JP2017189076A - 回転電機の固定子鉄心の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
従来より積層コア型の円筒状固定子鉄心としては種々の構成のものが実用に供されているが、近年においては、磁性板(例えば鋼板)から内周側にティース(歯)部およびスロット(溝)部を有する環状板を打抜き、この環状板を多数枚円筒状に積層して形成する積層コアに代わって、廃材が少なく材料歩留りが良いとの理由で、鉄心素材として帯状の磁性板を用い、片側(幅方向の一方側)にティース部およびスロット部を打抜き形成したコアシートを作製し、この帯状のコアシートを、螺旋状(ヘリカル)に巻取りながら円筒状に複数層にわたって巻回積層してなる積層コア型の固定子鉄心、所謂「巻き鉄心」が、専ら採用されるようになってきた。
そして、巻き鉄心タイプの固定子鉄心(積層コア)は、帯状のコアシートを螺旋状(ヘリカル)に巻取りながら円筒状に形成しなければならない性格上、製造面において真円度の高い円筒形状の確保に難点があり、巻取り工程や定寸工程では吸収できない各巻回層間の位置ずれ等を解消するために、最終工程として所望の真円形状に整形する仕上げ工程を実施しているのが通例である(特許文献1参照)。
そのため、この種の回転電機においては、固定子側と回転子側との両面から小型化・高性能化を追求すべく種々の工夫や改善が図られてきた。特に、固定子側にあっては、固定子鉄心の構造が固定子コイルの占積率(固定子コイルのスロット部への収納量)に大きく影響することから、より高品質の固定子鉄心を得るためには、構造面のみならず、製造面においても種々の工夫が講じられてきたものの、より一層の改善が希求されている。
(2)この仕上げ工程では、しごき成形加工によって積層コアに対する高真円度を如何に確保するか、つまり、固定子鉄心を如何にして所望の真円形状に整形するのかに主眼が置かれていたが、この仕上げ工程をつぶさに検討すると、スロット部の整形状態によっては、固定子コイルの損傷等の不具合を招く虞があることが判明した。
請求項1に記載の発明(回転電機の固定子鉄心の製造方法)は、帯状のコアシートを用いた巻き鉄心タイプの固定子鉄心を得るためのもので、このコアシートに対して、幅方向の一方側に固定子コイルを巻装するための複数の磁極を構成するティース部およびスロット部を形成するとともに、幅方向の他方側にヨーク部とその外周縁に複数の切欠き部を形成するプレス工程(第1工程)と、このコアシートを、磁極が内周側となるように、螺旋状に巻回しつつ円筒状に積層するとともに、ティース部、スロット部および切欠き部をそれぞれ軸方向に整列させて積層コアを形成する巻取り工程(第2工程)と、この積層コアを所定の積層寸法ごとに切断するとともに前記積層コアの各巻回層がずれないように固定する定寸工程(第3工程)と、この積層コアに対して、その内外径側にしごき成形加工を施すとともに、スロット部に矯正加工を施すことで積層コアを所望の真円形状に整形する仕上げ工程(第4工程)との4工程を備えることを基本構成としている。
なお、各図において、同一または均等部分には、同一符号を付し、重複説明を省略することとする。
図1および図2に基づいて、本発明の製造方法の一実施例を適用する自動車用交流発電機100(以下、「発電機100」と略称する。)の基本構成について説明する。
発電機100は、図1(a)に示すように、エンジンにより駆動される回転軸101に取付けられた回転子102と、挟持固定用のスルーボルト(締付部材)103によって一対のカップ(椀型)状のケーシング104、105に挟持された固定子106とを備えている。この固定子106には、固定子コイル(多相巻線)107を巻装する鉄心として、所謂「巻き鉄心」と呼称されている円筒状の積層コア1からなる固定子鉄心108が用いられており、本例では、この固定子鉄心108が、一対のカップ(椀型)状のケーシング104、105で挟持固定されることにより、発電機100の筺体の一部として利用されるものである。
環状のヨーク部E3は、固定子コイル107が巻かれない非巻線部分であり、このヨーク部E3の外周縁には、例えば90°の所定間隔で4個の切欠き部E4が軸方向の全域にわたって延伸して形成されている。
積層コア1は、鉄心素材として、図2(a)、(b)に示すごとき帯状のコアシート10が用いられている。このコアシート10は、幅方向の一方側に固定子コイル107を巻装するための磁極を構成することになるティース(歯)部11(E1)およびスロット(溝)部12(E2)を有するとともに、幅方向の他方側にこれらのティース部11およびスロット部12を所定のピッチで連接するヨーク(継鉄)部13(E3)を有している。なお、ヨーク部13の辺縁(外周縁)側には所定間隔(例えば90°間隔)でスルーボルト嵌挿用の凹部を形成することになる半円形状の切欠き部14(E4)が適当数(例えば4個)設けられている。
その後、この積層コア1に対し、定寸工程、整形工程を実施することによって最終的な固定子鉄心108を得るものである。
この第1工程は、一般的に採用されている周知の工程であって、例えば帯鋼(SPCC)のごとき幅広の帯状磁性板Tを連続プレス装置のような適宜の打抜き手段U、Vに順次投入し、多段階にわたって打抜き加工を施すことで、長さ方向に2分割して2枚の連続したコアシート10を作製する。
かくして、図2(a)に示すごときコアシート10、つまり、幅方向の一方側にティース部11およびスロット部12が形成されるとともに、幅方向の他方側にティース部11およびスロット部12を所定のピッチで連接するヨーク部13が形成され、かつこのヨーク部13の辺縁(外周縁)に複数の切欠き部14が形成された帯状のコアシート10が得られる。
この第2工程は、帯状のコアシート10を長さ方向に搬送しつつ、当該コアシート10を所定の巻取り径でヨーク部13が外周側となるように湾曲させていくための曲げ加工を実施するもので、本工程としては、特許文献1のごとき巻取り工程、つまり、コアシート10をヨーク部13が外周側となるように湾曲させていくための曲げ加工手段Wとして巻取り軸を用い、その外周にコアシート10を直接螺旋状に巻き取っていく工程が汎用されている。
かくして、コアシート10は、ヨーク部13が外周側となるように螺旋状に巻取られ円筒状に巻回形成されるとともに、各巻回層のティース部11、スロット部12および切欠き部14がそれぞれ軸方向に整列されて、図2(d)に示すごとき積層コア1が作製される。
この第3工程も、特許文献1に紹介されているような一般的な周知の工程である。この工程では、前工程で円筒状に巻回形成された積層コア1が連続した積層状態にあるため、所定の積層寸法(厚み)毎に切断するとともに、各巻回層が位置ずれしないように、例えば、外周縁部の切欠き部14のところでトーチ溶接等の適宜な溶接手段にて溶接固定し、1個の積層コア1として取り出す
最後に、積層コア1を仕上げ工程に投入する。この仕上げ工程では、積層コア1の内外径側にしごき成形加工を施す手段X、および、スロット部12に矯正加工を施す手段Yを備えており、積層コア1の外径側の真円度および内径側の同心度、スロット部12の形状などを矯正・整形する。
かくして、所定の真円形状を有する最終的な積層コア1、即ち固定子鉄心108が得られる。
なお、この仕上げ工程を改善することが本発明方法の根幹をなすものであり、その子細については後述する。
そこで、上記「仕上げ工程」を実施する具体的なしごき成形加工および矯正加工の一例について、便宜上、図4を参照しながら概説する。
しごき成形加工および矯正加工を具体的に実行するために用いる手段X、Yが、図4に示す整形装置200である。ただし、かかる整形装置200は、従来周知のものではなく、後述する本発明方法の実施のために用いられる新規な設備構成をも含んでいる。
なお、ここでは上記整形装置200に含まれる新規部分についての説明を省略する。
ステップ1では、図4(a)に示すごとく、積層コア1を当該整形装置200にセットすべく、積層コア1をワーク受け210上に載置する。
なお、ワーク受け210の外径は、積層コア1の外径より僅かに小さく設定(正規のコア外径に準じた大きさに)されている。
次いで、ステップ2として、図4(b)に示すごとく、ワーク受け210をわずかに下降させてベース260に対する位置を固定するとともに、ワーク押え240を下降させる。積層コア1をワーク受け210に対して押圧することで、積層コア1の軸方向の両端面が平坦な面に成形される。
なお、ワーク押え240の外径も、積層コア1の外径より僅かに小さく設定(正規のコア外径に準じた大きさに)されている。そして、ワーク受け210とワーク押え240とは同軸に配置されており、互いの外径と積層コア1の外径との径差を利用して、後述のごとく積層コア1(その外径側)に対してしごき成形加工が施される。
ここで、芯金ボール220は、ボール部221の外径が積層コア1の内径より僅かに小さく(前工程での積層コア1の内径側誤差を吸収できるように)設定されているのに対し、各スロット整形矢230は、正規のスロット形状に準じた断面形状を有し、正規のスロットピッチ間隔で周方向に配置されている。
これにより、積層コア1は、芯金ボール220によって内径側がしごき成形されないものの、同心度(内径側の真円度)が確保できるように位置決めされる。と同時に、各スロット整形矢230が、各スロット部12内に挿通されることで、各スロット部12内の径方向ならびに周方向におけるスロット形状の僅かなずれを矯正していくため、多数のスロット部12が、所定のスロット幅(U字形状)を有しかつ正規のスロットピッチにて周方向に配列されるようになる。
続いて、ステップ3として、図4(c)に示すごとく、しごきリング250を矢視のごとく下降させる。しごきリング250は超硬材料からなり、ワーク押え240の外周上を滑動しながらワーク受け210の上端側の外周上まで移動(下降)する間に、積層コア1の外径側をしごき成形していく。
つまり、しごきリング250の内径は、積層コア1の外径より僅かに径小に設定(正規のコア外径に準じた大きさに)設定されているため、しごきリング250の下降に伴い、積層コア1の各シート外端側が塑性変形されつつ内径方向に押し込まれ、しごき成形がなされる。
そして、このしごき成形加工の過程では、積層コア1のヨーク部13に対して内外径が縮む縮径現象が生じるため、第1に、積層コア1の外周面がしごきリング250の内周面に、かつ、積層コア1の内周面が芯金ボール220の外周面にそれぞれ当接し押圧されることにより、積層コア1の内外径側がしごきリング250の内周面および芯金ボール220の外周面に沿うように矯正されると同時に、第2に、各ティース部11の側面もスロット整形矢230の側面に更に強く押圧されることにより、各ティース部11(スロット部12)もより一層矯正される。
そして、最後に、ステップ4として、しごきリング250と、芯金ボール220およびスロット整形矢230と、ワーク押え240とをそれぞれ逆方向に駆動して全拘束を解除し、整形された積層コア1を固定子鉄心108として取出し、「仕上げ工程」を終了する。
かくして、「仕上げ過程」では、上述のごとき一連のしごき成形加工および矯正加工を実施していくことによって、所望の固定子鉄心108が得られるものと考えられてきたが、かかる固定子鉄心108について精査したところ、プレス工程における打ち抜き痕(バリを含む)等の疵がスロット部12の周縁部分に残存しており、これが原因で固定子コイル107の損傷等の不具合を招く虞があることが判明した。
本発明の製造方法は、かかる問題を解決すべく創案したもので、とりわけ「矯正加工」に工夫を要したものである。
以下、その要点を図5〜7に示す実施例1にしたがって説明する。
まず、図5および図6を参照しながら整形装置200における設備部分での工夫点について概説する。
(2)芯金ボール220は、積層コア1の内径を所定寸法に整形する外径を有する円柱状のボール部221と、このボール部221の外周面にスロット部12の位置に対応して突設され、スロット部12の入口部分(内径側幅狭部)12Aに嵌入するガイド部222とを備えている<図5(c)参照>。
(3)スロット整形矢230は、上下一対のスロット整形矢231、232で構成され、上側の第1スロット整形矢231と下側の第2スロット整形矢232とが対向するように配置されていて、個別に駆動されて上下動する。
(5)なお、矢部231A、232Aはスロット部12の孔形状を所定寸法に整形する断面形状を呈しており、先細り部231B、232Bはテーパ面を呈しており、面取りパンチ部231C、232CはR面(曲面)を呈している<図5(b)参照>。
(7)しごきリング250は、積層コア1の外径を所定寸法に整形する内径を有する円筒形状を呈している。
図6(a)に示すように、第1ステップはワーク投入工程で積層コア1をワーク受け210に載置する。なお、積層コア1は、その外周縁部分が、ワーク受け210の環状突起部211で受け止められている。
次いで、図6(b)に示す第2ステップに移行する。かかる工程は所謂端面成形加工で、ワーク押え240を下降させて積層コア1をワーク受け210に対して押圧する。これにより、積層コア1は軸方向の両端面が平坦な面に成形されるとともに、この押圧過程で、ワーク受け210およびワーク押え240の環状突起部211および241によって、積層コア1の外周縁部分がテーパ状に整形される。
続く図6(c)に示す第3ステップは、しごき成形加工および矯正加工の予備段階に相当するもので、芯金ボール220を上昇させて積層コア1の内径側に嵌入するとともに、上下一対のスロット整形矢231,232をそれぞれ上昇および下降させて、矢部231A、232Aを積層コア1の両端面側からそれぞれスロット部12内に嵌入していく。このとき、各矢部231A,232Aは、先細り部231B、232Bにより誘導されて良好に嵌入していき、上下の矢部231A,232Aによって、スロット部12(ティース部11)の軸方向全域が実質的にカバーされる。
これにより、積層コア1は、芯金ボール220によって内径側がしごき成形されないものの、同心度(内径側の真円度)が確保できるように位置決めされる。と同時に、各スロット整形矢230が、各スロット部12内に挿通されることで、各スロット部12内の径方向ならびに周方向におけるスロット形状ずれを矯正していくため、多数のスロット部12が、所定のスロット幅(U字形状)を有しかつ正規のスロットピッチにて周方向に配列されるようになる。
第1に、スロット整形矢231,232は、スロット矯正部をなす矢部231A、232Aのみをスロット部12内に挿入して、その根元部分に形成された面取りパンチ部231C、232Cを積層コア1の端面からそれぞれ所定量α、βだけ浮かせている点にある。上側の浮かし分αが上側端面の面取り量に相当し、矢部231A、232Aの先端(先細り部231B、232B)同士は当該浮かし分αに相当する隙間を空けて対向している。
以上が前段の3ステップ(第1〜第3ステップ)であり、以下、図7に示す後段の3ステップ(第4〜第6ステップ)へと続く。
後段の3ステップを示す図7において、上記の第3ステップに続く第4ステップでは、しごき成形加工および矯正加工を実施する。
図7(a)に示すように、しごきリング250を下降させ、積層コア1の外周面をしごくと、前述の〔ステップ3〕と同様な寸法関係から、しごきリング250の下降に伴い、積層コア1の各シート外端側が塑性変形されつつ内径方向に押し込まれ、外径側のしごき成形がなされる。
つまり、図5(c)にも示すように、コア背帯部分のヨーク部13が縮径して内径側に変形する際に、矢部231A、232Aが内径方向に押されるため、ティース部11もより一層矯正されるが、「芯金ボール220のガイド部222がスロット部12の入口部分12Aに嵌入しており、矢部231A、232Aの内径側がガイド部222に当接している」ため、矢部231A、232Aが必要以上に内径側へ移動し、スロット部12の入口部分12Aを変形等させることがない。そして、縮径の進捗に合わせて、スロット部12の底部内側面が矢部231A、232Aの外径側側面に対して、遊隙状態から漸近しながら圧接していくことになるため、当該表面が精度よく成形される。かくして、良好なスロット整形がなされる。
そして、続く第5ステップからが本発明の根幹をなす追加工程で、第5ステップでは、積層コア1の上側端面に面取り加工を施す。
図7(b)に示すように、下側の第2スロット整形矢232の位置を保持するとともに、上側の第1スロット整形矢231を上記α分更に下降させる。これにより、面取りパンチ部231Cで積層コア1の上端面においてスロット部12の周縁部分にR面状の面取りを施す。よって、打ち抜き痕(バリを含む)等の疵がなくなる(消失する)。
次いで、第6ステップでは、積層コア1の下側端面に面取り加工を施す。
図7(c)に示すように、上側の第1スロット整形矢231をβ分後退(上昇させる)とともに、下側の第2スロット整形矢232をβ分上昇させることで、面取りパンチ部232Cで積層コア1の下端面においてスロット部12の周縁部分にR面状に面取りを施す。よって、打ち抜き痕等の疵がなくなる(消失する)。
なお、β>αの関係にあるため、上述の矢部231A、232Aの上下動により、オーバーラップ量(β−α)の領域が形成され、スロット部12の底部内側面が軸方向の全域にわたって強制的にしごかれる(矯正加工)。つまり、先細り部231B、232Bおよびその先端間の隙間分(α)に相当する矯正し残し部分をもきちんと矯正・整形できる。なお、かかる矯正し残し部分に連なる上側近傍部分は、第1スロット整形矢231に加えて第2スロット整形矢232も整形に関与するため、2重整形となる。
かくして、スロット部12には両端面から内側面全域にわたって滑らかな面となり、あらゆる疵が一掃される。
(2)スロット部12に対して矯正加工を実施するために、一対のスロット整形矢231,232を用い、スロット部12の周縁部分に対して積層コア1の軸方向の両端面側から面取り加工を施しているから、積層コア1を表裏反転させることなく、両端面に面取り加工を施すことができ、製造工数の大幅な短縮が図れる。
(4)上記のしごき成形加工の過程では、積層コア1の縮径の進捗に合わせて、スロット部12の径方向内側面がスロット整形矢231、232の径方向外側面に対して遊隙状態から漸近しながら圧接していくため、固定子コイル107の卷装に影響するスロット12底部の整形を良好に行うことができる。
(6)面取り加工では、第1スロット整形矢231で積層コア1の一方の端面(上端面)側に対して面取り加工を施したのち、第2スロット整形矢232で積層コア1の他方の端面(下端面)側に対して面取り加工を施しているため、両端面を同時に面取りする場合に比して、各端面を精度よく的確に面取りすることができる。
(7)上記の面取り加工では、一対のスロット整形矢231、232をスロット部12に対しオーバーラップさせながら上下動させるため、スロット部12の軸方向全域にわたって矢部231A、232Aを行き渡らせて(矯正し残し部分を完全になくしかつその近傍を二重成形して)確実に整形することができる。
以上本発明を一実施例について詳述してきたが、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々変形することが可能であり、その変形例を他の実施例として以下に例示する。
(2)また、面取り加工を実施する際に、一対のスロット整形矢231、232を適宜設定可能な所定量(β−α)の領域でオーバーラップさせるように駆動したが、例えば、先細り部231B、232Bをなくす等スロット部12の軸方向全域にわたって矢部231A、232Aが行き渡らない領域を最小限に規制することで、オーバーラップ駆動を省略することができる。
(3)また、上掲(2)項のごとくオーバーラップ駆動を省略する場合には、一対のスロット整形矢231、232を同時に上下動させて積層コア1の両端面に同時に面取り加工を施すことができる。
(5)また、芯金ボール220も、ガイド部222を有しないボール部221のみのものを用いることもできる。
請求項1に記載の回転電機(発電機100)の固定子鉄心108の製造方法において、
仕上げ工程(第4工程)では、しごき成形加工を実施するために、積層コア1の内径側に嵌入する芯金ボール220と、積層コア1の外径側に嵌入するしごきリング250とを用いており、特に、芯金ボール220は、積層コア1の内径を所定寸法に整形する外径を有するボール部221と、このボール部221の外周面にスロット部12の位置に対応して突設され、スロット部12の入口部分12Aに嵌入するガイド部222とを備えており、スロット整形矢231、232および前記ガイド部222をスロット部12およびその入口部分12Aにそれぞれ嵌入した状態でしごき成形加工を実施することを特徴としている。
上記手段によれば、ガイド222によってスロット部12の入口部分12Aを保護しながら、スロット部12(ティース部11)を良好に整形することができる。
請求項2に記載の回転電機(発電機100)の固定子鉄心108の製造方法において、
しごき成形加工の過程では、積層コア1の内外径の縮径の進捗に合わせて、スロット部12の径方向内側面がスロット整形矢231、232の径方向外側面に対して遊隙状態から漸近しながら圧接していくことを特徴としている。
上記手段によれば、固定子コイル107の卷装に影響するスロット12底部の整形を良好に行うことができる。
請求項3に記載の回転電機(発電機100)の固定子鉄心108の製造方法において、
芯金ボール220は、ガイド部222の径方向外側面(先端面)がスロット整形矢231、232の径方向内側面と互いに当接することで、スロット整形矢231、232が径方向の内側へ向かって移動するのを制限することを特徴としている。
上記手段によれば、積層コア1への嵌入時にはスロット整形矢231、232の円滑な嵌入を補佐し、かつ、しごき成形加工時にはスロット整形矢231、232によるスロット部12の入口部分12Aの変形を防いで、良好なスロット整形を確保できる。
請求項1〜4のいずれか1つに記載の回転電機(発電機100)の固定子鉄心108の製造方法において、
第1スロット整形矢231で積層コア1の一方の端面側に対して面取り加工を施したのち、第2スロット整形矢232で積層コア1の他方の端面側に対して面取り加工を施すことを特徴としている。
上記手段によれば、積層コア1の両端面を同時に面取りする場合に比して、各端面を精度よく的確に面取りすることができる。
請求項5に記載の回転電機(発電機100)の固定子鉄心の製造方法において、
前記面取り加工では、一対のスロット整形矢231、232をスロット部12に対し所定量(β−α)の領域でオーバーラップさせながら上下動させることを特徴としている。
上記手段によれば、スロット部12の軸方向全域にわたって矢部231A、232Aを行き渡らせて、固定子コイル107の卷装面全体を確実に滑らかな面に整形することができる。
Claims (6)
- 磁性板からなる帯状のコアシート(10)を用い、このコアシート(10)に対して、幅方向の一方側に固定子コイル(107)を巻装するための複数の磁極を構成するティース部(11、E1)およびスロット部(12、E2)を形成するとともに、幅方向の他方側に前記ティース部およびスロット部を連接するヨーク部(13、E3)を形成する第1工程と、
このコアシートを、前記磁極が内周側となるように、螺旋状に巻回しつつ円筒状に積層するとともに、各巻回層の前記ティース部および前記スロット部をそれぞれ軸方向に整列させて積層コア(1)を形成する第2工程と、
この積層コアを所定の積層寸法ごとに切断するとともに前記積層コアの各巻回層がずれないように固定する第3工程と、
定寸後の前記積層コアに対して、その内外径側にしごき成形加工を施すとともに、前記スロット部に矯正加工を施すことで前記積層コアを所望形状に整形する第4工程とを備え、
前記第4工程では、前記矯正加工を実施するために、前記積層コアに対して軸方向の両端面側からそれぞれ前記スロット部内に挿入して前記スロット部を矯正する一対のスロット整形矢(230、231、232)を用い、
前記一対のスロット整形矢は、それぞれ根元部分に面取りパンチ部(231C、232C)を備えていて、前記スロット部の周縁部分に対して前記積層コアの軸方向の両端面側から面取り加工を施すことを特徴とする回転電機(100)の固定子鉄心(108)の製造方法。 - 請求項1に記載の回転電機の固定子鉄心の製造方法において、
前記第4工程では、前記しごき成形加工を実施するために、前記積層コアの内径側に嵌入する芯金ボール(220)と、前記積層コアの外径側に嵌入するしごきリング(250)とを用い、
前記芯金ボールは、前記積層コアの内径を所定寸法に整形する外径を有するボール部(221)と、このボール部の外周面に前記スロット部の位置に対応して突設され、前記スロット部の入口部分(12A)に嵌入するガイド部(222)とを備え、
前記しごきリングは、前記積層コアの外径を所定寸法に整形する内径を有する円筒形状を呈しており、
前記スロット整形矢および前記ガイド部を前記スロット部およびその入口部分にそれぞれ嵌入した状態で前記しごき成形加工を実施することを特徴とする回転電機の固定子鉄心の製造方法。 - 請求項2に記載の回転電機の固定子鉄心の製造方法において、
前記しごき成形加工の過程では、前記積層コアの内外径の縮径の進捗に合わせて、前記スロット部の径方向内側面が前記スロット整形矢の径方向外側面に対して遊隙状態から漸近しながら圧接していくことを特徴とする回転電機の固定子鉄心の製造方法。 - 請求項3に記載の回転電機の固定子鉄心の製造方法において、
前記芯金ボールは、前記ガイド部の径方向外側面(先端面)が前記スロット整形矢の径方向内側面と互いに当接することで、前記スロット整形矢が径方向の内側へ向かって移動するのを制限することを特徴とする回転電機の固定子鉄心の製造方法。 - 請求項1〜4のいずれか1つに記載の回転電機の固定子鉄心の製造方法において、
前記一対のスロット整形矢を第1スロット整形矢(231)、第2スロット整形矢(232)と呼ぶとき、
前記第1スロット整形矢で前記積層コアの一方の端面側に対して面取り加工を施したのち、前記第2スロット整形矢で前記積層コアの他方の端面側に対して面取り加工を施すことを特徴とする回転電機の固定子鉄心の製造方法。 - 請求項5に記載の回転電機の固定子鉄心の製造方法において、
前記面取り加工では、前記一対のスロット整形矢を前記スロット部に対し所定量(β−α)の領域でオーバーラップさせながら上下動させることを特徴とする回転電機の固定子鉄心の製造方法。
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CN113996693A (zh) * | 2021-11-15 | 2022-02-01 | 燕山大学 | 一种电机铁芯制备的方法 |
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JP2001028849A (ja) * | 1999-07-12 | 2001-01-30 | Denso Corp | 回転電機およびその製造方法 |
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JP2009077561A (ja) * | 2007-09-21 | 2009-04-09 | Denso Corp | 回転電機の固定子鉄心の製造方法 |
-
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