JP2017185899A - インホイールモータ動力線の保護構造およびインホイールモータ駆動装置 - Google Patents

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将吾 岡本
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Abstract

【課題】インホイールモータ動力線を、車輪によって巻き上げられる異物から保護する技術を提供する。
【解決手段】本発明は車輪(T)と、車輪の内部に配置されて車輪を駆動するインホイールモータ駆動装置(10)と、一端および他端を有し一端が車輪よりも外径側で車体側メンバ(101)と連結し他端がインホイールモータ駆動装置と連結するサスペンション部材(76)と、サスペンション部材に設けられ車輪の外周面から間隔を空けて配置されるとともにスプリング(78)の端部を支持するスプリングシート(79c)と、インホイールモータ駆動装置からスプリングシートと車輪の外周面との間を経由して車体側メンバまで延びる動力線(93)と、動力線のうちスプリングシートと車輪の外周面との間に配置されるスプリングシート近傍部分(93s)を覆う動力線保護カバー(97)とを備える。
【選択図】図13

Description

本発明は、インホイールモータ駆動装置から車体まで延びて車体からインホイールモータ駆動装置に電力を供給する動力線に関する。
電動車両の車輪内部にインホイールモータを設け、該車輪をインホイールモータで駆動する技術が従来知られている。かかる電動車両では、車体にエンジンやモータを搭載する必要がなく、居室空間や荷室空間等、車体の内部空間を大きくすることができる点で有利である。電動車両の車体には、サスペンション装置を介して、インホイールモータが連結される。また車体には、インホイールモータの制御部、バッテリ、およびインバータが搭載される。そしてサスペンション装置のばね下(車輪側)に連結されるインホイールモータと、サスペンション装置のばね上(車体側)に搭載されるインバータとを動力線で接続する。インバータからインホイールモータに電力を供給する動力線としては従来、例えば、特許4628136号公報に記載のごときものが知られている。特許文献記載の動力線は、クランプ部材によってサスペンション装置のアッパアームに取り付けられ、あるいはクランプ部材によってインホイールモータに取り付けられる。
特許4628136号公報
特許文献には、インホイールモータから延びる動力線を、ホイールハウス下側の垂直な壁面まで配線することが記載されている。しかし、上記従来のような動力線配線にあっては、ホイールハウス壁面に開口孔を設けるため好ましくない。そこで特許文献には記載されないがインホイールモータから車輪を超えて上方へ延びるよう動力線を配線することが考えられる。
しかしインホイールモータから車輪を超えて上方へ延びるよう動力線を配線する態様にあっては、以下に説明するような問題を生ずる。つまり車輪が高速回転して走行する間、車輪は路面から小石等の異物を巻き上げる。一方で動力線の一部は車輪の上部近傍に配線される。このため小石等の異物が動力線に衝突して、動力線が損傷する虞がある。特に車輪の外周面、つまりタイヤトレッド、にはトレッドパターンが設けられており、小石等の異物がトレッドパターンに捕捉されて上方へ巻き上げられ、車輪上方の動力線に衝突する。
本発明は、上述の実情に鑑み、インホイールモータ動力線を、車輪によって巻き上げられる異物から保護する技術を提供することを目的とする。
この目的のため本発明によるインホイールモータ動力線の保護構造は、車輪と、車輪の内部に配置されて車輪を駆動するインホイールモータ駆動装置と、一端および他端を有し一端が車輪よりも外径側で車体側メンバと連結し他端がインホイールモータ駆動装置と連結するサスペンション部材と、サスペンション部材の一端側に設けられ、車輪の外周面から間隔を空けて配置されるとともにスプリングの端部を支持するスプリングシートと、インホイールモータ駆動装置からスプリングシートと車輪の外周面との間を経由して車体側メンバまで延びる動力線と、動力線のうちスプリングシートと車輪の外周面との間に配置されるスプリングシート近傍部分を覆う動力線保護カバーとを備える。
かかる本発明によれば、一方に配置される動力線のスプリングシート近傍部分と、他方に配置される車輪外周面との間に動力線保護カバーが配置され、該スプリングシート近傍部分は動力線保護カバーに覆われることにより保護される。したがって車輪外周面が小石等の異物を巻き上げることによって異物がスプリングシート近傍部分に向かって高速で飛来しても、異物はスプリングシート近傍部分に衝突しない。なお車体側メンバとは、説明される部材が車体に直接あるいは間接部材を介して連結される場合において、車体および間接部材をいう。
本発明の一実施形態としてサスペンション部材の他端領域は、車輪と対面する一側面と、一側面とは反対側に位置する他側面とを有し、動力線のうちインホイールモータ駆動装置と接続する一端部からスプリングシート近傍部分までの領域が、サスペンション部材の他側面に沿って配線される。かかる実施形態によれば動力線のうち、インホイールモータ駆動装置と接続する一端部からスプリングシート近傍部分までの領域が、車輪と対面しないサスペンション部材他側面に沿って配線されることから、車輪と上記領域との間にサスペンション部材を介在させることができ、車輪から飛来する異物が上記領域に衝突し難くすることができる。他の実施形態として、上記領域がサスペンション部材の上記一側面や、サスペンション部材の表面のうち車輪からみえる箇所に配線されてもよい。
本発明の好ましい実施形態として、サスペンション部材の他端領域のうち、一側面と他側面との境界には遮蔽壁が立設される。かかる実施形態によれば、車輪と対面する一側面と車輪と対面しない他側面との境界に遮蔽壁が立設されることから、車輪から飛来する異物が車輪近傍領域に一層衝突し難くすることができる。他の実施形態として遮蔽壁をサスペンション部材に設けなくてもよい。
本発明のさらに好ましい実施形態として、動力線保護カバーはスプリングシートに対応する形状の板状部分を含み、板状部分はスプリングシートの半分以上を覆う。かかる実施形態によれば、板状部分がスプリングシートの半分以上を覆うことから、板状部分およびスプリングシート間に配線されるスプリングシート近傍部分を確実に保護することができる。他の実施形態として、板状部分がスプリングシートの半分未満を覆うものであってもよい。
本発明の一実施形態として、動力線保護カバーは板状部分の縁に形成されるC字状の把持部分をさらに含み、把持部分はサスペンション部材の側面を抱えるよう該サスペンション部材に取付固定される。かかる実施形態によれば、サスペンション部材からスプリングシート近傍まで配線される動力線を動力線保護カバーによって確実に保護することができる。他の実施形態として、動力線保護カバーは他の部材に支持固定され、サスペンション部材から離隔してもよい。
本発明の一実施形態として、板状部分およびスプリングシートには、互いに係合する係合部および被係合部がそれぞれ設けられる。かかる実施形態によれば、板状部分およびスプリングシートが、互いに係合する係合部および被係合部をそれぞれ有することから、板状部分はスプリングシートに連結される。したがって仮に動力線から板状部分に過大な力が作用しても、板状部分が変形したり、あるいは板状部分が車輪のタイヤ外周面に接近したりすることがなく、板状部分およびスプリングシートが動力線を安定して支持することができる。他の実施形態として動力線保護カバーは、サスペンション部材や他の部材に片持ち支持されて、スプリングシートから離隔してもよい。
動力線保護カバーの表面には、動力線の移動を規制する凹凸が形成されてもよい。凹部および凸部の形状は特に限定されないが、本発明の一実施形態として、板状部分および/またはスプリングシートの表面には、動力線のスプリングシート近傍部分を表面に沿わせるように受け入れる溝が形成される。かかる実施形態によれば、上記表面に形成された溝が動力線のスプリングシート近傍部分を受け入れて、動力線を上記表面に安定して支持することができる。特に、上記表面が傾斜している場合に有益である。
本発明の一実施形態として、サスペンション部材は上下方向に延びるストラットであり、上端領域にダンパーを含み、スプリングはダンパーに沿って設けられ、上下方向に延び、スプリングシートはスプリングの下端を支持するロアスプリングシートである。かかる実施形態によれば、ショックアブソーバ付ストラットにおいて、動力線のスプリングシート近傍部分を好適に支持することができる。他の実施形態として本発明のサスペンション部材はトレーリングアームであってもよい。
本発明は、インホイールモータ動力線を含むインホイールモータ駆動装置としても成立可能である。すなわち本発明のインホイールモータ駆動装置は、車輪と結合する車輪ハブと、車輪ハブを駆動するモータ回転軸、外郭をなすケーシング、およびケーシングに設けられる動力線接続部を有するモータ部と、一端が動力線接続部と接続し、他端がケーシング外部の車体まで延び、当該車体からモータ部へ電力を供給する屈曲可能な動力線とを備え、車輪の外径側から内径側まで延びるサスペンション部材を介して車体に連結される。そして動力線の途中部分は、車輪の外径側でサスペンション部材に設けられるスプリングシートと、スプリングシートと重なるように配置されて車輪の外周面と対面する動力線保護カバーとの間を通すように配線される。
かかる本発明によれば、動力線の途中部分がスプリングシートと動力線保護カバーに覆われることにより保護される。したがって車輪外周面が小石等の異物を巻き上げることによって異物が動力線の該途中部分に向かって高速で飛来しても、異物は該途中部分に衝突しない。
このように本発明によれば、サスペンション部材に設けられるスプリングシートが車輪外周面の近傍に配置されるとともに、インホイールモータ動力線がスプリングシート近傍に配線される構造において、インホイールモータ動力線のスプリングシート近傍領域を、車輪によって巻き上げられる異物から保護することができる。したがってインホイールモータ動力線の寿命が長くなり、インホイールモータの信頼性が向上する。
参考例になるインホイールモータ動力線の配線構造を示す模式図であり、車幅方向内側からみた状態を表す。 参考例を示す模式図であり、車両前方からみた状態を表す。 参考例を示す模式図であり、車両上方からみた状態を表す。 インホイールモータ駆動装置を示す模式図であり、車幅方向外側からみた状態を表す。 インホイールモータ駆動装置を示す横断面図である。 インホイールモータ駆動装置を示す展開断面図である。 インホイールモータ駆動装置およびサスペンション装置を模式的に示す縦断面図である。 インホイールモータ駆動装置および動力線を示す模式図であり、車両後方からみた状態を表す。 インホイールモータ駆動装置および動力線を示す模式図であり、車両上方から転舵軸線方向にみた状態を表す。 インホイールモータ駆動装置から動力線およびスリーブを取り出して示す模式図であり、上方から転舵軸線方向にみた状態を表す。 インホイールモータ駆動装置から動力線およびスリーブを取り出して示す模式図であり、車幅方向にみた状態を表す。 本発明の実施形態になるインホイールモータ動力線の配線構造を示す模式図であり、車幅方向内側からみた状態を表す。 同実施形態を示す模式図であり、車両前方からみた状態を表す。 同実施形態を示す模式図であり、車両上方からみた状態を表す。 同実施形態から動力線保護カバーを取り出して示す図である。 同実施形態から動力線保護カバーを取り出して示す図である。 同実施形態から動力線保護カバーを取り出して示す図である。 変形例の動力線保護カバーを取り出して示す図である。 変形例の動力線保護カバーを取り出して示す図である。 比較例になるインホイールモータ動力線の配線構造を示す模式図であり、車両前方からみた状態を表す。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。本発明の実施形態を説明するに先立ち、基本となる参考例につき説明する。図1は、本発明の参考例になるインホイールモータ動力線の配線構造を示す模式図であり、車幅方向内側からみた状態を表す。図2は参考例を示す模式図であり、車両前方からみた状態を表す。図3は参考例を示す模式図であり、上方からみた状態を表す。参考例では、車体101(図2に車体の車幅方向外側部分のみ示す)の車幅方向外側に車輪ホイールW、インホイールモータ駆動装置10、およびサスペンション装置70が配置される。また車輪ホイールW、インホイールモータ駆動装置10、およびサスペンション装置70は車体101の車幅方向両側に左右対称に配置され、電動車両を構成する。
車輪ホイールWの外周には仮想線で示すタイヤTが嵌合する。車輪ホイールWおよびタイヤTは車輪を構成する。車輪ホイールWのリム部Wrは、車輪の内空領域を区画する。かかる内空領域にはインホイールモータ駆動装置10が配置される。インホイールモータ駆動装置10は車輪ホイールWと連結して車輪を駆動する。
サスペンション装置70はストラット式サスペンション装置であり車幅方向に延びるロアアーム71と、ロアアーム71よりも上方に配置されて上下方向に延びるストラット76を含む。ストラット76は車輪ホイールWおよびインホイールモータ駆動装置10よりも車幅方向内側に配置され、ストラット76の下端がインホイールモータ駆動装置10と結合し、ストラット76の上端が車輪ホイールWよりも上方で車体101と連結する。なおストラット76と、車輪ホイールWの上部と、インホイールモータ駆動装置10の上部は、車体101の車幅方向外側に形成されるホイールハウス102に収容される。
ストラット76は上端領域にショックアブソーバ77を内蔵して上下方向に伸縮可能なサスペンション部材である。ショックアブソーバ77の外周には仮想線で概略を示すコイルスプリング78が配置され、ストラット76に作用する上下方向の軸力を緩和する。ストラット76の上端部および中央部には、コイルスプリング78の上端および下端を挟んで保持する1対のコイルスプリングシート79b,79cが設けられる。ショックアブソーバ77の内部にはストラット76に作用する軸力を減衰させるダンパーが設けられる。
ロアアーム71は、インホイールモータ駆動装置10の軸線Oよりも下方に配置されるサスペンション部材であって、車幅方向外側端72および車幅方向内側端73d,73fを含む。ロアアーム71は、車幅方向外側端72で、ボールジョイント60を介してインホイールモータ駆動装置10に連結される。またロアアーム71は車幅方向内側端73d,73fで図示しない車体側メンバに連結される。車幅方向内側端73d,73fを基端とし、車幅方向外側端72を遊端として、ロアアーム71は上下方向に揺動可能である。なお車体側メンバとは説明される部材からみて車体側に取り付けられる部材をいう。車幅方向外側端72とストラット76の上端76aを結ぶ直線は、上下方向に延びて転舵軸線Kを構成する。転舵軸線Kは基本的には上下方向に延びるが、車幅方向および/または車両前後方向に若干傾斜してもよい。なお図中において車幅方向内側端73d,73fを区別しない場合、単に符号73を付してある。
ロアアーム71よりも上方にはタイロッド80が配置される。タイロッド80は車幅方向に延び、タイロッド80の車幅方向外側端がインホイールモータ駆動装置10と回動可能に連結する。タイロッド80の車幅方向内側端は図示しない操舵装置と連結する。操舵装置はタイロッド80を車幅方向に進退動させて、インホイールモータ駆動装置10および車輪ホイールWを転舵軸線K回りに転舵させる。
次にインホイールモータ駆動装置につき説明する。
図4は図1〜図3に示すインホイールモータ駆動装置を取り出して示す模式図であり、車幅方向外側からみた状態を表す。図5はインホイールモータ駆動装置を示す横断面図であり、車幅方向外側からみた状態を模式的に表す。図5中、減速部内部の各歯車は歯先円で表され、個々の歯を図略する。図6はインホイールモータ駆動装置を模式的に示す展開断面図である。図6で表される切断面は、図5に示す軸線Mおよび軸線Nfを含む平面と、軸線Nfおよび軸線Nlを含む平面と、軸線Nlおよび軸線Oを含む平面とを、この順序で接続した展開平面である。図7は、インホイールモータ駆動装置を示す縦断面図であり、車輪およびサスペンション装置とともに表す。図面の煩雑を避けるため図7中、減速部内部の各歯車は図略される。
インホイールモータ駆動装置10は、図6に示すように仮想線で表される車輪ホイールWの中心と連結する車輪ハブ軸受部11と、車輪の車輪ホイールWを駆動するモータ部21と、モータ部の回転を減速して車輪ハブ軸受部11に伝達する減速部31を備え、電動車両のホイールハウス(図示せず)に配置される。モータ部21および減速部31は、車輪ハブ軸受部11の軸線Oと同軸に配置されるのではなく、図5に示すように車輪ハブ軸受部11の軸線Oからオフセットして配置される。インホイールモータ駆動装置10は、公道で電動車両を時速0〜180km/hで走行させることができる。
車輪ハブ軸受部11は、図6に示すように車輪ホイールWと結合する車輪ハブとしての外輪12と、外輪12の中心孔に通される内側固定部材13と、外輪12と内側固定部材13との環状隙間に配置される複数の転動体14を有し、車軸を構成する。内側固定部材13は、非回転の固定軸15と、1対のインナーレース16と、抜け止めナット17と、キャリア18とを含む。固定軸15は根元部15rが先端部15eよりも大径に形成される。インナーレース16は、根元部15rと先端部15eの間で、固定軸15の外周に嵌合する。抜け止めナット17は固定軸15の先端部15eに螺合して、抜け止めナット17と根元部15rの間にインナーレース16を固定する。
固定軸15は軸線Oに沿って延び、減速部31の外郭をなす本体ケーシング43を貫通する。固定軸15の先端部15eは、本体ケーシング43の正面部分43fに形成される開口43pを貫通し、正面部分43fよりも車幅方向外側へ突出する。固定軸15の根元部15rは、本体ケーシング43の背面部分43bよりも車幅方向内側から、背面部分43bに形成される開口43qを貫通する。なお正面部分43fと背面部分43bは軸線O方向に間隔を空けて互いに向き合う壁部分である。根元部15rにはキャリア18が取付固定される。キャリア18は本体ケーシング43の外部でサスペンション装置70およびタイロッド80と連結する。
転動体14は、軸線O方向に離隔して複列に配置される。軸線O方向一方のインナーレース16の外周面は、第1列の転動体14の内側軌道面を構成し、外輪12の軸線O方向一方の内周面と対面する。軸線O方向他方のインナーレース16の外周面は、第2列の転動体14の内側軌道面を構成し、外輪12の軸線O方向他方の内周面と対面する。以下の説明において、車幅方向外側(アウトボード側)を軸線方向一方ともいい、車幅方向内側(インボード側)を軸線方向他方ともいう。図6の紙面左右方向は、車幅方向に対応する。外輪12の内周面は転動体14の外側軌道面を構成する。
外輪12の軸線O方向一方端にはフランジ部12fが形成される。フランジ部12fはブレーキディスクBDおよび車輪ホイールWのスポーク部Wsと同軸に結合するための結合座部を構成する。外輪12はフランジ部12fでブレーキディスクBDおよび車輪ホイールWと結合して、車輪ホイールWと一体回転する。なお図示しない変形例として、フランジ部12fは周方向に間隔を空けて外径側へ突出する突出部であってもよい。
モータ部21は図6に示すように、モータ回転軸22、ロータ23、ステータ24、モータケーシング25、モータケーシングカバー25vを有し、この順序でモータ部21の軸線Mから外径側へ順次配置される。モータ部21は、インナーロータ、アウターステータ形式のラジアルギャップモータであるが、他の形式であってもよい。例えば図示しなかったがモータ部21はアキシャルギャップモータであってもよい。
モータ回転軸22およびロータ23の回転中心になる軸線Mは、車輪ハブ軸受部11の軸線Oと平行に延びる。つまりモータ部21は、車輪ハブ軸受部11の軸線Oから離れるようオフセットして配置される。モータ回転軸22の先端部を除いたモータ部21の大部分の軸線方向位置は、図6に示すように内側固定部材13の軸線方向位置と重ならない。モータケーシング25は筒状であり、軸線M方向一方端で本体ケーシング43の背面部分43bと結合し、軸線M方向他方端で蓋状のモータケーシングカバー25vに封止される。モータ回転軸22の両端部は、転がり軸受27,28を介して、モータケーシング25およびモータケーシングカバー25vに回転自在に支持される。モータ部21は外輪12および車輪を駆動する。
図1に示すようにインホイールモータ駆動装置10の上部には動力線端子箱25bが設けられる。動力線端子箱25bはモータケーシング25(図6)の上部およびモータケーシングカバー25v(図6)の上部に跨って形成される。動力線端子箱25bは、モータケーシングカバー25v(図6)に形成される3個の動力線接続部91を有し、三相交流電力を受電する。各動力線接続部91には動力線93の一端が接続される。動力線93の芯線は、動力線端子箱25b内部で、ステータ24のコイルから延びる導線と接続する。
モータケーシングカバー25vの中心部には信号線端子箱25cが形成される。信号線端子箱25cは、動力線端子箱25bから離隔する。信号線端子箱25cは図6に示すように軸線Mと交差するように配置される。信号線端子箱25cは回転角センサ84を収容する。回転角センサ84は、モータ回転軸22の軸線方向端部に設けられて、モータ回転軸22の回転角度を検出する。信号線端子箱25cには信号線接続部85が設けられる。信号線接続部85は信号線端子箱25cの壁部分と、該壁部分を貫通する貫通孔と、この貫通孔に近接する壁部分に設けられた雌ねじ孔(図示せず)を有する。さらに信号線接続部85にはスリーブ86が附設される、貫通孔にはスリーブ86および信号線87が通される。スリーブ86は、筒状体であり、信号線87の外周に全周で密着して、信号線87を保護し、貫通孔と信号線87との環状隙間を封止する。スリーブ86の外周面には、スリーブ外径方向に突出する舌部86tが形成される。舌部86tおよび信号線接続部85の雌ねじ孔には図6に示さないボルトがねじ込まれ、これによりスリーブ86は信号線接続部85に取付固定される。
信号線87は導電体からなる複数の芯線と、複数の芯線を束ねるように被覆する絶縁体の被覆部からなり、屈曲可能である。信号線87の一端は、信号線接続部85と接続する。図示はしなかったが信号線87は一端から車体101(図2)まで延びる。
各動力線接続部91も、信号線接続部85と同様に構成され、動力線端子箱25bの壁部分と、該壁部分を貫通する貫通孔と、この貫通孔に近接する壁部分に設けられた雌ねじ孔(図示せず)を有する。さらに各動力線接続部91にはスリーブ92が附設される。貫通孔にはスリーブ92および動力線93の一端部が通される。スリーブ92および動力線93は、動力線接続部91の貫通孔から車体101側へ延出する。動力線93はスリーブ92に通されて、スリーブ92から車体101側へ延出する。各スリーブ92は、筒状体であり、動力線93の外周に密着して、動力線93を保護する。また各スリーブ92は、動力線93の一端部とともに動力線接続部91の貫通孔に差込固定されて、動力線93の一端部を保持し、さらに動力線93と貫通孔との環状隙間を封止する。スリーブ92を抜け止めするため、スリーブ92の外周面には、スリーブ外径方向に突出する舌部92tが形成される。舌部92tおよび動力線接続部91の雌ねじ孔には図1に示すボルト91bがねじ込まれ、これによりスリーブ92は動力線接続部91に取付固定される。
減速部31は、入力軸32、入力歯車33、中間歯車34、中間軸35、中間歯車36、中間歯車37、中間軸38、中間歯車39、出力歯車40、出力軸41、および本体ケーシング43を有する。入力軸32は、モータ回転軸22の先端部22eよりも大径の筒状体であって、モータ部21の軸線Mに沿って延びる。先端部22eは入力軸32の軸線M方向他方端部の中心孔に受け入れられて、入力軸32はモータ回転軸22と同軸に結合する。入力軸32の両端は転がり軸受42a,42bを介して、本体ケーシング43に支持される。入力歯車33は、モータ部21よりも小径の外歯歯車であり、入力軸32と同軸に結合する。具体的には入力歯車33は、入力軸32の軸線M方向中央部の外周に一体形成される。
出力軸41は、外輪12の円筒部分よりも大径の筒状体であって、車輪ハブ軸受部11の軸線Oに沿って延びる。外輪12の軸線O方向他方端は、出力軸41の軸線O方向一方端の中心孔に受け入れられて、出力軸41は外輪12と同軸に結合する。出力軸41の軸線O方向両端部外周には転がり軸受44,46が配置される。出力軸41の軸線O方向一方端は転がり軸受44を介して、本体ケーシング43の正面部分43fに支持される。出力軸41の軸線O方向他方端は転がり軸受46を介して、本体ケーシング43の背面部分43bに支持される。出力歯車40は外歯歯車であり、出力軸41と同軸に結合する。具体的には出力歯車40は出力軸41の軸線O方向他方端の外周に一体形成される。
2本の中間軸35,38は入力軸32および出力軸41と平行に延びる。つまり減速部31は四軸の平行軸歯車減速機であり、出力軸41の軸線Oと、中間軸35の軸線Nfと、中間軸38の軸線Nlと、入力軸32の軸線Mは互いに平行に延び、換言すると車幅方向に延びる。
各軸の車両前後方向位置につき説明すると、図5に示すように入力軸32の軸線Mは出力軸41の軸線Oよりも車両前方に配置される。また中間軸35の軸線Nfは入力軸32の軸線Mよりも車両前方に配置される。中間軸38の軸線Nlは出力軸41の軸線Oよりも車両前方かつ入力軸32の軸線Mよりも車両後方に配置される。図示しない変形例として入力軸32の軸線Mと、中間軸35の軸線Nfと、中間軸38の軸線Nlと、出力軸41の軸線Oが、この順序で車両前後方向に配置されてもよい。この順序は駆動力の伝達順序でもある。
各軸の上下方向位置につき説明すると、入力軸32の軸線Mは出力軸41の軸線Oよりも上方に配置される。中間軸35の軸線Nfは入力軸32の軸線Mよりも上方に配置される。中間軸38の軸線Nlは中間軸35の軸線Nfよりも上方に配置される。なお複数の中間軸35,38は、入力軸32および出力軸41よりも上方に配置されれば足り、図示しない変形例として中間軸35が中間軸38よりも上方に配置されてもよい。あるいは図示しない変形例として出力軸41が入力軸32よりも上方に配置されてもよい。
中間歯車34および中間歯車36は外歯歯車であり、図6に示すように中間軸35の軸線Nf方向中央部と同軸に結合する。中間軸35の両端部は、転がり軸受45a,45bを介して、本体ケーシング43に支持される。中間歯車37および中間歯車39は外歯歯車であり、中間軸38の軸線Nl方向中央部と同軸に結合する。中間軸38の両端部は、転がり軸受48a,48bを介して、本体ケーシング43に支持される。
本体ケーシング43は、減速部31および車輪ハブ軸受部11の外郭をなし、筒状に形成されて、図5に示すように軸線O、Nf、Nl、Mを取り囲む。また本体ケーシング43は、図7に示すように車輪ホイールWの内空領域に収容される。車輪ホイールWの内空領域はリム部Wrの内周面と、リム部Wrの軸線O方向一端と結合するスポーク部Wsとによって区画される。そして車輪ハブ軸受部11、減速部31、およびモータ部21の軸線方向一方領域が車輪ホイールWの内空領域に収容される。またモータ部21の軸線方向他方領域が車輪ホイールWから軸線方向他方へはみ出す。このように車輪ホイールWはインホイールモータ駆動装置10の大部分を収容する。
図5を参照して本体ケーシング43は、軸線Oの真下部分43cと、出力歯車40の軸線Oから車両前後方向に離れた位置、具体的には入力歯車33の軸線Mの真下で、下方へ突出する部分とを有する。この突出する部分はオイルタンク47を形成し、真下部分43cよりも下方に位置する。
図7を参照して真下部分43cの直下には、キャリア18の下端部18bと、ロアアーム71の車幅方向外側端72が配置され、ロアアーム71の車幅方向外側端72と下端部18bが、ボールジョイント60を介して方向自在に連結される。図5に示すように軸線O方向にみてオイルタンク47は、略垂直な後側壁部43tと、傾斜した前側壁部43uによって区画され、下向きに細くなる三角形状にされる。なお後側壁部43tは間隔を空けてボールジョイント60(図7)と車両前後方向に対面する。前側壁部43uはリム部Wr(図7)のうち前側かつ下側の部分と対面する。
ボールジョイント60は、図7に示すようにボールスタッド61およびソケット62を含む。ボールスタッド61は上下方向に延び、上端に形成されるボール部61bおよび下端に形成されるスタッド部61sを有する。ソケット62は内側固定部材13に設けられて、ボール部61bを摺動可能に収容する。スタッド部61sは、ロアアーム71の車幅方向外側端72を上下方向に貫通する。スタッド部61sの下端外周には雄ねじが形成され、下方からナット72nが螺合することにより、スタッド部61sはロアアーム71に取付固定される。図1に示すようにボールジョイント60は、オイルタンク47の下端よりも上方に位置する。ボールジョイント60およびオイルタンク47は、車輪ホイールWの内空領域に配置され、ボールジョイント60は軸線Oの直下に配置され、オイルタンク47はボールジョイント60から車両前後方向に離れて配置される。またボールジョイント60は、図7に示すように背面部分43bよりも車幅方向外側に配置される。転舵軸線Kはボール部61bのボール中心を通過して上下方向に延び、固定軸15と、タイヤTの接地面Rを交差する。キャリア18の上端部は、ストラット76の下端に取付固定される。
本体ケーシング43は、筒状であり、図6に示すように入力軸32、入力歯車33、中間歯車34、中間軸35、中間歯車36、中間歯車37、中間軸38、中間歯車39、出力歯車40、出力軸41、および車輪ハブ軸受部11の軸線O方向中央部を収容する。本体ケーシング43の内部には潤滑油が封入され、減速部31は潤滑される。入力歯車33、中間歯車34、中間歯車36、中間歯車37、中間歯車39、出力歯車40ははすば歯車である。
本体ケーシング43は、図5に示すように真下部分43cおよびオイルタンク47を含む筒状部分と、図6に示すように減速部31の筒状部分の軸線方向一方側を覆う略平坦な正面部分43fと、減速部31の筒状部分の軸線方向他方側を覆う略平坦な背面部分43bを有する。背面部分43bは、モータケーシング25と結合する。また背面部分43bは、固定軸15と結合する。
正面部分43fには外輪12が貫通するための開口43pが形成される。開口43pには、外輪12との環状隙間を封止するシール材43sが設けられる。このため回転体になる外輪12は、軸線O方向一方端部を除いて本体ケーシング43に収容される。外輪12の軸線O方向他方端部内周面にはシール材43vが配置される。シール材43vは外輪12と背面部分43bの環状隙間を封止する。
小径の入力歯車33と大径の中間歯車34は、減速部31の軸線方向他方側(モータ部21側)に配置されて互いに噛合する。小径の中間歯車36と大径の中間歯車37は、減速部31の軸線方向一方側(フランジ部12f側)に配置されて互いに噛合する。小径の中間歯車39と大径の出力歯車40は、減速部31の軸線方向他方側に配置されて互いに噛合する。このようにして入力歯車33と複数の中間歯車34、36,37,39と出力歯車40は、互いに噛合し、入力歯車33から複数の中間歯車34、36,37,39を経て出力歯車40に至る駆動伝達経路を構成する。そして上述した小径歯車および大径歯車の噛合により、入力軸32の回転は中間軸35で減速され、中間軸35の回転は中間軸38で減速され、中間軸38の回転は出力軸41で減速される。これにより減速部31は減速比を十分に確保する。複数の中間歯車のうち中間歯車34は、駆動伝達経路の入力側に位置する第1中間歯車となる。複数の中間歯車のうち中間歯車39は、駆動伝達経路の出力側に位置する最終中間歯車となる。
図5に示すように、出力軸41、中間軸38、および入力軸32は、この順序で車両前後方向に間隔を空けて配置される。さらに中間軸35および中間軸38は、入力軸32および出力軸41よりも上方に配置される。かかる参考例によれば、車輪ハブになる外輪12の上方に中間軸を配置し得て、外輪12の下方にオイルタンク47の配置スペースを確保したり、外輪12の真下にボールジョイント60(図7)を受け入れる空間を確保したりすることができる。したがって上下方向に延びる転舵軸線Kを車輪ハブ軸受部11に交差して設けることができ、車輪ホイールWおよびインホイールモータ駆動装置10を転舵軸線K回りに好適に転舵させることができる。
次にインホイールモータ動力線の配線構造につき説明する。
図8および図9はインホイールモータ駆動装置および動力線を示す模式図であり、図8は車両後方からみた状態を、図9は車両上方からみた状態を表す。参考例では、インホイールモータ駆動装置10から車体101まで3本の動力線93が延びる。3本の動力線93は三相交流電力を車体101からモータ部21に供給する。各動力線93は導電体からなる芯線と、芯線の全周を覆う絶縁体の被覆部からなり、屈曲可能である。動力線93の一端は、各動力線接続部91およびスリーブ92によって、他端側が車両後方かつ車幅方向内側に向かって斜めの姿勢になるよう保持される。具体的には動力線93の一端部は、転舵していない直進方向の車軸(軸線O)に平行な基準線と角度θ°で交差して延びるよう、斜めに保持される。なお角度θは、インホイールモータ駆動装置10の最大転舵角α°以上90°以下の範囲に含まれる固定値である。なおθ=90°の場合、各動力線93の一端部は、車両前後方向と平行に延びる。動力線93の他端は、車体101に搭載されるインバータ103と接続する。
各動力線93の一端部は、図8に示すように転舵軸線K方向に間隔を空けて整列し、図9に示すように転舵軸線K方向にみて重なるよう配置される。なお各動力線93の一端部は、図9に示すように全ての動力線接続部91が重なるよう配置される。
各動力線93は、動力線93の一端と他端の間に、連続して延びる3つの領域を含む。これら3つの領域のうち、インホイールモータ駆動装置10と接続する側の領域をインホイールモータ駆動装置側領域93dと呼び、車体101と接続する側の領域を車体側領域93fと呼び、インホイールモータ駆動装置側領域93dと車体側領域93fの間の領域を中間領域93eと呼ぶ。
インホイールモータ駆動装置側領域93dは、上下方向に延び、インホイールモータ駆動装置側領域93dの上側でインホイールモータ駆動装置10側と接続し、インホイールモータ駆動装置側領域93dの下側で中間領域93eと接続する。車体側領域93fは、上下方向に延び、車体側領域93fの下側で中間領域93eと接続し、車体側領域93fの上側で車体101側と接続する。中間領域93eは、中間領域93eの両側を上方とし中間領域93eの中間部分を下方として湾曲して延びる。
各動力線接続部91と接続する各動力線93の一端部は、インホイールモータ駆動装置側領域93dに向かって水平方向に延出するが、間もなく下方へ向きを変えて延び、インホイールモータ駆動装置側領域93dの上側に連なる。インホイールモータ駆動装置側領域93dは、クランプ部材によって把持されない。
図2に示すように複数の動力線93は、車体側領域93fよりも他端側で、クランプ部材94に束ねられ、上下方向に延びるよう保持される。このため車体側領域93fは、クランプ部材によって把持されることなく、クランプ部材94よりも下側で上下方向に延びる。クランプ部材94はブラケット95を介して車体101に取付固定される。ブラケット95をホイールハウス102よりも車幅方向内側に配置することにより、車体側領域93fをホイールハウス102よりも車幅方向内側に配線することができる。そしてホイールハウス102を迂回するように動力線93を配線し得るのみならず、ホイールハウス102の壁面をインホイールモータ駆動装置10に近づけてホイールハウス102を小さくすることができる。
図2に示すように、クランプ部材94の上下方向位置は、3個の動力線接続部91のうち少なくとも1個の上下方向位置と重なる。このため全ての動力線93は、下向きに膨らむU字状に湾曲した状態で、インホイールモータ駆動装置10および車体101に保持される。
図1に示すように、動力線端子箱25bおよび3個の動力線接続部91は軸線Oよりも車両前方に配置され、各動力線接続部91は車両後方に指向する。これによりインホイールモータ駆動装置側領域93dを転舵軸線Kの近傍に配線することができる。あるいは図示しない変形例として、動力線端子箱25bおよび3個の動力線接続部91は軸線Oよりも車両後方に配置され、各動力線接続部91は車両前方に指向してもよい。
また車輪ホイールWが転舵しない直進状態で、3個の動力線接続部91は軸線Oよりも車両前方に配置され、クランプ部材94は軸線Oよりも車両後方に配置される。これによりインホイールモータ駆動装置側領域93dを転舵軸線Kの近傍に配線することができる。あるいは図示しない変形例として、3個の動力線接続部91は軸線Oよりも車両後方に配置され、クランプ部材94は軸線Oよりも車両前方に配置されてもよい。いずれにせよ直進状態で、インホイールモータ駆動装置側領域93dの車両前後方向位置が、車体側領域93fの車両前後方向位置に重なるよう配置されるとよい。
インホイールモータ駆動装置側領域93dは相対的に車幅方向外側に配置され、車体側領域93fは車幅方向内側に配置される。このため中間領域93eは車幅方向に延びる。中間領域93eは、両側をインホイールモータ駆動装置側領域93dおよび車体側領域93fによって吊り下げられ、クランプ部材によって把持されず、宙に浮いている。
次に参考例の動力線接続部について説明する。
図10はインホイールモータ駆動装置から動力線およびスリーブを取り出して示す模式図であり、上方から転舵軸線K方向に見下ろした状態を表す。図面が煩雑になるのを避けるため、図10中、動力線接続部91を仮想線で表す。各スリーブ92は同一寸法、同一形状であり、転舵軸線K方向にみて一部が重なるように配置される。各スリーブ92の重なり部分Lは、3個全てのスリーブ92に共通する。あるいは図示はしなかったが、各スリーブ92全体が他のスリーブ92全体と重なるように配置されてもよい。
各スリーブ92は、転舵軸線K方向にみてロアスプリングシート79cと完全に重なるよう配置される。あるいは図示しない変形例として、ロアスプリングシート79cと完全に重なるスリーブ92とロアスプリングシート79cと一部重なるスリーブ92が混在していてもよい。
動力線接続部91の貫通孔は、動力線端子箱25b(図9)壁部分に形成され、各スリーブ92を差し込まれて固定されるところ、これら3個の貫通孔は全数、ロアスプリングシート79cと完全に重なるよう配置される。また1の貫通孔と、他の貫通孔は、転舵軸線K方向にみて一部が重なるように配置される。
図11はインホイールモータ駆動装置から動力線およびスリーブを取り出して示す模式図であり、車幅方向にみた状態を表し、図10に対応する。図面が煩雑になるのを避けるため、図11中、動力線接続部91を1個のみ実線で表し、他を仮想線で表す。参考例によれば、図10および図11に示すように転舵軸線Kから各スリーブ92までの距離は略同じにされる。したがって各動力線93に作用する転舵時の応力を略同じにすることができる。複数の動力線接続部91は、転舵軸線Kから車両前後方向にずらして配置され、動力線接続部91から延びる動力線93の一端部は、転舵軸線Kへ近づく方向に延出する。
ところで参考例によれば、各動力線93が一端と他端との間に、連続して延びるインホイールモータ駆動装置側領域93d、中間領域93e、および車体側領域93fを含む。インホイールモータ駆動装置側領域93dは、上下方向に延び、上側でインホイールモータ駆動装置10側と接続し、下側で中間領域93eと接続する。車体側領域93fは、上下方向に延び、下側で中間領域93eと接続し、上側で車体101側と接続する。中間領域93eは、両側を上方とし中間部分を下方として湾曲して延びる。これによりインホイールモータ駆動装置10が転舵する際、各動力線93は殆ど変位せず、中間領域93eの湾曲度も殆ど変化せず、インホイールモータ駆動装置側領域93dがねじれるにすぎない。したがって各動力線93は繰り返し曲げ伸ばしされず、動力線93に曲げ疲労が蓄積しない。ストラット76が伸縮して、インホイールモータ駆動装置10が上下方向にバウンドおよびリバウンドしても、中間領域93eの湾曲度が少し変化する程度にとどまり、動力線93は繰り返し曲げ伸ばしされない。
また参考例によれば、車体側領域93fが上下方向に延び、上側で車体101側と接続することから、ホイールハウス102を迂回して動力線93を配線することができる。したがってホイールハウス102に貫通孔を穿孔して該貫通孔に動力線を通す必要がなく、ホイールハウス102の剛性および強度が低下することがない。またホイールハウス102の壁面を従来よりも車幅方向外側に移設して、インホイールモータ駆動装置10に近づけることができる。したがってホイールハウス102を従来よりも小さくするとともに車内空間を従来よりも大きくすることができる。
また参考例によれば、動力線接続部91から延びる各動力線93の一端部は、転舵軸線K方向にみて、少なくとも一部が重なるように配置されることから、全ての動力線93の一端部を、転舵軸線Kから略同じ距離に配置することができる。したがって特定の動力線93に転舵時の応力が集中することがなく、各動力線93の寿命を揃えることができる。
また参考例によれば、インホイールモータ駆動装置側領域93d、中間領域93e、および車体側領域93fのうち少なくとも1は、何ら把持されないことから、各領域が自由に屈曲したりねじれたりすることができる。したがって各領域の特定の箇所に転舵時の応力が集中することがなく、動力線93の寿命を長くすることができる。
また参考例によれば、動力線93が車体側領域93fよりも他方側(車体101側)で、車体101に設けられるクランプ部材94に保持されることから、車体側領域93fを上下方向に延びるよう仕向けることができる。
また参考例によれば、中間領域93eが車幅方向に延びることから、一端側のインホイールモータ駆動装置側領域93dと、他端側の車体側領域93fとを、車幅方向に離して配置することができる。
また参考例によれば、動力線接続部91から延出する動力線93の一端部はスリーブ92に通される。各スリーブ92は、動力線93の一端部とともに動力線接続部91の貫通孔に差込固定されて、動力線93の一端部を保持し、さらに動力線93と貫通孔との環状隙間を封止する。このため動力線端子箱25bの内部の水密性を確保することができる。しかも各スリーブ92は、転舵軸線K方向にみて少なくとも一部が重なるように配置されることから、全ての動力線93の一端部を、転舵軸線Kから略同じ距離に配置することができる。したがって特定の動力線93に転舵時の応力が集中することがなく、各動力線93の寿命を長くすることができる。
また参考例によれば、ストラット76がコイルスプリング78および1対のコイルスプリングシート79b,79cを含み、転舵軸線K方向に伸縮可能である。また転舵軸線K方向にみて、動力線接続部91に接続される動力線93の一端部は、下側のロアコイルスプリングシート79cと重なるよう配置される。具体的には図7に示すように動力線の一端部93aが、転舵軸線Kと平行に延びるロアコイルスプリングシート79cの投影領域79dに収まる。これにより転舵軸線K方向にみて、動力線接続部91に接続される各動力線93の一端部は、ロアコイルスプリングシート79cと重なる。そして動力線93の一端部93aが転舵軸線K近傍に配置され、インホイールモータ駆動装置側領域93dも転舵軸線K近傍に配置され、インホイールモータ駆動装置10が転舵する際のインホイールモータ駆動装置側領域93dのねじれ度を少なくすることができる。そしてインホイールモータ駆動装置側領域93dが転舵軸線Kに近いほどインホイールモータ駆動装置10の転舵の際のねじれ度を益々少なくすることができる。
次に本発明の実施形態を説明する。図12は本発明の実施形態になるインホイールモータ動力線の配線構造を示す模式図であり、車幅方向内側からみた状態を表す。図13は本実施形態を示す模式図であり、車両前方からみた状態を表す。図14は本実施形態を示す模式図であり、車両上方からみた状態を表す。本実施形態につき、前述した参考例と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。参考例では動力線93が一端で動力線接続部91と接続し、該一端から下方に延びてインホイールモータ駆動装置側領域93dを構成する。これに対し本実施形態では図12および図13に示すように、動力線93を動力線接続部91から上方へ延ばし、ロアコイルスプリングシート79cで反対方向に曲げ返して下方へ延ばすよう配線する。
各動力線93は、動力線93の動力線接続部91側の一端とインホイールモータ駆動装置側領域93dとの間に車輪近傍領域93bをさらに含む。車輪近傍領域93bは、上下方向に延びてタイヤT上部の近傍に配線され、下側で動力線接続部91側と接続し、上側でインホイールモータ駆動装置側領域93dと接続する。
車輪近傍領域93bとインホイールモータ駆動装置側領域93dとの接続箇所93cは、ストラット76に回し掛けされ、ロアコイルスプリングシート79cと隣り合う。このため接続箇所93cは、ストラット76の半径よりも大きな曲率で無理なく曲げられる。
動力線93と車輪とのクリアランスは、接続箇所93cで最も短くなる。このためタイヤTのトラッドと接続箇所93cとの間にはカバー97が介在する。カバー97はストラット76の外周面に取付固定されて、接続箇所93cを下方から支持する。
車輪近傍領域93bおよびインホイールモータ駆動装置側領域93dは、ストラット76に沿って延び、ストラット76の外周面に取付固定されるクランプ部材96に把持される。このため車輪近傍領域93bおよびインホイールモータ駆動装置側領域93dは、少なくともクランプ部材96から接続箇所93cまでの部分で、ストラット76から離れるように屈曲することがない。なおクランプ部材96は、複数の動力線93を束ねてストラット76の車幅方向内側側面に配線するものであって、各動力線93のねじれを拘束するものでない。このため本実施形態においても各動力線93のインホイールモータ駆動装置側領域93dは個々にねじれることができる。インホイールモータ駆動装置側領域93dは、クランプ部材96の下側で車輪近傍領域93bよりも車幅方向外側に配線され、車輪近傍領域93bを超えて下方に延びる。
ところで本実施形態によれば、各動力線93は、動力線接続部91と接続する動力線93の一端とインホイールモータ駆動装置側領域93dとの間に車輪近傍領域93bをさらに含む。車輪近傍領域93bは、上下方向に延び、下側で動力線接続部91側と接続し、上側でインホイールモータ駆動装置側領域93dと接続する。これにより参考例と比較してインホイールモータ駆動装置側領域93dを長くすることができ、インホイールモータ駆動装置10が転舵する際にインホイールモータ駆動装置側領域93dの単位長さ当たりのねじれ度を緩和することができる。
また本実施形態によれば、車輪近傍領域93bがサスペンション装置70に設けられるクランプ部材96に把持されることから、上下方向に延びるように車輪近傍領域93bを保持することができる。
次に本実施形態に設けられる動力線の保護カバーにつき説明する。
接続箇所93cで互いに接続する車輪近傍領域93bの上側部分とインホイールモータ駆動装置側領域93dの上側部分は、ロアスプリングシート79cの下面に沿って配置される。かかる部分を、以下の説明ではスプリングシート近傍部分93s(図18参照)という。図13に示すようにスプリングシート近傍部分93sは、動力線93のうち、車輪(具体的にはタイヤT)の外周面に最も近い箇所に配置される。つまりスプリングシート近傍部分93sは、下方に位置する車輪のタイヤTの外周面と上方に位置するロアスプリングシート79cとの間に配置される。
動力線93を車幅方向内側からみると、図12に示すように、動力線93は車幅方向内側から外側へ延び、再び内側へ戻るように、ストラット76に回し掛けされる。スプリングシート近傍部分93s(図18参照)は、ストラット76に回し掛けされた部分に相当する。換言するとスプリングシート近傍部分93sは、180°の向きに曲げ返された部分に相当する。
カバー97は、タイヤTの外周面とスプリングシート近傍部分93s(図18参照)との間に配設され、下方からスプリングシート近傍部分93sを覆う。小石等の異物がタイヤTの外周面によって跳ね上げられて、動力線93のうちのスプリングシート近傍部分93sに高速で飛来しても、スプリングシート近傍部分93sはカバー97によって異物の飛来から保護される。
図13に示すように、ストラット76は、車輪のタイヤTよりも車幅方向内側に配置される。そしてストラット76の下端領域は、車輪と対面する車幅方向外側面76fと、車幅方向外側面76fとは反対側に位置する車幅方向内側面76gとを有する。車輪近傍領域93bおよびインホイールモータ駆動装置側領域93dは車幅方向内側面76gに沿って配線される。車幅方向外側面76fと車幅方向内側面76gの境界には遮蔽壁98が立設される。遮蔽壁98は、上方のカバー97および下方のクランプ部材96間でストラット76に取付固定される。遮蔽壁98はストラット76から車両前後方向に突出し、車輪近傍領域93bおよびインホイールモータ駆動装置側領域93dを覆う。このため、車輪近傍領域93bおよびインホイールモータ駆動装置側領域93dは車幅方向外側のタイヤTから見えなくされる。
図15Aは本実施形態からカバー97を取り出して示す図であり、上方からみた状態を表す。図15Bは本実施形態からカバー97を取り出して示す図であり、車幅方向内側からみた状態を表す。図16Aはカバー97を取り出して示す図であり、車両前後方向にみた状態を表し、図13に対応する。カバー97は板状部分97f、把持部分97g、および周壁部分97kを有する。図15Aに示すように、板状部分97fおよび把持部分97gは一体結合する。図15Bに示すように、板状部分97fおよび周壁部分97kは一体結合する。把持部分97gは図13に示すように下方の遮蔽壁98および上方のロアスプリングシート79c間に配置され、ストラット76に取付固定される。図13および図16Aに示すように板状部分97fは把持部分97gから車幅方向外側かつ上方へ斜めに延出し、板状部分97fの表面は傾斜する。
カバー97の板状部分97fは、ロアスプリングシート79cの半分に対応する半円形状のような形状であり、円弧状の縁と、直線状の縁とを有する。円弧状の縁には周壁部分97kが立設される。板状部分97fは、ロアスプリングシート79cの下面に重なるように設けられて、少なくともロアスプリングシート79cの車幅方向外側半分を覆う。周壁部分97kは板状部分97fの上側表面から上方へ突出し、ロアスプリングシート79cの外周縁と接触する。これにより三方の壁であるロアスプリングシート79cと周壁部分97kと板状部分97fが、動力線93のスプリングシート近傍部分93s(図18参照)を収容する空間を区画する。
図16Aに示す周壁部分97kはロアスプリングシート79cの外周縁に単に寄り添うよう配置される。あるいは図16Bに示す変形例のカバー97では、周壁部分97kに爪97iが設けられる。爪97iは、板状部分97fの上側表面から突出する。そしてロアスプリングシート79cの縁に形成される穴(図示せず)に係止する。
カバー97の板状部分97fの直線状の縁には把持部分97gが設けられる。把持部分97gは、図15Aに示すようにC字状に形成され、クランプ部材96の上側で、ストラット76の少なくとも車幅方向外側面76fをC字で抱えるように、該ストラット76に取付固定される。
複数の動力線93は、下方のカバー97と上方のロアスプリングシート79cとの間で、カバー97の上側表面に沿って配線される。カバー97の上側表面は、図15Aおよび図15Bに示すように平面あるいは曲面に形成され、凹凸のない表面である。
ここで附言すると、図15Aに示す実施形態に代えて、カバー97の上側表面には、動力線93の移動を規制する凹凸が形成されてもよい。図17にカバー97の変形例を示す。変形例のカバー97上側表面には、把持部分97gを中心として湾曲して延びる溝97jが複数形成される。各溝97jは各動力線93のスプリングシート近傍部分93s(図18参照)をカバー97上側表面に沿わせるように受け入れる。
ところで本実施形態によれば、車輪ホイールWおよびタイヤTからなる車輪と、車輪ホイールWの内部に配置されて車輪ホイールWを駆動するインホイールモータ駆動装置10と、上下方向に延び上端を一端とし下端を他端として一端が車輪よりも外径側で車体101と連結し他端がインホイールモータ駆動装置10と連結するサスペンション部材としてのストラット76と、ストラット76に設けられ車輪の外周面から間隔を空けて配置されるとともにスプリング78の端部を支持するロアスプリングシート79cと、インホイールモータ駆動装置10からロアスプリングシート79cと車輪外周面との間を経由して車体101まで延びる動力線93と、動力線93のうちロアスプリングシート79cと車輪外周面との間に配置されるスプリングシート近傍部分93s(図18参照)を覆うカバー97とを備える。このように下方の車輪(タイヤT)外周面と上方のスプリングシート近傍部分93sとの間にカバー97を設けて、動力線93のスプリングシート近傍部分93sを保護する。したがって車輪外周面が小石等の異物を巻き上げることによって異物がスプリングシート近傍部分93sに向かって高速で飛来しても、異物はスプリングシート近傍部分93sに衝突しない。
比較のため、図18に比較例となるインホイールモータ動力線の配線構造を示す。図18の比較例は、車両前方からみた状態を表す。比較例では下方の車輪(タイヤT)外周面と上方のスプリングシート近傍部分93sとの間にカバーを設けていない。このためスプリングシート近傍部分93sは車輪外周面、つまりタイヤTと対面する。比較例では、タイヤT外周面が小石等の異物を巻き上げることによって異物がスプリングシート近傍部分93sに衝突し、動力線が損傷する虞がある。
説明を本実施形態に戻すとストラット76は、車輪よりも車幅方向内側に配置される。またストラット76の下端領域は、車輪と対面する一側面としての車幅方向外側面76fと、車幅方向外側面76fとは反対側に位置する他側面としての車幅方向内側面76gとを有する。動力線93のうち、インホイールモータ駆動装置10と接続する一端部からスプリングシート近傍部分93s(図18参照)までの車輪近傍領域93bが、ストラット76の車幅方向内側面76gに沿って配線される。これにより、車輪と車輪近傍領域93bとの間にストラット76を介在させることができ、車輪から飛来する異物が車輪近傍領域93bに衝突し難くすることができる。
また本実施形態によれば、ストラット76の下端領域のうち車幅方向外側面76fと車幅方向内側面76gとの境界には遮蔽壁98が立設されることから、車輪から飛来する異物が車輪近傍領域93bに一層衝突し難くすることができる。
また本実施形態によれば、カバー97はロアスプリングシート79cの半分に対応する形状の板状部分97fを含み、板状部分97fはロアスプリングシート79cの半分以上を覆うことから、板状部分97fおよびロアスプリングシート79c間に配線されるスプリングシート近傍部分93s(図18参照)を確実に保護することができる。
また本実施形態によれば、カバー97は板状部分97fの縁に形成されるC字状の把持部分97gをさらに含み、把持部分97gはストラット76の側面を抱えるようストラット76に取付固定される。これによりカバー97は、ストラット76と協働して動力線93を保護することができる。
また本実施形態によれば、板状部分97fおよびロアスプリングシート79cには、爪および穴がそれぞれ設けられる。これら爪および穴は、係合部および被係合部として互いに係合することから、板状部分97fはロアスプリングシート79cに連結される。仮に動力線93から板状部分97fに下向きの力が作用しても、板状部分97fが変形したり、あるいは板状部分97fが車輪のタイヤT外周面に接近したりすることがない。
また図17の変形例によれば、板状部分97fの上側表面には、動力線93のスプリングシート近傍部分93s(図18参照)を板状部分97f上側表面に沿わせるように受け入れる溝97jが形成される。これにより3本のスプリングシート近傍部分93sは、同数の溝97jに沿ってそれぞれ受け入れられ、スプリングシート近傍部分93sを保持することができる。また溝97jは把持部分97gを中心として湾曲して延びることから、複数のスプリングシート近傍部分93sを、把持部分97gを中心として同心状に整列させることができる。
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
この発明になるインホイールモータ動力線の保護構造は、電気自動車およびハイブリッド車両において有利に利用される。
10 インホイールモータ駆動装置、 76 ストラット、
76f 車幅方向外側面、 76g 車幅方向内側面、
78 スプリング、 79c ロアスプリングシート、
93 動力線、 93b 車輪近傍領域、 93c 接続箇所、
93d インホイールモータ駆動装置側領域、
93s スプリングシート近傍部分、 96 クランプ部材、
97 カバー、 97f 板状部分、 97g 把持部分、
97i 爪、 97j 溝、 98 遮蔽壁、
101 車体(車体側メンバ)、 T 車輪のタイヤ、
W 車輪の車輪ホイール。

Claims (9)

  1. 車輪と、
    前記車輪の内部に配置されて前記車輪を駆動するインホイールモータ駆動装置と、
    一端および他端を有し前記一端が前記車輪よりも外径側で車体側メンバと連結し前記他端が前記インホイールモータ駆動装置と連結するサスペンション部材と、
    前記サスペンション部材の一端側に設けられ、前記車輪の外周面から間隔を空けて配置されるとともにスプリングの端部を支持するスプリングシートと、
    前記インホイールモータ駆動装置から前記スプリングシートと前記車輪の外周面との間を経由して車体側メンバまで延びる動力線と、
    前記動力線のうち前記スプリングシートと前記車輪の外周面との間に配置されるスプリングシート近傍部分を覆う動力線保護カバーとを備える、インホイールモータ動力線の保護構造。
  2. 前記サスペンション部材の他端領域は、前記車輪と対面する一側面と、前記一側面とは反対側に位置する他側面とを有し、
    前記動力線のうち、前記インホイールモータ駆動装置と接続する一端部から前記スプリングシート近傍部分までの領域が、前記サスペンション部材の前記他側面に沿って配線される、請求項1に記載のインホイールモータ動力線の保護構造。
  3. 前記サスペンション部材の他端領域のうち、前記一側面と前記他側面との境界には遮蔽壁が立設される、請求項2に記載のインホイールモータ動力線の保護構造。
  4. 前記動力線保護カバーは前記スプリングシートに対応する形状の板状部分を含み、前記板状部分は前記スプリングシートの半分以上を覆う、請求項1〜3のいずれかに記載のインホイールモータ動力線の保護構造。
  5. 前記動力線保護カバーは前記板状部分の縁に形成されるC字状の把持部分をさらに含み、
    前記把持部分は前記サスペンション部材の側面を抱えるよう該サスペンション部材に取付固定される、請求項4に記載のインホイールモータ動力線の保護構造。
  6. 前記板状部分および前記スプリングシートには、互いに係合する係合部および被係合部がそれぞれ設けられる、請求項4または5に記載のインホイールモータ動力線の保護構造。
  7. 前記板状部分および/または前記スプリングシートの表面には、前記動力線の前記スプリングシート近傍部分を前記表面に沿わせるように受け入れる溝が形成される、請求項4〜6のいずれかに記載のインホイールモータ動力線の保護構造。
  8. 前記サスペンション部材は上下方向に延びるストラットであり、上端領域にダンパーを含み、
    前記スプリングは前記ダンパーに沿って設けられ、上下方向に延び、
    前記スプリングシートは前記スプリングの下端を支持するロアスプリングシートである、請求項1〜7のいずれかに記載のインホイールモータ動力線の保護構造。
  9. 車輪と結合する車輪ハブと、
    前記車輪ハブを駆動するモータ回転軸、外郭をなすケーシング、および前記ケーシングに設けられる動力線接続部を有するモータ部と、
    一端が前記動力線接続部と接続し、他端がケーシング外部の車体まで延び、前記車体から前記モータ部へ電力を供給する屈曲可能な動力線とを備え、
    前記車輪の外径側から内径側まで延びるサスペンション部材を介して車体に連結され、
    前記動力線の途中部分は、前記車輪の外径側で前記サスペンション部材に設けられるスプリングシートと、前記スプリングシートと重なるように配置されて前記車輪の外周面と対面する動力線保護カバーとの間を通すように配線される、インホイールモータ駆動装置。
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