JP2017180226A - エンジンシステム - Google Patents

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Mamoru Yoshioka
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Abstract

【課題】吸気通路及びEGR通路の冷間時又は温度低下時に、吸気通路に加え、EGR通路及び流量制御弁にてEGRガスによる凝縮水の発生を比較的低コストで抑えること。【解決手段】高温空気を吸気通路2に導入する高温空気通路23と、高温空気と外気を吸気通路2へ選択的に流すために制御される吸気切替弁24と、EGRガスを吸気通路2を介してエンジン1へ還流させるEGR通路32と、吸気通路2に流れた高温空気をスロットル装置7より下流の吸気通路2へ迂回させる空気迂回通路36と、EGR通路32が空気迂回通路36に接続され、空気迂回通路36の一部がEGR通路32として機能することと、EGRガスと高温空気を吸気通路2へ選択的に流すために制御される三方弁37と、高温空気又はEGRガスの流量を調節する流量制御弁38と、スロットル装置7、吸気切替弁24、三方弁37及び流量制御弁38を制御する電子制御装置50とを備える。【選択図】 図1

Description

この発明は、エンジンから排出される排気の一部を排気還流ガスとして吸気通路を介してエンジンへ還流させると共に、高温空気を吸気通路へ導入するように構成したエンジンシステムに関する。
従来、この種の技術として、例えば、下記の特許文献1に記載される制御装置が知られている。この装置は、エンジンから排出される排気の一部を排気還流ガス(EGRガス)として吸気通路を介してエンジンへ還流させるEGR通路と、加熱手段により加熱された空気を吸気通路へ導入する加熱空気通路と、吸気通路に対する加熱空気通路の連通と遮断を切り換える切換弁とを備える。そして、吸気通路に導入される外気が所定温度未満の低温となる冷間時には、加熱空気通路が吸気通路へ連通するように切換弁を制御するようになっている。これにより、冷間時に吸気通路へ加熱空気を導入して吸気を温め、吸気通路でのEGRガス導入による凝縮水の発生を抑えるようになっている。
特開2010−184660号公報
ところが、特許文献1に記載の制御装置では、冷間時に加熱空気を吸気通路へ導入することで吸気通路を暖機できるものの、EGR通路(EGRバルブを含む)には加熱空気が流れないことから、EGR通路を暖機することが難しかった。このため、吸気通路が暖機されても、EGR通路の暖機が遅れ、その内壁の低温状態が長引くことがあった。この結果、低温のEGR通路にEGRガスが流れると、EGR通路で凝縮水が発生するおそれがあり、その凝縮水がエンジンに取り込まれるおそれがあった。
ここで、EGR通路の暖機遅れを防止するために、冷間時に吸気通路の他にEGR通路にも加熱空気を導入することが考えられる。この場合、EGR通路に対する加熱空気の導入を制御するには、そのような加熱空気の流量を調節する専用の流量制御弁が別個必要になる。また、EGRの大流量化要請に対応するためには、EGR弁及び流量制御弁の両方を大流量に対応できる電動弁にする必要があり、装置全体がコスト高になるおそれがあった。
一方、吸気通路とEGR通路の暖機が完了した後は、吸気通路とEGR通路での凝縮水の発生は抑えられるものの、エンジンの運転変化によっては、EGRが停止(EGRカット)されることがある。この場合、外気温度が低下する状況下で、EGRカットが長引き、車両の走行風等により吸気通路、EGR通路及びEGR弁が冷やされると、それら内壁の温度が凝縮水の露点温度以下に低下することがある。このとき、EGRが再開されると、吸気通路、EGR通路及びEGR弁で凝縮水が発生するおそれがある。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、吸気通路及び排気還流通路の冷間時又は温度低下時に、吸気通路に加え、排気還流通路及び排気還流ガス流量を調節するための流量制御弁にて排気還流ガスによる凝縮水の発生を比較的低コストで抑えることを可能としたエンジンシステムを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、エンジンに吸気を導入するための吸気通路と、吸気通路は、吸気入口を含み、吸気入口から外気を導入することと、吸気通路における吸気量を調節するために吸気通路に設けられた吸気量調節弁と、高温空気を吸気通路に導入するために吸気通路に接続された高温空気通路と、吸気通路と高温空気通路との接続部に設けられ、高温空気通路からの高温空気と吸気入口からの外気とを吸気通路の下流側へ選択的に流すために流路を切り替える第1流路切替弁と、エンジンから排気通路へ導出される排気の一部を排気還流ガスとして吸気通路へ流してエンジンへ還流させる排気還流通路とを備えたエンジンシステムにおいて、吸気通路へ導入された高温空気又は外気の少なくとも一部を吸気量調節弁より下流の吸気通路へ迂回させるための空気迂回通路と、排気還流通路が空気迂回通路に接続され、空気迂回通路の一部が排気還流通路の一部として機能することと、排気還流通路と空気迂回通路との接続部に設けられ、排気還流通路を流れる排気還流ガスと空気迂回通路を流れる高温空気又は外気を吸気通路へ選択的に流すために流路を切り替える第2流路切替弁と、空気迂回通路に設けられ、空気迂回通路を流れる高温空気、外気又は排気還流ガスの流量を調節するための流量制御弁と、吸気量調節弁、第1流路切替弁、第2流路切替弁及び流量制御弁を制御するための制御手段とを備え、制御手段は、エンジンの運転状態に応じて排気還流ガスを吸気通路へ流すために、吸気量調節弁、第2流路切替弁及び流量制御弁を制御し、吸気通路及び排気還流通路の冷間時又は温度低下時には、排気還流ガスを吸気通路へ流す前に、高温空気通路からの高温空気を吸気通路及び空気迂回通路へ流すために吸気量調節弁、第1流路切替弁、第2流路切替弁及び流量制御弁を制御することを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、吸気通路及び排気還流通路の冷間時又は温度低下時に、高温空気通路からの高温空気を吸気通路へ流すために第1流路切替弁が切り替えられることにより、吸気通路の下流側へ高温空気が流れて吸気通路が暖機される。このとき、第2流路切替弁が切り替えられ、流量制御弁が開弁されることにより、吸気通路を流れる高温空気の一部が、空気迂回通路を介して吸気流量調節弁より下流の吸気通路へ迂回される。これにより、排気還流通路の一部として機能する空気迂回通路の一部を含む空気迂回通路の全体、及び流量制御弁が高温空気により暖機される。その後、第2流路切替弁が切り替えられることにより、排気還流通路からの排気還流ガスが第2流路切替弁及び空気迂回通路の一部を介して吸気通路へ流れ、エンジンに還流される。従って、吸気通路に加え、排気還流通路の一部として機能する空気迂回通路の一部を含む空気迂回通路の全体、及び流量制御弁が事前に暖機されるので、その後、同通路等を排気還流ガスが流れても排気還流ガスが冷やされない。また、第2流路切替弁が切り替えられることにより、吸気通路へ高温空気又は外気と排気還流ガスとが選択的に流される。しかも、高温空気又は外気と排気還流ガスの流量が流量制御弁により調節される。従って、排気還流ガスの流量を調節する専用の排気還流弁と、高温空気又は外気の流量を調節する専用の流量制御弁とを、それぞれ別個に設ける必要がない。
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、制御手段は、外気温度が比較的低いときに排気還流ガスの還流が遮断された場合は、排気還流ガスの還流を再開する前に、高温空気通路からの高温空気を吸気通路及び空気迂回通路へ流すために前記吸気量調節弁、第1流路切替弁、第2流路切替弁及び流量制御弁を制御することを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項1に記載の発明と同等の作用が得られる。
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、制御手段は、エンジンが間欠停止して排気還流ガスの還流が遮断された場合は、エンジンが運転を再開して排気還流ガスの還流を再開する前に、間欠停止の時間と外気温度に応じた強制暖機時間だけ高温空気通路からの高温空気を吸気通路及び空気迂回通路へ流すために吸気量調節弁、第1流路切替弁、第2流路切替弁及び流量制御弁を制御することを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項1に記載の発明と同等の作用が得られる。ここで、エンジンが間欠停止する場合として、通常のエンジンでは、そのエンジンの減速時や減速燃料カット時を想定することができ、ハイブリッド自動車に搭載されるエンジンでは、モータのみが駆動され、エンジンが強制的に停止される場合を想定することができる。
上記目的を達成するために、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、空気迂回通路は、迂回入口と迂回出口を含み、迂回入口は吸気量調節弁より上流かつ第1流路切替弁より下流の吸気通路に接続されると共に、迂回出口は吸気量調節弁より下流の吸気通路に接続され、流量制御弁は、迂回出口と第2流路切替弁との間の空気迂回通路に設けられることを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明と同等の作用が得られる。
上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、空気迂回通路は、迂回入口と迂回出口を含み、迂回入口は吸気量調節弁より上流かつ第1流路切替弁より下流の吸気通路に接続されると共に、迂回出口は吸気量調節弁より下流の吸気通路に接続され、流量制御弁は、迂回入口と第2流路切替弁との間の空気迂回通路に設けられることを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項4に記載の発明に対し、排気還流ガスの流れが異なるものの、請求項1に記載の発明と同等の作用が得られる。
上記目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明において、エンジンは複数の気筒を有するレシプロエンジンであり、吸気通路は、各気筒へ吸気を分配するためにエンジンの直前にて複数の分岐通路に分岐しており、第2流路切替弁より下流の空気迂回通路は、同通路を流れる高温空気、外気又は排気還流ガスを各分岐通路へ分配するための分配管を含むことを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明の作用に加え、第2流路切替弁より下流の空気迂回通路へ流れた高温空気、外気又は排気還流ガスは、分配管を介して各分岐通路へ分配される。
上記目的を達成するために、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明において、流量制御弁は、大流量制御を可能とした電動式の二重偏心弁を含むことを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明の作用に加え、流量制御弁に大流量の気体を流すことが可能となる。
上記目的を達成するために、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の発明において、第1流路切替弁より下流の吸気通路を流れる吸気量を検出するための吸気量検出手段と、吸気量調節弁より下流の吸気通路における吸気圧力を検出するための吸気圧力検出手段と、第2流路切替弁及び流量制御弁の異常を診断するための診断手段とを備え、診断手段は、吸気量調節弁の開度が所定の条件となるときに、第2流路切替弁が切り替え制御されると共に流量制御弁が開閉制御される前後で吸気量検出手段により検出される吸気量及び吸気圧力検出手段により検出される吸気圧力に基づいて第2流路切替弁及び流量制御弁の異常を診断することを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項1乃至7のいずれかに記載の発明の作用に加え、第2流路切替弁及び流量制御弁の異常を診断するために、エンジンの運転制御に使用される吸気量検出手段及び吸気圧力検出手段を利用することができる。
請求項1に記載の発明によれば、吸気通路及び排気還流通路の冷間時又は温度低下時に、吸気通路に加え、排気還流通路及び排気還流ガス流量を調節するための流量制御弁にて排気還流ガスによる凝縮水の発生を抑えることができ、しかも、それを比較的低コストで達成することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同等の効果を得ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明と同等の効果を得ることができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明と同等の効果を得ることができる。加えて、空気迂回通路の第2流路切替弁と迂回出口との間の部分が、排気還流通路の一部として機能する。そのため、排気還流ガスを、迂回出口を通じて、吸気量調節弁より下流の吸気通路で生じる負圧を利用して、効率的にエンジンへ還流することができる。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明と同等の効果を得ることができる。加えて、空気迂回通路の第2流路切替弁と迂回入口との間の部分が、排気還流通路の一部として機能する。そのため、排気還流ガスを、迂回入口を通じて、吸気量調節弁より上流の吸気通路へ流し、効率的に高温空気又は外気と混合することができる。
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明の効果に加え、各分岐通路及びエンジンの各気筒へ高温空気、外気又は排気還流ガスを均等に流すことができ、排気還流制御と吸気温度制御の効果を各気筒で均等に得ることができる。加えて、空気迂回通路を流れる高温空気が、各分岐通路より上流の吸気通路の部分を迂回することとなり、かかる吸気通路の部分で熱量が奪われることがないため、効率よく各分岐通路及びエンジンの各気筒を暖機することができる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明の効果に加え、排気還流通路及び空気迂回通路を流れる排気還流ガスと空気迂回通路を流れる高温空気又は外気を、それぞれ大流量で制御することができる。
請求項8に記載の発明によれば、請求項1乃至7のいずれかに記載の発明の効果に加え、比較的簡易な構成で、第2流路切替弁と流量制御弁の異常を診断することができる。
第1実施形態に係り、エンジンシステムを示す概略構成図。 第1実施形態に係り、流量制御弁を示す斜視図。 第1実施形態に係り、全閉状態における弁部を一部破断して示す斜視図。 第1実施形態に係り、全開状態における弁部を一部破断して示す斜視図。 第1実施形態に係り、全閉状態の流量制御弁を示す平断面図。 第1実施形態に係り、吸気温度制御とEGR制御の内容を示すフローチャート。 第1実施形態に係り、エンジンシステムにおける高温空気の流れを示す概略構成図。 第1実施形態に係り、エンジンシステムにおける外気の流れを示す概略構成図。 第1実施形態に係り、エンジンシステムにおける高温空気とEGRガスの流れを示す概略構成図。 第1実施形態に係り、エンジンシステムにおける外気とEGRガスの流れを示す概略構成図。 第1実施形態に係り、三方弁と流量制御弁のための異常診断制御の内容を示すフローチャート。 第2実施形態に係り、エンジンシステムを示す概略構成図。 第2実施形態に係り、エンジンシステムにおける高温空気の流れを示す概略構成図。 第2実施形態に係り、エンジンシステムにおける高温空気とEGRガスの流れを示す概略構成図。 第2実施形態に係り、吸気温度制御及びEGR制御の内容を示すフローチャート。 第2実施形態に係り、流量制御弁の、エンジン回転速度に応じた目標開度を算出するために参照されるマップ。 第2実施形態に係り、電子スロットル装置の、エンジン回転速度に応じた目標開度を算出するために参照されるマップ。 第2実施形態に係り、エンジンシステムにおける外気の流れを示す概略構成図。 第2実施形態に係り、エンジンシステムにおける外気の流れを示す概略構成図。 第3実施形態に係り、吸気温度制御とEGR制御の内容を示すフローチャート。 第3実施形態に係り、外気温度に応じた高温空気停止水温度を算出するために参照されるマップ。 第4実施形態に係り、吸気温度制御とEGR制御の内容を示すフローチャート。 第4実施形態に係り、吸気温度制御とEGR制御の内容を示すフローチャート。 第4実施形態に係り、外気温度と間欠停止時間に応じた強制暖機時間を算出するために参照されるマップ。 第4実施形態に係り、間欠停止時間及び復帰後時間の算出処理内容を示すフローチャート。 別の実施形態に係り、エンジンシステムを示す概略構成図。 別の実施形態に係り、エンジンシステムを示す概略構成図。
<第1実施形態>
以下、この発明のエンジンシステムを具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
図1に、この実施形態のエンジンシステムを概略構成図により示す。自動車に搭載されたエンジンシステムは、エンジン1を備える。このエンジン1は、4気筒、4サイクルのレシプロエンジンであり、ピストン及びクランクシャフト等の周知の構成を含む。エンジン1には、各気筒へ吸気を導入するための吸気通路2と、各気筒から排気を導出するための排気通路3が設けられる。吸気通路2には、その上流側から順に吸気入口2a、エアクリーナ4、過給機5のコンプレッサ5a、インタークーラ6、電子スロットル装置7及び吸気マニホルド8が設けられる。電子スロットル装置7は、バタフライ式のスロットル弁7aを開度可変に駆動する電動弁であり、スロットル弁7aの開度(スロットル開度)TAを検出するためのスロットルセンサ41を備える。電子スロットル装置7は、吸気通路2における吸気量を調節するための装置であり、本発明の吸気量調節弁の一例に相当する。吸気マニホルド8は、サージタンク8aと、サージタンク8aからエンジン1の各気筒へ分岐する4つの分岐通路8bとを含む。排気通路3には、その上流側から順に排気マニホルド9、過給機5のタービン5b及び触媒10が設けられる。触媒10は、排気を浄化するためのものであり、例えば、三元触媒により構成することができる。過給機5は周知の構成を備える。
エンジン1には、各気筒に対応して燃料を噴射するための4つのインジェクタ11が設けられる。各インジェクタ11は、燃料供給装置(図示略)から供給される燃料を噴射するように構成される。各気筒では、インジェクタ11から噴射される燃料と吸気マニホルド8から導入される吸気とにより可燃混合気が形成される。
エンジン1には、各気筒に対応して点火プラグ12が設けられる。各点火プラグ12は、イグニションコイル13から出力される点火信号を受けてスパーク動作するように構成される。両部品12,13は、各気筒にて可燃混合気に点火するための点火装置を構成する。各気筒内の可燃混合気は、各点火プラグ12のスパーク動作により爆発・燃焼する。燃焼後の排気は、各気筒から排気マニホルド9、タービン5b及び触媒10を経て外部へ排出される。このとき、各気筒でピストンが上下運動し、クランクシャフトが回転することにより、エンジン1に動力が得られる。
この実施形態で、エンジンシステムは、吸気通路2を流れる吸気を高温空気と外気とに選択的に切り替えることで吸気温度を制御するための吸気温度制御装置21を備える。この装置21は、排気マニホルド9の周囲で加熱された高温空気を回収するシュラウド22と、そのシュラウド22により回収された高温空気をエアクリーナ4より上流の吸気通路2に導入する高温空気通路23と、エアクリーナ4の上流側にて吸気通路2と高温空気通路23との接続部に設けられた吸気切替弁24とを含む。排気マニホルド9の周辺で加熱された高温空気は、シュラウド22から高温空気通路23へ流れる。吸気切替弁24は、高温空気通路23からの高温空気と吸気入口2aからの外気を吸気通路2の下流側へ選択的に流すために流路を切り替えるように構成される。すなわち、吸気切替弁24は、回転軸を中心に揺動可能に構成された弁体24aを含む電動弁により構成される。弁体24aは、図1に実線で示す外気位置と、図1に2点鎖線で示す高温空気位置との間で切り替え配置可能に設けられる。弁体24aが外気位置に配置されることで、高温空気通路23からの高温空気を遮断し、吸気入口2aからの外気をエアクリーナ4及びその下流の吸気通路2へ導入するようになっている(外気導入)。一方、弁体24aが高温空気位置に配置されることで、吸気入口2aからの外気を遮断し、高温空気通路23からの高温空気をエアクリーナ4及びその下流の吸気通路2へ導入するようになっている(高温空気導入)。吸気切替弁24は、本発明の第1流路切替弁の一例に相当する。
この吸気温度制御装置21によれば、高温空気導入時には、エアクリーナ4以降の吸気通路2の暖機が促進され、その吸気通路2における凝縮水の発生を抑えることができる。一方、外気導入時には、最適な吸気温度(40〜50℃)を維持し、吸気中の酸素密度を安定化させ、エンジン1の吸気効率を向上させることができる。これにより、エンジン1の燃焼効率を向上させることができ、エンジン1のノック抑制を図ることができる。
一方、この実施形態で、エンジンシステムは、各気筒から排気通路3へ排出される排気の一部を排気還流ガス(EGRガス)として吸気通路2へ流して各気筒へ還流させる排気還流装置(EGR装置)31を更に備える。このEGR装置31は、EGRガスを流す排気還流通路(EGR通路)32と、EGR通路32に設けられ、EGRガスを冷却するための排気還流クーラ(EGRクーラ)33とを含む。EGR通路32は還流入口32aと還流出口32bを含み、その還流入口32aは触媒10より下流の排気通路3に接続される。この実施形態のEGR装置31は、触媒10より下流の排気通路3から電子スロットル装置7より下流の吸気通路2(吸気マニホルド8)へEGRガスを流すタイプである。
加えて、この実施形態で、エンジンシステムは、吸気通路2へ導入された高温空気又は外気の少なくとも一部を吸気マニホルド8へ迂回させるための空気迂回通路36を更に備える。空気迂回通路36は、迂回入口36aと迂回出口36bを含み、その迂回入口36aがエアクリーナ4とコンプレッサ5aとの間の吸気通路2に接続される。この迂回入口36aの位置は、空気迂回通路36へ導入される高温空気の温度低下を極力抑えるために、エアクリーナ4の直下流に設定することが望ましい。また、迂回出口36bは複数あり、吸気マニホルド8の各分岐通路8bのそれぞれに接続される。この実施形態では、空気迂回通路36の下流部が、同通路36を流れる空気又はガスを各分岐通路8bへ分配するために4つの迂回出口36bを含む分配管39となっている。これら迂回出口36bが各分岐通路8bに接続されるのは、高温空気、外気又はEGRガスを各分岐通路8bへ均等に導入するためである。また、EGR通路32は、空気迂回通路36に接続され、空気迂回通路36の一部がEGRガスを流すEGR通路の一部として機能するようになっている。EGR通路32と空気迂回通路36との接続部には、EGR通路32を流れるEGRガスと空気迂回通路36を流れる高温空気又は外気を各分岐通路8bへ選択的に流すために流路を切り替える電動式の三方弁37が設けられる。三方弁37は、第1ポート37a、第2ポート37b及び第3ポート37cを備え、本発明の第2の流路切替弁の一例に相当する。そして、EGR通路32の還流出口32bが、三方弁37の第1ポート37aに接続され、空気迂回通路36の途中が、三方弁37の第2ポート37bと第3ポート37cに接続される。三方弁37は、オン・オフされることにより第3ポート37cから導出される気体を高温空気又は外気とEGRガスとの間で切替えるようになっている。すなわち、三方弁37がオンされることで、第1ポート37aが遮断され、第2ポート37bと第3ポート37cが連通し、迂回入口36aから空気迂回通路36に流入する高温空気又は外気が迂回出口36bから各分岐通路8bへ迂回されるようになっている(空気迂回)。一方、三方弁37がオフされることで、第2ポート37bが遮断され、第1ポート37aと第3ポート37cが連通し、還流入口32aからEGR通路32に流入するEGRガスが迂回出口36bから各分岐通路8bへ導入されるようになっている(EGRガス導入)。また、空気迂回通路36には、同通路36を流れる高温空気分、外気又はEGRガスの流量を調節するための流量制御弁38が設けられる。この実施形態で、流量制御弁38は、三方弁37より下流の空気迂回通路36に設けられる。流量制御弁38は、開度可変な電動弁により構成される。この流量制御弁38として、大流量、高応答及び高分解能の特性を有することが望ましい。そこで、この実施形態では、流量制御弁38の構造として、例えば、特許第5759646号公報に記載される「二重偏心弁」を採用することができる。この二重偏心弁は、大流量制御に対応して構成される。
ここで、この二重偏心弁を含む電動式の流量制御弁38の構成の概略について以下に説明する。図2に、この流量制御弁38を斜視図により示す。流量制御弁38は、二重偏心弁より構成される弁部61と、モータ72(図5参照)を内蔵したモータ部62と、複数のギヤ81〜83(図5参照)を内蔵した減速機構部63とを備える。弁部61は、内部に気体が流れる流路66を有する管部67を含み、流路66の中には弁座68、弁体69及び回転軸70が配置される。回転軸70には、モータ72(図5参照)の回転力が複数のギヤ81〜83(図5参照)を介して伝えられるようになっている。
図3に、弁体69が弁座68に着座した全閉状態(全閉位置)における弁部61を一部破断して斜視図により示す。図4に、弁体69が弁座68から最も離れた全開状態(全開位置)における弁部61を一部破断して斜視図により示す。図3、図4に示すように、流路66には段部66aが形成され、その段部66aに弁座68が組み込まれる。弁座68は、円環状をなし、中央に弁孔68aを有する。弁孔68aの縁部には、環状のシート面68bが形成される。弁体69は、円板状をなし、その外周には、シート面68bに対応する環状のシール面69aが形成される。弁体69は回転軸70に固定され、回転軸70と一体的に回動するようになっている。図3、図4において、弁体69より上の流路66は気体の流れの上流側を示し、弁座68より下の流路66が気体の流れの下流側を示す。すなわち、流路66において弁体69は、弁座68よりも気体の流れの上流側に配置される。
図5に、全閉状態の流量制御弁38を平断面図により示す。この流量制御弁38は、主要な構成要素として、回転軸70と弁体69の他に、ボディ71、モータ72、減速機構73及び戻し機構74を備える。
この実施形態で、ボディ71は、流路66及び管部67を含むアルミ製の弁ハウジング75と、同ハウジング75の開口端を閉鎖する合成樹脂製のエンドフレーム76とを含む。回転軸70及び弁体69は、弁ハウジング75に設けられる。すなわち、回転軸70は、その先端から突出するピン70aを含む。回転軸70は、ピン70aがある先端側を自由端とし、その先端部が管部67の流路66に挿入されて配置される。また、回転軸70は、その基端側に沿って離れて配置された2つの軸受、すなわち第1軸受77と第2軸受78を介して弁ハウジング75に対し回転可能に片持ち支持される。第1軸受77はボールベアリングにより構成され、第2軸受78はニードルベアリングよりに構成される。弁体69は、回転軸70のピン70aに対して溶接により固定され、流路66内に配置される。
図5において、エンドフレーム76は、弁ハウジング75に対し複数のクリップ(図示略)により固定される。エンドフレーム76の内側には、回転軸70の基端に対応して配置され、弁体69の開度を検出するための開度センサ79が設けられる。このセンサ79は、ホールIC等により構成され、回転軸70の回転角度を弁開度として検出するように構成される。回転軸70の基端部には、メインギヤ81が固定される。メインギヤ81と弁ハウジング75との間には、弁体69を閉方向へ付勢するためのリターンスプリング80が設けられる。メインギヤ81の裏側には、凹部81aが形成され、その凹部81aに磁石86が収容される。この磁石86は、その上から板ばねより形成される押さえ板87により押さえ付けられて固定される。従って、メインギヤ81が、弁体69及び回転軸70と一体的に回転することにより、磁石86の磁界が変化し、その磁界の変化を開度センサ79が弁開度として検出するようになっている。
この実施形態で、モータ72は、弁ハウジング75に形成された収容凹部75aに収容されて固定される。すなわち、モータ72は、収容凹部75aに収容された状態で、その両端に設けられた留め板88と板ばね89を介して弁ハウジング75に固定される。モータ72は、弁体69を開閉駆動するために減速機構73を介して回転軸70に駆動連結される。すなわち、モータ72の出力軸(図示略)上には、モータギヤ83が固定される。このモータギヤ83は、中間ギヤ82を介してメインギヤ81に駆動連結される。中間ギヤ82は、大径ギヤ82aと小径ギヤ82bを含む二段ギヤであり、ピンシャフト84を介して弁ハウジング75に回転可能に支持される。大径ギヤ82aには、モータギヤ83が連結され、小径ギヤ82bには、メインギヤ81が連結される。この実施形態では、減速機構73を構成する各ギヤ81〜83として、軽量化のために樹脂材料よりなる樹脂ギヤが使用される(モータギヤ83のみ金属製となっている。)。
図5に示すように、弁ハウジング75とエンドフレーム76との接合部分には、ゴム製のガスケット90が介在する。ガスケット90は、エンドフレーム76の開口端面の外周に形成された周溝に配置される。このように、弁ハウジング75とエンドフレーム76との間にガスケット90が介在することで、モータ部62と減速機構部63の内部が大気に対して密閉可能に設けられる。
従って、図3に示すように、弁体69の全閉状態から、モータ72が通電により作動しし、モータギヤ83が回転することにより、その回転が中間ギヤ82により減速されてメインギヤ81に伝達される。これにより、回転軸70及び弁体69が、リターンスプリング80の付勢力に抗して回動され、流路66が開かれる。すなわち、弁体69が開弁される。また、弁体69をある開度に保持するために、モータ72に通電により回転力を発生させることにより、その回転力がモータギヤ83、中間ギヤ82及びメインギヤ81を介し保持力として回転軸70及び弁体69に伝達される。この保持力がリターンスプリング80の付勢力に均衡することにより、弁体69がある開度に保持される。
次に、エンジンシステムの電気的構成について説明する。図1において、このエンジンシステムに設けられる各種センサ41〜48は、エンジン1の運転状態を検出するための運転状態検出手段を構成する。運転席に設けられたアクセルペダル27には、アクセルセンサ42が設けられる。アクセルセンサ42は、アクセルペダル27の操作量である踏み込み角度をアクセル開度ACCとして検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。エンジン1に設けられた水温センサ43は、エンジン1の内部を流れる冷却水の温度(冷却水温度)THWを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。エンジン1に設けられた回転速度センサ44は、クランクシャフトの回転速度(エンジン回転速度)NEを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。エアクリーナ4に設けられたエアフローメータ45は、吸気通路2を流れる吸気量Gaを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。エアフローメータ45は、本発明の吸気量検出手段の一例に相当する。エアクリーナ4に設けられた吸気温センサ46は、エアクリーナ4における吸気温度THAを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。サージタンク8aに設けられた吸気圧センサ47は、電子スロットル装置7より下流の吸気通路2における吸気圧力PMを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。吸気圧センサ47は、本発明の吸気圧力検出手段の一例に相当する。触媒10より上流の排気通路3に設けられた酸素センサ48は、排気通路3へ排出される排気中の酸素濃度Oxを検出し、その検出値に応じた電気信号を出力する。
このエンジンシステムは、エンジン1の運転等を制御するための電子制御装置(ECU)50を備える。ECU50には、各種センサ41〜48がそれぞれ接続される。また、ECU50には、電子スロットル装置7、各インジェクタ11、イグニションコイル13、吸気切替弁24、三方弁37及び流量制御弁38がそれぞれ接続される。ECU50は、本発明の制御手段及び診断手段の一例に相当する。
この実施形態で、ECU50は、各種センサ41〜48からの出力信号に基づき燃料噴射制御、点火時期制御、EGR制御及び吸気温度制御等を実行するために、電子スロットル装置7、各インジェクタ11、イグニションコイル13、吸気切替弁24、三方弁37及び流量制御弁38をそれぞれ制御するようになっている。
周知のようにECU50は、中央処理装置(CPU)、各種メモリ、外部入力回路及び外部出力回路等を備える。メモリには、エンジン1の各種制御に関する所定の制御プログラムが格納される。CPUは、入力回路を介して入力される各種センサ41〜48の検出信号に基づき、所定の制御プログラムに基づいて前述した各種制御を実行する。
ここで、燃料噴射制御とは、エンジン1の運転状態に応じて各インジェクタ11による燃料噴射量及びその噴射タイミングを制御することである。点火時期制御とは、エンジン1の運転状態に応じてイグニションコイル13を制御することにより、各点火プラグ12による点火時期を制御することである。EGR制御とは、エンジン1の運転状態に応じて三方弁37及び流量制御弁38を制御することにより、各気筒へ還流されるEGR流量を制御することである。吸気温度制御とは、エンジン1の運転状態に応じて吸気切替弁24、三方弁37及び流量制御弁38を制御することにより、吸気通路2を流れる吸気の温度を制御することである。
次に、この実施形態における吸気温度制御とEGR制御について詳しく説明する。図6に、その制御内容をフローチャートにより示す。図7〜図10に、エンジンシステムにおける高温空気、外気又はEGRガスの流れを概略構成図により示す。ECU50は、エンジン1の始動と同時に図6のルーチンの処理を開始するようになっている。
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ100で、ECU50は、エンジン1が運転中か否かを判断する。ECU50は、例えば、回転速度センサ44の検出信号に基づきこの判断を行うことができる。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ110へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ320へ移行する。
ステップ320では、ECU50は、エンジン1が運転中ではないことから、三方弁37、流量制御弁38及び電子スロットル装置7をオフにし、処理をステップ100へ戻す。
一方、ステップ110では、ECU50は、各種センサ等42〜46の検出信号に基づきアクセル開度ACC、冷却水温度THW、吸気温度THA、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷KLを取り込む。ECU50は、エンジン負荷KLを、検出されるエンジン回転速度NE及び吸気量Gaから求めることができる。
次に、ステップ120で、ECU50は、冷却水温度THWが所定値TH1より低いか否かを判断する。この所定値TH1として、例えば「60℃」を当てはめることができる。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ130へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ220へ移行する。
ステップ130では、ECU50は、アクセル開度ACCが所定値A1より小さいか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ140へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ200へ移行する。
ステップ140では、ECU50は、吸気切替弁24を高温空気位置へ切り替える。これにより吸気通路2には、高温空気通路23からの高温空気が導入される。
次に、ステップ150で、ECU50は、三方弁37をオンとし、空気迂回の状態に切り替える。これにより、空気迂回通路36へのEGRガスの導入が遮断され、同通路36には、吸気通路2に導入された高温空気が導入される。
次に、ステップ160で、ECU50は、流量制御弁38の、アクセル開度ACCに応じた第1の目標開度TAGR1を算出する。ECU50は、所定のマップを参照することによりこの処理を行うことができる。
次に、ステップ170で、ECU50は、電子スロットル装置7の、アクセル開度ACCに応じた第1の目標開度TTHR1を算出する。ECU50は、所定のマップを参照することによりこの処理を行うことができる。ここでは、冷却水温度THWが所定値TH1よりも低く、アクセル開度ACCが所定値A1より小さい冷間始動時であることから、第1の目標開度TTHR1は「0%」、すなわち「全閉」に設定される。
次に、ステップ180で、ECU50は、流量制御弁38を第1の目標開度TAGR1に制御する。
次に、ステップ190で、ECU50は、電子スロットル装置7を第1の目標開度TTHR1に制御する。その後、ECU50は、処理をステップ100へ戻す。
また、ステップ120から移行してステップ220では、ECU50は、冷却水温度THWが所定値TH2(>TH1)より低いか否かを判断する。この所定値TH2として、例えば「80℃」を当てはめることができる。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ230へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ310へ移行する。
ステップ230では、ECU50は、アクセル開度ACCが所定値A1より小さいか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ240へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ300へ移行する。
ステップ240では、ECU50は、吸気切替弁24を高温空気位置へ切り替える。これにより吸気通路2には、高温空気通路23からの高温空気が導入される。
次に、ステップ250で、ECU50は、三方弁37をオフとし、EGR導入の状態に切り替える。これにより、空気迂回通路36への高温空気の導入が遮断され、同通路36には、EGR通路32からEGRガスが導入される。
次に、ステップ260で、ECU50は、電子スロットル装置7の、アクセル開度ACCに応じた第2の目標開度TTHR2を算出する。ECU50は、所定のマップを参照することによりこの処理を行うことができる。ここでは、冷却水温度THWが所定値TH1より高く所定値TH2より低く、アクセル開度ACCが所定値A1より小さい暖機過程であることから、第2の目標開度TTHR2はアクセル開度ACCに応じた微少開度に設定される。
次に、ステップ270で、ECU50は、電子スロットル装置7を第2の目標開度TTHR2に制御する。
次に、ステップ280で、ECU50は、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷KLに応じた第2の目標開度TAGR2を算出する。ECU50は、所定のマップを参照することによりこの処理を行うことができる。
そして、ステップ290で、ECU50は、流量制御弁38を第2の目標開度TAGR2に制御し、処理をステップ100へ戻す。
一方、ステップ130から移行してステップ200では、ECU50は、エンジン回転速度NEが所定値N1より低いか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は、処理をステップ140へ移行し、ステップ140〜ステップ190の処理を実行した後、処理をステップ100へ戻す。ECU50は、ステップ200の判断結果が否定となる場合は、処理をステップ210へ移行する。
ステップ210では、ECU50は、吸気切替弁24を外気位置へ切り替える。これにより吸気通路2には、吸気入口2aからの外気が導入される。その後、ECU50は、ステップ150〜190の処理を実行した後、処理をステップ100へ戻す。
また、ステップ230から移行してステップ300では、ECU50は、エンジン回転速度NEが所定値N1より低いか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は、処理をステップ240へ移行し、ステップ240〜ステップ290の処理を実行した後、処理をステップ100へ戻す。また、ECU50は、ステップ300の判断結果が否定となる場合は、処理をステップ310へ移行する。
そして、ステップ220又はステップ300から移行してステップ310では、ECU50は、吸気切替弁24を外気位置へ切り替える。これにより吸気通路2には、吸気入口2aからの外気が導入される。その後、ECU50は、ステップ250〜290の処理を実行した後、処理をステップ100へ戻す。
従って、エンジン1の冷間始動時にアクセル開度ACCが比較的小さくなる場合、あるいは、エンジン1の冷間始動時にアクセル開度ACCが小さくなく、エンジン回転速度NEが比較的低くなる場合は、図7に示すように、吸気切替弁24が高温空気位置に切り替えられ、吸気通路2に高温空気が流れると共に、空気迂回通路36を介して吸気マニホルド8の各分岐通路8bに高温空気が迂回される。また、吸気通路2を流れる高温空気は、アクセル開度ACCに応じて電子スロットル装置7により調節される。各分岐通路8bへ迂回される高温空気は、アクセル開度ACCに応じて流量制御弁38により調節される。図7において、太線矢印は高温空気の流れを示し、破線矢印はEGRガスの流れを示す。以下同様。
また、エンジン1の冷間始動時にアクセル開度ACCが小さくなく、エンジン回転速度NEが低くない場合は、図8に示すように、吸気切替弁24が外気位置に切り替えられ、吸気通路2に外気が流れると共に、空気迂回通路36を介して各分岐通路8bに外気が迂回される。また、吸気通路2を流れる外気は、アクセル開度ACCに応じて電子スロットル装置7により調節される。各分岐通路8bへ迂回される外気は、アクセル開度ACCに応じて流量制御弁38により調節される。図8において、太破線矢印は外気の流れを示す。以下同様。
一方、エンジン1の暖機過程でアクセル開度ACCが比較的小さくなる場合、あるいは、エンジン1の暖機過程でアクセル開度ACCが小さくなくエンジン回転速度NEが比較的低くなる場合は、図9に示すように、吸気切替弁24が高温空気位置に切り替えられ、吸気通路2に高温空気が流れ、その高温空気の流量が、アクセル開度ACCに応じて電子スロットル装置7により調節される。また、EGR通路32と空気迂回通路36を介して各分岐通路8bにEGRガスが流れ、そのEGRガスの流量が、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷KLに応じて流量制御弁38により調節される。
また、エンジン1の暖機過程でアクセル開度ACCが小さくなく、エンジン回転速度NEが低くない場合、あるいは、エンジン1の暖機が完了した場合は、図10に示すように、吸気切替弁24が外気位置に切り替えられ、吸気通路2に外気が流れ、その外気の流量が、アクセル開度ACCに応じて電子スロットル装置7により調節される。また、EGR通路32と空気迂回通路36を介して各分岐通路8bにEGRガスが流れ、そのEGRガスの流量が、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷KLに応じて流量制御弁38により調節される。
上記の制御によれば、ECU50は、エンジン1の運転状態に応じてEGRガスを吸気通路2へ流すために、電子スロットル装置7、三方弁37及び流量制御弁38を制御し、また、吸気通路2及びEGR通路32の冷間時には、EGRガスを吸気通路2へ流す前に、高温空気通路23からの高温空気を吸気通路2及び空気迂回通路36へ流すために電子スロットル装置7、吸気切替弁24、三方弁37及び流量制御弁38を制御するようになっている。
以上説明したこの実施形態のエンジンシステムによれば、排気通路3(排気マニホルド9)の周りで加熱された高温空気は、シュラウド22により回収されて高温空気通路23へ導かれる。ここで、吸気通路2及びEGR通路32の冷間時には、高温空気通路23からの高温空気を吸気通路2へ流すために、ECU50により、吸気切替弁24が高温空気位置へ切り替えられることにより、吸気通路2の下流側へ高温空気が流れて吸気通路2が暖機される。このとき、ECU50により、三方弁37が切り替えられ(オンされ)、流量制御弁38が開弁されることにより、吸気通路2を流れる高温空気の一部が、空気迂回通路36を介して電子スロットル装置7より下流の吸気通路2(吸気マニホルド8の分岐通路8b)へ迂回される。これにより、EGR通路32の一部として機能する空気迂回通路36の一部を含む空気迂回通路36の全体、及び流量制御弁38が高温空気により暖機される。その後、三方弁37が切り替えられ(オフされ)ることにより、EGR通路32からのEGRガスが三方弁37及び同弁37より下流の空気迂回通路36へ流れ、吸気マニホルド8の各分岐通路8bへ流れてエンジン1に還流される。従って、吸気通路2に加え、EGR通路32の一部として機能する空気迂回通路36の一部を含む空気迂回通路36の全体、及び流量制御弁38が事前に暖機されるので、その後、同通路36等をEGRガスが流れてもEGRガスが冷やされない。このため、三方弁37より下流の空気迂回通路36にて、EGRガスによる凝縮水の発生を抑えることができる。すなわち、吸気通路2及びEGR通路32(EGR通路32として機能する空気迂回通路36の一部を含む。)の冷間時に、吸気通路2に加え、EGR通路32として機能する空気迂回通路36の一部及び流量制御弁38にてEGRガスによる凝縮水の発生を抑えることができる。この結果、冷間時でも早期にEGRを実施することができる。
しかも、この実施形態では、三方弁37が切り替えられることにより、吸気マニホルド8の各分岐通路8bへ高温空気又は外気とEGRガスとが選択的に流される。しかも、高温空気又は外気とEGRガスの流量が一つの流量制御弁38により調節される。従って、EGRガスの流量を調節する専用のEGR弁と、高温空気又は外気の流量を調節する専用の流量制御弁とを、それぞれ別個に設ける必要がない。すなわち、EGR弁と同等の弁を二つ設ける必要がない。このため、比較的安価な三方弁37と、一つの流量制御弁38を設ければよく、装置全体を比較的低コストにすることができる。
加えて、この実施形態では、空気迂回通路36の、三方弁37と迂回出口36bとの間の部分が、EGR通路32の一部として機能する。そのため、EGRガスを、迂回出口36bを通じて、電子スロットル装置7より下流の吸気通路2(吸気マニホルド8)で生じる負圧を利用して、効率的にエンジン1へ還流することができる。
この実施形態では、流量制御弁38が、大流量制御を可能とした電動式の二重偏心弁を含むことから、流量制御弁38に大流量の気体を流すことが可能となる。このため、EGR通路32及び空気迂回通路36を流れるEGRガスと空気迂回通路36を流れる高温空気又は外気を、それぞれ大流量で制御することができる。
この実施形態では、三方弁37より下流の空気迂回通路36へ流れた高温空気、外気又はEGRガスは、分配管39を介して吸気マニホルド8の各分岐通路8bへ分配される。このため、各分岐通路8b及びエンジン1の各気筒へ高温空気、外気又はEGRガスを均等に流すことができ、EGR制御と吸気温度制御の効果を、エンジン1の各気筒で均等に得ることができる。加えて、空気迂回通路36を流れる高温空気が、各分岐通路8bより上流の吸気通路2の部分を迂回することとなり、かかる吸気通路2の部分で熱量が奪われることがない。このため、効率よく各分岐通路8b及びエンジン1の各気筒を暖機することができる。
次に、上記したエンジンシステムにおける三方弁37と流量制御弁38の異常を診断するための異常診断制御について説明する。図11に、その制御内容をフローチャートにより示す。
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ500で、ECU50は、エンジン1が減速燃料カットの状態であるか否かを判断する。減速燃料カットとは、エンジン1の減速時であり、かつ、インジェクタ11からの燃料噴射が遮断されたことを意味する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ510へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ500へ戻す。
ステップ510では、ECU50は、流量制御弁38をオフする、すなわち全閉とする。また、ステップ520では、ECU50は、三方弁37をオフする、すなわちEGRガス導入の状態に切り替える。
次に、ステップ530で、ECU50は、異常診断フラグXOBDが「0」であるか否かを判断する。このフラグXOBDは、後述するように、異常診断が完了した場合に「1」に、未完了の場合に「0」に設定されるようになっている。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ540へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ500へ戻す。
ステップ540では、ECU50は、エアフローメータ45及び吸気圧センサ47の検出信号に基づき吸気量Ga及び吸気圧力PMを取り込む。
次に、ステップ550で、ECU50は、今回取り込まれた吸気量Gaを基準吸気量Ga0として設定し、今回取り込まれた吸気圧力PMを基準吸気圧力PM0として設定する。
次に、ステップ560で、ECU50は、流量制御弁38をオフからオンへ切り替える、すなわち全閉から所定の微小開度に開弁する。
その後、ステップ570で、ECU50は、所定時間が経過するのを待って処理をステップ580へ移行する。
ステップ580では、ECU50は、エアフローメータ45及び吸気圧センサ47の検出信号に基づき吸気量Ga及び吸気圧力PMを再び取り込む。
次に、ステップ590で、ECU50は、基準吸気圧力PM0と所定値αの合計値がステップ580で取り込まれた吸気圧力PMより低いか否かを判断する。すなわち、流量制御弁38の全閉時の吸気圧力PMが開弁時の吸気圧力PMよりある程度低いか否かが判断される。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ600へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ710へ移行する。
そして、ステップ600では、ECU50は、流量制御弁38を正常判定する。すなわち、流量制御弁38が指令通りに開弁及び閉弁されることで正常と判断される。ECU50は、この正常判定をメモリに記録しておくことができる。
次に、ステップ610で、ECU50は、三方弁37をオフからオンへ切り替える、すなわち、三方弁37をEGRガス導入の状態から空気迂回の状態へ切り替える。
その後、ステップ620で、ECU50は、所定時間が経過するのを待って処理をステップ630へ移行する。
ステップ630では、ECU50は、エアフローメータ45及び吸気圧センサ47の検出信号に基づき吸気量Ga及び吸気圧力PMを再度取り込む。
次に、ステップ640で、ECU50は、基準吸気量Ga0と所定値βの合計値がステップ630で取り込まれた吸気量Gaより少ないか否かを判断する。すなわち、三方弁37のオフ時の吸気量Gaがオン時の吸気量Gaよりある程度少ないか否かが判断される。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ650へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ670へ移行する。
ステップ650では、ECU50は、三方弁37を正常判定する。すなわち、三方弁37が指令通りに切り替えられることで正常と判断される。ECU50は、この正常判定をメモリに記録しておくことができる。
その後、ステップ660で、ECU50は、異常診断フラグXOBDを「1」に設定し、処理をステップ500へ戻す。
ステップ640から移行してステップ670では、ECU50は、ステップ630で取り込まれた吸気量Gaが第1所定値G1より少ないか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ680へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ690へ移行する。
ステップ680では、ECU50は、三方弁37をオフ側固着異常と判定する。すなわち、ECU50は、三方弁37にオン切り替えを指令したにもかかわらず吸気量Gaが少ないことから、三方弁37がオン側へ切り替わらず、オフ側のままであると考えられ、オフ側固着異常と判定する。その後、ECU50は、ステップ660の処理を実行する。
ステップ690では、ECU50は、ステップ630又はステップ730で取り込まれた吸気量Gaが第2所定値G2(>G1)より多いか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ700へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ770へ移行する。
ステップ700では、ECU50は、三方弁37をオン側固着異常と判定する。すなわち、ECU50は、吸気量Gaが必要以上に多いことから、三方弁37がオフ側に切り替わらず、オン側のままであると考えられ、オン側固着異常と判定する。その後、ECU50は、ステップ660の処理を実行する。
一方、ステップ590から移行してステップ710では、ECU50は、三方弁37をオフからオンへ切り替える、すなわち、三方弁37をEGRガス導入の状態から空気迂回の状態へ切り替える。
その後、ステップ720で、ECU50は、所定時間が経過するのを待って処理をステップ730へ移行する。
ステップ730では、ECU50は、エアフローメータ45及び吸気圧センサ47の検出信号に基づき吸気量Ga及び吸気圧力PMを再び取り込む。
次に、ステップ740で、ECU50は、基準吸気量Ga0と所定値βの合計値がステップ730で取り込まれた吸気量Gaより少ないか否かを判断する。すなわち、三方弁37のオフ時の吸気量Gaがオン時の吸気量Gaよりある程度少ないか否かが判断される。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ750へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ760へ移行する。
ステップ750では、ECU50は、三方弁37を正常と判定する。ECU50は、この正常判定をメモリに記録しておくことができる。
ステップ760では、ECU50は、三方弁37をオフ側固着異常と判定する。すなわち、ECU50は、三方弁37にオン切り替えを指令したにもかかわらず吸気量Gaが少ないことから、三方弁37がオン側へ切り替わらず、オフ側のままであると考えられ、オフ側固着異常と判定する。その後、ECU50は、処理をステップ770へ移行する。
ステップ690、ステップ750又はステップ760から移行してステップ770で、ECU50は、ステップ730で取り込まれた吸気圧力PMが第1所定値P1より低いか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ780へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ790へ移行する。
ステップ780では、ECU50は、流量制御弁38を閉弁固着異常と判定する。すなわち、ECU50は、流量制御弁38に開弁を指令したにもかかわらず吸気圧力PMが低いことから、流量制御弁38が正常に開弁せず、閉弁したままであると考えられ、閉弁固着異常と判定する。その後、ECU50は、ステップ660の処理を実行する。
ステップ790では、ECU50は、ステップ730で取り込まれた吸気圧力PMが第2所定値P2(>P1)より高いか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ800へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ690へ移行する。
ステップ800では、ECU50は、流量制御弁38を開弁固着異常と判定する。すなわち、ECU50は、流量制御弁38に微小な開弁を指令したにもかかわらず吸気圧力PMが必要以上に高いことから、流量制御弁38が微小に開弁せず、大きく開弁したままであると考えられ、開弁固着異常と判定する。その後、ECU50は、ステップ660の処理を実行する。
上記制御によれば、ECU50は、電子スロットル装置7の開度が所定の条件(全閉)となるときに、三方弁37が切り替え制御され、かつ、流量制御弁38が開閉制御される前後でエアフローメータ45により検出される吸気量Ga及び吸気圧センサ47により検出される吸気圧力PMに基づいて三方弁37及び流量制御弁38の異常を診断するようになっている。
従って、この実施形態のエンジンシステムによれば、三方弁37及び流量制御弁38の異常を診断するために、エンジン1の運転制御に使用されるエアフローメータ45及び吸気圧センサ47を利用することができる。このため、比較的簡易な構成で、三方弁37と流量制御弁38の異常を診断することができる。
<第2実施形態>
次に、この発明のエンジンシステムを具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明において、第1実施形態と同等の構成要素については同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に説明する。
図12に、この実施形態のエンジンシステムを概略構成図により示す。図13、図14に、このエンジンシステムjにおける高温空気、外気又はEGRガスの流れを概略構成図により示す。この実施形態では、三方弁37及び流量制御弁38の配置、EGR装置31のタイプ、並びに吸気温度制御及びEGR制御の点で第1実施形態と構成が異なる。すなわち、図12に示すように、この実施形態では、三方弁37の第2ポート37bと第3ポート37cの位置が第1実施形態の場合と入れ替わり、流量制御弁38が空気迂回通路36においてその迂回入口36aと三方弁37との間に配置される。また、EGR装置31が、エアクリーナ4とコンプレッサ5aとの間の吸気通路2へEGRガスを流すタイプとなっている。
そして、この実施形態で、エンジン1の冷間始動から暖機過程では、図13に示すように、吸気切替弁24が高温空気位置に切り替えられ、三方弁37がオン(空気迂回)される。これにより、エアクリーナ4以降の吸気通路2に高温空気が流れ、その高温空気が空気迂回通路36を介して吸気マニホルド8の各分岐通路8bへ流れて迂回される。この高温空気の流量は、アクセル開度ACCに応じて流量制御弁38により調節される。
また、暖機後にEGRが開始されるときは、図14に示すように、吸気切替弁24が高温空気位置に切り替えられており、三方弁37がオフ(EGRガス導入)される。これにより、エアクリーナ4以降の吸気通路2に高温空気が流れ、その高温空気の流量が、アクセル開度ACCに応じて電子スロットル装置7により調節される。また、EGR通路32と空気迂回通路36を介してコンプレッサ5aより上流の吸気通路2にEGRガスが流れる。このEGRガスの流量は、エンジン回転速度NE及びエンジン負荷KLに応じて流量制御弁38により調節される。
次に、完全暖機後にEGRオン状態からエンジン1を減速した場合の吸気温度制御及びEGR制御の内容について説明する。図15に、その制御内容をフローチャートにより示す。この状態では、吸気切替弁24が外気位置に切り替えられ、三方弁37がオフされている。
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ800で、ECU50は、アクセルセンサ42及び回転速度センサ44の検出信号に基づきアクセル開度ACC及びエンジン回転速度NEを取り込む。
次に、ステップ810で、ECU50は、EGRオン状態からのエンジン1の減速(EGRオフ)であるか否かを判断する。ECU50は、取り込まれたアクセル開度ACCに基づきこの判断を行うことができる。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ820へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ800へ戻す。
ステップ820では、ECU50は、三方弁37を強制オン(空気迂回)制御する。すなわち、ECU50は、三方弁37をオンすることにより、EGRガスを遮断し、空気迂回通路36に高温空気又は外気を導入する状態とする。
次に、ステップ830で、ECU50は、電子スロットル装置7を全閉に制御する。これにより吸気通路2の下流(電子スロットル装置7)へ流れる吸気が遮断される。
次に、ステップ840で、ECU50は、流量制御弁38の、エンジン回転速度NEに応じた目標開度TAGRNを算出する。ECU50は、例えば、図16に示すようなマップを参照することによりこの目標開度TAGRNを求めることができる。このマップでは、エンジン回転速度NEが高くなるに連れて目標開度TAGRNが大きくなるように設定されている。
次に、ステップ850で、ECU50は、流量制御弁38を目標開度TAGRNに制御する。この段階では、図18に示すように、空気迂回通路36を介して吸気マニホルド8の各分岐通路8bに高温空気又は外気が導入され、その外気の流量が、エンジン回転速度NEに応じて流量制御弁38により調節される。図18には、エンジンシステムjにおける高温空気、外気又はEGRガスの流れを概略構成図により示す。
その後、ステップ860で、ECU50は、所定時間が経過するのを待ってステップ870へ移行する。
ステップ870では、ECU50は、三方弁37を強制オフ(EGRガス導入)制御する。これにより、空気迂回通路36への高温空気又は外気の導入が遮断される。
次に、ステップ880で、ECU50は、電子スロットル装置7の、エンジン回転速度NEに応じた目標開度TTANを算出する。ECU50は、例えば、図17に示すようなマップを参照することによりこの目標開度TTANを求めることができる。このマップでは、エンジン回転速度NEが高くなるに連れて目標開度TTANが大きくなるように設定されている。
そして、ステップ890で、ECU50は、流量制御弁38を全閉に、電子スロットル装置7を目標開度TTANにそれぞれ制御する。その後、ECU50は処理をステップ800へ戻す。この段階では、図19に示すように、吸気通路2を高温空気又は外気が吸気として流れ、その吸気量が、エンジン回転速度NEに応じて電子スロットル装置7により調節される。図19には、エンジンシステムjにおける高温空気、外気又はEGRガスの流れを概略構成図により示す。
上記制御によれば、ECU50は、完全暖機後のEGRオン状態からのエンジン1の減速時には、一旦、三方弁37を強制オン(空気迂回)とし、電子スロットル装置7を全閉とし、流量制御弁38をエンジン回転速度NEに応じて開弁制御する。その後、ECU50は、三方弁37を強制オフ(EGRガス導入)とし、流量制御弁38を全閉とし、電子スロットル装置7をエンジン回転速度NEに応じて開弁制御するようになっている。
以上説明したこの実施形態のエンジンシステムによれば、完全暖機後のEGRオン状態からエンジン1が減速された場合には、EGRが強制的にオフされ、エンジン1の各気筒へのEGRガス供給が遮断されると共に吸気通路2における吸気の流れが遮断され、空気迂回通路36を介して必要な空気(新気)が各気筒へ供給される。その後、空気迂回通路36の空気の流れが遮断され、吸気通路2を介してエンジン1の各気筒へ吸気が導入される。このため、完全暖機後のエンジン1の減速時には、EGRガスが直ちに遮断され、EGRガスに代わって空気(新気)が各気筒に供給されるので、エンジン1の減速失火を未然に防止することができる。
また、この実施形態でも、吸気通路2及びEGR通路32の冷間時には、ECU50により、吸気切替弁24が高温空気位置に切り替えられ、三方弁37がオンされ、流量制御弁38が開弁されることにより、吸気通路2へ高温空気が流れて吸気通路2が暖機される
また、吸気通路2を流れる高温空気の一部が、空気迂回通路36を介して吸気マニホルド8の各分岐通路8bへ流れて迂回される。これにより、EGR通路32の一部として機能する空気迂回通路36の一部を含む空気迂回通路36の全体、及び流量制御弁38が高温空気により暖機される。その後、三方弁37がオフされることにより、EGR通路32からのEGRガスが三方弁37及び同弁37より上流の空気迂回通路36へ流れ、コンプレッサ5aより上流の吸気通路2へ流れてエンジン1に還流される。従って、吸気通路2に加え、EGR通路32の一部として機能する空気迂回通路36の一部を含む空気迂回通路36の全体、及び流量制御弁38が事前に暖機されるので、その後、同通路36等をEGRガスが流れてもEGRガスが冷やされない。このため、三方弁37より上流の空気迂回通路36にて、EGRガスによる凝縮水の発生を抑えることができる。すなわち、吸気通路2及びEGR通路32(EGR通路32として機能する空気迂回通路36の一部を含む。)の冷間時に、吸気通路2に加え、EGR通路32として機能する空気迂回通路36の一部及び流量制御弁38にてEGRガスによる凝縮水の発生を抑えることができる。この結果、冷間時でも早期にEGRを実施することができる。また、比較的安価な三方弁37と、一つの流量制御弁38を設ければよく、装置全体を比較的低コストにすることができる。
加えて、この実施形態では、空気迂回通路36の、三方弁37と迂回入口36aとの間の部分が、EGR通路32の一部として機能する。そのため、EGRガスを、迂回入口36aを通じて、電子スロットル装置7及びコンプレッサ5aより上流の吸気通路2へ流し、効率的に高温空気又は外気と混合することができる。
<第3実施形態>
次に、この発明のエンジンシステムを具体化した第3実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、吸気温度制御とEGR制御の内容の点で第1実施形態と構成が異なる。図20に、この実施形態における吸気温度制御とEGR制御の内容をフローチャートにより示す。図20のフローチャートでは、図6のフローチャートのステップ110とステップ220の代わりにステップ115とステップ225が設けられる。また、図20のフローチャートでは、ステップ120とステップ225との間にステップ900が設けられ、ステップ240とステップ250との間にステップ910が設けられる点で図6のフローチャートと異なり、その他のステップでは、図6のフローチャートと同じである。
処理がこのルーチンへ移行すると、ECU50は、ステップ100で、エンジン1が運転中であると判断した場合、ステップ115で、各種センサ等42〜46の検出信号に基づきアクセル開度ACC、冷却水温度THW、吸気温度THA、エンジン回転速度NE、エンジン負荷KL及び外気温度THAOを取り込む。ECU50は、エンジン1の始動時に吸気温センサ46により検出された始動時吸気温度THASをメモリに記憶しておき、その始動時吸気温度THASを外気温度THAOとして取り込むことができる。その後、ECU50は、ステップ120以降の処理を実行する。
そして、ステップ120から移行してステップ900では、ECU50は、外気温度THAOに応じた高温空気停止水温度THWHOを算出する。この高温空気停止水温度THWHOは、吸気通路2への高温空気の導入を停止させて外気の導入へ切り替えるための冷却水温度を意味する。ECU50は、例えば、図21に示すようなマップを参照することにより、外気温度THAOに応じた高温空気停止水温度THWHOを算出することができる。このマップでは、外気温度THAOが「−40〜約−30℃」の範囲では、高温空気停止水温度THWHOが「100℃」で一定となり、外気温度THAOが「約−30〜40℃」の範囲で高くなるに連れて、高温空気停止水温度THWHOが「100〜60℃」の範囲で直線的に低下するように設定される。
次に、ステップ225では、ECU50は、冷却水温度THWが高温空気停止水温度THWHO(>TH1)より低いか否かを判断する。この高温空気停止水温度THWHOは、直前のステップ900で算出された値である。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ230へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ310へ移行する。
ステップ230の判断が肯定となる場合は、ECU50は、ステップ240の処理を実行した後、ステップ910で、EGRオン条件であるか否か、すなわち、エンジン1の運転状態がEGRをオンにすべき条件であるか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ250へ移行し、この判断結果が否定となる場合、すなわちEGRをオフとすべき条件である場合は処理をステップ150へ移行する。
上記制御によれば、ECU50は、図6のフローチャートの制御内容に加え、次のような制御を実行する。すなわち、ECU50は、吸気通路2及びEGR通路32(EGR通路32として機能する空気迂回通路36の一部を含む。)の冷間時でなくても、外気温度THAOが比較的低く、アクセル開度ACCが比較的小さくなる場合、あるいは、エンジン回転速度NEが比較的低くなる場合に、ECU50は、吸気切替弁24を高温空気位置へ切り替える。加えて、ECU50は、EGRカットが行われるEGRオフ条件時には、三方弁37をオンして空気迂回通路36へ高温空気を導入すると共に、その高温空気の流量を流量制御弁38により調節するようになっている。換言すると、ECU50は、EGR通路32(EGR通路32として機能する空気迂回通路36の一部を含む。)の温度が低下するとき(外気温度THAOが比較的低いとき)も、EGRガスの還流が遮断された場合(EGRカットされた場合)は、EGRガスの還流を再開する前に、高温空気通路23からの高温空気を吸気通路2及び空気迂回通路36へ流すために電子スロットル装置7、吸気切替弁24、三方弁37及び流量制御弁38を制御するようになっている。
以上説明したこの実施形態のエンジンシステムによれば、第1実施形態と同等の作用効果を得ることができる。加えて、この実施形態では、外気温度THAOが比較的低く、かつEGRカットが行われるとき、すなわち、吸気通路2及びEGR通路32(EGR通路32として機能する空気迂回通路36の一部を含む。)の温度低下時にも、吸気通路2と空気迂回通路36に高温空気が流れる。これにより、EGR通路32の一部として機能する空気迂回通路36の一部を含む空気迂回通路36の全体、及び流量制御弁38が高温空気により暖機される。その後、三方弁37がオフされることにより、EGR通路32からのEGRガスが三方弁37及び同弁37より下流の空気迂回通路36へ流れ、同通路36を介して吸気マニホルド8の各分岐通路8bへ流れてエンジン1に還流される。従って、吸気通路2に加え、EGR通路32の一部として機能する空気迂回通路36の一部を含む空気迂回通路36の全体、及び流量制御弁38が事前に暖機されるので、その後、同通路36等をEGRガスが流れてもEGRガスが冷やされない。このため、三方弁37より下流の空気迂回通路36及び流量制御弁38にて、EGRガスによる凝縮水の発生を抑えることができる。すなわち、吸気通路2及びEGR通路32(EGR通路32として機能する空気迂回通路36の一部を含む。)の温度低下時に、吸気通路に加え、EGR通路32として機能する空気迂回通路36の一部及び流量制御弁38にてEGRガスによる凝縮水の発生を抑えることができる。また、比較的安価な三方弁37と、一つの流量制御弁38を設ければよく、装置全体を比較的低コストにすることができる。
なお、この実施形態の構成によれば、高温空気通路23から吸気通路2へ高温空気が流れる状態で、エンジン1が高負荷運転になると、エンジン1に吸入される吸気量Gaが不足するので、吸気切替弁24を外気位置へ切り替えて吸気通路2に外気を流すようになっている。ここで、高負荷運転状態では、EGR通路32として機能する空気迂回通路36の一部が冷やされ、同通路36等で凝縮水が発生するおそれがある。しかし、この場合は、凝縮水が発生しても、吸気の流速が速いので、凝縮水が微小微粒な状態でエンジン1に吸入されるので問題はない。
<第4実施形態>
次に、この発明のエンジンシステムを具体化した第4実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、図1に示すエンジンシステムを、モータとエンジンを選択的又は協働で使用するハイブリッド自動車(HV自動車)に適用した場合に具体化した。HV自動車では、走行中でもエンジンが間欠停止(モータのみが駆動され、エンジン1が強制的に停止される場合)することがあり、その間欠停止条件下では、高温空気によりEGR通路32を暖機することができない。これに対処するために、この実施形態では、エンジン1が間欠停止した後、EGRを再開する前には、EGR通路32(空気迂回通路36の一部を含む。)を暖機するようになっている。そこで、この実施形態では、吸気温度制御とEGR制御の内容の点で第3実施形態と構成が異なる。図22及び図23に、この実施形態における吸気温度制御とEGR制御の内容をフローチャートにより示す。図22及び図23のフローチャートでは、ステップ910、ステップ250及びステップ310の間にステップ920〜ステップ980が設けられる点で図20のフローチャートと異なり、その他のステップでは、図20のフローチャートと同じである。
図22及び図23のフローチャートにおいて、ステップ910から移行してステップ920では、ECU50は、エンジンの間欠停止からの復帰(エンジン1を間欠停止させてから再始動させること。)であるか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ930へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ980へ移行する。
ステップ980では、ECU50は、EGR暖機完了フラグXEGRHOTが「1」であるか否かを判断する。このフラグXEGRHOTは、後述するようにEGR通路32等の暖機が完了した場合に「1」に、暖機が未完了の場合に「0」に設定されるようになっている。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ250へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ930へ移行する。
ステップ920又はステップ980から移行してステップ930では、ECU50は、間欠停止時間Tengoffを取り込む。この時間Tengoffの算出方法については後述する。
次に、ステップ940で、ECU50は、復帰後時間Tengonを取り込む。この時間Tengonの算出方法についても後述する。
次に、ステップ950で、ECU50は、外気温度THAOと間欠停止時間Tengoffより、強制暖機時間Thotを算出する。ECU50は、例えば、図24に示すようなマップを参照することにより、外気温度THAOと間欠停止時間Tengoffに応じた強制暖機時間Thotを算出することができる。このマップでは、間欠停止時間Tengoffが「0〜30秒」の範囲で長くなるに連れて強制暖機時間Thotが大きく(長く)なるように設定される。また、外気温度THAOが「−40〜約−30℃」の範囲では、強制暖機時間Thotが一定となり、外気温度THAOが「約−30〜40℃」の範囲で温度が高くなるに連れて、強制暖機時間Thotが直線的に短くなるように設定される。
次に、ステップ960では、ECU50は、復帰後時間Tengonが強制暖機時間Thotより長いか否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ970へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ150へ移行する。これにより、復帰後時間Tengonが強制暖機時間Thotより短いときは、EGR通路32等の暖機が未完了であるとして、吸気通路2と空気迂回通路36に高温空気が流され、復帰後時間Tengonが強制暖機時間Thotより長くなると、EGR通路32等の暖機が完了したものとして、EGR通路32(空気迂回通路36の一部を含む。)にEGRガスが流される。
ステップ970では、ECU50は、EGR暖機完了フラグXEGRHOTを「1」に設定したのち、処理をステップ250へ移行する。
次に、上記した間欠停止時間Tengoff及び復帰後時間Tengonの算出処理について説明する。図25に、その算出処理内容をフローチャートにより示す。
処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ1000で、ECU50は、エンジン1が間欠停止か否かを判断する。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ1010へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ1060へ移行する。
ステップ1010では、ECU50は、間欠停止フラグXENGOFFが「1」か否かを判断する。後述するように、このフラグXENGOFFは、エンジン1が間欠停止した場合に「1」に設定されるようになっている。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ1030へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ1020へ移行する。
ステップ1020では、ECU50は、間欠停止時間Tengoff(i)を「0」にリセットした後、処理をステップ1030へ移行する。
ステップ1010又はステップ1020から移行してステップ1030では、ECU50は、今回の間欠停止時間Tengoffを加算する。すなわち、前回算出された間欠停止時間Tengoff(i-1)に所定値γ(単位は「ms」)を加算することにより、今回の間欠停止時間Tengoffを求める。
次に、ステップ1040で、ECU50は、間欠停止フラグXENGOFFを「1」に設定する。
また、ステップ1050で、ECU50は、EGR暖機完了フラグXEGRHOTを「1」に設定した後、処理をステップ1000へ戻す。
一方、ステップ1000から移行してステップ1060では、ECU50は、復帰フラグXENGONが「1」であるか否かを判断する。後述するように、このフラグXENGONは、エンジン1が間欠停止から復帰した場合に「1」に設定されるようになっている。ECU50は、この判断結果が肯定となる場合は処理をステップ1080へ移行し、この判断結果が否定となる場合は処理をステップ1070へ移行する。
ステップ1070では、ECU50は、今回の復帰後時間Tengon(i)を「0」にリセットした後、処理をステップ1080へ移行する。
ステップ1060又はステップ1070から移行してステップ1080では、ECU50は、復帰後時間Tengonを加算する。すなわち、前回算出された復帰後時間Tengon(i-1)に所定値γ(単位は「ms」)を加算することにより今回の復帰後時間Tengonを求める。
次に、ステップ1090で、ECU50は、復帰フラグXENGONを「1」に設定した後、よりをステップ1000へ戻す。
上記制御によれば、ECU50は、図20のフローチャートの制御内容に加え、次のような制御を実行する。すなわち、ECU50は、エンジン1が間欠停止してEGRカットされた場合は、エンジン1が運転を再開してEGRガスの還流を再開する前に、間欠停止の時間(間欠停止時間Tengoff)と外気温度THAOに応じた強制暖機時間Thotだけ高温空気通路23からの高温空気を吸気通路2及び空気迂回通路36へ流すために電子スロットル装置7、吸気切替弁24、三方弁37及び流量制御弁38を制御するようになっている。
この実施形態の構成によれば、HV自動車のエンジンシステムにつき、第3実施形態と同等の作用効果を得ることができる。加えて、この実施形態では、エンジン1が間欠停止したときは、その間欠停止時間Tengoffと外気温度THAOに応じた強制暖機時間Thotに基づき、EGRの再開前に、吸気通路2と空気迂回通路36に高温空気が流され吸気通路2と空気迂回通路36が暖機される。従って、エンジン1の間欠停止からの復帰時には、吸気通路2に加え、EGR通路32の一部として機能する空気迂回通路36の一部を含む空気迂回通路36の全体、及び流量制御弁38が事前に暖機されるので、その後、同通路36等をEGRガスが流れてもEGRガスが冷やされない。このため、三方弁37より下流の空気迂回通路36及び流量制御弁38にて、EGRガスによる凝縮水の発生を抑えることができる。すなわち、エンジン1の間欠停止からの復帰時、すなわち吸気通路2やEGR通路32(EGR通路32として機能する空気迂回通路36の一部を含む。)の温度低下時に、吸気通路2に加え、EGR通路32として機能する空気迂回通路36の一部及び流量制御弁38にてEGRガスによる凝縮水の発生を抑えることができる。また、比較的安価な三方弁37と、一つの流量制御弁38を設ければよく、装置全体を比較的低コストにすることができる。
なお、この発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもできる。
(1)前記第1実施形態では、本発明を過給機5を備えたエンジンシステムに具体化したが、本発明を、図26に示すように、過給機を持たないエンジンシステムに具体化することもできる。図26は、エンジンシステムを概略構成図により示す。図26において、番号が付された部材は、図1のエンジンシステムと同等の部材を示す。この実施形態でも第1実施形態と同等の作用効果を得ることができる。
(2)前記第2実施形態では、本発明を過給機5を備えたエンジンシステムに具体化したが、本発明を、図27に示すように、過給機を持たないエンジンシステムに具体化することもできる。図27は、エンジンシステムを概略構成図により示す。図27において、番号が付された部材は、図12のエンジンシステムと同等の部材を示す。この実施形態でも第2実施形態と同等の作用効果を得ることができる。
(3)前記第3及び第4の実施形態では、エンジン1の始動時に検出された始動時吸気温度THASを外気温度THAOとして取り込むように構成した。これに対し、外気温度を検出する専用の外気温センサを設け、その外気温センサの検出値を外気温度THAOとして取り込むようにしてもよい。
(4)前記第4実施形態では、HV自動車のエンジンシステムにつき、エンジン1の間欠停止からの復帰後、EGR再開前に、吸気通路2と空気迂回通路36等に高温空気を流して同通路2,36等を暖機するように構成した。これに対し、HV自動車でない通常の自動車のエンジンシステムでも、降坂走行にてエンジンの減速燃料カット(エンジンの減速運転時にエンジンへの燃料供給を遮断すること。)が長引いたときは、高温空気の熱源となるエンジン排気温度が低下し、高温空気を流すことができない。そこで、エンジンの減速燃料カットが行われた場合も、エンジンが間欠停止したものとして、減速燃料カットからの復帰後、EGR再開前に、吸気通路と空気迂回通路等に高温空気を流して同通路等を暖機するように構成することもできる。
この発明は、排気の一部をエンジンへ還流すると共に、高温空気を吸気通路へ導入するように構成したエンジンシステムに利用することができる。
1 エンジン
2 吸気通路
2a 吸気入口
3 排気通路
7 電子スロットル装置(吸気量調節弁)
23 高温空気通路
24 吸気切替弁(第1流路切替弁)
32 EGR通路(排気還流通路)
32a 還流入口
32b 還流出口
36 空気迂回通路
36a 迂回入口
36b 迂回出口
37 三方弁(第2流路切替弁)
37a 第1ポート
37b 第2ポート
37c 第3ポート
38 流量制御弁
45 エアフローメータ(吸気量検出手段)
47 吸気圧センサ(吸気圧力検出手段)
50 ECU(制御手段、診断手段)

Claims (8)

  1. エンジンに吸気を導入するための吸気通路と、
    前記吸気通路は、吸気入口を含み、前記吸気入口から外気を導入することと、
    前記吸気通路における吸気量を調節するために前記吸気通路に設けられた吸気量調節弁と、
    高温空気を前記吸気通路に導入するために前記吸気通路に接続された高温空気通路と、
    前記吸気通路と前記高温空気通路との接続部に設けられ、前記高温空気通路からの高温空気と前記吸気入口からの前記外気とを前記吸気通路の下流側へ選択的に流すために流路を切り替える第1流路切替弁と、
    前記エンジンから排気通路へ導出される排気の一部を排気還流ガスとして前記吸気通路へ流して前記エンジンへ還流させる排気還流通路と
    を備えたエンジンシステムにおいて、
    前記吸気通路へ導入された前記高温空気又は前記外気の少なくとも一部を前記吸気量調節弁より下流の前記吸気通路へ迂回させるための空気迂回通路と、
    前記排気還流通路が前記空気迂回通路に接続され、前記空気迂回通路の一部が前記排気還流通路の一部として機能することと、
    前記排気還流通路と前記空気迂回通路との接続部に設けられ、前記排気還流通路を流れる前記排気還流ガスと前記空気迂回通路を流れる前記高温空気又は前記外気を前記吸気通路へ選択的に流すために流路を切り替える第2流路切替弁と、
    前記空気迂回通路に設けられ、前記空気迂回通路を流れる前記高温空気、前記外気又は前記排気還流ガスの流量を調節するための流量制御弁と、
    前記吸気量調節弁、前記第1流路切替弁、前記第2流路切替弁及び前記流量制御弁を制御するための制御手段と
    を備え、前記制御手段は、前記エンジンの運転状態に応じて前記排気還流ガスを前記吸気通路へ流すために、前記吸気量調節弁、前記第2流路切替弁及び前記流量制御弁を制御し、前記吸気通路及び前記排気還流通路の冷間時又は温度低下時には、前記排気還流ガスを前記吸気通路へ流す前に、前記高温空気通路からの前記高温空気を前記吸気通路及び前記空気迂回通路へ流すために前記吸気量調節弁、前記第1流路切替弁、前記第2流路切替弁及び前記流量制御弁を制御する
    ことを特徴とするエンジンシステム。
  2. 前記制御手段は、外気温度が比較的低いときに前記排気還流ガスの還流が遮断された場合は、前記排気還流ガスの還流を再開する前に、前記高温空気通路からの前記高温空気を前記吸気通路及び前記空気迂回通路へ流すために前記吸気量調節弁、前記第1流路切替弁、前記第2流路切替弁及び前記流量制御弁を制御することを特徴とする請求項1に記載のエンジンシステム。
  3. 前記制御手段は、前記エンジンが間欠停止して前記排気還流ガスの還流が遮断された場合は、前記エンジンが運転を再開して前記排気還流ガスの還流を再開する前に、前記間欠停止の時間と外気温度に応じた強制暖機時間だけ高温空気通路からの前記高温空気を前記吸気通路及び前記空気迂回通路へ流すために前記吸気量調節弁、前記第1流路切替弁、前記第2流路切替弁及び前記流量制御弁を制御することを特徴とする請求項1に記載のエンジンシステム。
  4. 前記空気迂回通路は、迂回入口と迂回出口を含み、前記迂回入口は前記吸気量調節弁より上流かつ前記第1流路切替弁より下流の前記吸気通路に接続されると共に、前記迂回出口は前記吸気量調節弁より下流の前記吸気通路に接続され、
    前記流量制御弁は、前記迂回出口と前記第2流路切替弁との間の前記空気迂回通路に設けられる
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエンジンシステム。
  5. 前記空気迂回通路は、迂回入口と迂回出口を含み、前記迂回入口は前記吸気量調節弁より上流かつ前記第1流路切替弁より下流の前記吸気通路に接続されると共に、前記迂回出口は前記吸気量調節弁より下流の前記吸気通路に接続され、
    前記流量制御弁は、前記迂回入口と前記第2流路切替弁との間の前記空気迂回通路に設けられる
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のエンジンシステム。
  6. 前記エンジンは複数の気筒を有するレシプロエンジンであり、
    前記吸気通路は、前記各気筒へ前記吸気を分配するために前記エンジンの直前にて複数の分岐通路に分岐しており、
    前記第2流路切替弁より下流の前記空気迂回通路は、同通路を流れる前記高温空気、前記外気又は前記排気還流ガスを前記各分岐通路へ分配するための分配管を含む
    ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のエンジンシステム。
  7. 前記流量制御弁は、大流量制御を可能とした電動式の二重偏心弁を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のエンジンシステム。
  8. 前記第1流路切替弁より下流の前記吸気通路を流れる吸気量を検出するための吸気量検出手段と、
    前記吸気量調節弁より下流の前記吸気通路における吸気圧力を検出するための吸気圧力検出手段と、
    前記第2流路切替弁及び前記流量制御弁の異常を診断するための診断手段と
    を備え、前記診断手段は、前記吸気量調節弁の開度が所定の条件となるときに、前記第2流路切替弁が切り替え制御されると共に前記流量制御弁が開閉制御される前後で前記吸気量検出手段により検出される前記吸気量及び前記吸気圧力検出手段により検出される前記吸気圧力に基づいて前記第2流路切替弁及び前記流量制御弁の異常を診断する
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のエンジンシステム。
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