画像形成装置から搬送されてきた用紙に折り処理を行う場合、折り処理を行うために上流の装置から搬送された用紙を下流の装置に搬送する搬送経路から分岐した専用の経路と、ストッパを使用した装置が知られている。この装置では、専用の経路内でストッパに用紙を突き当てて折り位置の調整と撓みの形成を行い、形成された撓みを折り部にニップさせて折りを行うようになっている。このような装置は先端突き当て方式とも称されている。
また、用紙に折り処理を行う装置において折り処理を行うための専用経路を設けず搬送経路内において折り処理を行う技術が知られている。この技術では、用紙の折り位置の調整をストッパではなく、下流側の搬送部材の挟持反転によって行うように構成されたものもある。
このような搬送経路内で折り処理を行う技術として例えば特開2000−159433号公報(特許文献1)に記載された技術が公知である。この技術では、用紙は、供給ロールによってシュート内に送られ、さらに一対の逆転可能送りローラにより所定長さ送り込まれる。その後、逆転可能送りローラが逆転して用紙を屈曲させ、屈曲部分を一対の折り畳みロールの間のニップに送り込む。3個設けられたセンサにより、折り畳まれた後の用紙の長さが検出される。そして、検出された長さに基づきサーボモータ駆動装置を制御して、用紙の送り量を調整し、折り畳み位置を所望の位置へと補正するようになっている。これにより、用紙折り畳み装置において、折り畳み位置を補正することができる、というものである。
しかし、前記公知技術では、前述のように逆転可能送りローラが逆転して用紙を屈曲させ、屈曲部分を一対の折り畳みロールの間のニップに送り込む。その際、供給ロール及び折り畳みロールの3個のロールの用紙搬送方向上流側の空間部に対してまっすぐに用紙を送り込むため、空間部で用紙が湾曲し、所望の折り位置が折り畳みロールのニップに案内されるとは限らない。図18を参照し具体的に説明する。
図18は従来技術における折り動作を具体的に説明するための動作説明図である。なお、参照符号は後述の実施形態と同一なので、詳細は実施形態を参照されたい。
用紙Pは、図18(a)に示すように第1搬送路W1から用紙P先端が第1搬送部材R1のニップ(以下、第1ニップと称す。)N1に進入する。第1搬送部材R1は図示の方向に回転しており、この回転に応じて用紙Pは第2搬送路W2側に搬送される。用紙Pの先端が第2搬送路W2のガイド板W2aに突き当たると、図18(b)に示すようにガイド板W2aに沿って第2搬送部材R2側に導かれる。そして、図示矢印方向に回転する第2搬送部材R2のニップ(以下、第2ニップと称す。)N2に挟持され、さらに下流側まで搬送される。
その後、用紙検知センサSNによって用紙Pの先端が検知され、所定長さ搬送された後、図18(c)に示すように第2搬送部材R2の回転方向が逆転し、用紙Pに撓み(以下、第1撓みと称す。)F1が生じ、その第1撓みF1を第3搬送部材R3のニップ(以下、第3ニップN3と称す。)に導く。その際、第1搬送部材R1及び第3搬送部材R3とガイド板W2aとの間の空間部に用紙Pの折り目となる部分が案内される。しかし、この空間部において前記第1撓みF1がそのままスムーズに第3ニップN3に導かれるとは限らず、第1撓みF1の下流側に他の撓み(以下、第2撓みと称す。)F2が生じる場合がある。そして、第2撓みF2が発生した状態で、図18(d)に示すように第1撓みF1が第3ニップN3に進入し、折り目が形成されることになる。
本発明は、用紙を搬送路のガイド板に沿って変形させて用紙に安定した撓みを形成させ、その撓みを折り処理を行う搬送部材のニップに導いて折り処理を行うようにしたことを特徴としている。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、同等な各部には同一の参照符号を付し、重複する説明は、適宜省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成システムの概略構成を示す図である。図1において、本実施形態に係る画像形成システム1は、画像形成装置2、折り処理装置3及び後処理装置4から基本的に構成されている。折り処理装置3は、前段の画像形成装置2と、後段の後処理装置4との間に設けられている。折り処理装置3には、画像形成装置2によって画像形成された用紙が搬送され、折り処理装置3で予め設定された種類の折り処理が施された後、さらに後処理装置4に送られる。後処理装置4では、折り処理された用紙、あるいは折り処理されない用紙に対して例えば整合処理、綴じ処理あるいは製本処理などの後処理が施される。
図2は、他の実施形態に係る画像形成システムの概略構成を示す図である。図2では、折り処理装置3は画像形成装置2の装置内の排紙部に設けられた所謂胴内設置型のものである。この図2に示した画像形成システム1では、折り処理装置3が画像形成装置2の胴内排紙部2aに設置され、後段に後処理装置4が連結されない場合、画像形成装置2の設置面積からは排紙トレイ5が突出するだけである。そのため、システムが図1の形態に比べて大幅に小型化される。
図3は、本実施形態における画像形成システム1の制御構成を示すブロック図である。
図3において、折り処理装置3はCPU3a、I/Oインターフェイス3b等を有するマイクロコンピュータを搭載した制御回路を備えている。CPU3aには、画像形成装置2のCPUあるいは操作パネル2aの各スイッチ等、及び図示しない各用紙検知センサからの信号が通信インターフェイス3cを介して入力される。
CPU3aは、画像形成装置2側から入力された信号に基づいて予め設定された制御を実行する。さらに、CPU3aは、ドライバ、モータドライバを介してソレノイド及びモータを駆動制御し、インターフェイスから装置内の用紙検知センサ情報を取得する。また、例えば制御対象に対してI/Oインターフェイス3bを介してモータドライバにより駆動モータM1,M2,M3の駆動制御を行い、用紙検知センサSN,SN1,SN2等から用紙検知センサ情報を取得する。
なお、前記制御は図示しないROMあるいはハードディスクHD等に格納されたプログラムコードをCPU3aが読み込んで図示しないRAMに展開し、当該RAMをワークエリア及びデータバッファとして使用しながら前記プログラムコードで定義されたプログラムに基づいて実行される。
図4は、本実施形態における実施例1に係る折り処理装置3の折り機構3aの要部構成を概略的に示す図である。折り処理装置3には、第1搬送路W1、第2搬送路W2及び第3搬送路W3が設けられている。第1搬送路W1は前段の画像形成装置2側から用紙を受け入れて第1搬送部材R1側に用紙を送り込むための搬送路である。第2搬送路W2は第1搬送部材R1から送られてくる用紙を第2搬送部材R2によって第1搬送部材R1の搬送方向に沿って予め設定された距離搬送し、その後、逆転して第3搬送部材R3側に搬送するための搬送路である。第3搬送路W3は、第3搬送部材R3から用紙を後段の後処理装置4あるいは排紙トレイ5側に搬送するための搬送路である。
第1搬送部材R1は、第1搬送路W1の最下流に位置し、駆動ローラR1aと従動ローラR1bとからなり、両者間に第1ニップN1が形成される。駆動ローラR1aは第1駆動モータM1によってタイミングベルトを介して駆動される。従動ローラR1bは図示しない弾性部材によって常時駆動ローラR1a側に向かって押し付けられ、駆動ローラR1aの回転に従って第1ニップN1における摩擦力によって従動する。
第2搬送部材R2は第2搬送路W2の少なくとも設定された用紙の最小長よりも第1ニップN1からの距離が短い位置に配置されている。第2搬送部材R2も駆動ローラR2aと従動ローラR2bとからなり、両者間に第2ニップN2が形成される。駆動ローラR2aは第2駆動モータM2によってタイミングベルトを介して駆動される。従動ローラR2bは図示しない圧縮バネなどの弾性部材によって常時駆動ローラR2a側に向かって押し付けられ、駆動ローラR2aの回転に従って第2ニップN2における摩擦力によって従動する。第2駆動モータM2は正逆両方向に回転可能である。
第3搬送部材R3は第2搬送路W2と第3搬送路W3の接続部に設けられ、第1搬送部材R1の駆動ローラR1aと第3ニップN3で接触し、駆動ローラR1aに従動して回転する従動ローラである。第3搬送部材R3は図示しない弾性部材によって常時駆動ローラR1a側に向かって押し付けられ、駆動ローラR1aの回転に従って第3ニップN3における摩擦力によって従動する。すなわち、第1駆動モータM1は駆動ローラR1aを駆動し、従動ローラR1b及び第3搬送部材R3をも回転させる。この第3搬送部材R3が用紙を折る折り部として機能する。
第1及び第2駆動モータM1,M2は、例えばパルスモータによって構成され、パルス制御が可能である。また、本実施例では、第1及び第2駆動モータM1,M2はタイミングベルトを介して駆動ローラR1a,R2aを駆動しているが、この他にギヤなどの公知の動力伝達機構を使用することができる。
また、第2搬送路W2の第2搬送部材R2の下流側に用紙検知センサSNが設けられている。用紙検知センサSNとしては、例えば、用紙端部を光学的に検知する光センサが使用される。
本実施例では、図4から分るように、第1搬送路W1の最下流端は第1搬送部材R1の第1ニップN1に用紙を導くように湾曲している。第2搬送路W2は、第1ニップN1の下流側に空間部W2vが形成され、第1ニップN1から遠い方のガイド板W2aの第1ニップN1が対向する面が凹面になるように湾曲した湾曲部W2bが形成されている。第2搬送路W2はこの湾曲部W2bの下流側に連なっている。なお、空間部W2vは用紙を撓ませる際に必要な空間となっている。湾曲部W2bは、本実施例では、第2ニップN2の接線(第2搬送路W2の下流側の直線状の搬送路部分の延設方向)と第3ニップN3の接線(第3搬送路W3の延設方向)が所定の角度で交差する位置に設けられている。
図5は図4のように概略構成された折り機構3aの動作を示す動作説明図である。画像形成装置2側から第1搬送路W1内に搬入された用紙Pの先端が図示しない入口センサによって検出されると、第1及び第2駆動モータM1,M2の回転が開始される。これと同期して第1搬送部材R1及び第2搬送部材R2が用紙Pを画像形成装置2から受け入れた方向(以下、搬送方向と称す。)に回転を開始する(回転方向は図5(a)参照)。また、図示しない入口ローラも回転を開始し、用紙Pは第1搬送路R1に沿って搬送される。
第1搬送路R1に沿って搬送されてきた用紙Pは、第1搬送部材R1の第1ニップN1に導かれ、さらに下流側に搬送される(図5(a))。用紙Pは空間部W2vを経て第2搬送路W2を第2搬送部材R2側に搬送され、第2搬送部材R2の第2ニップN2に挟持され、さらに搬送される。そして、用紙先端P1が用紙検知センサSNによって検知された後、予め設定された長さ分だけ搬送され、第2搬送部材R2は停止する(図5(b))。
次いで、第2搬送部材R2は第2駆動モータM2が逆転することにより、搬送方向とは逆方向に回転する。その際、第1搬送部材R1は搬送方向回転を継続している。これにより、用紙Pは第2搬送路R2の湾曲部W2bに沿って逆方向に移動し、移動方向の先端部に撓みFが生じる(図5(c))。そして、この撓みFの先端部が第3搬送部材R3の第3ニップN3に進入し、第3ニップN3の前記弾性部材による挟持圧によって折り込まれ、折り目Pf1が形成される。用紙Pは折り目Pf1を用紙先端として第3搬送部材R3によって第3搬送路W3を後段側に搬送される(図5(d))。
このように用紙Pは撓んで第3ニップN3に進入するが、用紙Pの腰の強さにより、第1搬送部材R1と第2搬送部材R2によって第3ニップN3方向に搬送される際、用紙Pは両搬送部材R1,R2によって力を受け、外側に広がるように変形する。このため、用紙Pは第2搬送路W2のガイド板W2aの内面に密着するように変形する。そして、ガイド板W2aの内面に沿って第3ニップN3方向に移動し、また、第1搬送部材R1の駆動ローラR1aの表面に沿って移動する。移動時には、用紙Pはガイド板W2aの湾曲部W2bに面的に接触し、その湾曲形状に沿って第3ニップN3方向に移動し、第1搬送部材R1及び第2搬送部材R2により用紙Pの撓みFを第3ニップN3に進入させる。
このように第2搬送路W2の第1搬送部材R1から遠い側のガイド板W2aに第1搬送部材R1に対向する側が凹の湾曲部W2bを形成すると、用紙Pはこの湾曲部W2bの凹形状に沿って第3ニップN3方向に移動する。これにより用紙Pの撓みF形成部分が空間部W2vで不安定になることがない。そのため、前述の図18に示したように複数の撓みが形成され、あるいは撓みの形成位置が不安定になることもない。
すなわち、第1及び第3搬送部材R3の間に空間部W2vが存在すると、複数の撓みF1,Pf2が形成された状態で折り動作が実行されることない。そのため折り動作が実行されても、折るべき用紙の撓みの方向がばらつくことがなく、良好な折り精度と折り位置精度を確保することができる。
図6は実施例1の変形例1の折り機構3aの要部構成を概略的に示す図である。この変形例1は、第3搬送部材R3も駆動ローラR3a及び従動ローラR3bとして独立して駆動する例である。すなわち、本実施例では、第3搬送部材R3を従動ローラとして第1搬送部材R1の駆動ローラR1aとの間で第3ニップN3を形成しているが、第3搬送部材R3も駆動ローラR3a及び従動ローラR3bとして独立して駆動することも可能である。ただし、このように構成すると、駆動ローラR3aを駆動するための第3駆動モータM3が必要となる。第3駆動モータM3を不要とする場合には、第1駆動モータM1から駆動力を得て、第1駆動部材R1と同期させて回転駆動するように構成することもできる。
図7は実施例1の変形例2の折り機構3aの要部構成を概略的に示す図である。この変形例2は第2搬送部材R2の第2ニップN2の位置を調整可能とした例である。変形例2では、従動ローラR2bをより下流側(搬送方向)に移動させることができるようになっている。このように従動ローラR2bをより下流側に移動させると、第2ニップN2の接線が第2搬送路R2の直線部分と平行ではなく、湾曲部W2側のガイド板W2aと交差するように傾斜する。これにより、用紙Pが第2搬送部材R2の逆転により第3搬送部材R3側に搬送される際、湾曲部W2側のガイド板W2aの内面方向に向かって移動する。その結果、湾曲部W2bの内面に、より上流側から接触して逆方向に搬送され、撓みFが形成されることになる。その結果、折るべき用紙の撓みFの方向のばらつきをより効果的に抑え、さらに良好な折り精度と折り位置精度を確保することができる。
図8は実施例1の変形例3の折り機構3aの要部構成を概略的に示す図である。この変形例3は第3搬送部材R3の第3ニップN3の位置を調整可能とした例である。変形例3では、第3搬送部材R3をより下流側(搬送方向)に移動させることができるようになっている。このように第3搬送部材R3をより下流側に移動させると、第3ニップN3の接線が第3搬送路R3の直線部分と平行ではなく、湾曲部W2側のガイド板W2aに近接するように傾斜する。これにより、第2搬送部材R2の逆転により第3搬送部材R3側に搬送される際、湾曲部W2側のガイド板W2aの内面に沿って移動する用紙Pの撓みFをスムーズに受け入れることができる。その結果、第3ニップN3で折り込むときに、折るべき用紙Pの撓みFの方向のばらつきをより効果的に抑え、さらに良好な折り精度と折り位置精度を確保することができる。
なお、変形例2及び変形例3における第2及び第3ニップN2,N3の位置は、用紙Pの紙種、紙厚及びサイズのうちの少なくとも1つに基づいて調整される。調整位置は、前述の制御回路のCPU3aが図示しないメモリに記憶されたテーブルを参照して設定する。調整位置のデータは、予め実験室などで実機を用いて用紙Pの紙種、紙厚及びサイズなどの用紙データと折り精度との関係から最適な調整位置を求める。そして、その求められた調整位置を予めメモリテーブルに記憶させておく。これにより、CPU3aは、メモリの調整位置を必要に応じて参照して第2及び第3搬送部材R2,R3を移動させることができる。
また、調整機構は例えば移動方向を規定する案内部材と、案内部材に沿って第2搬送部材R2あるいは第3搬送部材R3を移動させる駆動モータを含む移動部材によって構成される。第2搬送部材R2では、従動ローラR2bを移動させる駆動モータ、ギヤ、リンクなどが使用され、第3搬送部材R3では、第3搬送部材R3を移動させる駆動モータ、ギヤ、リンクなどが使用される。これらの機構は、公知の機構を組み合わせて当業者ならば簡単に構成できる機構であるので、ここでは、説明と図示は省略する。
図9は、実施例2に係る折り処理装置3の折り機構3aの要部構成を概略的に示す図である。
実施例2は、図9に示すように第2ニップN2の接線(第2搬送路W2の直線部分)と第3ニップN3の接線(第3搬送路W3の直線部分)が平行になるように第2搬送路W2の下流側の搬送路と第3搬送路W3を配置し、第2搬送路W2の第3搬送部材R3側の端部側に湾曲部W2bを形成したものである。湾曲部W2bは実施例1と同様にガイド板W2aの第1搬送部材R1と対向する側が凹となるように湾曲している。このように構成すると、空間部W2vは第1ニップN1の接線方向に沿って下方に延びた形状となる。その他、特に説明しない各部は実施例1と同様に構成されている。
図10は図9のように概略構成された折り機構3aの動作を示す動作説明図である。実施例2では、画像形成装置2側から第1搬送路W1に搬送されてきた用紙Pの先端P1は第1搬送部材R1の第1ニップN1から第1ニップN1の接線に沿って空間部W2vを下方に移動する(図10(a))。用紙先端P1はガイド板W2aに突き当たり、ガイド板W2aに沿って第2搬送部材R2の第2ニップN2に挟持され、実施例1と同様に用紙検知センサSNから予め設定された距離搬送されたところで第2搬送部材R2は停止する(図10(b))。
その後、第2搬送部材R2は逆転し、実施例1と同様に用紙Pはガイド板W2aの湾曲部W2bの内面に沿って逆方向に搬送される。これにより用紙Pは湾曲部W2bの内面に接触した状態で先端側に撓みFが形成される(図10(c))。さらに、用紙Pの逆方向搬送が進行すると、撓みFは第3搬送部材R3の第3ニップN3に挟み込まれ、折り目Pf1が形成される。形成された折り目Pf1は、そのまま第3搬送路W3を後段へと搬送される(図10(d))。動作の詳細も実施例1と同様である。
実施例2では、図から分るように実施例1よりも湾曲部W2bの曲率が大きい。しかし、実施例1と同様に用紙Pの腰の強さにより、第1搬送部材R1と第2搬送部材R2によって第3ニップN3方向に搬送される際、用紙Pは両搬送部材R1,R2によって力を受け、外側に広がるように変形する。そして、ガイド板W2bの内面に沿って第3ニップN3方向に移動し、また、第1搬送部材R1の駆動ローラR1aの表面に沿って移動する。そのため移動時には、用紙Pはガイド板W2aの湾曲部W2bに面的に接触し、その湾曲形状に沿って第3ニップN3方向に移動し、第1搬送部材R1と第2搬送部材R2によって撓みFを第3ニップN3に進入させることができる。
図11は実施例2の変形例1の折り機構3aの要部構成を概略的に示す図である。この変形例は、実施例1の変形例1と同様に第3搬送部材R3も駆動ローラR3a及び従動ローラR3bとして独立して駆動する例である。実施例1とは第2搬送路W2と第3搬送路W3の延設方向の関係が異なること、及び、これに伴って湾曲部W2bの曲率が異なることを除いて実施例1と同様であり、同様の効果を奏するので、説明は省略する。
図12は実施例2の変形例2の折り機構3aの要部構成を概略的に示す図である。この変形例2は第2搬送部材R2の第2ニップN2の位置を調整可能とした例である。変形例2では、従動ローラR2bを第2搬送路W2の幅方向(搬送方向と直交する方向の図示おいて下側のガイド板W2bに近接する方向)に移動させることができるようになっている。このように従動ローラR2bをよりガイド板W2bに近接する方向に移動させると、用紙Pは第2搬送部材R2の逆転により第3搬送部材R3側に搬送される際、湾曲部W2側のガイド板W2aの内面に沿って移動する。その結果、湾曲部W2bの内面に、より上流側から接触して逆方向に搬送され、撓みFが形成されることになる。その結果、折るべき用紙の撓みFの方向がばらつくことがなく、さらに良好な折り精度と折り位置精度を確保することができる。
図13は実施例2の変形例3の折り機構3aの要部構成を概略的に示す図である。この変形例3は第3搬送部材R3の第3ニップN3の位置を調整可能とした例である。変形例3では、第3搬送部材R3を第3搬送路W3の幅方向(搬送方向と直交する方向の図示おいて下方向)に移動させることができるようになっている。このように第3搬送部材R3をより下側に移動させると、第3ニップN3が湾曲部W2側のガイド板W2aに近接する。これにより、第2搬送部材R2の逆転により第3搬送部材R3側に搬送される際、湾曲部W2側のガイド部材W2aの内面に沿って移動する用紙Pの撓みFをスムーズに受け入れることができる。その結果、第3ニップN3で折り込むときに、折るべき用紙Pの撓みFの方向がばらつくことがなく、さらに良好な折り精度と折り位置精度を確保することができる。
なお、第2及び第3搬送部材R2,R3の位置調整も実施例1と同様にして行われ、調整機構も同様である。
図14は実施例3に係る折り処理装置3の折り機構3aの要部構成を概略的に示す図である。
実施例3に係る折り処理装置3は、実施例1に係る折り処理装置3の折り機構3aに加えて第4搬送部材R4及び第5搬送部材R5を付加し、Z折り、内3つ折り及び外3つ折りなどの3つ折りも可能とした例である。
この例では、第1搬送路W1の最上流側に第4搬送部材R4を設け、第1搬送路W1の下流側に第1搬送部材R1の駆動ローラR1aと圧接して従動する第5搬送部材R5を設けている。第4搬送部材R4は駆動ローラと従動ローラからなり、入口ローラとして機能する。この第4搬送部材R4の上流側には、入口センサSN1が設けられ、第5搬送部材R5の下流側には排紙センサSN2が設けられている。なお、第1搬送路W1は、実施例1では、最下流側は第1ニップN1に用紙先端P1を導く形状となっていたが、本実施例3では、第5搬送部材R5から後段の後処理装置4あるいは排紙トレイ5に搬送可能なスルー搬送路となっている。その他の各部は実施例1と同様に構成され、同様に機能する。
本実施例3の場合、第5搬送部材R5、第1搬送部材R1、第2搬送部材R2及び第3搬送部材R3の搬送方向と逆方向の回転のタイミングを設定することにより、Z折り、内3つ折り及び外3つ折りなどの折りが可能となる。その際、湾曲部W2bの内面に沿って撓ませることが可能なので、折るべき用紙の撓みFの方向がばらつくことがなく、良好な折り精度と折り位置精度を確保することができる。
図15は実施例3の折り機構のZ折り動作の要部を示す動作説明図である。図15はZ折りの折り動作の2回目の折り動作を示し、空間部W2vにおいて第1搬送部材R1で用紙先端からほぼ1/4の部分に第1折りが施された用紙Pが第2搬送部材R2によって逆方向に搬送され、第2折り対象部分に撓みFが形成された状態である。この撓んだ部分が第3ニップN3に進入し、第2折りが施され、第3搬送部材R3によって第3搬送路W3を後段に搬送される。Z折りであるので、用紙先端から第1折りまでの長さと第1折りから第2折りまでの長さが等しく、第2折りから用紙後端までの長さが第1折りから第2折りまでの長さのほぼ2倍となっている。
図16は実施例3の折り機構の内3つ折り動作の要部を示す動作説明図である。図16は内3つ折り折り動作の2回目の折り動作を示し、空間部W2vにおいて第1搬送部材R1で用紙後端からほぼ1/3の部分に第1折りが施された用紙Pが第2搬送部材R2によって逆方向に搬送され、第2折り対象部分に撓みFが形成された状態である。この撓んだ部分が第3ニップN3に進入し、第2折りが施され、第3搬送部材R3によって第3搬送路W3を後段に搬送される。内3つ折りであるので、用紙先端から第1折りまでの長さ、第1折りから第2折りまでの長さ、第2折りから用紙後端までの長さがほぼ等しくなっている。
図17は実施例3の折り機構の外3つ折り動作の要部を示す動作説明図である。図16は内3つ折り折り動作の2回目の折り動作を示し、空間部W2vにおいて第1搬送部材R1で用紙先端からほぼ1/3の部分に第1折りが施された用紙Pが第2搬送部材R2によって逆方向に搬送され、第2折り対象部分に撓みFが形成された状態である。この撓んだ部分が第3ニップN3に進入し、第2折りが施され、第3搬送部材R3によって第3搬送路W3を後段に搬送される。外3つ折りであるので、用紙先端から第1折りまでの長さ、第1折りから第2折りまでの長さ、第2折りから用紙後端までの長さがほぼ等しくなっている。
以上のように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
(1)用紙Pを搬送する第1搬送部材R1(第1の搬送部材)と、前記第1搬送部材R1(第1の搬送部材)によって搬送される前記用紙Pを受け取り、後段に搬送する第2搬送部材R2(第2の搬送部材)と、前記用紙Pを受け取った後、前記第2搬送部材R2(第2の搬送部材)を逆方向回転させて前記用紙Pを折る第3搬送部材R3(第3の搬送部材)と、を備えた折り処理装置3(用紙処理装置)において、前記第2搬送部材R2(第2の搬送部材)を逆方向に回転させて前記第2搬送部材R2(第2の搬送部材)が配置された第2搬送路W2(用紙搬送路)のガイド板W2aに沿って変形させながら前記用紙Pを逆方向に送り出し、前記第1搬送部材R1(第1の搬送部材)との間に形成された撓みFを前記第3搬送部材R3(第3の搬送部材)の第3ニップN3(ニップ)に案内するので、用紙Pを第3搬送部材R3で挟持して折り処理する場合に、用紙Pの折り精度及び折り位置精度の向上を図ることができる。
このように構成すると、用紙Pの撓みF部分を第3ニップN3に送り込むとき、用紙任せではなく、用紙自身の腰の強さによってガイド板W2aの内面と第3搬送部材R3の外面で規制された状態で送り込むことができる。これにより、折り位置を撓みFの先端部に容易に設定することが可能となる。また、用紙Pの撓みFの折り位置に対応する部分を第3ニップN3へ安定した状態で送り込みことができる。
(2)前記ガイド板W2aの前記第1搬送部材R1(第1の搬送部材)に対向する面が凹となるように湾曲しているので、用紙Pは第1搬送部材R1方向に撓むことなく凹面形状に沿って変形し、第3ニップN3方向に撓むことができる。
(3)前記用紙Pは、前記ガイド板W2aに接触した状態で撓みながら前記第3搬送部材R3(第3の搬送部材)の第3ニップN3(ニップ)に案内されるので、撓みの折り位置に対応する部分が精度良く第3ニップN3に導かれ、良好な折り位置精度を得ることができる。
(4)前記第2搬送部材R2(第2の搬送部材)の第2ニップN2の位置(ニップ位置)を用紙情報に応じて変更するので、用紙情報に基づいて凹面に沿った逆方向移動を確実に行わせることができる。
(5)前記第3搬送部材R3(第3の搬送部材)の第3ニップN3の位置(ニップ位置)を用紙情報に応じて変更するので、用紙情報に基づいて用紙の受け入れ方向あるいは受け入れ位置を調整することができる。
(6)前記用紙情報が、紙種、紙厚及び用紙サイズの1つを含むので、紙種、紙厚及び用紙サイズに応じて前記位置調整が可能となり、用紙の折り精度及び折り位置精度の向上に貢献できる。
(7)画像形成システム1が、前記構成の折り処理装置3(用紙処理装置)と画像形成装置2を含むので、画像形成装置2で画像形成された用紙Pに対して折り精度及び折り位置精度の向上を図ることができる。
(8)用紙Pを搬送する第1搬送部材R1(第1の搬送部材)と、前記第1搬送部材R1(第1の搬送部材)によって搬送される前記用紙Pを受け取り、後段に搬送する第2搬送部材R2(第2の搬送部材)と、前記用紙Pを受け取った後、前記第2搬送部材R2(第2の搬送部材)を逆方向回転させて前記用紙Pを折る第3搬送部材R3(第3の搬送部材)と、を備えた折り処理装置3(用紙処理装置)の用紙折り方法において、前記第2搬送部材R2(第2の搬送部材)が配置された第2搬送路W2(用紙搬送路)のガイド板W2aの前記第1搬送部材R1(第1の搬送部材)に対向する面を凹面に形成し、前記第2搬送部材R2(第2の搬送部材)を逆転させて前記第3搬送部材R3(第3の搬送部材)で前記用紙Pを折る際、前記第1搬送部材R1(第1の搬送部材)と前記第2搬送部材R2(第2の搬送部材)によって前記用紙Pを前記凹面と第3搬送部材R3(前記第3の搬送部材)の外面に沿って送り出して前記用紙Pに撓みFを形成し、前記第3搬送部材R3(第3の搬送部材)の第3ニップN(ニップ)に前記撓みFを導いて前記用紙Pを折るので、撓みFが前記凹面と前記第3の搬送部材の外面に用紙Pの腰の強さによって押し付けて形成されることから安定した1つの撓みが形成され、用紙Pの折り精度及び折り位置の精度の向上を図ることができる。
なお、前記実施形態における効果の説明では、本実施形態の各部について、特許請求の範囲における各構成要素をかっこ書きで示し、若しくは参照符号を付し、両者の対応関係を明確にした。
さらに、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施例は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。