JP2017200857A - ジルコニア粒子製造方法 - Google Patents

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勝康 飯田
Katsuyasu Iida
勝康 飯田
慎悟 鈴木
Shingo Suzuki
慎悟 鈴木
恒毅 神澤
Tsunenori Kamisawa
恒毅 神澤
大介 飯田
Daisuke Iida
大介 飯田
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Abstract

【課題】加工の手間を減らす。【解決手段】ジルコニア粒子製造方法は、臨界化工程S130と、ジルコニア粒子生成工程S132と、液化工程S134とを備える。臨界化工程S130は、水を亜臨界状態又は超臨界状態にする工程である。ジルコニア粒子生成工程S132は、炭酸ジルコニウムと亜臨界状態又は超臨界状態の水とを反応させることにより水の中にジルコニア粒子を生成させる工程である。液化工程S134は、ジルコニア粒子が含まれた水を冷却することにより水を液化する工程である。【選択図】図5

Description

本発明は、ジルコニア粒子製造方法に関する。
特許文献1は、ジルコニア粒子製造方法を開示する。ジルコニアは、二酸化ジルコニウムとも呼ばれる。ジルコニアは、ジルコニウムの酸化物である。この製造方法では、オキシ酢酸ジルコニウムが、亜臨界又は超臨界状態の水を媒体として、水熱反応させられる。特許文献1に開示された方法によると、結晶構造を制御できる。
特開2005−255450号公報
しかしながら、特許文献1に開示された方法には、製造されたジルコニア粒子に対してさらに加工を施す必要があるという問題点がある。特許文献1に開示された方法によれば、ジルコニアと共に酢酸が生成する。しばしば、この酢酸とジルコニアとを分離する必要がある。すなわち、特許文献1に開示された方法によれば、分離のための加工が必要である。その加工のある例は、加熱により酢酸を蒸発させるというものである。その場合、ジルコニアが硬く凝集する恐れがある。ジルコニアの凝集が防止可能な加工の例は、何度も精製水を添加しそこから上清を除去することを繰り返すというものである。そのような加工は非常に手間がかかる。本発明はこの問題を解決するものである。本発明の目的は結晶構造の制御に伴う加工の手間を減らすことにある。
図面を参照し本発明を説明する。なおこの欄で図中の符号を使用したのは発明の内容の理解を助けるためである。この欄で図中の符号を使用することには発明の内容を図示した範囲に限定する意図がない。
本発明者らは、上記問題点に対して鋭意検討した結果、亜臨界又は超臨界状態の水によって炭酸ジルコニウムを水熱反応させることにより、反応後のジルコニア粒子に対するさらなる加工の手間を減らし得ることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、次の通りである。
上述した課題を解決するために、本発明のある局面に従うと、ジルコニア粒子製造方法は、ジルコニア粒子生成工程S102,S132と、液化工程S104,S134とを備える。ジルコニア粒子生成工程S102,S132は、ジルコニウム化合物と亜臨界状態又は超臨界状態の水とを反応させることにより水の中にジルコニア粒子を生成させる工程である。液化工程S104,S134は、ジルコニア粒子が含まれた水を冷却することにより水を液化する工程である。ジルコニウム化合物は炭酸ジルコニウムである。ジルコニア粒子製造方法は、臨界化工程S100,S130をさらに備える。臨界化工程S100,S130は、ジルコニア粒子生成工程S102,S132において炭酸ジルコニウムと反応させる水を炭酸ジルコニウムとの反応以前に亜臨界状態又は超臨界状態にする工程である。
炭酸ジルコニウムと亜臨界状態又は超臨界状態の水とを反応させることにより、ジルコニア粒子と二酸化炭素とが生成する。この場合、ジルコニア粒子の生成に伴う酢酸の生成を回避できる。地球上の多くの環境において、二酸化炭素は炭酸ガスとして空気中に拡散する。空気中に拡散するので、空気中においてジルコニア粒子から二酸化炭素を除去することは、ジルコニア粒子から酢酸を除去することに比べれば容易である。その結果、結晶構造の制御に伴う加工の手間を減らすことができる。
また、上述した臨界化工程S130が、加圧工程S140と、加熱工程S142とを有していることが望ましい。加圧工程S140は、水が亜臨界状態又は超臨界状態となり得る圧力を水に加える工程である。加熱工程S142は、水が亜臨界状態又は超臨界状態となり得る温度になるよう水を加熱する工程である。この場合、ジルコニア粒子生成工程S132が、臨界化工程において亜臨界状態又は超臨界状態にされた水に炭酸ジルコニウムのスラリーを連続供給する工程を有していることが望ましい。
もしくは、上述した加圧工程S140が、水が亜臨界状態となり得る圧力を水に加える工程を有していることが望ましい。この場合、加熱工程S142が、加圧工程S140において圧力が加えられた状態の水が亜臨界状態となる温度まで水を加熱する工程を有していることが望ましい。
また、上述した臨界化工程S100が、加圧工程S120と、加熱工程S122とを有していることが望ましい。加圧工程S120は、炭酸ジルコニウムが予め混入された水が亜臨界状態又は超臨界状態となり得る圧力を水に加える工程である。加熱工程S122は、炭酸ジルコニウムが予め混入された水が亜臨界状態又は超臨界状態となり得る温度になるよう水を加熱する工程である。
もしくは、上述した加圧工程S120が、水が亜臨界状態となり得る圧力を炭酸ジルコニウムが予め混入された水に加える工程を有していることが望ましい。この場合、加熱工程S122が、加圧工程において圧力が加えられた状態の水が亜臨界状態となる温度まで水を加熱する工程を有していることが望ましい。
本発明によれば、結晶構造の制御に伴う加工の手間を減らすことができる。
バッチ式ジルコニア粒子生産プラントの構成を示す概念図である。 耐圧容器式ジルコニア粒子生産プラントの構成を示す概念図である。 フロー式ジルコニア粒子生産プラントの構成を示す概念図である。 バッチ式ジルコニア粒子製造方法の手順が示されたフローチャートである。 フロー式ジルコニア粒子製造方法の手順が示されたフローチャートである。 実施例1にかかるジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。 実施例2にかかるジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。 実施例3にかかるジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。 実施例4にかかるジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。 実施例5にかかるジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。 実施例6にかかるジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。 実施例7にかかるジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。 比較例1にかかるジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。 比較例2にかかるジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。 比較例3にかかるジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。 比較例4にかかるジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。 各実施例および比較例において得られたジルコニア粒子の透過型電子顕微鏡画像である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の一例を説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
〈原料の説明〉
本発明にかかるジルコニア粒子の原料は、炭酸ジルコニウムである。炭酸ジルコニウムの形態は特に限定されない。例えば、炭酸ジルコニウムは、塊状、顆粒状、粉末状、あるいは、液中に分散した状態であってもよい。その液の例には水がある。本発明の場合、炭酸ジルコニウムの好ましい形態は、炭酸ジルコニウムが液中に分散している形態すなわちスラリー状である。本発明の場合、炭酸ジルコニウムの特に好ましい形態は、炭酸ジルコニウムが水中に分散しているスラリー状である。
〈プラントの説明〉
本発明にかかるジルコニア粒子製造方法の説明に先立ち、この方法の実施に用いられるジルコニア粒子生産プラントの例が説明される。図1は、バッチ式ジルコニア粒子生産プラントの構成を示す概念図である。そのジルコニア粒子生産プラントは、水供給ユニット10と、水供給管12と、加熱ユニット14と、反応容器16と、加圧管18と、T型継手20と、冷却管22と、冷却ユニット24と、リリーフ弁26とを備える。
図1に示されたバッチ式ジルコニア粒子生産プラントの場合、水供給ユニット10は水供給管12に接続される。水供給ユニット10は、タンク(図示せず)と、プランジャーポンプ(図示せず)とを備える。そのタンクは精製水を蓄える。そのプランジャーポンプは、そのタンクから排出された精製水を水供給管12に供給する。そのプランジャーポンプが精製水に加える圧力は、精製水が亜臨界状態又は超臨界状態となり得る圧力である。具体的な圧力の大きさはこのジルコニア粒子生産プラントのユーザによって適宜設定される。水供給管12はT型継手20に接続される。水供給管12はその精製水を通過させる。
加熱ユニット14は、物を加熱するユニットである。本実施形態の場合、加熱ユニット14は炉(図示せず)を備える。反応容器16はその炉に収容され、かつ、加熱される。これにより、加熱ユニット14は、反応容器16を介して、その中の物(例えば、水および炭酸ジルコニウム)を加熱する。加熱ユニット14の炉が反応容器16内の物に加える熱は、その物の成分のいずれか(例えば水)が亜臨界状態又は超臨界状態となり得る熱である。反応容器16は、加圧管18を介して、T型継手20に接続されている。反応容器16は物(例えば、水および炭酸ジルコニウム)を収容する。加圧管18はT型継手20に直接接続されている。加圧管18は、水供給管12と反応容器16とを連通させる。これらが連通することにより、水供給ユニット10のプランジャーポンプが精製水に加えた圧力を反応容器16内の物に伝えることができる。
T型継手20は、水供給管12および加圧管18に加え、冷却管22に接続されている。T型継手20は、これらの中を連通させる。冷却管22は冷却ユニット24を貫通している。冷却管22は、T型継手20を介して流入する物(例えば水)を通過させる。冷却ユニット24は、冷却管22を介して、冷却管22の中を流れる物を冷却する。
リリーフ弁26は、冷却管22の一端に接続されている。リリーフ弁26は、冷却管22内の水圧が所定の水圧になると開く。この「所定の水圧」は、例えば、水供給ユニット10のプランジャーポンプが精製水に加える圧力と同一である。具体的な「所定の水圧」の大きさはこのジルコニア粒子生産プラントのユーザによって適宜設定される。リリーフ弁26が開くことにより、冷却管22内の物が外に排出される。水供給ユニット10のプランジャーポンプが水供給管12およびT型継手20を介して冷却管22内に精製水を供給する一方、リリーフ弁26が冷却管22内の物を排出することにより、冷却管22内の圧力は概ね一定に保たれる。
なお、図1に示されたバッチ式ジルコニア粒子生産プラントを構成する物はいずれも周知である。したがって、ここではそれらの詳細な説明は繰返されない。
図2は、耐圧容器式ジルコニア粒子生産プラントの構成を示す概念図である。そのジルコニア粒子生産プラントは、耐圧容器34と、排水路36と、リリーフ弁38と、図示されないプランジャーポンプとを備える。
図2に示された耐圧容器式ジルコニア粒子生産プラントの場合、耐圧容器34は、試料を収容する容器本体(図示せず)と、その容器本体内部の物質を加熱する加熱装置(図示せず)とを有する。耐圧容器34は、排水路36を介してリリーフ弁38に接続される。排水路36は耐圧容器34の容器本体の内部とリリーフ弁38とを連通させる。リリーフ弁38は、耐圧容器34内の圧力が所定の圧力を超えると開く。この「所定の圧力」の大きさはこのジルコニア粒子生産プラントのユーザによって適宜設定される。プランジャーポンプは、 耐圧容器34の容器本体に接続される。プランジャーポンプは、耐圧容器34内の液体に圧力を加える。
なお、図2に示された耐圧容器式ジルコニア粒子生産プラントを構成する物はいずれも周知である。したがって、ここではそれらの詳細な説明は繰返されない。
図3は、フロー式ジルコニア粒子生産プラントの構成を示す概念図である。そのジルコニア粒子生産プラントは、水供給ユニット10と、水供給管42と、加熱ユニット44と、スラリー供給ユニット46と、スラリー供給管48と、T型継手50と、反応管兼冷却管52と、冷却ユニット54と、リリーフ弁26とを備える。
水供給ユニット10は水供給管42に接続される。水供給ユニット10は、精製水を水供給管42に供給する。水供給ユニット10が精製水に加える圧力は、精製水が亜臨界状態又は超臨界状態となり得る圧力である。水供給管42は加熱ユニット44を貫通する。水供給管42はT型継手50に接続される。水供給管42は水供給ユニット10が供給した精製水を通過させる。
加熱ユニット44は、物を加熱するユニットである。本実施形態の場合、加熱ユニット44は炉(図示せず)を備える。その炉は、水供給管42を介して、その中を通過する精製水を加熱する。加熱ユニット44の炉が精製水に加える熱は、精製水が亜臨界状態又は超臨界状態となり得る熱である。水供給ユニット10によって精製水には亜臨界状態又は超臨界状態となり得る圧力が加えられているので、加熱ユニット44の炉によって加熱された精製水は、亜臨界状態又は超臨界状態となる。
スラリー供給ユニット46は、水供給ユニット10と同等以上の圧力でスラリー供給管48にスラリー又は液体を供給する。スラリー供給管48に供給されるものの種類は、スラリー又は液体である限り、特に限定されない。
本実施形態の場合、スラリー供給ユニット46は、タンク(図示せず)と、スラリーポンプ(図示せず)と、撹拌機(図示せず)とを備える。そのタンクはスラリー又は液体を蓄える。スラリーポンプは管(図示せず)を介してそのタンクおよびスラリー供給管48に接続されている。スラリーポンプは、水供給ユニット10が備えるプランジャーポンプと同等以上の圧力で、スラリー又は液体をスラリー供給管48に供給する。撹拌機はスラリー又は液体が蓄えられたタンクに取り付けられる。その撹拌機はそのタンク内のスラリー又は液体を撹拌する。スラリー供給管48はスラリー供給ユニット46のスラリーポンプが供給したスラリー又は液体を通過させる。スラリー供給管48はT型継手50に接続される。
T型継手50は、水供給管42およびスラリー供給管48に加え、反応管兼冷却管52に接続されている。T型継手50は、これらの中を互いに連通させる。これらの中が連通しているので、水供給管42の中を通過した精製水は、T型継手50を介して反応管兼冷却管52に流入する。スラリー供給管48を通過したスラリー又は液体も、T型継手50を介して反応管兼冷却管52に流入する。その結果、反応管兼冷却管52の中で、スラリー又は液体に含まれる物質は亜臨界状態又は超臨界状態となった精製水に混入する。
反応管兼冷却管52は、冷却ユニット54を貫通している。反応管兼冷却管52は、水供給管42の中を通過した精製水、スラリー供給管48を通過したスラリー又は液体、および、これらの化学反応によって生成した物質を通過させる。冷却ユニット54は、反応管兼冷却管52を介して反応管兼冷却管52の中を通過する物(例えは水)を冷却する。反応管兼冷却管52の一端はリリーフ弁26に接続される。
リリーフ弁26は、反応管兼冷却管52内の圧力が水供給ユニット10によって精製水に与えられる圧力を超えると開く。これにより、リリーフ弁26は水とその水に含まれる物質とを排出する。リリーフ弁26から排出された水とその水に含まれる物質とは、図示されない回収容器に回収される。リリーフ弁26から排出された気体はリリーフ弁26から大気中に放出される。
なお、図3に示されたフロー式ジルコニア粒子生産プラントを構成する物はいずれも周知である。したがって、ここではそれらの詳細な説明は繰返されない。
〈工程の説明〉
図4は、バッチ式ジルコニア粒子製造方法の手順が示されたフローチャートである。バッチ式ジルコニア粒子製造方法は、臨界化工程S100と、ジルコニア粒子生成工程S102と、液化工程S104と、回収工程S106とを備える。臨界化工程S100は、反応容器16に入っており、かつ、炭酸ジルコニウムが予め混入された水を、亜臨界状態又は超臨界状態にする工程である。ジルコニア粒子生成工程S102は、その炭酸ジルコニウムが予め混入された水が亜臨界状態又は超臨界状態となった後、その状態を維持する工程である。その状態が維持されると、その水に混入されている炭酸ジルコニウムがその水と反応することにより、ジルコニアと二酸化炭素とが生成する。液化工程S104は、亜臨界状態又は超臨界状態であり、かつ、ジルコニアと二酸化炭素とを含む水が、液化される工程である。回収工程S106は、液化工程S104において液化された水が回収される工程である。その際、水と共にジルコニアも回収される。二酸化炭素は主に炭酸ガスとして大気中に放出される。
バッチ式ジルコニア粒子製造方法の場合、臨界化工程S100は、加圧工程S120と、加熱工程S122とを有する。加圧工程S120は、水が亜臨界状態又は超臨界状態となり得る圧力を水供給ユニット10が次に述べられる水に加える工程である。その水は、反応容器16に入っており、かつ、炭酸ジルコニウムが予め混入された水である。加熱工程S122は、加熱ユニット14の炉がその水を亜臨界状態又は超臨界状態となり得る温度となるよう加熱する工程である。加圧工程S120において亜臨界状態又は超臨界状態となり得る圧力がその水にかかり、加熱工程S122において亜臨界状態又は超臨界状態となり得る温度までその水が加熱されることで、その水は亜臨界状態又は超臨界状態となる。
耐圧容器式ジルコニア粒子製造方法の手順は、バッチ式ジルコニア粒子製造方法の手順と同様である。
図5は、フロー式ジルコニア粒子製造方法の手順が示されたフローチャートである。フロー式ジルコニア粒子製造方法は、臨界化工程S130と、ジルコニア粒子生成工程S132と、液化工程S134と、回収工程S136とを備える。臨界化工程S130は、精製水を亜臨界状態又は超臨界状態にする工程である。ジルコニア粒子生成工程S132は、臨界化工程S130において亜臨界状態又は超臨界状態にされた水に対してスラリー供給ユニット46が炭酸ジルコニウムのスラリーを連続供給する工程である。この連続供給の後、炭酸ジルコニウムが亜臨界状態又は超臨界状態の水と反応することにより、ジルコニアと二酸化炭素とが生成する。液化工程S134は、ジルコニア粒子が含まれた水を、冷却ユニット54が反応管兼冷却管52を介して冷却する工程である。この工程において、亜臨界状態又は超臨界状態であった水が冷却されると、その水は液化する。回収工程S136は、液化工程S134において液化された水が回収される工程である。その際、水と共にジルコニアも回収される。二酸化炭素は主に炭酸ガスとして大気中に放出される。
フロー式ジルコニア粒子製造方法の場合、臨界化工程S130は、加圧工程S140と、加熱工程S142とを有する。加圧工程S140は、精製水が亜臨界状態又は超臨界状態となり得る圧力で水供給ユニット10が水供給管42内に精製水を供給する工程である。これにより、水供給管42内に水流が形成される。水供給管42からリリーフ弁26までの区間が水とその水に含まれるものとで十分に満たされていると、水供給ユニット10が水供給管42内に精製水を供給することに伴い、その精製水が亜臨界状態又は超臨界状態となり得る圧力がその精製水に加えられる。加熱工程S142は、精製水が亜臨界状態又は超臨界状態となり得る温度まで加熱ユニット44の炉が水供給管42内の水を加熱する工程である。加圧工程S140において亜臨界状態又は超臨界状態となり得る圧力が精製水にかかり、加熱工程S142において亜臨界状態又は超臨界状態となり得る温度までその精製水が加熱されることで、その精製水は亜臨界状態又は超臨界状態となる。
本発明の範囲は上述した説明の具体的内容に基づいて制限されるものではない。上述した説明の具体的内容は、種々に変更されてもよい。例えば、バッチ式ジルコニア粒子製造方法および耐圧容器式ジルコニア粒子製造方法の場合、ジルコニア粒子生成工程は、炭酸ジルコニウムが予め混入された水を亜臨界状態又は超臨界状態のまま維持することに代えて、次のような工程であってもよい。その工程のある例は、炭酸ジルコニウムが予め混入された水が亜臨界状態から超臨界状態になる工程である。その工程の他の例は、その水が超臨界状態から亜臨界状態になる工程である。その工程のさらに他の例は、その水が亜臨界状態から超臨界状態になる状態変化と超臨界状態から亜臨界状態になる状態変化とを繰り返す工程である。
以下、本発明の実施例が説明される。ただし、本発明は以下の実施例に限定されない。
[実施例1]
本実施例においては、バッチ式ジルコニア粒子生産プラントが使用された。加圧工程S120において、作業者は、反応容器16に太陽鉱工株式会社製の炭酸ジルコニウムを12グラム(体積は15立方センチメートル)入れた。反応容器16に炭酸ジルコニウムが入ると、作業者は、その反応容器16を加熱ユニット14の炉に入れ、かつ、その反応容器16を加圧管18に接続した。反応容器16が加圧管18に接続されると、作業者は、水供給ユニット10を起動した。これにより、水供給ユニット10は精製水を水供給管12に供給し始めた。その精製水は、T型継手20および加圧管18を介して反応容器16に流入した。また、その精製水は、T型継手20を介して冷却管22にも流入した。その後、冷却管22内の水圧が30MPaを超えると、リリーフ弁26は開いた。リリーフ弁26が開くと、冷却管22内の水が少量排出された。これにより、水供給管12から冷却管22までの水圧は30MPaに維持された。加熱工程S122において、作業者は、加熱ユニット14を起動した。加熱ユニット14の起動により、反応容器16内の水と炭酸ジルコニウムとは、反応容器16を介して加熱された。その加熱は、加熱ユニット14の炉内の温度が430℃(703.15ケルビン)となるまで継続された。ジルコニア粒子生成工程S102にて、作業者は、加熱ユニット14の炉内の温度を430℃(703.15ケルビン)に維持した。作業者は、反応容器16内の圧力を30MPaに維持した。それらの状態が維持されることにより、ジルコニアと二酸化炭素とが生成した。その状態が維持された時間は2時間(7200秒)であった。液化工程S104にて、作業者は、水供給ユニット10による精製水の供給を停止した。同時に、作業者は、加熱ユニット14の炉の扉(図示せず)を開くことにより、その炉の中に空気を取り入れた。これにより、反応容器16の冷却が始まった。反応容器16の冷却は、反応容器16表面の温度が25℃(298.15ケルビン)になるまで継続された。回収工程S106にて、作業者は加圧管18から反応容器16を取り外した。作業者は、その反応容器16から水と共にジルコニア粒子を回収した。二酸化炭素はその時までに気中に排出された。作業者は、水と共に回収したジルコニア粒子から水分を除去した上で、粉末X線回折法により、そのジルコニア粒子の結晶構造を解析した。図6は、その際に得られたジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。図6の横軸は入射X線方向と回折X線方向とのなす角度2θを意味する。以下の図7乃至図16においても同様である。図6の縦軸はX線の強度を意味する。以下の図7乃至図16においても同様である。図6において、一点鎖線で示された縦線は試料に正方晶が含まれる場合にX線の強度が強くなる2θの値(正方晶の回折ピーク角度)を意味する。以下の図7乃至図16においても同様である。図6において、二点鎖線で示された縦線は試料に単斜晶が含まれる場合にX線の強度が強くなる2θの値(単斜晶の回折ピーク角度)を意味する。以下の図7乃至図16においても同様である。
[実施例2]
加熱工程S122において、加熱は、加熱ユニット14の炉内の温度が400℃(673.15ケルビン)となるまで継続された。ジルコニア粒子生成工程S102にて、加熱ユニット14の炉内の温度が400℃(673.15ケルビン)に維持され、かつ、反応容器16内の圧力が30MPaに維持された時間は、1時間(3600秒)であった。他の点は実施例1と同様である。図7は、本実施例において得られたジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。
[実施例3]
加熱工程S122において、加熱は、加熱ユニット14の炉内の温度が300℃(573.15ケルビン)となるまで継続された。ジルコニア粒子生成工程S102にて、加熱ユニット14の炉内の温度が300℃(573.15ケルビン)に維持され、かつ、反応容器16内の圧力が30MPaに維持された時間は、1時間(3600秒)であった。他の点は実施例1と同様である。図8は、本実施例において得られたジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。
[実施例4]
加熱工程S122において、加熱は、加熱ユニット14の炉内の温度が200℃(473.15ケルビン)となるまで継続された。ジルコニア粒子生成工程S102にて、加熱ユニット14の炉内の温度が200℃(473.15ケルビン)に維持され、かつ、反応容器16内の圧力が30MPaに維持された時間は、1時間(3600秒)であった。他の点は実施例1と同様である。図9は、本実施例において得られたジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。
[実施例5]
本実施例においては、耐圧容器式ジルコニア粒子生産プラントが使用された。臨界化工程において、作業者は、耐圧容器34の容器本体に太陽鉱工株式会社製の炭酸ジルコニウム2グラムと精製水とを入れた。炭酸ジルコニウムが入った水の体積は2.5立方センチメートルであった。その容器本体に炭酸ジルコニウムと水とが入ると、作業者は、耐圧容器34の加熱装置を起動した。これにより、その加熱装置は容器本体内の炭酸ジルコニウムと水とを加熱し始めた。その加熱は、耐圧容器34内の水温が400℃(673.15ケルビン)となるまで継続された。昇温速度は毎分10℃(10ケルビン)であった。加熱に伴い、その水は排水路36を介してリリーフ弁38に流れた。その間、耐圧容器34からリリーフ弁38までの水圧は30MPaに維持された。加熱に伴い、ジルコニア粒子生成工程が開始された。ジルコニア粒子生成工程にて、炭酸ジルコニウムが予め混入された水が亜臨界状態を経て超臨界状態になった。その間に炭酸ジルコニウムがその水と反応することにより、ジルコニアと二酸化炭素とが生成した。耐圧容器34内の水温が400℃(673.15ケルビン)になると液化工程S104が開始された。液化工程S104にて、作業者は、耐圧容器34における加熱を停止した。これにより、耐圧容器34の自然冷却が始まった。耐圧容器34が冷却された結果、超臨界状態であった耐圧容器34内の水は液化した。耐圧容器34の冷却は、耐圧容器34内の水温が25℃(298.15ケルビン)になるまで継続された。耐圧容器34が25℃(298.15ケルビン)まで冷却されると、回収工程S106が開始された。回収工程S106にて、作業者は、耐圧容器34の容器本体から水と共にジルコニアを回収した。その際、反応容器16内の二酸化炭素は排出された。作業者は、水と共に回収したジルコニア粒子から水分を除去した上で、粉末X線回折法により、そのジルコニア粒子の結晶構造を解析した。図10は、その際に得られたジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。
[実施例6]
本実施例においては、フロー式ジルコニア粒子生産プラントが使用された。反応管兼冷却管52のうち、T型継手50から反応管兼冷却管52が冷却ユニット54を入る箇所までの距離は、10.0メートル(1000センチメートル)であった。まず、作業者は、加熱ユニット44と、冷却ユニット54とを起動した。加熱ユニット44は、精製水が加熱ユニット44を通過した直後におけるその精製水の水温が390℃(663.15ケルビン)に維持されるよう制御された。冷却ユニット54は、反応管兼冷却管52が冷却ユニット54を抜けた箇所における水温が25℃(298.15ケルビン)に維持されるよう制御された。これらの起動および制御のための具体的な手順は周知なのでここではその詳細な説明は繰り返されない。次に、加圧工程S140において、作業者は、水供給ユニット10を起動した。これにより、水供給ユニット10は精製水を水供給管42に供給し始めた。その精製水は、水供給管42に流入した。精製水にかかる圧力は30MPaであった。水供給ユニット10による精製水供給量は、毎分10立方センチメートルであった。これらの起動および制御のための具体的な手順は周知なのでここではその詳細な説明は繰り返されない。加熱工程S122において、加熱ユニット44は、水供給管42を介して精製水を加熱した。これにより、精製水が加熱ユニット44を通過した直後におけるその精製水の水温が390℃(663.15ケルビン)に到達した。その結果、精製水は、T型継手50に流入するまでに、亜臨界状態となった。亜臨界状態となった精製水は、T型継手50を経て反応管兼冷却管52に流入した。ジルコニア粒子生成工程S132において、作業者は、スラリー供給ユニット46のタンクに炭酸ジルコニウムのスラリーを収容した。そのスラリーは、5重量%の炭酸ジルコニウムと、95重量%の精製水とを含んでいた。そのタンクにスラリーが収容されると、作業者は、スラリー供給ユニット46のスラリーポンプを起動した。これにより、スラリー供給ユニット46は、炭酸ジルコニウムのスラリーをスラリー供給管48に連続供給し始めた。スラリー供給ユニット46のスラリーポンプがそのスラリーに加える圧力は30MPaであった。そのスラリーポンプによるスラリー供給量は、毎分2.5立方センチメートルであった。スラリー供給管48に連続供給されたそのスラリーは、T型継手50を経て反応管兼冷却管52に順次流入した。これらの起動および制御のための具体的な手順は周知なのでここではその詳細な説明は繰り返されない。スラリーが順次流入する結果、T型継手50の内部では、臨界化工程S130において亜臨界状態にされた水に炭酸ジルコニウムのスラリーが連続供給された。反応管兼冷却管52に流入する直前の精製水とスラリーとの混合物の温度は360℃(633.15ケルビン)であった。その炭酸ジルコニウムは、亜臨界状態の水の中で、ジルコニアと二酸化炭素とになった。精製水および炭酸ジルコニウムが反応管兼冷却管52内に入ってから反応管兼冷却管52が冷却ユニット54に入る箇所へそれらの反応生成物が到達するまでの時間は、以下の通りであった。すなわち、反応管兼冷却管52内に流入する精製水とスラリーとの体積の和は、圧力が0.1MPaで温度が25℃(298.15ケルビン)のときの毎分12.5立方センチメートルに相当した。反応管兼冷却管52に流入する直前の精製水とスラリーとの混合物の温度が360℃(633.15ケルビン)であった。圧力が30MPaで温度が360℃のときの水の密度は0.61438グラム毎立方センチメートルである。この場合、圧力が30MPaで温度が360℃のときの精製水とスラリーとの体積の和は次に述べられる値となる。その値は、12.5立方センチメートルを0.61438グラム毎立方センチメートルで除算した結果得られる値すなわち毎分20.3立方センチートルである。ただし、この値は、スラリー中の炭酸ジルコニウムの密度と水の密度との差を無視し、かつ、圧力が0.1MPaで温度が25℃(298.15ケルビン)のときの水の密度を1グラム毎立方センチメートルとみなした場合の値である。反応管兼冷却管52の内径は0.17センチメートルであった。反応管兼冷却管52のうち管内部の空間の断面積は、その内径の二乗と円周率との積の4分の1に等しいので、0.023平方センチメートルであった。上述されているように、圧力が30MPaで温度が360℃のときの反応管兼冷却管52内に流入する精製水とスラリーとの体積の和が毎分20.3立方センチメートルなので、反応管兼冷却管52内での精製水とスラリーとの混合物の平均速度は、毎分約883センチメートルである。反応管兼冷却管52内における流体の通過時間は、通過する距離を流体の平均速度で除算すると算出される。したがって、精製水および炭酸ジルコニウムが反応管兼冷却管52内に入ってから反応管兼冷却管52が冷却ユニット54に入る箇所へそれらの反応生成物が到達するまでの時間は約1.1分(約68秒)であった。液化工程S134において、冷却ユニット54は、反応管兼冷却管52を介してその中の水を冷却した。これにより、反応管兼冷却管52が冷却ユニット54を抜けた箇所における水温は25℃(298.15ケルビン)になった。その結果、亜臨界状態だった水は液化した。その水に含まれた二酸化炭素は炭酸ガスになった。回収工程S136において、リリーフ弁26は、反応管兼冷却管52内の圧力が30MPaとなるたびに開いた。リリーフ弁26は液化工程S134において液化した水とその水に含まれるジルコニアおよび二酸化炭素とを排出した。リリーフ弁26から排出された水とジルコニアとは、図示されない回収容器に回収された。リリーフ弁26から排出された二酸化炭素はリリーフ弁26から排出されると同時に大気中に放出された。作業者は、水と共に回収されたたジルコニア粒子から水分を除去した上で、粉末X線回折法により、そのジルコニア粒子の結晶構造を解析した。図11は、その際に得られたジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。
[実施例7]
本実施例においては、フロー式ジルコニア粒子生産プラントが使用された。反応管兼冷却管52のうち、T型継手50から反応管兼冷却管52が冷却ユニット54を入る箇所までの距離は、0.5メートル(50センチメートル)であった。したがって、ジルコニア粒子生成工程S132にて、精製水および炭酸ジルコニウムがT型継手50を経て反応管兼冷却管52内に入ってから反応管兼冷却管52が冷却ユニット54を入る箇所に到達するまでの時間は、約0.057分(約3.4秒)であった。他の点は実施例6と同様である。図12は、本実施例において得られたジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。
[比較例1]
本比較例は、実施例2と同時に実施された。すなわち、作業者は、実施例2にかかる反応容器16と同一形状の容器(図示せず)に太陽鉱工株式会社製の炭酸ジルコニウムを12グラム(体積は15立方センチメートル)入れた。その容器に炭酸ジルコニウムが入ると、作業者は、その容器を加熱ユニット14の炉に入れた。その容器は加圧管18に接続されなかった。その容器は密封されなかった。その容器は、実施例1にかかる反応容器16の加熱に伴って、加熱ユニット14の炉により加熱された。その結果、その容器内の炭酸ジルコニウムは、空気中で焼成されることとなった。図13は、本比較例において得られたジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。
[比較例2]
本比較例は、実施例3と同時に実施された。他の点は比較例1と同様である。図14は、本比較例において得られたジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。
[比較例3]
本比較例は、実施例4と同時に実施された。他の点は比較例1と同様である。図15は、本比較例において得られたジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。
[比較例4]
本比較例においては、フロー式ジルコニア粒子生産プラントが使用された。ただし、スラリー供給ユニット46のスラリーポンプは取り外された。その代わりに周知のプランジャーポンプ(図示せず)がスラリー供給管48とスラリー供給ユニット46のタンクとに接続された。反応管兼冷却管52のうち、T型継手50から反応管兼冷却管52が冷却ユニット54を入る箇所までの距離は、0.8メートル(80センチメートル)であった。まず、作業者は、加熱ユニット44と、冷却ユニット54とを起動した。加熱ユニット44は、精製水が加熱ユニット44を通過した直後におけるその精製水の水温が410℃(683.15ケルビン)に維持されるよう制御された。冷却ユニット54は、反応管兼冷却管52が冷却ユニット54を抜けた箇所における水温が25℃(298.15ケルビン)に維持されるよう制御された。これらの起動および制御のための具体的な手順は周知なのでここではその詳細な説明は繰り返されない。次に、作業者は、水供給ユニット10を起動した。これにより、水供給ユニット10は精製水を水供給管42に供給し始めた。その精製水は、水供給管42に流入した。精製水にかかる圧力は30MPaであった。水供給ユニット10による精製水供給量は、毎分144立方センチメートルであった。これらの起動および制御のための具体的な手順は周知なのでここではその詳細な説明は繰り返されない。一方、加熱ユニット44は、水供給管42を介して精製水を加熱した。これにより、精製水が加熱ユニット44を通過した直後におけるその精製水の水温が410℃(683.15ケルビン)に到達した。その結果、精製水は、T型継手50に流入するまでに、超臨界状態となった。超臨界状態となった精製水は、T型継手50を経て反応管兼冷却管52に流入した。次に、作業者は、スラリー供給ユニット46のタンクにオキシ酢酸ジルコニウムの水溶液を収容した。その水溶液は、25重量%のオキシ酢酸ジルコニウムと75重量%の精製水とを含んでいた。そのタンクにスラリーが収容されると、作業者は、スラリー供給ユニット46のプランジャーポンプを起動した。これにより、スラリー供給ユニット46は、オキシ酢酸ジルコニウムの水溶液をスラリー供給管48に供給し始めた。スラリー供給ユニット46のプランジャーポンプがその水溶液に加える圧力は30MPaであった。そのプランジャーポンプによる水溶液供給量は、毎分36立方センチメートルであった。スラリー供給管48に供給されたその水溶液は、T型継手50を経て反応管兼冷却管52に流入した。これらの起動および制御のための具体的な手順は周知なのでここではその詳細な説明は繰り返されない。その水溶液が流入した結果、T型継手50の内部では水供給管42から流入した超臨界状態の精製水にスラリー供給管48から流入したオキシ酢酸ジルコニウムの水溶液が混入された。反応管兼冷却管52に流入する直前の精製水とその水溶液との混合物の温度は380℃(653.15ケルビン)であった。そのオキシ酢酸ジルコニウムは、超臨界状態の水の中で、ジルコニアと酢酸とになった。精製水およびオキシ酢酸ジルコニウムが反応管兼冷却管52内に入ってから反応管兼冷却管52が冷却ユニット54を入る箇所にそれらの反応生成物が到達するまでの時間は、以下の通りであった。すなわち、反応管兼冷却管52内に流入する精製水とオキシ酢酸ジルコニウムの水溶液との体積の和は、圧力が0.1MPaで温度が25℃(298.15ケルビン)のときの毎分180立方センチメートルに相当した。反応管兼冷却管52に流入する直前の精製水とオキシ酢酸ジルコニウムの水溶液との混合物の温度が380℃(653.15ケルビン)であった。圧力が30MPaで温度が380℃のときの水の密度は0.53392グラム毎立方センチメートルである。この場合、圧力が30MPaで温度が380℃のときの精製水とオキシ酢酸ジルコニウムの水溶液との体積の和は次に述べられる値となる。その値は、180立方センチメートルを0.53392グラム毎立方センチメートルで除算した結果得られる値すなわち毎分337立方センチートルである。ただし、この値は、オキシ酢酸ジルコニウムの密度と水の密度との差を無視し、かつ、圧力が0.1MPaで温度が25℃(298.15ケルビン)のときの水の密度を1グラム毎立方センチメートルとみなした場合の値である。反応管兼冷却管52の内径は1.18センチメートルであった。反応管兼冷却管52のうち管内部の空間の断面積は、その内径の二乗と円周率との積の4分の1に等しいので、1.09平方センチメートルである。上述されているように、圧力が30MPaで温度が380℃のときの反応管兼冷却管52内に流入する精製水とオキシ酢酸ジルコニウムの水溶液との体積の和が毎分337立方センチメートルである。したがって、反応管兼冷却管52内で水とオキシ酢酸ジルコニウムとの混合物の平均速度は、毎分約309センチメートルである。反応管兼冷却管52内における流体の通過時間は、通過する距離を流体の平均速度で除算すると算出される。したがって、精製水およびオキシ酢酸ジルコニウムが反応管兼冷却管52内に入ってから反応管兼冷却管52が冷却ユニット54に入る箇所へそれらの反応生成物が到達するまでの時間は、約0.26分(約15秒)であった。冷却ユニット54は、反応管兼冷却管52を介してその中の水と酢酸とジルコニアとを冷却した。これにより、反応管兼冷却管52が冷却ユニット54を抜けた箇所における水温は25℃(298.15ケルビン)になった。その結果、超臨界状態だった水は液化した。リリーフ弁26は、反応管兼冷却管52内の圧力が30MPaを超えると開いた。リリーフ弁26は反応管兼冷却管52内の水とその水に含まれるジルコニアおよび酢酸とを排出した。リリーフ弁26から排出された水とジルコニアと酢酸とは、図示されない回収容器に回収された。作業者は、水および酢酸と共に回収されたたジルコニア粒子から水および酢酸を除去した上で、粉末X線回折法により、そのジルコニア粒子の結晶構造を解析した。図16は、その際に得られたジルコニア粒子のX線回折プロファイル図形である。
[実施例にかかる効果の説明]
[加工の手間について]
上述されたように、比較例4においては、水およびジルコニア粒子と共に酢酸が回収された。一方、実施例1乃至実施例7において、二酸化炭素はジルコニア粒子生成の際に大気中に放出された。これにより、比較例4の場合と比べて、ジルコニア粒子に対するさらなる加工の手間を減らすことができた。
[結晶構造について]
図6と図11と図12とによれば、反応時間(水と炭酸ジルコニウムとが反応することによりジルコニアと二酸化炭素とが生成するという化学反応が継続される時間)が長いと、単斜晶の含有率が高くなる傾向にある。その結果、正方晶の含有率は低くなる。本発明にかかるジルコニア粒子製造方法においては、反応管兼冷却管52が短い方が、すなわち、反応時間が短い方が、単斜晶の含有率が低くなる。その結果、正方晶の含有率は高くなる。
図6乃至図8によれば、正方晶の回折ピーク角度におけるX線の強度は、実施例1のジルコニア粒子よりも実施例2のジルコニア粒子および実施例3のジルコニア粒子の方が強くなっている。正方晶の回折ピーク角度におけるX線の強度は、実施例2のジルコニア粒子よりも実施例3のジルコニア粒子の方が強くなっている。単斜晶の回折ピーク角度におけるX線の強度は、実施例1のジルコニア粒子よりも実施例2のジルコニア粒子および実施例3のジルコニア粒子の方が弱くなっている。単斜晶の回折ピーク角度におけるX線の強度は、実施例2のジルコニア粒子よりも実施例3のジルコニア粒子の方が弱くなっている。このことから明らかなように、本発明にかかるジルコニア粒子製造方法においては、バッチ方式を採用する場合、超臨界状態の水に炭酸ジルコニウムを混入させるよりも亜臨界状態の水に炭酸ジルコニウムを混入させる方が、正方晶の含有率は高くなる。一方、単斜晶の含有率が低くなる。図6乃至図8と図13乃至図15とによれば、比較例1乃至比較例3では、実施例1乃至実施例3に比べ、正方晶の回折ピーク角度においても単斜晶の回折ピーク角度においてもX線の強度が強くなっていない。すなわち、実施例1乃至実施例3は、比較例1乃至比較例3に比べ、結晶を効率よく生成させることができる。なお、比較例2と比較例3とにおけるX線回折プロファイル図形は、アモルファスのものと同様の形態となっている。すなわち、比較例2と比較例3とにおいて得られた粒子はアモルファスであると推測される。
[結晶粒の大きさおよび形態について]
図17は、各実施例および比較例において得られたジルコニア粒子の透過型電子顕微鏡画像である。図17においては、比較例4の画像のみ他の画像の約4倍に拡大されている。図17によれば、ジルコニア粒子のサイズは、実施例1のジルコニア粒子よりも実施例6のジルコニア粒子および実施例7のジルコニア粒子の方が小さくなっている。このことから明らかなように、本発明にかかるジルコニア粒子製造方法においては、バッチ方式でジルコニア粒子を製造するよりも、フロー方式でジルコニア粒子を製造する方が、ジルコニア粒子が小さくなる。本発明にかかるジルコニア粒子製造方法においては、反応管兼冷却管52が短い方が、すなわち、炭酸ジルコニウムが水に混入された時から冷却が開始されるまでの時間が短い方が、ジルコニア粒子が小さくなる。
図17によれば、ジルコニア粒子の大きさは、実施例2乃至実施例4においては、実施例3のジルコニア粒子が最も小さい。実施例2のジルコニア粒子の大きさと実施例4のジルコニア粒子の大きさとは、同程度である。このことから明らかなように、本発明にかかるジルコニア粒子製造方法においては、バッチ方式を採用する場合、超臨界状態の水に炭酸ジルコニウムを混入させるよりも亜臨界状態の水に炭酸ジルコニウムを混入させる方が、ジルコニア粒子が小さくなる傾向がある。図17によれば、比較例1乃至比較例3におけるジルコニア粒子は、いずれも塊状となっている。
10…水供給ユニット
12,42…水供給管
14,44…加熱ユニット
16…反応容器
18…加圧管
20,50…T型継手
22…冷却管
24,54…冷却ユニット
26,38…リリーフ弁
34…耐圧容器
36…排水路
46…スラリー供給ユニット
48…スラリー供給管
52…反応管兼冷却管

Claims (5)

  1. ジルコニウム化合物と亜臨界状態又は超臨界状態の水とを反応させることにより前記水の中にジルコニア粒子を生成させるジルコニア粒子生成工程と、
    前記ジルコニア粒子が含まれた前記水を冷却することにより前記水を液化する液化工程とを備えるジルコニア粒子製造方法であって、
    前記ジルコニウム化合物が炭酸ジルコニウムであり、
    前記ジルコニア粒子生成工程において前記炭酸ジルコニウムと反応させる前記水を前記炭酸ジルコニウムとの反応以前に亜臨界状態又は超臨界状態にする臨界化工程をさらに備えることを特徴とするジルコニア粒子製造方法。
  2. 前記臨界化工程が、
    前記水が亜臨界状態又は超臨界状態となり得る圧力を前記水に加える加圧工程と、
    前記水が亜臨界状態又は超臨界状態となり得る温度になるよう前記水を加熱する加熱工程とを有しており、
    前記ジルコニア粒子生成工程が、前記臨界化工程において亜臨界状態又は超臨界状態にされた前記水に前記炭酸ジルコニウムのスラリーを連続供給する工程を有していることを特徴とする請求項1に記載のジルコニア粒子製造方法。
  3. 前記加圧工程が、前記水が亜臨界状態となり得る圧力を前記水に加える工程を有し、
    前記加熱工程が、前記加圧工程において圧力が加えられた状態の前記水が亜臨界状態となる温度まで前記水を加熱する工程を有していることを特徴とする請求項2に記載のジルコニア粒子製造方法。
  4. 前記臨界化工程が、
    前記炭酸ジルコニウムが予め混入された前記水が亜臨界状態又は超臨界状態となり得る圧力を前記水に加える加圧工程と、
    前記炭酸ジルコニウムが予め混入された水が亜臨界状態又は超臨界状態となり得る温度になるよう前記水を加熱する加熱工程とを有していることを特徴とする請求項1に記載のジルコニア粒子製造方法。
  5. 前記加圧工程が、前記水が亜臨界状態となり得る圧力を前記炭酸ジルコニウムが予め混入された水に加える工程を有し、
    前記加熱工程が、前記加圧工程において圧力が加えられた状態の前記水が亜臨界状態となる温度まで前記水を加熱する工程を有していることを特徴とする請求項4に記載のジルコニア粒子製造方法。
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