以下に添付図面を参照して、本発明に係る車両用表示制御装置10、車両用表示システム1、車両用表示制御方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
[第一実施形態]
車両用表示システム1は、車両に搭載され、車両後方を撮影した映像を表示する。図1は、第一実施形態に係る車両用表示システムの構成例を示す概略図である。図2は、第一実施形態に係る車両用表示システムの構成例を示すブロック図である。車両後方には、進行方向の後方と、車幅方向の側後方とを含む。本実施形態では、後方について説明するが、側後方にも適用可能である。
図1、図2に示すように、車両用表示システム1は、後方カメラ2と、リヤビューモニタ3と、車両用表示制御装置10とを有する。
後方カメラ2は、車両の後方に配置され、車両の後方を撮影する。図3は、第一実施形態に係る車両用表示システムの後方カメラで撮影された映像データの一例を示す図である。図4は、第一実施形態に係る車両用表示システムの後方カメラで撮影された映像データとリヤビューモニタに表示される映像の一例を示す図である。図3、図4に示すように、後方カメラ2は、リヤビューモニタ3による確認範囲を含んだ範囲を撮影する。言い換えると、後方カメラ2は、リヤビューモニタ3に表示されない範囲を含んで撮影している。後方カメラ2は、水平方向の画角が例えば90〜180°、上下方向の画角が例えば45〜90°である。このように、後方カメラ2は、リヤビューモニタ3に表示させる範囲より広い範囲の映像を撮影可能である。そこで、後方カメラ2で撮影された映像は、車両用表示制御装置10の制御部30の切出部33で、リヤビューモニタ3を用いて車両の運転者が適切に後方を認識できるような範囲が切出され、リヤビューモニタ3に表示される。後方カメラ2は、撮影した撮影映像データ100を車両用表示制御装置10の制御部30の映像データ取得部32へ出力する。
リヤビューモニタ3は、一例としては電子ルームミラーである。リヤビューモニタ3を電子ルームミラーとして用いる場合、後方を光学的な反射により確認するためのハーフミラーの有無は問わない。リヤビューモニタ3は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Organic Electro−Luminescence)ディスプレイなどを含むディスプレイである。
図5を用いて、リヤビューモニタ3と従来の光学式のルームミラーRとを比較して説明する。図5は、第一実施形態に係る車両用表示システムのリヤビューモニタと従来の光学式のルームミラーとを比較して説明する概略図である。リヤビューモニタ3は、従来の光学式のルームミラーRに比べて車幅方向の幅が広い。本実施形態においては、例えば車幅方向の幅が400mm、高さ方向の幅が50mmである。これに対して、従来の光学式のルームミラーRは、例えば車幅方向の幅が200mm、高さ方向の幅が50mmである。
リヤビューモニタ3は、運転者から視認容易な位置に配置されている。本実施形態では、リヤビューモニタ3は、図1に示すように、ウィンドシールドSの車幅方向の中央上部に配置されている。リヤビューモニタ3は、図6に示すように、ダッシュボードDの車幅方向の中央上部に配置されていてもよい。図6は、第一実施形態に係る車両用表示システムの構成例の他の例を示す概略図である。
リヤビューモニタ3は、車両用表示制御装置10の制御部30の表示制御部40から出力された映像信号に基づき、車両の後方映像を表示する。具体的に、リヤビューモニタ3は、図7に示すような後方映像を表示する。図7は、第一実施形態に係る車両用表示システムのリヤビューモニタに表示される映像の一例を示す図である。図7に示す撮影映像データ100には、後続車両と道路と街路樹とを含む被撮影物が映されている。
図2に戻って、車両用表示制御装置10は、記憶部20と、制御部30とを有する。
記憶部20は、車両用表示制御装置10における各種処理に要するデータおよび各種処理結果を記憶する。記憶部20は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク、ネットワークを介した外部記憶装置などの記憶装置である。または、図示しない通信装置を介して無線接続される外部記憶装置であってもよい。
制御部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などで構成された演算処理装置である。制御部30は、表示映像データ生成部31と、情報取得部34と、範囲設定部35と、映像処理部36と、表示制御部40とを含む。制御部30は、記憶部20に記憶されているプログラムに含まれる命令を実行する。
表示映像データ生成部31は、後方カメラ2からの撮影映像データ100を取得し、リヤビューモニタ3に表示させる表示映像データ110を生成する。表示映像データ生成部31は、映像データ取得部32と、切出部33とを含む。
映像データ取得部32は、車両の後方を撮影した映像を取得する。映像データ取得部32が取得する撮影映像データ100は、例えば、毎秒60フレームの画像が連続した映像のデータである。本実施形態では、映像データ取得部32は、後方カメラ2が出力した撮影映像データ100を取得する。映像データ取得部32は、取得した撮影映像データ100を切出部33に出力する。
切出部33は、撮影映像データ100から、リヤビューモニタ3に表示させる範囲を切出す。撮影映像データ100のどの範囲をリヤビューモニタ3に表示させる範囲として切出すかは、あらかじめ記憶部20に記憶されている。本実施形態では、切出部33は、図4において破線で囲んで示した、撮影映像データ100の中央部を表示映像データ110として切出す。切出部33は、切出した表示映像データ110を範囲設定部35に出力する。
情報取得部34は、ECU(Electronic Control Unit)またはCAN(Control Area Network)から、車速を判定するための車速情報を取得する。具体的には、情報取得部34は、車速信号を取得する。情報取得部34は、取得した情報を映像処理部36に出力する。
範囲設定部35は、表示映像データ110に対して、第一範囲110Aと、第一範囲110Aの両側のそれぞれに配置され、表示映像データ110の両側部に位置する第二範囲110Bとを設定する。本実施形態では、図8に示すように、第一範囲110Aは、表示映像データ110の中心線Lを中心軸線とした範囲として設定する。図8は、第一実施形態に係る車両用表示システムのリヤビューモニタに表示される映像の第一範囲と第二範囲とを説明する図である。本実施形態では、第一範囲110Aは、車幅方向の幅が200mmである。第二範囲110Bは、車幅方向の幅が100mmである。第一範囲110Aは、従来の光学式のルームミラーRを運転者が正視したときに視認できる範囲である。第二範囲110Bは、従来の光学式のルームミラーRを運転者が正視したときには視認できず、視点をずらしたり、角度を調節したりしたときに視認できる範囲とその外側の範囲とを含む。範囲設定部35は、第一範囲110Aおよび第二範囲110Bを設定した表示映像データ110を映像処理部36に出力する。
映像処理部36は、表示映像データ110の第二範囲110Bに対して、情報量を低減させた表示映像データ120を生成し表示制御部40に出力する情報量低減処理を行う。表示映像データ120は、情報量が低減されていない第一範囲120Aと、情報量が低減された第二範囲120Bとを含む。
情報量とは、運転者がリヤビューモニタ3に表示された映像から得られる車両周辺の状況の情報の量である。情報量は、リヤビューモニタ3に表示された映像の表示面積が大きいほど多くなる。情報量は、リヤビューモニタ3に表示された被撮影物が多いほど多くなる。情報量は、リヤビューモニタ3に表示された映像に含まれる色が多いほど多くなる。情報量は、リヤビューモニタ3に表示された映像の輝度が高いほど多くなる。
車両の運転時に運転者が適切に認識することができる情報量が限られていること、および、車速が高速になるほど、運転者が適切に認識できる情報量が少なくなり、認識範囲も狭くなることが知られている。また、車速が高速になるほど、リヤビューモニタ3の目視する時間は短くなる。より詳しくは、車両が高速になるほど、運転者が適切に後方を認識できる範囲は、従来の光学式のルームミラーRで視認できる範囲、言い換えると、表示映像データ110における第一範囲110Aが最適である。言い換えると、車速が遅い場合は、従来の光学式のルームミラーRで視認できる情報量より情報量が増えても適切に認識可能である。
そこで、映像処理部36は、車速が所定速度以上である場合、運転者が必要とし、認識可能な情報に絞るように第二範囲110Bの情報量を低減させた表示映像データ120を生成する。より詳しくは、映像処理部36は、情報取得部34で取得された車速が所定速度以上である場合、例えば、図9に示すような、表示映像データ110の第二範囲110Bの情報量を低減させた表示映像データ120を生成し表示制御部40に出力する情報量低減処理を行う。図9は、第一実施形態に係る車両用表示システムのリヤビューモニタに表示される映像の他の例を示す図である。表示映像データ120は、第二範囲120Bから運転者が被撮影物の有無を認識可能な範囲で、情報量が低減されている。
映像処理部36は、車速が所定速度未満である場合、表示映像データ110を表示制御部40に出力する。映像処理部36は、低減処理部37を有する。
低減処理部37は、情報量低減処理として、例えば、色情報を低減させる色情報低減処理と、輝度を低減させる輝度低減処理を行う。
色情報低減処理は、表示映像データ110の第二範囲110Bの色情報を低減させた表示映像データ120を生成して表示制御部40に出力する処理である。例えば、色情報低減処理は、表示映像データ110の第二範囲110BのRGBごとの彩度を所定量または所定率、低減させた表示映像データ120を生成して表示制御部40に出力する。または、例えば、色情報低減処理は、表示映像データ110の第二範囲110Bの彩度を所定量または所定率、低い単色または白黒にした表示映像データ120を生成して表示制御部40に出力してもよい。
輝度低減処理は、表示映像データ110の第二範囲110Bの輝度を低減させた表示映像データ120を生成して表示制御部40に出力する処理である。例えば、輝度低減処理は、表示映像データ110の第二範囲110Bの画素ごとの明度を所定量または所定率、低減させた表示映像データ120を生成して表示制御部40に出力する。または、例えば、輝度低減処理は、表示映像データ120を生成する代わりに、第一範囲110Aに該当するリヤビューモニタ3のバックライトを通常の輝度とし、第二範囲110Bに該当するリヤビューモニタ3のバックライトを通常の輝度より所定量または所定率、低減させる制御信号を生成して表示映像データ110とともに表示制御部40に出力してもよい。
低減処理部37は、色情報低減処理と輝度低減処理のどちらかを行ってもよいし、両方を組み合わせて行ってもよい。
表示制御部40は、映像処理部36から出力された表示映像データ110または表示映像データ120をリヤビューモニタ3に表示させる。
次に、図10を用いて、制御部30による処理の流れについて説明する。図10は、第一実施形態に係る車両用表示システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。
制御部30は、映像データ取得部32で、撮影映像データ100を取得させる(ステップS11)。
制御部30は、切出部33で、切出し処理を行わせる(ステップS12)。より詳しくは、制御部30は、切出部33で、撮影映像データ100から、リヤビューモニタ3に表示させる範囲を表示映像データ110として切出させる。
制御部30は、映像処理部36で、車速が所定速度以上であるか否かを判定する(ステップS13)。より詳しくは、制御部30は、映像処理部36で、情報取得部34が取得した情報に基づいて、車速が所定速度以上であるか否かを判定する。本実施形態では、所定速度は、例えば20km/hや40km/hとする。所定速度の設定は、第二範囲110Bの情報量低減を行わない表示による情報量が、その速度において運転者が適切に後方を認識できる情報量の範囲内に設定することが好ましい。例えば、20km/hや40km/h未満の走行速度である場合には、リヤビューモニタ3の目視時間も高速走行時よりは長く、第二範囲110Bの情報を必要とする場合も多いためである。所定速度以上の走行速度で走行している場合は、リヤビューモニタ3の目視時間も所定速度未満での走行時より短くなり、第二範囲110Bの情報を必要とする場合が少なくなるためである。
制御部30は、映像処理部36で、車速が所定速度以上ではないと判定した場合(ステップS13でNo)、ステップS15に進む。制御部30は、映像処理部36で、表示映像データ110を表示制御部40に出力させる。
制御部30は、映像処理部36で、車速が所定速度以上であると判定した場合(ステップS13でYes)、ステップS14に進む。
制御部30は、低減処理部37で、表示映像データ110の第二範囲110Aの情報量低減処理を行わせる(ステップS14)。より詳しくは、制御部30は、低減処理部37で、表示映像データ110の第二範囲110Bの情報量を低減させる。
例えば、制御部30は、低減処理部37で、表示映像データ110の第二範囲110BのRGBごとの彩度を低減させた表示映像データ120を生成させ表示制御部40に出力させる。
または、例えば、制御部30は、低減処理部37で、表示映像データ110の第二範囲110Bを例えば彩度の低い単色または白黒にさせた表示映像データ120を生成させ表示制御部40に出力させてもよい。
または、例えば、制御部30は、低減処理部37で、表示映像データ110の第二範囲110Bの画素ごとの明度を低減させた表示映像データ120を生成させ表示制御部40に出力させてもよい。
または、例えば、制御部30は、低減処理部37で、第一範囲110Aに該当するリヤビューモニタ3のバックライトを通常の輝度とし、第二範囲110Bに該当するリヤビューモニタ3のバックライトを通常の輝度より低減させる制御信号を表示映像データ110とともに表示制御部40に出力させてもよい。
制御部30は、表示制御部40で、表示映像データ110または表示映像データ120をリヤビューモニタ3に表示させる(ステップS15)。より詳しくは、車速が所定速度未満である場合、制御部30は、表示制御部40で、図7に示すような表示映像データ110をリヤビューモニタ3に表示させる。車速が所定速度以上である場合、制御部30は、表示制御部40で、図9に示すような、情報量を低減させた表示映像データ120をリヤビューモニタ3に表示させる。
制御部30は、このような処理を、例えば毎フレームごと、または、所定フレームごとのような所定間隔で繰り返す。
上述したように、本実施形態によれば、車速が所定速度以上である場合、リヤビューモニタ3には、第二範囲120Bは情報量が低減された表示映像データ120が表示される。車速が所定速度未満である場合、リヤビューモニタ3には、情報量が低減されていない表示映像データ110が表示される。リヤビューモニタ3には、車速に応じて、運転者が容易に認識できる情報量の表示映像データ110または表示映像データ120が表示される。このように、本実施形態によれば、車速に応じて、運転者にとって適切な情報量を表示することができる。これにより、本実施形態によれば、運転者は、車速によらず、車両周辺の確認を適切に行うことができる。
本実施形態によれば、車速が所定速度以上である場合、表示映像データ110の第二範囲110Bに対して情報量低減処理を行う。言い換えると、本実施形態によれば、従来の光学式のルームミラーRを運転者が正視したときに視認できる第一範囲110Aは、車速によらず、情報量が削減されていない。このため、本実施形態は、従来の光学式のルームミラーRといつでも同様に後方を確認することができる。
本実施形態によれば、表示映像データ120の第二範囲120Bは、運転者が被撮影物の有無を認識可能、かつ、運転者が第一範囲120Aと第二範囲120Bとの情報量の差異を認識可能な範囲で、情報量が低減されている。このため、本実施形態は、第二範囲120Bの情報量が低減されていたとしても、運転者は必要に応じて、第二範囲120Bから得たい情報を取得することができる。これにより、運転者は必要に応じて、適切な回避行動を取ることができる。
[第二実施形態]
図11ないし図13を参照しながら、本実施形態に係る車両用表示システム1Aについて説明する。図11は、第二実施形態に係る車両用表示システムの構成例を示す概略図である。図12は、第二実施形態に係る車両用表示システムのリヤビューモニタに表示される映像の一例を示す図である。図13は、第二実施形態に係る車両用表示システムのリヤビューモニタに表示される映像の他の例を示す図である。
図11に示すように、車両用表示システム1Aは、基本的な構成は第一実施形態の車両用表示システム1と同様である。以下の説明においては、車両用表示システム1と同様の構成要素には、同一の符号または対応する符号を付し、その詳細な説明は省略する。本実施形態の車両用表示システム1Aは、車両用表示制御装置10Aの制御部30Aが第一実施形態の車両用表示システム1と異なる。
映像処理部36Aは、低減処理部37Aと、特徴点抽出部38Aを有する。
特徴点抽出部38Aは、情報量低減処理として、表示映像データ110の第二範囲110Bから被撮影物の特徴点を抽出し図示した表示映像データ130を生成し表示制御部40Aに出力する情報量低減処理を行う。特徴点抽出部38Aは、公知の特徴点抽出手法を用いて、例えば、表示映像データ110の第二範囲110Bから角を被撮影物の特徴点として抽出する。そして、特徴点抽出部38Aは、抽出した角でつないで被撮影物の輪郭を表す破線(図12参照)を図示した表示映像データ130を生成する。表示映像データ130は、情報量が低減されていない第一範囲130Aと、特徴点が図示された第二範囲130Bとを含む。表示映像データ130は、被撮影物の特徴点が詳細に抽出されると、表示映像データ110との情報量の差異が小さくなり、被撮影物の認識に時間を要するおそれがある。一方、表示映像データ130は、被撮影物の特徴点が粗く抽出されると、表示映像データ110との情報量の差異が大きくなり、被撮影物を正しく認識できないおそれがある。このため、特徴点抽出部38Aは、適切に特徴点が抽出されるようにしきい値が設定されている。より詳しくは、しきい値は、物体の外形を認識可能な必要最小限の輪郭を抽出可能な値とする。
図12を用いて、表示映像データ130の一例について説明する。図12に示す表示映像データ130は、図7に示す表示映像データ110から生成された表示映像データ130である。表示映像データ130には、後続車両の特徴点と、道路やガードレールの特徴点と、街路樹の特徴点とが破線で図示されている。
特徴点抽出部38Aは、生成した表示映像データ130を表示映像データとして表示制御部40Aに出力する。
情報量低減処理として、本実施形態の情報量低減処理を単独で行ってもよいし、第一実施形態の情報量低減処理と組み合わせて行ってもよい。
本実施形態の情報量低減処理を単独で行い、特徴点を抽出させた表示映像データ130をリヤビューモニタ3に表示させる場合について説明する。より詳しくは、制御部30Aは、図10に示すフローチャートのステップS14において、特徴点抽出部38Aで、図12に示すような、表示映像データ110の第二範囲110Bの特徴点を抽出させた表示映像データ130を表示制御部40Aに出力させる。そして、制御部30Aは、表示制御部40Aで、表示映像データ130をリヤビューモニタ3に表示させる。
本実施形態の情報量低減処理と第一実施形態の情報量低減処理とを組み合わせて行い、情報量を低減させた表示映像データ120と、特徴点を抽出させた表示映像データ130とを重畳させてリヤビューモニタ3に表示させる場合について説明する。より詳しくは、制御部30Aは、図10に示すフローチャートのステップS14において、低減処理部37Aで、表示映像データ110の第二範囲110Bの情報量を低減させた表示映像データ120を生成させる。そして、制御部30Aは、特徴点抽出部38Aで、図12に示すような、表示映像データ110の第二範囲110Bの特徴点を抽出させた表示映像データ130を生成させる。そして、制御部30Aは、特徴点抽出部38Aで、図13に示すような、情報量を低減させた表示映像データ120と表示映像データ130とを重畳させた表示映像データ140を表示制御部40Aに出力させる。表示映像データ140は、情報量が低減されていない第一範囲140Aと、色情報または輝度が低減され、特徴点が図示された第二範囲140Bとを含む。そして、制御部30Aは、表示制御部40Aで、表示映像データ140をリヤビューモニタ3に表示させる。
上述したように、本実施形態によれば、車速が所定速度以上である場合、リヤビューモニタ3には、第二範囲130Bは情報量が低減され、表示映像データ110の第二範囲110Bの特徴点が破線で図示された表示映像データ130が表示される。車速が所定速度未満である場合、リヤビューモニタ3には、情報量が低減されていない表示映像データ110が表示される。リヤビューモニタ3には、車速に応じて、運転者が容易に認識できる情報量の表示映像データ110または表示映像データ130が表示される。このように、本実施形態によれば、運転者にとって適切な情報量を表示することができる。これにより、本実施形態によれば、運転者は、車速によらず、車両周辺の確認を適切に行うことができる。
また、本実施形態によれば、車速が所定速度以上である場合、表示映像データ110の第二範囲110Bの情報量を低減させた表示映像データ120と、表示映像データ110の第二範囲110Bの特徴点を抽出させた表示映像データ130とを重畳させた表示映像データ140がリヤビューモニタ3に表示される。これにより、本実施形態によれば、情報量を低減させても被撮影物を認識させ易くすることができる。しかも、本実施形態によれば、表示映像データ140には被撮影物の輪郭を表す特徴点が示されているので、運転者は、物体の有無を容易に認識することができる。
[第三実施形態]
図14ないし図18を参照しながら、本実施形態に係る車両用表示システム1Bについて説明する。図14は、第三実施形態に係る車両用表示システムの構成例を示す概略図である。図15は、第三実施形態に係る車両用表示システムのリヤビューモニタに表示される映像の一例を示す図である。図16は、第三実施形態に係る車両用表示システムのリヤビューモニタに表示される映像の他の例を示す図である。図17は、第三実施形態に係る車両用表示システムのリヤビューモニタに表示される映像の他の例を示す図である。図18は、第三実施形態に係る車両用表示システムのリヤビューモニタに表示される映像の他の例を示す図である。
図14に示すように、本実施形態の車両用表示システム1Bは、認識辞書記憶部4Bを有する点と、車両用表示制御装置10Bの制御部30Bの構成が第二実施形態の車両用表示システム1Aと異なる。
認識辞書記憶部4Bは、例えば、四輪車、二輪車、人を含む物体の形状、大きさ、色などのパターンを照合可能な辞書を記憶している。認識辞書記憶部4Bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク、ネットワークを介した外部記憶装置などの記憶装置である。
映像処理部36Bは、低減処理部37Bと、特徴点抽出部38Bと、物体認識部39Bとを有する。
特徴点抽出部38Bは、第二実施形態の特徴点抽出部38Aと同様の処理を行う。特徴点抽出部38Bは、図12に示す特徴点を抽出させた表示映像データ130を物体認識部39Bに出力する。
物体認識部39Bは、情報量低減処理として、表示映像データ130の第二範囲130Bに存在する物体をアイコン(車両を示す表示)Mで置換または物体にアイコンMを重畳した表示映像データを生成し表示制御部40Bに出力する処理を行う。本実施形態では、物体認識部39Bは、物体として車両を認識する。本実施形態では、アイコンMは、円環である。アイコンMは、車両の図など他の形状であってもよい。より詳しくは、物体認識部39Bは、表示映像データ130の第二範囲130Bに対して、認識辞書記憶部4Bが記憶している認識辞書を用いたパターンマッチングを行い、物体の存在を検出する。そして、物体認識部39は、物体をアイコンMで置換または物体にアイコンMを重畳した表示映像データを生成し表示制御部40Bに出力する。物体認識部39Bは、表示映像データ110に比べて情報量が低減された表示映像データ130に対してパターンマッチングを行うので、処理に要する負荷と時間とを削減することができる。
情報量低減処理は、本実施形態の情報量低減処理を単独で行ってもよいし、第一実施形態の情報量低減処理および第二実施形態の情報量低減処理と適宜組み合わせて行ってもよい。
本実施形態の情報量低減処理を単独で行い、アイコンMだけを表示させる場合について説明する。より詳しくは、制御部30Bは、図10に示すフローチャートのステップS14において、特徴点抽出部38Bで、表示映像データ110の第二範囲110Bの特徴点を抽出させ表示映像データ130を生成させる。そして、制御部30Bは、物体認識部39Bで、表示映像データ130の第二範囲130Bの物体を認識させる。そして、制御部30Bは、物体認識部39Bで、図15に示すような、表示映像データ130の第二範囲130Bを、物体に対応する位置にアイコンMを表示した映像に置換した表示映像データ200を生成させ表示制御部40Bに出力させる。表示映像データ200は、情報量が低減されていない第一範囲200Aと、アイコンMが表示された第二範囲200Bとを含む。そして、制御部30Bは、表示制御部40Bで、表示映像データ200をリヤビューモニタ3に表示させる。
本実施形態の情報量低減処理と第一実施形態の情報量低減処理とを組み合わせて行い、情報量を低減させた表示映像データ120に、アイコンMを重畳させ表示させる場合について説明する。より詳しくは、制御部30Bは、図10に示すフローチャートのステップS14において、低減処理部37で、表示映像データ110の第二範囲110Bの情報量を低減させた表示映像データ120を生成させる。そして、制御部30Bは、特徴点抽出部38Bで、表示映像データ110の第二範囲110Bの特徴点を抽出させ表示映像データ130を生成させる。そして、制御部30Bは、物体認識部39Bで、特徴点を抽出させた表示映像データ130の第二範囲130Bの物体を認識させる。そして、制御部30Bは、物体認識部39Bで、図16に示すような、情報量を低減させた表示映像データ120の第二範囲120Bに、アイコンMを重畳させた表示映像データ210を生成させ表示制御部40Bに出力させる。表示映像データ210は、情報量が低減されていない第一範囲210Aと、色情報または輝度が低減され、アイコンMが重畳して表示された第二範囲210Bとを含む。そして、制御部30Bは、表示制御部40Bで、表示映像データ210をリヤビューモニタ3に表示させる。
本実施形態の情報量低減処理と第二実施形態の情報量低減処理とを組み合わせて行い、特徴点とアイコンMとを重畳させ表示させる場合について説明する。より詳しくは、制御部30Bは、図10に示すフローチャートのステップS14において、特徴点抽出部38Bで、表示映像データ110の第二範囲110Bの特徴点を抽出させ表示映像データ130を生成させる。そして、制御部30Bは、物体認識部39Bで表示映像データ130の第二範囲130Bの物体を認識させる。そして、制御部30Bは、物体認識部39Bで、図17に示すような、表示映像データ130の第二範囲130Bに、アイコンMを重畳させた表示映像データ220を生成させ表示制御部40Bに出力させる。表示映像データ220は、情報量が低減されていない第一範囲220Aと、特徴点とアイコンMとが重畳して表示された第二範囲220Bとを含む。そして、制御部30Bは、表示制御部40Bで、表示映像データ220をリヤビューモニタ3に表示させる。
本実施形態の情報量低減処理と第一実施形態および第二実施形態の情報量低減処理とを組み合わせて行い、情報量を低減させた表示映像データ120に、特徴点とアイコンMとを重畳させ表示させてもよい。より詳しくは、制御部30Bは、図10に示すフローチャートのステップS14において、低減処理部37Bで、表示映像データ110の第二範囲110Bの情報量を低減させた表示映像データ120を生成させる。そして、制御部30Bは、特徴点抽出部38Bで、表示映像データ110の第二範囲110Bの特徴点を抽出させ表示映像データ130を生成させる。そして、制御部30Bは、物体認識部39Bで、表示映像データ130の第二範囲130Bの物体を認識させる。そして、制御部30Bは、物体認識部39Bで、図18に示すような、表示映像データ120と、表示映像データ130と、アイコンMとを重畳させた表示映像データ230を生成させ表示制御部40Bに出力させる。表示映像データ230は、情報量が低減されていない第一範囲230Aと、色情報または輝度が低減され、特徴点とアイコンMとが重畳して表示された第二範囲230Bとを含む。そして、制御部30Bは、表示制御部40Bで、表示映像データ230をリヤビューモニタ3に表示させる。
上述したように、本実施形態によれば、車速が所定速度以上である場合、表示映像データ110の第二範囲110Bの物体がアイコンMで示された表示映像データ200または表示映像データ210または表示映像データ220または表示映像データ230がリヤビューモニタ3に表示される。これにより、車速が所定速度以上である場合、リヤビューモニタ3には、第二範囲200Bまたは第二範囲210Bまたは第二範囲220Bまたは第二範囲230BはアイコンMが表示された表示映像データ200または表示映像データ210または表示映像データ220または表示映像データ230が表示される。このため、本実施形態は、情報量を低減させた第二範囲200Bまたは第二範囲210Bまたは第二範囲220Bまたは第二範囲230Bの物体をより認識しやすく表示することができる。これにより、本実施形態は、色情報または輝度を低減させたとしても、被撮影物を認識させ易くすることができる。このように、本実施形態によれば、車速に応じて、運転者にとって適切な情報量を表示することができる。これにより、本実施形態によれば、車両周辺の確認を適切に行うことができる。
[第四実施形態]
図19ないし図23を参照しながら、本実施形態に係る車両用表示システムについて説明する。図19は、第四実施形態に係る車両用表示システムにおける第二範囲割合テーブルの一例を示す図である。図20は、第四実施形態に係る車両用表示システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。図21は、第四実施形態に係る車両用表示システムのリヤビューモニタに表示される映像の一例を示す図である。図22は、第四実施形態に係る車両用表示システムのリヤビューモニタに表示される映像の他の例を示す図である。図23は、第四実施形態に係る車両用表示システムのリヤビューモニタに表示される映像の他の例を示す図である。
本実施形態の車両用表示システムは、制御部30における処理が第一実施形態の車両用表示システム1と異なる。その他の構成は、第一実施形態の車両用表示システム1と同様である。
範囲設定部35は、車速に応じて、表示映像データ110の第一範囲110Aと第二範囲110Bとを設定する。範囲設定部35は、情報取得部34が取得した車速情報に基づき、車速が低いほど第一範囲110Aを広く設定する。例えば、範囲設定部35は、あらかじめ記憶部20に記憶した第二範囲割合テーブルに基づいて、第二範囲110Bの割合を設定してもよい。
第二範囲割合テーブルは、車速と第二範囲110Bの割合との関係を示す。本実施形態では、第二範囲110Bの割合は、表示映像データ110の第二範囲110Bの車幅方向の幅が0mmの場合を0%、車幅方向の幅が100mmの場合を100%とする。第二範囲110Bが小さくなるにつれて、第一範囲110Aは、車幅方向の外側に広がる。より詳しくは、第二範囲110Bの割合が0%の場合、第一範囲110Aは、車幅方向の幅が400mmとなる。第二範囲110Bの割合が100%の場合、第一範囲110Aは、車幅方向の幅が200mmとなる。
図19を用いて、第二範囲割合テーブルの一例を説明する。図19に示す第二範囲割合テーブルには、例1と例2との2パターンの車速と第二範囲110Bの割合とが線形に変化する関係が定義されている。より詳しくは、例1のパターンでは、車速が0km/hと60km/hとの間は、第二範囲110Bの割合が0%と100%との間で線形に変化し、車速が60km/h以上では、第二範囲110Bの割合が100%で一定となる。例2のパターンでは、車速が20km/hと80km/hとの間は、第二範囲110Bの割合が0%と100%との間で線形に変化し、車速が80km/h以上では、第二範囲110Bの割合が100%で一定となる。
第二範囲割合テーブルは、車速と第二範囲110Bの割合とが階段状に変化してもよい。または、第二範囲割合テーブルは、車速と第二範囲110Bの割合とが非線形に変化してもよい。
範囲設定部35は、例えば、車両の走行状況や運転者の特性などに応じて、図19に示す第二範囲割合テーブルの例1のパターンまたは例2のパターンを選択し、選択したパターンの車速と第二範囲110Bの割合との関係に基づいて、車速に応じて、第一範囲110Aと第二範囲110Bとを設定する。
範囲設定部35は、減速時と加速時とで、第二範囲110Bの割合の変化を変えてもよい。例えば、範囲設定部35は、減速時は、図19に示す第二範囲割合テーブルの例1のパターンを選択し、加速時は、図19に示す第二範囲割合テーブルの例2のパターンを選択し、車速に応じて、第一範囲110Aと第二範囲110Bとを設定するものとしてもよい。
図20を用いて、制御部30による処理の流れについて説明する。
制御部30は、映像データ取得部32で、撮影映像データ100を取得させる(ステップS21)。ステップS21は、ステップS11と同様の処理を行う。
制御部30は、切出部33で、切出し処理を行わせる(ステップS22)。ステップS22は、ステップS12と同様の処理を行う。
制御部30は、範囲設定部35で、車速に応じて表示映像データ110の第一範囲110Aと第二範囲110Bとを設定させる(ステップS23)。より詳しくは、制御部30は、範囲設定部35で、第二範囲割合テーブルと情報取得部34が取得した情報とに基づいて、車速に対応する第二範囲110Bの割合を取得させる。そして、制御部30は、範囲設定部35で、表示映像データ110の第二範囲110Bを取得した第二範囲110Bの割合に設定させる。
制御部30は、映像処理部36で、表示映像データ110の第二範囲110Bの情報量低減処理を行わせる(ステップS24)。ステップS24は、ステップS14と同様の処理を行う。
制御部30は、表示制御部40で、表示映像データ110をリヤビューモニタ3に表示させる(ステップS25)。ステップS25は、ステップS15と同様の処理を行う。
具体的に、範囲設定部35において、車速に応じて、表示映像データ110の第一範囲110Aと第二範囲110Bとを設定する際に、図19に示す第二範囲割合テーブルの例1のパターンを使用する場合について説明する。
例えば、車速が0km/hの場合、ステップS23において、制御部30は、範囲設定部35で、表示映像データ110の第二範囲110Bの割合を0%と設定させる。そして、ステップS25において、制御部30は、表示制御部40で、図21に示すような表示映像データ300をリヤビューモニタ3に表示させる。これにより、リヤビューモニタ3には、第二範囲を含まず、第一範囲300Aだけを含む表示映像データ300が表示されている。言い換えると、リヤビューモニタ3に表示された表示映像データ300は、情報量が低減されていない。
例えば、車速が40km/hの場合、ステップS23において、制御部30は、範囲設定部35で、表示映像データ110の第二範囲110Bの割合を60%と設定させる。そして、ステップS24において、制御部30は、低減処理部37で、割合が60%と設定された第二範囲110Bの情報量低減処理を行わせる。そして、ステップS25において、制御部30は、制御部30は表示制御部40で、図22に示すような表示映像データ310をリヤビューモニタ3に表示させる。これにより、リヤビューモニタ3には、従来の光学式のルームミラーRより広い第一範囲310Aと、割合が60%と設定された第二範囲310Bとを含む表示映像データ310が表示されている。
例えば、車速が80km/hの場合、ステップS23において、制御部30は、範囲設定部35で、表示映像データ110の第二範囲110Bの割合を100%に設定させる。そして、ステップS24において、制御部30は、低減処理部37で、割合が100%と設定された第二範囲110Bの情報量低減処理を行わせる。そして、ステップS25において、制御部30は、表示制御部40で、図23に示すような表示映像データ320をリヤビューモニタ3に表示させる。これにより、リヤビューモニタ3には、従来の光学式のルームミラーRと同じ幅の第一範囲320Aと、割合が100%と設定された第二範囲320Bとを含む表示映像データ320が表示されている。
上述したように、本実施形態は、車速に応じて表示映像データ110の第二範囲110Bの割合を変化させて設定する。そして、割合が設定された第二範囲110Bの情報量を低減させた表示映像データ310または表示映像データ320をリヤビューモニタ3に表示させる。本実施形態では、車速が速くなるにつれて、第二範囲110Bの割合が拡大される。そして、車速が0km/hの場合、リヤビューモニタ3には、第一範囲300Aだけで構成された表示映像データ300が表示される。車速が0km/hより速い場合、リヤビューモニタ3には、第二範囲310Bまたは第二範囲320Bについては情報量が低減された表示映像データ310または表示映像データ320が表示される。このため、リヤビューモニタ3には、車速に応じて、運転者が容易に認識できる情報量の表示映像データ300または表示映像データ310または表示映像データ320が表示される。このように、本実施形態によれば、車速に応じて、運転者が認識し判断するのに、適切な情報量を運転者に提供することができる。このようにして、本実施形態によれば、運転者が得られる情報量が多くなり過ぎることを抑制するので、運転者の負担を軽減することができる。本実施形態によれば、運転者は、車両周辺の確認を適切に行うことができる。
[第五実施形態]
図24ないし図28を参照しながら、本実施形態に係る車両用表示システムについて説明する。図24は、第五実施形態に係る車両用表示システムにおける低減率テーブルの一例を示す図である。図25は、第五実施形態に係る車両用表示システムにおける処理の流れを示すフローチャートである。図26は、第五実施形態に係る車両用表示システムのリヤビューモニタに表示される映像の一例を示す図である。図27は、第五実施形態に係る車両用表示システムのリヤビューモニタに表示される映像の他の例を示す図である。図28は、第五実施形態に係る車両用表示システムのリヤビューモニタに表示される映像の他の例を示す図である。
本実施形態の車両用表示システムは、制御部30における処理が第四実施形態の車両用表示システムと異なる。その他の構成は、第四実施形態の車両用表示システムと同様である。
低減処理部37は、第一実施形態の情報量低減処理を行う際に、車速に応じて、表示映像データ110の第二範囲110Bにおける情報量の低減率を設定する。低減処理部37は、情報取得部34が取得した車速情報に基づき、車速が速いほど第二範囲110Bの映像データに対する情報量低減の度合いを増加させた情報量低減処理を行う。低減処理部37は、あらかじめ記憶部20に記憶した低減率テーブルに基づいて、第二範囲110Bの情報量の低減率を設定してもよい。
低減率テーブルは、車速と第二範囲110Bの情報量の低減率との関係を示す。第二範囲110Bの情報量の低減率は、本実施形態では、情報量を低減しない場合を0%、情報量をゼロで非表示とした場合を100%とする。
図24を用いて、低減率テーブルの一例を説明する。図24に示す低減率テーブルには、例1と例2との2パターンの車速と第二範囲110Bの情報量の低減率とが線形に変化する関係、および例3として階段状に変化する関係などが定義されている。より詳しくは、例1のパターンでは、車速が0km/hと60km/hとの間は、第二範囲110Bの情報量の低減率が0%と100%との間で線形に変化し、車速が60km/h以上では、第二範囲110Bの情報量の低減率が100%で一定となる。例2のパターンでは、車速が20km/hと80km/hとの間は、第二範囲110Bの情報量の低減率が0%と100%との間で線形に変化し、車速が80km/h以上では、第二範囲110Bの情報量の低減率が100%で一定となる。例3のパターンでは、車速が0km/hと30km/hとの間は、第二範囲110Bの情報量の低減率を0%とし、車速が30km/hと80km/hとの間は、第二範囲110Bの情報量の低減率を50%とし、車速が80km/h以上では、第二範囲110Bの情報量の低減率が100%で一定となる。
低減率テーブルは、車速と第二範囲110Bの情報量の低減率とが階段状に変化してもよい。または、低減率テーブルは、車速と第二範囲110Bの情報量の低減率とが非線形に変化してもよい。
低減処理部37は、例えば、車両の走行状況や運転者の特性などに応じて、図24に示す低減率テーブルの例1のパターンまたは例2のパターンを選択し、選択したパターンの車速と第二範囲110Bの情報量の低減率との関係に基づいて、車速に応じて、第二範囲110Bにおける情報量の低減率を設定する。
低減処理部37は、減速時と加速時とで、第二範囲110Bにおける情報量の低減率の変化のさせ方を変えてもよい。例えば、低減処理部37は、減速時は、図24に示す低減率テーブルの例1のパターンを選択し、加速時は、図24に示す低減率テーブルの例2のパターンを選択し、車速に応じて、第二範囲110Bにおける情報量の低減率を設定するものとしてもよい。
低減処理部37は、例えば、車両の走行状況や運転者の特性などに応じて、図24に示す低減率テーブルの例1のパターンまたは例2のパターンを選択し、選択したパターンの車速と第二範囲110Bの情報量の低減率との関係に基づいて、車速に応じて、第二範囲110Bにおける情報量の低減率を設定する。そして、低減処理部37は、第一実施形態の情報量低減処理と同様の処理を行う。
図25を用いて、制御部30による処理の流れについて説明する。図25の例は、車速と第二範囲110Bの情報量の低減率とが、高速時、中速時、低速時と階段状に変化させる場合の処理例であるが、図24に示すように線形に変化させる場合であっても同様の処理である。
制御部30は、映像データ取得部32で、撮影映像データ100を取得させる(ステップS31)。ステップS31は、ステップS21と同様の処理を行う。
制御部30は、切出部33で、切出し処理を行わせる(ステップS32)。ステップS32は、ステップS22と同様の処理を行う。
制御部30は、範囲設定部35で、車速に応じて表示映像データ110の第一範囲110Aと第二範囲110Bとを設定させる(ステップS33)。ステップS33は、ステップS23と同様の処理を行う。
制御部30は、映像処理部36で、車速が高速であるか否かを判定させる(ステップS34)。本実施形態において、高速とは、例えば、80km/h以上である。
制御部30は、映像処理部36で、車速が高速であると判定した場合(ステップS34でYes)、ステップS35に進む。
制御部30は、映像処理部36で、車速が高速ではないと判定した場合(ステップS34でNo)、ステップS36に進む。
制御部30は、低減処理部37で、高速時の、表示映像データ110の第二範囲110Bの情報量低減処理を行わせる(ステップS35)。より詳しくは、制御部30は、低減処理部37で、高速の場合の第二範囲110Bにおける情報量の低減率を設定させる。そして、制御部30は、低減処理部37で、表示映像データ110の第二範囲110Bの情報量を設定された低減率だけ低減させる。
制御部30は、映像処理部36で、車速が中速であるか否かを判定させる(ステップS36)。本実施形態において、中速とは、例えば、30km/h以上80km/h未満である。
制御部30は、映像処理部36で、車速が中速であると判定した場合(ステップS36でYes)、ステップS37に進む。
制御部30は、映像処理部36で、車速が中速ではないと判定した場合(ステップS36でNo)、ステップS38に進む。
制御部30は、低減処理部37で、中速時の、表示映像データ110の第二範囲110Bの情報量低減処理を行わせる(ステップS37)。より詳しくは、制御部30は、低減処理部37で、記憶部20に記憶された車速と第二範囲110Bの情報量の低減率との関係に基づいて、中速の場合の第二範囲110Bにおける情報量の低減率を設定させる。そして、制御部30は、低減処理部37で、表示映像データ110の第二範囲110Bの情報量を設定された低減率だけ低減させる。
制御部30は、低減処理部37で、低速時の、表示映像データ110の第二範囲110Bの情報量低減処理を行わせる(ステップS38)。より詳しくは、制御部30は、低減処理部37で、記憶部20に記憶された車速と第二範囲110Bの情報量の低減率との関係に基づいて、低速の場合の第二範囲110Bにおける情報量の低減率を設定させる。そして、制御部30は、低減処理部37で、表示映像データ110の第二範囲110Bの情報量を設定された低減率だけ低減させる。
制御部30は、表示制御部40で、表示映像データ110をリヤビューモニタ3に表示させる(ステップS39)。ステップS39は、ステップS25と同様の処理を行う。
具体的に、低減処理部37において、車速に応じて、表示映像データ110の第二範囲110Bにおける情報量の低減率を設定する際に、図24に示す低減率テーブルの例1のパターンを使用する場合について説明する。
例えば、車速が0km/hの場合、ステップS38において、制御部30は、低減処理部37で、第二範囲110Bの情報量の低減率が0%に設定される。そして、制御部30は、低減処理部37で、図26に示すように、第二範囲110Bの情報量を0%低減させる。言い換えると、第二範囲110Bは、情報量が低減されない。そして、ステップS39において、制御部30は、表示制御部40で、表示映像データ400をリヤビューモニタ3に表示させる。表示映像データ400は、第一範囲400Aおよび第二範囲400Bともに情報量が低減されていない。
例えば、車速が40km/hの場合、ステップS37において、低減処理部で、第二範囲110Bの情報量の低減率が50%に設定される。そして、制御部30は、低減処理部37で、図27に示すように、第二範囲110Bの情報量を50%低減させる。そして、制御部30は、表示制御部40で、表示映像データ410をリヤビューモニタ3に表示させる。表示映像データ410は、情報量が低減されていない第一範囲410Aと、情報量が50%低減された第二範囲410Bとを含む。
例えば、車速が80km/hの場合、ステップS35において、低減処理部37で、第二範囲110Bの情報量の低減率が100%に設定される。そして、制御部30は、低減処理部37で、図28に示すように、第二範囲110Bの情報量を100%低減させる。そして、制御部30は、表示制御部40で、表示映像データ420をリヤビューモニタ3に表示させる。表示映像データ420は、情報量が低減されていない第一範囲420Aと、情報量が100%低減され、情報量がゼロで非表示の第二範囲420Bとを含む。
上述したように、本実施形態は、車速に応じて表示映像データ110の第二範囲110Bの情報量の低減率を変化させる。そして、設定された情報量の低減率に応じて、第二範囲110Bの情報量低減処理を行い、表示映像データ400または表示映像データ410または表示映像データ420がリヤビューモニタ3に表示される。本実施形態では、車速が速くなるにつれて、情報量の低減率が拡大される。このため、リヤビューモニタ3には、運転者が容易に認識できる情報量の表示映像データ400または表示映像データ410または表示映像データ420が表示される。このように、本実施形態によれば、車速に応じて、運転者が認識し判断するのに、適切な情報量を運転者に提供することができる。このようにして、本実施形態によれば、運転者が得られる情報量が多くなり過ぎることを抑制するので、運転者の負担を軽減することができる。本実施形態によれば、運転者は、車両周辺の確認を適切に行うことができる。
図示した車両用表示システム1の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
車両用表示システム1の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。