以下、図面を参照して、本発明の実施の形態の一例について説明する。まず、第1の実施形態について説明を行う。第1の実施形態では、複合機300がスマートフォン600の現在の状態を取得し、通話中かどうかを示すフラグを管理する。ユーザから例えば、ファクス送信の指示があった場合には、通話中かどうかを示すフラグを参照し、当該フラグが通話中であることを示していれば、ファクス送信を制限する仕組みである。
図1は、本発明の情報処理システム10のシステム構成の一例を示す構成図である。本発明の情報処理システム10は、クライアントPC100、認証サーバ200、複合機300、スマートフォン600がLAN(Local Area Network)等のネットワーク400を介して、相互にデータ通信可能に接続されている。図1のネットワーク400上に接続される各種端末あるいはサーバの構成は一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例があることは言うまでもない。
クライアントPC100は、パーソナルコンピュータのような装置である。ユーザからの操作に基づいて、文書データや画像データを生成する。そして、クライアントPC100に備えるプリンタドライバを通じて、当該文書データや画像データに基づいて、複合機で解釈可能なページ記述言語で記述された印刷データに変換し、複合機300に送信する。
認証サーバ200は、ユーザ認証を行うサーバである。ユーザごとに所持するICカードに含まれるカード番号を複合機300に接続されたカードリーダ500を通じて取得し、取得したカード番号に基づいて、適切なユーザが利用しようとしているのか否かを判断する。また、複合機300の機能を制限するための権限も管理している。ユーザごとに権限が設定されており、ユーザAはカラー印刷を許可するが、ユーザBはカラー印刷を許可しないといった権限を記憶している。
複合機300は、印刷、スキャン、ファクス等の複数の機能を実行可能な装置である。複合機300は、カードリーダ500と通信可能に接続されている。複合機300は、ログインするユーザの権限を認証サーバ200から取得して、当該権限に応じて、複合機300で実行可能な機能を実行できないように制限することができる。尚、本実施形態では、複合機300の各種機能を制限する仕組みとして説明を行うが、複合機に限るものではない。例えば、クライアントPC100のようなパーソナルコンピュータ(情報処理装置)であってもよいし、スマートフォン600のような携帯端末であってもよい。また、その他、機能ごとに実行を制限できる装置であれば、どのような装置(処理装置)であってもよい。
スマートフォン600は、音声通話可能な携帯端末である。音声通話の他にも、メールの作成及び送信や、Webページの閲覧等が行える。また、スマートフォン600には複数のアプリケーションがインストールされており、ユーザからの指示に応じて、当該アプリケーションを起動して、各種機能を実行する。
尚、本実施形態では、このようなシステム構成となっているが、これに限らない。例えば、クライアントPC100がスマートフォン600であってもよいし、複合機300が認証サーバ200の機能を備えていていもよい。
図2は、本発明の各実施形態におけるクライアントPC100、認証サーバ200、スマートフォン600のハードウェア構成を示す図である。
CPU201は、システムバス204に接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御する。
また、ROM202あるいは外部メモリ211には、CPU201の制御プログラムであるBIOS(Basic Input / OutputSystem)やオペレーティングシステムプログラム(以下、OS)や、各サーバ或いは各PCの実行する機能を実現するために必要な各種プログラム等が記憶されている。RAM203は、CPU201の主メモリ、ワークエリア等として機能する。
CPU201は、処理の実行に際して必要なプログラム等をRAM203にロードして、プログラムを実行することで各種動作を実現するものである。
また、入力コントローラ(入力C)205は、キーボード等の入力デバイス209や不図示のマウス等のポインティングデバイスからの入力を制御する。スマートフォン600は、音声通話で使用するマイクや、ディスプレイ210と一体型のタッチパネル等と入力コントローラ205が接続されている。
ビデオコントローラ(VC)206は、ディスプレイ210等の表示器への表示を制御する。表示器はCRTや液晶ディスプレイでも構わない。
メモリコントローラ(MC)207は、ブートプログラム、ブラウザソフトウエア、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、各種データ等を記憶するハードディスク(HD)やフレキシブルディスク(FD)或いはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるカード型メモリ等の外部メモリ211へのアクセスを制御する。
通信I/Fコントローラ(通信I/FC)208は、ネットワークを介して、外部機器と接続・通信するものであり、ネットワークでの通信制御処理を実行する。例えば、TCP/IPを用いたインターネット通信等が可能である。スマートフォン600は、更に通話用の電話回線と通信可能に接続されている。
尚、CPU201は、例えばRAM203内の表示情報用領域へアウトラインフォントの展開(ラスタライズ)処理を実行することにより、ディスプレイ210上での表示を可能としている。また、CPU201は、ディスプレイ210上の不図示のマウスカーソル等でのユーザ指示を可能とする。
本発明の各種装置及びサーバが後述する各種処理を実行するために用いられる各種プログラム等は外部メモリ211に記録されており、必要に応じてRAM203にロードされることによりCPU201によって実行されるものである。さらに、本発明に係わるプログラムが用いる定義ファイルや各種情報テーブルは外部メモリ211(記憶手段)に格納されている。
次に、複合機300のハードウェア構成の一例について図3を用いて説明する。
コントローラユニット316は、画像入力デバイスとして機能するスキャナ部314や、画像出力デバイスとして機能するプリンタ部312と接続する一方、LANやWANと接続することで、画像データやデバイス情報の入出力を行う。
CPU301は、システム全体を制御するプロセッサである。RAM302は、CPU301が動作するためのシステムワークメモリであり、プログラムを記録するためのプログラムメモリや、画像データを一時記録するための画像メモリである。
ROM303は、システムのブートプログラムや各種制御プログラムが格納されている。ハードディスクドライブ(HDD)304は、システムを制御するための各種プログラム,画像データ等を格納する。
操作部インタフェース(操作部I/F)307は、操作部308とのインタフェース部であり、操作部308に表示する画像データを操作部308に対して出力する。また、操作部I/F307は、操作部308から本システム使用者が入力した情報(例えば、ユーザ情報等)をCPU301に伝える役割をする。なお、操作部308はタッチパネルを有する表示部を備え、該表示部に表示されたボタンを、ユーザが押下(指等でタッチ)することにより、各種指示を行うことができる。
ネットワークインタフェース(Network I/F)305は、ネットワーク(LAN)に接続し、データの入出力を行う。モデム(MODEM)306は、公衆回線に接続し、FAXの送受信等のデータの入出力を行う。
外部インタフェース(外部I/F)318は、USB(Universal Serial Bus)、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronic Engineers 1394)、プリンタポート、RS−232C(Recommended Standard 232 version C)等の外部入力を受け付けるI/F部であり、本実施形態においては認証で必要となるICカードの読み取り用のカードリーダ500が外部I/F318に接続されている。
更に、CPU301は、この外部I/F318を介してカードリーダ500によるICカードからの情報読み取りを制御し、当該ICカードから読み取られた情報を取得可能である。以上のデバイスがシステムバス309上に配置される。
イメージバスインタフェース(IMAGE BUS I/F)320は、システムバス309と画像データを高速で転送する画像バス315とを接続し、データ構造を変換するバスブリッジである。
画像バス315は、PCIバス(Peripheral Components Interconnect bus)またはIEEE1394で構成される。画像バス315上には以下のデバイスが配置される。
ラスタイメージプロセッサ(RIP)310は、ベクトルデータをビットマップイメージに展開する。
プリンタインタフェース(プリンタI/F)311は、プリンタ部312とコントローラユニット316を接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。
スキャナインタフェース(スキャナI/F)313は、スキャナ部314とコントローラユニット316を接続し、画像データの同期系/非同期系の変換を行う。
画像処理部317は、入力画像データに対し補正、加工及び編集やプリント出力画像データに対して、プリンタの補正、解像度変換等を行う。また、これに加えて、画像処理部317は、画像データの回転や、多値画像データに対してはJPEG(Joint Photographic Experts Group)、2値画像データはJBIG(Joint Bi−level Image Experts Group)等の圧縮伸張処理を行う。
スキャナ部314は、原稿となる紙上の画像を照明し、CCDラインセンサで走査することで、ラスタイメージデータとして電気信号に変換する。原稿用紙は原稿フィーダのトレイにセットし、装置使用者が操作部308から読み取り起動指示することにより、CPU301がスキャナ部314に指示を与え、フィーダは原稿用紙を1枚ずつフィードし原稿画像の読み取り動作を行う。
プリンタ部312は、ラスタイメージデータを用紙上の画像に変換する部分であり、その方式は感光体ドラムや感光体ベルトを用いた電子写真方式、微少ノズルアレイからインクを吐出して用紙上に直接画像を印字するインクジェット方式等があるが、どの方式でも構わない。プリント動作の起動は、CPU301からの指示によって開始する。なお、プリンタ部312には、異なる用紙サイズまたは異なる用紙向きを選択できるように複数の給紙段を持ち、それに対応した用紙カセットを備える。
操作部308は、LCD(Liquid Crystal Display)表示部を有し、LCD上にタッチパネルシートが貼られており、システムの操作画面を表示するとともに、表示してあるキーが押されるとその位置情報を操作部I/F307を介してCPU301に伝える。また、操作部308は、各種操作キーとして、例えば、スタートキー、ストップキー、IDキー、リセットキー等を備える。
ここで、操作部308のスタートキーは、原稿画像の読み取り動作を開始する時などに用いる。スタートキーの中央部には、緑と赤の2色LEDがあり、その色によってスタートキーが使える状態にあるかどうかを示す。また、操作部308のストップキーは、稼働中の動作を止める働きをする。また、操作部308のIDキーは、使用者のユーザIDを入力する時に用いる。リセットキーは、操作部からの設定を初期化する時に用いる。
以上のような構成によって、プリンタ101は、スキャナ部314から読み込んだ画像データをNetwork I/F305からLANに送信し、LANから受信した印刷データをNetwork I/F305を経由してプリンタ部312より印刷出力することができる。
また、スキャナ部314から読み込んだ画像データをモデム306により、公衆回線上にFAX送信し、公衆回線からFAX受信した画像データをプリンタ部312により出力することできる。
次に、クライアントPC100、認証サーバ200、複合機300、スマートフォン600のモジュール構成を示す機能構成図について、図4を用いて説明する。尚、図4の各種端末あるいはサーバのモジュール構成は一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例があることは言うまでもない。
クライアントPC100は、印刷データ生成部150を備える。印刷データ生成部150は、クライアントPC100にインストールされたアプリケーションから受け取ったデータに基づいて印刷データ(ジョブ)を生成し、当該印刷データを複合機300等へ送信することができる。
認証サーバ200は、複合機通信部250、認証テーブル管理部251を備える。複合機通信部250は、複合機300から送られる認証要求の送受信を行う。認証テーブル管理部251は、認証サーバ200内で管理する認証テーブルにアクセスし、認証要求されたカード番号に紐づいたユーザ情報を検索する。合わせて、スマートフォン600が通話中であった場合の権限を取得し、認証結果として複合機に返す。
複合機300は、本体制御アプリケーションとして、ジョブ受信部350、カードリーダ制御部351、認証部352、表示制御部353、アプリケーション部354を備え、組み込みアプリケーションとして、スマートフォン通信部355、認証サーバ通信部356、ログイン情報管理部357を備える。本体制御アプリケーションとは、複合機300に元々備えているアプリケーションである。組み込みアプリケーションとは、複合機300に備える本体制御アプリケーションに加えて、様々な機能を追加・変更することの可能なアプリケーションである。すなわち、本体制御アプリケーションは、複合機300を製造したメーカーが提供するアプリケーションであり、組み込みアプリケーションは、複合機300を使用または提供するユーザが、必要な機能をエンベデッドすることが可能なアプリケーションということである。
ジョブ受信部350は、クライアントPC100の印刷データ生成部150から送信された印刷データ(ジョブ)を受信し、紙文書に出力する。カードリーダ制御部351は、カードリーダ500にかざされたカード情報(製造番号)を取得する。そして、認証サーバ通信部356に取得したカード情報を渡す。認証部352は、認証システム全般の制御及び、認証に成功した際には、認証サーバ200から受信した権限に基づいて、複合機の利用を許可させる(ログインさせる)。表示制御部353(表示手段)は、ログイン成功後、ユーザの権限を元に複合機の機能画面を表示する。アプリケーション部354は、複合機300のプリント・ファクス等のアプリケーション機能を示し、アプリケーション実行時等、各アプリケーション任意のタイミングでユーザの権限を取得し、制御をおこなう。
スマートフォン通信部355は、ログインする/ログインしているユーザのスマートフォンに対し、現在の状態の取得要求を行う。認証サーバ通信部356は、カードリーダ制御部351から取得したカード番号を認証サーバ200に送信することで、認証要求を行う。ログイン情報管理部357は、認証サーバ200から取得したユーザの権限を管理し、適宜更新等を行う。
次に、第1の実施形態における処理の詳細な説明を図5から図10を用いて説明する。
まず、第1の実施形態におけるユーザ認証からログインまでの一連の処理の一例について、図5に示すフローチャートを用いて説明する。
ステップS100では、複合機300の認証部352が、不図示のICカード認証画面を表示する。この時、カードリーダ500はICカードの読み取りが可能な状態とし、カードリーダ500にICカードがかざされることによって、カードリーダ制御部351に対し、ICカードに含まれるカード番号を含むイベントを送信する。ICカードには当該ICカードを一意に識別可能な番号(カード番号)を保持している。カードリーダ500に対してICカードがかざされると、このカード番号を取得できる。
ステップS101では、複合機300のカードリーダ制御部351が、カードリーダ500から送信されたイベントを受信する。ステップS102では、複合機300の認証部352が、ステップS102で取得したイベントからICカードのカード番号を取得する。ステップS103では、複合機300の認証サーバ通信部356が、認証サーバに対しユーザ認証の要求を送信する。この時、取得したカード番号を合わせて送信する。
ステップS104では、認証サーバ200の複合機通信部250が、ステップS103で送信された認証要求を受信する。そして、ステップS105では、認証サーバ200の認証テーブル管理部251が、認証サーバ200内で管理する認証テーブル700を取得する。
認証テーブル700(図7参照)は、ユーザ認証を行うためのテーブルである。認証テーブル700は、カード番号701、ユーザ名702、スマートフォンホスト名703、コピー機能704、スキャン機能705、送信機能706から構成される。カード番号701は、ICカードに含まれるカードの番号である。ユーザ名702は、当該ICカードを所持するユーザの名称を示す。スマートフォンホスト名703は、当該ユーザが所持するスマートフォンのホスト名を示す。スマートフォンホスト名703は、IPアドレスやMACアドレスでもよい。コピー機能704、スキャン機能705、送信機能706は、当該ユーザが複合機300で利用可能な機能を示す情報である。例えば、ユーザ名702が「USER−001」のユーザの送信機能706の権限は、Eメール送信もファクス送信もSMB送信も「許可する」となっており、どの機能も利用することができる。しかし、ユーザ名702が「USER−002」のユーザの送信機能706は、Eメール送信とファクス送信が「許可しない」となっており、この2つの機能は利用することができない。このように、ユーザごとに複合機300で利用可能な機能が権限によって制限されている。尚、本実施形態では、コピー機能704、スキャン機能705、送信機能706を複合機300で利用可能な機能としているが、これ以外の機能について権限で制御してもよい。
ステップS106では、認証サーバ200の認証テーブル管理部251が、ステップS105で取得した認証テーブル700内に、ステップS104で取得したカード番号が登録されているか否かを判定する。当該カード番号が登録されている場合には、ステップS107に処理を進め、登録されていない場合には、ステップS108に処理を進める。
ステップS107では、認証サーバ200の認証テーブル管理部251が、ステップS106でヒットしたレコード(以下、ユーザ情報)を取得する。一方、ステップS108では、認証サーバ200の認証テーブル管理部251が、当該カード番号が未登録だったため、認証NGの結果データを生成する。
認証が成功したステップS107に続き、ステップS109では、認証サーバ200の認証テーブル管理部251が、認証サーバ200内で管理する通話中権限情報710を取得する。
通話中権限情報710(図7参照)は、ユーザがスマートフォン600で通話をしている時に制限される機能を示す。通話中権限情報710は、コピー機能711、スキャン機能712、送信機能713を備えるが、前述したコピー機能704、スキャン機能705、送信機能706と同様である。通話中だった場合に変更したい権限を通話中権限情報710に設定しておくと、通話中には当該権限で機能が制限されることになる。例えば、図7に示す通話中権限情報710では、通話中には、送信機能713のEメール送信とファクス送信の利用を許可しないように設定してある。
ステップS110では、認証サーバ200の複合機通信部250が、複合機に対して認証結果を送信する。認証成功ときは、認証が成功した旨を示す情報と、ステップS107で取得したユーザ情報と、ステップS109で取得した通話中権限情報710とを複合機に送信する。認証失敗したときは、ステップS108で生成されたデータを複合機300に送信する。
ステップS111では、複合機300の認証サーバ通信部356が、ステップS110で送信された認証結果を受信する。ステップS112では、複合機300の認証部352が、認証結果を判定する。認証成功時はステップS114に処理を進め、認証失敗時はステップS113に処理を進める。
ステップS113では、複合機300の表示制御部353が、不図示のICカード認証エラー画面を表示し、処理を終了する。
一方、認証が成功した場合、ステップS114では、複合機300のログイン情報管理部357が、ステップS111で受信した認証結果に含まれる当該ユーザの権限情報(コピー機能704、スキャン機能705、送信機能706)と、通話中権限情報710とを比較する。当該ユーザの権限情報が、通話中権限情報710よりも強い場合(多くの機能が使える場合)ステップS117に処理を進め、当該ユーザの権限情報が、通話中権限情報710よりも弱い場合、ステップS115に処理を進める。
ステップS115では、複合機300のログイン情報管理部357が、ステップS111で受信した認証結果を用いて複合機にログインするログイン情報800を生成する。ログイン情報800(図8参照)には、当該ユーザの権限情報を含むユーザ情報と、通話中権限情報710と、当該ユーザの通話フラグ801とが含まれる。ここで、当該ユーザは通話状態であるか否かにかかわらず、利用できる機能が変わらないため、複合機300のログイン情報管理部357が通話フラグ801に「2」(通話状態による機能差異なし)を格納する。
通話フラグ801には、本実施形態では3種類のフラグが格納される。「0」が格納されている場合には、スマートフォン600で通話中でないことを示す。「1」が格納されている場合には、スマートフォン600で通話中であることを示す。「2」が格納されている場合には、通話中か否かにかかわらず、利用可能な機能に差異がないことを示す。後述する処理においてこの通話フラグ801の状態を見て、機能の制限を実行する。
ステップS116では、複合機300の認証部352が、ステップS115で生成したログイン情報800を用いて、複合機にログインする。より具体的には、ログイン情報800に含まれる権限情報を用いて、複合機300のアプリケーション部354の実行を制御する。機能の実行を許可しないものについては、機能を選択可能に表示しないことや、機能の実行時にエラーを表示する等が考えられる。
一方、ユーザの権限情報が、通話中権限情報710よりも強い場合、ステップS117では、複合機300のスマートフォン通信部355が、当該ユーザのスマートフォン600に対し、スマートフォン状態取得要求を送信する。当該ユーザのスマートフォン600の宛先は、ステップS111で受信した認証結果のうち、ユーザ情報に含まれるスマートフォンホスト名703に基づいて特定する。
ステップS118では、スマートフォン600の複合機通信部250が、複合機から送信されたスマートフォン600の状態取得要求を受信する。そして、ステップS119では、スマートフォン600の状態取得部651が、スマートフォン600が通話中か否かの状態を取得する。より具体的には、スマートフォン600に複合機300からの状態取得要求を受け付け可能なアプリケーションがインストールされており、当該アプリケーションが複合機300からの要求を受け付けると、スマートフォン600が通話中か否かの状態を取得する。スマートフォン600に備えるAPI(Application Programming Interface)に対して現在の状態を問い合わせることで通話中か否かを判定してもよいし、電話用のアプリケーションが起動しているか否かで判定してもよい。通話中か否かの特定方法はこれに限らない。
ステップS120では、スマートフォン600の複合機通信部250が、ステップS119で取得したスマートフォンの状態(使用状態)を複合機に送信する。
ステップS121では、複合機300のスマートフォン通信部355が、ステップS120で送信されたスマートフォンの状態を取得する。そして、ステップS122では、複合機300のログイン情報管理部357が、ステップS111で受信した認証結果と、ステップS121で受信したスマートフォンの状態結果を用いて前述したログイン情報800を生成する。ここで、複合機300のログイン情報管理部357が、ステップS121で受信したスマートフォンの状態が通話中であれば通話フラグ801に「1」を格納し、通話中でなければ「0」を格納する。
ステップS123では、複合機300のログイン情報管理部357が、ステップS121で取得したスマートフォンの状態を判定する。通話中であれば、ステップS124に処理を進め、通話中でなければステップS126に処理を進める。
ステップS124では、複合機300の表示制御部353が、スマートフォン600でユーザが通話中のため、一部の機能が制限されていることを通知する機能制限ダイアログ(通話中)600(図6参照)を表示する。一方、ステップS123で通話中でないと判定された場合には、ログインした時点では機能が制限されていないので、この画面が表示されない。
ステップS125では、複合機300の表示制御部353が、ステップS124で表示した機能制限ダイアログ(通話中)600に備えられたOKボタンが押下されたか否かを判定する。OKボタンが押下された場合、ステップS126に処理を進める。OKボタンが押下されていない場合、そのまま待機する。
ステップS126では、複合機300の認証部352が、ステップS122で生成したログイン情報800を複合機300のRAM302等に一時記憶し、複合機300にログインする。そして、当該ユーザの権限情報に基づいて、利用を許可しない機能のメニューを非表示(または選択不可能な状態)にしたメニュー画面(不図示)を表示する。この段階でログイン情報800に含まれる通話中権限情報710も用いて、利用を許可しない機能のメニューを非表示にする仕組みが考えられるが、本実施形態ではこれらは表示したままとする。つまり、実行指示は受け付けられる状態とする。例えば、通話中のユーザがログインする際、複合機300が通話中権限情報710に基づいて制限する機能のメニューを非表示にしてしまうと、ログイン後に通話を終了した場合であっても当該機能のメニューを選択できなくなってしまう。そのため、通話しながらログインした場合であっても、メニューは非表示にしない。後述するが、本実施形態では、機能の実行が指示された場合に、通話中かどうかに応じて当該機能の実行を制限するかどうか判定するようにしている。こうすることで、この問題を解決している。
ログインができたら、ステップS127では、複合機300のログイン情報管理部357は、後述する図9に示すステップS200乃至209に示すスマートフォンの状態を追跡する処理を開始する。
次に、第1の実施形態におけるスマートフォン600の現在の状態を追跡する処理の一例について、図9に示すフローチャートを用いて説明する。
ステップS200では、複合機300のログイン情報管理部357が、当該ユーザが複合機300にログイン中か否かを判定する。ログイン中か否かについては、認証部352が管理しているので、この情報を利用する。ログイン中であればステップS201に処理を進め、ログイン中でなければ処理を終える。
ステップS201では、複合機300のスマートフォン通信部355が、当該ユーザのスマートフォン600に対し、スマートフォンの現在の状態の取得要求を送信する。当該ユーザのスマートフォン600の宛先は、ステップS111で受信した認証結果のうち、ユーザ情報に含まれるスマートフォンホスト名703に基づいて特定する。
ステップS202では、スマートフォン600の複合機通信部250が、複合機から送信されたスマートフォン600の状態取得要求を受信する。そして、ステップS203では、スマートフォン600の状態取得部651が、ユーザからの操作に応じてスマートフォン600が通話中か否かの状態を取得する。
ステップS204では、スマートフォン600の複合機通信部250が、ステップS203で取得したスマートフォンの使用状態を複合機に送信する(使用状態送信手段)。ステップS205では、複合機300のスマートフォン通信部355が、ステップS204で送信されたスマートフォンの状態を取得する(使用状態受信手段)。
ステップS206では、複合機300のログイン情報管理部357が、ステップS205で受信したスマートフォンの状態と、当該ユーザのログイン情報800に含まれる通話フラグ801とを比較する。通話状態に変化があれば(通話中だったが通話を終了した、または通話中になった場合)、ステップS207に処理を進め、通話状態に変化が無ければ(通話中のまま、または通話が開始されていない場合)、ステップS200に処理を戻す。
ステップS207では、複合機300のログイン情報管理部357が、当該ユーザのログイン情報800に含まれる通話フラグ801を更新する。より具体的には、通話が開始されたのであれば、通話フラグ801を「0」から「1」に更新する。逆に、通話が終了したのであれば、通話フラグ801を「1」から「0」に更新する。
ステップS208では、複合機300のログイン情報管理部357が、スマートフォン600で通話が開始されたか否かを判定する。つまり、通話フラグ801が「0」から「1」に更新されたか否かを判定する。通話が開始されたと判定された場合には、ステップS209に処理を進め、そうでない場合には、ステップS200に処理を戻す。
ステップS209では、複合機300の表示制御部353が、前述したステップS124で表示した機能制限ダイアログ(通話中)600を表示する。ログイン前から通話中のユーザは、前述したステップS124において、通話中は機能が制限される旨を通知しているが、ログイン後に通話を開始したユーザには、通知がなされていない。そのため、機能が制限されていることを認識せずに複合機300を操作し、機能の実行を指示して初めて、エラーが通知されることになる。これでは、ユーザの利便性が低下してしまうので、通話が開始された場合に、機能制限ダイアログ(通話中)600を表示する。こうすることで、通話を開始したユーザに対しても機能が制限される旨を通知できるようになる。
このようにして、ユーザがログインしている間は、常にスマートフォン600の使用状態(通話状態)を監視し、使用状態が変わったか否かを管理しておく。
図9の別の実施形態として、認証サーバ200、または複合機300及びスマートフォン600と通信可能に接続された不図示のサーバ(以下、認証サーバ200及び不図示のサーバを管理サーバと呼ぶ。)が、複合機300にログインしているユーザが所有するスマートフォン600の状態を監視するようにしてもよい。
この場合、管理サーバは適宜、スマートフォン600に対してステップS201と同様の要求を送信する。そして、スマートフォン600では、前述したステップS202、ステップS203の処理を実行し、実行結果を管理サーバに返信する。このようにして、管理サーバにおいてスマートフォン600の通話状況を常に監視しておく。そして、複合機300からスマートフォン600の現在の状態の取得要求があった場合には、現在ログインしているユーザが所有するスマートフォン600の現在の状態を、複合機300に対して送信する。そして、複合機300では、ステップS205乃至ステップS209を実行する。このようにすることでも、複合機300に対してログイン中のユーザが通話中かどうかを把握することができる。
尚、ユーザが通話中か否かを判断する方法はこれに限らない。例えば、複合機300にマイクを接続しておき、ログイン中のユーザが通話している声が聞こえた場合に通話中と判断してもよいし、スマートフォン600が通話中に発する電波を検知して、通話中と判断してもよい。
次に、第1の実施形態におけるファクス送信を実行する場合の処理の一例について、図10に示すフローチャートを用いて説明する。尚、一例としてファクス送信時の処理を記載する。実際の運用にあたっては、機能をファクスに限定するものではなく、機能制限として制御されているものであれば、どんな機能であっても構わない。
ステップS300では、複合機300の表示制御部353が、不図示のファックス初期画面に備えられたファクス送信ボタンが押下されたか否かを判定する。つまり、宛先や送信する文書の指定が完了し、ファクスの実行が指示されたか否かを判定する。ファクス送信ボタンが押下された場合には、ステップS301に処理を進める。ファクス送信ボタンが押下されていない場合には、そのまま待機する。
ステップS301では、複合機300のアプリケーション部354が、ログイン情報800を取得する。そして、ステップS302では、複合機300のアプリケーション部354が、ステップS301で取得したログイン情報800を解析し、当該ユーザの権限で、ファクス処理を実行してよいか否かを判定する。より具体的には、ログイン情報800に含まれるユーザ情報を参照し、当該ユーザ情報の送信機能706のファクス送信が「許可する」となっているか否かを判定する。「許可する」となっていれば、実行してもよい。実行してよい場合はステップS304に処理を進め、実行してはいけない場合、すなわちスマートフォン600で通話中か否かに関わらず、当該ユーザにファクス送信の権限がない場合はステップS303に処理を進める。
ステップS303では、複合機300の表示制御部353が、ファクス送信エラーダイアログ(ユーザ権限不足)620(図6参照)を表示し、処理を終了する。つまり、そもそも当該ユーザにはファクス送信を利用する権限がないため、エラーを通知して処理を終了する。
一方、ファクス送信を利用する権限がある場合、ステップS304では、複合機300のアプリケーション部354が、ステップS301で取得したログイン情報800を解析し、当該ユーザの通話フラグ801が通話中を示すか否かを判定する。通話フラグ801が「1」であれば、通話中である。図9で前述した通り、ユーザがログインしている間スマートフォン600を監視しているので、通話フラグ801は通話中か否かに応じて随時更新されている。その更新の結果、通話中フラグ810に格納されている情報に基づいて、当該ユーザが通話中であると判定された場合には、ステップS305に処理を進め、通話中でないと判定された場合には、ステップS306に処理を進める。つまり、通話中でなければ、後述するステップS309でファクス送信が実行されることになる。
ステップS305では、複合機300のアプリケーション部354が、ステップS301で取得したログイン情報800に含まれる通話中権限情報710に基づいて、通話中でもファクス送信が可能か否かを判定する(機能実行制限手段)。より具体的には、ログイン情報800に含まれる通話中権限情報710を参照し、通話中権限情報710に含まれる送信機能713のファクス送信に「許可する」が格納されている、または何も格納されていない場合には、通話中でもファクス送信が許可されている。「許可しない」が格納されていれば、通話中のファクス送信は許可しない。このように、通話中には通話中権限情報710を参照し、通話中の時の権限で指示された機能を実行可能か否かを判定する。通話中のファクス送信が可能であると判定された場合には、ステップS306に処理を進め、通話中のファクス送信が可能でないと判定された場合には、ステップS310に処理を進める。
先にステップS310以降の処理について説明を行う。ステップS310では、複合機300の表示制御部353が、ファクス送信エラーダイアログ(通話中)610(図6参照)を表示する。当該ダイアログでは、スマートフォン600で通話中であるために、ファクス送信が制限されている旨(保留されている旨)を通知する。ここで、ユーザが通話を終了して、当該ダイアログに備えられたOKボタンが押下されると、ステップS301から処理をやり直すことになる。
ステップS311では、複合機300の表示制御部353が、ファクス送信エラーダイアログ(通話中)610上のOKボタンが押下されたか否かを判定する。押下された場合はステップS301に処理を戻し、押下されない場合はステップS313に処理を進める。すなわち、ユーザは通話を切らない限り、ファクス送信を実施することができない仕組みとなっている。ステップS301に処理を戻す際には、当該OKボタンが押下されたことを示す情報を生成しておく。当該情報は、後述するステップS306で利用する。
ステップS312では、複合機300の表示制御部353が、ファクス送信エラーダイアログ(通話中)610上のキャンセルボタンが押下されたか否かを判定する。押下された場合はステップS310に処理を進め、そうでない場合には、ステップS311に処理を戻す。
ステップS313では、複合機300の表示制御部353が、ファクス送信をキャンセルし、不図示のファクス初期画面を表示し、処理を終了する。
一方、ステップS306では、複合機300のアプリケーション部354が、前述したステップS311でOKボタンが押下されたか否かを判定する。すなわち、一度通話中であると判定され、ファクス送信を待機させられた(保留させられた)か否かを判定する。ファクス送信を待機させられた場合には、ステップS307に処理を進め、そうでない場合には、ステップS309に処理を進める。
ステップS307では、複合機300の表示制御部353が、宛先確認画面630(図6参照)を表示する。宛先確認画面630では、ユーザが指定した宛先(内容)が本当に正しいのかどうかを今一度確認させるための画面である。ユーザは通話しながら宛先を指定しているので、間違った宛先が指定されている可能性がある。そのため、一度でも通話中のためにファクス送信が保留された場合には、宛先確認画面630を表示して、ユーザに確認を促すようにすることで、誤送信を防止する。宛先確認画面630で確認し、宛先が間違っていることがわかった場合には、複合機300に備える操作部308を操作することで、宛先を訂正することができる。
ステップS308では、複合機300の表示制御部353が、宛先確認画面630に備えられたOKボタンが押下されたか否かを判定する。OKボタンが押下されたと判定された場合には、ステップS309に処理を進める。OKボタンが押下されたと判定されなかった場合には、そのまま待機する。
ステップS309では、複合機300のアプリケーション部354が、ユーザから指定された宛先に対してファクス送信を実行し、処理を終了する。
このように、ログイン中のユーザが通話中である場合には、通常の権限ではなく、通話中の権限で機能を実行可能かどうかを判定することができるようになるので、通話中の権限を通常の権限よりも厳しい権限で設定しておけば、通話中の誤操作を防止することが可能となる。
次に、第2の実施形態について説明を行う。第1の実施形態では、ログイン情報800に通話フラグ801を設け、複合機300が備える本体制御アプリケーションの機能が通話フラグ801のON/OFFに応じて、参照する権限の情報を切り替えていた。しかしながら、このような仕組みを実現する場合、複合機300の本体制御アプリケーションの仕組みを変更する必要がある。基本的に、複合機300の本体制御アプリケーションは、当該複合機300を製造するメーカーでないと、機能の追加や変更を行うことはできない。そのため、第2の実施形態では、複合機300の本体制御アプリケーションには手を入れずに、複合機300を製造するメーカー以外も改修を加えることができる組み込みアプリケーションで、通話中の権限を適切に管理可能な仕組みを説明する。
第2の実施形態におけるシステム構成、ハードウェア構成、モジュール構成は、前述した第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。以下、図11から図14を用いて、第2の実施形態について説明を行うが、第2の実施形態は第1の実施形態の派生形であるので、第1の実施形態と同様の部分については、説明を省略する。尚、図11、図13、図14の各フローチャートは、前述した図5、図9、図10の各フローチャートに対応するものであり、第1の実施形態と異なる部分を破線で囲んでいる。
まず、第2の実施形態におけるユーザ認証からログインまでの一連の処理の一例について、図11に示すフローチャートを用いて説明する。
第2の実施形態の図11は、第1の実施形態の図5のステップS122における処理が異なる。それ以外の処理については、図5と同様であるので、説明を省略する。
ステップS401では、複合機300のログイン情報管理部357が、ステップS111で受信した認証結果と、ステップS121で受信したスマートフォンの状態結果を用いて前述した図12の1200に示すようなログイン情報800を生成する。
より具体的には、ステップS121で受信した情報に基づいて、スマートフォン600が通話中であるか否かを判定し、通話中であると判定された場合には、ステップS111で受信したユーザ情報と通話中権限情報710とに基づいて、ユーザ情報の権限を書き換える。一方、通話中でないと判定された場合には、何もしない。こうしてできたユーザ情報を含めた図12の1200に示すログイン情報を生成する。
例えば、図12に示すように、ユーザ情報に含まれる送信機能706のEメール送信とファクス送信が「許可する」となっているが、通話中である場合には、これらを、通話中権限情報710に含まれる送信機能713のEメール送信とファクス送信の「許可しない」に書き換えてしまう。そして、権限を変更した履歴(Eメール送信「許可する→許可しない」、ファクス送信「許可する→許可しない」)を残しておく。こうすることで、前述した通話フラグ801を設けたり、参照する権限を切り替えたりすることなく、通話中の機能制限を行うことができる。
次に、第2の実施形態におけるスマートフォン600の現在の状態を追跡する処理の一例について、図13に示すフローチャートを用いて説明する。
第2の実施形態の図13は、第1の実施形態の図9のステップS207乃至ステップS209における処理が異なる。それ以外の処理については、図9と同様であるので、説明を省略する。
ステップS501では、複合機300のログイン情報管理部357が、当該ユーザのログイン情報800のユーザ情報に含まれる各権限を更新する。より具体的には、通話が開始された場合には、前述したステップS401と同様に、ユーザ情報の権限を通話中権限情報710で書き換えて、変更履歴を残す。逆に、通話が終了した場合には、ユーザ情報の権限を変更履歴に基づいて元に戻す。図12に示すように、通話中であることから、Eメール送信とファクス送信が「許可しない」に書き換えられている場合に、通話を終了すると、変更履歴に基づいて、元の「許可する」に戻す。このようにして、通話をしている時と通話をしていない時の権限を書き換える。
ステップS502では、複合機300のログイン情報管理部357が、ステップS205で受信した情報に基づいて、スマートフォン600で通話が開始されたか否かを判定する。通話が開始されたと判定された場合には、ステップS209に処理を進め、そうでない場合には、ステップS200に処理を戻す。
以上のようにして、随時ユーザの権限を書き換えていく。組み込みアプリケーションの機能で権限を書き換えているので、本体制御アプリケーションは、書き換えられた権限を参照するだけでよく、参照先の権限を切り替える必要がない。
次に、第2の実施形態におけるファクス送信を実行する場合の処理の一例について、図14に示すフローチャートを用いて説明する。尚、一例としてファクス送信時の処理を記載する。実際の運用にあたっては、機能をファクスに限定するものではなく、機能制限として制御されているものであれば、どんな機能であっても構わない。
第2の実施形態の図14は、第1の実施形態の図10のステップS301乃至ステップS310における処理が異なる。それ以外の処理については、図10と同様であるので、説明を省略する。
ステップS601では、複合機300のアプリケーション部354が、図12の1200に示すようなログイン情報800を取得する。そして、ステップS302では、複合機300のアプリケーション部354が、ステップS301で取得したログイン情報800を解析し、当該ユーザの権限で、ファクス処理を実行してよいか否かを判定する。より具体的には、ログイン情報800に含まれるユーザ情報を参照し、当該ユーザ情報の送信機能706のファクス送信が「許可する」となっているか否かを判定する。「許可する」となっていれば、実行してもよい。実行してよい場合はステップS603に処理を進め、実行してはいけない場合、すなわち当該ユーザにファクス送信の権限がない場合はステップS604に処理を進める。
ステップS603では、複合機300のアプリケーション部354が、ユーザから指定された宛先に対してファクス送信を実行し、処理を終了する。一方、ステップS604では、複合機300の表示制御部353が、ファクス送信エラーダイアログ(ユーザ権限不足)610(図6参照)を表示する。そして、ステップS605では、複合機300の表示制御部353が、当該ダイアログに備えられたOKボタンが押下されたか否かを判定する。OKボタンが押下されたと判定された場合いは、ステップS606に処理を進め、そうでない場合には、そのまま待機する。
ステップS606では、複合機300の表示制御部353が、ファクス送信をキャンセルし、不図示のファクス初期画面を表示し、処理を終了する。
以上のように、前述した第1の実施形態のように、通話フラグ801を参照して通話中か否かを判定し、通話中であった場合に参照する権限を通話中権限情報710に切り替えなくとも、ユーザの権限が随時書き換えられているので、ファクス送信時にその権限に応じて送信の制御をすることができる。
次に、第3の実施形態について説明を行う。第1の実施形態と第2の実施形態では、スマートフォン600が通話中である時に、複合機300の機能を制限する仕組みであった。しかしながら、誤操作が発生する原因は通話だけではないことが多い。例えば、スマートフォン600で電子メールを作成しながらファクス送信を行う場合も、誤った宛先を設定しやすい。スマートフォン600で何かをしながら、複合機300を操作すると誤操作を起こす可能性が高くなる。ただ、前述したように、スマートフォン600に記載された宛先を見ながら、ファクス送信の宛先を入力することもあるため、複合機300を使用している最中にスマートフォン600の利用を一律に禁止することはできない。
そこで、第3の実施形態は、アプリケーションごとに制限する権限を設定しておき、ユーザが使用中のアプリケーションに応じた権限制御を行うことができる仕組みである。
第3の実施形態におけるシステム構成、ハードウェア構成、モジュール構成は、前述した第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。以下、図15から図20を用いて、第3の実施形態について説明を行うが、第3の実施形態は第1の実施形態の派生形であるので、第1の実施形態と同様の部分については、説明を省略する。尚、図15、図19、図20の各フローチャートは、前述した図5、図9、図10の各フローチャートに対応するものであり、第1の実施形態と異なる部分を破線で囲んでいる。
まず、第3の実施形態におけるユーザ認証からログインまでの一連の処理の一例について、図15に示すフローチャートを用いて説明する。
第3の実施形態の図15は、第1の実施形態の図5のステップS119乃至ステップS124における処理が異なる。それ以外の処理については、図5と同様であるので、説明を省略する。
ただし、第3の実施形態では、通話中権限情報710をアプリ権限情報1600(図16参照)に読み替えるものとする。アプリ権限情報1600は、スマートフォン600で動作するアプリケーションごとに複合機300の利用権限が設定されている。アプリ権限情報1600は、アプリ名1601、コピー機能711、スキャン機能712、送信機能713を備える。アプリ名1601は、スマートフォン600で動作するアプリケーションの名称である。当該アプリケーションを識別できる情報であれば、これに限らない。コピー機能711、スキャン機能712、送信機能713は、前述した通話中権限情報710のコピー機能711、スキャン機能712、送信機能713と同様である。
例えば、図16に示すアプリ権限情報1600で、アプリ名1601が「アプリ2」を示すレコードは、スキャン機能712のスキャンと、送信機能713のファクス送信が「許可しない」となっている。つまり、ログイン中のユーザがスマートフォン600で「アプリ2」が使用されている時には、スキャンとファクス送信の実行を制限することを示している。
まず、ステップS118に続き、ステップS701では、スマートフォン600の状態取得部651が、スマートフォン600で使用中のアプリケーションを特定し、これに関する情報(以下、アプリ使用情報)を取得する。より具体的には、スマートフォン600に複合機300からの状態取得要求を受け付け可能なアプリケーションがインストールされており、当該アプリケーションが複合機300からの要求を受け付けると、スマートフォン600がユーザが使用中のアプリケーションを特定する。スマートフォン600に備えるAPI(Application Programming Interface)に対して現在の状態を問い合わせることで使用中のアプリケーションを特定してもよいし、これ以外の方法でもよい。尚、本実施形態における使用中のアプリケーションとは、スマートフォン600の画面でユーザからの操作を受け付けているアプリケーションであり、マルチタスクによって起動だけしていて、ユーザからの操作を受け付けていないアプリケーションではない。アプリケーションは起動しているが、操作を受け付けていないのであれば、ユーザは当該アプリケーションを操作していないことがわかる。そのため、複合機300の操作に集中しているものと考えられるので、権限の制御をすべきではない。よって、使用中のアプリケーションは、ユーザから操作を受け付けているアプリケーションとする。
ステップS702では、スマートフォン600の複合機通信部250が、ステップS701で取得したスマートフォン600の状態、つまりアプリ使用情報を複合機に送信する。ここで、スマートフォン600で使用中のアプリケーションがなければ、アプリ使用情報として「NULL」を送信する。
ステップS703では、複合機300のスマートフォン通信部355が、ステップS702で送信されたアプリ使用情報を取得する。そして、ステップS704では、複合機300のログイン情報管理部357が、ステップS111で受信した認証結果と、ステップS703で受信したアプリ使用情報を用いて、図17に示すようなログイン情報800を生成する。図17に示すログイン情報800は、ステップS111で受信した認証結果に含まれるユーザ情報と、アプリ権限情報1600を含み、更に使用中アプリ名1701を備える。使用中アプリ名1701は、ステップS703で受信したアプリ使用情報に基づいて、現在ログインしているユーザのスマートフォン600で使用されているアプリケーションの名称を格納する。使用中アプリ名1701に格納されるアプリケーションの名称は、アプリ権限情報1600のアプリ名1601に対応する名称である。より具体的には、ステップS703で受信したアプリ使用情報に基づいて、アプリ名1601に該当するアプリケーションが使用中であるか否かを判定し、アプリ名1601に該当するアプリケーションである場合には、当該アプリケーションの名称を使用中アプリ名1701に格納する。そうでない場合には、格納しない。アプリ使用情報が「NULL」である場合には、ステップS703で受信した「NULL」を格納する。
ステップS705では、複合機300のログイン情報管理部357が、アプリ権限情報1600のアプリ名1601に格納されたアプリケーションと同じアプリケーションが、ログインしたユーザのスマートフォン600で使用中か否かを判定する。より具体的には、使用中アプリ名1701に格納された情報が、アプリ名1601に存在するか否かを判定する。アプリ名1601に格納されたアプリケーションと同じアプリケーションが、ログインしたユーザのスマートフォン600で使用中であると判定された場合には、ステップS706に処理を進め、アプリ名1601に格納されたアプリケーションと同じアプリケーションが、ログインしたユーザのスマートフォン600で使用中でないと判定された場合には、ステップS126に処理を進める。
ステップS706では、複合機300の表示制御部353が、機能制限ダイアログ(アプリ使用中)1800(図18参照)を表示する。機能制限ダイアログ(アプリ使用中)1800では、ユーザがスマートフォン600で特定のアプリケーションを使用中であるので、複合機300の所定の機能の実行が制限される旨を通知している。
次に、第3の実施形態におけるスマートフォン600の現在の状態を追跡する処理の一例について、図19に示すフローチャートを用いて説明する。
第3の実施形態の図19は、第1の実施形態の図9のステップS206乃至ステップS208における処理が異なる。それ以外の処理については、図9と同様であるので、説明を省略する。尚、図19におけるステップS203乃至ステップS205は、前述した図15のステップS701乃至ステップS703と同様である。
ステップS801では、複合機300のログイン情報管理部357は、アプリケーションの使用状態に変化があったか否かを判定する。つまり、アプリ名1601が示すアプリケーションが使用中になった、使用が終了した、使用中だったが別のアプリケーションが使用中になった等を判定する。より具体的には、ステップS205で受信したアプリ使用情報と、使用中アプリ名1701とを比較することで、相違があれば使用状態に変化があったと判定する。アプリケーションの使用状態に変化があったと判定された場合には、ステップS802に処理を進め、そうでない場合には、ステップS200に処理を戻す。
ステップS802では、複合機300のログイン情報管理部357が、ステップS205で受信したアプリ使用情報が示す現在使用中のアプリケーションが、アプリ名1601にヒットするアプリケーションである場合には、使用中アプリ名1701に現在使用中のアプリケーションの名称で更新する。使用が終了した場合や、使用していなかった場合には、ステップS204で「NULL」が返信されているので、使用中アプリ名1701には「NULL」を格納する。
ステップS803では、複合機300のログイン情報管理部357が、ログイン中のユーザのスマートフォン600で、アプリ名1601が示すアプリケーションの使用が開始されたか否かを判定する。より具体的には、使用中アプリ名1701に使用中のアプリケーションの名称が格納された場合に、使用が開始されたと判定する。アプリケーションの使用が開始されたと判定された場合には、ステップS209に処理を進め、そうでない場合には、ステップS200に処理を戻す。このようにして、ユーザがログインしている最中には、随時スマートフォン600のアプリケーションの使用状態を監視し、複合機300で管理する使用中アプリ名1701を更新していく。
次に、第3の実施形態におけるファクス送信を実行する場合の処理の一例について、図20に示すフローチャートを用いて説明する。尚、一例としてファクス送信時の処理を記載する。実際の運用にあたっては、機能をファクスに限定するものではなく、機能制限として制御されているものであれば、どんな機能であっても構わない。
第3の実施形態の図20は、第1の実施形態の図10のステップS304、ステップS305、ステップS310における処理が異なる。それ以外の処理については、図10と同様であるので、説明を省略する。
ステップS901では、複合機300のアプリケーション部354が、ステップS301で取得した図17に示すログイン情報800を解析し、アプリ名1601に示すいずれかのアプリケーションが、ログイン中のユーザのスマートフォン600で使用中であるか否かを判定する。より具体的には、使用中アプリ名1701が「NULL」でない、つまり、使用中のアプリケーションの名称が格納されているか否かを判定する。アプリ名1601に示すいずれかのアプリケーションがログイン中のユーザのスマートフォン600で使用中であると判定された場合には、ステップS902に処理を進め、アプリ名1601に示すいずれかのアプリケーションが、ログイン中のユーザのスマートフォン600で使用中でないと判定された場合には、ステップS306に処理を進める。
ステップS902では、複合機300のアプリケーション部354が、ステップS301で取得した図17に示すログイン情報800に含まれるアプリ権限情報1600に基づいて、使用中アプリ名1701が示すアプリケーションを使用中でもファクス送信が可能か否かを判定する。より具体的には、図17に示すログイン情報800に含まれるアプリ権限情報1600を参照し、使用中アプリ名1701が示すアプリケーションの名称に対応するアプリ名1601を特定する。当該特定されたレコードの送信機能713のファクス送信に「許可する」が格納されている、または何も格納されていない場合には、通話中でもファクス送信が許可されている。「許可しない」が格納されていれば、通話中のファクス送信は許可しない。このように、所定のアプリケーションを使用している時にはアプリ権限情報1600を参照し、当該アプリケーションを使用中の権限で指示された機能を実行可能か否かを判定する。ファクス送信が可能であると判定された場合には、ステップS306に処理を進め、ファクス送信が可能でないと判定された場合には、ステップS903に処理を進める。
ステップS903では、複合機300の表示制御部353が、ファクス送信エラーダイアログ(アプリ使用中)1810(図18参照)を表示する。当該ダイアログでは、スマートフォン600で所定のアプリケーションを使用中であるために、ファクス送信が制限されている旨(保留されている旨)を通知する。ここで、ユーザがアプリケーションの使用を終了して、当該ダイアログに備えられたOKボタンが押下されると、ステップS301から処理をやり直すことになる。
このように、ログイン中のユーザが有するスマートフォン600で使用中のアプリケーションに応じて、複合機300で実行可能な機能を制限することが可能となるので、複合機300を使用している最中でもスマートフォン600の使用を一律制限することなく、柔軟に複合機300の機能を制限することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、携帯端末の使用状態を画像処理装置に送信し、画像処理装置は受信した使用状態に応じて所定の機能の実行を制限することが可能となるので、携帯端末を操作しながら画像処理装置を操作する場合であっても、適切に機能を制限することができる効果を奏する。
本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラム若しくは記憶媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用してもよいし、また、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システム或いは装置に直接、或いは遠隔から供給するものを含む。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合も本発明に含まれる。
したがって、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RWなどがある。また、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVD(DVD−ROM,DVD−R)などもある。
その他、プログラムの供給方法としては、クライアントコンピュータのブラウザを用いてインターネットのホームページに接続する。そして、前記ホームページから本発明のコンピュータプログラムそのもの、若しくは圧縮され自動インストール機能を含むファイルをハードディスク等の記録媒体にダウンロードすることによっても供給できる。
また、本発明のプログラムを構成するプログラムコードを複数のファイルに分割し、それぞれのファイルを異なるホームページからダウンロードすることによっても実現可能である。つまり、本発明の機能処理をコンピュータで実現するためのプログラムファイルを複数のユーザに対してダウンロードさせるWWWサーバも、本発明に含まれるものである。
また、本発明のプログラムを暗号化してCD−ROM等の記憶媒体に格納してユーザに配布し、所定の条件をクリアしたユーザに対し、インターネットを介してホームページから暗号化を解く鍵情報をダウンロードさせる。そして、ダウンロードした鍵情報を使用することにより暗号化されたプログラムを実行してコンピュータにインストールさせて実現することも可能である。
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。その他、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOSなどが、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
さらに、記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。
なお、前述した実施形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。