JP2017198408A - アキュムレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】タンクに貯留された液相冷媒の急激な沸騰を抑制可能なアキュムレータを提供する。【解決手段】アキュムレータ10は、タンク11、導入部20、排出部30およびヒートパイプ40を備える。タンク11は、冷凍サイクルを循環する冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して貯留する。導入部20は、蒸発器から流出した冷媒をタンク11内に導入する。排出部30は、タンク11内の上方部分に貯留された気相冷媒をタンク11から圧縮機へ排出する。ヒートパイプ40は、タンク11内で気相冷媒が貯留される上方部分から液相冷媒が貯留される下方部分に亘り設けられ、気相冷媒と液相冷媒との間で熱伝導を生じさせる。【選択図】図2
Description
本発明は、冷凍サイクルに設けられるアキュムレータに関するものである。
従来、冷凍サイクルを構成する蒸発器と圧縮機との間に配置され、蒸発器から導入された冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して貯留し、気相冷媒を圧縮機へ供給するアキュムレータが知られている。
特許文献1に記載のアキュムレータは、冷媒に含まれる水分を除去する固形乾燥剤を有する乾燥器を、タンク内で気相冷媒が貯留される上方部分から液相冷媒が貯留される下方部分に亘るように設けている。これにより、このアキュムレータは、乾燥器の内側で液相冷媒が急激に沸騰した場合、その蒸気を乾燥器から直接気相冷媒に排出し、液相冷媒の液面の上昇を抑制している。
しかしながら、タンクに貯留される液相冷媒は、蒸発器から導入される過熱蒸気からの熱伝導、または、タンク外部からの熱伝導により加熱される場合がある。また、タンク容積に対して冷媒液面の面積が小さい場合、または、液相冷媒に含まれるオイルが冷媒と分離して表層に溜る場合には、液面における液相冷媒の蒸発または気相冷媒の凝縮が阻害される。このような種々の要因により、タンクに貯留される液相冷媒は、表層と深層との温度分布が不均一になることがある。この場合、液相冷媒は飽和蒸気線上の温度および圧力とは異なるものとなり、例えば深層の冷媒が過熱液状態となることが考えられる。この状態で、蒸発器から過熱ガスがタンク内に導入された場合、または圧縮機の回転数増加などによりタンク内が減圧された場合、または外部からタンクに振動が伝達された場合には、液相冷媒が深層から急激に沸騰するおそれがある。これにより、液相冷媒の液面が上昇して排出部から圧縮機へ液相冷媒が排出されると、圧縮機から異音が発生する等の問題が生じる。
本発明は上記課題に鑑みて、タンクに貯留された液相冷媒の急激な沸騰を抑制可能なアキュムレータを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明では、アキュムレータは、冷凍サイクルを構成する蒸発器と圧縮機との間に配置されるものであり、タンク、導入部、排出部および熱伝導部材を備える。タンクは、冷凍サイクルを循環する冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して貯留する。導入部は、蒸発器から流出した冷媒をタンク内に導入する。排出部は、タンク内の上方部分に貯留された気相冷媒をタンクから圧縮機へ排出する。熱伝導部材は、タンク内で気相冷媒が貯留される上方部分から液相冷媒が貯留される下方部分に亘り設けられ、気相冷媒と液相冷媒との間で熱伝導を生じさせる。
これによれば、熱伝導部材による熱輸送により、気相冷媒と液相冷媒との温度分布が均一化され、且つ、表層の液相冷媒と深層の液相冷媒との温度分布が均一化される。また、液相冷媒は、熱伝導部材の表面またはその近傍で沸騰することが可能である。そのため、液相冷媒は、表層から深層に亘り液相全体で安定して蒸発し、飽和蒸気線上の温度および圧力に近づくので、例えば深層の液相冷媒が過熱液状態となることが抑制される。したがって、蒸発器から過熱ガスがタンク内に導入された場合、または圧縮機の回転数の変動によりタンク内が減圧された場合、または外部からタンクに振動が伝達された場合でも、液相冷媒が深層から急激に沸騰することが抑制される。その結果、液相冷媒の液面が上昇して排出部から圧縮機へ液相冷媒が排出されることが抑制されるので、圧縮機の異音の発生等を抑制できる。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態のアキュムレータは、車両用空調装置の冷凍サイクルに適用されるものである。
本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態のアキュムレータは、車両用空調装置の冷凍サイクルに適用されるものである。
まず、冷凍サイクルの構成について説明する。図1に示すように、冷凍サイクル1は、圧縮機2、凝縮器3、膨張弁4、蒸発器5およびアキュムレータ10などを備えている。
圧縮機2は、冷媒を吸入し圧縮する。圧縮機2は、図示しない車両走行用エンジンからベルトおよびプーリー6等を介してトルクが伝達されて回転駆動する。圧縮機2としては、吐出容量の変化により冷媒吐出能力を調整可能な可変容量型圧縮機、或いは、電磁クラッチの断続により圧縮機作動の稼働率を変化させて冷媒吐出能力を調整する固定容量型圧縮機のいずれを使用してもよい。なお、圧縮機2として、電動モータの回転数調整により冷媒吐出能力を調整する電動圧縮機を使用してもよい。
圧縮機2から吐出された高圧の気相冷媒は凝縮器3に流入する。高圧の気相冷媒は、凝縮器3の冷媒流路を流れる際、外気との熱交換により冷却され、凝縮する。凝縮器3で凝縮した液冷媒は、膨張弁4にて低圧に減圧され、霧状の気液二相状態となる。この膨張弁4はオリフィスまたはノズルのような固定絞り、或いは、適宜の可変絞り等により構成される。
減圧後の低圧冷媒は、蒸発器5に流入する。蒸発器5は、図示しない空調ケース内に配置されている。低圧冷媒は、蒸発器5の冷媒流路を流れる際、図示しない空調送風機から送風される空気から吸熱して蒸発する。空調送風機から送風された空気は、蒸発器5で冷却された後、図示しないヒータコア部で温度調整されて車室内へ吹き出される。蒸発器5を通過した冷媒は、アキュムレータ10に流入する。
蒸発器5からアキュムレータ10に流入した冷媒は、そのアキュムレータ10が備えるタンク内で気相冷媒と液相冷媒とに分離される。アキュムレータ10は、タンク内に液相冷媒を貯えて気相冷媒を圧縮機2に吸入させる。また、アキュムレータ10は、タンク底部側に溜まる液冷媒中に溶け込んでいる潤滑用オイルを圧縮機2に吸入させる機能も有する。
次に、本実施形態のアキュムレータ10について詳細に説明する。
図2および図3に示すように、アキュムレータ10は、上述したタンク11、導入部20、排出部30、および熱伝導部材としてのヒートパイプ40などを備えている。なお、図2に記載した上下方向を示す矢印は、車両搭載時におけるアキュムレータ10の上下方向を示している。
タンク11は、内部に流入した冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して貯留するものである。タンク11は、タンク本体12と、このタンク本体12の上端部を塞ぐヘッダー13とから構成されている。タンク本体12とヘッダー13とは金属製であり、タンク本体12の上端部とヘッダー13とが溶接固定されている。
タンク本体12は、上端部が開放された有底円筒形状であり、内部に傘状部材50、吸込配管31および乾燥器60を収容している。タンク本体12の下方部分には、気液分離された冷媒のうち液相冷媒が貯留される。タンク本体12の上方部分には、気液分離された冷媒のうち気相冷媒が貯留される。また、冷媒と共に冷凍サイクル1を循環する潤滑用オイルは、液相冷媒に溶け込んだ状態で貯留されている。
ヘッダー13は、タンク本体12と同一径を有する扁平円柱形状である。ヘッダー13には、上下方向に開口する導入部20としての冷媒流入口21が形成されている。冷媒流入口21は、配管を経由して蒸発器5に連通している。蒸発器5で熱交換された冷媒は、冷媒流入口21からタンク本体12に流入する。
また、ヘッダー13には、上下方向に開口する排出部30としての冷媒流出口32が形成されている。冷媒流出口32は、配管を経由して圧縮機2に連通している。タンク本体12内で分離された気相冷媒は、冷媒流出口32から圧縮機2に流出する。
傘状部材50は、ヘッダー13の下側に固定されている。傘状部材50は、上下方向に延びる円筒状の側壁部51と、その側壁部51の上端側を閉塞する上壁部52とを有する。側壁部51はタンク本体12の径方向の内壁の近傍に位置している。
上壁部52のうち冷媒流入口21に対向する箇所には、上方に向けて隆起した隆起部53が設けられている。また、上壁部52のうち冷媒流出口32に対向する箇所には、開口部54が形成されている。この開口部54に吸込配管31を構成する内側配管33が挿通されている。なお、冷媒流出口32と吸込配管31とは、特許請求の範囲に記載の「排出部」の一例を構成するものである。
アキュムレータ10は、冷媒流入口21から導入した冷媒を傘状部材50に衝突させた後に、液相冷媒と気相冷媒とを分離する衝突式のものである。すなわち、冷媒流入口21から鉛直下方に流入された冷媒は、上壁部52の隆起部53に衝突した後、上壁部52とヘッダー13との間を流れ、上壁部52の外縁よりも外側に導かれる。そして、液相冷媒は、側壁部51とタンク本体12との間を流れ、タンク本体12の下方部分に溜まる。一方、気相冷媒は、側壁部51とタンク本体12との間を流れ、タンク本体12の上方部分に溜まり、その後、吸込配管31に吸い込まれてタンク11の外部に流出する。
吸込配管31は、内側配管33と外側配管34とを有する2重管式のものが用いられている。内側配管33と外側配管34とは、ともに直線管で構成され、同軸に配置されている。また、内側配管33は、外側配管34の内側に配置されている。内側配管33と外側配管34とは、直立姿勢でタンク本体12内に収められている。
内側配管33は、管状に形成され、ヘッダー13の下面に固定されている。具体的には、内側配管33は、その上端の開口の位置を冷媒流出口32に一致させた状態でヘッダー13の下面に固定されている。
外側配管34は、管状に形成され、内側配管33の外側に設けられている。外側配管34の内壁には、径方向に突出する厚肉部(図示していない)が設けられている。この厚肉部の内側に内側配管33が挿入されることにより、内側配管33と外側配管34とが固定されている。
外側配管34は、気相冷媒の吸込口となる上端開口部35が、傘状部材50の側壁部51の下端よりも上方に位置している。外側配管34の上端開口部35と傘状部材50の上壁部52との間には所定の隙間が設けられている。
また、外側配管34は、下端部が閉塞した形状であり、下端部の底にオイル戻し穴36が設けられている。液相冷媒に溶け込んだ潤滑用オイルは、外側配管34から内側配管33を流れる気相冷媒の流れによってオイル戻し穴36から吸い上げられ、気相冷媒とともに内側配管33を通り、冷媒流出口32から圧縮機2に流出する。
外側配管34の下端部の外側には、フィルタキャップ37が取り付けられている。フィルタキャップ37は、有底円筒形状に形成されている。フィルタキャップ37の側壁には、オイルに含まれるスラッジ等を除去するフィルタ38が設けられている。
図2および図3に示すように、外側配管34の上下方向の中央付近には、固定部材39が設けられている。固定部材39は、外側配管34から径方向に放射状に延びる複数本の梁を有する形状である。固定部材39は、タンク本体12の内壁に当接または隣接することで、外側配管34の径方向の移動を規制する。固定部材39と外側配管34とは、連続した材料で一体に構成されている。なお、固定部材39と外側配管34とは、別部材で構成しても良い。
固定部材39の上には、乾燥器60が設置されている。乾燥器60は、冷媒に含まれる水分を吸収する固形乾燥剤61を容器に収容した状態で用いられる。固形乾燥剤61は、例えばゼオライト等の粒子である。容器62は、例えばフェルト等の布製の袋であり、柔軟性を有するとともにフィルタとしても機能するものである。固形乾燥剤61が収容された容器62は、外側配管34の周囲に巻き付けられ、例えば結束バンド等により外側配管34に固定される。
乾燥器60は、その上端が外側配管34の上端開口部35よりも下に位置するように設置され、かつ、タンク11に液相冷媒が最も多く溜まったときの最高液面位置Lmaxよりも上に位置するように設置されている。なお、この最高液面位置Lmaxは、圧縮機2の停止時における液面位置であり、冷凍サイクル1全体に封入される封入冷媒量によって規定される。
熱伝導部材としてのヒートパイプ40は、その上端が最高液面位置Lmaxよりも上に位置し、下端がタンク11底付近に位置しており、タンク11内で上下方向に延びるように設けられている。すなわち、ヒートパイプ40は、タンク11内で気相冷媒が貯留される上方部分から液相冷媒が貯留される下方部分に亘って設けられている。ヒートパイプ40は、固定部材39に設けられた円筒状の保持部391の内側に挿入されることにより、タンク11内に固定されている。このように、固定部材39を用いることにより、ヒートパイプ40をタンク11内に簡素な構成で固定することが可能である。
ヒートパイプ40は、中空の柱状に形成された金属容器41、その金属容器41の内壁に設けられたウィック42、および減圧密封された金属容器41の内側に封入された作動液43などから構成されている。
ヒートパイプ40は、上下方向の一端が加熱されると、作動液43が吸熱して蒸発すると共に、その蒸気により一端側の気圧が上がる。そのため、作動液43の蒸気は気圧の低い他端側へ流れ、その他端で放熱して凝縮する。その凝縮した作動液43は、再びウィック42の毛細現象により一端側へ還流する。このような作動液43の蒸発、凝縮、還流により、ヒートパイプ40は、上下方向のどちらが加熱側となっても熱輸送を行うことが可能である。したがって、このヒートパイプ40により、気相冷媒と液相冷媒との間で熱伝導が生じさせることができる。
ところで、アキュムレータ10のタンク11内の冷媒は、通常であれば飽和状態にある。図4は、冷媒(例えばHFC−134a)の圧力温度特性を示すものであり、実線Aで示した飽和蒸気線(沸騰線)より右側が通常時の気体の領域であり、左側が通常時の液体の領域である。
しかしながら、アキュムレータ10のタンク11には、蒸発器5から過熱蒸気が導入される場合がある。また、アキュムレータ10のタンク11は、外部からの熱伝導により加熱または冷却される場合がある。また、アキュムレータ10のタンク11の容積に対して冷媒液面の面積が小さい場合、液面における液相冷媒の蒸発または気相冷媒の凝縮が阻害されることがある。
さらには、図5に示すように、冷媒とオイルとの相溶性の良し悪しまたは密度差などにより、液相冷媒とオイルとが分離し、液相冷媒の上にオイルの層14ができる場合がある。この場合、液相冷媒の蒸発または気相冷媒の凝縮が阻害される。
仮に本実施形態のアキュムレータ10が、上述したヒートパイプ40を備えていない場合には、上述したような種々の要因により、タンク11に貯留される液相冷媒は、表層と深層との温度分布が不均一になる。この場合、液相冷媒は、飽和蒸気線上の温度および圧力とは異なるものとなり、例えば深層の冷媒が過熱液状態となることが考えられる。この状態で、蒸発器5から過熱ガスがタンク11内に導入された場合、または圧縮機2の回転数増加などによりタンク11内が減圧された場合、または外部からタンク11に振動が伝達された場合には、過熱液状態となった液相冷媒が深層から急激に沸騰するおそれがある。これにより、液相冷媒の液面が上昇して排出部30から圧縮機2へ液相冷媒が排出されると、圧縮機2から異音が発生する等の問題が生じる。
これに対し、本実施形態のアキュムレータ10は、上述したヒートパイプ40を備えていることで、ヒートパイプ40による熱輸送により、気相冷媒と液相冷媒との温度分布を均一化し、且つ、表層の液相冷媒と深層の液相冷媒との温度分布を均一化することが可能である。また、液相冷媒は、ヒートパイプ40が備える金属容器41の表面またはその近傍で沸騰することが可能である。また、気相冷媒は、ヒートパイプ40が備える金属容器41の表面またはその近傍で凝縮することが可能である。
そのため、液相冷媒は、表層から深層に亘り液相全体で安定して蒸発し、飽和蒸気線上の温度および圧力に近づくので、例えば深層の液相冷媒が過熱液状態となることが抑制される。したがって、蒸発器5から過熱ガスがタンク11内に導入された場合、または圧縮機2の回転数増加などによりタンク11内が減圧された場合、または外部からタンク11に振動が伝達された場合でも、液相冷媒が深層から急激に沸騰することが抑制される。その結果、液相冷媒の液面が上昇して排出部30から圧縮機2へ液相冷媒が排出されることが抑制されるので、圧縮機2の異音の発生等を抑制できる。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。
本発明の第2実施形態について説明する。
なお、後述する複数の実施形態は、第1実施形態に対し熱伝導部材としてのヒートパイプ40の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
図6に示すように、第2実施形態のヒートパイプ40は、固定部材39より下側に複数枚のフィン44を有している。このフィン44は、例えば熱伝導率の高い金属材料などから板状に形成され、ヒートパイプ40の金属容器41の外壁に設けられている。フィン44は、ヒートパイプ40の周方向に所定間隔を隔てて設けられている。なお、フィン44は、ヒートパイプ40の周方向に例えば約90°間隔で設けてもよい。
第2実施形態では、ヒートパイプ40にフィン44を設けることにより、熱交換を行う面積を増加し、熱交換を促進できる。さらに、フィン44により、液相冷媒中の沸騰面を大きくできる。したがって、気相冷媒と液相冷媒との温度分布を均一化し、且つ、表層の液相冷媒と深層の液相冷媒との温度分布を均一化できる。したがって、アキュムレータ10は、液相冷媒が深層から急激に沸騰することを抑制し、圧縮機2の異音の発生等を抑制できる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。図7に示すように、第3実施形態のヒートパイプ40は、固定部材39より上側に複数枚のフィン441を有し、固定部材39より下側に複数枚のフィン442を有している。以下の説明において、固定部材39より上側のフィン44を上方フィン441といい、固定部材39より下側のフィン44を下方フィン442というものとする。また、上方フィン441と下方フィン442とを合わせて上下フィン441、442という。
本発明の第3実施形態について説明する。図7に示すように、第3実施形態のヒートパイプ40は、固定部材39より上側に複数枚のフィン441を有し、固定部材39より下側に複数枚のフィン442を有している。以下の説明において、固定部材39より上側のフィン44を上方フィン441といい、固定部材39より下側のフィン44を下方フィン442というものとする。また、上方フィン441と下方フィン442とを合わせて上下フィン441、442という。
上下フィン441、442はいずれも、例えば熱伝導率の高い金属材料などから板状に形成され、ヒートパイプ40の金属容器41の外壁に設けられている。上下フィン441、442はいずれも、ヒートパイプ40の周方向に所定間隔を隔てて設けられている。なお、上下フィン441、442は、ヒートパイプ40の周方向に例えば約90°間隔で設けてもよい。
第3実施形態では、上方フィン441により気相冷媒または液相冷媒が熱交換を行う面積を増加し、熱交換を促進できる。下方フィン442により、液相冷媒が熱交換を行う面積を大きくし、液相冷媒中の沸騰面を大きくできる。したがって、気相冷媒と液相冷媒との温度分布をより均一化し、且つ、表層の液相冷媒と深層の液相冷媒との温度分布をより均一化できる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。図8に示すように、第4実施形態のヒートパイプ40は、下方フィン442に複数の凸部45を有する。なお、複数の凸部45は、上方フィン441にも設けてもよい。また、上下フィン441、442には、複数の凸部45に代えて、複数の凹部を設けてもよい。
本発明の第4実施形態について説明する。図8に示すように、第4実施形態のヒートパイプ40は、下方フィン442に複数の凸部45を有する。なお、複数の凸部45は、上方フィン441にも設けてもよい。また、上下フィン441、442には、複数の凸部45に代えて、複数の凹部を設けてもよい。
第4実施形態では、複数の凸部45または複数の凹部により、気相冷媒または液相冷媒が熱交換を行う面積を増加し、熱交換を促進できる。また、液相冷媒中の沸騰面を大きくできる。したがって、気相冷媒と液相冷媒との温度分布をより均一化し、且つ、表層の液相冷媒と深層の液相冷媒との温度分布をより均一化できる。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について説明する。図9に示すように、第5実施形態では、乾燥器60が固定部材39の下に設けられている。乾燥器60は、冷媒に含まれる水分を吸収する固形乾燥剤61を容器62に収容した状態で用いられる。固形乾燥剤61は、例えばゼオライト等の粒子である。また、容器62は、例えばフェルト等の布製の袋であり、柔軟性を有するとともにフィルタとしても機能するものである。
本発明の第5実施形態について説明する。図9に示すように、第5実施形態では、乾燥器60が固定部材39の下に設けられている。乾燥器60は、冷媒に含まれる水分を吸収する固形乾燥剤61を容器62に収容した状態で用いられる。固形乾燥剤61は、例えばゼオライト等の粒子である。また、容器62は、例えばフェルト等の布製の袋であり、柔軟性を有するとともにフィルタとしても機能するものである。
ヒートパイプ40は、その乾燥器60の容器62の内側に挿入されている。
ところで、液相冷媒に対して固形乾燥剤61の熱伝導率が低い場合、乾燥器60の外側の液相冷媒と乾燥器60の内側の液相冷媒とに温度差が生じることが考えられる。この場合、液相冷媒は飽和蒸気線上の温度および圧力とは異なるものとなり、例えば深層の冷媒が過熱液状態となると、液相冷媒が深層から急激に沸騰するおそれがある。
そこで、第5実施形態では、ヒートパイプ40を乾燥器60の内側に挿入することにより、乾燥器60の外側の液相冷媒の温度と乾燥器60の内側の液相冷媒の温度とを近づけることが可能である。したがって、このアキュムレータ10は、液相冷媒が乾燥器60の内側から急激に沸騰することを抑制できる。
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態について説明する。図10に示すように、第6実施形態では、ヒートパイプ40は、金属容器41の外壁に外周ウィック46を有する。外周ウィック46は、例えば金網またはフェルトなどから構成されており、液相冷媒の毛管現象を生じることの可能なものである。液相冷媒は、毛管現象により、ヒートパイプ40において気相冷媒側に突出する箇所に設けられた外周ウィック46を伝い、液相冷媒の液面より上に引き上げられる。これにより、液相冷媒の蒸発面積が広くなる。また、第6実施形態では、液相冷媒に浸漬する箇所の外周ウィック46が液相冷媒の沸騰核となり、液相冷媒が表層から深層に亘り全体で安定して蒸発する。そのため、冷媒を飽和蒸気線上の温度および圧力に近づけることが可能である。したがって、液相冷媒が過熱液状態となることが抑制されるので、液相冷媒が深層から急激に沸騰することを抑制できる。
本発明の第6実施形態について説明する。図10に示すように、第6実施形態では、ヒートパイプ40は、金属容器41の外壁に外周ウィック46を有する。外周ウィック46は、例えば金網またはフェルトなどから構成されており、液相冷媒の毛管現象を生じることの可能なものである。液相冷媒は、毛管現象により、ヒートパイプ40において気相冷媒側に突出する箇所に設けられた外周ウィック46を伝い、液相冷媒の液面より上に引き上げられる。これにより、液相冷媒の蒸発面積が広くなる。また、第6実施形態では、液相冷媒に浸漬する箇所の外周ウィック46が液相冷媒の沸騰核となり、液相冷媒が表層から深層に亘り全体で安定して蒸発する。そのため、冷媒を飽和蒸気線上の温度および圧力に近づけることが可能である。したがって、液相冷媒が過熱液状態となることが抑制されるので、液相冷媒が深層から急激に沸騰することを抑制できる。
なお、第6実施形態では、外周ウィック46は、金属容器41の外壁に例えば金網またはフェルトなどを被せることに代えて、液相冷媒が毛管現象を生じることの可能な細溝部を金属容器41の外壁に形成してもよい。外周ウィック46となる細溝部は、液相冷媒が毛管現象を生じるように、上下方向に連続した溝であることが好ましい。
この構成によっても、外周ウィック46となる細溝部は、金属容器41の外壁に金網またはフェルトなどを被せた場合と同様の作用効果を奏することが可能である。
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態について説明する。図11および図12に示すように、第7実施形態では、熱伝導部材として、ヒートパイプ40に代えて、金属プレート47が使用されている。金属プレート47は、例えば熱伝導率の高い金属材料などから板状に形成され、上下方向に垂直な断面視において、交差する形状に形成されている。なお、金属プレート47は、このような形状に限らず、種々の形状とすることが可能である。
本発明の第7実施形態について説明する。図11および図12に示すように、第7実施形態では、熱伝導部材として、ヒートパイプ40に代えて、金属プレート47が使用されている。金属プレート47は、例えば熱伝導率の高い金属材料などから板状に形成され、上下方向に垂直な断面視において、交差する形状に形成されている。なお、金属プレート47は、このような形状に限らず、種々の形状とすることが可能である。
金属プレート47は、固定部材39設けられた保持部391に支持されることにより、タンク11内に固定されている。このように、固定部材39を用いることで、ヒートパイプ40をタンク11内に簡素な構成で固定することが可能である。
第7実施形態では、熱伝導部材を金属プレート47とすることで、冷媒の熱伝導を簡素な構成で行うことができる。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、アキュムレータは、冷凍サイクルを構成する蒸発器と圧縮機との間に配置されるものであり、タンク、導入部、排出部および熱伝導部材を備える。タンクは、冷凍サイクルを循環する冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して貯留する。導入部は、蒸発器から流出した冷媒をタンク内に導入する。排出部は、タンク内の上方部分に貯留された気相冷媒をタンクから圧縮機へ排出する。熱伝導部材は、タンク内で気相冷媒が貯留される上方部分から液相冷媒が貯留される下方部分に亘り設けられ、気相冷媒と液相冷媒との間で熱伝導を生じさせる。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上述の実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、アキュムレータは、冷凍サイクルを構成する蒸発器と圧縮機との間に配置されるものであり、タンク、導入部、排出部および熱伝導部材を備える。タンクは、冷凍サイクルを循環する冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して貯留する。導入部は、蒸発器から流出した冷媒をタンク内に導入する。排出部は、タンク内の上方部分に貯留された気相冷媒をタンクから圧縮機へ排出する。熱伝導部材は、タンク内で気相冷媒が貯留される上方部分から液相冷媒が貯留される下方部分に亘り設けられ、気相冷媒と液相冷媒との間で熱伝導を生じさせる。
第2の観点によれば、アキュムレータは、タンク内に設けられた管状の排出部から径方向外側に延びてタンク内で排出部を位置決めすると共に、熱伝導部材を固定する固定部材をさらに備える。
これによれば、熱伝導部材をタンク内に簡素な構成で固定することが可能である。
第3の観点によれば、熱伝導部材は、その外壁に設けられるフィンを有する。
これによれば、熱伝導部材が熱交換を行う面積を大きくし、液相冷媒中の沸騰面を大きくできる。したがって、気相冷媒と液相冷媒との温度分布を均一化し、且つ、表層の液相冷媒と深層の液相冷媒との温度分布を均一化できる。
第4の観点によれば、フィンは、熱伝導部材の外壁において固定部材より上側に設けられる上方フィンと、熱伝導部材の外壁において固定部材より下側に設けられる下方フィンとを有する。
これによれば、上方フィンにより熱伝導部材が気相冷媒と熱交換を行う面積を大きくすることが可能である。下方フィンにより、熱伝導部材が液相冷媒と熱交換を行う面積を大きくし、液相冷媒中の沸騰面を大きくできる。
第5の観点によれば、フィンは、凸部または凹部を有する。
これによれば、熱伝導部材が熱交換を行う面積を大きくし、液相冷媒中の沸騰面を大きくできる。
第6の観点によれば、アキュムレータは、冷媒に含まれる水分を吸収する固形乾燥剤を有する乾燥器をさらに備える。熱伝導部材は、その乾燥器の内側に挿入されている。
これによれば、液相冷媒に対して固形乾燥剤の熱伝導率が低い場合、乾燥器の外側の液相冷媒と乾燥器の内側の液相冷媒とに温度差が生じることが考えられる。そこで、熱伝導部材を乾燥器の内側に挿入することにより、乾燥器の外側の液相冷媒の温度と乾燥器の内側の液相冷媒の温度とを近づけることが可能である。したがって、このアキュムレータは、乾燥器の内側の液相冷媒が急激に沸騰することを抑制できる。
第7の観点によれば、熱伝導部材は、その外壁に毛管現象を生じることの可能な外周ウィックを有する。
これによれば、液相冷媒に浸漬する箇所の外周ウィックが液相冷媒の沸騰核となり、液相冷媒が表層から深層に亘り全体で安定して蒸発する。また、熱伝導部材において気相冷媒側に突出する箇所に設けられた外周ウィックを液相冷媒が伝うので、液相冷媒の蒸発面積が広くなる。そのため、冷媒を飽和蒸気線上の温度および圧力に近づけることが可能である。したがって、液相冷媒が過熱液状態となることが抑制されるので、液相冷媒が深層から急激に沸騰することを抑制できる。
第8の観点によれば、熱伝導部材は、その外壁に毛管現象を生じることの可能な外周ウィックとしての細溝部を有する。
これによれば、アキュムレータは、外周ウィックに代えて、熱伝導部材の外壁に細溝部を設けることで、外周ウィックと同様の作用効果を奏することが可能である。
第9の観点によれば、熱伝導部材はヒートパイプである。
これによれば、熱伝導部材は、冷媒の熱伝導を高効率に行うことができる。
第10の観点によれば、熱伝導部材は金属プレートである。
これによれば、熱伝導部材は、簡素な構成で冷媒の熱伝導を行うことができる。
1 ・・・冷凍サイクル
5 ・・・蒸発器
2 ・・・圧縮機
10・・・アキュムレータ
11・・・タンク
20・・・導入部
30・・・排出部
40・・・ヒートパイプ
47・・・金属プレート
5 ・・・蒸発器
2 ・・・圧縮機
10・・・アキュムレータ
11・・・タンク
20・・・導入部
30・・・排出部
40・・・ヒートパイプ
47・・・金属プレート
Claims (10)
- 冷凍サイクル(1)を構成する蒸発器(5)と圧縮機(2)との間に配置されるアキュムレータであって、
前記冷凍サイクルを循環する冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して貯留するタンク(11)と、
前記蒸発器から流出した冷媒をタンク内に導入する導入部(20)と、
前記タンク内の上方部分に貯留された気相冷媒を前記タンクから前記圧縮機へ排出する排出部(30)と、
前記タンク内で気相冷媒が貯留される上方部分から液相冷媒が貯留される下方部分に亘り設けられ、気相冷媒と液相冷媒との間で熱伝導を生じさせる熱伝導部材(40、47)と、を備えるアキュムレータ。 - 前記タンク内に設けられた管状の前記排出部から径方向外側に延びて前記タンク内で前記排出部を位置決めすると共に、前記熱伝導部材を固定する固定部材(39)をさらに備える請求項1に記載のアキュムレータ。
- 前記熱伝導部材は、その外壁に設けられるフィン(44)を有する請求項2に記載のアキュムレータ。
- 前記フィンは、
前記熱伝導部材の外壁において前記固定部材より上側に設けられる上方フィン(441)と、
前記熱伝導部材の外壁において前記固定部材より下側に設けられる下方フィン(442)と、を有する請求項3に記載のアキュムレータ。 - 前記フィンは、凸部(45)または凹部を有する請求項3または4に記載のアキュムレータ。
- 冷媒に含まれる水分を吸収する固形乾燥剤(61)を有する乾燥器(60)をさらに備え、
前記熱伝導部材は、前記乾燥器の内側に挿入されている請求項1ないし5のいずれか1項に記載のアキュムレータ。 - 前記熱伝導部材は、その外壁に毛管現象を生じることの可能な外周ウィック(46)を有する請求項1ないし6のいずれか1項に記載のアキュムレータ。
- 前記熱伝導部材は、その外壁に毛管現象を生じることの可能な外周ウィックとしての細溝部を有する請求項1ないし7のいずれか1項に記載のアキュムレータ。
- 前記熱伝導部材はヒートパイプ(40)である請求項1ないし8のいずれか1項に記載のアキュムレータ。
- 前記熱伝導部材は金属プレート(47)である請求項1ないし9のいずれか1項に記載のアキュムレータ。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2016090782A JP2017198408A (ja) | 2016-04-28 | 2016-04-28 | アキュムレータ |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2019073934A1 (ja) | 2017-10-12 | 2019-04-18 | Agc株式会社 | 含フッ素弾性共重合体組成物、塗料、および塗装物品 |
WO2021100514A1 (ja) * | 2019-11-19 | 2021-05-27 | 株式会社堀場製作所 | 粒子径分布測定装置、及び、粒子径分布測定方法 |
-
2016
- 2016-04-28 JP JP2016090782A patent/JP2017198408A/ja active Pending
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GB2606074A (en) * | 2019-11-19 | 2022-10-26 | Horiba Ltd | Device for measuring particle diameter distribution, and method for measuring particle diameter distribution |
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