JP2017197614A - 共重合体、医療デバイスおよびその製造方法、医療デバイス用湿潤剤および化合物 - Google Patents
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Abstract
Description
医療デバイスの中でも、眼用レンズ、特にコンタクトレンズにおいては、装用者にとって、レンズ表面と角膜やまぶた間の摩擦力増大によって引き起こされるレンズ挿入直後の初期不快感が問題の1つに挙げられており、装用感の悪化のみならず、角膜損傷のリスクを高める恐れがあるとされている。
例えば、高含水率のソフトコンタクトレンズは、少量の架橋剤存在下、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)のような親水性モノマーを重合することにより形成される含水ゲル(ハイドロゲル)により作られており、アクリル酸などの酸性成分を共重合することで水濡れ性を高めてはいるが、レンズ表面の易滑性には乏しいという問題がある。
また、低含水性あるいは非含水性のソフトコンタクトレンズは、疎水性のモノマーを用いることが多いために、易滑性はおろか水濡れ性さえも乏しいことから、親水性を付与する表面改質処理が必須とされている。
レンズ表面の易滑性を高めることは、レンズ挿入直後の初期不快感の軽減に繋がることから、様々な高分子によるレンズ表面への易滑性付与が考えられている。
特許文献1には、親水性高分子であるポリビニルピロリドン(PVP)をブリスターパック中に封入された包装溶液に添加し、これにコンタクトレンズを浸漬させて蒸気滅菌することで、高含水性レンズ表面に易滑性を付与する方法が開示されている。
特許文献2には、ヒドロキシル官能基化ポリ(ビニルピロリドン)あるいはポリ(ビニルピロリドン−co−アリルアルコール)と無水コハク酸との反応によって生じる酸末端PVPを含む包装溶液にコンタクトレンズを浸漬し、蒸気滅菌することで、シリコーンヒドロゲルレンズ表面に易滑性を付与する方法が開示されている。
ところで、ホスホリルコリン類似基含有化合物は、生体膜に由来するリン脂質類似構造に起因して、血液適合性、補体非活性化、生体物質非吸着性などの生体適合性に優れ、しかも非常に親水性が高く、保湿性が高いなどの優れた性質を有することが知られている。そこで、ホスホリルコリン類似基を有する、生体関連材料の開発を目的とした化合物の合成およびその用途に関する研究開発が活発に行われている。
本発明では、上記従来技術とは異なるアプローチにて、表面処理により、コンタクトレンズのような医療デバイスに、こすり洗いによっても低下することのない易滑性を付与できるような高分子、また、上記高分子を形成するモノマーとしての化合物、また、上記高分子を表面に有し、易滑性が付与された医療デバイス、さらに、上記高分子が含まれてなる湿潤剤を提供することを目的とする。
1.構成単位として一般式[I]で表される化合物と一般式[III]で表される化合物とを含む、共重合体。
2.Zが(メタ)アクリロイル基である、上記1記載の共重合体。
3.mが0または1である、上記1または2に記載の共重合体。
4.nが1である、上記1〜3のいずれか一項に記載の共重合体。
5.上記1〜4のいずれか一項に記載の共重合体を、医療デバイス基材の表面上の少なくとも一部に有してなる、医療デバイス。
6.前記医療デバイスが眼用レンズである、上記5記載の医療デバイス。
7.前記眼用レンズがコンタクトレンズである、上記6記載の医療デバイス。
8.上記1〜4のいずれか一項に記載の共重合体を含有する、医療デバイス用湿潤剤。
9.前記医療デバイスが眼用レンズである、上記8記載の医療デバイス用湿潤剤。
10.前記眼用レンズがコンタクトレンズである、上記9記載の医療デバイス用湿潤剤。
11.前記医療デバイス用湿潤剤が、コンタクトレンズ用外部湿潤剤である、上記10記載の医療デバイス用湿潤剤。
12.医療デバイス基材と上記8〜11のいずれか一項に記載の医療デバイス用湿潤剤とを容器中に入れ、加熱処理する工程を経て得られる、医療デバイスの製造方法。
13.一般式[I]で表される化合物と一般式[III]で表される化合物とを共重合して得られる、共重合体の製造方法。
14.一般式[IV]で表される化合物。
15.Zが(メタ)アクリロイル基である、上記14記載の化合物。
16.mが0または1である、上記14または15に記載の化合物。
17.nが1である、上記14〜16のいずれか一項に記載の化合物。
R1、R2およびR3は、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表す。アルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
Zは、ビニル基またはアリル基を含むラジカル重合可能な重合性基を表す。好ましくは(メタ)アクリロイル基である。
ビニル基またはアリル基を含むラジカル重合可能な重合性基とは、例えば、ラジカル開始剤などのラジカル源に暴露させた際に、付加重合を起こすことが可能なビニル基またはアリル基を含む官能基を指す。かかる重合性基としては、例えば、ビニル基、アリル基、ビニルオキシ基、アリルオキシ基、ビニルカルバメート基、アリルカルバメート基、ビニルカーボネート基、アリルカーボネート基、アクリロイル基、メタクリロイル基、スチリル基などが挙げられる。これらのうち、アクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい。
R7はアルキル基を表し、直鎖状でも分岐状でもよく、炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、2−プロピル基、ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられる。
本発明における共重合体は、前述の一般式[I]で表される化合物と、前述の一般式[III]で表される化合物とを構成単位としている。これらは線状または枝分かれ、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体とすることができるが、特に限定されるものではない。また、本発明の効果が得られなくなるものではない限り、他に添加剤などを含むものであってもよい。
本発明における共重合体中の前述の一般式[I]で表される化合物と前述の一般式[III]で表される化合物のそれぞれの含有率は、特に限定されるものではないが、一般式[I]で表される化合物の含有率が1〜60モル%であることが好ましく、一般式[III]で表される化合物の含有率が40〜99モル%であることが好ましく、一般式[I]で表される化合物の含有率が5〜50モル%であることがより好ましく、一般式[III]で表される化合物の含有率が50〜95モル%であることがより好ましい。上記上限及び下限のいずれを組合わせた範囲であってもよい。
本発明の共重合体を重合により得る際には、重合を促進するために重合開始剤を加えてもよい。好適な開始剤としては、過酸化物やアゾ化合物等の熱重合開始剤、光重合開始剤(紫外光、可視光又は組み合わせの場合がある)又はそれらの混合物が挙げられる。熱重合を行う場合は、所望の反応温度に対して最適な分解特性を有する熱重合開始剤を選択して使用する。一般的には10時間半減期温度が40℃〜120℃のアゾ系開始剤又は過酸化物系開始剤が好ましい。光重合開始剤としてはカルボニル系化合物、過酸化物、アゾ化合物、硫黄化合物、ハロゲン化合物、金属塩等が挙げられる。
熱重合開始剤の具体例としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、過酸化ベンゾイルなどが挙げられる。
光重合開始剤の具体例としては、芳香族α‐ヒドロキシケトン、アルコキシオキシベンゾイン、アセトフェノン、アシルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、及び第三級アミン+ジケトン、これらの混合物などが挙げられる。光重合開始剤の例としては、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(“イルガキュア”(登録商標)819)、2,4,6−トリメチルベンジルジフェニルホスフィンオキシド及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾインメチルエーテル、及びカンファーキノンとエチル4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾエートとの組合せが挙げられる。
かかる医療デバイスを構成する基材としては、本発明の共重合体との間に強固な密着性を得るために、ケイ素原子を含むことが好ましい。具体的には、ケイ素原子を基材に1質量%以上含むことが好ましい。ケイ素原子の含有量(質量%)は、乾燥状態の基材質量を基準(100質量%)として算出される。基材のケイ素原子含有率は、2質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、7質量%以上がさらに好ましく、10質量%以上が最も好ましい。また、ケイ素原子の含有率が大きすぎる場合は引張弾性率が大きくなる場合があり好ましくないことがあるため、基材のケイ素原子含有率は、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が最も好ましい。特に医療デバイスがコンタクトレンズ用途である場合には硬すぎない様にするため、36質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、26質量%以下がさらに好ましい。なお、上限値と下限値はどれとどれを組み合わせても良い。また、上記ケイ素原子は、シロキサニル基として存在してもよい。上記シロキサニル基と、末端に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基等のラジカル重合可能な官能基とを有するモノマーを重合した化合物を好適に用いることができ、両末端にメタクリロイルオキシ基を有するポリジメチルシロキサン等のシロキサン化合物が例示される。かかるケイ素原子含有化合物に、N,N−ジメチルアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニルアミド類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類およびそのアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートメチルエーテルなどのポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート類およびそのメチルエーテル類等の親水性化合物、および必要に応じてポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート類、N,N−メチレンビスアクリルアミド、多官能性(メタ)アクリレート等の架橋性化合物を混合し、共重合物を得て基材とすることもできる。また、医療デバイスを低含水性にする場合には、かかるケイ素原子含有化合物に、アクリル酸ブチルやアクリル酸エチルヘキシル等のアルキル(メタ)アクリレート類を用いることもできる。
<分析方法および評価方法>
(1)NMR測定
日本電子(株)製JNM−EX270核磁共鳴装置を用いて測定した。約5mgの測定対象化合物を、約0.6mLの重水素化溶媒に溶解した溶液を測定サンプルとして、1H−NMRを測定した。
(2)FT−IR
Nicolet社製FT−IR Avatar 360を用い、ATR法にて測定した。
(3)ポリマーの分子量測定
島津製作所製 Prominence GPCシステムを用いて測定した。装置構成は以下の通りである。ポンプ:LC−20AD、オートサンプラ:SIL−20AHT、カラムオーブン:CTO−20A、検出器:RID−10A、カラム:東ソー社製GMPWXL(内径7.8mm×30cm、粒子径13μm)。溶出溶媒として、水/メタノール=1/1(0.1N硝酸リチウム添加)、またはN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を使用し、流速:0.5mL/分、測定時間:30分で測定した。サンプル濃度は0.2質量%とし、サンプル注入量を20μLとした。検量線はAgilent社製PEG/PEO標準サンプル(0.1kD〜1258kD)を用いて算出したデータから求めた。
(4)易滑性評価
実施例、比較例で得られたコンタクトレンズを蒸気滅菌した後、包装溶液から引き上げ、人指で5回擦った時の感応評価を下記5段階の評価により行って、易滑性(初期易滑性)とした。
(5)コート液の透明性
実施例で得られた共重合体の10質量%メタノール溶液を、RO水で1質量%溶液に希釈して作製したコート液について、目視による透明性評価を下記5段階の評価により行って、コート液の透明性とした。
<化合物の合成>
合成例1
2−((3−アクリルアミドプロピル)ジメチルアミノ)エチルメチルホスフェート(以下、AmAP−1)の合成:
冷却管、塩化カルシウム乾燥管、窒素導入管、温度計を備えた100mL三ツ口フラスコに窒素気流下、上記2−メトキシ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン(12.28g、89.9mmol)、無水アセトニトリル(50mL)、N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)アクリルアミド(DMAPAm、42.96g、275mmol)を加え、55℃にて17時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、無水アセトン500mLに加えて数分間撹拌し、上澄み液と沈殿物(沈殿物1)をデカンテーションで分離した。上記上澄み液を減圧濃縮し、残渣(黄色油状物)を酢酸エチル約400mLに懸濁させた後、上澄み液と沈殿物(沈殿物2)をデカンテーションで分離した。上記沈殿物1および沈殿物2をメタノール33.97gに溶解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル73g、溶出溶媒:アセトン/メタノール(体積比=1/0、10/1、5/1、4/1、2/1))にて精製して、AmAP−1を13.19g得た(収率70%)。
1H-NMR(CD3OD)δppm:1.98(m, 2H, -CONHCH2CH2CH2N(CH3)2-), 3.09(s, 9H, N(CH3)2及びPOCH3), 3.33(m, 4H, -CH2N(CH3)2CH2-), 4.12(4H, P(=O)-O-CH2-及び-CONHCH2-), 5.61(dd, 1H, CH2=CH), 6.20(m, 2H, CH2=CH-).
FT-IR v max/cm-1:3249 (NH), 1664 (C=O), 1626 (C=C), 1223 (P-O), 1049 (P-O-C).
合成例2
2−((3−アクリルアミドプロピル)ジメチルアミノ)エチルイソプロピルホスフェート(以下、AmAP−2)の合成:
冷却管、塩化カルシウム乾燥管、窒素導入管、温度計を備えた200mL三ツ口フラスコに窒素気流下、上記2−イソプロポキシ−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン(27.02g、163mmol)、無水アセトニトリル(90mL)、DMAPAm(28.30g、181mmol)を加え、70℃にて22.5時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、減圧濃縮した。残渣の黄色油状物を無水メタノール約30mLに溶解させた後、無水ジエチルエーテル400mLに加えて数分間撹拌し、上澄み液をデカンテーションで除去した。上記操作を3回繰り返し、残った黄色油状物に無水メタノールを加えて溶解した後、減圧濃縮し、真空ポンプの減圧下で乾燥させて、AmAP−2を黄色油状物として37.19g得た(収率70%)。
1H-NMR(CD3OD)δppm:1.26(s, 6H, -CH(CH3)2), 2.04(m, 2H, -CONHCH2CH2CH2-), 3.18(s, 6H, -N+(CH3)2-), 3.33(m, 2H, -CONHCH2-), 3.35(m, 4H, -CH2N+(CH3)2CH2-), 4.22(m, 2H, -CH2O-POCH<), 4.44(m, 1H, -CH2O-POCH<), 5.67(dd, 1H, CH2=CH-), 6.26(m, 2H, CH2=CH-).
FT-IR v max/cm-1:3238 (NH), 1665 (C=O), 1627 (C=C), 1237 (P-O), 1076 (P-O-C).
合成例3
2−((3−アクリルアミドプロピル)ジメチルアミノ)エチル(2−(2−メトキシエトキシ)エチル)ホスフェート(以下、AmAP−3)の合成:
冷却管、塩化カルシウム乾燥管、窒素導入管、温度計を備えた200mL三ツ口フラスコに窒素気流下、上記2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン(39.88g、176mmol)、無水アセトニトリル(90mL)、DMAPAm(30.30g、194mmol)を加え、70℃にて20時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、減圧濃縮した。残渣の黄色油状物を無水メタノール約30mLに溶解させた後、無水ジエチルエーテル400mLに加えて数分間撹拌し、上澄み液をデカンテーションで除去した。上記操作を3回繰り返し、残った黄色油状物に無水メタノールを加えて溶解した後、減圧濃縮し、真空ポンプの減圧下で乾燥させて、一般式[IV]を満たすAmAP−3を黄色油状物として45.14g得た(収率66%)。
1H-NMR(CD3OD)δppm:2.00(m, 2H, -CONHCH2CH2CH2-), 3.14(s, 6H, -N+(CH3)2-), 3.32(s, 3H, CH3O-), 3.27〜3.67(m, 10H, -CONHCH2-, -CH2N+ (CH3)2CH2-, -POCH2CH2O-CH2CH2OCH3), 3.95(m, 2H, -POCH2CH2-), 4.26(m, 4H, -CH2CH2OP(=O)(-O-) OCH2CH2-), 5.64(dd, 1H, CH2=CH-), 6.22(m, 2H, CH2=CH-).
FT-IR v max/cm-1:3268 (NH), 1665 (C=O), 1626 (C=C), 1239 (P-O), 1057 (P-O-C).
合成例4
2−((3−アクリルアミドプロピル)ジメチルアミノ)エチル2,5,8,11−テトラオキサトリデカン−13−イルホスフェート(以下、AmAP−4)の合成:
冷却管、塩化カルシウム乾燥管、窒素導入管、温度計を備えた200mL三ツ口フラスコに窒素気流下、上記2−(2,5,8,11−テトラオキサトリデカン−13−イルオキシ)−2−オキソ−1,3,2−ジオキサホスホラン(56.61g、180mmol)、無水アセトニトリル(90mL)、DMAPAm(30.95g、198mmol)を加え、70℃にて18時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、減圧濃縮した。残渣の黄色油状物を無水メタノール約30mLに溶解させた後、無水ジエチルエーテル400mLに加えて数分間撹拌し、上澄み液をデカンテーションで除去した。上記操作を3回繰り返し、残った黄色油状物に無水メタノールを加えて溶解した後、減圧濃縮し、真空ポンプの減圧下で乾燥させて、一般式[IV]を満たすAmAP−4を黄色油状物として49.64g得た(収率58%)。
1H-NMR(CD3OD)δppm:1.97(m, 2H, -CONHCH2CH2CH2-), 3.11(s, 6H, -N+(CH3)2-), 3.32(s, 3H, CH3O-), 3.33〜3.70(m, 18H, -CONHCH2-, -CH2N+ (CH3)2CH2-, -POCH2CH2O(CH2CH2)3OCH3), 3.98(m, 2H,-POCH2CH2-), 4.22(m, 4H, -CH2CH2OP(=O)(-O-) OCH2CH2-), 5.67(dd, 1H, CH2=CH-), 6.24(m, 2H, CH2=CH-).
FT-IR v max/cm-1:3242 (NH), 1665 (C=O), 1628 (C=C), 1239 (P-O), 1049 (P-O-C).
合成例5
2−((3−アクリルアミドプロピル)ジメチルアミノ)エチル2,5,8,11,14,17,20−ヘプタオキサドコサン−22−イルホスフェート(以下、AmAP−5)の合成:
1H-NMR(CD3OD)δppm:1.92(m, 2H, -CONHCH2CH2CH2-), 3.26(s, 6H, -N+(CH3)2-), 3.30(s, 3H, CH3O-), 3.40〜3.66(m, 30H, -CONHCH2-, -CH2N+ (CH3)2CH2-, -POCH2CH2-(O CH2CH2)6OCH3), 3.94(m, 2H, -POCH2CH2-), 4.19(m, 4H, -CH2CH2OP(=O)(-O-) OCH2CH2-), 5.61(dd, 1H, CH2=CH-), 6.20(m, 2H, CH2=CH-).
FT-IR v max/cm-1:3247 (NH), 1666 (C=O), 1626 (C=C), 1243 (P-O), 1035 (P-O-C)
合成例6
2−アクリルアミドエチル(2−(エチルジメチルアンモニオ)エチル)ホスフェート(以下、AmPA)の合成:
塩化カルシウム乾燥管を装着した冷却管、窒素導入管、温度計を備えた300mL三ツ口フラスコに窒素気流下、上記中間体N−(2−((2−オキシド−1,3,2−ジオサフォスフォラン−2−イル)オキシ)エチル)アクリルアミド(39.01g、176mmol)、無水ジクロロメタン(100mL)、無水アセトニトリル(50mL)、ジメチルエチルアミン(38.71g、529mmol)を加え、44〜45℃にて18時間加熱攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、窒素バッグ中にて、反応液を減圧ろ過してジメチルエチルアミン塩酸塩を除去した。ろ液を無水アセトン(350mL)に注ぎ込み、析出した淡黄色沈殿物をデカンテーションにより得た。得られた淡黄色油状物を無水メタノール(約150mL)に溶解させた後、無水アセトン(約200mL)に加え、上澄み液をデカンテーションで除去した。得られた黄色油状物に無水アセトン(200mL)を加え、冷蔵庫内にて一晩静置した後、沈殿物をメタノール(約50mL)に溶解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:アセトン/メタノール(体積比=1/0、20/1、10/1、5/1、1/1、0/1))にて精製して、AmPAを1.36g得た(収率2.62%)。得られたAmPAは、27質量%メタノール溶液とした。
1H-NMR(CD3OD)δppm 1.36(3H, NCH2CH3), 3.10(6H, EtN(CH3)2-), 3.47(2H, NCH2CH3), 3.50(2H, P-OCH2CH2NMe2Et), 3.92(2H, CONH-CH2CH2O-), 4.03, 4.21(各2H, -CH2CH2-O-P-O-CH2CH2-), 5.64(1H), 6.20(2H)(CH2=CH-)
<共重合モノマーの合成>
合成例7
N−ブチルアクリルアミド(以下、BAAm)の合成:
精製したBAAmに重合禁止剤BHTを500ppm添加して、冷蔵保管した。
1H-NMR(CDCl3)δppm:0.91(t, 3H, -CONHCH2CH2CH2CH3), 1.34(sixt, 2H, -CONHCH2CH2CH2CH3), 1.49(quint, 2H, -CONHCH2CH2CH2CH3), 3.31(q, 2H, -CONHCH2CH2CH2CH3), 5.85(br.s, 1H, -CONHCH2-), 5.59(dd, 1H, CH2=CH-), 6.12(dd, 1H, CH2=CH-), 6.28(d, 1H, CH2=CH-).
<共重合体の合成>
実施例1
ポリ(AmAP−1/BMA)(20/80)の合成:
合成例1記載のAmAP−1を、メタクリル酸ブチル(BMA)と共重合した(重合モル比20/80)。
実施例2
ポリ(AmAP−2/BMA)(30/70)の合成:
合成例2記載のAmAP−2を、BMAと共重合した(重合モル比30/70)。
実施例3
ポリ(AmAP−3/BMA)(10/90)の合成:
合成例3記載のAmAP−3を、BMAと共重合した(重合モル比10/90)。
実施例4
ポリ(AmAP−4/BMA)(10/90)の合成:
合成例4記載のAmAP−4を、BMAと共重合した(重合モル比10/90)。
実施例5
ポリ(AmAP−5/BMA)(10/90)の合成:
合成例5記載のAmAP−5を、BMAと共重合した(重合モル比10/90)。
実施例6
ポリ(AmAP−2/BAAm)(10/90)の合成:
合成例2記載のAmAP−2を、合成例7記載のBAAmと共重合した(重合モル比10/90)。
実施例7
ポリ(AmAP−2/BAAm)(30/70)の合成:
合成例2記載のAmAP−2を、合成例7記載のBAAmと共重合した(重合モル比30/70)。
実施例8
ポリ(AmAP−2/BAAm)(50/50)の合成:
合成例2記載のAmAP−2を、合成例7記載のBAAmと共重合した(重合モル比50/50)。
実施例9
ポリ(AmAP−3/BAAm)(10/90)の合成:
合成例3記載のAmAP−3を、合成例7記載のBAAmと共重合した(重合モル比10/90)。
実施例10
ポリ(AmAP−3/BAAm)(30/70)の合成:
合成例3記載のAmAP−3を、合成例7記載のBAAmと共重合した(重合モル比30/70)。
実施例11
ポリ(AmAP−4/BAAm)(10/90)の合成:
合成例4記載のAmAP−4を、合成例7記載のBAAmと共重合した(重合モル比10/90)。
実施例12
ポリ(AmAP−4/BAAm)(30/70)の合成:
合成例4記載のAmAP−4を、合成例7記載のBAAmと共重合した(重合モル比30/70)。
実施例13
ポリ(AmAP−5/BAAm)(10/90)の合成:
合成例5記載のAmAP−5を、合成例7記載のBAAmと共重合した(重合モル比10/90)。
実施例14
ポリ(AmAP−5/BAAm)(30/70)の合成:
合成例5記載のAmAP−5を、合成例7記載のBAAmと共重合した(重合モル比30/70)。
比較例1
ポリ(AmPA/BMA)(10/90)の合成:
合成例6記載のAmPAをBMAと共重合した(重合モル比10/90)。
実施例1〜14および比較例1で合成した共重合体の質量平均分子量(Mw)および重合前、重合後のモル分率を表1に示す。なお、これらの共重合体は、得られた後、10質量%の濃度にてメタノールに溶解させた。
製造例1
式(M1)で表される両末端にメタクリロイル基を有するポリジメチルシロキサン(FM7726、JNC株式会社、Mw 30,000)(28質量部)、式(M2)で表されるシリコーンモノマー(7質量部)、トリフルオロエチルアクリレート(ビスコート(登録商標)3F、大阪有機化学工業株式会社)(57.9質量部)、2−エチルへキシルアクリレート(東京化成工業株式会社)(7質量部)およびジメチルアミノエチルアクリレート(株式会社興人)(0.1質量部)と、これらの混合物の総質量に対し、光開始剤イルガキュア(登録商標)819(長瀬産業株式会社)(5000ppm)、紫外線吸収剤(RUVA-93、大塚化学)(5000ppm)、着色剤(RB246、Arran chemical)(100ppm)とを準備して、さらにt−アミルアルコール(10質量部)を準備して、これら全てを混合し、撹拌した。撹拌された混合物をメンブレンフィルター(孔径:0.45μm)でろ過して不溶分を除いてモノマー混合物を得た。
実施例15
実施例1で得られた共重合体の10質量%メタノール溶液を、RO水で1質量%溶液に希釈して、コート液とした。製造例1で作製したコンタクトレンズ基材を、前記コート液2.5mLに浸漬し、室温にて80rpmで1.5時間震とうさせた後、コート液から取り出し、上記評価方法にて易滑性を評価した。
実施例16〜27
実施例1で得られた共重合体を、表2の通りに実施例2〜14で得られた共重合体にそれぞれ変える以外は、実施例15と同様にして、易滑性を評価した。
比較例2
実施例1で得られた共重合体を、表2の通りに比較例1で得られた共重合体に変える以外は、実施例15と同様にして、易滑性を評価した。
比較例3
実施例1で得られた共重合体を、表2の通りになしとする以外は実施例15と同様にして、易滑性を評価した。
Claims (17)
- 構成単位として、一般式[I]で表される化合物と一般式[III]で表される化合物とを含む、共重合体。
- Zが(メタ)アクリロイル基である、請求項1記載の共重合体。
- mが0または1である、請求項1または2に記載の共重合体。
- nが1である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の共重合体。
- 前記請求項1〜4のいずれか一項に記載の共重合体を、医療デバイス基材の表面上の少なくとも一部に有してなる、医療デバイス。
- 前記医療デバイスが眼用レンズである、請求項5記載の医療デバイス。
- 前記眼用レンズがコンタクトレンズである、請求項6記載の医療デバイス。
- 前記請求項1〜4のいずれか一項に記載の共重合体を含有する、医療デバイス用湿潤剤。
- 前記医療デバイスが眼用レンズである、請求項8記載の医療デバイス用湿潤剤。
- 前記眼用レンズがコンタクトレンズである、請求項9記載の医療デバイス用湿潤剤。
- 前記医療デバイス用湿潤剤が、コンタクトレンズ用外部湿潤剤である、請求項10記載の医療デバイス用湿潤剤。
- 医療デバイス基材と請求項8〜11のいずれか一項に記載の医療デバイス用湿潤剤とを容器中に入れ、加熱処理する工程を経て得られる、医療デバイスの製造方法。
- 一般式[I]で表される化合物と一般式[III]で表される化合物とを共重合して得られる、共重合体の製造方法。
- Zが(メタ)アクリロイル基である、請求項14記載の化合物。
- mが0または1である、請求項14または15に記載の化合物。
- nが1である、請求項14〜16のいずれか一項に記載の化合物。
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