JP2017177200A - 熱間仕上圧延方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧延後の被圧延板Sの歪みを測定し、測定した被圧延板Sの歪の評価が良好と判定した場合には、評価した被圧延板Sの板情報、その被圧延板Sを圧延したときの上記設定冷却水量、及びその被圧延板Sを圧延したときのワークロール12のプロフィル情報を有する圧延結果データDATAを、データベース32に格納する。そして、仕上圧延する前にデータベース32を検索して、圧延する被圧延板Sの板情報及び圧延の際の上記ワークロール12のプロフィル情報と同じ情報若しくは近似した情報を有する圧延結果データDATAが存在すると判定したら、その対応する圧延結果データDATA中の設定冷却水量を、圧延する際の上記設定冷却水量として設定する。
【選択図】 図1
Description
ここで、仕上圧延機におけるワークロールは、被圧延板との接触により摩耗する。また、被圧延板の熱によりワークロール自身が熱膨張し、ワークロールのプロフィルにサーマルクラウンが付与される。このワークロールの摩耗やサーマルクラウンが原因となって、板クラウン不良や、中伸び等、圧延後の被圧延板に対し形状不良を引き起こすおそれがある。このため、形状不良の発生防止のためには、ワークロールのサーマルクラウンを制御する必要がある。
従来、サーマルクラウンの成長を制御するため、特許文献1〜6に記載されているように、ワークロールを冷却水で冷却することが行われている。すなわち、ワークロールの熱膨張防止策として、ワークロールに対し冷却水による冷却が行われている。
このとき、ワークロールへの冷却水量を設定変更後、稼動中のワークロールの膨張量が適正な量へ変化するまでに時間差が発生するため、ワークロールの膨張量が変化する。このようにサーマルクラウンに対する応答が遅れることから、中高や中薄の板が製造されてしまい、歩留りロスが大きくなるおそれがある。
本発明は、上記のような点に着目したもので、ワークロール冷却水量を適切なタイミングで調整することにより、歩留りロスを抑制することを目的としている。
圧延後の被圧延板の歪みを測定し、予め設定した歪の評価条件に基づき、測定した被圧延板の歪の評価が良好と判定した場合には、評価した被圧延板の圧延前の板情報、その被圧延板を圧延したときの上記設定冷却水量、及びその被圧延板を圧延したときの上記ワークロールのプロフィル情報を有する圧延結果データを、データベースに格納し、
被圧延板を仕上圧延する前に上記データベースを検索して、上記格納した圧延結果データ中に、圧延する被圧延板の板情報及び圧延の際の上記ワークロールのプロフィル情報と同じ情報若しくは近似した情報を有する圧延結果データが存在すると判定したら、その対応する圧延結果データ中の設定冷却水量を、圧延する際の上記設定冷却水量として設定することを特徴とする。
圧延設備は、例えば、図1に示すように、予測圧延スケジュールに基づき、加熱炉1から順次、加熱されたスラブ2が抽出され、抽出されたスラブ2は、粗圧延機3で粗圧延された後に、熱間仕上圧延機4で熱間仕上圧延されて目的の板Sとなり、その板Sは、順次、次工程に送られる。
本実施形態では、次工程として、切断工程5、板検査工程6及び歪矯正工程7を備える。なお、設備によっては、切断工程5、板検査工程6及び歪矯正工程7の配置の順番は異なる。例えば、厚板ライン(リバース圧延)などにおいて、切断工程5の上流側や、切断工程5と板検査工程6との間に歪矯正工程7が配置される場合もある。
また、上記仕上圧延機4の入側に入側温度計9が設置されていると共に、上記仕上圧延機4の出側に出側温度計10が設置されていて、この温度計9,10を用いて入側と出側の各実績温度を測定している。そして、上記の板冷却装置8によって仕上圧延後の板Sの温度が制御される。
符号14はパスラインに沿って配置された搬送ローラを示す。
なお、仕上圧延機4の上流側には、加熱後の被圧延板Sを圧延する粗圧延機3が配置されている。その粗圧延機3の出側と仕上圧延機4の入側との間に、被圧延板Sの温度降下などを補償するための、バーヒータ(不図示)及びエッジヒータ(不図示)を配置して、粗圧延から仕上圧延開始までの間の板Sの温度補償を行っても良い。
板検査工程6では、仕上圧延された板Sの検査を行う。板Sの検査の一つとして、本実施形態では、板Sの三次元の歪実績(平坦度の実績)を測定する歪計として平面形状計11が設けられている
本実施形態は、圧延制御部30、歪評価判定部31及びデータベース32を備える。
歪評価判定部31は、平面形状計11の測定結果に基づき、板Sの歪実績を評価し、その評価に基づき歪矯正が必要な板か否かを判定する。本実施形態の歪評価判定部31は、更に、歪矯正が必要無い、つまり歪評価が良好な板と判定すると、その板Sの、歪の評価情報、圧延前のスラブ状態での板情報、その被圧延板Sを圧延したときの上記設定冷却水量、及びその被圧延板Sを圧延したときのワークロール12のプロフィル情報を有する圧延結果データDATAを作成し、作成した圧延結果データDATAをデータベース32に記憶(格納)する処理を行う。
板Sの歪評価は、予め設定した歪の評価条件に基づき評価される。板Sの歪評価は、例えば、板Sの形状が公差外の場合に歪矯正が必要と判定し、公差内であれば良好と判定する。また例えば、板Sの平坦度を段階評価して、歪評価の情報を数値化し、その数値によって良好か否かを判定するようにしても良い。
また、板情報は、対象とする板Sの板厚、板幅、鋼種の情報を有する。なお、加熱炉1からの抽出温度若しくは仕上圧延機4入側の板温度の温度情報も、圧延結果データDATAの一部としても良い。
なお、歪発生の主な要因は、圧延によって生じる板幅内の伸びの不均一さである。伸びの不均一さはクラウン比率で示すことができる。クラウン比率とは、板Sの幅方向におけるセンター厚と板クラウンの比率である。原理的には幅方向への伸びがないと仮定した場合、圧延前後のパスで同じクラウン比率になると、歪のない平坦な板Sとなる。しかし、実際には幅方向にも圧下力による伸びが生じるため、クラウン比率をコントロールしながら、いかに歪を抑えるかが重要となる。
本実施形態の圧延制御部30は、図1に示すように、圧下量制御部30A、板温制御部30B、及び板クラウン制御部30Cを備える。
(圧下量制御部30A)
圧下量制御部30Aは、仕上圧延機4入側の板厚、圧延機出側での目標板厚、仕上圧延速度に応じた各目標圧下量に各スタンドF1〜F7での圧下量を制御する。なお、仕上圧延の際に、板Sを搬送するための基準とする仕上圧延速度パターンは、一本の板毎に、圧延設備の諸元に基づき高能率で圧延可能な速度パターンに予め設定される。また、板Sを長手方向に沿って所定単位毎に仮想的に分けた切板単位に圧下制御を実施する。
(板温制御部30B)
板温制御部30Bは、仕上圧延機4入側の板温と圧延機出側での目標板温とから、板Sの温度降下量を求め、その温度降下分に応じて板冷却装置8による板冷却制御を実施する。なお、板Sを長手方向に沿って所定単位毎に仮想的に分けた切板単位に板温制御を実施する。
本実施形態の板クラウン制御部30Cは、ワークロール12のサーマルクラウン制御によって板クラウン制御を実施する。
板クラウン制御部30Cは、図3に示すように、板クラウン予測部30Caと、乖離計算部30Cbと、ワークロール冷却水量決定部30Ccと、設定値初期設定部30Cdとを備える。
板クラウン予測部30Caは、上位のコンピュータから圧延する被圧延板Sの板厚情報(板厚、板幅、鋼種など)を取得し、取得した板情報から仕上圧延前の板プロフィルを求める。
ここで、板Sのプロフィルは、ワークロールプロフィルの転写による圧延材の変形で形成され、圧延後の板Sにおいて歪みやクラウンが少ないほど、平坦で理想的な板となる。
CHn=α・CHmn+β・Chn−1 ・・・(1)式
ここで、
添字n:スタンド番号 CHn:出側クラウン(n番目のスタンド出側での板クラウン)
CHmn:n番目のスタンドのワークロール12のメカニカルクラウン
Chn−1:入側クラウン(n番目のスタンド入側での板クラウン)
α:転写率
β:遺伝係数
である。
ここで、リバース圧延の場合には、上記の添字nはパス番号を表す。
ワークロール12の弾性変形分は、以下に記すa〜dの4つの変形成分に分けることが出来る。
a:板Sからの圧延圧力とバックアップロール13からの反力としての接触圧力によるワークロール12のたわみ
b:板Sからの圧延圧力によるワークロール12表面の圧縮変形及びワークロール12の横断面形状の偏平化
c:ワークロール12とバックアップロール13の接触圧力による圧縮変形
d:ワークロール12からの接触圧力と軸受部での支持力とによって発生するBURのたわみ
サーマルクラウンは圧延中の板Sからワークロール12へ熱が流入することによるワークロール12の熱膨張分をいう。材料からロールへの熱の流入は短時間の接触によって行われる。圧延中のワークロール12の温度はロール胴長中央部が最も高く、両端に向かって低くなるような分布になっている。
サーマルクラウンによるサーマルプロフィルは、公知の熱伝達モデルを使用して求めればよい。例えば、ロール内部の温度分布を求め軸方向の膨張量分布を計算する2次元軸対称差分モデルと、径方向の温度差を求め膨張量を計算する1次元差分モデルとを使用して求める。なお、適宜、サーマルクラウンを実測し、水冷の熱伝達係数等の境界条件について見直しを行うことが好ましい。
乖離計算部30Cbは、板クラウン予測部30Caが求めた板クラウンの予測値と板クラウン目標値との乖離量を求める。
板クラウン目標値は、圧延する被圧延板Sの板情報(板厚、板幅、鋼種など)と製品要求形状とに基づき決定する。
ここで、設定冷却水量は、例えば単位時間且つ単位面積当たりにワークロール12にワークロール用冷却装置20によって吹き付ける冷却水の量である。
設定冷却水量の設定変更は、例えば、上記求めた乖離を解消可能なワークロールプロフィルを求め、そのワークロールプロフィルと上記モデルでのプロフィルとのプロフィルの誤差を、サーマルプロフィルの誤差とみなし、その誤差を解消する冷却水量の変更分を演算することで、設定冷却水量の設定変更を変更する。なお、圧延中にワークロール12の冷却流量を減らすことで、板クラウン量を減らすことが可能である
ここで、各ワークロール12への設定冷却水量の初期値は、今までのオペレータの経験から設定するようにしても良いが、本実施形態では、設定値初期設定部30Cdによって設定冷却水量の初期値を設定する。
又、対応する圧延結果データDATAが存在しない場合には、別途、オペレータが過去の経験値から、鋼種と板厚毎にデータベース中に設定した初期の設定冷却水量を採用するようにしても良い。
また、サーマルクラウン量を、ワークロールベンダーのロールクラウン制御範囲内に抑えることもでき、板厚が均一化され、製品の品質向上、板Sの矯正工程への搬送が減り、能率向上させることにも繋がる。なお、ワークロールベンダーはロールを湾曲させて板プロフィルを制御する装置である。
ここで、圧延後の板Sに過大な板クラウンが発生すると、長さ不足による不合格材となる場合があるが、このような過大な板クラウン発生を抑制可能となる。
また本実施形態では、歪発生率が低減することで、非直行率の改善につながり、荷揃・納期達成率が改善できる。非直行率とは、剪断ラインから次工程に移る際に精整ラインでの手入れを必要とする板Sの割合のことである。
2 スラブ
3 粗圧延機
4 熱間仕上圧延機
6 板検査工程
7 歪矯正工程
8 板冷却装置
11 平面形状計
12 ワークロール
13 バックアップロール
20 ワークロール用冷却装置
30 圧延制御部
30A 圧下量制御部
30B 板温制御部
30C 板クラウン制御部
30Ca 板クラウン予測部
30Cb 乖離計算部
30Cc ワークロール冷却水量決定部
30Cd 設定値初期設定部
31 歪評価判定部
32 データベース
S 被圧延板
Claims (5)
- 加熱炉から抽出したスラブである被圧延板を、熱間仕上圧延機のワークロールで当該ワークロールを設定冷却水量で水冷しながら圧延する熱間仕上圧延方法において、
圧延後の被圧延板の歪みを測定し、
予め設定した歪の評価条件に基づき、測定した被圧延板の歪の評価が良好と判定した場合には、評価した被圧延板の圧延前の板情報、その被圧延板を圧延したときの上記設定冷却水量、及びその被圧延板を圧延したときの上記ワークロールのプロフィル情報を有する圧延結果データを、データベースに格納し、
被圧延板を仕上圧延する前に上記データベースを検索して、上記格納した圧延結果データ中に、圧延する被圧延板の板情報及び圧延の際の上記ワークロールのプロフィル情報と同じ情報若しくは近似した情報を有する圧延結果データが存在すると判定したら、その対応する圧延結果データ中の設定冷却水量を、圧延する際の上記設定冷却水量として設定することを特徴とする熱間仕上圧延方法。 - 上記ワークロールのプロフィル情報は、ワークロールの初期プロフィル、及びその初期プロフィルからそれまでに圧延した本数分の膨張分や摩耗分を予測したワークロール形状を特徴とする請求項1に記載した熱間仕上圧延方法。
- 上記板情報は、板厚、板幅、鋼種の情報を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した熱間仕上圧延方法。
- 圧延する被圧延板の板情報と、サーマルクラウンを含むワークロールのメカニカルクラウンの情報とに基づき、圧延するスラブの圧延後の板プロフィルを予測し、
その予測した板プロフィルと目標の板プロフィルとの乖離が小さくなるように、設定冷却水量を補正することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載した熱間仕上圧延方法。 - 加熱炉から抽出したスラブである被圧延板を、熱間仕上圧延機のワークロールで当該ワークロールを設定冷却水量で水冷しながら圧延して被圧延板を製造する熱間仕上圧延方法において、
圧延する被圧延板の板情報と、サーマルクラウンを含む上記ワークロールのメカニカルクラウンの情報とに基づき、圧延する被圧延板の圧延後の板プロフィルを予測し、
その予測した板プロフィルと目標の板プロフィルとの乖離が小さくなるように、設定冷却水量を補正することを特徴とする熱間仕上圧延方法。
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