JP2017200857A - ジルコニア粒子製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明にかかるジルコニア粒子の原料は、炭酸ジルコニウムである。炭酸ジルコニウムの形態は特に限定されない。例えば、炭酸ジルコニウムは、塊状、顆粒状、粉末状、あるいは、液中に分散した状態であってもよい。その液の例には水がある。本発明の場合、炭酸ジルコニウムの好ましい形態は、炭酸ジルコニウムが液中に分散している形態すなわちスラリー状である。本発明の場合、炭酸ジルコニウムの特に好ましい形態は、炭酸ジルコニウムが水中に分散しているスラリー状である。
本発明にかかるジルコニア粒子製造方法の説明に先立ち、この方法の実施に用いられるジルコニア粒子生産プラントの例が説明される。図1は、バッチ式ジルコニア粒子生産プラントの構成を示す概念図である。そのジルコニア粒子生産プラントは、水供給ユニット10と、水供給管12と、加熱ユニット14と、反応容器16と、加圧管18と、T型継手20と、冷却管22と、冷却ユニット24と、リリーフ弁26とを備える。
図4は、バッチ式ジルコニア粒子製造方法の手順が示されたフローチャートである。バッチ式ジルコニア粒子製造方法は、臨界化工程S100と、ジルコニア粒子生成工程S102と、液化工程S104と、回収工程S106とを備える。臨界化工程S100は、反応容器16に入っており、かつ、炭酸ジルコニウムが予め混入された水を、亜臨界状態又は超臨界状態にする工程である。ジルコニア粒子生成工程S102は、その炭酸ジルコニウムが予め混入された水が亜臨界状態又は超臨界状態となった後、その状態を維持する工程である。その状態が維持されると、その水に混入されている炭酸ジルコニウムがその水と反応することにより、ジルコニアと二酸化炭素とが生成する。液化工程S104は、亜臨界状態又は超臨界状態であり、かつ、ジルコニアと二酸化炭素とを含む水が、液化される工程である。回収工程S106は、液化工程S104において液化された水が回収される工程である。その際、水と共にジルコニアも回収される。二酸化炭素は主に炭酸ガスとして大気中に放出される。
本実施例においては、バッチ式ジルコニア粒子生産プラントが使用された。加圧工程S120において、作業者は、反応容器16に太陽鉱工株式会社製の炭酸ジルコニウムを12グラム(体積は15立方センチメートル)入れた。反応容器16に炭酸ジルコニウムが入ると、作業者は、その反応容器16を加熱ユニット14の炉に入れ、かつ、その反応容器16を加圧管18に接続した。反応容器16が加圧管18に接続されると、作業者は、水供給ユニット10を起動した。これにより、水供給ユニット10は精製水を水供給管12に供給し始めた。その精製水は、T型継手20および加圧管18を介して反応容器16に流入した。また、その精製水は、T型継手20を介して冷却管22にも流入した。その後、冷却管22内の水圧が30MPaを超えると、リリーフ弁26は開いた。リリーフ弁26が開くと、冷却管22内の水が少量排出された。これにより、水供給管12から冷却管22までの水圧は30MPaに維持された。加熱工程S122において、作業者は、加熱ユニット14を起動した。加熱ユニット14の起動により、反応容器16内の水と炭酸ジルコニウムとは、反応容器16を介して加熱された。その加熱は、加熱ユニット14の炉内の温度が430℃(703.15ケルビン)となるまで継続された。ジルコニア粒子生成工程S102にて、作業者は、加熱ユニット14の炉内の温度を430℃(703.15ケルビン)に維持した。作業者は、反応容器16内の圧力を30MPaに維持した。それらの状態が維持されることにより、ジルコニアと二酸化炭素とが生成した。その状態が維持された時間は2時間(7200秒)であった。液化工程S104にて、作業者は、水供給ユニット10による精製水の供給を停止した。同時に、作業者は、加熱ユニット14の炉の扉(図示せず)を開くことにより、その炉の中に空気を取り入れた。これにより、反応容器16の冷却が始まった。反応容器16の冷却は、反応容器16表面の温度が25℃(298.15ケルビン)になるまで継続された。回収工程S106にて、作業者は加圧管18から反応容器16を取り外した。作業者は、その反応容器16から水と共にジルコニア粒子を回収した。二酸化炭素はその時までに気中に排出された。作業者は、水と共に回収したジルコニア粒子から水分を除去した上で、粉末X線回折法により、そのジルコニア粒子の結晶構造を解析した。図6は、その際に得られたジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。図6の横軸は入射X線方向と回折X線方向とのなす角度2θを意味する。以下の図7乃至図16においても同様である。図6の縦軸はX線の強度を意味する。以下の図7乃至図16においても同様である。図6において、一点鎖線で示された縦線は試料に正方晶が含まれる場合にX線の強度が強くなる2θの値(正方晶の回折ピーク角度)を意味する。以下の図7乃至図16においても同様である。図6において、二点鎖線で示された縦線は試料に単斜晶が含まれる場合にX線の強度が強くなる2θの値(単斜晶の回折ピーク角度)を意味する。以下の図7乃至図16においても同様である。
加熱工程S122において、加熱は、加熱ユニット14の炉内の温度が400℃(673.15ケルビン)となるまで継続された。ジルコニア粒子生成工程S102にて、加熱ユニット14の炉内の温度が400℃(673.15ケルビン)に維持され、かつ、反応容器16内の圧力が30MPaに維持された時間は、1時間(3600秒)であった。他の点は実施例1と同様である。図7は、本実施例において得られたジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。
加熱工程S122において、加熱は、加熱ユニット14の炉内の温度が300℃(573.15ケルビン)となるまで継続された。ジルコニア粒子生成工程S102にて、加熱ユニット14の炉内の温度が300℃(573.15ケルビン)に維持され、かつ、反応容器16内の圧力が30MPaに維持された時間は、1時間(3600秒)であった。他の点は実施例1と同様である。図8は、本実施例において得られたジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。
加熱工程S122において、加熱は、加熱ユニット14の炉内の温度が200℃(473.15ケルビン)となるまで継続された。ジルコニア粒子生成工程S102にて、加熱ユニット14の炉内の温度が200℃(473.15ケルビン)に維持され、かつ、反応容器16内の圧力が30MPaに維持された時間は、1時間(3600秒)であった。他の点は実施例1と同様である。図9は、本実施例において得られたジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。
本実施例においては、耐圧容器式ジルコニア粒子生産プラントが使用された。臨界化工程において、作業者は、耐圧容器34の容器本体に太陽鉱工株式会社製の炭酸ジルコニウム2グラムと精製水とを入れた。炭酸ジルコニウムが入った水の体積は2.5立方センチメートルであった。その容器本体に炭酸ジルコニウムと水とが入ると、作業者は、耐圧容器34の加熱装置を起動した。これにより、その加熱装置は容器本体内の炭酸ジルコニウムと水とを加熱し始めた。その加熱は、耐圧容器34内の水温が400℃(673.15ケルビン)となるまで継続された。昇温速度は毎分10℃(10ケルビン)であった。加熱に伴い、その水は排水路36を介してリリーフ弁38に流れた。その間、耐圧容器34からリリーフ弁38までの水圧は30MPaに維持された。加熱に伴い、ジルコニア粒子生成工程が開始された。ジルコニア粒子生成工程にて、炭酸ジルコニウムが予め混入された水が亜臨界状態を経て超臨界状態になった。その間に炭酸ジルコニウムがその水と反応することにより、ジルコニアと二酸化炭素とが生成した。耐圧容器34内の水温が400℃(673.15ケルビン)になると液化工程S104が開始された。液化工程S104にて、作業者は、耐圧容器34における加熱を停止した。これにより、耐圧容器34の自然冷却が始まった。耐圧容器34が冷却された結果、超臨界状態であった耐圧容器34内の水は液化した。耐圧容器34の冷却は、耐圧容器34内の水温が25℃(298.15ケルビン)になるまで継続された。耐圧容器34が25℃(298.15ケルビン)まで冷却されると、回収工程S106が開始された。回収工程S106にて、作業者は、耐圧容器34の容器本体から水と共にジルコニアを回収した。その際、反応容器16内の二酸化炭素は排出された。作業者は、水と共に回収したジルコニア粒子から水分を除去した上で、粉末X線回折法により、そのジルコニア粒子の結晶構造を解析した。図10は、その際に得られたジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。
本実施例においては、フロー式ジルコニア粒子生産プラントが使用された。反応管兼冷却管52のうち、T型継手50から反応管兼冷却管52が冷却ユニット54を入る箇所までの距離は、10.0メートル(1000センチメートル)であった。まず、作業者は、加熱ユニット44と、冷却ユニット54とを起動した。加熱ユニット44は、精製水が加熱ユニット44を通過した直後におけるその精製水の水温が390℃(663.15ケルビン)に維持されるよう制御された。冷却ユニット54は、反応管兼冷却管52が冷却ユニット54を抜けた箇所における水温が25℃(298.15ケルビン)に維持されるよう制御された。これらの起動および制御のための具体的な手順は周知なのでここではその詳細な説明は繰り返されない。次に、加圧工程S140において、作業者は、水供給ユニット10を起動した。これにより、水供給ユニット10は精製水を水供給管42に供給し始めた。その精製水は、水供給管42に流入した。精製水にかかる圧力は30MPaであった。水供給ユニット10による精製水供給量は、毎分10立方センチメートルであった。これらの起動および制御のための具体的な手順は周知なのでここではその詳細な説明は繰り返されない。加熱工程S122において、加熱ユニット44は、水供給管42を介して精製水を加熱した。これにより、精製水が加熱ユニット44を通過した直後におけるその精製水の水温が390℃(663.15ケルビン)に到達した。その結果、精製水は、T型継手50に流入するまでに、亜臨界状態となった。亜臨界状態となった精製水は、T型継手50を経て反応管兼冷却管52に流入した。ジルコニア粒子生成工程S132において、作業者は、スラリー供給ユニット46のタンクに炭酸ジルコニウムのスラリーを収容した。そのスラリーは、5重量%の炭酸ジルコニウムと、95重量%の精製水とを含んでいた。そのタンクにスラリーが収容されると、作業者は、スラリー供給ユニット46のスラリーポンプを起動した。これにより、スラリー供給ユニット46は、炭酸ジルコニウムのスラリーをスラリー供給管48に連続供給し始めた。スラリー供給ユニット46のスラリーポンプがそのスラリーに加える圧力は30MPaであった。そのスラリーポンプによるスラリー供給量は、毎分2.5立方センチメートルであった。スラリー供給管48に連続供給されたそのスラリーは、T型継手50を経て反応管兼冷却管52に順次流入した。これらの起動および制御のための具体的な手順は周知なのでここではその詳細な説明は繰り返されない。スラリーが順次流入する結果、T型継手50の内部では、臨界化工程S130において亜臨界状態にされた水に炭酸ジルコニウムのスラリーが連続供給された。反応管兼冷却管52に流入する直前の精製水とスラリーとの混合物の温度は360℃(633.15ケルビン)であった。その炭酸ジルコニウムは、亜臨界状態の水の中で、ジルコニアと二酸化炭素とになった。精製水および炭酸ジルコニウムが反応管兼冷却管52内に入ってから反応管兼冷却管52が冷却ユニット54に入る箇所へそれらの反応生成物が到達するまでの時間は、以下の通りであった。すなわち、反応管兼冷却管52内に流入する精製水とスラリーとの体積の和は、圧力が0.1MPaで温度が25℃(298.15ケルビン)のときの毎分12.5立方センチメートルに相当した。反応管兼冷却管52に流入する直前の精製水とスラリーとの混合物の温度が360℃(633.15ケルビン)であった。圧力が30MPaで温度が360℃のときの水の密度は0.61438グラム毎立方センチメートルである。この場合、圧力が30MPaで温度が360℃のときの精製水とスラリーとの体積の和は次に述べられる値となる。その値は、12.5立方センチメートルを0.61438グラム毎立方センチメートルで除算した結果得られる値すなわち毎分20.3立方センチートルである。ただし、この値は、スラリー中の炭酸ジルコニウムの密度と水の密度との差を無視し、かつ、圧力が0.1MPaで温度が25℃(298.15ケルビン)のときの水の密度を1グラム毎立方センチメートルとみなした場合の値である。反応管兼冷却管52の内径は0.17センチメートルであった。反応管兼冷却管52のうち管内部の空間の断面積は、その内径の二乗と円周率との積の4分の1に等しいので、0.023平方センチメートルであった。上述されているように、圧力が30MPaで温度が360℃のときの反応管兼冷却管52内に流入する精製水とスラリーとの体積の和が毎分20.3立方センチメートルなので、反応管兼冷却管52内での精製水とスラリーとの混合物の平均速度は、毎分約883センチメートルである。反応管兼冷却管52内における流体の通過時間は、通過する距離を流体の平均速度で除算すると算出される。したがって、精製水および炭酸ジルコニウムが反応管兼冷却管52内に入ってから反応管兼冷却管52が冷却ユニット54に入る箇所へそれらの反応生成物が到達するまでの時間は約1.1分(約68秒)であった。液化工程S134において、冷却ユニット54は、反応管兼冷却管52を介してその中の水を冷却した。これにより、反応管兼冷却管52が冷却ユニット54を抜けた箇所における水温は25℃(298.15ケルビン)になった。その結果、亜臨界状態だった水は液化した。その水に含まれた二酸化炭素は炭酸ガスになった。回収工程S136において、リリーフ弁26は、反応管兼冷却管52内の圧力が30MPaとなるたびに開いた。リリーフ弁26は液化工程S134において液化した水とその水に含まれるジルコニアおよび二酸化炭素とを排出した。リリーフ弁26から排出された水とジルコニアとは、図示されない回収容器に回収された。リリーフ弁26から排出された二酸化炭素はリリーフ弁26から排出されると同時に大気中に放出された。作業者は、水と共に回収されたたジルコニア粒子から水分を除去した上で、粉末X線回折法により、そのジルコニア粒子の結晶構造を解析した。図11は、その際に得られたジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。
本実施例においては、フロー式ジルコニア粒子生産プラントが使用された。反応管兼冷却管52のうち、T型継手50から反応管兼冷却管52が冷却ユニット54を入る箇所までの距離は、0.5メートル(50センチメートル)であった。したがって、ジルコニア粒子生成工程S132にて、精製水および炭酸ジルコニウムがT型継手50を経て反応管兼冷却管52内に入ってから反応管兼冷却管52が冷却ユニット54を入る箇所に到達するまでの時間は、約0.057分(約3.4秒)であった。他の点は実施例6と同様である。図12は、本実施例において得られたジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。
本比較例は、実施例2と同時に実施された。すなわち、作業者は、実施例2にかかる反応容器16と同一形状の容器(図示せず)に太陽鉱工株式会社製の炭酸ジルコニウムを12グラム(体積は15立方センチメートル)入れた。その容器に炭酸ジルコニウムが入ると、作業者は、その容器を加熱ユニット14の炉に入れた。その容器は加圧管18に接続されなかった。その容器は密封されなかった。その容器は、実施例1にかかる反応容器16の加熱に伴って、加熱ユニット14の炉により加熱された。その結果、その容器内の炭酸ジルコニウムは、空気中で焼成されることとなった。図13は、本比較例において得られたジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。
本比較例は、実施例3と同時に実施された。他の点は比較例1と同様である。図14は、本比較例において得られたジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。
本比較例は、実施例4と同時に実施された。他の点は比較例1と同様である。図15は、本比較例において得られたジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。
本比較例においては、フロー式ジルコニア粒子生産プラントが使用された。ただし、スラリー供給ユニット46のスラリーポンプは取り外された。その代わりに周知のプランジャーポンプ(図示せず)がスラリー供給管48とスラリー供給ユニット46のタンクとに接続された。反応管兼冷却管52のうち、T型継手50から反応管兼冷却管52が冷却ユニット54を入る箇所までの距離は、0.8メートル(80センチメートル)であった。まず、作業者は、加熱ユニット44と、冷却ユニット54とを起動した。加熱ユニット44は、精製水が加熱ユニット44を通過した直後におけるその精製水の水温が410℃(683.15ケルビン)に維持されるよう制御された。冷却ユニット54は、反応管兼冷却管52が冷却ユニット54を抜けた箇所における水温が25℃(298.15ケルビン)に維持されるよう制御された。これらの起動および制御のための具体的な手順は周知なのでここではその詳細な説明は繰り返されない。次に、作業者は、水供給ユニット10を起動した。これにより、水供給ユニット10は精製水を水供給管42に供給し始めた。その精製水は、水供給管42に流入した。精製水にかかる圧力は30MPaであった。水供給ユニット10による精製水供給量は、毎分144立方センチメートルであった。これらの起動および制御のための具体的な手順は周知なのでここではその詳細な説明は繰り返されない。一方、加熱ユニット44は、水供給管42を介して精製水を加熱した。これにより、精製水が加熱ユニット44を通過した直後におけるその精製水の水温が410℃(683.15ケルビン)に到達した。その結果、精製水は、T型継手50に流入するまでに、超臨界状態となった。超臨界状態となった精製水は、T型継手50を経て反応管兼冷却管52に流入した。次に、作業者は、スラリー供給ユニット46のタンクにオキシ酢酸ジルコニウムの水溶液を収容した。その水溶液は、25重量%のオキシ酢酸ジルコニウムと75重量%の精製水とを含んでいた。そのタンクにスラリーが収容されると、作業者は、スラリー供給ユニット46のプランジャーポンプを起動した。これにより、スラリー供給ユニット46は、オキシ酢酸ジルコニウムの水溶液をスラリー供給管48に供給し始めた。スラリー供給ユニット46のプランジャーポンプがその水溶液に加える圧力は30MPaであった。そのプランジャーポンプによる水溶液供給量は、毎分36立方センチメートルであった。スラリー供給管48に供給されたその水溶液は、T型継手50を経て反応管兼冷却管52に流入した。これらの起動および制御のための具体的な手順は周知なのでここではその詳細な説明は繰り返されない。その水溶液が流入した結果、T型継手50の内部では水供給管42から流入した超臨界状態の精製水にスラリー供給管48から流入したオキシ酢酸ジルコニウムの水溶液が混入された。反応管兼冷却管52に流入する直前の精製水とその水溶液との混合物の温度は380℃(653.15ケルビン)であった。そのオキシ酢酸ジルコニウムは、超臨界状態の水の中で、ジルコニアと酢酸とになった。精製水およびオキシ酢酸ジルコニウムが反応管兼冷却管52内に入ってから反応管兼冷却管52が冷却ユニット54を入る箇所にそれらの反応生成物が到達するまでの時間は、以下の通りであった。すなわち、反応管兼冷却管52内に流入する精製水とオキシ酢酸ジルコニウムの水溶液との体積の和は、圧力が0.1MPaで温度が25℃(298.15ケルビン)のときの毎分180立方センチメートルに相当した。反応管兼冷却管52に流入する直前の精製水とオキシ酢酸ジルコニウムの水溶液との混合物の温度が380℃(653.15ケルビン)であった。圧力が30MPaで温度が380℃のときの水の密度は0.53392グラム毎立方センチメートルである。この場合、圧力が30MPaで温度が380℃のときの精製水とオキシ酢酸ジルコニウムの水溶液との体積の和は次に述べられる値となる。その値は、180立方センチメートルを0.53392グラム毎立方センチメートルで除算した結果得られる値すなわち毎分337立方センチートルである。ただし、この値は、オキシ酢酸ジルコニウムの密度と水の密度との差を無視し、かつ、圧力が0.1MPaで温度が25℃(298.15ケルビン)のときの水の密度を1グラム毎立方センチメートルとみなした場合の値である。反応管兼冷却管52の内径は1.18センチメートルであった。反応管兼冷却管52のうち管内部の空間の断面積は、その内径の二乗と円周率との積の4分の1に等しいので、1.09平方センチメートルである。上述されているように、圧力が30MPaで温度が380℃のときの反応管兼冷却管52内に流入する精製水とオキシ酢酸ジルコニウムの水溶液との体積の和が毎分337立方センチメートルである。したがって、反応管兼冷却管52内で水とオキシ酢酸ジルコニウムとの混合物の平均速度は、毎分約309センチメートルである。反応管兼冷却管52内における流体の通過時間は、通過する距離を流体の平均速度で除算すると算出される。したがって、精製水およびオキシ酢酸ジルコニウムが反応管兼冷却管52内に入ってから反応管兼冷却管52が冷却ユニット54に入る箇所へそれらの反応生成物が到達するまでの時間は、約0.26分(約15秒)であった。冷却ユニット54は、反応管兼冷却管52を介してその中の水と酢酸とジルコニアとを冷却した。これにより、反応管兼冷却管52が冷却ユニット54を抜けた箇所における水温は25℃(298.15ケルビン)になった。その結果、超臨界状態だった水は液化した。リリーフ弁26は、反応管兼冷却管52内の圧力が30MPaを超えると開いた。リリーフ弁26は反応管兼冷却管52内の水とその水に含まれるジルコニアおよび酢酸とを排出した。リリーフ弁26から排出された水とジルコニアと酢酸とは、図示されない回収容器に回収された。作業者は、水および酢酸と共に回収されたたジルコニア粒子から水および酢酸を除去した上で、粉末X線回折法により、そのジルコニア粒子の結晶構造を解析した。図16は、その際に得られたジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。
[加工の手間について]
上述されたように、比較例4においては、水およびジルコニア粒子と共に酢酸が回収された。一方、実施例1乃至実施例7において、二酸化炭素はジルコニア粒子生成の際に大気中に放出された。これにより、比較例4の場合と比べて、ジルコニア粒子に対するさらなる加工の手間を減らすことができた。
図6と図11と図12とによれば、反応時間(水と炭酸ジルコニウムとが反応することによりジルコニアと二酸化炭素とが生成するという化学反応が継続される時間)が長いと、単斜晶の含有率が高くなる傾向にある。その結果、正方晶の含有率は低くなる。本発明にかかるジルコニア粒子製造方法においては、反応管兼冷却管52が短い方が、すなわち、反応時間が短い方が、単斜晶の含有率が低くなる。その結果、正方晶の含有率は高くなる。
図17は、各実施例および比較例において得られたジルコニア粒子の透過型電子顕微鏡画像である。図17においては、比較例4の画像のみ他の画像の約4倍に拡大されている。図17によれば、ジルコニア粒子のサイズは、実施例1のジルコニア粒子よりも実施例6のジルコニア粒子および実施例7のジルコニア粒子の方が小さくなっている。このことから明らかなように、本発明にかかるジルコニア粒子製造方法においては、バッチ方式でジルコニア粒子を製造するよりも、フロー方式でジルコニア粒子を製造する方が、ジルコニア粒子が小さくなる。本発明にかかるジルコニア粒子製造方法においては、反応管兼冷却管52が短い方が、すなわち、炭酸ジルコニウムが水に混入された時から冷却が開始されるまでの時間が短い方が、ジルコニア粒子が小さくなる。
12,42…水供給管
14,44…加熱ユニット
16…反応容器
18…加圧管
20,50…T型継手
22…冷却管
24,54…冷却ユニット
26,38…リリーフ弁
34…耐圧容器
36…排水路
46…スラリー供給ユニット
48…スラリー供給管
52…反応管兼冷却管
Claims (5)
- ジルコニウム化合物と亜臨界状態又は超臨界状態の水とを反応させることにより前記水の中にジルコニア粒子を生成させるジルコニア粒子生成工程と、
前記ジルコニア粒子が含まれた前記水を冷却することにより前記水を液化する液化工程とを備えるジルコニア粒子製造方法であって、
前記ジルコニウム化合物が炭酸ジルコニウムであり、
前記ジルコニア粒子生成工程において前記炭酸ジルコニウムと反応させる前記水を前記炭酸ジルコニウムとの反応以前に亜臨界状態又は超臨界状態にする臨界化工程をさらに備えることを特徴とするジルコニア粒子製造方法。 - 前記臨界化工程が、
前記水が亜臨界状態又は超臨界状態となり得る圧力を前記水に加える加圧工程と、
前記水が亜臨界状態又は超臨界状態となり得る温度になるよう前記水を加熱する加熱工程とを有しており、
前記ジルコニア粒子生成工程が、前記臨界化工程において亜臨界状態又は超臨界状態にされた前記水に前記炭酸ジルコニウムのスラリーを連続供給する工程を有していることを特徴とする請求項1に記載のジルコニア粒子製造方法。 - 前記加圧工程が、前記水が亜臨界状態となり得る圧力を前記水に加える工程を有し、
前記加熱工程が、前記加圧工程において圧力が加えられた状態の前記水が亜臨界状態となる温度まで前記水を加熱する工程を有していることを特徴とする請求項2に記載のジルコニア粒子製造方法。 - 前記臨界化工程が、
前記炭酸ジルコニウムが予め混入された前記水が亜臨界状態又は超臨界状態となり得る圧力を前記水に加える加圧工程と、
前記炭酸ジルコニウムが予め混入された水が亜臨界状態又は超臨界状態となり得る温度になるよう前記水を加熱する加熱工程とを有していることを特徴とする請求項1に記載のジルコニア粒子製造方法。 - 前記加圧工程が、前記水が亜臨界状態となり得る圧力を前記炭酸ジルコニウムが予め混入された水に加える工程を有し、
前記加熱工程が、前記加圧工程において圧力が加えられた状態の前記水が亜臨界状態となる温度まで前記水を加熱する工程を有していることを特徴とする請求項4に記載のジルコニア粒子製造方法。
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JPS5969428A (ja) * | 1982-10-07 | 1984-04-19 | Nippon Mining Co Ltd | 酸化ジルコニウム超微粉の製造方法 |
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JP2005255450A (ja) * | 2004-03-10 | 2005-09-22 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 酸化ジルコニウム結晶粒子とその製造方法 |
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2016
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Patent Citations (4)
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