JP2017204075A - 盗難監視システム - Google Patents
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Abstract
【課題】自転車等の財物の盗難被害を抑制する物理的システム及び保険システムを具備した盗難監視システムを提供する。【解決手段】自転車1に付属させた無線発信器2と、無線発信器2からの信号を受信可能な、自転車1の使用者が携帯する無線端末3と、無線端末3との間で情報の送受信を行うシステム中枢4と、無線発信器2からの信号を受信可能で、かつ、システム中枢4との間で情報の送受信可能な、自転車1の使用者以外の者が携帯する無線端末5a〜5nを備える。システム中枢4は、無線発信器2から送信する無線信号が閾値以下となった場合に盗難発生可能性について判断し、盗難発生後、自転車1の近傍に位置する無線端末5a〜5nに対し自転車1に関する情報を送信すると共に、発見者に対する謝礼金に充当される保険金額の算出を行う。【選択図】図1
Description
本発明は、自転車等の財物の盗難被害の抑制を目的とした盗難監視システムに関するものである。
近年、健康志向の向上、環境問題への注目等を背景として、自転車が再注目されている。近年の自転車ブームの特徴としては、いわゆるスポーツタイプに分類されるシティバイク、ロードバイクといった高額な車種に人気が集まる点にある。これらの車種の販売価格はエントリーモデルでも10万円程度であり、本格的なものとなると100万円を超過するものも珍しくない。
他方で、自転車の盗難事故も多発している。これは、ロードバイク等の自転車が高価であることに加え、自転車が主に屋外にて保管され、使用時も屋外の駐輪スペースに駐輪されるため、屋内あるいは所有者の手元で管理される他の財物と比較して窃取が容易であることが主な理由とされている。また、盗難事故頻発の理由としては、インターネットオークション等の利用により換価が容易であること、部品単体も商取引の対象となり、窃取された自転車が分解され部品の状態で換価されると追跡が極めて困難となること、等の点も挙げられている。
このため、自転車の所有者は、盗難対策として駐輪時に金属錠を施錠したり、予め保険会社との間で盗難保険契約を締結するなどの対応を迫られることとなる。自転車用の金属錠については様々な技術が提案されており、例えば特許文献1では、駐輪時に車輪をロックする馬蹄型錠において、開錠許可識別データを電子的に読み取った際にのみ開錠する自転車電子鍵装置に関する技術が紹介されている。これは、開錠許可識別データを有さない者に開錠を許さない構成とすることによって、自転車の所有者以外の者がロックを外して自転車を窃取することの防止を目的とした技術を前提としたものである。
また、特許文献2においては、自転車のハンドル部分を固定するハンドルロック装置に関する技術が提案されている。これは、ハンドル部分が固定されている限り自転車を使用することができない(直線進行しかできずカーブを曲がることができない)ため、正当な使用者以外の者による自転車の使用を不能にし、もって窃盗被害を防止することを目的とした技術を前提としたものである。
しかし、特許文献1、2等にて開示された金属錠による盗難対策には、以下の課題がある。
まず、最近の窃盗犯は専門の工具を駆使して金属錠を破壊することにより、自転車を窃取することが知られている。例えば、金属を切断可能なカッターを使用して錠を切断したり、液体窒素で錠の金属部分を極低温まで冷却した後に打撃を与えて錠を物理的に破壊する等の行為により、金属錠は容易に無力化されてしまう。一般的な金属錠であれば、専門の工具の使用により数分程度で破壊可能であることから、金属錠を使用すること自体は、残念ながら盗難対策としては万全ではない。
物理的破壊が比較的困難な錠(例えば、破壊まで数十分程度の時間を要する金属錠)を使用したとしても、自転車は軽量であるため、施錠された状態のまま窃取して窃盗犯にとって安全な場所まで運搬することが可能である。そうすると、窃盗犯は安全な場所で時間をかけて錠を破壊できるのであるから、錠の物理的強度を向上させることは、決定的な解決手段とはなり得ない。
盗難保険契約も、現状では万全な盗難対策ではない。盗難保険契約は、所定の保険料を納付した者に対し、保険対象物が盗難されたことを条件として、対象物の価値に応じた保険金が支払われるシステムであるところ、保険対象となる自転車が高価であるため、どうしても保険料が高額となる。また、一般的な窃盗事件と異なり警察の捜査がなされることが稀であることから、保険会社にとっては申告どおりに盗難が発生したか正確に確認する術がない。このため、保険会社としては虚偽申告が生じることを見越して保険料をさらに高額に設定するか、少しでも疑わしい申告に対しては保険金を支払わないといった対応をとらざるを得ないが、いずれの対応も、真に盗難被害を受けた自転車の所有者にとっては不利な扱いとなる。
なお、上記の課題は、自転車盗難のケースに限定されるものではなく、犬、猫といったペットや、旅行時の携行物等の財物一般においても同様である。例えばペットは屋外にて飼育され、あるいは散歩中に飼主が買物等の用事を済ませている間屋外に放置されるといった状態にあるため盗難被害が生じやすいこと、財物的価値が高いこと(人気種であれば購入価格が数十万円以上となる。)、という点で自転車の場合と共通性を有するためである。また、旅行時の携行物についても、例えば外国からの旅行者は滞在地域(国)に不慣れであるため窃盗犯に狙われやすいこと、数日〜数週間分の滞在費用、航空チケット等を持ち歩くため携行物全体の財産的価値が高いこと、という点で自転車の場合と共通性を有している。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであって、自転車等の財物の盗難被害を抑制する物理的システム及び保険システムを具備した盗難監視システムの実現を目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1にかかる盗難監視システムは、無線発信器を付属せしめた、損害保険契約における保険対象物である財物の盗難状況を監視する盗難監視システムであって、前記無線発信器と関連付けられ、前記無線発信器から発信される無線信号の受信強度が所定の閾値以下となった場合に前記財物の盗難発生を警告する第1の無線端末と、前記第1の無線端末と異なる位置に配置され、前記無線発信器の接近時に前記無線信号を受信する第2の無線端末と、前記財物の盗難発生後に前記第2の無線端末が受信する前記無線信号の受信強度に基づき、盗難発生後における前記財物の位置情報を生成する位置情報生成手段と、前記第2の無線端末の少なくとも一部に対し、前記位置情報及び前記財物の特徴を記述した盗難財物情報を送信する情報送信手段と、前記第2の無線端末の管理者のうち前記財物の発見者及び確保者の少なくとも一方に対し、逸失時に前記損害保険契約に基づき支払われる金額よりも低額となる、前記財物の管理者が支払うべき謝礼金に充当される保険金額を算出する保険金算出手段とを備えたことを特徴とする。
本請求項における「損害保険契約における保険対象物である財物」とは、当該財物の滅失時に、予め定められた契約内容にしたがって保険金が支払われることとなっている財物をいう。また、「第2の無線端末」は、好ましくは複数存在するものとし、ある場所に固定的に配置されたもののみならず、管理者の移動に伴い位置を変ずるものも含むこととする。また、「第2の無線端末の管理者」とは、第2の無線端末の所有者、使用者を含む概念であり、例えば第2の無線端末が携帯電話である場合、当該携帯電話について通信会社との通話契約を締結した者を含むものとする。
また、請求項2にかかる盗難監視システムは、上記の発明において、前記情報送信手段は、前記第2の無線端末のうち、前記位置情報にて示される位置に近接した領域に位置する無線端末に対し、前記盗難財物情報を送信することを特徴とする。
また、請求項3にかかる盗難監視システムは、上記の発明において、前記財物は自転車であり、前記無線発信器は、前記自転車に具備されるフレーム部材を形成する円筒部材の内部に配置されることを特徴とする。
また、請求項4にかかる盗難監視システムは、上記の発明において、前記第2の無線端末における、前記無線発信器から送信される前記無線信号の受信強度に基づき、前記財物の特定を行うことを特徴とする。
本発明によれば、第1の無線端末により財物の盗難被害発生を迅速に認識できることに加え、盗難被害にあった財物について第2の無線端末を利用した追跡及び発見が可能であり、かつ、財物を発見した者に対する謝礼金に充当される保険金額が支出されることにより、第2の無線端末の管理者に対し、財物捜索の動機付けを与えられるという効果を奏する。加えて、本発明によれば、盗難財物発見時に、財物滅失時よりも低廉な保険金が支払われる扱いとすることで、保険会社の金銭的負担を軽減し、さらには保険契約に伴う保険料を低額化できるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお本実施の形態においては、自転車の盗難被害の抑制を目的とした盗難監視システムについて説明するが、対象物を自転車に限定する理由はなく、ペット、旅行時の携行物その他財物一般について、本発明を適用することが可能であることはいうまでも無い。
図1は、本実施の形態にかかる盗難監視システムの構成を示す模式図である。図1に示すように、本実施の形態にかかる盗難監視システムは、自転車1に付属させた無線発信器2と、無線発信器2からの信号を受信可能な、自転車1の使用者が携帯する無線端末3と、無線端末3との間で情報の送受信を行うシステム中枢4と、無線発信器2からの信号を受信可能で、かつ、システム中枢4との間で情報の送受信可能な、自転車1の使用者以外の者が携帯する無線端末5a〜5nを備える。
無線発信器2は、周囲に対し無線信号を継続的に送信する電子機器である。本実施の形態では無線発信器2が発信する信号はBluetooth Low Energy(BLE)規格に従った、通信距離5m〜30m程度のものとするが、他の規格に従った信号を発信することとしてもよい。無線発信器2は、いわゆるビーコンとして機能するものであり、信号に含まれる情報としては、少なくとも無線発信器2を他の発信器と区別するための識別情報が含まれているものとする。
また、無線発信器2は自転車1に付属した状態で使用されるものであるところ、自転車の利用の支障とならず、かつ、窃盗犯にその存在を認識されにくいよう、小型の機器とすることが望ましい。本実施の形態においては、筒状の金属を接合してなるフレーム(自転車の前輪、後輪、椅子等の部品を付属せしめる骨格部分)内部に装着可能な程度に小型であるものとする。
図2は、無線発信器2の装着場所を示す模式図である。図2に示すように、自転車1は前輪、後輪、サドル(椅子)等の部品を付属せしめるフレームを構成するステム1a、トップチューブ1b、シートチューブ1c、ヘッドチューブ・フロントフォーク1d、シートステイ1e、チェーンステイ1f、ダウンチューブ1g等を備えるところ、これらの部材は軽量化のため、筒状の、中空の部材からなる。また、これらの部材は、部品との接合部分において開口端が形成されていることから、無線発信器2を小型に形成した場合、当該開口端から挿入することにより、フレームを構成するステム1a等の内部に無線発信器2を設置することが可能である。なお、ステム1a等の内部に無線発信器2を設置する場合、自転車1の走行時等に発生する振動による故障防止の観点から、無線発信器2を緩衝材にて梱包した状態にてステム1a等の内部に固定することが望ましい。
ステム1a等の内部に無線発信器を設置することにより、無線発信器2の存在が窃盗犯に認識し難くなるため、盗難防止の観点からは極めて有効である。
なお、無線発信器2の設置場所としては、ステム1a等の内部以外にも、例えばサドルの裏面のように視認困難な場所とすることも可能である。さらに、前照灯、尾灯、反射器、速度計等、一般的な自転車に付属される部材に組み込むこと、これらの部材に類似させた形状の無線発信器2を設置することも効果的である。
無線端末3は、特許請求の範囲における第1の無線端末に相当するものであり、無線発信器2から送信された信号を受信する機能を有すると共に、システム中枢4との間で情報の送受信を行う機能を有する。本実施の形態においては、無線端末3はBLE規格の信号を受信する機能を有すると共に、インターネット回線を通じてシステム中枢4との間で情報の送受信を行うことが可能な携帯電話を無線端末3として利用するが、これに限定して解釈すべきではない。他の方式にて送受信する場合も、携帯電話のような汎用品ではなく本システムに特化した専用端末を使用する場合も、本発明の技術的範囲に含まれることは勿論である。
無線端末3は、無線発信器2から発信される無線信号を継続的に受信し、かかる信号の受信強度が所定の閾値を下回った場合に、盗難された可能性があるとの警告メッセージを表示するよう構成されている。自転車1の使用者は、警告メッセージに気づき次第自転車が盗まれていないか確認を行い、盗難被害が確認された場合に、無線端末3を通じて自転車1が盗難されたとの情報をシステム中枢4に送信する。なお、使用者の行為を介在させることなく、無線端末3が受信強度の変動パターンに応じて自動的に盗難情報をシステム中枢4に送信する構成としてもよいし、警告メッセージ表示後に一定時間が経過するまでの間に自転車1の使用者がキャンセル処理を行わない場合に、盗難情報をシステム中枢4に送信する構成としても良い。なお、これらの機能はハードウェア的に実現することとしても良いが、本実施の形態では、携帯電話にインストールしたアプリケーション(ソフトウェア)によって実現するものとする。
無線端末5a〜5nは、特許請求の範囲における第2の無線端末に相当するものであり、自転車1の使用者以外の者が携帯する無線端末である。無線端末5a〜5nは、無線端末3と同様に無線発信器2から発信される無線信号を受信する機能を有すると共に、システム中枢4から盗難された自転車1に付属する無線発信器2の識別情報等を受信する機能を有する。また、無線端末5a〜5nは、識別情報に合致した無線発信器2からの無線信号を受信した際に、システム中枢4に対して、無線信号の受信強度、受信場所の位置情報を送信する機能を有する。また、無線端末5a〜5nを携帯する者が盗難自転車を発見した際に、発見した事実及び発見場所に関する情報をシステム中枢4に送信する機能も有する。
無線端末5a〜5nから送信される「発見場所に関する情報」は、無線端末がGPS機能を備えている場合はGPS機能により算出される無線端末の位置情報とする。より好ましくは、無線端末5a〜5nを携帯する者が発見場所にて撮影した風景写真、具体的な位置を示す文字情報(例えば、○×市役所の正門脇、等の文字情報)としても良い。GPS機能による位置測定は若干の誤差があるため、これらの情報を付加することにより、発見場所についてより正確な情報を提供できるためである。
また、より好ましくは、無線端末5a〜5nからシステム中枢4に送信される情報として、発見した自転車1の現状(発見者が確保したか、発見場所にそのまま残置されているか、等)に関する情報も含まれることが望ましい。
なお、無線端末5a〜5nの具体的な構成は、本実施の形態においては無線端末3と同様のもの(携帯電話に所定のアプリケーションをインストールしたもの)とするが、上記機能を実現できるものであれば、異なる構成であってもよい。
システム中枢4は、無線端末3から送信された自転車1の盗難情報を受信し、無線端末5a〜5nに対し盗難された自転車1に付属した無線発信器2の識別情報と、盗難された自転車1に関する情報を送信する機能を有する。また、システム中枢4は、無線端末5a〜5nのいずれか(図1の例でいえば、無線端末5b)が無線発信器2からの無線信号を受信した際に、無線端末5から送信された受信場所の位置情報を、無線端末5に送信する機能を有する。さらに、システム中枢4は、無線端末5a〜5nに対し自転車1の盗難情報を送信し、これらのいずれかから送信された、自転車1を発見した旨の情報を受信し、無線端末3に送信すると共に、発見者に対し支払う謝礼金に充当される保険金額を算定する機能を有する。
システム中枢4は、具体的には、無線端末3、5a〜5nとの間で情報の送受信を行うための送受信部6と、無線発信器2の識別情報及び当該識別情報と関連付けられた自転車1の外観写真、機種名、製造者の名称、防犯登録番号、購入価格等の情報を記録した登録車両データベース7と、無線端末5a〜5nにおける無線発信器2からの無線信号の受信状況に基づき推定される自転車1の現在位置に関する情報を生成する位置情報生成部8と、無線端末3から送信された盗難情報及び登録車両データベース7に記録された自転車1に関する情報に基づき、盗難された自転車1に関する情報を生成する盗難車両情報生成部9と、無線端末5a〜5nのいずれかから送信された自転車1の発見通知に基づき、自転車1の発見情報を生成する発見情報生成部10と、無線端末3から送信された盗難情報及び登録車両データベース7に記録された自転車1に関する情報に基づき、発見者に支払うべき保険金額を算定する保険金算出部11とを備える。なおシステム中枢4の具体的な構成としては、インターネットに接続された電子計算機、例えばサーバ等の汎用品に所定のソフトウェアをインストールしたものとするが、本実施の形態にて説明する機能を実現するものであれば、汎用品ではなく本システムに特化した専用機器を使用してもよく、ソフトウェアをインストールすることなくハードウェア的に実現した装置を用いることとしても良い。
登録車両データベース7は、盗難車両情報生成部9、発見情報生成部10、保険金算出部11における情報生成に必要となる情報を記録するためのものである。具体的には、登録車両データベース7は、自転車1に対応する無線発信器2の識別情報、識別情報と関連付けられた自転車1の外観写真、機種名、製造者の名称、防犯登録番号、購入価格等を記録しており、盗難車両情報生成部9等の要求に応じて必要なデータを出力する機能を有する。
位置情報生成部8は、無線発信器2からの無線信号に関する無線端末5a〜5nにおける受信状況に基づき、自転車1の現在位置を推定すると共に、推定位置情報を、送受信部6を介して無線端末3、5a〜5nに対して送信する機能を有する。位置情報の推定は、無線信号を受信した無線端末5の位置及び無線端末5における受信強度に基づき行われる。具体的には、受信強度に基づき無線端末5からの距離を推定し、これと無線端末5の位置から、自転車1が存在しうる領域を算出する。無線発信器2からの無線信号を複数の無線端末5が受信した場合は、それぞれに基づき推定された自転車1の存在しうる領域のうち、重複する領域を算出する。
盗難車両情報生成部9は、盗難被害にあった自転車1に関する情報である盗難車両情報を生成する。盗難車両情報は、窃取された自転車1の推定位置情報のほか、自転車1の外観写真、機種名、製造者の名称及び防犯登録番号の少なくとも一つを含むものとする。また、盗難車両情報には、保険金算出部11により算出された保険金額及び自転車1を発見又は確保することにより当該保険金額が支払われる旨の情報を含むこととしても良い。発見時に支払われる保険金額を明示することにより、自転車捜索に対する動機付けが強化されることが期待されるためである。
なお、生成された盗難車両情報の送信先は、無線端末5a〜5nのうち、自転車1の推定現在位置に近接した領域に存在する無線端末5(1つではなく、複数でもよい。)とする。かかる領域内に存在する無線端末5に盗難車両情報を送信することにより、自転車1の発見可能性を向上させることができるためである。
発見情報生成部10は、自転車1が発見されたことを示す発見情報を生成する。発見情報は、自転車1が発見された旨と自転車1の具体的な位置に関する情報を含むものとするものとし、好ましくは、情報受領者の位置把握が容易となるよう、地図上にポイントを示す等の視覚的な情報を生成することとする。自転車1の具体的な位置に関する情報としては、発見にかかる無線端末5から送信された、発見時における位置情報に基づき生成してもよいし、発見者が入力した具体的な位置情報(○×市役所の正門脇、等の文字情報)に基づいて生成しても良い。より好ましくは、発見情報生成部10は、自転車1の現状(発見者によって確保されたか、発見場所にそのまま残置されているか等)に関する情報も発見情報に含める形で情報生成を行うものとする。
保険金算出部11は、保険金額を算定する。保険金額は、自転車1が発見又は確保された際に、自転車1の使用者が加入する盗難保険契約に基づき、保険会社によって賄われるものである。従来の損害保険の盗難特約では、盗難された自転車の価値に応じた金額(例えば、購入金額の50パーセント相当の金額、等)を支払うものであったが、近年流行している自転車の購入価格が高額化していることから、このような保険形態の場合、保険契約者が支払う保険料も高額なものとなっていた。これに対し本実施の形態においては、無線端末5a〜5nを携帯する者のうち、窃取された自転車1を発見又は確保した者に対し、謝礼金としての保険金を支払うこととしている。
また、本実施の形態においては、謝礼金の額を、従来の盗難保険で盗難時に支払う金額よりも低く抑制することにより、保険契約者が支払う保険料を低額化している。具体的には、窃取された自転車1が発見された場合に、自転車1の購入価格の10パーセント相当の金額が保険契約によって支払われることとし、本実施の形態にかかる盗難防止システムの維持運営費を控除した購入価格の5パーセント相当の金額が、自転車1を発見した者に対して支払われることとしている。かかる内容にて保険契約を締結することで、本実施の形態では、自転車1の使用者が支払う保険料を、図3に示すとおり、最低で150円、もっとも高いものでも3年間の保証で2万円弱に抑制することが可能である。
これらを前提にして、保険金算出部11は、自転車1の盗難発生が検知された時点で、登録車両データベース7に記録された、自転車1の購入価格に関する情報を取得し、当該情報に基づき、保険金として支出される金額と、本実施の形態にかかる盗難防止システムの維持運営費用を控除した、発見者に対し支払われる金額とを算出する。
次に、本実施の形態にかかる盗難防止システムの動作について説明する。図4は、本実施の形態にかかる盗難防止システムの動作について示すフローチャートであり、以下では、適宜これを参照しつつ説明を行う。
まず、無線発信器2から発信される無線信号を継続的にモニタリングしていた無線端末3において、無線信号の受信強度が閾値P0以下か否かを判定する(ステップS101)。受信強度が閾値を上回っている場合(ステップS101、No)はモニタリングを継続し、閾値以下の場合(ステップS101、Yes)はステップS102に移行する。なお閾値P0の値は0でもよく、この場合、無線発信器2からの無線信号の受信が途絶えた時点で、ステップS102に移行することとなる。
次に、自転車1が盗難されたか否かの確認がされ(ステップS102)、盗難されたことが確認された場合(ステップS102、Yes)は、無線端末3からシステム中枢4に対し、自転車1の盗難情報が送信される(ステップS103)。
自転車1の盗難情報受信を受けて、システム中枢4の位置情報生成部8は、自転車1の現在位置を推定する(ステップS104)。具体的には、無線端末5a〜5nから送信される、無線発信器2からの無線信号の受信状況に基づき、自転車1が現時点でおおよそどの領域に存在するかを推定し、推定結果を位置情報として出力する。
また、自転車1の盗難情報受信を受けて、システム中枢4の盗難車両情報生成部9は、盗難車両に関する情報、具体的には、窃取された自転車1の推定位置情報、外観写真等を含む盗難車両情報を生成する(ステップS105)。生成された盗難車両情報は、システム中枢4の送受信部6より、無線端末5a〜5nのうち自転車1の推定位置に近接する領域に位置するものに対し一斉送信される(ステップS106)。
盗難車両情報に含まれる推定位置情報に基づき、盗難車両情報を受信した無線端末5を携帯する者による捜索が行われ(ステップS107)、窃取された自転車1が発見された場合(ステップS107、Yes)、無線端末5からシステム中枢4に対し、自転車1を発見した旨の通知及び発見場所に関する情報が送信される(ステップS108)。受信したシステム中枢4の発見情報生成部10は、発見場所に関する情報を含む発見情報を生成して(ステップS109)、自転車1の使用者に通知する(ステップS110)。
なお、保険金算出部11による保険金算出処理は、ステップS102の盗難発生確認時に行っても良いし、ステップS108の発見通知がなされた時点で行っても良い。ステップS102にて保険金算出処理が行われる場合は、発見時又は確保時に発見者・確保者に対し支払われる金額を、盗難車両情報に含める形で一斉送信されることも有効である。
次に、本実施の形態にかかる盗難監視システムの利点について説明する。まず、本実施の形態にかかる盗難監視システムは、自転車等の財物に付属した無線発信器2からの無線信号を無線端末3が継続的に受信する構成とすることで、盗難確認を速やかに行えるという利点を有する。すなわち、無線発信器2から送信される無線信号は通信距離に応じて減衰する性質を有するものであるところ、財物が窃取された場合には財物とその管理者(管理者が携帯する無線端末3)の距離が離れることから、無線信号の受信強度低下により、財物が窃取された相当程度の可能性を速やかに把握することが可能である。特に財物が自転車である場合は、窃盗犯は自転車を使用して速やかに元の場所から離れること、移動速度も相当程度のものとなることから、本実施の形態にかかる盗難監視システムは、速やかに盗難可能性を把握できることにより、発見、回収可能性を飛躍的に向上できるという利点を有することが明らかである。
また、本実施の形態にかかる盗難監視システムは、盗難発生後に無線端末5a〜5nにおける無線発信器2からの無線信号の受信強度を把握することにより、盗難発生後における財物を追跡することが可能である。ある時刻における財物のおよその位置が判明することにより、速やかに財物を発見・回収することが可能となるほか、複数の時刻における財物の位置の変化を把握することにより、財物の追跡が可能となることに加え今後の移動を予測できることから、確実に財物を発見・回収することが可能となるという利点を有する。
さらに、本実施の形態にかかる盗難監視システムは、財物の発見者又は回収者に対し謝礼金を支払うこととしている。本実施の形態にかかる盗難監視システムは、かかる構成を採用することにより、捜索者が高い動機付けを受けることとなり、ひいては財物の発見・回収確率を向上させるという利点を有する。
また、本実施の形態にかかる盗難監視システムは、発見者又は回収者に支払う謝礼金について、損害保険契約にて賄うこととしている。かかる構成を採用したことにより、支払の確実性から捜索者の動機付けがより高められると共に、財物の管理者・所有者にとっても、謝礼金支払による金銭負担が低減されるという利点を有する。
さらに、本実施の形態にかかる盗難監視システムは、謝礼金額が財物の滅失時に支払われる保険金よりも低額とされていることから、保険会社にとっても保険金支払い負担が軽減され、ひいては財物の管理者・所有者が支払う保険料を低減できるという利点を有する。
(変形例1)
次に、本実施の形態の変形例1について説明する。変形例1は、無線発信器2から送信される無線信号について、無線端末3における受信強度が所定の閾値以下となった時点で、無線発信器2からの送信強度を増大させることを特徴とする。
次に、本実施の形態の変形例1について説明する。変形例1は、無線発信器2から送信される無線信号について、無線端末3における受信強度が所定の閾値以下となった時点で、無線発信器2からの送信強度を増大させることを特徴とする。
かかる機能を実現するためには、無線発信器2について、送信強度を変更可能な構成とすることに加え、無線端末3から送信される無線信号を受信する機能を持たせると共に、無線端末3における受信強度が閾値以下となった場合にその旨の情報が無線端末3から無線発信器2に対し送信され、これに応じて送信強度を変化させる構成を採用することが好適である。
無線発信器2は内蔵電池によって駆動するものであるところ、送信する無線信号の強度が大きいと駆動時間が短縮化することから、通常の状態では、無線端末3にて受信可能な最低強度にて無線信号を送信している。一方、盗難被害が生じた後は、近接位置に無線端末5a〜5nが位置するとは限らず、発見を容易にする観点からは、ある程度離隔した位置でも無線発信器2からの無線信号が受信できるよう、送信強度を強めることが望ましい。このため、本変形例では通常時と盗難時とで無線発信器2から送信される無線信号の強度を変化(盗難時に増加)させることとし、これにより、盗難時における自転車1の発見確率を向上できるという利点が生ずる。
(変形例2)
次に、本実施の形態の変形例2について説明する。変形例2は、無線端末5a〜5nからシステム中枢4に対し自転車1を発見した旨の通知及び発見場所に関する情報が送信される際に(ステップS108)、あわせて発見の事実を客観的に証明する情報を送信する構成を採用する。
次に、本実施の形態の変形例2について説明する。変形例2は、無線端末5a〜5nからシステム中枢4に対し自転車1を発見した旨の通知及び発見場所に関する情報が送信される際に(ステップS108)、あわせて発見の事実を客観的に証明する情報を送信する構成を採用する。
発見の事実を客観的に証明する情報とは、例えば、無線発信器2から送信された無線信号の、無線端末5における受信強度に関する情報とする。かかる情報を付加することにより、システム中枢4において、真に自転車1が発見されたか否かを判定することが可能となる。
本発明においては、発見者・確保者に対し謝礼金としての保険金が支払われる構成が採用されている。このため、謝礼金欲しさに虚偽の発見情報が通知される場合があるほか、一般論として無線端末の不調等による誤りが生じる場合も皆無ではない。このため、本変形例2では、発見者(と称する者)とは別にシステム中枢4において、発見の事実の有無を判定することとし、これにより、発見情報の過誤が生じることを防止できるという利点が生じる。
なお、「発見の事実を客観的に証明する情報」としては、無線信号の受信強度以外にも、例えば発見車両における防犯登録番号に関する情報や、発見車両を撮像した画像データとすることも可能である。これらの情報が発見者・確保者の無線端末5から送信された場合に、システム中枢4が予め登録している情報と照合することにより、発見情報の正否を確認することが可能である。
(変形例3)
次に、本実施の形態の変形例3について説明する。変形例3は、保険金算出部11における算出処理において、発見者・確保者が発見に要した労力・成果に応じて謝礼金の額を異ならせる処理を行うというものである。
次に、本実施の形態の変形例3について説明する。変形例3は、保険金算出部11における算出処理において、発見者・確保者が発見に要した労力・成果に応じて謝礼金の額を異ならせる処理を行うというものである。
変形例3においては、例えば窃取された自転車1を発見したにとどまる者よりも、発見のみならず確保・保管した者に対しては、保険金算出部11は、謝礼金が高額になるよう算出処理を行う。これは、発見のみにとどまる場合、自転車1の使用者は自ら自転車1の確保のため早急に移動したり、警察へ通報するなどの手間を要することから、これを不要とした場合には、謝礼金の額を増加させることとしたものである。
また、発見に至るまでの過程の相違に基づき、謝礼金の額を変化させることとしても良い。たとえば、システム中枢4から自転車盗難情報が送信されてから、無線端末5から発見した旨の通知及び発見場所に関する情報が送信されるまでの時間が長い場合、長時間にわたって自転車1の捜索活動がなされたと推測されることから、謝礼金の額が増加するよう、保険金算出部11は算出処理を行う。このほかにも、自転車盗難情報送信時における無線端末5の位置と、発見した旨の通知等が送信された時点における無線端末5の位置の間の距離を算出し、距離が長ければ捜索活動が容易でなかったと推定されることから、謝礼金の額が増加するよう保険金算出部11の処理が行われることとしている。
(変形例4)
次に、本実施の形態の変形例4について説明する。変形例4は、盗難車両情報の送信先を無線端末5a〜5nの全てとし、無線端末5a〜5nにおいて、無線発信器2から発信された無線信号を受信した際に盗難車両情報を表示する構成を採用したものである。実施の形態と組み合わせて、推定位置情報に近接する領域に位置する無線端末5と、無線信号を受信した無線端末5において、盗難車両情報が表示される構成としても良い。
次に、本実施の形態の変形例4について説明する。変形例4は、盗難車両情報の送信先を無線端末5a〜5nの全てとし、無線端末5a〜5nにおいて、無線発信器2から発信された無線信号を受信した際に盗難車両情報を表示する構成を採用したものである。実施の形態と組み合わせて、推定位置情報に近接する領域に位置する無線端末5と、無線信号を受信した無線端末5において、盗難車両情報が表示される構成としても良い。
変形例4では、無線発信器2からの無線信号を受信できる程度に自転車1に近接した無線端末5を携帯した者のみ、盗難車両情報を認識することが可能となる。自転車1の推定位置が正確でない場合等でも、自転車1に近接した場所にいる者による捜索が可能となるため、本変形例4では、発見確率がさらに向上するという利点が生じる。
本発明は、自転車等の財物の盗難被害を抑制する物理的システム及び保険システムを具備した盗難監視システムとして利用可能である。
1 自転車
2 無線発信器
3 無線端末
4 システム中枢
5 無線端末
6 送受信部
7 登録車両データベース
8 位置情報生成部
9 盗難車両情報生成部
10 発見情報生成部
11 保険金算出部
2 無線発信器
3 無線端末
4 システム中枢
5 無線端末
6 送受信部
7 登録車両データベース
8 位置情報生成部
9 盗難車両情報生成部
10 発見情報生成部
11 保険金算出部
Claims (4)
- 無線発信器を付属せしめた、損害保険契約における保険対象物である財物の盗難状況を監視する盗難監視システムであって、
前記無線発信器と関連付けられ、前記無線発信器から発信される無線信号の受信強度が所定の閾値以下となった場合に前記財物の盗難発生を警告する第1の無線端末と、
前記第1の無線端末と異なる位置に配置され、前記無線発信器の接近時に前記無線信号を受信する第2の無線端末と、
前記財物の盗難発生後に前記第2の無線端末が受信する前記無線信号の受信強度に基づき、盗難発生後における前記財物の位置情報を生成する位置情報生成手段と、
前記第2の無線端末の少なくとも一部に対し、前記位置情報及び前記財物の特徴を記述した盗難財物情報を送信する情報送信手段と、
前記第2の無線端末の管理者のうち前記財物の発見者及び確保者の少なくとも一方に対し、逸失時に前記損害保険契約に基づき支払われる金額よりも低額となる、前記財物の管理者が支払うべき謝礼金に充当される保険金額を算出する保険金算出手段と、
を備えたことを特徴とする盗難監視システム。 - 前記情報送信手段は、前記第2の無線端末のうち、前記位置情報にて示される位置に近接した領域に位置する無線端末に対し、前記盗難財物情報を送信することを特徴とする請求項1記載の盗難監視システム。
- 前記財物は自転車であり、前記無線発信器は、前記自転車に具備されるフレーム部材を形成する円筒部材の内部に配置されることを特徴とする請求項1又は2記載の盗難監視システム。
- 前記第2の無線端末における、前記無線発信器から送信される前記無線信号の受信強度に基づき、前記財物の特定を行うことを特徴とする請求項1ないし3に記載の盗難監視システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2016094728A JP2017204075A (ja) | 2016-05-10 | 2016-05-10 | 盗難監視システム |
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- 2016-05-10 JP JP2016094728A patent/JP2017204075A/ja active Pending
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