JP2017203685A - 照射材料の劣化診断方法及びその劣化診断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】照射材料の試験において、ひずみの測定精度を高めた照射材料の劣化診断方法を提供する。
【解決手段】実施形態の照射材料の劣化診断方法は、評価対象物である照射材料の劣化を診断する。この劣化診断方法は、評価対象物の表面に任意のマーキングパターンの一例であるランダムパターンを付与するランダムパターン付与工程S2と、ランダムパターン付与工程S2の後に、評価対象物へ荷重を付与する荷重付与工程S4と、荷重付与工程S4と同時に、評価対象物の表面のランダムパターンの画像を撮影するランダムパターン画像撮影工程S3と、ランダムパターン画像撮影工程S3で撮影したランダムパターンの画像の変化から評価対象物の表面の変形量及びひずみを算出する変形量及びひずみ算出工程S5と、を有する。
【選択図】図1
【解決手段】実施形態の照射材料の劣化診断方法は、評価対象物である照射材料の劣化を診断する。この劣化診断方法は、評価対象物の表面に任意のマーキングパターンの一例であるランダムパターンを付与するランダムパターン付与工程S2と、ランダムパターン付与工程S2の後に、評価対象物へ荷重を付与する荷重付与工程S4と、荷重付与工程S4と同時に、評価対象物の表面のランダムパターンの画像を撮影するランダムパターン画像撮影工程S3と、ランダムパターン画像撮影工程S3で撮影したランダムパターンの画像の変化から評価対象物の表面の変形量及びひずみを算出する変形量及びひずみ算出工程S5と、を有する。
【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、例えば軽水炉、高速炉、核融合炉等の機器及び材料のように放射線等の照射を受けた機器及び材料(以下、これらを一括して照射材料ともいう。)の劣化を診断する照射材料の劣化診断方法及びその劣化診断装置に関する。
軽水炉、高速炉、核融合炉等を構成する機器は、運転中に中性子の照射を受ける。中性子の照射を受けると、機器を構成する材料中に欠陥又は転位が増加するとともに、析出物が生成される。その結果、材料の延性及び靱性が低下する。このように照射に起因する材料の劣化は、照射脆化と呼ばれている。
この照射脆化により機器の構成材料の延性及び靱性が低下し、地震等により大きな外力が作用した場合、破壊形態が延性破壊から脆性破壊へ遷移する。また、万一機器に割れやひびが発生した場合、破壊抵抗は低下する。したがって、照射脆化により機器の不安定破壊のリスクが高まることになる。
そのため、軽水炉、高速炉、核融合炉等を構成する機器の構造健全性を確保するには、放射線照射による材料劣化(放射線照射脆化)を診断することが必要となる。通常、放射線照射材料の機械的特性の劣化を診断する方法には、放射線照射材料の材料試験(引張試験、衝撃試験、破壊靭性試験、及びクリープ破断試験等)がある。
加藤章「スペックルパターンを用いた全視野ひずみ分布計測法」実験力学,Vol.2,No.1(2002年).
川久保政洋,釜谷昌幸「3次元デジタル画像相関法による溶接部における不均一強度分布の測定」日本機械学会論文集,79巻806号,(2013年)
前述した引張試験による放射線照射材料の引張特性評価、クリープ破断試験による放射線照射材料のクリープ特性評価では、試験に用いる試験片のひずみを高精度に評価することが必要になる。
放射線の未照射材料の試験であれば、延性の指標となるひずみの測定には、ひずみゲージ又は伸び計が用いられるため、高精度にひずみを測定することが可能である。一方、放射線照射材料の試験では、材料が放射化していることから、ひずみゲージ又は伸び計を用いた接触式のひずみ測定方法を適用することができない。そのため、これまでの放射線照射材料の試験では、試験片のつかみ部の変位量や試験治具、試験装置の変位量から算出されるひずみを代替として用いていた。
しかしながら、その代替として用いたひずみには、試験片の試験部のひずみだけではなく、試験片のつかみ部や試験冶具、試験装置のひずみも含まれてしまうため、ひずみを大きめに評価してしまうこととなり、ひずみの測定精度が低いという問題がある。
また、軽水炉、高速炉、核融合炉の放射線照射材料の試験片では、照射効率の観点(試験片が小さければ、一度の照射でより多くの試験片を準備可能である)及び被ばく低減の観点から小さいサイズの試験片(例えば、平行部長さ5mm、平行部幅1.2mm、厚さ0.25mmの微小試験片)が広く用いられている。
このように試験片のサイズが小さくなると、その分、試験片の変形量が小さくなるため、試験片のつかみ部や試験冶具、試験装置の変形量の影響が大きくなる。したがって、微小試験片を用いた放射線照射材料の試験では、ひずみの測定精度が著しく低くなるという問題がある。
本実施形態が解決しようとする課題は、照射材料の試験において、ひずみの測定精度を高めた照射材料の劣化診断方法及びその劣化診断装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本実施形態に係る照射材料の劣化診断方法は、評価対象物である照射材料の劣化を診断する照射材料の劣化診断方法であって、前記評価対象物の表面に任意のマーキングパターンを付与するマーキングパターン付与工程と、前記マーキングパターン付与工程の後に、前記評価対象物へ荷重を付与する荷重付与工程と、前記荷重付与工程と同時に、前記評価対象物の表面に付与したマーキングパターンの画像を撮影するマーキングパターン画像撮影工程と、前記マーキングパターン画像撮影工程で撮影したマーキングパターンの画像の変化から前記評価対象物の表面の変形量及びひずみを算出する変形量及びひずみ算出工程と、を有することを特徴とする。
本実施形態に係る照射材料の劣化診断装置は、評価対象物である照射材料の劣化を診断する照射材料の劣化診断装置であって、表面に任意のマーキングパターンを付与した前記評価対象物へ荷重を付与する荷重付与部と、前記荷重付与部により前記評価対象物へ荷重を付与すると同時に、前記評価対象物の表面に付与したマーキングパターンの画像を撮影するマーキングパターン画像撮影部と、前記マーキングパターン画像撮影部により撮影したマーキングパターンの画像の変化から前記評価対象物の表面の変形量及びひずみを算出する変形量及びひずみ算出部と、を備えることを特徴とする。
本実施形態によれば、照射材料の試験において、ひずみの測定精度を高めることが可能となる。
以下、本実施形態に係る照射材料の劣化診断方法及びその劣化診断装置について、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
(構 成)
図1は第1実施形態の照射材料の劣化診断方法の工程順序を示すフローチャートである。図2(a)〜(d)は第1実施形態において放射線照射を受けた機器及び材料から採取された各サイズの試験片を示す図である。
(構 成)
図1は第1実施形態の照射材料の劣化診断方法の工程順序を示すフローチャートである。図2(a)〜(d)は第1実施形態において放射線照射を受けた機器及び材料から採取された各サイズの試験片を示す図である。
図1に示すように、第1実施形態の照射材料の劣化診断方法は、評価対象物の選定及び準備工程(ステップS1)と、評価対象物の表面に任意のマーキングパターンの一例であるランダムの模様(以下、ランダムパターンという。)を付与するマーキングパターン付与工程としてのランダムパターン付与工程(ステップS2)と、マーキングパターン画像撮影工程としてのランダムパターン画像撮影工程(ステップS3)と、評価対象物への荷重付与工程(ステップS4)と、評価対象物表面の変形量及びひずみ算出工程(ステップS5)と、を有する。なお、ステップS6は、第2実施形態において説明する。
評価対象物の選定及び準備工程(ステップS1)では、評価対象物を選定し、評価対象物の準備を行う。本実施形態では、評価対象物を放射線照射材料の試験片(平行部長さ5〜60mm、平行部幅1.2〜12.5mm、厚さ0.25〜3.0mm)とする。
試験片の代表例としては、図2(a)に示す平行部長さ60mm、平行部幅12.5mm、厚さ3.0mmの試験片11、図2(b)に示す平行部長さ30mm、平行部幅6.3mm、厚さ1.5mmの試験片12、図2(c)に示す平行部長さ12mm、平行部幅2.5mm、厚さ0.6mmの試験片13、及び図2(d)に示す平行部長さ5mm、平行部幅1.2mm、厚さ0.25mmの試験片14が挙げられる。
なお、試験片11は、JIS Z 2241「金属材料引張試験方法」に準拠した標準サイズの試験片である。試験片12は、標準サイズの1/2のサイズの試験片である。試験片13は、標準サイズの1/5のサイズの試験片である。試験片14は、標準サイズの1/10のサイズの微小試験片である。本実施形態では、評価対象物として主に試験片14を用いた例について説明する。
軽水炉、高速炉、核融合炉における放射線照射材料の試験片では、放射線照射効率の観点(試験片が小さければ、一度の放射線照射でより多くの試験片を準備可能である。)及び被ばく低減の観点から微小サイズの試験片14が広く用いられている。
材料の種類に関しては、軽水炉及び高速炉の機器及び材料の場合は、オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304,SUS304L,SUS316,SUS316NG)が対象となる。核融合炉の機器及び材料の場合は、例えば低放射化フェライト鋼F82H、タングステン等が対象となる。
ランダムパターン付与工程(ステップS2)では、試験片14の表面にランダムな模様のランダムパターンを付与する。本実施形態では、例えば試験片14の表面に黒色の塗料を噴霧することによりランダムパターンを付与している。その他、ランダムパターンを付与するには、ランダムな模様のシールを貼り付けるか、あるいはレーザーマーキング等の方法を用いてもよい。また、試験片14の表面を腐食液でエッチングし、結晶粒界又は析出物を可視化できる場合は、可視化した結晶粒界又は析出物の模様をランダムパターンの代用としてもよい。
ランダムパターン画像撮影工程(ステップS3)と、評価対象物への荷重付与工程(ステップS4)は、同時に実行される。すなわち、評価対象物への荷重付与工程(ステップS4)では、試験片14に荷重を付与し、それと同時にランダムパターン画像撮影工程(ステップS3)では、試験片14の表面のランダムパターンの画像を撮影する。
図3は第1実施形態において荷重付与及び画像撮影するための装置を示す構成図である。図4は図3の装置を示すブロック図である。
図3及び図4に示すように、ホットセル21内には、材料試験機22及びランダムパターン画像撮影部としてのCCD(Charge Coupled Device)カメラ23が設置されている。材料試験機22は、油圧式又はボールねじ式の一般的な材料試験機が用いられる。
材料試験機22は、フレーム24にロードセル25を固定し、このロードセル25に試験片掴み具26aを連結して評価対象物である試験片14の上部を固定する。一方,試験片14の下部は試験片掴み具26bで固定し、この試験片掴み具26bに荷重付与部としてのアクチュエータ27を固定する。
本実施形態の制御系は、ロードセル25、CCDカメラ23、及び変形量及びひずみ算出部としてのパーソナルコンピュータ(personal computer;以下、パソコンと略称する。)30を備える。このパソコン30は、ホットセル21の外部に設置され、演算部31、記録部32、及び表示部33等を有する。
本実施形態では、アクチュエータ27を駆動させることによって、試験片14は一定の速度で引き伸ばされる。ある量の伸びを試験片14に与えるのに必要な荷重(材料の抵抗力)は、ロードセル25によって電気信号に変換される。すなわち、ロードセル25は、試験片14に付与した荷重を検出する。この荷重データは、パソコン30に出力される。
CCDカメラ23は、解像度5メガピクセル程度のものが用いられる。CCDカメラ23は、試験片14の表面に付与されたランダムパターンの画像を撮影する。この画像データは、パソコン30に出力される。
パソコン30は、記録部32に荷重データ及び画像データを同期して記録する。この際、パソコン30は、荷重データのサンプリング速度と画像データのフレームレートを一致させるように制御することで、荷重から換算される応力データと画像から換算されるひずみデータを同期させる。
評価対象物表面の変形量及びひずみ算出工程(ステップS5)では、パソコン30の演算部31がCCDカメラ23で撮影した画像のランダムパターンの変化から試験片14の表面の変形量及びひずみを算出する。
具体的には、ランダムパターンを含む任意のエリアにおいて、そのエリアの初期面積を(X0,Y0)、i番目の画像におけるエリアの面積を(Xi,Yi)とすると、その位置の変形量及びひずみ量はそれぞれ式(1)〜(4)で表される。
変形量:(ΔX,ΔY)=(Xi−X0,Yi−Y0) (1)
ひずみ:(εX,εY)=((Xi−X0)/X0,(Yi−Y0)/Y0) (2)
変形量:(ΔX,ΔY)=(Xi−Xi−1,Yi−Yi−1) (3)
ひずみ:(εX,εY)=((Xi−Xi−1)/Xi−1,(Yi−Yi−1)/Yi−1) (4)
ひずみ:(εX,εY)=((Xi−X0)/X0,(Yi−Y0)/Y0) (2)
変形量:(ΔX,ΔY)=(Xi−Xi−1,Yi−Yi−1) (3)
ひずみ:(εX,εY)=((Xi−Xi−1)/Xi−1,(Yi−Yi−1)/Yi−1) (4)
ここで、式(1)及び式(2)は、i番目の画像における面積と初期面積との差分に基づいた変形量及びひずみである。一方、式(3)及び式(4)は、i番目の画像における面積と(i−1)番目の画像における面積との差分に基づいた変形量及びひずみである。
評価対象物である試験片の変形量が微小であれば、式(1)及び式(2)、式(3)及び式(4)のどちらの式を用いてもよいが、評価対象物の変形量が大きい(概ね十数mm以上の変形量)場合は、式(3)及び式(4)を用いることが望ましい。
(作 用)
図5は第1実施形態の引張試験において標準サイズの試験片の公称応力と公称ひずみとの関係の評価結果を示すグラフである。図6は第1実施形態の引張試験において微小試験片の公称応力と公称ひずみとの関係の評価結果を示すグラフである。
図5は第1実施形態の引張試験において標準サイズの試験片の公称応力と公称ひずみとの関係の評価結果を示すグラフである。図6は第1実施形態の引張試験において微小試験片の公称応力と公称ひずみとの関係の評価結果を示すグラフである。
具体的には、図5及び図6は、本実施形態の図1のフローチャートに従って9Cr−1Mo鋼(未照射材)の引張試験を実施し、公称応力と公称ひずみとの関係を評価した結果を示している。この公称応力は、ロードセル25により検出した荷重データに基づいている。公称ひずみは、CCDカメラ23で撮影した画像データに基づいている。また、一点鎖線で示す比較例には、現行の照射材料の引張試験に用いられている、材料試験機のクロスヘッド変位から算出したひずみを用いて評価した結果を示している。
図5及び図6によれば、試験片のサイズにかかわらず、クロスヘッド変位から算出した比較例のひずみは、実線で示す本実施形態の図1のフローチャートに従って評価したひずみよりも大きく、ひずみを過大評価している傾向が分かる。
図7は引張試験において第1実施形態及び比較例の弾性率の評価結果を示すグラフである。図8は引張試験において第1実施形態及び比較例の一様ひずみの評価結果を示すグラフである。
具体的には、図7及び図8は、本実施形態の図1のフローチャートに従って9Cr−1Mo鋼(未照射材)の引張試験を実施し、弾性率及び一様ひずみを評価した結果を示している。また、比較例には、現行の照射材料の引張試験に用いられている、試験機のクロスヘッド変位から算出したひずみを用いて評価した弾性率及び一様ひずみを評価した結果を示している。なお、図7及び図8には、伸び計を用いて丸棒試験片を評価した弾性率及び一様ひずみも示している。
図7及び図8によれば、比較例のように材料試験機のクロスヘッド変位から算出したひずみを用いた場合は、ひずみを過大評価しているため、弾性率が極端に低く、一様ひずみを過大に評価していることが分かる。
一方、本実施形態の図1のフローチャートに従って評価したひずみを用いた場合は、伸び計を用いた場合とほぼ同等の精度で弾性率及び一様ひずみを評価可能であることが確認できる。したがって、本実施形態を用いることで、放射線照射材料のひずみ評価の精度を向上させることが可能である。
このように本実施形態によれば、試験片14の表面にランダムパターンを付与し、試験片14へ荷重を付与し、これと同時に試験片14の表面のランダムパターンの画像を撮影し、撮影したランダムパターンの画像の変化から試験片14の表面の変形量及びひずみを算出することにより、放射線照射材料の試験において、ひずみの測定精度を高めることが可能となる。
(第1実施形態の装置の変形例)
図9は第1実施形態において荷重付与及び画像撮影するための装置の変形例を示す構成図である。図10は第1実施形態において荷重付与及び画像撮影するための装置の他の変形例を示す構成図である。なお、前記第1実施形態と同一の部分には、同一の符号を付して説明する。
図9は第1実施形態において荷重付与及び画像撮影するための装置の変形例を示す構成図である。図10は第1実施形態において荷重付与及び画像撮影するための装置の他の変形例を示す構成図である。なお、前記第1実施形態と同一の部分には、同一の符号を付して説明する。
図9に示す変形例では、CCDカメラ23がホットセル21の外側に設置されている。この場合、ホットセル21には、放射線の透過を防止する鉛ガラス等の放射線遮蔽ガラス34が取り付けられている。そのため、放射線遮蔽ガラス34を通してランダムパターンの画像をCCDカメラ23により撮影することができるようにしている。
図9に示す変形例によれば、CCDカメラ23をホットセル21の外側に設置したことにより、CCDカメラ23の取扱いが容易になり、作業性を高めることができる。
図10に示す他の変形例では、ホットセル21の外側に2台のCCDカメラ23が設置されている。なお、他の変形例では、2台に限らず、3台以上のCCDカメラ23を設置してもよい。また、図9に示す変形例と同様にホットセル21に放射線遮蔽ガラス34が取り付けられている。
図10に示す他の変形例によれば、ホットセル21の外側に2台のCCDカメラ23を設置したことにより、異なる角度からランダムパターンの画像を撮影することができるので、ひずみの測定精度を一段と高めることが可能となる。
(第1実施形態の試験片の第1変形例)
次に、第1実施形態の試験片の第1変形例について説明する。
次に、第1実施形態の試験片の第1変形例について説明する。
前記第1実施形態では、評価対象物を放射線照射材料の試験片としていたが、第1変形例では、図示しないが放射線照射を受けた機器から部分試験体として直接切り取って採取した試験体を用いている。その部分試験体の表面にランダムパターンを付与してひずみを算出する。このひずみを算出するための工程順序は、前記第1実施形態と同様である。
第1変形例において、切り取る部分試験体の形状としては、平板試験片や丸棒試験片等の一般的な引張試験片の形状でもよく、また4点曲げ試験や3点曲げ試験等に用いる平板曲げ試験片の形状でもよい。
放射線照射の強さは材料内で減衰するため、放射線照射を受けた機器の放射線照射量は分布を有するのが一般的である。前記第1実施形態における放射線照射材料のひずみ評価法を用いると、放射線照射を受けた機器の各位置のひずみを算出することができる。
そのため、第1変形例では、放射線照射を受けた機器から切り取って採取された部分試験体を用いることにより、機器の放射線照射量分布に応じたひずみ分布を測定することができる。すなわち、試験片の第1変形例によれば、機器の放射線照射量分布に応じた材料の劣化度の分布を予測することができる。
(第1実施形態の試験片の第2変形例)
次に、第1実施形態の試験片の第2変形例について説明する。
次に、第1実施形態の試験片の第2変形例について説明する。
第2変形例では、図示しないが放射線照射を受けた機器自体の表面にランダムパターンを付与してひずみを算出する。このひずみを算出するための工程順序は、前記第1実施形態と同様である。第2変形例は、例えば軽水炉、高速炉、核融合炉等を廃炉する場合に、放射線照射を受けた機器自体の劣化を診断するために試験を行い、そのひずみデータを取得するためである。
第2変形例において、放射線照射を受けた機器に付与する荷重は、例えば圧力容器又は核融合ブランケット等の耐圧バウンダリとしての機能が求められる場合は内圧負荷とする。
このように第2変形例によれば、放射線照射を受けた機器自体の表面にランダムパターンを付与することで、機器を大きく破壊することなく、また機器自体を加工することなく、荷重負荷時のひずみ分布を評価することができる。その結果、評価対象物の準備作業が容易になる。
(第2実施形態)
図11は第2実施形態において欠陥のない評価対象物とその表面のひずみ分布を示す説明図である。図12は第2実施形態において欠陥のある評価対象物とその表面のひずみ分布を示す説明図である。なお、前記第1実施形態と同一の処理には、同一のステップ番号を用いて説明する。
図11は第2実施形態において欠陥のない評価対象物とその表面のひずみ分布を示す説明図である。図12は第2実施形態において欠陥のある評価対象物とその表面のひずみ分布を示す説明図である。なお、前記第1実施形態と同一の処理には、同一のステップ番号を用いて説明する。
本実施形態では、前記第1実施形態のように放射線照射を受けた機器及び材料の劣化診断の工程順序(ステップS1〜S5)に従って評価対象物の表面のひずみを測定する。その後、図1のステップS6に示すように、この測定したひずみの分布から割れや減肉等の損傷部の発生の有無を診断する。
具体的には、図11に示すように、評価対象物35にランダムパターン36が付与されており、評価対象物35に割れや減肉等の損傷部がない場合は、矢印に示す方向に荷重を付与(ステップS4)しても評価対象物35の表面のひずみ分布に特異性は現れない。すなわち、評価対象物35の表面のひずみ分布に変化がない。
一方、図12に示すように、評価対象物35に割れや減肉等の損傷部37がある場合は、矢印に示す方向に荷重を付与すると、亀裂先端の応力場の特異性や応力集中(ひずみ集中)、肉厚減少による真応力(正味断面応力)の増加により、損傷部37付近にて局所的にひずみが極大化するひずみ集中部38が形成される。
したがって、本本実施形態によれば、このひずみ分布の特異性の有無より、割れや減肉等の損傷部37の有無を診断することができる。ここで、本実施形態におけるひずみ分布の特異性とは、評価対象物35にひずみが局所的に極大化するひずみ集中部38が形成されることをいう。
なお、本実施形態では、割れや減肉等の損傷部37に限らず、溶接継手における母材、溶接金属、熱影響部の材料特性のミスマッチに起因するひずみ集中、形状不連続部のひずみ集中等を可視化するとともに、観察用にも適用することができる。これにより、損傷部37が発生するリスクの高い部位を特定することができる。
(その他の実施形態)
本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
例えば、前記各実施形態では、照射材料として軽水炉、高速炉、核融合炉における放射線照射材料、つまり中性子による照射材料を評価対象物とした例について説明したが、これに限らずガンマ線照射等は勿論のこと、水素やヘリウム等のイオン照射、電子線照射を受けた機器及び材料を評価対象物としてもよい。
また、前記各実施形態では、ランダムパターン付与工程(ステップS2)でランダムパターンを付与し、ランダムパターン画像撮影工程(ステップS3)でそのランダムパターンの画像を撮影するようにしたが、上記ランダムパターンに限らず、例えば規則性を有するマス目等を含む任意のマーキングパターンであればよい。
11…試験片、12…試験片、13…試験片、14…試験片、21…ホットセル、22…材料試験機、23…CCDカメラ(ランダムパターン画像撮影部)、24…フレーム、25…ロードセル、26a,26b…試験片掴み具、27…アクチュエータ(荷重付与部)、30…パソコン(変形量及びひずみ算出部)、31…演算部、32…記録部、33…表示部、34…放射線遮蔽ガラス、35…評価対象物、36…ランダムパターン、37…損傷部、38…ひずみ集中部
Claims (7)
- 評価対象物である照射材料の劣化を診断する照射材料の劣化診断方法であって、
前記評価対象物の表面に任意のマーキングパターンを付与するマーキングパターン付与工程と、
前記マーキングパターン付与工程の後に、前記評価対象物へ荷重を付与する荷重付与工程と、
前記荷重付与工程と同時に、前記評価対象物の表面に付与したマーキングパターンの画像を撮影するマーキングパターン画像撮影工程と、
前記マーキングパターン画像撮影工程で撮影したマーキングパターンの画像の変化から前記評価対象物の表面の変形量及びひずみを算出する変形量及びひずみ算出工程と、
を有することを特徴とする照射材料の劣化診断方法。 - 前記評価対象物は、放射線の照射を受けた機器から部分的に切り取って採取された部分試験体であることを特徴とする請求項1に記載の照射材料の劣化診断方法。
- 前記評価対象物は、放射線の照射を受けた機器自体であることを特徴とする請求項1に記載の照射材料の劣化診断方法。
- 前記荷重付与工程で前記評価対象物に荷重を付与した際の表面のひずみ分布に基づいて、前記評価対象物の損傷部の有無を診断する損傷部診断工程をさらに有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の照射材料の劣化診断方法。
- 前記マーキングパターンは、ランダムな模様のランダムパターンであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の照射材料の劣化診断方法。
- 評価対象物である照射材料の劣化を診断する照射材料の劣化診断装置であって、
表面に任意のマーキングパターンを付与した前記評価対象物へ荷重を付与する荷重付与部と、
前記荷重付与部により前記評価対象物へ荷重を付与すると同時に、前記評価対象物の表面に付与したマーキングパターンの画像を撮影するマーキングパターン画像撮影部と、
前記マーキングパターン画像撮影部により撮影したマーキングパターンの画像の変化から前記評価対象物の表面の変形量及びひずみを算出する変形量及びひずみ算出部と、
を備えることを特徴とする照射材料の劣化診断装置。 - 前記マーキングパターンは、ランダムな模様のランダムパターンであることを特徴とする請求項6に記載の照射材料の劣化診断装置。
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