以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成や形状等は単なる説明例であり、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
[基本構成](第一実施形態:異なる車種等への共通化)
図1は、本発明の中継システムを用いた車両遠隔操作システムの一例を示している。この図1に基づいて、通信処理の動作を説明しつつ本システムの前提となる基本構成を説明する。このシステムは、車両に設置される車両制御装置1と、車両中継機2と、携帯中継機3と、携帯機4を備える。
車両制御装置1は、車両の所定機器を制御するための装置である。この所定の機器の制御は、例えば、プッシュスタートボタンの押下等のユーザの操作に応じて車両を走行可能な状態に始動するためのもので、例えば内燃機関を動力源とする自動車におけるセルモータのON(エンジン始動)や、電動機(モーター)を動力源とする電気自動車における電動機への電源をONにすること等がある。以下、「エンジンの始動」を行う場合について例示して説明する。
本実施形態の車両制御装置1は、制御対象の車両の機器に対する制御を行うに先立ち、携帯機4に記憶されている認証情報と、車両制御装置1に記憶されている認証情報が合致することを条件の一つとして、エンジンの始動等の制御を行う。
係る処理を行うため、車両制御装置1と携帯機4は、相互に無線通信可能として構成される。係る処理を行うため車両制御装置1は、制御部1aと、送受信部1bと、認証情報記憶部1cを備える。図示省略するが、車両制御装置1は、車両のバッテリーに接続され、当該バッテリーから電力供給を受ける。車両制御装置1は、制御対象の車両の機器との間で例えば有線通信により連係し、所定の機器の制御を行う。認証情報記憶部1cは、不揮発性の記憶手段であり、正規の携帯機4の認証情報を記憶する。認証情報は、例えばIDコード等がある。正規の携帯機4が複数存在する場合、その複数の携帯機4のそれぞれの認証情報を記憶する。
制御部1aは、例えばMPU等により構成する。制御部1aは、制御対象の車両の機器を制御するための制御信号を出力する機能や、認証情報記憶部1cに記憶した認証情報に基づき、正規の携帯機4の存在を確認するための応答要求信号(LFデータ)等の他の装置と通信を行う際のコマンド・データ等を出力する機能等を有する。
送受信部1bは、携帯機4や車両中継機2に実装された送受信部と無線通信を行うものである。送受信部1bは、例えば車載用の送受信用RFICにより構成する。この送受信部1bは、制御部1aから出力される各種のコマンド・データ等のLFデータを第一周波数で無線送信する機能、他の装置から第二周波数で無線送信されてきたコマンド・データ等のRFデータを受信し、制御部1aに渡す機能等を有する。第二周波数は第一周波数よりも高い周波数であり、第二周波数を用いたRFデータの通信可能な距離も長い。一例を示すと、第一周波数は134kHzであり、第二周波数は314MHzである。
携帯機4は、例えばスマートキー、純正キーなどと称されるものである。携帯機4は、制御部4aと、送受信部4bと、認証情報記憶部4cを備える。携帯機4の電源は、内蔵した一次電池を用いる。一次電池は、市販の乾電池やボタン電池等を用いると、容易に入手し実装でき、取り扱いが容易となるので良い。特に、ボタン電池とすると、携帯機4の小型化が図れるので良い。
認証情報記憶部4cは、イモビライザ機能のための認証情報として固有のIDコードを格納する。制御部4aは、例えばMPU等により構成する。制御部1aは、対を構成する車両制御装置1からの自己宛の応答要求信号を受信した場合、応答信号(RFデータ:レスポンスデータ)を出力する。送受信部4bは、車両制御装置1や携帯中継機3に実装された送受信部と無線通信を行うものである。例えば車載用の送受信用RFICにより構成する。この送受信部4bは、第一周波数で無線送信されてきたコマンド・データ等のLFデータを受信して制御部4aに渡す機能、制御部4aから出力される応答信号等の各種のコマンド・データ等のRFデータを第二周波数で無線送信する機能等を備える。
車両制御装置1の制御部1aは、所定の信号の受信などの送信タイミングを満たすと、認証情報記憶部1cにアクセスし、記憶された認証情報としてのIDコードを取得し、そのIDコードを含む応答要求信号(LFデータ)を出力する。所定の信号は、例えば、車両のフットブレーキペダルの踏み込みに伴い出力されるフットブレーキ信号がある。携帯機4が当該応答要求信号の通信可能距離内に存在し、当該応答要求信を受信すると、携帯機4は自己の認証情報を含む応答信号を無線送信する。上述したように、車両制御装置1は、応答要求信号を出力してから一定時間内に正規の認証情報を含む応答信号の受信を条件の一つとして、車両制御装置1の制御部1aは、エンジン始動処理を行う。
上記の車両制御装置1と携帯機4間の通信可能な距離は、例えば携帯機4を携帯した運転者が運転席に座ってエンジン始動の操作を行っている状況で通信可能であれば足りるため、比較的短い。この比較的短い距離は、LFデータを送信する第一周波数が、134kHzとすると、1〜2m程度となる。本実施形態では、車両中継機2と携帯中継機3を設け、それら中継機により車両制御装置1と携帯機4間で行う無線通信を中継することで、通信可能な距離を長くする。このように通信可能な距離を長くすることで、本システムは、例えば、携帯中継機3並びに携帯機4を携帯したユーザが、車両から比較的離れた位置にいても、車両制御装置1と携帯機4間での認証情報を用いた認証を行え、当該離れた位置からエンジンの始動を行うことができる。
車両中継機2は、車両内の所定位置に配置する。車両中継機2は、車両中継機2の制御を司る制御部2aと、車両制御装置1と無線通信を行うための第一車両側送受信部2bと、携帯中継機3と無線通信を行うための第二車両側送受信部2cを備える。図示省略するが、車両中継機2は、車両のバッテリーに接続され、当該バッテリーから電力供給を受ける。制御部2aは、例えばMPU等により構成する。また、第一車両側送受信部2b並びに第二車両側送受信部2cは、それぞれ車載用の送受信用RFICにより構成する。
第一車両側送受信部2bは、車両制御装置1の送受信部1bとの間でデータの送受を行い、送受信部1bの送信周波数帯(第一周波数)で無線送信された電波を受信し、第二周波数で無線送信する。そして、通信距離が短いので、無線局の一つである微弱無線局で用いられる微弱な電波を用いる。また、第二車両側送受信部2cは、特定省電力無線局に用いられる周波数帯の電波を使用する。この特定省電力無線通信を利用することで、通信距離は、例えば見晴らし距離で1〜2km程度になり、また、障害物があった場合でも例えば数百m程度になる。よって、例えば自宅が戸建て住宅や、マンションで、車両を敷地内の駐車場に駐車した場合でも、車両制御装置1と通信可能となる。
さらに本実施形態では、車両中継機2と車両制御装置1との間は、有線通信を行う通信ケーブルにより接続される。車両中継機2の制御部2aは、この有線通信を利用して、フットブレーキ信号と、エンジン始動要求信号を送信する。フットブレーキ信号は、車両のフットブレーキペダルが踏まれたときに出力される信号に対応する信号である。エンジン始動要求信号は、例えば、車両のプッシュスタートボタンが押下されたときに出力される信号に対応する信号である。
携帯中継機3は、携帯中継機3の制御を司る制御部3aと、携帯機4と通信を行うための第一携帯側送受信部3bと、車両中継機2と通信を行うための第二携帯側送受信部3cを備える。さらに、携帯中継機3は、操作部3dと、報知部3eを備える。
操作部3dは、例えば、始動スイッチ、停止スイッチ等の動作指示に対応する押しボタンスイッチである。車両から離れた位置にいるユーザは、当該操作部3dを押下することで、車両に搭載された車両制御装置1を動作させ、エンジンを始動させたり、停止させたりして、遠隔操作する。係る処理を行うため、制御部3aは、この操作部3dに対する操作を検知すると、係る操作に対応する指示命令を第二携帯側送受信部3cから送信する。携帯中継機3の電源は、内蔵した一次電池を用いる。一次電池は、市販の乾電池やボタン電池等を用いると、容易に入手し実装でき、取り扱いが容易となるので良い。特に、ボタン電池とすると、携帯中継機3の小型化が図れるので良い。
報知部3eは、動作状況等を報知するもので、例えば、車両制御装置1・車両中継機2から送られてきたエンジン始動成功・エラーなどの実行結果を報知する。報知部3eは、視覚や聴覚を用いて報知するものである。視覚を用いるものの場合、報知部3eは、例えば、表示パネルを用い、実行結果を文字、図形等で表示するようにしたり、LEDなどの発光手段を用い、点灯状態(点滅/消灯/点灯)や、発光色により報知したりする。また、聴覚を用いるものの場合、報知部3eは、例えばスピーカを用い音声やブザーなどで報知する。これらを一つ又は複数を組み合わせて実現する。
制御部3aは、例えばMPU等により構成する。また、第一携帯側送受信部3b並びに第二携帯側送受信部3cは、それぞれ車載用の送受信用RFICにより構成する。そして、第一携帯側送受信部3bは、携帯機4の送受信部4bの受信周波数帯(第一周波数)で無線送信し、送受信部4bの送信周波数(第二周波数)で無線受信する。そして、通信距離が短いので、無線局の一つである微弱無線局で用いられる微弱な電波を用いる。また、第二携帯側送受信部3cは、特定省電力無線局に用いられる周波数帯の電波を使用する。
そして、本実施形態では、図1,図2に示すような通信遷移で、中継機能を用いたエンジンの遠隔始動を可能としている。(1)携帯中継機3の制御部3aは、操作部3dの押下に伴い、始動信号を出力する。第二携帯側送受信部3cは、この始動信号を車両中継機2に向けて無線送信する。
(2)車両中継機2の第二車両側送受信部2cは、携帯中継機3から送信されてきた始動信号を受信する。車両中継機2の制御部2aは、当該始動信号を受信すると、有線通信機能を用いて車両制御装置1にフットブレーキ信号を送信する。図2に示すように、車両中継機2は、以下に示す各データ・信号の中継・送信処理中、フットブレーキ信号をONにした状態を維持する。
(3)車両制御装置1の制御部1aは、当該フットブレーキ信号を受信すると、認証情報記憶部1cにアクセスし、記憶された認証情報としてのIDコードを取得し、そのIDコードを含む応答要求信号(LFデータ)を出力する。送受信部1bは、無線送信機能を用いて当該LFデータを送信する。
(4)車両中継機2の第一車両側送受信部2bは、当該LFデータを受信する。車両中継機2は、その受信したLFデータに基づく無線LFデータを、第二車両側送受信部2cの送信機能を用いて携帯中継機3に向けて無線送信する。無線LFデータは、LFデータと可逆性のあるデータである。
(5)携帯中継機3の第二携帯側送受信部3cは、無線LFデータを受信する。携帯中継機3は、その受信した無線LFデータから元のLFデータを生成し、その生成したLFデータを第一携帯側送受信部3bの送信機能を用いて携帯機4に向けて第一周波数で送信する。
(6)携帯中継機3が送信する当該LFデータは、第一周波数で送信され、車両制御装置1の送受信部1bが送信したLFデータと等価のものとなるので、携帯機4の送受信部4bは、当該LFデータを受信する。制御部4aは、受信したLFデータが自己宛のものか否かを判断する。具体的には、LFデータに含まれるIDコードが、認証情報記憶部4cに格納された自己のIDコードと一致するか否かを判断する。そして、IDコードが一致する場合、応答信号であるRFデータ(レスポンスデータ)を送受信部4bの送信機能を用いて送信する。なお、制御部4aは、IDコードが一致しない場合、何も送信しない。
(7)携帯中継機3の第一携帯側送受信部3bは、RFデータを受信する。携帯中継機3は、その受信したRFデータに基づく無線RFデータを、第二携帯側送受信部3cの送信機能を用いて送信する。無線RFデータは、LFデータと可逆性のあるデータである。
(8),(9)車両中継機2の第二車両側送受信部2cは、無線RFデータを受信する。車両中継機2は、その受信した無線RFデータから元のRFデータを生成し、その生成したRFデータを第一車両側送受信部2bの送信機能を用いて第二周波数で送信する。また、車両中継機2の制御部2aは、第一車両側送受信部2bからのRFデータの送信に先立ち、有線通信機能を用いて車両制御装置1にエンジン始動要求信号を送信する。車両中継機2は、エンジン始動要求信号をONにした状態を維持しつつ、上記のRFデータを無線送信する。
車両制御装置1の送受信部1bは、車両中継機2から送られてきたRFデータを受信する。制御部1aは、受信したRFデータが正規の携帯機4からのRFデータ(レスポンスデータ)か否かの認証を行う。そして、認証結果が正規の携帯機4からのRFデータの場合であり、エンジン始動要求信号とフットブレーキ信号がともにONの場合、エンジンを始動する制御を行う。なお、エンジンの始動から一定時間経過すると、制御部1aはエンジンを停止する制御を行う。このエンジンの運転動作の継続により、暖機運転を行ったり、車両に搭載されたエアコンにより車室内の温度を適温にしたりする。
なおまた、暖機運転中にエンジンを停止する場合、ユーザは、携帯中継機3の操作部3dを操作する。携帯中継機3は、この操作部3dの操作に伴う動作停止命令を受け付けると、当該動作停止命令を送信する。その送信された動作停止命令は、車両中継機2を経由して車両制御装置1に至る。制御部1aは、動作停止命令を受信すると、運転動作中のエンジンを停止する制御を行う。さらに、制御部1aは、受信した動作命令に対する実行結果を、LFデータと同様に中継・送信し、携帯中継機3に至ると、その結果の通知を行う。
[第一実施形態の特徴]
図3は、LFデータと、RFデータのビット構成の一例を示している。図に示すように、例えばLFデータを見ると、「ビット0」では、200μsがHighで、150μsがLow(図3(a)参照)となり、「ビット1」では、500μsがHighで、200μsがLowとなる(図3(b)参照)。このように、いずれもHighスタートで、Lowに落ちるビット構成となる。一方、RFデータは、「ビット0」では、「800μsがHighで、800μsがLow」(図3(c)参照)と、その反転の「800μsがLowで、800μsがHigh」(図3(d)参照)となる。また、「ビット1」では、1周期分の1600μsの間、同じ状態(H/L)を維持する(図3(e),(f)参照)。いずれのビット構成を採るかは、一つ前のビットの状態に合わせる。すなわち、例えば、ある「0」が、図3(c)で表されている場合、Highで終わるので、次のデータはHighで始まるビット構成(「0」:図3(c),「1」:図3(e))のものを用いる。従って、「0」が続く場合には、同じビット構成のものを用い、「1」が続く場合には、図3(e)と図3(f)を交互に用いる。
このようなデータを無線通信で送信する場合、所定のビットレートで送信する。このとき、LFデータ,RFデータのパルス幅は大きく異なるため、パルス幅を損なわないようなビットレートを設定する。また、図示したビット構成は、一例であり、自動車メーカー、車種により異なる。そして、そのように異なるビット構成に伴い、当該異なるビット構成に適したビットレートも異なる。
そこで本実施形態では、携帯中継機3に、自動車メーカーや車種により異なるビット構成に対応した通信に関するパラメータを記憶するパラメータ記憶部3fと、そのパラメータ記憶部3fに格納した複数のパラメータのうちの一つを設定する設定スイッチ3gを設けた。通信に関するパラメータは、例えば、サンプリングする際のビットレートである。さらに車両によりLFデータのキャリア周波数が異なるものがある。そこで、本実施形態では、当該パラメータとして、ビットレートとキャリア周波数の組合せなどを格納するようにした。また、ビット構成についての情報を格納しても良い。パラメータ記憶部3fは、例えば通信に関するパラメータと、車種等の情報を関連づけたテーブルとして格納する。
設定スイッチ3gは、例えばダイヤル式やディップスイッチなどとするとよい。ディップスイッチとすると、設置空間を小さくでき、携帯中継機3の小型化を図れ、使用中に誤ってディップスイッチの設定が切り替わってしまうおそれが可及的に抑制できるので良い。
また、車両中継機2は、自動車メーカーや車種により異なるビット構成に対応した通信に関するパラメータを記憶するパラメータ記憶部2dを備える。このパラメータ記憶部2dに格納する情報は、携帯中継機3のパラメータ記憶部3fに格納した情報と同様である。
この車種等に伴うパラメータの設定は、以下のように行う。まず携帯中継機3は、例えば設定スイッチ3gの設定に従い、制御部3aがパラメータ記憶部3fをアクセスし、設定された車種等に対応付けられたビットレート等のパラメータを取得し、第二携帯側送受信部3cに設定する。また、制御部3aは、第二携帯側送受信部3cを用いて、図1に示す中継ではないパケット通信により、当該取得した設定スイッチ3gの設定の情報を、車両中継機2に送る。車両中継機2の制御部2aは、第二車両側送受信部2cで受信した設定の情報に基づき、パラメータ記憶部2dをアクセスし、設定された車種等に対応付けられたパラメータを取得し、第二車両側送受信部2cに設定する。このようにすると、携帯中継機3から車両中継機2へ通信は、設定スイッチ3gの状態、例えばディスプスイッチであれば、ディップスイッチの1/0の情報を送るだけで良く、簡単に行える。
そして、実際の中継時には、第二携帯側送受信部3cや第二車両側送受信部2cにおいて、無線LFデータや無線RFデータの送受を行う際のサンプリングを、設定されたビットレート等のパラメータに従って行う。
本実施形態によれば、異なる車種等に対し、携帯中継機3や車両中継機2を共通して使えることができるので好ましい。そして、設定スイッチ3gで車種の切替を行うことができるので、使用する車種等に合わせる作業も簡単に行えるので好ましい。
[第一実施形態の変形例]
本実施形態では、車両中継機2と携帯中継機3の両方に、車種等と通信に関するパラメータを関連づけた情報を格納したが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、係る情報は携帯中継機3側のみに設け、設定スイッチ3gの設定により一意に特定される使用する車種等に対応した通信に関するパラメータを、車両中継機2に送るようにしてもよい。車両中継機2は、送られてきたパラメータを記憶保持し、そのパラメータに基づいて第二車両側送受信部2cのビットレート等のパラメータ設定を行うようにしてもよい。このようにすると、車種等と通信に関するパラメータを関連づけた情報を、車両中継機2と携帯中継機3の両方に持たせる必要が無くなるので構成が簡易となって良い。また、携帯中継機3は、ユーザが手に持って操作でき、設定作業が容易にできるので好ましい。
また、車種等と通信に関するパラメータを関連づけた情報を一方にのみ格納する場合、上記とは逆に、車両中継機2側に設けても良い。この場合、設定スイッチも車両中継機2に設けると良い。通常、設定スイッチの操作は、車両に設置する際の最初に一回するだけとなる。従って、車両内の所定位置に設置する前のフリーな状態で車両中継機2の設定スイッチを操作することで簡単に設定が行える。そして、設定スイッチの設定後は、通常、スイッチの切替え操作はないので、仮に車内に車両中継機2を設置した状態では、設定スイッチの切替え作業が行いにくいような場所に当該設定スイッチを配置しても問題は無い。
また、設定スイッチ3gを携帯中継機3に設置する場合、例えばカバー・蓋などの閉塞部材で設定スイッチ3gを覆うことができるようにすると良い。カバー・蓋などの閉塞部材で覆うことで、携帯中継機3を携帯中や、操作部3dの操作中に誤って設定スイッチ3gに触れてしまい、設定が切り替わることを抑止できる。
また、上述した実施形態では、車両制御装置1と車両中継機2との間でLFデータを送信する通信は、無線通信を利用したが、本発明はこれに限ることはなく、有線通信で行うと特に良い。車両制御装置1の送受信部1bは、LFデータ用のアンテナとアンテナに接続する配線を備えている。有線通信で行う場合、例えば当該配線に通信ケーブルを接続し、車両中継機2の第一車両側送受信部2bと連携する。当該配線への接続は、例えばエレクトロタップ等を利用して配線をカットすることなく分岐すると良い。LFは周波数が低いのでアンテナが外部にあるため、有線通信のための通信ケーブルを接続する作業が容易に行えるので良い。
また、上述した実施形態では、車両制御装置1と車両中継機2との間で車両制御装置1と車両中継機2との間でRFデータ等を送信する通信は、無線通信を利用したが、本発明はこれに限ることはなく、有線通信で行っても良い。周波数の高いRF用のアンテナは、ユニット内部に内蔵アンテナとして備えられている可能性が高い。内蔵アンテナの場合、有線通信を行うためには、ユニットを分解したり、ユニット内の配線パターンをカットしたりして有線ケーブルを接続する必要が出てくるので、作業が繁雑となる。配線パターンをカットすると、元に戻せないので、例えば接触不良があると、車両によっては車両のイモビライザ機能が正常に動作せず、通常のプッシュスタートボタンの押下等のユーザの操作に伴うエンジン始動ができなくなる可能性がある。そこでRFデータの通信は、実施形態のように無線通信で行うのが特に良い。
また、上述した実施形態では、エンジン始動要求信号やフットブレーキ信号を、有線通信を利用して車両中継機2から車両制御装置1に送るようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、無線通信を利用してもよい。ただし、有線通信信号を用いた方が、ON状態を維持するのが簡単に行えるので良い。
[最適化](第二実施形態)
本実施形態では、上述した第一実施形態における通信に関するパラメータの一つであるビットレートの設定を適切に行うようにした。すなわち、図3に示すように、LFデータ,RFデータのパルス幅は大きく異なる場合、通常パルス幅を損なわないように、サンプリング周期はなるべく細かくし、周波数の高いビットレートで送信している。これにより、確実なLFデータを送信することができる。しかし、ビットレートは、通信可能な距離の上限に関係し、ビットレートの周波数を高くすると、通信可能な上限が短くなり、係る状態で通信距離が長い環境下で使用すると、外乱の影響等を受け、無線通信の品質の低下が生じてしまう。
そこで本実施形態では、車種等ごとに設定されるLFデータのビット構成とRFデータのビット構成のパルス幅に着目し、無線品質が許容範囲内に収まる範囲内でビットレートを長くし、通信可能な距離を長くするようにした。許容範囲内に収まる範囲内で長いビットレートは、各ビット構成のパルス幅の最大公約数に基づいて設定する。
図3に示す例を挙げると、LFデータのパルス幅は、200μs,150μs,500μsがあり、RFデータのパルス幅は、800μs,1600μsがある。この場合の最大公約数は、50μsとなる。そこで、図3に示すビット構成の車種等の場合、サンプリングする周期を50μsとすると、当該パルス幅50μsのサンプリング波形データと各データは位相が合い、LFデータ,RFデータの「0/1」いずれの値でも、立ち上がり/立ち下がりのタイミングでサンプリングできる。よって、図示するビット構成の各データを20kbbsでサンプリングすることで、ビットレートと無線品質のバランスを最適化できる。
通常は、全部の車種で許容される共通のビットレートの設定にするが、係る条件を満たすようにすると、細かくなりすぎる。その結果、上述したように、通信可能な距離の上限が短くなり、電波が飛ばなくなるという課題が生じる。これに対し、本実施形態では、例えば最大公約数を用い、車種ごとに最適な通信に関するパラメータを設定するようにしたため、係る課題を解決できた。
また、本実施形態では、LFデータとRFデータを共通のビットレートのパラメータを用いたが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、LFデータ通信時とRFデータ通信時でそれぞれビットレートを可変し、無線品質の更なる向上を図るようにするとよい。
[中継波形の変調]第三実施形態
本実施形態では、LFデータの0/1判定を行い、「ビット0」であれば1周期分をLow,「ビット1」であれば1周期分をHighに変換し、そのデータで変調するようにした。 上述した第二実施形態では、波形の最適化を行い、ビットレートを小さくして通信可能な距離を長くするようにした。本実施形態では、Low状態,High状態が比較的長く続くことになり、見かけ上ビットレートを小さくすることができ、品質向上を図ることができる。
そして、0/1判定は、LFデータの全体ではなく、判定時点でのLFデータのHigh/Lowの状態を見て行う。すなわち、上述したように、LFデータは、「ビット0」と「ビット1」のときのデータ構造が、それぞれ決まっている。そして、図3(a),(b)に示す例では、「ビット0」と「ビット1」のいずれもHighスタートであり、ビット0であれば200μs経過時点でLowとなる。従って、200μsに一定のマージンを見て200μs+αの時点のLFデータの状態から、0/1判定を行う。このようにある時点のLFデータの状態で判定をするため、「ビット1」,「ビット0」を構成するデータ全体を取得する前に迅速かつ簡単に判定を行うことができ、時々刻々と受信するデータを連続して転送・中継する通信方式に適用できるのでよい。
なお、0/1判定を行うある時点は、各ビットのビット構成のLowに切り替わるポイントに基づいて設定するが、ピンポイントで1回見るのではなく、連続して或いは適宜時間をおいて複数回見るようにすると良い。そのようにすると正確に判定をすることができる。
一例を示すと、図4に示すように、LFデータが「0110」とすると、車両中継機2で受信した波形データは、図4(a)のようになる。すると、「ビット0」のデータの受信開始をしてから200μs+α経過した時点でLowになるので、受信中のデータは「ビット0」である。これにともない、車両中継機2が送信する無線LFデータは、Low状態にする。このLow状態は、「ビット0」の1周期分の350μs継続する。
このLow状態になり350μs経過した時点では、「ビット0」の次のビットのデータが開始されてから200μs+α経過しており、この時点でのLFデータの状態はHighであるので受信中のデータは「ビット1」である。これにともない、車両中継機2が送信する無線LFデータは、High状態にする。このHigh状態は、「ビット1」の1周期分の700μs継続する。
このHigh状態になり700μs経過した時点では、「ビット1」の次のビットのデータが開始されてから200μs+α経過しており、この時点でのLFデータの状態はHighであるので受信中のデータは「ビット1」である。これにともない、車両中継機2が送信する無線LFデータは、High状態のままとなる。以下同様にすることで、図4(b)に示すような無線LFデータが生成され、それに基づいて変調し送信する。
携帯中継機3は、第二携帯側送受信部3cにて無線LFデータを受信し復調すると図4(c)に示すようなデータが得られる。復調されたデータがLowであれば「ビット0」に対応するビット構成の波形データを生成し、Highであれば「ビット1」に対応するビット構成の波形データを生成する。そして、携帯中継機3は、各ビットに対応するパルス幅が既知であるため、例えば図4(c)に示すようにHigh状態が長く続いていても、最初の700μsの部分から「ビット1」に対応する波形データを生成し、次の700μsの部分から再度「ビット1」に対応する波形データを生成する。よって、図4(d)に示すLFデータを再生する。そして、携帯中継機3は、係る再生したLFデータを、第一携帯側送受信部3bにて携帯機4に向けて送信する。
上述した各判定処理や、判定に伴うデータの生成・再生は、それぞれ制御部2a,3aが行う。
[変形例]
第一実施形態,第二実施形態でも説明したが、各ビットのビット構成は、車種等により異なる。従って、LFデータのHigh/Lowのパルス幅が異なるため、0/1判定を行うタイミング、判定後のLow状態,High状態を継続する時間等も異なる。そこで、それらの各種の条件を、車種等に関連づけて記憶保持しておき、使用に際し、いずれかの条件を設定するとよい。判定等の条件は、通信に関するパラメータと対応付けが可能であるので、通信に関するパラメータの設定と一緒に、条件設定を行うと良い。また、車種等と関連づけた条件の記憶は、通信に関するパラメータとは別に記憶させても良いが、当該パラメータとともに一緒に関連づけてパラメータ記憶部3fに格納すると良い。このようにすると、パラメータ・判定等の条件の追加・変更も一括して行えるので、管理が容易となり、また、設定スイッチ3gの操作に伴い一括して行えるので、処理が簡単で良く、各中継機等に設定されたパラメータ・条件の整合性が保てるのでよい。
[携帯中継機の送受信部の送受信切替え制御]第四実施形態
正規の携帯機4が複数存在する場合、車両制御装置1の認証情報記憶部1cには当該複数の携帯機4のIDコードを記憶する。車両制御装置1は、正規の携帯機4の存在を確認するため、応答要求信号であるLFデータを個々の携帯機4に対し、一つずつ順番にその存在を確認し、登録されたいずれかの正規の携帯機4と認証がとれると、実際のエンジンの始動処理を行う。
図5は、携帯機が2個登録されている場合のLFデータとRFデータの通信のタイミングを示している。まず、車両制御装置1は、WAKE信号を送信し、WAKE信号を受信した携帯機4はACK信号を返送する。車両制御装置1の制御部1aは、認証情報記憶部1cに記憶された複数のIDコードのうちの一つを選択し、選択したIDコードの携帯機4に向けて応答要求信号であるLFデータを送信する。図5では、ID1を選択し、「応答要求信号=ID1指定+チャレンジデータ」のLFデータを送信している。
この携帯機4(ID1)は、「ID1指定+チャレンジデータ」のLFデータを受信する。携帯機4(ID1)は、LFデータ中のIDコードから自己宛のものと認識し、レスポンスデータを送信する。一方、携帯機4(ID2)は、「ID1+チャレンジデータ」を受信しても、自己のIDコードと相違するので、レスポンスデータの送信を行わない。
車両制御装置1は、「ID1指定+チャレンジデータ」のLFデータを送信後、一定時間tを経過しても携帯機(ID1)からのレスポンスデータを受信できないと、別のIDコードの携帯機(ここでは、ID2)に向けて、応答要求信号として「ID2指定+チャレンジデータ」のLFデータを送信する。この携帯機4(ID2)は、「ID2指定+チャレンジデータ」のLFデータを受信すると、LFデータ中のIDコードから自己宛のものと認識し、レスポンスデータを送信する。
上記の例では、正規の携帯機4が2個登録された例を示したが、3個以上の場合も同様に1つずつID指定のLFデータを送信する。そして、レスポンスデータを受信すると、車両制御装置1は、それ以降のID指定のLFデータの送信は行わない。
また、送受信部は、一つの送受信用RFICを用いて構成され、受信状態と送信状態を適宜切替えて動作する。そのため、上述したID措定のLFデータを受信後、送信状態に切替え、レスポンスデータを送信するが、係る送受信の切替時間Tとして、数msecかかる。
ところで、車両中継機2は、第二車両側送受信部2cとして送受信用RFICを用いている。そこで、第二車両側送受信部2cは、まず送信状態にしてID指定の無線LFデータを中継して送信し、次いで、受信状態に切替えて、携帯中継機3から送信されてくるレスポンスデータの無線RFデータの受信を待つ。一方、中継したID指定の無線LFデータに対応する携帯機が存在しない場合、適宜のタイミングで次のID指定の無線LFデータが送信されてくるため、当該ID指定の無線LFデータを中継するために、第二車両側送受信部2cを送信状態に切替える。
携帯中継機3は、第二携帯側送受信部3cとして送受信用RFICを用いている。そこで、第二携帯側送受信部3cは、受信状態にして車両中継機2からの無線LFデータを受信完了後、送信状態に切替え、携帯機4から送られてくるレスポンスデータのRFデータを車両中継機2に向けて中継する。すなわち、携帯中継機3は、携帯機4がRFデータを送信しているのか確認し、送信されていればRFデータ終了までそのまま携帯中継機3が車両中継機2に送信する。送信してない場合、第二携帯側送受信部3cは、即座に車両中継機2へのRFデータの送信状態からLFデータ受信状態へ切替える。
本実施形態では、係る送受信の切替え制御を、より迅速に行うべく以下のように構成した。例えば携帯中継機3は、受信状態の第二携帯側送受信部3cにてID指定の無線LFデータの受信完了後、レスポンスに備えて第二携帯側送受信部3cを送信状態に切替える。そして、必ずレスポンスデータが存在する時に、受信キャリアセンスを1回行い、キャリアセンスが無い場合は、送受信切替を行い受信状態にし、キャリアセンスがある場合は、そのまま送信状態を継続する。
また、これに合わせて、第一携帯側送受信部3bの送受信状態も切替える。つまり、はじめは送信状態にしておき、第二携帯側送受信部3cで受信した無線LFデータに基づくLFデータを携帯機4に向けて送信し、中継を行う。そのLFデータの送信完了後、受信状態に切替えて、携帯機4から送信されてくるレスポンスデータを待つ。キャリアセンスが無い場合、送受信切替を行い送信状態にし、キャリアセンスがある場合は、そのまま受信状態を継続する。
必ずレスポンスが存在する時とは、例えば、図5に示すように、レスポンスデータは、ID指定の無線LFデータの送信完了後、少なくとも送受信の切替時間Tを経過した後で送られてくる。そこで、送信完了から時間T(例えば、数msec)経過したタイミングとしたり、Tに所定のマージンを付加したタイミングとしたりすると良い。このようにすると、比較的早いタイミングでレスポンスデータの有無を判定できる。
本実施形態では、必ずレスポンスが存在する時にキャリアセンスを行うため、キャリアセンスがないと、先に送信したLFデータで指定されたIDを持つ携帯機が存在しておらず、レスポンスデータが送信されてこないことが明らかとなる。よって、第二携帯側送受信部3cを受信状態に切替えて、車両制御装置1側から送られてくる次のID指定のLFデータを確実に受信できるようになる。そして、ID指定の無線LFデータの受信完了後、比較的早いタイミングでレスポンスデータの有無を判定できるので、レスポンスデータが送られてこない場合には、余裕を持って送受信切替を行い、次のID指定の無線LFデータの受信に備えることができる。
一方、キャリアセンスがある場合には、継続して携帯機4から送られてくるレスポンスデータを第一携帯側送受信部3bで受信しつつ、第二携帯側送受信部3cにて送信する。仮にキャリアセンスの受信判定が、レスポンスデータの先頭の受信ではなく、少し遅れたタイミングで行われていたとしても、第一携帯側送受信部3bは受信状態となっているので確実に受信でき、また、第二携帯側送受信部3cは送信状態となっているので確実に送信し、中継することができる。
また、上述した実施形態では、携帯中継機3側にキャリアセンスの受信判定に基づく送受信切替えを設けた例を説明したが、車両中継機2側に同様の機能を実装しても良い。
本実施形態における解決課題は、以下の通りである。例えば、車両制御装置1がLFデータを送信後、一定時間tを経過するまでの間にレスポンスデータを受信するか否かの判定を行う。従来のレスポンスデータの有無を検知する方法は、実際に数ビット分のデータを受信し、そのデータがレスポンスデータの先頭データであるのか、またはレスポンスデータのビット成分として成り立っているのかを判定している。例えばビット構成が、図3に示したものとすると、1ビットは、1.6msなので、例えば4ビット分を見るとすると、6.4ms要する。上述したように、切替時間T(例えば2〜3ms)を考慮すると、単純に合算しても8.4〜9.4msかかることになる。そして、車両制御装置1が次のLFデータを送信するまでの一定時間tは、例えば10ms程度であるため、携帯中継機3がレスポンスデータの有無を検知し、その後、送受信切替えを行った場合、送信状態から受信状態の切替は数100μ以上かかることに鑑みると、一定時間tの間に切替を完了しない場合が存在する。仮に、時間的余裕を持たせるために、3ビット分を見るようにしても、例えば外乱等による判定しにくいデータであると、切替までに時間を要してしまい、既にLFデータ再送が始まっていた場合、適切に中継をすることができず、携帯機はLFデータを認識できずにRFデータのレスポンスデータが未送信となり、エンジンが始動できない状況が有り得た。さらに、確認するビット数が少ないと、レスポンスデータの受信の有無を正確に判断できない。ビット構成は、図3に示したものに限らず、1周期の時間もばらばらであるため、上記の問題が顕著となる。このように、従来一般に行われているレスポンスデータの有無の検知方法では、一定時間tが短いため、確実に有無を検知するためには何ビットも見たいができないという課題がある。
これに対し、本実施形態では、上述したように一定時間tの間にレスポンスデータの有無を検知し、送受信機能を切替えるのは時間的制約が厳しかったが、本実施形態では、キャリアセンスの有無で判断するようにしたため、短時間で判断できる。
[変形例]
上述した実施形態では、必ずレスポンスデータが存在する時に、受信キャリアセンスの有無の判定を1回行うようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、例えば判定結果の精度を高めるために、キャリアセンスは連続して数回行う方法や、一定間隔をもって複数回行っても良い。但し、実施形態のように1回で行う方が、迅速に判断できるので好ましい。
[ビット異常の修正](第五実施形態)
上述した各実施形態や変形例において、車両中継機2や携帯中継機3で中継するLFデータ,無線LFデータやRFデータ,無線RFデータを無線通信で受信した場合、受信したデータが無線通信状態によるビット構成が変化してしまう不具合が生じる。LFデータ、RFデータ共に無線通信であるため、外乱を受けることは避けられない。特に、通信距離が長くなり通信可能な許容範囲ぎりぎりになると、ビット異常が発生しやすくなる。
各中継機は、受信したデータに対して設定されサンプリング周期でサンプリングし、取得したデータを順次連続し転送・送信するようにしている。そのため、正規の「ビット1」のビット構成が、例えば図6(a)に示すように、Highが500μs継続した後、Lowが200μs継続するような場合に、例えば図6(b)に示すように、500μs経過前に一旦Lowに落ち、その後Highに復帰するような異常を生じた場合を考える。すると、中継した無線RFデータは、図6(b)に示すように一旦Lowに落ちる現象を有するデータ構造となる。すると、車両制御装置1は、当該受信した部分のデータをレスポンスデータとして受信するため、車両制御装置1は、「1」と認識できず、また、そもそも正常な波形と認識できない。そのためエンジンの始動が行えない。また具体的な図示は省略するが、LFデータの送信・中継でエラーがあると、携帯機4が正規のLFデータを受信できず、結果としてレスポンスで送信できず、エンジンの始動が行えないという課題がある。
これに対し、本発明では、正常な波形の長さ・パターンが分かっているので、ビット異常があってもパターンがあっていれば正常の波形にして出力するようにした。具体的には、パターン構成からあり得ないHigh/Lowの切替があっても、切替えずに元の状態を維持するようにする。例えば、図3に示すビット構成では、Highスタートのデータの場合、0/1いずれの場合も200μまでは、Highが継続する。そこで、200μs経過する前にLowに落ちてもHighを維持するように制御する。また、例えば図6(b)に示すように、LFデータの場合、200μsを超えてもHighが継続していると、「ビット1」を表す波形となるので、500μs経過前までにLowに落ちてもHighを維持する。このHigh状態の維持は、次にローパルスが入力されるまで継続する。
これにより、携帯中継機3が受信した無線LFデータが例えば図6(b)に示すように、Highのスタート後、300μs地点でノイズによるローパルスが1回発生しても、携帯中継機3は次にローパルスが入力されるまでHigh状態を維持する。そして、図6(b)の例では、次のローパルスは、正規の反転時点である500μsの時であるため、携帯中継機3から送信されるLFデータは、図6(a)に示す正常な波形となる。よって、携帯機4は、LFデータを認識でき、自己宛の場合にはレスポンスを返すことができる。
また上記の説明では、High状態からローパルスが発生する場合について説明したが、Low状態のときに本来発生しないタイミングでハイパルスが発生した場合についても同様にLow状態を維持するようにする。また、図示の例では、LFデータの「ビット1」について説明したが、「ビット0」やRFデータについても同様に処理する。
よって、ノイズ等により一回予期せぬ箇所で反転するパルスが発生しても、中継して送信する波形自体は正常波形と同一になる。その結果、携帯機4や車両制御装置1が異常判定をすることを防止できる。
なお、受信しているデータが「ビット0」か「ビット1」かの判定は、正常な波形のH/Lの反転するタイミングで行っても良いが、所定のマージン(α)を設けて行うと良い。例えば図6に示す「ビット1」であることの判定は、200μsを超えた時点ですぐに行うのではなく、「200μs+α」のように所定のマージン(α)を設けると良い。通信環境その他で、ビット0の波形が200μsの時点でLowに落ちず、少しタイムラグをもってLowになることがある。係る場合に、所定のマージン(α)を設けることで、「ビット0」の波形を正常に中継することができるのでよい。
本実施形態では、上記の補正処理は、長距離伝送の信号を受け取った側が処理するようにした。具体的には、車両中継機2から送ってきた無線LFデータを受け取った携帯中継機3と、携帯中継機3から送ってきた無線RFデータを受け取った車両中継機2が行う。これは、係る車両中継機2と携帯中継機3との間の通信は、長距離伝送であり、携帯中継機3を携帯するユーザが車両から離れて通信距離が長くことがあり、上記の異常の発生の可能性が高くなる。よって、係る異常発生があってもエンジンの始動が行えるようになる。
一方、車両制御装置1と車両中継機2は、ともに車両の所定の位置に設置され、両者の間は比較的近く、しかも通常、設置時に通信可能な距離を考慮して配置するので、上述した事象が発生しにくい。また、携帯中継機3と携帯機4も、ともにユーザが携帯するため比較的近い距離にあるため、上述した事象が発生しにくい。また、仮に係る事象が発生するほど距離が離れていると、両者を近づけることで対処できる。
そして、本実施形態の補正は、一定時間経過した後は、強制的にHigh状態やLow状態を継続するといった比較的強い補正であるため、当該事象の発生する可能性が相対的に高い車両中継機2と携帯中継機3の間の長距離通信に対して行うようにした。
また、本実施形態では、一度反転するパルスが入力されても反転させずに元の状態を維持するようにした。よって、例えば同じ状態(例えばHigh状態)のときに複数回(例えば2回)反転するパルスが発生した場合(図6(c)参照)は、二回目の反転するパルスのときに状態を反転(図の例では、HighからLow)する。よって、係る場合には500μs経過前にLowに落ちる波形データが送信される。このように複数回発生するような場合には、正常な波形を出力しないようにした。比較的強い補正でもあるので、補正対象を1回の異常なパルスに制限することで、元々正規の信号でないものを正常な波形として送信してしまうことを抑制するようにした。
上述したノイズ除去の処理は、MPUで構成される制御部2a、制御部3aが行うようにすると、処理が適切に行えるので好ましい。
[変形例]
上述した実施形態では、補正をするのは異常なパルスの発生が1回までに限定したが、複数回に対応するようにしても良い。このようにすると、長距離に離れた箇所でのエンジン始動が可能になるので良い。仮に、強制的な補正をして本来のデータと異なるLFデータやRFデータを中継したとしても最終的に車両側で排除されるのでよい。
また、当該回数を幾つにするかは、ユーザ設定により変更できるようにすると良い。このようにすると、ユーザの使用環境・状況等により適切な条件で補正できるので良い。
上述した実施形態では、長距離通信で伝送されてきた波形について補正を行うようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、他の通信に対しても適用しても良い。その場合、例えば、携帯機4と携帯中継機3の間の通信に適用するとよい。携帯機4と携帯中継機3は、ともにユーザが保持し、両者間の距離はユーザが管理して適切に調整することができる。しかし、例えば内蔵電池の消耗等により通信可能な距離が短くなったり、例えば両者をともにユーザが着用する衣服のポケットや、鞄などにしまっておくと、その内部で両者が相対的に移動し、所望の距離以上に離れてしまうことがある。係る場合でも、上述した実施形態の補正を行うことで、エンジンの始動が行えることがあるので好ましい。
上述した実施形態では、補正は、制御部が行うとしたが、専用の回路等を設けても良い。専用の回路を設けることで、より迅速に処理ができる。第四実施形態でも説明したが、LFデータとRFデータの送受には時間的な制約があり、中継に要する時間を可及的に短くしたいという課題がある。そこで、専用の回路を設けることで、補正を短時間で行い、一定時間t内でレスポンスの返送を余裕を持って行うことができるのでよい。
第一実施形態、第二実施形態でも説明したが、各ビットのビット構成は、車種等により異なる。従って、High/Lowのパルス幅が異なるため、補正の条件(例えば開始から〇〇μsまでは維持、〇〇μsを超えると△△μsまでは維持等)も異なる。そこで、車種等に応じた補正の条件を、車種等関連づけて記憶し、使用に際し、いずれかの条件を設定するとよい。補正の条件は、通信に関するパラメータと対応付けが可能であるので、通信に関するパラメータの設定と一緒に、条件設定を行うと良い。また、車種等と関連づけた補正の条件の記憶は、通信に関するパラメータとは別に記憶させても良いが、当該パラメータとともに一緒に関連づけてパラメータ記憶部3fに格納すると良い。このようにすると、パラメータ・補正の条件の追加・変更も一括して行えるので、管理が容易となり、また、設定スイッチ3gの操作に伴い一括して行えるので、処理が簡単で良く、各中継機等に設定されたパラメータ・補正の条件の整合性が保てるのでよい。
[RFICのデュアル化](第六実施形態)
上述した各実施形態並びに変形例では、送受信部を一つの送受信用RFICで構成し、送受信状態を適宜切替えて中継を行うようにしている。本実施形態では、車両中継機2と携帯中継機3に実装する各送受信部を、それぞれ送信専用RFICと受信専用RFICで構成し、各ICで送信/受信を専用に実行するようにした。
例えば第四実施形態等でも説明したが、LFデータ、無線LFデータやRFデータ、無線RFデータの送受信を行う場合、各送受信部では都度送受信切替動作が発生する。そして、車両制御装置1がLFデータを送信してから、対応する携帯機4からのレスポンスデータを受信するまでを一定時間t以内に行わなければならないことも相まって、送受信切替動作は迅速さが要求される。そして、一定時間がさらに短くなると、その要求はさらに高くなる。すると、対応可能なRFICが無くなるか、仮にあったとしても種類が少なく、選択の余地が狭まる。さらには、切替動作時間が要求を満たしても使用したい無線周波数帯に対応しておらず、仕様を満たすシステム構成ができないおそれがある。
そこで本実施形態では、送信と受信にそれぞれ専用のRFICを実装することで、送受信の切替が不要となり、通信制御が簡易に行える。さらに、送信用と受信用を専用のRFICで行うことで、受信処理と送信処理を同時に行うことができる。そこで、例えば、図5に示すように通常は車両制御装置1からのWAKEを受信完了後、第一車両側送受信部2bを送信状態に切替えてACKを返すが、本実施形態では、WAKEの受信途中で、ACKを返すようにした。これにより、車両制御装置1がWAKEを送信してからACKを受信完了するまでの時間が短くなる。そして車両制御装置1は、ACKの受信に伴い、所定のID指定のLFデータを送信するが、係る送信開始も上述した各実施形態や変形例に比べて速く行われる。さらに、各中継を行うに際し必要としていた送受信切替のための待ち時間が無くなるため、係る点でも時間的余裕が出てくる。さらに、ACKは、携帯機4から送られてくるのを中継するのではなく、車両中継機2が自ら送信するようにした。これにより、さらなる時間の短縮が図れる。また、RFICを受信専用・送信専用としているので、切替時間を考慮せずに設計できるため、無線通信の確実性が増す周波数での設計が可能となる。
また、各中継機は送受信を異なる周波数で行うようにした。送受信の各チャンネルを隣接しないようにし、相互干渉が無い状態とする。
上述した各実施形態や変形例では、LFデータは高い周波数(ビット長が短い)、例えば900MHzを用いて通信し、RFデータは低くい周波数、例えば400MHzを用いて通信している。これは、周波数が高いと、ビットレートが高いので、送信状態から受信状態への切替が早くなり、取り込み返しも早くなる。そこで、時間的制約を守るためには、切替式を用いると900MHzを使用することになる。本実施形態のようにRFICを2個用いてデュアルにすることで、例えばLFデータを400MHzで通信するようにしてもよい。400MHzは、帯域幅も狭いので、他の信号との干渉もなく安定して通信ができるので好ましい。
一方、本実施形態では、RFICをデュアル化したため、電力消費が多くなる。そのため、携帯中継機3に内蔵する電池も大容量のものが必要となる。そのため、携帯中継機3を収容するケースも大きくなる。
そこで、当該ケースには、携帯機4を収納可能な空間を設け、携帯中継機3と携帯機4を一体にして携帯可能とするとよい。一体化により、携帯中継機3と携帯機4が近距離に配置できるため、通信が確実に行えるのでよい。
また、携帯中継機3に内蔵する電池を大容量のものにしたので、モバイル機器との接続部を設け、モバイルバッテリーとして利用可能にしても良い。接続部は、例えばケーブルを接続可能な端子部などがある。モバイルバッテリーへの適用をする場合、電池は二次電池とするとよい。
[離隔判定機能](第七実施形態)
上述した各実施形態や変形例で説明したように、携帯中継機3は、LFデータを中継して送信し、携帯機4はそのLFデータを受信後、LFデータに含まれるIDコードが、自己のものと一致するとRFデータ(レスポンスデータ)を送信する。
そして、係るRFデータ(レスポンスデータ)は、携帯中継機3から車両中継機2を中継して車両制御装置1に送られる。車両制御装置1は、正規の携帯機4からのレスポンスを受信すると、エンジン始動を行う。
ところでLFデータは第一周波数で送信し、RFデータは第一周波数とは異なる第二周波数で送信する。第二周波数は第一周波数よりも高い周波数であり、第二周波数を用いたRFデータの通信可能な距離も長い。一例を示すと、第一周波数は134kHzであり、第二周波数は314MHzである。すると、LFデータの通信可能な距離は1〜2mと短く、あまり離隔すると携帯機4が携帯中継機3から送信されたLFデータを受信できない可能性がある。
そして、エンジン始動に失敗した場合の要因の一つとして、携帯中継機3と携帯機4が隔離していて、携帯中継機3から送信されたLFデータを受信できないことがある。しかし、LFデータの通信可能な距離は、例えばユーザの携帯中継機3の持ち方や周囲の環境によっても可変するので、ユーザは エンジンの始動に失敗した時に、携帯機4と携帯中継機3が離隔して通信ができないことが起因しているのか、それ以外の故障等であるかがわかりにくいという課題がある。
また、多少離れていても確実に通信可能にするために電波強度を強くする方法も採れるが、電波強度を強くすると飛びすぎてしまい、かえって誤作動する事態を招くので好ましくない。例えば、部屋にスペアの携帯機を置いている状況で、携帯機4を持っていない人が、誤って携帯中継機3を操作すると、エンジンが始動してしまうことになり好ましくない。さらに、電波強度を強くすると、電池の消費も多くなるので、抑えたいという要求もある。そのため、通信可能な距離が短くなり、上記の課題が顕著となる。
図7は、本発明の第七実施形態を示している。本実施形態は、係る課題を解決するためのもので、ユーザが携帯中継機3と携帯機4が離隔しているのか否かを判定する隔離判定モードを備えている。この隔離判定モードは、携帯中継機3に、正常LFデータ情報記憶部3hを設ける。制御部3aは、エンジンの始動が成功になった時のLFデータを正常LFデータとして正常LFデータ情報記憶部3hに記憶する。
離隔判定モードにすると、制御部3aは、正常LFデータ情報記憶部3hに記憶しておいた正常LFデータを、第一携帯側送受信部3bにて送信する。そして、携帯機4は、係る正常LFデータを受信すると、車両制御装置1から送られてくるID指定のLFデータと同じであるためRFデータ(レスポンスデータ)を送信するので、携帯中継機3の制御部3aは、係るRFデータ(レスポンスデータ)の受信を待つ。そして、制御部3aは、RFデータ(レスポンスデータ)の受信完了をした場合、通信可能な範囲に存在する旨の報知を報知部3eから行う。一方、制御部3aは、RFデータ(レスポンスデータ)を受信できなかった場合、通信できない旨の報知を報知部3eから行う。
ユーザは、報知部3eの報知結果から、携帯中継機3と携帯機4が通信可能な適切な範囲内にあるか否かを知ることができる。よって、例えば、携帯中継機3を操作して遠隔でエンジン始動しようとして、実際にエンジンが掛からなかった場合、携帯中継機3と携帯機4との間の通信がそもそもできないか、その他の通信系統の故障等かを容易に理解することができる。本実施形態では、エンジンを始動しなくても確認できるのでよい。
[変形例]
正規の携帯機4が複数存在する場合、車両制御装置1からは登録された複数の携帯機4のそれぞれの認証情報(IDコード)を指定したLFデータを順次送信する。従って、最初に送信したLFデータに含まれるIDコードが、自己のものと一致しないと、携帯機4はRFデータ(レスポンスデータ)を送信しないので、携帯中継機3は、異なるIDコードが含まれるLFデータを中継する。最終的に携帯機4からRFデータ(レスポンスデータ)が送られてきてエンジン始動が成功した場合、その成功したときのLFデータを正常LFデータ情報記憶部3hに記憶するとよい。ユーザがよく使う携帯機4のIDコードについてのLFデータを記憶することで、離隔判定をすぐに行うことができるので良い。
また、複数のLFデータを中継した場合、それまで中継したLFデータは、いずれも車両制御装置1に記憶されている正規のIDコードを含むLFデータであるので、当該全てのLFデータを正常LFデータ情報記憶部3hに記憶するとよい。このようにすると、ユーザが使用する携帯機4を固定していないような場合に、いずれの携帯機4を使用しても離隔判定を行えるので良い。
また、正常LFデータ情報記憶部3hに記憶する正常LFデータは、レスポンスデータを受けたときのLFデータのみとしても良いが、それまでに送られてきた全てのLFデータを記憶するようにするとよい。このようにすると、ユーザが携帯する携帯機が変わっても、隔離判定が行えるので良い。
また、全てのLFデータを記憶するようにした場合、例えば携帯機を持たない状態で、携帯中継機3の操作部3dを操作し、車両制御装置1が記憶する全ての認証情報についてのLFデータを取得し記憶保持することができる。そのようにすると、その後に携帯するいずれの携帯機に対しても離隔判定を行うことができるので良い。
また、携帯中継機3は、正常LFデータ情報記憶部3hに格納した正常LFデータの登録数を報知する機能を備えると良い。このようにすると、上記の車両制御装置1に登録された全ての認証情報に対応するLFデータを収集することで、車両制御装置1に正規の携帯機が何個登録されているかが分かるのでおもしろい。
操作部3dを操作した際に、携帯中継機3がレスポンスデータを受信した場合、その旨を報知部3e報知するとよい。このようにすると、携帯中継機3と携帯機4との間の通信が確保されていることが分かり、その状態でエンジンの始動ができない場合には、故障であることが分かる。この場合の報知は、例えば、「ぴぴ」などの音をならすようにすれば、ユーザは、報知部3eを見ていなくて理解できるので好ましい。
上述した実施形態並びに変形例では、エンジンが始動したときのLFデータを記憶し、携帯中継機3と携帯機4との離隔判定を行うようにしたが、エンジンが始動した時のRFデータ(レスポンスデータ)を記憶しておき、RFデータのチェックも同じように行うようにしてもよい。RFデータ有無の判定としては、RFデータキャリアセンス、先頭ビットの判定等を用いても良い。
[携帯機と携帯中継機の一体化構造](第八実施形態)
図8、図9は、本発明の第八実施形態を示している。この実施形態では、携帯機4と携帯中継機3を一体化している。携帯中継機3は、ケース本体10の上面10aに、表示部11と、操作ボタン12と、蓋部13を備える。蓋部13は、図9に示すように、ケース本体10の上面10aに開口するように設けた収納凹部10bを塞ぐものである。本実施形態では、蓋部13は、ケース本体10の上面10aに沿ってスライドして着脱する。図示省略するが、ケース本体10内には、例えば、制御部3a、第一携帯側送受信部3b、第二携帯側送受信部3c、パラメータ記憶部3f等の各種の回路・機器等が実装される。表示部11は、例えば上述した各実施形態における報知部3eを構成する。操作ボタン12は、エンジン操作スイッチ及び車両のドア操作スイッチ等であり、例えば上述した各実施形態における設定スイッチ3gを構成する。さらに蓋部13には、補助スイッチ13aを設ける。補助スイッチ13aは、押しボタン式のスイッチの操作部である。
本実施形態では、携帯中継機3の収納凹部10b内に携帯機4を収納するが、携帯機4の全体をそのまま装着するのではなく、携帯機4の内部基板アセンブリ21を収納する。内部基板アセンブリ21は、表面に押しボタン式のスイッチ21aを備える。収納凹部10b内に内部基板アセンブリ21を収納し、蓋部13を閉じた状態では、図8(b)に示すように、内部基板アセンブリ21のスイッチ21aと、蓋部13の補助スイッチ13aが上下に重なるように配置する。これにより、補助スイッチ13aが押下されると、補助スイッチ13aが内部基板アセンブリ21のスイッチ21aを押す。よって、ユーザは、補助スイッチ13aを操作することで、携帯機4に対する所定のスイッチ操作を行うことができる。
また、図8(c)に示すように、携帯機4には、車両のメカニカルキー22を収納したものがある。このメカニカルキー22は、例えば、携帯機4の電池切れや故障等で携帯機4を用いたエンジン始動が行えない場合に、当該メカニカルキー22をイグニッションのキーシリンダーに挿入し、回転することでエンジンを始動/停止等したりするために使用する。そこで、本実施形態では、ケース本体10に、メカニカルキー22を挿入する孔部を設け、当該孔部にメカニカルキー22をセット可能とした。これにより、ユーザは、携帯中継機3を携帯することで、メカニカルキー22も一緒に携帯することができる。
係る内部基板アセンブリ21を装着する場合、例えば、図9(a)に示すように、ユーザ等は、携帯機4を分解し、内部基板アセンブリ21を取り外す。一方、ユーザ等は、図9(b)に示すように、携帯中継機3の蓋部13を取り外し、収納凹部10bを開放する。次いで、ユーザ等は、図9(c)等に示すように収納凹部10b内に、補助スイッチ13aを上にした状態で、内部基板アセンブリ21を挿入する。その後、ユーザ等は、ケース本体10に蓋部13を装着することで、図8(a)に示す内部基板アセンブリ21を一体化した携帯中継機3を構成する。
本実施形態では、携帯機4と携帯中継機3が一体化することで、コンパクトになりポケットなどに入れた時にかさばることが無くなる。特に、携帯機4から内部基板アセンブリ21を取り出して装着するようにしたため、収納凹部10bの内部空間を小さくすることができ、携帯機4と一体化した携帯中継機3の全体形状の大型化を抑制することでできるので良い。また、携帯機4と携帯中継機3が近距離に配置され通信が確実に行える。係る点についても、携帯機4のケースがないため、携帯中継機3と携帯機4の距離をより近づけることができるので良い。
本実施形態では、内部基板アセンブリ21は、スイッチ21aを備え、蓋部13の補助スイッチ13aで当該スイッチ21aを押下可能なものに適用したが、例えば、構造的にスイッチ21aが上面に露出せずに補助スイッチ13aでは押下できなかったり、スイッチ21aがスライド式などで蓋部13の補助スイッチ13aでは押下できなかったりする構成の場合、例えば、ケース本体10の開口部からスイッチ21aを外部に露出させ、当該スイッチ21aを直接操作可能とすると良い。
[中継波形の変形例1]
上述した実施形態では、例えば車両中継機2と携帯中継機3との中継を、LFデータに基づいて変換した無線LFデータを送信することで行うようにした。具体的には、たとえは第三実施形態では、「ビット0」であれば1周期分をLow、「ビット1」であれば1周期分をHighに変換し、そのデータで変調するようにした。このように、無線LFデータをLFデータのパルス幅等と異なるパルス波形に変換する方式としては、上述したものに限ることはなく各種の対応が可能である。一例を示すと、以下の通りである。
例えば、LFデータの立ち上がりと立ち下がりにエッジ信号を発生させる。無線LFデータは、Low状態から適宜のタイミングで当該エッジ信号が発生するデータとする。エッジ信号は、例えば所定幅の単発のパルスとする。具体例を挙げて説明すると、例えばLFデータが「0110」とすると、車両中継機2で受信した波形データは、図10(a)のようになる。すると、「ビット0」の立ち上がりを検出して所定幅(例えば、50μs)のエッジ信号を挿入し、その後Low状態を維持する。このLow状態が350μs継続したときに「ビット0」のHighからLowになる立ち下がりが生じるので、当該立ち下がりを契機にエッジ信号を挿入後、Low状態を維持する。
このLow状態が100μs継続したときに、LFデータは、次の「ビット1」のHighに切り替わる。このときの立ち上がりに伴い、エッジ信号を挿入する。以下、繰り返すことで、図10(b)に示すような無線LFデータが生成され、それに基づいて変調し送信する。この方式によれば、一つのビットデータあたり、2つのエッジ信号が出力され、Lowの状態が長い無線LFデータとなる。
携帯中継機3は、図10(b)に示す無線LFデータを受信すると、最初のエッジ信号に伴いHighにし、次にエッジ信号が来るまでHighを維持する。そして、次のエッジ信号を検知すると、Lowにし、次にエッジ信号が来るまでLowを維持する。このようにエッジ信号を検出する都度、HighとLowを交互に切換えるとことで、図10(c)に示すように元のLFデータを再現できる。
[中継波形の変形例2]
上述した変形例1では、LFデータの立ち上がりと立ち下がりのそれぞれにエッジ信号を挿入するようにしたが、立ち下がりではエッジ信号を挿入しないようにしても良い。そして、Highのパルス幅が長い「ビット1」の場合、High状態を維持している途中で単発のパルスを挿入する。「ビット0」ではHighが200μs経過後にLowに落ち、「ビット1」ではHighが500μs継続するため、単発のパルスを挿入するタイミングは、例えば立ち上がりから200μs経過後とする。
これにより、「ビット0」の場合の無線LFデータは、LFデータの立ち上がりとともに所定幅の単発パルスが挿入され、立ち上がりから350μs経過するまでLowとなるパルス波形となる。また、「ビット1」の場合の無線LFデータは、LFデータの立ち上がりとともに所定幅の単発パルスが挿入され、その後Low状態が維持され、立ち上がりから200μs経過したときに所定幅のパルスが挿入され、その後Low状態が維持されるパルス波形となる。
従って、係る無線LFデータを受信した携帯中継機3は、単発のパルスを検知後、200μs経過しても次のパルスが発生しない場合、「ビット0」のデータであることが分かり、200μs経過した際に次のパルスが発生した場合、「ビット1」のデータであることが分かるため、元のLFデータを再現することができる。
係る無線LFデータを生成する処理をするための車両中継機2の制御部2aは、例えば図11(a)に示す送信データ変換フローを実行する機能を備える。すなわち、制御部2aは、LFデータのL/Hの状態を監視し、立ち上がりエッジの有無を判断する(ST1)。制御部2aは、立ち上がりエッジを検知する(ST1がYes)と、40μsパルス出力をする(ST2)。
次いで、制御部2aは、現在のデータが「ビット0」か否か(「ビット1」か)の論理判定を行う(ST3)。制御部2aは、論理判定が「ビット0」の場合、ST1に戻り、次の立ち上がりエッジの検出を行う。これにより、LFデータが「ビット0」の場合、立ち上がり時に40μsのパルス出力があるだけとなる。一方、制御部2aは、論理判定が「ビット1」の場合、40μsパルス出力をする(ST4)。その後、制御部2aはST1に戻り、次の立ち上がりエッジの検出を行う。これにより、LFデータが「ビット1」の場合、立ち上がり時と中間で40μsのパルスが2回出力されることになる。ST3の論理判定は、立ち上がりから350μs経過した際に、HighかLowかを判断し、Lowであれば「ビット0」と判定する。
一方、受信した無線LFデータからLFデータを再生する処理をするための携帯中継機3の制御部3aは、例えば図11(b)に示す送信データ変換フローを実行する機能を備える。すなわち、制御部3aは、無線LFデータのL/Hの状態を監視し、立ち上がりエッジの有無を判断する(ST11)。制御部3aは、立ち上がりエッジを検知する(ST11がYes)と、Highにする(ST12)。
次いで、制御部3aは、立ち上がりエッジの有無から現在のデータが「ビット1」か否か(「ビット0」か)の判定を行う(ST13)。制御部3aは、判定結果が「ビット0」(ST13がNo)の場合、出力をLowに変えた(ST14)後、ST1に戻り、次の立ち上がりエッジの検出を行う。一方、制御部3aは、判定が「ビット1」(ST13がNo)の場合、一定時間、High状態を維持する(ST15)。一定時間経過後、制御部3aは、出力をLowに変え(ST16)、ST11に戻り、次の立ち上がりエッジの検出を行う。ST13の判定は、ST11の立ち上がりから350μs経過した際に、立ち上がりエッジがあるか否かを判断し、あった場合には「ビット1」と判定する。立ち上がりエッジではなく、HighかLowかを見るようにしても良い。
上述した処理機能を、具体例を挙げて説明する。例えばLFデータが「0110」とすると、車両中継機2で受信した波形データは、図12(a)のようになる。制御部2aは、LFデータの「ビット0」の立ち上がりを検出し、所定幅(例えば、40μs)のパルスを挿入し、その後Low状態を維持する。そして、立ち上がりエッジの検出から350μs経過した際のLFデータはLowであるため、ST3の分岐判断はYesとなり、Lowを継続し、次の立ち上がりエッジを待つ。
そして、LFデータの次の「ビット1」の立ち上がりに伴い、40μsのパルスを挿入し、その後Low状態を維持する。そして、立ち上がりエッジの検出から350μs経過した際のLFデータはHighであるため、ST3の分岐判断はNoとなり、40μsのパルスを挿入し、その後Low状態を維持する。このLow状態は、次の「ビット1」の立ち上がりまで続く。以後同様にして、「0110」のLFデータを受信すると、図12(b)に示すような無線LFデータを生成する。そしてこの図12(b)に示すパルスは系の無線LFデータは、車両中継機2から送信され、携帯中継機3で受信される。
携帯中継機3は、受信した無線LFデータに対し、図11(b)の処理フローを実行することで、図12(c)に示すLFデータを再現する。すなわち、制御部3aは、無線LFデータの立ち上がりエッジを検知し、Highにする。このHigh状態は、次の分岐判断の判定処理(ST13)を行うまで継続する。そして、立ち上がりから200μs経過後に立ち上がりエッジがなくLowのままでるため、ST13の分岐判断はNoとなり、出力はLowにする。このLow状態は、次の立ち上がりエッジがあるまで継続する。これにより、「ビット0」のLFデータが再現される。
また、立ち上がりエッジの検知に伴い、制御部3aは、Highを出力する。そして、無線LFデータは、立ち上がりから200μs経過後に立ち上がりエッジがあるため、ST13の分岐判断はYesとなり、出力はHighを一定時間維持した後、Lowにする。このLow状態は、次の立ち上がりエッジがあるまで継続する。これにより、「ビット1」のLFデータが再現される。以後繰り返すことで、図12(c)に示すように、「0110」のLFデータが再現される。
[中継波形の変形例3]
上述した変形例1,変形例2では、LFデータの立ち上がりなどにエッジ信号を出力するようにしたが、本変形例では、LFデータのHigh状態の継続時間に基づいて、中継波形の無線LFデータを生成する。上述したように、LFデータのビット構成の一例としては、「ビット0」は、200μsがHighで150μsがLow(図3(a)参照)となり、「ビット1」は、500μsがHighで200μsがLowとなる(図3(b)参照)。このように、「ビット0」と「ビット1」をそれぞれ構成するビット構成は、HighとLowのパルス幅が決まっており、例えば、車両制御装置1から送られてきたLFデータのHigh状態が200μsよりも長く継続すれば、「ビット1」である。本変形例では、車両中継機2は、受信したLFデータの「ビット0」と「ビット1」のそれぞれのHighとLowのパルス幅と異なるパルス幅のビット構成の無線LFデータを生成し、携帯中継機3に向けて無線送信する。異なるパルス幅のビット構成は、例えば、無線LFデータの「ビット1」のHighのパルス幅を、LFデータの「ビット0」のHighのパルス幅と同じにし、無線LFデータの「ビット0」のHighのパルス幅を、無線LFデータの「ビット1」のHighのパルス幅よりも長くする。そして、無線LFデータのLowのパルス幅は、HighとLowを合わせた1サイクルの長さがLFデータと無線LFデータで同じになる値に設定する。
このようにすることで、無線LFデータを受信した携帯中継機3は、Highの長さから「ビット0」と「ビット1」を判別でき、LowからHighの立ち上がりは時間遅れすることなく元のLFデータと同じになるのでよい。
無線LFデータのビット構成の一例としては、「ビット0」は、Highが200μs+αで、Lowが150μs−αとする。ここで、αは、(500−200)μsより小さい値とし、例えば、100μsとする。「ビット1」は、Highが200μsで、Lowが((500+200)−200)μsとする。
さらに、車両制御装置1から送信されるwake信号とSTOP信号も、それぞれパルス幅が決まっている。一例を示すと、WAKE信号は、Highが2ms継続した後、Lowが180μs継続する。また、STOP信号は、Highが180μsの単発パルスである。これらWAKE信号並びにSTOP信号と、LFデータの「ビット0」,「ビット1」を識別するため、車両中継機2は、WAKEを受信すると、Highが200μs+α+βでLowが2ms+180μs−(200μs+α+β)の信号に変換し、携帯中継機3に向けて無線送信する。また、車両中継機2は、STOP信号を受信すると、Highが180μs+ γ信号に変換し、携帯中継機3に向けて無線送信する。ここで、γは20μs未満とする。
上述した変換後の各信号のHighは、WAKE信号(200μs+α+β)>ビット0(200μs+α)>ビット1(200μs)>STOP信号(180μs+γ:γ<20μs)となる。これにより、携帯中継機3は、Highの長さから、WAKE信号,ビット0,ビット1,STOP信号を識別できる。また、HighとLowの組み合わせからなる各信号のそれぞれの合計値は、変換前の信号の合計値と等しい。
上記の処理を行うため、車両中継機2の制御部2aは、図13に示す処理フローを実行し、携帯中継機3の制御部3aは、図14に示す処理フローを実行する。図13に示すように、制御部2aは、車両制御装置1から送られてきた入力信号がLowからHighに立ち上がるのを待つ(ST21)。
Highに立ち上がったら(ST21でY)、制御部2aは、Highを200μs+α+β継続し、Lowを2ms+180μs−(200μs+α+β)継続する信号を出力する(ST22)。第二車両側送受信部2cは、この信号を携帯中継機3に向けて無線送信する。以下に示す制御部2aから出力される出力信号も同様に第二車両側送受信部2cが、携帯中継機3に向けて無線送信する。
制御部2aは、次に入力信号がLowからHighに立ち上がるのを待つ(ST23)。Highに立ち上がったら(ST23でY)、制御部2aは、出力信号をHighにする(ST24)。制御部2aは、入力信号のHighの継続時間が180μsでLowに落ちるか否かを判断する(ST25)。ST25の分岐判断がYの場合、制御部2aは、γμs未満の設定した時間経過後にLowに落とす。これにより、制御部2aは、ST24でHighにしてから180μs+γ経過後にLowに落ちるSTOP信号を出力する。
ST25の分岐判断がYの場合、制御部2aは、入力信号がHighの継続時間が200μsを超えたか否かを判断する(ST27)。当該継続時間が200μSを超えた場合、ビット1の信号であり、200μs超えずにLowに落ちた場合ビット0の信号である。そこで、ST27の分岐判断がYの場合、制御部2aは、出力信号をLowにし、(500+200)−200μsの間、Lowを維持する(ST28)。ST27の分岐判断がNの場合、制御部2aは、Highの状態をα維持した後、出力信号をLowにし、150μs−αの間、Lowを維持する(ST28)。
図14に示すように、携帯中継機3の制御部3aは、車両中継機2から送られてきた入力信号がLowからHighに立ち上がるのを待つ(ST31)。Highに立ち上がったら(ST31でY)、制御部3aは、Highを2.0ms継続し、Lowを180μs継続する信号を出力する(ST32)。第一携帯側送受信部3bは、この信号を携帯機4に向けて無線送信する。以下に示す制御部2aから出力される出力信号も同様に第一携帯側送受信部3bが、携帯機4に向けて無線送信する。
制御部3aは、次に入力信号がLowからHighに立ち上がるのを待つ(ST33)。Highに立ち上がったら(ST33でY)、制御部3aは、出力信号をHighにする(ST34)。制御部3aは、入力信号のHighの継続時間を判定する(ST35)。ST35の判断が、200μsを超えた場合、制御部3aは、出力信号をLowにする(ST36)。ST35の判断が、200μsの場合、制御部3aは、出力信号を、Highの状態を(500−200)μs維持した後、出力信号をLowにし、Lowにする(ST37)。ST35の判断が、180μs+γの場合、制御部3aは、Lowにする(ST38)。このST38の処理を実行すると、STOP信号のHighの継続時間は、180μs+γとなり、変換前の元の車両制御装置1から出力されるSTOP信号のHighの継続時間よりもγだけ長くなる。STOP信号は、Highの単発パルスであり、その後はLowが継続するため、例えば1ビットや0ビットなどの信号に比べると、継続時間に要求される精度が低く、多少長くてもSTOP信号と認識される。また、γは、そのようにSTOP信号として認識させる時間とする。
また、図14の各処理ステップ(ST38を除く)において携帯中継機3が受信した信号に基づき出力信号のLow/Highを切り替えるタイミングをγずつ遅らせ、ST38の処理はγを遅らせることなくそのままLowにする制御を行うようにしてもよい。この場合、γは、車両制御装置1がLFデータを送信してからRFデータを受信するまでの遅れ時間で許容させている時間内に中継による通信が完了する時間内に設定する。
また、図13に示すST28の処理で、Lowを継続する変わりに、信号を変化させ、データを送信するようにしてもよい。上述した変形例では、携帯中継機3は、受信した入力信号のHighの継続時間に基づいて、出力信号を生成し、Lowの受信期間は入力信号のL/Hの状況に関係なく一定期間Lowを出力するようにしている。そこで、ST28の処理で、Lowを継続するのではなく、そのLowが継続する期間に、適宜のデータを送信することで、車両制御装置1から送られてきたLFデータの転送とともに別のデータを送信することができるようにした。このLowの期間は、500μsあるので、例えば、ビット1(High20μs,Low10μs)、ビット0(High10μs,Low20μs)のビット構成の信号とすれば、例えば8ビットのデータを送ることが可能となる。LFデータには、通常、必ず1個以上のビット0のデータは存在するので、当該ビット0の区間を利用して送信する。この8ビットのデータは、1回の送信で意味を持つものと、複数回の送信で意味を持つものがある。すなわち、データが長い場合、複数回に分割して送信する。
また、このようにLowの期間を利用してデータを送信する場合、携帯中継機3は、図14のST36の処理を実行後に、当該データの受信処理を実行する。受信処理は、例えば、当該データを受信し、受信したデータに基づく所定の処理を実行することである。
車両中継機2は、例えば車両に設置したセンサ、各種装置・機器と接続し、車両に関する情報等を取得する機能を持たせておき、その取得した車両に関する情報等を、上記のLow期間を利用して携帯中継機3に向けて無線送信する。そして携帯中継機3は、受信したデータに基づいた所定の処理を実行する。所定の処理は、例えば、受信したデータに基づき上記の車両に関する情報等を携帯中継機3の報知部3e等を使用してユーザに報知したり、携帯中継機3の設定を変更したりするものがある。車両中継機2は、車両のバッテリーから電力供給を受けているため、例えばエンジン始動前の車両のバッテリー電圧・容量を検知し、検知した上方を車両に関する情報の一つとして送信するようにすると良い。このようにすると、エンジン始動前のバッテリーの状態を知ることができ、劣化状況等の確認もできるので良い。
[中継波形のその他の変形例]
LFデータに基づいて変換する無線LFデータは、上述した変形例1,変形例2に限ることはなく、各種の変換が可能である。簡単な例を示すと、High/Lowを反転した波形とするものがある。
さらにまた、上述した変形例では、LFデータの中継波形を変更する例について説明したが、本発明はこれに限ることはなく、WAKEやSTOPについても同様に変更して中継し、受信側で再現する機能を備えると良い。
図15,図16は、第九実施形態を示している。上述した実施形態並びに変形例では、LFデータは、図3(a),(b)に示すようなHighとLowがそれぞれ所定のパルス幅の組み合わせで「ビット0」や「ビット1」を構成することを前提として説明した。車両制御装置1から出力される実際のLFデータは、図15(a)に概略で描画するように、Highの部分は所定周波数(例えば134kHz)でL/Hが高速に切り替わるパルスの集合であり、Lowの部分は係る高速で切り替わるパルスが出力しないLowとなっている。説明が前後するが、図3に示すビット構成のデータは、高速に切り替わるパルスに対し、エンベロープ検出を行い、当該高速に切り替わるパルスが存在している区間はHighを維持するパルス波形を生成したものである。よって、上述した実施形態並びに変形例は、係るLFデータのエンベロープ信号をそのまま送信するのではなく、車両中継機2が、エンベロープ信号に基づく送信用の信号を変換・生成し、それを送信するようにしている。そして、携帯中継機3は、受信した送信用の信号に基づき、LFデータのエンベロープ信号を再生し、携帯機4に向けての中継処理等を行うようにしている。
本実施形態では、エンベロープ信号ではなく、LFデータに近いデータを無線LFデータとして送信するようにした。具体的には、1/2に分周した信号(LF分周信号)を生成し、送信するようにした。一例を示すと、LFデータは、図15(a)に示すように「101……」とする。図示するように、各ビットのHighの部分は、134kHzのパルスが連続して出力されている。車両中継機2は、係るLHデータを受信すると図15(b)に示すように周波数を1/2の67kHzにしたLF分周信号(無線LFデータ)を生成し、携帯中継機3に向けて送信する。
本形態では、例えば携帯中継機3の第二携帯側送受信部3cを構成するRFICに2.4kHzのローパスフィルタを実装する。これにより、携帯中継機3が図15(b)に示すLF分周信号(無線LFデータ)を受信した場合、図15(c)に示すようなLFデータを再生する。この図15(c)に示すLFデータは、上述した各実施形態等において、携帯中継機3が受信した無線LFデータに基づいて再生したLFデータと同様のものとなる。そして、本実施形態では、第二携帯側送受信部3cで無線LFデータを受信すると、信号のL/H状態等を解析することなく出力されるため、簡単かつ高速に処理できるので好ましい。
図16は、係る処理を実行するための車両中継機2と携帯中継機3の要部を示している。同図に示すように、車両中継機2は、図示省略する第一車両側送受信部2bで受信したLFデータ(A)を、分周回路2eを経由して第二車両側送受信部2cに与えるように構成する。分周回路2eは、入力された信号の周波数を1/2に分周する回路である。これにより、分周回路2eからは、67kHzに分周されたLF分周データ(B)が出力される。このLF分周データ(B)が、第二車両側送受信部2cに与えられる。そして、第二車両側送受信部2cは、当該LF分周データ(B)を無線送信する。
さらに本実施形態では、エンベロープ検出部2fを備え、図15(a)に示す受信したLFデータ(A)を、分周回路2eとともにエンベロープ検出部2fに与えるようにする。そして、エンベロープ検出部2fは、高速(例えば134kHz)に切り替わるパルスが存在している区間はHighを維持するエンベロープ信号を生成する。エンベロープ検出部2fの出力は、制御部2aに与えられる。本実施形態では、係るエンベロープ信号を送信するのではなく、LF分周データの送信の制御に利用する。具体的には、例えば、LFデータの終わりを検知し、送信終了の制御を行う。
一方、携帯中継機3は、上述したように、第二携帯側送受信部3cを構成するRFICに2.4kHzのローパスフィルタを実装する。これにより、LF分周データ(B)を受けた第二携帯側送受信部3cからは、LFデータ(C)が出力される。なお、その他の構成並びに作用効果は上述した各実施形態や変形例と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
図17は、上述した車両中継機2が受信した134kHzのLFデータ(A)の周波数を1/2に分周した分周LFデータ(B)を生成し、送信するための別の回路構成を示している。この例では、図示省略する第一車両側送受信部2bで受信した134kHzのLFデータ(A)をエンベロープ検出部2fに与え、エンベロープ検出部2fの出力を制御部2aとLF分周データ生成部2gに与える。LF分周データ生成部2gは、67kHzの発振回路と、AND回路を備える。そして、エンベロープ検出部2fの出力と、発振回路の出力をAND回路に与える。これにより、AND回路からは、図15(b)に示すLF分周データが出力される。なお、その他の構成等は、図16に示す回路と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
図18は、第十実施形態を示している。本実施形態では、車両制御装置1から出力される134kHzのLFデータ(図18(b)参照)をそのまま送信するようにした。すなわち、車両中継機2は、図示省略の第一車両側送受信部2bで受信した車両制御装置1から出力される134kHzのLFデータを、第二車両側送受信部2cが送信する。
一方、携帯中継機3の第一携帯側送受信部3bを構成するRFICは、ビットレートフィルタを低い周波数に設定したものを用いる。低い周波数は、134kHzを受信できないものであればよい。これにより、携帯中継機3の第一携帯側送受信部3bは、車両中継機2から転送されてきた134kHzのLFデータをそのまま受信することができず、図18(c)に示すように、エンベロープ波形のような波形を出力する。このように受信側のRFICで134kHzをあえて受信しないようにビットレートフィルタを低い周波数にすることでエンベロープに変換することなくエンベロープを送信した時と同等な通信距離を確保することが可能になる。
さらに本実施形態では、車両制御装置1から出力される134kHzのLFデータをエンベロープに変換することなく、そのまま携帯中継機3に向けて送信するようにしたため、LF信号をエンベロープに変換する際に生じる遅れやズレが発生しないので、時間制約の厳しいシステムに有効に適用できる。また、LF信号をそのまま送信するため、中継する信号が忠実に再現できるのでよい。
さらに、本実施形態では、RFデータの送受信はビット非同期式で通信する。これにより、受信側のビットレートフィルタ(復調回路)を低くできるため、ノイズに対して有効となる。
[その他の変形例]
第九実施形態で説明したように、車両制御装置1から出力されるLFデータは、134kHzの信号であり、図3(a),(b)に示したLFデータは、受信した当該134kHzのLFデータをエンベロープ検出部で生成したエンベロープ波形である。このようにエンベロープ検出部でエンベロープを生成するのではなく、例えば、検波回路等を設け、第一車両側送受信部2bで受信した受信信号を検波する機能を備えると良い。検波により、134kHzのLFデータは、例えば図3(a),(b)に示したLFデータと同様の波形が得られる。
上述した基本構成の説明では、車両中継機2の制御部2aは、携帯中継機3から送信されてきた始動信号を受信すると、有線通信機能を用いて車両制御装置1にフットブレーキ信号を送信し、そのフットブレーキ信号を受信した車両制御装置1が応答要求信号(LFデータ)を出力するようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、例えば、フットブレーキ信号に替えて、プッシュスタート信号や、ドア開信号としてもよい。ただし、ドライバーが乗車して実際にエンジンを始動する際の操作に伴い生じる信号の出力タイミングに近いフットブレーキ信号を出力する実施形態が最も良い。また、例えばドア開信号を出力すると、オートアラームが鳴動する車両があり、プッシュスタート信号とすると、誤ってスタートするおそれがあるが、フットブレーキ信号の場合、当該信号が各種の制御装置に伝わっても安全上問題が無いので良い。
さらに、上述した基本構成の説明では、フットブレーキ信号を継続してON状態を出力するようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、フットブレーキ信号をON出力した後にOFFにしても良い。その場合、携帯中継機3からのレスポンスである無線RFデータを受信した車両中継機2は、エンジン始動要求信号とフットブレーキ信号をONにする。ただし、基本構成で説明したようにフットブレーキ信号のON状態を継続する方が良い。これは、ドライバーが乗車して実際にエンジンを始動する場合、フットブレーキペダルを踏んだ状態のままでプッシュスタートボタンを押し、エンジンが始動するまでフットブレーキペダルを踏み続ける状況と同じ状態にすることができるので良い。さらにまた、車種等によりエンジンを始動させるためのシーケンスが異なるので、当該シーケンスに合わせて、ON/OFFを出力するようにすると良い。
また、上述したように、信号の送受等を、ドライバーが乗車して実際にエンジンを始動する場合と同じような状況にするため、携帯中継機3から送信されてきた始動信号を受信した車両中継機2からフットブレーキ信号を出力する機能や、その出力したフットブレーキ信号をONにし続ける機能は、上述した各実施形態や変形例に適用するものに限ることはなく、例えば特許文献1などの他の中継方式を用いる車両遠隔操作システムに適用しても良い。
上述した各実施形態並びに変形例は、適宜組み合わせて構成するとよい。また、組み合わせるに際し、一部の構成を採りだし、他の形態に組み合わせると良い。さらに、各実施形態並びに変形例に示す一部の構成を必須とした別の発明を構成しても良い。例えば、第一実施形態の構成の一つである複数の通信に関するパラメータを記憶保持し、設定スイッチ3gにより切替えるようにしたが、係る機能を備えない構成としても良い。
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。