JP2017187578A - 視差バリア部材の製造方法、および視差バリア部材 - Google Patents

視差バリア部材の製造方法、および視差バリア部材 Download PDF

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功太郎 足達
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Abstract

【課題】高い位置精度で、高反射層およびブラック層を形成することが可能な視差バリア部材の製造方法を提供することを課題とする。【解決手段】透明基材と、上記透明基材上にパターン状に形成され金属を含む高反射層と、を有するパターン基材を準備する準備工程と、上記パターン基材上に、遮光材料およびポジ型感光性樹脂組成物を含むブラック組成物を塗布してブラック組成物層を形成する塗布工程と、上記透明基材の上記ブラック組成物層の形成面側とは反対側から、露光光を照射することにより、上記高反射層を用いて上記ブラック組成物層をパターン状に露光する露光工程と、パターン状に露光された上記ブラック組成物層を現像することにより、上記高反射層と同一のパターンを有するブラック層を形成する現像工程と、を有することを特徴とする視差バリア部材の製造方法を提供することにより上記課題を解決する。【選択図】図2

Description

本発明は、立体映像表示装置に用いられる視差バリア部材の製造方法、および視差バリア部材に関する。
近年、観察者が特殊なメガネを使用せずに裸眼で立体映像を見ることができる立体映像表示装置(いわゆる裸眼3Dディスプレイ)が実用化されている。立体映像の表示方法の1つとして、視差バリア方式が知られている。視差バリア方式では、立体映像表示装置は、視点の異なる複数の画像を表示し、それらの画像の光線は、視差バリア部材によって出力方向を制御され、観察者の両眼に導かれる。観察者は、左目と右目とで異なる視差画像を見ることになるため、映像を立体的に認識することができる。
視差バリア部材には、光を透過する透過領域と、光を透過させない遮光領域とが所定パターンで設けられている。遮光領域が存在することにより、立体映像表示装置では、通常の映像表示装置(2Dディスプレイ)より輝度が低下する。輝度の低下を抑制するためには、バックライトの輝度を増加させる必要があるため、消費電力が増加する。
消費電力を増加させることなく輝度の低下を抑制するため、遮光領域のバックライト側に高反射層を設けた視差バリア部材を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。これにより、バックライトから遮光領域に向かう光を高反射層で反射させ、この反射光を再度バックライトで反射させて透過領域に向かわせることにより、光を効率的に利用することができる。
中国特許出願公開第104238125号明細書
視差バリア部材においては、通常、高反射層およびブラック層は、平面視上重なるように、遮光領域に形成されている。
立体映像表示装置の高性能化に伴い、視差バリア部材においては、より高い位置精度で、高反射層およびブラック層を形成することが望まれている。本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、高い位置精度で、高反射層およびブラック層を形成することが可能な視差バリア部材の製造方法、ならびに高反射層およびブラック層が高い位置精度で形成された視差バリア部材を提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、立体映像表示装置に用いられる視差バリア部材の製造方法であって、透明基材と、上記透明基材上にパターン状に形成され金属を含む高反射層と、を有するパターン基材を準備する準備工程と、上記パターン基材上に、遮光材料およびポジ型感光性樹脂組成物を含むブラック組成物を塗布してブラック組成物層を形成する塗布工程と、上記透明基材の上記ブラック組成物層の形成面側とは反対側から、露光光を照射することにより、上記高反射層を用いて上記ブラック組成物層をパターン状に露光する露光工程と、パターン状に露光された上記ブラック組成物層を現像することにより、上記高反射層と同一のパターンを有するブラック層を形成する現像工程と、を有することを特徴とする視差バリア部材の製造方法を提供する。
本発明によれば、ポジ化型感光性樹脂組成物を含むブラック組成物層を、高反射層を用いてパターン状に露光することができる。よって、高い位置精度で、高反射層およびブラック層を形成することができる。
上記発明においては、上記塗布工程では、上記透明基材の上記高反射層上に上記ブラック組成物層を形成することが好ましい。
本発明は、立体映像表示装置に用いられる視差バリア部材であって、透明基材と、上記透明基材上にパターン状に形成され、金属を含む高反射層と、上記透明基材の上記高反射層上にパターン状に形成され、遮光材料およびポジ型感光性樹脂組成物の硬化物を含むブラック層と、を備え、上記高反射層と上記ブラック層とが同一のパターンを有することを特徴とする視差バリア部材を提供する。
本発明によれば、ブラック層がポジ型感光性樹脂組成物の硬化物を含むことにより、上述した製造方法を用いて視差バリア部材を製造することができる。よって、高い位置精度で、高反射層およびブラック層が形成された視差バリア部材とすることができる。
本発明の視差バリア部材の製造方法は、高い位置精度で、高反射層およびブラック層を形成することが可能であるといった効果を奏する。
本発明の視差バリア部材の製造方法の一例を示す概略工程図である。 本発明の視差バリア部材の製造方法の一例を示す概略工程図である。 本発明の視差バリア部材の製造方法の他の例を示す概略工程図である。 本発明の視差バリア部材の一例を示す概略平面図および概略断面図である。 本発明の視差バリア部材を用いた立体映像表示装置の一例を示す模式図である。 本発明の視差バリア部材およびバックライトについて説明する説明図である。 本発明におけるパターン基材の一例および本発明の視差バリア部材の他の例を示す概略断面図である。 本発明の視差バリア部材における高反射層およびブラック層について説明する説明図である。 従来の視差バリア部材の製造方法の一例を示す概略工程図である。
以下、本発明の視差バリア部材の製造方法、および視差バリア部材の詳細について説明する。
A.視差バリア部材の製造方法
本発明の視差バリア部材の製造方法は、立体映像表示装置に用いられる視差バリア部材の製造方法であって、透明基材と、上記透明基材上にパターン状に形成され金属を含む高反射層と、を有するパターン基材を準備する準備工程と、上記パターン基材上に、遮光材料およびポジ型感光性樹脂組成物を含むブラック組成物を塗布してブラック組成物層を形成する塗布工程と、上記透明基材の上記ブラック組成物層の形成面側とは反対側から、露光光を照射することにより、上記高反射層を用いて上記ブラック組成物層をパターン状に露光する露光工程と、パターン状に露光された上記ブラック組成物層を現像することにより、上記高反射層と同一のパターンを有するブラック層を形成する現像工程と、を有することを特徴とする。
本発明の視差バリア部材の製造方法について図を用いて説明する。図1および図2は、本発明の視差バリア部材の製造方法の一例を示す概略工程図である。本発明の製造方法においては、図1(a)に示されるように、透明基材1上の全面に金属層2Xを形成する。次に、図1(b)に示されるように、金属層2X上に感光性樹脂組成物を塗布してレジスト層11Xを形成する。次に、フォトマスクM1を介して露光光Lを照射することにより、レジスト層11Xをパターン状に露光する。次に、図1(b)、(c)に示されるように、パターン状に露光されたレジスト層11Xを現像することにより、パターンレジスト層11を形成する。次に、図1(c)、(d)に示されるように、パターンレジスト層11を用い、金属層2Xをエッチングすることにより、高反射層2をパターン状に形成する。次に図1(d)、図2(a)に示されるように、レジスト層11を剥離する。以上の工程により、パターン基材10aを準備する(準備工程)。
次に、図2(b)に示されるように、パターン基材10a上に、遮光材料およびポジ型感光性樹脂組成物を含むブラック組成物を塗布してブラック組成物層3Xを形成する(塗布工程)。次に、図2(c)に示されるように、透明基材1のブラック組成物層3Xの形成面側と反対側から露光光Lを照射することにより、高反射層2を用いて、ブラック組成物層3Xをパターン状に露光する(露光工程)。次に、図2(c)、(d)に示されるように、パターン状に露光されたブラック組成物層3Xを現像することにより、高反射層2と同一のパターンを有するブラック層3を形成する(現像工程)。以上の工程により、視差バリア部材10を製造することができる。
図3は、本発明の視差バリア部材の製造方法の他の例を示す概略工程図である。本発明においては、図3(a)に示されるように、パターン基材10aは、透明基材1および高反射層2を覆うように形成されたオーバーコート層4を有していても良い。この場合、塗布工程においては、例えば、図3(b)に示されるように、オーバーコート層4上にブラック組成物層3Xを形成することができる。また、露光工程においては、図3(c)に示されるように、透明基材1およびオーバーコート層4を介して、ブラック組成物層3Xに対して露光光Lを照射することにより、高反射層2を用いて、ブラック組成物層3Xをパターン状に露光することができる。なお、図3(c)、(d)に示される現像工程については、図2(c)、(d)で説明した内容と同様とすることができる。以上の工程により、視差バリア部材10を製造することができる。
本発明により製造される視差バリア部材について図を用いて説明する。図4(a)は、本発明の視差バリア部材の一例を示す概略平面図であり、図4(b)は図4(a)のX−X線断面図である。図4(a)、(b)に示される視差バリア部材10は、透明基材1と、透明基材1上にパターン状に形成された高反射層2と、高反射層2上にパターン状に形成されたブラック層3と、を備える。図4(a)、(b)に示される視差バリア部材10は、高反射層2とブラック層3とが同一のパターンを有することを特徴とする。視差バリア部材10は、通常、透過領域R1と遮光領域R2とを有する。高反射層2およびブラック層3は、通常、遮光領域R2に形成される。
本発明により得られる視差バリア部材は、立体映像表示装置に用いられる。立体映像表示装置について図を用いて説明する。図5は、本発明により製造される視差バリア部材を用いた立体映像表示装置の一例を示す模式図である。図5に示される立体映像表示装置100は、視差バリア部材10と、バックライト20と、透過型表示素子30と、を備える。本発明の視差バリア部材10は、通常、バックライト20と、透過型表示素子30との間に配置されて用いられる。透過型表示素子30は、例えば、透過型液晶表示素子であり、右目用画素31と、左目用画素32とを有する。視差バリア部材10は、バックライト20から観察者A側に向かう光を、透過領域R1で透過し、遮光領域R2で遮光する。これにより、バックライト20からの上記光は、右目用の光と左目用の光とに分離される。右目用の光は、右目用画素31を透過して観察者Aの右目(Ereight)に向かい、左目用の光は、左目用画素32を透過して観察者Aの左目(Eleft)に向かう。このようにして、観察者Aは、左目と右目とで異なる視差画像を見ることになるため、映像を立体的に認識することができる。
図6は、本発明により製造される視差バリア部材およびバックライトについて説明する説明図である。図6に示されるように、視差バリア部材10は、バックライト20側に透明基材1が配置され、バックライト20側とは反対側(観察者側)にブラック層3が配置される。すなわち、立体映像表示装置においては、バックライト20側から観察者側に向かって、透明基材1、高反射層2およびブラック層3の順に積層するように、視差バリア部材10が配置される。視差バリア部材10において、高反射層2は、バックライト20から遮光領域R2に向かう光L1を反射する。高反射層2で反射された光L1は、再度バックライト20に配置された反射板21等で反射される。反射板21で反射された光L2は、透過領域R1に向かうことができるようになる。そのため、光L2は、バックライト20から直接、透過領域R1に向かう光L3とともに映像の表示に寄与することができる。
本発明によれば、ポジ化型感光性樹脂組成物を含むブラック組成物層を、高反射層を用いてパターン状に露光することができる。よって、高い位置精度で、高反射層およびブラック層を形成することができる。
ここで、従来の製造方法においては、例えば、ブラック組成物としてネガ型感光性樹脂組成物を含むものが用いられている。従来の視差バリア部材の製造方法について図を用いて説明する。図9は従来の視差バリア部材の製造方法の一例を示す概略工程図である。従来の製造方法においては、例えば、図9(a)に示されるように、透明基材1と、透明基材1上にパターン状に形成され、金属を含む高反射層2およびアライメントマークPを有するパターン基材10bが準備される。次に、図9(b)に示されるように、パターン基材10b上に、ネガ型感光性樹脂組成物を含むブラック組成物を塗布して、ブラック組成物層3Xが形成される。次に、図9(c)に示されるように、フォトマスクM2を介して露光光Lを照射することにより、ブラック組成物層3Xをパターン状に露光する。次に、図9(c)、(d)に示されるように、パターン状に露光されたブラック組成物層3Xを現像することにより、ブラック層3をパターン状に形成する。以上の工程により視差バリア部材10が製造される。
従来の方法においては、ブラック組成物層をパターン状に露光するためには、パターン基材とフォトマスクとを位置合わせする必要がある。しかしながら、パターン基材においては、通常、アライメントマークを覆うようにブラック組成物層が形成されるため、露光装置を用いてアライメントマークを良好に検出することが困難となる場合がある。そのため、パターン基材およびフォトマスクを精度良く位置合わせすることが困難となる場合がある。その結果、得られる視差バリア部材において、高反射層とブラック層との位置精度を高くすることが困難となる場合がある。
これに対し、本発明においては、ブラック組成物がポジ型感光性樹脂組成物を含むことにより、透明基材のブラック組成物層の形成面側とは反対側から露光光を照射することにより、高反射層を用いて、ブラック組成物層をパターン状に露光することができる。すなわち、露光工程においては、ブラック組成物層をパターン状に露光するためのフォトマスクとして、高反射層を機能させることができる。よって、透明基材上に形成された高反射層を用いて、上記透明基材上に形成されたブラック組成物層の露光を行なうことができるため、高い位置精度で、高反射層およびブラック層を形成することができる。また、高反射層とブラック組成物層との間の距離を小さくすることができ、露光光の広がりを少なくすることができることから、高い位置精度で、高反射層およびブラック層を形成することができる。
従来の製造方法においては、フォトマスクと、パターン基材とを位置合わせをする必要がある。そのため、視差バリア部材の製造方法が煩雑になるという問題がある。これに対し、本発明においては、高反射層をブラック組成物層用のフォトマスクとして用いることができるため、フォトマスクの数を少なくすることができ、さらにフォトマスクおよびパターン基材の位置合わせが不要となる。よって、製造コストを低減させることが可能となる。
また、本発明においては、ブラック組成物層に対し、パターン基材における透明基材側から露光光を照射することができる。よって、透明基材表面近傍での、ポジ型感光性樹脂組成物の光反応をより進行させることができる。また、透過領域におけるブラック組成物の残存(付着物)を少なくすることができることから、透過領域の透明性が良好な視差バリア部材とすることができる。
以下、本発明の視差バリア部材の製造方法における各工程について説明する。
1.準備工程
本発明における準備工程は、透明基材と、透明基材上にパターン状に形成され金属を含む高反射層と、を有するパターン基材を準備する工程である。
(1)パターン基材
本発明におけるパターン基材は、透明基材と、高反射層とを少なくとも有する。
(a)透明基材
パターン基材に用いられる透明基材は、視差バリア部材において、高反射層およびブラック層を支持するものである。
「透明」とは、特段の事情が無い限り、立体映像表示装置においてバックライトからの光を透過させ、観察者から認識される表示を行なうことが可能な程度の透明性をいう。したがって、「透明」は、無色透明、ならびに、露光および映像表示を妨げない程度の有色透明を含む。また、透明基材は、通常、後述する露光光に対して、ブラック組成物層をパターン状に露光可能な程度の透過性を有する。
バックライトの光の利用効率を高くする観点からは、透明基材の全光線透過率は高いことが好ましい。透明基材の全光線透過率は、具体的には、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。全光線透過率は、JIS K−7361−1に準拠して算出される値である。
透明基材の材料としては、一般的な表示装置に用いられる透明基材の材料を挙げることができる。具体的には、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可撓性のない無機基材、および、透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可撓性を有する樹脂基材等が挙げられる。中でも無機基材を用いることが好ましく、無機基材の中でもガラス基材を用いることが好ましい。さらには、ガラス基材の中でも無アルカリタイプのガラス基材を用いることが好ましい。寸法安定性に優れるからである。
透明基材の厚みとしては、立体映像表示装置の用途に応じて適宜調整され、特に限定されない。透明基材の厚みは、例えば、0.1μm〜1mmの範囲内であることが好ましく、中でも0.1mm〜0.5mmの範囲内であることが好ましい。
(b)高反射層
パターン基材に用いられる高反射層は、透明基材上にパターン状に形成され、金属を含む。高反射層は、視差バリア部材において、立体映像表示装置のバックライトからの光を反射して再利用させる機能を有する。
高反射層は、透明基材上に他の層を介して形成されていても良く、透明基材上に、直接、形成されていても良い。
高反射層の反射率は、バックライトの光の利用効率を高くすることができれば特に限定されないが、94%以上であることが好ましく、中でも95%以上であることが好ましく、特に96%以上であることが好ましい。
高反射層の反射率が低いと、バックライトの光の利用効率を十分に向上させることが困難となる可能性があるからである。
高反射層の反射率は、分光測色計(コニカミノルタ(株)製「CM−2600d」)を用いて測定波長360nm〜740nmの範囲内で分光反射率を測定したときの、各波長における反射率の平均値として特定される反射率である。測定は、SCI(正反射光込み)方式で、JIS Z8722の幾何条件c(di:8°)にて行えばよい。
高反射層は金属を含む。高反射層に用いられる金属は、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、およびクロムの少なくともいずれかを含むことが好ましい。また、高反射層に用いられる金属は、銀合金、アルミニウム合金であっても良い。
本発明においては、中でも、高反射層が純銀または銀を主成分とする銀合金であることが好ましい。高反射層の反射率を高くすることができるからである。なお、本明細書において、純銀とは、銀を99.9質量%以上含有する金属をいう。本明細書においては、銀の中に、不可避的に他の金属等の不純物が含まれる場合についても純銀として扱うものとする。
また、銀を主成分とする合金(銀合金)とは、構成金属中に占める銀の質量比が最も多い合金をいう。銀の含有量は、通常、50質量%以上であり、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが好ましい。また、銀の含有量としては、通常、99.9質量%より小さく、95質量%以下であっても良い。
高反射層の厚みは、高反射層に所定の反射率を付与することができれば特に限定されないが、例えば、700nm以下であることが好ましく、600nm以下であることが好ましく、500nm以下であることが特に好ましい。また、高反射層の厚みは、150nm以上であることが好ましく、200nm以上であることがより好ましく、250nm以上であることが特に好ましい。高反射層の厚みが薄すぎる場合は、十分な反射特性を示すことが困難となる可能性があるからである。また、高反射層の厚みが厚すぎる場合は、高反射層に割れ、剥がれが生じやすくなる可能性があるからである。
高反射層の厚みは、一般的な測定方法により測定することができる。厚みの測定方法としては、例えば、触針で表面をなぞり凹凸を検出することによって厚みを算出する触針式の方法や、分光反射スペクトルに基づいて厚みを算出する光学式の方法等を挙げることができる。具体的には、ケーエルエー・テンコール株式会社製の触針式膜厚計P−15を用いて厚みを測定することができる。なお、厚みとして、高反射層の複数箇所における厚み測定結果の平均値(平均厚み)が用いられてもよい。
高反射層は、通常、視差バリア部材における遮光領域に形成され、透過領域には形成されない。すなわち、高反射層のパターンは、通常、視差バリア部材の遮光領域のパターンと同一のパターンを有する。
遮光領域のパターンとしては、右目用画素および左目用画素の配列に応じて適宜選択され、特に限定されないが、例えば、ストライプ状、格子状、市松模様、千鳥格子等を挙げることができる。遮光領域のパターンのサイズは、右目用画素および左目用画素のサイズ、表示装置および観察者の距離等に応じて適宜選択される。右目用画素および左目用画素のサイズは、例えば、10μm〜500μmの範囲内であることが好ましいことから、遮光領域のパターンのサイズは上記範囲内で調整されることが好ましい。
(c)密着層
本発明におけるパターン基材は、必要に応じて、図7(a)に示すように、透明基材1および高反射層2の間に密着層5が形成されていても良い。例えば、透明基材の材料としてガラス材料を用い、高反射層の材料として銀を含む材料を用いる場合に、密着層を有することにより、透明基材および高反射層の密着性を高くすることができるからである。
密着層の材料としては、例えば、インジウム系酸化物を挙げることができる。具体的には、インジウム系酸化物とは、少なくともIn元素およびO元素を含む化合物であり、In元素およびO元素のみを含んでいても良く、さらに、Sn元素、Zn元素等の他の元素を含んでいても良い。インジウム系酸化物としては、例えば、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO(Indium Tin Oxide))、インジウム酸化亜鉛(IZO(Indium Zinc Oxide))、等を挙げることができる。本発明においては、中でも、インジウム系酸化物は、ITO、IZOであることが好ましく、IZOであることが特に好ましい。IZOは良好な透明性を示し、ガラス基材および高反射層の密着性を良好にすることができるからである。
密着層は特定の厚みは、ガラス基材および高反射層の密着層を高くすることができれば特に限定されないが、密着層の厚みは、通常、10nm以下であり、中でも7nm以下であることが好ましく、特に5nm以下であることが好ましい。また、密着層の厚みは、通常、1nm以上であり、中でも2nm以上であることが好ましく、特に3nm以上であることが好ましい。密着層の厚みが厚すぎる場合は、高反射層の反射特性が低下する可能性があるからである。一方、密着層の厚みが薄すぎる場合は、ガラス基材および高反射層の密着性を十分に図ることが困難となる可能性があるからである。
密着層の厚みは、上述した「(b)高反射層」の項で説明した測定方法を用いて測定することができる。密着層の厚みは、平均厚みであっても良い。
密着層は、通常、高反射層の反射特性を阻害しない程度に透明性を有する。密着層の透過率は、例えば、97%以上であり、98%以上であることが好ましく、99%以上であることがより好ましい。密着層の透過率は、例えば、分光光度計(大塚電子(株)製「LCFシリーズ」)を用いて測定波長380nm〜780nmの範囲内で測定したときの、各波長における透過率の平均値として特定される可視光透過率であり、透明基材のみでの測定値を100%として、密着層を形成したガラス基材を測定する形で相対的な透過率として規定できる。
密着層および高反射層の積層体の密着層側の反射率としては、例えば、バックライトの光の利用効率を高くすることができれば特に限定されないが、94%以上であることが好ましく、中でも95%以上であることが好ましく、特に96%以上であることが好ましい。
密着層は、通常、高反射層が形成された領域に形成される。すなわち、密着層は、通常、高反射層と同一のパターンを有するように形成される。
密着層は、所定の透明性を有することから、ガラス基材の全域に形成されていても良い。
(d)その他の層
本発明におけるパターン基材は、例えば、図3(a)に示すように、透明基材1および高反射層2を覆うオーバーコート層4を有していても良い。オーバーコート層の材料としては、一般的なオーバーコート層に用いられる透明樹脂材料を挙げることができる。オーバーコート層は、後述する露光光に対して、ブラック組成物層をパターン状に露光可能な程度の透過性を有する。
また、本発明におけるパターン基材は、例えば、図7(a)に示されるように、高反射層2上にパターン状に形成され、高反射層2と同一のパターンを有する保護層6を有していても良い。保護層6を有することにより、図7(b)に示されるように、ブラック層3を形成する際の塗布工程、露光工程、現像工程において、高反射層2へ加わるダメージを低減することができるからである。保護層の材料としては、樹脂材料であっても良く、無機材料であっても良い。保護層の材料としては、例えば、上述した密着層の材料を用いることができる。
なお、図7(a)、(b)は本発明におけるパターン基材の一例および本発明により得られる視差バリア部材の他の例を示す概略断面図である。
(2)準備工程
本発明における準備工程は、通常、パターン基材を形成する工程である。パターン基材の形成方法としては、例えば、透明基材と、透明基材上の全面に形成された金属層とを有する金属層付基材を準備し、金属層をパターン状にエッチングする方法が挙げられる。
金属層付基材は、透明基材上に金属層を形成して準備しても良く、金属層付基材を購入して準備しても良い。
金属層の形成方法としては、公知の方法を挙げることができ、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等の物理的蒸着法を用いることが好ましい。
金属層を所定のパターン状にエッチングする方法としては、例えば、フォトリソグラフィ法を用いたエッチング法を挙げることができる。具体的には、金属層上に感光性樹脂組成物を塗布してレジスト層を形成した後、フォトマスクを用いてレジスト層をパターン状に露光し、現像することによりパターンレジスト層を形成する。次にパターンレジスト層をマスクとして用いて、金属層をエッチングすることにより、金属層を所定のパターン状に形成する。
レジスト層に用いられる感光性樹脂組成物としては、一般的なフォトリソグラフィ法に用いられるものを挙げることができる。感光性樹脂組成物は、ネガ型感光性樹脂組成物を用いても良く、ポジ型感光性樹脂組成物を用いても良い。
レジスト層の形成方法、露光方法および現像方法については、一般的なフォトリソグラフィ法に用いられる方法と同様とすることができる。
パターンレジスト層は、金属層をエッチングして、所望のパターンを有する高反射層が得られるように形成される。高反射層上のパターンレジスト層は、剥離されても良く、剥離されなくても良いが、剥離されることがより好ましい。
金属層のエッチング方法としては、ドライエッチングであっても良く、ウェットエッチングであっても良いが、中でもウェットエッチングであることが好ましい。
エッチング液としては、金属層の種類に応じて適宜選択される。具体的なエッチング液については、公知のものを用いることができる。
パターン基材が、密着層を更に有する場合は、例えば、透明基材上の全面に密着層および金属層が形成された金属層付基材を準備し、フォトリソグラフィ法を用いて金属層上にパターンレジスト層を形成した後、密着層および高反射層を同時にエッチングする方法を用いることが好ましい。密着層の形成方法については、上述した金属層の形成方法の内容と同様とすることができる。銀を含む高反射層およびインジウム系酸化物を含む密着層を同時にエッチングする方法としては、例えば、燐酸、硝酸、酢酸、水を4:1:4:4の割合で配合してなる燐硝酢酸(水)をエッチング液として用いたウェットエッチング法を挙げることができる。
2.塗布工程
本発明における塗布方法は、パターン基材上に、遮光材料およびポジ型感光性樹脂組成物を含むブラック組成物を塗布してブラック組成物層を形成する工程である。
(1)ブラック組成物
本発明に用いられるブラック組成物は、遮光材料と、ポジ型感光性樹脂組成物とを少なくとも含有する。
ブラック組成物に用いられるポジ型感光性樹脂組成物は、通常、露光光が照射されることにより、現像液への溶解性が高くなる性質を示す。
ポジ型感光性組成物としては、具体的には、例えばナフトキノンジアジド、ベンゾキノンジアジドなどのキノンジアジド類や、ジアゾメチルドラム酸、ジアゾジメドン、3−ジアゾ−2,4−ジオンなどのジアゾ化合物や、o−ニトロベンジルエステル、オニウム塩、オニウム塩とポリフタルアルデヒド、コリン酸t−ブチルの混合物の様な光分解剤(溶解抑制剤)と、OH基を持ちアルカリに可溶なハイドロキノン、フロログルシン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノンなどのモノマーや、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂などのノボラック樹脂、スチレンとマレイン酸、マレイミドの共重合物、フェノール系とメタクリル酸、スチレン、アクリロニトリルの共重合物などのポリマーの混合物や縮合物、あるいはポリメチルメタクリレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ヘキサフルオロブチル、ポリメタクリル酸ジメチルテトラフルオロプロピル、ポリメタクリル酸トリクロロエチル、メタクリル酸メチル−アクリルニトリル共重合体、ポリメチルイソプロペニルケトン、ポリα−シアノアクリレート、ポリトリフルオロエチル−α−クロロアクリレートなどが挙げられる。
遮光材料は、ブラック層に所望の遮光性を付与することができる材料であれば特に限定されない。遮光材料としては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック等の黒色着色材を挙げることができる。
ブラック組成物の固形分中の遮光材料の含有量は、ブラック層に所望の遮光性を付与することができれば特に限定されない。ブラック組成物の固形分中の遮光材料の含有量は、例えば、1μm当たりのOD値が0.1/μm〜3.0/μmの範囲内、中でも0.5/μm〜2.0/μmの範囲内となるように調整されていることが好ましい。遮光材料の含有量が少ないと、ブラック層に十分な遮光性を付与することが困難となる可能性があるからである。一方、遮光材料の含有量が多いと、相対的にポジ型感光性樹脂組成物の含有量が少なくなるため、ブラック層に所望の露光性、現像性を付与することが困難となる可能性があるからである。なお、ブラック組成物の固形分とは、ブラック組成物が溶媒を含む場合、溶媒を除くブラック組成物の全成分をいう。具体的なブラック層の含有量は、必要とされるブラック層の厚み、ブラック層の層構成および材料等に応じて適宜調整される。なお、1μm当たりのOD値については、後述する「4.現像工程 (2)ブラック層」の項で説明するブラック層のOD値の測定値およびブラック層の厚みから換算される値である。
ブラック組成物は、必要に応じて、上述したポジ型感光性樹脂組成物および遮光材料を溶解、または分散させるための溶媒をさらに含んでいても良い。溶媒としては、一般的なポジ型感光性樹脂組成物とともに用いられる溶媒を用いることができる。
ブラック組成物は、遮光材料およびポジ型感光性樹脂組成物を含んでいれば良く、例えば、分散剤、界面活性剤等の添加剤をさらに含んでいても良い。
(2)塗布工程
塗布工程においては、パターン基材上にブラック組成物が塗布される。ブラック組成物の塗布面は、例えば、パターン基材における高反射層の形成面側であっても良く、上記形成面側とは反対側であっても良い。本発明においては、パターン基材における高反射層の形成面側であることが好ましい。すなわち、透明基材の高反射層上にブラック組成物層を形成することが好ましい。また、透明基材上の高反射層上に直にブラック組成物層を形成することが好ましい。より高い位置精度で、高反射層およびブラック層を形成することができるからである。
ブラック組成物は、通常、パターン基材上の全面に塗布される。ブラック組成物の塗布方法としては、例えば、具体的には、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、ビードコート法、バーコート法、ダイコート法等の公知の塗布方法を挙げることができる。
塗布工程においては、必要に応じて、ブラック組成物層を乾燥させても良い。ブラック組成物層の乾燥方法としては、ブラック組成物層中の溶媒を除去することが可能な方法であれば特に限定されない。ブラック組成物層の乾燥方法としては、例えば、自然乾燥であっても良く、加熱乾燥であっても良い。
塗布工程において形成されるブラック組成物層の厚み等は、視差バリア部材において必要とされるブラック層の厚み、遮光性、反射率等に応じて適宜調整される。
3.露光工程
本発明における露光工程は、透明基材のブラック組成物層の形成面側とは反対側から、露光光を照射することにより、高反射層を用いてブラック組成物層をパターン状に露光する工程である。
露光工程においては、透明基材のブラック組成物層の形成面側とは反対側から、ブラック組成物層に対して露光光を照射する。すなわち、透明基材を介して、ブラック組成物層に露光光が照射される。露光工程においては、透明基材のみを介してブラック組成物層に露光光が照射されても良く、オーバーコート層等の他の層をさらに介して、ブラック組成物層に露光光が照射されても良い。
露光光としては、一般的なポジ型感光性樹脂組成物の露光に用いられる光であれば特に限定されず、例えば、波長100nm〜450nmの範囲の紫外線を用いることができる。
露光光源としては、ブラック組成物層を所望のパターン状に露光することができれば特に限定されず、例えば、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ等を用いることができる。
露光量については、ブラック層に用いられるポジ型感光性樹脂組成物、ブラック組成物層の厚み、露光強度、露光時間、ならびにブラック組成物層および露光光源の間の距離等に応じて適宜選択される。
4.現像工程
本発明における現像工程は、パターン状に露光されたブラック組成物層を現像することにより、高反射層と同一のパターンを有するブラック層を形成する工程である。
(1)現像工程
現像工程に用いられる現像液としては、一般的なポジ型感光性樹脂組成物の現像液を挙げることができる。具体的な現像液は、ポジ型感光性樹脂組成物の種類に応じて適宜選択される。
ブラック層は、現像後、必要に応じて洗浄処理がされる。また、ブラック層は、現像後に、必要に応じて熱処理が行われても良い。ブラック層中に含有される樹脂組成物を十分に反応させて硬化させることができるからである。熱処理温度は、例えば、100℃〜300℃の範囲内で行うことができ、熱処理時間は、例えば、10分〜1時間の範囲内であることが好ましい。ブラック層の熱処理は、例えば、オーブン、ヒーター等を用いて行うことができる。
(2)ブラック層
ブラック層は、視差バリア部材において、観察者側からの外光が高反射層の表面で反射することによる立体映像表示装置のコントラスト低下を抑制する機能を有する。
ブラック層は、高反射層と同一のパターンを有する。
「高反射層およびブラック層が同一のパターンを有する」とは、ブラック層のパターンと、高反射層のパターンとの平面視上の形状および位置が一致することをいう。
「ブラック層のパターンと、高反射層のパターンとの平面視上の形状および位置が一致する」とは、視差バリア部材の表面に対して垂直な断面における、高反射層の幅とブラック層の幅との差の絶対値が、5.0μmよりも小さいことをいい、3.0μm以下であることがより好ましく、1.0μm以下であることが特に好ましい。本発明においては、高反射層の幅とブラック層の幅との差が0であることが特に好ましい。
なお、高反射層の幅とブラック層の幅との差とは、例えば、図7(b)および図8(a)に示されるように、高反射層2の端部とブラック層3の端部との間の距離x1をいい、両端にx1を有する場合は、各x1が上述した数値範囲となることをいう。
ブラック層が、高反射層上に直に形成されている場合、すなわち、高反射層およびブラック層が、直接、密着して形成されている場合は、高反射層のブラック層側の面の平面視上の形状および位置と、ブラック層の高反射層側の面の平面視上の形状および位置とが一致していることが好ましい。なお、高反射層のブラック層側の面とは、例えば、図8(b)に示されるように、高反射層2の2つの表面s1およびs2のうち、ブラック層3側に位置する表面s2をいう。図8(b)中、s1は高反射層2の透明基材1側の面を示す。また、ブラック層の高反射層側の面とは、例えば、図8(b)に示されるように、ブラック層3の2つの表面s3およびs4のうち、高反射層2側に位置する表面s3をいう。図8(b)中、s4はブラック層3の観察者側の面を示す。
ブラック層のパターンについては、上述した「A.準備工程 (1)パターン基材 (b)高反射層」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
ブラック層の厚みは、立体映像表示装置の用途に応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、例えば、0.5μm〜3μmの範囲内であることが好ましい。
ブラック層の反射率は、通常、高反射層の反射率よりも低い。ブラック層の反射率は、例えば、20%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましく、10%以下であることが特に好ましい。
ブラック層の反射率の測定方法は、上述した「1.準備工程 (1)パターン基材 (b)高反射層」の項に記載した測定方法と同様とすることができる。
ブラック層および高反射層の積層体のOD値(光学濃度)としては、例えば、2以上であることが好ましく、4以上であることが好ましい。上記光学濃度は、例えば、分光測色計により測色し、分光のY値から光学濃度を算出することができる。分光測色計としては、OLYMPUS(株)製、分光測色計を用いることができる。
5.その他の工程
本発明の視差バリア部材の製造方法は、準備工程、塗布工程、露光工程、および現像工程を有していれば特に限定されず、必要な構成をさらに含有していても良い。例えば、透明基材、高反射層およびブラック層を覆うようにオーバーコート層を形成するオーバーコート層を形成する工程を有していても良い。
6.視差バリア部材
本発明の製造方法により得られる視差バリア部材の詳細については、後述する「B.視差バリア部材」の項で説明する。本発明の製造方法により得られる視差バリア部材においては、ブラック層は透明基材上に形成されていれば良く、例えば、透明基材の高反射層上に形成されていても良く、透明基材の高反射層の形成面側とは反対側に形成されていても良い。
B.視差バリア部材
本発明の視差バリア部材は、立体映像表示装置に用いられる視差バリア部材であって、透明基材と、上記透明基材上にパターン状に形成され、金属を含む高反射層と、上記透明基材の上記高反射層上にパターン状に形成され、遮光材料およびポジ型感光性樹脂組成物の硬化物を含むブラック層と、を備え、上記高反射層と上記ブラック層とが同一のパターンを有することを特徴とする。
本発明の視差バリア部材について図を用いて説明する。図4は本発明の視差バリア部材の一例を示す概略平面図および概略断面図である。図4の詳細については、上述した「A.視差バリア部材の製造方法」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
本発明によれば、ブラック層が、ポジ型感光性樹脂組成物の硬化物を含むことにより、上述した「A.視差バリア部材の製造方法」の項で説明した製造方法を用いて、視差バリア部材を製造することができる。よって、高反射層およびブラック層が位置精度高く形成された視差バリア部材とすることができる。
本発明の視差バリア部材における各構成については、上述した「A.視差バリア部材の製造方法」の項で説明した内容と同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。本発明においては、上記高反射層上に直に上記ブラック層が形成されていることが好ましい。また、この場合、上記高反射層の上記ブラック層側の面の形状および位置と、上記ブラック層の上記高反射層側の面の形状および位置とが、一致していることが好ましい。
本発明の視差バリア部材は、立体映像表示装置に用いられる。そのため、本発明においては、バックライトと、上記視差バリア部材と、透過型表示素子とを備える立体映像表示装置を提供することもできる。本発明の視差バリア部材は、通常、バックライトと透過型表示素子との間に配置されて用いられる。また、視差バリア部材のガラス基材側がバックライトと対向し、視差バリア部材のブラック層側が透過型表示素子と対向するように配置される。
透過型表示素子としては、例えば、透過型液晶表示素子を挙げることができる。また、バックライトとしては、一般的な透過型液晶表示装置に用いられるものを挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例および比較例を用いて、本発明についてより詳細に説明する。
[実施例]
ガラス基材を準備した。次に、スパッタリング法を用いて、ガラス基材上に密着層としてIZO層(厚み:5nm)、高反射層としてAg層(純度:99.9%、厚み:300nm)、保護層としてIZO層(厚み:10nm)を形成した。その上にポジ型感光性樹脂組成物を用いて、高反射層上にストライプ状にレジストを形成した。次に、燐酸、硝酸、酢酸、水を4:1:4:4の割合で配合してなる燐硝酢酸(水)をエッチング液として用いて、保護層、高反射層および密着層を一括でエッチングした。その上にカーボンブラックを含むポジ型感光性樹脂組成物(ブラック組成物)を塗布し、ガラス基材側から露光し、現像することにより、ブラック層を保護層、高反射層、密着層と同一のストライプ状に形成した。このようにして評価用基材を準備した。構造物の断面形状は図7(b)と同一形状となる。
[比較例]
エッチングまでは実施例と同様とした。ブラック組成物の感光性樹脂組成物をネガ型感光性樹脂組成物に変更した。上記ブラック組成物を保護層上に塗布して、ブラック組成物層を形成し、ブラック組成物層側よりフォトマスクを用いて露光、現像することによりブラック層を保護層、高反射層、密着層と同一のストライプ形状に形成した。この時、露光時にアライメントを合わせ、高反射層パターンとブラック層がなるべく同位置となるよう位置を合わせた。構造物の断面形状は図7(b)と同一形状となる。
[評価]
(位置精度評価)
実施例、比較例について、図7(b)における高反射層2の端部とブラック層3の端部との間の距離x1を比較した結果を表1に示す。表1中の、「+」は、ブラック層に比べて高反射層が大きいことを示し、「−」は、ブラック層に比べて高反射層が小さいことを示す。
比較例と比較して、実施例のx1距離(Range)が小さく、精度良くパターニングできたことが確認された。
Figure 2017187578
1 …透明基材
2 …高反射層
3 …ブラック層
3X …ブラック組成物層
4 …オーバーコート層
10 …視差バリア部材
10a …パターン基材
L …露光光

Claims (3)

  1. 立体映像表示装置に用いられる視差バリア部材の製造方法であって、
    透明基材と、前記透明基材上にパターン状に形成され金属を含む高反射層と、を有するパターン基材を準備する準備工程と、
    前記パターン基材上に、遮光材料およびポジ型感光性樹脂組成物を含むブラック組成物を塗布してブラック組成物層を形成する塗布工程と、
    前記透明基材の前記ブラック組成物層の形成面側とは反対側から、露光光を照射することにより、前記高反射層を用いて前記ブラック組成物層をパターン状に露光する露光工程と、
    パターン状に露光された前記ブラック組成物層を現像することにより、前記高反射層と同一のパターンを有するブラック層を形成する現像工程と、
    を有することを特徴とする視差バリア部材の製造方法。
  2. 前記塗布工程では、前記透明基材の前記高反射層上に前記ブラック組成物層を形成することを特徴とする請求項1に記載の視差バリア部材の製造方法。
  3. 立体映像表示装置に用いられる視差バリア部材であって、
    透明基材と、
    前記透明基材上にパターン状に形成され、金属を含む高反射層と、
    前記透明基材の前記高反射層上にパターン状に形成され、遮光材料およびポジ型感光性樹脂組成物の硬化物を含むブラック層と、を備え、
    前記高反射層と前記ブラック層とが同一のパターンを有することを特徴とする視差バリア部材。
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