JP2017181300A - 農作物観測方法、農作物観測装置および農作物の生産方法 - Google Patents

農作物観測方法、農作物観測装置および農作物の生産方法 Download PDF

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真仁 山中
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笑 亀岡
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Abstract

【課題】農作物の内部の状態を非破壊、非接触で計測すること。【解決手段】中心波長1700nm、半値幅242nm、帯域1400nm〜1950nmのスーパーコンティニューム光(SC光)を用いて、米のOCT計測を行った。図7(a)は、米の外観を示した光学顕微鏡写真であり、図7(b)は、OCT画像(深さ方向の断面画像であり、(a)におけるxz面での断面画像)である。このOCT画像の濃淡は、デンプンの濃度や結晶化度を反映していると考えられる。このように、OCT画像の濃淡によって、米の内部の状態を非破壊、非接触で観測することができる。【選択図】図7

Description

本発明は、農作物の内部の状態を非破壊で計測することができる農作物観測方法および農作物観測装置である。また、その農作物観測方法を用いた農作物の生産方法である。
農作物の糖度などを非破壊で計測する方法として、農作物に近赤外線を照射し、その反射スペクトルや透過スペクトルを測定して分析する方法が広く知られている。特に、果物の糖度を分析する方法として広く用いられている。また、果物を一定の厚さにスライスして、そのスライスしたものに近赤外線を照射してスペクトル測定することで、果物の3次元的な糖度分布を計測することも行われている。
また、光の干渉を利用して対象物内部の表面近傍の断層画像を得る光干渉断層法(Optical Coherence Tomography;OCT)が知られている。OCTは、医療分野において広く活用されており、たとえば眼底検査において網膜の3次元画像を得ることに利用されている。特許文献1、2には、スーパーコンティニューム光を用いたOCTが記載されている。スーパーコンティニューム光は、超短パルス光を高非線形光ファイバーに導入することにより得られる波長帯域が数百nmの広帯域光である。特許文献1には、スーパーコンティニーム光を用いて歯髄の断層画像を取得する歯髄撮像装置が記載されている。特許文献2には、スーパーコンティニューム光を用いて、生体の皮膚や皮下組織の断層画像を取得する光断層計測装置が記載されている。
特開2014−63042号公報 特開2015−167823号公報
しかし、非破壊で農作物の反射スペクトルや透過スペクトルを解析する方法では、農作物内部のより詳細な状態、たとえば農作物の内部構造や糖度分布、成熟度などを計測することはできない。また、農作物を切断して農作物の内部構造や糖度分布を計測するのは非常に手間や時間がかかり、商品となる農産物への適用は困難である。
また、特許文献1、2に記載のスーパーコンティニューム光によるOCT計測は、農作物の内部状態を観測することには従来利用されていなかった。
そこで本発明の目的は、農作物の内部の状態を非破壊でより詳細に計測することができる農作物観測方法およびその農作物観測装置を提供することである。また、その農作物観測方法を用いた農作物の生産方法を提供する。
本発明は、農作物の内部の状態を非破壊で観測する農作物観測方法であって、中心波長が0.7〜2.2μmのスーパーコンティニューム光を用いたOCT計測を行うことにより、前記農作物の内部の状態を計測する、ことを特徴とする農作物観測方法である。
農作物の内部の状態は、たとえば、農作物内部の糖類の濃度分布や、農作物の内部の細胞壁の状態、農作物の葉の葉脈の状態である。特に、農作物内部のデンプンの濃度分布の計測が可能であり、米に対してこれを計測することで、登熟度の評価を非破壊、非接触で行うことが可能となる。デンプンの濃度分布の計測には、スーパーコンティニューム光の中心波長が1.3〜2.0μmであることがより好ましい。糖類の濃度分布は、たとえば多変量解析などの統計的な推定方法を用いて推定することができる。
OCT計測は、時間領域でもよいし周波数領域でもよいが、測定精度向上や測定時間短縮の点では周波数領域OCTが望ましい。また、周波数領域OCTにおいて、合わせて農作物の分光情報を取得することで、農作物の内部の状態をより詳細に観測することができる。
また本発明は、中心波長が0.7〜2.2μmのスーパーコンティニューム光を生成する光源と、光源からのスーパーコンティニューム光を分岐して、農作物に照射して反射光させる測定光を得るための測定光系と、その反射光との干渉光を得るための参照光を得る参照光系と、測定光と参照光との干渉光を得て、農作物の内部の状態を反映した干渉画像を得る画像生成装置と、を有することを特徴とする農作物観測装置である。
本発明の農作物観測装置は、時間領域で干渉波形を取得する装置であってもよいし、周波数領域で干渉波形を取得する装置であってもよい。測定精度向上や測定時間短縮の点では周波数領域が望ましい。
参照光系と測定光系とを、手持ちが可能な筐体に一体に納めたハンディプローブを有する構成としてもよい。ハンディプローブとすることでその場計測が容易となる。また、手持ちとすることによる手振れによる影響が、参照光系と測定光系で等しく発生するため、キャンセルさせて手振れの影響を軽減することができる。特に、周波数領域の農作物観測装置において、このようなハンディプローブを構成するとよい。手振れの影響がより低減される。
また本発明は、中心波長が0.7〜2.2μmのスーパーコンティニューム光を生成する光源であって、OCT計測によって農作物の内部の状態を非破壊で観測するためのスーパーコンティニューム光源である。
本発明によれば、農作物の内部の状態(登熟度、細胞壁、葉脈など)を非破壊、非接触で計測することができる。そのため、農作物の状態を随時計測して、その計測結果を農作物の育成方法にフィードバックすることにより、農作物の品質を管理しながら農作物を育成することが可能となる。
実施例1の農作物観測装置の構成を示した図。 スーパーコンティニューム光源100の構成を示した図。 スーパーコンティニューム光のスペクトルを示した図。 干渉光の波形を示した図。 変形例の農作物観測装置の構成を示した図。 変形例の農作物観測装置の構成を示した図。 コシヒカリ(玄米、正常米)の光学顕微鏡写真およびOCT画像を示した図。 コシヒカリ変異体(玄米、正常米)の光学顕微鏡写真およびOCT画像を示した図。 コシヒカリ変異体(玄米、腹白米)の光学顕微鏡写真およびOCT画像を示した図。 コシヒカリ変異体(白米、未熟米)のSEM画像およびOCT画像を示した図。 コシヒカリ変異体(白米、正常米)のSEM画像およびOCT画像を示した図。 コシヒカリ(白米、正常米)のSEM画像およびOCT画像を示した図。 イチゴの葉のOCT画像を示した図。 トマトの葉のOCT画像を示した図。 トマトの葉の表側のOCT画像を示した図。 トマトの葉の表側のOCT画像を示した図。 トマトの実のOCT画像を示した図。 トマトの実のOCT画像を示した図。
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
図1は、実施例1の農作物観測装置の構成を示した図である。実施例1の農作物観測装置は、主として、スーパーコンティニューム光源100と、光ファイバーカプラ61a、61b、62と、ミラー65と、駆動装置66と、X−Yガルバノスキャナ70と、受光装置であるフォトディテクタ(以下、「PD」と記す)74a、74bと、差動増幅器75と、干渉波形解析手段であるコンピュータ76と、表示装置77と、によって構成されている。
(スーパーコンティニューム光源100の構成)
まず、スーパーコンティニューム光源100の構成について、図2を参照に詳しく説明する。
図2のように、図1に示すスーパーコンティニューム光源100は、主として、ファイバーレーザ10、ファイバー増幅器20、波長シフトファイバー30、スーパーコンティニューム光を生成する高非線形光ファイバー50、シングルモードファイバー51とから成る。
スーパーコンティニューム光源100のファイバーレーザ10は、エルビウムドープ光ファイバー(EDF)11を用いたリング型レーザ発振器である。エルビウムドープ光ファイバー(EDF)11の発振するレーザ光の中心波長は、1558nmである。光ファイバー11の長さは、3.5mである。光ファイバー11の光路には、カーボンナノ構造体が塗布された樹脂フィルム12が挿入されている。カーボンナノ構造体は、グラフェンが筒状になったカーボンナノチューブ、グラフェンが壁状に単層、多層に形成されたカーボンナノウォール、フラーレン、グラフェンなどである。本実施例では、カーボンナノチューブ粉末をポリイミドフィルムに塗布したものを用いた。励起光源14には、波長980nmのレーザダイオードを用いた。励起光源14の出力する連続光は、波長分割多重カプラ(WDM)15を介して、光ファイバー11に入力される。連続光は、アイソレータ13により、光ファイバー11の中を一方向にのみ循環する。
カーボンナノチューブは、1560nm帯の光を吸収し、光強度が大きくなると透明となる可飽和吸収特性を有している。発振するレーザ光の振幅は雑音成分により時間的に高周波数で変動しているために、瞬時的に透明となる閾値を越える瞬間の光だけがカーボンナノチューブで吸収されずに、通過することになる。このパルス光が光ファイバー11を巡回する連続光に重畳されて、誘導放出が促進されてそのパルス光の強度が大きくなり、さらに、カーボンナノチューブを透過し易くなる。このようにしてパルス光が正帰還により成長し、光ファイバー11を巡回する間に、安定したソリトンパルスとなる。
樹脂フィルム12およびそれに接続する光ファイバーのコネクタ部分は、窒素や希ガスなどの不活性ガスの雰囲気とするか、あるいは真空とするのがよい。樹脂フィルム12中のカーボンナノチューブが酸化などによって劣化し、その結果ファイバーレーザ10からのソリトンパルスの出力が経時的に変動してしまうのを抑制することができる。
本実施例では、リング型レーザ発振器の全分散値の総和が負になるように設定されており、ソリトンパルスが発生する。なお、リング型レーザ発振器の全分散値の総和をゼロとした場合は、ストレッチパルスとなり、正とした場合には、散逸性ソリトンパルスとなる。ファイバーレーザ10は、必ずしもソリトンパルスを発生させるものでなくともよいが、ストレッチパルスや散逸性ソリトンパルスと比較して、ソリトンパルスを用いた方が高い効率でスーパーコンティニューム光を得ることができる。
ファイバーレーザ10の光路は、樹脂フィルム12を除いて全て偏波保持型のものを用いるとよい。ソリトンパルスの偏光方向を時間的に安定させることができる。
このソリトンパルスは、光ファイバーカプラ16により分岐され、パルス拡幅ファイバー22に入力される。パルス拡幅ファイバー22は、ソリトンパルスのパルス幅をやや拡大して、波形を生成するためのシングルモードファイバーである。パルス拡幅ファイバー22から出力されるソリトンパルスは、偏波制御素子27を通過して、S波、又は、P波の直線偏光となる。
パルス拡幅ファイバー22の出力端はアイソレータ28と波長分割多重カプラ(WDM)23とを介して、長さ2mのエルビウムドープ光ファイバー(EDF)21に接続されている。ファイバー増幅器20は、波長分割多重カプラ(WDM)23、24、光ファイバー(EDF)21、発振波長1560nmのエルビウムを励起させるための波長1480nmのレーザ光を発振するレーザダイオード(LD)25、26とから成る。レーザダイオード25、26からの励起光は、それぞれ、波長分割多重カプラ(WDM)23、24を介して、光ファイバー(EDF)21に、相互に対向する方向から入射する。したがって、レーザダイオード(LD)25からの励起光は、光ファイバー(EDF)21で生成されるソリトンパルスの進行方向と同一方向に伝搬し、レーザダイオード(LD)26からの励起光は、そのパルス光の進行方向とは反対方向に伝搬する。
光ファイバー(EDF)21の出力端は、波長分割多重カプラ(WDM)24とアイソレータ32とを介して、波長シフトファイバー30に接続されている。波長シフトファイバー30はシングルモードファイバーであり、ソリトンパルスの波長帯で異常分散の特性を持つ。ファイバー中で誘起される非線形効果によって、強度が高いほどより長波長側にソリトンパルスの中心波長がシフトする。また、ファイバー長が長い方が波長がより長波長側にシフトするが、パルス幅が広がるため、適切な長さに調節されている。アイソレータ32の両端は光ファイバーを直結し、波長シフトファイバー30とアイソレータ32は光ファイバーで直結する構造となっている。また、励起光源14から波長シフトファイバー30の出力端までは、全光伝送路が光ファイバーで直結されており、レンズなどの空間伝搬部を排除した。これにより、出力されるスーパーコンティニューム光を安定させることができた。なお、スーパーコンティニューム光の中心波長をシフトさせる必要がないのであれば、波長シフトファイバー30は省略することができる。
波長シフトファイバー30の出力端は、レンズ33、半波長板(λ/2)34、λ/4板35、ローパスフィルタ(LPF)36、レンズ37を介して、ソリトンパルスをスーパーコンティニューム光に変換するための高非線形光ファバー50に接続されている。
高非線形光ファイバー50には、入力するソリトンパルスの中心波長を基準に±200nmの範囲内の波長において、分散が零である正常分散高非線形ファイバー(ND-HNLF)を用いた。正常分散高非線形ファイバー(ND-HNLF)としては、非線形性γが23W-1km-1、長さ5mのファイバーを用いた。この高非線形光ファイバー50の出力端は、光源の使用性を向上させるために、通常のシングルモードファイバー51に直結されている。シングルモードファイバー51の出力端からスーパーコンティニューム光が出力される。
尚、光ファイバー11、パルス拡幅ファイバー22、エルビウムドープ光ファイバー(EDF)21、波長シフトファイバー30、高非線形光ファイバー50、シングルモードファイバー51、波長分割多重カプラ(WDM)15、23、24などの全光伝送路に、偏波保持型のファイバーや素子を用いても良い。偏波保持型を用いることで、スーパーコンティニューム光の出力を安定化させることができる。また、全光路を偏波保持型とすれば、レンズ33とローパスフィルタ36の間に設けている半波長板(λ/2)34、λ/4板35を省略してより構成を簡素にすることができる。
特に、光ファイバー(EDF)21は、偏波保持型であって、ソリトンパルスの波長帯(すなわち中心波長をλ0、半値幅をΔλとして、λ0−Δλからλ0+Δλの波長帯域)で正常分散特性を有しているものが望ましい。偏波面およびパルス波形を保持したまま十分な強度まで増幅することができる。
ファイバーレーザ10の出力するソリトンパルスの中心波長における分散値β2は、0ps2 /kmより大きければ任意の値でよい。ただし、分散値β2は0ps2 /kmより大きく+65ps2 /km以下とすることが望ましい。分散値β2がこの範囲外であると、パルス波形を保持したまま十分な強度まで増幅することが難しくなるためである。さらに望ましくは+5ps2 /km以上+60ps2 /km以下である。
また、実施例1では光ファイバー(EDF)21の励起光源としてレーザダイオード25、26の2つを用いているが、上記のような正常分散特性の光ファイバー(EDF)21を用いれば、エルビウムのドープ量を高濃度とすることができ、励起光源を1つ設けるのみで十分に増幅することができ、構成の簡素化、低コスト化を図ることができる。励起光の吸収の大きさは、40dB/m〜140dB/mとするのが望ましい。この範囲であれば、励起光源25が1つでも十分な増幅が可能となる。より望ましい励起光の吸収の大きさは70dB/m〜120dB/mである。
スーパーコンティニューム光源100から出力されるスーパーコンティニューム光(SC光)の特性は次の通りである。SC光のスペクトルは、図3に示すように、中心波長1700nm、半値幅242nm、帯域1400nm〜1950nmである。また、パルス半値幅は、5ps、繰り返し周波数は110MHz、最大出力強度は60mWである。
SC光のコヒーレンス長は、0.5〜10μmが望ましい。この範囲であると、干渉ピークの幅が広がったり、干渉ピーク同士が重なったりするなどの問題を防止することができ、また干渉ピークも良好に測定することができるため、測定精度を向上させることができる。より望ましいSC光のコヒーレンス長は、0.5〜2μmである。
SC光の波長は、上記に限るものではないが、農作物72の内部の状態を高精度に観測のためには0.7〜2.2μmとすることが望ましい。農作物72の内部の観測においては、農作物72における糖類(デンプン、セルロース、果糖、ショ糖、などの単糖類や多糖類)の分布を計測することが重要となる。これら糖類は近赤外線領域(0.8〜2.2μm)に吸収がある。そこで、SC光の中心波長は、0.7〜2.2μmとすることが望ましい。この範囲とすることで、農作物における糖類の分布を高精度に計測することができる。特に、農作物72内部のデンプンの濃度分布を計測するためには、1.3〜2.0μmとするのがよい。また、分解能向上のためにSC光のスペクトルの帯域幅は広いことが望ましく、100nm以上が望ましい。より望ましくは200〜2000nmである。
次に、実施例1の農作物観測装置におけるスーパーコンティニューム光源100以外の各構成について、順に説明する。
光ファイバーカプラ61a、61bは、2×2ポートの構造であり、光ファイバーカプラ61aの入力ポートの一方にはスーパーコンティニューム光源100からのSC光が入力され、光ファイバーカプラ61aの出力端は光ファイバーカプラ62に接続されている。光ファイバーカプラ62に入力した光は、測定光と参照光に分配されて2つの出力ポートから出力される。2つの出力ポートには、偏波面の方位を一定方向に安定させる偏波コントローラ63a、63bが接続されており、それらの出力には、それぞれコリメータ64a、64bが接続されている。
コリメータ64aを透過した参照光は、コーナーキューブプリズム67で曲げられてミラー65に入射する。また、コーナーキューブプリズム67は駆動装置66により得るべき画像の深さ以上の範囲で移動される。ミラー65で反射された参照光(以下、「反射参照光」という)は、同一光路を通り、光ファイバーカプラ62に入力する。
また、コリメータ64bを透過した測定光は、分散補償ガラス68を透過して、X−Yガルバノスキャナ70により反射されて、レンズ71を介して、農作物72に照射される。すなわち、X−Yガルバノスキャナ70の変動により、農作物72への測定光の照射方向が農作物72の横断面であるx−y平面上で走査される。農作物72で反射された測定光(以下、「反射測定光」という)は、同一光路を通り、光ファイバーカプラ62に入力する。分散補償ガラス68は、ミラー65とコーナーキューブプリズム67とに受ける参照光の分散と、測定光の分散とを同一に補償するための分散補償ガラスである。
レンズ71の焦点距離は、1.5cm以上とするのがよい。深さ方向の位置ずれに対して農作物72に照射される測定光のスポット径の変動が小さくなり、測定精度をより向上させることができる。ただし、焦点距離を長くしすぎると、十分に集光した測定光を農作物72に照射することが難しくなるため、50cm以下とするのがよい。
光ファイバーカプラ62において、反射参照光と反射測定光とが合波されて干渉光が生成される。駆動装置66によるコーナーキューブプリズム67の移動により、光ファイバーカプラ62では、反射測定光と反射参照光とのコヒーレント長における相互相関である干渉光が得られる。この干渉光の波形が図4に示すものとなり、包絡線の半値幅は6.2μmとなる。この値は、SC光のコヒーレンス長に対応している。
光ファイバーカプラ62からは干渉光が2分配されて、それぞれの分配された干渉光が光ファイバーカプラ61a、61bに入力する。分配された干渉光は、位相がπだけ異なる。光ファイバーカプラ61a、61bから出力されるそれぞれの干渉光は、コリメータ73a、73bを透過し、平行光線としてPD74a、74bに入射する。PD74a、74bの出力は、多数のSCパルスについては積分値であり、コーナーキューブプリズムの移動に応じて変動する干渉光の包絡線である。その出力は差動増幅器75に入力している。差動増幅器75により同相成分が除去され、干渉成分のみを取り出すことができる。
差動増幅器75の出力は所定時間間隔でサンプリングされ、A/D変換されて、コンピュータ76に入力されて画像処理され、農作物72の3次元のグレー画像が得られる。すなわち、農作物72のある照射位置(x0,y0)(x軸、y軸は農作物72への測定光の照射方向に対して垂直な方向)に対して、図4のように干渉光の波形が得られる。この干渉波形の振幅は、測定光と参照光との光路長が等しくなる農作物72の深さ方向(z軸方向)の位置での反射光強度を示している。したがって、駆動装置66によって参照光の光路長を変化させることで、深さ方向z(時間軸)に関する干渉光の反射光強度D(x0,y0,z)、つまり1次元のグレー画像が得られる。そして、X−Yガルバノスキャナ70の変動により、農作物72への測定光の照射位置(x,y)を走査することで、3次元の反射光強度D(x,y,z)が得られ、これを画像処理することで農作物72の3次元のグレー画像を得ることができる。たとえば、任意方向の縦断面画像(z軸方向に平行な断面での画像)、任意の深さzでの横断面画像(xy平面に平行な断面での画像)、任意の角度から見た立体画像などを得ることができる。これらの画像は、表示装置77において、任意に表示される。なお、画像処理において積算処理を行い、より高精度の画像が得られるようにしてもよい。
なお、実施例1の農作物観測装置は、3次元のグレー画像を得るものであるが、照射位置(x,y)をある1方向の走査のみとして、縦断面画像のみを取得するものとしてもよいし、X−Yガルバノスキャナ70を省略して照射位置(x,y)は固定し、一箇所または複数箇所の1次元のグレー画像を取得するものとしてもよい。
ミラー65は、十分に薄いものか、反射面が全波長帯域で高反射率のものを用いることで、被測定物による波長分散を補償し、干渉ピークが広がってピーク位置の取得精度が劣化するのを防止している。駆動装置66は、たとえば、ボイスコイルモータ型ディレイライン、ピエゾチューブ型ディレイライン、直動ステージ型ディレイライン、積層ピエゾ型ディレイライン、などである。
PD74a、74bの受光装置として、フォトダイオード、フォトトランジスタ、光電子増倍管などを用いることができる。なお、測定光系は、スーパーコンティニューム光源100の出力端から、光ファイバーカプラ61a、62、偏波コントローラ63b、コリメータ64b、分散補償ガラス68、X−Yガルバノスキャナ70、レンズ71と、それらを接続するファイバーと、農作物72からの反射光を同一光路で光ファイバーカプラ62に導く光路、光ファイバーカプラ61a、61b、コリメータ73a、73b、PD74a、74b、差動増幅器75と、コンピュータ77、表示装置77とから成る。また、参照光系は、スーパーコンティニューム光源100の出力端から、光ファイバーカプラ61a、62、偏波コントローラ63a、コリメータ64a、コーナーキューブプリズム67、ミラー65、それらを接続するファイバーと、ミラー65からの反射光を同一光路で光ファイバーカプラ62に導く光路、光ファイバーカプラ61a、61b、コリメータ73a、73b、PD74a、74b、差動増幅器75と、コンピュータ76、表示装置77とから成る。
以上述べた実施例1の農作物観測装置は、時間領域での光断層測定(TD−OCT)を行う装置であるが、波長領域での光断層測定(OFDR−OCT)を行う装置であってもよい。OFDR−OCTは、参照光を反射させるミラー65を機械的に動作させる必要がなく、測定精度向上や測定時間短縮の点で利点がある。
図5は、そのような変形例の農作物観測装置の構成を示した図である。図5のように、変形例の農作物観測装置は、主として、スーパーコンティニューム光源100と、光ファイバーカプラ261と、ミラー65と、X−Yガルバノスキャナ70と、回折格子270と、CCDカメラ271と、干渉波形解析手段であるコンピュータ76と、表示装置77と、によって構成されている。なお、同一の符号のものは実施例1の農作物観測装置と同様の構成部分であり、説明を省略する。
光ファイバーカプラ261は、2×2ポートの構造であり、その入力ポートの一方にはスーパーコンティニューム光源100からのSC光が入力される。光ファイバーカプラ261に入力した光は、測定光と参照光に分波されて2つの出力ポートから出力される。2つの出力ポートには、偏波面の方位を一定方向に安定させる偏波コントローラ63a、63bが接続されており、それらの出力には、それぞれコリメータ64a、64bが接続されている。
コリメータ64aを透過した参照光は、フィルタ262、可変NDフィルタ263を透過した後、ミラー65に入射する。フィルタ262は、ミラー65による分散を補償して、参照光の分散と測定光の分散を同一とするために設けたものである。また、可変NDフィルタ263は、透過率を可変とすることで透過する参照光の光量を調整するものであり、検出器の飽和を防ぎながら干渉信号の大きさを最適にするために設けたものである。ミラー65は、最も強い干渉が生じるような位置に固定されている。ミラー65で反射された参照光(反射参照光)は、同一光路を通り、光ファイバーカプラ261に入力する。
また、コリメータ64bを透過した測定光は、NDフィルタ264、X−Yガルバノスキャナ70により反射されて、レンズ71を介して、農作物72に照射される。農作物72で反射された測定光(反射測定光)は、同一光路を通り、光ファイバーカプラ261に入力する。
反射参照光と反射測定光は、光ファイバーカプラ261において合波されて干渉光が生成され、スーパーコンティニューム光源100が接続されているポートとは別のポートから出力される。そして、偏波コントローラ273によって偏波面を安定させた後、コリメータ274を透過する。
コリメータ274を透過した干渉光は、回折格子270に入射し、波長ごとに異なる方向に反射される。これをレンズ275によって波長ごとに平行光に変換した後、レンズ276によって波長ごとに集光する。その集光された干渉光はCCDカメラ271に入力する。
CCDカメラ271は、リニアイメージセンサを有し、干渉光の強度に応じた受光信号を出力する。そして、受光信号をPC76にて画像処理する。干渉光は波長ごとにCCDカメラ271の異なる位置に入射するため、波長ごとの干渉光の強度分布、つまり干渉光の波長スペクトルが得られ、これを逆フーリエ変換すれば、農作物72のある照射位置(x0,y0)に対する深さ方向z(時間軸)に関する干渉光の反射光強度D(x0,y0,z)、つまり1次元のグレー画像が得られる。そして、実施例1と同様に、X−Yガルバノスキャナ70によって農作物72への測定光の照射位置(x,y)を走査することで、3次元の反射光強度D(x,y,z)が得られ、これを画像処理することで農作物72の3次元のグレー画像を得ることができる。このようにして得られた画像は、表示装置77において表示される。この画像処理は、3次元の反射光強度D(x,y,z)を複数回取得して積算処理を行うものであってもよい。より高精度な画像を得ることができる。
コリメータ274と回折格子270の間の光路上にAOM(音響光学変調器)を設け、干渉光の回折格子270への入射角度を制御できるようにしてもよい。CCDカメラ271による波長スペクトル測定において、1画素当たりの波長帯域幅が変わるため、測定波長範囲や波長分解能を制御でき、測定精度の向上を図ることができる。もちろん、回折格子270の姿勢を機械的に制御することで、干渉光の回折格子270への入射角度を制御してもよい。
画像の取得に加えて、農作物72の分光情報(反射スペクトル)、つまり測定光の波長スペクトルを取得してもよい。これは、CCDカメラ271によって得られる受光信号をPC76にて解析することで抽出することができる。この分光情報と農作物72の3次元のグレー画像を組み合わせることで、農作物72内部の組成分布や、特定成分の濃度分布などを抽出することができる。
実施例1あるいはその変形例の農作物観測装置において、測定光系と参照光系とを一の筐体に納めて一体化し、手持ちが可能なハンディプローブとして構成してもよい。ハンディプローブとすることで、農作物72への測定光の照射位置を使用者が自在に変更でき、農作物72の断層画像の取得がより容易となる。たとえば、田畑において収穫前の農作物72をその場でリアルタイム計測することが容易となる。また、測定光系と参照光系を一体としているため、測定光系に手振れなどが生じた場合に、参照光系も同様に手振れなどが生じ、測定光、参照光ともに手振れの影響を受ける。そのため、手振れによる測定誤差をキャンセルして軽減することができる。特に、OFDR−OCTである変形例の農作物観測装置において、このようなハンディプローブが有効である。変形例の農作物観測装置では、実施例1の農作物観測装置とは異なり参照光系のミラー65を機械的に走査する必要がないため、ハンディプローブとしても測定誤差が少なくて済む。
図6は、変形例の農作物観測装置において、コリメータ64aを含む後段の参照光系と、コリメータ64bを含む後段の測定光系を、手による持ち運びが可能な筐体に納めて一体化し、ハンディプローブ300とした構成を示した図である。なお、コリメータ64a、bよりも前段部分をハンディプローブ300に納めてもよい。ただし、コリメータ64a、bより前段では光は光ファイバー内を伝搬するため手振れの影響が少なく、コリメータ64a、bより後段は光が空間を伝搬し、手振れの影響を大きく受けるため、ハンディプローブ300にはコリメータ64a、bよりも後段を納めれば十分である。
X−Yガルバノスキャナ70に測定光を照射する際、そのミラーの中心から少しずらした位置に照射するとよい。X−Yガルバノスキャナ70のミラー中心に測定光を照射する場合、干渉光強度の深さ方向(z方向)依存性において、正側か負側の一方のみしか使用することができなかった。つまり、基準位置に対して参照光の光路長が増加する方向の走査と減少する方向の走査を区別できなかった。しかし、上記のように中心からずらした位置に照射することで、正・負両側を使用することができるため、深さ方向の測定レンジを2倍にすることができる。その結果、測定精度の向上を図ることができる。
また、2つのSC光源を用意するなどして、SC光の中心波長を変えてそれぞれで農作物72の3次元のグレー画像を取得するようにしてもよい。両者の画像を比較して差異点を抽出することで、より詳細な内部構造を解析することができる。
また、OCT計測の際、農作物72の表面にジェルを塗布してもよい。ジェルによって農作物72の表面での反射を抑えることで、画像のノイズを低減することができ、より高精度な画像を取得することができる。
以上のようにして取得した農作物72の3次元のグレー画像から、種々の情報を抽出することができる。
第1に、農作物72の内部であって表面近傍の状態を、非破壊、非接触で高精度に観測することができる。光源として中心波長が0.7〜2.2μmのSC光を用いており、農作物72内部へとある程度侵入させることができるためである。また、SC光であるため帯域幅が広く、高分解能であるため、内部構造も高精度に観測することができる。特に、細胞壁や葉脈などの内部構造の観測に適している。果実の成熟度が高いほど細胞が大きくなる傾向があるため、細胞の大きさを観測することで果実の成熟度の評価が可能となる。
第2に、農作物72内部の糖類の濃度分布を抽出することができる。デンプン、セルロース、果糖、ショ糖などの糖類は、近赤外線領域に吸収を有している。そのため、取得した農作物72の画像において、その糖類の吸収によって画像の濃淡が生じる。その濃淡は、糖類の濃度、種類、結晶化度などに依存している。したがって、農作物72の3次元のグレー画像から、糖類の濃度分布を抽出することが可能である。抽出する方法としては、統計的な推定方法を用いることができ、たとえば、多変量解析などを用いることができる。特に、デンプンの濃度分布を高精度に求めることができる。農作物72内部のデンプンの濃度分布が分かれば、農作物72の成熟度などを非破壊、非接触で判断することができるようになる。成熟度が低いと、デンプンの結晶の角が取れて丸くなる傾向があり、デンプンの結晶間に隙間が生じる。その隙間によってクラックやデンプンの濃度分布が生じるため、成熟度の評価が可能となる。
農作物72の内部構造や糖類の濃度分布は、一の断面画像から評価してもよいが、複数の断面画像から評価することでより精度を向上させることができる。
また、上記の農作物72の内部構造や糖類の濃度分布の測定は、非破壊、非接触で行うことができるので、農作物72の収穫後のみならず、農作物72の育成中に行うこともでき、農作物72の品質評価に利用することができる。たとえば、収穫後あるいは育成中の米、麦、豆などの穀物の抽出評価に利用したり、トマト、ブドウ、モモなどの野菜類、果物類のフィールドでの検査に利用したりすることができる。特に、米の登熟度(デンプンの充填度、成熟度)の評価に好適である。
特に、食用米、酒米、ワイン用ブドウなどの農作物72に好適である。これらの農作物72は高い品質を求められるが、その成熟度の指標として糖度や充填率を評価する為に、従来は破壊的に測定するか、また、光学的な機器を用い非破壊的に評価する場合は、プローブ等を接触させる必要があること、その果皮組織の発達程度によっては誤差が生じることが問題であった。しかし、本発明の農作物観測方法を用いれば、育成中の段階で非破壊、非接触で農作物の内部の状態を短時間で観測することができるので、品質評価へのフィードバックなども容易となり、たとえば育成中において品質管理が可能となる。
次に、実施例1の農作物観測装置を用いて農作物を観測した結果について説明する。
図7〜9は、米について観測した結果を示した図である。図7は、コシヒカリ(玄米、正常米)、図8は、コシヒカリ変異体(玄米、正常米)、図9は、コシヒカリ変異体(玄米、腹白米)である。コシヒカリ変異体は登熟度が低くなる変異体であり、コシヒカリに比べ、米のデンプン粒の発達程度が低い。また、一般的な外観品質基準に従い正常米と腹白米とを分類している。図7〜9において(a)は、米の外観を示した光学顕微鏡写真であり、(b)は、OCT画像(深さ方向の断面画像であり、(a)におけるxz面での断面画像)である。OCT画像取得に用いたSC光は、中心波長1.7μm、半値幅242nm、分解能4.3μm、ビーム径は20μmである。
図7〜9のOCT画像を比較すると、コシヒカリとその変異体の識別、正常米と腹白米の識別が可能であることがわかる。図7〜9では、玄米のぬか層の部分が明瞭な黒色で示されており、コシヒカリ(玄米、正常米)では、図7のように、ぬか層直下の胚乳部分がほぼ均一な薄いグレーに表示されている。これに対し、コシヒカリ変異体(玄米、正常米)では、図8のように、ぬか層直下の胚乳部分は、濃い目のグレーで表示されている。また、コシヒカリ変異体(玄米、腹白米)では、図9のように、ぬか層直下の胚乳部分はやや薄いグレーであるが、ところどころ黒色の斑点が表示されている。このグレーの濃さと黒色の斑点は、米が未成熟のためデンプンの結晶化が不十分であり、それによりデンプン粒間にクラックや隙間が生じるためであると推察される。このOCT画像の濃淡は、デンプンの濃度や結晶化度を反映していると考えられる。このように、OCT画像の濃淡によって、米の内部の状態を非破壊、非接触で観測することができ、コシヒカリとその変異体の識別、正常米と腹白米の識別が可能となっている。
図10〜12は、白米について観測した結果を示した図である。図10は、コシヒカリ変異体(未熟米)、図11は、コシヒカリ変異体(正常米)、図12は、コシヒカリ(正常米)である。図10〜12において、(a)は白米を中央部で切断した断面のSEM画像であり、(b)は、OCT画像(深さ方向に垂直な断面画像)である。用いたSC光は図7〜9の場合と同様である。
図10〜12のSEM画像を見ると、デンプンの結晶化度の違いや、細かな線状のクラックの有無などに違いがあることが認められ、特に図12のコシヒカリ(正常米)では、非常に均一でなめらかな断面で、クラックが少ないことがわかる。
一方、図10〜12のOCT画像を見ると、胚乳部分の色の濃淡や、胚乳中の黒い斑点の数や大きさなどに違いがあることが認められる。特に、図12のコシヒカリ(正常米)では、黒い斑点が少なく、胚乳部分は薄いグレーでほぼ均一である。
このように、図7〜12のOCT画像によると、従来は米を切断してSEM画像を取得するなどしなければわからなかった米の内部の状態を、非破壊、非接触で観測できることがわかった。
図13は、イチゴの葉のOCT画像(深さ方向に垂直な断面画像で深さ150μm、1mm角)である。用いたSC光は図7〜9の場合と同様である。図13のように、ツリー状の濃いグレーの部分は、葉脈を示している。このように、実施例1の農作物観測装置を用いたOCT計測により、葉の葉脈を非破壊、非接触で観測できることがわかる。このように葉脈を観測できるのは、葉脈を構成する細胞の配置が周辺と異なるため、葉脈の構造とその周辺構造との各境界から反射、散乱が生じており、それがOCT画像に濃淡として現れるためである。OCT画像の取得に加えて分光情報を抽出することで、葉脈を構成する各成分の吸収の影響を観測することが可能となる。
図14は、トマトの葉のOCT画像(深さ方向の断面画像)である。用いたSC光は、図7〜9と同様である。OCT画像は、葉の表面側の断面、葉の裏側の断面、葉の裏側に反射防止のジェルを塗布したときの葉の裏側の断面、葉の近くの茎の断面、葉の近くの茎の別の箇所の断面を示している。図14のように、葉の場所によって異なる内部構造となっていることがわかる。また、葉の裏側に反射防止のジェルを塗布することで、OCT画像のノイズが低減されていることがわかる。
図15、16は、トマトの葉の表側のOCT画像であり、(a)は深さ方向の断面画像、(b)は深さ方向に垂直な断面画像である。また、図15は、SC光として中心波長0.8μm、半値幅120nmを用いており、図16は、SC光として、図7〜9と同様に、中心波長1.7μm、半値幅242nmを用いている。
図15、16のように、中心波長0.8μmと中心波長1.7μmとでは、OCT画像に差異があることがわかる。SC光の中心波長を短くすれば、内部への進入度合は低下するものの、より高解像度なOCT画像を取得できる。また、SC光の中心波長を短くすることで、OCT画像は、短波長側の吸収スペクトル、反射スペクトルを反映したものとなる。したがって、SC光の中心波長を変えて複数のOCT画像を取得し、それらのOCT画像を比較することで、より詳細な内部構造を解析することができる。
図17、18は、トマトの実のOCT画像(深さ方向の断面画像)を示した図である。用いたSC光は、図15と同様に、中心波長0.8μm、半値幅120nmである。
図17のOCT画像は、それぞれ以下の部分を計測したものである。1はトマトの実の赤い部分、2は同じく赤い部分であって表面に反射防止のジェルを塗布した場合、3は実のお尻部分、4は実の赤い部分であって皮を剥いた状態、5は実の赤い部分の皮を部分的に剥ぎ、皮を剥いだ部分と皮のある部分との境目部分、6は赤い皮の裏側、7は実の側面付近であって、ヘタから頂点に向かう方向での断面、を示している。
また、図18のOCT画像は、それぞれ以下の部分を計測したものである。8は実の赤い部分であってヘタ付近、9は実の切り口の硬い部分、10は実の切り口であって9よりは柔らかい部分、11は実の切り口であって10よりもさらに柔らかい部分、12はトマトの切り口の種部分、13はトマトの切り口であってヘタ付近の緑色部分、を示している。
図17、18のように、計測箇所の違いによって、トマトの実の内部の構造にも違いが生じていることがわかる。また、図17、18では、網目状に濃いグレーの部分が示されており、これはトマトの実の細胞壁を示している。この細胞の大きさは、トマトの実の成熟度を反映しており、成熟度が高いほど細胞が大きくなる傾向にある。そのため、細胞の大きさを観測して評価することで、トマトの成熟度を評価することができ、トマトの実の糖度などを推定することができる。
実施例2の農作物の生産方法では、まず、実施例1の農作物観測装置を用いた農作物観測方法により、農作物を収穫することなく、育成途中の段階において、農作物の内部状態を観測する。たとえば、農作物の成熟度や糖度分布、細胞の大きさや形状、葉の葉脈の太さや形状などである。これは全量検査、全数検査でもよいし、抜き取り検査としてもよい。そして、その観測結果を育成方法にフィードバックする。たとえば、光量の調整、追肥の有無や量、水やりの量、温度、湿度、土の状態などを調整する。育成方法の調整は、株単位や農作物単位で行うこともできる。農作物の内部状態の観測と、育成方法へのフィードバックを繰り返すことで、育成中の農作物の品質を適正に評価、管理することができる。また、農作物の内部状態を観測することで、適正な収穫時期を判断することができる。その結果、農作物の品質のばらつきを低減したり、農作物の品質向上を図ったりすることができ、より高品質で高付加価値の農産物を生産することができる。
本発明は、農作物の表面近傍の断面の詳細な状態を非破壊、非接触で観測することができるので、農作物の成熟度などを非破壊、非接触で検査することができる。また、収穫後の農作物のみならず、育成中の農作物についても観測することができる。そのため、農作物を育成しながら、随時、農作物の成熟度などを判定して、それを育成方針にフィードバックすることにより、農作物の品質のばらつきを低減したり、農作物の品質向上を図ったりすることができる。
100:スーパーコンティニューム光源
10:ファイバーレーザ
11:エルビウムドープ光ファイバー
12:フィルム
20:ファイバー増幅器
21:エルビウムドープ光ファイバー
22:パルス拡幅ファイバー
30:波長シフトファイバー
15、23、24:波長分割多重カプラ(WDM)
13、28、32:アイソレータ
50:高非線形光ファイバー
16、61a、61b、62、261:光ファイバーカプラ
270:回折格子
271:CCDカメラ
300:ハンディプローブ

Claims (15)

  1. 農作物の内部の状態を非破壊で観測する農作物観測方法であって、
    中心波長が0.7〜2.2μmのスーパーコンティニューム光を用いたOCT計測を行うことにより、前記農作物の内部の状態を観測する、
    ことを特徴とする農作物観測方法。
  2. 前記農作物内部の糖類の濃度分布を計測する、ことを特徴とする請求項1に記載の農作物観測方法。
  3. 前記農作物内部のデンプンの濃度分布を計測する、ことを特徴とする請求項2に記載の農作物観測方法。
  4. 前記農作物は米であり、デンプンの濃度分布の計測により登熟度を評価する、ことを特徴とする請求項3に記載の農作物観測方法。
  5. スーパーコンティニューム光として、中心波長が1.3〜2.0μmのものを用いて、デンプンの濃度分布を計測する、ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の農作物観測方法。
  6. 前記農作物内部の糖類の濃度分布は、多変量解析により推定する、ことを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれか1項に記載の農作物観測方法。
  7. 前記農作物の内部の細胞壁の状態を計測する、ことを特徴とする請求項1に記載の農作物観測方法。
  8. 前記農作物の葉の葉脈の状態を計測する、ことを特徴とする請求項1に記載の農作物観測方法。
  9. 前記OCT計測は、周波数領域で行うものであり、合わせて前記農作物の分光情報を取得する、ことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の農作物観測方法。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の農作物観測方法を用いて、農作物の内部の状態を観測し、その観測結果を元に、前記農作物の育成方法を調整して品質評価を行いながら農作物を育成する農作物の生産方法。
  11. 中心波長が0.7〜2.2μmのスーパーコンティニューム光を生成する光源と、
    前記光源からのスーパーコンティニューム光を分岐して、農作物に照射して反射光させる測定光を得るための測定光系と、
    その反射光との干渉光を得るための参照光を得る参照光系と、
    前記測定光と前記参照光との干渉光を得て、農作物の内部の状態を反映した干渉画像を得る画像生成装置と、
    を有することを特徴とする農作物観測装置。
  12. 前記参照光系と前記測定光系とを、手持ちが可能な筐体に一体に納めたハンディプローブを有する、ことを特徴とする請求項10に記載の農作物観測装置。
  13. 前記農作物観測装置は、周波数領域で前記干渉光の波形を取得する装置である、ことを特徴とする請求項12に記載の農作物観測装置。
  14. 前記農作物の分光情報を得る手段をさらに有する、ことを特徴とする請求項13に記載の農作物観測装置。
  15. 中心波長が0.7〜2.2μmのスーパーコンティニューム光を生成する光源であって、OCT計測によって農作物の内部の状態を非破壊で観測するためのスーパーコンティニューム光源。

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