JP2017183354A - 半導体装置の製造装置および半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置の製造装置および半導体装置の製造方法 Download PDF

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曽根  弘樹
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Abstract

【課題】より高精度にマークの検出が可能な半導体装置の製造装置および製造方法を提供する。【解決手段】この製造装置は、位置検出用のマークが形成された下地層およびレジスト層との間に、加工層が形成された半導体基板に光を照射する光源と、光源により照明されたマークをデジタル画像として撮像する撮像部と、デジタル画像における輝度を抽出する輝度抽出部と、輝度に基づいてマークの位置を算出する算出部と、を備える。さらに、光源と半導体基板との間に介在し、透過する光の波長を連続的に変化させる光学フィルタと、光学フィルタにより透過波長を制御する制御部と、を備える。制御部は、バックグラウンドの輝度と、マークが形成された部分における輝度との差が最大になる透過波長を決定し、撮像部は、決定された透過波長の光を照射したデジタル画像を撮像し、算出部は該デジタル画像において抽出された輝度に基づいてマークの位置を算出する。【選択図】図1

Description

本発明は、半導体装置の検査に係る製造装置と、該検査を含む半導体装置の製造方法に関する。
半導体素子や液晶表示素子などの製造工程では、周知のフォトリソグラフィの工程を経てレジスト層に回路パターン等が転写され、このレジストパターンを介してエッチングなどの加工処理を行うことにより、所定の材料膜にパターンが転写される。そして、上記のパターン形成と加工処理を繰り返し行うことにより、様々な材料膜のパターンが基板上に形成され、半導体素子や液晶表示素子の回路やその他の構造が形成される。
さらに、上記の製造工程では、フォトリソグラフィの後、加工処理の前に、下地層に対するレジストパターンの重ね合わせ検査を行う。重ね合わせ検査では、下地層に設けられたマークと、レジスト層に設けられたマークとを検出して、各マークの中心が所定の規格内で一致するか否かを検査するものである。
ところで、従来、下地層およびレジスト層に形成された各マークは、該マークの形成位置に白色光が照射され、CCDカメラ等の撮像装置によって検出される。このとき、下地層とレジスト層との間には加工対象となる加工層が存在するため、加工層の材質や膜厚によってはマーク間のコントラストが十分に得られず、マークの形成位置が不明瞭となってマーク中心の検出精度が低下する問題があった。
これに対して、特許文献1には、マークを検出する際の照明光の分光特性を調整する位置検出方法が開示されている。この方法では、入射される白色光に対して特定の波長の光のみを通過させる色フィルタ(ナローバンドパスフィルタ)をレボルバに複数配置し、レボルバを回転させることで照明光の波長を変化させる。すなわち、照明光の分光特性をレボルバの回転によって調整する。
特開2005−337953号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、予めレボルバに設けられた色フィルタによって通過される波長でのみ分光特性の調整ができるのであり、予め決められた波長以外の波長の光での調整はできない。例えば特許文献1に記載の位置検出装置にあっては4色の色フィルタでのみ分光特性の調整が行えるが、当該4色に相当する各波長域以外の波長域で分光特性を調整することができない。
換言すれば、調整可能な波長域において十分なコントラストが得られない場合、マークの形成位置が不明瞭となってマーク中心の検出精度が低下するという問題を解決できない虞がある。
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、より高精度にマークの検出が可能な半導体装置の製造装置および製造方法を提供することを目的とする。
ここに開示される発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。なお、特許請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、発明の技術的範囲を限定するものではない。
上記目的を達成するために、本発明は、位置検出用の第1マーク(201)が形成された下地層(210)と、位置検出用の第2マーク(202)が形成されたレジスト層(230)との間に、加工対象である少なくとも1層の加工層(220)が形成された半導体基板(200)に光を照射する光源(20)と、光源により照明された第1マークおよび第2マークをデジタル画像として撮像する撮像部(30)と、デジタル画像における輝度を抽出する輝度抽出部(40)と、輝度に基づいて第1マークおよび第2マークの位置を算出する算出部(50)と、光源と半導体基板との間に介在し、透過する光の波長が面内で連続的に変化する板状の光学フィルタ(21)と、光学フィルタ上における光源の光が照射される位置を変化させることにより光学フィルタを透過した光の透過波長を制御する制御部(60)と、を備え、制御部は、第1マークおよび第2マークが形成されていない部分におけるバックグラウンドの輝度と、第1マークあるいは第2マークが形成された部分における輝度との差が所定の閾値以上になる透過波長を決定し、撮像部は、決定された透過波長の光を照射したデジタル画像を撮像し、算出部は、透過波長の光により撮像されたデジタル画像において抽出された輝度に基づいて第1マークおよび第2マークの位置を算出する。
これによれば、光源から放射された光は、面内で透過光の波長が連続的に変化するようにされた光学フィルタを通して半導体基板に照射される。すなわち、波長を連続的に変化させながら半導体基板を照明することができる。
制御部は、バックグラウンドの輝度と、第1マークあるいは第2マークの輝度との輝度差が所定の閾値以上になる適切な波長を、連続的に変化させた波長域に中から選択することができる。このため、第1マークあるいは第2マークと、バックグラウンドとのコントラストをより明瞭にでき、高精度にマークの検出を行うことができる。
第1実施形態に係る重ね合わせ検査装置の概略構成を示す図である。 第1マークおよび第2マークの詳細を示す上面図および断面図である。 第1マーク、第2マークおよびバックグラウンドの輝度Nの状態、および輝度の位置微分値(dN/dx)を示す図である。 光学フィルタの構成を示す図である。 重ね合わせの検査方法を示すフローチャートである。 第2実施形態に係る重ね合わせ検査装置の一部を示す図である。 第3実施形態に係る重ね合わせ検査装置の概略構成を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の各図相互において、互いに同一もしくは均等である部分に、同一符号を付与する。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
最初に、図1〜図4を参照して、本実施形態に係る半導体装置の製造装置の概略構成について説明する。
本実施形態における半導体装置の製造装置は、例えば重ね合わせ検査装置である。重ね合わせ検査装置は半導体装置の製造工程において、半導体基板のレジストパターンの重ね合わせ検査を行う装置であり、下地層のパターンに対するレジストパターンの位置ずれ量の測定を行うものである。
図1に示すように、この重ね合わせ検査装置100は、半導体基板200を載置するステージ10と、載置された半導体基板200の少なくとも一部を照明する光源20と、照明された半導体基板200の表面を撮像するカメラ30と、カメラ30により撮像されたデジタル画像における輝度を抽出する輝度抽出部40と、抽出された輝度に基づいて後述するマークの位置を算出する算出部50と、を備えている。
また、この重ね合わせ検査装置100は、光源20と半導体基板200との間であって、光源20から放射される光の光路上に介在する光学フィルタ21を備えている。そして、この光学フィルタを光路に直交する方向にスライドするように変位させるモータ22を備えている。さらに、重ね合わせ検査装置100は、モータ22の駆動を制御する制御部60を備えている。
半導体基板200は、図2に示すように、下地層210とレジスト層230と、下地層210とレジスト層230との間に形成された少なくとも1層の加工層220を有している。
下地層210は、前工程までに回路パターン等が形成された層である。これらパターンの形成の際に、例えばウェハの所定の箇所に、重ね合わせ検査のための位置検出用である第1マーク201が形成される。第1マーク201は、下地層210に設けられた第1溝部211により、ウェハ上面から視認可能に形成されている。本実施形態における第1溝部211は矩形状に形成されており、第1マーク201も矩形である。なお、第1マーク201は、ウェハ上面から可視光を介して観察すると、マークが形成されていない箇所(バックグラウンド)に対して低い輝度として視認される。すなわち、周囲よりも暗く見える。
加工層220は下地層210に積層されている。加工層220は例えばアルミニウムの層であり、次工程において加工されるべき層として下地層210に積層されている。換言すれば、重ね合わせ検査の時点では加工層220は加工されておらず、下地層210の一面に亘って一様に形成されている。
レジスト層230は、所定のパターンが形成され、形成されたパターンを加工層220に転写するための層である。レジスト層230に形成されたパターンには、重ね合わせ検査のための位置検出用である第2マーク202が含まれる。第2マーク202は、レジスト層230に設けられた第2溝部231により、ウェハ上面から視認可能に形成されている。本実施形態における第2溝部231は矩形状に形成されており、第2マーク202も矩形である。なお、第2マーク202は、ウェハ上面から可視光を介して観察すると、マークが形成されていない箇所(バックグラウンド)に対して高い輝度として視認される。すなわち、周囲よりも明るく見える。
本実施形態における第1マーク201および第2マーク202は、半導体基板200を正面視したときに、それぞれ正方形を成している。第2マーク202の正方形は、第1マーク201の正方形の内部に含まれる、いわゆるBOX in BOXのマーク方式を成している。第1マーク201および第2マーク202は、下地層210とレジスト層230とに位置ずれが無く互いが相対的に正しい位置関係にあれば、第1マーク201の正方形の中心と、第2マーク202の正方形の中心とが一致するようになっている。重ね合わせ検査装置100は、第1マーク201および第2マーク202の位置をそれぞれ検出し、中心の座標のずれ量を算出する装置である。
以下、重ね合わせ検査装置100の構成について、図1〜図4を参照して詳しく説明する。
ステージ10は、図1に示すように、半導体基板200を吸着固定する板状のチャック11と、チャック11とともに半導体基板200を回転方向に変位させるθステージ12と、半導体基板200を板の面方向に変位させるXYステージ13とを有している。ステージ10は、半導体基板200を固定する役割を果たすとともに、光源20から放射される光の光路が半導体基板200に形成された後述のマークに重なるように半導体基板200を移動させる。
光源20は例えばハロゲンランプであり、少なくとも可視光の波長域を含む白色光を放射する光源である。光源20はある程度の指向性を有し、後述する光学フィルタ21に板面にスポット状に光を照射する。
カメラ30は特許請求の範囲に記載の撮像部に相当し、例えばエリアセンサ型のCCDカメラである。カメラ30は半導体基板200の表面に対向する位置に撮像面を向けて配置されており、半導体基板200の表面を撮像する。カメラ30はデジタル画像を出力する。デジタル画像は、半導体基板200の表面における輝度情報をデジタルデータとして保持している。具体的には、デジタル画像は、撮像面における画素の座標データと、当該画素における輝度情報と、を保持している。カメラ30は少なくとも輝度情報を取得することができればよいので、カラーCCDである必要はなく、モノクロCCDであってもよい。撮像されたデジタル画像は例えばモノクロ8ビットで出力され、半導体基板200の表面における輝度を画素ごとに256階調のデジタルデータとして保持している。
輝度抽出部40は、デジタル画像に保持された輝度情報について、とくにマーク201,202が形成された部分の輝度情報を抽出する部分である。輝度抽出部40は、デジタル画像に対してローパス処理等を実行してノイズを除去する。例えば、図2におけるIII−III線に沿う輝度プロファイルは図3上図に示すようになる。第1マーク201の該当する画素はバックグラウンドに較べて輝度Nが小さく、第2マーク202に該当する画素は輝度Nが大きくなる。ノイズの除去後、輝度抽出部40は、III−III線に沿うx方向について輝度Nを微分することにより、図3下図に示すように、輝度が急激に変化する箇所をエッジとして抽出する。
算出部40は、輝度抽出部40により抽出された輝度情報およびエッジの情報に基づいて第1マーク201および第2マーク202の位置を算出し、その位置ずれ量を算出する部分である。算出部50は、2つのエッジの間であって、且つ、輝度が閾値よりも小さい部分を第1マーク201として判定し、輝度が閾値よりも大きい部分を第2マーク202として判定する。これにより、III−III線に沿うx方向についてマーク201,202の位置を算出することができる。算出部50は、x方向に直交するy方向についても同様にエッジを検出し、第1マーク201および第2マーク202の位置を算出する。
算出部50は、x方向における2箇所の第1マーク201の中心の座標X1と、y方向における2箇所の第1マーク201の中心の座標Y1とを算出し、以って下地層210の形成された矩形状の第1マーク201の中心(X1,Y1)を決定する。同様に、算出部50は、x方向における2箇所の第2マーク202の中心の座標X2と、y方向における2箇所の第2マーク202の中心の座標Y2とを算出し、以って下地層230の形成された矩形状の第2マーク202の中心(X2,Y2)を決定する。
算出部50は、第1マーク201における中心の座標(X1,Y1)と、第2マーク202における中心の座標(X2,Y2)との差分を算出する。すなわち、(|X1−X2|,|Y1−Y2|)を算出する。算出部50は、各成分が予め定めた所定の規格よりも小さな値であれば、下地層210とレジスト層230とがずれていないと判定する。一方、各成分が予め定めた所定の規格よりも大きな値であれば、下地層210とレジスト層230とがずれていると判定する。
本実施形態における重ね合わせ検査装置100は、上記した構成要素に加えて、光学フィルタ21と、光学フィルタ21を駆動するモータ22と、モータ22の駆動を制御する制御部60と、を備えている。
光学フィルタ21は、図4に示すように、長方形平板状を成すフィルタである。この光学フィルタ21は、フィルタの面内において、透過する光の波長が少なくとも可視光の範囲で連続的に変化する。具体的には、光学フィルタ21の長手方向に沿って、透過できる波長が略400nmから略750nmまで連続的に変化するようになっている。
光学フィルタ21は、光源20から放射された指向性の光線が光学フィルタ21に略直交するように、光源20と半導体基板200との間に挿入されている。光源20から放射された白色光は光学フィルタ21を通して、略単一の波長域に限定されて透過する。例えば、光源20からの白色光が光学フィルタ20の長手方向の一端近傍を通過すれば透過光はほぼ紫色となり、光学フィルタ20の中央近傍を通過すれば透過光はほぼ緑色となり、光学フィルタ20の他端近傍を通過すれば透過光はほぼ赤色となる。透過した光は半導体基板200における第1マーク201および第2マーク202が形成された領域に照射され、当該箇所を照明する。
モータ22は、光学フィルタ21に機械的に接続されており、ロータの回転角に対応した位置に光学フィルタ21を移動させる。光学フィルタ21は、光源20から半導体基板200上の照明すべき箇所に向かう光路(光線)と直交する状態を維持しながら、スライドする。光学フィルタ21が長手方向にスライドすることにより、光学フィルタ21上の光線の当たる場所が変化して透過光の波長が変化する。すなわち、モータ22におけるロータの回転角と、スライドにより調整された光の波長とは一対一に対応する。
制御部60は、モータ22への通電を制御して光学フィルタ21のスライド量、すなわち光源20に対する光学フィルタ21の位置、を制御している。上記したように、モータ22におけるロータの回転角と、スライドにより調整された光の波長とは一対一に対応するので、制御部60は、モータ22の駆動を制御することによって、半導体基板200を照明する光の波長を制御している。
制御部60は、重ね合わせ検査時において、光学フィルタ21を介して生成可能なすべての波長に亘って、各波長に対応する輝度情報を取得する。そして、第1マーク201における輝度とバックグラウンドにおける輝度の差を算出する。また、制御部60は、第2マーク202における輝度とバックグラウンドにおける輝度の差を算出する。現実的には、例えば波長にして10nmごとにデジタル画像を撮像し、それぞれの輝度情報を取得する。
上記した輝度差の計算において用いる輝度値は、予め決められた所定の画素の値を採用しても良いし、マーク部分およびバックグラウンド部分に相当する画素の輝度値のそれぞれの平均値を採用しても良い。
制御部60は、第1マーク201における輝度とバックグラウンドにおける輝度の差が最大となる第1透過波長λ1を決定する。また、第2マーク202における輝度とバックグラウンドにおける輝度の差が最大となる第2透過波長λ2を決定する。第1透過波長λ1および第2透過波長λ2は、制御部60が有する波長記憶部61に記憶される。制御部60は、次回の同一工程において、記憶された第1透過波長λ1および第2透過波長λ2を用いて、半導体基板200を照明し重ね合わせ検査を実施する。
なお、第1透過波長λ1および第2透過波長λ2の決定に際して、必ずしも輝度差が最大となるようにする必要はなく、所定の閾値以上となるように設定すれば良い。所定の閾値とは、例えばカメラ30にて撮像したときにマーク201,202とバックグラウンドとの境界が明瞭になる値として予め指定しておくものである。ここでの閾値は、算出部40によるマーク201,202の判定の際に用いられる閾値と同一であっても良いし、異なっていても良い。
次に、図5を参照して、本実施形態における重ね合わせ検査装置100を用いた半導体装置の製造方法について説明する。とくに、半導体装置の製造方法に一部である重ね合わせ検査方法について説明する。
最初に、図5に示すように、ステップS1を実行する。ステップS1は、重ね合わせ検査の対象となる半導体基板200を用意するステップである。半導体基板200は、下地層210に対してスパッタリングやCVDなど一般的な方法により加工層220を積層して形成し、加工層220上にレジスト層230を塗布後フォトリソグラフィによりパターンを形成することで得る。第1マーク201は予め下地層210に形成されており、第2マーク202は、レジストマスクに第2マーク202に相当する部分が形成されることによりレジスト層230に転写されて成る。
次いで、ステップS2を実行する。ステップS2は、レジスト層230のフォトリソグラフィによるパターンの転写の後、用意された半導体基板200をステージ10に載置するステップである。
次いで、ステップS3を実行する。ステップS3は、暖機等により光量を安定させた光源20の光を半導体基板200上に照射するステップである。光源20の光は半導体基板200の全面を照明する必要はなく、少なくとも第1マーク201および第2マーク202が形成された部分を含む所定の領域を照明できるように集光されていれば良い。通常、マーク201,202は同一ウェハ上に複数形成されているが、少なくとも一箇所を照明するように集光すれば良く、複数のマーク201,202に対して重ね合わせ検査を実施する場合には、適宜XYステージ13、θステージ12を駆動してウェハを移動させる。
次いで、ステップS4を実行する。ステップS4は、光学フィルタ21の光源20に対する位置を初期位置に移動するステップである。光学フィルタ21の初期位置は任意に設定することができるが、本実施形態では、例えば長手方向の一端であって、透過光の波長が750nmになる位置に光源20からの光が照射される位置を光学フィルタ21の初期位置とする。ステップS4では、制御部60がモータ22を駆動して光学フィルタ21を初期位置まで移動させる。
次いで、ステップS5を実行する。ステップS5は、光学フィルタ21を介した光源20の光で照明されたマーク201,202を撮像するステップである。撮像はカメラ30で行う。撮像によって生成されるデジタル画像は輝度抽出部40に出力される。
次いで、ステップS6を実行する。ステップS6は、ステップS5において生成したデジタル画像に基づいて輝度情報を抽出し取得するステップである。上記したように、輝度抽出部40がデジタル画像のノイズ除去やエッジ検出を行い、バックグラウンドの部分、第1マーク201が形成された部分および第2マーク202が形成された部分における輝度情報をそれぞれ取得する。ここで取得された輝度情報は、ステップS5において撮像された際に照明されている光の波長において固有である。換言すれば、照明に用いられる波長ごとに、バックグラウンド、第1マーク201および第2マーク202のそれぞれの輝度が取得される。
次いで、ステップS7を実行する。ステップS7は、光学フィルタ21を介して生成可能なすべての光の波長に対して、上記した輝度情報を取得したか否かを判定するステップである。すべての波長に対して輝度情報が取得されていればYES判定となりステップS9に進む。一方、すべての波長に対して輝度情報が取得されていなければNO判定となり、ステップS8に進む。
例えば、ステップS4の後、カメラによるマーク201,202の撮像が初めてであれば、ステップS7は言うまでも無くNO判定となる。ステップS8は、光学フィルタ21を移動(スライド)して透過光の波長を変更するステップである。例えば透過光の波長が初期位置(750nm)から10nmだけ短くなるように光学フィルタ21を移動する。これにより、半導体基板200を照明する光の波長は740nmとなる。そして、再びステップS5に戻り、マーク201,202を波長にして740nmの光で照明しながら撮像する。
すべての波長について撮像が完了するまでステップS5〜ステップS8を繰り返し実行する。これにより、波長が400nmから750nmの間において10nm刻みで設定される波長の光に対応した、計36枚のデジタル画像が得られる。そして、それぞれのデジタル画像に対して、バックグラウンド、第1マーク201および第2マーク202のそれぞれの輝度が取得される。
すべての波長について輝度情報が得られるとステップS7はYES判定となりステップS9に進む。ステップS9は、第1透過波長λ1を決定するステップである。制御部60は、ひとつの波長における第1マーク201の部分の輝度とバックグラウンドの部分の輝度の差分を算出する。これを取得されたすべての波長に対して実行し、輝度差が最大となる第1透過波長λ1を決定する。
次いで、ステップS10を実行する。ステップS9は、第2透過波長λ2を決定するステップである。制御部60は、ひとつの波長における第2マーク202の部分の輝度とバックグラウンドの部分の輝度の差分を算出する。これを取得されたすべての波長に対して実行し、輝度差が最大となる第2透過波長λ2を決定する。第1透過波長λ1と第2透過波長λ2とは一般的に異なる値を取る。
次いで、ステップS11を実行する。ステップS11は、ステップS9において決定した第1透過波長λ1、および、ステップS10において決定した第2透過波長λ2のそれぞれの透過波長を用いてマーク201,202を撮像するステップである。例えば、ひとつの半導体基板200に対して、照明する波長を第1透過波長λ1に設定して撮像して第1デジタル画像を生成する。その後、光学フィルタ21を駆動して透過波長を第2透過波長λ2に変更する。そして、変更された透過波長のもとで撮像して第2デジタル画像を生成する。
次いで、ステップS12を実行する。ステップS12は、第1デジタル画像および第2デジタル画像から抽出された輝度情報に基づいて、それぞれ第1マーク201および第2マーク202の位置を算出し、両者の位置ずれを判定するステップである。上記したように、算出部50は、第1デジタル画像を用い、図3に示すx方向における2箇所の第1マーク201の中心の座標X1と、x方向に直交するy方向における2箇所の第1マーク201の中心の座標Y1とを算出し、以って下地層210の形成された矩形状の第1マーク201の中心(X1,Y1)を決定する。同様に、第2デジタル画像を用い、x方向における2箇所の第2マーク202の中心の座標X2と、y方向における2箇所の第2マーク202の中心の座標Y2とを算出し、以って下地層230の形成された矩形状の第2マーク202の中心(X2,Y2)を決定する。
そして、第1マーク201における中心の座標(X1,Y1)と、第2マーク202における中心の座標(X2,Y2)との差分を算出する。すなわち、ずれ量(|X1−X2|,|Y1−Y2|)を算出する。ずれ量の各成分が予め定めた所定の規格よりも小さな値であれば、下地層210とレジスト層230とがずれていないと判定する。一方、各成分が予め定めた所定の規格よりも大きな値であれば、下地層210とレジスト層230とがずれていると判定する。
次いで、ステップS13を実行する。ステップS13は、重ね合わせ検査の対象の半導体基板200を次の基板に交換するステップである。検査済の半導体基板200は次の工程を行うためにステージ10から外され搬送される。一方、ステージ10には、次に重ね合わせ検査を実施するべき半導体基板が搬送されて載置される。
次に重ね合わせ検査を実施すべき半導体基板がステージ10に載置されたらステップS11に戻る。すなわち、第1透過波長λ1および第2透過波長λ2のそれぞれの透過波長を用いてマーク201,202を撮像する。検査すべきすべての半導体基板200の重ね合わせ検査が終了するまでステップS11からステップS13を繰り返し実行する。
次に、本実施形態における重ね合わせ検査装置100を採用することによる作用効果について説明する。
本実施形態における重ね合わせ検査装置100では、光源20から放射された光が、面内で透過光の波長が連続的に変化するようにされた光学フィルタ21を通して半導体基板200に照射される。このため、波長を連続的に変化させながら半導体基板200を照明することができる。
制御部60は、バックグラウンドの輝度と、第1マーク201あるいは第2マーク202の輝度との輝度差が最大になる適切な波長(λ1,λ2)を、連続的に変化させた波長域に中から選択することができる。このため、第1マーク201あるいは第2マーク202と、バックグラウンドとのコントラストを最大にでき、高精度にマークの検出を行うことができる。
(第2実施形態)
光源20の光が光学フィルタ21を透過する際に、光学フィルタ21に入射する光のスポット径は、光学フィルタ21の体格に対して、可能な限り小さいことが好ましい。これは、スポット径が大きいと、透過して得られる光が含む波長成分がブロードになるためである。逆に言えば、スポット径が小さければ、透過光の波長成分を単一に近づけることができ、最適な透過波長を選択する際に、波長の選択幅をより高解像度にできる。
これを実現するため、本実施形態における重ね合わせ検査装置100は、図6に示すように、光源20と光学フィルタ21との間に、光源20から入射した光を光学フィルタ21上に集光する第1集光レンズ23を備え、さらに、光学フィルタ21と半導体基板200との間に、光学フィルタ21を透過して拡散した光を半導体基板200上に集光する第2集光レンズ24を備えている。なお、第1集光レンズ23および第2集光レンズ24が挿入される以外の構成要素は第1実施形態と同様である。
第1集光レンズ23は、所定の焦点距離に設定されており、光源20から放射された光を光学フィルタ21上に集光するようになっている。例えば、長手方向の長さが略50mmである光学フィルタ21に対して、集光後の光のスポット径が略1mmとなるように設定されている。第1集光レンズ23を備えることにより、光学フィルタ21上のスポット径をできるだけ小さくすることができ、透過光の波長成分をより単一に近づけることができる。
第2集光レンズ24は、所定の焦点距離に設定されており、光学フィルタ21を透過した所定の波長にされた透過光を半導体基板200上に集光するようになっている。一般にレンズの焦点距離は波長によって前後する。本実施形態における第2集光レンズ24は、光学フィルタ21のスライド位置に連動して光路上を前後するようになっている。また、第2集光レンズ24を光路方向に前後することにより、第2集光レンズ24を介して半導体基板200上を照明する光のスポット径を任意に調整可能とされている。これにより、第1マーク201および第2マーク202のサイズに合わせて照明するスポット径を調整することができる。
(第3実施形態)
第1実施形態の説明において、図1では、光源20から照射される光の光路が半導体基板200に対して斜めに入射するように図示したが、光路の構成はこの限りではない。例えば、図7に示すように、光学フィルタ21とカメラ30との間にハーフミラー70を配置し、半導体基板200への光の入射方向と、半導体基板200からカメラ30に向かう反射方向とが平行になるようにしても良い。カメラ30の光軸は半導体基板200に直交している。そして、光源20から照射される光の進行方向はカメラ30の光軸に直交している。ハーフミラー70は、カメラ30の光軸と光源20からの照射光の進行方向が交わる位置に配置され、照射光が半導体基板200に向かうようになっている。ハーフミラー70を反射した光はレボルバ80を介して半導体基板200に照射されて第1マーク201および第2マーク202が照明される。マーク201,202において反射した光はハーフミラー70を介してカメラ30に入射し、カメラ30がデジタル画像を取得する。
これによれば、半導体基板200への光の入射方向とカメラ30に向かう光の進行方向とを平行にできるので、カメラ30において、光源20の出力に対して効率的に光を集光することができる。
(その他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
上記した各実施形態では、第1透過波長λ1と第2透過波長λ2の両方を決定して、その両方を用いてデジタル画像を取得する例について説明したが、この限りではない。例えば、第2マーク202とバックグラウンドとの輝度差が十分に確保できることが明らかな工程において重ね合わせ検査を実施する際には、検査の時短を目的に、第2透過波長λ2を決定するためのステップ、すなわち、第1実施形態にて説明したステップS10を省略するようにしても良い。この場合、ステップS11の撮像の工程においても、第2透過波長λ2を用いた撮像は実施されない。
また、半導体基板200を白色光で照射することで、第1マーク201とバックグラウンド、および第2マーク202とバックグラウンドとの輝度差が十分に確保できることが明らかな工程においては重ね合わせ検査を実施する際には、光学フィルタ21を光路上から外すようにモータ22を駆動することが好ましい。
また、光源20の分光にあたって、上記した各実施形態では光学フィルタ21により白色光を所定の波長の光に分光する例を説明したが、光学フィルタ21に替えて回折格子を介して分光しても良いし、プリズムを介して分光しても良い。
10…ステージ,20…光源,21…光学フィルタ,22…モータ,30…カメラ(撮像部),40…輝度抽出部,50…算出部,60…制御部,61…波長記憶部

Claims (9)

  1. 位置検出用の第1マーク(201)が形成された下地層(210)と、位置検出用の第2マーク(202)が形成されたレジスト層(230)との間に、加工対象である少なくとも1層の加工層(220)が形成された半導体基板(200)に光を照射する光源(20)と、
    前記光源により照明された前記第1マークおよび前記第2マークをデジタル画像として撮像する撮像部(30)と、
    前記デジタル画像における輝度を抽出する輝度抽出部(40)と、
    前記輝度に基づいて前記第1マークおよび前記第2マークの位置を算出する算出部(50)と、
    前記光源と前記半導体基板との間に介在し、透過する光の波長が面内で連続的に変化する板状の光学フィルタ(21)と、
    前記光学フィルタ上における前記光源の光が照射される位置を変化させることにより前記光学フィルタを透過した光の透過波長を制御する制御部(60)と、を備え、
    前記制御部は、前記第1マークおよび前記第2マークが形成されていない部分におけるバックグラウンドの輝度と、前記第1マークあるいは前記第2マークが形成された部分における輝度との差が所定の閾値以上になる透過波長を決定し、
    前記撮像部は、決定された前記透過波長の光を照射した前記デジタル画像を撮像し、
    前記算出部は、前記透過波長の光により撮像された前記デジタル画像において抽出された輝度に基づいて前記第1マークおよび前記第2マークの位置を算出する半導体装置の製造装置。
  2. 前記透過波長は、前記第1マークおよび前記第2マークが形成されていない部分におけるバックグラウンドの輝度と、前記第1マークあるいは前記第2マークが形成された部分における輝度との差が最大になる波長である請求項1に記載の半導体装置の製造装置。
  3. 前記制御部は、前記バックグラウンドと前記第1マークとの輝度差が所定の閾値以上となる前記透過波長としての第1透過波長(λ1)と、前記バックグラウンドと前記第2マークとの輝度差が所定の閾値以上となる前記透過波長としての第2透過波長(λ2)と、を記憶する波長記憶部(61)を有し、
    前記撮像部は、1つの前記半導体基板につき、前記第1透過波長の光を照射した前記デジタル画像としての第1デジタル画像と、前記第2透過波長の光を照射した前記デジタル画像としての第2デジタル画像と、を撮像し、
    前記算出部は、前記第1デジタル画像に基づいて前記第1マークの位置を算出し、前記第2デジタル画像に基づいて前記第2マークの位置を算出する、請求項1または請求項2に記載の半導体装置の製造装置。
  4. 前記第1透過波長は、前記第1マークが形成されていない部分におけるバックグラウンドの輝度と、前記第1マークが形成された部分における輝度との差が最大になる波長であり、
    前記第2透過波長は、前記第2マークが形成されていない部分におけるバックグラウンドの輝度と、前記第2マークが形成された部分における輝度との差が最大になる波長である請求項3に記載の半導体装置の製造装置。
  5. 前記光源と前記光学フィルタとの間に介在し、前記光源の光を前後光学フィルタ上に集光する第1集光レンズ(23)と、
    前記光学フィルタと前記半導体基板との間に介在し、前後光学フィルタを透過した透過光を前後半導体基板上に集光する第2集光レンズ(24)と、を備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造装置。
  6. 位置検出用の第1マーク(201)が形成された下地層(210)と、位置検出用の第2マーク(202)が形成されたレジスト層(230)との間に、加工対象である少なくとも1層の加工層(220)が形成された半導体基板に光源(20)により光を照射して照明すること、
    照明された前記第1マークおよび前記第2マークをデジタル画像として撮像すること、
    前記デジタル画像における輝度を抽出すること、
    前記輝度に基づいて前記第1マークおよび前記第2マークの位置を算出すること、を備え、
    前記半導体基板に光を照明するとき、前記光源と前記半導体基板との間に介在して透過する光の波長が面内で連続的に変化する板状の光学フィルタ(21)上における前記光源の光が照射される位置を変化させることにより前記光学フィルタを透過した光の透過波長を制御し、
    前記第1マークおよび前記第2マークが形成されていない部分におけるバックグラウンドの輝度と、前記第1マークあるいは前記第2マークが形成された部分における輝度との差が所定の閾値以上になる前記透過波長を決定し、
    前記デジタル画像を撮像するとき、決定された前記透過波長の光を照射した前記デジタル画像を撮像し、
    前記透過波長の光により撮像された前記デジタル画像において抽出された輝度に基づいて前記第1マークおよび前記第2マークの位置を算出する半導体装置の製造方法。
  7. 前記透過波長は、前記第1マークおよび前記第2マークが形成されていない部分におけるバックグラウンドの輝度と、前記第1マークあるいは前記第2マークが形成された部分における輝度との差が最大になる波長である請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
  8. 前記透過波長を決定するとき、前記バックグラウンドと前記第1マークとの輝度差が所定の閾値以上となる第1透過波長(λ1)と、前記バックグラウンドと前記第2マークとの輝度差が所定の閾値以上となる第2透過波長(λ2)と、を決定し、
    前記デジタル画像を撮像するとき、1つの前記半導体基板につき、前記第1透過波長の光を照射した前記デジタル画像としての第1デジタル画像と、前記第2透過波長の光を照射した前記デジタル画像としての第2デジタル画像と、を撮像し、
    前記第1デジタル画像に基づいて前記第1マークの位置を算出し、前記第2デジタル画像に基づいて前記第2マークの位置を算出する、請求項6または請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
  9. 前記第1透過波長は、前記第1マークが形成されていない部分におけるバックグラウンドの輝度と、前記第1マークが形成された部分における輝度との差が最大になる波長であり、
    前記第2透過波長は、前記第2マークが形成されていない部分におけるバックグラウンドの輝度と、前記第2マークが形成された部分における輝度との差が最大になる波長である請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
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