JP2017196620A - シールド工法における汚染土壌浄化方法及びシステム - Google Patents

シールド工法における汚染土壌浄化方法及びシステム Download PDF

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Abstract

【課題】シールド工法において、重金属を含む掘削土を効率的かつ確実に浄化し、掘削土の処分費用も低減可能とする。
【解決手段】シールド工法で発生した掘削土に、重金属を吸着する吸着材を添加し、重金属を吸着した吸着材を掘削土より分離する。掘削土を流動体として移送する際に、吸着材と掘削土が混合処理され、掘削土からの重金属の分離が促進される。
【選択図】図1

Description

本発明は、シールド工法における汚染土壌浄化方法に関するものであり、具体的には、シールド工法において、重金属を含む掘削土を効率的かつ確実に浄化し、掘削土の処分費用も低減可能とする技術に関する。
道路や鉄道線路等を小さい土被り厚でアンダーパスしたり、様々な地盤状況に幅広く対応してトンネル掘削を施工できるシールド工法は、難しい施工条件が増えつつある現況で適用範囲を広げている。一方、そうしたシールド工法で掘削対象となる地盤に、重金属が含まれる地域もあり、その場合、必要に応じて掘削土と不溶化材を混合し、重金属が周囲に溶出しないよう対処することがある。不溶化材を用いた従来の汚染土壌処理技術としては、以下のようなものがある。
例えば、重金属類( 砒素、シアン、水銀、六価クロム、鉛、カドミウム、ふっ素、ほう素)の汚染土壌領域に密閉型シールドトンネル工法を利用して管路を施工する際に、発生する掘削残土に含まれる重金属類を密閉型シールド機の切羽前面で不溶化する工法(特許文献1参照)などが提案されている。
また、シールド切羽にて汚染土壌の浄化剤を地山に添加する工程と、シールド掘削機のチャンバ内に取り込まれる浄化剤を含む掘削土を、攪拌手段で攪拌混合する工程と、前記チャンバ内の攪拌済み掘削土をチャンバ外に搬送する工程と、を有する方法(特許文献2参照)なども提案されている。
また、泥水式シールド機が排出した排泥水から固体分を分離し、残りの泥水分を貯留している貯留槽から、泥水の一部を余剰泥水として排出し、これに不溶化剤を混和させる処理技術(特許文献3参照)なども提案されている。
特開2006−316599号公報 特開2012−120987号公報 特許第5001100号公報
上述した不溶化を行うことで、重金属が溶出によって周囲環境へ拡散することは確かに抑制される。しかし、重金属は不溶化された状態ではあるが、依然として掘削土の中に存在していることから、掘削土を建設発生土として受け入れる自治体によっては、このように処理された掘削土を、建設発生土ではなく産業廃棄物と見なす場合も考えられる。この場合、掘削土の処分費が高額となり、トンネル工事全体のコスト増大にもつながる。また、地中のシールド掘削システムで生じた掘削土を、不溶化処理のために、地上の処理施設に搬出する場合、搬出用の装置やその作動エリアを確保する必要があり、施工コストや施工効率の悪化を招きやすい。更に、搬出途中での掘削土の飛散、拡散等が危惧され、効率的で確実な処理がなされない懸念もある。
そこで本発明では、シールド工法において、重金属を含む掘削土を効率的かつ確実に浄化し、掘削土の処分費用も低減可能とする技術の提供を目的とする。
上記課題を解決する本発明のシールド工法における汚染土壌浄化方法は、シールド工法で発生した掘削土に、重金属を吸着する吸着材を添加し、重金属を吸着した前記吸着材を前記掘削土より分離することを特徴とする。
これによれば、重金属を吸着した吸着材を掘削土から分離することで、掘削土の無害化を図ることが可能となる。そのため、厳格な残土受け入れ基準が存在する状況にあっても、掘削土を一般残土として処分でき、その処分費も低廉なものとなる。また、シールド掘削システム中で一連の作業が実行されるため、外部環境への汚染土の飛散や拡散も発生しない。
なお、上述のシールド工法における汚染土壌浄化方法において、前記シールド工法は泥水式シールド工法であり、切羽に泥水を供給する泥水供給系統、または前記切羽から泥水を搬出する泥水搬出系統、或いは、泥水と掘削土を分離する泥水処理系統において、前記吸着材を前記泥水に添加し、重金属を吸着した前記吸着材を前記泥水より分離するとしてもよい。
また、上述のシールド工法における汚染土壌浄化方法において、前記シールド工法は土圧式シールド工法であり、切羽に供給する水または添加剤に前記吸着材を添加し、または、切羽から搬出された泥土に前記吸着材を添加し、重金属を吸着した前記吸着材を前記泥土より分離するとしてもよい。
上述のように泥水式シールド工法或いは土圧式シールド工法を踏まえた構成とすれば、掘削土と吸着材の混合用に攪拌手段を設けずとも、掘削土の搬送過程や泥水サイクル、或いは切羽で、掘削土と吸着材の十分な混合がなされる。例えば、切羽に供給する水または添加剤に吸着材を混合した場合、カッター及びスクリュー回転など、シールドマシンにおける通常の作用力により、掘削土と吸着材の確実な攪伴がなされ、吸着材への重金属の吸着効率も良好なものとなる。或いは、切羽からスクリューゲート等の排泥経路を経て搬出した泥土等(掘削土に加水したもの含む)に吸着材を混合することで、この泥土の後方へのポンプ圧送時における攪伴作用等を効果的に利用して、吸着材への重金属の吸着を効率的なものとできる。このように、シールド掘削システムとして通常備わる機能を活用して掘削土と吸着材との十分な混合がなされるため、既存のシールド掘削システムに対する大掛かりな追加設備の導入や運営のためのコスト、手間が不要で、施工効率も良好に維持できる。また、シールド掘削システムでの掘削土の処理サイクルに吸着材が投入されて、吸着材と掘削土との接触時間が長く、吸着材での重金属の吸着効率すなわち掘削土からの重金属の分離効率を良好なものとし、確実で効率的な処理が可能である。また、吸着材の混合設備や上述の分離装置は通常の掘削サイクル中に容易に組み入れることが可能であり、既存設備への追加的な設備投資や手間を少ないものとできる。
また、上述のシールド工法における汚染土壌浄化方法において、前記吸着材を鉄粉としてもよい。吸着材としての鉄粉は、磁選機による選別や鉄粉の比重が重いことを利用して混合体から沈降分離するなど、掘削土、特に泥水中から分離することが非常に容易である。従って、掘削土からの重金属の除去が効率的になされる。
また、本発明のシールド工法における汚染土壌浄化システムは、シールド工法で発生した掘削土に、重金属を吸着する吸着材を添加する添加装置と、重金属を吸着した前記吸着材を前記掘削土より分離する分離装置とを備えることを特徴とする。
なお、上述のシールド工法における汚染土壌浄化システムにおいて、前記添加装置が、泥水式シールド工法における、切羽に泥水を供給する泥水供給系統又は前記切羽から泥水を搬出する泥水搬出系統において、前記吸着材を前記泥水に添加する装置であり、前記分離装置が、重金属を吸着した前記吸着材を前記泥水より分離する装置である、としてもよい。
また、上述のシールド工法における汚染土壌浄化システムにおいて、前記添加装置が、土圧式シールド工法における、切羽に供給する水または添加剤に前記吸着材を添加し、または、切羽から搬出された泥土に前記吸着材を添加する装置であり、前記分離装置が、重金属を吸着した前記吸着材を前記泥土より分離する装置である、としてもよい。
本発明によれば、シールド工法において、重金属を含む掘削土を効率的かつ確実に浄化し、掘削土の処分費用の低減も図られる。
第1実施形態のシールド工法における汚染土壌浄化システムの例1を示す図である。 第1本実施形態のシールド工法における汚染土壌浄化方法の手順例を示す図である。 第1実施形態のシールド工法における汚染土壌浄化システムの例2を示す図である。 第1実施形態のシールド工法における汚染土壌浄化システムの例3を示す図である。 第2実施形態のシールド工法における汚染土壌浄化システムの例を示す図である。 第2実施形態のシールド工法における汚染土壌浄化方法の手順例を示す図である。 第2実施形態のシールド工法における汚染土壌浄化システムの他の例を示す図である。
−−−第1実施形態−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は第1実施形態のシールド工法における汚染土壌浄化システムの例1を示す図であり、図2は第1実施形態のシールド工法における汚染土壌浄化方法の手順例を示す図である。ここでは、シールド工法の1つとして、泥水式シールド工法を採用した場合の、汚染土壌浄化方法およびシステムについて説明する。泥水式シールド工法は、シールドマシン10のチャンバ内を泥水で充満させ、この泥水の圧力をもって切羽土圧や地下水圧に対抗し、切羽面の安定を図るシールド工法である。チャンバ内の泥水圧を制御することにより、切羽土圧や地下水圧に柔軟に対抗することが可能であり、幅広い地質に対応して安定した状態で掘削ができる特徴がある。
図1に例示する汚染土壌浄化システム100において、シールドマシン10は、カッタヘッド11を回転駆動させて切羽面の掘削を行い、カッタヘッド11により切削した切羽面の土砂すなわち掘削土を泥水と混合し、これを排泥ポンプ12により坑外に圧送する(s100)。汚染土壌浄化を行わない従来型のシールド掘削システムであれば、排泥ポンプ12によって後方に圧送する泥水は、そのまま排泥管等の泥水搬出系統14を介して、固液分離装置20へ送られる。この固液分離装置20は、泥水と掘削土を分離する泥水処理系統であって、上述の泥水を、振動ふるい等の一次処理機21、泥水を一旦貯留し成分調整する調整槽22、遠心分離器等の二次処理機23により、掘削土由来の建設発生土(一次処理機21にて抽出)や建設汚泥(二次処理機23にて抽出)と泥水とに分離する。また、固液分離装置20にて分離された泥水は送泥管や送泥ポンプ16等の泥水供給系統17を介して切羽に再度供給される。
一方、汚染土壌浄化を行う本実施形態の汚染土壌浄化システム100は、上述の泥水搬出系統14において、排泥ポンプ12の他、吸着材添加装置18を備えている。吸着材添加装置18は、重金属を吸着する吸着材を、排泥ポンプ12から供給される泥水に添加する(s101)。この吸着材添加装置18は、所定量の吸着材を格納するタンクと、このタンクから一定量の吸着材を連続的に取得して排泥する泥水に添加する混合装置とを具備している。
なお、吸着材添加装置18が泥水に添加する吸着材としては、鉄粉があげられる。鉄粉は、ヒ素、セレン、六価クロム、カドミウム、鉛、シアンなどの重金属を効率良く吸着し、固定化する性状を有することが知られている。従って、この鉄粉を掘削土を含む泥水に添加、混合することで、泥水中の掘削土粒子に付着した重金属の微粒子が、鉄粉表面に吸着され、鉄粉に固定化されることになる。以降の説明においては、吸着材は鉄粉であるものとする。
吸着材添加装置18により鉄粉が添加された泥水は、排泥管を通過する過程で排泥管内での流路や流速等の変化に伴って、鉄粉との混合が効率良く進む。つまり、撹拌手段等を別途設けずとも、泥水中の掘削土に付着した重金属粒子が鉄粉と十分に接触し、鉄粉表面に吸着されることになる。こうして鉄粉の添加がなされた泥水は、排泥管を介して磁選機19に供給される(s102)。泥水の供給を受けた磁選機19は、泥水中より鉄粉を分離する(s103)。
磁選機19は、泥水に所定強度の磁力を及ぼす永久磁石を内蔵した回転ドラムと、永久磁石の磁力により回転ドラム表面に付着していた鉄粉を回転ドラム表面から掻き取って回収するスクレーパとを少なくとも具備している。永久磁石ではなく電磁石を利用した構造の場合、磁選機19は、泥水に所定強度の磁力を一定サイクルで発生させる電磁石を内蔵した回転ドラムおよび電磁石の制御装置と、電磁石の磁力により回転ドラム表面に付着していた鉄粉を電磁石での磁力発生停止に合わせて掻き取って回収するスクレーパとを具備している。こうした磁選機16で回収された鉄粉は、重金属の粒子を吸着させた汚染鉄粉となる。
なお、泥水から吸着材を分離する分離装置としては、上述の磁選機19の他に、泥水中の土砂と、重金属を吸着した吸着材との比重差を利用した分離装置を用いてもよい。また、鉄粉と重金属との吸着を解除する薬剤等を汚染鉄粉に添加し、この汚染鉄粉から重金属を分離させ、分離した重金属を資源として利用するとしてもよい。
その後、汚染鉄粉が分離され、無害化された泥水は、上述の固液分離装置20に供給される(s104)。固液分離装置20では、泥水の含む比較的大きな粒径の土砂を一次処理機21で取り出して建設発生土となし(s105)、小さな粒径の土砂のみを含むことになった泥水を調整槽22にて一旦貯留し、加水や加泥を適宜行って切羽供給用の泥水として必要な性状(比重等)に成分調整する(s106)。また、調整槽22で必要な性状に整えられた泥水は、泥水供給系統17を介して切羽に再度供給される(s107)。一方、調整槽22での余剰分となった泥水は二次処理機23に供給され、ごく小さな粒径の土砂のみ含むスライム状の建設汚泥と処理水とに分離される(s108)。調整槽22で分離された処理水は、作泥槽24に供給され、調整槽22に供給する泥水の作成用に利用される(s109)。なお、作泥槽24は、この処理水とベントナイト等とを混合して泥水の生成を行い、生成した泥水を必要に応じて調整槽22に供給する装置となる。調整槽22の泥水は、送泥ポンプ16によって泥水供給系統17の送泥管を介して切羽に供給され(s110)、上述の処理(ステップs100〜s109)を繰り返すことになる。
上述した例では、吸着材添加装置18を泥水搬出系統14にて備えることとしたが、図3に示す汚染土壌浄化システム100のように、泥水供給系統17に吸着材添加装置18を備えるとしてもよい。この場合、送泥ポンプ16が調整槽22から泥水を吸い上げて、これを吸着材添加装置18Aに供給する構成となる。吸着材添加装置18Aは、上述の吸着材添加装置18と同様の構成を備え、送泥ポンプ16から供給される泥水に吸着材を添加する。吸着材が添加された泥水は、泥水供給系統17の送泥管を介して切羽に供給されることとなる。切羽に供給された泥水は、カッタヘッド11の回転を伴う切削動作と共に切羽面の土砂すなわち掘削土と混合され、排泥ポンプ12により後方に圧送される。以降の処理は、上述した磁選機19での処理(ステップs103)以降のものと同様となる。切羽へ供給する泥水に吸着材添加を行う場合、吸着材添加装置18Aと磁選機19との間の距離が、上述した吸着材添加装置18を泥水搬出系統14に備えた場合と比較して長くなり、すなわち吸着材と泥水との接触時間が長くなり、吸着材での重金属の吸着効率もより良好なものとなる。
なお、図4に例示するように、泥水処理系統たる固液分離装置20にて吸着材を添加し、これを回収するとしてもよい。この場合、吸着材添加装置18Bは、調整槽22の後方に配置され、この吸着材添加装置18と二次処理機23との間に磁選機19Bが配置される。従って、調整槽22での余剰分となった泥水が吸着材添加装置18Bに供給され、この泥水に対して吸着材の添加がなされる。吸着材の添加がなされた泥水は、磁選機19Bに送られ、磁選機19Bにて泥水からの鉄粉の分離処理が実行される。磁選機19Bにより汚染鉄粉が分離され、無害化された泥水は、二次処理機23に供給される。二次処理機23以降の処理については、上述のステップs108以降と同様である。このような形態とすれば、泥水搬出系統14、泥水供給系統17といった切羽用の泥水の循環系統への吸着材の混入が生じず、吸着材(鉄粉)による配管の摩耗を回避出来る。
また、吸着材添加装置を、泥水搬出系統14、泥水供給系統17、および固液分離装置20(泥水処理系統)の全て、或いはいずれか2系統に備えるとしてもよい。この場合、切羽面の地盤性状の変化に応じて、掘削土が粗い粒径や硬質である場合など吸着材と泥水とのより長い接触時間が必要な場合には、泥水供給系統17に備わる吸着材添加装置18Aを稼働させ、掘削土が細かい粒径や高粘度である場合など吸着材と泥水と接触時間が長時間でなくとも問題ない場合には、泥水搬出系統14に備わる吸着材添加装置18を稼働させ、処理する泥水の性状や量あるいは重金属の含有量によって、泥水搬出系統14や泥水供給系統17ではなく固液分離装置20での処理が好適と判断される場合には吸着材添加装置18B(および磁選機19B)を稼働させるといった、吸着材添加装置間の稼働切り替え制御を行うことが想定できる。また、磁選機も汚染土壌浄化システム100における複数箇所に設けるとしてよい。各磁選機が設置される箇所は、汚染土壌浄化システム100が含む配管経路中における、吸着材添加装置よりも所定距離以上の下流に位置し、吸着材添加装置による吸着材添加の後、泥水と吸着材とが所定の接触時間を確保できる箇所となる。また、吸着材の回収率を高める意図で、各箇所或いは何れかの箇所にて、複数の磁選機を直列に設けるとしてもよい。
−−−第2実施形態−−−
続いて、シールド工法の1つとして、土圧式シールド工法を採用した場合の、汚染土壌浄化方法およびシステムについて説明する。図5は、第2実施形態のシールド工法における汚染土壌浄化システムの例を示す図であり、図6は、第2実施形態のシールド工法における汚染土壌浄化方法の手順例を示す図である。土圧式シールド工法は、カッタヘッド31で掘削した土砂すなわち掘削土に適宜な作泥土材を添加して、不透水性と塑性流動性を持つ泥土とした上でチャンバ内およびスクリューコンベヤ内に充満させ、泥土圧を発生させることで切羽安定を図る工法である。
図5に例示する汚染土壌浄化システム200において、シールドマシン30は、カッタヘッド31を回転駆動させて切羽面の掘削を行い、カッタヘッド31により切削した切羽面の土砂すなわち掘削土に水または添加剤(作泥土材)を混合し、不透水性と塑性流動性を持つ泥土を生成し、チャンバ内およびスクリューコンベヤ内に充満させる(s200)。
また、シールドマシン30は、スクリューコンベヤ32により、上述の泥土を泥土搬出系統33における流動化装置44に排出する。流動化装置44では、排出された泥土すなわち掘削土に水を加え、排泥ポンプ35で圧送可能なスラリー状の流動体を作成する(s201)。一方、吸着材添加装置34は、流動化装置44から排出される流動体に鉄粉を加える(s202)。吸着材添加装置34は、所定量の鉄粉を格納するタンクと、このタンクから一定量の鉄粉を連続的に取得して流動体に添加する混合装置とを具備している。
吸着材添加装置34により生成した、鉄粉を含む流動体は、排泥管を通過する過程で排泥管内での流路や流速等の変化に伴って、鉄粉との混合が効率良く進む。つまり、撹拌手段等を別途設けずとも、泥水中の掘削土に付着した重金属粒子が鉄粉と十分に接触し、鉄粉表面に吸着されることになる。こうして鉄粉を含む泥水は、排泥管を介して磁選機37に供給される(s203)。泥水の供給を受けた磁選機37は、泥水中より鉄粉を分離、回収する(s204)。ここで回収された鉄粉は、重金属の粒子を吸着させた汚染鉄粉となる。
その後、汚染鉄粉が分離され、無害化された流動体は、含水比調整機38に供給される(s205)。含水比調整機38では、振動ふるいやフィルタープレス等による所定の脱水処理を実行し、高含水比であった泥水の含水比低下を図って建設発生土となす(s206)。含水比調整機38は、こうした含水比調整の処理で得られる処理水を、加泥材供給系統39および流動化装置44に供給する(s207)。
加泥材供給系統39に供給された処理水は、作液槽40に搬送され、切羽に供給される加泥材の作成に利用される(s208)。作液槽40は、この処理水を適宜な薬剤等と混合して加泥材を生成し、圧送ポンプ41および圧送管42を介して切羽に供給する(s209)。以降、上述の処理(ステップs200〜s208)を繰り返すことになる。
上述した例では、吸着材添加装置34を泥土搬出系統33にて備えることとしたが、図7に示すように、加泥材供給系統39に吸着材添加装置34を備えるとしてもよい。この場合、吸着材添加装置34Aが、作液槽40に鉄粉等の吸着材を添加する構成となる。吸着材添加装置34Aは、上述の吸着材添加装置34と同様の構成を備えている。吸着材が添加された加泥材は、加泥材供給系統39の圧送管42を介して切羽に供給されることとなる。切羽に供給された加泥材は、カッタヘッド31の回転を伴う切削動作と共に切羽面の土砂すなわち掘削土と良く混練され、排泥ポンプ35により後方に圧送される。したがって、カッタヘッド31の回転による上述の混練によって掘削土と鉄粉との混合が効率良く行われ、撹拌手段等を別途設ける必要は無い。以降の処理は、上述した磁選機37での処理(ステップs204)以降のものと同様となる。切羽へ供給する加泥材に吸着材添加を行う場合、吸着材添加装置34Aと磁選機37との間の距離が、上述した吸着材添加装置34を泥土搬出系統33に備えた場合と比較して長くなり、すなわち吸着材と泥土との接触時間が長くなり、吸着材での重金属の吸着効率もより良好なものとなる。また、吸着材添加装置を、泥土搬出系統33と加泥材供給系統39の両方に備えるとしてもよいこと、磁選機37を複数箇所に設置してもよいこと、および、複数の磁選機37を各箇所或いは何れかの箇所にて直列に設けてもよいことは上述の泥水式シールド工法の形態と同様である。さらに、吸着材添加装置34は、掘削土を流動化するために加える処理水の系統に組み入れることも考えられる。また、トンネル外、すなわち地上や、場合によっては汚染土壌浄化システム後方のトンネル完工区間等において、掘削土に吸着材を添加するとしてもよい。
以上、本実施形態によれば、シールド工法において、重金属を含む掘削土を効率的かつ確実に浄化し、掘削土の処分費用の低減も図られる。
以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
10、30 シールドマシン
11、31 カッタヘッド
12 排泥ポンプ
14 泥水搬出系統
16 送泥ポンプ
17 泥水供給系統
18、18A、18B 吸着材添加装置
19、19B 磁選機
20 固液分離装置
21 一次処理機
22 調整槽
23 二次処理機
24 作泥槽
32 スクリューコンベア
33 泥土搬出系統
34、34A 吸着材添加装置
35 排泥ポンプ
37 磁選機
38 含水比調整機
39 加泥材供給系統
40 作液槽
41 圧送ポンプ
42 圧送管
44 流動化装置
100、200 汚染土壌浄化システム
上記課題を解決する本発明のシールド工法における汚染土壌浄化方法は、泥水式シールド工法で発生した掘削土に、重金属を吸着する吸着材を添加し、重金属を吸着した前記吸着材を前記掘削土より分離する、シールド工法における汚染土壌浄化方法であって、切羽に泥水を供給する泥水供給系統、または、前記切羽と前記切羽から搬出された泥水の成分調整を行うための調整槽との間において、前記吸着材を前記泥水に添加し、重金属を吸着した前記吸着材を前記泥水より分離した後、一次処理機にて前記泥水より建設発生土を分離することを特徴とする。
また、本発明のシールド工法における汚染土壌浄化方法は、土圧式シールド工法で発生した掘削土に、重金属を吸着する吸着材を添加し、重金属を吸着した前記吸着材を前記掘削土より分離する、シールド工法における汚染土壌浄化方法であって、切羽に供給する水または添加剤に前記吸着材を添加し、重金属を吸着した前記吸着材を前記泥土より分離した後、含水比調整機にて前記泥土より建設発生土を分離することを特徴とする。
また、上述のシールド工法における汚染土壌浄化方法において、前記吸着材を鉄粉とした場合、吸着材としての鉄粉は、磁選機による選別や鉄粉の比重が重いことを利用して混合体から沈降分離するなど、掘削土、特に泥水中から分離することが非常に容易である。従って、掘削土からの重金属の除去が効率的になされる。
また、本発明のシールド工法における汚染土壌浄化システムは、泥水式シールド工法で発生した掘削土に、重金属を吸着する吸着材を添加する添加装置と、重金属を吸着した前記吸着材を前記掘削土より分離する分離装置とを備える、シールド工法における汚染土壌浄化システムであって、前記添加装置は、切羽に泥水を供給する泥水供給系統、または、前記切羽と前記切羽から搬出された泥水の成分調整を行うための調整槽との間において、前記吸着材を前記泥水に添加する装置であり、前記分離装置は、重金属を吸着した前記吸着材を前記泥水より分離する装置であり、前記吸着材を分離した後の前記泥水より建設発生土を分離する一次処理機を更に備えることを特徴とする。
更に、本発明のシールド工法における汚染土壌浄化システム土圧式シールド工法で発生した掘削土に、重金属を吸着する吸着材を添加する添加装置と、重金属を吸着した前記吸着材を前記掘削土より分離する分離装置とを備える、シールド工法における汚染土壌浄化システムであって、前記添加装置は、切羽に供給する水または添加剤に前記吸着材を添加する装置であり、前記分離装置は、重金属を吸着した前記吸着材を前記泥土より分離する装置であり、重金属を吸着した前記吸着材を前記泥土より分離した後、前記泥土より建設発生土を分離する含水比調整機を更に備えることを特徴とする

Claims (7)

  1. シールド工法で発生した掘削土に、重金属を吸着する吸着材を添加し、重金属を吸着した前記吸着材を前記掘削土より分離することを特徴とする、シールド工法における汚染土壌浄化方法。
  2. 請求項1において、
    前記シールド工法は泥水式シールド工法であり、切羽に泥水を供給する泥水供給系統、または前記切羽から泥水を搬出する泥水搬出系統、或いは、泥水と掘削土を分離する泥水処理系統において、前記吸着材を前記泥水に添加し、重金属を吸着した前記吸着材を前記泥水より分離することを特徴とする、シールド工法における汚染土壌浄化方法。
  3. 請求項1において、
    前記シールド工法は土圧式シールド工法であり、切羽に供給する水または添加剤に前記吸着材を添加し、または、切羽から搬出された泥土に前記吸着材を添加し、重金属を吸着した前記吸着材を前記泥土より分離することを特徴とする、シールド工法における汚染土壌浄化方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、
    前記吸着材を鉄粉とすることを特徴とするシールド工法における汚染土壌浄化方法。
  5. シールド工法で発生した掘削土に、重金属を吸着する吸着材を添加する添加装置と、重金属を吸着した前記吸着材を前記掘削土より分離する分離装置とを備えることを特徴とする、シールド工法における汚染土壌浄化システム。
  6. 請求項5において、
    前記添加装置が、泥水式シールド工法における、切羽に泥水を供給する泥水供給系統、または前記切羽から泥水を搬出する泥水搬出系統、或いは、泥水と掘削土を分離する泥水処理系統において、前記吸着材を前記泥水に添加する装置であり、
    前記分離装置が、重金属を吸着した前記吸着材を前記泥水より分離する装置である、
    ことを特徴とする、シールド工法における汚染土壌浄化システム。
  7. 請求項5において、
    前記添加装置が、土圧式シールド工法における、切羽に供給する水または添加剤に前記吸着材を添加し、または、切羽から搬出された泥土に前記吸着材を添加する装置であり、 前記分離装置が、重金属を吸着した前記吸着材を前記泥土より分離する装置である、
    ことを特徴とする、シールド工法における汚染土壌浄化システム。
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