JP2017178646A - 炭化珪素単結晶製造用の黒鉛坩堝 - Google Patents

炭化珪素単結晶製造用の黒鉛坩堝 Download PDF

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昌史 牛尾
藤本 辰雄
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Abstract

【課題】昇華再結晶法において、坩堝内に充填されたSiC原料粉末を効率的に利用してSiC単結晶を成長させることができ、量産性に優れてSiC単結晶を製造することができる黒鉛坩堝を提供する。【解決手段】上端開口筒状に形成された黒鉛製の坩堝本体とこの坩堝本体の上端開口部を閉塞する坩堝上蓋とを有し、前記坩堝本体下部の原料充填部に原料炭化珪素を充填すると共に、前記坩堝上蓋の内面に炭化珪素単結晶からなる種結晶基板を設置し、前記原料炭化珪素を加熱して昇華させ、発生した昇華ガスを前記種結晶基板の表面で再結晶化させて炭化珪素を成長させる昇華再結晶法により炭化珪素単結晶を製造するための黒鉛坩堝であって、前記坩堝本体の内壁面に多孔質カーボン部材を備えたことを特徴とする炭化珪素単結晶製造用の黒鉛坩堝である。【選択図】図2

Description

本発明は、昇華再結晶法による炭化珪素単結晶製造用の黒鉛坩堝に関するものである。
炭化珪素(以下、「SiC」と表記することがある。)は、機械的強度に優れ、放射線に強い等の物理的、化学的な安定性から耐環境性半導体材料として注目されている。また、絶縁破壊電界強度、耐熱性、熱伝導性においてシリコン(Si)を凌駕する物性を有しており、近年、高周波高耐圧電子デバイス用途としてSiC単結晶ウェハの需要が高まっている。しかし、その優れた物理的、化学的な安定性に起因して、SiC単結晶の製造には多くの課題が存在する。
現在、市販されているSiC単結晶ウェハを製造するためのSiC単結晶の育成には、主に昇華再結晶法(改良レイリー法)が用いられている。これは、不活性ガスの減圧環境中に蓋付き坩堝(通常、黒鉛製等の耐熱容器)を配置し、坩堝上蓋の内面に種結晶基板となるSiC単結晶基板を設置し、また、坩堝本体下部の原料充填部に原料となるSiC結晶粉末(以下、「SiC原料粉末」ということがある。)を充填して、これら種結晶基板とSiC原料粉末とを坩堝内部で互いに対向させて配置し、SiC原料粉末と種結晶基板との間に種結晶基板側がやや低温となるような温度勾配を形成させて2000〜2400℃に加熱し、SiC原料粉末側で生成した原料SiC結晶粉末からの昇華ガスを種結晶基板へと拡散させ、また、輸送させ、種結晶基板の表面で再結晶化させてSiC結晶を成長させる方法である。
他のSiC単結晶の育成方法としては、Si融液に炭素(C)を溶解させた溶液中で低温側に配置した種結晶基板上に成長層を育成する溶液成長法、Si及びCの化合物ガスを高温で種結晶基板の表面に吹き付けて成長層を得る高温化学気相堆積法(高温CVD法)等が提案され、研究開発が進められているが、これらの方法では安定して厚い成長層を得ることが難しく、現状では昇華再結晶法が最も量産性に優れる方法であるとされている。しかしながら、この昇華再結晶法においても、得られるSiC単結晶の重量が坩堝本体下部の原料充填部内に予め充填されるSiC原料粉末の重量によって制限され、1つの単結晶インゴットから切断加工できるウェハ枚数を増やすには、原料充填部内へのSiC原料粉末の充填量を増やすと共に、坩堝系外へ漏出する昇華ガスの漏出量を可能な限り低減し、SiC原料粉末から発生した昇華ガスを種結晶基板上で効率的に再結晶化させることが重要である。
ところで、昇華再結晶法では、一般に、充填したSiC原料粉末の重量に対して、得られる成長結晶の重量が少ないという問題がある。これは、結晶成長中に昇華ガスが少なからず坩堝外へ漏出してしまうということに加え、昇華再結晶法における成長原理として、SiC原料粉末から発生する昇華ガスはSiとCの1:1の組成比で構成されるのではなく、一貫してSi過剰のガス組成を有することに起因すると考えられる。SiCから発生する昇華ガスは、主としてSi、SiC、SiCから構成されることが知られており、温度の上昇に伴って昇華ガス全体の組成はそのC分圧比を増すものの、例えば非特許文献1に示されているように、2200℃においても昇華ガス中のC分圧比は30%程度に止まっている。また、この昇華ガスがSi過剰の組成比で構成されることについては、昇華後にSiC原料粉末がCからなる残渣として残存することからも明らかである。
ここで、昇華ガスがSi過剰な組成比を有することは、昇華ガス全てが結晶成長に寄与するのではなく、昇華ガス中に含まれるCの量に依存してSiC成長層が形成されることを意味する。つまり、種結晶基板の表面に到達した昇華ガスは、再結晶化に際し、最大でも昇華ガス中に含まれるCの量だけSiC単結晶を形成することができ、過剰分のSiは相手となるCが存在せず成長に寄与できない。従って、単純にSiC原料粉末から発生した昇華ガスのみでSiC単結晶を成長させる場合、計算上得られる成長層の総重量は予め充填しておいたSiC原料粉末の重量の30%程度に止まってしまい、昇華再結晶法の量産性を低下させる大きな要因となっている。
このような昇華再結晶法の量産性の課題に対し、特許文献1では、前記原料充填部の容器構造を二重壁構造とし、内側に貫通孔を有する分離壁を設けて、加熱開始後一定時間の後に分離壁を動かすことにより、壁面に接していた原料を容器内に露出させ、これを新たな昇華ガス供給面として利用することで、昇華ガスを供給し続けることができるとする技術を開示している。この方法によれば、予め導入しておいたSiC原料粉末をより効率良く昇華ガスとして容器内の成長空間領域へ供給できる。ところが、2000℃を超える高温環境下で、しかも、SiC原料粉末からの昇華ガスに晒されながら、坩堝容器内で機械的な駆動制御を行うことは、部材同士の固着や消耗等により、十分な再現性を実現することが難しくて現実的ではない。また、この方法においても、昇華ガスのうち、成長に寄与可能な割合が低いという根本的な問題は前記と同様である。
特開2014-40372号公報
ECS Journal of Solid State Science and Technology, 2 (8) N3018-N3021 (2013). Journal of Crystal Growth 258 (2003)261-267.
上述したように、昇華再結晶法はSiC原料粉末から発生する昇華ガスが一貫して組成的にSi過剰であることに起因して、余剰Siガス成分が成長に寄与できず、また、漏出ガスとして反応系外へも散逸してしまうことから、成長インゴットして得られるSiC重量は初期原料充填量に対して大幅に小さくなってしまい、製造技術として量産性に問題がある。
一方で、昇華再結晶法に用いられる黒鉛坩堝は、SiC原料粉末から発生する原料昇華ガスとの反応や2000℃を超える高温への加熱により、黒鉛坩堝自体も昇華・消耗することが知られている。ここで、非特許文献2には、昇華再結晶法において、黒鉛製坩堝内部の原料充填部に同位体元素13Cを導入したSiC原料粉末を充填して結晶成長を行った結果、13Cが成長結晶に含まれる割合は原料充填部内に充填したSiC原料粉末における13Cが占めた割合より低く、更に実験後の坩堝の内壁面においても13Cが検出されていることが示されている。
そこで、本発明者らは、この非特許文献2における実験事実について検討し、この実験事実は“結晶成長に寄与する炭素源は単にSiC原料粉末からのみ供給されるのではなく、黒鉛製坩堝の内壁面からも供給され、成長結晶に取り込まれていること”を示しているのではないかと考え、黒鉛製坩堝を積極的に昇華ガスと反応させ、これを結晶成長のためのC供給源として利用して成長結晶へ取り込むことができれば、これまで予め坩堝内に充填されたSiC原料粉末からのC供給に限られ、制限されていた結晶成長量を大きく増加させることができるのではないかと考えた。
そして、本発明者らは、このような考えの下で、如何にして黒鉛製坩堝を結晶成長のためのC供給源として利用するかについて検討した結果、黒鉛製坩堝の内壁面に多孔質カーボン部材を配設することにより、黒鉛製坩堝の原料充填部に充填するSiC原料粉末の量を増加させなくても、この黒鉛製坩堝の内壁面に備えた多孔質カーボン部材を結晶成長のためのC供給源として利用することで、結晶成長量を増加させることができることを見出し、本発明を完成した。
従って、本発明は、昇華再結晶法において、坩堝内に充填されたSiC原料粉末を効率的に利用してSiC単結晶を成長させることができ、量産性に優れてSiC単結晶を製造することができる黒鉛坩堝を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1) 上端開口筒状に形成された黒鉛製の坩堝本体とこの坩堝本体の上端開口部を閉塞する坩堝上蓋とを有し、前記坩堝本体下部の原料充填部に原料炭化珪素を充填すると共に、前記坩堝上蓋の内面に炭化珪素単結晶からなる種結晶基板を設置し、前記原料炭化珪素を加熱して昇華させ、発生した昇華ガスを前記種結晶基板の表面で再結晶化させて炭化珪素を成長させる昇華再結晶法により炭化珪素単結晶を製造するための黒鉛坩堝であって、前記坩堝本体の内壁面に多孔質カーボン部材を備えたことを特徴とする炭化珪素単結晶製造用の黒鉛坩堝。
(2) 前記多孔質カーボン部材は炭化珪素の結晶成長方向の両端が開口した円筒状に形成されており、該円筒状の多孔質カーボン部材が坩堝本体の内壁面において坩堝本体下部の原料充填部より上方で入れ子状に配置されていることを特徴とする前記(1)に記載の炭化珪素単結晶製造用の黒鉛坩堝。
(3) 前記多孔質カーボン部材の厚さが1mm以上10mm未満であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の炭化珪素単結晶製造用の黒鉛坩堝。
(4) 前記多孔質カーボン部材の体積気孔率が20%以上95%未満であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の炭化珪素単結晶製造用の黒鉛坩堝。
本発明のSiC単結晶製造用の黒鉛坩堝によれば、昇華再結晶法において、坩堝内に充填されたSiC原料粉末を効率的に利用してSiC単結晶を成長させることができ、坩堝内に充填されるSiC原料粉末の充填量を必要以上に増加させることなく、比較的大きな炭化珪素単結晶を育成することが可能となり、量産性に優れた昇華再結晶法を実現することができる。
図1は、昇華再結晶法により炭化珪素単結晶を育成する際の育成装置を説明するための説明図である。 図2は、本発明の実施の一例に係る黒鉛坩堝の構造を説明するための説明図である。
以下、本発明の実施の形態に係る具体的な内容について述べる。
図1は、昇華再結晶法により炭化珪素単結晶を育成する際に用いられる従来の育成装置の構成を示す説明図であり、この育成装置に組み込まれた黒鉛坩堝1は、上端開口筒状に形成された黒鉛製の坩堝本体2とこの坩堝本体2の上端開口部を閉塞する黒鉛製の坩堝上蓋3とを有し、前記坩堝本体2下部の原料充填部には原料の炭化珪素粉末(SiC原料粉末)4が充填されていると共に、前記坩堝上蓋3の内面には炭化珪素単結晶からなる種結晶基板5が設置されている。
この図1に示す育成装置において、前記黒鉛坩堝1の外側には、黒鉛坩堝1全体を取り囲むように断熱材6が配設されており、これら黒鉛坩堝1及び断熱材6は支持棒7に支持されて二重石英管8の内部へ導入される。そして、この二重石英管8の外側にはワークコイル9が取り付けられており、このワークコイル9を流れる高周波電流により黒鉛坩堝1が誘導加熱され、この誘導加熱によってSiC原料粉末4が所定の温度に加熱されて昇華し、昇華ガスとなり、坩堝本体2下部の原料充填部付近の温度よりやや低温に維持された種結晶基板5に向けて移動し、この種結晶基板5の表面でSiCが再結晶化し、結晶成長が進行する。
本発明においては、坩堝本体2の内壁面に多孔質カーボン部材10を備えた黒鉛坩堝1とする。好ましくは、この多孔質カーボン部材10が、黒鉛坩堝1内でのSiCの結晶成長方向にその両端が開口した円筒状に形成されて、円筒状をした多孔質カーボン部材10が坩堝本体2の内壁面に重ねられるようにして(入れ子状にして)、坩堝本体2下部の原料充填部より上方に配置されるのがよい。具体的には、図2に示すように、図1に示す黒鉛坩堝1において、坩堝本体2下部の原料充填部に充填したSiC原料粉末4の表面から上の種結晶基板5に至るまでの坩堝本体2の周壁部内面に沿って円筒形状の多孔質カーボン部材10が入れ子状に配置されており、この多孔質カーボン部材10により、SiC単結晶の育成開始前及び育成中において黒鉛坩堝1内の空間部に表面積の大きなカーボン部材が常に露出されて、昇華ガスとの接触面積を高めて反応させることができる。坩堝本体2の内壁面に多孔質カーボン部材10を備えるにあたって特に制限はないが、例えば、坩堝本体2の周壁部内面の原料充填部より上に突起を設け、この突起の上に多孔質カーボン部材10を乗せれば坩堝本体2の周壁部内面に多孔質カーボン部材10を容易に固定できるため、好ましい。または、多孔質カーボン部材10の外周側面を坩堝本体2の周壁部内面に重ねたり、多孔質カーボン部材10の外形をテーパー状として坩堝本体2の周壁部内面の原料充填部より上で止まるようにするなどして、互いに嵌め合うように固定してもよい。
すなわち、本発明における黒鉛坩堝が備える多孔質カーボン部材は表面積が大きく、昇華ガスとの反応性が高い。したがって、従来例では、昇華ガスが坩堝本体と反応してその内壁面が消耗し、減肉してしまうが、本発明では、昇華再結晶法の坩堝構成材として、誘導を受けて発熱する坩堝本体の内壁面は消耗・減肉させずに、その内壁面を覆うように、結晶成長のための持続的なC供給源として多孔質カーボン部材を配置する。これにより、昇華ガスとの反応により表面がエッチング・浸食されても、多孔質カーボン部材であればその内部(深さ方向)も一定の連続した構造であるため、大きな表面積が常に維持され、カーボンを有効にガスへ反応させて成長へ寄与させ続けることが可能である。
特に、比較的大口径の結晶を得るのに対応させて大型の黒鉛坩堝を用いる場合、従来例では、小口径の結晶を得るための黒鉛坩堝と比較して、坩堝内壁面の表面積の増加分よりも坩堝内容積(≒昇華ガス量)の増加分の方が相対的に大きくなることから、昇華ガスが坩堝内壁面とより反応して、坩堝自体の消耗や減肉が顕著になる。そのため、高周波電流コイルの誘導を受けて発熱体となる坩堝材の発熱分布が意図せず変化してしまうようなおそれもあるが、本発明では、黒鉛坩堝が多孔質カーボン部材を備えるようにすることで、より多くのCを供給することができ、例えば6インチ以上の大口径の結晶成長に有利となる。なお、本発明は成長させるSiCの口径が制限されるものではないが、現状の製造技術では8インチを超えるSiC単結晶を得るのは難しいことから、現状の実質的適用上限は8インチ程度であると言える。
SiCの昇華再結晶法において、多孔質カーボンは「断熱材」として利用されることが一般的であり、目的とする温度分布を実現するために細かく構造設計されて「坩堝外に」配置されるが、「断熱材」を反応系内である坩堝内に配置する発想はなかった。
なお、図2に示す例では、坩堝本体2下部の原料充填部より上の部分であって、坩堝上蓋3の種結晶設置部や設置された種結晶側面位置に対応する(対向する)坩堝本体2の周壁部を除いた周壁部内面のほぼ全面を覆うように多孔質カーボン部材10が設置されているが、この多孔質カーボン部材10については、上記のような種結晶設置部や種結晶側面位置に対応した周壁部を除いた領域であれば、坩堝本体2の周壁部及び底壁部を含めて坩堝本体2の内壁面全面を覆うように設置されていてもよく、また、底壁部を除く周壁部の内面全面を覆うように設置されていてもよく、更に、周壁部の内面を部分的に覆うように設置されていてもよく、更にはその形状やパターンについても昇華ガスとの接触面積が増加して反応性が高くなれば、特に制限されるものではない。
多孔質カーボン部材は、予め分かっているその密度と体積気孔率から、カーボンの総量が導出できるため、目的とする結晶成長量に応じて初期に導入しておく多孔質カーボン部材の厚みや量を決めておくことが可能である。また、これらを考慮して多孔質カーボン部材として十分な厚みを確保しておけば、結晶成長中に多孔質カーボン部材が消耗・消失して多孔質カーボン部材が設置された坩堝本体の内壁面が露出してしまうことが抑止でき、坩堝本体が昇華ガスでエッチング・浸食されることを抑制できる。
そして、この多孔質カーボン部材10については、その体積気孔率が小さい場合には昇華ガスとの反応性が小さいため、目的とする効果が十分に得られない場合があり、また大き過ぎる場合であってもC総量が少なくなり、C供給による結晶成長量への寄与が十分に得られない場合があることから、好ましくは、体積気孔率が20%以上95%未満の範囲であることが望ましく、さらに好ましくは40%以上80%以下とすることにより、昇華ガスによるエッチング反応が有為的に促進され、SiC単結晶の育成時に当該多孔質カーボン部材を炭素源として効果的に利用することができる。
本発明において、多孔質カーボン部材を坩堝本体に対して入れ子状に配置した場合、坩堝本体の内壁面(黒鉛材部)は昇華ガスに晒されないため、時間的に消耗変化せず、加熱能(誘導を受けて発熱体とされる機能)の変化を抑制することができる。坩堝本体内壁面の減肉が大きい場合には、その変化に応じて加熱のための高周波出力パターンを修正する必要があると考えられるが、本発明の黒鉛坩堝では発熱体としての発熱部が減肉しないため従来の高周波出力パターンをそのまま適用可能である。
なお、黒鉛坩堝は、高周波誘導電流が黒鉛坩堝の内部に浸透できず、発熱は伝導体である黒鉛坩堝の表面(外壁面近傍)で起きるという、表皮効果とよばれる効果によって、主に坩堝外周部を中心として加熱される特徴があることから、坩堝内壁に沿って多孔質カーボン部材が配置されたとしても、誘導電流は多孔質カーボン部材に流れることはなく、有意な擾乱を受けることが無いため、したがって加熱される黒鉛坩堝の加熱状態にも有意な影響を与えるものではない。
また、多孔質カーボン部材は、従来用いられるように断熱材として黒鉛坩堝の外側に配置された場合には、誘導を受けて発熱する黒鉛坩堝からの放熱を抑制する効果があるが、黒鉛坩堝の内側(結晶成長空間)に配置された本発明の場合には、発熱部より内側にあるために系の放熱性は変化せず、外側に配置した場合に比べて結晶成長時の温度分布、発熱分布への影響は十分小さい。ただし、種結晶設置部近傍に配置した場合には結晶成長形状に影響を及ぼすおそれがあるため、上述したように、多孔質カーボン部材は種結晶設置部及びその種結晶側面位置に対応した周壁部を除いた部分であって、坩堝本体下部の原料充填部より上方に配置することが望ましい。また、多孔質カーボン部材の厚みが大きすぎる場合には、坩堝内部空間が縮小し、結晶部へ輸送される坩堝内の昇華ガス流を阻害する要因となるため、必要以上の厚みで配置することは望ましくない。逆に薄すぎる場合には多孔質カーボン部材の配置による有意な効果が見込めないことから、好ましくは1mm以上、10mm未満とするのが好適である。
本発明において、黒鉛坩堝1における坩堝本体2の内壁面に設置する多孔質カーボン部材10としては、市販の各種ポーラスカーボン材を所望の形状に成型したもののほか、研磨剤用のSiC粉末を焼き固め、Siを昇華させ炭化させたカーボン残渣を用いることも可能である。
以下に、本発明の実施例を述べる。
〔実施例1〕
実施例1においては、昇華再結晶法により炭化珪素単結晶を育成する際に用いられる図1に示す育成装置において、図2に示す構造を有する3インチ口径の黒鉛坩堝を採用した。ここで、多孔質カーボン部材としては、カーボン繊維基材へ樹脂を含浸させ、高温焼成・黒鉛化処理したものを、結晶成長方向の両端が開口した円筒状に成型した円筒状成型体を用いた。この円筒状成型体は厚み(肉厚)が5mmであり、また、その一部の試験片のかさ密度及び気相置換法により測定された真密度から計算された体積気孔率が40%であった。
上記で準備した円筒状成型体(多孔質カーボン部材)の外周側面を坩堝本体2の内壁面に重ね、坩堝本体2の原料充填部直上から種結晶配置部直下(種結晶の結晶成長面の高さ位置)までの周壁部を覆うようにして設置した。このように多孔質カーボン部材10が入れ子状に配置された黒鉛坩堝1を用いて、図1に示した育成装置により常法に従って昇華再結晶法によるSiC単結晶の育成を行った。この際、二重石英管8の内部を真空排気し、原料充填部内のSiC原料粉末4を2000℃まで上昇させると共に、アルゴンガスを流入させて二重石英管内圧力を約1.3kPaに保ち、SiC原料粉末を目標温度の約2400℃まで上昇させて成長を行った。
この実施例1において、成長実施後の多孔質カーボン部材はおよそ2mm程度の消耗・減肉が見られ、坩堝本体の内壁面の露出は見られなかった。原料充填部内に充填したSiC原料粉末に対して得られた成長結晶の歩留り(以下、「結晶成長の歩留り」という。)は、質量割合〔(成長結晶の質量)÷(SiC原料粉末の質量)×100〕で70%であった。
〔実施例2〕
黒鉛坩堝1の坩堝口径を6インチとし、多孔質カーボン部材10として上記の実施例1と同様にして得た円筒状成型体(体積気孔率40%、厚み6mm)を用いて、実施例1と同様に、坩堝本体2の原料充填部直上から種結晶配置部直下までの周壁部を多孔質カーボン部材10で覆うようにして実施例2に係る黒鉛坩堝とした。そして、実施例1と同様にして、昇華再結晶法によるSiC単結晶の結晶成長を行った。その結果、成長実施後の多孔質カーボン部材はおよそ4〜5mm程度の消耗・減肉が見られ、坩堝本体の内壁面の露出は見られなかった。この実施例2における結晶成長の歩留りは72%であった。
〔実施例3〕
体積気孔率が60%となるようにした以外は実施例1と同様にして得られた同寸法の円筒状成型体を多孔質カーボン部材10として、実施例3に係る坩堝口径3インチの黒鉛坩堝を準備した。そして、実施例1と同様にして、昇華再結晶法によるSiC単結晶の結晶成長を行った。この実施例3における結晶成長の歩留りは71%であった。
この実施例3においては、成長実施後の多孔質カーボン材はおよそ3mm程度の消耗・減肉が見られたが、坩堝本体の内壁面の露出は見られなかった。
〔比較例1〕
実施例2と同寸法の口径(6インチ口径)であって多孔質カーボン部材を配置していない従来の黒鉛坩堝を備えた図1に示す育成装置を用い、実施例2と同様にしてSiC単結晶の結晶成長を行った。
この比較例1においては、結晶成長後の坩堝本体2の内壁面は厚み1mm程度エッチングされ、消耗が確認されたものの、結晶成長の歩留りは約45%に過ぎなかった。
〔比較例2〕
また、その他の比較例として、坩堝口径を6インチとし、坩堝本体の内壁面に粗面加工を施して粗面部を形成した黒鉛坩堝を用いて、実施例2及び比較例1と同様の条件でSiC単結晶の結晶成長を行った。この際に粗面加工で形成された粗面部の表面粗度Ra(JIS B0601:2013)が1.2μmのものを用いた。前記粗面部を形成する粗面加工は、坩堝本体下部の原料充填部より上の種結晶基板に至るまでの坩堝本体の周壁部内面に対してサンドペーパーでの粗面化を実施し、表面粗度Raの測定は、接触式段差計(Mitutoyo製SURFTEST型番SV-3100)を用い、4μm走査の粗さ測定により行った。
この比較例2においては、結晶成長中の結晶成長後の坩堝本体の内壁面のエッチング、消耗が見られ、内壁面は厚み3mm以上減肉していた。この場合において結晶成長の歩留まりは65%であった。しかしながら、成長インゴットの端部側外周において一部結晶性の乱れが発生しており、成長後半において坩堝周壁部が減肉したことによる加熱能の変化が懸念された。
以上の各実施例及び比較例の結果から、本発明の黒鉛坩堝を用いることにより、同じ原料充填量からより重量の大きなSiC単結晶を育成できることが判明した。従って、本発明の黒鉛坩堝の使用により、原料充填量を増加させるための坩堝構造の大幅な修正をすることなく、飛躍的に量産性を高めることが可能である。なかでも、大口径の結晶成長において坩堝内壁部のカーボン材がC供給源として働くように、黒鉛坩堝の内壁部自体に粗面加工を施して実施した結晶成長と比較しても、本発明の黒鉛坩堝では結晶成長の歩留りに優れ、また、坩堝壁面の減肉による加熱能の変化を抑止できて、従来の加熱出力パターンの適用が容易であることが見出された。
1:黒鉛坩堝、2:坩堝本体、3:坩堝上蓋、4:炭化珪素粉末(SiC原料粉末)、5:種結晶基板(SiC単結晶)、6:断熱材、7:支持棒、8:二重石英管、9:ワークコイル、10:多孔質カーボン部材。

Claims (4)

  1. 上端開口筒状に形成された黒鉛製の坩堝本体とこの坩堝本体の上端開口部を閉塞する坩堝上蓋とを有し、前記坩堝本体下部の原料充填部に原料炭化珪素を充填すると共に、前記坩堝上蓋の内面に炭化珪素単結晶からなる種結晶基板を設置し、前記原料炭化珪素を加熱して昇華させ、発生した昇華ガスを前記種結晶基板の表面で再結晶化させて炭化珪素を成長させる昇華再結晶法により炭化珪素単結晶を製造するための黒鉛坩堝であって、前記坩堝本体の内壁面に多孔質カーボン部材を備えたことを特徴とする炭化珪素単結晶製造用の黒鉛坩堝。
  2. 前記多孔質カーボン部材は炭化珪素の結晶成長方向の両端が開口した円筒状に形成されており、該円筒状の多孔質カーボン部材が坩堝本体の内壁面において坩堝本体下部の原料充填部より上方で入れ子状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の炭化珪素単結晶製造用の黒鉛坩堝。
  3. 前記多孔質カーボン部材の厚さが1mm以上10mm未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭化珪素単結晶製造用の黒鉛坩堝。
  4. 前記多孔質カーボン部材の体積気孔率が20%以上95%未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭化珪素単結晶製造用の黒鉛坩堝。
JP2016065648A 2016-03-29 2016-03-29 炭化珪素単結晶製造用の黒鉛坩堝 Pending JP2017178646A (ja)

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