粘度を測定するためのプロトコル:
粘度測定は、一般に、20℃で、No.4スピンドルを備えるRheomat RM180粘度計を使用して実施され、この測定は、200回転/minの速さでの組成物中でのスピンドルの回転の10分後(その後粘度の安定化が観察される)に実施される。
生理的に許容される媒体
「生理的に許容される媒体」という用語は、本発明の組成物の皮膚及び/又は唇への適用に特に好適な媒体を表すことが意図されている。
生理的に許容される媒体は、一般に、組成物が適用される支持体の性質、及び組成物がパッケージされる外観に適合される。
「無水」という用語は、とりわけ、水が好ましくは組成物に意図的には添加されないが、組成物に使用される様々な化合物において微量で存在してもよいことを意味している。
シリコーン樹脂で被覆されたオルガノポリシロキサンエラストマー粉末
本発明による組成物は、シリコーン樹脂、特にシルセスキオキサン樹脂で被覆された少なくとも1種のオルガノポリシロキサンエラストマー粉末を含み、これは例えば米国特許第5 538 793号に記載され、その内容のすべてが参照により組み込まれる。
かかるエラストマー粉末は、信越化学工業株式会社により、KSP-100、KSP-101、KSP-102、KSP-103、KSP-104及びKSP-105の名称で販売されており、INCI名ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマーを有する。
好ましくは、シリコーン樹脂で被覆されたオルガノポリシロキサンエラストマー粉末は、INCI名ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサンクロスポリマーを有する化合物である。
好ましくは、本発明による組成物は、シリコーン樹脂、特にシルセスキオキサン樹脂で被覆されたオルガノポリシロキサンエラストマー粉末を、組成物の総質量に対して、0.5質量%から20質量%、組成物の総質量に対して、特に0.5質量%から10質量%、好ましくは1質量%から5質量%の範囲の総含有量で含む。
油中で運搬されるオルガノポリシロキサンエラストマー
本発明による組成物は、シリコーン樹脂で被覆されたオルガノポリシロキサンエラストマー粉末に加えて、特にオルガノポリシロキサンエラストマーゲルの形態の、第1の油中で運搬される少なくとも1種のオルガノポリシロキサンエラストマー(シリコーンエラストマーとも呼ばれる)を含む。
好ましくは、前記油はシリコーン油及び/又は炭化水素油であり、これは好ましくは不揮発性である。
好ましくは、前記組成物は、INCI名ジメチコンを有する少なくとも1種の非揮発性シリコーン油中で運搬される少なくとも1種のオルガノポリシロキサンエラストマーを含む。
「オルガノポリシロキサンエラストマー」又は「シリコーンエラストマー」という用語は、粘弾性、とりわけスポンジ又は柔らかい球体の稠度を有する、柔らかく変形可能なオルガノポリシロキサンを意味する。その弾性係数は、この物質が変形に耐え、限定的な伸長及び収縮能力を有するようなものである。この物質は、伸長後にその原形を回復可能である。
それは、より具体的には、架橋シリコーンエラストマーである。
シリコーンエラストマー粒子は、少なくとも1種の炭化水素油及び/又は1種のシリコーン油に含まれるエラストマーオルガノポリシロキサンから形成されるゲルの形態で運搬される。
これらのゲル中で、オルガノポリシロキサン粒子は、非球状粒子であることが多い。
非乳化性オルガノポリシロキサンエラストマー
したがって、オルガノポリシロキサンエラストマーは、とりわけ白金触媒の存在下における、ケイ素に結合している少なくとも1つの水素を含有するジオルガノポリシロキサンと、ケイ素に結合しているエチレン性不飽和基を含有するジオルガノポリシロキサンとの架橋付加反応によって;又は、とりわけ有機スズの存在下における、ヒドロキシル末端基を含有するジオルガノポリシロキサンと、ケイ素に結合している少なくとも1つの水素を含有するジオルガノポリシロキサンとの間の脱水素架橋縮合反応によって;又は、ヒドロキシル末端基を含有するジオルガノポリシロキサンと、加水分解性オルガノポリシロキサンとの架橋縮合反応によって;又は、とりわけオルガノペルオキシド触媒の存在下における、オルガノポリシロキサンの熱架橋によって;又は、ガンマ線、紫外線若しくは電子ビーム等の高エネルギー放射線を介するオルガノポリシロキサンの架橋によって得られてもよい。
好ましくは、オルガノポリシロキサンエラストマーは、(A)それぞれがケイ素に結合している少なくとも2つの水素を含有するジオルガノポリシロキサンと、(B)ケイ素に結合している少なくとも2つのエチレン性不飽和基を含有するジオルガノポリシロキサンとの、とりわけ(C)白金触媒の存在下における、架橋付加反応によって得られる。
特に、オルガノポリシロキサンエラストマーは、白金触媒の存在下における、ジメチルビニルシロキシ末端基を含有するジメチルポリシロキサンと、トリメチルシロキシ末端基を含有するメチルヒドロゲノポリシロキサンとの反応によって得ることができる。
化合物(A)は、エラストマー性オルガノポリシロキサンの形成のためのベース反応物であり、架橋は、化合物(A)の化合物(B)との、触媒(C)の存在下における付加反応を介して生じる。
化合物(A)は、特に、それぞれの分子中の異なるケイ素原子に結合している少なくとも2つの水素原子を含有するオルガノポリシロキサンである。
化合物(A)は、任意の分子構造、とりわけ直鎖状若しくは分枝鎖状構造又は環状構造を有していてもよい。
化合物(A)は、とりわけ化合物(B)と相溶性であるように、25℃で1から50000センチストークの範囲の粘度を有していてもよい。
化合物(A)のケイ素原子に結合している有機基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル等のアルキル基;2-フェニルエチル、2-フェニルプロピル又は3,3,3-トリフルオロプロピル等の置換アルキル基;フェニル、トリル、キシリル等のアリール基;フェニルエチル等の置換アリール基;及びエポキシ基、カルボン酸エステル基又はメルカプト基等の置換一価炭化水素基であってもよい。
化合物(A)は、したがって、トリメチルシロキシ末端基を含有するメチルヒドロゲノポリシロキサン、トリメチルシロキシ末端基を含有するジメチルシロキサン-メチルヒドロゲノシロキサンコポリマー、及びジメチルシロキサン-メチルヒドロゲノシロキサン環状コポリマーから選択してもよい。
化合物(B)は、有利には、少なくとも2つの低級アルケニル基(例えばC2〜C4)を含有するジオルガノポリシロキサンであり、低級アルケニル基は、ビニル、アリル及びプロペニル基から選択してもよい。これらの低級アルケニル基は、オルガノポリシロキサン分子の任意の位置にあってもよいが、好ましくは、オルガノポリシロキサン分子の末端に位置する。オルガノポリシロキサン(B)は、分枝鎖状、直鎖状、環状又は網状構造を有していてもよいが、直鎖状構造が好ましい。化合物(B)は、液状の状態からガム状態の範囲の粘度を有していてもよい。好ましくは、化合物(B)は、25℃で少なくとも100センチストークの粘度を有する。
上述のアルケニル基の他に、化合物(B)中でケイ素原子に結合している他の有機基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル又はオクチル等のアルキル基;2-フェニルエチル、2-フェニルプロピル又は3,3,3-トリフルオロプロピル等の置換アルキル基;フェニル、トリル又はキシリル等のアリール基;フェニルエチル等の置換アリール基;及びエポキシ基、カルボン酸エステル基又はメルカプト基等の置換一価炭化水素基であってもよい。
オルガノポリシロキサン(B)は、メチルビニルポリシロキサン、メチルビニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端基を含有するジメチルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端基を含有するジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端基を含有するジメチルシロキサン-ジフェニルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端基を含有するジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端基を含有するジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端基を含有するメチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)ポリシロキサン、及びジメチルビニルシロキシ末端基を含有するジメチルシロキサン-メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)シロキサンコポリマーから選択してもよい。
特に、オルガノポリシロキサンエラストマーは、白金触媒の存在下における、ジメチルビニルシロキシ末端基を含有するジメチルポリシロキサンと、トリメチルシロキシ末端基を含有するメチルヒドロゲノポリシロキサンとの反応によって得ることができる。
別の代替的一形態によれば、化合物(B)は、少なくとも2つの低級アルケニル基(例えばC2〜C4)を含有する不飽和炭化水素化合物であってもよく、低級アルケニル基は、ビニル、アリル及びプロペニル基から選択してもよい。これらの低級アルケニル基は、分子の任意の位置にあってもよいが、好ましくは、末端に位置する。例として、ヘキサジエン、特に1,5-ヘキサジエンが挙げられる。
有利には、化合物(B)中のエチレン性基の1分子当たりの数と、化合物(A)中のケイ素原子に結合している水素原子の1分子当たりの数との合計は、少なくとも5である。
化合物(A)は、化合物(A)中のケイ素原子に結合している水素原子の総量と、化合物(B)中のすべてのエチレン性不飽和基の総量との間の分子比が、1.5/1から20/1の範囲内となるような量で添加することが有利である。
化合物(C)は架橋反応のための触媒であり、とりわけ担体上のクロロ白金酸、クロロ白金酸-オレフィン錯体、クロロ白金酸-アルケニルシロキサン錯体、クロロ白金酸-ジケトン錯体、白金黒及び白金である。
触媒(C)は、好ましくは、清浄白金金属として、化合物(A)及び(B)の総量の1000質量部当たり、0.1質量部から1000質量部、より一層良好には1質量部から100質量部の量で添加される。
エラストマーは、有利には、非乳化性エラストマーである。
「非乳化性」という用語は、親水性鎖を一切含有せず、特にポリオキシアルキレン単位(とりわけポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレン)又はポリグリセリル単位を一切含有しないオルガノポリシロキサンエラストマーを特徴付ける。
オルガノポリシロキサンエラストマー粒子は、好ましくは、下で定義するように、少なくとも1種の炭化水素油及び/又は1種のシリコーン油中に含まれるエラストマーオルガノポリシロキサンから形成されるゲルの形態で運搬される。これらのゲル中で、オルガノポリシロキサン粒子は、球状又は非球状粒子であってよい。
使用できる球状非乳化性エラストマーには、例えば、Dow Corning社によりDC 9040、DC 9041、DC 9509、DC 9505の名称で販売されているものが含まれる。
また使用できるのは、信越化学工業株式会社によりKSG-6、KSG-15、KSG-16、KSG-18、KSG-41、KSG-42、KSG-43及びKSG-44の名称で、Grant Industries社によりGransil SR 5CYC Gel、Gransil SR DMF 10 Gel及びGransil SR DC556 Gel、Gransil RPSの名称で、General Electric社により1229-02-167、1229-02-168及びSFE 839の名称で販売されているものである。
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、油中で運搬されるオルガノポリシロキサンエラストマーとして、好ましくは球状、好ましくはDow Corning社によりDC 9040、DC 9041、DC 9509、DC 9505の名称で販売されている化合物から選択される、非乳化性エラストマーを含む。
特定の一実施形態によれば、エラストマーは、環状シリコーン油との混合物として使用してもよい。挙げられる例は、架橋オルガノポリシロキサン/シクロペンタシロキサンの混合物又は架橋オルガノポリシロキサン/シクロヘキサシロキサンの混合物、例えばGrant Industries社製Gransil RPS D5又はGransil RPS D6である。
乳化性オルガノポリシロキサンエラストマー
別の一実施形態によれば、本発明による組成物は、油中で運搬されるオルガノポリシロキサンエラストマーとして、乳化性エラストマーを含む。
「乳化性オルガノポリシロキサンエラストマー」という用語は、ポリオキシアルキレン化オルガノポリシロキサンエラストマー及びポリグリセロール化シリコーンエラストマー等の少なくとも1つの親水性鎖を含むオルガノポリシロキサンエラストマーを意味する。
乳化性オルガノポリシロキサンエラストマーは、ポリオキシアルキレン化オルガノポリシロキサンエラストマーから選択してもよい。
ポリオキシアルキレン化オルガノポリシロキサンエラストマーは、ケイ素に結合している少なくとも1つの水素を含有するジオルガノポリシロキサンと、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を含有するポリオキシアルキレンとの架橋付加反応により得られてもよい、架橋オルガノポリシロキサンエラストマーである。
好ましくは、ポリオキシアルキレン化オルガノポリシロキサンエラストマーは、例えば、米国特許第5 236 986号及び米国特許第5 412 004号に記載のとおり、ケイ素にそれぞれ結合した少なくとも2つの水素を含有するジオルガノポリシロキサン(A1)と、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を含有するポリオキシアルキレン(B1)との、とりわけ白金触媒(C1)の存在下における、架橋付加反応により得られる。
特に、オルガノポリシロキサンは、白金触媒の存在下において、ジメチルビニルシロキシ末端基を含有するポリオキシアルキレン(特にポリオキシエチレン及び/又はポリオキシプロピレン)と、トリメチルシロキシ末端基を含有するメチルヒドロゲノポリシロキサンとの反応により得られてもよい。
化合物(A1)のケイ素原子に結合された有機基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、デシル、ドデシル(又はラウリル)、ミリスチル、セチル又はステアリル等の1から18個の炭素原子を含むアルキル基;2-フェニルエチル、2-フェニルプロピル又は3,3,3-トリフルオロプロピル等の置換アルキル基;フェニルエチル等のアリール基;及びエポキシ基、カルボン酸エステル基又はメルカプト基等の置換一価炭化水素基であってもよい。
したがって、化合物(A1)は、トリメチルシロキシ末端基を含有するメチルヒドロゲノポリシロキサン、トリメチルシロキシ末端基を含有するジメチルシロキサン-メチルヒドロゲノシロキサンコポリマー、ジメチルシロキサン-メチルヒドロゲノシロキサン環状コポリマー、トリメチルシロキシ末端基を含有するジメチルシロキサン-メチルヒドロゲノシロキサン-ラウリルメチルシロキサンコポリマーから選択してもよい。
化合物(C1)は架橋反応のための触媒であり、とりわけ担体上のクロロ白金酸、クロロ白金酸-オレフィン錯体、クロロ白金酸-アルケニルシロキサン錯体、クロロ白金酸-ジケトン錯体、白金黒及び白金である。
有利には、ポリオキシアルキレン化オルガノポリシロキサンエラストマーは、ジビニル化合物、特に、ポリシロキサンのSi-H結合と反応する少なくとも2つのビニル基を含有するポリオキシアルキレンから形成することができる。
ポリオキシアルキレン化エラストマーは、とりわけ米国特許第5 236 986号、米国特許第5 412 004号、米国特許第5 837 793号及び米国特許第5 811 487号に記載されており、その内容は参照により組み込まれる。
使用できるポリオキシアルキレン化オルガノポリシロキサンエラストマーには、信越化学工業株式会社によりKSG-21、KSG-20、KSG-30、KSG-31、KSG-32、KSG-33、KSG-210、KSG-310、KSG-320、KSG-330及びKSG-340の名称で、並びにDow Corning社によりDC9010及びDC9011の名称で販売されているものが含まれる。
乳化性オルガノポリシロキサンエラストマーはまた、ポリグリセロール化オルガノポリシロキサンエラストマーから選択してもよい。
本発明によるポリグリセロール化オルガノポリシロキサンエラストマーは、とりわけ白金触媒の存在下における、ケイ素に結合している少なくとも1つの水素を含有するジオルガノポリシロキサンと、エチレン性不飽和基を含有するポリグリセロール化化合物との架橋付加反応により得られてもよい、オルガノポリシロキサンエラストマーである。
好ましくは、オルガノポリシロキサンエラストマーは、ケイ素にそれぞれ結合している少なくとも2個の水素を含有するジオルガノポリシロキサン(A2)と、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を含有するグリセロール化化合物(B2)との、とりわけ白金触媒の存在下(C2)における、架橋付加反応により得られる。
特に、オルガノポリシロキサンは、白金触媒の存在下において、ジメチルビニルシロキシ末端基を含有するポリグリセロール化化合物と、トリメチルシロキシ末端基を含有するメチルヒドロゲノポリシロキサンとの反応により得られてもよい。
化合物(A2)は、オルガノポリシロキサンエラストマーの形成のためのベース反応物であり、架橋は、化合物(A2)の化合物(B2)との付加反応により、触媒(C2)の存在下において実施される。
化合物(A2)は、特に、それぞれの分子中で異なるケイ素原子に結合している少なくとも2つの水素原子を含有するオルガノポリシロキサンである。
化合物(A2)は、任意の分子構造、とりわけ直鎖状若しくは分岐鎖状の構造又は環状構造を有していてもよい。
化合物(A2)は、とりわけ化合物(B2)と相溶性であるように、25℃で、1から50000センチストークの範囲の粘度を有していてもよい。
化合物(A2)のケイ素原子に結合している有機基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、デシル、ドデシル(又はラウリル)、ミリスチル、セチル又はステアリル等の1から18個の炭素原子を含有するアルキル基;2-フェニルエチル、2-フェニルプロピル又は3,3,3-トリフルオロプロピル等の置換アルキル基;フェニル、トリル又はキシリル等のアリール基;フェニルエチル等の置換アリール基;及びエポキシ基、カルボン酸エステル基又はメルカプト基等の置換一価炭化水素基であってもよい。
好ましくは、前記有機基は、メチル基、フェニル基及びラウリル基から選択される。
したがって、化合物(A2)は、トリメチルシロキシ末端基を含有するメチルヒドロゲノポリシロキサン、トリメチルシロキシ末端基を含有するジメチルシロキサン-メチルヒドロゲノシロキサンコポリマー、ジメチルシロキサン-メチルヒドロゲノシロキサン環状コポリマー、及びトリメチルシロキシ末端基を含有するジメチルシロキサン-メチルヒドロゲノシロキサン-ラウリルメチルシロキサンコポリマーから選択してもよい。
化合物(B2)は、下の式(B')に対応するポリグリセロール化化合物であってもよく、
CmH2m-1-O-[Gly]n-CmH2m-1 (B')
式中、mは2から6の範囲の整数であり、nは2から200の範囲、好ましくは2から100の範囲、好ましくは2から50の範囲、好ましくは2から20の範囲、好ましくは2から10の範囲、優先的には2から5の範囲の整数であり、特に、nは3に等しく、Glyは
-CH2-CH(OH)-CH2-O-又は-CH2-CH(CH2OH)-O-
を意味する。
有利には、化合物(B2)中の1分子当たりのエチレン性基の数と、化合物(A2)中の1分子当たりのケイ素原子に結合している水素原子の数との合計は、少なくとも4である。
化合物(A2)を、化合物(A2)中のケイ素原子に結合している水素原子の総量と、化合物(B2)中のすべてのエチレン性不飽和基の総量との間の分子比が1/1から20/1の範囲内となるような量で添加するのが有利である。
化合物(C2)は、架橋反応のための触媒であり、とりわけ担体上のクロロ白金酸、クロロ白金酸-オレフィン錯体、クロロ白金酸-アルケニルシロキサン錯体、クロロ白金酸-ジケトン錯体、白金黒及び白金である。
触媒(C2)は、好ましくは、清浄白金金属として、化合物(A2)及び(B2)の総量の1000質量部当たり0.1から1000質量部、より一層良好には1から100質量部の量で添加される。
ポリグリセロール化オルガノポリシロキサンエラストマーは、少なくとも1種の炭化水素油及び/又は1種のシリコーン油中で、ゲル形態で運搬される。これらのゲル中で、ポリグリセロール化エラストマーは、非球状粒子の形態であることが多い。
使用できるポリグリセロール化オルガノポリシロキサンエラストマーには、信越化学工業株式会社によりKSG-710、KSG-810、KSG-820、KSG-830及びKSG-840の名称で販売されているものが含まれる。
好ましくは、第1の油中で運搬されるシリコーンエラストマーは、非乳化性であり、好ましくは親水性鎖を欠いており、特にポリオキシアルキレン単位及びポリグリセリル単位を欠いている。
有利には、本発明に従って考慮されるオルガノポリシロキサンエラストマーは、球状非乳化性オルガノポリシロキサンエラストマー、ポリグリセロール化されたオルガノポリシロキサンエラストマー及びポリオキシアルキレン化されたオルガノポリシロキサンエラストマーから選択される。
有利には、本発明による検討中のオルガノポリシロキサンエラストマーは、球状非乳化性オルガノポリシロキサンエラストマーから選択される。
より具体的には、オルガノポリシロキサンエラストマーは、(A)それぞれがケイ素に結合している少なくとも2つの水素を含有するジオルガノポリシロキサンと、(B)ケイ素に結合している少なくとも2つのエチレン性不飽和基を含有するジオルガノポリシロキサンとの、とりわけ白金触媒(C)の存在下における、架橋付加反応によって得られる。
したがって、組成物は、不揮発性油中で運搬されるオルガノポリシロキサンエラストマーを、シリコーン樹脂で被覆された少なくとも1種のオルガノポリシロキサンエラストマー粉末と組み合わせて含む。
有利には、本発明による組成物は、総固形物含有量で、組成物の総質量に対して、0.5質量%から20質量%、好ましくは0.5質量%から10質量%、より一層好ましくは1質量%から8質量%の範囲の含有量の油中で運搬されるオルガノポリシロキサンエラストマーを含む。
本発明による組成物において、前記オルガノポリシロキサンエラストマー及びシリコーン樹脂で被覆されたオルガノポリシロキサンエラストマー粉末は、2超、好ましくは2.5超の、油中で運搬されるオルガノポリシロキサンエラストマー(すなわち、油中で運搬されるオルガノポリシロキサンエラストマーの総固形物含有量)/シリコーン樹脂で被覆されたオルガノポリシロキサンエラストマー粉末(すなわち、シリコーン樹脂で被覆されたオルガノポリシロキサンエラストマーの総含有量)の乾燥ベース質量比で存在する。
油中で運搬されるオルガノポリシロキサンエラストマー及びシリコーン樹脂で被覆されたオルガノポリシロキサンエラストマー粉末は、2から10の間、好ましくは2から8の間、より一層好ましくは2.5から5の間の、油中で運搬されるオルガノポリシロキサンエラストマー/シリコーン樹脂で被覆されたオルガノポリシロキサンエラストマー粉末の乾燥ベース質量比で存在できる。
有利には、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、1質量%から25質量%、好ましくは2質量%から15質量%、より一層好ましくは5質量%から15質量%の範囲の総含有量のオルガノポリシロキサンエラストマー(すなわち、=油中で運搬される又は油中で運搬されないエラストマー+シリコーン樹脂固形物で被覆されたオルガノポリシロキサンエラストマー)を含む。
有利には、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、5%超、組成物の総質量に対して、好ましくは5質量%から15質量%の範囲、好ましくは5質量%から10質量%の範囲の総含有量のオルガノポリシロキサンエラストマー(すなわち、=油中で運搬される又は油中で運搬されないエラストマー+シリコーン樹脂固形物で被覆されたオルガノポリシロキサンエラストマー)を含む。
この特定の質量比でのこれらエラストマーの組合せは、均質で、艶消しされ、非粘着性であり、ビロードのようで柔らかい感覚もまた示す、皮膚及び/又は唇上の付着層を得ることを可能にする。
ワックス
上述のとおり、本発明による組成物は、少なくとも1種のワックスを含む。
「ワックス」という用語は、本発明の意味するところでは、室温(25℃)で固形であり、可逆的な固形/液状状態変化を示し、120℃までの範囲で30℃以上の融点を有する親油性化合物を意味すると理解される。
ワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えばMettler社によりDSC 30の名称で販売されている熱量計を使用して測定してもよい。
好ましくは、測定プロトコルは以下のとおりである。すなわち、
るつぼに入れたワックスの試料5mgに、-20℃から100℃の範囲で第1の温度上昇を加熱速度10℃/分で施し、次に100℃から-20℃に冷却速度10℃/分で冷却し、最後に-20℃から100℃の範囲の第2の温度上昇を加熱速度5℃/分で施す。第2の温度上昇中に、空のるつぼにより吸収される力とワックスの試料を含有するるつぼにより吸収される力との差の変化を温度の関数として測定する。化合物の融点は、吸収される力の差の変化を温度の関数として示す曲線のピークの頂点に対応する温度の値である。
ワックスはとりわけ、0.05MPaから15MPaの範囲、好ましくは6MPaから15MPaの範囲の硬度を有していてもよい。硬度は、測定速度0.1mm/秒で移動し、ワックスに貫入深さ0.3mmまで貫入する直径2mmのステンレス鋼シリンダーを備える、Rheo社によりTA-TX2iの名称で販売されているテクスチャーアナライザーを使用して20℃で測定される、圧縮力の測定により決定される。
ワックスは、炭化水素ワックス又はフルオロワックスであってもよく、植物、無機物、動物及び/又は合成由来であってもよい。
特に、ワックスは25℃超、より一層良好には45℃超の融点を有する。
好ましくは、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、0.5質量%から10質量%の間、好ましくは0.5質量%から8質量%の間の含有量のワックスを含む。
好ましくは、本発明による組成物は、1%から5%の間の含有量のワックスを含む。
無極性ワックス
好ましくは、本発明による組成物は、少なくとも1種の無極性ワックスを含む。
本発明の意味するところでは、「無極性ワックス」という用語は、25℃で下に定義する溶解パラメータδaが、0(J/cm3)1/2に等しいワックスを意味する。
無極性ワックスは、特に、炭素及び水素原子のみで構成され、N、O、Si及びP等のヘテロ原子を欠いている炭化水素ワックスである。
特に、無極性ワックスは、無極性ワックスのみから構成されるワックスを意味するものとして理解される。
好ましくは、それは、無極性ワックスでない他のタイプのワックスを含む混合物ではない。
本発明のために好適な無極性ワックスの例示として、とりわけ、炭化水素ワックス、例えば微結晶ワックス、パラフィンワックス、オゾケライト及びポリエチレンワックスが挙げられる。
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、オゾケライトを含む。
オゾケライトとして、Ozokerite Wax Pastilles SP 1021 Pの名称で販売されているものが特に挙げられる。
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、ポリエチレンワックスを含む。
挙げられるポリエチレンワックスには、Honeywell社により販売されているAsensa(登録商標) SC 211、New Phase Technologies社により販売されているPerformalene 500-L Polyethylene及びPerformalene 400 Polyethyleneが含まれる。
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、オゾケライト及びポリエチレンワックスを含む。
使用できる微結晶ワックスとしては、Sonneborn社により販売されているMultiwax W 445(登録商標)、並びにParamelt社により販売されているMicrowax HW(登録商標)及びBase Wax 30540(登録商標)が挙げられる。
本発明による組成物において無極性ワックスとして使用できるマイクロワックスとして、とりわけ、ポリエチレンマイクロワックス、例えばMicro Powders社によりMicropoly 200(登録商標)、220(登録商標)、220L(登録商標)及び250S(登録商標)の名称で販売されているものが挙げられる。
好ましくは、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、0.5質量%から10質量%の間、好ましくは0.5質量%から8質量%の間の含有量の無極性ワックスを有する。
好ましくは、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、1質量%から5質量%の間の含有量の無極性ワックスを有する。
極性ワックス
一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の極性ワックスを含んでいてもよい。
本発明の意味するところでは、「極性ワックス」という用語は、25℃で溶解パラメータδaが、0(J/cm3)1/2以外であるワックスを意味する。
特に、「極性ワックス」という用語は、化学構造が炭素及び水素原子から本質的に形成される、又はこれらにより構成されさえする、少なくとも1つの電気陰性度の高いヘテロ原子、例えば酸素、窒素、ケイ素又はリン原子を含むワックスを意味する。
ハンセン3次元溶解度空間における溶解パラメータの定義及び計算は、C.M. Hansen著、「The three-dimensional solubility parameters」、J. Paint Technol.、39巻、105頁(1967年)なる論文に記載されている。
このハンセン空間によれば、
- δDは、分子の衝突中に誘起される双極子の形成から生じるロンドン分散力を特徴付け、
- δpは、永久双極子間のデバイ相互作用力、更に誘起双極子と永久双極子との間のケーソム相互作用力を特徴付け、
- δhは、特異的相互作用力(例えば酸/塩基、供与体/受容体、水素結合等)を特徴付け、
- δaは、方程式:δa=(δp 2+δh 2)1/2によって決定される。
パラメータδp、δh、δD及びδaは、(J/cm3)1/2で表現される。
極性ワックスは、とりわけ、炭化水素、フルオロ又はシリコーンワックスであってもよい。
優先的には、極性ワックスは、炭化水素ワックス又はフルオロワックスであってもよい。
「シリコーンワックス」という用語は、少なくとも1つのケイ素原子を含み、とりわけSi-O基を含むワックスを意味する。
「炭化水素ワックス」という用語は、炭素及び水素原子、並びに任意選択で酸素及び窒素原子から本質的に形成される、又はこれらにより構成されさえする、ケイ素又はフッ素原子を一切含有しないワックスを意味する。それは、アルコール基、エステル基、エーテル基、カルボン酸基、アミン基及び/又はアミド基を含有していてもよい。
第1の好ましい実施形態によれば、極性ワックスは炭化水素ワックスである。
炭化水素極性ワックスとして、エステルワックス及びアルコールワックスから選択されるワックスが特に好ましい。
「エステルワックス」という表現は、本発明によれば、少なくとも1つのエステル官能基を含むワックスを意味するものと理解される。
本発明によれば、「アルコールワックス」という用語は、少なくとも1つのアルコール官能基を含む、すなわち、少なくとも1つの遊離ヒドロキシル(OH)基を含むワックスを意味する。
とりわけエステルワックスとして使用できるのは、
- 以下のもの等のエステルワックスである。すなわち、
i)式R1COOR2のワックスであり、式中、R1及びR2は、直鎖状、分枝鎖状、又は環状の脂肪鎖を表し、その原子の数は10個から50個の範囲であり、それはO、N又はP等のヘテロ原子を含有していてもよく、その融点は25℃から120℃の範囲である。特に、エステルワックスとして使用できるのは、単独の又は混合物としてのC20〜C40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート(20個から40個の炭素原子を含むアルキル基)、又はC20〜C40アルキルステアレートである。かかるワックスは、とりわけ、Koster Keunen社によりKester Wax K 82 P(登録商標)、Hydroxypolyester K 82 P(登録商標)、Kester Wax K 80 P(登録商標)又はKester Wax K82Hの名称で販売されている。
モンタン酸(オクタコサン酸)グリコール及びブチレングリコール、例えばClariant社により販売されているワックスLicowax KPS Flakes(INCI名:モンタン酸グリコール)もまた使用できる。
ii)Heterene社によりHest 2T-4S(登録商標)の名称で販売されている、ビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)テトラステアレート。
iii)一般式R3-(-OCO-R4-COO-R5)のジカルボン酸のジエステルワックスであり、式中、R3及びR5は、同一である又は異なっており、好ましくは同一であり、C4〜C30アルキル基(4個から30個の炭素原子を含むアルキル基)を表し、R4は、直鎖状又は分枝鎖状のC4〜C30脂肪族基(4個から30個の炭素原子を含むアルキル基)を表し、これは1つ以上の不飽和基を含有していてもしていなくてもよい。好ましくは、C4〜C30脂肪族基は、直鎖状で不飽和である。
iv)直鎖状又は分枝鎖状C8〜C32脂肪鎖を有する動物又は植物油の接触水素化により得られるワックス、例えば水添ホホバ油、水添ヒマワリ油、水添ヒマシ油、水添ヤシ油もまた挙げられ、セチルアルコールでエステル化されたヒマシ油の水素化により得られるワックス、例えばSophim社によりPhytowax Ricin 16L64(登録商標)及び22L73(登録商標)の名称で販売されているものもまた挙げられる。かかるワックスは、特許出願FR-A-2 792 190に記載されている。ステアリルアルコールでエステル化されたオリーブ油の水素化により得られるワックスとして、Phytowax Olive 18 L 57の名称で販売されているものを挙げられる。
v)蜜蝋、合成蜜蝋、ポリグリセロール化蜜蝋、カルナウバワックス、カンデリラワックス、オキシプロピレン化ラノリンワックス、米糠蝋、オーリクリーワックス、アフリカハネガヤワックス、コルク繊維ワックス、サトウキビワックス、日本蝋、ウルシ蝋、モンタンワックス、オレンジワックス、ベーベリワックス(laurel wax)及び水添ホホバワックスも挙げられる。
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、カンデリラワックスを含む。
別の一実施形態によれば、極性ワックスはアルコールワックスであってもよい。
挙げられるアルコールワックスには、例えば、New Phase Technologies社製ワックスPerformacol 550-L Alcohol、ステアリルアルコール及びセチルアルコールが含まれる。
第2の実施形態によれば、極性ワックスはシリコーンワックス、例えばシリコーン処理蜜蝋であってもよい。
好ましくは、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、0.5質量%から10質量%の間、好ましくは0.5質量%から8質量%の間の含有量の極性ワックス、特に極性炭化水素ワックスを有する。
好ましくは、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、1質量%から5質量%の間の含有量の極性ワックス、特に極性炭化水素ワックスを有する。
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、シリコーンワックスを欠いている。
特に好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、好ましくは微結晶ワックス、パラフィンワックス、オゾケライト、ポリエチレンワックス及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種の無極性炭化水素ワックスを含む。
液状脂肪相
本発明による組成物は、少なくとも1種の脂肪相、特にオルガノポリシロキサンエラストマーを運搬する少なくとも1種の第1の油、及び少なくとも1種の第2の油を含む。
油は、揮発性油及び/又は不揮発性油、又はそれらの混合物から選択してもよい。
「油」という用語は、室温(25℃)及び大気圧(760mmHg)で液状である、水不混和性の非水性化合物を意味する。
特に、第1の油及び前記第2の油は、炭化水素油、シリコーン油及び/又はフルオロ油から選択してもよい。
優先的には、オルガノポリシロキサンエラストマーを運搬する第1の油は、揮発性油、好ましくは揮発性シリコーン油から選択される。
優先的には、オルガノポリシロキサンエラストマーを運搬する第2の油は、不揮発性油、好ましくは不揮発性炭化水素油から選択される。
揮発性油
特に、好ましくは、オルガノポリシロキサンエラストマーが運搬される前記第1の油は、揮発性である。
本発明の意味するところでは、「揮発性油」という用語は、室温及び大気圧で、皮膚に接触させると1時間未満で蒸発できる油(又は非水性媒体)を意味する。揮発性油は、室温で液状の揮発性化粧用油であり、とりわけ、室温及び大気圧でゼロではない蒸気圧、特に0.13Paから40000Pa(10-3から300mmHg)の範囲、特に1.3Paから13000Pa(0.01〜100mmHg)の範囲、より詳細には1.3Paから1300Pa(0.01〜10mmHg)の範囲の蒸気圧を有する。
a.シリコーン油
本発明の代替的一形態によれば、揮発性油は揮発性シリコーン油である。
「シリコーン油」という用語は、少なくとも1つのケイ素原子を含み、とりわけSi-O基を含む油を意味する。
本発明において使用できる揮発性シリコーン油は、とりわけ粘度≦8センチストーク(cSt)(8×10-6m2/s)を有するシリコーン油から選択してもよい。
揮発性油として、粘度≦8センチストーク(8×10-6m2/s)を有し、特に2個から10個のケイ素原子、とりわけ2個から7個のケイ素原子を有するものを特に使用でき、これらのシリコーンは、任意選択で1個から10個の炭素原子を有するアルキル又はアルコキシ基を含む。本発明において使用できる揮発性シリコーン油は、40℃から102℃の範囲の引火点を有し、好ましくは55℃超で95℃以下、好ましくは65℃から95℃の範囲の引火点を有するシリコーン油から選択できる。
揮発性シリコーン油は、直鎖状又は環状シリコーン油、例えば、3個から7個のケイ素原子を含有する直鎖状又は環状ポリジメチルシロキサン(PDMS)から選択してもよい。
挙げられるかかる油の例には、オクチルトリメチコン、ヘキシルトリメチコン、デカメチルシクロペンタシロキサン(シクロペンタシロキサン又はD5)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(シクロテトラジメチルシロキサン又はD4)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、デカメチルテトラシロキサン(L4)、信越化学工業株式会社製KF 96 A、及びポリジメチルシロキサン、例えばDow Corning社によりDC 200(1.5cSt)、DC 200(5cSt)及びDC 200(3cSt)の参照名で販売されているものが含まれる。
本発明において使用できる揮発性シリコーン油として、とりわけ、粘度が5及び6cStであるジメチコン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン及びドデカメチルペンタシロキサン、及びそれらの混合物が挙げられる。
本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、2質量%から50質量%の間の、特に5質量%から45質量%の間の、好ましくは10質量%から40質量%の間の、より具体的には15質量%から40質量%の間の含有量で、少なくとも1種の揮発性油を含みうる。
好ましくは、組成物は、5及び6cStのジメチコンから好ましくは選択される少なくとも1種の揮発性シリコーン油を含む。
特に、好ましい一実施形態によれば、組成物中に存在する揮発性油は、オルガノポリシロキサンエラストマーが運搬される第1の油に対応しうる。
特定の一実施形態によれば、本発明による組成物は、加えて、前記オルガノポリシロキサンエラストマーを運搬する第1の油以外に、少なくとも1種の追加の揮発性油を含みうるのであり、したがって、それは前記第2の油、又は追加の油に対応しうる。
b.炭化水素油
本発明の代替的一形態によれば、揮発性油は揮発性炭化水素油である。
「炭化水素油」という用語は、炭素及び水素原子、並びに任意選択で酸素及び窒素原子から本質的に形成される、実際これらにより構成されさえする、ケイ素又はフッ素原子を一切含有しない油を意味する。それは、アルコール基、エステル基、エーテル基、カルボン酸基、アミン基及び/又はアミド基を含有していてもよい。
揮発性炭化水素油(溶媒としても知られている)は、8個から16個の炭素原子(好ましくは8個から14個の間の炭素原子)を有する炭化水素油、特に引火点が80℃以下である(引火点は特にISO規格3679に従い測定される)揮発性炭化水素油、特に、
- 分枝鎖状C8〜C16アルカン、例えば石油由来のC8〜C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)、例えばイソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られている)、イソデカン、イソヘキサデカン及び、例えば、Isopar又はPermethylの商品名で販売されている油、
- 直鎖状アルカン、例えば、Sasol社によりParafol 12-97及びParafol 14-97の参照名でそれぞれ販売されているn-ドデカン(C12)及びn-テトラデカン(C14)、及びそれらの混合物、ウンデカン-トリデカン混合物、Cognis社による出願WO2008/155059の実施例1及び2において得られたn-ウンデカン(C11)及びn-トリデカン(C13)の混合物、並びにそれらの混合物、
- 分枝鎖状C8〜C16エステル、ネオペンタン酸イソヘキシル、及びそれらの混合物
から選択できる。他の揮発性炭化水素油、例えば石油蒸留物、とりわけShell社によりShell Soltの名称で販売されているものも使用してもよい。揮発性溶媒は、好ましくは、8個から16個の炭素原子を含有する揮発性炭化水素油、及びそれらの混合物から選択される。
本発明による組成物において使用できる他の揮発性炭化水素溶媒(油)として、室温で液状であるケトン、例えばメチルエチルケトン又はアセトン;短鎖エステル(総数で3個から8個の炭素原子を含有する)、例えば酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル又は酢酸n-ブチル;室温で液状であるエーテル、例えばジエチルエーテル、ジメチルエーテル又はジクロロジエチルエーテル;アルコール、とりわけ2個から5個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝鎖状低級モノアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール又はn-プロパノールもまた挙げられる。
c.フルオロ油
揮発性油はまた、フルオロ油、例えば、ペルフルオロポリエーテル、ペルフルオロアルカン、例えばペルフルオロデカリン、ペルフルオロアダマンタン、ペルフルオロアルキルホスフェートのモノエステル、ジエステル及びトリエステル、並びにフルオロエステル油から選択してもよい。
揮発性フルオロ油、例えばノナフルオロメトキシブタン又はペルフルオロメチルシクロペンタン、及びそれらの混合物もまた使用してもよい。
不揮発性油
好ましくは、本発明による組成物は、少なくとも1種の不揮発性油を含む。特に、好ましくは、前記第2の油は不揮発性である。
「不揮発性」油という用語は、室温及び大気圧での蒸気圧がゼロでなく、0.02mmHg(2.66Pa)未満、より一層良好には10-3mmHg(0.13Pa)未満である油を指す。
不揮発性油は、とりわけ植物由来の炭化水素油、合成又は無機物由来の油、シリコーン油、フルオロ油、又はそれらの混合物であってもよい。
無極性油
第1の実施形態によれば、前記不揮発性油は、無極性油、好ましくは無極性炭化水素油であってもよい。
これらの油は、植物、無機物又は合成由来であってもよい。
本発明の意味するところでは、「無極性油」という用語は、上に定義した25℃での溶解パラメータδaが、0(J/cm3)1/2に等しい油を意味する。
「炭化水素油」という用語は、炭素及び水素原子、並びに任意選択で酸素及び窒素原子から本質的に形成される、実際これらにより構成されさえする、ケイ素又はフッ素原子を一切含有しない油を意味する。それは、アルコール基、エステル基、エーテル基、カルボン酸基、アミン基及び/又はアミド基を含有していてもよい。
好ましくは、不揮発性無極性炭化水素油は、無機物又は合成由来の直鎖状又は分枝鎖状炭化水素、例えば、
- 流動パラフィン又はそれらの誘導体、
- スクアラン、
- イソエイコサン、
- ナフタレン油、
- ポリブチレン、例えばAmoco社により販売又は製造されているIndopol H-100(モル質量又はMW=965g/mol)、Indopol H-300(MW=1340g/mol)及びIndopol H-1500(MW=2160g/mol)、
- 水添ポリイソブチレン、例えば日油株式会社により販売されているParleam(登録商標)、Amoco社により販売又は製造されているPanalane H-300 E(MW=1340g/mol)、Synteal社により販売又は製造されているViseal 20000(MW=6000g/mol)又はWitco社により販売又は製造されているRewopal PIB 1000(MW=1000g/mol)、
- デセン/ブテンコポリマー、ポリブテン/ポリイソブテンコポリマー、とりわけIndopol L-14、
- ポリデセン及び水添ポリデセン、例えば、Mobil Chemicals社により販売又は製造されているPuresyn 10(MW=723g/mol)及びPuresyn 150(MW=9200g/mol)、
- 並びにこれらの混合物
から選択してもよい。
好ましくは、本発明による組成物は、好ましくは水添ポリイソブテン及び/又はポリブテンから選択される、少なくとも1種の無極性油を含む。
極性油
特定の一実施形態によれば、組成物は、少なくとも1種の不揮発性極性油を含む。前記油は、炭化水素油、シリコーン油又はフルオロ油であってもよい。
好ましくは、前記不揮発性油は、極性炭化水素油である。
「シリコーン油」という用語は、少なくとも1個のケイ素原子を含有し、とりわけSi-O基を含有する油を意味する。
「フルオロ油」という用語は、少なくとも1個のフッ素原子を含む油を意味する。
これらの油は、植物、無機物又は合成由来であってもよい。
本発明の意味するところでは、「極性油」という用語は、25℃での溶解パラメータδaが、0(J/cm3)1/2以外である油を意味する。
特に、不揮発性極性炭化水素油は、下の油のリスト及びこれらの混合物から選択してもよい。すなわち、
- 炭化水素植物油、例えば、4個から10個の炭素原子を含有する脂肪酸の液状トリグリセリド、例えば、ヘプタン酸若しくはオクタン酸トリグリセリド又はホホバ油、
- 好ましくは以下から選択されるエステル油。すなわち、
- 脂肪酸エステル、特に4個から22個の炭素原子を有し、とりわけオクタン酸、ヘプタン酸、ラノリン酸、オレイン酸、ラウリン酸又はステアリン酸の脂肪酸エステル、例えばジオクタン酸プロピレングリコール、モノイソステアリン酸プロピレングリコール又はジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、
- 合成エステル、例えば、式R1COOR2の油(式中、R1は、4個から40個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝鎖状脂肪酸残基を表し、R2は、とりわけ分枝鎖状である、4個から40個の炭素原子を含有する炭化水素鎖を表し、但し、R1+R2≧16である)、例えば、ピュアセリン(Purcellin)オイル(オクタン酸セトステアリル)、イソノナン酸イソノニル、安息香酸C12〜C15アルキル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル、エルカ酸オレイル、イソステアリン酸イソステアリル、安息香酸2-オクチルドデシル、アルコール若しくは多価アルコールオクタノエート、デカノエート若しくはシノレエート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル又はコハク酸ジ(2-エチルヘキシル)であり、好ましくは、R1は、4個から40個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝鎖状脂肪酸残基を表し、R2は、とりわけ分枝鎖状である、4個から40個の炭素原子を含有する炭化水素鎖を表し、R1及びR2≧20とする、
- 35から70の範囲の総炭素数を有する直鎖状脂肪酸エステル、例えばテトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル(MW=697g/mol)、
- 好ましくは35から70の範囲の総炭素数を有するヒドロキシル化エステル、例えばトリイソステアリン酸ポリグリセリル-2(MW=965g/mol)、乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ステアリン酸グリセリル、ジイソノナン酸ジエチレングリコール、
- 4個から22個の原子を含む、芳香族酸とアルコールとのエステル、例えばトリメリット酸トリデシル(MW=757g/mol)、
- 分枝鎖状C24〜C28脂肪族アルコール又は脂肪酸のエステル、例えば、出願EP-A-0 955 039に記載されているもの、とりわけ、クエン酸トリイソアラキジル(MW=1033.76g/mol)、テトライソノナン酸ペンタエリスリチル(MW=697g/mol)、トリイソステアリン酸グリセリル(MW=891g/mol)、トリ(2-デシルテトラデカン酸)グリセリル(MW=1143g/mol)、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル(MW=1202g/mol)、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2(MW=1232g/mol)又はテトラ(2-デシルテトラデカン酸)ペンタエリスリチル(MW=1538g/mol)、
- 任意選択により不飽和の、少なくとも1種のヒドロキシル化カルボン酸トリグリセリドを脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸でエステル化することにより得られるポリエステル、例えばZenitech社により参照名Zeniglossで販売されているコハク酸及びイソステアリン酸ヒマシ油、
- 一般式HO-R1-(-OCO-R2-COO-R1-)h-OHのジオールダイマーと二酸ダイマーとのエステル(式中、
R1はジリノール二酸の水素化により得られるジオールダイマー残基を表し、
R2は、水添ジリノール二酸残基を表し、
hは、1〜9の範囲の整数を表す)、
とりわけ、日本精化株式会社によりLusplan DD-DA5(登録商標)及びDD-DA7(登録商標)の商品名で販売されているジリノール二酸とジリノレイルジオールダイマーとのエステル、
- 不飽和脂肪酸ダイマー及び/又はトリマーとジオール、例えば特許出願FR 0 853 634に記載のもの、特に例えばジリノール酸及び1,4-ブタンジオールとの縮合によって得られるポリエステル。とりわけこの点において挙げられるのは、Biosynthis社によりViscoplast 14436Hの名称で販売されているポリマー(INCI名:ジリノール酸/ブタンジオールコポリマー)、又はポリオールと二酸ダイマーとのコポリマー、及びそのエステル、例えばHailuscent ISDAである。
- 好ましくは分枝鎖状の、12個から26個の炭素原子を含有する脂肪族アルコール、例えばオクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール及びオレイルアルコール、
- C12〜C22高級脂肪酸、例えばオレイン酸、リノール酸及びリノレン酸、及びそれらの混合物、
- 植物由来の油、例えばゴマ油(820.6g/mol)、
- 12個から26個の炭素原子を含む脂肪酸、例えばオレイン酸、
- 2つのアルキル鎖が場合によって同一である又は異なっている炭酸ジアルキル、例えば、Cognis社によりCetiol CC(登録商標)の名称で販売されている炭酸ジカプリリル、
- ビニルピロリドンコポリマー、例えばビニルピロリドン/1-ヘキサデセンコポリマー、ISP社により販売又は製造されているAntaron V-216(MW=7300g/mol)、並びに
- それらの混合物。
特定の一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種のビニルピロリドン/1-ヘキサデセンコポリマーを含む。
好ましくは、本発明による組成物は、少なくとも1種の不揮発性油、好ましくは炭化水素エステル油、好ましくは、以下から選択されるものを含む。すなわち、
- 式R1COOR2の合成エステル(式中、R1は、4個から40個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝鎖状脂肪酸残基を表し、R2は、とりわけ分枝状の、4個から40個の炭素原子を含有する炭化水素系鎖を表し、但し、R1+R2≧16である)、好ましくは、ピュアセリンオイル(オクタン酸セトステアリル)、イソノナン酸イソノニル、安息香酸C12〜C15アルキル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル、エルカ酸オレイル、イソステアリン酸イソステアリル、安息香酸2-オクチルドデシル、アルコール若しくは多価アルコールオクタノエート、デカノエート若しくはシノレエート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル又はコハク酸ジ(2-エチルヘキシル)から選択されるもの、
- 4個から22個の原子を含む、芳香族酸とアルコールとのエステル、例えばトリメリット酸トリデシル(MW=757g/mol)、
- 並びにそれらの混合物。
好ましくは、本発明による組成物は、式R1COOR2の油(式中、R1は、4個から40個の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝鎖状脂肪酸残基を表し、R2は、とりわけ分枝鎖状の、4個から40個の炭素原子を含有する炭化水素鎖を表し、但し、R1+R2≧16である)の合成エステルから選択される少なくとも1種の第2の油を含む。
好ましくは、本発明による組成物は、好ましくはイソステアリン酸イソステアリル、及び/又はリンゴ酸ジイソステアリル、及び/又はトリメリット酸トリデシル、及びそれらの混合物から選択される、少なくとも1種の不揮発性炭化水素エステル油(すなわち、少なくとも1つのエステル官能基を含む)を含む。
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、イソステアリン酸イソステアリルを含む。
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、リンゴ酸ジイソステアリルを含む。
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、トリメリット酸トリデシルを含む。
別の一実施形態によれば、不揮発性極性油はフルオロ油であってもよい。
本発明に従い使用できるフルオロ油は、文献EP-A-847 752に記載のフルオロシリコーン油、フルオロポリエーテル及びフルオロシリコーン、並びにペルフルオロ化合物から選択してもよい。
本発明によれば、「ペルフルオロ化合物」という用語は、すべての水素原子がフッ素原子で置換された化合物を意味する。
好ましい一実施形態によれば、本発明によるフルオロ油は、ペルフルオロ油から選択される。
本発明において使用できるペルフルオロ油の例として、ペルフルオロデカリン及びペルフルオロペルヒドロフェナントレンが挙げられる。
好ましい一実施形態によれば、フルオロ油は、ペルフルオロペルヒドロフェナントレン、とりわけ、Creations Couleurs社により販売されているFiflow(登録商標)製品から選択される。特に、INCI名がペルフルオロペルヒドロフェナントレンであり、F2 Chemicals社によりFiflow 220という参照名で販売されているフルオロ油を使用できる。
別の一実施形態によれば、不揮発性極性油はシリコーン油であってもよい。
本発明において使用できる不揮発性シリコーン油は、とりわけ25℃での粘度が9センチストーク(cSt)(9×10-6m2/s)以上で800000cSt未満、好ましくは50から600000cStの間、好ましくは100から500000cStの間であるシリコーン油から、とりわけ選択してもよい。このシリコーン油の粘度は、ASTM規格D-445に従って測定してもよい。
特に、不揮発性シリコーン油は、以下から選択してもよい。すなわち、
- 不揮発性直鎖状又は分枝鎖状ポリジメチルシロキサン(PDMS)、
- ペンダントであるか、又はシリコーン鎖の末端の、2個から24個の炭素原子を含有するアルキル基、アルコキシ基又はフェニル基を含むポリジメチルシロキサン、
- フェニルシリコーン油、特に以下からから選択されるもの。すなわち、
- フェニルトリメチコン、とりわけ例えばフェニルトリメチルシロキシトリシロキサン、とりわけDow Corning 556 Cosmetic Grade Fluidの参照名で販売されているもの、
- フェニルジメチコン、
- フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、
- ジフェニルジメチコン、
- ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、
- 2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート、
- トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、とりわけ例えばDow Corning社によりPH-1555 HRI又はDow Corning 555 Cosmetic Fluidの参照名で販売されているシリコーン油(化学名:1,3,5-トリメチル-1,1,3,5,5-ペンタフェニルトリシロキサン;INCI名:トリメチルペンタフェニルトリシロキサン)、
- トリメチルシロキシフェニルジメチコン、とりわけ例えばWacker社により参照名Belsil PDM 1000で販売されている製品。
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の不揮発性シリコーン油、好ましくはフェニルシリコーン油を含む。
好ましくは、不揮発性油は、組成物の総質量に対して、10質量%から70質量%、とりわけ15質量%から60質量%、特に20質量%から50質量%の範囲の総含有量で、本発明による組成物中に存在する。
好ましくは、不揮発性炭化水素油は、組成物の総質量に対して、10質量%から70質量%、とりわけ12質量%から60質量%、特に15質量%から50質量%の範囲の総含有量で、本発明による組成物中に存在する。
好ましくは、不揮発性シリコーン油は、組成物の総質量に対して、2質量%から70質量%、とりわけ5質量%から60質量%、特に5質量%から50質量%の範囲の総含有量で、本発明による組成物中に存在する。
好ましくは、本発明による組成物は、不揮発性シリコーン油及び不揮発性炭化水素油を第2の油として含む。
ペースト状脂肪物質
本発明による組成物は、好ましくは、ワックスに加えて、ペースト状脂肪物質から選択される少なくとも1種の固形脂肪物質を含む。
本発明の意味するところでは、「ペースト状脂肪物質」という用語は、可逆的な固形/液状の状態変化をし、固形状態で異方性の結晶組織を示し、23℃の温度で液状画分及び固形画分を含む、親油性脂肪化合物を意味することを意図している。
換言すれば、ペースト状脂肪物質の融解開始点は、23℃未満でありうる。23℃で測定したペースト状脂肪物質の液状画分は、ペースト状脂肪物質の9質量%から97質量%を占めることができる。23℃での液状画分は、好ましくは15質量%から85質量%、より好ましくは40質量%から85質量%を占める。
本発明の意味するところでは、融点は、ISO規格11357-3;1999年に記載の熱分析(DSC)により観察される最高吸熱ピークの温度に対応する。ペースト状脂肪物質の融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えばTA Instruments社によりMDSC 2920の名称で販売されている熱量計を使用して測定してもよい。
測定プロトコルは以下のとおりである。すなわち、
るつぼに入れたペースト状脂肪物質の試料5mgに-20℃から100℃の範囲の第1の温度上昇を加熱速度10℃/分で施し、次に、100℃から-20℃に冷却速度10℃/分で冷却し、最後に-20℃から100℃の範囲の第2の温度上昇を加熱速度5℃/分で施す。第2の温度上昇中に、空のるつぼにより吸収される力とペースト状脂肪物質の試料を含有するるつぼにより吸収される力との差の変化を温度の関数として測定する。ペースト状脂肪物質の融点は、吸収された力の差の変化を温度の関数として表す曲線のピークの頂点に対応する温度値である。
23℃でのペースト状脂肪物質の質量による液状画分は、23℃で消費される融解エンタルピーの、ペースト状脂肪物質の融解エンタルピーに対する比に等しい。
ペースト状脂肪物質の融解エンタルピーは、固形状態から液状状態に転移するためにペースト状脂肪物質によって消費されるエンタルピーである。ペースト状脂肪物質は、その質量のすべてが結晶性固体形態であるとき、固形状態であると言われる。ペースト状脂肪物質は、その質量のすべてが液体形態であるとき、液状状態であると言われる。
ペースト状脂肪物質の融解エンタルピーは、TA Instrument社によりMDSC 2920の名称で販売されている熱量計等の示差走査熱量計(DSC)を使用して、ISO規格11357-3;1999年に従って、1分当たり5℃又は10℃の温度上昇で得られたサーモグラムの曲線下面積に等しい。
ペースト状脂肪物質の融解エンタルピーは、ペースト状脂肪物質を固形状態から液状状態に変化させるために必要なエネルギー量である。これはJ/gで表される。
23℃で消費される融解エンタルピーは、試料が固形状態から、23℃でそれが有する、液状画分及び固形画分から構成される状態へと変化するために吸収するエネルギーの量である。
32℃で測定されるペースト状脂肪物質の液状画分は、好ましくはペースト状脂肪物質の30質量%から100質量%、好ましくは50質量%から100質量%、より好ましくはペースト状脂肪物質の60質量%から100質量%を占める。32℃で測定されるペースト状脂肪物質の液状画分が100%に等しいとき、ペースト状脂肪物質の融解範囲の終点温度は、32℃以下である。
32℃で測定されるペースト状脂肪物質の液状画分は、32℃で消費される融解エンタルピーの、ペースト状脂肪物質の融解エンタルピーに対する比に等しい。32℃で消費される融解エンタルピーは、23℃で消費される融解エンタルピーと同じ方法で計算される。
ペースト状脂肪物質は、特に、合成脂肪物質及び植物由来の脂肪物質から選択してもよい。ペースト状脂肪物質は、植物由来の出発原料からの合成によって得てもよい。
ペースト状脂肪物質は、以下から選択してもよい。すなわち、
- ラノリン及びその誘導体、
- ワセリン、
- ポリアルキレングリコールペンタエリスリチルエーテル、糖の脂肪族アルコールエーテル、及びそれらの混合物から選択されるポリオールエーテル、5個のオキシエチレン(5OE)単位を含むポリエチレングリコールペンタエリスリチルエーテル(CTFA名:PEG-5ペンタエリスリチルエーテル)、5個のオキシプロピレン(5OP)単位を含むポリプロピレングリコールペンタエリスリチルエーテル(CTFA名:PPG-5ペンタエリスリチルエーテル)及びそれらの混合物、なかでもとりわけ、Vevy社によりLanolideの名称で販売されているPEG-5ペンタエリスリチルエーテルとPPG-5ペンタエリスリチルエーテルとダイズ油との混合物(成分が46/46/8の質量比、すなわち、46%のPEG-5ペンタエリスリチルエーテル、46%のPPG-5ペンタエリスリチルエーテル及び8%のダイズ油である混合物)、
- ポリマー又は非ポリマーシリコーン化合物、
- ポリマー又は非ポリマーフルオロ化合物、
- ビニルポリマー、とりわけ、
-- オレフィンホモポリマー及びコポリマー、
-- 水添ジエンホモポリマー及びコポリマー、
-- 好ましくはC8〜C30アルキル基を含有するアルキル(メタ)アクリレートのホモポリマー又はコポリマーである直鎖状又は分枝鎖状のオリゴマー、
-- C8〜C30アルキル基を含有するビニルエステルのホモポリマー及びコポリマーであるオリゴマー、並びに
-- C8〜C30アルキル基を含有するビニルエーテルのホモポリマー及びコポリマーであるオリゴマー、
- 1種又は複数種のC2〜C100、好ましくはC2〜C50ジオール間のポリエーテル化から結果として得られる脂溶性ポリエーテル、
- エステル、
- 並びに/又はそれらの混合物。
脂溶性ポリエーテルの中で特に検討されるのは、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと長鎖C6〜C30アルキレンオキシドとのコポリマーであり、より好ましくは、コポリマーにおけるエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのアルキレンオキシドに対する質量比が5:95から70:30となるようなものである。このファミリーにおいて、とりわけ、長鎖アルキレンオキシドが平均分子量1000〜10000を有するブロック状に配列するようなコポリマー、例えば、ポリオキシエチレン/ポリドデシルグリコールブロックコポリマー、例えばAkzo Nobel社によりElfacos ST9の商品名で販売されているドデカンジオール(22mol)とポリエチレングリコール(45OE)とのエーテルが挙げられると考えられる。
エステルの中で、以下のものがとりわけ検討される。すなわち、
- グリセロールオリゴマーのエステル、とりわけジグリセロールエステル、特にアジピン酸とグリセロールとの縮合物であって、グリセロールのヒドロキシル基の一部が、脂肪酸、例えば、ステアリン酸、カプリン酸、イソステアリン酸及び12-ヒドロキシステアリン酸の混合物と反応しているもの、例えば、Sasol社によりSoftisan(登録商標) 649の参照名で販売されているビスジグリセリルポリアシルアジペート-2、
- C8〜C30アルキル基を含有するビニルエステルホモポリマー、例えばポリラウリン酸ビニル(とりわけChimex社によりMexomer PPの参照名で販売されているもの)、
- Alzo社によりWaxenol 801の商品名で販売されているプロピオン酸アラキジル、
- フィトステロールエステル、
- 脂肪酸トリグリセリド及びそれらの誘導体、
- ペンタエリスリトールエステル、
- 遊離アルコール官能基又は酸官能基が酸基又はアルコール基で必要に応じてエステル化された、ジオールダイマーと二酸ダイマーとのエステル、とりわけダイマージリノール酸エステル;かかるエステルは、とりわけ以下のINCI名を有するエステルから選択してもよい。すなわち、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)(Plandool G)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)(Plandool H又はPlandool S)、及びそれらの混合物。
- マンゴーバター、例えば、AarhusKarlshamn社によりLipex 203の参照名で販売されている製品、
- 水添ダイズ油、水添ヤシ油、水添アブラナ種子油、水添植物油の混合物、例えば、水添ダイズ、ヤシ、パーム及びアブラナ種子植物油の混合物、例えばAarhusKarlshamn社によりAkogel(登録商標)の参照名で販売されている混合物(INCI名:水添植物油)、
- シアバター、特にINCI名がシア脂(Butyrospermum Parkii Butter)である製品、例えばAarhusKarlshamn社によりSheasoft(登録商標)の参照名で販売されている製品、
- 並びにそれらの混合物。
好ましい一実施形態によれば、ペースト状脂肪物質は、エステル、特にジグリセロールエステル、及びそれらの混合物から選択される。
ペースト状化合物の中で、好ましくは選択されると考えられるのは、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイルビス(ベヘニル/イソステアリル/フィトステリル)、ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2、水添ヒマシ油、例えば高級アルコール工業株式会社により販売されているRisocast-DA-L、イソステアリン酸水添ヒマシ油、例えば日清オイリオグループ株式会社(Nisshin Oil)により販売されているSalacos HCIS (V-L)、ポリラウリン酸ビニル、マンゴーバター、シアバター、水添ダイズ油、水添ヤシ油、水添アブラナ種子油、ビニルピロリドン/エイコセンコポリマー、又はそれらの混合物である。
別の一実施形態によれば、組成物は、ペースト状脂肪物質を欠いている。
好ましくは、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、1質量%から50質量%、特に5質量%から45質量%、とりわけ10質量%から40質量%の範囲の含有量のペースト状脂肪物質を含む。
着色料
好ましくは、本発明による組成物は、特に、水溶性又は脂溶性着色料、顔料、有機レーキ、真珠光沢剤、光学効果を有する物質、及びそれらの混合物から選択できる、少なくとも1種の着色料(「着色剤」としても知られている)を含む。
好ましくは、追加の着色料(前記レーキ以外)は、組成物の総質量に対して、0.01質量%から25質量%の間、好ましくは0.1質量%から20質量%の間の含有量で存在できる。
特に、本発明による組成物は、水溶性染料及び粉末着色料から選択される1種又は複数種の着色料、例えば顔料、有機レーキ、真珠光沢剤及びグリッターを含んでいてもよく、これらは当業者によく知られている。
「顔料」という用語は、水性溶液に不溶性であり、結果として得られる薄膜を着色及び/又は不透明化することを意図した、白色又は有色の、無機又は有機粒子を意味すると理解されるべきである。
顔料は、化粧料組成物の総質量に対して、0.01質量%から20質量%、とりわけ0.1質量%から15質量%、特に0.2質量%から10質量%の割合で存在していてもよい。
本発明において使用できる無機顔料として、酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、並びに酸化亜鉛、酸化鉄又は酸化クロム、フェリックブルー、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー及びクロム水和物が挙げられる。
それはまた、例えばセリサイト/ブラウン酸化鉄/二酸化チタン/シリカタイプであってもよい構造を有する顔料であってもよい。かかる顔料は例えば、Chemicals and Catalysts社によりCoverleaf NS又はJSの参照名で販売されており、30の領域にコントラスト比を有する。
着色料はまた、例えば酸化鉄を含有するシリカミクロスフェアタイプであってもよい構造を有する顔料を含んでいてもよい。この構造を有する顔料の例は、三好化成株式会社からPC Ball PC-LL-100 Pの参照名で販売されている製品であり、この顔料は、黄色酸化鉄を含有するシリカミクロスフェアから構成されている。
本発明で使用できる有機顔料の中で、カーボンブラック、D&Cタイプ、或いは文献EP-A-542 669、文献EP-A-787 730、文献EP-A-787 731及び文献WO-A-96/08537に記載のジケトピロロピロール(DPP)が挙げられる。
有機レーキ
好ましくは、本発明による組成物は、少なくとも1種の有機レーキを含む。
有機レーキは、基体に結合された染料から形成される有機顔料である。
「顔料」という用語は、水性溶液に不溶性であり、結果として得られる薄膜を着色及び/又は不透明化することを意図した、白色又は有色の、無機又は有機粒子を意味すると理解されるべきである。
有機顔料としても知られている有機レーキは、下の物質及びそれらの混合物から選択してもよい。すなわち、
- コチニールカルミン、
- アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、キサンテン染料、ピレン染料、キノリン染料、トリフェニルメタン染料及びフルオラン染料の有機顔料。有機顔料の中でとりわけ挙げられるのは、以下の名称で知られているものである。すなわち、D&C Blue No. 4、D&C Brown No. 1、D&C Green No. 5、D&C Green No. 6、D&C Orange No. 4、D&C Orange No. 5、D&C Orange No. 10、D&C Orange No. 11、D&C Red No. 6、D&C Red No. 7、D&C Red No. 17、D&C Red No. 21、D&C Red No. 22、D&C Red No. 27、D&C Red No. 28、D&C Red No. 30、D&C Red No. 31、D&C Red No. 33、D&C Red No. 34、D&C Red No. 36、D&C Violet No. 2、D&C Yellow No. 7、D&C Yellow No. 8、D&C Yellow No. 10、D&C Yellow No. 11、FD&C Blue No. 1、FD&C Green No. 3、FD&C Red No. 40、FD&C Yellow No. 5、FD&C Yellow No. 6、
- 少なくとも1つのカルボン酸基又はスルホン酸基を場合により含む、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、キサンテン染料、ピレン染料、キノリン染料、トリフェニルメタン染料又はフルオラン染料等の酸性染料の不溶性のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、アルミニウム塩、ジルコニウム塩、ストロンチウム塩又はチタン塩。
有機レーキは、例えばロジン又は安息香酸アルミニウム等の有機支持体上に支持されていてもよい。
有機レーキの中で特に挙げられるのは、以下の名称で知られているものである。すなわち、D&C Red No. 2 Aluminiumレーキ、D&C Red No. 3 Aluminiumレーキ、D&C Red No. 4 Aluminiumレーキ、D&C Red No. 6 Aluminiumレーキ、D&C Red No. 6 Bariumレーキ、D&C Red No. 6 Barium/Strontiumレーキ、D&C Red No. 6 Strontiumレーキ、D&C Red No. 6 Potassiumレーキ、D&C Red No. 7 Aluminiumレーキ、D&C Red No. 7 Bariumレーキ、D&C Red No. 7 Calciumレーキ、D&C Red No. 7 Calcium/Strontiumレーキ、D&C Red No. 7 Zirconiumレーキ、D&C Red No. 8 Sodiumレーキ、D&C Red No. 9 Aluminiumレーキ、D&C Red No. 9 Bariumレーキ、D&C Red No. 9 Barium/Strontiumレーキ、D&C Red No. 9 Zirconiumレーキ、D&C Red No. 10 Sodiumレーキ、D&C Red No. 19 Aluminiumレーキ、D&C Red No. 19 Bariumレーキ、D&C Red No. 19 Zirconiumレーキ、D&C Red No. 21 Aluminiumレーキ、D&C Red No. 21 Zirconiumレーキ、D&C Red No. 22 Aluminiumレーキ、D&C Red No. 27 Aluminiumレーキ、D&C Red No. 27 Aluminium/Titanium/Zirconiumレーキ、D&C Red No. 27 Bariumレーキ、D&C Red No. 27 Calciumレーキ、D&C Red No. 27 Zirconiumレーキ、D&C Red No. 28 Aluminiumレーキ、D&C Red No. 30レーキ、D&C Red No. 31 Calciumレーキ、D&C Red No. 33 Aluminiumレーキ、D&C Red No. 34 Calciumレーキ、D&C Red No. 36レーキ、D&C Red No. 40 Aluminiumレーキ、D&C Blue No. 1 Aluminiumレーキ、D&C Green No. 3 Aluminiumレーキ、D&C Orange No. 4 Aluminiumレーキ、D&C Orange No. 5 Aluminiumレーキ、D&C Orange No. 5 Zirconiumレーキ、D&C Orange No. 10 Aluminiumレーキ、D&C Orange No. 17 Bariumレーキ、D&C Yellow No. 5 Aluminiumレーキ、D&C Yellow No. 5 Zirconiumレーキ、D&C Yellow No. 6 Aluminiumレーキ、D&C Yellow No. 7 Zirconiumレーキ、D&C Yellow No. 10 Aluminiumレーキ、FD&C Blue No. 1 Aluminiumレーキ、FD&C Red No. 4 Aluminiumレーキ、FD&C Red No. 40 Aluminiumレーキ、FD&C Yellow No. 5 Aluminiumレーキ、FD&C Yellow No. 6 Aluminium lake。
前に挙げた有機着色料のそれぞれに対応する化学物質は、刊行物「International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook」、1997年版、371から386頁及び524から528頁、The Cosmetic, Toiletries and Fragrance Association発行に挙げられており、その内容を参照により本特許出願に組み込む。
好ましい一実施形態によれば、有機レーキは、コチニールカルミン、並びに、少なくとも1つのカルボン酸基又はスルホン酸基を場合により含む、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、キサンテン染料、ピレン染料、キノリン染料、トリフェニルメタン染料又はフルオラン染料等の酸性染料の不溶性のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、アルミニウム塩、ジルコニウム塩、ストロンチウム塩又はチタン塩から選択される。
有機レーキは、組成物の総質量に対して、0.01質量%から20質量%、とりわけ0.01質量%から15質量%、特に0.02質量%から10質量%の割合で存在していてもよい。
「真珠光沢剤」という用語は、任意の形態の着色粒子を意味すると理解されるべきであり、これは、虹色であってもなくてもよく、とりわけある種の軟体類によりその殻の中で生成され、或いは合成され、光学干渉を介する色効果を有する。
真珠光沢剤は、真珠光沢顔料、例えば、酸化鉄でコーティングされた雲母チタン、オキシ塩化ビスマスでコーティングされた雲母チタン、酸化クロムでコーティングされた雲母チタン、有機染料でコーティングされた雲母チタン、及びオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠光沢顔料から選択してもよい。それらはまた、表面に、金属酸化物及び/又は有機着色料の少なくとも2つの連続層が重ねられた雲母粒子であってもよい。
また挙げられる真珠光沢剤の例には、酸化チタン、酸化鉄、天然顔料又はオキシ塩化ビスマスでコーティングされた天然雲母が含まれる。
市販の真珠光沢剤の中で、Engelhard社により販売されている真珠光沢剤Timica、Flamenco及びDuochrome(雲母ベース)、Merck社により販売されているTimiron真珠光沢剤、Eckart社により販売されているPrestige雲母ベース真珠光沢剤、並びにSun Chemical社により販売されているSunshine合成雲母ベース真珠光沢剤が挙げられる。
真珠光沢剤は、より具体的には、黄、ピンク、赤、青銅、オレンジ、茶、金及び/又は赤銅の色又は輝きを有していてもよい。
本発明の状況において使用できる真珠光沢剤の例示として特に挙げられるのは、金色の真珠光沢剤、とりわけEngelhard社によりBrilliant gold 212G(Timica)、Gold 222C(Cloisonne)、Sparkle gold(Timica)、Gold 4504(Chromalite)及びMonarch gold 233X(Cloisonne)の名称で販売されているもの;青銅色の真珠光沢剤、とりわけMerck社によりBronze fine(17384)(Colorona)及びBronze(17353)(Colorona)の名称、並びにEngelhard社によりSuper bronze(Cloisonne)の名称で販売されているもの;オレンジ色の真珠光沢剤、とりわけEngelhard社によりOrange 363C(Cloisonne)及びOrange MCR 101(Cosmica)の名称、並びにMerck社によりPassion orange(Colorona)及びMatte orange(17449)(Microna)の名称で販売されているもの;茶色味のある真珠光沢剤、とりわけEngelhard社によりNu-antique copper 340XB(Cloisonne)及びBrown CL4509(Chromalite)の名称で販売されているもの;赤銅の輝きを有する真珠光沢剤、とりわけEngelhard社によりCopper 340A(Timica)の名称で販売されているもの;赤色の輝きを有する真珠光沢剤、とりわけMerck社によりSienna fine(17386)(Colorona)の名称で販売されているもの;黄色の輝きを有する真珠光沢剤、とりわけEngelhard社によりYellow(4502)(Chromalite)の名称で販売されているもの;金色の輝きを有する赤味のある真珠光沢剤、とりわけEngelhard社によりSunstone G012(Gemtone)の名称で販売されているもの;ピンク色の真珠光沢剤、とりわけEngelhard社によりTan opale G005(Gemtone)の名称で販売されているもの;金色の輝きを有する黒色の真珠光沢剤、とりわけEngelhard社によりNu antique bronze 240 AB(Timica)の名称で販売されているもの;青色の真珠光沢剤、とりわけMerck社によりMatte blue(17433)(Microna)の名称で販売されているもの;銀色の輝きを有する白色の真珠光沢剤、とりわけMerck社によりXirona Silverの名称で販売されているもの;並びに金色がかった緑色、ピンクがかったオレンジ色の真珠光沢剤、とりわけMerck社によりIndian summer(Xirona)の名称で販売されているもの、並びにそれらの混合物である。
「染料」という用語は、油等の脂肪物質又は水性アルコール相に可溶性である化合物、一般に有機化合物を意味すると理解されるべきである。
本発明による化粧料組成物はまた、水溶性又は脂溶性染料を含んでいてもよい。脂溶性染料は、例えば、スーダンレッド、DC Red 17、DC Green 6、β-カロテン、スーダンブラウン、DC Yellow 11、DC Violet 2、DC Orange 5及びキノリンイエローである。
水溶性染料は、例えば、ビートルート液及びメチレンブルーである。
本発明による化粧料組成物はまた、特定の光学効果を有する少なくとも1種の物質を含有していてもよい。
この効果は、単純な従来の色相効果、すなわち、標準的着色料、例えば単色顔料により生成される一様で安定化された効果とは異なる。
本発明の意味するところでは、「安定化された」という用語は、観測の角度の関数としての、或いは温度変化に応じた、色の変動の影響がないことを意味する。
例えば、この物質は、金属的輝き、ゴニオクロマチック着色剤、回折顔料、サーモクロミック剤、光学的光沢剤、及び繊維、とりわけ干渉繊維を有する粒子から選択してもよい。言うまでもなく、これらの様々な物質を組み合わせて、2つの効果、実際本発明による新規な効果さえも同時に実現させてもよい。
充填剤
好ましくは、本発明による組成物はまた、少なくとも1種又は複数種の充填剤を含有する。
「充填剤」という用語は、組成物が製造される温度にかかわらず、組成物の媒体に不溶性である、無色又は白色であり無機又は合成の、任意の形状の粒子を意味すると理解されるべきである。
これらの充填剤は、とりわけ、組成物のレオロジー又はテクスチャーを改変するのに役立つ。
充填剤は、無機又は有機であってもよく、結晶学的形態(例えば層状晶、立方晶、六方晶、斜方晶等)にかかわらず、任意の形状、小板状、球状又は長円状であってもよい。
挙げられるのは、タルク、雲母、シリカ、カオリン、ベントン、任意選択で親水性又は疎水性処理されたヒュームドシリカ粒子、ポリアミド[Nylon(登録商標)]粉末[Atochem社製Orgasol(登録商標)、東レ株式会社(Dow Corning社)製SP-500]、ポリ-β-アラニン粉末及びポリエチレン粉末、テトラフルオロエチレンポリマー[Teflon(登録商標)]粉末、ラウロイルリシン、デンプン、窒化ホウ素、中空ポリマーミクロスフェア、例えばポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリルミクロスフェア、例えばExpancel(登録商標)(Nobel Industrie社)、アクリル酸コポリマーミクロスフェア[Dow Corning社製Polytrap(登録商標)]及びシリコーン樹脂ミクロビーズ[例えば、GE東芝シリコーン株式会社製Tospearls(登録商標)]、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフェア[Maprecos社製Silica Beads(登録商標)]、エラストマーポリオルガノシロキサン粒子、ガラス又はセラミックマイクロカプセル、及び8個から22個の炭素原子、好ましくは12個から18個の炭素原子を含有する有機カルボン酸に由来する金属石けん、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛又はミリスチン酸マグネシウムである。
これらはまた、コポリマーを含む粒子であってもよく、前記コポリマーは、トリメチロールヘキシルラクトンを含む。特に、それは、ヘキサメチレンジイソシアネート/トリメチロールヘキシルラクトンコポリマーであってもよい。
かかる粒子は、とりわけ、例えば、東色ピグメント株式会社製Plastic Powder D-400(登録商標)又はPlastic Powder D-800(登録商標)の名称で市販されている。
好ましい一実施形態によれば、組成物は、カオリン、ポリアミド粉末、トリメチロールヘキシルラクトンを含むコポリマー、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート/トリメチロールヘキシルラクトンコポリマー、及び/又は任意選択で親水性又は疎水性処理、好ましくは疎水性処理されたヒュームドシリカ粒子、並びにそれらの混合物から特に選択される少なくとも1種の充填剤を含む。
好ましい一実施形態によれば、組成物は、カオリン、ポリアミド粉末、及び/又はトリメチロールヘキシルラクトンを含むコポリマー、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート/トリメチロールヘキシルラクトンコポリマー、並びにそれらの混合物から選択される少なくとも1種の充填剤を含む。
好ましくは、組成物は、シリル化シリカジメチル(CTFAによる)として知られている少なくとも1種の充填剤を含む。
疎水基はとりわけ、ポリジメチルシロキサン又はジメチルジクロロシランの存在下でフュームドシリカを処理することによってとりわけ得られるジメチルシリルオキシル基又はポリジメチルシロキサン基であってもよい。こうして処理されたシリカは、CTFA(第6版、1995年)に従って「シリル化シリカジメチル」として知られている。それらは、例えば、Degussa社によりAerosil R972(登録商標)及びAerosil R974(登録商標)、並びにCabot社によりCab-O-Sil TS-610(登録商標)及びCab-O-Sil TS-720(登録商標)の参照名で販売されている。
好ましい一実施形態によれば、組成物は以下を含む。すなわち、
- トリメチロールヘキシルラクトンを含むコポリマー、好ましくはヘキサメチレンジイソシアネート/トリメチロールヘキシルラクトンコポリマー、及び疎水性処理されたヒュームドシリカ充填剤から選択される少なくとも1種の第1の充填剤、並びに
- カオリン及びポリアミド粉末から選択される少なくとも1種の第2の充填剤。
特に好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、コポリマーを含む粒子を少なくとも含み、前記コポリマーはトリメチロールヘキシルラクトンを含む。特に好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、ヘキサメチレンジイソシアネート/トリメチロールヘキシルラクトンコポリマーを含む。
好ましくは、本発明による組成物は、ヒュームドシリカ粒子、特にナノメートル単位の粒径を有するシリカ粒子を欠いている。
好ましくは、本発明による組成物は、シリル化シリカジメチルと呼ばれる充填剤を欠いている。
ヒュームドシリカ粒子を「欠いている」という用語は、とりわけ、この化合物が組成物に意図的には添加されないが、組成物において使用される様々な化合物中に微量で存在してもよいことを意味する。
好ましくは、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、1質量%から20質量%、好ましくは2質量%から15質量%の範囲の総含有量の充填剤を含む。
好ましくは、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、5質量%から12質量%の範囲の総含有量の充填剤を含む。
好ましくは、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、1質量%から20質量%、好ましくは2質量%から15質量%の範囲、好ましくは2質量%から12質量%、好ましくは2質量%から10質量%の範囲の総含有量のトリメチロールヘキシルラクトンを含むコポリマーの粒子を含む。
通常の追加の化粧料成分
本発明による組成物はまた、とりわけ、酸化防止剤、香料、保存剤、中和剤、界面活性剤、日焼け止め、甘味料、ビタミン、保湿剤、皮膚軟化剤、親水性又は親油性活性物質、フリーラジカル消去剤(agent for combating free radical)、金属イオン封鎖剤、及びそれらの混合物から選択されてもよい、任意の一般的な化粧料成分を含んでいてもよい。
言うまでもなく、当業者は、本発明による組成物の有利な特性が、想定される添加により望ましくない影響を受けない又は実質的に受けないよう、注意して任意選択の追加成分及び/又はその量を選択すると考えられる。
好ましくは、本発明による組成物は、リップグロス等のリップ製品、又はリップケア製品である。
本発明が、非限定的な例示として提示される下に記載の実施例によって、より詳細に例示される。
パーセントは質量パーセントである。
以下の実施例において、質量パーセントは、組成物の総質量に対して示される。
質量パーセントは出発原料として示される。
(実施例1及び2:液状リップスティック)
以下の液状リップスティック(グロス)組成物1及び2を調製した。
調製プロセス
以下のプロトコルに従い、組成物1及び2を得た。
第1段階において、充填剤、顔料及び/又は活性物質を、油性相(フェニルトリメチコン、水添ポリイソブテン、トリメリット酸トリデシル、イソステアリン酸イソステアリル及びビスジグリセリルポリアシルアジペート-2)の一部の中で3ロールミルで粉砕した。
次に、脂溶性成分の残りを加熱パン中、約100℃の温度、Rayneriでの混合で、均質な混合物を得るまで混合した。次に、粉砕した顔料物質を混合物に組み入れ、混合物が均質になるまで撹拌を続けた。
最後に、組成物を小さいポットに注ぎ、次に室温で24時間置いた。
粘度
20℃での組成物1の粘度を、前に記載したプロトコルに従って評価し、それは12.5Pa.sのオーダーであった。
20℃での組成物2の粘度を、前に記載したプロトコルに従って評価し、それは13Pa.sのオーダーであった。
組成物の評価
本発明による組成物1及び2は、適用が容易であり、均質、艶消し(非光沢性)及び非粘着性であり、乾燥及びつっぱりの感覚なしに、唇上に「ビロード」感、すなわち柔らかくビロードのような感覚を付与する、唇上の付着層を得ることを可能にする。
(実施例3から6:液状リップスティック)
以下の液状リップスティック(グロス)組成物3から6を調製した。組成物3及び4は本発明を例示し、組成物5及び6は、油中で運搬されるオルガノポリシロキサンエラストマー/シリコーン樹脂で被覆されたオルガノポリシロキサンエラストマー粉末の乾燥ベース質量比が2未満であるため、本発明の範囲外である比較組成物である。
調製プロセス
以下のプロトコルに従い、組成物3から6を得た。
第1段階において、充填剤、顔料及び/又は活性物質を、油性相(フェニルトリメチコン、水添ポリイソブテン、リンゴ酸ジイソステアリル、イソステアリン酸イソステアリル及びビスジグリセリルポリアシルアジペート-2)の一部の中で3ロールミルで粉砕した。
次に、脂溶性成分の残りを加熱パン中、約100℃の温度、Rayneriでの混合で、均質な混合物を得るまで混合した。次に、粉砕した顔料物質を混合物に組み入れ、混合物が均質になるまで撹拌を続けた。
最後に、組成物を小さいポットに注ぎ、次に室温で24時間置いた。
粘度
組成物3から6の20℃での粘度を、前に記載したプロトコルに従って評価した。
組成物の評価
本発明による組成物3及び4は、艶消し付着層を得ることを可能にする。本発明による組成物3及び4で得られる付着層は、非粘着性であり、唇上に「ビロード」感、すなわち柔らかくビロードのような感覚を付与する。
更に、組成物3は、適用が容易であり、均質で非常に快適な付着層を唇上に得ることを可能にする(乾燥又はつっぱりの感覚なし)。粘度がより高い組成物4は、粘性がより高く、適用中の広がりが若干劣る。
他方、比較組成物5及び6で得られる唇上の付着層は、艶消しでなく光沢があった。その一方で、比較組成物6におけるオルガノポリシロキサンエラストマーの総含有量は、本発明による組成物3及び4と同量である。したがって、これら比較組成物5及び6は、本発明の目的を達しない。
更に、比較組成物5は液状ではなく、高度に発泡した泡沫を形成する。
有利には、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して、1質量%から25質量%、好ましくは2質量%から15質量%、より一層好ましくは5質量%から15質量%の範囲の総含有量のオルガノポリシロキサンエラストマー(すなわち、=油中で運搬される又は油中で運搬されないエラストマー+シリコーン樹脂固形物で被覆されたオルガノポリシロキサンエラストマー)を含む。