JP2017187318A - ピンチバルブを使用した希釈混合装置 - Google Patents

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【課題】液体以外の様々な形態の試料(検体)も取り扱うことができ、更に希釈混合ライン内に機械要素がなく、メンテナンスが容易な希釈混合装置を提供することを目的とする。【解決手段】軟質チューブを挟み込んだ、少なくとも2つ以上のピンチバルブと、液流の成分を分析する分析機器と、検体負荷部が液連通状態で接続された構成であり、最上流のピンチバルブの前後に溶液を一方向に制限する逆止弁を配した構造を有する検体希釈混合装置。【選択図】 図1

Description

本発明は試料(検体)の希釈混合装置に関する。特に本発明は、液体クロマトグラフ装置等の分析装置に導入するための試料(希釈検体)を調製する、試料(検体)の希釈混合装置に関する。
血液や尿のような生体試料中に含まれる成分を分離分析する場合、液体クロマトグラフ装置(図1)を使用することが多々ある。しかしながら、これら生体試料は多種多様な成分を含む一方、分離分析しようとする成分(目的成分)の量はごく僅かな場合が多い。そのため生体試料を直接液体クロマトグラフ装置に備えた分析カラムに導入すると、当該分析カラムにダメージを与えたり、目的成分の分離分析を妨害することが多い。したがって、液体クロマトグラフ装置を用いて生体試料中の目的成分の分離分析を行なう場合、通常は生体試料を希釈してから液体クロマトグラフ装置に導入することが多い。また、生体試料が血液であり、血球中の目的成分を分離分析する場合は、液体クロマトグラフ装置に導入する前に溶血剤や溶血液により溶血させる必要がある。
生体試料を自動で希釈する方法や、血液試料に溶血剤を添加する方法については、これまで多く商品化または開示されている。その一例として、シリンジポンプおよびニードルを備えた分注手段を用いて、少量の空気、所定量の希釈液、少量の空気、所定量の試料液の順にニードルに吸引したのち希釈容器に吐出分注し、続いて前記希釈容器内でニードルによる吸引/吐出で撹拌することにより希釈試料を調製する方法がある(特許文献1)。別の例としては、一定量の液体を保持可能な検体負荷ポートに希釈液を事前に溜めておき、分注手段により液体試料(検体)を前記ポートに排出し撹拌することで希釈試料を調製する方法がある(特許文献2および3)。なお、前述の方法で希釈された検体は、シリンジなどの分注手段を用いて分析カラムに導入される。その他の方法としては、液体試料(検体)と希釈液とを配管内に混在させ、自然拡散によるオンラインで希釈を行なう方法も開示されている(特許文献4)。
しかしながら、前述したいずれの方法も、試料(検体)は採血管や試料カップ等に収容された液体状態であり、他の様態の検体を取り扱うことは困難である。また、前述した方法で用いる手段(ユニット)は高価なシリンジユニット等で構成されるため、動作も複雑であり、価格も高価になりがちである。
その問題を解決するため、1つの電磁式のダイアフラムポンプおよび1つ以上の電磁式ダイアフラム機構の組み合わせを希釈動作の駆動源とし、検体投入口(検体負荷ポート)から、様々な形態の検体を負荷し、オンラインで希釈混合が可能で、かつ構造が簡単で廉価な希釈混合装置も提案されている(特許文献5、6、図2参照)。
しかしながら、いずれの希釈混合機構も、希釈液や検体は複数の機械要素内を流れる構造であり、故障頻度が高く、メンテナンスや汚染時の流路交換が面倒である欠点があった。
特開2011−013045号公報 特開2002−031626号公報 特開平9−178719号公報 特開2001−343371号公報 特開2012−247224 検体希釈装置 特開2013−040879 希釈装置を備えた分析装置
前述の電磁式ダイアフラムポンプと複数の電磁式ダイアフラム機構と検体負荷ポートを組み合わせたオンライン式の検体希釈混合機構は、液体試料や他の態様(例えば生体試料を濾紙片に吸収させた態様)の検体を取り扱うことも可能であり、前記の希釈混合機構に比べると構成も簡素であり十分に使用に耐えうるものであるが、本発明は、液体以外の様々な形態の試料(検体)も取り扱うことができ、更に希釈混合ライン内に機械要素がなく、メンテナンスが容易な希釈混合装置を提供することを目的とする。
希釈混合機構は希釈液送液部と希釈部で構成される。前者の希釈液送液機構は希釈液を希釈部方向に送る送液部と、希釈液を往復動作させるダイアフラム部で構成される。特許文献5および6では、送液部は電磁式のダイアフラムポンプやカム駆動のダイアフラムポンプ、ダイアフラム部は電磁式もののが使用されている。
本発明では、流体を制御するのに一般的に使用されるピンチバルブを主の構成要素とすることで、構造をより簡素化することができる。ピンチバルブは、ピストンのON/OFFにより、軟質チューブ8内の流体の開閉を行うものであり、多くの理化学機器、化学/食品等の製造ラインで用いられている(図3参照)。
基本的な構造は、直線駆動可能なピストンと、前記ピストンの駆動源と押さえ板11で構成される。軟質チューブ8は押さえ板11とピストン間に配置され、ピストンの動作により軟質チューブ8が開放、閉塞されるものである。
流体はポンプ等の機械要素内を流れることはなく、全て軟質チューブ8内を流れるため、機械要素のトラブルを引き起こすことが少なく、汚染も生じにくい。また、流路内が汚染されたりした場合は軟質チューブ8のみを交換すれば良く、メンテナンス性が格段に上昇する。
図3は理化学機器等で多用される、ピストン12の駆動源に電磁力を使用したものである。電磁力を負荷/解除することでピストン12をON/OFFさせるものである。図aはノーマルクローズ(NC)と称されるもので、電圧の供給がない場合にピストン12が押し出され、軟質チューブ8が閉塞し、流体13の流れを止め、電圧が供給された場合にピストン12が引っ込み、軟質チューブ8が開放、流体13の流れが可能となる形式である。図bはノーマルオープン(NO)と称されるもので、電圧の供給がない場合にピストン12が引っ込み、軟質チューブ8が開放され、流体13の流れが可能となり、電圧が供給された場合にピストン12が押し出され、軟質チューブ8が閉塞し、流体13の流れが止まる形式である。図4は製造ライン等で使用されることが多い、ピストン12の駆動源に圧縮空気56を使用したものである。動作原理は前記の電磁式と同様である。
ピンチバルブは、軟質チューブ8を変形させて開閉動作を行うため、開状態と閉状態では軟質チューブ8の容積が変化する。
図5は、軟質チューブ8を断面がかまぼこ型のピストン12と平面の押さえ板11で挟み込む方式での動作状態を示した図である。ピストン中心から一定の距離のチューブ体積は、ピストン12が引っ込んだ状態での軟質チューブ8の容量(VOPEN)と、ピストン12が押し出された状態での軟質チューブ8の容量(VCLOSE)では、ピストン12の形状相応の容量(VDELEV)分だけ、後者の方が少なくなる。そのため、軟質チューブ8に流体を封入していた場合、ピストン12のON/OFFにより、内部の流体はVDELEVの分、チューブ内を移動することになる。
分かり易くするために、図6のように、軟質チューブ8が一定の領域で完全に閉塞されるモデルケースで説明する。外径5mm、内径3mmの軟質チューブ8に流体を50mm入れ、前記軟質チューブ8の10mm部がピストン12によって、閉塞/開放する例である。
この場合、軟質チューブ8が開放された時の容量(VOPEN)、閉塞された時の容量(VCLOSE)は下記のようになる。
Figure 2017187318
Figure 2017187318
軟質チューブ8の変形容量(Vdeliv)は、両者の差となる。
Figure 2017187318
イクロリッタに相当する液量が、ピストンから外側の方向に押し出されることになる。移 軟質チューブ8の両端が開放状態の場合、ピストンを押し出すことにより、84.6マ動距離に換算すると、チューブの両端が6mm移動することになる(84.6uL/(1.5mm)

2/PI/2)。
このように、軟質チューブ8の両端が開放状態の場合、ピストンのON/OFFを繰り返すことで、軟質チューブ8の両端の液面が移動を繰り返すことになる(図7a参照)。
軟質チューブ8の一端が開放、他方が閉塞の場合、ピストンを押し出すことにより、84.6マイクロリッタに相当する液量が、開放側に押し出されることになる。移動距離に換算すると、チューブの一端が12mm液面が移動することになる(84.6uL/(1.5mm)2/PI)。
このように、軟質チューブ8の一端が開放状態の場合、ピストンのON/OFFを繰り返すことで、軟質チューブ8の一端の液面だけが移動を繰り返すことになる(図7b参照)。
次にピンチバルブのピストン12を挟んで、上流および下流側に、流れを一方向に制限する逆止弁16、17を軟質チューブ8に取り付けた場合について説明する。前述と同様に、ピンチバルブのピストンから一定の距離のチューブ体積は、ピストンが引っ込んだ状態での軟質チューブ8の容量(VOPEN)と、ピストン12が押し出された状態での軟質チューブ8の容量(VCLOSE)では、ピストン12の形状相応の容量(VDELEV)分だけ、後者の方が少なくなる。
ピストン12が押し出された状態では、上流側逆止弁16と下流側逆止弁17間のチューブ容量が減少することから、逆止弁間が加圧状態となり、上流側の逆止弁16が閉塞し、下流側の逆止弁17が開放となり、下流側に容量が減少した分だけ押し出される。ピストンが引っ込んだ状態では、上流側逆止弁16と下流側逆止弁17間のチューブ容量が増加(元に戻る)することから、逆止弁間の陰圧状態となり、下流側の逆止弁18が閉塞し、上流側の逆止弁17が開放となり、上流側から容量が減少した分だけ流体が供給される。
つまり、ピストンのON/OFFにより、上流側から下流側に溶液が一定量移動することになる。軟質チューブ8の上流に希釈液等の溶液をセットし、ピンチバルブをある一定の周期でON/OFFさせることで、ダイアフラムポンプと同様に送液機能を持たすことができる(図8参照)。
送液の量は、理論上、ピストンが押し当てられる軟質チューブ8が変形する容量と、ピストンのON/OFFの周期により決定される。
Figure 2017187318
Figure 2017187318
分かり易くするために、軟質チューブ8が一定の領域で完全に閉塞されるモデルケースで説明する。外径5mm内径3mmの軟質チューブ8を50mm使用し、その両端に逆止
弁を配し、前記軟質チューブ8の10mm部がピストンによって、閉塞/開放を繰り返す例である(図6参照)。
この場合、軟質チューブ8が開放された時の容量(VOPEN)、閉塞された時の容量(VCLOSE)は下記のようになる。
Figure 2017187318
Figure 2017187318
軟質チューブ8の変形容量(Vdeliv)は、両者の差となる。
Figure 2017187318
38マイクロリッタの流量が得られることとなる。
ピストンの周期を1秒(ON:1sec、OFF:1sec)とした場合、理論上、毎分2538マイクロリッタの流量が得られることとなる。
Figure 2017187318
分析機器49と、検体負荷部30が液連通状態で接続された構成であり、上流側のピンチ 本発明は、軟質チューブ8を挟み込んだ、少なくとも2つ以上のピンチバルブ15と、バルブの前後に溶液を一方向に制限する逆止弁16、17を配した構造を有する検体希釈
混合装置である。
軟質チューブ8の最上流側に希釈液等の溶液8をセットし、前記検体負荷部30から検体31を負荷し、前記2つ以上のピンチバルブ15を一定の規則に従いON/OFF動作を行うことで、下流側ピンチバルブ〜分析機器〜検体負荷部の間で液流を生じさせ希釈混合を行わせるものである。
前記ピンチバルブ15は、その駆動方式を限定するものではなく、電磁式や空圧式など何れの方式での同様な効果が得られるが、より小型化が可能な電磁式を用いることが好適である。
前記分析機器49は、紫外可視検出器に代表される液流中で測定が可能な分析機器であれば良く、分析機器を制限するものではない。希釈混合混合ポート30は、溶液を一定量保持できる希釈混合空間を有し、下面に溶液の入口/出口、上面が開放状態の形状であり、下面から流入した溶液は、前記希釈混合空間を通り、開放された上面からこぼれ落ちる構造を有していればよく、その形状/大きさを限定するものではない。
前記複数のピンチバルブ、分析機器希釈部の物理的配置は、目的に応じて決定すれば良いが、軟質チューブ8内に気泡等が発生した場合の液抜けを考慮すると垂直方向に配置することがより望ましい。
第一の形態として、検出部に紫外可視検出器に代表される液流中で測定が可能な分析機器を用い、希釈混合機構として、送液用ピンチバルブ(35)1個、希釈混合動作用ピンチバルブ(36a、36b)2個を使用し、送液用ピンチバルブ35に電磁式NCタイプ、希釈混合動作用ピンチバルブA(36a)および希釈混合動作用ピンチバルブB(36b)に電磁式NCタイプを用い、希釈混合動作を行い希釈後の検体を分析機器で測定する場合である(図11、12参照)。図中のON/OFFの表記は、ピンチバルブへの電圧の負荷の状態を示している。
以下に、動作を説明する。
Step_0:初期状態。送液用ピンチバルブ35が閉状態、希釈混合動作用ピンチバルブA(36a)が開状態、、希釈混合動作用ピンチバルブB(36b)が開状態を初期状態とする。
Step_1:洗浄工程。送液用ピンチバルブ(35)を一定周期で開閉を繰り返し、希釈/洗浄液を下流側に送液する。これにより希釈/洗浄液は分析機器を通過し、検体負荷ポートからオーバーフローさせ、流路/検体負荷ポート内を洗浄する。
Step_2:排出工程A。一定時間後、送液用ピンチバルブを閉の状態で停止させる。希釈混合動作用ピンチバルブA(36a)を閉とする。これにより、軟質チューブ8の容量減少分だけ、検体負荷ポー30トから希釈/洗浄液が排出される。
Step_3:排出工程B。希釈混合動作用ピンチバルブB(36b)を閉とする。これにより、軟質チューブ8の容量減少分だけ、検体負荷ポート30から希釈/洗浄液が排出される。
Step_4:吸引工程B。希釈混合動作用ピンチバルブB(36b)を開とする。これにより、軟質チューブ8の容量増加分だけ、検体負荷ポートから希釈/洗浄液が吸引される。
Step_5:吸引工程A。希釈混合動作用ピンチバルブA(36a)を開とする。これにより、軟質チューブ8の容量増加分だけ、検体負荷ポート30から希釈/洗浄液が吸引される。
Step_6:検体負荷工程。検体負荷ポートに検体を負荷する。
Step_7:希釈混合工程。希釈混合動作用ピンチバルブB(36b)を一定周期で開閉を繰り返す。これにより、下流側で希釈/洗浄液が往復動作を繰り返すことにより、下流域配管〜検体負荷ポート間で希釈/洗浄液と検体の混合が生じ、希釈混合が進行することになる。
Step_8:分析工程。一定時間希釈混合動作を繰り返した後、分析機器を測定状態とする。測定終了後、洗浄工程(Step_1)を実施し、流路および検体負荷ポート内を洗浄する。
第二の形態として、第一の形態の分析機器の上流あるいは下流に反応器53を設け反応装置として用いる場合である(図13参照)。この場合、溶液として反応液を用いることになる。負荷された検体は、検体負荷ポート30〜反応器52〜分析機器49(あるいは、検体負荷ポート30〜分析機器49〜反応器53)間を往復移動する間に反応が進行し、最終的に分析機器で測定が行われる。Step7の希釈混合工程での希釈混合用ピンチバルブB(36b)のON/OFF動作は、一定周期でも良いが、途中に停止時間を設け反応時間を長くするなどの制御を行っても良い。
第三の形態として、前記希釈混合ラインに切り替えバルブなどのサンプリング機構51を設け、希釈混合された溶液を移送手段により他の分析機器に導入し測定する場合である(図14参照)。図15は分析機器に液体クロマトグラフィーに用いた場合の機器構成を示したものである。液体クロマトグラフィーでよく用いられる、6方2位置切り替えバルブ3を前記サンプリング機構51とすることで、希釈混合された検体を分析カラムに挿入することができ、オンライン検体希釈装置を備えた液体クロマトグラフを構築することが可能となる。
本目的で6方2位置バルブを希釈検体の注入バルブに使用する場合は、試料注入バルブのポートbに分析用の溶離液を送液するポンプ2、ポートaに分析用カラム5、ポートc、f間に一定量検体を保持できるサンプルループ4を接続し、ポートdとeを最下流側のピンチバルブ36bと検体負荷部30の間に接続する。
図16、17に、本発明の希釈混合機構を液体クロマトグラフィに接続した場合のシーケンスを示す、
試料注入バルブ3をLOAD位置(試料計量ループが分析カラムから切り離された状態)で、前記のStep_0〜Step_8までの工程を実施する。これにより、最下流のピンチバルブ36b〜試料計量ループ4〜検体負荷部30が液連通状態で、希釈が進行する。最終的に希釈された検体は、試料計量ループ内4に留まることになる。
希釈動作終了後、Step_9 分析工程を実施する。この場合、試料注入バルブ3をLoadからInjection位置に切り替える。これにより、試料計量ループ4内の希釈検体が溶離液により押し流されカラム5に導入され、分離が行われる。
本説明では希釈混合動作用ピンチバルブを2個用いているが、1個であっても同様な効果が得られる。この場合、Step_2 排出工程AおよびStep_4 排出工程B、を省略したシーケンスとなる。希釈混合動作用ピンチバルブが1個の場合、希釈混合希釈混合工程の吐出時の液面が、検体負荷ポートの上面と一致することから、希釈混合動作中に液が検体負荷ポートから溢れることがあり、精度が得難い傾向がある。
希釈混合用ピンチバルブを2個用いた場合、ダイアフラム希釈混合希釈工程の吐出時の液面が、検体負荷ポートの上面から一定量下がることから、希釈混合動作中に検体負荷ポートから液が溢れることはなく、希釈混合の精度が得やすく、より好適である。
本発明で使用される逆止弁は、低圧で作動するものであれば良く、その形状、形式を限定するものではないが、樹脂製逆止弁が適している。樹脂製の逆止弁はダックビル型やアンブレラ型などがあるが、ダックビル型が好適である(図9参照)。軟質チューブ8はシリコン系、塩化ビニル系など多種あるが、ピンチバルブによりチューブが閉塞/開放される特性を有していれば良く、その材質を限定するものではないが、使用する溶液に対して耐性があることが絶対の条件である。
軟質チューブ8は物理的配置が許す範囲で、可能な限り短い方が好適である。
軟質チューブ8の変形容量(VDELIV)は、チューブの長さには関係ないが、開放された時の容量(VOPEN)に対する軟質チューブ8の変形容量(VDELIV)に比率は長さにより変化する。この比率が大きい場合、液体の圧縮率の影響を受けやすくなり、実送液量の低下が生じやすくなる為である。
本発明の希釈混合装置は、液体以外の様々な形態の試料(検体)も取り扱うことができ、更に希釈混合ライン内に機械要素がなく、メンテナンスが容易な希釈混合装置を提供することが可能である。
一般的な液体クロマトグラフ装置の流路系を示した図である。 特許文献5、6で開示された、電磁式ダイアフラムポンプ、電磁式ダイアフラム機構を使用した、ポンプオン式の希釈混合機構の構成を示した図である。 一般的な電磁式ピンチバルブの原理を示した模式図である。図aはNCタイプ、図bはNCタイプを示している。 空圧式のピンチバルブの原理を示した模式図である。 ピンチバルブの動作による体積変化を示した図である。 ピンチバルブの動作による体積変化をモデル化して示した図である。 ピンチバルブを動作させた場合の流体の流れを示した図である。図aは軟質パイプ両端が開放状態、b軟質パイプ一端が閉塞状態の場合を示している。 ピンチバルブに逆止弁を組み込んだ場合の流体の流れを示した図である。 本発明に用いられる樹脂製逆止弁の一例を示した図である。 本発明のピンチバルブを用いた希釈混合機構の構成の第一の例を示した図である。 本発明のピンチバルブを用いた希釈混合機構の、第一の形態の動作の一例を示した図である。 本発明のピンチバルブを用いた希釈混合機構の、第一の形態の動作の一例を示した図である。 本発明のピンチバルブを用いた希釈混合機構の、第二の形態の動作を示した図である。 本発明のピンチバルブを用いた希釈混合機構の、第三の形態の動作を示した図である。 本発明のピンチバルブを用いた希釈混合機構を液体クロマトグラフィに適用した場合の構成を示した図である。 本発明のピンチバルブを用いた希釈混合機構を液体クロマトグラフィに適用した場合の動作を示した図である。 本発明のピンチバルブを用いた希釈混合機構を液体クロマトグラフィに適用した場合の動作を示した図である。 本発明の効果を検証するために行った実施例1で使用したシステム構成および流路図である。 実施例1での結果を示した図である。横軸はピストンのON/OFF周期の逆数、縦軸は得られた実流量である。 実施例1での結果を示した図である。図aは負荷がない状態での流量変動、図bは内径0.25mm、長さ2mの抵抗管を接続した状態での流量変動を示している。 本発明の効果を検証するために行った実施例2で使用したシステム構成および流路図である。 実施例2での動作を示した図である。 実施例2での結果を示した図である。図aは希釈混合動作による検出器の信号変化、図bは希釈率を算出するための検量線を示している。 本発明の効果を検証するために行った実施例3で使用したシステム構成および流路図である。 実施例3での動作を示した図である。 実施例3での、希釈回数に対する検出器信号の変化を示した図である。 実施例3での結果を示した図である。図aは希釈回数に対するピーク面積の変化、図bは希釈率を算出するための検量線を示している。
本発明を以下の実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
本発明の希釈混合機構の第一の要素である希釈液送液機構の性能検証を実施した。
最上流部のピンチバルブとその前後に逆止弁を配し、本構成での送液性能について以下のように検証した。
図18に使用した装置構成を示す。ピンチバルブは高砂電気工業製PK0305−NO(DC24V、ノーマルオープン)、軟質チューブ8としてTygon(内径3mm,外径5mm、長さ5cm)、逆止弁18はSURPASS INDUSTRT CO.,LTD製Mini Check Valve(MFP-3-E)を使用した。ピンチバルブはオムロン製電源制御タイマHCX(41)を使用して周期的に24V電源をON/OFFできるようにした。
流量は重量法により連続測定を行った。電子天秤37から5秒毎に重量を演算装置44に送信し、5分間の重量の増加分から流量を算出して検証に用いた。溶液としては純水を使用した。
負荷による流量変化を確認するため、図18中のA−B間に内径0.25mm外径1/16インチ、長さ2mのSUS配管をスプリング状にしたものを挿入し故意に負荷を上げた場合と、A−B間を直接接続した場合で測定を行った。
図19は横軸にピストンのON/OFF周期(秒)の逆数、縦軸に得られた実流量を示した図である。凡例黒丸は負荷がない状態、凡例黒三角は内径0.25mm、長さ2mの抵抗管を接続した状態での関係を示している。また、図20はその際の流量変動を示した図である。横軸は経過時間、縦軸は実流量(uL/min)である。このように、ピストンのON/OFF周期を早くすると流量が増加し、周期を長くすると流量が減少していく。
無負荷の状態では、ピストンのON/OFF周期を0.1秒まで高速にすることで毎分2495マイクロリッタまで送液することが可能である。また、周期が5秒から0.1秒までの間では、周期の逆数と実流量は直線関係が成立している。流量の安定性も優れている。式2から本ほぼケースでの軟質チューブ8の閉塞/開放による容量変化量は下記の通り計算される(サイクル:1秒自の値から算出)。
Figure 2017187318
1秒までの間では、良好な直線性がみられるが、それ以上高速でON/OFFを行っても 次に、内径0.25mm、長さ2mの抵抗管の負荷を付けた状態では、周期が5秒から流量の増加はかなり鈍化する傾向がある。周期を0.1秒で毎分319マイクロリッタの流量が得られている。無負荷の状態に比べると約1/9まで低下している。
これは、第一の要因として、圧縮/開放を行うチューブが軟質材であることから、負荷圧が高くなることで膨張し圧力損出が生じること、第二の要因として、液の流れを制御する逆止弁の漏れが生じていることが要因と考えられる。
同じピストンのON/OFFサイクルでも、負荷圧が高まるほど損出は大きくなり、実流量は低下する。これは、低圧用ポンプであるチューブポンプやダイアフラムポンプ等での生じる現象である。負荷が有る無しに関わらず、送液の安定性は良好で一定の流量を確保することが可能である。以上のことから、ピンチバルブのON/OFF周期を制御することで、流量を可変にでき、送液安定性も優れていることが分かる。
Figure 2017187318
(実施例2)
本発明の効果を検証するため、1つのピンチバルブを希釈液の送液用、2つのピンチバルブを希釈混合動作用に使用し、希釈混合動作の確認を行った。図21に使用した装置構成を示す。送液用のピンチバルブ35は高砂電気工業製PK0305−NC(DC24V、ノーマルクローズタイプ)、希釈混合動作用36として同じくPK0305−NO(DC24V、ノーマルオープンタイプ)、軟質チューブ8としてTygon(内径3mm,外径5mm、長さ5cm)、逆止弁はSURPASS INDUSTRT CO.,LTD製Mini Check Valve(MFP-3-E)を使用した。ピンチバルブはオムロン製電源制御タイマHCX(41)を使用して周期的に24V電源をON/OFFできるようにした。
検体負荷ポート30は、検体負荷部の断面が1.5×3mm□、深さが20mmの立方体の形状を有し、その外周にドレンポートを配した構造のものを用いた。
ピンチバルブからなる希釈混合装置と検体負荷ポート間に、フローセル42を備えた吸光度検出器を配し、希釈の過程を連続的に計測できるようにした。吸光度検出器として、紫外可視検出器(東ソー製UV−8020)を使用し620nmの波長でモニタを行った。
希釈液として純水、試料としてアリザリングリーン(和光純薬)0.5%水溶液を使用した。
図22は使用したシーケンスを示している。まず、
Step_1(S1):洗浄工程。送液用ピンチバルブを1秒周期でON/OFFを繰り返し、希釈液により系内および検体負荷部を洗浄する。洗浄後の希釈液はオーバーフローし、ドレンに排出される(3.5分間)。
Step_2(S2):排出工程A。希釈混合動作用ピンチバルブAを閉にし、一定量、検体負荷ポートから希釈/洗浄液が排出させる(3.7分)。
Step_3(S3):排出工程B。希釈混合動作用ピンチバルブBを閉にし、一定量、検体負荷ポートから希釈/洗浄液が排出させる(3.9分)。
Step_4(S4):吸引工程B。希釈混合動作用ピンチバルブBを開にし、一定量、検体負荷ポートから希釈/洗浄液が吸引させる(4.1分)。
Step_5(S5):吸引工程A。希釈混合動作用ピンチバルブAを開にし、一定量、検体負荷ポートから希釈/洗浄液が吸引させる(4.3分)。
Step_6(S6):検体負荷工程。検体負荷ポートに検体5マイクロリッタを負荷する(4.4分)。
Step_7(S7):希釈混合工程。希釈混合動作用ピンチバルブBを0.1分周期で5回開閉をし、その後、ピンチバルブAおよびBを一定周期で開閉を繰り返し、希釈を進行させる(4.5分以降)。この時点から検出器のデータ収集を開始した。これにより、吸光度の増減により希釈の進行を観測した(図23a)。
Step_7の開始から1分程度から吸光度が増加し始め、検出部に負荷された検体の一部が到達していることがわかる。それ以降、希釈の進行(希釈混合動作用ピンチバルブの動作回数)に伴い、吸光度は一定の幅を持って増加していき、20分以降はほぼ一定の吸光度を示すようになる。つまり、約20分で希釈が完全に終了していることを意味している。図23bは、用いた検体(0.5%アリザリングリーン)を要手法により100〜1000倍に希釈し吸光度を測定し、検量線を描いた図である(X軸は希釈倍率の逆数、近似式y=77696x)。図23aで吸光度が平衡希になった値から本検量線により希釈倍率を算出すると160倍(1/0.0063)と算出される。つまり、本条件により希釈操作を行わせると、160倍の希釈が行われることになる。
(実施例3)
本発明の効果を検証するため、希釈動作用ピンチバルブと検体負荷部の間にサンプリング機構を挿入し、希釈操作で得られた希釈検体を液体クロマトグラフィの流路系に導入した場合の例を示す。希釈機構、検体負荷部に使用した機器は実施例2を同じである。
クロマトグラフィの構成は以下の通りである。溶離液送液用のポンプとして電磁式ダイアフラムポンプFMM20(KFF社製)を使用し、流量が毎分250マイクロリッタになるように調整し使用した。6方2位置切り替えバルブとしてソレノイド駆動式2ポジション6ポートバルブMTV-6SL-N32UF-1(高砂電気工業製)を使用した。検出器として紫外可視検出器(東ソー製UV−8020)を620nmの波長でモニタを行った。
今回はカラムを使用せず、試料注入バルブと検出器入口を接続し、検出器7出口に0.252mの抵抗管32を配して行った。
希釈液として純水、試料としてアリザリングリーン(和光純薬)0.5%水溶液を使用した。
図25は使用したシーケンスを示している。まず、
Step_1(S1):洗浄工程。送液用ピンチバルブを1秒周期でON/OFFを繰り返し、希釈液により系内および検体負荷部を洗浄する。洗浄後の希釈液はオーバーフローし、ドレンに排出される(1分間)。
Step_2(S2):排出工程A。希釈混合動作用ピンチバルブAを閉にし、一定量、検体負荷ポートから希釈/洗浄液を排出させる(1.1分)。
Step_3(S3):排出工程B。希釈混合動作用ピンチバルブBを閉にし、一定量、検体負荷ポートから希釈/洗浄液を排出させる(1.2分)。
Step_4(S4):吸引工程B。希釈混合動作用ピンチバルブBを開にし、一定量、検体負荷ポートから希釈/洗浄液を吸引させる(1.4分)。
Step_5(S5):吸引工程A。希釈混合動作用ピンチバルブAを開にし、一定量、検体負荷ポートから希釈/洗浄液を吸引させる(1.5分)。
Step_6(S6):検体負荷工程。検体負荷ポートに検体5マイクロリッタを負荷する(1.5。
Step_7(S7):希釈混合工程。希釈混合動作用ピンチバルブBを0.1分周期で5回開閉をし、その後、ピンチバルブAおよびBを一定周期で開閉を繰り返し、希釈を進行させる(1.7分以降)。Step_8(S8):分析工程。試料注入バルブをLoadからInjectionに切り替え、希釈された検体を液体クロマトグラフィの流路に導入し、希釈の度合いを検出器で観測した。
希釈の進行度合いを確認する目的で、Step_7(S7)の希釈回数(希釈混合動作用ピンチバルブの動作回数)を20回から49回まで変化させて行った(n=5)。図26はその際の検出器出力の変化、図26aに希釈回数に対するピーク面積をプロットした図である。
図27bは、用いた検体(0.5%アリザリングリーン)を要手法により100〜1000倍に希釈し吸光度を測定し、検量線を描いた図である(X軸は希釈倍率の逆数、近似式Y=-2*106X2+219240X)。
図23aの希釈進行のグラフから推定されるように、希釈回数が多くなるとピーク面積が高くなり、次第に平衡に達する挙動を示す。この場合希釈回数が約30回以上ではほぼ同じ希釈が行われていることになる。
図27aで吸光度が平衡になった値から本検量線により希釈倍率を算出すると90倍(1/0.0011)と算出される。つまり、本条件により希釈操作を行わせると、90倍の希釈が行われ、クロマトグラフィーに導入されるることになる。
従来の希釈混合機構は、ダイアフラムポンプやシリンジユニット等の機械要素を駆動源にしていることから、液漏れや詰まりといったトラブルが発生する頻度が高い欠点を有していたが、本発明では、ピンチバルブを希釈機構の駆動源に使用することで、希釈液や検体が機械要素内を一切通過することなく希釈混合装置を構築することが可能となった。
希釈液や検体は、軟質チューブ内を通過するため、液漏れや詰まりなどのトラブルの発生頻度を大幅に低減することが期待できる。また、トラブルが発生した場合は、従来は機械要素を分解/交換、流路の洗浄/交換等の面倒な作業を必要としたが、本発明では、ピンチバルブに挿入された軟質チューブを交換するだけでよく、作業を大幅に効率化できることが期待できる。
1.溶離液
2.送液ポンプ
3.試料注入バルブ
4.試料ループ
5.分析カラム
6.カラム恒温槽
7.検出器
8.軟質チューブ
9.電磁コイル
10.スプリング
11.抑え板
12.ピストン(磁性体)
13.流体
14.供給流体タンク
15.ピンチバルブ
16.入口側逆止弁
17.出口側逆止弁
18.ダルビック型逆止弁ユニット
19.ダルビック型逆止弁
20.逆止弁入口
21.逆止弁出口
22.受液容器
23.電磁式ダイアフラムポンプ
24.電磁式ダイアフラム機構A
25.電磁式ダイアフラム機構B
26.ダイアフラム
27.マニホールド
28.希釈混合部
29.希釈液送液部
30.検体負荷ポート
31.検体
32.抵抗管
33.電源制御機器
34.希釈液
35.ピンチバルブ(NCタイプ)
36.ピンチバルブ(NOタイプ)
37.電子天秤
38.容器
39.圧縮チャンバ
40.ダイアフラム
41.電源制御タイマ
42.フローセル
43.異型ジョイント
44.演算装置
45.ドレンポート
46.検体負荷部
47.DC電源
48.弁
49.分析機器(流通型)
50.分析機器(サンプリング型)
51.サンプリング機構
52.移送手段
53.反応器
54.反応液
55.溶液入口/出口
56.圧縮空気

Claims (4)

  1. 軟質チューブを挟み込んだ、少なくとも2つ以上のピンチバルブと、液流の成分を分析する分析機器と、検体負荷部が液連通状態で接続された構成であり、最上流のピンチバルブの前後に溶液を一方向に制限する逆止弁を配した構造を有する検体希釈混合装置。
  2. 軟質チューブの最上流側に希釈液等の溶液をセットし、前記検体負荷部から検体を負荷し、前記2つ以上のピンチバルブを一定の規則に従いON/OFF動作を行うことで、下流側ピンチバルブ〜分析機器〜検体負荷部の間で液流を生じさせ希釈混合を行う、請求項1の検体希釈装置。
  3. 前記分析機器が紫外可視検出器であることを特徴とする請求項1および2の検体希釈装置。
  4. 前記分析機器が液体クロマトグラフィであることを特徴とする請求項1および2の検体希釈装置。
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