JP2017201976A - 貝類飼育システム及び貝類飼育方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ホタル類の幼虫の餌となる貝類について、様々なサイズのものが存在する状態を長期間維持しうる飼育手段の提供。
【解決手段】ホタル類の幼虫の餌となる貝類を飼育するための貝類飼育システムAであって、略平板状で傾斜させた床板11と両岸の壁板12、13とによって上流U側から下流D側への一定方向の飼育水W1、W2の水流が形成される水路部1、水路部1の下流側から流れ落ちる飼育水を貯留する貯留部2、飼育水を貯留部2から揚水して水路部1の上流側へ供給する揚水手段3、が容器B内に配置され、水路部1の床板11上では、循環する飼育水中で複数の貝類S1〜S3が飼育され、水路部1に、仕切部材41、42を設置することにより、水路部1内に二以上の区画R1、R2、R3が形成され、最下流側の区画R3には稚貝用給餌手段S3が配設され、最上流側の区画R1には成貝用給餌手段51が配設された貝類飼育システムを提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ホタル類の幼虫の餌となる貝類を飼育するための貝類飼育システム及び貝類飼育方法などに関する。より詳細には、略平板状で傾斜させた床板上で貝類を飼育し、その貝類を飼育する領域内に二以上の区画を形成し、そのうちの最下流側の区画に稚貝用給餌手段を配設し、最上流側の区画に成貝用給餌手段を配設する貝類飼育システム及び貝類飼育方法などに関する。
ホタル類は、成虫の夜間に川辺などで発光・飛翔する様子などが人々に親しまれており、人気が高い。そのため、例えば、ゲンジボタルやヘイケボタルなどの成虫・幼虫が、多数販売されている。
また、近年、河川改修、耕地整備、農薬の普及、生活雑排水などの影響により、里山など、身近な地域の水辺では、自然環境下におけるホタル類の生息数が大幅に減少している。それに対し、ホタル類が里山本来の水辺の景観や環境などが維持されていることを示す指標として扱われていることもあり、ゲンジボタルなどを屋外で放流するなどの試みも数多く行われている。
そこで、ホタル類の販売や放流などのために、ホタル類の人工育成が広く行われている。
ホタル類は、完全変態する昆虫であり、卵から幼虫・蛹の段階を経て成虫になる。例えば、ゲンジボタルやヘイケボタルの場合、卵が川岸などに産み付けられた後、幼虫は、水中で約1〜2年かけて成長する。その後、4月頃になると、川岸などに上陸して土の中に潜って蛹になり、約50日間の蛹の期間の後、5〜6月頃に成虫になる。
これらのホタルでは、幼虫は水生であり、幼虫期間は約1〜2年間と長いのに対し、成虫は陸上で暮らし、翅を用いて飛翔でき、成虫期間は約1〜2週間と短い。従って、ホタル類の人工育成においては、成虫と幼虫とで飼育方法が全く異なるとともに、ホタル幼虫の育成が、極めて重要な段階の一つとなる。
ホタル類のうち、例えば、ゲンジボタルの幼虫はカワニナを、ヘイケボタルの幼虫はモノアラガイ、タニシ、カワニナなどを餌とする。ゲンジボタルとヘイケボタルの両方の幼虫の餌となるカワニナは、カワニナ科に分類される巻貝の一種で、川・用水路・湖沼などの淡水域の水底に生息し、落ち葉、付着珪藻などの有機物を餌とすることが知られている。また、生育には適度な水流が必要であるとされ、餌を求めて水流に逆らって遡上行動を行うとともに、ある程度以上の流速になると下流へ流されることが知られている。
ホタル幼虫を人工育成する場合、餌となる貝類を準備し、ホタル幼虫の育成期間に亘って、それらの貝類をホタル幼虫に給餌し続ける必要がある。そのために、ホタル類の幼虫の餌となる貝類の人工飼育が必要であり、例えば、特許文献1には、その手段として、カワニナ類の飼育方法及びカワニナ類飼育水槽が記載されている。また、特許文献1には、カワニナ類の成貝には大量に捕食可能な落ち葉やペレットを、稚貝には珪藻類を与えることも記載されている。その他、特許文献2には、網容器内に、カワニナなどの貝類と、カワニナの好む餌と、ホタルの幼虫を入れるホタルの育成方法が、特許文献3には、ホタル幼虫の餌となる貝の親貝と稚貝との選り分け方法及び選り分け装置が、それぞれ記載されている。
特開2012-120480号公報 特開2003-23920号公報 特開2001-242155号公報
ホタル幼虫を人工育成する際、ホタル幼虫の成長に合わせ、ホタル幼虫が摂餌可能な大きさの貝類をホタル幼虫に給餌する必要があるため、様々なサイズの貝類を常時確保できることが望ましい。
そこで、本発明では、ホタル類の幼虫の餌となる貝類について、様々なサイズのものが存在する状態を長期間維持しうる新規な飼育手段を提供することなどを目的とする。
本発明では、ホタル類の幼虫の餌となる貝類を飼育するための貝類飼育システムであって、略平板状で傾斜させた床板と両岸の壁板とによって上流側から下流側への一定方向の飼育水の水流が形成される水路部、該水路部の前記下流側から流れ落ちる前記飼育水を貯留する貯留部、及び、前記飼育水を前記貯留部から揚水して前記水路部の前記上流側へ供給する揚水手段、が容器内に配置され、前記水路部の前記床板上では、循環する前記飼育水中で複数の前記貝類が飼育され、前記水路部に、前記水流を遮断する向きに仕切部材を設置することにより、前記飼育水が前記仕切部材を越流することで前記循環が維持されつつ、前記水路部内に二以上の区画が形成され、該二以上の区画のうち、最下流側の区画には稚貝用給餌手段が配設され、少なくとも最上流側の区画には成貝用給餌手段が配設された貝類飼育システムなどを提供する。
このシステムでは、容器内に、水路部、貯留部、及び、揚水手段が配置されている。水路部の床板を傾斜させているため、飼育水は、水路部の床板上を、上流側から下流側へ一定方向に流れた後、水路部の下流側から流れ落ち、貯留部に貯留する。貯留部内の飼育水は、揚水手段によって水路部の上流側へ供給され、その飼育水は、再度、水路部の床板上を、上流側から下流側へ一定方向に流れる。このようにして、本システム内では飼育水の循環が維持されるとともに、水路部の床板上では、一定方向の水流が維持される。そして、水路部の床板上を、貝類を飼育する領域とし、循環する飼育水中で貝類を飼育する。
このシステムでは、水流を遮断する向きに仕切部材を設置することにより、水路部内に二以上の区画が形成されている。そのうち、最下流側の区画を稚貝飼育区画とし、その区画内に稚貝用給餌手段を配設する。一方、上流側の一又は複数の区画を成貝飼育区画とし、成貝用給餌手段を配設する。
最下流側の稚貝飼育区画では、自発的に移動した又は人為的に集められた稚貝を飼育する。稚貝飼育区画には、稚貝の好むケイ藻類などを供給する稚貝用給餌手段が配設されている。稚貝は、成貝用餌よりも稚貝用餌を好むため、稚貝の多くは、ある程度の大きさになるまで、この区画内に自発的にとどまって上向しようとはせず、この区画内で好適に生育する。
一方、上流側の一又は複数の成貝飼育区画では、成貝を飼育する。成貝飼育区画には、人工配合飼料などを供給する成貝用給餌手段が配設されているため、成貝は、この区画内で生育する。
また、成貝飼育区画が稚貝飼育区画よりも上流側に形成されているため、万が一、ある程度の大きさ以上の成貝が稚貝飼育区画に迷い込んだとしても、上流側から到達した飼育水中の成貝用餌の匂い・成分などを検知し、それを求めて遡上行動を行い、自発的に成貝飼育区画へ移動する。
従って、水路部内に稚貝飼育区画と成貝飼育区画を形成し、稚貝飼育区画に稚貝用給餌手段を、成貝飼育区画に成貝用給餌手段を、それぞれ配置することにより、稚貝を成貝と分けて飼育できるため、稚貝の生残率を大幅に高めることができる。稚貝の生残率が向上することで、稚貝の成長に伴って、全体の個体数も増加していくため、高効率な貝類の生産が可能になる。
成貝飼育区画では、成貝が日常的に稚貝を産出する。それらの稚貝は自発的に稚貝飼育区画に移動し、若しくは人為的に稚貝飼育区画に移動される。上述の通り、稚貝は、成貝用餌よりも稚貝用餌を好むため、稚貝飼育区画にとどまり、生育する。その後、ある程度の大きさにまで成長すると、成貝用餌を嗜好するようになり、上流側から到達した飼育水中の成貝用餌の匂い・成分などを検知し、それを求めて、自発的に成貝飼育区画へ移動していく。従って、稚貝の生残率の向上によって全体個体数を高く維持できることを基礎とした上で、全体的傾向として、成長段階に応じたサイズの貝類が、下流側から上流側へと順に、区画ごとに分布するようになり、様々なサイズの貝類が存在する状態を維持することができる。即ち、本発明により、飼育個体数を増加させつつ、ポピュレーションを維持でき、個体群中におけるサイズごとの分布組成を、偏りの少ない状態のままで維持することができる。
これにより、例えば、ホタル幼虫を人工育成する際にも、ホタル幼虫の成長に合わせ、様々なサイズの貝類をホタル幼虫に給餌することが可能になる。
本発明により、ホタル類の幼虫の餌となる貝類について、様々なサイズのものが存在する状態を維持することが可能になる。
<本発明に係る貝類飼育システムについて>
本発明は、ホタル類の幼虫の餌となる貝類を飼育するための貝類飼育システムであって、略平板状で傾斜させた床板と両岸の壁板とによって上流側から下流側への一定方向の飼育水の水流が形成される水路部、該水路部の前記下流側から流れ落ちる前記飼育水を貯留する貯留部、及び、前記飼育水を前記貯留部から揚水して前記水路部の前記上流側へ供給する揚水手段、が容器内に配置され、前記水路部の前記床板上では、循環する前記飼育水中で複数の前記貝類が飼育され、前記水路部に、前記水流を遮断する向きに仕切部材を設置することにより、前記飼育水が前記仕切部材を越流することで前記循環が維持されつつ、前記水路部内に二以上の区画が形成され、該二以上の区画のうち、最下流側の区画には稚貝用給餌手段が配設され、少なくとも最上流側の区画には成貝用給餌手段が配設された貝類飼育システムをすべて包含する。以下、図1及び図2を用いて、その例を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに狭く限定されない。
図1は本発明に係る貝類飼育システムの例を示す外観斜視模式図、図2は同飼育水流れ方向に対する断面模式図である。なお、両図は、それぞれ別個の例示であり、両図の各構成が全て相関しているわけではない。
図1、図2の貝類飼育システムAでは、略平板状で傾斜させた床板11と両岸の壁板12、13とによって上流U側から下流D側への一定方向の飼育水Wの水流(符号X1〜X5参照)が形成される水路部1、水路部1の下流D側から流れ落ちる飼育水W(符号X6参照)を貯留する貯留部2、及び、飼育水Wを貯留部2から揚水して水路部1の上流U側へ供給する(符号X7参照)揚水手段3、が容器B内に配置され、水路部1の床板11上では複数の貝類S1〜S3が飼育され、水路部1に、水流X1、X3を遮断する向きに仕切部材41、42を設置することにより、飼育水Wが仕切部材41、42を越流することで循環が維持されつつ(符号X2、X4参照)、水路部1内に三つの区画(大型成貝飼育区画R1、中型成貝飼育区画R2、稚貝飼育区画R3)が形成され、それらの区画のうち、大型成貝飼育区画R1及び中型成貝飼育区画R2には成貝用給餌手段51、52がそれぞれ配設され、最下流側の稚貝飼育区画R3には稚貝用給餌手段51が配設されている。水路部1の下流D端又はその近傍には、水流を遮断する向きに稚貝落下防止部材6が設置され、大型成貝飼育区画R1と稚貝飼育区画R3を隔てる壁板13には、稚貝が通行可能な大きさの通行孔14が形成されている。容器Bの上縁側には蓋部B1が設けられている。その他、図2に示す通り、貯留部2内に光照射手段Lが設けられている。
飼育水W(W1〜W3)は、まず、水路部1の上流U側から床板11上を流れ(符号X1参照)、仕切部材41によって高さh1まで滞留しつつ(符号W1)、仕切部材41を越流して(符号X2参照)、中型成貝飼育区画R2へ流れ込む。次に、中型成貝飼育区画R2内で水流方向を旋回させた後(符号X3参照)、仕切部材42によって滞水しつつ仕切部材42を越流して(符号X4参照)、稚貝飼育区画R3へ流れ込む。次に、稚貝飼育区画R3の床板11上を流れ(符号X5参照)、稚貝落下防止部材6によって高さh3まで滞留しつつ(符号W2)、稚貝落下防止部材6を越流して(符号X6参照)、貯留部2へ流れ落ちる。そして、貯留部2内に貯留した飼育水W3は、揚水手段3によって水路部1の上流U側へ供給される(符号X7参照)。このようにして、本システムA内では飼育水Wの循環が維持されるとともに(符号X1〜X7)、水路部1の床板11上では、一定方向の水流が維持される。
本発明に係る貝類飼育システムAは、ホタル類の幼虫の餌となる貝類の飼育に広く適用可能である。例えば、ゲンジボタルやヘイケボタルの幼虫の餌となるカワニナのほか、ヘイケボタルの幼虫の餌となるモノアラガイ、タニシなど、淡水貝類の飼育に適用可能である。
容器Bは、貝類S(S1〜S3)の飼育槽として用いる容器であり、例えば、上部の開放された有底の箱型のものなどを広く採用できる。形状は、内部に水路部1、貯留部2、揚水手段3を適宜配置可能であればよく、特に限定されない。また、容器Bの側壁・底面又はその部分を、水路部1の壁板、貯留部2の底面・側面として利用してもよい。容器Bには、例えば、略直方体形状・略筒形状などの箱体・ケースなどを適宜採用できる。また、水路部1及び貯留部2において水漏れしないように形成することができるのであれば、容器Bのなど材質も特に限定されない。
容器Bの上縁に、蓋部B1が設けられていてもよい。例えば、容器Bの内側壁のうち、水路部1の壁板12を形成している部分の上縁又はその近傍に、該領域に亘って前記内側壁から略垂直方向に形成された蓋部B1を、容器Bの上縁に配置できるようにすることにより、ネズミ返しのように機能することで、貝類の容器B外への脱出を有効に防止できる。なお、蓋部B1は、例えば、容器Bの上面全体を略被覆するものであってもよく、図1などのように、容器Bの上面のうち周縁側のみを被覆し、中心側を開放しているものであってもよい。
水路部1は、一定方向の飼育水Wの水流が形成される部位であり、例えば、三面張り水路のように、床板11と両岸の壁板12、13とで断面略U字形状などに飼育水Wの流れる部位が形成され、両岸の壁板12、13間の床板11上を飼育水Wが一定方向に流れるように形成される。
水路部1の床板11は、略平板状の部材で形成され、床板11上が、飼育水Wが一定方向に流れる部位となるとともに、貝類を飼育する領域となる。
床板11を傾斜させて形成することで、飼育水Wが一定方向に流れるようにする。傾斜角度は適宜設定することができ、特に限定されないが、例えば、1〜20°位に設定してもよい。
水路部1の壁板12、13は、水路部1の両岸を形成する部材で、例えば、両部材を、床板11上から飼育水Wの流れ方向に沿ってそれぞれ略鉛直方向に立設することで、両部材間を飼育水Wが流れるとともに、その流れ方向が規定されるように形成する。壁板12の一方又は両方を、容器Bの側壁で形成してもよい。
床板11及び壁板12、13の材質としては、例えば、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ガラス製など、公知の板材などを広く用いることができる。
貯留部2は、水路部1の下流D側から流れ落ちてきてから揚水手段3によって揚水されるまでの間、飼育水Wを貯留する部位である。
本システムAでは飼育水Wの一定方向の循環が維持されているため、貝類Sの糞・残餌などを、比較的簡易に、貯留部2内に集めることができ、それによって、水路部1内を比較的清浄な状態に維持することができる。従って、本システムAの清掃・維持や貝類Sの飼育管理を簡易化・低労力化できる。
貯留部2を構成する部材は、水漏れしないように形成することができるのであればよく、その材質などは特に限定されない。また、容器Bの側壁・底面又はその部分を、貯留部2の底面・側面として利用してもよい。貯留部2の材質として、例えば、床板11及び壁板12、13と同様のものを採用してもよい。
揚水手段3は、飼育水Wを貯留部2から揚水して水路部1の上流U側へ供給する(符号X7参照)部位である。揚水手段3には、揚水ポンプなど、公知のものを広く採用することができ、特に限定されない。
図1及び図2では、仕切部材41、42により、水路部1内に、三つの区画(大型成貝飼育区画R1、中型成貝飼育区画R2、稚貝飼育区画R3)が形成されている。
仕切部材41、42は、水路部1内を二以上の区画に隔てる部材で、それぞれ水流を遮断する向きに設置される。例えば、両岸の壁板12、13間と略同一の長さの板片で形成し、床板11上に、水流方向と略直交する向きに、両端がそれぞれ両岸の壁板12、13に略到達するように設置する。また、仕切部材41、42の高さ(設置時の床板11からの高さ、図2中の符号h1参照)を、飼育水Wが、ある程度滞留した後、越流する程度になるように設定する。
仕切部材41、42を設置することにより、水路部1内が二以上の区画に隔てられるとともに、水路部1の床板11が傾斜されているため、仕切部材41、42の上流側に(図1及び図2の場合、大型成貝飼育区画R1及び中型成貝飼育区画R2に)、仕切部材41、42の高さ分の飼育水Wの滞留領域が形成される。また、飼育水Wが滞留した後は、越流して下流D方向へ流れていくため、飼育水Wの循環は維持される。
仕切部材41、42は、着脱自在に形成してもよい。仕切部材41、42を着脱自在に形成し、例えば清掃時などに仕切部材41、42を一時的に取り外すことにより、水路部1内で発生・貯留した貝類の糞・残餌などを水流で貝類の糞・残餌などを水流で流し去ることができ、本飼育システムAの清掃・維持・管理を低労力化できる。
その他、例えば、仕切部材41、42の設置個所付近に、所定の大きさ以下の貝類Sが通行可能な大きさの網目を有する網材を、水流を遮断する向きに設置してもよい。これにより、各網材のそれぞれの網目の大きさに応じて、例えば、大型貝類S1の中型成貝飼育区画R2、さらには稚貝飼育区画R3への移動、中型貝類S2の稚貝飼育区画R3への移動を、より確実に阻止できる。具体的には、例えば、所定以上の大きさの貝類Sが仕切部材41、42を乗り越えて下流側に移動することを阻止できる。また、例えば、仕切部材41、42を一時的に取り外した際に、水流によって所定以上の大きさの貝類Sが下流側に移動することを阻止できる。
成貝飼育区画R1、R2(大型成貝飼育区画R1及び中型成貝飼育区画R2)は、主に成貝S1、S2を飼育する領域であり、稚貝飼育区画R3よりも上流U側に配置する。
成貝飼育区画R1、R2には、成貝用給餌手段51、52を配設する。一般的に、成貝は、稚貝と比較して食欲が旺盛であり、稚貝の好む藻類も食べるが、人工配合飼料(餌ペレット)、野菜、落ち葉などをより好んで食べる。一方、それらの成貝S1、S2の好む餌が充分にある場合は、概ね区画内にとどまる。そこで、それらの成貝S1、S2の好む餌を給餌する成貝用給餌手段51、52を成貝飼育区画R1、R2に配設し、その区画内で成貝S1、S2を飼育する。成貝S1、S2に給餌する餌には、例えば、人工配合飼料(餌ペレット)、野菜、落ち葉など、公知のものを採用する。
稚貝飼育区画R3は、稚貝S3を飼育する領域であり、水路部1の最下流D側に配置する。
稚貝飼育区画R3には、稚貝用給餌手段53を配設する。本発明者らの観察の結果、稚貝S3は、人工配合飼料(餌ペレット)、野菜、落ち葉などをほとんど摂餌せず、藻類を好んで食べる。そこで、稚貝S3の好む餌を給餌する稚貝用給餌手段51を稚貝飼育区画R3に配設し、その区画内で稚貝S3を飼育する。稚貝S3に給餌する餌には、例えば、ケイ藻類など、稚貝S3の好む藻類を採用する。
例えば、前記稚貝用給餌手段51が藻類付着基盤であり、該基盤上で増殖した前記藻類が給餌されるようにしてもよい。藻類の付着した基盤を稚貝用給餌手段53とし、その基盤を稚貝飼育区画R3内に設置することで、稚貝S3は、基盤上に付着・増殖した藻類を摂餌する。
藻類付着基盤の基材としては、藻類の付着可能な部材であればよく、特に限定されない。例えば、表面に0.3mm以下の凹凸又は隙間が存在する基材を前記基盤に用いてもよい。
例えば、藻類付着基盤の基材として、プラスチック製平板の表面に凹凸が形成され、該凹凸の溝幅が0.3mm以下であるものを用いることで、その溝幅が稚貝S3の口の大きさよりも小さくなるため、稚貝S3が基盤上の藻類を摂餌した後も、溝内にあった藻類を食べ尽くさせずに残存させることができる。
同様に、藻類付着基盤の基材として、例えば、プラスチック製網材、人工芝、波板など、0.3mm以下の隙間が存在する基材を用いることで、稚貝S3が基盤上の藻類を摂餌した後も、材料内の隙間などにあった藻類を食べ尽くさせずに残存させることができる。
そして、例えば、貯留部2内の所定位置に光を照射できる光照射手段Lを容器B内に配設した上で、稚貝S3が摂餌した後の前記藻類付着基盤を前記貯留部2内に収容するとともに、該貯留部2内で光照射手段Lによって光を照射することで、前記付着藻類を再生産するようにする。
これにより、貯留部2のスペースを有効活用できることに加え、容器B内での藻類付着基盤の再生産、及び、基盤の再活用が可能となる。また、藻類の増殖過程で貝類Sの糞・残餌などに含有する窒素・リンなどが利用されるため、稚貝S3の摂餌した後の藻類付着基盤を貯留部2内に収容し、その付着藻類を再生産することで、循環飼育水Wが浄化される。従って、循環飼育水Wの換水回数を減らすことができ、本システムAの清掃・維持を簡易化・低労力化できる。また、飼育水Wの水質管理の労力も軽減できる。
稚貝落下防止部材6は、水路部1(の床板11上)の最下流D側に形成された稚貝飼育区画R3から貯留部2へ稚貝S3が脱落するのを防止するための部材であり、水路部1の下流端又はその近傍に水流を遮断する向きに設置される。例えば、仕切部材41、42と同様、両岸の壁板12、13間と略同一の長さの板片で形成し、床板11上に、水流方向と略直交する向きに、両端がそれぞれ両岸の壁板12、13に略到達するように設置する。また、稚貝落下防止部材6の高さ(設置時の床板11からの高さ、図2中の符号h2参照)を、飼育水Wが、ある程度滞留した後、越流する程度になるように設定する。
水路部1の床板11が傾斜されているため、稚貝落下防止部材6を設置することにより、仕切部材41、42と同様に、稚貝落下防止部材6の上流側に(図1及び図2の場合、稚貝飼育区画R3に)、稚貝落下防止部材6の高さ分の飼育水Wの滞留領域が形成される。また、飼育水Wが滞留した後は、稚貝落下防止部材6を越流して貯留部2へ流れ落ちるため、飼育水Wの循環は維持される。
例えば、前記水路部1の下流D端又はその近傍に、前記水流を遮断する向きに稚貝落下防止部材6が設置され、前記飼育水Wは前記稚貝落下防止部材6を越流して前記貯留部2へ流れ落ち(符号X6参照)、前記稚貝落下防止部材6における前記床板11からの高さが、前記仕切部材(符号41及び/又は42)における前記床板11からの高さよりも低く設定された構成にしてもよい。
例えば、稚貝落下防止部材6における床板11からの高さが、最上流U側の仕切部材41における床板11からの高さよりも低く設定された場合、稚貝飼育区画R3に滞留する飼育水W2の水位高さ(符号h2と同じ高さ)を、大型成貝飼育区画R1に滞留する飼育水W1の水位高さ(符号h1と同じ高さ)よりも低くすることができる。本発明者らの観察では、一般的に、体の大きさに合わせ、成貝S1は稚貝S3よりも深い水域を好み、稚貝S3は成貝S1よりも浅い水域を好む傾向があった。そのため、稚貝落下防止部材6の高さを仕切部材41などの高さよりも低く設定することにより、区画R1、R3ごとに、体の大きさに合わせた飼育環境を創出することができ、特に稚貝S3が稚貝飼育区画R3へ積極的に移動することにより、体の大きさに合わせて、区画R1、R3ごとの成貝S1(S2)と稚貝S3の棲み分け傾向を、より促進できる。
稚貝落下防止部材6は、仕切部材41、42と同様、着脱自在に形成してもよい。稚貝落下防止部材6を着脱自在に形成し、例えば清掃時などに稚貝落下防止部材6を一時的に取り外すことにより、水路部1内で発生・貯留した貝類の糞・残餌などを水流で貯留部2へ流し去ることができ、本飼育システムAの清掃・維持・管理を低労力化できる。
本システムAにおいて、例えば、導入段階に、成貝飼育区画R1、R2(大型成貝飼育区画R1及び中型成貝飼育区画R2)で成貝S1、S2の飼育を開始すると、成貝S1、S2は、循環水流の下、成貝用給餌手段51、52から供給される餌を摂餌しながら、概ね同区画R1、R2内にとどまって、良好に生育するとともに、日常的に稚貝S3を産出し始める。
産出された稚貝S3は、成貝S1、S2と比較して軽量なため、例えば、清掃時などにおいて、仕切部材41、42を一時的に取り外し、適度な強さで飼育水Wを流すと、成貝S1、S2は概ね成貝飼育区画R1、R2内にとどまるのに対し、稚貝S3は流され、稚貝飼育区画R3に移動する。また、大型成貝飼育区画R1及び中型成貝飼育区画R2にいる稚貝S3を人為的に稚貝飼育区画R3に移動させてもよい。
さらに、例えば、前記水路の水流方向を旋回させる(符号X3参照)ことで、前記最下流D側の区画R3と前記最上流U側の区画R1を隣接させるとともに、両区画R1、R3を隔てる前記壁板13に、前記稚貝S3が通行可能な大きさの通行孔14が形成され、前記稚貝S3は、前記通行孔14を通過することにより、前記水路に沿って下降(符号X1〜X5参照)しなくても、直接前記最上流U側の区画R1から前記最下流D側の区画3へと移動することが可能な構成にしてもよい。
本発明者らの観察では、(成貝飼育区画R1などで産出された)稚貝S3は、稚貝S3の好む餌が同区画R1、R2内に充分にないため、成貝S1、S2よりも積極的に動き回る傾向がある。そのため、稚貝S3のみが通行可能な大きさの通行孔14を壁板13に形成すると、多くの稚貝S3が、稚貝S3の好む餌を求めて、自発的に、通行孔14を通過して、稚貝飼育区画R3へと移動し、その後同区画R3内にとどまる。一方、成貝S1は、通行孔14を通過できないため、引き続き成貝飼育区画R1などにとどまって生育する。
水路部1において、水路の水流方向をどのように旋回させるかは、公知のものを広く採用でき、特に限定されない。例えば、図1のように、略直方体の容器Bにおいて、直線的又は折線的に水路部を折り返すことで水路の水流方向を旋回させてもよいし、少なくとも旋回部分を曲線的に形成することで水路の水流方向を旋回させてもよい。
このようにして、産出された稚貝S3が自発的に稚貝飼育区画R3に移動し、若しくは人為的に稚貝飼育区画R3に移動された後、稚貝S3は、成貝用餌よりも稚貝用餌を好むため、稚貝飼育区画R3にとどまり、生育する。これによって、稚貝S3を成貝S1、S2から略隔離して飼育することができるため、稚貝S3の生残率を大幅に向上させることができる。
その後、稚貝S3がある程度の大きさにまで成長すると、成貝用餌を嗜好するようになり、上流U側から到達した飼育水中の成貝用餌の匂い・成分などを検知し、それを求めて、仕切部材42を乗り越え、自発的に中型成貝飼育区画R2へ移動していく。
中型成貝飼育区画R2へ移動・定着した中型成貝S2は、同区画R2内で生育しつつ、餌が足りないと感じた一部個体は、上流U側から到達した飼育水中の成貝用餌の匂い・成分などを検知し、それを求めて、仕切部材41を乗り越え、自発的に、さらに上流の大型成貝飼育区画R1へ移動していく。このようにして、
全体的傾向として、成長段階に応じたサイズの貝類が、下流側から上流側へと順に、区画ごとに分布するようになる。
以上のように、本システムAでは、稚貝S3を成貝S1、S2から略隔離して飼育し、かつ稚貝飼育区画R3では稚貝S3の好む餌を給餌することで、稚貝S3の生残率を大幅に向上できる。また、稚貝S3の生残率の向上によって全体個体数も高く維持できる。さらに、飼育個体数を増加させつつ、個体群中におけるサイズごとの分布組成を、偏りの少ない状態のままで維持することができる。
<本発明に係る貝類飼育方法について>
本発明は、上述の貝類飼育システムを用いた貝類飼育方法を含め、ホタル類の幼虫の餌となる貝類を飼育するための貝類飼育方法であって、略平板状で傾斜させた床板と両岸の壁板とによって上流側から下流側への一定方向の飼育水の水流が形成される水路部、該水路部の前記下流側から流れ落ちる前記飼育水を貯留する貯留部、及び、前記飼育水を前記貯留部から揚水して前記水路部の前記上流側へ供給する揚水手段、を容器内に配置し、前記水路部の前記床板上で、循環する前記飼育水中で複数の前記貝類を飼育し、前記水路部に、前記水流を遮断する向きに仕切部材を設置することにより、前記飼育水が前記仕切部材を越流することで前記循環を維持しつつ、前記水路部内に二以上の区画を形成し、該二以上の区画のうち、最下流側の区画には稚貝用給餌手段を配設し、少なくとも最上流側の区画には成貝用給餌手段を配設する貝類飼育方法をすべて包含する。
上述の通り、飼育水を循環させる飼育環境を創出し、水路部の床板上に二以上の区画を形成し、稚貝を成貝から略隔離して飼育し、かつ最下流側の区画では稚貝の好む餌を給餌することで、稚貝の生残率を大幅に向上でき、これによって、全体個体数も高く維持できる。また、各区画が水路部の床板上で連続しており、かつ稚貝を生育する区画が最下流側に形成されているため、稚貝の成長に伴って、成貝の好む餌のある上流側の区画へ自発的に移動させることが可能である。これにより、飼育個体数を増加させつつ、個体群中におけるサイズごとの分布組成を、偏りの少ない状態のままで維持することができる。
実施例1では、水槽内で成貝と稚貝を飼育した場合と、稚貝のみを飼育した場合の稚貝の生残率を比較した。
同じ大きさ位のプラスチック容器を二つ準備し、それぞれに飼育水を1L入れ、一方にはカワニナの成貝3個体と稚貝30個体を、もう一方には稚貝30匹を入れ、28日間、暗室で飼育した。
飼育期間中、水温を20±1℃に調節した。餌として、市販の人工配合飼料(餌ペレット)を一週間に一回給餌するとともに、別のカワニナ飼育水槽内に市販のプラスチック網を入れ、それにケイ藻類を付着させたものを、飼育期間中、藻類付着基盤として容器内に配置した。
結果を図3に示す。図3は、水槽内で稚貝のみを飼育した場合の稚貝の生残率を表すグラフである。図3中、縦軸は稚貝の生残率を、「1」で表す棒グラフは、水槽内で稚貝のみを飼育した場合の稚貝の生残率を、「2」で表す棒グラフは、比較例として、水槽内で成貝と稚貝を同時飼育した場合の稚貝の生残率を、それぞれ表す。
その結果、図3に示す通り、水槽内で成貝と稚貝を同時飼育した場合、稚貝の生残率は17%であったのに対し、水槽内で稚貝のみを飼育した場合は、稚貝の生残率が71%であった。
この結果は、ケイ藻類を給餌しながら、稚貝を成貝から隔離して飼育することで、稚貝の生残率を大幅に向上できることを示す。
実施例2では、本発明に係る貝類飼育システムを構築し、カワニナを飼育した。
図1と同様の構造の貝類飼育システムを試作した。縦420mm×横650mm×高さ250mmの容器に、アクリル樹脂製板材を適宜成形・配置・接着して、水路部、貯留部を形成し、揚水手段として水中ポンプを設置した。アクリル樹脂製板材で仕切部材を形成し、水路部を三区画に仕切り、それぞれ、大型成貝飼育区画、中型成貝飼育区画、稚貝飼育区画とした。大型成貝飼育区画及び中型成貝飼育区画には、成貝用給餌手段として、市販の人工配合飼料(餌ペレット)を給餌する給餌ユニットを設置し、飼育期間中、週3回、人工配合飼料を補充した。稚貝用給餌手段として、プラスチック網にケイ藻類が付着したものを稚貝飼育区画に配置した。同時に、取換え用の稚貝用給餌手段として、別個のプラスチック網を貯留部内に貯留する飼育水に入れ、飼育期間中、1日8時間、LEDライトで照射し、付着藻類の増殖を行った。飼育期間中、稚貝用給餌手段を適宜、貯留部内で増殖させたものに取り換えた。
飼育水を約15L投入し、水中ポンプで600L/時間で揚水させ、飼育水を循環させた。飼育期間中、飼育水の蒸発分は適宜補充した。
この試作システムの大型成貝飼育区画に、殻高20mmより大きいカワニナ12個体を、中型成貝飼育区画に、殻高8〜20mmのカワニナ60個体を収容し、飼育を始めた。
産出された稚貝は、清掃のために仕切部材を一時的に取り外した際に、飼育水の水流で大型成貝飼育区画又は中型成貝飼育区画から稚貝飼育区画に移動させ、また、大型成貝飼育区画と稚貝飼育区画の間を隔てる壁板に形成された通行孔から自発的に移動し、それ以外は人為的に稚貝飼育区画に移動させた。
結果を表1及び表2に示す。表1は各飼育日数時における区画ごとの個体数を、表2は各飼育日数時における稚貝生残率を表す。
Figure 2017201976
Figure 2017201976
表1、表2に示す通り、飼育開始から30日後には、大型成貝飼育区画及び中型成貝飼育区画の計72個体のカワニナ成貝から、多数の稚貝が産出され、そのうちの60%が生残した。飼育開始から60〜120日後においても、稚貝生残率は50〜60%の範囲で維持され、稚貝飼育区画における個体数の増加傾向も保持された。このように、本発明に係る貝類飼育システムを用いることで、致死した稚貝の数と新たに産出された稚貝の数とのバランスの中で、増加傾向を保ちつつ、稚貝飼育区画で良好かつ安定的に稚貝を飼育させることができた。
稚貝飼育区画では、飼育開始から30日後には、殻長が2.5〜6.0mmにまで伸長したものが5個体、飼育開始から60日後には、殻長が2.5〜6.0mmにまで伸長したものが168個体、殻長が6.1〜10mmにまで伸長したものが13個体、飼育開始から90日後には、殻長が2.5〜6.0mmにまで伸長したものが247個体、殻長が6.1〜10mmにまで伸長したものが33個体、飼育開始から120日後には、殻長が2.5〜6.0mmにまで伸長したものが246個体、殻長が6.1〜10mmにまで伸長したものが45個体、観察された。このように、稚貝飼育区画では、飼育日数の経過に伴い殻長の伸長した個体が増加しており、本発明に係る貝類飼育システムを用いることで、稚貝飼育区画で良好に稚貝を発育・成長させることができた。
表1に示す通り、大型成貝飼育区画では、飼育開始時にカワニナ12個体を投入した後飼育日数120日後まで、中型成貝飼育区画では、飼育開始時にカワニナ60個体を投入した後飼育日数90日後まで、その個体数が若干減少した。これは、観察の結果、主に、飼育開始時に投入された個体の一部が致死したことによるものであった。
一方、中型成貝飼育区画では、飼育日数90〜120日の間に、その個体数が増加した。この増加は、稚貝飼育区画で殻長10mm程度にまで成長した個体が、自発的に稚貝飼育区画から中型成貝飼育区画に移動したことによると推定された。この推定に基づき、本発明に係る貝類飼育システムでは、飼育する貝類がある程度の大きさにまで成長した段階で稚貝飼育区画から成貝飼育区画へ自発的に移動するため、継続して、成長段階に応じたサイズの貝類を区画ごとに飼育できる可能性が高い。
本発明に係る貝類飼育システムの例を示す外観斜視模式図。 本発明に係る貝類飼育システムの例を示す、飼育水W流れ方向に対する断面模式図。 実施例1において、水槽内で稚貝のみを飼育した場合の稚貝の生残率を表すグラフ。
1 水路部
11 床板
12、13 壁板
14 通行孔
2 貯留部
3 揚水手段
41、42 仕切部材
51、52 成貝用給餌手段
53 稚貝用給餌手段
6 稚貝落下防止部材
A 貝類飼育システム
B 容器
B1 蓋部
D 水路部1の下流
R1 大型成貝飼育区画
R2 中型成貝飼育区画
R3 稚貝飼育区画
S1、S2 成貝
S3 稚貝
U 水路部1の上流
W(W1〜W3) 飼育水

Claims (7)

  1. ホタル類の幼虫の餌となる貝類を飼育するための貝類飼育システムであって、
    略平板状で傾斜させた床板と両岸の壁板とによって上流側から下流側への一定方向の飼育水の水流が形成される水路部、該水路部の前記下流側から流れ落ちる前記飼育水を貯留する貯留部、及び、前記飼育水を前記貯留部から揚水して前記水路部の前記上流側へ供給する揚水手段、が容器内に配置され、
    前記水路部の前記床板上では、循環する前記飼育水中で複数の前記貝類が飼育され、
    前記水路部に、前記水流を遮断する向きに仕切部材を設置することにより、前記飼育水が前記仕切部材を越流することで前記循環が維持されつつ、前記水路部内に二以上の区画が形成され、
    該二以上の区画のうち、最下流側の区画には稚貝用給餌手段が配設され、少なくとも最上流側の区画には成貝用給餌手段が配設された貝類飼育システム。
  2. 前記稚貝用給餌手段が藻類付着基盤であり、該基盤上で増殖した前記藻類が給餌される請求項1記載の貝類飼育システム。
  3. 表面に0.3mm以下の凹凸又は隙間が存在する基材を前記基盤に用いる請求項1又は請求項2記載の貝類飼育システム。
  4. 稚貝が摂餌した後の前記藻類付着基盤を前記貯留部内に収容するとともに、該貯留部内で光照射手段によって光を照射することで、前記付着藻類を再生産する請求項2又は請求項3記載の貝類飼育システム。
  5. 前記水路部の下流端又はその近傍に、前記水流を遮断する向きに稚貝落下防止部材が設置され、
    前記飼育水は前記稚貝落下防止部材を越流して前記貯留部へ流れ落ち、
    前記稚貝落下防止部材における前記床板からの高さが、前記仕切部材における前記床板からの高さよりも低く設定された請求項1〜4のいずれか一項記載の貝類飼育システム。
  6. 前記水路の水流方向を旋回させることで、前記最下流側の区画と前記最上流側の区画を隣接させるとともに、両区画を隔てる前記壁板に、前記稚貝が通行可能な大きさの通行孔が形成され、
    前記稚貝は、前記通行孔を通過することにより、前記水路に沿って下降しなくても、直接前記最上流側の区画から前記最下流側の区画へと移動することが可能な請求項1〜5のいずれか一項記載の貝類飼育システム。
  7. ホタル類の幼虫の餌となる貝類を飼育するための貝類飼育方法であって、
    略平板状で傾斜させた床板と両岸の壁板とによって上流側から下流側への一定方向の飼育水の水流が形成される水路部、該水路部の前記下流側から流れ落ちる前記飼育水を貯留する貯留部、及び、前記飼育水を前記貯留部から揚水して前記水路部の前記上流側へ供給する揚水手段、を容器内に配置し、
    前記水路部の前記床板上で、循環する前記飼育水中で複数の前記貝類を飼育し、
    前記水路部に、前記水流を遮断する向きに仕切部材を設置することにより、前記飼育水が前記仕切部材を越流することで前記循環を維持しつつ、前記水路部内に二以上の区画を形成し、
    該二以上の区画のうち、最下流側の区画には稚貝用給餌手段を配設し、少なくとも最上流側の区画には成貝用給餌手段を配設する貝類飼育方法。
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