.95,73.31,74.30,74.70,75.34,76.84,102.40,120.95,160.87,172.43
赤外吸収スペクトル [ATR] (波数 cm−1) 3360,2926,2857,1749,1663,1331,1078,1020,989
(比較例2: 比較品の2-G-3-EHG-ASAの製造)
2-G-3-EHG-ASAの製造方法は、アルゴン雰囲気下、2−o−グルコピラノシルASA(30g)に、DMF10mLを加え、さらにエチルヘキシルグリシジルエーテル(40g)を加えた。100℃に加温し12時間攪拌した後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下に濃縮して得られた残渣76gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。その後、クロロホルム/メタノール/水=20/3/0.3混液にて溶出し、減圧下にて濃縮を行うことにより高粘度液状物質(20℃、一気圧)の2-G-3-EHG-ASAを得た。これを液体クロマトグラムの自動積分法により測定したところ2-G-3-EHG-ASAのリテンションタイムにピークが認めらこの結晶が2-G-3-EHG-ASAであることを確認した、さらに実施例3のシリカ系カラムによるHPLC分析によるピーク面積比は、全体のピーク面積比の93.3%であった。又、色差計に10Φレンズを装着し、ガラスセルに測定試料をいれて白色スクリーンをバックに測定したところL値が86.9であり、b値が6.9であった。
従って、これは請求項1記載の95%未満に該当し、本発明ではない、比較品の2-G-3-EHG-ASAであることを確認した。本物質を、以下「比較品の2-G-3-EHG-ASA」と称する。以下の実施例では、この方法で製造したものを「比較品の2-G-3-EHG-ASA」として使用した。
(本発明の2-G-3-EHG-ASAの製造)
比較品の2-G-3-EHG-ASA、3gを超純水100mlに溶解後、撹拌しながら、シリカゲルを充填したカラムを使用し、溶離液:0.03MのH2KPO4溶液:アセトニトリル=4:6(体積比)によりカラムを通過させ、2-G-3-EHG-ASA分画を採取し、更にこれを強酸性カチオン交換樹脂(商品名「ダウェックス50WX4」、Ca2+型、ダウケミカル社製造)を用いて2-G-3-EHG-ASAのカラム画分を採取し,これをカチオン交換 樹脂(東京有機化学工業製造、XT−1016、H+型)で金属を取り除き、さらに減圧濃縮した。その後4℃の冷蔵庫で72時間かけて徐々に水分を蒸発させ固体を分取後、シャーレに広げ、凍結乾燥機にて乾燥させ本発明の高純度2-G-3-EHG-ASAのガラス状固体(20℃、一気圧)を1.23gを採取した。これを液体クロマトグラムの自動積分法により測定したところ、2-G-3-EHG-ASAのリテンションタイムにピークが認められ、実施例3のシリカ系カラムによるHPLC分析によるピーク面積比は、97.9%であった。従って、これは本発明の請求項1の95%以上の物質に該当し、本発明の高純度2-G-3-EHG-ASAであることを確認した。又、色差計に10Φレンズを装着し、ガラスセルに測定試料を粉砕して粉末化したものを敷き詰めて白色スクリーンをバックに測定したところL値が93.7であり、b値が1.8であった。
実施例2の本発明の生成物について、HPLC、1H-NMR、13C-NMR測定、IR測定を行い、この測定結果より、この生成物は、(化1)で表される高純度2-G-3-EHG-ASAであることが確認された。
1H−NMR (400MHz, CD3OD): 0.89(6H,t)1.37(8H,m),1.52(1H,m),3.38(1H,m),3.43(2H,m),3.51(3H,m),3.65(2H,m),3.73(1H,m),3.77(2H,m),3.93(2H,m),4.04(1H,m),4.56(dd)/4.61(dd)(1H),4.676(dd)/4.681(dd)(1H),4.93(d)/4.94(d)(1H),5.56(d)/5.59(d)(1H)
13C−NMR (100MHz, CD3OD):11.4,14.5,24.1,24.8,30.2,31.6,40.9,62.0,63.1,63.2,70.1,70.3,70.51,70.53,70.9,72.4,72.5,73.3,74.7,74.8,75.2,75.3,75.47,75.53,76.92,76.94,102.4,102.7,121.4,121.5,160.6,160.7,172.09,172.13
赤外吸収スペクトル [ATR] (波数 cm−1)
3362,2928,2874,1751,1668,1329,1078,1020,989
(シリカ系カラムによるHPLC分析)
以下に液体クロマトグラフィー(HPLC)の分析条件を示す。以下、実施例でHPLC分析をした場合は、特別に記載がない限り、この方法で分析を行った。
検体O.01gを100mlの水に溶解し、試験溶液とする。試験溶液20μlを、Shodex C18P 4Eを使用し、を使用し、検出:265nm、溶離液:0.03MのH2KPO4溶液:アセトニトリル=4:6(体積比)、カラム温度:40℃、流速: 0.7ml / min により検体のピーク面積を自動積分法により測定した。
(ポリマー系カラムによるHPLC分析)
以下に液体クロマトグラフィー(HPLC)の分析条件を示す。以下、実施例でHPLC分析をした場合は、特別に記載がない限り、この方法で分析を行った。検体O.01gを100mlの水に溶解し、試験溶液とする。試験溶液20μlを、Shodex SB802を使用し、を使用し、検出:265nm、溶離液:0.03MのH2KPO4溶液、カラム温度:65℃、流速: 1.2ml / min により検体のピーク面積を自動積分法により測定した。
(標準品1)
本発明のASA誘導体に100倍量の超純水を加えて再溶解させたのち、さらに70W/W%まで減圧濃縮し、4℃の冷蔵庫で30日かけて徐々に水分を蒸発させ再結晶化を行い、分取後、凍結乾燥機にて乾燥させ本発明の標準品を採取した。これを液体クロマトグラムの自動積分法により測定したところ、単一のピークが認められ、シリカ系カラム、ポリマー系カラム共に、そのピーク面積比が全体のピーク面積比の100.0%であった。これをHPLC用の標準とした。
(標準品2)
本発明品のASA誘導体3gを超純水100mlに溶解後、撹拌しながら、99.5%エタノール200mlを徐々に加え6時間静置した後、生成した結晶をろ取し、再び100mlの超純水に溶解し、4℃の冷蔵庫で30日かけて徐々に水分を蒸発させ再結晶化を行い、分取後、凍結乾燥機にて乾燥させ本発明の標準品を採取した。この結晶をシャーレに広げ、これを凍結乾燥機にて乾燥させたものを標準品として使用した。これを液体クロマトグラムの自動積分法により測定したところ、単一のピークが認められ、シリカ系カラム、ポリマー系カラム共に、そのピーク面積比が全体のピーク面積比の100.0%であった。これをHPLC用の標品とした。
(HPLC分析)
本発明品の実施例の1と2の製品、比較例の1と2の製品、実施例4の標準品1と2についてそれぞれ前記のシリカ系カラムとポリマー系カラムによるHPLC分析法の2種の方法で、別々にHPLC分析を行った。 その結果、実施例3のシリカ系カラムによるHPLC分析では、11分前後に2-G-3-O-ASAの標準品1及び標準品2の単一ピークが得られた。前記ポリマー系カラムによるHPLC分析のHPLC分析では、32分前後に2-G-3-O-ASAの標準品1及び標準品2の単一ピークが得られた。
実施例3のシリカ系カラムによるHPLC分析では、4分前後に2-G-3-EHG-ASAの標準品1及び標準品2の単一ピークが得られた。前記のポリマー系カラムによるHPLC分析では、26分前後に2-G-3-EHG-ASAの標準品1及び標準品2の単一ピークが得られた。これらのHPLC分析で求められた、前記比較品及び本発明品の面積比率の結果を以下表にまとめた。
又、前記ポリマー系カラムによるHPLC分析によるHPLC分析では、比較例1の比較品の2-G-3-O-ASAのピーク面積比は、97.5%であり、実施例1の本発明品は、98.9%であった。前記ポリマー系カラムによるHPLC分析によるHPLC分析では、比較例2の比較品の2-G-3-EHG-ASAのピーク面積比は、96.4%であり実施例2の本発明品は、98.5%であった。
前記ポリマー系カラムによるHPLC分析によるHPLC分析では、いずれも比較品1及び比較品2の分析値は、95%以上の高い値となり、実施例3のシリカ系カラムによるHPLC分析結果と完全に矛盾する結果となった。これにより、前記ポリマー系カラムによるHPLC分析では、同分子の異性体が分離できていないことが判明した。表1に2-G-3-O-ASAのシリカ系カラムによるHPLC分析によるピーク面積比率を示す。表2に2-G-3-EHG-ASAのシリカ系カラムによるHPLC分析による2-G-3-O-ASA及び2-G-3-EHG-ASAのシリカ系カラムによるHPLC分析によるピーク面積比率を表1及び表2に示す。
2-G-3-O-ASAと2-G-3-EHG-ASAの比較品のいずれにおいてもシリカ系カラムによるHPLC分析では、2-G-3-O-ASA、ASA、2-G-Xn-O-ASA又は2-G-3-EHG-ASA、ASA、2- 3G-Xn-EHG-ASA以外のピークは認められなかった。ASAに結合したグルコシドの水酸基のHは、アルコール性の水酸基であるのでHがイオン化しにくいことが公知であるので、2-G-Xn-O-ASA又は2-G-Xn-EHG-ASAは、2-G-6-O-ASA、2-G-5-0-ASA、又は、2-G-6-EHG-ASA、2-G-5-EHG-ASAのいずれかであることが判明した。
さらに、2-G-3-O-ASAと2-G-3-EHG-ASAの比較品のいずれにおいてもポリマー系カラムによるHPLC分析では、2-G-3-O-ASAと2-G-3-EHG-ASA、ASA、以外のピークは認められなかった。これは、ポリマー系カラムが分子量差による分離カラムであることから、シリカ系カラムで検出された2-G-Xn-O-ASA又は、2-G-Xn-EHG-ASAの副生成物が全て、2-G-3-O-ASA又は2-G-2-EHG-ASAと同じ分子量でありこれらのピークの中に取り込まれたことを意味する。これは、副生成物が、2-G-5-O-ASA、2-G-6-O-ASA、又は2-G-5-EHG-ASA、2-G-6-EHG-ASAのいずれかであることが確認された。
これらの、事実より、2-G-3-O-ASAの比較品に含まれる不純物は、ASAを除くと化3の式で示されることが証明され、2-G-3-EHG-ASAの比較品に含まれる不純物は、ASAを除くと化4の式で示されることが証明された。
さらに副生成物が、2-G-5-O-ASA、2-G-6-O-ASA、又は2-G-5-EHG-ASA、2-G-6-EHG-ASAであることは、副生成物のC―NMRの結果と元素分析の結果より確認された。
(溶解度比の測定)
以下表の本発明の高純度の2-G-3-O-ASA及び2-G-3-EHG-ASAの溶解度比と比較品の2-G-3-O-ASA及び2-G-3-EHG-ASAの溶解度比の溶解度を以下記載の溶解度測定法、計算式により精製水に対する溶解度比を求めた結果を表に示した。
(溶解度測定法)
被験物質と同重量の精製水を添加し、25°Cで30分振盪後、遠心分離し、HPLC法にて上澄液の濃度を測定し、以下のa,b値を用いてそれぞれの物質の溶解度比を求めた。
溶解度比= a/b
a =本発明のASA誘導体の上澄液の濃度
b =aに対応する同物質の比較品のASA誘導体の上澄液の濃度
(計算式)
a/b=溶解度比
表3に本実験結果である溶解度比を示す。本結果より本発明の2-G-3-O-ASA及び2-G-3-EHG-ASAは、比較品に対して溶解度比が1以上となり、精製水に対して高い溶解度をもつことが確認された。
(ASAラジカル抑制比の測定)
ヒト由来表皮角化細胞を細胞培養プレートに播種し、10%ウシ胎児血清を添加したDMEM培地にて、37℃、5%CO2の空気雰囲気で、飽和密度になるまで培養した。被験物質を最終濃度0.05%(重量)で培養液に添加して紫外線B波を60[mJ/cm2]の強度で照射し培養上清を回収した。この培養上清に過酸化水素を添加してフェントン反応させ、スピントラップ剤を使用して電子スピン共鳴分光計でASAラジカル強度をピークの高さとして測定し、ASAラジカル相対強度をもとめ、以下の計算式でもとめたa,b値を用いてASAラジカル相対強度についての生理活性比を求めた。内部標準としてMnを使用した。
ASAラジカル抑制活性比 = a/b
a = 1/(本発明のASA誘導体のASAラジカル相対強度)
b = 1/(比較品のASA誘導体のASAラジカル相対強度)
(ESR測定装置条件)
ESR測定装置条件は、本発明者のItoの方法 (S. Ito, et. al , Toxicology, vol. 30, no. 1-2, pp. 96-110, 2007.) によって測定された。即ち、標準の活性酸素の発生により検出されたラジカルとラッピング剤の固有のアダクトシグナルのg-値とhfccよりROSの種類が識別された。スペクトラムの強度はスペクトルの高さを測定することにより導かれた。使用されたラジカルとラッピング剤は、以下の通りである。5- (diphenylphosphinoyl)-5-methyl-4,5-dihydr-O-3H-pyrrole -N- oxide (DMPO)。ラジカルの相対的な強度比は、第3MnO信号強度と比較されることにより算出された。測定装置:ESR (ESR)分光計 (JEOL、JES-FA200分光計、東京。ESR universal cavity (JEOL, ES-UCX2:TE011 mode cavity) X-バンド マイクロウェーブユニット (8.750-9.650 GHz). MnOは、 JEOL DATUM (MO7-FB-4)によるESR標準を使用。 サンプルセル (JEOL, ES-LC12); サンプル量: 10-100μl. ティシュータイプ:クウォーツセルを使用 (ラボテック社製, 東京) しカバーグラス装着(40x5x0.5mm)。ASAラジカルのESRスペクトルピ-クを識別するために、標準試薬として日本薬局方のASAを用いてg-値とhfccが利用され、ESR装置に組み込まれた専用の分析ソフトウェア (ESRコンピュ-タ・ソフトウェア、A-System vl.40 ISAJ、FA-マネ-ジャvl.20、JES、東京、日本)によって、自動的にスペクトルのピークの高さが算出された。同様に測定した平均値を結果として表5に示す。尚、標準のASAの高さを100%とした。この結果から、本発明の2-G-3-O-ASAと本発明の2-G-3-O-ASAは、その比較品のASAラジカル強度が50%以上であったのに対して、本発明品のASAラジカルの発生量が50%以下と極めて小さくなることが確認された。表5は、ESRによるASAラジカルピークの相対高さの比率(%)である。
ASAラジカル抑制比の結果を表に示す。この結果、本発明の2種の高純度誘導体は、プロオキシダント化率について以下の実験結果と計算式でその活性比を求めたときに1以上となることが確認された。表4に本実験結果である ASAラジカル抑制比を示す。
(PGE2抑制比の測定)
ヒト由来表皮角化細胞を細胞培養プレートに播種し、10%ウシ胎児血清を添加したDMEM培地にて、37℃、5%CO2の空気雰囲気で、飽和密度になるまで培養した。培地をカルシウム・マグネシウム含有ハンクス平衡塩液(インビトロジェン)に置換し、これに紫外線B波を60[mJ/cm2]の強度で照射後、被験物質を最終濃度50μMで培養液に添加したDMEM培地に置換した。24時間後に、細胞培養上清を回収し、その中のプロスタグランジンE2(PGE2)の濃度をプロスタグランジンE2キットにてELISAにより測定し、PGE2濃度をもとめ、以下の計算式でもとめたa,b値を用いてPGE2抑制活性についての生理活性比を求めた。
生理活性比 = a/b
a = 1/(本発明のASA誘導体のPGE2濃度)
b = 1/(比較品のASA誘導体のPGE2濃度)
表5に本実験結果であるPGE2抑制比を示す。
(COX2抑制比の測定)
ヒト由来表皮角化細胞を細胞培養プレートに播種し、10%ウシ胎児血清を添加したDMEM培地にて、37℃、5%CO2の空気雰囲気で、飽和密度になるまで培養した。培地をカルシウム・マグネシウム含有ハンクス平衡塩液(インビトロジェン)に置換し、これに紫外線B波を60[mJ/cm2]の強度で照射後、被験物質を最終濃度50μMで培養液に添加したDMEM培地に置換した。24時間後に、1%ノニデットP40、5mMエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、1%プロテアーゼ阻害剤カクテルを添加した20mMトリス・塩酸緩衝液(pH7.4)を用いて細胞を可溶化し、レムリ法によるポリアクリルアミド電気泳動により蛋白質を分離し、ニトロセルロース膜に転写した。ニトロセルトース膜は、5%スキムミルク、0.1%ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含むトリス緩衝生理食塩水(pH7.4)を用い、室温で2時間ブロッキング処理した後、抗シクロオキシゲナーゼ2(COX2)モノクローナル抗体を用いた一次抗体反応、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗マウス抗体を用いた二次抗体反応を行ったのち、ウェスタンブロッティング法により、抗原量を化学発光法によりバンド検出し、バンドの発光量を画像解析ソフトで解析してCOX2発現相対値を定量化した。COX2発現相対値の内部標準としては、グリセルアルデヒド3リン酸脱水素酵素(GAPDH)のバンドの発光量を用いた。この方法で求めたCOX2発現相対値について以下の計算式でもとめたa,b値を用いてCOX2抑制比を求めた。
COX2抑制比= a/b
a = 1/(本発明のASA誘導体のCOX2発現相対値)
b = 1/(比較品のASA誘導体のCOX2発現相対値)
表6に本実験結果であるCOX2抑制比を示す。
(インターロイキン−6抑制比の測定)
ヒト由来表皮角化細胞を細胞培養プレートに播種し、10%ウシ胎児血清を添加したDMEM培地にて、37℃、5%CO2の空気雰囲気で、飽和密度になるまで培養した。被験物質を最終濃度50μMで培養液に添加し、3時間後に、紫外線B波を60[mJ/cm2]の強度で照射し、24時間後に培養上清中のインターロイキン6(IL−6)濃度を、ヒトIL−6ELISAキットにてELISA法で測定し、IL-6濃度をもとめ、以下の計算式でもとめたa,b値を用いてインターロイキン−6抑制比を求めた。
インターロイキン−6抑制比= a/b
a = 1/(本発明のASA誘導体のIL-6濃度)
b = 1/(比較品のASA誘導体のIL-6濃度)
表7に本実験結果であるインターロイキン−6抑制比を示す。
(IL−1β抑制比の測定)
ヒト由来表皮角化細胞を細胞培養プレートに播種し、10%ウシ胎児血清を添加したDMEM培地にて、37℃、5%CO2の空気雰囲気で、飽和密度になるまで培養した。培地をカルシウム・マグネシウム含有ハンクス平衡塩液(インビトロジェン)に置換し、これに紫外線B波を60[mJ/cm2]の強度で照射後、被験物質を最終濃度50μMで培養液に添加したDMEM培地に置換した。24時間後に、ヒトIL−1βELISAキットにて培養上清中のインターロイキン1β(IL−1β)濃度をELISA法を用いて測定し、IL−1β濃度をもとめ、以下の計算式でもとめたa,b値を用いてIL−1β抑制比の測定を求めた。
IL−1β抑制比の測定= a/b
a = 1/(本発明のASA誘導体のIL−1β濃度)
b = 1/(比較品のASA誘導体のIL−1β濃度)
表8に本実験結果である IL−1β抑制比を示す。
(2-G-3-O-ASAと2-G-3-EHG-ASAのラメラ液晶を持つ乳化組成物)
2-G-3-O-ASA2gと2-G-3-EHG-ASA2gにグリセリン20gを添加した混合物を電動式ミキサーで10分間よく練る。次に、オリーブ油、ホホバ油、大豆油、ツバキ油を記載された順番に一種について5gづつ添加し、電動式ハンドミキサーで5分間づつよく練る。これに精製水を加えて100gとし、なるべく泡が立たないように電動式ハンドミキサーで10分間撹拌して完全に分散させて本発明の乳化組成物を得た。この乳化組成物を偏光顕微鏡で観察するとラメラ液晶(ベシクル構造)をもつ乳化カプセルに特有な干渉像(マルテーゼクロス像)が得られ、この乳化組成物がラメラ液晶を有することが確認された。
(2-G-3-O-ASAのラメラ液晶を持つ本発明の乳化組成物)
2-G-3-O-ASAを2gとグリセリン20gを添加した混合物を電動式ハンドミキサーで10分間よく練る。次に、オリーブ油、ホホバ油、大豆油、ツバキ油、ステアリン酸、パルミチン酸を記載された順番に一種について3gづつ添加し、電動式ハンドミキサーで5分づつよく練る。これに精製水を加えて100gとし、なるべく泡が立たないように電動式ハンドミキサーで10分間撹拌して完全に分散させて本発明の乳化組成物を得た。この乳化組成物を偏光顕微鏡で観察するとラメラ液晶(ベシクル構造)をもつ乳化カプセルに特有な干渉像(マルテーゼクロス像)が得られ、この乳化組成物がラメラ液晶を有することが確認された。
(比較例3:2-G-3-O-ASAの比較例の乳化組成物)
グリセリン20gに2-G-3-O-ASA2g,オリーブ油、ホホバ油、大豆油、ツバキ油、ステアリン酸、パルミチン酸をそれぞれ3gづつ添加し充分に混合する。これに精製水を加えて100gとし、なるべく泡が立たないように電動式ハンドミキサーで10分間撹拌して完全に乳化分散させて比較例の乳化組成物を得た。この乳化組成物を偏光顕微鏡で観察したがラメラ液晶(ベシクル構造)をもつ乳化カプセルに特有な干渉像(マルテーゼクロス像)は認められなかった。これを2-G-3-O-ASAの比較例3の乳化組成物とした。
(効果)
実施例13の2-G-3-O-ASAのラメラ液晶を持つ本発明の乳化組成物は、上記比較例3の2-G-3-O-ASAの乳化組成物に比較し5%水溶液の40℃x6ヶ月の加速試験における着色や沈殿の発生、異臭の発生が低下し製剤の安定性が高まり、試験終了時の残存率が112%も高かった。又、本発明の2-G-3-O-ASAのラメラ液晶乳化組成物は、比較例3の2-G-3-O-ASAの乳化組成物に比較し、3次元ヒト皮膚モデルを使用した皮膚浸透性試験により表皮組織での誘導体の濃度がHPLC法による測定で175%高まり、紫外線由来炎症により発生するヒト皮膚紫外線B波照射実験による紅斑のLabインデックスのa値の測定による赤み炎症率が73%に抑制された。本発明品の経口投与の腸管吸収性試験では、吸収率が比較例の同物質に比較し、147%高まり、血中抗酸化力が平均で129%程度高まった。さらに上記本発明の2-G-3-O-ASAと上記比較例の2-G-3-O-ASAをそれぞれ1%配合した生理食塩水を、0.45μmのメンブランフィルターとエンドトキシン除去フィルターを通過させた注射液を使用した、静脈注射投与試験では、本発明の2-G-3-O-ASAは、比較例の同物質に比較し、投与後3時間経過後の血中濃度が比較例品に比較し3倍高まり、それに比例し血中抗酸化力も平均で3倍高まった。これにより、本発明品の徐放性能が確認された。
これらの結果より、本発明の製剤は経口用組成物、食品、培養組成物、動物薬、飲料用水処理剤、空気浄化剤、医薬品、医薬部外品、未承認医薬品、化粧品として極めて有効であることが確認された。
(2-G-3-EHG-ASAのラメラ液晶を持つ乳化組成物)
2-G-3-EHG-ASAを0.02mol/Lとグリセリン20gを添加した混合物を電動式ハンドミキサーで10分間よく練る。次に、オリーブ油、ホホバ油、大豆油、ツバキ油、ステアリン酸、パルミチン酸を記載された順番に一種について3gづつ添加し、電動式ハンドミキサーで5分間づつよく練る。
これに精製水を加えて100mlとし、なるべく泡が立たないように電動式ハンドミキサーで10分間撹拌して完全に分散させて本発明の乳化組成物を得た。この乳化組成物を偏光顕微鏡で観察するとラメラ液晶(ベシクル構造)をもつ乳化カプセルに特有な干渉像(マルテーゼクロス像)が得られ、この乳化組成物がラメラ液晶を有することが確認された。
(比較例4:2-G-3-EHG-ASAの比較例の乳化組成物)
グリセリン20gに2-G-3-EHG-ASAを0.02mol/L,オリーブ油、ホホバ油、大豆油、ツバキ油、ステアリン酸、パルミチン酸をそれぞれ3gづつ添加し充分に混合する。これに精製水を加えて100mLとし、なるべく泡が立たないように電動式ハンドミキサーで10分間撹拌して完全に乳化分散させて比較例の乳化組成物を得た。この乳化組成物を偏光顕微鏡で観察したがラメラ液晶(ベシクル構造)をもつ乳化カプセルに特有な干渉像(マルテーゼクロス像)は認められなかった。これを2-G-3-EHG -ASAの比較例4の乳化組成物とした。
(効果)
実施例14の2-G-3-EHG-ASAのラメラ液晶を持つ乳化組成物は、比較例4の2-G-3-EHG-ASAの乳化組成物に比較し5%水溶液の40℃x6ヶ月の加速試験後の着色や沈殿の発生、異臭の発生が低下し製剤の安定性が高まり、試験終了時の残存率が118%も高かった。又、本発明の2-G-3-EHG-ASAのラメラ液晶乳化組成物は、比較例4の2-G-3-EHG-ASAの乳化組成物に比較し、3次元ヒト皮膚モデルを使用した皮膚浸透性試験により表皮組織での誘導体の濃度がHPLC法による測定で175%高まり、紫外線由来炎症により発生するヒト皮膚紫外線B波照射実験による紅斑のLabインデックスのa値の測定による赤み炎症率が69%に抑制された。経口投与の腸管吸収性試験では、本発明品は、吸収率が比較例の同物質に比較し、135%高まり、血中抗酸化力が平均で130%程度高まった。さらに上記本発明の2-G-3-EHG-ASAと上記比較例の2-G-3-EHG-ASAをそれぞれ1%配合した生理食塩水を、0.45μmのメンブランフィルターとエンドトキシン除去フィルターを通過させた注射液を使用した、静脈注射投与試験では、本発明の2-G-3-EHG-ASAは、比較例の同物質に比較し、投与後3時間経過後の血中濃度が比較例品に比較し2.9倍高まり、それに比例し血中抗酸化力も平均で3.1倍高まった。これにより、本発明品の徐放性能が確認された。
これらの結果より、本発明の製剤は, 外用組成物、経口用組成物、注射用組成物の剤形であっても有用な効果を発揮できる製剤として使用可能であり、さらに医薬品、医薬部外品、未承認医薬品、化粧品、特別保健用食品、食品、動物用薬品、飼料用の原料として有効であることが確認された。
(2-G-3-O-ASAと2-G-3-EHG-ASAのラメラ液晶を持つ乳化組成)
2-G-3-O-ASAを0.02mol/Lと2-G-3-EHG-ASAを0.02mol/Lとグリセリン20gを添加した混合物を電動式ハンドミキサーで10分間よく練る。次に、オリーブ油、ホホバ油、大豆油、ツバキ油、ステアリン酸、パルミチン酸を記載された順番に一種について3gづつ添加し、電動式ハンドミキサーで5分間づつよく練る。これに精製水を加えて100mLとし、なるべく泡が立たないように電動式ハンドミキサーで10分間撹拌して完全に分散させて本発明の乳化組成物を得た。この乳化組成物を偏光顕微鏡で観察するとラメラ液晶(ベシクル構造)をもつ乳化カプセルに特有な干渉像(マルテーゼクロス像)が得られ、この乳化組成物がラメラ液晶を有することが確認された。これを本発明品とした。
又、比較品として、グリセリン20gに2-G-3-O-ASAを0.02mol/Lと2-G-3-EHG-ASA0.02mol/L,とオリーブ油、ホホバ油、大豆油、ツバキ油、ステアリン酸、パルミチン酸をそれぞれ3gづつ添加し充分に混合する。これに精製水を加えて100mLとし、なるべく泡が立たないように電動式ハンドミキサーで10分間撹拌して完全に乳化分散させて比較例の乳化組成物を得た。この乳化組成物を偏光顕微鏡で観察したがラメラ液晶(ベシクル構造)をもつ乳化カプセルに特有な干渉像(マルテーゼクロス像)は認められなかった。これを2-G -3- EHG -ASAの比較例5の乳化組成物とした。
上記本発明品のラメラ液晶乳化組成物と比較例5の乳化組成物をネガティブコントロールとして使用し、シワ、ニキビ、乾燥肌、紫外線由来炎症、褥瘡に悩む患者、健常人、それぞれ10人を1グループとして効果を評価した。顔面に対して上記組成物を1日1回朝晩8mlを顔面用不織布マスクシートに含浸させて15分間貼付塗布し、塗布試験開始前と塗布開始から30日(紅斑のみについては3日)経過後の試験終了時の病変部の色を同一照明条件にてデジタルカメラで撮影し画像処理装置VISIAによりシワ、ニキビ、紫外線由来炎症(紅斑)を数値化した。叉、健常人については皮膚過酸化脂質量をろ紙に皮脂を浸み込ませることにより、皮脂中の過酸化脂質量を測定した。乾燥とバリア機能は、角層水分量と表皮水分蒸散量を測定することにより比較した。褥瘡は肉眼で改善度を褥瘡基準マニュアルに従って比較し数値化した。
結果は、試験開始時及び試験終了時のそれぞれの%を求めた結果、比較例5のネガティブコントロールを100%とすると、本発明品の効果は、シワ本数が74%に減少、角層水分量が148%に増加、表皮水分蒸散量が75%に減少、紫外線由来紅斑の赤み(色差Lab値のa値)が58%に減少、アクネが42%に減少、褥瘡面積が62%に減少した。この結果、抗シワ作用、抗ニキビ作用、保湿作用、バリア機能増強作用、紫外線由来炎症抑制作用、抗褥瘡作用に対して、本発明品に効果がある事が実証された。
さらに、健常人の皮膚から採取した皮脂の脂質過酸化物濃度がネガティブコントロールに比較し64%に減少し皮膚のフリーラジカル抑制作用が確認された。従来のポリフェノールの効果と比較しこれらは予想できないほど大きな効果で有った。この結果より、本製品は医薬品、医薬部外品、未承認医薬品、化粧品として、ASA源として本発明の高純度2-G-3-O-ASA又は2-G-3-EHG-ASAを含む、ASAラジカル発生が抑制された外用組成物として極めて有効であることが確認された。
(ラメラ液晶構造を持つ乳化組成物)
以下グループAの界面活性剤をそれぞれ0.1gと以下グループBのOH含有化合物それぞれ0.5gと2-G-3-O-ASAと2-G-3-EHG-ASAをそれぞれ0.1gを添加した混合物を電動式ハンドミキサーで10分間よく練る。次に、グループCの脂質類それぞれ0.5gを以下表に記載された順番に一つづつ添加して、電動式ハンドミキサーそれぞれ5分間づつよく練る。これに精製水を加えて全体で100gとし、なるべく泡が立たないように電動式ハンドミキサーで10分間撹拌して完全に分散させて本発明の乳化組成物を得た。この乳化組成物を偏光顕微鏡で観察するとラメラ液晶(ベシクル構造)をもつ乳化カプセルに特有な干渉像(マルテーゼクロス像)が得られ、この乳化組成物がラメラ液晶を有することが確認された。
グループA(界面活性剤)
リン脂質、水添大豆リン脂質、水添卵黄リン脂質、レシチン、水添レシチン、フィトステロール、ダイズステロール、セラミド、セレブロシド、PEG−フィトステロール、PEG−20フィトステロール、イソステアリン酸フィトステリル、N-ステアロイルジヒドロスフィンゴシン、N-ステアロイルフィトスフィンゴシン、ヒドロキシステアリルフィトスフィンゴシン、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、分岐脂肪酸コレステリル、長鎖分岐脂肪酸コレステリル、サーファクチン、ココイルグルタミン酸Na、ココイルグルタミン酸K、ココイルグルタミン酸TEA,ココイルグルタミン酸、ココイルグルタミン酸Na、ココイルグルタミン酸TEA、ココイルグルタミン酸TEA、ラウロイルアスパラギン酸Na、ラウロイルグルタミン酸Na、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa,ミリストイルグルタミン酸Na、パーム脂肪酸グルタミン酸Na、アシル(C12,14)アスパラギン酸TEA,ポリクオタニウム―51,ポリクオタニウム―61,ポリクオタニウム―64,ポリクオタニウム―65,ラウリルジアミノエチル グリシンナトリウム 、2-アルキル-N-カルボキシ メチル-N-ヒドロキシエチル イミダゾリニウムベタイン 、ラウリルジメチルアミノ酢酸 ベタイン 、ヤシ油アルキルベタイン液 、ラウリン酸アミドプロピル ベタイン液 、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液 、パーム核油脂肪酸アミドプロピルベタイン液 、ラウリルアミノジ酢酸ナトリウム液 、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム液、水添環状リゾフォスファチジン酸Na ,フォスファチジルコリン、フォスファチジルセリン、フォスファチジルグリセロール、ホスファチジルエタノールアミン、リン脂質フォスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート(ポリソルベート61)、ポリオキシエチレンソルビタントリステアラート、ポリオキシエチレンモノステアラート、ヘキサグリセリルモノステアラート、ポリオキシエチレンモノステアラート、ポリオキシエチレンジステアラート、ポリオキシエチレンメチルグルコースジステアラート、ASA-2-リン酸-6-パルミテート3Na、トコフェリルリン酸ナトリウム、(アスコルビル/トコフェリル)リン酸K、イソステアリルASAリン酸2Na、6-ステアリン酸ASA、6-パルミチン酸ASA、2,6-ジパルミチン酸ASA及びこれらのアルカリ金属塩。
グループB(OH含有化合物)
グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ピロリドンカルボンナトリウム、ヒアルロン酸、カラギーナン、アルギン酸、寒天、フコイダン、ペクチン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、トラガントガム、グアーガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸共重合体、ポリグルタミン酸
グループC(脂質類)
ミネラル油、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソオクチル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸オクタデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリルコレステリルエステル、2-エチルヘキサン酸トリグリセリド、2-エチルヘキサン酸セチル、ヒマワリ油、オリーブ油、ホホバ油、ツバキ油、グレープシード油、アボガド油、マカダミアナッツ油、アーモンド油、米胚芽油、丁字油、オレンジ油、トウヒ油、コレステロール、ステアリン酸及びパルミチン酸
(ラメラ液晶構造を持つ乳化組成物)
グリセリン6gとココイルグルタミン酸Na、ココイルグルタミン酸K、ココイルグルタミン酸Na、ココイルグルタミン酸TEA、ココイルグルタミン酸TEA、ラウロイルアスパラギン酸Na、ラウロイルグルタミン酸Na、ミリストイルグルタミン酸Na、パーム脂肪酸グルタミン酸Na、ASA-2-リン酸-6-パルミテート3Na、dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウム、(ASA/トコフェリル)リン酸K、イソステアリルASAリン酸2Na、6-ステアリン酸ASA、6-パルミチン酸ASA、2,6-ジパルミチン酸ASAをそれぞれ0.1gに2-G-3-O-ASA0.05gと2-G-3-EHG-ASA0.05gを添加して電動式ハンドミキサーで10分間よく練る、ホホバ油5.4gを添加して電動式ハンドミキサーで10分間よく練る。このホホバ油添加の操作を全部で4回繰り返して脂質を合計で21.6g添加する。これに精製水を加えて100gとし泡が立たないように電動式ハンドミキサーで10分間撹拌して完全に分散させて本発明の乳化組成物を得た。この乳化組成物をマイクロフルイタイザー処理し平均粒子直径が500nmの乳化組成物を得た。さらに45μm穴のメンブランフィルターで滅菌し滅菌バイアルに密封した。この乳化組成物を偏光顕微鏡で観察するとラメラ液晶構造に特有な干渉像が得られ、この乳化組成物がラメラ液晶構造を有することが確認された。
本組成物を、化成品、工業品、土木緑化用品、肥料、塗料、洗浄料、農林業用品、園芸用資材用品、顆粒品、粉末品、雑貨品、衣料品、経口用組成物、食品、培養組成物、動物薬、感光材、水処理剤、空気浄化剤として使用した。さらに医薬品、医薬部外品、未承認医薬品の外用組成物としても使用できる。
(ラメラ液晶構造を持つ乳化組成物)
グリセリン6gとココイルグルタミン酸Na、dl-α-トコフェリルリン酸ナトリウム、(ASA/トコフェリル)リン酸K、イソステアリルASAリン酸2Na、6-ステアリン酸ASA、6-パルミチン酸ASA、2,6-ジパルミチン酸ASAをそれぞれ0.1gに2-G-3-O-ASA0.05gと2-G-3-EHG-ASA0.05gを添加して電動式ハンドミキサーで10分間よく練る、ホホバ油5.4gを添加して電動式ハンドミキサーで10分間よく練る。このホホバ油添加の操作を全部で4回繰り返して脂質を合計で21.6g添加する。これに精製水を加えて100gとし泡が立たないように電動式ハンドミキサーで10分間撹拌して完全に分散させて本発明の乳化組成物を得た。この乳化組成物をマイクロフルイタイザー処理し平均粒子直径が500nmの乳化組成物を得た。さらに45μm穴のメンブランフィルターで滅菌し滅菌バイアルに密封した。この乳化組成物を偏光顕微鏡で観察するとラメラ液晶構造に特有な干渉像が得られ、この乳化組成物がラメラ液晶構造を有することが確認された。
(ラメラ液晶を持つASA誘導体のHLBと乳化物の安定性)
表記載の両親媒性ASA誘導体を濃度がそれぞれ0.02mol/Lとなるように添加し、さらにグリセリン10gを添加した混合物を電動式ハンドミキサーで10分間よく練る。次に、ホホバ油10gを2gづつ5つに別けて添加し、1回ごとに電動式ハンドミキサーでその都度5分間づつよく練る。全てホホバ油を添加し終えた後、これにメチルパラベン:0.09%、プロピルパラベン:0.03%になるように加えた精製水を加えて100gとし、なるべく泡が立たないように電動式ハンドミキサーで10分間撹拌して完全に分散させて本発明の乳化組成物を得た。この乳化組成物を偏光顕微鏡で観察するとラメラ液晶(ベシクル構造)をもつ乳化カプセルに特有な干渉像(マルテーゼクロス像)が得られ、この乳化組成物がラメラ液晶を有することを確認した。
次に、被験物質を、40℃で6ヶ月間保存し、実験スタート時と実験終了時の力価を以下の測定方法で定量し水溶液中の安定性とした。即ち、それぞれの物質の0ヶ月を100%として6ヶ月後の力価を%重量で測定し、その結果95%以上が残存していたものには○、90%以上95%未満が残存していたものには△、90%未満のものにはXで以下表に示した。
ラメラ液晶乳化組成物中の安定性の測定方法は、被験物質を、40℃で6ヶ月間保存し、乳化組成物を5000rpm/minx30分で遠心分離し、上層の上澄液を静かにシリンジで排除した。残った下層にエタノールを同量加えて乳化を破壊し、HPLCでそれぞれのASA誘導体の残存率を分析した。
その結果95%以上が残存していたものには◎、90%以上95%未満が残存していたものには○、90%未満のものにはXで以下表に示した。
(HLB)
HLB値は、以下の計算式で求めた数字を表に記載した。本実施例のHLBは、ASA誘導体中エーテル結合された側鎖に水酸基がない場合は、疎水性分子として計算した。
HLB値=20×親水部の式量の総和/分子量で定義する。
比較例として使用した既存のASA誘導体群の物質名とそ略号は以下の通りとする。
ASA-2-リン酸-6-パルミチン酸 Na:AA-2-P-6-Pal
ASA-2-マレイン酸トコフェロ-ル:AA-2-M-Toc
ASA-2-グルコシド−6−パルミチン酸:AA-2-G-6-P
ASA-2-グルコシド−6−ステアリン酸:AA-2-G-6-S
表9にラメラ液晶を持つASA誘導体のHLBと乳化物の安定性の結果を示す。
本結果より、HLBが12以上15以下の本発明の両親媒性ASA誘導体である高純度2-G-3-O-ASAと高純度2-G-3-EHG-ASAは、水溶液中の安定性に優れ、ラメラ液晶乳化組成物中の安定性の安定性についても、既存の両親媒性ASA誘導体に比較し特別に優れていることが確認された。
(ラメラ液晶乳化組成物の安定性試験)
以下表に記載された試験製剤は、ITO社製ジェル基材(組成内容は、グリセリン:34.45%、カルボマー:1.13%、ポリアクリル酸Na:0.38%、水:63.92%、メチルパラベン:0.09%、プロピルパラベン:0.03%からなる。)に各ASA誘導体の濃度がそれぞれ0.02mol/Lになるように混合し分散体を得た。これらを、40℃で6ヶ月間保存してそれぞれの力価を高速液体クロマトグラフィ-で測定し、それぞれの物質の0ヶ月を100%として6ヶ月後の力価を%重量で測定し、その結果95%以上が残存していたものには◎、95%未満90%以上が残存していたものには○、80%以上−90%未満の残存であったものには△、80%未満のものにはXで以下表に示した。
比較例として使用した既存のASA誘導体群の物質名とそ略号は以下の通りとする。
ASA-2-リン酸Na:AA-2-P
ASA-2-グルコシド:AA-2-G
ASA-2-硫酸カリウム:AA-2-S
ASA-2-リン酸-6-パルミチン酸 Na:AA-2-P-6-Pal
ASA-2-リン酸トコフェリルカリウム:AA-2-P-Toc
ASA:AA
トコフェロール:Toc
表10にラメラ液晶乳化組成物の安定性試験の結果を示す。
上記の結果より、本発明の高純度の2-G-3-O-ASAと2-G-3-O-ASA,本発明品の高純度2-G-3-O-ASAのラメラ液晶乳化組成物、本発明品の高純度2-G-3-EHG-ASAのラメラ液晶乳化組成物は、95%以上が残存し、中でもラメラ液晶乳化組成物は、最も残存率が高かった。比較品の2-G-3-O-ASAと2-G-3-O-ASAは、明らかに本発明の高純度品に比較し安定性が悪く、これは、不純物として混入していたASAラジカルによるものと考えられた。他の比較品も本発明の誘導体よりも明らかに安定性が悪く、これは、AA-2-G、AA-2-Sなど従来のASA誘導体の中でも比較的安定性が良好であった誘導体においても、反応性が高いASAの炭素の2位叉は3位のどちらかがフリーになっており、このどちらかが酸化されることによりASA誘導体の安定性が不安定にあなるためと推定された。AA-2-G-6-P,AA-2-G-6-SなどのASAの2位と6位が修飾されたASA-2-グルコシド関連誘導体も、活性の高い3位がフリーのために安定性は、本発明に比較しかなり劣るものとなった。安定性が△以下の誘導体は、5%以上のASAが分解するために、HPLCにおける定量値が低いだけでなく、異臭を伴う褐色に変色した溶液となっており、実用に耐えないものであった。これらの変色や異臭は、化粧品、食品、医薬品、飼料などの商品価値を目覚ましく低下させるものであった。さらに、ASA-2-P-6-PalとASA-2-M-Tocの2種類のコントロ-ルには、粒状の沈殿が発生し外見的にも酷く醜い状態であり商品としては極めて品質の悪いものとなっていた。これらの安定性の悪い化合物は、安定性が悪く実用に耐えないという理由から、以下の試験においてはコントロ-ルから除くことにした。
(皮膚組織への吸収性の比較)
ITO社製ポリアクリル酸系ジェル基材に各ASA誘導体の濃度がそれぞれ0.02mol/Lになるように混合し、これらのジェル分散体を角層及び角質層を有するヒト3次元表皮モデルに1平方cm当たり0.1gを塗布し、これを37℃で3時間培養した後に、ジェル分散体を除去後PBSで5回洗浄した後、塗布部の組織を切り取り、10倍量のPBSとともにホモジナイズし、2%メタリン酸で除タンパクした後、上澄み液中のASA誘導体量を高速液体クロマトグラフィ-(HPLC)により測定した。前記の実験で安定性が最も高かった本発明品の高純度2-G-3-EHG-ASAのラメラ液晶乳化組成物の皮膚組織における相対経皮吸収率を100%として、他の誘導体の検出量を%で表示して以下の表2にまとめた。また、結果をわかりやすくするために皮膚組織での検出率が95%以上であったものに◎を、95%未満から90%以上であったものに○を、90%未満から80%以上で合ったものに△、80%以下であったものにXを付けた。
表11に皮膚組織への吸収性の比較の結果を示す。
この結果より、経皮吸収率は、本発明品の高純度2-G-3-EHG-ASAのラメラ液晶乳化組成物、本発明品の高純度2-G-3-O-ASAのラメラ液晶乳化組成物、本発明品の高純度2-G-3-EHG-ASA、本発明品の高純度2-G-3-O-ASAの順序で最も高くなり、比較品の2-G-3-O-ASAと2-G-3-EHG-ASAは、95%を下回った。これは、前記の安定性試験でも示されたように、比較品の2-G-3-O-ASA,2-G-3-EHG-ASAの安定性が悪かったためで、前者は、不純物であるAAラジカルを含むためであり、後者は酸化され易い2位叉は3位のどちらかがフリーであるためと推定された。さらに、皮膚組織中に存在する加水分解酵素や酸化酵素等により分解が促進されたためと推定された。
安定性が比較的良好であった、AA-2-G,AA-2-Sの吸収性が悪かった原因は、この2物質が完全な水溶性誘導体であり、皮膚バリア及び脂質二重膜からなる細胞膜を通過しにくかったためと推定された。これに比較し本発明品は、その分子構造が両親媒性であるために、水と油の層からなる皮膚バリアを容易に通過できたものと考えられた。AA ,Tocの組織濃度が低かったのは言うまでもなく、皮膚上叉は組織中で速やかに酸化分解されたためと考えられる。
(p38ストレス応答性MAPキナーゼのリン酸化抑制比)
ヒト由来表皮角化細胞を細胞培養プレートに播種し、10%ウシ胎児血清を添加したDMEM培地にて、37℃、5%CO2の空気雰囲気で、飽和密度になるまで培養した。培地をカルシウム・マグネシウム含有ハンクス平衡塩液(インビトロジェン)に置換し、これに紫外線B波を60[mJ/cm2]の強度で照射後、以下表の被験物質を最終濃度50μmol/Lで培養液に添加したDMEM培地に置換した。60分後に、1%ノニデットP40、5mMエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、1%プロテアーゼ阻害剤カクテルを添加した20mMトリス・塩酸緩衝液(pH7.4)を用いて細胞を可溶化し、レムリ法によるポリアクリルアミド電気泳動により蛋白質を分離し、ニトロセルロース膜に転写した。ニトロセルトース膜は、5%スキムミルク、0.1%ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含むトリス緩衝生理食塩水(pH7.4)を用い、室温で2時間ブロッキング処理した。180番目のスレオニンおよび182番目のチロシン残基がリン酸化されたp38ストレス応答性MAPキナーゼを認識するポリクローナル抗体を用いた一次抗体反応、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗マウス抗体を用いた二次抗体反応を行ったのち、ウェスタンブロッティング法により、膜上の抗原量を化学発光法によりバンド検出し、バンドの発光量を画像解析ソフトで解析してp38ストレス応答性MAPキナーゼのリン酸化の発現相対値として定量化した。本相対値の内部標準としては、p38ストレス応答性MAPキナーゼに対するポリクローナル抗体のバンドの発光量の発現相対値を用いた。 結果として、コントロール(無添加)を100%として、これ対する各被験物質のp38ストレス応答性MAPキナーゼのリン酸化の発現相対値を表にまとめた。
結果として、コントロール(無処置)のリン酸化率を100%として、これ対する各試験溶液のリン酸化率を表にまとめた。本発明の試験製剤は、いずれも著明な浮腫抑制作用を示した。本発明のASA誘導体は、p38ストレス応答性MAPキナーゼのリン酸化を抑制した。
表12にp38ストレス応答性MAPキナーゼのリン酸化抑制比の結果を示す。
(紫外線による炎症抑制試験)
表に示した試験物質をASA誘導体をそれぞれ0.02mol/Lとなるように添加し、さらにグリセリン10%と精製水89%を均一に混合した皮膚塗布剤について紫外線による紅斑炎症発生抑制試験を成人被験者に対して行った。被験者は4日の間、朝と夕方の一日2回試験組成物を塗布し、紫外線照射を受ける一日目には照射の2時間前に照射部に(0.5g/1平方cm)塗布された。照射紫外線は、UVBカットフィルターと、赤外線カットフィルターを通した2500Wのオスラムキセノンランプを使用した。 照射は初日に一回行った。それぞれの被験者の紫外線による最小紅斑炎症発生照射量(MED)が試験開始の前日に測定され、試験スタート1日目に1.5MEDの紫外線が照射され、2日目以降は紫外線照射は行わず組成物の塗布だけが行われた。 照射から4日目に、ミノルタLab色差計を用いて皮膚の赤み(a値)の測定を行った。紅斑炎症抑制率(%)は、プラセボと対比して、次式によって算出した。
100 – [ (試験組成物によるa値 / プラセボによるa値 ) x 100 ] = 紅斑炎症抑制率(%)
本結果より、本発明のASA誘導体は、比較品に比較し顕著に紫外線による炎症性紅斑が減少することが確認された。表16に紫外線による紅斑炎症抑制率の結果を示す。
(光デバイスによる炎症抑制試験)
表に示した試験物質をASA誘導体をそれぞれ0.02mol/Lとなるように添加しさらにグリセリン10%と精製水89%を均一に混合した皮膚塗布剤について、医療用に使用される複数の光デバイスを表に示す条件で成人男性10人の内腕部に照射し、48時間後に発生する紅斑を有効成分を除いた同処方のプラセボに比較しどの程度抑制するか調べた。被験者は4日の間、朝と夕方の一日2回試験組成物を塗布し、紫外線照射を受ける一日目には照射の2時間前に照射部に(0.5g/1平方cm)塗布された。照射は初日に一回行った。2日目以降は組成物の塗布だけが行われた。 照射から4日目に、ミノルタLab色差計を用いて皮膚の赤み(a値)の測定を行った。紅斑炎症抑制率(%)は、プラセボと対比して、次式によって算出した。
100 - [(試験組成物によるa値 / プラセボによるa値 ) x 100] = 紅斑炎症抑制率(%)
この結果、紅斑炎症抑制率(%)が、60%以上であったものについては◎、60%未満50%以上であったものについては○、50%未満40%以上であったものいについては△、40%未満であったものについてはXとした。
本結果より、本発明のASA誘導体は、比較品に比較し顕著に医療用デバイスによる炎症性紅斑が減少することが確認された。表17に実験に使用した光デバイスと照射条件を示した。又表18に光デバイスと光デバイスによる炎症抑制の結果を示した。
(色素細胞を使用したメラニン産生抑制作用)
本発明のASA誘導体組成物のB16メラノ-マ細胞を使用したメラニン産生抑制効果を確認した。
メラニン産生に対する抑制効果試験にはマウスB16マウスメラノ-マ4A5細胞(B164A5)を用いた。B16メラノ-マ4A5を48ウェルマイクロプレ-トに播種し、10%FBS含有DMEM培地にて37℃、5%CO2の条件下で24時間培養後、100μmol/LM相当のASA誘導体(本発明及びコントロ-ルのASA誘導体)と1mmol/LMのテオフィリンを添加した10%FBS含有DMEM培地(同上)に交換し、37℃、5%CO2の条件下で72時間培養を行った。培養終了後、培地を除去して精製水に置換し、超音波にて細胞を破砕した後、メラニン定量用とタンパク定量用に2分割した。メラニン定量は細胞破砕液を1mol/LN NaOHに60℃,30分間可溶化し、吸光光度計にて405nmの吸光度を測定した。タンパク定量はPierce BCA protein assay kitを用いて37℃,30分間処理した後、分光光度計(同上)にて570nmの吸光度を測定した。この様にして得たメラニンとタンパクの吸光度を除算し、単位タンパク辺りあたりのメラニン量としてメラニン産生抑制率の計算に供した。メラニン産生抑制率を求める計算式は、テオフィリンと各化合物を含む培地の吸光度をMLs、テオフィリンのみを含む培地の吸光度をMLc、テオフィリンも各化合物も含まない培地の吸光度をMLnと表すと、以下のような計算式でメラニン産生抑制率(%)を求めた。
メラニン産生抑制率(%) = (((MLc-MLs) / (MLc-MLn) )-1) x 100
結果をわかりやすくするためにメラニン抑制率が90%以上であったものに○を、70-90%で合ったものに△、70%以下であったものにXを付けた。表19にメラニン産生抑制率の結果を示した。
上記の実験結果より本発明のASAは優れたメラニン抑制作用を示し、メラニン抑制を目的とした化粧品や外用医薬品などの外用組成物、食品添加物や飼料添加物としての商品価値を高め、その有用性及び有効性を証明するものであった。
以上の結果より本発明のASA誘導体は高い安定性、高い皮膚組織吸収性、高い抗炎症作用、高いメラニン産生抑制作用により、明らかに従来のコントロ-ルのASA誘導体に比較し本発明のASA誘導体は、優れた効果を発揮することが確認された。
(色素細胞に対する毒性試験)
色素細胞に対する毒性試験にはマウスB16マウスメラノ-マ4A5細胞(B164A5)を用いた。B16メラノ-マ4A5を48ウェルマイクロプレ-トに播種し、10%FBS含有DMEM培地にて37℃、5%CO2の条件下で24時間培養後、1mmol/LM相当の本発明のASA誘導体と比較対象の既存のASA誘導体以外の美白剤及び培地成分のみの無添加コントロ-ルに対して10%FBS含有DMEM培地(同上)に交換し、37℃、5%CO2の条件下で72時間培養を行った。
培養終了後、培地を 0.5mg/mL MTTを含む10%FBS含有DMEM培地(同上)に交換し,3時間培養後に0.04mol/LN HCl/IPAに交換して細胞を溶解した。細胞溶解液を吸光光度計を用いて570nmの吸光度を測定し,細胞増殖率を計算した。細胞増殖率は、サンプルを処理した細胞の吸光度を MTTsとし、サンプルを処理していない無添加コントロ-ルの細胞の吸光度をMTTcで表すと、以下の計算式で示される。
細胞増殖率(%) = ((MTTs / MTTc) -1) × 100
他のコントロ-ルの誘導体と細胞増殖率を比較するために、この実験において本発明ASA誘導体の中で美白剤無添加コントロ-ルに対して細胞増殖率が正の値のものは、細胞に対する毒性は陰性として評価し、細胞増殖率が0又は負の値であるもの(細胞が全く増殖しないか、逆に細胞が斃死して減少しているもの)については、細胞増殖抑制作用があるとして細胞毒性を陽性と評価した。表20に色素細胞に対する毒性試験の結果を示した。
上記の結果より、本発明のASA誘導体は、色素細胞に対してもメラニン抑制作用はあるものの細胞死促進作用などの色素細胞に対する毒性が認められなかったことから、高い安全性が確認された。色素細胞に対して高い毒性を示す場合は、皮膚組織に紅斑や白斑を発生させる確率が高くなる為に、これらが含有された商品の価値を目覚ましく低下させる可能性がある。これに対し本発明の化合物は、色素細胞に対しても毒性が低く、細胞内に効率的に取り込まれて高い抗炎症作用やメラニン生成抑制作用を発現することが示され、化粧品や外用医薬品などの外用組成物、食品添加物や飼料添加物などの経口用組成物、ヒト用や動物用のラジカル疾患治療薬、細胞増殖促進組成物、抗酸化組成物としての商品価値を高め、その有用性及び有効性を証明するものであった。
(細胞に対する増殖効果)
細胞に対する増殖効果を調べるために表21の本発明の化合物について以下の実験を行なった。凍結した正常ヒト線維芽細胞NHDF(NB)を解凍後、NHDFを96ウェルマイクロプレ-トに播種し、10%FBS含有DMEM培地にて37℃、5%CO2の条件下で2日間培養後、300μmol/LM相当の本発明の化合物及び同量のコントロ-ルの誘導体を添加し3日間培養後、培地を 0.5mg/mL MTTを含む10%FBS含有DMEM培地(同上)に交換し,3時間培養後に0.04mol/LN HCl/IPAに交換して細胞を溶解した。細胞溶解液に対して吸光光度計を用いて570nmの吸光度を測定し,細胞増殖率を計算した。細胞増殖率は、サンプルを処理した細胞の吸光度を MTTsとし、サンプルを処理していない無添加コントロ-ルの細胞の吸光度をMTTcで表すと、以下の計算式で示される。
細胞増加率(%) = ((MTTs / MTTc) -1) × 100
結果として、コントロールに対する3日後の細胞増加率を測定算出し、細胞増加率(%)が30%以上増加したものには◎、10%以上30%未満の増加が認められものには○を10%未満か、減少したものには×を付けて表5に示した。比較として、既存の誘導体及びASAをコントロールの誘導体として使用した。無添加コントロ-ルに比較し本発明のASA誘導体を常法の細胞培養条件で3日間培養すると最低でも30%以上に細胞数が無添加コントロ-ルに比較して増加することが判明した。これらの結果から本発明のASA誘導体は化粧品や外用医薬品などの外用組成物、食品添加物や飼料添加物などの経口用組成物、ヒト用や動物用のラジカル疾患治療薬、細胞増殖促進組成物、抗酸化組成物としての商品価値を高め、その有用性及び有効性を証明するものであった。
同様な実験をヒト表皮角化細胞、毛母細胞、心筋細胞、肝細胞、腎細胞、肺上皮細胞、腸粘膜細胞、グリア細胞、血管内皮細胞、脂肪細胞、幹細胞、造血幹細胞、多能性幹細胞、基底層幹細胞、ES細胞、iPS細胞の複数の細胞についても行ったが、本発明の表21の化合物は、いずれも◎であり、対象区の表21のコントロールの誘導体は、いずれもXであった。表21に細胞増加率の結果を示した。
上記の実験結果より本発明の化合物は、細胞内に効率的に取り込まれて高率で細胞増殖効果を発現することが示され、シワや皮膚のタルミの抑制や改善に用いられる化粧品や外用医薬品などの外用組成物、食品添加物や飼料添加物などの経口用組成物、ヒト用や動物用の創傷治癒薬、再生医療等に用いられる細胞増殖促進組成物としての商品価値を高め、その有用性及び有効性を証明するものであった。
本発明のASA誘導体には、線維芽細胞において高いコラ-ゲン産生能力が確認され、その能力は条件によりFGF(線維芽細胞増殖因子)よりも高いものであった。本発明のASA誘導体は、既存のASA誘導体に比較し安定性が高く、吸収率が極めて高いために線維芽細胞増殖作用を有した
(臨床試験)
本発明の表22に示す化合物のニキビ、シワ及び毛穴に対する効果を調べるために、被験者に対して十分に説明し、研究への参加について自由意思による同意を得たものに対してのみ、臨床試験を行った。試験は、ITO社製ジェル基材に対して表22に示すASA誘導体を0.02mol/L配合したジェル基材及びプラセボのジェル基材の3区で行った。1区当たり9名の被験者に対して朝晩1日2回洗顔後に全顔に塗布し、1ヶ月試験を行った。評価方法としては、顔面画像解析装置(VISIA及びロボスキャンアナライザー)によりニキビ数、シワ本数、毛穴数を試験開始時と1カ月後の試験終了時の2回行い、実験スタ-ト時から何パ-セント改善したかについての改善率について比較を行った。結果は、100−((試験区の数/無添加コントロールの数)x100)=改善率(%)による計算式で細胞増殖率(%)を算出し比較した。
結果として、10%以上改善したものには○、10%未満のものには×を付けて表22に示した。その結果、ニキビ数の測定において、プラセボのジェル基材区及びコントロールの誘導体を同量添加したジェル基材区に比較し本発明のASA誘導体及びASAは全ての試験項目において30%以上改善し本発明のASA誘導体の効果を確認することができた。同様の解析を顔面画像解析装置(VISIA及びロボスキャンアナライザー)を使用して赤み面積、ポルフィリンスポット数、毛穴数及びシワ数についても行ったが、本発明の表22の化合物は、いずれも○であり、対象区の表22のコントロールの誘導体は、いずれもXであった。本結果より本発明の化合物は、臨床効果が高く、細胞内に効率的に取り込まれて高率でASA活性を発現することが示され、化粧品や外用医薬品などの外用組成物、ヒト用や動物用のラジカル疾患治療薬、細胞増殖促進組成物、抗酸化組成物としての商品価値を高め、その有用性及び有効性を証明するものであった。ニキビ、シミ、シワの増加は、表皮の脂質過酸化の促進によることも報告されており、ラジカル疾患の範疇であり、更にこのような脂質過酸化を誘導体から変換されたフリー体のASAにより抑制できることから本発明の化合物の使用により良好な臨床結果となったと考えられる。表22に臨床試験結果を示した。
(液剤組成物)
2-G-3-O-ASA : 1.0、2-G-3-EHG-ASA : 1.0、グリセリン : 6.5、1,3-ブチレングリコール : 1.0、フェノキシエタノール : 0.5、香料コンプレックス : 0.1、精製水:残量。
本処方はエモリエントローション、 エルボーローション、 カラーローション、 クレンジングローション、 セットローション、 デオドラントローション、 トナー、 ナリシングローション、 ハンドローション、 ボディローション、 マッサージローション、 メーキャップローション、 モイスチャーローション、 ローション、エッセンス、ホワイトニングエッセンス、オーデコロン、オードトワレモイスチャーエッセンス、 育毛剤の実施例である。
本処方は、医薬品、医薬部外品、医療用培養薬品、医療機器、医療用具、未承認医薬品、化粧品、動物用品のための外用塗布用液剤の実施例である。
さらに経口用組成物(本剤をメンブレンフィルターで殺菌しヒト及び動物用ASAラジカル抑制飲料とした。)、体内用組成物(本剤をメンブレンフィルターで殺菌し体内臓器用ASAラジカル抑制剤とした。)、化成品(室内用抗酸化用スプレー用液剤とした。)の液剤の処方の実施例である。
(液剤組成物)
2-G-3-O-ASA : 1.0、2-G-3-EHG-ASA : 1.0、グリセリン : 6.5、1,3-ブチレングリコール : 10.0、フェノキシエタノール : 0.5、香料コンプレックス : 0.1、精製水:残量。
本処方はエモリエントローション、 エルボーローション、 カラーローション、 クレンジングローション、 セットローション、 デオドラントローション、 トナー、 ナリシングローション、 ハンドローション、 ボディローション、 マッサージローション、 メーキャップローション、 モイスチャーローション、 ローション、エッセンス、ホワイトニングエッセンス、オーデコロン、オードトワレモイスチャーエッセンスの実施例である。
本処方は、医薬品、医薬部外品、医療用培養薬品、医療機器、医療用具、未承認医薬品、化粧品、動物用品のための外用塗布用液剤の実施例である。
さらに経口用組成物(本剤をメンブレンフィルターで殺菌しヒト及び動物用ASAラジカル抑制飲料とした。)、体内用組成物(本剤をメンブレンフィルターで殺菌し体内臓器用ASAラジカル抑制剤とした。)、化成品(室内用抗酸化用スプレー用液剤とした。)の液剤の処方の実施例である。
高純度2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のASA誘導体を製造することにより、安全性と浸透性が高く炎症抑制効果の高いASA導体を提供することができる。これらの抗炎症作用は、医薬品、医薬部外品、未承認医薬品、化粧品、及びガーゼや絆創膏などの医療用品などの外用組成物としても使用できる。本発明の高純度2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のASA誘導体を含有する製品はその抗酸化性能を持続させる事ができるため経時変化を抑制し耐久性を高めることができ幅広い製品に添加応用できる。添加できる製品の例としては、成型品、化成品、工業薬品、土木緑化用品、肥料、塗料、洗浄料、農林業用品、園芸用資材用品、顆粒品、粉末品、雑貨品、衣料品、経口用組成物、食品、培養組成物、動物薬、感光材、水処理剤、空気浄化剤として使用することができる。

Claims (15)

  1. 以下の液体クロマトグラフィーの自動積分法により測定するとき、ピーク面積比が、全体のピーク面積比の95%以上となる、化1の2−o−グルコピラノシル−3−o−オクチルASAまたは化2の2−o−グルコピラノシル-3-o-エチルヘキシルグリセリルASAから選択される、単体叉は複数化合物から選択される、高純度の2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のASA誘導体。
    (液体クロマトグラフィーの自動積分法)
    精密にはかり取った検体を含む溶液をオクタデシル修飾シリカカラムを使用し、検出波長:265nm、溶離液:0.03MのH2KPO4水溶液:アセトニトリル=4:6(体積比)により2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のASA誘導体のピーク面積を自動積分法により測定した。
  2. 色の明度を表すL値が88以上であり、かつ色の色相を表すb値が6以下である、請求項1の高純度の2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のA誘導体。
  3. 20℃、一気圧で固体である、請求項1の高純度の2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体。
  4. 以下の液体クロマトグラムの自動積分法により測定するとき、化3の2−o−グルコピラノシルアスコルビン酸誘導体とアスコルビン酸の合計のピーク面積比が、全体のピーク面積比の5%以下となる、2−o−グルコピラノシル−3−o−オクチルアスコルビン酸である請求項1の高純度の2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体。
    X1,X2,X3の一つ以上がC8H17で示されるオクチル基であり、X3がオクチル基の場合は、X1,X2の一つ以上がオクチル基であり、オクチル基以外の残のXnはHである。式中X1,X2,X3の全てがHであるものを除く。
  5. 以下の液体クロマトグラムの自動積分法により測定するとき、化4の2−o−グルコピラノシルアスコルビン酸誘導体とアスコルビン酸の合計のピーク面積比が、全体のピーク面積比の5%以下となる、2−o−グルコピラノシル−3−o−エチルヘキシルグリセリルアスコルビン酸である請求項1の高純度の2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体
    式中、Y1,Y2,Y3の一つ以上がC11H23O2で示されるエチルヘキシルグリセリル基であり、Y3がエチルヘキシルグリセリル基の場合は、Y1,Y2の一つ以上がエチルヘキシルグリセリル基であり、エチルヘキシルグリセリル基以外の残のYnはHである。式中Y1,Y2,Y3の全てがHであるものを除く。
  6. 以下の計算式で計算されるグリフィン法でHLB値を求めたときに12以上15以下となる、請求項1の高純度の2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体。
    (HLB:HLBはHydrophile-Lipophile Balance)
    HLB値=20×親水部の分子式量の総和/全体の分子量
  7. 以下の測定法と計算式でアスコルビン酸ラジカル抑制活性比を求めたときに1以上となる、請求項1のアスコルビン酸誘導体。
    (アスコルビン酸ラジカル抑制活性の測定法)
    ヒト由来表皮角化細胞に被験物質を添加して紫外線B波照射後、細胞培養上清に過酸化水素を添加し、スピントラップ剤を使用して電子スピン共鳴分光計(ESR)でアスコルビン酸ラジカル相対強度を測定し、以下の計算式でアスコルビン酸ラジカル抑制活性比を求めた。
    アスコルビン酸ラジカル抑制活性比= a/b
    a = 1/(本発明のアスコルビン酸誘導体のアスコルビン酸ラジカル相対強度)
    b = 1/(比較品のアスコルビン酸誘導体のアスコルビン酸ラジカル相対強度)
    但し、請求項1の液体クロマトグラフィーの自動積分法により測定するとき、ピーク面積比が、全体のピーク面積比の95%未満となる、請求項1の2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体を比較品とする。
  8. 以下の測定法と計算式でプロスタグランジンE2抑制活性比を求めたときに1以上となる、請求項1のアスコルビン酸誘導体。
    (プロスタグランジンE2抑制活性比の測定法)
    ヒト由来表皮角化細胞に紫外線B波照射後、被験物質を添加し24時間後に、細胞培養上清中のプロスタグランジンE2(PGE2)の濃度をELISA法によりPGE2濃度をもとめ、以下の計算式でプロスタグランジンE2抑制活性比を求めた。
    生理活性比 = a/b
    a = 1/(本発明のアスコルビン酸誘導体のPGE2濃度)
    b = 1/(比較品のアスコルビン酸誘導体のPGE2濃度)
    但し、請求項1の液体クロマトグラフィーの自動積分法により測定するとき、ピーク面積比が、全体のピーク面積比の95%未満となる、請求項1の2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体を比較品とする。
  9. 以下の測定法と計算式で抗シクロオキシゲナーゼ2(COX2)抑制活性比を求めたときに1以上となる、請求項1のアスコルビン酸誘導体。
    (COX2抑制活性比の測定法)
    ヒト由来表皮角化細胞に紫外線B波を照射後、被験物質を添加し、24時間後に、細胞を可溶化し、電気泳動法によりタンパク分離し、抗シクロオキシゲナーゼ2(COX2)モノクローナル抗体で反応処理した後、ウェスタンブロッティング法により、COX2発現相対値を求め、以下の計算式でCOX2抑制活性比を求めた。
    COX2抑制活性比= a/b
    a = 1/(本発明のCOX2発現相対値)
    b = 1/(比較品のCOX2発現相対値)
    但し、請求項1の液体クロマトグラフィーの自動積分法により測定するとき、ピーク面積比が、全体のピーク面積比の95%未満となる、請求項1の2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体を比較品とする。
  10. 以下の測定法と計算式でインターロイキン−6(IL-6)抑制活性比を求めたときに1以上となる、請求項1のアスコルビン酸誘導体。
    (IL-6抑制活性比の測定法)
    ヒト由来表皮角化細胞に被験物質を添加し、紫外線B波照射後、IL−6濃度を、ELISA法で測定し、以下の計算式でIL-6抑制活性比を求めた。
    IL-6抑制活性比 = a/b
    a = 1/(本発明のアスコルビン酸誘導体のIL-6濃度)
    b = 1/(比較品のアスコルビン酸誘導体のIL-6濃度)
    但し、請求項1の液体クロマトグラフィーの自動積分法により測定するとき、ピーク面積比が、全体のピーク面積比の95%未満となる、請求項1の2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体を比較品とする。
  11. 以下の測定法と計算式でインターロイキン−1β(IL−1β)抑制活性比を求めたときに1以上となる、請求項1のアスコルビン酸誘導体。
    (IL-1β抑制活性比の測定法)
    ヒト由来表皮角化細胞に紫外線B波照射後、被験物質を添加し、IL−1β濃度をELISA法を用いて測定し、以下の計算式でIL−1β抑制活性比を求めた。
    IL-1β抑制活性比 = a/b
    a = 1/(本発明のアスコルビン酸誘導体のIL-6濃度)
    b = 1/(比較品のアスコルビン酸誘導体のIL-6濃度)
    但し、請求項1の液体クロマトグラフィーの自動積分法により測定するとき、ピーク面積比が、全体のピーク面積比の95%未満となる、請求項1の2-o-グルコピラノシル-3-o-エーテル結合型のアスコルビン酸誘導体を比較品とする。
  12. 用途が、外用組成物、経口用組成物、注射用組成物から選択される、いずれかである、請求項1のアスコルビン酸誘導体を含有する組成物。
  13. p38ストレス応答性MAPキナーゼのリン酸化抑制作用、ラットクロトン油耳浮腫抑制作用、ラットカラゲニン足浮腫抑制、ラット肉芽増殖抑制作用、から選択される一種以上の抗炎症作用を有する、請求項1のアスコルビン酸誘導体を含有する組成物。
  14. 用途が医薬品、医薬部外品、医療用培養薬品、医療機器、医療用具、未承認医薬品、化粧品、特別保健用食品、食品、動物用薬品、飼料、樹脂製品、建築材料、感光材、塗料、肥料、雑貨品、衣料品、培養組成物、水処理剤、空気浄化剤から選択される、いずれかである、請求項1のアスコルビン酸誘導体を含有する組成物。
  15. ラメラ液晶をもつ乳化組成物である、請求項1のアスコルビン酸誘導体を含有する組成物。
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