JP2017201926A - 食用起泡性クリーム及び食用ホイップドクリーム - Google Patents

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Abstract

【課題】乳化安定性が良好で、起泡によるオーバーランが高く、起泡後の常温保型性、口溶けと風味に優れた食用起泡性クリームを提供すること。【解決手段】油滴が水相に分散されてなる食用起泡性クリームであって、前記油滴は、上昇融点が24〜30℃である油脂1の油滴Aと、上昇融点が30〜40℃である油脂2の油滴Bとから構成され、全体に対する水の含量は30〜70重量%、油脂1及び油脂2の合計含量は25〜45重量%、油脂1/油脂2(重量比)は20/80〜80/20であり、少なくとも油脂1は風味付与油脂を含み、油脂1中の風味付与油脂/油脂2中の風味付与油脂(重量比)は90/10〜100/0、油脂全体中の風味付与油脂の含量は12〜80重量%であり、前記油滴の平均粒径は0.8〜1.5μm、粒径分布の標準偏差は前記平均粒径の50%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、食用起泡性クリーム及び食用ホイップドクリームに関する。
一般に食用ホイップドクリームは、起泡性クリームを起泡させて製造される。このような起泡性クリームには、起泡前の原液を輸送及び保管する時に、増粘やボテ(固化)等を起こさない乳化安定性と、起泡後にはホイップドクリームの形状の変化や離水が起こりにくい保型性とが求められる。特に、常温で流通及び販売されるパン又は菓子のフィリングやトッピング用途のホイップドクリームには、さらに常温保型性が求められる。常温保型性を得るために、起泡性クリームに高融点の植物性脂肪を添加することが行われているが、高融点の植物性脂肪を多量に添加するとホイップドクリームの口溶けが劣るという問題がある。
また、食用ホイップドクリームに好適な風味を付与するために、乳脂肪などを添加して風味付けすることが一般的である。しかし、近年、日本国内においては生乳不足から乳脂肪の入手が困難になってきており、従来よりも少ない乳脂肪量で、従来並みの好適な風味を持つホイップドクリームが求められている。しかし、乳脂肪量を減らして植物油脂を乳脂肪と混合して使用すると、常温保型性が低下してしまう。また、乳脂肪の使用量が少ないと、ホイップドクリームの風味が低下し、香りが弱かったり、後味の広がりに欠けたりする。
特許文献1には、粘度などの物性の調整が容易で、乳化状態が安定な水中油型乳化組成物を提供することを目的として、融点の異なる油脂の各々の水中油型乳化物の混合物からなる水中油型乳化組成物、及び、融点の異なる油脂を順次水中に乳化分散させることを特徴とする水中油型乳化組成物の製造方法が開示されている。しかし、風味改善の観点についてはまったく記載されておらず、風味付与油脂の含量や、油滴の粒径及びその標準偏差についても記載されていない。
特許文献2には、生クリームを超える風味を有し、保型性が良い起泡性水中油型乳化物を提供することを目的として、植物油脂、(乳蛋白質/乳脂肪(重量比))の値が1未満の乳蛋白原料及び水を含む水中油型乳化物Pと、植物油脂、前記値が1以上の乳蛋白原料及び水を含む水中油型乳化物Qを混合してなる起泡性水中油型乳化物が開示されている。しかし、水中油型乳化物P及びQで使用する油脂の融点は特定されておらず、油滴の粒径及びその標準偏差、水中油型乳化物P及びQ中の風味付与油脂の割合についても記載されていない。この文献で開示されている起泡性水中油型乳化物は、乳化安定性が悪く、オーバーランも低めである。また、15℃での保型性が評価されているにすぎず、常温(25℃)での保型性については低いものである。さらに、実施例では比較的多量の乳脂肪を添加しているにも関わらず、その添加量に見合う程の乳風味は感じられない。
特開平08−56569号公報 特開2013−141423号公報
本発明の目的は、上記現状に鑑み、乳化安定性が良好で、起泡によるオーバーランが高く、起泡後の常温保型性、口溶けと風味に優れた食用起泡性クリーム、及び、それを起泡した食用ホイップドクリームを提供することである。さらなる目的は、当該ホイップドクリームを用いた常温で流通及び販売が可能なパン、菓子等の食品を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、食用起泡性クリームにおいて、特定の上昇融点を有する2種類の油脂(油脂1と油脂2)をそれぞれ含む2種類の油滴を併存させ、水の含量及び油脂1と油脂2の合計含量を特定量とし、油脂1と油脂2の重量比を特定範囲とし、少なくとも油脂1が特定割合以上の風味付与油脂を含み、風味付与油脂の含量を特定量とし、油滴の平均粒径及びその標準偏差を特定範囲とすることで、乳化安定性が良好で、起泡によるオーバーランが高く、起泡後は常温保型性、口溶けと風味に優れる食用起泡性クリームが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、油滴が水相に分散されてなる食用起泡性クリームであって、
前記油滴は、上昇融点が24〜30℃である油脂1の油滴Aと、上昇融点が30〜40℃である油脂2の油滴Bとから構成され、
前記食用起泡性クリーム全体に対する水の含量は30〜70重量%、油脂1及び油脂2の合計含量は25〜45重量%であり、
油脂1/油脂2(重量比)は20/80〜80/20であり、
油脂1、又は、油脂1及び油脂2は、風味付与油脂を含むものであり、
油脂1に含まれる前記風味付与油脂/油脂2に含まれる前記風味付与油脂(重量比)は90/10〜100/0であり、
油脂1及び油脂2を合計した油脂全体中の前記風味付与油脂の含量は、12〜80重量%であり、
前記油滴の平均粒径は0.8〜1.5μmであり、前記油滴の粒径分布の標準偏差は前記平均粒径の50%以下である、食用起泡性クリームに関する。
好ましくは、前記風味付与油脂は、乳脂肪である。
好ましくは、油脂1の60〜100重量%は、前記乳脂肪から構成される。
好ましくは、前記食用起泡性クリーム全体に対する生クリームの含量は0重量%以上10重量%未満である。
好ましくは、油脂1及び/又は油脂2として、ラウリン系油脂を含有し、油脂1及び油脂2を合計した油脂全体中の前記ラウリン系油脂の含量は、12〜88重量%である。
本発明の第二は、前記食用起泡性クリームが起泡された、オーバーランが90〜150%の食用ホイップドクリームに関する。
本発明の第三は、前記食用ホイップドクリームを含む食品に関する。
本発明の第四は、前記食用起泡性クリームを製造する方法であって、
(1)水を含む水相を調製する工程、
(2)風味付与油脂を含む油脂1を含む第1油相と、油脂2を含む第2油相とをそれぞれ調製する工程、
(3)前記水相に、前記第1油相及び前記第2油相のうちいずれか一方の油相を混合撹拌して乳化させた後、さらに他方の油相を混合撹拌して、油脂1の油滴Aと、油脂2の油滴Bとを含む乳化物を得る工程、
(4)前記乳化物を均質化して、前記油滴の平均粒径及び標準偏差を調節した後、冷却して、食用起泡性クリームを得る工程、を含む、方法に関する。
本発明に従えば、乳化安定性が良好で、起泡によるオーバーランが高く、起泡後の常温保型性、口溶けと風味に優れた食用起泡性クリーム、及び、それを起泡した食用ホイップドクリームを提供することができる。また、該ホイップドクリームを用いたパン、菓子等の食品は、該ホイップドクリームが常温保型性を有するため、常温での流通及び販売が可能となる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。
本発明の起泡性クリームは、油滴が水相に分散されてなる水中油型乳化物であり、起泡させることでホイップドクリームとすることができる。本発明の起泡性クリームでは、水相に分散している油滴として、油脂1の油滴Aと、油脂2の油滴Bという2種類の油滴が併存している。なお、各油滴を構成する油脂はそれぞれ油脂1又は油脂2であるが、各油滴には、油脂以外に、後述する乳化剤や、場合により他の油溶性材料が含まれている。
本発明の起泡性クリームにおいて、水の含量は合計で起泡性クリーム全体中30〜70重量%が好ましく、32〜60重量%がより好ましい。水の含量が30重量%より少ないと、起泡性クリームの乳化安定性が悪くなる場合がある。また70重量%より多いと、ホイップドクリームの常温保型性が悪くなる場合がある。ここで、本発明の起泡性クリームにおける水の含量は、添加した水と、他の原材料に含まれる水分との合計量をいう。
本発明の起泡性クリームは2種類の油滴を含有し、各油滴にはそれぞれ油脂1又は油脂2が含まれている。油脂1と油脂2の合計含量は、本発明の起泡性クリーム全体中25〜45重量%が好ましく、30〜40重量%がより好ましい。油脂1と油脂2の合計含量が25重量%より少ないと、ホイップドクリームの常温保型性が悪くなる場合がある。また45重量%より多いと、起泡性クリームの乳化安定性が悪くなる場合がある。
油脂1は、1種類の油脂からなるものであってもよいし、2種類以上の油脂からなるものであってもよいが、少なくとも風味付与油脂を含有する油脂である。油脂1の上昇融点は、24〜30℃が好ましく、26〜30℃がより好ましく、28〜30℃が更に好ましく、29〜30℃が特に好ましい。油脂1の上昇融点が24℃より低いと、起泡性が劣ったり、ホイップドクリームの常温保型性が悪くなる場合がある。30℃を超えるとホイップドクリームの口溶けが悪くなる場合がある。
なお本発明において、油脂の上昇融点は、「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法2.3.4.2−90 融点(上昇融点)」に記載の方法に基づき測定する。なお、油脂1が2種類以上の油脂を含む場合は、それら2種類以上の油脂を混合して得た油脂について、上記方法により上昇融点を測定する。次の油脂2の上昇融点についても同様である。
油脂2は、1種類の油脂からなるものであってもよいし、2種類以上の油脂からなるものであってもよく、風味付与油脂を含有しないか、又は、含有していてもその含量は少量である。油脂2の上昇融点は、30〜40℃が好ましく、30〜38℃がより好ましく、31〜37℃が更に好ましく、32〜36℃が特に好ましい。油脂2の上昇融点が30℃より低いとホイップドクリームの常温保型性が悪くなる場合がある。40℃を超えるとホイップドクリームの口溶けが悪くなる場合がある。なお、油脂1の上昇融点の上限値と油脂2の上昇融点の下限値は重複しているが、上昇融点が重複する場合であっても、風味付与油脂の含量の点で油脂1と油脂2は明確に区別される。
油脂1/油脂2(重量比)、すなわち油脂1の含有量と油脂2の含有量の重量割合は、20/80〜80/20が好ましく、20/80〜60/40がより好ましく、20/80〜50/50が更に好ましく、20/80〜40/60が特に好ましく、20/80〜30/70が最も好ましい。油脂1/油脂2(重量比)が20/80より小さいと風味が弱く感じられる場合がある。80/20(重量比)より大きいとホイップドクリームの常温保型性が悪くなる場合がある。
上述したように、油脂1は少なくとも風味付与油脂を含有し、油脂2は風味付与油脂を含有してもよいし含有しなくともよい。風味付与油脂とは、ホイップドクリームに風味を付与するために添加される油脂であり、例えば、風味油脂、乳脂肪などが挙げられる。
前記風味油脂とは、風味性素材の香気成分を食用油脂に溶解させたものをいう。具体的には、風味性素材と食用油脂を高温(90〜180℃)で加熱しながら激しく攪拌接触することで、風味性素材の香気成分を該食用油脂中に移行させることで得ることができる。前記風味性素材としては、野菜類、種子類、穀類、穀類加工品、乳成分、果実類、ハーブ類等が挙げられ、これらの少なくとも1種を用いることができる。なかでも、風味性素材としては乳成分を使用することが好ましく、これによりホイップドクリームに乳風味を付与することができる。乳成分としては、例えば、生乳、脱脂乳、全脂粉乳、脱脂粉乳、乳清、生クリーム、チーズ類、ヨーグルト類、バター、バターミルク、又はこれらを濃縮加工したもの等が挙げられる。乳成分のなかでも、乳脂肪を含む乳成分が好ましく、すなわち、生乳、全脂粉乳、生クリーム、チーズ類、ヨーグルト類、バター、バターミルクが好ましい。また、前記食用油脂としては、後述する食用油脂のなかから、上昇融点を考慮して適宜選択することができる。
前記乳脂肪とは、生クリームやバターなどから水相部分を除去して得られる成分をいう。風味付与油脂として乳脂肪を使用する場合、油脂1は、油脂1全体中60重量%〜100重量%が乳脂肪で構成されることが好ましく、80重量%〜100重量%がより好ましく、100重量%が更に好ましい。油脂1における乳脂肪の含有量が60重量%より少ないと、油脂1の上昇融点が低下して、ホイップドクリームの常温保型性が劣る場合がある。
本発明では、風味付与油脂として、風味性素材として乳成分を使用して製造された風味油脂、及び、乳脂肪を用いることが好ましい。これら風味付与油脂はそれ自体に乳化構造を持たないため、耐熱性が高く、ホイップドクリームの常温保型性を高めることができる。一方、風味付与油脂に代わる風味付与素材として、天然の乳化構造を持つ乳原料、例えば生クリームを用いると、生クリームはもともと耐熱性が低いため、ホイップドクリームの常温保型性も低下してしまう。
以上の観点から、本発明の起泡性クリームは、生クリームを含有しないか、また、含有してもその含量は少量であることが好ましい。具体的には、生クリームの含量は、起泡性クリーム全体中0重量%以上10重量%未満が好ましく、0重量%以上5重量%未満がより好ましく、0重量%以上3重量%未満が更に好ましく、0重量%が特に好ましい。なお、前記生クリームとは、乳等省令で定義される「生乳、牛乳または特別牛乳から乳脂肪分以外の成分を除去し、乳脂肪分が18.0%以上にしたもの」をいう。
前記風味付与油脂の含量は、油脂1と油脂2を合計した油脂全体中12〜80重量%が好ましく、14〜50重量%がより好ましく、16〜45重量%が更に好ましく、18〜30重量%が特に好ましい。前記風味付与油脂の含量が12重量%より少ないと、好適な風味を付与できなかったり、ホイップドクリームの常温保型性が劣る場合がある。80重量%より多いと、風味付与の効果が頭打ちになったり、コストが高くなりすぎる場合がある。
さらに、前記風味付与油脂は、主に油脂1に含まれる油脂であり、本発明の起泡性クリームに含まれる風味付与油脂全体のうち90重量%以上が油脂1に含まれる。すなわち、油脂1に含まれる風味付与油脂の含有量/油脂2に含まれる風味付与油脂の含有量の重量割合は、90/10〜100/0(重量比)であることが好ましく、95/5〜100/0(重量比)がより好ましく、97/3〜100/0(重量比)が更に好ましく、100/0(重量比)が特に好ましい。油脂1に含まれる風味付与油脂/油脂2に含まれる風味付与油脂(重量比)が90/10より小さいと、ホイップドクリームに好適な風味を付与できない場合がある。
前記風味付与油脂以外で、油脂1及び油脂2を構成する具体的な油脂の種類としては特に限定されず、上述した上昇融点を考慮して、食用油脂のなかから適宜選択することができる。そのような食用油脂としては、例えば、菜種油、大豆油、サフラワー油、コーン油、米油、綿実油、ヤシ油やパーム核油などのラウリン系油脂、パーム系油脂などの植物油脂;ラードなどの動物油脂;これらの油脂の分別油(例えば、パーム核油の分別油であるパーム核ステアリン。これもラウリン系油脂に該当する)、硬化油、エステル交換油;以上の油脂の混合油等が挙げられる。これらのなかから1種類のみを使用してもよいし、2種類以上を併用してもよい。なかでも、常温保型性と口溶けの観点から、油脂1及び/又は油脂2として、ラウリン系油脂を含有することが好ましい。油脂1及び油脂2を合計した油脂全体中のラウリン系油脂の含量は、12〜88重量%が好ましく、30〜88重量%がより好ましく、50〜80重量%が更に好ましい。
本発明の起泡性クリームに含まれる油滴は、油脂1の油滴Aと、油脂2の油滴Bから構成される。このように本発明では、油脂の種類が異なる2種類の油脂が併存している。本発明の起泡性クリームに含まれる油滴(油滴Aと油滴B双方を含む油滴全体)の平均粒径は、0.8〜1.5μmが好ましく、0.9〜1.3μmがより好ましく、0.9〜1.2μmが更に好ましい。油滴の平均粒径が0.8μmより小さいとホイップドクリームの風味が弱く感じられる場合がある。1.5μmより大きいと起泡性クリームの乳化安定性が悪く、また、ホイップドクリームの常温保型性が悪くなる場合がある。ここで、上記平均粒径は、レーザー解析/散乱式粒度分布測定装置LA−920((株)堀場製作所)に、起泡性クリームを充填したセルをセットし、測定して得られる、油滴の体積基準分布の平均粒子径を意味する。
また、前記油滴の粒径分布の標準偏差は、前記平均粒径の値の50%以下となる値であることが好ましく、45%以下がより好ましく、40%以下が更に好ましく、35%以下が特に好ましい。前記標準偏差が平均粒径の50%よりも大きいと、ホイップドクリームの常温保型性が悪くなる場合がある。ここで、上記標準偏差は、レーザー解析/散乱式粒度分布測定装置LA−920((株)堀場製作所)に、本発明の起泡性クリームを充填したセルをセットし、本発明の起泡性クリームを測定して得られる、油滴の体積基準の粒径分布の標準偏差(ばらつき)を意味する。
本発明の起泡性クリーム中には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、乳化剤、増粘剤、糖類、乳固形分、親水性呈味剤、着色料、親油性フレーバー、親水性フレーバー、塩類、ビタミン類、ミネラル類、油溶性酸化防止剤、その他食品成分、添加剤等を含有してもよい。
前記した親水性呈味剤、着色料、親油性フレーバー、親水性フレーバー、ビタミン類、ミネラル類、油溶性酸化防止剤、その他食品成分、添加剤は、食品用であれば特に限定はなく、必要に応じて適宜使用することができる。
前記乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステルなどの合成乳化剤、大豆レシチン、卵黄レシチン、及びこれらの分画レシチン、更には酵素分解したリゾレシチンといった改質レシチンなどのレシチン類や乳由来のリン脂質を含む天然由来の乳化剤等が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
前記増粘剤としては、例えば、ジェランガム、グアーガム、キサンタンガム、寒天、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、ローカストビーンガム、アラビアガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、結晶セルロース、微結晶セルロース、澱粉、デキストリン等が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
前記糖類としては、例えば、ぶどう糖、果糖などの単糖類、砂糖、乳糖、麦芽糖などの二糖類、オリゴ糖、デキストリン、澱粉などの三糖類以上の多糖類、還元麦芽糖水飴、エリスリトール、キシリトール、マルチトールなどの糖アルコール等が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
前記乳固形分としては、例えば、カゼイン、ホエイパウダー、蛋白質濃縮ホエイパウダー、全脂粉乳、脱脂粉乳、バターミルクパウダー、乳糖、トータルミルクプロテイン、生乳、牛乳、全脂濃縮乳、脱脂乳、脱脂濃縮乳、バターミルク、ホエー、加糖練乳、無糖練乳、バター、チーズ等の他、UF膜やイオン交換樹脂処理等により乳蛋白質を分離、分画したものや、カゼインナトリウムやカゼインカリウムのような乳蛋白質の塩類が挙げられ、これらの群より選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
前記塩類としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、ヘキサンメタリン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウム、酒石酸水素ナトリム、酒石酸水素カリウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、リンゴ酸ナトリム、リンゴ酸カリウム、コハク酸ナトリウム、コハク酸カリウム、ソルビン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム等が挙げられる。
本発明の起泡性クリームの製造方法について2つの実施形態を以下に説明する。これらの製造方法によると、油脂1の油滴Aと、油脂2の油滴Bとがそれぞれ安定に形成され、1つの油滴のなかに油脂1と油滴2が混ざりあっているような油滴は実質的に形成されない。ただし、本発明の起泡性クリームはこれらの製造方法によって製造された起泡性クリームに限定されるわけではない。
第1の製造方法は、(1)水を含む水相を調製する工程、(2)風味付与油脂を含む油脂1を含む第1油相と、油脂2を含む第2油相とをそれぞれ調製する工程、(3)前記水相に、前記第1油相及び前記第2油相のうちいずれか一方の油相を混合撹拌して乳化させた後、さらに他方の油相を混合撹拌して、油脂1の油滴Aと、油脂2の油滴Bとを含む乳化物を得る工程、(4)前記乳化物を均質化して、前記油滴の平均粒径及び標準偏差を調節した後、冷却して、本発明の起泡性クリームを得る工程、を含む。ここで、前記工程(1)−(3)は加熱下で行うことが好ましく、特に前記工程(2)及び(3)は各油脂が融解する加熱条件下で行う。
第一の製造方法の具体的な実施条件としては、例えば、(1)50〜70℃の温水に、親水性乳化剤、蛋白質、塩類、親水性フレーバー、増粘剤、親水性呈味剤、糖類、乳固形分、着色料、ビタミン類、ミネラル類などの水溶性原料を混合し、50〜70℃に維持しながら撹拌し、水相を調製する。(2)上昇融点が24〜30℃で全風味付与油脂の90重量%以上を含有する油脂1を融解し、必要に応じて親油性乳化剤やその他の親油性成分を添加し溶解して第1油相を調製する。別途、上昇融点が30〜40℃で全風味付与油脂の10重量%以下しか含まない油脂2を融解し、必要に応じて親油性乳化剤やその他の親油性成分を添加し溶解して第2油相を調製する。(3)前記水相に、前記第1油相及び前記第2油相のうちいずれか一方の油相を混合撹拌して乳化させた後、さらに他方の油相を混合撹拌して、油脂1の油滴Aと、油脂2の油滴Bとを含む乳化物を得る。(4)前記工程で得られる乳化物に対し、必要に応じて微細化、均質化、予備加熱、殺菌、1次冷却、均質化、2次冷却、3次冷却、エージングなど、起泡性水中油型乳化油脂組成物の製造時に常法として行われる各処理を行うことにより、本発明の起泡性クリームを得ることができる。この際、均質化処理の条件を調節することで、起泡性クリームにおける油滴の平均粒径及び標準偏差を調節することができる。また、油滴の標準偏差をさらに小さくするために、微細化処理を実施することが好ましい。
第2の製造方法は、(1)水を含む第1水相と、風味付与油脂を含む油脂1を含む第1油相をそれぞれ調製した後、第1水相に第1油相を混合撹拌して乳化物を得、前記乳化物を均質化し、冷却して起泡性クリームAを得る工程、(2)水を含む第2水相と、油脂2を含む第2油相をそれぞれ調製した後、第2水相に第2油相を混合撹拌して乳化物を得、前記乳化物を均質化し、冷却して起泡性クリームBを得る工程、(3)起泡性クリームAと起泡性クリームBを混合して、本発明の起泡性クリームを得る工程、を含む。工程(1)における均質化処理及び工程(2)における均質化処理の条件を調節することで、本発明の起泡性クリームにおける油滴の平均粒径及び標準偏差を調節することができる。
第二の製造方法の具体的な実施条件としては、例えば、まず50〜70℃の温水に水溶性原料を混合し、50〜70℃に維持しながら撹拌し、第1水相を調製する。一方で、上昇融点が24〜30℃で全風味付与油脂の90重量%以上を含有する油脂1を融解し、必要に応じて親油性乳化剤やその他の親油性成分を添加し溶解して第1油相を調製する。前記第1水相に、前記第1油相を混合撹拌して乳化物1を得る。前記乳化物1に対し、必要に応じて微細化、均質化、予備加熱、殺菌、1次冷却、均質化、2次冷却、3次冷却、エージングなどの各処理を行うことにより、起泡性クリームAを得る。
他方、50〜70℃の温水に水溶性原料を混合し、50〜70℃に維持しながら撹拌し、第2水相を調製する。一方で、上昇融点が30〜40℃で全風味付与油脂の10重量%以下しか含まない油脂2を融解し、必要に応じて親油性乳化剤やその他の親油性成分を添加し溶解して第2油相を調製する。前記第2水相に、前記第2油相を混合撹拌して乳化物2を得る。前記乳化物2に対し、必要に応じて微細化、均質化、予備加熱、殺菌、1次冷却、均質化、2次冷却、3次冷却、エージングなどの各処理を行うことにより、起泡性クリームBを得る。そして、前記起泡性クリームAと前記起泡性クリームBを混合して、本発明の起泡性クリームを得ることができる。第二の製造方法では、油脂1の油滴Aと、油脂2の油滴Bの粒径をそれぞれ調節しておくことで、油滴(油滴Aと油滴B双方を含む油滴全体)の平均粒径を特定範囲に調節することができる。
本発明の起泡性クリームにおける油滴の平均粒径及び標準偏差を所定範囲に調節するためには、均質化工程で高圧ホモジナイザーを使用することが好ましい。高圧ホモジナイザーにおける均質化圧力を適宜調節することで本発明における油滴の平均粒径及び標準偏差を達成することができる。具体的な均質化圧力の数値は特に限定されないが、第一の製造方法を採用する場合には、例えば、2.5〜7.5MPaが好ましく、2.5〜7.0MPaがより好ましく、2.5〜5.0MPaがさらに好ましい。
油滴の標準偏差をさらに小さくするために、微細化工程を行い、当該工程で、高周速の回転式乳化機を用いることが好ましい。そのような高周速の回転式乳化機の具体例としては、例えば、薄膜旋回型高速ミキサー(プライミクス(株)製「フィルミックス」)、湿式乳化分散機(キャビトロン社製「キャビトロン」)、インライン型高せん断分散装置(IKA社製「ULTRA-TURRAX UTL」、「DISPAX-REACTOR」)、ハイシェアミキサー(CHARLES ROSS&SON社製「Inline Single or Dual Stage Rotor Stator Mixers Series 400」)、超精密分散・乳化機(エム・テクニック(株)製「クレアミックス」)等が挙げられる。
高周速の回転式乳化機を用いる時には、その周速は1.57m/s以上であることが好ましく、15.7m/s以上であることがより好ましい。周速が1.57m/s未満であると乳化効果が小さく、この回転式乳化機を用いた微細化工程による効果が得られない場合がある。周速の上限値としては、当該微細化工程による温度上昇が風味に影響を与えない範囲であれば特に限定されない。当該微細化工程後の乳化物の温度としては100℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましい。
本発明の起泡性クリームを製造するにあたっては、油滴の平均粒径及び標準偏差を調節することが容易で、また、歩留りが良く、品質のバラツキも少ないことから、前記第一の製造方法により製造することが好ましい。
本発明の起泡性クリームは、トッピング、ナッペ、サンド等の使用目的に沿った適度な硬さに到達するまでホイップすることで、本発明のホイップドクリームを得ることができる。ホイップする際には、適宜、オープン式ホイッパーや密閉式連続ホイップマシン等を使用することができる。
本発明のホイップドクリームのオーバーランは90〜150%が好ましく、90〜140%がより好ましく、100〜140%が更に好ましい。オーバーランが90%未満であると口溶けが重く感じる場合がある。150%を超えると常温保型性が悪くなったり、風味が弱く感じられる場合がある。なお、ホイップドクリームのオーバーランとは、ホイップドクリームに含まれる空気の割合を%で示したものである。
オーバーランの測定は、はじめに、起泡性クリームを100cmの容器に入れ、重量を測る。該起泡性クリームをトッピングするのに適度な硬さに到達するまでホイップし、得られたホイップドクリームを100cmの容器に入れ、重量を測る。そしてこれらの測定値を基に、次式でオーバーランを求めることができる。
オーバーラン(%)=[(一定容積の起泡性クリームの重量)−(前記起泡性クリームと同容積のホイップドクリームの重量)]÷(前記起泡性クリームと同容積のホイップドクリームの重量)×100
本発明のホイップドクリームは、パン又は菓子のフィリング又はトッピングのホイップドクリームとして好適に用いることができる。本発明のホイップドクリームは常温保型性に優れているため、常温で流通及び販売されるパン又は菓子のフィリング又はトッピングとして好適に用いることが可能である。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<油脂の上昇融点の測定>
実施例及び比較例で用いた油脂について、「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法2.3.4.2−90 融点(上昇融点)」に記載の方法に基づき上昇融点を測定した。なお、油脂1又は油脂2が2種類以上の油脂を含む場合は、それら2種類以上の油脂を混合して得た油脂について、上記方法により上昇融点を測定した。
<油滴の平均粒径及び標準偏差の測定>
実施例及び比較例で得られた起泡性クリームについて、レーザー解析/散乱式粒度分布測定装置LA−920((株)堀場製作所)で測定した体積基準分布の平均粒子径を、油滴の平均粒径とし、体積基準の粒子径分布の標準偏差(ばらつき)を油滴の粒径分布の標準偏差とした。各表では、μm単位の標準偏差の値と共に、この標準偏差の値を、平均粒径に対する割合に換算した値を示す。後者が請求項に記載の値に対応する。
<起泡性クリームの乳化安定性評価法>
実施例及び比較例で得られた起泡性クリーム60gを100ccビーカーに入れ、それを直径4cmの攪拌ペラで120rpmの条件で攪拌し、流動性がなくなるまでに要する時間を、乳化安定性の評価値とした。前記評価値が高いほど乳化安定性は優れていることになるが、前記評価値が30分以上であれば、起泡性クリームの乳化安定性は良好であるといえる。
<ホイップ時間評価法>
カントーミキサー(型番:CS−20:関東混合機工業株式会社製)に実施例及び比較例で得られた起泡性クリーム4kgを入れ、高速攪拌条件(452rpm)でホイップし、トッピングするのに適度な硬さに到達するまでの時間を、ホイップ時間の評価値とした。ホイップ時間は12分以下であれば、商品として問題がないレベルである。なお、ここでトッピングするのに適度な硬さとは、ホイップ直後のサンプルを容器に入れた後、クリープメーター(株式会社山電製「RE2−33005S」)を用いて直径16mmの円柱状のプランジャーにて、速度5mm/sの速さで1cm貫入時の最大荷重が0.25〜0.35Nになる硬さのことである。
<オーバーラン評価法>
オーバーランとは、ホイップドクリームに含まれる空気の割合を%で示したもので、次式により求めた。
オーバーラン(%)=[(一定容積の起泡性クリームの重量)−(前記起泡性クリームと同容積のホイップドクリームの重量)]÷(前記起泡性クリームと同容積のホイップドクリームの重量)×100
<ホイップドクリームの常温保型性の評価>
カントーミキサー(CS型20:関東混合機工業株式会社製)に、実施例及び比較例で得られた起泡性クリーム4kgを入れ、それらの品温を5℃に調整し、高速撹拌条件(452rpm)でホイップし、トッピングするのに適度な硬さに到達するまでホイップし、ホイップドクリームを得た。なお、実施例及び比較例では以上の方法によりホイップドクリームを得た。
得られたホイップドクリームを絞り袋に詰め、出口が星型の口金(切り込みの個数8個)を用いて、透明なポリカップ容器に、高さ6cm程度、底辺の直径7cm程度で、できるだけ空洞ができないように渦を巻きながら三角錐状にホイップドクリームを40g絞り、そのホイップドクリームの塊の高さを測定した。次いで、当該塊を25℃で24時間保持した後、再びその高さを測定し、絞った直後の高さが何%残っているかを、常温保型性の評価値とした。該評価値が高いほど常温保型性は良好であり、70%以上では商品性を有し、70%未満では商品性がない。
<ホイップドクリームの口溶けの評価>
実施例及び比較例で得られたホイップドクリームを熟練のパネラー10名が食して官能評価を行い、その評価点を平均してホイップドクリームの口溶けの評価結果とした。その際の評価基準は以下の通りである。
5点:口溶けがかなり軽い
4点:口溶けが軽い
3点:口溶けが比較的軽い
2点:口溶けがやや重い
1点:口溶けが重い
<ホイップドクリームの風味の評価>
実施例及び比較例で得られたホイップドクリームを熟練したパネラー10名が食して官能評価を行い、それの評価点を平均してホイップドクリームの風味の評価結果とした。その際の評価基準は以下の通りである。
5点:風味付与油脂の風味が強く感じられる
4点:風味付与油脂の風味が感じられる
3点:風味付与油脂の風味が少し感じられる
2点:風味付与油脂の風味が殆んど感じられない
1点:風味付与油脂の風味が感じられない
<総合評価>
乳化安定性、オーバーラン、常温保型性、口溶け、風味の各評価結果を基に、総合評価を行った。その際の評価基準は以下の通りである。
A:乳化安定性が30分以上、オーバーランが100%以上140%以下、常温保型性が85%以上100%以下、口溶けが4.0点以上5.0点以下、風味が4.0点以上5.0点以下の全てを満たすもの。
B:乳化安定性が30分以上、オーバーランが90%以上140%以下、常温保型性が75%以上100%以下、口溶けが3.5点以上5.0点以下、風味が3.5点以上5.0点以下であって、且つオーバーランが90%以上100%未満、常温保型性が75%以上80%未満、口溶けが3.5点以上4.0点未満、風味が3.5点以上4.0点未満のうち少なくとも一つを満たすもの。
C:乳化安定性が30分以上、オーバーランが90%以上150%以下、常温保型性が70%以上100%以下、口溶けが3.0点以上5.0点以下、風味が3.0点以上5.0点以下であって、且つオーバーランが140%を超え150%以下、常温保型性が70%以上75%未満、口溶けが3.0点以上3.5点未満、風味が3.0点以上3.5点未満のうち少なくとも一つを満たすもの。
D:乳化安定性が30分未満、オーバーランが90%未満もしくは150%を超え、常温保型性が70%未満、口溶けが3.0点未満、風味が3.0点未満のうち何れか1つに該当するもの。
E:乳化安定性が30分未満、オーバーランが90%未満もしくは150%を超え、常温保型性が70%未満、口溶けが3.0点未満、風味が3.0点未満のうち2つ以上に該当するもの。
<実施例及び比較例で使用した原料>
1)(株)カネカ製「パーム核油」(上昇融点:27℃)
2)Archer Daniels Midland社製「Yelkin TS」
3)三菱化学フーズ(株)製「P−170」(HLB:1)
4)太陽化学社製「サンファットPS−66」(HLB:4)
5)阪本薬品工業(株)製「SYグリスターMS−3S」(HLB:8.4)
6)(株)カネカ製「パーム核ステアリン」(上昇融点:31℃)
7)よつ葉乳業(株)製「脱脂粉乳」(水分:4重量%)
8)林原(株)製「サンマルトミドリ」(水分:7重量%)
9)フジ日本精糖(株)製「グラニュー糖FNGMS」(水分:0重量%)
10)昭和産業(株)製「MR25−50」(水分:24.5重量%)
11)阪本薬品工業(株)製「SYグリスターMS−5S」(HLB:11.6)
12)三菱化学フーズ(株)製「P−1670」(HLB:16)
13)Archer Daniels Midland社製「ノヴァザン200メッシュ」(水分:7重量%)
14)星和(株)製「グアーガムXS−5000」(水分:14重量%)
15)よつ葉乳業(株)製「無塩バター」(よつ葉バター(食塩不使用)を溶解し、遠心分離して水相部を除去したもの、上昇融点:30℃)
16)(株)カネカ製「パーム硬化油」(上昇融点:31℃)
17)(株)カネカ製「パーム核油」(上昇融点:27℃)
18)(株)カネカ製「パーム核オレイン硬化油」(上昇融点:43℃)
19)(株)カネカ製「パーム核硬化油」(上昇融点:36℃)
20)(株)カネカ製「パーム硬化油」(上昇融点:34℃)
21)よつ葉乳業(株)製「無塩バター」(水分:15.9重量%、油分:82.0重量%)
22)(株)カネカ製「硬化ヤシ油」(上昇融点:35℃)
23)森永乳業(株)製「フレッシュクリーム大雪原45」(水分:49.5重量%)
24)三菱化学フーズ(株)製「S−570」(HLB:5)
(製造例1)風味油脂の作製
パーム核油((株)カネカ製「パーム核油(上昇融点:27℃)」)86重量部を融解し60℃に温調し、卓上型ハイシェアミキサー(シルバーソン、LART)を用いて3500rpmで攪拌しているところに、水3重量部、脱脂粉乳(よつ葉乳業(株)製「脱脂粉乳」)5重量部、グルコース(サンエイ糖化(株)製「無水結晶ぶどう糖」)6重量部を順番に投入し、60分間保持して混合液を調製した。この混合液を、密閉式加熱処理装置(耐圧硝子工業株式会社製、「ポータブルリアクターTPR1−VS2−500」)に投入し、1000rpmで攪拌しながら、密閉状態で品温が70℃から180℃になるまで加熱した。180℃に達温後、製品出口コックを開放し、加熱処理した混合液をステンレスビーカーに受け、氷水を入れたボールにステンレスビーカーを直ちに浸けて、ゴムベラで攪拌しながら60℃まで冷却し、遠心分離して風味油脂を得た。
(実施例1)
油脂1として風味油脂(製造例1)10重量部を用い、これに、大豆レシチン0.026重量部、ショ糖脂肪酸エステル(HLB:1)0.013重量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:4)0.029重量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:8.4)0.029重量部を添加し、65℃で溶解して第1油相を作製した。
更に、油脂2としてパーム核ステアリン25重量部を用い、これに、大豆レシチン0.064重量部、ショ糖脂肪酸エステル(HLB:1)0.033重量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:4)0.071重量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:8.4)0.071重量部を添加し、65℃で溶解して第2油相を作製した。
一方、脱脂粉乳8.5重量部、マルトース4.5重量部、グラニュー糖2.4重量部、還元水飴20重量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:11.6)0.15重量部、ショ糖脂肪酸エステル(HLB:16)0.03重量部、キサンタンガム0.003重量部、グアーガム0.0225重量部を、60℃の水29.0585重量部に溶解して水相を作製した。
前記水相に、前記第1油相を混合撹拌して予備乳化後、次いで前記第2油相を混合撹拌し、さらに20分間予備乳化した後、高圧ホモジナイザーを用いて4MPaの圧力で均質化処理した後に、UHT殺菌機(スチームインジェクション)を用いて142℃で4秒間殺菌処理した。その後、再び高圧ホモジナイザーを用いて4MPaの圧力で均質化処理し、その後、冷却機で5℃まで冷却したものを容器に充填し、起泡性クリームを得た。得られた起泡性クリームの乳化安定性、及び、この起泡性クリームをホイップして得たホイップドクリームのオーバーラン、常温保型性、口溶け、風味について表1にまとめた。
Figure 2017201926
(比較例1)
表1の配合に従い、油脂1の風味油脂の一部をパーム核油に、油脂2のパーム核ステアリンの一部を風味油脂に代えた以外は、実施例1と同様にして、起泡性クリームを得た。得られた起泡性クリームの乳化安定性、及び、この起泡性クリームをホイップして得たホイップドクリームのオーバーラン、常温保型性、口溶け、風味について表1にまとめた。
表1から明らかなように、油脂1中の風味付与油脂量/油脂2中の風味付与油脂量(重量比)が100/0と、風味付与油脂である風味油脂を油脂1のみに配合した起泡性クリーム(実施例1)は、乳化安定性、オーバーラン、常温保型性、口溶けは良好で、風味が強く感じられた。一方、起泡性クリーム全体中の風味油脂の含有量は同じであるものの、油脂1中の風味付与油脂量/油中2の風味付与油脂量(重量比)を70/30とした起泡性クリーム(比較例1)は、乳化安定性、オーバーラン、常温保型性、口溶けは良好であったものの、風味が弱く感じられた。
(実施例2)
表2の配合に従い、油脂1の風味油脂を乳脂肪に代えた以外は、実施例1と同様にして、起泡性クリームを得た。得られた起泡性クリームの乳化安定性、及び、この起泡性クリームをホイップして得たホイップドクリームのオーバーラン、常温保型性、口溶け、風味について表2にまとめた。
Figure 2017201926
(実施例3,4、比較例2,3)
表2の配合に従い、142℃で4秒間殺菌処理した後の高圧ホモジナイザーでの処理圧力を変更した以外は、実施例2と同様にして、起泡性クリームを得た。得られた起泡性クリームの乳化安定性、及び、この起泡性クリームをホイップして得たホイップドクリームのオーバーラン、常温保型性、口溶け、風味について表2にまとめた。
表2から明らかなように、油滴の平均粒径が0.8〜1.5μmの範囲にあり、且つ油滴の粒径分布の標準偏差が平均粒径の50%以下の起泡性クリーム(実施例2〜4)は、乳化安定性は30分以上で、オーバーランは106〜128%で、常温保型性は高く、口溶け、風味は良好であった。一方、油滴の平均粒径が0.69μmで、油滴の粒径分布の標準偏差が平均粒径の50.7%の起泡性クリーム(比較例2)は、乳化安定性、オーバーラン、常温保型性、口溶けは良好であったが、風味が弱く感じられた。また、油滴の平均粒径が1.63μmの起泡性クリーム(比較例3)は、オーバーランは97%で、口溶け、風味は良好であったが、乳化安定性と常温保型性が劣り、商品性のないものであった。
(実施例5)
表3の配合に従い、油脂2のパーム核ステアリンをパーム硬化油に代えた以外は、実施例2と同様にして、起泡性クリームを得た。得られた起泡性クリームの乳化安定性、及び、この起泡性クリームをホイップして得たホイップドクリームのオーバーラン、常温保型性、口溶け、風味について表3にまとめた。
Figure 2017201926
表3から明らかなように、油脂1と油脂2を合計した全油脂中のラウリン系油脂の含有量が71.4重量%であった起泡性クリーム(実施例2)に比べると、ラウリン系油脂を含有しない起泡性クリーム(実施例5)は、乳化安定性、オーバーラン、風味はほぼ同等であったものの、常温保型性と口溶けが若干劣った。しかし、商品としては問題のないレベルであった。
(比較例4)
表3の配合に従い、油脂2のパーム核ステアリンの半量をパーム核油に代えた以外は、実施例2と同様にして、起泡性クリームを得た。得られた起泡性クリームの乳化安定性、及び、この起泡性クリームをホイップして得たホイップドクリームのオーバーラン、常温保型性、口溶け、風味について表3にまとめた。
(比較例5)
表3の配合に従い、油脂2のパーム核ステアリンの全量をパーム核オレイン硬化油に代えた以外は、実施例2と同様にして、起泡性クリームを得た。得られた起泡性クリームの乳化安定性、及び、この起泡性クリームをホイップして得たホイップドクリームのオーバーラン、常温保型性、口溶け、風味について表3にまとめた。
表3から明らかなように、油脂2の上昇融点が29.0℃の起泡性クリーム(比較例4)は常温保型性が悪く、また油脂2の上昇融点が43.0℃の起泡性クリーム(比較例5)は口溶けが悪く、共に商品性のないものであった。
(実施例6)
表2の配合に従い、水相に、前記第1油相を混合撹拌して予備乳化後、次いで前記第2油相を混合撹拌し、さらに20分間予備乳化した後に、高周速回転式乳化機(エム・テクニック(株)製「クレアミックス(登録商標)」)を用いて周速31.4m/sの回転速度で微細化する処理を追加した以外は、実施例2と同様にして、起泡性クリームを得た。得られた起泡性クリームの乳化安定性、及び、この起泡性クリームをホイップして得たホイップドクリームのオーバーラン、常温保型性、口溶け、風味について表2にまとめた。
表2から明らかなように、微細化処理を行なった起泡性クリーム(実施例6)は、微細化処理を行なわなかった起泡性クリーム(実施例2)に比べ、油滴の粒径分布の標準偏差が平均粒径の34.1%と小さくなり、ホイップドクリームのオーバーラン、口溶け、風味はほぼ同じで、乳化安定性と常温保型性が向上した。
(実施例7)
表4の配合に従い、油脂1として乳脂肪5重量部、及びパーム核油2重量部を用い、これらと、大豆レシチン0.018重量部、ショ糖脂肪酸エステル(HLB:1)0.0092重量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:4)0.02重量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:8.4)0.02重量部より第1油相を作製し、油脂2としてパーム核硬化油28重量部を用い、これと、大豆レシチン0.072重量部、ショ糖脂肪酸エステル(HLB:1)0.0368重量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:4)0.08重量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:8.4)0.08重量部より第2油相を作製した以外は、実施例2と同様にして、起泡性クリームを得た。得られた起泡性クリームの乳化安定性、及び、この起泡性クリームをホイップして得たホイップドクリームのオーバーラン、常温保型性、口溶け、風味について表4にまとめた。
Figure 2017201926
(実施例8)
表4の配合に従い、油脂1のパーム核油の配合量2重量部を22.5重量部に、油脂2のパーム核硬化油の配合量28重量部を7.5重量部に変更し、第1油相及び第2油相を併せた全油相中の乳化剤の種類と添加量は同じで、第1油相及び第2油相の乳化剤の添加量を油脂1/油脂2(重量比)に合わせて変更した以外は、実施例7と同様にして、起泡性クリームを得た。得られた起泡性クリームの乳化安定性、及び、この起泡性クリームをホイップして得たホイップドクリームのオーバーラン、常温保型性、口溶け、風味について表4にまとめた。
(比較例6)
表4の配合に従い、油脂1のパーム核油の配合量2重量部を25重量部に、油脂2のパーム核硬化油の配合量28重量部を5重量部に変更し、第1油相及び第2油相を併せた全油相中の乳化剤の種類と添加量は同じで、第1油相及び第2油相の乳化剤の添加量を油脂1/油脂2(重量比)に合わせて変更した以外は、実施例7と同様にして、起泡性クリームを得た。得られた起泡性クリームの乳化安定性、及び、この起泡性クリームをホイップして得たホイップドクリームのオーバーラン、常温保型性、口溶け、風味について表4にまとめた。
(比較例7)
表4の配合に従い、油脂1でパーム核油2重量部を添加せず、油脂2のパーム核硬化油の配合量28重量部を30重量部に変更し、第1油相及び第2油相を併せた全油相中の乳化剤の種類と添加量は同じで、第1油相及び第2油相の乳化剤の添加量を油脂1/油脂2(重量比)に合わせて変更した以外は、実施例7と同様にして、起泡性クリームを得た。得られた起泡性クリームの乳化安定性、及び、この起泡性クリームをホイップして得たホイップドクリームのオーバーラン、常温保型性、口溶け、風味について表4にまとめた。
表4から明らかなように、油脂1/油脂2の重量比が20/80の起泡性クリーム(実施例7)は、乳化安定性は38分、オーバーランは110%、常温保型性は83%で、口溶け、風味は良好であった。また、油脂1/油脂2の重量比が78.6/21.4の起泡性クリーム(実施例8)は、常温保型性と風味が若干低下したものの、乳化安定性は38分、オーバーランは107%で、口溶けは良好であり、商品性のあるものであった。一方、重量比が85.7/14.3の起泡性クリーム(比較例6)は常温保型性が悪く、風味も弱かった。また重量比が14.3/85.7の起泡性クリーム(比較例7)は風味が殆ど感じられなかった。
(実施例9)
油脂1である乳脂肪10重量部に、大豆レシチン0.036重量部、ショ糖脂肪酸エステル(HLB:1)0.018重量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:4)0.04重量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:8.4)0.04重量部を添加し、65℃で溶解して第1油相を作製した。
一方、脱脂粉乳3.4重量部、マルトース1.8重量部、グラニュー糖1重量部、還元水飴8重量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:11.6)0.06重量部、ショ糖脂肪酸エステル(HLB:16)0.01重量部、キサンタンガム0.001重量部、グアーガム0.009重量部を、60℃の水15.623重量部に溶解して第1水相を作製した。
前記第1水相に、前記第1油相を混合撹拌し、20分間予備乳化後、高圧ホモジナイザーを用いて4MPaの圧力で均質化処理した後に、UHT殺菌機(スチームインジェクション)を用いて142℃で4秒間殺菌処理した。その後、再び高圧ホモジナイザーを用いて4MPaの圧力で均質化処理し、その後、冷却機で5℃まで冷却し、起泡性クリームAを得た。
更に、油脂2であるパーム核ステアリン25重量部に、大豆レシチン0.054重量部、ショ糖脂肪酸エステル0.028重量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:4)0.06重量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:8.4)0.06重量部を添加し、65℃で溶解して第2油相を作製した。
一方、脱脂粉乳5.1重量部、マルトース2.7重量部、グラニュー糖1.4重量部、還元水飴12重量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:11.6)0.09重量部、ショ糖脂肪酸エステル(HLB:16)0.02重量部、キサンタンガム0.002重量部、グアーガム0.0135重量部を、60℃の水13.415重量部に溶解して第2水相を作製した。
前記第2水相に、前記第2油相を混合撹拌し、20分間予備乳化後、高圧ホモジナイザーを用いて4MPaの圧力で均質化処理した後に、UHT殺菌機(スチームインジェクション)を用いて142℃で4秒間殺菌処理した。その後、再び高圧ホモジナイザーを用いて4MPaの圧力で均質化処理し、その後、冷却機で5℃まで冷却し、起泡性クリームBを得た。
前記起泡性クリームA及び前記起泡性クリームBを均一に混合したものを容器に充填し、起泡性クリームを得た。得られた起泡性クリームの乳化安定性、及び、この起泡性クリームをホイップして得たホイップドクリームのオーバーラン、常温保型性、口溶け、風味について表5にまとめた。
Figure 2017201926
(比較例8)
表5の配合に従い、142℃で4秒間殺菌処理した後の高圧ホモジナイザーでの処理圧力を起泡性クリームAは5MPaに、起泡性クリームBは0.5MPaに変更した以外は、実施例9と同様にして、起泡性クリームA及び起泡性クリームBを製造し、これらの起泡性クリームを混合したものを容器に充填し、起泡性クリームを得た。得られた起泡性クリームの乳化安定性、及び、この起泡性クリームをホイップして得たホイップドクリームのオーバーラン、常温保型性、口溶け、乳風味について表5にまとめた。
表5から明らかなように、油滴の平均粒径が1.17μmで、油滴の粒径分布の標準偏差が平均粒径の41.0%の起泡性クリーム(実施例9)は、乳化安定性は30分45秒、オーバーランは108%、常温保型性は75%で、口溶け、風味は良好であった。一方、油滴の平均粒径が1.67μmで、油滴の粒径分布の標準偏差が平均粒径の52.1%の起泡性クリーム(比較例8)は、口溶けは良好であったものの、乳化安定性、オーバーラン、常温保型性が劣り、また風味は実施例9に比べると明らかに弱かった。
(比較例9)特許文献2(特開2013−141423号公報)の実施例1に準拠
パーム核硬化油(上昇融点:34℃)3.75重量部に、バター8.5重量部、大豆レシチン0.1重量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:8.4)0.05重量部を添加し、65℃で溶解して第1油相を作製した。但し、バター中の水滴は、第1油相中に分散している。
一方、生クリーム17.5重量部、ショ糖脂肪酸エステル(HLB:5)0.05重量部を、60℃の水20.05重量部に溶解して第1水相を作製した。但し、上記第1水相は天然乳化物である生クリームが分散した水相である。
前記第1水相に、前記第1油相を混合撹拌し、20分間予備乳化後、高圧ホモジナイザーを用いて4MPaの圧力で均質化処理した後に、UHT殺菌機(スチームインジェクション)を用いて142℃で4秒間殺菌処理した。その後、再び高圧ホモジナイザーを用いて4MPaの圧力で均質化処理し、その後、冷却機で5℃まで冷却し、起泡性クリームAを得た。
更に、硬化ヤシ油(上昇融点:35℃)15.25重量部、乳脂肪3.1重量部に、大豆レシチン0.1重量部、ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:8.4)0.05重量部を添加し、65℃で溶解して第2油相を作製した。
一方、脱脂粉乳3.8重量部、ショ糖脂肪酸エステル(HLB:5)0.05重量部を、60℃の水27.65重量部に溶解して第2水相を作製した。
前記第2水相に、前記第2油相を混合撹拌し、20分間予備乳化後、高圧ホモジナイザーを用いて4MPaの圧力で均質化処理した後に、UHT殺菌機(スチームインジェクション)を用いて142℃で4秒間殺菌処理した。その後、再び高圧ホモジナイザーを用いて1MPaの圧力で均質化処理し、その後、冷却機で5℃まで冷却して起泡性クリームBを得た。
前記起泡性クリームA及び前記起泡性クリームBを混合したものを容器に充填し、起泡性クリームを得た。さらに該起泡性クリーム4Kgにグラニュー糖320gを添加した以外は、実施例1と同様にして、ホイップドクリームを得た。
得られた起泡性クリームの乳化安定性、及び、この起泡性クリームをホイップして得たホイップドクリームのオーバーラン、常温保型性、口溶け、風味について表6にまとめた。
Figure 2017201926
表6から明らかなように、比較例9の起泡性クリームは、クリームの油脂全体中に乳脂肪を48.6重量%含有していることもあって、乳風味は強く感じられたが、油脂1の上昇融点が30.8℃、油滴の粒径分布の標準偏差が平均粒径の55.1%、油脂1中の風味付与油脂量/油脂2中の風味付与油脂量(重量比)が82.7/17.3、生クリームの含量が17.5重量%であり、乳化安定性は13分25秒と短く、オーバーランは85%でやや低く、常温保型性は48%と明らかに悪かった。

Claims (8)

  1. 油滴が水相に分散されてなる食用起泡性クリームであって、
    前記油滴は、上昇融点が24〜30℃である油脂1の油滴Aと、上昇融点が30〜40℃である油脂2の油滴Bとから構成され、
    前記食用起泡性クリーム全体に対する水の含量は30〜70重量%、油脂1及び油脂2の合計含量は25〜45重量%であり、
    油脂1/油脂2(重量比)は20/80〜80/20であり、
    油脂1、又は、油脂1及び油脂2は、風味付与油脂を含むものであり、
    油脂1に含まれる前記風味付与油脂/油脂2に含まれる前記風味付与油脂(重量比)は90/10〜100/0であり、
    油脂1及び油脂2を合計した油脂全体中の前記風味付与油脂の含量は、12〜80重量%であり、
    前記油滴の平均粒径は0.8〜1.5μmであり、前記油滴の粒径分布の標準偏差は前記平均粒径の50%以下である、食用起泡性クリーム。
  2. 前記風味付与油脂は、乳脂肪である、請求項1に記載の食用起泡性クリーム。
  3. 油脂1の60〜100重量%は、前記乳脂肪から構成される、請求項2に記載の食用起泡性クリーム。
  4. 前記食用起泡性クリーム全体に対する生クリームの含量は0重量%以上10重量%未満である、請求項1〜3のいずれかに記載の食用起泡性クリーム。
  5. 油脂1及び/又は油脂2として、ラウリン系油脂を含有し、油脂1及び油脂2を合計した油脂全体中の前記ラウリン系油脂の含量は、12〜88重量%である、請求項1〜4のいずれかに記載の食用起泡性クリーム。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の食用起泡性クリームが起泡された、オーバーランが90〜150%の食用ホイップドクリーム。
  7. 請求項6に記載の食用ホイップドクリームを含む食品。
  8. 請求項1〜5のいずれかに記載の食用起泡性クリームを製造する方法であって、
    (1)水を含む水相を調製する工程、
    (2)風味付与油脂を含む油脂1を含む第1油相と、油脂2を含む第2油相とをそれぞれ調製する工程、
    (3)前記水相に、前記第1油相及び前記第2油相のうちいずれか一方の油相を混合撹拌して乳化させた後、さらに他方の油相を混合撹拌して、油脂1の油滴Aと、油脂2の油滴Bとを含む乳化物を得る工程、
    (4)前記乳化物を均質化して、前記油滴の平均粒径及び標準偏差を調節した後、冷却して、食用起泡性クリームを得る工程、を含む、方法。
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