JP2017189076A - 回転電機の固定子鉄心の製造方法 - Google Patents

回転電機の固定子鉄心の製造方法 Download PDF

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【課題】積層コアのスロット部周縁部分にプレス打ち抜き痕が残存するのを防いで、固定子コイルの高占積率・高信頼性を確保可能な固定子鉄心の製造方法を提供する。【解決手段】スロット部12を矯正加工する手段として、根元部分に面取りパンチ部231C、232Cを備えたスロット整形矢231、232を用い、スロット部12の周縁部に対して面取り加工を施しているから、各スロット部の周縁部分に残存していたプレス痕を一掃して、滑らかなコイル卷装面を確保することができ、固定子コイル107の高占積率・高信頼性を実現することができる。また、スロット部12に対して矯正加工を実施するために、一対のスロット整形矢231,232を用い、スロット部12の周縁部分に対して積層コア1の両端面側から面取り加工を施しているから、積層コア1を表裏反転させることなく、両端面に面取り加工を施すことができ、製造工数の大幅な短縮が図れる。【選択図】 図5

Description

本発明は、回転電機の固定子鉄心、とりわけ、自動車用交流発電機の固定子に好適な積層コア型の円筒状固定子鉄心の製造方法に関する。
〔従来の技術〕
従来より積層コア型の円筒状固定子鉄心としては種々の構成のものが実用に供されているが、近年においては、磁性板(例えば鋼板)から内周側にティース(歯)部およびスロット(溝)部を有する環状板を打抜き、この環状板を多数枚円筒状に積層して形成する積層コアに代わって、廃材が少なく材料歩留りが良いとの理由で、鉄心素材として帯状の磁性板を用い、片側(幅方向の一方側)にティース部およびスロット部を打抜き形成したコアシートを作製し、この帯状のコアシートを、螺旋状(ヘリカル)に巻取りながら円筒状に複数層にわたって巻回積層してなる積層コア型の固定子鉄心、所謂「巻き鉄心」が、専ら採用されるようになってきた。
ことに、自動車用交流発電機のごとく価格面での制約が厳しい回転電機においては、材料費の低減を図れることから、この巻き鉄心タイプの固定子鉄心が賞用されている。
そして、巻き鉄心タイプの固定子鉄心(積層コア)は、帯状のコアシートを螺旋状(ヘリカル)に巻取りながら円筒状に形成しなければならない性格上、製造面において真円度の高い円筒形状の確保に難点があり、巻取り工程や定寸工程では吸収できない各巻回層間の位置ずれ等を解消するために、最終工程として所望の真円形状に整形する仕上げ工程を実施しているのが通例である(特許文献1参照)。
つまり、特許文献1に示す代表例のように、巻き鉄心タイプのものは、製造工程を大別すると、幅方向の片側にティース部およびスロット部を打抜き形成した帯状のコアシートを作製するプレス工程(第1工程)と、このコアシートを螺旋状に巻取りながら円筒状に複数層にわたって巻回積層して積層コアとする巻取り工程(第2工程)と、この積層コアを所定の積層寸法(厚み)ごとに切断し各巻回層がずれないように固定する定寸工程(第3工程)と、この積層コアに対してその内外径側にしごき成形加工を施すことで所望の真円形状に整形する仕上げ工程(第4工程)の4つの工程を基本工程としている。
ところで、昨今の自動車にあっては、その飛躍的な普及・発展に伴なって、エンジン性能の向上や車室内の居住性の改善等の諸要求に適応すべく、とりわけ、エンジンルーム内に搭載される機器が急増しており、これらの搭載機器には例外なく厳しい小型化・高性能化の制約が課せられ、上述の交流発電機においてもますます小型化・高性能化を図ってゆかねばならない状況にある。
〔従来技術の問題点〕
そのため、この種の回転電機においては、固定子側と回転子側との両面から小型化・高性能化を追求すべく種々の工夫や改善が図られてきた。特に、固定子側にあっては、固定子鉄心の構造が固定子コイルの占積率(固定子コイルのスロット部への収納量)に大きく影響することから、より高品質の固定子鉄心を得るためには、構造面のみならず、製造面においても種々の工夫が講じられてきたものの、より一層の改善が希求されている。
本発明者は、固定子鉄心の品質の更なる高上を目指し、このたび固定子鉄心の巻取り工程から仕上げ工程までの製造過程を精査したところ、とりわけ、仕上げ工程に改善の余地があることを見出した。
(1)巻き鉄心タイプの固定子鉄心は、前述したように、帯状のコアシートを螺旋状に巻取りながら円筒状に形成しなければならない性格上、高真円度の確保に難点があり、巻取り工程や定寸工程では吸収できない各巻回層間の位置ずれを解消するために、最終工程として所望の真円形状に整形する仕上げ工程を実施していた。
(2)この仕上げ工程では、しごき成形加工によって積層コアに対する高真円度を如何に確保するか、つまり、固定子鉄心を如何にして所望の真円形状に整形するのかに主眼が置かれていたが、この仕上げ工程をつぶさに検討すると、スロット部の整形状態によっては、固定子コイルの損傷等の不具合を招く虞があることが判明した。
(3)即ち、仕上げ工程では、溶接後の積層コアに対してその内外径側にしごき成形加工を施す際に、スロット部にスロット整形矢を挿通させた状態にすることで、スロット部に対する矯正加工を施すようにしていたので、所望のスロット部形状が確保されていたものと考えられていたが、スロット部の周縁部分を観察するとその周りにプレス工程での打ち抜き痕(バリを含む)等の疵が残存する結果、かかる打ち抜き痕等に起因して固定子コイルに損傷を来たす等の不具合が生じたのである。
この打ち抜き痕等の疵は、スロット部全体ではなく、積層コアの軸方向端面側におけるスロット部周縁部分に主として残存していたため見過ごされてきたが、小型高性能化に伴なう固定子コイルの占積率のより一層の高上や、過酷な運転条件灘に伴なう振動等により固定子コイルが動くことによって、固定子コイルが上記のスロット部周縁部分と厳しく干渉することになり、コイル素線の絶縁被膜に損傷を招くという問題点に発展していくことが分かった。
特開2009−89482号公報(特許第4518126号)
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、積層コアのスロット部周縁部分に打ち抜き痕等の疵が残存するのを防いで、固定子コイルの高占積率・高信頼性を確保することが可能な固定子鉄心を得るための製造方法を提供することにある。
〔請求項1の手段〕
請求項1に記載の発明(回転電機の固定子鉄心の製造方法)は、帯状のコアシートを用いた巻き鉄心タイプの固定子鉄心を得るためのもので、このコアシートに対して、幅方向の一方側に固定子コイルを巻装するための複数の磁極を構成するティース部およびスロット部を形成するとともに、幅方向の他方側にヨーク部とその外周縁に複数の切欠き部を形成するプレス工程(第1工程)と、このコアシートを、磁極が内周側となるように、螺旋状に巻回しつつ円筒状に積層するとともに、ティース部、スロット部および切欠き部をそれぞれ軸方向に整列させて積層コアを形成する巻取り工程(第2工程)と、この積層コアを所定の積層寸法ごとに切断するとともに前記積層コアの各巻回層がずれないように固定する定寸工程(第3工程)と、この積層コアに対して、その内外径側にしごき成形加工を施すとともに、スロット部に矯正加工を施すことで積層コアを所望の真円形状に整形する仕上げ工程(第4工程)との4工程を備えることを基本構成としている。
そして、本発明の製造方法では、仕上げ工程において、スロット部に矯正加工を施すためのスロット整形手段として、積層コアに対して軸方向の両端面側からそれぞれスロット部内に挿入してスロット部を矯正する一対のスロット整形矢を用いるとともに、このスロット整形矢には、面取りパンチ部を設けて、スロット部の周縁部分に対して積層コアの軸方向の両端面側から面取り加工を施すことを特徴としている。
上記構成の本発明方法によれば、積層コアの端面側においてスロット部周縁部分に残存する打ち抜き痕等の疵をスロット部の矯正加工に伴って消去し、高品質の固定子鉄心を得ることができる。よって、固定子コイルの収納量を増やしたり、運転中の振動により固定子コイルが動くことがあったりしても、固定子コイルが損傷する虞もなく、固定子コイルの高占積率・高信頼性を確保することができ、回転電機の小型化・高性能化に大きく貢献することができる。
本発明方法により製造された固定子鉄心を適用する回転電機の代表例である自動車用交流発電機を模式的に示すもので、(a)は当該発電機の全体構成を示す上半部断面図、(b)は(a)のA−A線に沿って固定子鉄心単体の形態を示す上半部分の正面図である。 本発明方法により製造される固定子鉄心の基本構成の説明に供するもので、(a)は第1工程(プレス工程)で作製されるコアシートの正面図、(b)は(a)のB−B線に沿う断面図、(c)は第2工程(巻取り工程)における巻取り過程の説明に供するコアシートの正面図、(d)は第2工程を経て得られた積層コアの模式的斜視図である。 本発明方法の全工程(第1工程〜第4工程全体)の概要説明に供する模式的工程図である。 本発明方法で実施する第4工程(仕上げ工程)の基本説明に供するもので、(a)〜(c)は当該工程における過程を3つのステップに分けて示す模式図である。 本発明方法で実施する第4工程(仕上げ工程)の中枢機能の概要説明に供するもので、(a)はスロット部の矯正加工を実施する整形装置の主要構成を説明するための模式的断面図、(b)は当該矯正加工で用いるスロット整形矢の部分拡大図、(c)は当該スロット整形矢と芯金ボールとの関係を示す横断面図である。 本発明方法で実施する第4工程(仕上げ工程)の詳細説明に供するもので、(a)〜(c)は当該工程における前段の過程を3つのステップに分けて示す模式図である。 本発明方法で実施する第4工程(仕上げ工程)の詳細説明に供するもので、(a)〜(c)は当該工程における後段の過程を3つのステップに分けて示す模式図である。
以下、本発明を実施するための製造方法の最良の形態を、図面に示す実施例にしたがって詳細に説明する。
本実施例は、本発明の製造方法を、回転電機の固定子鉄心の代表例である、自動車用交流発電機(オルタネータ)の固定子鉄心への適用例について示しており、以下の説明では、まず、自動車用交流発電機の基本構成を概説したのち、本発明方法の基本的な機能および特徴的な機能について順次説明し、最後に本発明方法の特徴点毎の作用効果を要約列挙する。
なお、各図において、同一または均等部分には、同一符号を付し、重複説明を省略することとする。
[実施例1]
図1および図2に基づいて、本発明の製造方法の一実施例を適用する自動車用交流発電機100(以下、「発電機100」と略称する。)の基本構成について説明する。
〔発電機100の基本構成〕
発電機100は、図1(a)に示すように、エンジンにより駆動される回転軸101に取付けられた回転子102と、挟持固定用のスルーボルト(締付部材)103によって一対のカップ(椀型)状のケーシング104、105に挟持された固定子106とを備えている。この固定子106には、固定子コイル(多相巻線)107を巻装する鉄心として、所謂「巻き鉄心」と呼称されている円筒状の積層コア1からなる固定子鉄心108が用いられており、本例では、この固定子鉄心108が、一対のカップ(椀型)状のケーシング104、105で挟持固定されることにより、発電機100の筺体の一部として利用されるものである。
そして、固定子鉄心108は、図1(b)に示すように、全体として円環状を呈しており、内周側に固定子コイル107が巻かれる相数に応じた磁極を構成する多数のティース(歯)部E1とスロット(溝)部E2とを交互に備え、外周側に各ティース部E1およびスロット部E2を所定のピッチで環状に連接するヨーク(継鉄)部E3を備える円筒状の積層コア1で構成されている。
環状のヨーク部E3は、固定子コイル107が巻かれない非巻線部分であり、このヨーク部E3の外周縁には、例えば90°の所定間隔で4個の切欠き部E4が軸方向の全域にわたって延伸して形成されている。
なお、本説明では、固定子鉄心108および積層コア1について、実質的に同じ構造体をなしているにもかかわらず、固定子鉄心108と積層コア1とに区別し異なる符号を付して呼称しているが、基本的には、最終製造工程を経て仕上がった所定形状のものを「固定子鉄心108」と呼び、その途中の製造過程での状態のものをその形態から「積層コア1」と呼ぶものとする。
〔積層コア1の基本構成〕
積層コア1は、鉄心素材として、図2(a)、(b)に示すごとき帯状のコアシート10が用いられている。このコアシート10は、幅方向の一方側に固定子コイル107を巻装するための磁極を構成することになるティース(歯)部11(E1)およびスロット(溝)部12(E2)を有するとともに、幅方向の他方側にこれらのティース部11およびスロット部12を所定のピッチで連接するヨーク(継鉄)部13(E3)を有している。なお、ヨーク部13の辺縁(外周縁)側には所定間隔(例えば90°間隔)でスルーボルト嵌挿用の凹部を形成することになる半円形状の切欠き部14(E4)が適当数(例えば4個)設けられている。
コアシート10は、例えば、幅広の帯状の磁性板からティース部11およびスロット部12が互い違いに配置されるように打抜くことにより、一対(2枚)の帯状コアシートとして作製されるもの、もしくは、幅狭の帯状の磁性板からその片側にティース部11およびスロット部12が交互に配置されるように打抜くことにより、1枚の帯状コアシートとして作製されるものである。
そして、このコアシート10を、図2(c)に示すように、ヨーク部13(および切欠き部14)が外周側となるように螺旋状に巻取りながら、かつ、ティース部11(E1)、スロット部12(E2)および切欠き部14(E4)を軸方向に整列させながら、複数層にわたって巻回積層することにより、図2(d)に示すごとき円筒状の積層コア1とする。なお、図2(d)では図示を省略しているが、積層コア1の内径側は、各スロット部12の入口部分が図2(c)に示すごとき内径側幅狭部12Aを呈している。
その後、この積層コア1に対し、定寸工程、整形工程を実施することによって最終的な固定子鉄心108を得るものである。
次に、上記構成になる固定子鉄心108(積層コア1)の具体的な製造方法について説明する。
本実施例では、基本的な製造方法として、大別すると、コアシート10を作製する第1工程(プレス工程)から、これを螺旋状に巻き取る第2工程(巻取り工程)、所定の積層寸法毎に切断し各巻回層を溶接固定する第3工程(定寸工程)を経て、積層コア1にしごき成形加工などの整形加工を施し、固定子鉄心108に仕上げる第4工程(仕上げ工程)までの4つの工程からなる方法を採用している。
まず、上記第1工程から第4工程までの各工程を、図3に示す模式的工程図にしたがって順次概説する。
○第1工程(プレス工程)
この第1工程は、一般的に採用されている周知の工程であって、例えば帯鋼(SPCC)のごとき幅広の帯状磁性板Tを連続プレス装置のような適宜の打抜き手段U、Vに順次投入し、多段階にわたって打抜き加工を施すことで、長さ方向に2分割して2枚の連続したコアシート10を作製する。
かくして、図2(a)に示すごときコアシート10、つまり、幅方向の一方側にティース部11およびスロット部12が形成されるとともに、幅方向の他方側にティース部11およびスロット部12を所定のピッチで連接するヨーク部13が形成され、かつこのヨーク部13の辺縁(外周縁)に複数の切欠き部14が形成された帯状のコアシート10が得られる。
○第2工程(巻取り工程)
この第2工程は、帯状のコアシート10を長さ方向に搬送しつつ、当該コアシート10を所定の巻取り径でヨーク部13が外周側となるように湾曲させていくための曲げ加工を実施するもので、本工程としては、特許文献1のごとき巻取り工程、つまり、コアシート10をヨーク部13が外周側となるように湾曲させていくための曲げ加工手段Wとして巻取り軸を用い、その外周にコアシート10を直接螺旋状に巻き取っていく工程が汎用されている。
かくして、コアシート10は、ヨーク部13が外周側となるように螺旋状に巻取られ円筒状に巻回形成されるとともに、各巻回層のティース部11、スロット部12および切欠き部14がそれぞれ軸方向に整列されて、図2(d)に示すごとき積層コア1が作製される。
○第3工程(定寸工程)
この第3工程も、特許文献1に紹介されているような一般的な周知の工程である。この工程では、前工程で円筒状に巻回形成された積層コア1が連続した積層状態にあるため、所定の積層寸法(厚み)毎に切断するとともに、各巻回層が位置ずれしないように、例えば、外周縁部の切欠き部14のところでトーチ溶接等の適宜な溶接手段にて溶接固定し、1個の積層コア1として取り出す
○第4工程(仕上げ工程)
最後に、積層コア1を仕上げ工程に投入する。この仕上げ工程では、積層コア1の内外径側にしごき成形加工を施す手段X、および、スロット部12に矯正加工を施す手段Yを備えており、積層コア1の外径側の真円度および内径側の同心度、スロット部12の形状などを矯正・整形する。
かくして、所定の真円形状を有する最終的な積層コア1、即ち固定子鉄心108が得られる。
なお、この仕上げ工程を改善することが本発明方法の根幹をなすものであり、その子細については後述する。
上述のようにして完成した固定子鉄心108は、従来周知の一般的な巻線工程および組付工程を順次経由して、図1に示すように、ティース部E1に固定子コイル107が装着された後固定子106として、発電機100に組み込まれる。
ところで、上述の製造過程において、積層コア1は、帯状のコアシート10を螺旋状に巻取りながら円筒状に形成している関係上、最終工程である「仕上げ工程」にあっては積層コア1を如何に真円度の高いものに仕上げるかについて腐心されてきた。
そこで、上記「仕上げ工程」を実施する具体的なしごき成形加工および矯正加工の一例について、便宜上、図4を参照しながら概説する。
〔「仕上げ工程」の概要〕
しごき成形加工および矯正加工を具体的に実行するために用いる手段X、Yが、図4に示す整形装置200である。ただし、かかる整形装置200は、従来周知のものではなく、後述する本発明方法の実施のために用いられる新規な設備構成をも含んでいる。
図4において、整形装置200は、主要構成として、ワークである積層コア1を支持するワーク受け210と、このワーク受け210内で上下動し、積層コア1の内径側を整形する芯金ボール220と、この芯金ボール220の外周側に周方向に沿ってスロット数に応じて配設され、積層コア1のティース部11およびスロット部12の形状を矯正するスロット整形矢230と、積層コア1をワーク受け201に押圧固定するワーク押え240と、ワーク受け210およびワーク押え240の外周を滑動しながら積層コア1の外径側からしごき成形加工を施すしごきリング250と、これら各部材210〜250を所望通りに駆動する図示しない駆動手段(例えば、油圧プレス等)と、基台をなすベース260とを備えている。
なお、ここでは上記整形装置200に含まれる新規部分についての説明を省略する。
次に、上記の整形装置200を用いて、積層コア1を所定形状の固定子鉄心108に仕上げていく過程を4つのステップに分節して順次説明する。
〔ステップ1〕
ステップ1では、図4(a)に示すごとく、積層コア1を当該整形装置200にセットすべく、積層コア1をワーク受け210上に載置する。
なお、ワーク受け210の外径は、積層コア1の外径より僅かに小さく設定(正規のコア外径に準じた大きさに)されている。
〔ステップ2〕
次いで、ステップ2として、図4(b)に示すごとく、ワーク受け210をわずかに下降させてベース260に対する位置を固定するとともに、ワーク押え240を下降させる。積層コア1をワーク受け210に対して押圧することで、積層コア1の軸方向の両端面が平坦な面に成形される。
なお、ワーク押え240の外径も、積層コア1の外径より僅かに小さく設定(正規のコア外径に準じた大きさに)されている。そして、ワーク受け210とワーク押え240とは同軸に配置されており、互いの外径と積層コア1の外径との径差を利用して、後述のごとく積層コア1(その外径側)に対してしごき成形加工が施される。
また、上記ステップ2において、図4(b)に示すごとく、芯金ボール220およびスロット整形矢230を、積層コア1の内径側およびスロット部12に嵌入していく。
ここで、芯金ボール220は、ボール部221の外径が積層コア1の内径より僅かに小さく(前工程での積層コア1の内径側誤差を吸収できるように)設定されているのに対し、各スロット整形矢230は、正規のスロット形状に準じた断面形状を有し、正規のスロットピッチ間隔で周方向に配置されている。
これにより、積層コア1は、芯金ボール220によって内径側がしごき成形されないものの、同心度(内径側の真円度)が確保できるように位置決めされる。と同時に、各スロット整形矢230が、各スロット部12内に挿通されることで、各スロット部12内の径方向ならびに周方向におけるスロット形状の僅かなずれを矯正していくため、多数のスロット部12が、所定のスロット幅(U字形状)を有しかつ正規のスロットピッチにて周方向に配列されるようになる。
〔ステップ3〕
続いて、ステップ3として、図4(c)に示すごとく、しごきリング250を矢視のごとく下降させる。しごきリング250は超硬材料からなり、ワーク押え240の外周上を滑動しながらワーク受け210の上端側の外周上まで移動(下降)する間に、積層コア1の外径側をしごき成形していく。
つまり、しごきリング250の内径は、積層コア1の外径より僅かに径小に設定(正規のコア外径に準じた大きさに)設定されているため、しごきリング250の下降に伴い、積層コア1の各シート外端側が塑性変形されつつ内径方向に押し込まれ、しごき成形がなされる。
そして、このしごき成形加工の過程では、積層コア1のヨーク部13に対して内外径が縮む縮径現象が生じるため、第1に、積層コア1の外周面がしごきリング250の内周面に、かつ、積層コア1の内周面が芯金ボール220の外周面にそれぞれ当接し押圧されることにより、積層コア1の内外径側がしごきリング250の内周面および芯金ボール220の外周面に沿うように矯正されると同時に、第2に、各ティース部11の側面もスロット整形矢230の側面に更に強く押圧されることにより、各ティース部11(スロット部12)もより一層矯正される。
かくして、内径側の芯金ボール220と、スロット整形矢230と、外径側のしごきリング250とのコンビネーションにより、積層コア1の内外径側および各スロット部12(ティース部11)が所定の形状・正規位置を確保すべく整形され、積層コア1に対するしごき成形加工および矯正加工が完了する。
〔ステップ4〕
そして、最後に、ステップ4として、しごきリング250と、芯金ボール220およびスロット整形矢230と、ワーク押え240とをそれぞれ逆方向に駆動して全拘束を解除し、整形された積層コア1を固定子鉄心108として取出し、「仕上げ工程」を終了する。
〔「仕上げ過程」での問題点〕
かくして、「仕上げ過程」では、上述のごとき一連のしごき成形加工および矯正加工を実施していくことによって、所望の固定子鉄心108が得られるものと考えられてきたが、かかる固定子鉄心108について精査したところ、プレス工程における打ち抜き痕(バリを含む)等の疵がスロット部12の周縁部分に残存しており、これが原因で固定子コイル107の損傷等の不具合を招く虞があることが判明した。
〔実施例1の特徴点〕
本発明の製造方法は、かかる問題を解決すべく創案したもので、とりわけ「矯正加工」に工夫を要したものである。
以下、その要点を図5〜7に示す実施例1にしたがって説明する。
〔設備面での工夫〕
まず、図5および図6を参照しながら整形装置200における設備部分での工夫点について概説する。
(1)ワーク受け210およびワーク押え240には、外周縁に積層コア1の端面外周縁部を押圧成形する環状突起部211、241が設けられている<図6(a)参照>。
(2)芯金ボール220は、積層コア1の内径を所定寸法に整形する外径を有する円柱状のボール部221と、このボール部221の外周面にスロット部12の位置に対応して突設され、スロット部12の入口部分(内径側幅狭部)12Aに嵌入するガイド部222とを備えている<図5(c)参照>。
(3)スロット整形矢230は、上下一対のスロット整形矢231、232で構成され、上側の第1スロット整形矢231と下側の第2スロット整形矢232とが対向するように配置されていて、個別に駆動されて上下動する。
(4)各スロット整形矢231、232は、スロット部12内に嵌挿され、スロット矯正部をなす矢部231A、232Aと、この矢部231A、232Aの先端に形成され、ガイド先端部をなす先細り部231B、232Bと、矢部231A、232Aの根元部分に形成され、面取りを施す面取りパンチ部231C、232Cとを備えており、正規のスロットピッチ間隔で周方向に配置されている<図5(b)参照>。
(5)なお、矢部231A、232Aはスロット部12の孔形状を所定寸法に整形する断面形状を呈しており、先細り部231B、232Bはテーパ面を呈しており、面取りパンチ部231C、232CはR面(曲面)を呈している<図5(b)参照>。
(6)また、矢部231A、232Aは、先細り部231B、232Bによって円滑にスロット部12内へ誘導されるものの、積層コア1の段階ではスロット部12に対して内外径側で遊嵌状態となる寸法関係にある。とりわけ、矢部231A、232Aは、その内径側側面が芯金ボール220のガイド部222の外径側側面とわずかに離間している状態から、芯金ボール220のガイド部222の外径側側面と当接することで、ヨーク部13の縮径量に対応して、上記のしごきリング250によるヨーク部13の縮径現象が、その半径に応じて生じ、その結果、ヨーク部13のスロット部12との境界壁面が矢部231A、232Aの外径側側面を押し込み内径方向の移動が起こり、内径方向への移動制限(位置決め)がなされるようになっている<図5(c)参照>。
(7)しごきリング250は、積層コア1の外径を所定寸法に整形する内径を有する円筒形状を呈している。
本実施例では、上記整形装置200を用い、積層コア1に対して、次のごとき「仕上げ工程」を実施することを特徴としている。
本実施例の「仕上げ工程」は、大別すると、図6に示す前段の3ステップ(第1〜第3ステップ)、および、図7に示す後段の3ステップ(第4〜第6ステップ)の都合6つのステップで構成される。以下、当該6ステップについて、順次説明する。
〔第1ステップ〕
図6(a)に示すように、第1ステップはワーク投入工程で積層コア1をワーク受け210に載置する。なお、積層コア1は、その外周縁部分が、ワーク受け210の環状突起部211で受け止められている。
〔第2ステップ〕
次いで、図6(b)に示す第2ステップに移行する。かかる工程は所謂端面成形加工で、ワーク押え240を下降させて積層コア1をワーク受け210に対して押圧する。これにより、積層コア1は軸方向の両端面が平坦な面に成形されるとともに、この押圧過程で、ワーク受け210およびワーク押え240の環状突起部211および241によって、積層コア1の外周縁部分がテーパ状に整形される。
〔第3ステップ〕
続く図6(c)に示す第3ステップは、しごき成形加工および矯正加工の予備段階に相当するもので、芯金ボール220を上昇させて積層コア1の内径側に嵌入するとともに、上下一対のスロット整形矢231,232をそれぞれ上昇および下降させて、矢部231A、232Aを積層コア1の両端面側からそれぞれスロット部12内に嵌入していく。このとき、各矢部231A,232Aは、先細り部231B、232Bにより誘導されて良好に嵌入していき、上下の矢部231A,232Aによって、スロット部12(ティース部11)の軸方向全域が実質的にカバーされる。
これにより、積層コア1は、芯金ボール220によって内径側がしごき成形されないものの、同心度(内径側の真円度)が確保できるように位置決めされる。と同時に、各スロット整形矢230が、各スロット部12内に挿通されることで、各スロット部12内の径方向ならびに周方向におけるスロット形状ずれを矯正していくため、多数のスロット部12が、所定のスロット幅(U字形状)を有しかつ正規のスロットピッチにて周方向に配列されるようになる。
ここで重要なのは、次の2点である。
第1に、スロット整形矢231,232は、スロット矯正部をなす矢部231A、232Aのみをスロット部12内に挿入して、その根元部分に形成された面取りパンチ部231C、232Cを積層コア1の端面からそれぞれ所定量α、βだけ浮かせている点にある。上側の浮かし分αが上側端面の面取り量に相当し、矢部231A、232Aの先端(先細り部231B、232B)同士は当該浮かし分αに相当する隙間を空けて対向している。
第2には、芯金ボール220はガイド部222がスロット部12の入口部分12Aに嵌入しているため、しごきリング250によりヨーク部13が縮径することで、矢部231A、232Aは内径側に移動するため、その内径側がガイド部222に当接しながら嵌入していく点である。これにより、矢部231A、232Aは異常に傾くことなく、芯金ボール220のガイド部222の外周面を軸方向に沿って接する位置、姿勢となる。また、スロット部12を区画形成するティース部11は、その長手向を径方向向きに伸ばしており、コア周方向に隣接する2つのティース部11によって略台形状の空間を形成しているため、周方向ピッチ間隔、すなわちスロット部12の周方向幅は内径側ほど狭くなってくる。このため、矢部231A、232Aが内径側へ移動するとスロット部12内に良好に進入していき、かつ、その外径側がスロット部12の底部内側面との間に所定の隙間を有する遊嵌状態を確保することができる。
以上が前段の3ステップ(第1〜第3ステップ)であり、以下、図7に示す後段の3ステップ(第4〜第6ステップ)へと続く。
〔第4ステップ〕
後段の3ステップを示す図7において、上記の第3ステップに続く第4ステップでは、しごき成形加工および矯正加工を実施する。
図7(a)に示すように、しごきリング250を下降させ、積層コア1の外周面をしごくと、前述の〔ステップ3〕と同様な寸法関係から、しごきリング250の下降に伴い、積層コア1の各シート外端側が塑性変形されつつ内径方向に押し込まれ、外径側のしごき成形がなされる。
このしごき成形加工の過程では、前述したように、積層コア1に対して内外径が縮む縮径現象が生じるために、基本的には、積層コア1の内径側が矯正されると同時に、各ティース部11の側面もスロット整形矢230の側面に更に強く押圧されることにより各ティース部11(スロット部12)もより一層矯正される。
加えて、この第4ステップでは、上述の第3ステップにおける第2の重要点に関連して次のごとき効能が発揮される。
つまり、図5(c)にも示すように、コア背帯部分のヨーク部13が縮径して内径側に変形する際に、矢部231A、232Aが内径方向に押されるため、ティース部11もより一層矯正されるが、「芯金ボール220のガイド部222がスロット部12の入口部分12Aに嵌入しており、矢部231A、232Aの内径側がガイド部222に当接している」ため、矢部231A、232Aが必要以上に内径側へ移動し、スロット部12の入口部分12Aを変形等させることがない。そして、縮径の進捗に合わせて、スロット部12の底部内側面が矢部231A、232Aの外径側側面に対して、遊隙状態から漸近しながら圧接していくことになるため、当該表面が精度よく成形される。かくして、良好なスロット整形がなされる。
〔第5ステップ〕
そして、続く第5ステップからが本発明の根幹をなす追加工程で、第5ステップでは、積層コア1の上側端面に面取り加工を施す。
図7(b)に示すように、下側の第2スロット整形矢232の位置を保持するとともに、上側の第1スロット整形矢231を上記α分更に下降させる。これにより、面取りパンチ部231Cで積層コア1の上端面においてスロット部12の周縁部分にR面状の面取りを施す。よって、打ち抜き痕(バリを含む)等の疵がなくなる(消失する)。
〔第6ステップ〕
次いで、第6ステップでは、積層コア1の下側端面に面取り加工を施す。
図7(c)に示すように、上側の第1スロット整形矢231をβ分後退(上昇させる)とともに、下側の第2スロット整形矢232をβ分上昇させることで、面取りパンチ部232Cで積層コア1の下端面においてスロット部12の周縁部分にR面状に面取りを施す。よって、打ち抜き痕等の疵がなくなる(消失する)。
なお、β>αの関係にあるため、上述の矢部231A、232Aの上下動により、オーバーラップ量(β−α)の領域が形成され、スロット部12の底部内側面が軸方向の全域にわたって強制的にしごかれる(矯正加工)。つまり、先細り部231B、232Bおよびその先端間の隙間分(α)に相当する矯正し残し部分をもきちんと矯正・整形できる。なお、かかる矯正し残し部分に連なる上側近傍部分は、第1スロット整形矢231に加えて第2スロット整形矢232も整形に関与するため、2重整形となる。
かくして、スロット部12には両端面から内側面全域にわたって滑らかな面となり、あらゆる疵が一掃される。
上述した実施例1よれば、「仕上げ工程」において次のような効果が得られる。
(1)スロット部12を矯正加工する手段として、根元部分に面取りパンチ部231C、232Cを備えたスロット整形矢231、232を用い、スロット部12の周縁部分に対して面取り加工を施しているから、各スロット部の周縁部分に残存していた打ち抜き痕等の疵を一掃して、滑らかなコイル卷装面を確保することができ、固定子コイル107の収納量を増やしたり、運転中の振動により固定子コイル107が動くことがあったりしても、固定子コイル107が損傷する虞もなく、固定子コイル107の高占積率・高信頼性を確保することができ、発電機100の小型化・高性能化に大きく貢献することができる。
(2)スロット部12に対して矯正加工を実施するために、一対のスロット整形矢231,232を用い、スロット部12の周縁部分に対して積層コア1の軸方向の両端面側から面取り加工を施しているから、積層コア1を表裏反転させることなく、両端面に面取り加工を施すことができ、製造工数の大幅な短縮が図れる。
(3)芯金ボール220には、ボール部221の外周面にスロット部12の入口部分12Aに嵌入するガイド222を設けており、スロット整形矢231、232およびガイド部222をスロット部12およびその入口部分12Aにそれぞれ嵌入した状態でしごきリング250によるしごき成形加工を実施しているから、ガイド222によってスロット部12の入口部分12Aを保護しながら、スロット部12(ティース部11)を良好に整形することができる。
(4)上記のしごき成形加工の過程では、積層コア1の縮径の進捗に合わせて、スロット部12の径方向内側面がスロット整形矢231、232の径方向外側面に対して遊隙状態から漸近しながら圧接していくため、固定子コイル107の卷装に影響するスロット12底部の整形を良好に行うことができる。
(5)芯金ボール220は、ガイド部222の径方向外側面(先端面)がスロット整形矢231、232の径方向内側面と互いに当接することで、スロット整形矢231、232の内径方向への移動を制限するため、積層コア1への嵌入時にはスロット整形矢231、232の円滑な嵌入を補佐し、かつ、しごき成形加工時にはスロット整形矢231、232によるスロット部12の入口部分12Aの変形を防いで、良好なスロット整形を確保できる。
(6)面取り加工では、第1スロット整形矢231で積層コア1の一方の端面(上端面)側に対して面取り加工を施したのち、第2スロット整形矢232で積層コア1の他方の端面(下端面)側に対して面取り加工を施しているため、両端面を同時に面取りする場合に比して、各端面を精度よく的確に面取りすることができる。
(7)上記の面取り加工では、一対のスロット整形矢231、232をスロット部12に対しオーバーラップさせながら上下動させるため、スロット部12の軸方向全域にわたって矢部231A、232Aを行き渡らせて(矯正し残し部分を完全になくしかつその近傍を二重成形して)確実に整形することができる。
〔変形例;他の実施例〕
以上本発明を一実施例について詳述してきたが、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々変形することが可能であり、その変形例を他の実施例として以下に例示する。
(1)実施例1においては、面取り加工を積層コア1に施すにあたり、上側端面→下側端面の順で行ったが、下側端面→上側端面の逆順で実施することも可能である。
(2)また、面取り加工を実施する際に、一対のスロット整形矢231、232を適宜設定可能な所定量(β−α)の領域でオーバーラップさせるように駆動したが、例えば、先細り部231B、232Bをなくす等スロット部12の軸方向全域にわたって矢部231A、232Aが行き渡らない領域を最小限に規制することで、オーバーラップ駆動を省略することができる。
(3)また、上掲(2)項のごとくオーバーラップ駆動を省略する場合には、一対のスロット整形矢231、232を同時に上下動させて積層コア1の両端面に同時に面取り加工を施すことができる。
(4)実施例1においては、しごき成形加工後に面取り加工を実施しているため、大きい面取りを形成し易いが、例えば、図6(c)の工程で面取りパンチ部231C、232Cを積層コア1の端面からα、β分浮かせることなく、スロット部12の周縁部分に食い込ませておき、しごき成形加工時の縮径を活用して最終的な面取り加工を完了するようにしても良い。
(5)また、芯金ボール220も、ガイド部222を有しないボール部221のみのものを用いることもできる。
(6)以上の実施形態では、本発明を自動車用交流発電機(オルタネータ)の固定子鉄心に適用した場合について説明したが、これに限ることなく、鉄心素材として磁性板からなる積層コア型の固定子鉄心を持つ回転電機、例えば高電圧駆動モータに適用し、同様の作用効果を奏することができる。
以上詳述してきた本発明の特徴点および特記すべき作用効果を、特許請求の範囲において従属項として記載した各手段にしたがって要約列挙すれば、次の通りである。
(特徴点1=請求項2の手段)
請求項1に記載の回転電機(発電機100)の固定子鉄心108の製造方法において、
仕上げ工程(第4工程)では、しごき成形加工を実施するために、積層コア1の内径側に嵌入する芯金ボール220と、積層コア1の外径側に嵌入するしごきリング250とを用いており、特に、芯金ボール220は、積層コア1の内径を所定寸法に整形する外径を有するボール部221と、このボール部221の外周面にスロット部12の位置に対応して突設され、スロット部12の入口部分12Aに嵌入するガイド部222とを備えており、スロット整形矢231、232および前記ガイド部222をスロット部12およびその入口部分12Aにそれぞれ嵌入した状態でしごき成形加工を実施することを特徴としている。
上記手段によれば、ガイド222によってスロット部12の入口部分12Aを保護しながら、スロット部12(ティース部11)を良好に整形することができる。
(特徴点2=請求項3の手段)
請求項2に記載の回転電機(発電機100)の固定子鉄心108の製造方法において、
しごき成形加工の過程では、積層コア1の内外径の縮径の進捗に合わせて、スロット部12の径方向内側面がスロット整形矢231、232の径方向外側面に対して遊隙状態から漸近しながら圧接していくことを特徴としている。
上記手段によれば、固定子コイル107の卷装に影響するスロット12底部の整形を良好に行うことができる。
(特徴点3=請求項4の手段)
請求項3に記載の回転電機(発電機100)の固定子鉄心108の製造方法において、
芯金ボール220は、ガイド部222の径方向外側面(先端面)がスロット整形矢231、232の径方向内側面と互いに当接することで、スロット整形矢231、232が径方向の内側へ向かって移動するのを制限することを特徴としている。
上記手段によれば、積層コア1への嵌入時にはスロット整形矢231、232の円滑な嵌入を補佐し、かつ、しごき成形加工時にはスロット整形矢231、232によるスロット部12の入口部分12Aの変形を防いで、良好なスロット整形を確保できる。
(特徴点4=請求項5の手段)
請求項1〜4のいずれか1つに記載の回転電機(発電機100)の固定子鉄心108の製造方法において、
第1スロット整形矢231で積層コア1の一方の端面側に対して面取り加工を施したのち、第2スロット整形矢232で積層コア1の他方の端面側に対して面取り加工を施すことを特徴としている。
上記手段によれば、積層コア1の両端面を同時に面取りする場合に比して、各端面を精度よく的確に面取りすることができる。
(特徴点5=請求項6の手段)
請求項5に記載の回転電機(発電機100)の固定子鉄心の製造方法において、
前記面取り加工では、一対のスロット整形矢231、232をスロット部12に対し所定量(β−α)の領域でオーバーラップさせながら上下動させることを特徴としている。
上記手段によれば、スロット部12の軸方向全域にわたって矢部231A、232Aを行き渡らせて、固定子コイル107の卷装面全体を確実に滑らかな面に整形することができる。
1…積層コア、10…コアシート、11(E1)…ティース部、12(E2)…スロット部、13(E3)…ヨーク部、14(E4)…切欠き部、100…自動車用交流発電機(回転電機)、106…固定子、107…固定子コイル、108…固定子鉄心、200…整形装置、220…芯金ボール、230…スロット整形矢、231…第1スロット整形矢、232…第2スロット整形矢、231C、232C…面取りパンチ部、250…しごきリング。

Claims (6)

  1. 磁性板からなる帯状のコアシート(10)を用い、このコアシート(10)に対して、幅方向の一方側に固定子コイル(107)を巻装するための複数の磁極を構成するティース部(11、E1)およびスロット部(12、E2)を形成するとともに、幅方向の他方側に前記ティース部およびスロット部を連接するヨーク部(13、E3)を形成する第1工程と、
    このコアシートを、前記磁極が内周側となるように、螺旋状に巻回しつつ円筒状に積層するとともに、各巻回層の前記ティース部および前記スロット部をそれぞれ軸方向に整列させて積層コア(1)を形成する第2工程と、
    この積層コアを所定の積層寸法ごとに切断するとともに前記積層コアの各巻回層がずれないように固定する第3工程と、
    定寸後の前記積層コアに対して、その内外径側にしごき成形加工を施すとともに、前記スロット部に矯正加工を施すことで前記積層コアを所望形状に整形する第4工程とを備え、
    前記第4工程では、前記矯正加工を実施するために、前記積層コアに対して軸方向の両端面側からそれぞれ前記スロット部内に挿入して前記スロット部を矯正する一対のスロット整形矢(230、231、232)を用い、
    前記一対のスロット整形矢は、それぞれ根元部分に面取りパンチ部(231C、232C)を備えていて、前記スロット部の周縁部分に対して前記積層コアの軸方向の両端面側から面取り加工を施すことを特徴とする回転電機(100)の固定子鉄心(108)の製造方法。
  2. 請求項1に記載の回転電機の固定子鉄心の製造方法において、
    前記第4工程では、前記しごき成形加工を実施するために、前記積層コアの内径側に嵌入する芯金ボール(220)と、前記積層コアの外径側に嵌入するしごきリング(250)とを用い、
    前記芯金ボールは、前記積層コアの内径を所定寸法に整形する外径を有するボール部(221)と、このボール部の外周面に前記スロット部の位置に対応して突設され、前記スロット部の入口部分(12A)に嵌入するガイド部(222)とを備え、
    前記しごきリングは、前記積層コアの外径を所定寸法に整形する内径を有する円筒形状を呈しており、
    前記スロット整形矢および前記ガイド部を前記スロット部およびその入口部分にそれぞれ嵌入した状態で前記しごき成形加工を実施することを特徴とする回転電機の固定子鉄心の製造方法。
  3. 請求項2に記載の回転電機の固定子鉄心の製造方法において、
    前記しごき成形加工の過程では、前記積層コアの内外径の縮径の進捗に合わせて、前記スロット部の径方向内側面が前記スロット整形矢の径方向外側面に対して遊隙状態から漸近しながら圧接していくことを特徴とする回転電機の固定子鉄心の製造方法。
  4. 請求項3に記載の回転電機の固定子鉄心の製造方法において、
    前記芯金ボールは、前記ガイド部の径方向外側面(先端面)が前記スロット整形矢の径方向内側面と互いに当接することで、前記スロット整形矢が径方向の内側へ向かって移動するのを制限することを特徴とする回転電機の固定子鉄心の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の回転電機の固定子鉄心の製造方法において、
    前記一対のスロット整形矢を第1スロット整形矢(231)、第2スロット整形矢(232)と呼ぶとき、
    前記第1スロット整形矢で前記積層コアの一方の端面側に対して面取り加工を施したのち、前記第2スロット整形矢で前記積層コアの他方の端面側に対して面取り加工を施すことを特徴とする回転電機の固定子鉄心の製造方法。
  6. 請求項5に記載の回転電機の固定子鉄心の製造方法において、
    前記面取り加工では、前記一対のスロット整形矢を前記スロット部に対し所定量(β−α)の領域でオーバーラップさせながら上下動させることを特徴とする回転電機の固定子鉄心の製造方法。
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