JP2017180605A - ボールねじ及びそれに用いられるシール - Google Patents
ボールねじ及びそれに用いられるシール Download PDFInfo
- Publication number
- JP2017180605A JP2017180605A JP2016066492A JP2016066492A JP2017180605A JP 2017180605 A JP2017180605 A JP 2017180605A JP 2016066492 A JP2016066492 A JP 2016066492A JP 2016066492 A JP2016066492 A JP 2016066492A JP 2017180605 A JP2017180605 A JP 2017180605A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- screw shaft
- seal
- spiral groove
- peripheral surface
- ball
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Sealing Devices (AREA)
- Transmission Devices (AREA)
Abstract
【課題】ボールねじ及びそれに用いられるシールの低コスト化を図ることが可能な技術を提供する。【解決手段】ボールねじ1は、外周面に第1螺旋溝12が設けられたねじ軸10と、内周面に第2螺旋溝22が第1螺旋溝12と対向して設けられ、かつねじ軸10が貫通するナット20と、第1螺旋溝12及び第2螺旋溝22により形成されたボール転動路25内を転動する複数のボール26と、ナット20の移動方向の端部のうち、少なくとも一方の端部に取り付けられたシール30とを備えている。そして、シール30は、ねじ軸10が貫通する筒状部31と、筒状部31の外周面32及び内周面33に亘って貫通する貫通孔に挿入され、先端部が内周面33から突出して第1螺旋溝12に入り込む挿入部材とを有する。【選択図】図4
Description
本発明は、ナットの移動方向の端部にシールを備えたボールねじ及びそれに用いられるシールに関するものである。
ナットの移動方向の端部にシールを備えたボールねじの一例として、すり割り付きのシールを備えたボールねじが特許文献1に開示されている。このボールねじのシールは、ねじ軸が貫通する筒状部と、この筒状部の一端側とは反対側に設けられ、ナットの移動方向の端部に固定されるフランジ部とを有している。そして、シールは、筒状部の外周面から内周面に亘って貫通するすり割りと、筒状部の内周面から突出してねじ軸の螺旋溝に入り込むシール山とを有している。シール山は、ねじ軸の螺旋溝内のグリースを掻き取るためのものである。
ところで、上記のすり割り付きシールのように、筒状部の内周面にシール山を有する既存のシールでは、ねじ軸の螺旋溝内のグリースを掻き取るためのシール山を全て切削で加工している。しかしながら、ねじ軸及びナットはボール転動溝が螺旋溝であり、ねじ軸の螺旋溝に入り込むシール山も螺旋形状となる。このような形状のシールは加工が極めて難しく、製造に時間を要するため、シール自身の製造コストやそれを備えるボールねじの製造コストが割高となる。
本発明は、上記課題に着目してなされたものであり、本発明の目的は、ボールねじ及びそれに用いられるシールの低コスト化を図ることが可能な技術を提供することにある。
本発明は、上記課題に着目してなされたものであり、本発明の目的は、ボールねじ及びそれに用いられるシールの低コスト化を図ることが可能な技術を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係るボールねじは、外周面に第1螺旋溝が設けられたねじ軸と、内周面に第2螺旋溝が第1螺旋溝と対向して設けられ、かつねじ軸が貫通するナットと、第1螺旋溝及び第2螺旋溝により形成された転動路内を転動する複数のボールと、ナットの移動方向の端部のうち、少なくとも一方の端部に取り付けられたシールとを備えている。そして、シールは、ナットが貫通する筒状部と、筒状部の外周面及び内周面に亘って貫通する貫通孔に挿入され、かつ先端部が内周面から突出して第1螺旋溝に入り込む挿入部材とを有する。
また、上記課題を解決するため、本発明の一態様に係るシールは、複数のボールを介してナットとねじ軸とが相対移動するボールねじにおいて、ナットの移動方向の端部に取り付けられるシールであって、ねじ軸が貫通する筒状部と、筒状部の外周面及び内周面に亘って貫通する貫通孔に挿入され、先端部が内周面から突出して前記ねじ軸の螺旋溝に入り込む挿入部材とを有する。
本願の発明によれば、ボールねじ及びそれに用いられるシールの低コスト化を図ることが可能となる。
以下、本発明の一実施形態に係るボールねじ及びそれに用いられるシールについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、発明の実施形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の細部について記載される。しかしながら、かかる特定の細部がなくても1つ以上の実施形態が実施できることは明らかであろう。他にも、図面を簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
なお、以下の実施形態を説明するための全図において図面を見易くするため、後述するグリースの図示を省略している。
以下の詳細な説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するように多くの特定の細部について記載される。しかしながら、かかる特定の細部がなくても1つ以上の実施形態が実施できることは明らかであろう。他にも、図面を簡潔にするために、周知の構造及び装置が略図で示されている。
なお、以下の実施形態を説明するための全図において図面を見易くするため、後述するグリースの図示を省略している。
(実施形態1)
図1乃至図4に示すように、本発明の実施形態1に係るボールねじ1は、外周面11に第1螺旋溝12が設けられたねじ軸10と、内周面21(図4参照)に第2螺旋溝22(図4参照)が第1螺旋溝12と対向して設けられ、かつねじ軸10が貫通するナット20とを備えている。ねじ軸10及びナット20は、ねじ軸10の外周面11とナット20の内周面21とが対向するように同軸に配置されている。第1螺旋溝12及び第2螺旋溝22は同一のリードで形成されている。ナット20は、ねじ軸10が貫通する貫通孔を有する筒形状(例えば円筒形状)をなし、この貫通孔にねじ軸10が貫通するようにしてねじ軸10の周囲に設置されている。
図1乃至図4に示すように、本発明の実施形態1に係るボールねじ1は、外周面11に第1螺旋溝12が設けられたねじ軸10と、内周面21(図4参照)に第2螺旋溝22(図4参照)が第1螺旋溝12と対向して設けられ、かつねじ軸10が貫通するナット20とを備えている。ねじ軸10及びナット20は、ねじ軸10の外周面11とナット20の内周面21とが対向するように同軸に配置されている。第1螺旋溝12及び第2螺旋溝22は同一のリードで形成されている。ナット20は、ねじ軸10が貫通する貫通孔を有する筒形状(例えば円筒形状)をなし、この貫通孔にねじ軸10が貫通するようにしてねじ軸10の周囲に設置されている。
また、ボールねじ1は、図4に示すように、第1螺旋溝12及び第2螺旋溝22により形成されたボール転動路25内を転動する複数のボール26と、ナット20の移動方向の端部のうち、少なくとも一方の端部に取り付けられたシール30とを備えている。
また、ボールねじ1は、図示していないが、ボール転動路25の両端を繋いでボール26を循環させるボール戻し路を備えている。すなわち、ボールねじ1は、ボール転動路25及びボール戻し路により形成された無端状のボール循環路を有し、このボール循環路内を複数のボール26が循環するようになっている。
また、ボールねじ1は、図示していないが、ボール転動路25の両端を繋いでボール26を循環させるボール戻し路を備えている。すなわち、ボールねじ1は、ボール転動路25及びボール戻し路により形成された無端状のボール循環路を有し、このボール循環路内を複数のボール26が循環するようになっている。
ねじ軸10の第1螺旋溝12及びナット20の第2螺旋溝22は、その第1螺旋溝12の延伸方向と直交する断面形状が曲率中心の異なる2つの同一円弧を組み合わせた略V状であるゴシックアーク形状で形成されている。
ボールねじ1において、ボール26は、ボール転動路25内を移動しつつねじ軸10の周りを回ってボール転動路25の終点に至り、そこでボール転動路25からボール戻し路の一方の端部に入る。ボール戻し路に入ったボール26は、ボール戻し路内を通ってボール戻し路の他方の端部に達し、そこからボール転動路25の支点に戻されるようになっている。
ボールねじ1において、ボール26は、ボール転動路25内を移動しつつねじ軸10の周りを回ってボール転動路25の終点に至り、そこでボール転動路25からボール戻し路の一方の端部に入る。ボール戻し路に入ったボール26は、ボール戻し路内を通ってボール戻し路の他方の端部に達し、そこからボール転動路25の支点に戻されるようになっている。
したがって、ボールねじ1は、ねじ軸10とナット20とを相対回転運動させると、ボール転動路25内でのボール26の転動を介して、ねじ軸10とナット20が中心軸方向に相対直線移動するようになっている。そして、ボール26は、無端状の循環経路内を無限に循環するようになっているため、ねじ軸10とナット20とは継続的に相対直線移動することができる。
ねじ軸10は、図示していないが、ボールねじ1が設置される機台に回転自在に軸支され、モータ等の回転駆動源に連結されている。また、ナット20の一方の端部にはフランジ部23が設けられる。例えばこのフランジ部23を介して、このボールねじ1により進退駆動される移動テーブル等の移動体が装着される。したがって、ねじ軸10の回転によりナット20を介して移動体を移動するようになっている。
シール30は、図1乃至図4に示すように、少なくともナット20の移動方向の後方の端部に取り付けられている。ここで、上述したように、ねじ軸10に対してナット20が移動するボールねじ1にあっては、移動方向の前方と後方とが相対的に換わるため、ナット20の軸方向(移動方向)の両端にシール30がそれぞれ取り付けられていることが好ましい。実施形態1では、ナット20の移動方向の両端のうち、一方の端部にシール30Aが取り付けられ、他方の端部にシール30Bが取り付けられている。シール30は、例えば高分子ポリエチレン樹脂などの樹脂性材料で形成されている。このシール30は、ねじ軸10の外周面11及び第1螺旋溝12内の表面を含む外周表面へのグリース堆積を抑制し、グリースの飛散を低減する機能を有する。
図4及び図5に示すように、シール30は、ナット20が貫通する筒状部31と、筒状部31の外周面32及び内周面33に亘って貫通する貫通孔34と、この貫通孔34に挿入され、先端部41が内周面33から突出して第1螺旋溝12に入り込む挿入部材40とを有している。また、シール30は、筒状部31の一端側とは反対側の他端側に筒状部31の外周面32よりも外側に突出するフランジ部35と、筒状部31の一端側からフランジ部35に向かって延伸するすり割り36とを有している。そして、シール30は、ナット20の移動方向の端部に設けられた凹部にフランジ部35が嵌め込まれ、かつ筒状部31がナット20の移動方向の端部から突出する状態でナット20の移動方向の端部に固定されている。
すり割り36は、ねじ軸10の中心軸Xに沿って延伸し、また、ねじ軸10の半径方向に対して傾斜している。すり割り36の数は、例えば筒状部31の円周方向に等間隔で6箇所設けられているが、その数は、後述の機能を考慮して他の数とすることも可能である。
すり割り36は、図6に示すように、ねじ軸10の直径方向の仮想線L1に対して、ねじ軸10が右ねじのときに筒状部31の外側端面からねじ軸10の軸方向に見て反時計回り方向に角度β1を以て傾斜させてある。図示のねじ軸10は右ねじであり、図6は図4の左側のシール30(30B)を図4の左方から見た状態を示している。なお、図4の右側のシール30(30A)を図4の右方から見ても図6のシール30(30B)と同一に表れる。ただし、すり割り36の傾斜方向に対してねじ軸10の回転方向が逆方向になる。また、ねじ軸10が左ねじの場合には、すり割り36の傾斜角度β1は右ねじの場合とは逆に、仮想線L1に対して時計回り方向に傾斜させることになる。
すり割り36は、図6に示すように、ねじ軸10の直径方向の仮想線L1に対して、ねじ軸10が右ねじのときに筒状部31の外側端面からねじ軸10の軸方向に見て反時計回り方向に角度β1を以て傾斜させてある。図示のねじ軸10は右ねじであり、図6は図4の左側のシール30(30B)を図4の左方から見た状態を示している。なお、図4の右側のシール30(30A)を図4の右方から見ても図6のシール30(30B)と同一に表れる。ただし、すり割り36の傾斜方向に対してねじ軸10の回転方向が逆方向になる。また、ねじ軸10が左ねじの場合には、すり割り36の傾斜角度β1は右ねじの場合とは逆に、仮想線L1に対して時計回り方向に傾斜させることになる。
すり割り36は、ねじ軸10の中心軸Xの方向及び角度β1の傾斜方向の何れも同一の幅寸法で形成されている。このため、すり割り36の内側の対向する2つの面(筒状部31のすり割り36内での対向端面)36a,36bは相互に平行な面をなしていて、角度β1で傾斜している。そして、この2つの面36a,36bのうち、ねじ軸10の回転方向Bの側にある面36bでは、筒状部31の内周面33との角度が鋭角になって、ここにエッジ部36cを形成している。
すり割り36は、上述したように、ねじ軸10の直径方向の仮想線L1に対して、ねじ軸10が右ねじのときに筒状部31の外側端面からねじ軸10の軸方向に見て反時回り計方向に角度β1で傾斜している。このため、ねじ軸10がナット20から送り出される側のシール30では、筒状部31のすり割り36がねじ軸1に一定以上の膜厚で残るグリースを掻き取る。
一方、ねじ軸10がナット20内へ送り込まれる側のシール30では、すり割り36の反時計回り方向の傾斜がねじ軸10の回転方向に対して逆方向になるため、ナット20からグリースが漏れない。
貫通孔34は、ねじ軸10の第1螺旋溝12と同位相の位置に配置されている。この実施形態1では、例えば筒状部31の互いに反対側に位置する2箇所に貫通孔34が設けられている。
貫通孔34は、ねじ軸10の第1螺旋溝12と同位相の位置に配置されている。この実施形態1では、例えば筒状部31の互いに反対側に位置する2箇所に貫通孔34が設けられている。
図5に示すように、挿入部材40は、一端側に先端部41を含む本体部42と、この本体部42の他端側に幅広で設けられた頭部43とを有している。そして、挿入部材40は、本体部42が貫通孔34に挿入され、本体部42の先端部41がねじ軸10の第1螺旋溝12内に入り込む。頭部43はシール30の筒状部31の外周面32の外側に位置し、貫通孔34に本体部42を挿入したときに第1螺旋溝12内に位置する先端部41の位置決めを行う。この実施形態1において、挿入部材40は、例えば本体部42及び頭部43が円柱状で形成され、先端部41が凸球面体で形成されている。すなわち、挿入部材40は、段付きのピン型で形成されている。挿入部材40は、シール30と同様の材料、例えば高分子ポリエチレン樹脂などの樹脂性材料で形成されている。また、挿入部材40は、貫通孔34に圧入又は接着剤を介して固定されている。
挿入部材40は、筒状部31に対して個別の部品として形成されている。そして、挿入部材40は、筒状部31の貫通孔34に挿入されることにより、先端部41がねじ軸10の第1螺旋溝12に入り込むようになっている。そして、挿入部材40は、従来のシールのシール山と同様に、例えば、ねじ軸10の回転により、ねじ軸10の第1螺旋溝12内のグリースを掻き取るようになっている。すなわち、シール30は、筒状部31の貫通孔34に挿入部材40を挿入することにより、ねじ軸10の第1螺旋溝12内のグリースを掻き取る機能を得ることができるので、内周面にシール山を切削加工で形成する従来のシールと比較して短時間で製造することができる。
図5に示すように、挿入部材40の先端部41は、ねじ軸10の第1螺旋溝12内の表面から離間している。そして、ねじ軸10の外周面11及び第1螺旋溝12内の表面を含む外周表面と、シール30の内周面33及び挿入部材40の先端部41の表面を含む内周表面との間には、隙間Sが設けられている。この隙間Sは、シール30の一端側から他端側に亘って連続的に形成されている。隙間Sは0.3mm以下であることが好ましい。
次に、実施形態1に係るボールねじ1の動作について説明する。
ボールねじ1の運転時には、ナット20とねじ軸10との間の空間にグリースを充填した状態で運転する。ここで、例えば、ねじ軸10を図4において左から右方向に見て回転方向Bに左回転させると、ナット20は図4において右方向に移動する。このナット20の移動は、ナット20内のグリースを、シール30の内周面32及び挿入部材40の先端部41の表面を含む内周表面と、ねじ軸10の外周面11及び第1螺旋溝12内の表面を含む外周表面との間の隙間Sから、ねじ軸10の外周表面に一定の膜厚となって残留させながら行われる。
ボールねじ1の運転時には、ナット20とねじ軸10との間の空間にグリースを充填した状態で運転する。ここで、例えば、ねじ軸10を図4において左から右方向に見て回転方向Bに左回転させると、ナット20は図4において右方向に移動する。このナット20の移動は、ナット20内のグリースを、シール30の内周面32及び挿入部材40の先端部41の表面を含む内周表面と、ねじ軸10の外周面11及び第1螺旋溝12内の表面を含む外周表面との間の隙間Sから、ねじ軸10の外周表面に一定の膜厚となって残留させながら行われる。
このとき、ナット20内からねじ軸10の外周表面に付着して外部に出ようとするグリースは、シール30の筒状部31においてすり割り36及び挿入部材40の先端部41により掻き取られるため、ねじ軸10の外周表面に残るグリースは上記の膜厚を超えることはない。
ねじ軸10の外周表面にあって隙間Sの厚みを超える量のグリースは、ねじ軸10の回転により相対的にねじ軸10の軸方向に移動するナット20から、その内部にあったグリースがねじ軸10の外周表面に付着したまま残留して外部に出されようとするときに、シール30の筒状部31に、すり割り36によって形成されたシール30のエッジ部36cにより、ナット20の外部に出されようとするグリースが掻き取られ、その掻き取られたグリースは、続いてすり割り36を介して遠心方向遠心方向に押し出されて筒状部31の外周面32にまで至る。
ねじ軸10の外周表面にあって隙間Sの厚みを超える量のグリースは、ねじ軸10の回転により相対的にねじ軸10の軸方向に移動するナット20から、その内部にあったグリースがねじ軸10の外周表面に付着したまま残留して外部に出されようとするときに、シール30の筒状部31に、すり割り36によって形成されたシール30のエッジ部36cにより、ナット20の外部に出されようとするグリースが掻き取られ、その掻き取られたグリースは、続いてすり割り36を介して遠心方向遠心方向に押し出されて筒状部31の外周面32にまで至る。
このとき、ナット20内の余分なグリースが排出されるシール30の筒状部31の外周面32は、グリースに遠心力が作用しない場所である。このため、グリースが遠心力により周囲に飛散することがなく、ねじ軸10の下方に自重で滴るように落下する。したがって、グリースの飛散による弊害は生じない。
こうして、シール30のすり割り36により余分なグリースが落下するのは、ナット20が移動する際にその後側になるシール30Bからである。したがって、図4の場合は、ねじ軸10が図4の左から右を見て左回りしたときに、ナット20は図4において右方向に移動し、そのときに後側となる図4の左側のシール30Bからグリースが落下するものである。したがって、ねじ軸10が図4の左から右を見て左回りに対して逆方向の右回り回転すると、ナット20は図4において左方向に移動し、そのときに後側となる図4の右側のシール30Aからグリースが同様に落下する。
こうして、シール30のすり割り36により余分なグリースが落下するのは、ナット20が移動する際にその後側になるシール30Bからである。したがって、図4の場合は、ねじ軸10が図4の左から右を見て左回りしたときに、ナット20は図4において右方向に移動し、そのときに後側となる図4の左側のシール30Bからグリースが落下するものである。したがって、ねじ軸10が図4の左から右を見て左回りに対して逆方向の右回り回転すると、ナット20は図4において左方向に移動し、そのときに後側となる図4の右側のシール30Aからグリースが同様に落下する。
以上説明したように、実施形態1に係るボールねじ1は、ナット20の内部にあったグリースが、ナット20の移動方向の後方端部に設けられたシール30Bの筒状部31の外周面32に排出される。このため、ナット20内の余分なグリースは、ねじ軸10の遠心力が作用しにくい位置で外部に取り出されるので、周囲に飛散することがない。
そして、実施形態1に係るボールねじ1は、ナット20の移動方向の端部のうち、少なくとも一方の端部にシール30を備えている。このシール30は、ねじ軸10の第1螺旋溝12内のグリースを掻き取る機能を筒状部31の貫通孔34に挿入部材40を挿入することで得ることができるので、内周面にシール山を切削加工で形成する従来のシールと比較して短時間で製造することができ、低コスト化を図ることができる。そして、このシール30を備えたボールねじ1においても低コスト化を図ることができる。
そして、実施形態1に係るボールねじ1は、ナット20の移動方向の端部のうち、少なくとも一方の端部にシール30を備えている。このシール30は、ねじ軸10の第1螺旋溝12内のグリースを掻き取る機能を筒状部31の貫通孔34に挿入部材40を挿入することで得ることができるので、内周面にシール山を切削加工で形成する従来のシールと比較して短時間で製造することができ、低コスト化を図ることができる。そして、このシール30を備えたボールねじ1においても低コスト化を図ることができる。
挿入部材40は、従来のシールのシール山を代替えすることができ、一箇所若しくは数箇所あれば、ねじ軸10の第1螺旋溝12内のグリースを掻き取ることが可能である。この実施形態1では、シール30の筒状部31において、ねじ軸10の第1螺旋溝12と同位相の位置に貫通孔34を設け、この貫通孔34に挿入部材40を挿入することでねじ軸10の第1螺旋溝12内のグリースを掻き取る機能を得ているので、ねじ軸10の第1螺旋溝12と同位相の位置であれば挿入部材40の数及び配置を自由に行うことができる。また、このようにすることで、掻き取られた余分なグリースの堆積場所も限定でき、ボールねじ1を装着した装置内でのクリーン化に貢献できる。
なお、貫通孔は、挿入部材40の頭部43も挿入が可能となるように、段付き形状で形成してもよい。
なお、貫通孔は、挿入部材40の頭部43も挿入が可能となるように、段付き形状で形成してもよい。
(実施形態2)
図7に示すように、本発明の実施形態2に係るボールねじ1Aは、上述の実施形態1に係るボールねじ1と同様に、ねじ軸10と、ナット20と、ボール転動路25及びボール戻し路を含むボール循環路と、複数のボール26と、シール51(51A,51B)とを備えている。そして、シール51は、実施形態1のシール30と同様に、筒状部31と、筒状部31の外周面32及び内周面33に亘って貫通する貫通孔34と、フランジ部35と、すり割り36とを有している。更に、シール51は、実施形態1の挿入部材40に換えて挿入部材40Aを有している。
図7に示すように、本発明の実施形態2に係るボールねじ1Aは、上述の実施形態1に係るボールねじ1と同様に、ねじ軸10と、ナット20と、ボール転動路25及びボール戻し路を含むボール循環路と、複数のボール26と、シール51(51A,51B)とを備えている。そして、シール51は、実施形態1のシール30と同様に、筒状部31と、筒状部31の外周面32及び内周面33に亘って貫通する貫通孔34と、フランジ部35と、すり割り36とを有している。更に、シール51は、実施形態1の挿入部材40に換えて挿入部材40Aを有している。
図8に示すように、挿入部材40Aは、実施形態1の挿入部材40と同様に、一端側に先端部41を含む本体部42と、この本体部42の他端側に幅広で設けられた頭部43とを有し、段付きのピン型で形成されている。そして、挿入部材40Aの先端部41は、図8に示すように、ねじ軸10の第1螺旋溝12内の表面にボール26が接触するボール接触点Pを避けてねじ軸10の第1螺旋溝12内の表面と接触している。この実施形態2では、挿入部材40Aの先端部41にボール接触点Pを跨ぐようにして凹部41aが設けられている。
このように、挿入部材40Aの先端部41が、ボール接触点Pを避けてねじ軸10の第1螺旋溝12内の表面と接触していることから、ボール接触点Pにグリースを掻き集めながらねじ軸10の第1螺旋溝12内のグリースを掻き取ることができる。
また、ボール26とねじ軸10の第1螺旋溝12との間にグリースからなる油膜が形成されるので、剥離や摩耗などの発生を抑制することができる。このため、ボールねじ1Aを長期に亘って走行することができる。
また、ボール26とねじ軸10の第1螺旋溝12との間にグリースからなる油膜が形成されるので、剥離や摩耗などの発生を抑制することができる。このため、ボールねじ1Aを長期に亘って走行することができる。
(実施形態3)
図9に示すように、本発明の実施形態2に係るボールねじ1Bは、上述の実施形態1に係るボールねじ1と同様に、ねじ軸10と、ナット20と、ボール転動路25及びボール戻し路を含むボール循環路と、複数のボール26と、シール52(52A,52B)とを備えている。そして、シール52は、実施形態1のシール30と同様に、筒状部31と、筒状部31の外周面32及び内周面33に亘って貫通する貫通孔34と、フランジ部35と、すり割り36とを有している。更に、シール52は、実施形態1の挿入部材40に換えて挿入部材40Bを有している。
図9に示すように、本発明の実施形態2に係るボールねじ1Bは、上述の実施形態1に係るボールねじ1と同様に、ねじ軸10と、ナット20と、ボール転動路25及びボール戻し路を含むボール循環路と、複数のボール26と、シール52(52A,52B)とを備えている。そして、シール52は、実施形態1のシール30と同様に、筒状部31と、筒状部31の外周面32及び内周面33に亘って貫通する貫通孔34と、フランジ部35と、すり割り36とを有している。更に、シール52は、実施形態1の挿入部材40に換えて挿入部材40Bを有している。
図10に示すように、挿入部材40Bは、実施形態1の挿入部材40と同様に、一端側に先端部41を含む本体部42と、この本体部42の他端側に幅広で設けられた頭部43とを有し、段付きのピン型で形成されている。そして、挿入部材40Bの先端部41は、図10に示すように、ねじ軸10の第1螺旋溝12内の表面にボール26が接触するボール接触点Pよりもねじ軸10の中心軸側でねじ軸10の第1螺旋溝内の表面と接触している。このように、挿入部材40Bの先端部41がボール接触点Pよりもねじ軸10の中心軸X側でねじ軸10の第1螺旋溝12内の表面と接触していることから、ボール接触点Pにグリースを掻き集めながらねじ軸10の第1螺旋溝12内のグリースを掻き取ることができる。
また、ボール26とねじ軸10の第1螺旋溝12との間にグリースからなる油膜が形成されるので、剥離や摩耗などの発生を抑制することができる。このため、ボールねじ1Bを長期に亘って走行することができる。
なお、前述の実施形態1乃至3では、段付きピン型の挿入部材40,40A,40Bを用いたが、変形例として図11に示す挿入部材53を用いてもよい。挿入部材53は、一端側に先端部53aを含む本体部53bと、この本体部53bの他端側に幅広で設けられた頭部53cとを有している。そして、挿入部材53は、例えば本体部53b及び頭部53cが矩形状で形成され、先端部53aは厚さを持った凸状のアーチ形状で形成されている。
なお、前述の実施形態1乃至3では、段付きピン型の挿入部材40,40A,40Bを用いたが、変形例として図11に示す挿入部材53を用いてもよい。挿入部材53は、一端側に先端部53aを含む本体部53bと、この本体部53bの他端側に幅広で設けられた頭部53cとを有している。そして、挿入部材53は、例えば本体部53b及び頭部53cが矩形状で形成され、先端部53aは厚さを持った凸状のアーチ形状で形成されている。
(実施形態4)
実施形態4では、ワイパー式のシール60を備えたボールねじ2について説明する。
図12乃至図14に示すように、本発明の実施形態4に係るボールねじ2は、上述の実施形態1に係るボールねじ1と同様に、ねじ軸10と、ナット20と、ボール転動路25及びボール戻し路を含むボール循環路と、複数のボール26と、ワイパー式のシール60(60A,60B)とを備えている。
実施形態4では、ワイパー式のシール60を備えたボールねじ2について説明する。
図12乃至図14に示すように、本発明の実施形態4に係るボールねじ2は、上述の実施形態1に係るボールねじ1と同様に、ねじ軸10と、ナット20と、ボール転動路25及びボール戻し路を含むボール循環路と、複数のボール26と、ワイパー式のシール60(60A,60B)とを備えている。
シール60は、少なくともナット20の移動方向の後方の端部に取り付けられている。この実施形態4では、ナット20の移動方向の両端のうち、一方の端部にシール60Aが取り付けられ、他方の端部にシール60Bが取り付けられている。シール60は、例えば高分子ポリエチレン樹脂などの樹脂性材料で形成されている。
図14に示すように、シール60は、ナット20が貫通する筒状部61と、筒状部61の外周面62及び内周面63に亘って貫通する貫通孔64と、この貫通孔64に挿入され、先端部41が内周面63から突出して第1螺旋溝12に入り込む挿入部材40とを有している。また、シール60は、筒状部61の一端側とは反対側の他端側に筒状部61の外周面62よりも外側に突出するフランジ部65と、筒状部61の一端側からフランジ部65に向かって延伸するすり割り66とを有している。また、シール60は、リング状のガータースプリング67を有している。そして、シール60は、ナット20の移動方向の端部に設けられた凹部にフランジ部65が嵌め込まれ、かつ筒状部61がナット20の移動方向の端部から突出する状態でナット20の移動方向の端部に固定されている。
すり割り66は、ねじ軸10の中心軸Xに対して傾斜し、また、ねじ軸10の半径方向に対して傾斜している。すり割り66の数は、例えば筒状部61の円周方向に等間隔で6箇所設けられている。
すり割り66は、図15に示すように、ねじ軸10の直径方向の仮想線L2に対して、ねじ軸10が右ねじのときに筒状部61の外側端面からねじ軸10の軸方向に見て時計回り方向に角度β2を以て傾斜させてある。図示のねじ軸10は右ねじであり、図15は図14の左側のシール60(60B)を図14の左方から見た状態を示している。なお、図14の右側のシール60(60A)を図14の右方から見ても図15のシール60(60B)と同一に表れる。また、ねじ軸10が左ねじの場合には、すり割り66の傾斜角度β2は右ねじの場合とは逆に、仮想線L2に対して反時回り計方向に傾斜させることになる。
すり割り66は、図15に示すように、ねじ軸10の直径方向の仮想線L2に対して、ねじ軸10が右ねじのときに筒状部61の外側端面からねじ軸10の軸方向に見て時計回り方向に角度β2を以て傾斜させてある。図示のねじ軸10は右ねじであり、図15は図14の左側のシール60(60B)を図14の左方から見た状態を示している。なお、図14の右側のシール60(60A)を図14の右方から見ても図15のシール60(60B)と同一に表れる。また、ねじ軸10が左ねじの場合には、すり割り66の傾斜角度β2は右ねじの場合とは逆に、仮想線L2に対して反時回り計方向に傾斜させることになる。
すり割り66は、ねじ軸10の中心軸Xに対して傾斜する方向及び角度β2の傾斜方向の何れも同一の幅寸法で形成されている。このため、すり割り66の内側の対向する2つの面(筒状部61のすり割り66内での対向端面)66a,66bは相互に平行な面をなしていて、角度β2で傾斜している。そして、この2つの面66a,66bのうち、ねじ軸10の回転方向Bの側とは反対側にある面66aでは、筒状部61の内周面63との角度が鋭角になって、ここにエッジ部66cを形成している。
筒状部61の外周面62には環状のスプリング溝68が設けられている。スプリング溝68にはガータースプリング67が筒状部61の円周方向に沿って嵌め込まれている。筒状部61は、外周からガータースプリング67で内方に向かって締め付けられ、ねじ軸10の外周面11に内周面21が密着している。すなわち、シール60は、内周面63がねじ軸10の外周面11に接触する接触式になっている。
このボールねじ2では、ねじ軸10の回転により相対的にナット20が軸方向に移動すると、ねじ軸10がナット20内へ送り込まれる側のシール60において、ナット20の外部においてねじ軸10の外周面11に付着していた異物がすり割り66によって形成されたシール60のエッジ部66cで掻き取られる。そして、掻き取られた異物はすり割り66によって形成された傾斜面に沿って遠心方向に掻き出される。
貫通孔64は、ねじ軸10の第1螺旋溝12と同位相の位置に配置されている。この実施形態4では、例えば筒状部61の互いに反対側に位置する2箇所に貫通孔64が設けられている。
前記挿入部材40は、貫通孔64に圧入又は接着材を介して固定されている。挿入部材40は、筒状部61に対して個別の部品として形成されている。そして、挿入部材40は、筒状部61の貫通孔64に挿入されることにより、先端部41がねじ軸10の第1螺旋溝12に入り込むようになっている。そして、挿入部材40は、従来のシールのシール山と同様に、ねじ軸10の回転により、ねじ軸10の第1螺旋溝12内のグリースを掻き取るようになっている。すなわち、シール60は、筒状部61の貫通孔64に挿入部材40を挿入することにより、ねじ軸10の第1螺旋溝12内のグリースを掻き取る機能を得ることができるので、内周面にシール山を切削加工で形成する従来のシールと比較して短時間で製造することができる。
前記挿入部材40は、貫通孔64に圧入又は接着材を介して固定されている。挿入部材40は、筒状部61に対して個別の部品として形成されている。そして、挿入部材40は、筒状部61の貫通孔64に挿入されることにより、先端部41がねじ軸10の第1螺旋溝12に入り込むようになっている。そして、挿入部材40は、従来のシールのシール山と同様に、ねじ軸10の回転により、ねじ軸10の第1螺旋溝12内のグリースを掻き取るようになっている。すなわち、シール60は、筒状部61の貫通孔64に挿入部材40を挿入することにより、ねじ軸10の第1螺旋溝12内のグリースを掻き取る機能を得ることができるので、内周面にシール山を切削加工で形成する従来のシールと比較して短時間で製造することができる。
以上説明したように、実施形態4に係るボールねじ2は、ナット20の移動方向の端部のうち、少なくとも一方の端部にシール60を備えている。このシール60は、ねじ軸10の第1螺旋溝12内のグリースを掻き取る機能を筒状部61の貫通孔64に挿入部材40を挿入することで得ることができるので、内周面にシール山を切削加工で形成する従来のシールと比較して短時間で製造することができ、低コスト化を図ることができる。そして、このシール60を備えたボールねじ2においても低コスト化を図ることができる。
また、シール60は接触式であるが、ねじ軸10の第1螺旋溝12と接する部分が少なくなるため、ねじ軸の回転に伴うシールの発熱やボールねじの発熱を防ぐことができる。
また、このボールねじ2では、ガータースプリング67の締め付け力によりシール60がねじ軸10の第1螺旋溝12の底に接触しているため、ナット20内への異物の混入を抑制することができる。
また、このボールねじ2では、ガータースプリング67の締め付け力によりシール60がねじ軸10の第1螺旋溝12の底に接触しているため、ナット20内への異物の混入を抑制することができる。
なお、貫通孔64は、挿入部材40の頭部43も挿入が可能となるように、段付き形状で形成してもよい。
また、挿入部材40に換えて、図7及び図8に示す挿入部材40Aや図9及び図10に示す挿入部材40Bを用いてもよい。
また、貫通孔64はすり割り66と繋がっていてもよい。また、貫通孔64と挿入部材40とはガータースプリング67で固定してもよい。
また、挿入部材40に換えて、図7及び図8に示す挿入部材40Aや図9及び図10に示す挿入部材40Bを用いてもよい。
また、貫通孔64はすり割り66と繋がっていてもよい。また、貫通孔64と挿入部材40とはガータースプリング67で固定してもよい。
(実施形態5)
実施形態5では、ラビリンスシール70を備えたボールねじ4について説明する。
図16乃至図18に示すように、本発明の実施形態5に係るボールねじ3は、上述の実施形態1に係るボールねじ1と同様に、ねじ軸10と、ナット20と、ボール転動路25及びボール戻し路を含むボール循環路と、複数のボール26とを備えている。そして、ボールねじ3は、実施形態1のシール30に換えてラビリンスシール70(70A,70B)を備えている。
実施形態5では、ラビリンスシール70を備えたボールねじ4について説明する。
図16乃至図18に示すように、本発明の実施形態5に係るボールねじ3は、上述の実施形態1に係るボールねじ1と同様に、ねじ軸10と、ナット20と、ボール転動路25及びボール戻し路を含むボール循環路と、複数のボール26とを備えている。そして、ボールねじ3は、実施形態1のシール30に換えてラビリンスシール70(70A,70B)を備えている。
ラビリンスシール70は、少なくともナット20の移動方向の後方の端部に取り付けられている。この実施形態5では、ナット20の移動方向の両端のうち、一方の端部にラビリンスシール70Aが取り付けられ、他方の端部にラビリンスシール70Bが取り付けられている。ラビリンスシール70は、例えば高分子ポリエチレン樹脂などの樹脂性材料で形成されている。
図18に示すように、ラビリンスシール70は、ナット20が貫通する筒状部71と、筒状部71の外周面72及び内周面73に亘って貫通する貫通孔74と、この貫通孔74に挿入され、先端部41が内周面73から突出して第1螺旋溝12に入り込む挿入部材40とを有している。そして、ラビリンスシール70は、ナット20の移動方向の端部に設けられた凹部に筒状部71の他端側が嵌め込まれ、かつ筒状部71の一端側がナット20の移動方向の端部から突出する状態でナット20の移動方向の端部に固定されている。
ラビリンスシール70は、ねじ軸10の外周面11及び第1螺旋溝12内の表面を含む外周表面と、筒状部71の内周面73及び挿入部材40の先端部41の表面を含む内周表面とが接触する接触式で形成されている。
貫通孔74は、ねじ軸10の第1螺旋溝12と同位相の位置に配置されている。この実施形態5では、例えば筒状部71の4箇所に貫通孔74が設けられている。貫通孔74は、挿入部材40の頭部43も挿入が可能となるように、段付き形状で形成されている。
貫通孔74は、ねじ軸10の第1螺旋溝12と同位相の位置に配置されている。この実施形態5では、例えば筒状部71の4箇所に貫通孔74が設けられている。貫通孔74は、挿入部材40の頭部43も挿入が可能となるように、段付き形状で形成されている。
挿入部材40は、貫通孔74に圧入又は接着材を介して固定されている。挿入部材40は、筒状部71に対して個別の部品として形成されている。挿入部材40は、筒状部71の貫通孔74に挿入されることにより、先端部41がねじ軸10の第1螺旋溝12に入り込むようになっている。そして、挿入部材40は、従来のシールのシール山と同様に、ねじ軸10の回転により、ねじ軸10の第1螺旋溝12内のグリースを掻き取るようになっている。すなわち、ラビリンスシール70は、筒状部71の貫通孔74に挿入部材40を挿入することにより、ねじ軸10の第1螺旋溝12内のグリースを掻き取る機能を得ることができるので、内周面にシール山を切削加工で形成する従来のシールと比較して短時間で製造することができる。
以上説明したように、実施形態5に係るボールねじ3は、ナット20の移動方向の端部のうち、少なくとも一方の端部にラビリンスシール70を備えている。このラビリンスシール70は、ねじ軸10の第1螺旋溝12内のグリースを掻き取る機能を筒状部71の貫通孔74に挿入部材40を挿入することで得ることができるので、内周面にシール山を切削加工で形成する従来のシールと比較して短時間で製造することができ、低コスト化を図ることができる。そして、このラビリンスシール70を備えたボールねじ3においても低コスト化を図ることができる。
また、ラビリンスシール70は接触式であるが、ねじ軸10の第1螺旋溝12と接する部分が少なくなるため、ねじ軸10の回転に伴うラビリンスシール70の発熱やボールねじ3の発熱を防ぐことができる。
また、挿入部材40に換えて、図7及び図8に示す挿入部材40Aや図9及び図10に示す挿入部材40Bを用いてもよい。
また、挿入部材40に換えて、図7及び図8に示す挿入部材40Aや図9及び図10に示す挿入部材40Bを用いてもよい。
以上、本発明を上記一実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記一実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
1,1A,1B,2,3…ボールねじ
10…ねじ軸
11…外周面
12…第1螺旋溝
20…ナット
21…内周面
22…第2螺旋溝
23…フランジ部
25…ボール転動路
26…ボール
30,30A,30B…シール
31…筒状部
32…外周面
33…内周面
34…貫通孔
35フランジ部
36…すり割り
40…挿入部材
41…先端部,41a…凹部
42…本体部
43…頭部
51,51A,51B…シール
52,52A,52B…シール
53…挿入部材,53a…先端部,53b…本体部,53c…頭部
60…シール
61…筒状部
62…外周面
63…内周面
64…貫通孔
65…フランジ部
66…すり割り
67…ガータースプリング
68…スプリング溝
70…ラビリンスシール
71…筒状部
72…外周面
73…内周面
74…貫通孔
10…ねじ軸
11…外周面
12…第1螺旋溝
20…ナット
21…内周面
22…第2螺旋溝
23…フランジ部
25…ボール転動路
26…ボール
30,30A,30B…シール
31…筒状部
32…外周面
33…内周面
34…貫通孔
35フランジ部
36…すり割り
40…挿入部材
41…先端部,41a…凹部
42…本体部
43…頭部
51,51A,51B…シール
52,52A,52B…シール
53…挿入部材,53a…先端部,53b…本体部,53c…頭部
60…シール
61…筒状部
62…外周面
63…内周面
64…貫通孔
65…フランジ部
66…すり割り
67…ガータースプリング
68…スプリング溝
70…ラビリンスシール
71…筒状部
72…外周面
73…内周面
74…貫通孔
Claims (6)
- 外周面に第1螺旋溝が設けられたねじ軸と、
内周面に第2螺旋溝が前記第1螺旋溝と対向して設けられ、かつ前記ねじ軸が貫通するナットと、
前記第1螺旋溝及び第2螺旋溝により形成されたボール転動路内を転動する複数のボールと、
ナットの移動方向の端部のうち、少なくとも一方の端部に取り付けられたシールと、を備え、
前記シールは、
前記ねじ軸が貫通する筒状部と、
前記筒状部の外周面及び内周面に亘って貫通する貫通孔に挿入され、先端部が前記内周面から突出して前記第1螺旋溝に入り込む挿入部材と、を有することを特徴とするボールねじ。 - 前記挿入部材の先端部は、前記ねじ軸の第1螺旋溝内の表面から離間している請求項1に記載のボールねじ。
- 前記挿入部材の先端部は、前記ねじ軸の第1螺旋溝内の表面に前記ボールが接触するボール接触点を避けて前記ねじ軸の第1螺旋溝内の表面と接触している請求項1に記載のボールねじ。
- 前記挿入部材の先端部は、前記ねじ軸の第1螺旋溝内の表面に前記ボールが接触するボール接触点よりも前記ねじ軸の中心軸側で前記ねじ軸の第1螺旋溝内の表面と接触している請求項1に記載のボールねじ。
- 前記挿入部材は、前記貫通孔に圧入又は接着剤を介して固定されている請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のボールねじ。
- 複数のボールを介してナットとねじ軸とが相対移動するボールねじにおいて、前記ナットの移動方向の端部に取り付けられるシールであって、
前記ねじ軸が貫通する筒状部と、前記筒状部の外周面及び内周面に亘って貫通する貫通孔に挿入され、先端部が前記内周面から突出して前記ねじ軸の螺旋溝に入り込む挿入部材とを有することを特徴とするシール。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016058286 | 2016-03-23 | ||
JP2016058286 | 2016-03-23 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017180605A true JP2017180605A (ja) | 2017-10-05 |
Family
ID=60004256
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016066492A Pending JP2017180605A (ja) | 2016-03-23 | 2016-03-29 | ボールねじ及びそれに用いられるシール |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2017180605A (ja) |
-
2016
- 2016-03-29 JP JP2016066492A patent/JP2017180605A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6252136B2 (ja) | ボールねじ | |
JPWO2018092707A1 (ja) | 転がり軸受用保持器、及び転がり軸受 | |
WO2016185885A1 (ja) | ボールねじ | |
JP2015190560A (ja) | ボールスプライン | |
JP2011052715A (ja) | ロボット関節部用軸受ユニット及び該軸受ユニットを備えたロボット関節部 | |
JP2017180605A (ja) | ボールねじ及びそれに用いられるシール | |
JP2018044646A (ja) | 玉軸受及び歯科エアタービン用軸受ユニット並びに歯科エアタービンハンドピース | |
EP3343068B1 (en) | Ball screw and seal used therein | |
US9939055B2 (en) | Ball screw and seal used therein | |
JP5728852B2 (ja) | ボールねじ | |
KR20160105879A (ko) | 기어 전동 장치 | |
US20160319873A1 (en) | Rolling bearing | |
JP2008151262A (ja) | ブーツ取り付け構造 | |
JP2008175239A (ja) | 玉軸受用冠型保持器及び玉軸受 | |
JP2006017180A (ja) | 合成樹脂製の冠形保持器 | |
JP2006009816A (ja) | 合成樹脂製保持器 | |
GB2448616A (en) | A lubrication distribution device | |
JP2007170470A (ja) | アンギュラ玉軸受用の合成樹脂製保持器およびアンギュラ玉軸受 | |
JP2018009628A (ja) | ボールねじ装置 | |
WO2024085241A1 (ja) | ボールねじ | |
WO2022163254A1 (ja) | 軸受装置及びスピンドル装置 | |
JP3114864U (ja) | ボールねじ循環装置 | |
KR200256417Y1 (ko) | 트리포드식등속죠인트 | |
JP2008045572A (ja) | 玉軸受用保持器及び玉軸受 | |
JP2002266883A (ja) | アンギュラ玉軸受及び組合せアンギュラ玉軸受 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20190320 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20200130 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20200204 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20200728 |