JP2017177660A - 筒体の製造装置およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】繊維束をライナやマンドレルなどに巻き付ける際に、撚れた繊維束が成形体に含まれることを防ぎ、かつ、張力変動を抑えて繊維束に一定の張力を付加できる筒体の製造装置を提供することを目的とする。【解決手段】前記ボビンと前記マンドレルとの間に、前記繊維束を搬送するガイドロール群が設けられ、前記ガイドロール群は、少なくとも前記繊維束と最初に接する第1のガイドロールと、前記第1のガイドロールの下流側に配置される第2のガイドロールを少なくとも有し、前記第2のガイドローラと接する前記繊維束の巻き付き角度θと前記第1のガイドローラの中心と前記第2のガイドローラの中心との距離Lとが(1)式と(2)式の関係を有する。180/sin(θ/2)≦L≦1500 (30°≦θ<70°)・・・(1)313≦L≦1500 (70°≦θ≦170°)・・・(2)【選択図】図1

Description

本発明は、筒体の製造装置およびその製造方法に関する。
炭素繊維はその優れた機械的特性、特に比強度、比弾性率が高いという特徴を有しているため、自動車など一般産業用途などに広く使用されており、その成形方法も様々に開発されている。この中でもフィラメントワインディング成形方法(以下FW(Filament Winding)成形方法と称す場合がある)は、その優れた成形性、および、得られる炭素繊維強化複合材料の特性から炭素繊維に広く適用されている。
特に、近年注目されている燃料電池自動車や天然ガス自動車などの燃料用容器には、軽量かつ高性能な特性を得るために、炭素繊維を補強繊維としてFW成形方法で成形した圧力容器が使用され始めている。圧力容器は、樹脂製または金属製内容器等のマンドレルの外面に単位密度当りの強度が非常に高い炭素繊維強化プラスチック材(以下CFRPと称す:Carbon Fiber Reinforce Plastic)等を巻き付けて補強している。
このような圧力容器を製造する際、例えばFW成形方法のように炭素繊維等の繊維束にエポキシ樹脂等の樹脂溶液を含浸させた状態で樹脂製内容器の外面に巻き付けた後、樹脂を硬化させて補強層を形成する。
FW成形方法で圧力容器を製造する場合、ボビンから繊維束を解舒する際は、繊維束が対称移動しながら解舒されるので、繊維束が回転して撚れ、幅や厚みにバラツキが生じやすくなる。また、マンドレルに繊維束を巻きつける際は、デリバリーアイが広範囲に移動するので、繊維束が撚れ、幅や厚みにばらつきが生じやすくなる。繊維束が撚れると、撚れた部分は張力が均一にかからないため、強度が低下し、その部分から成形体が破壊しやすくなり、本来のコンポジット特性を十分に発現できない原因となる。
他にも、繊維束がガイドを通過する際に繊維束が擦過して損傷したり、擦過した糸くず(以下毛羽と称することがある)がガイド上に蓄積することで、毛羽取り作業が必要になったりする。
このように、FW成形方法では、繊維束に均一に、一定の張力を負荷しながらマンドレルに巻き付けること、そして、毛羽の発生と蓄積を抑えることが重要である。
特許文献1(特開2012−154000号公報)では、「糸道ガイドがガイドロールと該ガイドロールを支持する支持部材とからなり、該支持部材は、前記ガイドロールの回転軸に対し直角にねじれた位置に回転軸を有するものであり、糸道の変動に対応して、該支持部材の回転軸を回転中心とする回転により該ガイドロールが糸道に対して傾けられる(請求項4参照)」構成が記載され、「特定のプリカーサを使用し、特定の巻き上げ方法を適用することによって、糸幅が均一な扁平形状で、解舒に際してその断面形状を矩形に保ったまま、糸幅が均一で糸束が回転することなく引き出され、樹脂含浸後、マンドレルなどに巻き上げた際に、繊維束の反転や、拡がりの斑を防ぎ、糸幅の変動を生じない」効果が開示されている。
特許文献1において、糸道を外れる動作をする繊維束を本来の糸道方向に案内する糸ガイド機構を具備することにより、糸幅が均一で糸束が回転することなく引き出されることが開示されている。しかし、最終ガイドローラ23がプレッシャーローラ16の軸およびパッケージ14の巻取り方向と平行し、トラバース装置内で繊維束が約90°にひねられる構造になっており、その際に送り出されてきた繊維束が拡幅したり、ねじれたり、折りたたまれたりし、その結果、張力変動が大きくなる懸念がある。また、糸ガイド機構が複雑になり、FW成形方法のような、複数のボビンから繊維束を給糸する成形方法では、ひねられる糸道の調整に手間がかかる課題もある。
特許文献2(特開2005−88536号公報)では、「多数本のボビンから引き出された複数本の強化繊維束の引出し直後に案内する部位及び同部位の下流側直後に案内する部位の双方に、一対の固定式のガイドが配されていること、各ボビンから芯材への強化繊維束搬送路中に独立回転形のガイドローラが配されていること、搬送中の各強化繊維束を芯材へ送り出すトラバース部の出口部に一体回転形のガイドローラが配されている」構成が記載され、「各強化繊維束に対して張力を均等に与えることができ、強化繊維束に混入するヨリ(捩じれ)を除去することができるように構成されており、強化繊維束の強度の低下を防止できる」効果が開示されている。
しかし、特許文献2の構成では、繊維束が固定ガイドを通過するときに摩擦力が大きくなり擦過されやすい。また、発生した毛羽がガイドに蓄積し、頻繁な毛羽取り作業が必要となり、作業効率が悪化したり、また、擦過で繊維束が損傷し、成形体の強度が低下する場合がある。さらに、FW成形方法では、マンドレル手前のトラバース部の移動に伴い、繊維束が回転して撚れやすい傾向にあるが、トラバース部での繊維束の反転については、対策がとられていない。
特許文献3(特開2011−148146号公報)では、「開繊用ローラを用いて強化繊維束を開繊する開繊部と、開繊した強化繊維を樹脂含浸用ローラを用いて移動させながら樹脂を含浸させて複合化させる樹脂含浸部とを有するプリプレグの製造装置において、該開繊用ローラの回転速度が該樹脂含浸用ローラの回転速度よりも小さい」構成が記載され、「強化繊維束に適度な張力を付与し、開繊用ローラ表面で適度な摩擦を強化繊維に付与することにより、傷や毛羽立ちも防ぎつつ強化繊維束を開繊させる」効果が開示されている。
しかし、特許文献3の構成では、開繊用ローラの回転速度よりも樹脂含浸用ローラの回転速度を早くすることにより、これらのローラ間での繊維にかかる引張張力は増大するが、反面、繊維への負荷が大きくなり、損傷につながる場合がある。また、引張張力を増大させるだけでは毛羽立ちを防ぐには不十分である。さらに、プリプレグ製造工程は、FW成形工程と比較して、低速で、かつ、デリバリーアイの広範囲な移動もないため、FW成形方法において、特許文献3の効果が実証できると考えづらい。さらに、フィラメント開繊用ローラと含浸用ローラの速度比が70:100であっても、撚れた繊維束はそのまま流されて成形体に含まれてしまう懸念が残る。
特許文献4(特開2005−325191号公報)では、「強化繊維シートの搬送方向と同一方向に周速度Vrで回転する駆動ローラーに接触させ、該周速度Vrを強化繊維シートの搬送速度Vfに対して、0<Vr/Vf≦0.9の範囲内とする一方向に引き揃えられた走行する複数本の強化繊維束を開繊して得られる強化繊維シートの」構成が記載され、「開繊、拡幅における強化繊維の蛇行を解消することによって、強化繊維束を構成する単繊維の配向の乱れを改善し、ワレ欠点の発生を防止しながらワレ欠点の少ない品質、品位の良好なプリプレグを製造できる」効果が開示されている。
しかし、特許文献4の構成において、駆動ローラの配置の仕方について検討されていないので、撚り止めは難しい。また、強化繊維シートの搬送速度よりも低速で駆動ローラを駆動して強化繊維シートと接触させる構成を取っているが、強化繊維束を開繊させる開繊手段から引き出された強化繊維シートに対し、単に、低速で駆動する駆動ローラを接触させるだけでは強化繊維シートにかかる張力に乱れや変動が生じて、強化繊維束の強度の低下につながる場合がある。また、プリプレグの製造を対象としているので、繊維束の送り速度も5〜6m/minであり、一般的なFW成形方法の速度、少なくとも30m/minよりも、遥かに遅い走行速度しか想定されていない。さらに、FW成形方法では、複雑形状のモノを成形するためにデリバリーアイを使用し、繊維束を広範囲に移動させるが、プリプレグ製造はデリバリーアイの使用を想定していない。以上の理由で、FW成形において、例えば30m/min以上の早い繊維束の走行速度や、複雑形状のモノを成形するためデリバリーアイを使用し、1m以上の広範囲な繊維束の移動の際に生じやすい、繊維束の反転や張力変動の抑制についての対策は不十分であり、課題が残っている。
特開2012−154000号公報 特開2005−88536号公報 特開2011−148146号公報 特開2005−325191号公報
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑み、一定数のフィラメント数を有する繊維束をマンドレルなどに巻き付けるまでの工程で発生した撚れた繊維束が成形体に巻かれることを防止することを目的とする。また、撚れた繊維束に起因する張力変動を緩和することで、成形体の強度低下を抑制でき、さらに、繊維束の毛羽立ちを抑制し、毛羽取り作業を減らすことのできる筒体の製造装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は以下の手段を採用するものである。すなわち、
[1]連続繊維を複数束ねた繊維束が巻き付けられたボビンから前記繊維束を繰り出し、マンドレルに巻き付ける筒体の製造装置であって、
前記ボビンと前記マンドレルとの間に、前記繊維束を搬送するガイドロール群が設けられ、
前記ガイドロール群は、少なくとも前記繊維束と最初に接する第1のガイドロールと、前記第1のガイドロールの下流側に配置される第2のガイドロールを少なくとも有し、
前記第1のガイドローラと前記第2のガイドローラとは、前記繊維束の異なる面と接触するように配置され、
前記第2のガイドローラと接する前記繊維束の巻き付き角度θ(°)が30°≦θ≦170°であるとともに、30°≦θ<70°の場合は(1)式を満たし、70°≦θ≦170°の場合は(2)式を満たすことを特徴とする筒体の製造装置。
180/sin(θ/2)≦L≦1500 (30°≦θ<70°)・・・(1)
313≦L≦1500 (70°≦θ≦170°)・・・(2)
ここで、L(mm)は前記第1のガイドローラの中心と前記第2のガイドローラの中心との距離である。
[2]第1のガイドローラの周速度が前記繊維束の送り出し速度と等速であることを特徴とする[1]に記載の筒体の製造装置。
[3]第2のガイドローラの周速度が繊維束の送り出し速度に対して遅いことを特徴とする[1]または[2]に記載の筒状の製造装置。
[4]第2のガイドローラの周速度が繊維束の送り出し速度に対して0.001〜0.5倍の速度であることを特徴とする[3]に記載の筒体の製造装置。
[5]前記繊維束の送り出し速度が30〜100m/minであることを特徴とする[2]〜[4]のいずれかに記載の筒体の製造装置。
[6]前記ガイドローラ群は、前記第2のガイドローラの下流側に第3のガイドローラを更に有し、
前記第1のガイドローラに前記繊維束の引張張力を計測するセンシング手段を具備し、前記引張張力の変動に応じて前記第3のガイドローラの周速度を制御する制御手段を具備することを特徴とする[2]〜[5]のいずれか記載の筒体の製造装置。
[7]前記繊維束の送り出し速度に対する第3のガイドローラの周速度を、前記引張張力の変動に応じて0〜1倍の範囲で調節することを特徴とする[6]に記載の筒体の製造装置。
[8]前記ボビンと前記マンドレルとの間に、前記繊維束に溶融樹脂を含浸させる樹脂含浸部をさらに備えることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の筒体の製造装置。
[9]前記ガイドローラ群を前記ボビンと前記樹脂含浸部との間に配置することを特徴とする[8]に記載の筒体の製造装置。
[10]前記ガイドローラ群を前記樹脂含浸部と前記マンドレルとの間に配置することを特徴とする[8]または[9]に記載の筒体の製造装置。
[11]連続繊維を複数束ねた繊維束が巻き付けられたボビンから前記繊維束を引き出す工程と、
前記ボビンから前記繊維束を搬送し、樹前記繊維束に樹脂含浸させる工程と、
搬送された前記繊維束をマンドレルに巻き付けて成形する工程と、
を少なくとも有する筒体の製造方法であって、
前記搬送する工程は、少なくとも前記繊維束と最初に接する第1のガイドロールと、前記第1のガイドロールの下流側に配置される第2のガイドロールを少なくとも有するガイドローラ群を有し、
前記第1のガイドローラと前記第2のガイドローラとは、前記繊維束の異なる面と接触するように該繊維束が搬送され、
前記第2のガイドローラと接する前記繊維束の巻き付き角度θ(°)が30°≦θ≦170°であるとともに、30°≦θ<70°の場合は(1)式を満たし、70°≦θ≦170°の場合は(2)式を満たすことを特徴とする筒体の製造方法。
180/sin(θ/2)≦L≦1500 (30°≦θ<70°)・・・(1)
313≦L≦1500 (70°≦θ≦170°)・・・(2)
ここで、L(mm)は前記第1のガイドローラの中心と前記第2のガイドローラの中心との距離である。
本発明によれば、一定数のフィラメント数を有する炭素繊維束が樹脂含浸後、繊維束をマンドレルに巻き付ける際に、撚れた繊維束がそのまま成形体に巻かれることを防止できる。その結果、繊維束の張力を安定化させることができるので、成形体の強度低下を抑制できる。さらに、繊維の毛羽立ちも抑制できるので、毛羽取り作業頻度が減り、作業性も向上する。
本発明の実施形態に係る筒体の製造フローの一例の全体構成の概略図である。 円筒状のボビンから繊維束が引き出される状態の概略斜視図である。 繊維束が撚れて反転した状態の平面図である。 繊維束の撚れた部分が第1のガイドローラと第2のガイドローラとの間に留められている状態の斜視図である。 第2のガイドローラに繊維束が巻きついた状態での巻きつき角度θとガイドローラ間の距離Lとの関係を表す概略断面図である。 巻きつき角度θと距離Lとの関係図である。 繊維束を十分に開繊できない状態の斜視図である。 第1の上流側ガイドローラに繊維束の引張張力を計測するセンシング手段を持たせたガイドローラ群の構成概略図である。 第1のガイドローラにおいて計測される張力の変動を示す概略図である。 第2のガイドローラを複数個配置した模式図である。 ガイドローラ群をボビンと樹脂含浸部との間に配置した筒体の製造フローの一例の全体構成の概略図である。 ガイドローラ群を樹脂含浸部とマンドレルとの間に配置した筒体の製造フローの一例の全体構成の概略図である。 ボビンと樹脂含浸部との間、及び樹脂含浸部とマンドレルとの間にガイドローラ群をそれぞれ配置した筒体の製造フローの一例の全体構成の概略図である。
以下、実施の形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は図や実施例に何ら限定されるものではい。
本発明に係る筒体の製造装置は、連続繊維を複数束ねた繊維束が巻き付けられたボビンから前記繊維束を繰り出し、マンドレルに巻き付ける筒体の製造装置であって、前記ボビンと前記マンドレルとの間に、前記繊維束を搬送するガイドロール群が設けられ、前記ガイドロール群は、少なくとも前記繊維束と最初に接する第1のガイドロールと、前記第1のガイドロールの下流側に配置される第2のガイドロールを少なくとも有し、前記第1のガイドローラと前記第2のガイドローラとは、前記繊維束の異なる面と接触するように配置され、前記第2のガイドローラと接する前記繊維束の巻き付き角度θ(°)が30°≦θ≦170°であるとともに、30°≦θ<70°の場合は(1)式を満たし、70°≦θ≦170°の場合は(2)式を満たす構成である。
180/sin(θ/2)≦L≦1500 (30°≦θ<70°)・・・(1)
313≦L≦1500 (70°≦θ≦170°)・・・(2)
ここで、L(mm)は前記第1のガイドローラの中心と前記第2のガイドローラの中心との距離である。
筒体の製造装置は図1に示すように、主として、繊維束送出工程を担う繊維束送出部100、送り出された繊維束を搬送するガイドロール群200、搬送された繊維束を巻き付ける巻付工程を担う繊維束巻付部300が、この順で配置されている。
繊維束送出部100では、繊維束103がボビン101から引き出された後、クリールローラ102で張力を負荷される。その後、繊維束103はガイドロール群200に送り出される。送り出された繊維束103はガイドロール群200により案内され、繊維束巻付部300に搬送される。繊維束巻付部300では、搬送された繊維束103をデリバリーアイ301で集束され、マンドレル302に巻かれる。
次に、図2に示すように、円筒状のボビン101から繊維束103が引き出される際、繊維束103がボビンの手前104から連続して奥側に向かって引き出されていき、一番奥側105から引き出された後、反転の経路106のようにターンして、今度は奥側から手前側に向かって繊維束103が引き出される。繊維束103が一番奥側105から引き出された後、手前側に向うようにターンする際に、繊維束103が反転して撚れが発生しやすい。同様に、繊維束103が手前側104から引き出された後、奥側に向うようにターンする際に、繊維束103が反転して撚れが発生しやすい場合もある。
この場合、図3に示すように、繊維束103が撚れて反転した状態では、繊維束103の撚れた部分107には張力が均一に付加されておらず、その部分の強度が低下する。そのままマンドレル302に巻き付けられると、撚れた部分107が破壊の起点となり、例えば圧力容器に使用した場合、強度低下を招く場合がある。また、撚れた部分107が搬送方向108に搬送され、ガイドローラ202を通過すると、繊維束103の幅が変化するため、ガイドローラ202との摩擦力が変動し、張力が変動する原因となる。
ここで、ガイドローラ群200の構成について説明する。
図4に示すように、ガイドロール群200は、繊維束103と最初に接する第1のガイドロール201と、第1のガイドロール201の下流側に配置される第2のガイドロール202を少なくとも具備し、その第1のガイドローラ201と第2のガイドローラ202とは、繊維束103の異なる面と接触するように配置する装置構成としている。つまり、第1のガイドローラ201は繊維束103の搬送方向108に対して同方向205に回転し、第2のガイドローラ202は繊維束103の搬送方向108に対して同方向206に回転するとともに、第1のガイドローラ201と第2のガイドローラ202が互いに逆回転の構成となる。これにより、繊維束103の両面を第1のガイドローラ201、第2のガイドローラ202との十分な接触を保つことができ、張力を均一に与えることができる。また第2のガイドローラ202への繊維束103の巻きつき角度を一定量確保することができる。
次に、第2のガイドローラ202への繊維束103の巻きつき角度θ(°)と、第1のガイドローラ201の中心と第2のガイドローラ202の中心との距離L(mm)の関係について説明する。
図5に示すように、巻きつき角度θは第2のガイドローラ202に繊維束103が接し始める点と離れ始める点とをそれぞれ第2のガイドローラ202の中心点とを結んだ線間の角度207であり、距離Lは第1のガイドローラ201の中心と第2のガイドローラ202の中心との距離208である。
図6に、巻きつき角度θ(207)と距離L(208)との関係図を示す。横軸は巻きつき角度θ(207)、縦軸は距離L(208)である。曲線に囲まれた領域に含まれるように第1のガイドローラ201と第2のガイドローラ202を配置することで、第1のガイドローラ201と第2のガイドローラ202の間に繊維束103の撚れた部分107を留め置くことができる。
ここで、繊維束103がガイドローラに押し付けられる力をTs(N)、繊維束103に負荷する張力をTf(N)とすると、巻きつき角度θとは、(3)式の関係があることが知られている。
Ts=2・Tf・sin(θ/2)・・・(3)
繊維束103の束幅はTsの大きさに応じて開繊する。Tf一定でFW成形をする場合、Tsは巻きつき角度θ(207)によって変動する。従って繊維束103の束幅は巻きつき角度θ(207)に応じて変化することになる。
図4に示すように、第2のガイドローラ202の手前で繊維束103の撚れた部分107を留め置くためには、繊維束103が一定以上の束幅109を有する開繊された領域を持つことが必要である。
θが30°未満では、第2のガイドローラ202上で繊維束103が開繊するために十分な力を付与できず、繊維束103を十分に開繊できず、撚れた部分107を留め置くことが困難となる場合がある。
また、30°≦θ≦70°の範囲では、Tsがやや弱くなるため、距離L(208)を一定以上確保する必要が生じる。つまり、巻きつき角度θ(207)に連動して、距離L(208)を180/Sin(θ/2)mm以上とすることで、巻きつき角度θ(207)が小さくなるとともに、距離L(207)が増加することにより、撚れた繊維束を開繊できる距離L(208)を確保することができ、撚れた部分107が第2のガイドローラ202の手前で留めおくことができる。
これに対し、図7に示すように、距離L(208)が180/sin(θ/2)mm未満では、繊維束103を十分に開繊できず、狭い束幅110のように一定幅以上に開繊された領域を確保することが困難となるため、撚れた部分107を留め置くことが困難となる場合がある。また、繊維束103を開繊するためにTfを大きくすると、繊維束が損傷しやすくなる。
また、70°<θ≦170°の範囲では、距離L(208)を313mm以上とすることで、繊維束103を十分に開繊できる距離を確保することができ、撚れた部分107を留め置くことができる。
これに対し、313mm未満では繊維束103を十分に開繊できる距離L(208)を確保することができず、図7に示す開繊領域110のように、繊維束103を十分に開繊できず、撚れた部分107を留め置くことが困難となる場合がある。
巻きつき角度θ(207)が170°を超えると、ガイドローラ201、202と繊維束103との接触面積が増大するため、トルクの乱れや、毛羽が出るなど、繊維束103が損傷しやすくなる。
距離L(208)が1500mmよりも長くすると、繊維束103の搬送中に振動しやすくなり、張力変動が生じてしまう場合がある。また、生産装置自体が大きくなり、生産設備のコンパクト化に反することになってしまう。
好ましくは、巻きつき角度θ(207)は40°≦θ≦150°であり、40°≦θ≦70°の場合、距離L(208)とは(4) 式を、70°<θ≦150°の場合は(5)式を満たすことが好ましい。
180/sin(θ/2)≦L≦1300 (40°≦θ≦70°)・・・(4)
313≦L≦1300(70°<θ≦150°)・・・(5)
さらに、より好ましくは巻きつき角度θ(207)は50°≦θ≦130°であり、50°≦θ≦70°の場合、距離L(208)とは(6) 式を、70°<θ≦130°の場合は(7)式の関係を満たすことが好ましい。
180/sin(θ/2)≦L≦1000 (50°≦θ≦70°)・・・(6)
313≦L≦1000(70°<θ≦130°)・・・(7)
ガイドローラ201、202の形状は円柱で、全長はデリバリーアイの移動に連動して繊維束103が動いた場合でも、繊維束103がローラから脱落しない程度の幅が必要である。また、ガイドローラ201、202は、ボビン101から引き出された繊維束103の1束につき、1つの独立したローラを使用することが好ましい。
ガイドローラ201、202を構成する材料としては、例えば鉄などの金属で、表面処理は、例えばハードクロムメッキや、梨地表面処理が施されているとよい。ガイドローラ上を通過する繊維束から受ける荷重は、フィラメント数が12,000では15〜40N程度、フィラメント数が24,000では、30〜80N程度が好ましい。
また、第2のガイドローラ202の周速度は、繊維束103の送り出し速度に対して遅い装置構成とすることが好ましい。
第2のガイドローラ202の周速度を繊維束103の送り出し速度に対して相対的に遅くさせる構成とすることにより、第2のガイドローラ202上で繊維束103に摩擦力を付与できるので、繊維束103は開繊しやすくなるため、撚れた部分107を第2のガイドローラ202の手前に留めておくことが可能になる。また、第2のガイドローラ202を低速で回転させることで、固定のバーガイドと比較して、接触部の摩擦を軽減でき、これにより繊維束103に損傷等を与えることなく、毛羽が生じにくい。また、第2のガイドローラ202上に発生した毛羽も、第2のガイドローラ202を通過する繊維束103に運ばれやすく、第2のガイドローラ202上に蓄積されにくくなる。
また、第1のガイドローラ201の周速度は、繊維束103の送り出し速度と等速とする装置構成が好ましい。
送り出される繊維束103を、繊維束103の送り出し速度と等速の周速度で回転する第1のガイドローラ201に接触された後、繊維束103の送り出し速度に対して相対的に遅い周速度で回転する第2のガイドローラ202に接触させる構成とすることにより、直ちに繊維束103の送り出し速度に対して低速で回転するガイドローラを接触させる場合と比べて、繊維束103にかかる張力に乱れや変動を抑えることができ、繊維束103の強度の低下を抑制することができる。特に、高速度で繊維束103が送り出される場合に有効である。ここで、繊維束103の送り出し速度と等速とは、完全一致の速度が望ましいが、±5%の速度差は許容可能である。
また、第2のガイドローラ202の周速度は、繊維束103の送り出し速度に対して遅いことが好ましく、さらには0.001〜0.5倍の速度であることが好ましい。
0.001倍以上の速度で回転させることにより、撚れた部分107が第2のガイドローラ202の手前で留められることができるとともに、発生した毛羽も繊維束103に運ばれやすく、第2のガイドローラ202に毛羽がたまりにくい。0.001倍未満であると、第2のガイドローラ202と繊維束103との擦過が大きくなり、繊維束103に損傷が生じる場合がある。0.5倍を超えて繊維束103の送り出し速度に近づくと、撚れた部分107が第2のガイドローラ202の手前で留め置くことができず、そのまま送り出される場合がある。好ましくは0.002〜0.2倍、より好ましくは0.005〜0.1倍である。
また、繊維束103の送り出し速度は30〜100m/minとすることが好ましい。
送り出し速度は30m/min以上とすることにより、生産性を高めることができ、生産コストを下げることができる。しかし、高速度においては繊維束103の反転による撚れの発生や、繊維束103にかかる張力の乱れや変動が生じやすくなる傾向にあるため、100m/min以下とすることが好ましい。本発明の構成である低速とする第2のガイドローラ202の構成、一定の関係の巻きつき角度θ(207)と距離L(208)、又は等速の周速度で回転する第1のガイドローラ201を介する構成により、撚れの発生や、張力の変動を抑えることができる。また、複雑形状のモノを成形するためデリバリーアイ301を使用して、1m以上の広範囲な繊維束103の左右への移動させる際にも、張力変動の抑制に対し効果的である。
また、ガイドローラ群200は、第2のガイドローラ202の下流側に第3のガイドローラ203を更に有し、第1のガイドローラ201に繊維束103の引張張力を計測するセンシング手段210を具備し、引張張力の変動に応じて第3のガイドローラ203の周速度を制御する制御手段を具備する装置構成とすることが好ましい。
図8に示すように、第1のガイドローラ201の張力をセンシングする張力測定装置210を具備し、張力測定装置210からの値を制御装置211で解析し、その結果に応じて、第3のガイドローラ回転制御装置212に指令信号を送り、第3のガイドローラ203の回転速度を制御する装置構成とすることが好ましい。
これにより、センシングされた引張張力の変動に応じて、第3のガイドローラ203の周速度を制御し、繊維束103と第3のガイドローラ203との摩擦力を変化させることで張力変動を緩和させることができる。また、図9に第1のガイドローラ201において計測される張力の変動を示す概略図を示す。横軸に経過時間、縦軸に第1のガイドローラ201に具備した張力測定装置210からの張力を示す。張力測定装置210を具備した第1のガイドローラ201を撚れた部分107が通過すると、撚れた部分107の繊維束103の幅が小さいので、第1のガイドローラ201との摩擦力が小さくなるため、張力が一時的に低下する。213に張力が低下した状態を示す。その張力低下213を感知すると第3のガイドローラ203に回転を低下させるように指令を出し、摩擦力を増大させることで、張力低下213を緩和でき繊維束103の安定した搬送性を確保することができる。点線214に張力が緩和した状態を示す。張力変動に対する第3のガイドローラ203の回転速度変化による張力の緩和の状態は、予めその関係を測定しておき、その関係値を制御装置212に記憶させておくことでセンシング計測に応じて第3のガイドローラ203の回転速度を設定することができる。
また、繊維束103の送り出し速度に対する第3のガイドローラ203の周速度を、引張張力の変動に応じて0〜1倍の範囲で調節することが好ましい。
相対周速度を1倍以下とすることにより、一時的に低下した張力に対し、第3のガイドローラ203の相対周速度を低下させることで摩擦力を増大させ、張力低下を緩和することができる。相対周速度が1倍を越えると、繊維束にたるみが生じる恐れがある。相対周速度が0倍未満、つまり逆方向に回転をかけることは、繊維への負荷が増大しすぎる傾向にあり、損傷等が生じる場合がある。
また、ガイドローラ群200は第1のガイドローラ201と、第1のガイドローラの直下流側に位置する第2のガイドローラ202とから構成されることを示したが、第2のガイドローラ202を複数配する構成とすることも好ましい。
図10に示すように、第1のガイドローラ201の下流に第1のガイドローラ201の回転方向と逆方向に回転する第2のガイドローラ202とその下流に第2のガイドローラ202の回転方向と逆方向に回転する2つ目の第2のガイドローラ204、その下流に第2のガイドローラ204の回転方向と逆方向に回転する第3のガイドローラ203を配する構成を例示する。いずれのガイドローラも繊維束103の送り出し方向108と同方向に回転する。繊維束103の送り出し速度に対し相対的に周速度を遅くした第2のガイドローラ202,204を複数配することにより、繊維束103の撚れた部分107の留め置きの確度が向上するだけでなく、繊維束103がガイドローラ上を横移動することを抑える効果もある。
また、ボビン101とマンドレル302との間に、繊維束103に溶融樹脂を含浸させる樹脂含浸部400をさらに備え、ガイドローラ群200をボビン101と樹脂含浸部400との間に配置する装置構成とすることが好ましい。
繊維束送出部100では、図2に示すようにボビン101から送り出される繊維束103が106に示すようにターンする際に、繊維束103が反転して撚れが発生しやすいため、図11に示すように、ガイドローラ群200をボビン101と樹脂含浸部400との間に配置することで、繊維束103の撚れた部分107を留め置くことができ、張力の安定を図ることができる。
また、ボビン102とマンドレル302との間に、繊維束103に溶融樹脂を含浸させる樹脂含浸部400をさらに備え、ガイドローラ群200を樹脂含浸部400とマンドレル302との間に配置する装置構成とすることが好ましい。
繊維束巻付部300では、ライナ302に繊維束103を巻き付けるため、デリバリーアイ301をライナ302の軸方向と平行な方向に左右に往復移動させるため、その手前の工程で繊維束103が反転して撚れが発生しやすい。そのため、図12に示すように、ガイドローラ群200を樹脂含浸部400とデリバリーアイ301にて繊維束103が集束されるマンドレル302との間に配置することで、繊維束103の撚れた部分107を留め置くことができ、張力の安定を図ることができる。
また、図13に示すように、ボビン101と樹脂含浸部400との間にガイドローラ群200A及び樹脂含浸部400とマンドレル302との間にガイドローラ群200Bをそれぞれ配置する装置構成とすることも好ましい。
このように、繊維束103に撚り部分107が生じやすい箇所に適宜配することで、適切な箇所で繊維束103の撚れた部分107を留め置くことができ、張力の安定を図ることができる。
次に、本発明に係る筒体の製造方法について説明する。
連続繊維を複数束ねた繊維束103が巻き付けられたボビン101から繊維束103を引き出す工程と、ボビン101から繊維束103を搬送し、繊維束103に樹脂含浸させる工程と、搬送された繊維束103をマンドレル302に巻き付けて成形する工程と、を少なくとも有する筒体の製造方法であって、繊維束103を搬送する工程は、少なくとも繊維束103と最初に接する第1のガイドロール201と、第1のガイドロール201の下流側に配置される第2のガイドロール202を少なくとも有するガイドローラ群200を有し、第1のガイドローラ201と第2のガイドローラ202とは、繊維束103の異なる面と接触するように繊維束103が搬送され、第2のガイドローラ202と接する繊維束103の巻き付き角度θ(207)(°)が30°≦θ≦170°であるとともに、30°≦θ<70°の場合は(1)式を満たし、70°≦θ≦170°の場合は(2)式を満たすことを特徴とする。
180/sin(θ/2)≦L≦1500 (30°≦θ<70°)・・・(1)
313≦L≦1500 (70°≦θ≦170°)・・・(2)
ここで、距離L(208)(mm)は第1のガイドローラ201の中心と第2のガイドローラ202の中心との距離である。
図11に示すように、まず、繊維束103をボビン101から引き出した後、クリールローラ102で張力を負荷する。その後、繊維束103はガイドロール群200に送り出す。ガイドロール群200では、図5に示す巻き付き角度θ(207)と距離L(208)が上記した関係式を満たすように配置する。送り出された繊維束103はガイドロール群200により樹脂含浸部400に案内され、キスローラ401と接して、繊維束103に樹脂を含浸する。その後、繊維束103を繊維束巻付部300に搬送し、繊維束103をデリバリーアイ301で集束して、マンドレル302に巻きつける構成である。
また、図12に示すように、ガイドローラ群200は樹脂含浸部400とマンドレル302との間に配置することや、図13に示すように、ボビン101と樹脂含浸部400との間にガイドローラ群200A及び樹脂含浸部400とマンドレル302との間にガイドローラ群200Bをそれぞれ配置する構成とすることも好ましい。
以下、実施例によって、本発明の一体化成形体およびその製造方法について具体的に説明するが、下記の実施例は本発明を何ら制限するものではない。
(実施例1から9)
図11又は図12に示す筒体の製造装置1で、圧力容器の胴部を模擬した円筒を成形した。成形した円筒から、所定の幅をもつCFRPをリング状に切り出し、そのCFRPリングを東レ(株)製のリングバースト試験機にセットし、リングの内側から水圧を昇圧速度1.4MPa/s)で負荷してリングを破壊させ、そのときの圧力値を記録した。ガイドローラ群200は第1のガイドローラ201、第2のガイドローラ202及び第3のガイドローラ203を具備し、第1のガイドローラ201と第3のガイドローラ203は繊維束103の送り速度と等速の周速度で回転させ、第2のガイドローラ202は(表1)に示した速度して回転させた。
実施例1から5では、図11に示すように、ガイドローラ群200をボビン101やクリール102を具備する繊維束送出部100直後に配した。また、実施例6から9では、図12に示すように、ガイドローラ群200をデリバリーアイ301やライナ302を具備する繊維束巻付部300の手前に配した。繊維束送り出し速度は40m/minとし、強化繊維は東レ(株)製の炭素繊維T700SC−12K(フィラメント数12,000、比重1.8、繊度0.8g/m)と、T700SC−24K(フィラメント数24,000、繊度1.65g/m)を用い、マトリックス樹脂に汎用のエポキシ樹脂を用いた。
(実施例10)
図8に示すセンシング計測機能及び第3のガイドローラ203の周速度を制御する機構を付加し、他の構成は実施例1と同様にして行った。
(比較例1から8)
比較として、図1に示す筒体の製造装置で、繊維束103の第2のガイドローラ202への巻きつけ角度θ(207)及び第1のガイドローラ201の中心と第2のガイドローラ202の中心との距離L(208)を表1に示した範囲内で変更して圧力容器を作成した。なお、比較例1,3,5及び7図11に示す筒体の製造装置、比較例2,4,6及び8は図12に示す筒体の製造装置を用いて行った。他の条件は実施例1と同様の構成にて行った。これらの結果を表1に示す。
u:繊維束103の送り出し速度に対する第2のガイドローラ202の相対周速度
θ:繊維束103の第2のガイドローラ202への巻きつき角度
L:第1のガイドローラ201と第2のガイドローラ202との中心間距離
評価判断、◎:実使用上問題なく優レベル、○:実使用上問題なく良レベル、×:実使用上問題あり
以上の結果を比較すると、本願発明の機構を具備する実施例1から10では、繊維束の撚られた部分を第2のガイドローラの手前で留め置くことが可能となり、その結果、成形体の破裂強度の低下が抑えられることを実証できた。しかし比較例の構成では、繊維束の撚られた部分を第2のガイドローラの手前で留め置くことが困難であり、そのままライナーに巻かれてしまい、成形体の破裂強度の低下が生じた。
本発明に係る筒体の製造装置およびその製造方法は、フィラメントワインディング成形法や引き抜き成形法などの樹脂を含浸させた連続した繊維を引きそろえて使用する成形方法に適している。例えば、二輪の車両、バスや乗用車等の四輪以上の自動車等の移動体に搭載され、内部に高圧ガスを貯蔵する圧力容器や自動車に用いられるプロペラシャフトに好適に用いることができる。また、圧力容器は、据え置き型の圧力容器であってもよい。高圧ガスとしては、水素ガスや圧縮天然ガスなどが挙げられる。
1 筒体の製造装置の全体構成
100 繊維束送出部
101(1a〜1b) ボビン
102(2a〜2b) クリールローラ
103(3a〜3b) 繊維束
104、105 繊維束を引き出す方向
106 繊維束が引き出される際の繊維束の軌跡
107 反転して撚れた繊維束
108 繊維束の進行方向
109、110 繊維束の開繊領域
200(200A〜200B) ガイドローラ群
201(201a〜201b) 第1のガイドローラ
202(202a〜202b) 第2のガイドローラ
203(203a〜203b) 第3のガイドローラ
203、204 ガイドローラの回転方向
207 繊維束の巻きつき角度θ
208 第1のガイドローラと第2のガイドローラとの中心間距離L
209 第3のガイドローラの回転方向
210 張力センシング機構
211、212 張力制御機構
213 張力が減少した模式図
214 張力変動が緩和された模式図
300 繊維束巻付部
301 デリバリーアイ
302 マンドレル(ライナ)
400 樹脂含浸部
401 キスローラ
402 樹脂槽

Claims (11)

  1. 連続繊維を複数束ねた繊維束が巻き付けられたボビンから前記繊維束を繰り出し、マンドレルに巻き付ける筒体の製造装置であって、
    前記ボビンと前記マンドレルとの間に、前記繊維束を搬送するガイドロール群が設けられ、
    前記ガイドロール群は、少なくとも前記繊維束と最初に接する第1のガイドロールと、前記第1のガイドロールの下流側に配置される第2のガイドロールを少なくとも有し、
    前記第1のガイドローラと前記第2のガイドローラとは、前記繊維束の異なる面と接触するように配置され、
    前記第2のガイドローラと接する前記繊維束の巻き付き角度θ(°)が30°≦θ≦170°であるとともに、30°≦θ<70°の場合は(1)式を満たし、70°≦θ≦170°の場合は(2)式を満たすことを特徴とする筒体の製造装置。
    180/sin(θ/2)≦L≦1500 (30°≦θ<70°)・・・(1)
    313≦L≦1500 (70°≦θ≦170°)・・・(2)
    ここで、L(mm)は前記第1のガイドローラの中心と前記第2のガイドローラの中心との距離である。
  2. 第1のガイドローラの周速度が前記繊維束の送り出し速度と等速であることを特徴とする請求項1に記載の筒体の製造装置。
  3. 第2のガイドローラの周速度が繊維束の送り出し速度に対して遅いことを特徴とする請求項1または2に記載の筒状の製造装置。
  4. 第2のガイドローラの周速度が繊維束の送り出し速度に対して0.001〜0.5倍の速度であることを特徴とする請求項3に記載の筒体の製造装置。
  5. 前記繊維束の送り出し速度が30〜100m/minであることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の筒体の製造装置。
  6. 前記ガイドローラ群は、前記第2のガイドローラの下流側に第3のガイドローラを更に有し、
    前記第1のガイドローラに前記繊維束の引張張力を計測するセンシング手段を具備し、前記引張張力の変動に応じて前記第3のガイドローラの周速度を制御する制御手段を具備することを特徴とする請求項2〜5のいずれか記載の筒体の製造装置。
  7. 前記繊維束の送り出し速度に対する第3のガイドローラの周速度を、前記引張張力の変動に応じて0〜1倍の範囲で調節することを特徴とする請求項6に記載の筒体の製造装置。
  8. 前記ボビンと前記マンドレルとの間に、前記繊維束に溶融樹脂を含浸させる樹脂含浸部をさらに備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の筒体の製造装置。
  9. 前記ガイドローラ群を前記ボビンと前記樹脂含浸部との間に配置することを特徴とする請求項8に記載の筒体の製造装置。
  10. 前記ガイドローラ群を前記樹脂含浸部と前記マンドレルとの間に配置することを特徴とする請求項8または9に記載の筒体の製造装置。
  11. 連続繊維を複数束ねた繊維束が巻き付けられたボビンから前記繊維束を引き出す工程と、
    前記ボビンから前記繊維束を搬送し、樹前記繊維束に脂含浸させる工程と、
    搬送された前記繊維束をマンドレルに巻き付けて成形する工程と、
    を少なくとも有する筒体の製造方法であって、
    前記搬送する工程は、少なくとも前記繊維束と最初に接する第1のガイドロールと、前記第1のガイドロールの下流側に配置される第2のガイドロールを少なくとも有するガイドローラ群を有し、
    前記第1のガイドローラと前記第2のガイドローラとは、前記繊維束の異なる面と接触するように該繊維束が搬送され、
    前記第2のガイドローラと接する前記繊維束の巻き付き角度θ(°)が30°≦θ≦170°であるとともに、30°≦θ<70°の場合は(1)式を満たし、70°≦θ≦170°の場合は(2)式を満たすことを特徴とする筒体の製造方法。
    180/sin(θ/2)≦L≦1500 (30°≦θ<70°)・・・(1)
    313≦L≦1500 (70°≦θ≦170°)・・・(2)
    ここで、L(mm)は前記第1のガイドローラの中心と前記第2のガイドローラの中心との距離である。
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